説明

印刷装置、印刷装置に関する設定方法、コンピュータプログラム

【課題】 走査に関する特性に起因する画質劣化を抑制することができるインタレース印刷技術を提供する。
【解決手段】 印刷ヘッドを駆動してラスタライン上のドットを形成する単位印刷と、ラスタラインと交差する方向に印刷ヘッドを印刷媒体に対して相対的に移動させる走査とを繰り返して印刷を行う印刷装置は、複数のラスタラインが走査の方向にノズルピッチより小さいライン間隔で並ぶ解像度での印刷のために、複数のラスタラインを印刷する順序を決定している印刷方式を決定し、印刷方式における送り量を、印刷方式の種類に応じて、複数のラスタラインのライン間隔を等しくする等間隔送り量より大きくまたは小さくされた偏送り量に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタレース印刷を行う印刷装置において画質劣化を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する印刷装置が広く使用されている。このような印刷装置において、互いに隣接する主走査ライン上に異なる主走査にてドットを形成するインタレース印刷が知られている(例えば、特許文献1)。インタレース印刷では、副走査方向のドットピッチ(互いに隣接する主走査ラインのライン間隔)が副走査方向のノズルピッチより小さい解像度で印刷を行うことができる。
【0003】
特許文献1には、基準主走査ラインを含む複数の主走査ラインを含む所定のパターンを印刷し、印刷されたパターンにおいて基準主走査ラインに対する他の主走査ラインのずれを測定し、測定されたずれに基づいて用紙を搬送する搬送制御量を補正する技術が開示されている。この技術では、インタレース印刷の方式が異なる印刷モードごとに、実際の用紙の搬送量が、理想的な搬送量となるように、搬送制御量を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−349638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同じ搬送制御量で搬送を行ったとしても、実際の搬送量には誤差が生じるので、実際の搬送量は、理想的な搬送量にはならず、用紙の搬送を行う度に異なるのが実情であった。従って、上記技術では、補正後の搬送制御量で用紙を搬送したとしても、搬送量の誤差に起因する画質劣化を抑制できない可能性があった。このような課題は、用紙の搬送を行う印刷装置に限らず、印刷ヘッドを印刷媒体に対してラスタラインと交差する方向に相対的に移動させる走査を行う印刷装置に共通する課題であった。
【0006】
本発明の主な利点は、上述した走査の送り量の誤差に起因する画質劣化を抑制することができるインタレース印刷技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]印刷媒体にドットを形成することにより印刷を行う印刷装置であって、第1の方向に沿って所定のノズルピッチで配置された複数のノズルであって同一色のドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを、前記印刷媒体に対して前記第1の方向に相対的に移動させる走査を行う走査部と、前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動して前記第1の方向と交差する第2の方向に沿ったラスタライン上のドットを形成させるヘッド駆動部と、前記各部を制御して、複数のラスタラインが第1の方向に前記ノズルピッチより小さいライン間隔で並ぶ解像度での印刷を、複数のラスタラインを印刷する順序を決定している所定の印刷方式を用いて実行する印刷制御部と、を備え、前記印刷制御部は、複数のラスタラインのライン間隔を等しくする等間隔送り量とは異なる偏送り量を用いて、前記走査を行わせる走査制御部であって、前記偏送り量は、用いる前記印刷方式の種類に応じて前記等間隔送り量より大きくまたは小さくされた送り量である、前記走査制御部を有する、印刷装置。
【0009】
上記構成によれば、走査の方向(第1の方向)の解像度がノズルピッチより小さい印刷(いわゆるインタレース印刷)を行う際に、用いる印刷方式の種類に応じて等間隔送り量より大きくまたは小さくされた偏送り量を、走査の送り量として用いる。この結果、送り量の誤差に起因する画質の劣化を、印刷方式に応じて低減することができる。
【0010】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷装置の制御装置、印刷装置に関する設定を行う装置、システム、印刷方法、これらの方法、装置、システムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例における複合機200の構成を示すブロック図である。
【図2】プリンタ部250の概略構成を示す図である。
【図3】搬送制御について説明するための図である。
【図4】4パスの印刷方式について説明する図である。
【図5】8パスの印刷方式について説明する図である。
【図6】8パスの印刷方式について説明する図である。
【図7】複合機200の印刷処理の処理ステップを示すフローチャートである。
【図8】送り量決定処理の処理ステップを示すフローチャートである。
【図9】偏送り量を用いた場合の実際の単位送り量を示すグラフである。
【図10】8パスの各印刷方式におけるライン間隔の最大値をシミュレートした結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.実施例:
A−1.印刷装置の構成:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、実施例における複合機200の構成を示すブロック図である。
【0013】
複合機200は、CPU210と、インクジェット式のプリンタ部250と、フラットベッド式のスキャナ部260と、パーソナルコンピュータなどの計算機あるいはUSBメモリなどの外部記憶装置と接続するためのインタフェースを含む通信部270と、操作パネルや各種のボタンを含む操作部280と、RAM、ROM、ハードディスクなどの記憶装置290を備えている。通信部270は、通信部270のインタフェースに接続された計算機や外部記憶装置との間でデータ通信を行う。
【0014】
記憶装置290には、バッファ領域291が確保されると共に、制御プログラム292と、設定情報293とが格納されている。設定情報293には、設定情報1(図1)として示す内容が含まれている。設定情報1では、インタレース印刷の複数種類の印刷方式(後述)のそれぞれについて、等間隔送り量(後述)と、送り量のシフト量(後述)とが対応付けられている。CPU210は、制御プログラム292を実行することにより、複合機200の制御部として機能する。図1では、複合機200の制御部としての機能部のうち、説明に必要な機能部を選択的に図示している。具体的には、CPU210は、プリンタ部250を制御して印刷を実行する印刷制御部M20として機能する。印刷制御部M20は、複数種類の印刷方式の中から、印刷に用いる1つの印刷方式を選択する印刷方式選択部M21と、プリンタ部250の搬送機構240(後述)に用紙などの印刷媒体の搬送を行わせる搬送制御部M22とを備えている。搬送制御部M22は、選択された印刷方式に応じてそれぞれ異なる偏送り量(後述)を設定する送り量設定部M23と、設定された送り量に応じた送り数(後述)を算出して搬送機構240に指示する送り数指示部M24とを備えている。
【0015】
プリンタ部250は、複数種類のインク、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各インクを吐出して印刷を行う。プリンタ部250は、インク吐出機構220と主走査機構230と搬送機構240とを備えている。搬送機構240は、搬送モータ242と、該搬送モータ242を駆動する搬送モータ駆動部241と、ロータリエンコーダ243とを備え、搬送モータ242の動力で印刷媒体を搬送する。インク吐出機構220は、複数のノズル(後述)を有する印刷ヘッド222と、複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動するヘッド駆動部221とを備え、搬送機構240によって搬送される印刷媒体上にノズルからインクを吐出してドットを形成する。主走査機構230は、主走査モータ232と、該主走査モータ232を駆動する主走査モータ駆動部231とを備え、主走査モータ232の動力で印刷ヘッド222を主走査方向に往復動(主走査)させる。
【0016】
図2は、プリンタ部250の概略構成を示す図である。図2(a)は、プリンタ部250の全体構成の概略を示し、図2(b)は、図2(a)における下側から見た印刷ヘッド222の構成を示している。プリンタ部250は、さらに、印刷媒体としての用紙Pを収容するための用紙トレイ20a、20bと、印刷後の用紙Pが排出される排紙トレイ21と、印刷ヘッド222のインクを吐出する面と対向して配置されたプラテン40と、を備えている(図2(a))。
【0017】
搬送機構240は、用紙トレイ20a、20bから、プラテン40上を通り、排紙トレイ21に至る搬送経路に沿って、用紙Pを搬送する。矢印ARは、プラテン40上における用紙Pの搬送方向(図2(a)+X方向)を示している。以下、プラテン40上における用紙Pの搬送方向を、「搬送方向AR」と呼ぶ。用紙Pがプラテン40上を搬送方向ARに搬送されることにより、印刷ヘッド222は、用紙Pに対して搬送方向ARの反対方向に相対的に移動する。搬送方向ARの反対方向を、副走査方向とも呼び、印刷ヘッドを、用紙Pになどの印刷媒体に対して副走査方向に相対的に移動させることを、副走査とも呼ぶ。また、所定の方向の反対方向側を、当該方向の上流側とも呼び、所定の方向側を、当該方向の下流側とも呼ぶ。
【0018】
搬送機構240は、さらに、プラテン40から見て搬送方向ARの上流側に配置された上流側挟持部244と、プラテン40から見て搬送方向ARの下流側に配置された下流側挟持部245と、用紙トレイ20a、20bから上流側挟持部244に至る上流搬送経路248(図2(a):破線)上に用紙Pを搬送する上流搬送部(図示せず)とを備えている。上流側挟持部244は、搬送モータ242によって回転駆動される上流側搬送ローラ244aと、上流側従動ローラ244bと、を備え、これらのローラによって用紙Pを挟持して搬送方向ARに用紙Pを搬送する。下流側挟持部245は、搬送モータ242の動力によって回転駆動される下流側搬送ローラ245aと、下流側従動ローラ245bと、を備え、これらのローラによって用紙Pを挟持して搬送方向ARに用紙Pを搬送する。
【0019】
主走査機構230は、さらに、印刷ヘッド222を搭載するキャリッジ233と、キャリッジ233を主走査方向(図2:Y軸方向)に沿って往復動可能に保持する摺動軸234と、を備えている。主走査機構230は、主走査モータ232の動力を用いて、キャリッジ233を摺動軸234に沿って往復動させる主走査を実行する。
【0020】
図2(b)に示すように、印刷ヘッド222のプラテン40と対向する面には、上述したC、M、Y、Kの各インクを吐出するノズル列NC、NM、NY、NKが形成されている。各ノズル列は、同一色のインクを吐出して用紙P上にドットを形成する複数のノズル(例えば、210個のノズル)をそれぞれ有している。各ノズルには、各ノズルを駆動してインクを吐出させるための駆動素子としてのピエゾ素子(図示せず)が設けられている。図2(b)に示すように、1つのノズル列に含まれる複数のノズルは、副走査方向にノズルピッチNで並んでいる。なお、複数のノズルは、図2(b)に示すように、直線状に並んでいる必要はなく、例えば、千鳥状に並んでいても良い。
【0021】
図3は、搬送制御について説明するための図である。図3(a)〜(c)は、搬送制御に用いられるロータリエンコーダ243の一例について説明する図である。図3(a)に示すように、ロータリエンコーダ243は、スリット盤2431と、発光部2432と、2つの受光部2433、2434と、受光部からの信号を処理して出力する出力部(図示省略)を備えている。
【0022】
スリット盤2431は、図3(a)に示すように、円盤形状を有している。スリット盤2431は、上流側搬送ローラ244aの回転軸と同軸に固定され、上流側搬送ローラ244aと同期して回転する。スリット盤2431の外周縁部には、スリット盤2431の径方向に延びる多数のスリットSLが、一定の間隔で(一定の周期で)、全周に亘って形成されている。図3(b)のハッチング部分は、スリットSLの形成領域を示している。
【0023】
発光部2432は、スリット盤2431の軸方向の一方の側において、複合機200の本体に固定されている(図3(a))。発光部2432は、例えば、発光ダイオードとレンズを含み、スリット盤2431の軸方向の一方の側から、スリットSLの形成領域に対して、光を照射する。2つの発光部2432は、スリット盤2431の軸方向の他方の側において、スリット盤2431のスリットSLの形成領域を挟んで、発光部2432と対向する位置に固定されている(図3(a))。受光部2433と受光部2434は、スリットの形成周期に対する位相が互いに90度ずれた位置に配置されている。
【0024】
受光部2433、2434は、スリットSLを介して、発光部2432が発する光を受光し、受光した光に応じた電気信号を生成する。図示しない出力部は、受光部2433、2434が生成した電気信号に基づくパルス信号を出力する。
【0025】
図3(c)には、スリット盤2431が一定速度で回転しているとき、すなわち、上流側挟持部244が一定速度で回転しているときにロータリエンコーダ243から出力されるパルス信号の一例が示されている。パルス信号S1、S2は、それぞれ、受光部2433、2433が生成する電気信号に対応している。パルス信号S1、S2の周期は、スリット盤2431におけるスリットSLの形成周期に対応している。パルス信号S1と、パルス信号のS2は、互いに90度位相がずれている。パルス信号S1、S2の1周期は、スリット盤2431が、スリット間隔分だけを回転するのに要した時間に等しい。
【0026】
パルス信号S1、S2は、搬送モータ駆動部241に入力され、搬送モータ駆動部241は、これらの信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジをカウントしながら、搬送モータ242を駆動することによって、用紙Pの送り量を制御する。搬送モータ駆動部241がカウント可能な最小単位Tは、図8(c)に示すように、パルス信号S1、S2の1/4周期となる。
【0027】
搬送モータ駆動部241が制御可能な送り量の最小単位である最小送り量は、上述したパルス信号S1、S2のカウント可能な最小単位T、すなわち、ロータリエンコーダ243の分解能に応じて定まる。例えば、最小送り量は、最小単位Tに対応する送り量とされる。実施例では、最小送り量は、例えば、1μmまたは1μm以下の値である。
【0028】
印刷制御部M20の送り数指示部M24は、他の単位(例えば、μm)で表された指示送り量Lr(整数値とは限らず、少数点以下の値を含み得る)を、最小送り量の数を表す整数値である送り数Lp(単位は、例えば、パルス数)に換算する。指示送り量Lrは、例えば、後述する送り量決定処理(図8)において送り量設定部M23が決定する使用送り量Lgである。送り数指示部M24は、送り数Lpを搬送モータ駆動部241に指示することによって、搬送すべき送り量を搬送モータ駆動部241に指示する。図3(d)に示すように、送り数Lpは整数値であるので、指示送り量Lrを正確に送り数Lpに換算できず、端数ΔLrが生じ得る。送り数指示部M24は、指示送り量Lrを送り数Lpに換算する際には、端数切り下げ、および、端数切り上げのいずれかを用いる。例えば、送り数指示部M24は、端数ΔLrが、最小送り量の半分を超える場合には、端数切り上げを用い、半分以下である場合には、端数切り下げを用いても良い。また、送り数指示部M24は、端数ΔLrを記憶しておき、次回の送り数Lpを決定する際に、考慮しても良い。
【0029】
A−2:印刷方式:
次に、印刷制御部M20(図1)が実行可能な印刷方式について説明する。印刷制御部M20は、インク吐出機構220と、主走査機構230と、搬送機構240とを制御して、単位印刷と単位副走査とを交互に繰り返し実行することにより印刷を行う。単位印刷は、用紙Pをプラテン40上に停止した状態で、主走査を行いつつ、印刷ヘッド222のノズルを駆動することによって行われる印刷である。1回の単位印刷に対応する1回の主走査をパスとも呼ぶ。単位副走査は、所定の単位送り量だけ用紙Pを搬送方向ARに搬送することによって行われる。
【0030】
印刷制御部M20は、4パスについて2種類、8パスについて4種類の印刷方式を用いて、インタレース印刷を実行することができる。図4は、4パスの印刷方式について説明する図である。図4(a)は、4n+1の印刷方式を示し、図4(b)は、4n−1の印刷方式を示す。図5、6は、8パスの印刷方式について説明する図である。図5(a)、(b)は、それぞれ、8n+1、8n−1の印刷方式を示す。図6(a)、(b)は、それぞれ、8n+3、8n−3の印刷方式を示す。
【0031】
インタレース印刷によって、複数のラスタラインRLが副走査方向にノズルピッチNより小さなライン間隔(副走査方向のドットピッチ)Dで並ぶ解像度での印刷を行うことができる。ここで、ラスタラインRLは、主走査方向に並んだドットDTによって形成されるラインである。印刷画像は、副走査方向に並んだ複数のラスタラインRLによって形成される。ラスタ番号RNは、印刷画像を形成する各ラスタラインに、副走査方向の上流側から下流側に順次に付された番号である。以下では、ラスタ番号j(jは、自然数)のラスタラインRLをラスタラインRL(j)とも記述する。
【0032】
各図には、各パスにおけるノズルの副走査方向の位置が示されている。ここで、パス数kは、ノズルピッチN/ライン間隔Dで表される。すなわち、4パスは、使用するノズルのノズルピッチNの1/4のライン間隔Dで、8パスは、ノズルピッチNの1/8のライン間隔Dで、それぞれ印刷する印刷方式である。すなわち、8パスの印刷方式では、4パスの印刷方式と比べて、副走査方向の解像度を2倍にすることができる。また、個々のパスを特定するために、符号P(m)を用いる。ここで、mは、各パスが実行される順番を表すパス順である。各図に示す各ラスタライン上のドットDTに付された番号は、当該ラスタラインRL上のドットDTを形成するパスのパス順である。例えば、図4(a)に示すラスタラインRL(1)、RL(5)上のドットDTは、パスP(1)において形成され、ラスタラインRL(2)、RL(6)、RL(10)上のドットDTは、パスP(2)において形成される。
【0033】
各図には印刷可能範囲を示す水平線が図示されている。この水平線より副走査方向の上流側(各図の上側)では、全てのラスタラインRLを印刷することができないため、印刷は行われない。
【0034】
印刷方式の名称は、「kn+b」(nは、使用するノズル数に応じて定まる自然数、kは、k=N/Dで表される3以上のパス数、bは、−(1/2)k<b<(1/2)kである0を除く整数)で表される。これは、使用するノズル数が(kn+b)個であり、単位送り量が、D×(k×n+b)である印刷方式であることを表している。例えば、図4(a)に示す4n+1の印刷方式は、4パスの印刷方式であり、例えば、201個のノズルを用いてライン間隔Dの201倍の単位送り量(n=50の場合)で印刷を行う印刷方式である。また、図6(a)に示す8n+3の印刷方式は、8パスの印刷方式(従って、ライン間隔Dは、4パスの場合のライン間隔Dの半分である)であり、例えば、203個のノズルを用いてライン間隔Dの203倍の単位送り量(n=25の場合)で印刷を行う印刷方式である。各図では、図の煩雑を避けるため、n=1の場合を図示している。ここで言う単位送り量は、印刷される全てのラスタラインのライン間隔を等しくする理想的な送り量であり、等間隔送り量とも呼ぶ。また、ここでいうライン間隔Dは、等間隔送り量によって実現される理想的なライン間隔Dであり、理想ライン間隔Dとも呼ぶ。また、各印刷方式の等間隔送り量を区別するために、4n+1、4n−1、8n+3、8n−3、8n+1、8n−1の等間隔送り量を、それぞれ、符号L1、L2、L3、L4、L5、L6で表す。
【0035】
4n+1(図4(a))と、4n−1(図4(b))の印刷方式は、4パスの印刷方式である点で共通するが、印刷画像を構成する複数のラスタラインの印刷順序が互いに異なっている。言い換えれば、複数のラスタラインの印刷順序は、印刷方式によって決定付けられている。具体的に、印刷画像の副走査方向の両端部を除いた領域を印刷するパスP(m)について説明する。インタレース印刷では、パスP(m)は、既に前回のパスP(m−1)で一部のラスタラインが印刷されている一部印刷済み領域において、ラスタラインを印刷すると共に、一部印刷済み領域より副走査方向下流側の領域において、ラスタラインを印刷する。4n+1では、パスP(m)は、一部印刷済み領域において、前回のパスP(m−1)にて印刷されたラスタラインの副走査方向下流側に隣接するラスタラインを印刷する。4n−1では、パスP(m)は、一部印刷済み領域において、前回のパスP(m−1)にて印刷されたラスタラインの副走査方向上流側に隣接するラスタラインを印刷する。
【0036】
8n+1(図5(a))と、8n−1(図5(b))と、8n+3(図6(a))と、8n−3(図6(b))の印刷方式は、8パスの印刷方式である点で共通するが、印刷画像を構成する複数のラスタラインの印刷順序が互いに異なっている。言い換えれば、複数のラスタラインの印刷順序は、印刷方式によって決定付けられている。具体的には、8n+1では、パスP(m)は、一部印刷済み領域において、前回のパスP(m−1)にて印刷されたラスタラインの副走査方向下流側に隣接するラスタラインを印刷する。8n−1では、パスP(m)は、一部印刷済み領域において、前回のパスP(m−1)にて印刷されたラスタラインの副走査方向上流側に隣接するラスタラインを印刷する。8n+3では、パスP(m)は、一部印刷済み領域において、前回のパスP(m−1)にて印刷されたラスタラインから見て、3本だけ副走査方向下流側に位置するラスタラインを印刷する。8n−3では、パスP(m)は、一部印刷済み領域において、前回のパスP(m−1)にて印刷されたラスタラインから見て、3本だけ副走査方向上流側に位置するラスタラインを印刷する。
【0037】
A−3:印刷処理:
図7は、複合機200の印刷処理の処理ステップを示すフローチャートである。この印刷処理は、複合機200の印刷制御部M20が、インタレース印刷を行うための印刷ジョブを受け付けた場合に実行される。
【0038】
ステップS110では、印刷制御部M20の印刷方式選択部M21は、印刷条件を取得する。印刷条件は、例えば、インタレース印刷のパス数(副走査方向の印刷解像度)、バッファ領域291のうち印刷に使用できる容量(使用可能バッファ容量)、使用不可能なノズルを含む。パス数の取得は、例えば、印刷ジョブに含まれるプリントコマンドを参照することによって行われる。使用不可能なノズルは、例えば、インク詰まりによって、インクを吐出できないノズルである。使用不可能なノズルは、例えば、当該ノズルを示す特定情報を操作部280を介してユーザから受け付けることによって、特定されても良い。または、印刷ヘッド222の各ノズルにノズル詰まりを検出するセンサを設け、当該センサの検出信号に基づいて使用不可能なノズルを特定しても良い。バッファ領域291は、他の機能部、例えば、通信部270やスキャナ部260の動作状況に応じて、各機能部に割り当てられるので、他の機能部の動作状況に応じて、使用可能バッファ容量は、異なり得る。
【0039】
ステップS120では、印刷方式選択部M21は、印刷条件に応じて、用いるべき印刷方式を決定する。具体的には、印刷方式選択部M21は、使用不可能なノズルが有る場合には、そのノズルの位置、および、使用可能バッファ容量に応じて、使用ヘッド長の最大値を認識する。ここで、使用ヘッド長は、各インク色ごとに設けられた各ノズル列(図2(b))における副走査方向に並んだ複数のノズルのうち、印刷で使用するノズルの数で表される。使用ヘッド長の最大値は、使用不可能なノズルがある場合や、使用可能バッファ容量が少ない場合には、小さくなる。
【0040】
印刷方式選択部M21は、使用ヘッド長の最大値に応じて、なるべく大きい使用ヘッド長で印刷を行うように、印刷方式を決定する。使用ヘッド長が大きいほど、印刷速度が向上するからである。例えば、使用ヘッド長の最大値が150であり、8パスのインタレース印刷を行う場合を考える。この場合には、4つの印刷方式、すなわち、8n−3、8n−1、8n+1、8n+3において、取り得る最大の使用ヘッド長は、それぞれ、149(n=19)、143(n=18)、145(n=18)、147(n=18)である。したがって、この場合には、印刷方式選択部M21は、印刷方式を8n−3(n=19)に決定する。
【0041】
ステップS130では、印刷制御部M20の送り量設定部M23は、用いる印刷方式のパス数が4パスであるか、8パスであるかを判断する。送り量設定部M23は、用いる印刷方式のパス数が4パスである場合には、4パス送り量決定処理を実行し(ステップS140)、用いる印刷方式のパス数が8パスである場合には、8パス送り量決定処理を実行する(ステップS150)。各送り量決定処理は、使用する単位送り量を決定する処理である。ここで決定される単位送り量は、上述した等間隔送り量とは異なる場合があるので、区別のため、使用送り量Lgとも呼ぶ。
【0042】
図8は、送り量決定処理の処理ステップを示すフローチャートである。図8(a)は、4パス送り量決定処理について、図8(b)は、4パス送り量決定処理について、それぞれ示す。まず、4パス送り量決定処理について説明する。
【0043】
ステップS1410では、送り量設定部M23は、白筋抑制モードであるか否かを判断する。白筋抑制モードであるか否かの設定は、例えば、ユーザが操作部280を介して設定した印刷モードに応じて行うこととしても良い。あるいは、印刷ジョブに白筋抑制モードを用いるか否かを示すコマンドを含めることとしても良い。
【0044】
送り量設定部M23は、白筋抑制モードでないと判断すると(ステップS1410:NO)、設定情報293(図1)を参照して、使用送り量Lgを、4パスの印刷方式に応じた等間隔送り量(L1またはL2(図1:設定情報1参照))に設定して(ステップS1420)、処理を終了する。送り量設定部M23は、白筋抑制モードであると判断すると(ステップS1410:YES)、図7のステップS120にて決定された印刷方式が、4n+1であるか、4n−1であるかを判断する(ステップS1430)。送り量設定部M23は、設定情報293(図1)を参照して、印刷方式に応じて、等間隔送り量から所定のシフト量だけシフトさせた偏送り量を、使用送り量Lgとして設定する。具体的には、送り量設定部M23は、印刷方式が4n+1である場合には、4n+1の等間隔送り量L1よりシフト量Δd(Δd>0)だけ大きくした値に設定し(ステップS1440)、印刷方式が4n−1である場合には、4n−1の等間隔送り量L2よりシフト量Δdだけ小さくした値に設定する(ステップS1450)。Δdの値は、本実施例では、1μmである。
【0045】
次に、8パス送り量決定処理について説明する。
ステップS1510では、送り量設定部M23は、白筋抑制モードであるか否かを判断する。送り量設定部M23は、白筋抑制モードでないと判断すると(ステップS1510:NO)、設定情報293(図1)を参照して、使用送り量Lgを、8パスの印刷方式に応じた等間隔送り量(L3〜L6のいずれか(図1:設定情報1参照))に設定して(ステップS1520)、処理を終了する。送り量設定部M23は、白筋抑制モードであると判断すると(ステップS1510:YES)、図7のステップS120にて決定された印刷方式が、8n−1、8n+1、8n−3、8n+3のいずれであるかを判断する(ステップS1530)。送り量設定部M23は、設定情報293(図1)を参照して、印刷方式に応じて、等間隔送り量から所定のシフト量だけシフトさせた偏送り量を、使用送り量Lgとして設定する。具体的には、送り量設定部M23は、印刷方式が8n+3である場合には、等間隔送り量L3よりシフト量Δe(Δe>0)だけ大きくした値に設定し(ステップS1540)、印刷方式が8n−3である場合には、等間隔送り量L4よりシフト量Δeだけ小さくした値に設定する(ステップS1550)。また、送り量設定部M23は、印刷方式が8n+1である場合には、等間隔送り量L5よりシフト量2×Δeだけ大きくした値に設定し(ステップS1560)、印刷方式が8n−1である場合には、等間隔送り量L6よりシフト量2×Δeだけ小さくした値に設定する(ステップS1570)。Δeの値は、本実施例では、1μmである。
【0046】
送り量決定処理が終了すると、印刷制御部M20は、送り量決定処理において決定された使用送り量Lgを用いて、ステップS120で決定された印刷方式にて、印刷を実行する(ステップS160:図7)。具体的には、送り量設定部M23は、上記送り量決定処理にて決定された使用送り量Lgを、上述した指示送り量Lrとして、送り数指示部M24に指示する。送り数指示部M24は、図3を参照して説明したように、使用送り量Lgを送り数に変換して搬送モータ駆動部241に送信することによって、送り量を搬送モータ駆動部241に指示する。搬送モータ駆動部241は、印刷において、指示された送り数に基づいて、副走査(用紙の搬送)を実行する。印刷が終了すると、印刷処理は終了される。
【0047】
図9は、偏送り量を使用送り量Lgとして用いた場合の実際の単位送り量を示すグラフである。図9(a)〜図9(d)は、それぞれ、8n+3、8n+1、8n−3、8n−1を用いて印刷した場合における実際の単位送り量を示している。
【0048】
8n+3では、8n+3の等間隔送り量L3より大きくシフトされた使用送り量Lgを狙い値として用いているので、実際の単位送り量の平均値Laveは、等間隔送り量L3より大きくなっている。そして、バラツキにより、実際の単位送り量において、等間隔送り量L3から見て負の誤差ΔLが発生することもあるが、その発生頻度は、等間隔送り量L3を使用送り量Lgとして用いる場合と比較して低くなる。また、負の誤差ΔLが発生した場合における誤差ΔLの大きさ(絶対値)は、等間隔送り量L3を使用送り量Lgとして用いる場合と比較して小さくなる(図9(a))。
【0049】
8n+1では、8n+1の等間隔送り量L5より大きくシフトされた使用送り量Lgを狙い値として用いている。そして、シフト量の絶対値は、8n+3のシフト量の絶対値より2倍大きくされている。このために、実際の単位送り量の平均値Laveは、等間隔送り量L5より、大幅に、大きくなっている。そして、バラツキにより、実際の単位送り量において、等間隔送り量L5から見て負の誤差ΔLが発生することは、ほぼなくなっている。また、仮に負の誤差ΔLが発生したとしても、その誤差ΔLの大きさ(絶対値)は、さらに、小さくなる(図9(b))。
【0050】
8n−3では、8n−3の等間隔送り量L4より小さくシフトされた使用送り量Lgを狙い値として用いているので、実際の単位送り量の平均値Laveは、等間隔送り量L4より小さくなっている。そして、バラツキにより、実際の単位送り量において、等間隔送り量L4から見て正の誤差ΔLが発生することもあるが、その発生頻度は、等間隔送り量L4を使用送り量Lgとして用いる場合と比較して低くなる。また、正の誤差ΔLが発生した場合における誤差ΔLの大きさ(絶対値)は、等間隔送り量L4を使用送り量Lgとして用いる場合と比較して小さくなる(図9(c))。
【0051】
8n−1では、8n−1の等間隔送り量L6より小さくシフトされた使用送り量Lgを狙い値として用いている。そして、シフト量の絶対値は、8n−3のシフト量の絶対値より、2倍大きくされている。このために、実際の単位送り量の平均値Laveは、等間隔送り量L6より、大幅に、小さくなっている。そして、バラツキにより、実際の単位送り量において、等間隔送り量L6から見て正の誤差ΔLが発生することは、ほぼなくなっている。また、仮に正の誤差ΔLが発生したとしても、その誤差ΔLの大きさ(絶対値)は、さらに、小さくなる(図9(d))。
【0052】
このように、白筋抑制モードでは、印刷方式に応じて、等間隔送り量から所定のシフト量だけシフトさせた偏送り量を、使用送り量Lgとして用いる理由を以下に説明する。
【0053】
A−4:各印刷方式における単位送り量の誤差と白筋との関係:
上述したラスタ番号RN(図3〜図5参照)がsであるラスタラインRL(s)を印刷するパスのパス順をPN(s)とし、ラスタラインRL(s)の副走査方向下流側に隣接するラスタラインRL(s+1)を印刷するパスのパス順をPN(s+1)とする。2本のラスタラインRL(s)とRL(s+1)とのパス順差ΔPN(s)を、ΔPN(s)=PN(s+1)−PN(s)と定義する。ΔPN(s)は、0ではない整数値となる。ΔPN(s)=「2」は、ラスタラインRL(s)を印刷するパスの2回後のパスでラスタラインRL(s+1)が印刷されることを表す。また、ΔPN(s)=「−2」は、ラスタラインRL(s)を印刷するパスの2回前のパスでラスタラインRL(s+1)が印刷されることを表す。
【0054】
パス順差ΔPN(s)は、2本のラスタラインRL(s)とRL(s+1)とのライン間隔の誤差ΔD(s)を評価する指標となる。実際の単位送り量は、誤差ΔLが発生するため、等間隔送り量にはならない。実際の単位送り量における等間隔送り量との誤差ΔLに起因して、ライン間隔の誤差ΔD(s)が変動し得る。ライン間隔の誤差ΔD(s)が大きいほど、実際のライン間隔が理想ライン間隔Dより広くなり、白筋が発生しやすくなる。実際の単位送り量が等間隔送り量より誤差ΔLだけ大きいとすると、ライン間隔の誤差ΔD(s)は、以下の式(1)で表される。
ΔD(s)=ΔPN(s)×ΔL...(1)
【0055】
上記式(1)は、パス順差ΔPN(s)の絶対値の回数分だけ、送り量の誤差ΔLが積算されて、ライン間隔の誤差ΔD(s)となって現れることを意味している。すなわち、パス順差ΔPN(s)の絶対値が大きいと、ライン間隔の誤差ΔD(s)の絶対値が大きくなる。また、パス順差ΔPN(s)が正の値である場合には、送り量の誤差ΔLが正である場合に、実際のライン間隔が理想ライン間隔Dより広くなる。逆に、パス順差ΔPN(s)が負の値である場合には、送り量の誤差ΔLが負である場合に、実際のライン間隔が理想ライン間隔Dより広くなる。したがって、送り量の誤差ΔLが正である場合、すなわち、実際の単位送り量が等間隔送り量より大きい場合には、パス順差ΔPN(s)が正であり、かつ、その絶対値が大きいほど、そのパス順差ΔPN(s)に対応する2本のラスタラインの間に白筋が生じやすい。送り量の誤差ΔLが負である場合、すなわち、実際の単位送り量が等間隔送り量より小さい場合には、パス順差ΔPN(s)が負であり、かつ、その絶対値が大きいほど、そのパス順差ΔPN(s)に対応する2本のラスタラインの間に白筋が生じやすい。
【0056】
ここで、印刷画像に含まれる全ての隣接するラスタラインの組のパス順差ΔPN(s)のうち、絶対値が最大となるパス順差を最大パス順差と呼ぶ。これらのパス順差ΔPN(s)のうちの正であるパス順差の中で絶対値が最大となるパス順差を最大正パス順差と呼ぶ。また、これらのパス順差ΔPN(s)のうちの負であるパス順差ΔPN(s)の中で絶対値が最大となるパス順差を最大負パス順差と呼ぶ。
【0057】
以上の説明に基づいて、以下のことが解る。
1.最大正パス順差の絶対値が、最大負パス順差の絶対値より小さい印刷方式は、送り量の誤差ΔLが正である場合に、送り量の誤差ΔLが負である場合と比べて、白筋が生じにくい。
2.最大負パス順差の絶対値が、最大正パス順差の絶対値より小さい印刷方式は、送り量の誤差ΔLが負である場合に、送り量の誤差ΔLが正である場合と比べて、白筋が生じにくい。
3.最大正パス順差の絶対値が小さい印刷方式ほど、送り量の誤差ΔLが正である場合に白筋が生じにくい。
4.最大負パス順差の絶対値が小さい印刷方式ほど、送り量の誤差ΔLが負である場合に白筋が生じにくい。
【0058】
以上を踏まえて、図4に示した4パスの2種類の印刷方式について検討する。
4n+1(図4(a))の場合には、パス順差ΔPN(s)は、「−3」または「1」のいずれかの値を取る。例えば、ラスタラインRL(4)とRL(5)とのパス順差ΔPN(4)は、「−3」である(図4(a):破線c1参照)。また、ラスタラインRL(2)とRL(3)のパス順差ΔPN(2)は、「1」である(図4(a):破線c2参照)。したがって、4n+1の最大パス順差および最大負パス順差は、「−3」であり、最大正パス順差は、「1」である。
【0059】
4n+1では、最大正パス順差の絶対値が、最大負パス順差の絶対値より小さい。したがって、4n+1では、送り量の誤差ΔLが正である場合に、送り量の誤差ΔLが負である場合と比べて、白筋が生じにくい。したがって、予め4n+1の等間隔送り量L1から正の方向にシフトさせた使用送り量Lgを狙い値として設定することで、実際の送り量に等間隔送り量L1から見た負の誤差ΔLが発生する可能性、および、発生した場合の誤差ΔLの大きさを抑制することを抑制することが好ましい。こうすれば、4n+1を用いて印刷した場合に白筋が発生する可能性を低減することができる。
【0060】
4n−1(図4(b))の場合には、パス順差ΔPN(s)は、「3」または「−1」のいずれかの値を取る。例えば、ラスタラインRL(3)とRL(4)とのパス順差ΔPN(3)は、「3」である(図4(b):破線c1参照)。ラスタラインRL(4)とRL(5)のパス順差ΔPN(4)は、「−1」である(図4(b):破線c2参照)。したがって、4n−1の最大パス順差および最大正パス順差は、「3」であり、最大負パス順差は、「−1」である。
【0061】
4n−1では、最大負パス順差の絶対値が、最大正パス順差の絶対値より小さい。したがって、4n−1では、送り量の誤差ΔLが負である場合に、送り量の誤差ΔLが正である場合と比べて、白筋が生じにくい。したがって、予め4n−1の等間隔送り量L2から負の方向にシフトさせた使用送り量Lgを狙い値として設定することで、実際の送り量に等間隔送り量L2から見た正の誤差ΔLが発生する可能性、および、発生した場合の誤差ΔLの大きさを抑制することが好ましい。こうすれば、4n−1を用いて印刷した場合に白筋が発生する可能性を低減することができる。
【0062】
次に、図5、6に示した8パスの4種類の印刷方式について検討する。
8n+1(図5(a))の場合には、パス順差ΔPN(s)は、「−7」または「1」のいずれかの値を取る。例えば、ラスタラインRL(8)とRL(9)とのパス順差ΔPN(8)は、「−7」である(図5(a):破線c1参照)。また、ラスタラインRL(10)とRL(11)のパス順差ΔPN(10)は、「1」である(図5(a):破線c2参照)。したがって、8n+1の最大パス順差および最大負パス順差は、「−7」であり、最大正パス順差は、「1」である。
【0063】
8n−1(図5(b))の場合には、パス順差ΔPN(s)は、「7」または「−1」のいずれかの値を取る。例えば、ラスタラインRL(7)とRL(8)とのパス順差ΔPN(7)は、「7」である(図5(b):破線c1参照)。また、ラスタラインRL(10)とRL(11)のパス順差ΔPN(10)は、「−1」である(図5(b):破線c2参照)。したがって、8n−1の最大パス順差および最大正パス順差は、「7」であり、最大負パス順差は、「−1」である。
【0064】
8n+3(図6(a))の場合には、パス順差ΔPN(s)は、「−5」または「3」のいずれかの値を取る。例えば、ラスタラインRL(2)とRL(3)とのパス順差ΔPN(2)は、「−5」である(図6(a):破線c1参照)。また、ラスタラインRL(4)とRL(5)のパス順差ΔPN(4)は、「3」である(図6(a):破線c2参照)。したがって、8n+3の最大パス順差および最大負パス順差は、「−5」であり、最大正パス順差は、「3」である。
【0065】
8n−3(図6(b))の場合には、パス順差ΔPN(s)は、「5」または「−3」のいずれかの値を取る。例えば、ラスタラインRL(5)とRL(6)とのパス順差ΔPN(5)は、「5」である(図6(b):破線c1参照)。また、ラスタラインRL(6)とRL(7)のパス順差ΔPN(6)は、「−3」である(図6(b):破線c2参照)。したがって、8n−3の最大パス順差および最大正パス順差は、「5」であり、最大負パス順差は、「−3」である。
【0066】
8n+1、8n+3では、最大正パス順差の絶対値が、最大負パス順差の絶対値より小さい。したがって、8n+1、8n+3では、送り量の誤差ΔLが正である場合に、送り量の誤差ΔLが負である場合と比べて、白筋が生じにくい。したがって、予め8n+1、8n+3の等間隔送り量L5、L3から正の方向にシフトさせた使用送り量Lgを狙い値として設定することで、実際の送り量に、等間隔送り量L5、L3から見た負の誤差ΔLが発生する可能性、および、発生した場合の誤差ΔLの大きさを抑制することが好ましい。こうすれば、8n+1、8n+3を用いて印刷した場合に白筋が発生する可能性を低減することができる。
【0067】
8n−1、8n−3では、最大負パス順差の絶対値が、最大正パス順差の絶対値より小さい。したがって、8n−1、8n−3では、送り量の誤差ΔLが負である場合に、送り量の誤差ΔLが正である場合と比べて、白筋が生じにくい。したがって、予め8n−1、8n−3の等間隔送り量L6、L4から負の方向にシフトさせた使用送り量Lgを狙い値として設定することで、実際の送り量に等間隔送り量L6、L4から見た正の誤差ΔLが発生する可能性、および、発生した場合の誤差ΔLの大きさを抑制することが好ましい。こうすれば、8n−1、8n−3を用いて印刷した場合に白筋が発生する可能性を低減することができる。
【0068】
さらに、最大正パス順差の絶対値を各印刷方式で比較すると、8n+1<8n+3<8n−3<8n−1である。したがって、送り量の誤差ΔLが正である場合には、白筋が生じにくい順に、8n+1、8n+3、8n−3、8n−1である。最大負パス順差の絶対値を各印刷方式で比較すると、8n−1<8n−3<8n+3<8n+1である。したがって、送り量の誤差ΔLが負である場合には、白筋が生じにくい順に、8n−1、8n−3、8n+3、8n+1である。
【0069】
すなわち、8n−1は、8n−3と比較して、送り量の誤差ΔLが正である場合には、白筋が発生しやすく、送り量の誤差ΔLが負である場合には、白筋が発生しにくい。したがって、8n−1では、等間隔送り量L6から負の方向にシフトさせるシフト量を、8n−3より大きくすることが好ましい。こうすることで、より効果的に、8n−3で印刷した場合に白筋が発生する可能性を低減することができる。
【0070】
また、8n+1は、8n+3と比較して、送り量の誤差ΔLが負である場合には、白筋が発生しやすく、送り量の誤差ΔLが正である場合には、白筋が発生しにくい。したがって、8n+1では、等間隔送り量L5から正の方向にシフトさせるシフト量を、8n+3より大きくすることが好ましい。こうすることで、より効果的に、8n+3で印刷した場合に白筋が発生する可能性を低減することができる。
【0071】
図10は、8パスの各印刷方式を用いて印刷した場合におけるライン間隔の最大値をシミュレートした結果を示すグラフである。このシミュレーションでは、実際の単位送り量が、各印刷方式の等間隔送り量からずれた場合におけるライン間隔の最大値の変化を算出した。図10では、各印刷方式の等間隔送り量を、横軸上の同じ位置(図10の符号Lで示す位置)に合わせて、この位置からのずれ量に応じたライン間隔の最大値の変化をプロットしている。ライン間隔の最大値が大きいほど、白筋が発生しやすく、ライン間隔の最大値が小さいほど、白筋が発生しにくい。このシミュレーションでは、等間隔送り量より送り量が大きい領域(誤差ΔLが正である領域)では、ライン間隔の最大値が、8n−1>8n−3>8n+3>8n+1の順になっている。そして、等間隔送り量より送り量が小さい領域(誤差ΔLが負である領域)では、ライン間隔の最大値が、逆に、8n−1<8n−3<8n+3<8n+1の順になっている。すなわち、シミュレーションによっても、上述した説明を裏付ける結果が得られた。
【0072】
以上説明したように、本実施例の複合機200によれば、インタレース印刷を行う際に、用いる印刷方式の種類に応じて各印刷方式の等間隔送り量より大きくまたは小さくされた偏送り量を、使用送り量Lgとする。この結果、印刷方式に応じて、送り量の誤差に起因する白筋の発生を低減し、印刷画像の画質劣化を低減することができる。
【0073】
さらに、8n+1、8n+3、4n+1では、各印刷方式の等間隔送り量より大きくされた偏送り量を、使用送り量Lgとしている。一方、8n−1、8n−3、4n−1では、各印刷方式の等間隔送り量より小さくされた偏送り量を、使用送り量Lgとしている。この結果、印刷方式の種類に応じて、白筋の発生を抑制できる偏送り量を適切に設定でき、より効果的に、白筋の発生を抑制することができる。
【0074】
さらに、8n+1、8n−1では、8n+3、8n−1と比べて、各印刷方式の等間隔送り量からのシフト量の絶対値を大きく設定している。すなわち、8n−1、8n−1では、8n+3、8n−1と比べて、使用送り量Lgと等間隔送り量との差を大きく設定している。この結果、白筋の発生を抑制するために必要な分だけ等間隔送り量との差を設けた偏送り量を適切に設定でき、より効果的に、白筋の発生を抑制することができる。
【0075】
さらに、上記実施例における複合機200は、印刷方式選択部M21と、送り量設定部M24とを備えているので、複数種類の印刷方式を実行可能な複合機200において、画質劣化が生じる可能性を低減することができる送り量を、使用できる印刷方式ごとに適切に定めることができる。
【0076】
B.変形例:
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0077】
(1)上記実施例では、使用送り量Lgが偏送り量に決定された場合には、上述したように、送り量設定部M23は、偏送り量を指示送り量Lrとして送り数指示部M24に指示している。そして、送り数指示部M24が、偏送り量を送り数Lpに換算して、搬送モータ駆動部241に指示する。これによって、偏送り量を用いた副走査が実現されている。これに代えて、第2実施例では、使用送り量Lgが偏送り量に決定された場合には、偏送り量が、等間隔送り量より大きくされた偏送り量であるか、等間隔送り量より小さくされた偏送り量であるかを送り数指示部M24に通知する。送り数指示部M24は、指示送り量Lrとして等間隔送り量を用いるが、等間隔送り量を送り数Lpに換算する際に、端数切り上げ、または、端数切り下げを用いることによって、偏送り量での副走査を実現する。
【0078】
具体的には、送り数指示部M24は、端数ΔLrの大きさに拘わらず、常に端数切り上げで、等間隔送り量を送り数Lpに換算することによって、等間隔送り量より大きい偏送り量での副走査を実現する。また、送り数指示部M24は、端数ΔLrの大きさに拘わらず、常に端数切り下げで、等間隔送り量を送り数Lpに換算することによって、等間隔送り量より小さい偏送り量での副走査を実現する。
【0079】
この変形例によれば、等間隔送り量と偏送り量との差を、ロータリエンコーダ243の分解能に応じて定まる最小送り量より小さく制御できるので、精度良く偏送り量を制御することができる。例えば、上記実施例における最小送り量が、上述したシフト量Δd、Δeより大きい場合などに採用され得る。
【0080】
(2)上記実施例では、白筋抑制モードである場合に、偏送り量を使用送り量Lgとして用い、白筋抑制モードでない場合に、等間隔送り量を使用送り量Lgとして用いているが、これに代えて、常に、偏送り量を使用送り量Lgとして用いても良い。この場合には、図1に示す設定情報2のように、印刷方式と送り量とが対応付けられた設定情報において、偏送り量のみが印刷方式ごとに対応付けられていても良い。また、この場合には、送り量決定処理(図8)において、破線で囲んだステップS1410、S1420(図8(a))、S1510、S1520(図8(b))を省略しても良い。
【0081】
(3)上記実施例における複合機200は、単機能の印刷装置であっても良い。また、プリンタ部250は、主走査を伴わない印刷装置、いわゆるラインプリンタであっても良い。プリンタ部250の搬送機構240は、用紙を固定した状態で、用紙上を印刷ヘッドが副走査方向に移動する機構であっても良い。
【0082】
(4)上記実施例における6種類の印刷方式は、インタレース印刷の印刷方式の一例であり、他のあらゆる種類の印刷方式が用いられても良い。この場合には、実施例で説明した手法によりその印刷方式における副走査特性と白筋の発生との関係を評価し、偏送り量を決定すれば良い。例えば、等間隔送り量が、D×(k×n+b)(Dは、目標単位ライン間隔、nは、使用するノズル数に応じて定まる自然数、kは、k=N/Dで表される3以上のパス数、bは、−(1/2)k<b<(1/2)kである0を除く整数)で表される均等送りの印刷方式が採用される場合には、bの値が正である場合には、等間隔送り量より大きい偏送り量に設定され、bの値が負である場合には、等間隔送り量より小さい偏送り量に設定されても良い。また、bの絶対値が大きいほど、等間隔送り量と偏送り量との差が小さく設定され、bの絶対値が小さいほど、等間隔送り量と偏送り量との差が大きく設定されても良い。
【0083】
(5)上記実施例では、複合機200は、複数種類の印刷方式を利用可能であるが、1つの印刷方式のみ利用可能な印刷装置に本発明を適用可能である。1つの印刷方式について適切な偏送り量が設定されていれば良い。
【0084】
(6)上述した偏送り量におけるシフト量Δd、Δeの大きさは、1μmに限らず、様々な値に設定され得る。例えば、実際に送り量を変化させて印刷を行った印刷結果、シミュレーション、ドットの径、理想ライン間隔D、等を考慮して、適切な値に定められ得る。
【0085】
(7)本発明は、例えば、複合機200における製造工程において、複合機200に送り量を設定する方法にも適用できる。この場合は、図8に示す送り量決定処理(破線で囲んだステップを除く)を、例えば、複合機200とは異なる他の計算機で実行する。そして、決定された偏送り量を、複合機200に設定すれば良い。
【0086】
(8)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0087】
200...複合機、220...インク吐出機構、221...ヘッド駆動部、222...印刷ヘッド、230...主走査機構、240...搬送機構、250...プリンタ部、260...スキャナ部、270...通信部、280...操作部、290...記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体にドットを形成することにより印刷を行う印刷装置であって、
第1の方向に沿って所定のノズルピッチで配置された複数のノズルであって同一色のドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを、前記印刷媒体に対して前記第1の方向に相対的に移動させる走査を行う走査部と、
前記複数のノズルのうちの少なくとも一部を駆動して前記第1の方向と交差する第2の方向に沿ったラスタライン上のドットを形成させるヘッド駆動部と、
前記各部を制御して、複数のラスタラインが第1の方向に前記ノズルピッチより小さいライン間隔で並ぶ解像度での印刷を、複数のラスタラインを印刷する順序を決定している所定の印刷方式を用いて実行する印刷制御部と、
を備え、
前記印刷制御部は、
複数のラスタラインのライン間隔を等しくする等間隔送り量とは異なる偏送り量を用いて、前記走査を行わせる走査制御部であって、前記偏送り量は、用いる前記印刷方式の種類に応じて前記等間隔送り量より大きくまたは小さくされた送り量である、前記走査制御部を有する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷方式において、前記ライン間隔をDとし、前記ノズルピッチをNとするとき、前記等間隔送り量は、D×(k×n+b)(nは、使用するノズル数に応じて定まる自然数、kは、k=N/Dで表される3以上のパス数、bは、−(1/2)k<b<(1/2)kである0を除く整数)で表され、
前記bの値が正である場合には、前記偏送り量は、前記等間隔送り量より大きい送り量に設定され、
前記bの値が負である場合には、前記偏送り量は、前記等間隔送り量より小さい送り量に設定される、印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記bの絶対値が大きいほど、前記等間隔送り量と前記偏送り量との差が小さく設定され、前記bの絶対値が小さいほど、前記等間隔送り量と前記偏送り量との差が大きく設定される、印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記走査部は、
前記走査のための動力を供給するモータと、
前記走査の送り量を検出するエンコーダと、
前記エンコーダの分解能に応じて定まる最小送り量を最小単位として前記モータを駆動するモータ駆動部と、
を有し、
前記走査制御部は、前記最小送り量の数を表す整数値である送り数を、前記モータ駆動部に指示する送り数指示部を有し、
前記送り数指示部は、前記等間隔送り量を端数切り捨てで換算した前記送り数を前記モータ駆動部に指示することによって、前記等間隔送り量より小さい前記偏送り量での前記走査を実現する、または、前記等間隔送り量を端数切り上げで換算した前記送り数を前記モータ駆動部に指示することによって、前記等間隔送り量より大きい前記偏送り量での前記走査を実現する、印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記印刷制御部は、複数のラスタラインを印刷する順序がそれぞれ異なる複数種類の前記印刷方式を用いて印刷を実行可能であり、
前記印刷制御部は、
複数種類の前記印刷方式の中から、印刷に用いる1つの前記印刷方式を選択する印刷方式選択部と、
選択された前記印刷方式に応じて、前記偏送り量を設定する送り量設定部と、
を有する、印刷装置。
【請求項6】
印刷ヘッドを駆動してラスタライン上のドットを形成する単位印刷と、前記ラスタラインと交差する方向に前記印刷ヘッドを印刷媒体に対して相対的に移動させる走査とを繰り返して印刷を行う印刷装置に関する設定を行う設定方法であって、
前記印刷ヘッドは、前記走査の方向に沿って所定のノズルピッチで配置された複数のノズルであって同一色のドットを形成するための前記複数のノズルを有し、
前記設定方法は、
(a)複数のラスタラインが前記走査の方向に前記ノズルピッチより小さいライン間隔で並ぶ解像度での印刷のために、複数のラスタラインを印刷する順序を決定している印刷方式を決定する工程と、
(b)前記印刷方式における送り量を、前記印刷方式の種類に応じて、複数のラスタラインのライン間隔を等しくする等間隔送り量より大きくまたは小さくされた偏送り量に設定する工程と、
を備える設定方法。
【請求項7】
印刷ヘッドを駆動してラスタライン上のドットを形成する単位印刷と、前記ラスタラインと交差する方向に前記印刷ヘッドを印刷媒体に対して相対的に移動させる走査とを繰り返して印刷を行う印刷装置の制御プログラムであって、
前記印刷ヘッドは、前記走査の方向に沿って所定のノズルピッチで配置された複数のノズルであって同一色のドットを形成するための前記複数のノズルを有し、
前記制御プログラムは、
複数のラスタラインが前記走査の方向に前記ノズルピッチより小さいライン間隔で並ぶ解像度での印刷のために、複数のラスタラインを印刷する順序を決定している印刷方式を決定する機能と、
前記印刷方式における送り量を、複数のラスタラインのライン間隔を等しくする等間隔送り量とは異なる偏送り量であって、前記印刷方式の種類に応じて前記等間隔送り量より大きくまたは小さくされた前記偏送り量に設定する機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−10319(P2013−10319A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145622(P2011−145622)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】