説明

印刷装置、印刷方法及び印刷物

【課題】可視光領域で可視となる画像に関連する関連情報を含み、可視光領域では不可視となり、不可視光領域では読み取り可能となる画像を、可視光領域で可視となる画像の領域に重ねる。
【解決手段】変換部400は、PDLを頁画像の構成情報に変換する。検査情報作成部402は、PDLと画像形成ユニット20が形成する可視画像との対応を検査するための検査情報を作成する。検査情報エンコーダ406は、検査情報を二次元コードに変換する。イメージ生成部410は、頁画像の構成情報と画像DB408が記憶する画像とを受け入れて各色の頁画像(可視画像)を生成するとともに、エンコードされた検査情報を受け入れて不可視の頁画像を生成し、各色の可視画像と不可視画像とを重ねた最終的な頁画像を生成する。印刷処理部412は、最終的な頁画像に応じた5種類のトナー画像をロール紙26に対して重ねて形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷方法及び印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、印刷結果を検査できる検査装置を設け、不良が検出された場合には直ちに印刷物にマークをつけ、マークのチェックを行うことにより、印刷物の重複や欠落を防ぐ印刷システムを開示する。
この技術は、印刷物を検査した後の処理に関するものであり、どのように検査するかに関して詳述されていない。
印刷物を検査する場合に、用紙の予め決められた位置に、用紙にどういった情報を印刷したかをバーコード等により埋め込み、その埋め込んだバーコード等を読み取って、実際の印刷物に対する検査を行うことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−207416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、可視光領域において不可視となるように、画像情報を検査するための検査情報を形成することができ、検査情報を可視光領域において可視となるように形成する場合に比べて印刷情報の見易さを損ねることを抑制することができるとともに、記録媒体に形成される画像情報と同じ領域に検査情報を形成することができ、記録媒体の複数の画像情報に対して個々に検査することができる印刷装置、印刷方法及び印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明は、文字情報と画像情報とを含む印刷情報を記録媒体に形成する画像形成手段を有し、前記画像形成手段は、前記画像情報を、該画像情報が可視光領域において可視となるように、前記記録媒体に形成する第1の画像形成手段と、前記画像情報を検査するための検査情報を、前記検査情報が可視光領域において不可視となり、不可視光領域では読み取り可能となるように、前記記録媒体の前記第1の画像形成手段により形成される前記画像情報の領域に形成する第2の画像形成手段と、を備える印刷装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記第2の画像形成手段は、前記第1の画像形成手段が頁内に形成する1つ以上の画像単位に関連するそれぞれの関連情報を示す画像を、前記第1の画像形成手段が形成する画像単位に個別に重ねるように形成する請求項1記載の印刷装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記第2の画像形成手段は、前記第1の画像形成手段が頁内に形成する1つ以上の予め定められた画像領域に関連するそれぞれの関連情報を示す画像を、前記第1の画像形成手段が形成する予め定められた画像領域に個別に重ねるように形成する請求項1又は2記載の印刷装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記検査情報が、前記画像情報の領域の位置、前記画像情報の大きさ、及び、前記画像情報の格納先を示す情報、のいずれか1つを含む請求項1乃至3いずれか記載の印刷装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記第2の画像形成手段は、関連情報の少なくとも一部を符号化した画像を形成する請求項1乃至4いずれか記載の印刷装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、ページ記述言語を解析して頁単位の画像の構成情報に変換する変換手段と、この変換手段が変換した構成情報に基づいて、前記第1の画像形成手段が形成する画像に関連する関連情報を作成する情報作成手段と、この情報作成手段が作成した関連情報を記憶する記憶手段と、をさらに有し、前記第1の画像形成手段は、前記変換手段が変換した構成情報に基づく画像を形成し、前記第2の画像形成手段は、前記情報作成手段が作成した関連情報に基づく画像を形成する請求項1乃至5いずれか記載の印刷装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、前記第2の画像形成手段が形成した画像を読み取る読取手段と、前記記憶手段が記憶した関連情報と前記読取手段が読み取った画像とに基づいて、前記第1の画像形成手段が形成した画像と前記記憶手段が記憶した関連情報とが予め定められた対応をしているか否かを判定する判定手段と、この判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、をさらに有する請求項6記載の印刷装置である。
【0012】
請求項8に係る本発明は、可視光領域で可視となる画像を記述したページ記述言語を解析して頁単位の画像の構成情報に変換し、変換した構成情報に基づいて、可視光領域で可視となる画像に関連する関連情報を作成し、作成した関連情報を記憶し、変換した構成情報に基づく可視光領域で可視となる画像と、作成した関連情報を示す可視光領域では不可視となり不可視光領域では読み取り可能となる画像とが重なるように、記録媒体に画像を形成し、記録媒体に形成した画像を不可視光領域で読み取り、記憶した関連情報と読み取った画像とに基づいて、可視光領域で可視となる画像と記憶した関連情報とが予め定められた対応をしている否かを判定し、判定した結果を出力する印刷方法である。
【0013】
請求項9に係る本発明は、可視光領域で可視である第1の画像と、可視光領域では不可視であり、不可視光領域では読み取り可能であって、前記第1の画像に関連する関連情報を示し、前記第1の画像の領域に重なるように形成された第2の画像と、を有する印刷物である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によれば、可視光領域において不可視となるように、画像情報を検査するための検査情報を形成することができ、検査情報を可視光領域において可視となるように形成する場合に比べて印刷情報の見易さを損ねることを抑制することができるとともに、記録媒体に形成される画像情報と同じ領域に検査情報を形成することができ、記録媒体の複数の画像情報に対して個々に検査することができる。
【0015】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、第1の画像形成手段が頁内に形成する1つ以上の画像単位の位置により、第2の画像形成手段が頁内に形成する画像それぞれの位置を特定することができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加えて、第1の画像形成手段が頁内に形成する1つ以上の画像領域の位置により、第2の画像形成手段が頁内に形成する画像それぞれの位置を特定することができる。
【0017】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1乃至3いずれかに係る本発明の効果に加えて、第1の画像形成手段が形成する画像の位置、大きさ及び属性並びに頁単位の情報の少なくともいずれかを読み取り可能にすることができる。
【0018】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1乃至4いずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有しない場合に比較して、第2の画像形成手段が形成する画像の読み取りを容易にすることができる。
【0019】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1乃至5いずれかに係る本発明の効果に加えて、第1の画像形成手段が形成する画像と第2の画像形成手段が形成する画像とを、共通のページ記述言語に基づく画像にすることができる。
【0020】
請求項7に係る本発明によれば、請求項6に係る本発明の効果に加えて、第1の画像形成手段が形成する画像と第2の画像形成手段が形成する画像とが予め定められた対応をしているか否かの判定結果を出力することができる。
【0021】
請求項8に係る本発明によれば、可視光領域で可視となる画像に関連する関連情報を含み、可視光領域では不可視となり、不可視光領域では読み取り可能となる画像を、可視光領域で可視となる画像の領域に重ねて記録媒体に印刷することができる。
【0022】
請求項9に係る本発明によれば、可視光領域で可視となる画像に関連する関連情報を含み、可視光領域では不可視となり、不可視光領域では読み取り可能となる画像を、可視光領域で可視となる画像の領域に重ねて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷装置の構成を例示する構成図である。
【図2】画像形成装置の構成を例示する構成図である。
【図3】制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】制御部が実行する印刷プログラムの構成を示すプログラム構成図である。
【図5】画像形成ユニットがロール紙に形成する頁画像を示す第1の画像例であって、(A)は頁画像の可視画像例であり、(B)は(A)に示した可視画像例に重ねられる不可視画像例である。
【図6】図5(B)に示した不可視画像の変形例を示す画像例であって、図6(A)は第1の変形画像例であり、図6(B)は第2の変形画像例である。
【図7】画像形成ユニットがロール紙に形成する頁画像を示す第2の画像例であって、(A)は頁画像の可視画像例であり、(B)は(A)に示した可視画像例に重ねられる不可視画像例である。
【図8】後処理装置(図1)の構成を例示する構成図である。
【図9】後処理制御部が実行する検査プログラムの構成を示すプログラム構成図である。
【図10】印刷プログラム及び検査プログラムを実行する印刷装置の動作例(S10)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る印刷装置1が例示されている。印刷装置1は、例えばメインフレーム10、ユーザインターフェイス装置を備えたホストPC12及び後処理装置14がネットワーク16を介して画像形成装置2に接続されることにより構成されている。メインフレーム10及びホストPC12は、例えば画像形成信号(ジョブ)などを画像形成装置2に対して送信し、ロール紙などの連続紙に画像形成装置2が頁画像を形成するように制御する。後処理装置14は、例えばロール紙に形成された複数の頁画像に合わせてロール紙を切断する。なお、ロール紙などの連続紙を一例として用いているが、カット紙を用いてもよい。
【0025】
図2は、画像形成装置2の構成を例示する構成図である。
図2に示すように、画像形成装置2は、例えば、画像形成ユニット20、給紙装置22及びスタック(格納)装置24を有する。
給紙装置22は、画像形成されていないロール紙(連続紙)26を画像形成ユニット20に対して供給する。スタック装置24は、画像形成ユニット20により画像形成が行われた後のロール紙26を巻き取ることにより格納する。ここで、ロール紙26は、給紙装置22及びスタック装置24に対して着脱自在にされている。
【0026】
画像形成ユニット20には、例えばタッチパネルなどの入出力装置であるユーザインターフェイス(UI)装置200と、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色のトナー像(可視トナーによる可視トナー像)を保持する感光体ドラム202a〜202dと、不可視トナーによる不可視トナー像を保持する感光体ドラム202eと、定着器204と、制御部3とが備えられている。
【0027】
ここで、可視トナーとは、可視光領域の光(例えば波長が約380〜780nmである光)が照射された場合に、反射光によって人間が色を知覚することができる(可視光領域で可視である)トナーである。
また、不可視トナーとは、可視光領域の光が照射された場合の反射光によっては人間が色を知覚することができない(可視光領域では不可視である)トナーであり、例えば近赤外光領域の光(例えば波長が約0.8〜2.5μmである光)が照射された場合の反射光を、例えば近赤外光領域の感度を高められたCCDなどの赤外線センサによって読み取ることができる(不可視光領域では読み取り可能である)トナーである。例えば、不可視トナーは、結着樹脂と、無機材料粒子からなる近赤外光吸収材料とを含み、可視光領域における光の吸収率が予め定められた値以下にされ、近赤外光領域における光の吸収率が予め定められた値以上にされている。
【0028】
なお、感光体ドラム202aが不可視トナー像を保持し、感光体ドラム202b〜202eがY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色のトナー像を保持するようにされてもよい。
【0029】
画像形成ユニット20は、例えばメインフレーム10又はホストPC12(図1)から複数頁の頁画像を形成する画像形成信号を受け入れると、制御部3の制御により、感光体ドラム202a〜202eそれぞれをレーザ光により照射することにより感光体ドラム202a〜202e上に静電潜像をそれぞれ形成する。そして、感光体ドラム202a〜202e上に形成された静電潜像は、現像器(図示せず)により各色のトナー又は不可視トナー(5種類のトナー)で現像され、ロール紙26の下側面(内側面)に5種類のトナー像が重ねて転写される。そして、ロール紙26に転写された複数頁のトナー画像は、定着器204によりロール紙26に定着される。
【0030】
制御部3は、例えば図3に示すように、CPU30、メモリ32、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置34及びデータの送受信を行う通信インタフェース(IF)36が制御バス38を介して相互に接続されることにより構成され、画像形成装置2を構成する各部を制御する。なお、制御バス38には、例えば上述したUI装置200も接続されている。
【0031】
CPU30は、メモリ32または記憶装置34に格納されたプログラムに基づいて所定の処理を実行し、制御部3の動作を制御する。また、プログラムをメモリ32や記憶装置34から提供するのではなく、当該プログラムをCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。この記録媒体は磁気ディスク、半導体メモリまたはその他の記録媒体であってもよい。
【0032】
通信IF36は、メインフレーム10及びホストPC12と画像形成装置2とを接続する通信インターフェイスである。例えば、通信IF36は、ホストPC12が送信するページ記述言語(Page Description Language:PDL)などの画像形成信号を受信し、CPU30に対して出力する。CPU30は、PDLを受信すると、予め定められた形式のPDLに変換して解析し、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の各色の頁画像(可視画像)と、各色の頁画像に関連する関連情報を含む不可視の頁画像(図5等を用いて後述する不可視画像)とを例えばメモリ32上に展開(形成)し、感光ドラム202a〜202e上に静電潜像がそれぞれ形成されるように、画像形成ユニット20を構成する各部を制御するようにされている。
【0033】
なお、画像形成ユニット20は、ロール紙26の両面にそれぞれ5種類のトナー画像を重ねて形成する両面カラー画像形成ユニットであってもよい。
【0034】
図4は、制御部3が実行する印刷プログラム4の構成を示すプログラム構成図である。
図4に示すように、印刷プログラム4は、変換部(デコンポーザ)400、検査情報作成部402、検査情報データベース(DB)404、検査情報エンコーダ406、画像データベース(DB)408、イメージ生成部410及び印刷処理部412から構成される。
なお、印刷プログラム4は、例えばCIP4(The International Cooperation for the Integration of Processes in Prepress, Press, and Postpress)のJDF(Job Definition Format)に対応している。
【0035】
変換部400は、メインフレーム10又はホストPC12が出力するページ記述言語(PDL)を受け入れ、PDLを頁画像の構成情報に変換し、変換した構成情報を検査情報作成部402及びイメージ生成部410に対して出力する。
【0036】
検査情報作成部402は、変換部400が出力する構成情報を受け入れ、変換部400が受け入れたPDLと画像形成ユニット20が形成する可視画像との対応を検査するための検査情報(図5等を用いて後述)を作成し、検査情報DB404及び検査情報エンコーダ406に対して出力する。
【0037】
検査情報DB404は、検査情報作成部402が作成した検査情報を記憶するデータベースであり、後述する検査プログラム6によるアクセスを可能にされている。
【0038】
検査情報エンコーダ406は、検査情報作成部402が作成した検査情報を受け入れ、検査情報を例えばバーコード又はQRコード(登録商標)などの二次元コードに変換(エンコード)し、二次元コード(画像)に変換した検査情報をイメージ生成部410に対して出力する。なお、検査情報エンコーダ406は、検査情報として可視画像が形成される領域を示す領域画像540(図5等を用いて後述)を二次元コードに加えて形成するようにされてもよい。
【0039】
画像DB408は、例えば複数のリソースを含む画像を記憶しているデータベースであり、例えばパスを指定されることによって読み出し可能にされている。
【0040】
イメージ生成部410は、変換部400が出力する頁画像の構成情報と画像DB408が記憶するリソースを含む画像とを受け入れて各色の頁画像(可視画像)を生成するとともに、検査情報エンコーダ406が出力するエンコードされた検査情報を受け入れて不可視の頁画像(図5等を用いて後述する不可視画像)を生成し、各色の可視画像と不可視画像とを重ねた最終的な頁画像(ページイメージ)を生成して印刷処理部412に対して出力する。
【0041】
印刷処理部412は、イメージ生成部410が出力した最終的な頁画像を受け入れ、受け入れた頁画像に応じた5種類のトナー画像をロール紙26に対して重ねて形成する。
【0042】
次に、画像形成ユニット20がロール紙26に形成する頁画像について詳述する。
図5は、画像形成ユニット20がロール紙26に形成する頁画像を示す第1の画像例であって、(A)は頁画像の可視画像例であり、(B)は(A)に示した可視画像例に重ねられる不可視画像例である。
なお、図5(B)に示した不可視画像例は、実際には不可視であるが、説明のために黒色の画像として示されている。
【0043】
図5(A)に示すように、画像形成ユニット20がロール紙26に形成する第1の画像例は、例えば第25ページ目の頁(頁画像領域)5内に、可視画像である文字領域50及び画像領域(画像単位)52を有する。文字領域50は、頁5内に描画される可読の文章部分である。画像領域52は、頁(頁画像領域)5内に描画される挿絵としての画像部分である、また、画像領域52は、例えば画像領域52自身の位置、大きさ及び画像DB408のパスを示す画像情報520と、画像情報520を特定するためのジョブID及び頁番号を示す特定情報522とが、画像領域52に関連する関連情報(検査情報)として検査情報作成部402(図4)により作成され、検査情報DB404に記憶される。画像領域52の位置は、例えば頁(頁画像領域)5の短辺をX方向とし、長辺をY方向として、画像領域52内の1つの点(図5において画像領域52の左上の点P)の座標(x20,y100)で示されている。画像領域52の大きさは、例えば頁(頁画像領域)5内のX方向及びY方向の長さ(50mm×85mm)で示されている。画像領域52の読み出しは、例えば画像DB408に対して指定されるパス(/image/aa/tree.jpg)で示されている。
【0044】
頁(頁画像領域)5内において、画像領域52が描画される位置には、図5(B)に示すように、不可視画像54が重ねて形成される。不可視画像54は、検査情報エンコーダ406(図4)が変換した画像領域52に関連する関連情報を示す不可視の画像であり、例えば領域画像540と二次元コード542とを有する。領域画像540は、頁(頁画像領域)5内の画像領域52が形成される領域を囲むことにより示す枠状の不可視画像である。二次元コード542は、検査情報エンコーダ406が変換した画像領域52に関連する関連情報(検査情報)を示す不可視画像であり、例えば画像情報520及び特定情報522とを含む。なお、二次元コード542は、領域画像540が示す情報を重複して含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0045】
図6は、図5(B)に示した不可視画像54の変形例を示す画像例であって、図6(A)は第1の変形画像例であり、図6(B)は第2の変形画像例である。なお、図6に示した不可視画像例は、実際には不可視であるが、説明のために黒色の画像として示されている。
図6(A)に示すように、不可視画像54は、領域画像540及び二次元コード542に加えて、頁(頁画像領域)5全体に関連する頁関連情報544を、例えば頁(頁画像領域)5内の端部などの領域画像540の外に有する画像であってもよい。頁関連情報544は、例えば文字領域50及び画像領域52に関連する情報を示す不可視画像であり、検査情報作成部402によって作成される。
また、図6(B)に示すように、頁関連情報544は、領域画像540内に配置されてもよい。
【0046】
図7は、画像形成ユニット20がロール紙26に形成する頁画像を示す第2の画像例であって、(A)は頁画像の可視画像例であり、(B)は(A)に示した可視画像例に重ねられる不可視画像例である。
なお、図7(B)に示した不可視画像例は、実際には不可視であるが、説明のために黒色の画像として示されている。
【0047】
図7(A)に示すように、画像形成ユニット20がロール紙26に形成する第2の画像例は、例えば頁(頁画像領域)5a内に、可視画像である文字領域50a〜50c及び画像領域(画像単位)52aを有する。文字領域50a〜50cは、それぞれ頁5a内に描画される可読の文章部分である。
頁(頁画像領域)5a内において、文字領域50a〜50cが描画される位置には、図7(B)に示すように、不可視画像54a〜54cが重ねて形成される。不可視画像54a〜54cは、検査情報エンコーダ406(図4)が変換した文字領域50a〜50c自身の位置、大きさ及び記述内容などに関連する情報を関連情報としてそれぞれ示す不可視の画像であり、領域画像540a〜540cと二次元コード542a〜542cとをそれぞれ有する。領域画像540a,540cは、頁(頁画像領域)5a内の文字領域50a,50cが形成される領域をそれぞれ囲むことにより示す枠状の不可視画像である。領域画像540bは、頁(頁画像領域)5a内の文字領域50bが形成される領域の一部を囲むことにより示す枠状の不可視画像である。二次元コード542a〜542cは、検査情報エンコーダ406が変換した文字領域50a〜50cに関連する関連情報(検査情報)をそれぞれ示す不可視画像である。二次元コード542a〜542cは、それぞれ領域画像540a〜540cが示す情報を重複して含んでもよいし、含まなくてもよい。また、二次元コード542bは、領域画像540b内の領域に重ねられた可視画像に関連する情報のみを示す不可視画像であってもよい。
【0048】
画像領域52aは、頁(頁画像領域)5a内に描画される挿絵としての画像部分である、また、画像領域52aは、例えば画像領域52aに関連する関連情報が検査情報作成部402(図4)により作成され、検査情報DB404に記憶される。
頁(頁画像領域)5a内において、画像領域52aが描画される位置には、図7(B)に示すように、不可視画像54dが重ねて形成される。不可視画像54dは、検査情報エンコーダ406(図4)が変換した画像領域52a自身の位置、大きさ及び記述内容などに関連する情報を関連情報としてそれぞれ示す不可視の画像であり、例えば領域画像540dと二次元コード542dとを有する。領域画像540dは、頁(頁画像領域)5a内の画像領域52aが形成される領域を囲むことにより示す枠状の不可視画像である。二次元コード542dは、検査情報エンコーダ406が変換した画像領域52aに関連する関連情報を示す不可視画像である。なお、二次元コード542dは、領域画像540dが示す情報を重複して含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0049】
図8は、後処理装置14(図1)の構成を例示する構成図である。
図8に示すように、後処理装置14は、例えば給紙装置140、読み取り装置142、処理ユニット144及び後処理制御部146から構成されている。また、処理ユニット144は、UI装置148、切断部150、区分部152、損紙排出部154及び正常印刷排出部156とを備えている。
【0050】
給紙装置140は、画像形成装置2により画像を形成されたロール紙26を処理ユニット144に向けて給紙する。
なお、ロール紙26は、スタック装置24(図2)及び給紙装置140に対して着脱自在にされている。
【0051】
読み取り装置142は、近赤外領域の光を照射する照射部157と、照射部157が照射した光の不可視トナーによる反射光を検出する赤外線センサ158とを有し、給紙装置140と処理ユニット144との間に設けられて、給紙装置140により給紙されたロール紙26に形成された不可視画像54(又は不可視画像54a〜54c及び不可視画像54d)を読み取り、後処理制御部146に対して出力する。
【0052】
後処理制御部146は、図3に示した各部と略同様の構成部分を備えてコンピュータの機能を有し、予め定められたプログラムを実行することにより、後処理装置14を構成する各部を制御する。例えば、後処理制御部146は、読み取り装置142が読み取った不可視画像54(又は不可視画像54a〜54c及び不可視画像54d)を用いて、後述する検査プログラム6等を実行することにより、後処理装置14を構成する各部を制御する。
【0053】
UI装置148は、例えばタッチパネルなどの入出力装置であり、後処理装置14に対する入力を受け入れるとともに、後処理装置14に関する情報等を表示する。切断部150は、後処理制御部146の制御に応じてロール紙26を各頁毎に切断する。区分部152は、後処理制御部146の制御に応じて、切断部150が切断したロール紙を正常な印刷物と損紙とに区分けする。ここで、損紙とは、例えば、画像領域52(図5)の内容、位置又は大きさなどが間違っている頁、若しくは画像領域52が欠損している頁である。
そして、後処理制御部146は、正常な印刷物を正常印刷排出部156に排出し、損紙を損紙排出部154に排出するように処理ユニット144を制御する。
【0054】
図9は、後処理制御部146が実行する検査プログラム6の構成を示すプログラム構成図である。図9に示すように、検査プログラム6は、検査情報解析部600、検査情報デコーダ602及び検査情報判定部604を有する。
検査情報解析部600は、読み取り装置142が読み取った不可視画像54などの不可視画像を解析することにより例えば領域画像540と二次元コード542とに分離し、領域画像540を検査情報判定部604に対して出力し、二次元コード542を検査情報デコーダ602に対して出力する。
【0055】
検査情報デコーダ602は、検査情報解析部600から受け入れた二次元コード542をデコードし、デコードした二次元コード542を検査情報判定部604に対して出力する。
【0056】
検査情報判定部604は、検査情報解析部600から領域画像540を受け入れ、検査情報デコーダ602からデコード済みの二次元コード542を受け入れて、図4にも示した検査情報DB404から受け入れる検査情報と領域画像540及びデコード済みの二次元コード542とを比較することにより、不可視画像54が重ねられていた画像領域52(図5)の内容、位置及び大きさなどが正しいか否か、並びに、画像領域52の欠損などが生じているか否かを判定し、判定結果をUI装置148(又はホストPC12)に対して出力する。
つまり、検査情報判定部604は、不可視画像54(又は不可視画像54a〜54c及び不可視画像54d)などが重ねられた検査対象である可視画像(実質的な頁画像)と、画像形成装置2が受信したPDLとが正しく対応しているか否かを判定する。
【0057】
次に、印刷プログラム4及び検査プログラム6を実行する印刷装置1の動作例について説明する。
図10は、印刷プログラム4及び検査プログラム6を実行する印刷装置1の動作例(S10)を示すフローチャートである。
図10に示すように、ステップ100(S100)において、制御部3は、メインフレーム10又はホストPC12が出力するページ記述言語(PDL)を受け入れ、PDLを頁画像の構成情報に変換する。
【0058】
ステップ102(S102)において、制御部3は、受け入れたPDLと画像形成ユニット20が形成する可視画像との対応を検査するための検査情報(関連情報)を作成する。
【0059】
ステップ104(S104)において、制御部3は、作成した検査情報を記憶する。
【0060】
ステップ106(S106)において、画像形成装置2は、可視画像である4色の頁画像及び不可視画像(すなわち5種の現像剤像)を重ねた頁画像をロール紙26に形成する。
【0061】
ステップ108(S108)において、後処理装置14は、不可視光領域で不可視画像を読み取る。
【0062】
ステップ110(S110)において、後処理装置14は、ロール紙26に形成された頁画像とPDLとの対応の正否を判定する。
【0063】
ステップ112(S112)において、後処理装置14は、正常な印刷物と損紙とを区別して排出する。
【0064】
ステップ114(S114)において、後処理装置14は、S110の処理で判定した判定結果をUI装置148により表示する。
【0065】
なお、上記実施形態においては、画像形成装置2が有する制御部3が印刷プログラム4を実行し、後処理装置14が有する後処理制御部146が検査プログラム6を実行する場合を例に説明したが、これに限定されることなく、例えばメインフレーム10又はホストPC12が制御部3と同じ構成を有して印刷プログラム4及び検査プログラム6を実行してもよい。
また、上記実施形態においては、印刷装置1がロール紙を用いる場合を例に説明したが、これに限定されることなく、例えば給紙排紙ともにカット紙である構成でもよい。
また、印刷装置1は、検査によりエラーを発見した場合には、印刷物と損紙とに区分けすることなく、例えばエラーを発見した段階で検査自体を止めてしまうように構成されてもよいし、エラーを含む印刷物の部単位での破棄を行うように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 印刷装置
10 メインフレーム
12 ホストPC
14 後処理装置
140 給紙装置
142 読み取り装置
144 処理ユニット
146 後処理制御部
148 UI装置
150 切断部
152 区分部
154 損紙排出部
156 正常印刷排出部
157 照射部
158 赤外線センサ
16 ネットワーク
2 画像形成装置
20 画像形成ユニット
22 給紙装置
24 スタック装置
26 ロール紙
200 UI装置
202a〜202e 感光ドラム
204 定着器
3 制御部
30 CPU
32 メモリ
34 記憶装置
36 通信IF
38 制御バス
4 印刷プログラム
400 変換部
402 検査情報作成部
404 検査情報DB
406 検査情報エンコーダ
408 画像DB
410 イメージ生成部
412 印刷処理部
5,5a 頁(頁画像領域)
50,50a〜50c 文字領域
52,52a 画像領域
520 画像情報
522 特定情報
54,54a〜54d 不可視画像
540,540a〜540d 領域画像
542,542a〜542d 二次元コード
544 頁関連情報
6 検査プログラム
600 検査情報解析部
602 検査情報デコーダ
604 検査情報判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字情報と画像情報とを含む印刷情報を記録媒体に形成する画像形成手段を有し、
前記画像形成手段は、
前記画像情報を、該画像情報が可視光領域において可視となるように、前記記録媒体に形成する第1の画像形成手段と、
前記画像情報を検査するための検査情報を、前記検査情報が可視光領域において不可視となり、不可視光領域では読み取り可能となるように、前記記録媒体の前記第1の画像形成手段により形成される前記画像情報の領域に形成する第2の画像形成手段と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
前記第2の画像形成手段は、
前記第1の画像形成手段が頁内に形成する1つ以上の画像単位に関連するそれぞれの関連情報を示す画像を、前記第1の画像形成手段が形成する画像単位に個別に重ねるように形成する
請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第2の画像形成手段は、
前記第1の画像形成手段が頁内に形成する1つ以上の予め定められた画像領域に関連するそれぞれの関連情報を示す画像を、前記第1の画像形成手段が形成する予め定められた画像領域に個別に重ねるように形成する
請求項1又は2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記検査情報は、前記画像情報の領域の位置、前記画像情報の大きさ、及び、前記画像情報の格納先を示す情報、のいずれか1つを含む
請求項1乃至3いずれか記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2の画像形成手段は、
関連情報の少なくとも一部を符号化した画像を形成する
請求項1乃至4いずれか記載の印刷装置。
【請求項6】
ページ記述言語を解析して頁単位の画像の構成情報に変換する変換手段と、
この変換手段が変換した構成情報に基づいて、前記第1の画像形成手段が形成する画像に関連する関連情報を作成する情報作成手段と、
この情報作成手段が作成した関連情報を記憶する記憶手段と、
をさらに有し、
前記第1の画像形成手段は、
前記変換手段が変換した構成情報に基づく画像を形成し、
前記第2の画像形成手段は、
前記情報作成手段が作成した関連情報に基づく画像を形成する
請求項1乃至5いずれか記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第2の画像形成手段が形成した画像を読み取る読取手段と、
前記記憶手段が記憶した関連情報と前記読取手段が読み取った画像とに基づいて、前記第1の画像形成手段が形成した画像と前記記憶手段が記憶した関連情報とが予め定められた対応をしているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、
をさらに有する
請求項6記載の印刷装置。
【請求項8】
可視光領域で可視となる画像を記述したページ記述言語を解析して頁単位の画像の構成情報に変換し、
変換した構成情報に基づいて、可視光領域で可視となる画像に関連する関連情報を作成し、
作成した関連情報を記憶し、
変換した構成情報に基づく可視光領域で可視となる画像と、作成した関連情報を示す可視光領域では不可視となり不可視光領域では読み取り可能となる画像とが重なるように、記録媒体に画像を形成し、
記録媒体に形成した画像を不可視光領域で読み取り、
記憶した関連情報と読み取った画像とに基づいて、可視光領域で可視となる画像と記憶した関連情報とが予め定められた対応をしている否かを判定し、
判定した結果を出力する印刷方法。
【請求項9】
可視光領域で可視である第1の画像と、
可視光領域では不可視であり、不可視光領域では読み取り可能であって、前記第1の画像に関連する関連情報を示し、前記第1の画像の領域に重なるように形成された第2の画像と、
を有する印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−188616(P2010−188616A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35421(P2009−35421)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】