説明

印刷装置および印刷方法

【課題】印刷のスループット低下を抑制しつつ、複数種類の通信インタフェイスのいずれかに接続された外部機器から印刷データを受信しながら印刷を実行可能な印刷装置および印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷装置では、複数種類の通信インタフェイスのいずれかを使用して外部機器から受信した印刷データが、順次蓄積して記憶される。記憶された印刷データに基づいて、シートを搬送しながら印刷ライン毎に印刷が実行される。印刷データの受信に使用される通信インタフェイスに基づいて、開始ラインkが特定される(S81〜S91)。シートの搬送および印刷が停止されている場合、受信ライン数sが開始ラインk以上であれば(S93:YES)、シートの搬送および印刷が開始される(S95)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器から受信した印刷データに基づいて印刷を行う印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等の外部機器と接続可能な複数種類の通信インタフェイスを備えて、各通信インタフェイスに接続された外部機器から受信した印刷データに従って逐次印刷を行う印刷装置が知られている(例えば、特許文献1)。逐次印刷とは、外部機器からの印刷データを受信しながら、受信したデータに基づき印刷媒体に順次印刷を行う印刷態様である。
【0003】
特許文献1に記載の印刷装置には、蓄積データ量が必要量未満になると印刷を一旦停止し、その後のデータ受信によって蓄積データ量が必要量以上になると、印刷を再開することが開示されている。また、蓄積データ量が必要量未満になると印刷速度を低速度に変更し、その後のデータ受信によって蓄積データ量が必要量以上になると、印刷速度を標準速度に変更することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−73131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、逐次印刷の実行中に蓄積データ量に応じて印刷を一旦停止する場合、印刷再開時に繋ぎ印刷を行って、印刷停止直前に印刷した部分を印刷しなおす必要がある。繋ぎ印刷では、一度印刷された部分に再度印刷を行うために、印刷媒体を通常の搬送方向とは反対方向に一旦戻し、再度、通常の方向に搬送する。このとき、印刷が重なる部分が僅かにずれて、印刷品質が低下する可能性がある。
【0006】
また、逐次印刷の実行中に蓄積データ量に応じて印刷速度を変更する場合、逐次印刷の制御が複雑となり、印刷装置の処理負担が大きくなる可能性がある。このように、逐次印刷の実行時における印刷の一時停止や処理負担の増加は、印刷のスループットを低下させる原因となりえる。
【0007】
本発明は、印刷のスループット低下を抑制しつつ、複数種類の通信インタフェイスのいずれかに接続された外部機器から印刷データを受信しながら印刷を実行可能な印刷装置および印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係る印刷装置は、外部機器に接続可能であり、接続された前記外部機器に対してデータ送受信を行う、複数種類の通信インタフェイスを備えた印刷装置であって、前記複数種類の通信インタフェイスのいずれかを使用して前記外部機器から受信した印刷データを順次蓄積して記憶するデータ記憶手段と、印刷媒体を搬送する搬送手段と、前記データ記憶手段に記憶された前記印刷データに基づいて、前記搬送手段によって搬送される前記印刷媒体に、前記印刷媒体が搬送される方向に直交する方向に延びる印刷ライン毎に印刷を行う印刷手段と、前記印刷データの受信に使用される前記通信インタフェイスに基づいて、印刷の開始条件を示す前記印刷データのデータ量である必要データ量を特定するデータ量特定手段と、前記搬送手段の搬送および前記印刷手段の印刷が停止されている場合に、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データのデータ量が、前記データ量特定手段によって特定された前記必要データ量以上であるか否かを判定する第一判定手段と、前記第一判定手段によって前記印刷データのデータ量が前記必要データ量以上であると判定された場合、前記搬送手段に前記印刷媒体の搬送を開始させ、且つ、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づく印刷を、前記印刷手段に開始させる印刷開始手段とを備える。
【0009】
本発明の第二態様に係る印刷方法は、外部機器に接続可能であり、接続された前記外部機器に対してデータ送受信を行う複数種類の通信インタフェイスと、前記複数種類の通信インタフェイスのいずれかを使用して前記外部機器から受信した印刷データを順次蓄積して記憶するデータ記憶手段と、印刷媒体を搬送する搬送手段と、前記データ記憶手段に記憶された前記印刷データに基づいて、前記搬送手段によって搬送される前記印刷媒体に、前記印刷媒体が搬送される方向に直交する方向に延びる印刷ライン毎に印刷を行う印刷手段とを備えた印刷装置で実行される印刷方法であって、前記印刷データの受信に使用される前記通信インタフェイスに基づいて、印刷の開始条件を示す前記印刷データのデータ量である必要データ量を特定するデータ量特定ステップと、前記搬送手段の搬送および前記印刷手段の印刷が停止されている場合に、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データのデータ量が、前記データ量特定ステップによって特定された前記必要データ量以上であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップによって前記印刷データのデータ量が前記必要データ量以上であると判定された場合、前記搬送手段に前記印刷媒体の搬送を開始させ、且つ、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づく印刷を、前記印刷手段に開始させる印刷開始ステップとを備える。
【0010】
上記第一、第二態様によれば、複数種類の通信インタフェイスのいずれかを使用して外部機器から受信した印刷データが、順次蓄積して記憶される。記憶された印刷データに基づいて、印刷媒体を搬送しながら印刷ライン毎に印刷が実行される。印刷データの受信に使用される通信インタフェイスに基づいて、必要データ量が特定される。印刷媒体の搬送および印刷が停止されている場合、記憶されている印刷データのデータ量が特定された必要データ量以上であれば、印刷媒体の搬送および印刷が開始される。
【0011】
これにより、印刷データが印刷の開始条件を満たすデータ量以上記憶された場合に、印刷媒体の搬送および印刷が開始される。現在の印刷データに基づく印刷の実行中に、次の印刷データの受信が完了する可能性が高まる。ひいては、次の印刷データに基づく印刷の開始時に、次の印刷データの受信が未完了であることに起因する印刷の一時停止が発生しにくい。したがって、印刷のスループット低下を抑制しつつ、複数の通信インタフェイスのいずれかに接続された外部機器から印刷データを受信しながら印刷を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】カバー5が開位置にある印刷装置1の斜視図である。
【図2】印刷装置1の縦断面図である。
【図3】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】メイン処理のフローチャートである。
【図5】初期化処理のフローチャートである。
【図6】通信処理のフローチャートである。
【図7】コマンド処理のフローチャートである。
【図8】印刷開始判定処理のフローチャートである。
【図9】印刷処理のフローチャートである。
【図10】印刷装置1における印刷態様を説明するための図である。
【図11】印刷条件テーブル220の具体例を示す図である。
【図12】変形例に係る印刷開始判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1および図2を参照して、本実施形態に係る印刷装置1の概略構成について説明する。以下の説明では、図1の右上側、左下側、右下側、左下側、上側、下側を、それぞれ印刷装置1の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。なお、図2は、カバー5が閉じられた状態にある印刷装置1の縦断面図を示している。
【0015】
印刷装置1は、長尺状のロールシート(以下、単にシートという)3に種々のキャラクタ(文字、数字、記号、および図形等)を印刷する装置である。印刷装置1は、カバー5の上面が弧状に丸みをおびた形状を有する。印刷装置1は、印刷装置1の本体をなす筐体2と、筐体2後部に回動可能に軸支され、筐体2の上面の一部を被覆可能なカバー5を備えている。筐体2の前面には、ユーザが印刷後のシート3を切断するためのカットレバー9が設けられている。
【0016】
筐体2の前端部の上面には、電源ボタン等の種々の入力ボタンを含む操作部7が設けられている。操作部7の後側には、板状のトレー6が立設されている。トレー6の後側には、カバー5が閉じられると、カバー5の前端部と筐体2とによって左右方向に長い排出口21(図2参照)が形成される。トレー6は、排出口21から排出される印刷後のシート3を受ける。
【0017】
筐体2の背面部には、電源コード10(図2参照)が接続されるコネクタが備えられている。筐体2の側面部には、無線通信を行うためのアンテナ15が備えられている。図示はしないが、筐体2の背面部には、USB(Universal Serial Bus)ケーブルが接続されるUSBコネクタも設けられている。本実施形態のアンテナ15は、Wi−Fi(登録商標)に準拠した無線LAN通信と、Bluetooth(登録商標)による近距離無線通信とに共用可能である。
【0018】
印刷装置1は、パーソナルコンピュータ(PC)等の外部機器との間で、アンテナ15を介して無線(Wi−Fi(登録商標)またはBluetooth(登録商標))でデータ通信を実行可能である。また、印刷装置1は、外部機器との間で、USBコネクタを介して有線でデータ通信を実行可能である。つまり、本実施形態の印刷装置1は、外部機器に接続するための通信インタフェイスを、複数種類備えている。
【0019】
筐体2内部の後部には、シート収納部4が設けられている。シート収納部4には、シート3が収納される。カバー5が閉じられると、プラテンローラ26と搬送ローラ28とが、シート3をサーマルヘッド31に向けて押圧して、印刷装置1は印刷可能な状態になる。プラテンローラ26および搬送ローラ28は、サーマルヘッド31との間にシート3を挟んで同一の方向に回転することで、シート3をシート収納部4から排出口21に向けて搬送する。
【0020】
このとき、サーマルヘッド31は、シート3の搬送方向に直交する方向に配列された一列の発熱素子に対応する1ライン毎に(つまり、搬送方向と直交する方向に延びる印刷ライン毎に)、搬送されるシート3に印刷を行う。プラテンローラ26と排出口21との間には、固定刃および可動刃を有するカッターユニット8が設けられている。ユーザがカットレバー9を左右方向に移動させると、固定刃と可動刃との間でシート3が挟まれて切断される。
【0021】
図3を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。図3に示すように、印刷装置1は、相互にバスで接続された、CPU201、ROM202、RAM203、およびフラッシュROM204を備えている。CPU201は、印刷装置1全体の制御を司る。ROM202には、後述する印刷処理用のプログラム等、印刷装置1の制御に必要な各種のプログラムと、これらのプログラムに必要な制御データ等が記憶されている。CPU201は、ROM202に記憶されたプログラムに従って、各種の演算、制御処理を行う。さらに、ROM202には、多数のキャラクタフォントが記憶されている。フラッシュROM204は、不揮発性メモリであり、各種の情報が記憶される。
【0022】
RAM203には、CPU201による各種の演算結果等が一時的に記憶される。図示はしないが、RAM203には、通信バッファ、印刷バッファ、印刷設定記憶エリア、ワークエリア等の記憶領域が設けられる。通信バッファは、外部機器から受信したデータが順次蓄積して一時記憶される領域である。印刷バッファは、印刷対象の印刷データに基づく印刷用ドットパターンデータ(以下、単にドットデータという)が記憶される記憶領域である。ドットデータは、外部機器から受信された印刷データとROM202に記憶されたフォントに基づいて、印刷バッファに展開される。印刷設定記憶エリアは、印刷データの印刷サイズや印刷品質などが設定される記憶領域である。さらに、後述の処理中ページp、ページ開始位置q、ページ終了位置r、受信ライン数s、印刷位置i、処理許可フラグ、ジョブ受信完了フラグ、印刷状態フラグ、開始ラインkも、RAM203に記憶されている。
【0023】
CPU201には入出力インタフェイス205が接続されている。入出力インタフェイス205には、操作部7、駆動回路206および207、Wi−Fi(登録商標)インタフェイス(I/F)210、Bluetooth(登録商標)インタフェイス(I/F)211、並びにUSBインタフェイス(I/F)212が接続されている。駆動回路206には、シート3への印刷を行うサーマルヘッド31(より詳細には、発熱素子)が接続されている。駆動回路206は、CPU201からの制御信号に基づき、サーマルヘッド31の各発熱素子の通電の有無を制御することで、サーマルヘッド31全体の発熱態様を制御する。駆動回路207には、シート3を搬送するプラテンローラ26および搬送ローラ28(図2参照)を回転させるための搬送モータ209が接続されている。駆動回路20は、CPU201からの制御信号に基づいて搬送モータ209を駆動制御する。
【0024】
Wi−Fi(登録商標)I/F210およびBluetooth(登録商標)I/F211には、それぞれアンテナ15が各I/Fに対応して接続されている。USBI/F212には、USBコネクタ(図示略)が接続されている。Wi−Fi(登録商標)I/F210およびBluetooth(登録商標)I/F211は、それぞれアンテナ15を介して、無線通信で外部機器とデータ送受信を行う。USBI/F212は、USBコネクタ(図示略)を介して、有線通信で外部機器とデータ送受信を行う。CPU201は、Wi−Fi(登録商標)I/F210、Bluetooth(登録商標)I/F211、USBI/F212のいずれかを介して外部機器から受信した印刷データに従って、印刷を制御する。
【0025】
図4〜図9を参照して、本実施形態の印刷装置1で実行されるメイン処理について説明する。本実施形態のメイン処理では、外部機器から印刷ジョブを受信しながら、受信された印刷ジョブに基づいて、シート3に1ライン毎に順次印刷を行う所謂逐次印刷が行われる。メイン処理は、印刷装置1の電源が投入されると、ROM202に記憶されたプログラムに従って、CPU201によって実行される。
【0026】
印刷ジョブは、印刷対象となる画像の実データである印刷データと、印刷ジョブのデータ構成に関するプロパティ情報と、印刷設定に関する設定情報とを含む。印刷データは、一単位の画像(以下、ページという。)を、一の連続したデータ列で示す。プロパティ情報は、印刷ジョブに含まれる印刷データの数量(ページ数)、各印刷データの終了を示すページ完了指示、印刷ジョブの終了を示すジョブ完了指示などを含む。設定情報は、各印刷データを印刷するのに必要な印刷ラインの数量(ページ長)、印刷データの印刷品質(解像度等)、印刷ラインの単位長さ(つまり、テープ幅)などを示す。印刷装置1は、印刷ジョブに含まれるこれらのデータを、コマンドとして処理する。なお、本実施形態の印刷データは、シート3にページ長「500」で1ページ分の画像を印刷して、1つのラベルを作成するためのデータであるものとする。
【0027】
図4に示すように、印刷装置1のメイン処理では、まず印刷装置1を初期状態に戻す初期化処理が実行される(S1)。次いで、外部機器とデータ通信を行う通信処理(S3)、外部機器から受信したデータを解析するコマンド処理(S5)、シート3に印刷を実行する印刷処理(S7)が実行される。その後、印刷装置1が電源OFFされたか否かが判定される(S9)。電源OFFされなかった場合(S9:NO)、処理はステップS9に戻る。電源OFFされた場合(S9:YES)、メイン処理が終了される。メイン処理が終了すると、ステップS3、S5、S7で開始された各処理も終了する。
【0028】
図5に示すように、初期化処理(S1)では、まず印刷装置1のハードウエア(例えば、サーマルヘッド31、搬送モータ209等の駆動パラメータ)が、従来と同様に初期化される(S21)。次いで、アンテナ15またはUSBコネクタを介して接続された外部機器との間で通信が開始される(S23)。つまり、先述した複数種類のインタフェイス(USB、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標))のいずれかを使用して、外部機器とデータ通信が開始される。
【0029】
さらに、RAM203に記憶されている各種情報が初期化される(S25)。具体的には、RAM203に記憶されている処理中ページp、ページ開始位置q、ページ終了位置r、受信ライン数s、印刷位置i、処理許可フラグ、ジョブ受信完了フラグ、印刷状態フラグ、開始ラインkなどが初期化される。その後、初期化処理(S1)が終了される。
【0030】
処理中ページpは、処理中の印刷データ(つまり、処理中ページ)を昇順(1、2、3・・・)で示す。ページ開始位置qは、処理中ページpの印刷が開始される印刷ラインの位置を、印刷ジョブに基づく印刷開始から起算した印刷ライン数で示す。ページ終了位置rは、処理中ページpの印刷が終了される印刷ラインの位置を、印刷ジョブに基づく印刷開始から起算した印刷ライン数で示す。受信ライン数sは、現在までに受信済みの印刷ラインのデータ量を、そのデータ量を印刷するのに必要な印刷ライン数で示す。印刷位置iは、現在の印刷ラインの位置を、印刷ジョブに基づく印刷開始から起算した印刷ライン数で示す。ステップS25では、受信ライン数sが「0」に設定され、処理中ページp、ページ開始位置q、印刷位置iが「1」に設定され、ページ終了位置rは「未設定」とされる。
【0031】
処理許可フラグは、通信バッファ(図示外)に記憶されているデータ(コマンド)を処理するか否かを示すフラグである。ジョブ受信完了フラグは、印刷ジョブの受信が完了したか否かを示すフラグである。印刷状態フラグは、印刷装置1が印刷を実行中であるか否かを示すフラグである。開始ラインkは、印刷の開始条件となる印刷データのデータ量(必要データ量)を示す値であり、詳細には印刷が開始される受信ライン数(必要ライン数)を示す。ステップS25では、処理許可フラグが「ON」に設定され、ジョブ受信完了フラグが「OFF」に設定され、印刷状態フラグが「OFF」に設定され、開始ラインkが「無制限」に設定される。
【0032】
図6に示すように、通信処理(S3)では、まず外部機器からデータを受信したか否かが判定される(S31)。外部機器からデータを受信した場合(S31:YES)、受信したデータが通信バッファに書き込まれる(S33)。外部機器から受信した印刷ジョブも、ステップS33で通信バッファに書き込まれる。ステップ33の実行後、または外部機器からデータを受信しなった場合(S31:NO)、処理はステップS31に戻る。
【0033】
図7に示すように、コマンド処理(S5)では、まず処理許可フラグが「ON」であるか否かが判定される(S41)。処理許可フラグが「ON」である場合(S41:YES)、通信バッファに記憶されているデータが、コマンドとして読み出される(S43)。
【0034】
ステップS43で読み出されたデータが、印刷ジョブに含まれる印刷データであるか否かが判定される(S45)。印刷データである場合(S45:YES)、そのドットデータが印刷バッファに書き込まれる(S47)。さらに、受信ライン数sが「1」加算される(S49)。
【0035】
印刷データでない場合(S45:NO)、ステップS43で読み出されたデータがページ完了指示であるか否かが判定される(S51)。ページ完了指示である場合(S51:YES)、ページ終了位置rに受信ライン数sが設定される(S53)。さらに、処理中ページpが「1」加算され(S55)、受信ライン数sに「1」加算した値がページ開始位置qに設定される(S57)。
【0036】
ページ完了指示でない場合(S51:NO)、ステップS43で読み出されたデータがジョブ完了指示であるか否かが判定される(S59)。ジョブ完了指示である場合(S59:YES)、ステップS53と同様に、ページ終了位置rに受信ライン数sが設定される(S61)。さらに、ジョブ受信完了フラグが「ON」に設定され(S63)、処理許可フラグが「OFF」に設定される(S65)。
【0037】
ジョブ完了指示でない場合(S59:NO)、ステップS43で読み出されたデータが設定情報であるか否かが判定される(S67)。設定情報である場合(S67:YES)、その設定情報に含まれるページ長、印刷品質、テープ幅などが、印刷設定記憶エリアに書き込まれる(S69)。なお、設定情報でない場合(S67:NO)、ステップS43で読み出されたデータに応じて、その他の処理が実行される(S71)。例えば、初期化コマンドが読み出された場合、先述と同様の初期化処理(図5参照)が実行される。不適正なデータが読み出された場合、読み出されたデータが破棄される。
【0038】
ステップS49、S57、S65のいずれかの実行後、印刷状態フラグが「OFF」であるか否かが判定される(S73)。例えばメイン処理(図4)の実行直後では、搬送モータ209およびサーマルヘッド31の駆動が停止されているため、印刷状態フラグが「OFF」である(S73:YES)。この場合、印刷を開始するか否かを判定する印刷開始判定処理が、後述のように実行される(S75)。ステップS69、S71、S75のいずれかの実行後、処理はステップS41に戻る。また、処理許可フラグが「OFF」である場合や(S41:NO)、印刷状態フラグが「OFF」である場合も(S73:NO)、処理はステップS41に戻る。
【0039】
図8に示すように、印刷開始判定処理(S75)では、まず先述の通信処理(図6)でデータ受信に使用されている通信インタフェイスの種類が特定される(S81)。ステップS81で特定された通信インタフェイスの種類が、USBであるか否かが判定される(S83)。USBI/F212からデータ受信がある場合、通信インタフェイスはUSBであると判定されて(S83:YES)、開始ラインkが「印刷位置i+100」に設定される(S85)。例えばメイン処理(図4)の実行直後では、印刷位置iは「1」であるため、開始ラインkは「101」に設定される。
【0040】
USBでない場合、ステップS81で特定された通信インタフェイスの種類がWi−Fi(登録商標)であるか否かが判定される(S87)。Wi−Fi(登録商標)I/F210からデータ受信がある場合、通信インタフェイスはWi−Fi(登録商標)であると判定されて(S87:YES)、開始ラインkが「印刷位置i+300」に設定される(S89)。一方、Bluetooth(登録商標)I/F211からデータ受信がある場合、通信インタフェイスはBluetooth(登録商標)であると判定されて(S87:NO)、開始ラインkが「無制限」に設定される(S91)。開始ラインkに「無制限」が設定された場合、印刷データの全てを受信完了したことが印刷の開始条件となる。
【0041】
つまり、上記ステップS81〜S91では、データ通信速度が速い通信インタフェイスであるほど、より小さい開始ラインkが設定される。開始ラインkが小さい場合、相対的に少ない受信ライン数分のデータ量を受信すれば、印刷が開始される。言い換えると、開始ラインkが大きくなるほど、より多量の受信ライン数分のデータ量を受信しなければ、印刷が開始されない。
【0042】
ステップS85、S89、S91のいずれかの実行後、受信ライン数sが開始ラインk以上であるか否かが判定される(S93)。受信ライン数sが開始ラインk以上である場合(S93:YES)、印刷の開始条件となる必要データ量以上のデータを受信済みであるから、印刷状態フラグが「ON」に設定される(S95)。なお、開始ラインkが「無制限」である場合は、受信ライン数sは常に開始ラインk未満であると判定される(S93:NO)。
【0043】
受信ライン数sが開始ラインk未満である場合(S93:NO)、ページ受信完了であるか否かが判定される(S97)。具体的には、先述のステップS51でページ完了指示を受信している場合(S51:YES)、ページ受信完了であると判定される(S97:YES)。この場合も、処理中ページの全体を既に受信済みであるから印刷の開始条件を満たし、印刷状態フラグが「ON」に設定される(S95)。一方、ページ受信完了でない場合(S97:NO)、受信済みの印刷データのデータ量が印刷の開始条件となる必要データ量を満たしていないから、印刷開始判定処理(図8)は終了される。ステップS95の実行後も、印刷開始判定処理(図8)は終了される。その後、処理はコマンド処理(図7)に戻る。
【0044】
図9に示すように、印刷処理(S7)では、まず印刷状態フラグが「ON」であるか否かが判定される(S101)。印刷状態フラグが「ON」である場合(S101:YES)、受信ライン数sが印刷位置i以上であるか否かが判定される(S103)。受信ライン数sが印刷位置i以上である場合(S103:YES)、搬送モータ209およびサーマルヘッド31が駆動されて、シート3が搬送されつつ印刷される(S105)。詳細には、印刷バッファ内のドットデータに基づいて、印刷位置iが示す印刷ラインが印刷される。そして、印刷位置iが「1」加算される(S107)。
【0045】
ステップS107の実行後、印刷位置iが、印刷設定記憶エリアに記憶されているページ長と処理中ページpとを乗じた値以上であるか否かが判定される(S109)。印刷位置iがページ長と処理中ページpとを乗じた値以上である場合(S109:YES)、処理中ページpの印刷が完了して、1つのラベルが作成されたことを意味する。この場合、さらに受信ライン数sが、ページ長と処理中ページpに「1」加算した値とを乗じた値以上であるか否かが判定される(S111)。
【0046】
受信ライン数sが、ページ長と処理中ページpに「1」加算した値とを乗じた値未満である場合(S111:NO)、次の印刷対象となる印刷データ(つまり、次ページの印刷データ)の受信が完了していない。この場合、搬送モータ209およびサーマルヘッド31の駆動が中断されて印刷が一時停止し(S113)、印刷状態フラグが「OFF」に設定される(S115)。その後、ジョブ受信完了フラグが「ON」であるか否かが判定される(S117)。ジョブ受信完了フラグが「ON」である場合(S117:YES)、受信が完了した印刷ジョブに基づく全ての印刷が完了しているため、処理許可フラグが「ON」に設定される(S119)。さらに、ステップS25と同様に情報初期化が実行されて(S121)、処理はステップS101に戻る。
【0047】
先述のコマンド処理(図7)では、印刷ジョブの受信が完了すると、処理許可フラグが「OFF」に設定される(S59:YES、S65)。この場合、印刷ジョブに基づく印刷が完了するまで、処理許可フラグが「OFF」であるため(S41:NO)、次回以降のコマンド処理(図7)では、ステップS43以降の処理が実行されず、ひいては次の印刷ジョブに関するコマンド処理が禁止される。一方、印刷処理(図9)では、印刷ジョブに基づく印刷が完了すると、処理許可フラグが「ON」に設定される(S117:YES、S119)。これにより、先述のコマンド処理(図7)では、ステップS43以降の処理が再開されて(S41:YES)、次の印刷ジョブに関するコマンド処理が実行される。
【0048】
一方、印刷位置iがページ長と処理中ページpとを乗じた値未満である場合(S109:NO)、処理中ページpの印刷が完了していないため、搬送モータ209およびサーマルヘッド31の駆動が継続した状態で、処理はステップS101に戻る。これにより、処理中ページpの印刷が完了するまで、ライン単位の印刷が連続して実行される。
【0049】
また、受信ライン数sがページ長と処理中ページpに「1」加算した値を乗じた値以上である場合(S111:YES)、次ページの印刷データの受信が完了しているから、搬送モータ209およびサーマルヘッド31の駆動が継続した状態で、処理はステップS101に戻る。これにより、次ページの印刷データに基づく印刷が開始されて、次ページがライン単位で連続して印刷される。
【0050】
なお、受信ライン数sが印刷位置i未満である場合(S103:NO)、次に印刷すべき印刷ラインのデータが未受信である。よって、ステップS113、115と同様に、印刷が停止されて(S123)、印刷状態フラグが「OFF」に設定される(S125)。ステップS125の実行後、または、ジョブ受信完了フラグが「OFF」である場合(S117:NO)、搬送モータ209およびサーマルヘッド31の駆動が中断した状態で、処理はステップS101に戻る。
【0051】
このように印刷ジョブに基づく印刷が一時停止された場合は、先述のコマンド処理(図7)で印刷状態フラグが「OFF」であると判定されて(S75:YES)、先述の印刷開始判定処理(図8)が実行される。これにより、先述と同様に、ステップS81で特定された通信インタフェイスに基づいて、開始ラインkが設定される(S81〜S91)。受信ライン数sが開始ラインk以上になると、印刷状態フラグの「ON」によって印刷動作が再開される(S93:YES、S95)。
【0052】
図10を参照して、上記のメイン処理(図4)に基づく印刷動作の一例を説明する。以下の説明では、ページ数「2」の印刷ジョブに、2つの印刷データ「ABCDE」、「FGHIJ」が含まれているものとする。印刷装置1では、外部機器からWi−Fi(登録商標)通信で受信した印刷ジョブに基づいて、ページ「ABCDE」、「FGHIJ」がページ長(印刷ライン数)「500」で印刷され、2つの固定長(例えば、10cm)のラベルが連続作成される場合を例示する。
【0053】
印刷装置1では、初期化処理が実行されたのち(S1)、受信した印刷ジョブが通信バッファに順次書き込まれる(S3)。初期状態では処理許可フラグが「ON」であるから(S41:YES)、通信バッファ内のデータが順次読み出され(S43)、コマンドとして処理される。まず印刷ジョブに含まれる設定情報が、印刷設定記憶エリアに書き込まれる(S69)。次いで、印刷ジョブに含まれる1ページ目の印刷データ「ABCDE」が、印刷バッファに順次書き込まれる(S47、S49)。初期状態では印刷状態フラグが「OFF」であるから(S75:YES)、印刷開始判定処理が実行される(S75)。通信インタフェイスは「Wi−Fi(登録商標)」であるから(S87:YES)、開始ラインkは「301」に設定される(S89)。
【0054】
印刷バッファに書き込まれた受信ライン数sが開始ラインk「301」以上になると(S93:YES)、印刷状態フラグが「ON」に設定される(S95)。これにより、1ページ目の印刷データ「ABCDE」の印刷が開始される(S101:YES、S105、S107)。図10(a)に示す例では、受信ライン数sが開始ラインk「301」以上に達した時点で印刷が開始されて、印刷位置i「10」までの印刷が完了している。この印刷に並行して印刷データが受信されているため、受信ライン数sが「320」に増加している。
【0055】
このように1ページ目の印刷データの印刷中も、印刷データの受信および書き込みが継続して受信ライン数sが増加する。1ページ目の印刷データの受信が完了した場合(S51:YES)、1ページ目のページ終了位置rに現在の受信ライン数s「500」が設定され、2ページ目のページ開始位置qに次の印刷ライン「501」が設定される(S53〜S57)。図10(b)に示す例では、1ページ目の印刷データ「ABCDE」が印刷位置i「150」まで印刷が完了している。1ページ目の印刷データの受信完了後に、2ページ目の印刷データ「FGHIJ」の受信が開始された結果、現在の受信ライン数sは「530」である。
【0056】
印刷位置iが「500」以上である場合(S109:YES)、1ページ目の印刷データ「ABCDE」が完了して、1ページ目のラベルが作成されたことを意味する。このとき、受信ライン数sが「1000」以上であれば(S111:YES)、2ページ目の印刷データ「FGHIJ」の受信が完了しているから、印刷動作が継続される。図10(c)に示す例では、印刷位置i「500」まで印刷されているため、1ページ目の印刷データ「ABCDE」の印刷が完了している。このとき、既に2ページ目の印刷データの受信が完了しているため、現在の受信ライン数sは「1000」である。よって、1ページ目の印刷データ「ABCDE」の印刷完了後、2ページ目の印刷データ「FGHIJ」が継続して印刷される。
【0057】
一方、受信ライン数sが「1000」未満である場合(S111:NO)2ページ目の印刷データの受信が未完了であるから、印刷動作が停止される(S113)。図10(d)に示す例では、1ページ目の印刷データ「ABCDE」の印刷は完了しているが、現在の受信ライン数sは「750」であるため、2ページ目の印刷データの受信が完了していない。この場合、印刷状態フラグが「OFF」に設定されるため(S115)、印刷開始判定処理(S75)によって開始ラインkが再設定される。具体的には、現在の印刷位置i「501」に、通信インタフェイス「Wi−Fi(登録商標)」に対応する「300」を加算した値「801」が、開始ラインkに設定される(S89)。
【0058】
その後、受信ライン数sが開始ラインk「801」以上になると(S93:YES)、印刷状態フラグが「ON」に設定されて(S95)、2ページ目の印刷データ「FGHIJ」の印刷が開始される(S101:YES、S105、S107)。さらに、印刷ジョブに含まれる全ての印刷データの受信が完了すると(S59:YES)、次の印刷ジョブに基づくコマンド処理が一時的に禁止される(S63、S65)。
【0059】
一方、印刷位置iが「1000」に達すると(S109:YES)、2ページ目の印刷データ「FGHIJ」が完了して、2ページ目のラベルが作成されたことを意味する。このとき、次ページの印刷データの受信はないから(S111:NO)、印刷が停止される(S113、S115)。さらに、印刷ジョブに含まれる全ての印刷データを受信完了しているから(S117:YES)、次の印刷ジョブに基づくコマンド処理が許可される(S119)。これにより、以降の処理では、次の印刷ジョブに基づいて、上記と同様に印刷動作が実行される。
【0060】
なお、例えば通信環境の悪化等の原因によって、外部機器とのデータ通信速度が印刷装置1の印刷速度よりも遅くなり、印刷位置iが受信ライン数sに追い付いてしまう場合がある。この場合、受信ライン数sは印刷位置i未満であるため(S103:NO)、印刷が一時停止される(S123)。この場合も、印刷状態フラグが「OFF」に設定されるため(S125)、印刷開始判定処理(S75)によって開始ラインkが再設定される。
【0061】
例えば1ページ目の印刷データに基づく印刷中に、印刷位置i「101」で印刷が一時停止したとする。この場合、現在の印刷位置i「101」に、通信インタフェイス「Wi−Fi(登録商標)」に対応する「300」を加算した値「401」が、開始ラインkに設定される(S89)。その後、受信ライン数sが開始ラインk「401」以上になると(S93:YES)、印刷状態フラグが「ON」に設定されて(S95)、1ページ目の印刷データの印刷が再開される(S101:YES、S105、S107)。
【0062】
以上に説明したように、本実施形態の印刷装置1では、複数種類の通信インタフェイス(USB、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標))のいずれかを使用して外部機器から受信した印刷データが、順次蓄積して記憶される。記憶された印刷データに基づいて、印刷媒体(シート3)を搬送しながら印刷ライン毎に印刷が実行される。印刷データの受信に使用される通信インタフェイスに基づいて、必要データ量(開始ラインk)が特定される。シート3の搬送および印刷が停止されている場合、記憶されている印刷データのデータ量(受信ライン数s)が特定された開始ラインk以上であれば、シート3の搬送および印刷が開始される。
【0063】
これにより、印刷データが印刷の開始条件を満たすデータ量(開始ラインk)以上記憶された場合に、シート3の搬送および印刷が開始される。現在の印刷データに基づく印刷の実行中に、次の印刷データの受信が完了する可能性が高まる。ひいては、次の印刷データに基づく印刷の開始時に、次の印刷データの受信が未完了であることに起因する印刷の一時停止が発生しにくい。したがって、印刷のスループット低下を抑制しつつ、複数の通信インタフェイスのいずれかに接続された外部機器から印刷データを受信しながら印刷を実行することができる。
【0064】
また、必要データ量(開始ラインk)は、ステップS81で特定された通信インタフェイスの種類に基づいて特定される(S83〜S91)。これにより、印刷データの受信に使用される通信インタフェイスの種類に応じて、最適な開始ラインkを特定できる。
【0065】
また、印刷データが印刷の開始条件を満たす印刷ラインの数量(開始ラインk)以上記憶された場合に、シート3の搬送および印刷が開始される。したがって、記憶されている印刷データに基づく印刷ラインの数量(受信ライン数s)に基づいて、印刷の開始タイミングを正確に最適化することができる。
【0066】
また、ステップS105で印刷中データ(処理中ページ)に基づく印刷が開始されたのち、次の印刷データ(次ページ)を構成する全データが記憶されているか否かが判定される(S111)。全データが記憶されている場合(S111:YES)、印刷完了後に継続して次ページが印刷される。これにより、処理中ページに基づく印刷完了時に次ページの全データが受信完了していれば、一時停止することなく次ページに基づく印刷が実行されるため、印刷のスループットを向上できる。さらに、少なくとも一単位のページの印刷中には、印刷の一旦停止は実行されないため、印刷品質を向上できる。
【0067】
また、印刷中データ(処理中ページ)の印刷完了時に次印刷データ(次ページ)を構成する全データの受信が未完了であれば、印刷が一旦停止される(S111:NO、S113)。その後、次ページが印刷の開始条件を満たすデータ量(開始ラインk)以上記憶されると、印刷が再開される。したがって、印刷が一旦停止した後であっても、上記と同様にして、印刷のスループット低下を抑制しつつ、複数の通信インタフェイスのいずれかに接続された外部機器から印刷データを受信しながら印刷を実行することができる。
【0068】
本実施形態では、RAM203が、本発明の「データ記憶手段」に相当する。搬送モータ209が、本発明の「搬送手段」に相当する。サーマルヘッド31が、本発明の「印刷手段」に相当する。ステップS83〜S91を実行するCPU201が、本発明の「データ量特定手段」に相当する。ステップS93を実行するCPU201が、本発明の「第一判定手段」に相当する。ステップS95を実行するCPU201が、本発明の「印刷開始手段」に相当する。ステップS81を実行するCPU201が、本発明の「種類特定手段」に相当する。ステップS111を実行するCPU201が、本発明の「第二判定手段」に相当する。ステップS113を実行するCPU201が、本発明の「印刷停止手段」に相当する。
【0069】
ステップS83〜S91が、本発明の「データ量特定ステップ」に相当する。ステップS93が、本発明の「判定ステップ」に相当する。ステップS95が、本発明の「印刷開始ステップ」に相当する。なお、後述の変形例において、フラッシュROM204が、本発明の「テーブル記憶手段」に相当する。ステップS201が、本発明の「速度特定手段」に相当する。ステップS203〜S211が、本発明の「データ量特定手段」に相当する。
【0070】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、通信インタフェイスに基づいて特定される必要データ量は、設定情報(テープ長、テープ幅、印刷品質等)や通信環境等に応じて自由に設定することができる。一例として、必要データ量は、印刷開始条件となる受信済みの印刷ライン数(開始ラインk)に代えて、印刷開始条件となる受信済みのデータ量であってもよい。この場合、印刷装置1が必要データ量の印刷データを受信すると、その印刷データに基づく印刷が開始される。
【0071】
また、複数種類の通信インタフェイスごとに必要データ量を定義した印刷条件テーブル220(図11参照)を用いて、通信インタフェイスに応じた必要データ量を特定してもよい。図11に例示する印刷条件テーブル220は、通信インタフェイスの種類、テープ幅、印字品質の組合せにそれぞれ対応して開始ラインkが定義されており、フラッシュROM204に記憶されている。一般に、同一画像の印刷データであっても、印刷媒体のテープ幅が広いほどデータ量が大きくなり、印字品質が高いほどデータ量が大きくなる。よって、印刷条件テーブル220では、同種の通信インタフェイスであっても、テープ幅が広いほど開始ラインkが大きく、且つ、印字品質が高いほど開始ラインkが大きい。
【0072】
印刷条件テーブル220を用いる場合は、印刷開始判定処理(図8)の処理内容を次のように変更すればよい。すなわち、ステップS81では、通信インタフェイスの種類に加えて、印刷ジョブに含まれる設定情報に基づいて、テープ幅および印字品質が特定される。ステップS83〜S91では、ステップS81で特定された通信インタフェイス、テープ幅および印字品質の組合せに対応する開始ラインkが、印刷条件テーブル220を参照して特定されればよい。これにより、印刷条件テーブル220の定義内容を変更するだけで、印刷装置1の使用環境や通信インタフェイスの通信状況等に応じて、特定される必要データ量を最適化できる。
【0073】
また、図12に例示する印刷開始判定処理によって、印刷データの受信に使用される通信インタフェイスのデータ通信速度に基づいて、必要データ量を特定してもよい。図12に示す印刷開始判定処理では、まず公知の手法によって、印刷データの受信に使用される通信インタフェイスのデータ通信速度が測定される(S201)。
【0074】
ステップS201で測定されたデータ通信速度が「10Mbps」以上である場合(S203:YES)、ステップS85と同様に、印刷位置iに「100」を加算した値が開始ラインkに決定される(S205)。ステップS201で測定されたデータ通信速度が「10Mbps」未満、「1Mbps」以上である場合(S203:NO、S207:YES)、ステップS89と同様に、印刷位置iに「300」を加算した値が開始ラインkに決定される(S209)。ステップS201で測定されたデータ通信速度が「1Mbps」未満である場合(S207:NO)、ステップS91と同様に、「無制限」が開始ラインkに決定される(S211)。その後の処理(S213〜S217)は、先述のステップS93〜S97と同様である。これにより、印刷データの受信に使用される通信インタフェイスのデータ通信速度に応じて、最適な必要データ量を特定できる。
【0075】
上記実施形態では、外部機器から送信された印刷データが印刷装置1でドットデータに変換されているが、最初から外部機器から1ライン毎のドットデータが送信されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 印刷装置
31 サーマルヘッド
201 CPU
203 RAM
204 フラッシュROM
210 Wi−Fi(登録商標)インタフェイス
211 Bluetooth(登録商標)インタフェイス
212 USBインタフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に接続可能であり、接続された前記外部機器に対してデータ送受信を行う、複数種類の通信インタフェイスを備えた印刷装置であって、
前記複数種類の通信インタフェイスのいずれかを使用して前記外部機器から受信した印刷データを順次蓄積して記憶するデータ記憶手段と、
印刷媒体を搬送する搬送手段と、
前記データ記憶手段に記憶された前記印刷データに基づいて、前記搬送手段によって搬送される前記印刷媒体に、前記印刷媒体が搬送される方向に直交する方向に延びる印刷ライン毎に印刷を行う印刷手段と、
前記印刷データの受信に使用される前記通信インタフェイスに基づいて、印刷の開始条件を示す前記印刷データのデータ量である必要データ量を特定するデータ量特定手段と、
前記搬送手段の搬送および前記印刷手段の印刷が停止されている場合に、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データのデータ量が、前記データ量特定手段によって特定された前記必要データ量以上であるか否かを判定する第一判定手段と、
前記第一判定手段によって前記印刷データのデータ量が前記必要データ量以上であると判定された場合、前記搬送手段に前記印刷媒体の搬送を開始させ、且つ、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づく印刷を、前記印刷手段に開始させる印刷開始手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷データの受信に使用される前記通信インタフェイスの種類を特定する種類特定手段を備え、
前記データ量特定手段は、前記種類特定手段によって特定された前記通信インタフェイスの種類に基づいて、前記必要データ量を特定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷データの受信に使用される前記通信インタフェイスのデータ通信速度を特定する速度特定手段を備え、
前記データ量特定手段は、前記速度特定手段によって特定された前記通信インタフェイスのデータ通信速度に基づいて、前記必要データ量を特定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記データ量特定手段は、印刷の開始条件となる前記印刷ラインの数量である必要ライン数を、前記必要データ量として特定し、
前記第一判定手段は、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づく前記印刷ラインの数量が、前記データ量特定手段によって特定された前記必要ライン数以上である場合、前記印刷データのデータ量が前記必要データ量以上であると判定することを請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷データは、一の連続したデータ列で構成され、前記印刷装置に一単位のページを印刷させるデータであり、
前記印刷開始手段によって前記印刷手段の印刷が開始されたのち、印刷中の前記印刷データである印刷中データに連続して印刷すべき他の前記印刷データである次印刷データを構成する全データが、前記データ記憶手段に記憶されているか否かを判定する第二判定手段と、
前記第二判定手段によって前記全データが記憶されていると判定された場合、前記印刷中データの印刷完了後に、前記搬送手段の搬送が継続されて、前記印刷手段により前記次印刷データが印刷されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第二判定手段によって前記全データの少なくとも一部が記憶されていないと判定された場合、前記印刷中データの印刷完了後に、前記搬送手段の搬送および前記印刷手段の印刷を停止する印刷停止手段を備え、
前記第一判定手段は、前記印刷停止手段によって前記搬送手段の搬送および前記印刷手段の印刷が停止された場合、前記データ記憶手段に記憶されている前記次印刷データのデータ量が、前記必要データ量以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記複数種類の通信インタフェイスごとに前記必要データ量を定義した印刷条件テーブルを記憶するテーブル記憶手段を備え、
前記データ量特定手段は、前記印刷データの受信に使用される前記通信インタフェイスに対応する前記必要データ量を、前記印刷条件テーブルに基づいて特定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項8】
外部機器に接続可能であり、接続された前記外部機器に対してデータ送受信を行う複数種類の通信インタフェイスと、前記複数種類の通信インタフェイスのいずれかを使用して前記外部機器から受信した印刷データを順次蓄積して記憶するデータ記憶手段と、印刷媒体を搬送する搬送手段と、前記データ記憶手段に記憶された前記印刷データに基づいて、前記搬送手段によって搬送される前記印刷媒体に、前記印刷媒体が搬送される方向に直交する方向に延びる印刷ライン毎に印刷を行う印刷手段とを備えた印刷装置で実行される印刷方法であって、
前記印刷データの受信に使用される前記通信インタフェイスに基づいて、印刷の開始条件を示す前記印刷データのデータ量である必要データ量を特定するデータ量特定ステップと、
前記搬送手段の搬送および前記印刷手段の印刷が停止されている場合に、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データのデータ量が、前記データ量特定ステップによって特定された前記必要データ量以上であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって前記印刷データのデータ量が前記必要データ量以上であると判定された場合、前記搬送手段に前記印刷媒体の搬送を開始させ、且つ、前記データ記憶手段に記憶されている前記印刷データに基づく印刷を、前記印刷手段に開始させる印刷開始ステップと
を備えたことを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−91214(P2013−91214A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234052(P2011−234052)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】