説明

印刷装置

【課題】駆動状態を切り替え可能な印刷装置をもとのユーザに代わって別のユーザが使用する場合に、当該別のユーザが手動操作で駆動状態を切り替える手間や労力をなくし、利便性を向上する。
【解決手段】外部端末400A,400Bと通信を行うとともに、印刷データを印刷するサーマルヘッド32を有し、外部端末400A,Bに記憶デバイスとして認識させる記憶デバイス状態、及び、印刷デバイスとして認識させる印刷デバイス状態いずれかを選択的に実行可能な印字ラベル作成装置1であって、外部端末に接続された状態であることを検出し、その検出結果に基づき、外部端末400A,Bへの接続状態から切断状態へと切り替わったか否かを判定し、切断状態へ切り替わったと判定された場合には、駆動状態を、記憶デバイス状態及び印刷デバイス状態のうちいずれか一方から他方へと反転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷対象に対し所望の印刷を実行する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の外部端末と接続される周辺機器は、特定のインターフェースクラスをあらかじめ備えていることが多い。そしてこれらの周辺機器は、接続時におけるプラグアンドプレイ通信により、所定のデバイスとして外部端末に認識される。そのような周辺機器として、例えば特許文献1には、2つのインターフェースクラスを備えた印刷装置の例が開示されている。
【0003】
すなわち、上記従来技術の印刷装置においては、駆動状態として、記憶デバイス状態と印刷デバイス状態のいずれか一方を選択的に実行可能である。駆動状態が印刷デバイス状態である場合には、外部端末は印刷装置を印刷デバイスと認識する。この場合には、外部端末より印刷装置に対して印刷データを転送して印刷処理を実行させることができる。したがって、多少操作が複雑だったり手間がかかったりしても意図する所望の態様の印刷を高精度に実行したいユーザにとっては、この印刷デバイス状態のほうが便利である。
【0004】
一方、駆動状態が記憶デバイス状態である場合には、外部端末は印刷装置を記憶デバイスとして認識する。この場合には、予め外部端末に印刷データの編集プログラムをインストールすることなしに、外部端末より、印刷装置に記憶されている印刷データの編集プログラムの実行ファイルを容易に使用することができる。特に、外部端末より印刷装置に対して各種データを容易に記憶させることができるので、あらかじめ外部端末にプリンタドライバをインストールしなくても、印刷データを直接印刷装置に記憶させて印刷装置に印刷処理を実行させることができる。したがって、印刷態様や編集操作に多少の制限があったとしても簡単な操作で手軽にかつ迅速に印刷を行いたいユーザにとっては、この記憶デバイス状態のほうが便利である。
【0005】
上記従来技術では、ユーザが外部端末を適宜に操作することにより、外部端末が、印刷装置の上記駆動状態を切り替えるための切替信号を生成し、印刷装置へ出力する。印刷装置は、当該出力された切替信号に応じて、自らの駆動状態を、印刷デバイス状態若しくは記憶デバイス状態のいずれかに切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4513893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、印刷装置は、使用されるときには、通常、外部端末に接続された状態である。仮に、このような外部端末への接続状態から当該接続が遮断された切断状態に変化した場合、もとのユーザが使用していた状態から新たな別のユーザが使用する状態に変わった(すなわち印刷装置の接続先が当該別のユーザの保有する外部端末に付け替えられた)可能性が高い。しかも、当該別のユーザが上記もとのユーザと同一の駆動状態で使用する場合には必ずしも外部端末の付け替えを行う必要がないことから、付け替えが行われた場合には、当該別のユーザは上記もとのユーザとは異なる駆動状態で使用したいと意図している可能性が高い。
【0008】
したがって、このような付け替えが行われた場合に、印刷装置の駆動状態を自動的に切り替えるようにすれば、上記別のユーザは、駆動状態を切り替えるために外部端末を操作する必要がなくなり、便利である。しかしながら、上記従来技術では、そのような点までは配慮されていなかった。
【0009】
本発明の目的は、駆動状態を切り替え可能な印刷装置をもとのユーザに代わって別のユーザが使用する場合に、当該別のユーザが手動操作で駆動状態を切り替える手間や労力をなくし、利便性を向上できる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願発明は、外部端末と通信を行う通信手段と、印刷データを印刷する印刷手段と、を有する印刷装置であり、かつ、前記通信手段と前記外部端末との通信時において、当該外部端末に前記印刷装置を記憶デバイスとして認識させる記憶デバイス状態、及び、当該外部端末に前記印刷装置を印刷デバイスとして認識させる印刷デバイス状態、の2つのうちいずれか一方の駆動状態を選択的に実行可能な印刷装置であって、前記通信手段が前記外部端末に接続された状態であることを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づき、前記通信手段が、前記外部端末への接続状態から当該接続の切断状態へと切り替わったか否かを判定する切断判定手段と、前記切断判定手段により前記通信手段が前記切断状態へ切り替わったと判定された場合には、前記駆動状態を、前記記憶デバイス状態及び前記印刷デバイス状態のうちいずれか一方から他方へと反転させる反転手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本願発明の印刷装置においては、検出手段と切断判定手段とが設けられている。検出手段は、印刷装置の通信手段が、外部端末に接続された接続状態であることを検出する。その検出手段の検出結果に基づいて、切断判定手段が、通信手段が上記接続状態から上記切断状態となったかどうかを判定する。そして、その判定が満たされた場合には、反転手段が、上記駆動状態を、その時点での状態から別の状態へと反転させる。すなわち、印刷装置の駆動状態が記憶デバイス状態であった場合は印刷デバイス状態へと反転させ、印刷装置の駆動状態が印刷デバイス状態であった場合は記憶デバイス状態へと反転させる。
【0012】
これにより、上述したようにもとのユーザに代わって新たに別のユーザが使用する場合において、当該別のユーザが手動操作で駆動状態を切り替える手間や労力をなくし、利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、もとのユーザに代わって別のユーザが使用する場合において、当該別のユーザが手動操作で駆動状態を切り替える手間や労力をなくし、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の印字ラベル作成装置を備えたラベル作成システムを表すシステム構成図である。
【図2】印字ラベル作成装置の外観を表す斜視図である。
【図3】印字ラベル作成装置の平面図である。
【図4】印字ラベル作成装置の背面図である。
【図5】印字ラベル作成装置にロールシートホルダが装着された状態を開閉カバーを開けて示す斜視図である。
【図6】フロントカバーの裏面側にボタン、キー取付部材、LED取付部材それぞれを組み込んだ状態を表すとともに、図2中X部を裏から見た状態に相当する斜視図である。
【図7】図6の分解斜視図である。
【図8】印字ラベル作成装置の開閉カバーを開けた状態を示す平面図である。
【図9】印字ラベル作成装置の開閉カバーを開けた状態を示す斜視図ある。
【図10】ロールシートホルダを印字ラベル作成装置に装着した状態を示す側断面図である。
【図11】外部端末及び印字ラベル作成装置の制御系を表す機能ブロック図である。
【図12】FLASH ROMの記憶領域を示す模式図である。
【図13】SRAMの記憶領域を示す模式図である。
【図14】印字ラベル作成装置と外部端末との間のデータの流れを示す機能ブロック図である。
【図15】印字ラベル作成装置及び外部端末で実行される制御手順を表すシーケンス図である。
【図16】STATUS REQUESTコマンド及びその応答信号のパケット構成の一例を示す概念的説明図である。
【図17】UNIT TEST READYコマンド及びその応答信号のパケット構成の一例を示す概念的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態の印刷装置としての印字ラベル作成装置を備えたラベル生成システムを、図1により説明する。
【0017】
図1において、このラベル作成システムLSでは、所望の印字がされた印字ラベル(図示せず)を作成可能な、印字ラベル作成装置1と、上記印字ラベル作成装置1を操作するための外部端末400Aとが、USB(Universal Serial Bus)ケーブル9によって接続されている。
【0018】
外部端末400Aは、例えば、一般に市販されている汎用パーソナルコンピュータであり、液晶ディスプレイ等の表示部401と、キーボードやマウス等の操作部402とを有している。また、外部端末400Aの適宜の箇所(例えば背面部)には、上記USBケーブル9の端部の第1コネクタ9Hを着脱可能に装着するホスト用ソケット(図示せず)が設けられている。
【0019】
印字ラベル作成装置1の背面には、上記USBケーブル9の上記第1コネクタ9Hとは反対側の端部の第2コネクタ9Tを着脱可能に装着するターゲット用ソケット11(後述の図4参照)が設けられている。
【0020】
USBケーブル9は、接続機器をホストとして機能させる上記第1コネクタ9H(例えばいわゆるシリーズAプラグであるUSBコネクタ)と、接続機器をターゲットとして機能させる上記第2コネクタ9T(例えばいわゆるシリーズBプラグであるUSBコネクタ)とを、それぞれ備えている(図1中の各拡大図を参照)。USBケーブル9は、この例では、上記印字ラベル作成装置1のターゲット用ソケットに対し第2コネクタ9Tが装着(接続)され、上記外部端末400Aのホスト用ソケット11に対し第1コネクタ9Hが装着されている。したがって、印字ラベル作成装置1と外部端末400Aとの間の機能的関係では、印字ラベル作成装置1がターゲット機器として機能し、外部端末400Aがホスト機器として機能する。
【0021】
なお、印字ラベル作成装置1は、上記外部端末400Aとは別の外部端末400B(構成は外部端末400Aとほぼ同等)が、上記外部端末400Aと同様、ラベル作成装置1に対するホスト機器としてUSBケーブル9により接続可能であるが、これについては後に詳述する。以下適宜、特に区別する必要がない場合には、これら外部端末400A,400Bを総称して単に「外部端末400」と称する。
【0022】
次に、印字ラベル作成装置1の構成について図2乃至図10に基づき説明する。
【0023】
<印字ラベル作成装置1の概略構造>
図2乃至図5に示すように、印字ラベル作成装置1は、当該装置1の外郭を構成するとともに、所定幅のロールシート3Aが巻回されたロールシートホルダ3を収納するロールシートホルダ収納部4を備える樹脂製の筐体2と、シートホルダ収納部4の上側を覆うように後側上端縁部に、後部側左右一対のヒンジ部60を介して開閉自在に取り付けられた透明樹脂製の開閉カバー5と、を有している。
【0024】
ロールシート3Aは、自己発色性を有する長尺状の感熱シート(いわゆる、サーマルペーパー)や、該感熱シートの片面に粘着剤を介して離形紙が貼り合わされた長尺状のラベルシート等で構成され、ロールシートホルダ3に巻回されている。
【0025】
開閉カバー5は、回動可能となるようにヒンジ部60を介して筐体2に支持され、当該回動によりロールシートホルダ収納部4上方の開口部OPを開閉する。この開閉カバー5では、フロントカバー6に向かって左側に設けられた左壁面5Dと、右側に設けられた右壁面5Cと、左壁面5Dと右壁面5Cとを接続するように延設される中間壁面5Eとにより、略コの字形状となって一体に構成されている。さらに、開閉カバー5には、略コの字形状の内縁部を覆うように天板5Fが取り付けられている。
【0026】
また、開閉カバー5の前側のフロントカバー6には、印刷されたロールシート3Aを外部に排出するシート排出口6Aが形成されている。また、このシート排出口6Aの上側の前面部には電源ボタン7A、押下することによってシート排出口6Aの内側に設けられたカッターユニット80(後述の図10参照)を駆動させてロールシート3Aを切断し印字ラベル(図示せず)を生成するカットボタン7B、押下している間ロールシート3Aを搬送方向に排出するフィードボタン7C、後述の駆動状態を手動で切り替える際に使用可能な切替ボタン7D(後述の(2)の変形例参照)の合計4個のボタンが略水平に配置されている。さらに、フロントカバー6における電源ボタン7Aと切替ボタン7Dそれぞれの近傍には、後述するLED表示部8,8が配置されている。以下適宜、これら各ボタン7A,7B,7C,7Dを、単に「ボタン7A,7B,7C,7D」と称する。上記切替ボタン7Dの近くに位置するLED表示部表示部8は、後述のようにして印字ラベル作成装置1の駆動状態が切り替えられるとき、当該駆動状態が印刷デバイス状態にあるか、記憶デバイス状態にあるかによって、異なる態様(例えば異なる色、点灯表示と点滅表示等)で表示を行う。
【0027】
<ボタン7A〜7D付近の構造>
上記ボタン7A〜7D及びその周辺の構造について、図6及び図7により説明する。図6及び図7に示すように、フロントカバー6には、円形ハット型のボタン7A,7B,7C,7Dを当該フロントカバー6の裏側から上下動可能に挿入するための4個の開口部95A,95B,95C,95D(図2も参照)が形成されている。また、フロントカバー6の裏側における開口部95A,95Dの中間、及び、開口部95B,95Cの中間それぞれに隣接する箇所には、フロントカバー6の裏側から回路基板81をネジ(図示せず)によって固定させるためのネジ穴92aを有する2個の円柱状の支持突起92Aが突設されている。
【0028】
回路基板81には、4個の開口部95A,95B,95C,95Dに対向すべく4個のプッシュスイッチ82A,82B,82C,82Dが配設されている。また、フロントカバー6の4個の開口部95A,95B,95C,95Dの内の例えば2個の開口部95A,95Dにそれぞれ対応した位置には、2個の開口部98,98(図2も参照)が形成され、フロントカバー6の裏側から2個のLED表示部8,8がそれぞれ挿入固定される。また、これら2個の開口部98,98に対向するように、回路基板81に発光源としての2個のLED(図示せず)が配設されている。
【0029】
ボタン7A及びボタン7Dは、略U字状の連結アーム91,91を介して共通の1つのキー取付部材92に連結されている。このキー取付部材92では、一方の連結アーム91にボタン7Aが接続され、他方の連結アーム91にボタン7Dが接続される二股構造となっている。このとき、各連結アーム91,91は、自身の撓み変形によりボタン7A,7Dの上下動をそれぞれ許容するようになっている。また、キー取付部材92は、ボタン7A及びボタン7Dのそれぞれが上下動するときの動作支点として機能する。
【0030】
同様に、ボタン7B及びボタン7Cも、略U字状の連結アーム91,91を介して共通の1つのキー取付部材92に連結されている。このキー取付部材92では、一方の連結アーム91にボタン7Bが接続され、他方の連結アーム91にボタン7Cが接続される二股構造となっている。このとき、各連結アーム91,91は、自身の撓み変形によりボタン7B,7Cの上下動をそれぞれ許容するようになっている。また、キー取付部材92は、ボタン7B及びボタン7Cのそれぞれが上下動するときの動作支点として機能する。
【0031】
なお、上記2つのキー取付部材92,92は、それぞれ、この例では略円筒状に形成されており、上記フロントカバー6裏側の回路基板81固定用の円柱状の支持突起92A,92Aにそれぞれ嵌合される(図6参照)。
【0032】
ボタン7A,7B,7C,7Dは、略円形の横断面形状を備えた略円筒形であり、全体形状が略円形ハット型を呈している。なお、このような形状に限られず、三角形や四角形の横断面形状を備えるものでもよい。また、ボタン7A,7B,7C,7Dの内側には、当該ボタン7A,7B,7C,7Dの押し込み操作によって回路基板81のプッシュスイッチ82A,82B,82C,82Dを押圧するための操作突起93が設けられている。
【0033】
LED表示部8,8は、図7に示すように、フロントカバー6の裏側から2個の開口部98に対しそれぞれ挿入され固定される、共通の1つのLED取付部材96の2個の先端部によって構成されている。すなわち、LED取付部材96は、上記2個の先端部をそれぞれ備える有色透明な2個の円形カバーが、円弧形状の連結アーム96Aで連結されることにより、構成されている。この連結アーム96Aは、上記した回路基板81固定用の円柱状の支持突起92Aの外周と略同じ曲率を有して湾曲形成されており、当該連結アーム96Aは、キー取付部材92とフロントカバー6とに挟まれるようにして、当該フロントカバー6の裏面に取り付けられる。
【0034】
また、フロントカバー6の裏面には、ボタン7B,7Cの上下動を案内するための板状の案内部材94Aが立設されている。また、これに対応してボタン7B,7Cの下端には、自身の上下動を許容しつつ案内部材94Aに係合する略п形状を呈する係合部94を備えている。係合部94がフロントカバー6裏面に設けられた案内部材94Aに係合することで、ボタン7A,7B,7C,7Dがより円滑に上下動することができる。
【0035】
図2〜図5に戻り、開閉カバー5の凹み部5Aの正面左側には、前側方向に所定長さ突出した押し爪部5Bが設けられている。また、開閉カバー5を閉じた場合に、筐体2の当該押し爪部5Bが当接する位置には、マイクロスイッチ等から構成されて、この押し爪部5Bによって押下されたか否か、即ち、開閉カバー5が閉じられたか否かを判別するための開閉カバー検出スイッチ18が配置されている。
【0036】
また、筐体2の背面部には不図示の電源コードが接続されるインレット10が配設されると共に、その横側(図4中の左側)には、上記外部端末400A,400B等と接続するために上記USBケーブル9が挿入可能な上記ターゲット用ソケット11が設けられている。
【0037】
また、図8及び図9に示すように、ロールシート収納部4の前側の壁部には、弾性変形可能に形成された後述する爪状の左右の係止部15,15が設けられている。また、係止部15,15に対向するように、上記開閉カバー5の天板5Fの左右両端下方側には、水平リブ状の被係止部16,16が設けられている。なお、図5では、係止部15,15及び被係止部16,16の図示は省略されている。これにより、開閉カバー5を開いた状態から前側方向に回動させることにより、各係止部15と各被係止部16とが係合し、開閉カバー5が閉じられた状態で保持される。また、開閉カバー5の前端中央部に形成される凹み部5Aに指を掛けて後側方向に回動させることによって、各係止部15と各被係止部16との係合が外れ、開閉カバー5を開くことが可能となる。
【0038】
<ロールシートホルダ収納部の詳細>
また、図5及び図8に示すように、ロールシートホルダ収納部4の搬送方向に対して略垂直方向の一方の側端縁部(図5中、右側側端縁部)に、ホルダ支持部材23が設けられている。このホルダ支持部材23には、上方に開口すると共に幅方向両側に開口する側面視略縦長Uの字状の第1位置決め溝部24が形成されており、ロールシートホルダ3を構成する位置決め保持部材20の外側方向に突設される、断面略矩形状の取付部材21を嵌め込むことができる。
【0039】
また、ロールシート3Aを挿入する挿入口26(図9及び後述の図10参照)の後端縁部からロールシートホルダ収納部4の前側上端縁部まで略水平に延出された載置部29が設けられている。また、この載置部29の搬送方向後側の端縁角部には、ロールシート3Aの複数の幅寸法に対応して断面略L字状の5個の第2位置決め溝部30A〜30Eが形成されている。この各第2位置決め溝部30A〜30Eは、図10に示すように、ロールシートホルダ3を構成するガイド部材28の載置部29に当接する先端下端部分を、上方から嵌め込むことができるように形成されている。
【0040】
また、ロールシートホルダ収納部4の底面部には、ホルダ支持部材23の内側基端部から対向する側面部基端部まで搬送方向に対して略垂直に平面視横長四角形の位置決め凹部4Aが、所定深さで形成されている。この位置決め凹部4Aの搬送方向幅寸法は、ロールシートホルダ3を構成する位置決め保持部材20及び上記ガイド部材の各下端縁部の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。
【0041】
また、位置決め凹部4Aのホルダ支持部材23の内側基端部には、搬送方向に縦長の平面視長四角形の判別凹部4Bが形成されている。この判別凹部4Bは、位置決め保持部材20の下端縁部から略直角内側方向に延出されるシート判別部(不図示)に対向しており、位置決め凹部4Aよりもさらに所定深さだけ深くなるように形成されている。
【0042】
そして、この判別凹部4Bには、プッシュ式のマイクロスイッチ等から構成されて、ロールシート3Aの種別、材質、ロールシート幅等を判別するための5個のシート判別センサP1、P2、P3、P4、P5がL字状に設けられている。この各シート判別センサP1〜P5は、プランジャーとマイクロスイッチ等から構成される公知の機械式スイッチからなり、該各プランジャーの上端部は、該判別凹部4Bの底面部から位置決め凹部4Aの底面部近傍まで突き出るように設けられている。そして、この各シート判別センサP1〜P5は、それらセンサP1〜P5に対し位置決め保持部材20の下端縁部から略直角内側方向に延出されるシート判別部に形成される各センサ孔(不図示)が有るか否かを検出して、そのオン・オフ信号によりロールシートホルダ3に装着されたロールシート3Aの種別、材質、ロールシート幅等を検出する。
【0043】
また、挿入口26のホルダ支持部材23側の側端縁部には、載置部29のほぼ搬送方向後端部まで案内部31が形成され、ロールシート3Aを挿入口26まで案内している。ここで、この案内部31の内側端面31A(図9中、左側端面)は、該ホルダ支持部材23に嵌め込まれる位置決め部材20の内側端面に対向する位置、つまり、同一平面上に位置するように形成されている。これにより、ロールシートホルダ3から引き出されたロールシート3Aの外側の側端縁部は、この案内部31の内側端面に当接して、挿入口26へ案内される。
【0044】
<サーマルヘッド・カッターユニット等の内部機器>
また、上記図10に示すように、挿入口26のロールシート搬送方向奥側には、プラテンローラ35が回転自在に軸支されている。また、サーマルヘッド32(印刷手段)が、押圧バネ36によって上方に付勢されているヘッド支持部材37の上面に固定されている。また、このヘッド支持部材37の搬送方向に対して後側の端縁部は、フレーム38の背面部によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、ホルダ収納部4のホルダ支持部材23と反対側の側端縁部に対向する、筐体2の開口部OP周縁の内側には、断面円形状でリンクレバー34の厚さにほぼ等しい高さに形成された係合軸33(図5参照)が立設されている。この係合軸33には、サーマルヘッド32を上下動させるリンクレバー34の一方の端縁部に形成された貫通孔34Aが嵌め込まれ、このリンクレバー34の端縁部が回動可能且つ着脱可能に取り付けられている(図5参照)。そして、開閉カバー5を開閉すると、リンクレバー34が前後方向に移動し、リリースレバー51、レバー軸50を介して、サーマルヘッド32が上下動される(図9参照)。すなわち、上記開閉カバー5の閉じ動作に伴うレバー軸50の回動によって、押圧バネ36によって上方に付勢されているサーマルヘッド32が、プラテンローラ35にロールシート3Aを押圧付勢して印字可能な状態になる。また、開閉カバー5の開き動作に伴うレバー軸50の上記とは逆方向への回動によって、サーマルヘッド32が、プラテンローラ35から離間し、ロールシート3Aを挿入口26から挿通して、プラテンローラ35とサーマルヘッド32との間に挿通可能な状態になる。
【0045】
また、プラテンローラ35及びサーマルヘッド32から、ロールシート3Aの搬送方向下流側(図10中左側)には、カッターユニット80が設けられている。このカッターユニット80は、上記図10に示すように、固定刃80Aと可動刃80Bとを有している。前述したカットボタン7Bが押下された場合には、可動刃80BがDCモータ等で構成される切断用モータ80Cにより上下方向に往復移動される。これにより、上記サーマルヘッド32による印字がなされた後のロールシート3Aが固定刃80Aと可動刃80Bとによって所望の長さに切断されて印字ラベルが生成され、シート排出口6Aから排出される。尚、可動刃80Bは正面視V字形に構成されている。
【0046】
一方、ロールシートホルダ収納部4の下側には、仕切壁39を介して、制御基板40が設けられている。この制御基板40には、外部のパーソナルコンピュータ等からの指令によりサーマルヘッド32等の各機構部を駆動制御する制御回路部(後述の図11参照)が形成されると共に、各シート判別センサP1〜P5が電気的に接続されている。また、上記フレーム38の下方には、仕切壁39を介して、電源回路部が形成された電源基板41が設けられている。なお、上記サーマルヘッド32は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)43によって、制御基板40の底面側に設けられたコネクタ44に接続されている。そして、制御基板40及び電源基板41は、底面部にネジ止めされた薄い鋼板製の底面カバー45によって覆われている。
【0047】
<制御系>
次に、上記構成の外部端末400及び印字ラベル作成装置1の制御系を、図11を用いて説明する。
【0048】
図11に示すように、印字ラベル作成装置1は、装置全体の制御を司るCPU231と、制御プログラム等を記憶し、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性記憶素子であるFLASH ROM234と、CPU231が制御プログラムを実行する場合において発生する一時的なデータ等が記憶される揮発性記憶素子であるSRAM233と、印字ラベル作成装置1のパラメータ情報や履歴情報等が記憶される不揮発性記憶素子であるEEPROM235とを備えている。そして、CPU231よりFLASH ROM234、SRAM233、及びEEPROM235に記憶されている情報を参照可能なように、双方間はバスを介して接続している。
【0049】
また印字ラベル作成装置1は、入出力インタフェース236を備えている。入出力インタフェース236は、CPU231と、CPU231に接続される各種デバイス(ボタン7A〜7D、駆動回路243、駆動回路244、USBコントローラ242)との間に挿入される。そして、入出力信号間の電圧変換処理、インピーダンス変換処理、タイミング調整処理等を行うことにより、CPU231から各種デバイスに対して出力される信号を各種デバイスにて認識可能となると共に、各種デバイスよりCPU231に対して送信される信号をCPU231にて認識可能となる。
【0050】
また印字ラベル作成装置1は、上記ボタン7A〜7Dを備えている。ユーザによりボタン7A〜7Dを操作された場合における操作内容をCPU231にて認識することが可能なように、ボタン7A〜7Dと入出力インタフェース236とは電気的に接続している。
【0051】
また印字ラベル作成装置1は、上記サーマルヘッド32を制御可能な駆動回路243を備えている。駆動回路243は、サーマルヘッド32を制御して印字ラベルに印刷データを印刷させることが可能なように、サーマルヘッド32と電気的に接続されている。また駆動回路243は、CPU231より制御可能なように、入出力インタフェース236と電気的に接続されている。
【0052】
また印字ラベル作成装置1は、上記プラテンローラ35を制御可能な駆動回路244を備えている。駆動回路244は、サーマルヘッド32による印字ラベルへの印刷データの印字時において、プラテンローラ35を制御して印字ラベルを送出させることが可能なように、プラテンローラ35と電気的に接続されている。また駆動回路244は、CPU231より制御可能なように、入出力インタフェース236と電気的に接続されている。
【0053】
また印字ラベル作成装置1は、USBコントローラ242を備えている。USBコントローラ242は、外部端末400と上記USBケーブル9を介して接続した状態で、外部端末400と通信を行うことが可能なように、電圧変換処理及びインピーダンス変換処理を行うためのコントローラデバイスである。そして、USBケーブル9を介して外部端末400より受信した信号をCPU231にて認識可能とするために、又はCPU231より送信された信号をUSBケーブル9を介して外部端末400に送信することが可能なように、USBコントローラ242と入出力インタフェース236とは電気的に接続している。
【0054】
なお、上記CPU231、SRAM233、FLASH ROM234、EEPRPM235、駆動回路243,244、及びUSBコントローラ242等は、上述した制御回路部に含まれ、上記制御基板40に設けられている。
【0055】
次に、外部端末400の電気的構成について説明する。外部端末400は、全体の制御を司るCPU402と、CPU402の起動時において読み出されるBIOSプログラム等が記憶されているROM403と、OSやアプリケーションの実行ファイル等を記憶するハードディスクドライブ(HDD)406と、CPU402によりOSやアプリケーションが実行されている場合において必要となる一時的なデータ等が記憶される揮発性記憶素子であるRAM404等を備えている。そして、CPU402よりROM403、RAM404、及びHDD406に記憶されている情報を参照可能なように、それぞれCPU402とバス409を介して接続した状態となっている。
【0056】
また外部端末400は、表示制御部407を備えている。表示制御部407は、表示データを記憶する表示用RAM(図示せず)を備えており、表示部401に制御信号を送信して表示データを表示させるために、表示部401とビデオケーブルを介して電気的に接続されている。また、表示制御部407は、CPU402からの表示制御が可能なように、バス409と電気的に接続している。
【0057】
また外部端末400は、USBコントローラ408を備えている。USBコントローラ408は、周辺機器がUSBインタフェースを介してCPU402と通信を行うことが可能なように、電圧変換処理及びインピーダンス変換処理を行うためのコントローラデバイスである。図11に示す例では、操作部402A及び印字ラベル作成装置1がUSBコントローラ408に接続した状態となっている。そして、操作部402Aの操作内容をCPU402にて検出可能なように、また、印字ラベル作成装置1とCPU402との間で通信が可能なように、USBコントローラ408とバス409とは電気的に接続されている。
【0058】
<記憶領域>
次に、印字ラベル作成装置1が備える記憶素子である上記FLASH ROM234及びSRAM233の記憶領域について、図12及び図13を参照して説明する。
【0059】
図12を参照し、FLASH ROM234の記憶領域について説明する。FLASH ROM234には、制御プログラム領域251が設けられている。制御プログラム領域251には、CPU231が各種デバイスを制御して処理を実行する場合の制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、CPU231が各種処理を実行する場合において、CPU231より読み出される。また、制御プログラム領域251には、アプリケーションプログラム領域252、USBデバイスドライバ領域253、及びその他の領域が設けられている。
【0060】
制御プログラム領域251のうちアプリケーションプログラム領域252には、CPU231が実行する制御プログラムのうち、上位レベルの制御プログラム(ファイル操作(書き込み、読み出し)、ファイルの内容に基づく判断、各種ドライバプログラムへの命令等)が記憶されている。
【0061】
制御プログラム領域251のうちUSBデバイスドライバ領域253には、USBケーブル9を介した通信のプロトコル制御を実行するUSBデバイスドライバが記憶されている。具体的には、USBデバイスドライバとして、マスストレージクラスドライバとプリンタクラスドライバとが記憶されている。これらは、印字ラベル作成装置1がUSBケーブル9を介して外部端末400と通信を行う場合において、必要に応じていずれかのUSBデバイスドライバがCPU231より読み出され使用される。
【0062】
CPU231により、USBデバイスドライバとしてプリンタクラスドライバが選択され使用される場合には、印字ラベル作成装置1はパソコンより印刷デバイスとして認識される。これにより、従来の一般的な印刷装置の使用方法と同様に、外部端末400から印字ラベル作成装置1に対して印刷データを送信することによって、印字ラベル作成装置1にて印字ラベルに印刷を行うことが可能となる。以下、印刷デバイスとして認識されるような駆動状態を「印刷デバイス状態」という。
【0063】
またCPU231により、USBデバイスドライバとしてマスストレージクラスドライバが選択され使用される場合には、印字ラベル作成装置1は外部端末400より記憶デバイスとして認識される。これにより、印字ラベル作成装置1内の特定の記憶領域(FLASH ROM234中ディスク領域254、後述)が外部端末400の記憶領域として使用可能となる。以下、記憶デバイスとして認識されるような駆動状態を「記憶デバイス状態」という。
【0064】
またFLASH ROM234には、ディスク領域254が設けられている。ディスク領域254には、外部端末400より印字ラベル作成装置1が記憶デバイスとして認識されている状態において、外部端末400の記憶領域として使用可能なように設定されている。ディスク領域254には、印刷データを編集するためのプログラム(クイックエディタ)の実行ファイルであるクイックエディタ実行ファイルが少なくとも記憶される(クイックエディタの詳細については後述する。)。また、印字ラベル作成装置1の駆動状態を切り替えるためのプログラムの実行ファイルである切替プログラム実行ファイルが記憶される。また、エディタによる作成途中の印刷データである編集中データが記憶される。
【0065】
また、FLASH ROM234には、ローカル領域255が設けられている。ローカル領域255は、ディスク領域254のように外部端末400より閲覧することはできないように設定されている。ローカル領域255には、プログラムのパラメータデータ等が記憶される。
【0066】
次に、図13を参照し、SRAM233の記憶領域について説明する。SRAM233には、印字ラベルに印字を行う場合の印刷データが一時的に記憶される印刷バッファ領域261が設けられている。また、フラグ情報を記憶するフラグ領域262が設けられている。また、その他の記憶領域が設けられている。
【0067】
次に、外部端末400が備えるHDD406及びRAM404の記憶領域について説明する。HDD406には、図示しないが、印刷データを編集するためのプログラム(フルエディタ)の実行ファイルであるフルエディタ実行ファイルが記憶される。また、RAM404には、図示しないが、エディタによる作成途中の印刷データである編集中データが記憶される。
【0068】
<クイックエディタとフルエディタ>
次に、印字ラベル作成装置1のFLASH ROM234中ディスク領域254に記憶されるクイックエディタ実行ファイルと、外部端末400のHDD406に記憶されるフルエディタ実行ファイルとの相違点について説明する。双方とも、印字ラベル作成装置1にて印刷処理を行う場合に必要な印刷データを作成するためのプログラムであり、外部端末400にて実行可能なプログラムの実行ファイルである。そして、外部端末400にてこれらの実行プログラムを起動することにより、ユーザは、表示部401に表示されるエディタプログラムに基づいて印刷データを作成することが可能となる。そして、作成された印刷データに基づく印字が、印字ラベル作成装置1のサーマルヘッド32によって形成される。
【0069】
ここで、クイックエディタ、及びフルエディタでは、文字情報の他に、印刷条件(フォント、文字の大きさ、文字効果等)を編集して作成することが可能である。従って、作成される印刷データには、文字情報の他に、印刷条件(フォント、文字の大きさ、文字効果等)等が含まれる。ここで、フルエディタを使用して印刷データを作成する場合には、印字ラベル作成装置1にて印刷可能なほぼすべての印刷条件を利用することが可能となっている。一方、クイックエディタを使用して印刷データを作成する場合には、印字ラベル作成装置1にて印刷可能な印刷条件のうち一部分のみ利用することが可能となっている。そのため、フルエディタ実行ファイルのデータ容量は、クイックエディタ実行ファイルのデータ容量と比較して大きい。従って、フルエディタ実行ファイルは、大きな記憶容量を有する外部端末400のHDD406に記憶され、クイックエディタ実行ファイルは、大きな記憶容量を有することができない印字ラベル作成装置1のFLASH ROM234に記憶される。
【0070】
なお、以下においては、クイックエディタにて作成された印刷データに含まれる印刷条件(以下「第一印刷条件」という。)と、フルエディタにて作成された印刷データに含まれる印刷条件(以下「第二印刷条件」)とは一致せず、且つ、第一印刷条件は、第二印刷条件に含まれていない印刷条件を含んでおり、第二印刷条件は、第一印刷条件に含まれていない印刷条件を含んでいるものとする。
【0071】
また、クイックエディタがユーザにより外部端末400にて使用されるためには、印字ラベル作成装置1のFLASH ROM234よりクイックエディタ実行ファイルがUSBケーブル9を経由して外部端末400に転送され、外部端末400のRAM404に記憶された状態とされなければならない。外部端末400のRAM404にクイックエディタ実行ファイルが記憶された状態で、クイックエディタは起動可能となる(詳細は後述する。)。
【0072】
また、フルエディタを使用して作成した印刷データは、印刷デバイスとして認識した状態の印字ラベル作成装置1に対して送信され、印字ラベル作成装置1にて印刷処理が実行される。従って、印字ラベル作成装置1に対して印刷データを送信するためには、あらかじめ印字ラベル作成装置1に対して印刷データを転送可能とするためのプリンタドライバがインストールされていなければならない。一方、クイックエディタを使用して作成した印刷データは、記憶デバイスとして認識した状態の印字ラベル作成装置1に対して転送され、FLASH ROM234のディスク領域254に直接記憶された状態で、印字ラベル作成装置1にて印刷処理が実行される。従って、フルエディタを使用した場合の印刷処理とは異なり、印字ラベル作成装置1に対して印刷データを送信するためのプリンタドライバは必要としない。
【0073】
<データの流れ>
次に、印字ラベル作成装置1のCPU231が外部端末400と通信を行う場合における、印字ラベル作成装置1内のデータの流れについて、図14を参照して説明する。
【0074】
図14に示すように、FLASH ROM234は、制御プログラムとしてアプリケーションプログラム256とUSBデバイスドライバ257とを備えている。また、USBデバイスドライバ257としてプリンタクラスドライバ258とマスストレージクラスドライバ259とを備えている。USBデバイスドライバ257は、実際にUSBコントローラ242を制御して外部端末400とUSBケーブル9を介した通信を実行する場合において、事前にCPU231により読み出されて使用されるプログラムである。
【0075】
CPU231は、USBデバイスドライバとしてプリンタクラスドライバ258とマスストレージクラスドライバ259とのいずれかを選択して読み出し、使用することによって、外部端末400とUSBケーブル9を介した通信を実行している。そして、CPU231がUSBデバイスドライバ257としてマスストレージクラスドライバ259を選択した場合には、外部端末400は印字ラベル作成装置1を記憶デバイスとして認識する。これにより、外部端末400が印字ラベル作成装置1とUSBケーブル9を介して接続した状態で、FLASH ROM234のディスク領域254が外部端末400の記憶領域として使用可能となる。
【0076】
また、CPU231がUSBデバイスドライバ257としてプリンタクラスドライバ258を選択した場合には、外部端末400は印字ラベル作成装置1を印刷デバイスとして認識する。これにより、外部端末400が印字ラベル作成装置1とUSBケーブル9を介して接続した状態で、外部端末400より印字ラベル作成装置1に対して印刷データを転送し印刷指示を行うことによって、印字ラベル作成装置1に印刷処理を実行させることが可能な状態となる。
【0077】
そして、選択され読み出されたUSBデバイスドライバに基づいて、USBコントローラ242が制御されることにより、USBケーブル9を介して外部端末400A,400Bと通信を行うことが可能となる。
【0078】
以上において、本実施形態の要部は、ユーザによる、USBケーブル9を用いた外部端末400A,400Bの接続・切断に応じて、ラベル作成装置1が上記印刷デバイス状態及び記憶デバイス状態を自ら自動的に切り替えることにある。すなわち、既に述べたように、印刷データを編集し印字ラベルを作成する方法として、上記印刷デバイス状態のラベル作成装置1に対応してフルエディタを使用する方法と、上記記憶デバイス状態のラベル作成装置1に対応してクイックエディタを使用する方法との2種類の方法が準備されている。そしてフルエディタは、外部端末400のHDD406に予めインストールした状態でユーザにより使用され、クイックエディタは、印字ラベル作成装置1のFLASH ROM234に予め記憶されており、印字ラベル作成装置1より読み出して使用される。本実施形態では、印字ラベル作成装置1が上記の外部端末400A,400Bとの接続・切断を検出することにより、ユーザの用途(印刷データの構成等)や使用環境(外部端末400にフルエディタが予めインストールされているか否か等)に対応するように、フルエディタ用の上記印刷デバイス状態とクイックエディタ用の上記記憶デバイス状態とを自動的に切り替えるのである。以下、その制御内容の詳細を、図15を参照して説明する。
【0079】
図15において、電源が投入されて起動すると、印字ラベル作成装置1のCPU231は、まず、ステップSP10において、はじめに、SRAM233のフラグ領域262に記憶されているフラグFaを0に初期化する。このフラグFaは、クイックエディタ実行ファイルが送信済みかどうかを表すフラグである(詳細は後述)。その後、ステップSP15に移る。
【0080】
ステップSP15では、CPU231は、USBデバイスドライバとしてプリンタクラスドライバを選択しFLASH ROM234から読み出す。その後、ステップSP20に移る。
【0081】
この状態で、ユーザが、USBケーブル9によって外部端末400Aと印字ラベル作成装置1とを接続すると(あるいは接続した状態で上記のように電源を投入してもよい)、印字ラベル作成装置1と外部端末400Aとの間で、プラグアンドプレイ通信(以下「PnP通信」と略す)が実行される。このPnP通信では、ホストとして機能する外部端末400AのCPU402が、ターゲットとして機能する印字ラベル作成装置1の状態を把握するためのデータパケット通信が実行される。具体的には、外部端末400AのCPU402が、ステップSC10において、印字ラベル作成装置1のステータスを確認するためのSTATUS REQUESTコマンド(第2コマンド信号)を生成し、USBケーブル9を介して印字ラベル作成装置1へ送信する。これを受信すると、印字ラベル作成装置1のCPU231は、ステップSP20で、印字ラベル作成装置1のステータスを表す応答信号を生成し、USBケーブル9を介して外部端末400Aへと送信する。これにより、外部端末400AのCPU402は、接続された印字ラベル作成装置1の駆動状態が印刷デバイス状態であり、応答信号の受信から正常動作であることを認識する。なお、このときの上記ステップSP20が各請求項記載の通信手段として機能すると共に、検出手段としても機能する。
【0082】
図16(a)に、上記STATUS REQUESTコマンドのパケット構成の一例を示す。このパケットは、図16(a)に示すように、順に「SOP」、「ヘッダ」、「コマンド本体」、「CRC16」、「EOP」の各部によって構成されている。
【0083】
「SOP」(Start Of Packet)は、パケットの開始を表すコード(データ列)である。「コマンド本体」は、印字ラベル作成装置1のステータス(現在の動作状態等)を確認するためのコマンドコードであり、この例では3バイトのデータ量を含んでいる。「CRC16」(Cyclic Redundancy Check16)は、データが正しく転送されたかを検出するエラー検出コードであり、この例では2バイトのデータ量を含んでいる。「EOP」(End Of Packet)は、フレームの終了を表すコードである。
【0084】
図16(b)に、上記STATUS REQUESTコマンドに対する応答信号(レスポンス)のパケット構成の一例を示す。このパケットは、図16(b)に示すように、順に「SOP」、「ヘッダ」、「STATUSデータ」、「CRC16」、「EOP」の各部によって構成されている。
【0085】
「STATUSデータ」は、印字ラベル作成装置1のステータス(現在の動作状態等)の内容を通知するためのコードであり、例えば上記駆動状態(印刷デバイス状態であるか記憶デバイス状態であるか)、センサP1〜P5の検出結果(すなわちロールシート3Aの種類等)、開閉カバー検出スイッチ18の検出結果(すなわち開閉カバー5が開いているか閉じているか)、等を含んでいる。また、この例では32バイトのデータ量を含んでいる。「CRC16」は、上記同様、この例では2バイトのデータ量を含んでいる。
【0086】
図15に戻り、上記のPnP通信が終了すると、印字ラベル作成装置1のCPU231は、ステップSP25に移り、上記ステップSP20でのPnP通信において、STATUS REQUESTコマンドが受信されていたかどうかを判定する。上記のように外部端末400Aに対し接続されている状態でSTATUS REQUESTコマンドが受信されている間は、このステップSP25の判定が満たされ、ステップSP20に戻って同様の手順を繰り返す。なお、上記ステップSP20でのSTATUS REQUESTコマンドの送信は、例えばある周期で定期的に行われており、ステップSP25では、この定期的に送信されるSTATUS REQUESTコマンドの有無を確認する。
【0087】
一方、外部端末400AのCPU402は、上記のPnP通信が終了すると、ステップSC20に移る。ステップSC20では、CPU402は、上記のように接続された印字ラベル作成装置1の駆動状態が印刷デバイス状態となっていることから、印字ラベル作成装置1に対して印刷データを送信することにより印刷処理を実行させることが可能な状態であると判断する。そして、予めインストールされているフルエディタを起動する。これにより、ユーザは、外部端末400Aにおいて操作部402Aの操作によりフルエディタを用いた印刷データの作成処理を実行可能となる。
【0088】
なお、フルエディタを使用することにより作成された印刷データは、外部端末400のHDD406に記憶される。そして、当該印刷データは、印刷処理時において、印字ラベル作成装置1への印刷指示とともに、USBケーブル9を介して印字ラベル作成装置1に送信される。印字ラベル作成装置1では、USBケーブル9を介して受信した印刷データをSRAM233の印刷バッファ領域261にいったん記憶する。そして、当該記憶した印刷データに基づき、駆動回路243及び駆動回路244の制御によってサーマルヘッド32及びプラテンローラ35が駆動され、ロールシート3Aへの印刷が実行される。
【0089】
以上のようにして、印字ラベル作成装置1を印刷デバイス状態で駆動させることにより、外部端末400Aに予めインストールされているフルエディタを使用して作成した印刷データを印字ラベル作成装置1に対して送信し、印刷データに基づいて印刷処理を実行させることができる。
【0090】
ここで、外部端末400Aのユーザとは別のユーザが一時的に印字ラベル作成装置1を借りて使用したい等の何らかの事情により、USBケーブル9による外部端末400Aと印字ラベル作成装置1との接続を切り離したとする。この場合、印字ラベル作成装置1のCPU231は、上記ステップSP20によるSTATUS REQUESTコマンドの受信がなくなることから、ステップSP25の判定が満たされなくなり(SP25:NO)、ステップSP30に移る。なお、このときのステップSP25が切断判定手段として機能する。
【0091】
ステップSP30では、印字ラベル作成装置1のCPU231は、上記ステップSP15と同様、USBデバイスドライバとしてマスストレージクラスドライバを選択しFLASH ROM234から読み出す。そして、CPU231は、FLASH ROM234のディスク領域254を外部端末400Bより使用可能な記憶エリアに設定する。これにより、印字ラベル作成装置1は記憶デバイス状態に切り替えられて(反転されて)駆動する。そして、印字ラベル作成装置1が外部端末400BとUSBケーブル9を介して接続された場合において(後述)、外部端末400Bより記憶デバイスとして認識され、印字ラベル作成装置1のFLASH ROM234のディスク領域254に記憶されているデータを外部端末400Bより使用することが可能となる。その後、ステップSP35に移る。なお、上記ステップSP30が各請求項記載の反転手段として機能する。
【0092】
この状態で、上記別のユーザが、USBケーブル9によって改めて外部端末400Bと印字ラベル作成装置1とを接続すると、印字ラベル作成装置1と外部端末400Bとの間で、上記PnP通信が実行される。このPnP通信では、上記同様、ホストとして機能する外部端末400BのCPU402が、ターゲットとして機能する印字ラベル作成装置1の状態を把握するための通信が実行される。具体的には、外部端末400BのCPU402が、ステップSC40において、印字ラベル作成装置1の種類を確認するためのUNIT TEST READYコマンド(第1コマンド信号)を生成し、USBケーブル9を介して印字ラベル作成装置1へ送信する。なおCPU402は、上記ステップSC40の前のステップSC30において、詳細を後述するクイックエディタ実行ファイル受信に関するフラグFbを0に初期化している。上記UNIT TEST READYコマンドを受信すると、印字ラベル作成装置1のCPU231は、ステップSP35で、印字ラベル作成装置1の種類等を表す応答信号を生成し、USBケーブル9を介して外部端末400Bへと送信する。これにより、外部端末400BのCPU402は、接続された印字ラベル作成装置1の種類と、当該印字ラベル作成装置1の駆動状態が記憶デバイス状態となっておりFLASH ROM234のディスク領域254を記憶デバイスとして使用可能な状態であること、とを認識する。
【0093】
図17(a)に、上記UNIT TEST READYコマンドのパケット構成の一例を示す。このパケットは、上記図16(a)のSTATUS REQUESTコマンドと同様、図17(a)に示すように、順に「SOP」、「ヘッダ」、「コマンド本体」、「CRC16」、「EOP」の各部によって構成されている。この例の「コマンド本体」は、印字ラベル作成装置1の種類(機種)を確認するためのコマンドコードであり、この例では31バイトのデータ量を含んでいる。
【0094】
図17(b)に、上記UNIT TEST READYコマンドに対する応答信号(レスポンス)のパケット構成の一例を示す。このパケットは、図17(b)に示すように、順に「SOP」、「ヘッダ」、「機種データ」、「CRC16」、「EOP」の各部によって構成されている。「機種データ」は、印字ラベル作成装置1の種類(機種)や構成を通知するためのコードであり、この例では13バイトのデータ量を含んでいる。
【0095】
図15に戻り、上記のPnP通信が終了すると、印字ラベル作成装置1のCPU231は、ステップSP40に移り、上記ステップSP35でのPnP通信において、UNIT TEST READYコマンドが受信されていたかどうかを判定する。UNIT TEST READYコマンドが受信されていない場合はステップSP40の判定が満たされず、上記ステップSP15に戻って同様の手順を繰り返す。上記のように外部端末400Bに対し接続されている状態でUNIT TEST READYコマンドが受信されている間は、ステップSP40の判定が満たされ、後述のステップSP45に移る。ステップSP45では、CPU231は、上記フラグFaが1であるかどうかを判定する。最初は上記のようにFaは0に初期化されているのでステップSP45の判定が満たされず、ステップSP50に移る。なお、上記ステップSP35でのUNIT TEST READYコマンドの送信は、例えばある周期で定期的に行われており、ステップSP40では、この定期的に送信されるUNIT TEST READYコマンドの有無を確認する。
【0096】
一方、外部端末400BのCPU402は、上記のPnP通信が終了すると、ステップSC50に移る。ステップSC50では、CPU402は、上記フラグFbが1であるかどうかを判定する。最初は上記のようにFbは0に初期化されているのでステップSC50の判定が満たされず、ステップSC60に移る。
【0097】
ここで、上記のように印字ラベル作成装置1の駆動状態が記憶デバイス状態となっている場合、前述したように、外部端末400BのCPU402は、クイックエディタを起動する必要がある。前述したように、クイックエディタの実行プログラムはFLASH ROM234のディスク領域254に記憶されていることから、外部端末400Bは、クイックエディタ実行ファイルを印字ラベル作成装置1より取得してRAM404にコピーしなければならない。そこでCPU402は、ステップSC60で、クイックエディタ実行ファイルを外部端末400より取得するために、USBケーブル9を介し、印字ラベル作成装置1に対してクイックエディタ実行ファイルの送信要求パケットを送信する。
【0098】
このとき、印字ラベル作成装置1のCPU231は、ステップSP50において、外部端末400Bよりクイックエディタ実行ファイルの送信要求パケットが受信されたかどうかを判定して待機しており、送信要求パケットが受信されると、ステップSP50の判定が満たされて(SP50:YES)、ステップSP55へ移る。
【0099】
ステップSP55では、CPU231は、FLASH ROM234のディスク領域254に記憶された状態のクイックエディタ実行ファイルを、USBケーブル9を介して外部端末400Bに対して送信する。その後CPU231は、ステップSP60で、上記Faを、クイックエディタ実行ファイル送信済みを表すFa=1とし、ステップSP35に戻って同様の手順を繰り返す。
【0100】
一方、外部端末400BのCPU402は、ステップSC70において、上記印字ラベル作成装置1より送信されたクイックエディタ実行ファイルを受信し、受信したクイックエディタ実行ファイルをRAM404に記憶する。これにより、上記別のユーザが外部端末400Bにてクイックエディタを使用し、印刷データを作成することが可能な状態となる。その後、CPU402は、ステップSC80において、RAM404に記憶したクイックエディタ実行ファイルを起動する。これにより、上記別のユーザは、外部端末400Bにおいて操作部402の操作によりクイックエディタを用いた印刷データの作成処理を実行可能となる。
【0101】
なお、クイックエディタを使用することにより作成された印刷データは印字ラベル作成装置1に転送され、FLASH ROM234のディスク領域254に直接記憶される。この状態で、印字ラベル作成装置1にて印刷データに基づいた印刷処理が実行可能な状態となる。そして、上記別のユーザからの印刷指示を受け付けたとき、印字ラベル作成装置1では、FLASH ROM234のディスク領域254に記憶された状態の印刷データに基づき、駆動回路243及び駆動回路244の制御によってサーマルヘッド32及びプラテンローラ35が駆動され、ロールシート3Aへの印刷が実行される。その後CPU402は、ステップSC90で、上記Fbを、クイックエディタ実行ファイル受信済みを表すFb=1とし、ステップSP35に戻って同様の手順を繰り返す。
【0102】
以上のようにして、印字ラベル作成装置1が記憶デバイス状態となった駆動状態で、外部端末400Bより印字ラベル作成装置1のFLASH ROM234のディスク領域254に記憶されているクイックエディタ実行ファイルを使用することができる。これにより、外部端末400Bにてクイックエディタによる印刷データの作成が可能となるので、予め外部端末400Bに印刷データの作成プログラムがインストールされていない環境であっても、印字ラベル作成装置1に外部端末400Bを接続することにより、外部端末400Bにて印刷データを作成することができる。そして、印字ラベル作成装置1は外部端末400Bより記憶デバイスとして認識されているので、ドライバのプリインストールなしに、印字ラベル作成装置1に印刷データを記憶させることが可能となる。これにより、容易に印字ラベル作成装置1に印刷処理を実行させることができる。
【0103】
以上のようにして、一時的に印字ラベル作成装置1を借りて自分の所望する印字ラベルを作成した上記別のユーザ(外部端末400Bを保有するユーザ)が、もとのユーザ(外部端末400Aを保有するユーザ)に印字ラベル作成装置1を戻すために、USBケーブル9による外部端末400Bと印字ラベル作成装置1との接続を切り離したとする。この場合、上記ステップSP40によるUNIT TEST READYコマンドの受信がなくなることからステップSP40の判定が満たされず(SP40:NO)、ステップS15に戻ってさらにステップSP20に移る。その後、印字ラベル作成装置1と外部端末400Aとが再びUSBケーブル9によって接続されることで、ステップSP20のPnP通信においてSTATUS REQUESTコマンドが受信されてステップSP25の判定が満たされ、これによって印字ラベル作成装置1のCPU231は、再びステップSP15に戻り、以降同様の手順を繰り返す。このときの上記ステップSP20が上記同様各請求項記載の通信手段として機能すると共に検出手段としても機能し、上記ステップSP25が接続判定手段として機能し、ステップSP15が復帰手段として機能する。
【0104】
以上説明したように、本実施形態の印字ラベル作成装置1においては、ステップSP20での通信結果に基づいて、印字ラベル作成装置1と外部端末400A,400BとのUSBケーブル9を介した接続状態又は切断状態が判定される。そして、上記の例では外部端末400Aとの接続状態から切断状態となった場合には、駆動状態を、その時点での状態から別の状態へ(上記の例では印刷デバイス状態から記憶デバイス状態)へと反転させる。これにより、上述したようにもとのユーザに代わって新たに別のユーザが使用する場合において、当該別のユーザが(外部端末400Bや印字ラベル作成装置1における)手動操作で印字ラベル作成装置1の駆動状態を切り替える手間や労力をなくし、利便性を向上することができる。
【0105】
なお、上記では、外部端末400Aとの接続状態から切断状態に切り替わったときに、印字ラベル作成装置1を初期状態である印刷デバイス状態から記憶デバイス状態へと反転させたが、これに限られない。すなわち、初期状態が記憶デバイス状態となっており、これを印刷状態へと反転させるようにしてもよい。この場合も、上記同様、労力負担を低減し利便性を向上できる効果を得る。
【0106】
また、本実施形態では特に、外部端末400Bを保有する上記別のユーザが印字ラベル作成装置1を一時的に借用して使用し、使用が終わったら外部端末400Aを保有するもとのユーザに返却する際に対応している。すなわち、外部端末400Bとの切断状態にあることがステップSP40で認識され(ステップSP40:NO)た後、ステップSP15に戻り、駆動状態が上記切替前の状態(言い換えればもとのユーザの使用に対応した駆動状態。上記の例では印刷デバイス状態)へと復帰し、かつ、外部端末400Aとの接続状態にあることがステップSP25で認識される(SP25:YES)。これにより、もとのユーザに代わって一時的に新たに別のユーザが使用した後、再びもとのユーザに返却されて使用される場合において、当該別のユーザやもとのユーザが(外部端末400Aや印字ラベル作成装置1における)手動操作で駆動状態を切り替える手間や労力をなくし、利便性を向上することができる。
【0107】
また、本実施形態では特に、印字ラベル作成装置1の初期状態を印刷デバイス状態としておき、外部端末400Aとの接続状態から切断状態に切り替わったときに、記憶デバイス状態へと反転させる。これには以下のような意義がある。すなわち、上述のように、本来のもとのユーザに代わって別のユーザが一時的に印字ラベル作成装置1を借用して使用する場合、少なくとも当該別のユーザは、簡単な操作で手軽にかつ迅速に印刷を行いたい意図である(すなわち記憶デバイス状態での使用を意図している)可能性が高い。逆に、もとのユーザは本来の使用主であることから、意図する所望の態様の印刷を高精度に実行したい意図である(すなわち印刷デバイス状態での使用を意図している)可能性が高い。
【0108】
そこで本実施形態においては、印字ラベル作成装置1の駆動状態の初期設定を印刷デバイス状態とし、切断状態の検出に応じて印刷デバイス状態から記憶デバイス状態に反転し、使用後の接続状態の検出に応じて再び記憶デバイス状態から印刷デバイス状態へ復帰する。これにより、上記の使用態様の変化に対応した駆動状態の切り替えを自動的に行うことができるので、さらに確実に利便性を向上することができる。
【0109】
また、本実施形態では特に、外部端末400が記憶デバイス状態時に定期的に送信する、印字ラベル作成装置1の種類を確認するためのUNIT TEST READYコマンド、又は、印字ラベル作成装置1が印刷デバイス状態時に出力する、ステータスを確認するためのSTATUS REQUESTコマンドの受信によって、当該外部端末に接続された状態であることを検出する。これにより、外部端末400からのコマンドの受信の有無に基づき、外部端末400と接続された状態を確実に検出することができる。
【0110】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0111】
(1)駆動状態の初期設定をEEPROMに記憶する場合
上記実施形態においては、印字ラベル作成装置1の駆動状態の初期設定を印刷デバイス状態とする際、当該設定をどのように記憶するのか特に触れなかったが、この設定を、印字ラベル作成装置1の上記EEPROM235に記憶するようにしてもよい。
【0112】
(2)ボタンにより駆動状態を切替可能とする場合
すなわち、上記実施形態のように外部端末400A,400Bとの接続・切断の検出に応じて自動的に駆動状態を切り替えるのに加え、フロントカバー6に設けた上記切替ボタン7Dによって手動操作により切り替え可能としてもよい。その際、ある程度長い所定の時間(例えば数秒など)、長押しすることを条件に切り替え可能としてもよい。これにより、駆動状態が容易には切り替わらないようにすることができる。
【0113】
(3)3つ以上の駆動状態を順次切り替える場合
上記実施形態においては、印刷デバイス状態及び記憶デバイス状態の2つの駆動状態相互における切り替えを行ったが、これに限られない。すなわち、上記以外の駆動状態をさらに適宜に設け、外部端末400A,400Bとの接続・切断の検出に応じて、それら3つ以上の駆動状態を(予め定めた適宜の順番に沿い)順々に切り替えるようにしてもよい。
【0114】
(4)外部端末からの切替制御コマンドでも切替可能とする場合
すなわち、上記実施形態のように外部端末400A,400Bとの接続・切断の検出に応じて自動的に駆動状態を切り替えるのに加え、さらに外部端末400A,400Bの適宜の操作により生成され出力される適宜の切替制御コマンド信号によって切り替え可能としてもよい。その際、当該切替制御コマンド信号として、当該信号を印字ラベル作成装置1が受信したら即座に駆動状態の切り替えが実行される第1のコマンド信号と、当該信号を受信した後に印字ラベル作成装置1が再起動したときに駆動状態の切り替えが実行される第2のコマンド信号、の2種類を用意し、適宜に使い分けるようにしてもよい。例えば、製造の際に、印刷デバイス状態及び記憶デバイス状態のうち例えば検査工程などに都合のよい駆動状態にしておき、出荷直前に第2のコマンド信号を受信させておくことで、出荷後の起動時には上記第2のコマンド信号により切り替えられた駆動状態とすることができる。この結果、機械的なスイッチを操作して出荷直前に駆動状態を切り替える場合に比べ、製造時の生産性を向上できる。また、上記開閉カバー検出スイッチ18の検出結果も参照し、開閉カバー5が閉じ状態である場合にのみ上記切替制御コマンド信号による切り替えを有効とし、開閉カバー5が開き状態である場合には上記切替制御コマンド信号による切り替えを無効とする(無視する)ようにしてもよい。あるいは、開閉カバー5の状態に代え、アイドル状態である場合にのみ上記切替制御コマンド信号による切り替えを有効としてもよい。
【0115】
(5)オートパワーオフと連動させる場合
すなわち、上記実施形態のような駆動状態の自動切替を行う場合や、上記変形例で種々記載した態様で駆動状態を切り替える場合に、当該切替時に、オートパワーオフの設定時間を初期化する(それまでのユーザによる設定を無効化しデフォルト値とする)ようにしてもよい。
【0116】
なお、上記は、印刷装置として、被印字ラベル(被印字テープ)に所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置に対し、本発明を適用したが、これに限られない。例えば、バッテリ電源により駆動される携帯用プリンタや、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり文字を印刷するプリンタ等の、他のタイプの印刷装置に本発明を適用してもよい。これらの場合も同様の効果を得る。
【0117】
なお、図11、図14等に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0118】
なお、上記図15のシーケンスは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0119】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0120】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0121】
1 印字ラベル作成装置(印刷装置)
9 USBケーブル
32 サーマルヘッド(印刷手段)
400A 外部端末
400B 外部端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末と通信を行う通信手段と、印刷データを印刷する印刷手段と、を有する印刷装置であり、かつ、
前記通信手段と前記外部端末との通信時において、当該外部端末に前記印刷装置を記憶デバイスとして認識させる記憶デバイス状態、及び、当該外部端末に前記印刷装置を印刷デバイスとして認識させる印刷デバイス状態、の2つのうちいずれか一方の駆動状態を選択的に実行可能な印刷装置であって、
前記通信手段が前記外部端末に接続された状態であることを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記通信手段が、前記外部端末への接続状態から当該接続の切断状態へと切り替わったか否かを判定する切断判定手段と、
前記切断判定手段により前記通信手段が前記切断状態へ切り替わったと判定された場合には、前記駆動状態を、前記記憶デバイス状態及び前記印刷デバイス状態のうちいずれか一方から他方へと反転させる反転手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記反転手段による前記駆動状態の反転が行われた状態で、前記検出手段の検出結果に基づき、前記通信手段が前記切断状態から前記接続状態へと切り替わったか否かを判定する接続判定手段と、
前記接続判定手段により前記通信手段が前記接続状態へ切り替わったと判定された場合に、前記駆動状態を、前記記憶デバイス状態及び前記印刷デバイス状態のうち前記他方から前記一方へと復帰させる復帰手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
当該印刷装置は、
前記一方の駆動状態としての前記印刷デバイス状態に初期設定されており、
前記反転手段は、前記切断判定手段により前記通信手段が前記切断状態へ切り替わったと判定された場合には、前記駆動状態を、前記印刷デバイス状態から前記記憶デバイス状態へと反転させ、
前記復帰手段は、前記接続判定手段により前記通信手段が前記接続状態へ切り替わったと判定された場合には、前記駆動状態を、前記記憶デバイス状態から前記印刷デバイス状態へと復帰させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記通信手段は、
USB(Universal Serial Bus)デバイスドライバを使用し、USBを介して前記外部端末と通信を行い、
駆動状態が前記記憶デバイス状態となっている場合には、前記USBデバイスドライバとしてマスストレージクラスドライバを使用し、
前記駆動状態が印刷デバイス状態となっている場合には、前記USBデバイスドライバとしてプリンタクラスドライバを使用する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷装置において、
前記検出手段は、
前記外部端末が定期的に送信する、前記印刷装置が記憶デバイス状態時に出力する第1コマンド信号又は前記印刷装置が印刷デバイス状態時に出力するステータスを確認するための第2コマンド信号を前記通信手段が受信したことによって、当該通信手段が前記外部端末に接続された状態であることを検出する
ことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−10222(P2013−10222A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143501(P2011−143501)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】