説明

印刷装置用ラック及び印刷システム

【課題】用紙の排出口の高さを,ユーザに適した高さに簡単に変更できる印刷装置用ラックを提供する。
【解決手段】印刷装置用ラック30を、印刷装置20(プリンタや、スキャナユニットとプリンタユニットとが一体化されている複合機等)を載置するための調整台32と、印刷データ中の情報として,ユーザから印刷装置20へ通知された調整台32の高さを示す高さ指定情報が印刷装置20から送信されてきたときに、その高さ指定情報に応じた高さとなるように、調整台の高さを制御する調整台高さ制御機構(制御ユニット31等)を備えたラックとしておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置を載置するための印刷装置用ラックと、印刷装置及び印刷装置用ラックを含む印刷システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、一般的な複合機は、原稿台の高さや用紙の排出口の高さを変更できないものとなっており、プリンタは、それを載置しているテーブル等の高さを変えない限り、用紙の排出口の高さを変更できないものとなっている。しかしながら、車椅子使用者や体に障害があるユーザは、原稿台の高さや用紙の排出口の高さが低い方が良いといったように、ユーザによって作業がしやすい原稿台の高さや用紙の排出口の高さがある以上、原稿台の高さや用紙の排出口の高さを簡単に変更できないということは望ましくないことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の課題は、原稿台の高さや用紙の排出口の高さをユーザに適した高さに簡単に変更できる印刷装置用ラック,印刷システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の印刷装置用ラックは、印刷装置(プリンタや、スキャナユニットとプリンタユニットとが一体化されている複合機等)を載置するための調整台と、印刷装置から、ユーザが指定した調整台の高さを示す高さ指定情報が送信されてきたときに、その高さ指定情報に応じた高さとなるように調整台の高さを制御する調整台高さ制御機構とを備える。
【0005】
すなわち、この印刷装置用ラックは、ユーザが,調整台の高さを指定すれば、指定した高さに調整台の高さが制御されるラックとなっている。従って、この印刷装置用ラックを用いておけば、原稿台の高さや用紙の排出口の高さをユーザに適した高さに簡単に変更できる作業環境を実現できることになる。
【0006】
また、本発明の第2の態様の印刷装置用ラックは、印刷装置の構成要素であるスキャナユニットを載置するための第1の調整台と、印刷装置の構成要素であるプリンタユニットを載置するための第2の調整台と、印刷装置(スキャナユニット或いはプリンタユニット)から、ユーザが指定した第1の調整台の高さと第2の調整台の高さとを指定する高さ指定情報が送信されてきたときに、その高さ指定情報に応じた高さとなるように第1の調整台及び第2の調整台の高さを制御する調整台高さ制御機構とを備える。
【0007】
すなわち、本発明の第2の態様の印刷装置用ラックは、ユーザが,2つの調整台の高さを指定すれば、指定した高さに,各調整台の高さが制御されるラックとなっている。従って、この印刷装置用ラックを用いておけば、原稿台の高さや用紙の排出口の高さをユーザに適した高さに簡単に変更できる作業環境を実現できることになる。
【0008】
なお、本発明の各態様の印刷装置用ラックに搭載する印刷装置を、その操作パネルを操作することによりユーザが調整台の高さを指定できる装置としておいても良いが、受信した印刷データに、調整台の高さを指定する高さ調整指示情報が含まれていた際に、当該高さ調整指示情報が指定する高さと同じ高さを指定する高さ指定情報を印刷装置用ラックに送信する装置としておくことが望ましい。
【0009】
また、印刷装置用ラックの調整台高さ制御機構として、調整台の高さ制御完了時に、所定の制御完了通知を印刷装置へ送信する機構を採用しておけば、調整台の高さ調整が終了した後に、印刷装置が印刷データの印刷を開始するシステム(請求項6記載の印刷システム)を実現できることになる。
【0010】
また、調整台高さ制御機構を、調整台の高さの制御を開始する前に、調整台の高さが変わることをユーザに通知するための警告音を出力する機構や、調整台の高さ制御完了時に、調整台の高さ制御が完了したことをユーザに通知するための警告音を出力する機構としておくことも出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
《第1実施形態》
図1に示したように、本発明の第1実施形態に係る印刷システム10は、印刷装置20と印刷装置用ラック30とを組み合わせたシステムである。また、印刷システム10は、印刷装置20が,プリンタドライバ40をインストールした何台かのホストPCとネットワーク接続された状態で使用されるシステムとなっている。
【0013】
まず、この図1と図2とを用いて、印刷装置用ラック30の構成及び動作を、説明する。
【0014】
印刷装置用ラック30(図1)は、印刷装置20を載置するための調整台32,調整台32の高さ(上下方向の位置)を変更するための調整台移動機構(モータ等からなる,図示していない機構),調整台移動機構を制御するための制御ユニット31等から構成されたラックである。なお、本印刷装置用ラック30は、請求項1記載の印刷装置用ラックに相当するもの(調整台移動機構と制御ユニット31とからなる部分が、調整台高さ制御機構に相当するもの)となっている。
【0015】
この印刷装置用ラック30内の制御ユニット31は、CPU,印刷装置20(印刷制御部22)と通信を行うためのインタフェース回路(本実施形態では、USBインタフェース回路),ブザー,EEPROM等から構成されたユニットである。
【0016】
この制御ユニット31は、電源が投入されると、図2に示した手順の処理を開始するユニットとなっている。
【0017】
すなわち、制御ユニット31は、電源が投入されると、移動指示コマンドの受信を待機している状態(ステップS101)となる。ここで、移動指示コマンドとは、印刷装置20が送信する所定形式の情報のことである。詳細(移動指示コマンドの送信タイミング等)は後述するが、この移動指示コマンドは、移動後の調整台32の高さを、調整台32の基準高さからのずれ量で指定する調整台高さ指定値(=移動後の調整台32の高さ−調整台32の基準高さ)を含む情報となっている。
【0018】
制御ユニット31は、移動指示コマンドを受信した場合(ステップS101;YES)には、その移動指示コマンド中の調整台高さ指定値と、現調整台高さとから、調整台32を移動させる必要があるか否かを判断する(ステップS102)。なお、現調整台高さとは、現在の調整台32の高さを、調整台32の基準高さからのずれ量で表した情報(工場出荷時の値は,“0”)のことである。この現調整台高さは、制御ユニット31内のEEPROM上に記憶されている情報であると共に、後述する移動機構制御処理時に,その値が変更される情報となっている。
【0019】
調整台32を移動させる必要がないと判断した場合(ステップS102;NO)、制御ユニット31は、所定内容の移動終了メッセージを,移動指示コマンドの送信元(つまり、印刷装置20)へ送信(ステップS104)してから、移動指示コマンドの受信を待機している状態(ステップS101)に戻る。
【0020】
一方、調整台32を移動させる必要があると判断した場合(ステップS102;YES)、制御ユニット31は、調整台32の高さが,調整台高さ指定値が示している高さとなるように、調整台移動機構を制御する移動機構制御処理(ステップS103)を行う。なお、この移動機構制御処理は、調整台32の移動を開始することをユーザに通知するための警告音を出力した後(警告音をブザーに出力させてから)、調整台移動機構を制御する(調整台32の移動を開始させる)処理であると共に、調整台32の移動完了時に、EEPROM上の現調整台高さの値を調整台高さ指定値と同じ値に変更し、調整台32の移動が完了したことをユーザに通知するための警告音を出力してから、終了する処理となっている。
【0021】
そして、移動機構制御処理を終えた制御ユニット31は、移動指示コマンドの受信を待機している状態(ステップS101)に戻る。
【0022】
次に、プリンタドライバ40,印刷装置20の構成及び動作を、説明する。
【0023】
印刷システム10(印刷装置20)と接続される各ホストPC(図1参照)にインストールされているプリンタドライバ40は、図3に示した構成の印刷設定ダイアログボックスを表示するプログラムである。なお、この印刷設定ダイアログボックス上の,高さ調整チェックボックス41,調整台高さ設定用アイテム42を除いたアイテムは、既存のプリンタドライバが表示する印刷設定ダイアログボックス上にも設けられているものである。
【0024】
そして、プリンタドライバ40は、この印刷設定ダイアログボックス上の高さ調整チェックボックス41がチェックされている場合には、調整台高さ設定用アイテム42に設定されている数値を含む高さ調整コマンド(一種のジョブ制御コマンド)を,その先頭部分に含めた印刷データを生成して印刷装置20へ送信し、高さ調整チェックボックス41がチェックされていない場合には、通常の印刷データ(高さ調整コマンドを含まない印刷データ)を生成して印刷装置20へ送信するプログラムとなっている。
【0025】
印刷装置20(図1参照)は、操作パネル21,印刷制御部22,印刷機構部23を備えた装置である。
【0026】
この印刷装置20が備える印刷機構部23は、印刷エンジン(カラー印刷が可能なもの),給紙装置等からなるユニットである。操作パネル21は、ユーザとの間のインタフェース手段として、印刷装置20の筐体上に設けられているユニット(小サイズのLCD,押しボタンスイッチ等で構成されたユニット)である。
【0027】
印刷制御部22は、印刷装置20をプリンタ(ネットワークプリンタ)として機能させるための、CPU,ROM,RAM,ネットワークインタフェース回路,USBインタフェース回路,ASIC等からなるユニットである。
【0028】
この印刷制御部22は、ホストPC(プリンタドライバ40)が送信した印刷データを受信した場合、図4に示した手順の処理を実行するユニットとなっている。
【0029】
すなわち、ホストPC(プリンタドライバ40)が送信した印刷データを受信した場合、印刷制御部22は、まず、受信した印刷データが,高さ調整コマンドを含む印刷データ(図では、高さ調整コマンド含有印刷データ)であるか否かを判断する(ステップS201)。
【0030】
そして、印刷制御部22は、受信した印刷データが,高さ調整コマンドを含まない印刷データであった場合(ステップS201;NO)には、その印刷データに応じた内容の印刷を印刷機構部23に行わせるための印刷制御処理(ステップS204)を行ってから、この図4の処理(受信した印刷データに対する処理)を終了する。
【0031】
一方、受信した印刷データが,高さ調整コマンドを含む印刷データであった場合(ステップS201;YES)、印刷制御部22は、高さ調整コマンド中の数値(調整台高さ設定用アイテム42にユーザが設定した数値)を,調整台高さ指定値として含めた移動指示コマンドを印刷装置用ラック30(制御ユニット31)へ送信する(ステップS202)。その後、印刷制御部22は、印刷装置用ラック30から移動終了メッセージが送信されてくるのを監視する状態(ステップS203)となり、印刷装置用ラック30から移動終了メッセージを送信されたきた際(ステップS203;YES)に、受信した印刷データに対する印刷制御処理(ステップS204)を開始する。そして、印刷制御処理が完了したときに、印刷制御部22は、この図の処理を終了する。
【0032】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る印刷システム10は、各ユーザが調整台の高さを指定しておけば、各ユーザが印刷を行った際(プリンタドライバ40に印刷データを送信させた際)に、調整台32の高さが指定した高さに制御されてから、印刷が行われることになるシステムとなっている。従って、この印刷システムをオフィス等に設置しておけば、各ユーザが、自身に適した高さの排出口から印刷結果を取り出せる作業環境を実現できることになる。
【0033】
《第2実施形態》
図5に示したように、本発明の第2実施形態に係る印刷システム50は、印刷装置60〔スキャナユニット60aとプリンタユニット60bとをケーブルで接続した構成を有する複合機〕と、印刷装置用ラック70とを、組み合わせたシステムである。また、印刷システム50は、印刷装置60(プリンタユニット60b)が,上記したプリンタドライバ40と同機能のプリンタドライバ80(高さ調整コマンドを含む印刷データを送信可能なドライバ)をインストールした何台かのホストPCとネットワーク接続された状態で使用されるシステムとなっている。
【0034】
この印刷システム50に用いられている印刷装置用ラック70は、スキャナユニット60aを載置するための調整台73,プリンタユニット60bを載置するための調整台72,各調整台72,73の高さ(上下方向の位置)を変更するための調整台移動機構(図示せず),制御ユニット71等からなるラックである。
【0035】
印刷装置用ラック70内の制御ユニット71は、制御ユニット31とほぼ同内容の処理(図2参照)を行うユニットである。
【0036】
ただし、制御ユニット71が受信する移動指示コマンド(プリンタユニット60bが送信する移動指示コマンド)は、調整台72に関する高さ指定値(以下、スキャナ台高さ指定値と表記する)と,調整台73に関する高さ指定値(以下、プリンタ台高さ指定値と表記する)とを含むものとなっている。そして、制御ユニット71は、移動機構制御処理(図2のステップS103参照)として、調整台72の高さが,スキャナ台高さ指定値が示している高さとなり、調整台73の高さが,プリンタ台高さ指定値が示している高さとなるように、調整台移動機構を制御する処理を行うユニットとなっている。
【0037】
印刷装置60(図5参照)の構成要素であるスキャナユニット60aは、図6に示したように、通常のスキャナに、操作パネルを付加した装置に相当するユニットである。このスキャナユニット60aの操作パネル(以下、メイン操作パネルと表記する)は、図7に示したように、LCD65や、コピーボタン66,スキャンボタン67,上下左右ボタン,2つのスタートボタン(モノクロスタートボタン及びカラースタートボタン)等を備えたものとなっている。
【0038】
プリンタユニット60b(図5参照)は、操作パネル61,印刷制御部62,印刷機構部63を備えた装置である。
【0039】
このプリンタユニット60bが備える印刷機構部63は、印刷エンジン(カラー印刷が可能なもの),給紙装置等からなるユニットである。操作パネル61は、ユーザとの間のインタフェース手段として、プリンタユニット60bの筐体上に設けられているユニット(小サイズのLCD,押しボタンスイッチ等で構成されたユニット)である。
【0040】
印刷制御部62は、印刷装置50をコピー機として機能させる動作モード(以下、コピーモードと表記する)と、印刷装置50をスキャン処理装置(セットされている原稿の画像データファイルを生成して指定された装置内に保存する装置)として機能させる動作モード(以下、スキャンモードと表記する)と、印刷装置50をネットワークプリンタとしてとして機能させる動作モード(以下、プリンタモードと表記する)とを有するユニットである。
【0041】
この印刷制御部62は、コピーボタン66,スキャンボタン67が押下された際に、それぞれ、コピーモード,スキャンモードでの動作を開始するユニットであると共に、メイン操作パネルが操作されない状態が所定時間以上継続した場合に、プリンタモードでの動作を開始するユニットとなっている。また、印刷制御部62は、コピーモード,スキャンモードでの動作中も、印刷データを受信できるユニットともなっている。
【0042】
さらに、印刷制御部62は、以下のような機能を有するユニットとなっている。
【0043】
印刷制御部62は、動作モードがコピーモードである場合には、LCD65上に図8に示したような構成のメニュー画面、すなわち、コピー処理条件と調整台72の高さ(“スキャナ台高さ”)と調整台73の高さ(“プリンタ台高さ”)とをユーザが指定できるメニュー画面を表示する。また、印刷制御部62は、このメニュー画面をLCD65上に表示している状態で、メイン操作パネルに対して所定の操作(本実施形態では、2つのスタートボタンの同時押下)がなされた場合には、指定されている調整台72の高さ,調整台73の高さを、それぞれ、スキャナ台高さ指定値,プリンタ台高さ指定値として含めた移動指示コマンドを印刷装置用ラック70へ送信する。そして、印刷制御部62は、各種操作を受け付けない状態となり、移動終了メッセージが返送されてきたときに、通常の状態(各種の操作を受け付ける状態)に戻る。
【0044】
また、印刷制御部62は、動作モードがスキャンモードである場合には、LCD65上に図9に示したような構成のメニュー画面、すなわち、スキャン処理条件と調整台72の高さ(“スキャナ台高さ”)とをユーザが指定できるメニュー画面を、表示する。
【0045】
そして、印刷制御部62は、このメニュー画面をLCD65上に表示している状態で、上記した所定の操作がなされた場合には、指定されている調整台72の高さ,“0”を,それぞれ,スキャナ台高さ指定値,プリンタ台高さ指定値として含めた移動指示コマンドを印刷装置用ラック70へ送信する。その後、印刷制御部62は、操作を受け付けない状態となり、移動終了メッセージが返送されてきたときに、通常の状態に戻る。
【0046】
また、印刷制御部62は、ホストPC(プリンタドライバ80)が送信した印刷データを受信した場合には、図10に示した手順の処理を実行するユニットとなっている。
【0047】
すなわち、印刷データを受信した場合、印刷制御部62は、まず,受信した印刷データが,高さ調整コマンドを含む印刷データ(図では、高さ調整コマンド含有印刷データ)であるか否かを判断する(ステップS301)。
【0048】
受信した印刷データが,高さ調整コマンドを含まない印刷データであった場合(ステップS301;NO)、印刷制御部62は、自ユニットの動作モードが、コピーモードであるか否かを判断(ステップS307)し、動作モードが、コピーモードでなかった場合(ステップS307;NO)には、受信した印刷データに応じた内容の印刷を印刷機構部63に行わせるための印刷制御処理(ステップS306)を行ってから、この図の処理を終了する。また、印刷制御部62は、動作モードがコピーモードであった場合(ステップS307;YES)には、コピー作業が完了する(プリンタモードへの移行条件が満たされる)のを待機する処理(ステップS308)を行ってから、受信した印刷データに対する印刷制御処理(ステップS304)を開始する。
【0049】
一方、受信した印刷データが,高さ調整コマンドを含む印刷データであった場合(ステップS301;YES)、印刷制御部62は、自ユニットの動作モードが、プリンタモードであるか否かを判断する(ステップS302)。そして、印刷制御部62は、動作モードが、プリンタモードであった場合(ステップS302;YES)には、高さ調整コマンド中の数値を、スキャナ台高さ指定値及びプリンタ台高さ指定値として含めた移動指示コマンドを印刷装置用ラック70へ送信する(ステップS304)。そして、印刷制御部62は、移動終了メッセージが返送されてくるのを待機(ステップS305)し、移動終了メッセージが返送されてきたとき(ステップS305;YES)に、受信した印刷データに対する印刷制御処理(ステップS304)を開始する。
【0050】
また、印刷制御部62は、自ユニットの動作モードが、プリンタモードでなかった場合(ステップS302)には、コピー作業或いはスキャン作業が終了する(プリンタモードへの移行条件が満たされる)のを待機する処理(ステップS303)を行ってから、受信した印刷データに対する印刷制御処理(ステップS304)を開始する。
【0051】
以上、説明したように、本実施形態に係る印刷システム50は、メイン操作パネルを操作することにより、調整台72,73の高さ(或いは、調整台73の高さのみ)を指定すれば、指定した高さ(或るいは、基準高さ)に,調整台72、73の高さが制御されるシステムとなっている。従って、この印刷システムをオフィス等に設置しておけば、各ユーザが、自身に適した高さの排出口からコピー結果を取り出せると共に、自身に適した高さの原稿台上に原稿をセットできる作業環境を実現できることになる。
【0052】
また、印刷システム50は、高さ調整コマンドを含む印刷データの受信時に、調整台72の高さをユーザによって指定された高さに制御する際には、スキャナユニット60aとプリンタユニット60bとの間の間隔が標準的な間隔となるように、調整台73の高さを制御するシステム(高さ調整コマンドを含む印刷データが送信されてきた場合、スキャナ台高さ指定値,プリンタ台高さ指定値が、いずれも,高さ調整コマンド中の数値と一致している移動指示コマンドが、プリンタユニット60bから制御ユニット71へ送信されるシステム)となっている。従って、この印刷システム50は、スキャナユニット60aとプリンタユニット60bとの間が狭いため、印刷結果が取り出しにくいといったことも生じないシステムとなる。
【0053】
《変形形態》
上記した印刷システム10,50は、各種の変形を行うことが出来る。たとえば、印刷システム10,50を、調整台32等の移動完了後、印刷データの印刷が開始されるよう構成しているのは、移動中の調整台32等の振動により印字ずれや紙ジャムが発生することを防止するためである。従って、印刷装置用ラック30,70として、調整台32,72,73移動時に振動が生じないものを採用する場合には、印刷装置20,50を、高さ調整コマンド含有印刷データの受信時に、即座に印刷を開始する装置としておくことが出来る。
【0054】
印刷システム10,50は、調整台32等の移動開始時/移動完了時に,印刷装置用ラック30,70が警告音を出力するシステムであったが、印刷システム10,50を、印刷装置20,60が警告音を出力する(或いは、LCDのバックライトをON/OFFを繰り返すといったような、ユーザが,調整台32等の移動の開始や終了が分かる処理を行う)システムに変形することが出来る。また、印刷システム10,50を、警告音を出力しないものに変形しておくことも出来る。ただし、調整台32等の移動開始時に警告音を出力しないようにしておいた場合には、突然、調整台32等が動き出す場合があることになる。また、移動完了時に警告音が出力されれば、その警告音が聞こえたときに印刷結果を取りに行くといったことが可能となるので、印刷システム10,50は、調整台32等の移動開始時及び移動完了時に警告音を出力するものとしておくことが望ましい。
【0055】
また、印刷システム10,50を、印刷装置20,60に、印刷装置用ラック30,70が組み込まれているシステムに変形することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1実施形態に係る印刷システムの構成,使用形態の説明図。
【図2】第1実施形態に係る印刷装置用ラック内の制御ユニットが実行する処理の流れ図。
【図3】第1実施形態に係る印刷装置用のプリンタドライバが表示する印刷設定ダイアログボックスの説明図。
【図4】第1実施形態に係る印刷装置にて,印刷データ受信時の実行される処理のた流れ図。
【図5】第2実施形態に係る印刷システムの構成,使用形態の説明図。
【図6】第2実施形態に係る印刷システムの外観図。
【図7】第2実施形態に係るスキャナユニットが備える操作パネルの説明図。
【図8】第2実施形態に係るスキャナユニットの操作パネルのLCD上に表示されるメニュー画面の説明図。
【図9】第2実施形態に係るスキャナユニットの操作パネルのLCD上に表示されるメニュー画面の説明図。
【図10】第2実施形態に係る印刷装置にて,印刷データ受信時の実行される処理のた流れ図。
【符号の説明】
【0057】
10,50 印刷システム、 20,60 印刷装置、 21,61 操作パネル
22,62 印刷制御部、 23,63 印刷機構部
30,70 印刷装置用ラック、 31,71 制御ユニット
32,72,73 調整台、 40,80 プリンタドライバ
41 調整チェックボックス、 42 設定用アイテム
60a スキャナユニット、 60b プリンタユニット
65 LCD、 66 コピーボタン、 67 スキャンボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置を載置するための調整台と、
前記印刷装置から、ユーザが指定した前記調整台の高さを指定する高さ指定情報が送信されてきたときに、その高さ指定情報に応じた高さとなるように前記調整台の高さを制御する調整台高さ制御機構と
を備えることを特徴とする印刷装置用ラック。
【請求項2】
印刷装置の構成要素であるスキャナユニットを載置するための第1の調整台と、
前記印刷装置の構成要素であるプリンタユニットを載置するための第2の調整台と、
前記印刷装置から、ユーザが指定した前記第1の調整台の高さと前記第2の調整台の高さとを指定する高さ指定情報が送信されてきたときに、その高さ指定情報に応じた高さとなるように前記第1の調整台及び前記第2の調整台の高さを制御する調整台高さ制御機構と
を備えることを特徴とする印刷装置用ラック。
【請求項3】
前記調整台高さ制御機構が、調整台の高さ制御完了時に、所定の制御完了通知を前記印刷装置へ送信する機構である
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置用ラック。
【請求項4】
前記調整台高さ制御機構が、調整台の高さ制御を開始する前に、調整台の高さが変わることをユーザに通知するための警告音を出力する機構である
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の印刷装置用ラック。
【請求項5】
前記調整台高さ制御機構が、調整台の高さ制御完了時に、調整台の高さ制御が完了したことをユーザに通知するための警告音を出力する機構である
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の印刷装置用ラック。
【請求項6】
印刷装置と、前記印刷装置が載置される調整台を有する印刷装置用ラックとを含む印刷システムであって、
前記印刷装置用ラックが、
前記印刷装置から、前記調整台の高さを指定する高さ指定情報が送信されてきたときに、その高さ指定情報に応じた高さとなるように前記調整台の高さを制御してから、高さ制御の完了時に、所定の制御完了通知を前記印刷装置に送信する高さ制御機構を備えたラックであり、
前記印刷装置が、
受信した印刷データに、前記調整台の高さを指定する高さ調整指示情報が含まれていた場合、当該高さ調整指示情報が指定する高さと同じ高さを指定する前記高さ指定情報を前記印刷装置用ラックに送信した後、前記印刷装置用ラックから前記制御完了通知が送信されてきたときに、受信した印刷データの印刷を開始する装置である
を備えることを印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−126520(P2008−126520A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313935(P2006−313935)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】