印刷装置
【課題】外部から受信したテンプレート印刷データを不揮発性記憶装置に記憶するために、不揮発性記憶装置に記憶されているテンプレート印刷データを保持しつつ、不揮発性記憶装置に空き領域を確保できる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、テンプレート記憶領域431を有するフラッシュROM43と退避記憶領域441を有するRAM44とを備えている。PC30からテンプレート印刷データを受信する際に、テンプレート記憶領域431には空きが不足していて記憶できない場合がある。この場合、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データから移動印刷データを決定し、退避記憶領域441に移動し、記憶させる。これにより、受信したテンプレート印刷データは、テンプレート記憶領域431に記憶させることが可能となる。
【解決手段】印刷装置1は、テンプレート記憶領域431を有するフラッシュROM43と退避記憶領域441を有するRAM44とを備えている。PC30からテンプレート印刷データを受信する際に、テンプレート記憶領域431には空きが不足していて記憶できない場合がある。この場合、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データから移動印刷データを決定し、退避記憶領域441に移動し、記憶させる。これにより、受信したテンプレート印刷データは、テンプレート記憶領域431に記憶させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置から受信した印刷データを受信し、その印刷データに基づいて印刷媒体に印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体となるラベルテープに印刷を行う印刷装置が知られている。このラベルテープで使用される印刷データには、印刷装置で入力された文字や数字などを印刷するための印刷データと、定型フォーム、飾り枠、図形などを印刷するための印刷データとがある。定型フォーム、飾り枠、図形などを印刷するための印刷データは、印刷装置に内蔵されている不揮発性記憶メモリ(例えばフラッシュメモリ)に記憶される。この印刷データをテンプレート印刷データと呼ぶ。
【0003】
特許文献1には、この印刷装置で印刷するためのテンプレート印刷データを送信するテンプレート印刷データ作成装置、及びテンプレート印刷データを準備するプログラムが開示されている。テンプレート印刷データ作成装置は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等が用いられる。この印刷装置は、テンプレート印刷データをテンプレート印刷データ作成装置から受信し、不揮発性記憶メモリに記憶する。不揮発性記憶メモリに記憶されたテンプレート印刷データは、印刷装置の電源をオフしても、不揮発性記憶メモリから消えることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−15846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不揮発性記憶メモリの空き領域が不足し、上記テンプレート印刷データを記憶できない場合は、ユーザからの指示により、不揮発性記憶メモリに記憶されているテンプレート印刷データを削除する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、外部から受信したテンプレート印刷データを不揮発性記憶装置に記憶するために、不揮発性記憶装置に記憶されているテンプレート印刷データを保持しつつ、不揮発性記憶装置に空き領域を確保できる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係る印刷装置は、印刷データに基づき、印刷媒体に印刷を行う印刷装置であって、外部装置から前記印刷データを受信する受信手段と、前記印刷データを恒常的に記憶する不揮発性記憶手段と、前記印刷データを一時的に記憶する揮発性記憶手段と、前記印刷媒体の種類を検出する種類検出手段と、前記種類検出手段によって検出された前記印刷媒体の種類ごとに、前記印刷媒体の使用頻度を記憶する使用頻度記憶手段と、前記受信手段が前記印刷データを受信した場合に、前記不揮発性記憶手段の空き領域のサイズを検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された空き領域のサイズと、前記受信手段が受信した前記印刷データのサイズとを比較し、前記空き領域が不足しているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が、前記空き領域が不足していないと判断した場合、前記印刷データを前記不揮発性記憶手段に記憶させる第一記憶制御手段と、前記判断手段が、前記空き領域が不足していると判断した場合、前記不揮発性記憶手段に記憶されている印刷データについて、前記印刷媒体の種類ごとの使用頻度を前記使用頻度記憶手段から取得する使用頻度取得手段と、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度に基づき、前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの中から前記揮発性記憶手段に移動させる印刷データである移動印刷データを決定する移動印刷データ決定手段と、前記移動印刷データ決定手段によって決定された前記移動印刷データを前記揮発性記憶手段に移動させるデータ移動手段と、前記データ移動手段による移動によって前記不揮発性記憶手段に生じた空き領域に、前記受信手段が受信した印刷データを記憶させる第二記憶制御手段とを備えている。
【0008】
第一態様に係る印刷装置では、印刷媒体ごとの使用頻度の低い印刷データを移動印刷データとして決定し、不揮発性記憶手段から揮発性記憶手段に移動させ、揮発性記憶手段に記憶させる。これにより、不揮発性記憶手段に空き領域が生じるので、外部装置から受信した印刷データを不揮発性記憶手段に記憶させることができる。また、印刷装置の電源がオンされている間や、印刷装置にバックアップ用の電池が備えられている間は、揮発性記憶領域に記憶した印刷データを保持することができる。
【0009】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの印刷頻度を記憶する印刷頻度記憶手段を備えてもよい。前記移動印刷データ決定手段は、前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記印刷頻度記憶手段に記憶された前記印刷頻度に基づき、前記移動印刷データを決定してもよい。これにより、印刷媒体ごとの使用頻度に基づいて移動印刷データを決定することができない場合、印刷データごとの印刷頻度に基づいて、移動印刷データを決定することができる。
【0010】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データのサイズを記憶する印刷データサイズ記憶手段を備えてもよい。前記移動印刷データ決定手段は、前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記印刷データサイズ記憶手段に記憶された前記サイズに基づき、前記移動印刷データを決定してもよい。これにより、印刷媒体ごとの使用頻度に基づいて移動印刷データを決定することができない場合、印刷データごとのサイズに基づいて、移動印刷データを決定することができる。
【0011】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データのうち、前記印刷データの代替となる代替印刷データの有無を判断する代替印刷データ判断手段を備えてもよい。前記移動印刷データ決定手段は、前記代替印刷データ判断手段が、前記代替印刷データが有ると判断した場合、前記代替印刷データを、前記移動印刷データとして決定してもよい。これにより、印刷媒体ごとの使用頻度に基づいて印刷データを決定することができない場合、代替印刷データの有無に基づいて移動印刷データを決定することができる。
【0012】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの意味内容を示す属性の情報である属性情報を記憶する属性情報記憶手段を備えてもよい。前記代替印刷データ判断手段は、前記属性情報記憶手段が記憶した前記属性情報に基づいて、前記代替印刷データの有無を判断してもよい。これにより、印刷媒体ごと使用頻度に基づいて印刷データを決定することができない場合、印刷データの意味内容を示す属性である属性情報に基づいて移動印刷データを決定することができる。
【0013】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データに含まれる言語の種別を示す言語情報を記憶する言語情報記憶手段を備えてもよい。前記代替印刷データ判断手段は、前記言語情報記憶手段が記憶した前記言語情報に基づいて、前記代替印刷データの有無を判断してもよい。これにより、印刷媒体ごと使用頻度に基づいて印刷データを決定することができない場合、印刷データに含まれる言語の種別を示す言語情報に基づいて移動印刷データを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】カバー6が閉じられた状態の印刷装置1及びPC30の斜視図である。
【図2】カバー6が開かれた状態の印刷装置1及びテープカセット20の斜視図である。
【図3】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】テープ使用頻度テーブル4321の概念図である。
【図5】第一テンプレート印刷データテーブル4331の概念図である。
【図6】新規印刷データ記憶制御処理のフローチャートである。
【図7】移動印刷データ決定処理のフローチャートである。
【図8】移動印刷データ選択処理のフローチャートである。
【図9】移動印刷データ選択処理の変形例1のフローチャートである。
【図10】第二テンプレート印刷データテーブル4332の概念図である。
【図11】移動印刷データ選択処理の変形例2のフローチャートである。
【図12】第三テンプレート印刷データテーブル4333の概念図である。
【図13】移動印刷データ選択処理の変形例3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態である印刷装置1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明するために用いるものであり、記載している装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。なお、以下説明において、図1、図2の左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、各々、印刷装置1の前方、後方、右方、左方とする。
【0016】
図1に示す印刷装置1は、テープカセット20(図2参照)に収納されたラベルテープに印刷するラベルプリンタである。テープカセット20から引き出されたラベルテープの印刷面に、サーマルヘッド10(図3参照)において印刷される。印刷装置1は、パーソナルコンピュータ30(以下、PC30と呼ぶ)に接続されている。PC30は、テンプレート印刷データを作成し、印刷装置1に送信する。印刷装置1は、PC30(図3参照)からテンプレート印刷データを受信し、後述する不揮発性記憶メモリであるフラッシュROM43(図3参照)に記憶することができる。
【0017】
先ず、印刷装置1の構造について簡単に説明する。図1、図2に示すように、印刷装置1の上面の前部には、キーボード3が設けられている。キーボード3は、キャラクタ(例えば、文字、記号、数字など)を入力するためのものである。キーボード3の後ろ側には、機能キー群4が設けられている。機能キー群4は、電源キー、決定キー、印刷キーなどを含んでいる。なお、以下説明では、キーボード3と機能キー群4を総称して、入力部91という。機能キー群4の後方には、ディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5は平面視横長の長方形状である。ディスプレイ5は、各種設定画面、キーボード3で入力したキャラクタ、テンプレート印刷データ等を表示する。ディスプレイ5には、カラーの表示素子が使用されているが、白黒やグレースケールの表示素子が使用されていてもよい。
【0018】
印刷装置1の上面の後部には、カバー6が設けられている。カバー6は平面視長方形状である。カバー6の後端部は、印刷装置1の上面の後部に軸支されている。カバー6は後端部を中心に開閉可能である。図2に示すように、カバー6を上方に開くと、カセット装着部8が露出する。カセット装着部8にはテープカセット20が着脱可能に装着される。テープカセット20はラベルテープ、及びインクリボン(図示略)を収納している。ユーザはカバー6を開いた状態でカセット装着部8にテープカセット20を装着する。カセット装着部8には、カセット識別部50(図3参照)が設けられている。カセット識別部50は、テープカセット20の種類を識別する。
【0019】
さらに、カセット装着部8には、印刷機構(図示略)、テープ送り機構(図示略)、及びカッター機構(図示略)等がそれぞれ設けられている。印刷機構は、サーマルヘッド10(図3参照)を備えている。サーマルヘッド10は、テープカセット20から引き出されたラベルテープの印刷面に印刷を行う。
【0020】
テープ送り機構は、リボン巻取軸9及びテープ駆動軸(図示略)を備えている。リボン巻取軸9は、カセット装着部8に立設されている。リボン巻取軸9は、リボンスプール(図示略)から引き出されて印刷に使用された後のインクリボン(図示略)を巻取る。テープ駆動軸は、テープカセット20からラベルテープを引き出し、サーマルヘッド10(図3参照)で印刷されたラベルテープを外部に送出する。カッター機構は、周知の構造であり、移動刃と固定刃とを備える。ユーザの操作により、移動刃が固定刃に向かって移動し、印刷済みのラベルテープを幅方向に切断する。
【0021】
図2に示すように、印刷装置1の左後方には、テープ送出口7が設けられている。テープ送出口7は、後述するカット機構で切断された印刷済みのラベルテープを送出する。テープ送出口7の近傍にはテープトレイ7Aが設けられている。テープトレイ7Aは、テープ送出口7から送出された印刷済みのラベルテープを受ける。
【0022】
次に、図3を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。印刷装置1は、CPU41、ROM42、フラッシュROM43、RAM44、液晶駆動回路45(以下、LCDC45と呼ぶ)、駆動回路46〜48、カセット識別部50、入力部91、及びUSB I/F92を備えている。CPU41は、印刷装置1の動作を制御する。ROM42、フラッシュROM43、RAM44、LCDC45、駆動回路46〜48、カセット識別部50、入力部91、及びUSB I/F92は、CPU41に電気的に接続されている。
【0023】
ROM42は、プログラム記憶領域421を備えている。プログラム記憶領域421には、CPU41が印刷装置1を制御する為の各種プログラムが記憶されている。
【0024】
フラッシュROM43は不揮発性のメモリである。フラッシュROM43は、テンプレート記憶領域431、テープ使用頻度テーブル記憶領域432、テンプレート印刷データテーブル記憶領域433、及び移動印刷データ候補カウンタ記憶領域434を備えている。
【0025】
テンプレート記憶領域431には、文字、図形、記号などで構成されるテンプレート印刷データの各種パターンが記憶されている。本実施形態では、PC30から受信されたテンプレート印刷データは、テンプレート記憶領域431に記憶される。テープ使用頻度テーブル記憶領域432には、後述するテープ使用頻度テーブル4321(図4参照)が記憶されている。テンプレート印刷データテーブル記憶領域433には、後述する第一テンプレート印刷データテーブル4331(図5参照)と第二テンプレート印刷データテーブル4332(図10参照)、及び第三テンプレート印刷データテーブル4333(図12参照)が記憶されている。移動印刷データ候補カウンタ記憶領域434には、後述する移動印刷データ候補カウンタが記憶される。
【0026】
RAM44は揮発性のメモリである。RAM44は、退避記憶領域441、変数記憶領域442、印刷バッファ443を備えている。退避記憶領域441には、後述する新規印刷データ記憶制御処理の実行中に、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431から移動された移動印刷データが記憶される。なお移動印刷データとは、後述する新規印刷データ記憶制御処理の実行中に、フラッシュROM43からRAM44に移動させるテンプレート印刷データをいう。変数記憶領域442には、後述する変数k、m、nの値が記憶される。印刷バッファ443には、印刷装置1において印刷が実行される際に必要なデータが一時的に記憶される。
【0027】
USB I/F92は、PC30と各種データを送受信する為のインターフェースである。LCDC45は、ディスプレイ5に画像データを出力する為のビデオRAM(図示略)を有する。
【0028】
駆動回路46は、サーマルヘッド10を駆動する為の電子回路である。駆動回路47は、テープ送りモータ24を駆動する為の電子回路である。テープ送りモータ24は、リボン巻取軸9及びテープ駆動軸を回転させる為の駆動源である。駆動回路48は、カッター機構の移動刃(図示略)を動作させるカッターモータ25を駆動する為の電子回路である。
【0029】
カセット識別部50は、印刷装置1のカセット装着部8に装着されたテープカセット20の種類を識別する。テープカセット20の種類が識別されることによって、例えば、ラベルテープの幅、材質、色等を特定することができる。
【0030】
次に、テープ使用頻度テーブル4321について、図4を参照して説明する。テープ使用頻度テーブル4321には、テープ幅、印刷回数、テンプレート印刷データ数がそれぞれ対応づけられて記憶されている。テープ幅の欄には、カセット識別部50で識別されたテープカセット20に収納されているラベルテープの幅が記憶される。図4に示すテープ使用頻度テーブル4321のテープ幅の欄には、6mm、9mm、12mm、18mm、24mm、36mmの6種類がそれぞれ記憶されている。
【0031】
印刷回数の欄には、過去の一定期間内においてそのテープ幅を有するラベルテープに印刷が行われた回数が記憶されている。印刷回数は、印刷されるごとに更新される。テンプレート印刷データ数の欄には、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データの数が、テープの幅ごとにそれぞれ記憶されている。例えば、図4に示すテープ使用頻度テーブル4321には、6mmのテープ幅を有するラベルテープについて、印刷回数は12回、テンプレート印刷データ数は3つであることが記憶されている。
【0032】
ユーザは、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データを、任意に削除することができる。例えば、ユーザがテンプレート印刷データを削除して、ある特定のテープ幅に対応するテンプレート印刷データ数が0になることがある。例えば、図4に示すテープ使用頻度テーブルには、テープ幅9mmのテンプレート印刷データについて、テンプレート印刷データ数として0が記憶されている。
【0033】
次に、第一テンプレート印刷データテーブル4331について、図5を参照して説明する。第一テンプレート印刷データテーブル4331には、登録番号、テープ幅、印刷回数、サイズがそれぞれ対応づけられて記憶されている。登録番号の欄には、第一テンプレート印刷データテーブル4331に登録されている各テンプレート印刷データの登録番号1〜10が記憶されている。テープ幅の欄には、登録番号ごとに、ラベルテープの幅がそれぞれ記憶されている。印刷回数の欄には、過去の一定期間内において各登録番号のテンプレート印刷データが印刷された回数が記憶されている。サイズの欄には、登録番号ごとに、テンプレート印刷データのサイズが記憶されている。単位はKB(キロバイト)である。
【0034】
例えば、図5に示す第一テンプレート印刷データテーブル4331には、登録番号1のテンプレート印刷データについて、テープ幅は12mm、印刷回数は10回、サイズは18KBであることが記憶されている。
【0035】
次に、図6を参照し、印刷装置1のCPU41によって実行される新規印刷データ記憶制御処理について説明する。本処理は、印刷装置1の電源が投入された状態において、CPU41によって、ROM42のプログラム記憶領域421に記憶された「新規印刷データ記憶制御プログラム」が起動され、実行される。なお、印刷装置1で印刷する際に必要なテンプレート印刷データはPC30にて作成され、印刷装置1に送信される。ここでPC30から送信されたテンプレート印刷データを新規印刷データと呼ぶ。
【0036】
先ず、PC30から新規印刷データを受信したか否か判断される(S1)。新規印刷データを受信するまでは(S1:NO)、S1に戻って待機状態となる。新規印刷データを受信したと判断された場合(S1:YES)、その受信された新規印刷データのサイズXが取得される(S2)。次いで、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域のサイズである空きサイズPが取得される(S3)。さらに、サイズXと空きサイズPとの大きさが比較される(S4)。サイズXが空きサイズP以下の場合(S4:NO)、受信した新規印刷データは、そのままテンプレート記憶領域431に記憶される(S9)。その後、S1に戻って、次の新規印刷データを受信するまで(S1:NO)待機状態となる。
【0037】
他方、サイズXが空きサイズPよりも大きいと判断された場合(S4:YES)、新規印刷データを記憶するには空き領域が不足している。これでは、受信された新規印刷データを、テンプレート記憶領域431に記憶できない。そこで、テンプレート記憶領域431の空き領域を確保するために、移動印刷データ決定処理が実行される(S5)。
【0038】
図7を参照して、移動印刷データ決定処理について説明する。本処理は、テンプレート記憶領域431から、退避記憶領域441に移動させるテンプレート印刷データである移動印刷データを決定する処理である。変数k、m、nの値は、変数記憶領域442に記憶される。kは、第一テンプレート印刷データテーブル4331(図5参照)にある登録番号である。mは、移動印刷データ候補カウンタ記憶領域434に記憶されている移動印刷データ候補カウンタで計数された値である。nは、第一テンプレート印刷データテーブル4331にあるテンプレート印刷データの総数である。
【0039】
変数k、m、nが初期化(k=1、m=0、n=0)される(S101)。次いで、テープ使用頻度テーブル記憶領域432に記憶されたテープ使用頻度テーブル4321(図4参照)から、テンプレート印刷データ数が1以上のテープ幅のうち、印刷回数が最も少ないテープ幅Dが取得される(S102)。さらに、テンプレート印刷データテーブル記憶領域433に記憶された第一テンプレート印刷データテーブル4331(図5参照)を参照して、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データの総数nが取得される(S103)。
【0040】
そして、テンプレート記憶領域431から、登録番号がkのテンプレート印刷データのテープ幅が取得される(S104)。さらに、登録番号kのテンプレート印刷データのテープ幅と、テープ幅Dとが一致するか否か判断される(S105)。登録番号がkのテンプレート印刷データのテープ幅と、テープ幅Dとが一致する場合(S105:YES)、移動印刷データの候補として、登録番号kが変数記憶領域442に記憶される(S106)。移動印刷データ候補カウンタの値mが1インクリメントされる(S107)。移動印刷データ候補カウンタで計数されたmの値が、変数記憶領域442に記憶される。
【0041】
次いで、変数記憶領域442に記憶されたnの値とkの値とが比較されて、kはn以上か否か判断される(S109)。kはn未満であると判断された場合(S109:NO)、kが1インクリメントされ(S108)、S104に戻って処理が繰り返される。そして、例えば、登録番号kのテンプレート印刷データのテープ幅と、テープ幅Dとが一致しなかった場合(S105:NO)、変数記憶領域442に記憶されたnの値とkの値とが比較されて、kはn以上か否か判断される(S109)。kはn未満であると判断された場合(S109:NO)、kが1インクリメントされ(S108)、S104に戻って処理が繰り返される。
【0042】
このようにして、S104〜S109の処理が繰り返され、kはn以上であると判断された場合(S109:YES)、第一テンプレート印刷データテーブル4331(図5参照)に登録されている全てのテンプレート印刷データについて比較されたので、変数記憶領域442に記憶されたmが2以上か否か判断される(S110)。例えば、mが1であった場合(S110:NO)、変数記憶領域442に記憶した登録番号kに対応するテンプレート印刷データが移動印刷データに決定され(S112)、図6の新規印刷データ記憶制御処理のフローに戻り、S6の処理に移行される。
【0043】
これとは別に、例えば、mが2以上であった場合(S110:YES)、移動印刷データの候補であるテンプレート印刷データが2つ以上あることになる。そこで、これら複数の移動印刷データの候補の中から一つの移動印刷データを決定するために、移動印刷データ選択処理が実行される(S111)。
【0044】
図8を参照して、移動印刷データ選択処理について説明する。本処理は、移動印刷データの候補となっている複数のテンプレート印刷データにおいて、テンプレート記憶領域431(図3参照)から、退避記憶領域441へ移動される移動印刷データを1つ選択する処理である。先ず、テンプレート印刷データテーブル記憶領域433に記憶されている第一テンプレート印刷データテーブル4331から、m個の移動候補であるテンプレート印刷データの印刷回数が取得される(S201)。
【0045】
例えば、図5の第一テンプレート印刷データテーブル4331において、移動候補のテンプレート印刷データの登録番号は2、5、及び9になる。登録番号2のテンプレート印刷データの印刷回数として2が取得され、登録番号5のテンプレート印刷データの印刷回数として6が取得され、登録番号9のテンプレート印刷データの印刷回数として4が取得される。次いで、取得された各テンプレート印刷データの印刷回数の中から最も少ない回数が抽出さる。抽出された最も少ない印刷回数に対応したテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される(S202)。図5に示す第一テンプレート印刷データテーブル4331の例では、登録番号2のテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される。こうして移動印刷データ選択処理が終了することで、図7の移動印刷データ決定処理が終了し、図6の新規印刷データ記憶制御処理のフローに戻り、S6の処理に移行される。
【0046】
次いで、図6に示すように、移動印刷データ決定処理(S5)で決定された移動印刷データのサイズYが取得される(S6)。次いで、移動印刷データは、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431から、RAM44の退避記憶領域441に移動されて記憶される(S7)。これによりフラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域が大きくなる。そこで、サイズYと空きサイズQの合計は新規印刷データのサイズX以上か否か判断される(S8)。サイズYと空きサイズQの合計がサイズX以上の場合(S8:YES)、新規印刷データがフラッシュROM43のテンプレート記憶領域431に記憶される(S9)。その後、S1に戻って、次の新規印刷データを受信するまで(S1:NO)待機状態となる。
【0047】
これとは反対に、サイズYと空きサイズQの合計がサイズX未満であった場合(S8:NO)、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域はまだ不足している。これでは新規印刷データを、テンプレート記憶領域431に記憶させることができない。この場合、ディスプレイ5にエラーが表示される(S10)。これによりユーザはフラッシュROM43の空き領域を手動で確保する等の対策を迅速に行うことができる。
【0048】
なお、以上説明において、図1の印刷装置1が本発明の「印刷装置」の一例である。図6のS1の処理を実行するCPU41が本発明の「受信手段」の一例である。図3に示すフラッシュROM43が本発明の「不揮発性記憶手段」の一例である。図3に示すRAM44が本発明の「揮発性記憶手段」の一例である。図3に示すカセット識別部50が本発明の「種類検出手段」の一例である。図4に示すテープ使用頻度テーブル4321が記憶されるテープ使用頻度テーブル記憶領域432が「使用頻度記憶手段」の一例である。図6のS3の処理を実行するCPU41が本発明の「検知手段」の一例である。図6のS4の処理を実行するCPU41が本発明の「判断手段」の一例である。図6のS9の処理を実行するCPU41が本発明の「第一記憶制御手段」の一例である。図7のS102の処理を実行するCPU41が本発明の「使用頻度取得手段」の一例である。図7のS112の処理を実行するCPU41が本発明の「決定手段」の一例である。図6のS7の処理を実行するCPU41が本発明の「データ移動手段」の一例である。図6のS9の処理を実行するCPU41が本発明の「第二記憶制御手段」の一例である。図5に示す第一テンプレート印刷データテーブル4331が記憶されるテンプレート印刷データテーブル記憶領域433が本発明の「印刷頻度記憶手段」の一例である。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1では、PC30から新規印刷データを受信した際に、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域が不足している場合、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データの中から移動印刷データが決定される。移動印刷データは、RAM44の退避記憶領域441に移動され、記憶される。印刷頻度が最も低いテープ幅のラベルテープのテンプレート印刷データが、移動印刷データとして決定される。また、印刷頻度が最も低いテープ幅のラベルテープに対応したテンプレート印刷データが複数あった場合、それらのテンプレート印刷データの中で印刷頻度が最も低いテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される。これによりフラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域が拡大するので、受信した新規印刷データをテンプレート記憶領域431に記憶できる。移動印刷データとして、RAM44の退避記憶領域441に移動された印刷データは、印刷装置1の電源がオンされている間は保持されるので、ユーザはそのテンプレート印刷データを使用することができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、図7に示す移動印刷データ決定処理のS110の処理において、移動印刷データの候補であるテンプレート印刷データが2つ以上ある場合(S110:YES)は、移動印刷データ選択処理が実行され、1つの移動印刷データを決定している。上記実施形態では、印刷回数の少ない方のテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定しているが、その他の方法で移動印刷データを決定してもよい。そして、移動印刷データ選択処理の変形例について、以下説明する。
【0051】
まず、図9を参照して、変形例1について説明する。変形例1は、テンプレート印刷データのサイズの大小に基づいて移動印刷データを決定する。まず、第一テンプレート印刷データテーブル4331から、m個の移動印刷データの候補である各テンプレート印刷データのサイズが取得される(S301)。
【0052】
例えば、図5の第一テンプレート印刷データテーブル4331において、図7のS104〜S109の処理により、移動候補のテンプレート印刷データの登録番号が2、5、及び9になる。登録番号2のテンプレート印刷データのサイズとして24が取得され、登録番号5のテンプレート印刷データのサイズとして11が取得され、登録番号9のテンプレート印刷データのサイズとして14が取得される(S301)。次いで、取得された各テンプレート印刷データのサイズの中から最も大きいサイズが抽出され移動印刷データが決定される(S302)。抽出された最も大きなサイズに対応したテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される。図5の例では、登録番号2のテンプレート印刷データが移動印刷データとなる。そして、図7の移動印刷データ決定処理に戻る。その後、図6の新規印刷データ記憶制御処理のフローのS6の処理に戻る。このような変形例1によっても、1つの移動印刷データを決定することができる。
【0053】
以上説明したように、変形例1の印刷装置1は、移動印刷データを決定する際に、テンプレート印刷データのサイズが最も大きいものを移動印刷データとして決定している。サイズの大きいテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定した場合、新規印刷データを記憶するテンプレート記憶領域431の空き領域が大きくなる。
【0054】
なお、上記説明において、図5に示す第一テンプレート印刷データテーブル4331が記憶されるテンプレート印刷データテーブル記憶領域433が本発明の「印刷データサイズ記憶手段」の一例である。
【0055】
次に、図10と図11を参照して、変形例2について説明する。変形例2は、テンプレート印刷データの属性情報に基づいて移動印刷データを決定する。まず、図10を参照して、第二テンプレート印刷データテーブル4332について説明する。第二テンプレート印刷データテーブル4332は、例えば、フラッシュROM43のテンプレート印刷データテーブル記憶領域433(図3参照)に記憶されている。
【0056】
第二テンプレート印刷データテーブル4332には、登録番号、テープ幅、印刷パターン、属性情報がそれぞれ対応づけられて記憶されている。登録番号の欄には、第二テンプレート印刷データテーブル4332に登録されている各テンプレート印刷データの登録番号1〜10が記憶されている。テープ幅の欄には、登録番号ごとに、ラベルテープの幅がそれぞれ記憶されている。印刷パターンの欄には、登録番号ごとに、ラベルテープに印刷される文字、図形、記号、背景などで構成される印刷パターンの種類がそれぞれ記憶されている。属性情報の欄には、テンプレート印刷データの意味内容を示す属性の情報である属性情報が記憶されている。例えば、図10に示す第二テンプレート印刷データテーブル4332には、登録番号1のテンプレート印刷データについて、テープ幅は12mm、印刷パターンはパターン1、属性情報は1であることが記憶されている。
【0057】
図10に示す第二テンプレート印刷データテーブル4332に記憶されているテンプレート印刷データについて例示する。例えば、パターン1は、「さようなら」であり、パターン2は、「また明日」であり、パターン3は、「おはよう」である。
【0058】
また、属性情報1は、「別れの挨拶」の意味内容を示す情報である。属性情報2は、「朝の挨拶」の意味内容を示す情報である。この場合、パターン1は、属性情報1に該当する。パターン2は、属性情報1に該当する。情報1が記憶される。パターン3に対して属性情報2が記憶される。
【0059】
次に、図11を参照して、変形例2の移動印刷データ選択処理について説明する。第二テンプレート印刷データテーブル4332から、m個の移動印刷データの候補である各テンプレート印刷データの属性情報が取得される(S401)。次いで、属性情報が取得されたm個のテンプレート印刷データについて、同じ属性情報を有するテンプレート印刷データが複数あるか否か判断される(S402)。同じ属性情報を有するテンプレート印刷データが複数あると判断された場合(S402:YES)、同じ属性情報を有する複数のテンプレート印刷データのうち、登録番号の最も小さいテンプレート印刷データが、移動印刷データとして決定される(S403)。
【0060】
一方、同じ属性情報を有するテンプレート印刷データが複数ではないと判断された場合(S402:NO)、m個のテンプレート印刷データのうち、登録番号の最も小さいテンプレート印刷データが、移動印刷データとして決定される(S404)。
【0061】
例えば、図10の第二テンプレート印刷データテーブル4332において、図7のS104〜S109の処理により、移動候補のテンプレート印刷データの登録番号が2、5、及び9となる。登録番号2のテンプレート印刷データの属性情報として1が取得され、登録番号5のテンプレート印刷データの属性情報として2が取得され、登録番号9のテンプレート印刷データの属性情報として1が取得される(S401)。次いで、取得されたテンプレート印刷データにおいて、同じ属性情報を有するテンプレート印刷データが複数あるか否か判断される(S402)。
【0062】
登録番号2のテンプレート印刷データと、登録番号9のテンプレート印刷データの2つの属性情報が1であるため(S402:YES)、登録番号の小さい登録番号2のテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される(S403)。そして、図7の移動印刷データ決定処理に戻る。その後、図6の新規印刷データ記憶制御処理のS6の処理に戻る。このような変形例2によっても、1つの移動印刷データを決定することができる。
【0063】
以上説明したように、変形例2の印刷装置1は、移動印刷データを決定する際に、互いに同じ属性情報を有するテンプレート印刷データを、代替が可能なテンプレート印刷データとして取り扱う。よって、代替が可能なテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定する。例えば、RAM44の退避記憶領域441に移動されたテンプレート印刷データは、印刷装置1の電源オフなどにより消去されてしまう場合がある。その場合でも、消去されてしまったテンプレート印刷データと属性が同じテンプレート印刷データが、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431に記憶されている。従って、消去されてしまったテンプレート印刷データの代わりに、上記テンプレート印刷データの印刷を実行することができる。
【0064】
なお、上記説明において、図11に示すS402の処理を実行するCPU41が本発明の「代替印刷データ判断手段」の一例である。図10に示す第二テンプレート印刷データテーブル4332が記憶されるテンプレート印刷データテーブル記憶領域433が本発明の「属性情報記憶手段」の一例である。
【0065】
次に、図12と図13を参照して、変形例3について説明する。変形例3は、テンプレート印刷データの言語情報に基づいて移動印刷データを決定する。まず、図12を参照して、第三テンプレート印刷データテーブル4333について説明する。第三テンプレート印刷データテーブル4333は、例えば、フラッシュROM43のテンプレート印刷データテーブル記憶領域433(図3参照)に記憶されている。
【0066】
第三テンプレート印刷データテーブル4333には、登録番号、テープ幅、印刷パターン、言語情報がそれぞれ対応づけられて記憶されている。登録番号の欄には、第三テンプレート印刷データテーブル4333に登録されている各テンプレート印刷データの登録番号1〜10が記憶されている。テープ幅の欄には、登録番号ごとに、ラベルテープの幅がそれぞれ記憶されている。印刷パターンの欄には、登録番号ごとに、ラベルテープに印刷される文字、図形、記号、背景などで構成される印刷パターンの種類がそれぞれ記憶されている。言語情報の欄には、テンプレート印刷データに含まれる言語の種別を示す言語情報が記憶されている。例えば、図12に示す第三テンプレート印刷データテーブル4333には、登録番号1のテンプレート印刷データについて、テープ幅は12mm、印刷パターンはパターン1、言語情報は1であることが記憶されている。
【0067】
言語情報1は、日本語で表記されたテンプレート印刷データの言語の種別を示す情報である。言語情報2は、英語で表記されたテンプレート印刷データの言語の種別を示す情報である。例えば図12に示すように、登録番号1のテンプレート印刷データの言語情報は1である。故に、登録番号1のテンプレート印刷データは、日本語で表記されたテンプレート印刷データである。登録番号2のテンプレート印刷データの言語情報は1である。故に、登録番号2のテンプレート印刷データは、日本語で表記されたテンプレート印刷データである。登録番号3のテンプレート印刷データの言語情報は2である。故に、登録番号3のテンプレート印刷データは、英語で表記されたテンプレート印刷データである。
【0068】
例えば、テンプレート印刷データが「さようなら」である場合、印刷パターンはパターン1、言語情報は1となる。テンプレート印刷データが「Good bye」である場合、印刷パターンはパターン1、言語情報は2となる。テンプレート印刷データが「また明日」である場合、印刷パターンはパターン2、言語情報は1となる。テンプレート印刷データが「See you tomorrow」である場合、印刷パターンはパターン2、言語情報は2となる。テンプレート印刷データが「おはよう」である場合、印刷パターンはパターン3、言語情報は1となる。テンプレート印刷データが「Good morning」である場合、印刷パターンはパターン3、言語情報は2となる。
【0069】
次に、図12を参照して、変形例3の移動印刷データ選択処理について説明する。第三テンプレート印刷データテーブル4333から、m個の移動印刷データの候補である各テンプレート印刷データの言語情報が取得される(S501)。例えば、図12の第三テンプレート印刷データテーブル4333において、移動候補のテンプレート印刷データの登録番号が2、5、及び9となる。
【0070】
ここで、例えば登録番号2のテンプレート印刷データを「また明日」、登録番号5のテンプレート印刷データを「Good morning」、登録番号9のテンプレート印刷データを「See you tomorrow」と仮定する。登録番号2のテンプレート印刷データの言語情報として1が取得される。登録番号5のテンプレート印刷データの言語情報として2が取得される。登録番号9のテンプレート印刷データの言語情報として2が取得される。
【0071】
登録番号2と、登録番号9のテンプレート印刷データは、互いに言語情報は異なるが、印刷パターンは、共にパターン2である。これらは、互いに言語情報は異なるが、同じ印刷パターンを有するテンプレート印刷データであるため(S502:YES)、登録番号の小さい登録番号2のテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される(S503)。こうして移動印刷データ選択処理が終了し、図7の移動印刷データ決定処理に戻る。その後、図6の新規印刷データ記憶制御処理のS6の処理に戻る。このような変形例3によっても、1つの移動印刷データを決定することができる。
【0072】
一方、互いに言語情報は異なるが、同じ印刷パターンを有するテンプレート印刷データが存在しないと判断された場合(S502:NO)、m個のテンプレート印刷データのうち、登録番号の最も小さいテンプレート印刷データが、移動印刷データとして決定される(S504)。
【0073】
以上説明したように、変形例3の印刷装置1は、移動印刷データを決定する際に、互いに言語情報は異なるが、同じ印刷パターンを有するテンプレート印刷データを、代替が可能なテンプレート印刷データとして取り扱う。よって、代替が可能なテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定する。例えば、RAM44の退避記憶領域441に移動されたテンプレート印刷データは、印刷装置1の電源オフなどにより消去されてしまう場合がある。その場合でも、消去されてしまったテンプレート印刷データに対して言語情報のみ異なるテンプレート印刷データが、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431に記憶されている。従って消去されてしまったテンプレート印刷データの代わりに、上記テンプレート印刷データの印刷を実行することができる。
【0074】
なお、上記説明において、図13に示すS502の処理を実行するCPU41が、本発明の「代替印刷データ判断手段」の一例である。図12に示す第三テンプレート印刷データテーブル4333が記憶されるテンプレート印刷データテーブル記憶領域433が、本発明の「言語情報記憶手段」の一例である。
【0075】
また、上記実施形態のラベルテープは紙媒体であるが、テープ状であれば材質については限定しない。例えば、表面がラミネート加工されているラミネートテープや、布製のテープであってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、移動印刷データ決定処理において、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データの登録番号の小さいものを移動印刷データとして決定している。例えば、登録番号の大きいテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、移動印刷データ決定処理において、はじめに印刷媒体ごとの使用頻度に基づいて、移動印刷データ候補を決定している。例えば、はじめに、各テンプレート印刷データの印刷回数に基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0078】
また、移動印刷データ決定処理のはじめに、各テンプレート印刷データのサイズに基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0079】
また、移動印刷データ決定処理のはじめに、各テンプレート印刷データの属性情報に基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0080】
また、移動印刷データ決定処理のはじめに、各テンプレート印刷データの言語情報に基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0081】
また、移動印刷データ決定処理のはじめに、紙や布などの印刷媒体の材質に基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0082】
また、本実施形態では、新規印刷データを記憶させるためのテンプレート記憶領域431の空き領域が不足している場合(S8:NO)、エラー表示し(S10)、終了している。例えば、テンプレート記憶領域431の空き領域が不足している場合、新規印刷データを記憶させるための領域を確保できるまで、図6の新規印刷データ記憶制御処理におけるS5〜S7の処理を繰り返し実行してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 印刷装置
41 CPU
43 フラッシュROM
44 RAM
50 カセット認識部
4321 テープ使用頻度テーブル
4331 第一テンプレート印刷データテーブル
4332 第二テンプレート印刷データテーブル
4333 第三テンプレート印刷データテーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置から受信した印刷データを受信し、その印刷データに基づいて印刷媒体に印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体となるラベルテープに印刷を行う印刷装置が知られている。このラベルテープで使用される印刷データには、印刷装置で入力された文字や数字などを印刷するための印刷データと、定型フォーム、飾り枠、図形などを印刷するための印刷データとがある。定型フォーム、飾り枠、図形などを印刷するための印刷データは、印刷装置に内蔵されている不揮発性記憶メモリ(例えばフラッシュメモリ)に記憶される。この印刷データをテンプレート印刷データと呼ぶ。
【0003】
特許文献1には、この印刷装置で印刷するためのテンプレート印刷データを送信するテンプレート印刷データ作成装置、及びテンプレート印刷データを準備するプログラムが開示されている。テンプレート印刷データ作成装置は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等が用いられる。この印刷装置は、テンプレート印刷データをテンプレート印刷データ作成装置から受信し、不揮発性記憶メモリに記憶する。不揮発性記憶メモリに記憶されたテンプレート印刷データは、印刷装置の電源をオフしても、不揮発性記憶メモリから消えることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−15846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不揮発性記憶メモリの空き領域が不足し、上記テンプレート印刷データを記憶できない場合は、ユーザからの指示により、不揮発性記憶メモリに記憶されているテンプレート印刷データを削除する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、外部から受信したテンプレート印刷データを不揮発性記憶装置に記憶するために、不揮発性記憶装置に記憶されているテンプレート印刷データを保持しつつ、不揮発性記憶装置に空き領域を確保できる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係る印刷装置は、印刷データに基づき、印刷媒体に印刷を行う印刷装置であって、外部装置から前記印刷データを受信する受信手段と、前記印刷データを恒常的に記憶する不揮発性記憶手段と、前記印刷データを一時的に記憶する揮発性記憶手段と、前記印刷媒体の種類を検出する種類検出手段と、前記種類検出手段によって検出された前記印刷媒体の種類ごとに、前記印刷媒体の使用頻度を記憶する使用頻度記憶手段と、前記受信手段が前記印刷データを受信した場合に、前記不揮発性記憶手段の空き領域のサイズを検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された空き領域のサイズと、前記受信手段が受信した前記印刷データのサイズとを比較し、前記空き領域が不足しているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が、前記空き領域が不足していないと判断した場合、前記印刷データを前記不揮発性記憶手段に記憶させる第一記憶制御手段と、前記判断手段が、前記空き領域が不足していると判断した場合、前記不揮発性記憶手段に記憶されている印刷データについて、前記印刷媒体の種類ごとの使用頻度を前記使用頻度記憶手段から取得する使用頻度取得手段と、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度に基づき、前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの中から前記揮発性記憶手段に移動させる印刷データである移動印刷データを決定する移動印刷データ決定手段と、前記移動印刷データ決定手段によって決定された前記移動印刷データを前記揮発性記憶手段に移動させるデータ移動手段と、前記データ移動手段による移動によって前記不揮発性記憶手段に生じた空き領域に、前記受信手段が受信した印刷データを記憶させる第二記憶制御手段とを備えている。
【0008】
第一態様に係る印刷装置では、印刷媒体ごとの使用頻度の低い印刷データを移動印刷データとして決定し、不揮発性記憶手段から揮発性記憶手段に移動させ、揮発性記憶手段に記憶させる。これにより、不揮発性記憶手段に空き領域が生じるので、外部装置から受信した印刷データを不揮発性記憶手段に記憶させることができる。また、印刷装置の電源がオンされている間や、印刷装置にバックアップ用の電池が備えられている間は、揮発性記憶領域に記憶した印刷データを保持することができる。
【0009】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの印刷頻度を記憶する印刷頻度記憶手段を備えてもよい。前記移動印刷データ決定手段は、前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記印刷頻度記憶手段に記憶された前記印刷頻度に基づき、前記移動印刷データを決定してもよい。これにより、印刷媒体ごとの使用頻度に基づいて移動印刷データを決定することができない場合、印刷データごとの印刷頻度に基づいて、移動印刷データを決定することができる。
【0010】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データのサイズを記憶する印刷データサイズ記憶手段を備えてもよい。前記移動印刷データ決定手段は、前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記印刷データサイズ記憶手段に記憶された前記サイズに基づき、前記移動印刷データを決定してもよい。これにより、印刷媒体ごとの使用頻度に基づいて移動印刷データを決定することができない場合、印刷データごとのサイズに基づいて、移動印刷データを決定することができる。
【0011】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データのうち、前記印刷データの代替となる代替印刷データの有無を判断する代替印刷データ判断手段を備えてもよい。前記移動印刷データ決定手段は、前記代替印刷データ判断手段が、前記代替印刷データが有ると判断した場合、前記代替印刷データを、前記移動印刷データとして決定してもよい。これにより、印刷媒体ごとの使用頻度に基づいて印刷データを決定することができない場合、代替印刷データの有無に基づいて移動印刷データを決定することができる。
【0012】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの意味内容を示す属性の情報である属性情報を記憶する属性情報記憶手段を備えてもよい。前記代替印刷データ判断手段は、前記属性情報記憶手段が記憶した前記属性情報に基づいて、前記代替印刷データの有無を判断してもよい。これにより、印刷媒体ごと使用頻度に基づいて印刷データを決定することができない場合、印刷データの意味内容を示す属性である属性情報に基づいて移動印刷データを決定することができる。
【0013】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データに含まれる言語の種別を示す言語情報を記憶する言語情報記憶手段を備えてもよい。前記代替印刷データ判断手段は、前記言語情報記憶手段が記憶した前記言語情報に基づいて、前記代替印刷データの有無を判断してもよい。これにより、印刷媒体ごと使用頻度に基づいて印刷データを決定することができない場合、印刷データに含まれる言語の種別を示す言語情報に基づいて移動印刷データを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】カバー6が閉じられた状態の印刷装置1及びPC30の斜視図である。
【図2】カバー6が開かれた状態の印刷装置1及びテープカセット20の斜視図である。
【図3】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】テープ使用頻度テーブル4321の概念図である。
【図5】第一テンプレート印刷データテーブル4331の概念図である。
【図6】新規印刷データ記憶制御処理のフローチャートである。
【図7】移動印刷データ決定処理のフローチャートである。
【図8】移動印刷データ選択処理のフローチャートである。
【図9】移動印刷データ選択処理の変形例1のフローチャートである。
【図10】第二テンプレート印刷データテーブル4332の概念図である。
【図11】移動印刷データ選択処理の変形例2のフローチャートである。
【図12】第三テンプレート印刷データテーブル4333の概念図である。
【図13】移動印刷データ選択処理の変形例3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態である印刷装置1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明するために用いるものであり、記載している装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。なお、以下説明において、図1、図2の左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、各々、印刷装置1の前方、後方、右方、左方とする。
【0016】
図1に示す印刷装置1は、テープカセット20(図2参照)に収納されたラベルテープに印刷するラベルプリンタである。テープカセット20から引き出されたラベルテープの印刷面に、サーマルヘッド10(図3参照)において印刷される。印刷装置1は、パーソナルコンピュータ30(以下、PC30と呼ぶ)に接続されている。PC30は、テンプレート印刷データを作成し、印刷装置1に送信する。印刷装置1は、PC30(図3参照)からテンプレート印刷データを受信し、後述する不揮発性記憶メモリであるフラッシュROM43(図3参照)に記憶することができる。
【0017】
先ず、印刷装置1の構造について簡単に説明する。図1、図2に示すように、印刷装置1の上面の前部には、キーボード3が設けられている。キーボード3は、キャラクタ(例えば、文字、記号、数字など)を入力するためのものである。キーボード3の後ろ側には、機能キー群4が設けられている。機能キー群4は、電源キー、決定キー、印刷キーなどを含んでいる。なお、以下説明では、キーボード3と機能キー群4を総称して、入力部91という。機能キー群4の後方には、ディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5は平面視横長の長方形状である。ディスプレイ5は、各種設定画面、キーボード3で入力したキャラクタ、テンプレート印刷データ等を表示する。ディスプレイ5には、カラーの表示素子が使用されているが、白黒やグレースケールの表示素子が使用されていてもよい。
【0018】
印刷装置1の上面の後部には、カバー6が設けられている。カバー6は平面視長方形状である。カバー6の後端部は、印刷装置1の上面の後部に軸支されている。カバー6は後端部を中心に開閉可能である。図2に示すように、カバー6を上方に開くと、カセット装着部8が露出する。カセット装着部8にはテープカセット20が着脱可能に装着される。テープカセット20はラベルテープ、及びインクリボン(図示略)を収納している。ユーザはカバー6を開いた状態でカセット装着部8にテープカセット20を装着する。カセット装着部8には、カセット識別部50(図3参照)が設けられている。カセット識別部50は、テープカセット20の種類を識別する。
【0019】
さらに、カセット装着部8には、印刷機構(図示略)、テープ送り機構(図示略)、及びカッター機構(図示略)等がそれぞれ設けられている。印刷機構は、サーマルヘッド10(図3参照)を備えている。サーマルヘッド10は、テープカセット20から引き出されたラベルテープの印刷面に印刷を行う。
【0020】
テープ送り機構は、リボン巻取軸9及びテープ駆動軸(図示略)を備えている。リボン巻取軸9は、カセット装着部8に立設されている。リボン巻取軸9は、リボンスプール(図示略)から引き出されて印刷に使用された後のインクリボン(図示略)を巻取る。テープ駆動軸は、テープカセット20からラベルテープを引き出し、サーマルヘッド10(図3参照)で印刷されたラベルテープを外部に送出する。カッター機構は、周知の構造であり、移動刃と固定刃とを備える。ユーザの操作により、移動刃が固定刃に向かって移動し、印刷済みのラベルテープを幅方向に切断する。
【0021】
図2に示すように、印刷装置1の左後方には、テープ送出口7が設けられている。テープ送出口7は、後述するカット機構で切断された印刷済みのラベルテープを送出する。テープ送出口7の近傍にはテープトレイ7Aが設けられている。テープトレイ7Aは、テープ送出口7から送出された印刷済みのラベルテープを受ける。
【0022】
次に、図3を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。印刷装置1は、CPU41、ROM42、フラッシュROM43、RAM44、液晶駆動回路45(以下、LCDC45と呼ぶ)、駆動回路46〜48、カセット識別部50、入力部91、及びUSB I/F92を備えている。CPU41は、印刷装置1の動作を制御する。ROM42、フラッシュROM43、RAM44、LCDC45、駆動回路46〜48、カセット識別部50、入力部91、及びUSB I/F92は、CPU41に電気的に接続されている。
【0023】
ROM42は、プログラム記憶領域421を備えている。プログラム記憶領域421には、CPU41が印刷装置1を制御する為の各種プログラムが記憶されている。
【0024】
フラッシュROM43は不揮発性のメモリである。フラッシュROM43は、テンプレート記憶領域431、テープ使用頻度テーブル記憶領域432、テンプレート印刷データテーブル記憶領域433、及び移動印刷データ候補カウンタ記憶領域434を備えている。
【0025】
テンプレート記憶領域431には、文字、図形、記号などで構成されるテンプレート印刷データの各種パターンが記憶されている。本実施形態では、PC30から受信されたテンプレート印刷データは、テンプレート記憶領域431に記憶される。テープ使用頻度テーブル記憶領域432には、後述するテープ使用頻度テーブル4321(図4参照)が記憶されている。テンプレート印刷データテーブル記憶領域433には、後述する第一テンプレート印刷データテーブル4331(図5参照)と第二テンプレート印刷データテーブル4332(図10参照)、及び第三テンプレート印刷データテーブル4333(図12参照)が記憶されている。移動印刷データ候補カウンタ記憶領域434には、後述する移動印刷データ候補カウンタが記憶される。
【0026】
RAM44は揮発性のメモリである。RAM44は、退避記憶領域441、変数記憶領域442、印刷バッファ443を備えている。退避記憶領域441には、後述する新規印刷データ記憶制御処理の実行中に、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431から移動された移動印刷データが記憶される。なお移動印刷データとは、後述する新規印刷データ記憶制御処理の実行中に、フラッシュROM43からRAM44に移動させるテンプレート印刷データをいう。変数記憶領域442には、後述する変数k、m、nの値が記憶される。印刷バッファ443には、印刷装置1において印刷が実行される際に必要なデータが一時的に記憶される。
【0027】
USB I/F92は、PC30と各種データを送受信する為のインターフェースである。LCDC45は、ディスプレイ5に画像データを出力する為のビデオRAM(図示略)を有する。
【0028】
駆動回路46は、サーマルヘッド10を駆動する為の電子回路である。駆動回路47は、テープ送りモータ24を駆動する為の電子回路である。テープ送りモータ24は、リボン巻取軸9及びテープ駆動軸を回転させる為の駆動源である。駆動回路48は、カッター機構の移動刃(図示略)を動作させるカッターモータ25を駆動する為の電子回路である。
【0029】
カセット識別部50は、印刷装置1のカセット装着部8に装着されたテープカセット20の種類を識別する。テープカセット20の種類が識別されることによって、例えば、ラベルテープの幅、材質、色等を特定することができる。
【0030】
次に、テープ使用頻度テーブル4321について、図4を参照して説明する。テープ使用頻度テーブル4321には、テープ幅、印刷回数、テンプレート印刷データ数がそれぞれ対応づけられて記憶されている。テープ幅の欄には、カセット識別部50で識別されたテープカセット20に収納されているラベルテープの幅が記憶される。図4に示すテープ使用頻度テーブル4321のテープ幅の欄には、6mm、9mm、12mm、18mm、24mm、36mmの6種類がそれぞれ記憶されている。
【0031】
印刷回数の欄には、過去の一定期間内においてそのテープ幅を有するラベルテープに印刷が行われた回数が記憶されている。印刷回数は、印刷されるごとに更新される。テンプレート印刷データ数の欄には、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データの数が、テープの幅ごとにそれぞれ記憶されている。例えば、図4に示すテープ使用頻度テーブル4321には、6mmのテープ幅を有するラベルテープについて、印刷回数は12回、テンプレート印刷データ数は3つであることが記憶されている。
【0032】
ユーザは、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データを、任意に削除することができる。例えば、ユーザがテンプレート印刷データを削除して、ある特定のテープ幅に対応するテンプレート印刷データ数が0になることがある。例えば、図4に示すテープ使用頻度テーブルには、テープ幅9mmのテンプレート印刷データについて、テンプレート印刷データ数として0が記憶されている。
【0033】
次に、第一テンプレート印刷データテーブル4331について、図5を参照して説明する。第一テンプレート印刷データテーブル4331には、登録番号、テープ幅、印刷回数、サイズがそれぞれ対応づけられて記憶されている。登録番号の欄には、第一テンプレート印刷データテーブル4331に登録されている各テンプレート印刷データの登録番号1〜10が記憶されている。テープ幅の欄には、登録番号ごとに、ラベルテープの幅がそれぞれ記憶されている。印刷回数の欄には、過去の一定期間内において各登録番号のテンプレート印刷データが印刷された回数が記憶されている。サイズの欄には、登録番号ごとに、テンプレート印刷データのサイズが記憶されている。単位はKB(キロバイト)である。
【0034】
例えば、図5に示す第一テンプレート印刷データテーブル4331には、登録番号1のテンプレート印刷データについて、テープ幅は12mm、印刷回数は10回、サイズは18KBであることが記憶されている。
【0035】
次に、図6を参照し、印刷装置1のCPU41によって実行される新規印刷データ記憶制御処理について説明する。本処理は、印刷装置1の電源が投入された状態において、CPU41によって、ROM42のプログラム記憶領域421に記憶された「新規印刷データ記憶制御プログラム」が起動され、実行される。なお、印刷装置1で印刷する際に必要なテンプレート印刷データはPC30にて作成され、印刷装置1に送信される。ここでPC30から送信されたテンプレート印刷データを新規印刷データと呼ぶ。
【0036】
先ず、PC30から新規印刷データを受信したか否か判断される(S1)。新規印刷データを受信するまでは(S1:NO)、S1に戻って待機状態となる。新規印刷データを受信したと判断された場合(S1:YES)、その受信された新規印刷データのサイズXが取得される(S2)。次いで、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域のサイズである空きサイズPが取得される(S3)。さらに、サイズXと空きサイズPとの大きさが比較される(S4)。サイズXが空きサイズP以下の場合(S4:NO)、受信した新規印刷データは、そのままテンプレート記憶領域431に記憶される(S9)。その後、S1に戻って、次の新規印刷データを受信するまで(S1:NO)待機状態となる。
【0037】
他方、サイズXが空きサイズPよりも大きいと判断された場合(S4:YES)、新規印刷データを記憶するには空き領域が不足している。これでは、受信された新規印刷データを、テンプレート記憶領域431に記憶できない。そこで、テンプレート記憶領域431の空き領域を確保するために、移動印刷データ決定処理が実行される(S5)。
【0038】
図7を参照して、移動印刷データ決定処理について説明する。本処理は、テンプレート記憶領域431から、退避記憶領域441に移動させるテンプレート印刷データである移動印刷データを決定する処理である。変数k、m、nの値は、変数記憶領域442に記憶される。kは、第一テンプレート印刷データテーブル4331(図5参照)にある登録番号である。mは、移動印刷データ候補カウンタ記憶領域434に記憶されている移動印刷データ候補カウンタで計数された値である。nは、第一テンプレート印刷データテーブル4331にあるテンプレート印刷データの総数である。
【0039】
変数k、m、nが初期化(k=1、m=0、n=0)される(S101)。次いで、テープ使用頻度テーブル記憶領域432に記憶されたテープ使用頻度テーブル4321(図4参照)から、テンプレート印刷データ数が1以上のテープ幅のうち、印刷回数が最も少ないテープ幅Dが取得される(S102)。さらに、テンプレート印刷データテーブル記憶領域433に記憶された第一テンプレート印刷データテーブル4331(図5参照)を参照して、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データの総数nが取得される(S103)。
【0040】
そして、テンプレート記憶領域431から、登録番号がkのテンプレート印刷データのテープ幅が取得される(S104)。さらに、登録番号kのテンプレート印刷データのテープ幅と、テープ幅Dとが一致するか否か判断される(S105)。登録番号がkのテンプレート印刷データのテープ幅と、テープ幅Dとが一致する場合(S105:YES)、移動印刷データの候補として、登録番号kが変数記憶領域442に記憶される(S106)。移動印刷データ候補カウンタの値mが1インクリメントされる(S107)。移動印刷データ候補カウンタで計数されたmの値が、変数記憶領域442に記憶される。
【0041】
次いで、変数記憶領域442に記憶されたnの値とkの値とが比較されて、kはn以上か否か判断される(S109)。kはn未満であると判断された場合(S109:NO)、kが1インクリメントされ(S108)、S104に戻って処理が繰り返される。そして、例えば、登録番号kのテンプレート印刷データのテープ幅と、テープ幅Dとが一致しなかった場合(S105:NO)、変数記憶領域442に記憶されたnの値とkの値とが比較されて、kはn以上か否か判断される(S109)。kはn未満であると判断された場合(S109:NO)、kが1インクリメントされ(S108)、S104に戻って処理が繰り返される。
【0042】
このようにして、S104〜S109の処理が繰り返され、kはn以上であると判断された場合(S109:YES)、第一テンプレート印刷データテーブル4331(図5参照)に登録されている全てのテンプレート印刷データについて比較されたので、変数記憶領域442に記憶されたmが2以上か否か判断される(S110)。例えば、mが1であった場合(S110:NO)、変数記憶領域442に記憶した登録番号kに対応するテンプレート印刷データが移動印刷データに決定され(S112)、図6の新規印刷データ記憶制御処理のフローに戻り、S6の処理に移行される。
【0043】
これとは別に、例えば、mが2以上であった場合(S110:YES)、移動印刷データの候補であるテンプレート印刷データが2つ以上あることになる。そこで、これら複数の移動印刷データの候補の中から一つの移動印刷データを決定するために、移動印刷データ選択処理が実行される(S111)。
【0044】
図8を参照して、移動印刷データ選択処理について説明する。本処理は、移動印刷データの候補となっている複数のテンプレート印刷データにおいて、テンプレート記憶領域431(図3参照)から、退避記憶領域441へ移動される移動印刷データを1つ選択する処理である。先ず、テンプレート印刷データテーブル記憶領域433に記憶されている第一テンプレート印刷データテーブル4331から、m個の移動候補であるテンプレート印刷データの印刷回数が取得される(S201)。
【0045】
例えば、図5の第一テンプレート印刷データテーブル4331において、移動候補のテンプレート印刷データの登録番号は2、5、及び9になる。登録番号2のテンプレート印刷データの印刷回数として2が取得され、登録番号5のテンプレート印刷データの印刷回数として6が取得され、登録番号9のテンプレート印刷データの印刷回数として4が取得される。次いで、取得された各テンプレート印刷データの印刷回数の中から最も少ない回数が抽出さる。抽出された最も少ない印刷回数に対応したテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される(S202)。図5に示す第一テンプレート印刷データテーブル4331の例では、登録番号2のテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される。こうして移動印刷データ選択処理が終了することで、図7の移動印刷データ決定処理が終了し、図6の新規印刷データ記憶制御処理のフローに戻り、S6の処理に移行される。
【0046】
次いで、図6に示すように、移動印刷データ決定処理(S5)で決定された移動印刷データのサイズYが取得される(S6)。次いで、移動印刷データは、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431から、RAM44の退避記憶領域441に移動されて記憶される(S7)。これによりフラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域が大きくなる。そこで、サイズYと空きサイズQの合計は新規印刷データのサイズX以上か否か判断される(S8)。サイズYと空きサイズQの合計がサイズX以上の場合(S8:YES)、新規印刷データがフラッシュROM43のテンプレート記憶領域431に記憶される(S9)。その後、S1に戻って、次の新規印刷データを受信するまで(S1:NO)待機状態となる。
【0047】
これとは反対に、サイズYと空きサイズQの合計がサイズX未満であった場合(S8:NO)、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域はまだ不足している。これでは新規印刷データを、テンプレート記憶領域431に記憶させることができない。この場合、ディスプレイ5にエラーが表示される(S10)。これによりユーザはフラッシュROM43の空き領域を手動で確保する等の対策を迅速に行うことができる。
【0048】
なお、以上説明において、図1の印刷装置1が本発明の「印刷装置」の一例である。図6のS1の処理を実行するCPU41が本発明の「受信手段」の一例である。図3に示すフラッシュROM43が本発明の「不揮発性記憶手段」の一例である。図3に示すRAM44が本発明の「揮発性記憶手段」の一例である。図3に示すカセット識別部50が本発明の「種類検出手段」の一例である。図4に示すテープ使用頻度テーブル4321が記憶されるテープ使用頻度テーブル記憶領域432が「使用頻度記憶手段」の一例である。図6のS3の処理を実行するCPU41が本発明の「検知手段」の一例である。図6のS4の処理を実行するCPU41が本発明の「判断手段」の一例である。図6のS9の処理を実行するCPU41が本発明の「第一記憶制御手段」の一例である。図7のS102の処理を実行するCPU41が本発明の「使用頻度取得手段」の一例である。図7のS112の処理を実行するCPU41が本発明の「決定手段」の一例である。図6のS7の処理を実行するCPU41が本発明の「データ移動手段」の一例である。図6のS9の処理を実行するCPU41が本発明の「第二記憶制御手段」の一例である。図5に示す第一テンプレート印刷データテーブル4331が記憶されるテンプレート印刷データテーブル記憶領域433が本発明の「印刷頻度記憶手段」の一例である。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1では、PC30から新規印刷データを受信した際に、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域が不足している場合、テンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データの中から移動印刷データが決定される。移動印刷データは、RAM44の退避記憶領域441に移動され、記憶される。印刷頻度が最も低いテープ幅のラベルテープのテンプレート印刷データが、移動印刷データとして決定される。また、印刷頻度が最も低いテープ幅のラベルテープに対応したテンプレート印刷データが複数あった場合、それらのテンプレート印刷データの中で印刷頻度が最も低いテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される。これによりフラッシュROM43のテンプレート記憶領域431の空き領域が拡大するので、受信した新規印刷データをテンプレート記憶領域431に記憶できる。移動印刷データとして、RAM44の退避記憶領域441に移動された印刷データは、印刷装置1の電源がオンされている間は保持されるので、ユーザはそのテンプレート印刷データを使用することができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、図7に示す移動印刷データ決定処理のS110の処理において、移動印刷データの候補であるテンプレート印刷データが2つ以上ある場合(S110:YES)は、移動印刷データ選択処理が実行され、1つの移動印刷データを決定している。上記実施形態では、印刷回数の少ない方のテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定しているが、その他の方法で移動印刷データを決定してもよい。そして、移動印刷データ選択処理の変形例について、以下説明する。
【0051】
まず、図9を参照して、変形例1について説明する。変形例1は、テンプレート印刷データのサイズの大小に基づいて移動印刷データを決定する。まず、第一テンプレート印刷データテーブル4331から、m個の移動印刷データの候補である各テンプレート印刷データのサイズが取得される(S301)。
【0052】
例えば、図5の第一テンプレート印刷データテーブル4331において、図7のS104〜S109の処理により、移動候補のテンプレート印刷データの登録番号が2、5、及び9になる。登録番号2のテンプレート印刷データのサイズとして24が取得され、登録番号5のテンプレート印刷データのサイズとして11が取得され、登録番号9のテンプレート印刷データのサイズとして14が取得される(S301)。次いで、取得された各テンプレート印刷データのサイズの中から最も大きいサイズが抽出され移動印刷データが決定される(S302)。抽出された最も大きなサイズに対応したテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される。図5の例では、登録番号2のテンプレート印刷データが移動印刷データとなる。そして、図7の移動印刷データ決定処理に戻る。その後、図6の新規印刷データ記憶制御処理のフローのS6の処理に戻る。このような変形例1によっても、1つの移動印刷データを決定することができる。
【0053】
以上説明したように、変形例1の印刷装置1は、移動印刷データを決定する際に、テンプレート印刷データのサイズが最も大きいものを移動印刷データとして決定している。サイズの大きいテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定した場合、新規印刷データを記憶するテンプレート記憶領域431の空き領域が大きくなる。
【0054】
なお、上記説明において、図5に示す第一テンプレート印刷データテーブル4331が記憶されるテンプレート印刷データテーブル記憶領域433が本発明の「印刷データサイズ記憶手段」の一例である。
【0055】
次に、図10と図11を参照して、変形例2について説明する。変形例2は、テンプレート印刷データの属性情報に基づいて移動印刷データを決定する。まず、図10を参照して、第二テンプレート印刷データテーブル4332について説明する。第二テンプレート印刷データテーブル4332は、例えば、フラッシュROM43のテンプレート印刷データテーブル記憶領域433(図3参照)に記憶されている。
【0056】
第二テンプレート印刷データテーブル4332には、登録番号、テープ幅、印刷パターン、属性情報がそれぞれ対応づけられて記憶されている。登録番号の欄には、第二テンプレート印刷データテーブル4332に登録されている各テンプレート印刷データの登録番号1〜10が記憶されている。テープ幅の欄には、登録番号ごとに、ラベルテープの幅がそれぞれ記憶されている。印刷パターンの欄には、登録番号ごとに、ラベルテープに印刷される文字、図形、記号、背景などで構成される印刷パターンの種類がそれぞれ記憶されている。属性情報の欄には、テンプレート印刷データの意味内容を示す属性の情報である属性情報が記憶されている。例えば、図10に示す第二テンプレート印刷データテーブル4332には、登録番号1のテンプレート印刷データについて、テープ幅は12mm、印刷パターンはパターン1、属性情報は1であることが記憶されている。
【0057】
図10に示す第二テンプレート印刷データテーブル4332に記憶されているテンプレート印刷データについて例示する。例えば、パターン1は、「さようなら」であり、パターン2は、「また明日」であり、パターン3は、「おはよう」である。
【0058】
また、属性情報1は、「別れの挨拶」の意味内容を示す情報である。属性情報2は、「朝の挨拶」の意味内容を示す情報である。この場合、パターン1は、属性情報1に該当する。パターン2は、属性情報1に該当する。情報1が記憶される。パターン3に対して属性情報2が記憶される。
【0059】
次に、図11を参照して、変形例2の移動印刷データ選択処理について説明する。第二テンプレート印刷データテーブル4332から、m個の移動印刷データの候補である各テンプレート印刷データの属性情報が取得される(S401)。次いで、属性情報が取得されたm個のテンプレート印刷データについて、同じ属性情報を有するテンプレート印刷データが複数あるか否か判断される(S402)。同じ属性情報を有するテンプレート印刷データが複数あると判断された場合(S402:YES)、同じ属性情報を有する複数のテンプレート印刷データのうち、登録番号の最も小さいテンプレート印刷データが、移動印刷データとして決定される(S403)。
【0060】
一方、同じ属性情報を有するテンプレート印刷データが複数ではないと判断された場合(S402:NO)、m個のテンプレート印刷データのうち、登録番号の最も小さいテンプレート印刷データが、移動印刷データとして決定される(S404)。
【0061】
例えば、図10の第二テンプレート印刷データテーブル4332において、図7のS104〜S109の処理により、移動候補のテンプレート印刷データの登録番号が2、5、及び9となる。登録番号2のテンプレート印刷データの属性情報として1が取得され、登録番号5のテンプレート印刷データの属性情報として2が取得され、登録番号9のテンプレート印刷データの属性情報として1が取得される(S401)。次いで、取得されたテンプレート印刷データにおいて、同じ属性情報を有するテンプレート印刷データが複数あるか否か判断される(S402)。
【0062】
登録番号2のテンプレート印刷データと、登録番号9のテンプレート印刷データの2つの属性情報が1であるため(S402:YES)、登録番号の小さい登録番号2のテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される(S403)。そして、図7の移動印刷データ決定処理に戻る。その後、図6の新規印刷データ記憶制御処理のS6の処理に戻る。このような変形例2によっても、1つの移動印刷データを決定することができる。
【0063】
以上説明したように、変形例2の印刷装置1は、移動印刷データを決定する際に、互いに同じ属性情報を有するテンプレート印刷データを、代替が可能なテンプレート印刷データとして取り扱う。よって、代替が可能なテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定する。例えば、RAM44の退避記憶領域441に移動されたテンプレート印刷データは、印刷装置1の電源オフなどにより消去されてしまう場合がある。その場合でも、消去されてしまったテンプレート印刷データと属性が同じテンプレート印刷データが、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431に記憶されている。従って、消去されてしまったテンプレート印刷データの代わりに、上記テンプレート印刷データの印刷を実行することができる。
【0064】
なお、上記説明において、図11に示すS402の処理を実行するCPU41が本発明の「代替印刷データ判断手段」の一例である。図10に示す第二テンプレート印刷データテーブル4332が記憶されるテンプレート印刷データテーブル記憶領域433が本発明の「属性情報記憶手段」の一例である。
【0065】
次に、図12と図13を参照して、変形例3について説明する。変形例3は、テンプレート印刷データの言語情報に基づいて移動印刷データを決定する。まず、図12を参照して、第三テンプレート印刷データテーブル4333について説明する。第三テンプレート印刷データテーブル4333は、例えば、フラッシュROM43のテンプレート印刷データテーブル記憶領域433(図3参照)に記憶されている。
【0066】
第三テンプレート印刷データテーブル4333には、登録番号、テープ幅、印刷パターン、言語情報がそれぞれ対応づけられて記憶されている。登録番号の欄には、第三テンプレート印刷データテーブル4333に登録されている各テンプレート印刷データの登録番号1〜10が記憶されている。テープ幅の欄には、登録番号ごとに、ラベルテープの幅がそれぞれ記憶されている。印刷パターンの欄には、登録番号ごとに、ラベルテープに印刷される文字、図形、記号、背景などで構成される印刷パターンの種類がそれぞれ記憶されている。言語情報の欄には、テンプレート印刷データに含まれる言語の種別を示す言語情報が記憶されている。例えば、図12に示す第三テンプレート印刷データテーブル4333には、登録番号1のテンプレート印刷データについて、テープ幅は12mm、印刷パターンはパターン1、言語情報は1であることが記憶されている。
【0067】
言語情報1は、日本語で表記されたテンプレート印刷データの言語の種別を示す情報である。言語情報2は、英語で表記されたテンプレート印刷データの言語の種別を示す情報である。例えば図12に示すように、登録番号1のテンプレート印刷データの言語情報は1である。故に、登録番号1のテンプレート印刷データは、日本語で表記されたテンプレート印刷データである。登録番号2のテンプレート印刷データの言語情報は1である。故に、登録番号2のテンプレート印刷データは、日本語で表記されたテンプレート印刷データである。登録番号3のテンプレート印刷データの言語情報は2である。故に、登録番号3のテンプレート印刷データは、英語で表記されたテンプレート印刷データである。
【0068】
例えば、テンプレート印刷データが「さようなら」である場合、印刷パターンはパターン1、言語情報は1となる。テンプレート印刷データが「Good bye」である場合、印刷パターンはパターン1、言語情報は2となる。テンプレート印刷データが「また明日」である場合、印刷パターンはパターン2、言語情報は1となる。テンプレート印刷データが「See you tomorrow」である場合、印刷パターンはパターン2、言語情報は2となる。テンプレート印刷データが「おはよう」である場合、印刷パターンはパターン3、言語情報は1となる。テンプレート印刷データが「Good morning」である場合、印刷パターンはパターン3、言語情報は2となる。
【0069】
次に、図12を参照して、変形例3の移動印刷データ選択処理について説明する。第三テンプレート印刷データテーブル4333から、m個の移動印刷データの候補である各テンプレート印刷データの言語情報が取得される(S501)。例えば、図12の第三テンプレート印刷データテーブル4333において、移動候補のテンプレート印刷データの登録番号が2、5、及び9となる。
【0070】
ここで、例えば登録番号2のテンプレート印刷データを「また明日」、登録番号5のテンプレート印刷データを「Good morning」、登録番号9のテンプレート印刷データを「See you tomorrow」と仮定する。登録番号2のテンプレート印刷データの言語情報として1が取得される。登録番号5のテンプレート印刷データの言語情報として2が取得される。登録番号9のテンプレート印刷データの言語情報として2が取得される。
【0071】
登録番号2と、登録番号9のテンプレート印刷データは、互いに言語情報は異なるが、印刷パターンは、共にパターン2である。これらは、互いに言語情報は異なるが、同じ印刷パターンを有するテンプレート印刷データであるため(S502:YES)、登録番号の小さい登録番号2のテンプレート印刷データが移動印刷データとして決定される(S503)。こうして移動印刷データ選択処理が終了し、図7の移動印刷データ決定処理に戻る。その後、図6の新規印刷データ記憶制御処理のS6の処理に戻る。このような変形例3によっても、1つの移動印刷データを決定することができる。
【0072】
一方、互いに言語情報は異なるが、同じ印刷パターンを有するテンプレート印刷データが存在しないと判断された場合(S502:NO)、m個のテンプレート印刷データのうち、登録番号の最も小さいテンプレート印刷データが、移動印刷データとして決定される(S504)。
【0073】
以上説明したように、変形例3の印刷装置1は、移動印刷データを決定する際に、互いに言語情報は異なるが、同じ印刷パターンを有するテンプレート印刷データを、代替が可能なテンプレート印刷データとして取り扱う。よって、代替が可能なテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定する。例えば、RAM44の退避記憶領域441に移動されたテンプレート印刷データは、印刷装置1の電源オフなどにより消去されてしまう場合がある。その場合でも、消去されてしまったテンプレート印刷データに対して言語情報のみ異なるテンプレート印刷データが、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431に記憶されている。従って消去されてしまったテンプレート印刷データの代わりに、上記テンプレート印刷データの印刷を実行することができる。
【0074】
なお、上記説明において、図13に示すS502の処理を実行するCPU41が、本発明の「代替印刷データ判断手段」の一例である。図12に示す第三テンプレート印刷データテーブル4333が記憶されるテンプレート印刷データテーブル記憶領域433が、本発明の「言語情報記憶手段」の一例である。
【0075】
また、上記実施形態のラベルテープは紙媒体であるが、テープ状であれば材質については限定しない。例えば、表面がラミネート加工されているラミネートテープや、布製のテープであってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、移動印刷データ決定処理において、フラッシュROM43のテンプレート記憶領域431に記憶されているテンプレート印刷データの登録番号の小さいものを移動印刷データとして決定している。例えば、登録番号の大きいテンプレート印刷データを移動印刷データとして決定してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、移動印刷データ決定処理において、はじめに印刷媒体ごとの使用頻度に基づいて、移動印刷データ候補を決定している。例えば、はじめに、各テンプレート印刷データの印刷回数に基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0078】
また、移動印刷データ決定処理のはじめに、各テンプレート印刷データのサイズに基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0079】
また、移動印刷データ決定処理のはじめに、各テンプレート印刷データの属性情報に基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0080】
また、移動印刷データ決定処理のはじめに、各テンプレート印刷データの言語情報に基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0081】
また、移動印刷データ決定処理のはじめに、紙や布などの印刷媒体の材質に基づいて、移動印刷データ候補を決定してもよい。
【0082】
また、本実施形態では、新規印刷データを記憶させるためのテンプレート記憶領域431の空き領域が不足している場合(S8:NO)、エラー表示し(S10)、終了している。例えば、テンプレート記憶領域431の空き領域が不足している場合、新規印刷データを記憶させるための領域を確保できるまで、図6の新規印刷データ記憶制御処理におけるS5〜S7の処理を繰り返し実行してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 印刷装置
41 CPU
43 フラッシュROM
44 RAM
50 カセット認識部
4321 テープ使用頻度テーブル
4331 第一テンプレート印刷データテーブル
4332 第二テンプレート印刷データテーブル
4333 第三テンプレート印刷データテーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づき、印刷媒体に印刷を行う印刷装置であって、
外部装置から前記印刷データを受信する受信手段と、
前記印刷データを恒常的に記憶する不揮発性記憶手段と、
前記印刷データを一時的に記憶する揮発性記憶手段と、
前記印刷媒体の種類を検出する種類検出手段と、
前記種類検出手段によって検出された前記印刷媒体の種類ごとに、前記印刷媒体の使用頻度を記憶する使用頻度記憶手段と、
前記受信手段が前記印刷データを受信した場合に、前記不揮発性記憶手段の空き領域のサイズを検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された空き領域のサイズと、前記受信手段が受信した前記印刷データのサイズとを比較し、前記空き領域が不足しているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記空き領域が不足していないと判断した場合、前記印刷データを前記不揮発性記憶手段に記憶させる第一記憶制御手段と、
前記判断手段が、前記空き領域が不足していると判断した場合、前記不揮発性記憶手段に記憶されている印刷データについて、前記印刷媒体の種類ごとの使用頻度を前記使用頻度記憶手段から取得する使用頻度取得手段と、
前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度に基づき、前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの中から前記揮発性記憶手段に移動させる印刷データである移動印刷データを決定する移動印刷データ決定手段と、
前記移動印刷データ決定手段によって決定された前記移動印刷データを前記揮発性記憶手段に移動させるデータ移動手段と、
前記データ移動手段による移動によって前記不揮発性記憶手段に生じた空き領域に、前記受信手段が受信した印刷データを記憶させる第二記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの印刷頻度を記憶する印刷頻度記憶手段を備え、
前記移動印刷データ決定手段は、
前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記印刷頻度記憶手段に記憶された前記印刷頻度に基づき、前記移動印刷データを決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データのサイズを記憶する印刷データサイズ記憶手段を備え、
前記移動印刷データ決定手段は、
前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記印刷データサイズ記憶手段に記憶された前記サイズに基づき、前記移動印刷データを決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データのうち、前記印刷データの代替となる代替印刷データの有無を判断する代替印刷データ判断手段を備え、
前記移動印刷データ決定手段は、
前記代替印刷データ判断手段が、前記代替印刷データが有ると判断した場合、前記代替印刷データを、前記移動印刷データと決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの意味内容を示す属性の情報である属性情報を記憶する属性情報記憶手段を備え、
前記代替印刷データ判断手段は、前記属性情報記憶手段が記憶した前記属性情報に基づいて、前記代替印刷データの有無を判断することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データに含まれる言語の種別を示す言語情報を記憶する言語情報記憶手段を備え、
前記代替印刷データ判断手段は、前記言語情報記憶手段が記憶した前記言語情報に基づいて、前記代替印刷データの有無を判断することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項1】
印刷データに基づき、印刷媒体に印刷を行う印刷装置であって、
外部装置から前記印刷データを受信する受信手段と、
前記印刷データを恒常的に記憶する不揮発性記憶手段と、
前記印刷データを一時的に記憶する揮発性記憶手段と、
前記印刷媒体の種類を検出する種類検出手段と、
前記種類検出手段によって検出された前記印刷媒体の種類ごとに、前記印刷媒体の使用頻度を記憶する使用頻度記憶手段と、
前記受信手段が前記印刷データを受信した場合に、前記不揮発性記憶手段の空き領域のサイズを検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された空き領域のサイズと、前記受信手段が受信した前記印刷データのサイズとを比較し、前記空き領域が不足しているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記空き領域が不足していないと判断した場合、前記印刷データを前記不揮発性記憶手段に記憶させる第一記憶制御手段と、
前記判断手段が、前記空き領域が不足していると判断した場合、前記不揮発性記憶手段に記憶されている印刷データについて、前記印刷媒体の種類ごとの使用頻度を前記使用頻度記憶手段から取得する使用頻度取得手段と、
前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度に基づき、前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの中から前記揮発性記憶手段に移動させる印刷データである移動印刷データを決定する移動印刷データ決定手段と、
前記移動印刷データ決定手段によって決定された前記移動印刷データを前記揮発性記憶手段に移動させるデータ移動手段と、
前記データ移動手段による移動によって前記不揮発性記憶手段に生じた空き領域に、前記受信手段が受信した印刷データを記憶させる第二記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの印刷頻度を記憶する印刷頻度記憶手段を備え、
前記移動印刷データ決定手段は、
前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記印刷頻度記憶手段に記憶された前記印刷頻度に基づき、前記移動印刷データを決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データのサイズを記憶する印刷データサイズ記憶手段を備え、
前記移動印刷データ決定手段は、
前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記印刷データサイズ記憶手段に記憶された前記サイズに基づき、前記移動印刷データを決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている複数の印刷データのうち、前記使用頻度取得手段が取得した前記使用頻度が最も少ない前記印刷媒体の種類の印刷データが複数あった場合、前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データのうち、前記印刷データの代替となる代替印刷データの有無を判断する代替印刷データ判断手段を備え、
前記移動印刷データ決定手段は、
前記代替印刷データ判断手段が、前記代替印刷データが有ると判断した場合、前記代替印刷データを、前記移動印刷データと決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データの意味内容を示す属性の情報である属性情報を記憶する属性情報記憶手段を備え、
前記代替印刷データ判断手段は、前記属性情報記憶手段が記憶した前記属性情報に基づいて、前記代替印刷データの有無を判断することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記不揮発性記憶手段に記憶されている前記印刷データに含まれる言語の種別を示す言語情報を記憶する言語情報記憶手段を備え、
前記代替印刷データ判断手段は、前記言語情報記憶手段が記憶した前記言語情報に基づいて、前記代替印刷データの有無を判断することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−18275(P2013−18275A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155790(P2011−155790)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]