印刷装置
【課題】筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体全体を確実に小型化する。
【解決手段】プリンタ1は、筐体100のうち前後方向一方側に位置する第1領域Pの下部に設けられた電池収納部163と、筐体100のうち第1領域Pの上部に略水平に配置された制御基板170と、筐体100のうち前後方向後方側に位置する第2領域Qに設けられ、ロール紙Sを収納するロール収納部161と、筐体100の第1領域Pと第2領域Qとの境界部に当該第1領域Pと当該第2領域Qとを区分するように設けられ、制御基板170の制御に基づき、電池収納部163に収納された電池の電力により、ロール収納部161から供給されるロール紙Sに所望の印字を行うメカユニットMUと、を有する。
【解決手段】プリンタ1は、筐体100のうち前後方向一方側に位置する第1領域Pの下部に設けられた電池収納部163と、筐体100のうち第1領域Pの上部に略水平に配置された制御基板170と、筐体100のうち前後方向後方側に位置する第2領域Qに設けられ、ロール紙Sを収納するロール収納部161と、筐体100の第1領域Pと第2領域Qとの境界部に当該第1領域Pと当該第2領域Qとを区分するように設けられ、制御基板170の制御に基づき、電池収納部163に収納された電池の電力により、ロール収納部161から供給されるロール紙Sに所望の印字を行うメカユニットMUと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字媒体に対し所望の印字を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の起電力を用いて印刷動作を行うバッテリ駆動の印刷装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置は、筐体(本体カバー)の内部に、シート状の被印字媒体を平置き状態で収納する媒体収納室(給紙カセット)と、プラテンローラ及びサーマルヘッドを備えた印刷処理機構と、制御基板と、を有する。また、筐体の後方には、電池収納部(バッテリ)が着脱可能に設けられている。印刷処理機構は、電池収納部に収納された電池から供給される電力を用いつつ、制御基板が実行する制御に基づき被印字媒体に対し、所望の印字を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−82432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような印刷装置において、例えばロール形状の被印字媒体が用いられる場合がある。このようなロール形状の被印字媒体をその軸方向を水平にして収納する場合、媒体収納室は上下方向寸法が比較的大きくなる。一方、制御基板は、一般的に取り扱い性や組立性の便宜により、上記従来技術のように水平方向に延設される場合が多い。この結果、制御基板は、その上下方向寸法は小さいが水平方向寸法は比較的大きくなる。また、安定性や重心配置の観点から電池は横置きに収納される場合が多く、この場合、上記従来技術のように、電池収納部の上下方向寸法は小さく水平方向寸法は比較的大きくなる。
【0005】
上記のような、ロール形状の被印字媒体、制御基板、及び電池収納部それぞれの寸法的特性を考慮しつつそれらの装置内のレイアウトを工夫することで、筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法の大型化を抑制し小型化を図れる可能性がある。しかしながら、上記従来技術ではそのような点までは配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体全体を確実に小型化できる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、装置外郭を構成する略箱形の筐体と、前記筐体のうち水平方向に含まれる第1方向に沿った一方側に位置する第1領域の下部に設けられ、電力を供給するための電池を収納する電池収納部と、前記筐体のうち前記第1領域の上部に略水平に配置された制御基板と、前記筐体のうち前記第1方向に沿った他方側に位置する第2領域に設けられ、被印字媒体を収納する媒体収納室と、前記筐体の前記第1領域と前記第2領域との境界部に当該第1領域と当該第2領域とを区分するように設けられ、前記制御基板の制御に基づき、前記電池収納部に収納された前記電池の電力により、前記媒体収納室から供給される前記被印字媒体に所望の印字を行う、印刷処理機構と、を有することを特徴とする。
【0008】
本願発明の印刷装置は、被印字媒体を収納する媒体収納室と、印刷処理機構と、電池収納部と、制御基板と、を有する。印刷処理機構は、電池収納部に収納された電池から供給される電力を用いつつ、制御基板が実行する制御に基づき被印字媒体に所望の印字を行う。
【0009】
このとき、本願発明の印刷装置では、筐体を水平方向(詳細には第1方向)一方側の第1領域と水平方向(詳細には第1方向)他方側の第2領域とに区分し、第1領域に電池収納部と制御基板とを上下に配置するとともに、第2領域に媒体収納室を配置する。第2領域に媒体収納室を単独で設けることにより、媒体収納室の上下に制御基板や電池収納部を設ける場合に比べ、筐体の上下方向寸法の大型化を抑制することができる。また、反対側の第1領域に電池収納部と制御基板とを上下に積層させて配置することにより、それらを水平方向に並べて配置する場合に比べ、筐体の水平方向寸法の大型化を抑制することができる。
【0010】
以上のように、本願発明においては、水平方向寸法の大きい制御基板及び電池収納部は第1領域で上下方向に積層して配置し、上下方向寸法の大きい媒体収納室は第2領域に単独で配置することにより、筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体全体を確実に小型化することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体全体を確実に小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態であるプリンタの外観構成を表す斜視図である。
【図2】プリンタのトップカバーを外した状態を、(制御基板を省略した状態で)前方側斜め上方向から見た斜視図である。
【図3】図1中F−F断面による断面図、及び、G−G断面による断面図である。
【図4】メカユニットの詳細構造を表す斜視図である。
【図5】筐体のトップカバーのうち固定部のみを外した状態を表す(但し制御基板は略示)、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【図6】筐体のトップカバー全体を外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図(但し制御基板は略示)、及び平面図である。
【図7】筐体のトップカバー全体を外した状態を表す(但し制御基板は略示)、後方側斜め上方向から見た斜視図である。
【図8】筐体のトップカバー全体及びメカユニットを外した状態を表す(但し制御基板は略示)、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【図9】筐体のトップカバー全体、メカユニット、及び制御基板を外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【図10】筐体のトップカバーのうちの固定部、及び、メカユニットを外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<プリンタの概略構成>
図1〜図3を用いて、本発明の一実施の形態であるプリンタ(印刷装置)1の全体構成を説明する。以下では、図1中の右下方向を右方、左上方向を左方、右上方向を後方、左下方向を前方、上方向を上方、下方向を下方、と定義して説明する(各図の矢印の図示参照)。なお、この例では、上記のような定義における前後方向が各請求項記載の第1方向に相当し、左右方向が各請求項記載の第2方向に相当する。
【0015】
プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器(図示せず)より受信した印刷データを、ロール紙S(被印字媒体)に印刷する。このプリンタ1は、電池(図示せず。詳細は後述)を電源として駆動可能である。
【0016】
プリンタ1は、例えば樹脂材料で構成された、装置外郭を構成する略箱形形状の筐体100を備えている。この筐体100は、装置外郭上部を構成するトップカバー101と、装置外郭下部を構成するアンダーカバー102とを備えている。トップカバー101は、固定部101Aと開閉蓋101Bとを備えている。
【0017】
アンダーカバー102の端部には、左・右一対の挿通部102aが備えられている。これら挿通部102aに例えばストラップなどを挿通し、肩や首、さらには腰ベルトなどに架けることにより、操作者は、前述のように電池駆動であるプリンタ1を様々な場所(屋外を含む)に手軽に持ち運び、使用することができる。
【0018】
トップカバー101の開閉蓋101Bの下方(筐体100の内部)には、ロール収納部161(媒体収納室)が設けられている(図2、図3参照)。このロール収納部161には、ロール紙Sが両端部を支持部材162によって回転可能に軸支されて収納されており、これによってロール収納部161から連続的にロール紙Sを供給可能な構成となっている。このとき、開閉蓋101Bはヒンジ部Hを介しアンダーカバー102の後端部に対して回転可能に連結されており、これによってロール収納部161を外部に露出させる開き状態と、ロール収納部161を内部に収容する閉じ状態とに切り替えられる。開閉蓋101Bを開き状態とすることで、ロール収納部161を装置外部に露出させ、ロール紙Sの装着や交換を容易に行うことができる。
【0019】
トップカバー101の前後方向略中央部(この例では固定部101Aと開閉蓋101Bとが付き合わされる部分)には、印字後のロール紙Sを排出するための排出口107が設けられている。このとき、排出口107は、上下方向に沿った一方側に(この例では上方に)向かって開口するように設けられている。
【0020】
開閉蓋101Bの前方側端部には、プラテンローラ111(搬送ローラ)が回転自在に支持されている。プラテンローラ111は、開閉蓋101Bが上記閉じ状態にあるときに、モータケーシング21内の回転子(図示せず)の回転が伝達されることにより、ロール紙Sを搬送する。
【0021】
<メカユニット及び周辺>
一方、筐体100の内部の、前後方向中央部付近には、メインシャーシ部材150を備えたメカユニットMU(印刷処理機構)が設けられている。メカユニットMUの詳細構成を図4に示す。図4、上記図2、及び上記図3に示すように、メカユニットMUにおいて、メインシャーシ部材150の内部に、ヘッドユニットHUが前後方向に揺動自在に配置されている。ヘッドユニットHUには、サーマルラインヘッド112(印字ヘッド)と、このサーマルラインヘッド112での発熱を冷却するためのヒートシンク114と、が一体化されて備えられている。そして、ヒートシンク114が、前方側端部がメインシャーシ部材150に支持された複数(この例では2つ)のコイルバネ115により、上記プラテンローラ111側(すなわち後方側)へと付勢されている。これにより、開閉蓋101Bが上記閉じ状態にあるときに、サーマルラインヘッド112はプラテンローラ111に所定の圧接力で接触する。
【0022】
また、メカユニットMUには、図4に示すように、メインシャーシ部材150の左側に、プラテンローラ111を回転駆動する駆動力を発生する前述の駆動モータの外郭となる略円筒形状のモータケーシング21と、複数のギアから構成され、開閉蓋101Bの閉じ状態においてプラテンローラ111に作動連結されることで上記モータの駆動力をプラテンローラ111に伝達するギア機構132と、が設けられている。モータケーシング21は、筐体100の内部において、上記排出口107から下側に設けられる(前述の図3(b)参照)。上記駆動モータは、メカユニットMUの下方から筐体100内部の後方にかけて配置された制御基板170(図3参照)によって、その駆動が制御される。なお、制御基板170は、取り扱い性や組立性の便宜を図るために、この例では、水平方向に延設されている。
【0023】
筐体100内の制御基板170の下方には、アンダーカバー102の下面側から上記電池が挿入されて配置される電池収納部163(図3参照)が備えられている。なお、電池収納部163では、図示を省略するが、安定性や重心配置の観点から、上記電池は横置きに収納されている。そして、上記制御基板170は、上記電池収納部163に収納された電池から供給される電力を用いつつ、サーマルラインヘッド112、上記駆動モータ等の制御を行う。
【0024】
<プリンタの概略動作>
上記構成において、印刷時には、PC端末や携帯電話等の外部機器より、プリンタ1に対し、無線通信(又は有線通信や赤外線通信でもよい)を介して、印刷データが送信される。また、モータの駆動力に基づくプラテンローラ111の回転によってロール収納部161からロール紙Sが繰り出される。繰り出されたロール紙Sは、排出口107の下方に設けられたガイド部材120により、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部に案内される。そして、サーマルラインヘッド112とプラテンローラ111との間に挿通されたロール紙Sに対し、サーマルラインヘッド112が上記印刷データに基づいた所望の態様の印刷を行う。印刷後のロール紙Sは、排出口107から筐体100の外部へと排出される。このとき、メインシャーシ部材150には、排出口107の内側において当該排出口107に沿うように固定歯160が取り付けられている。操作者は、上記のようにして印刷が完了し排出口107から排出されたロール紙Sの端部を、この固定歯160を用いて手動で切断することができる。
【0025】
なお、紙詰まり等が生じた場合には、トップカバー101の上記開閉蓋101Bを開放することで、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされ、容易にロール紙Sを引き出すことが可能となる。
【0026】
<本実施形態の特徴>
以上の構成において、本実施形態の特徴は、上述した制御基板170、電池収納部163、及びロール収納部161の筐体100内における配置にある。以下、その詳細を図5〜図10により順を追って説明する。
【0027】
前述したように、本実施形態のプリンタ1では、ロール収納部161と、サーマルラインヘッド112、駆動モータ、メインシャーシ部材150等を備えたメカユニットMUと、電池収納部163と、制御基板170とが、筐体100内に設けられている。
【0028】
このとき、本実施形態のようにロール収納部161においてロール紙Sをその軸方向を水平にして収納する場合、ロール収納部161の上下方向寸法が比較的大きくなる(図2及び図3参照)。また、本実施形態のように制御基板170が略水平に延設される場合、制御基板170の上下方向寸法は小さいが水平方向寸法は比較的大きくなる。さらに、本実施形態のように電池が横置きに収納される場合、電池収納部163の上下方向寸法は小さく水平方向寸法は比較的大きくなる(図3参照)。
【0029】
そこで、本実施形態のプリンタ1では、図5〜図7に示すように、筐体100の内部を、前後方向一方側(この例では前方側)の第1領域Pと前後方向他方側(この例では後方側)の第2領域Qとに区分する。そして、第1領域Pの下部に電池収納部163を設けると共に、第1領域Pの上部に制御基板170を設けている。すなわち、共に水平方向寸法が大きい電池収納部163(図3(a)参照)と制御基板170とを上下に第1領域Pに配置する。また、第2領域Qには、上下方向寸法が大きいロール収納部161を配置する。なお、上記電池収納部163及び制御基板170が配置された第1領域Pと、ロール収納部161が配置された第2領域Qとの境界近傍に、上記メカユニットMUが配置されている。
【0030】
上記のように第2領域Qにロール収納部161を単独で設けることにより、ロール収納部161の上下に制御基板170や電池収納部163を設ける場合に比べて、筐体100の上下方向寸法の大型化が抑制される。また、反対側の第1領域Pに電池収納部163と制御基板170とを上下に積層させて配置することにより、それらを水平方向に並べて配置する場合に比べ、筐体100の水平方向寸法の大型化が抑制される。
【0031】
<仕切壁>
上記のように、第1領域Pと第2領域Qとの境界近傍に上記メカユニットMUが配置されているが、本実施形態の大きな特徴として、図7に示すように、メカユニットMUの下部に仕切壁Rが設けられている。この仕切壁Rの詳細について、図8〜図10を用いて説明する。
【0032】
本実施形態では、筐体100に開閉蓋101Bを設けている。これにより、前述したように、操作者は、開閉蓋101Bを開き状態としロール収納部161を外部に露出することで、ロール紙Sのロール収納部161への装着や新しいロール紙Sとの交換を容易に行うことができる。その際、開閉蓋101Bによって筐体100内部の第2領域Qが外部開放可能となることから、第1領域Pに配置された制御基板170の防水性に配慮する必要がある。
【0033】
そこで本実施形態では、図8〜図10に示すように、第1領域Pと第2領域Qとの境界部に、筐体100の内部構造を上記第1領域Pと上記第2領域Qとに仕切るための上記仕切壁Rが、アンダーカバー102の内底部から立設されている。また、上記仕切壁Rの上部を覆うように、メカユニットMUが設けられている。これにより、上記のように外部開放可能な第2領域Qと制御基板170のある第1領域Pとの間を、仕切壁R及びメカユニットMUによって密閉することができる。
【0034】
<制御基板の突出形状>
本実施形態においては、制御基板170は、図8及び図10に示すように、メインシャーシ部材150の下方へ入り込むように突出した突出基板部170aを備えている。これに対応して、筐体100内部の第1領域Pは、通常の部分である第1ベース領域部P1と、第1ベース領域部P1からロール収納部161側へ突出した第1突出領域部P2とを備えており、上記突出基板部170aはこの第1突出領域部P2に配置される。
【0035】
このとき、突出基板部170aの上方に、上記排出口170が位置している(図10参照)。排出口107は、開閉蓋101Bの開閉状態に関係なく筐体100に開口していることから、排出口107から侵入しうる飛沫に対する突出基板部170aの防水性に配慮する必要がある。そこで、本実施形態においては、前述したように、突出基板部170aはメインシャーシ部材150の下方に入り込むように配置されている。言い換えれば、メインシャーシ部材150が突出基板部170aの上方を覆うように配置されている。
【0036】
一方、筐体100内部の第2領域Qは、上記の第1突出領域部P2の突出形状と対応するように、当該第1突出領域部P2の左右方向に隣接する第2突出領域部Q2を備えている。このとき、第2領域Qは、第2突出領域部Q2よりもロール収納部161側に引っ込んで配置された第2ベース領域部Q1を備えており、この第2ベース領域部Q1が上記第1突出領域部P2のロール収納部161側(言い換えれば後方側)に対向して配置されている。なお、これら左右2つの第2突出領域部Q2には、上記メカユニットMUの左右両端部分が挿入配置される。すなわち、左側の第2突出領域部Q2には、メカユニットMUの左端部分である、上記モータケーシング21やギア機構132(図4参照)が挿入配置される。一方、右側の第2突出領域部Q2には、メカユニットMUの右端部分である、リリース機構(詳細図示は省略)が挿入配置される。
【0037】
<仕切壁の具体的構成>
本実施形態では、仕切壁Rは、上述した第1領域Pの第1突出領域部P2と第2領域Qの第2突出領域部Q2との境界部に対応して、第1仕切部R1と、第2仕切部R2と、第3仕切部R3と、を備えている。第1仕切部R1は、第1突出領域部P2と第2ベース領域部Q1とを仕切るように左右方向に沿って延設され、突出基板部170aの突出端に位置し、メインシャーシ部材150の下方に潜り込むように配置される。第2仕切部R2は、第1仕切部R1よりも前方側(言い換えれば上記電池側)に位置し、第2突出領域部Q2と第1ベース領域部P1とを仕切るように左右方向に沿って延設される。第3仕切部R3は、第1仕切部R1と第2仕切部R2とを接続するとともに、第1突出領域部P2と第2突出領域部Q2とを仕切るように、前後方向に沿って延設される。この結果、上記第1仕切部R1、第2仕切部R2、第3仕切部R3を備えた仕切壁Rは、図8(b)及び図9(b)に示すように、平面視において、直角に曲がる略クランク形状となっている。
【0038】
このとき、メカユニットMUのサーマルラインヘッド112及びこれに対向配置されるプラテンローラ111は、第3仕切部R3の上方に配置される(図5(a)、図5(b)、図7参照)。そして、上記駆動モータは、サーマルラインヘッド112やプラテンローラ111の左右方向一方側(この例では左側)の端部の下方において、第2領域Qの左側の第2突出領域部Q2に配置されている。すなわち、サーマルラインヘッド112及びプラテンローラ111を仕切壁Rの上方に設ける一方で、駆動モータを仕切壁Rの上方ではなく、第2仕切部R2及び第3仕切部R3の側方にある第2突出領域部Q2に配置している。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1においては、水平方向寸法の大きい制御基板170及び電池収納部163は第1領域Pで上下方向に積層して配置し、上下方向寸法の大きいロール収納部161は第2領域Qに単独で配置する。これにより、筐体100の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体100の全体を確実に小型化することができる。
【0040】
また、本実施形態では特に、外部開放可能な第2領域Qと制御基板170のある第1領域Pとの間を、仕切壁R及びメカユニットMUによって密閉することができる。この結果、制御基板170が配置される第1領域Pの防水性を向上することができる。
【0041】
また、本実施形態では特に、第2領域Qのうち、後方側に突出した第1領域Pの第1突出領域部P2に対向する部分を、前方側に引っ込んだ第2ベース領域部Q1としている。これにより、第1領域P及び第2領域Qを前後方向に並べて配置したときに必要な、筐体100の前後方向における寸法を低減することができる。これにより、さらに確実に筐体100の小型化を図ることができる。
【0042】
また、本実施形態では特に、サーマルラインヘッド112及びプラテンローラ111を仕切壁Rの上方に設ける一方で、駆動モータを仕切壁Rの上方ではなく仕切壁Rの側方にある第2突出領域部Q2に配置している。これにより、メカユニットMUの設置による筐体100の上下方向寸法の増大を抑制しつつ、仕切壁Rとの協働によって第1領域Pと第2領域Qとの間の密閉機能を果たすことができる。
【0043】
また、本実施形態では特に、突出基板部170aがメインシャーシ部材150の下方に入り込むように配置されている。これにより、突出基板部170aを、排出口107から侵入しうる飛沫から確実に隔離し、防水性を向上することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0045】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0046】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 プリンタ(印刷装置)
100 筐体
101B 開閉蓋
107 排出口
111 プラテンローラ(搬送ローラ)
112 サーマルラインヘッド(印字ヘッド)
161 ロール収納部(媒体収納室)
170 制御基板
170a 突出基板部
MU メカユニット(印刷処理機構)
S ロール紙(被印字媒体)
P 第1領域
P1 第1ベース領域部
P2 第1突出領域部
Q 第2領域
Q1 第2ベース領域部
Q2 第2突出領域部
R 仕切壁
R1 第1仕切部
R2 第2仕切部
R3 第3仕切部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字媒体に対し所望の印字を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の起電力を用いて印刷動作を行うバッテリ駆動の印刷装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置は、筐体(本体カバー)の内部に、シート状の被印字媒体を平置き状態で収納する媒体収納室(給紙カセット)と、プラテンローラ及びサーマルヘッドを備えた印刷処理機構と、制御基板と、を有する。また、筐体の後方には、電池収納部(バッテリ)が着脱可能に設けられている。印刷処理機構は、電池収納部に収納された電池から供給される電力を用いつつ、制御基板が実行する制御に基づき被印字媒体に対し、所望の印字を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−82432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような印刷装置において、例えばロール形状の被印字媒体が用いられる場合がある。このようなロール形状の被印字媒体をその軸方向を水平にして収納する場合、媒体収納室は上下方向寸法が比較的大きくなる。一方、制御基板は、一般的に取り扱い性や組立性の便宜により、上記従来技術のように水平方向に延設される場合が多い。この結果、制御基板は、その上下方向寸法は小さいが水平方向寸法は比較的大きくなる。また、安定性や重心配置の観点から電池は横置きに収納される場合が多く、この場合、上記従来技術のように、電池収納部の上下方向寸法は小さく水平方向寸法は比較的大きくなる。
【0005】
上記のような、ロール形状の被印字媒体、制御基板、及び電池収納部それぞれの寸法的特性を考慮しつつそれらの装置内のレイアウトを工夫することで、筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法の大型化を抑制し小型化を図れる可能性がある。しかしながら、上記従来技術ではそのような点までは配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体全体を確実に小型化できる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、装置外郭を構成する略箱形の筐体と、前記筐体のうち水平方向に含まれる第1方向に沿った一方側に位置する第1領域の下部に設けられ、電力を供給するための電池を収納する電池収納部と、前記筐体のうち前記第1領域の上部に略水平に配置された制御基板と、前記筐体のうち前記第1方向に沿った他方側に位置する第2領域に設けられ、被印字媒体を収納する媒体収納室と、前記筐体の前記第1領域と前記第2領域との境界部に当該第1領域と当該第2領域とを区分するように設けられ、前記制御基板の制御に基づき、前記電池収納部に収納された前記電池の電力により、前記媒体収納室から供給される前記被印字媒体に所望の印字を行う、印刷処理機構と、を有することを特徴とする。
【0008】
本願発明の印刷装置は、被印字媒体を収納する媒体収納室と、印刷処理機構と、電池収納部と、制御基板と、を有する。印刷処理機構は、電池収納部に収納された電池から供給される電力を用いつつ、制御基板が実行する制御に基づき被印字媒体に所望の印字を行う。
【0009】
このとき、本願発明の印刷装置では、筐体を水平方向(詳細には第1方向)一方側の第1領域と水平方向(詳細には第1方向)他方側の第2領域とに区分し、第1領域に電池収納部と制御基板とを上下に配置するとともに、第2領域に媒体収納室を配置する。第2領域に媒体収納室を単独で設けることにより、媒体収納室の上下に制御基板や電池収納部を設ける場合に比べ、筐体の上下方向寸法の大型化を抑制することができる。また、反対側の第1領域に電池収納部と制御基板とを上下に積層させて配置することにより、それらを水平方向に並べて配置する場合に比べ、筐体の水平方向寸法の大型化を抑制することができる。
【0010】
以上のように、本願発明においては、水平方向寸法の大きい制御基板及び電池収納部は第1領域で上下方向に積層して配置し、上下方向寸法の大きい媒体収納室は第2領域に単独で配置することにより、筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体全体を確実に小型化することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体全体を確実に小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態であるプリンタの外観構成を表す斜視図である。
【図2】プリンタのトップカバーを外した状態を、(制御基板を省略した状態で)前方側斜め上方向から見た斜視図である。
【図3】図1中F−F断面による断面図、及び、G−G断面による断面図である。
【図4】メカユニットの詳細構造を表す斜視図である。
【図5】筐体のトップカバーのうち固定部のみを外した状態を表す(但し制御基板は略示)、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【図6】筐体のトップカバー全体を外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図(但し制御基板は略示)、及び平面図である。
【図7】筐体のトップカバー全体を外した状態を表す(但し制御基板は略示)、後方側斜め上方向から見た斜視図である。
【図8】筐体のトップカバー全体及びメカユニットを外した状態を表す(但し制御基板は略示)、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【図9】筐体のトップカバー全体、メカユニット、及び制御基板を外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【図10】筐体のトップカバーのうちの固定部、及び、メカユニットを外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<プリンタの概略構成>
図1〜図3を用いて、本発明の一実施の形態であるプリンタ(印刷装置)1の全体構成を説明する。以下では、図1中の右下方向を右方、左上方向を左方、右上方向を後方、左下方向を前方、上方向を上方、下方向を下方、と定義して説明する(各図の矢印の図示参照)。なお、この例では、上記のような定義における前後方向が各請求項記載の第1方向に相当し、左右方向が各請求項記載の第2方向に相当する。
【0015】
プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器(図示せず)より受信した印刷データを、ロール紙S(被印字媒体)に印刷する。このプリンタ1は、電池(図示せず。詳細は後述)を電源として駆動可能である。
【0016】
プリンタ1は、例えば樹脂材料で構成された、装置外郭を構成する略箱形形状の筐体100を備えている。この筐体100は、装置外郭上部を構成するトップカバー101と、装置外郭下部を構成するアンダーカバー102とを備えている。トップカバー101は、固定部101Aと開閉蓋101Bとを備えている。
【0017】
アンダーカバー102の端部には、左・右一対の挿通部102aが備えられている。これら挿通部102aに例えばストラップなどを挿通し、肩や首、さらには腰ベルトなどに架けることにより、操作者は、前述のように電池駆動であるプリンタ1を様々な場所(屋外を含む)に手軽に持ち運び、使用することができる。
【0018】
トップカバー101の開閉蓋101Bの下方(筐体100の内部)には、ロール収納部161(媒体収納室)が設けられている(図2、図3参照)。このロール収納部161には、ロール紙Sが両端部を支持部材162によって回転可能に軸支されて収納されており、これによってロール収納部161から連続的にロール紙Sを供給可能な構成となっている。このとき、開閉蓋101Bはヒンジ部Hを介しアンダーカバー102の後端部に対して回転可能に連結されており、これによってロール収納部161を外部に露出させる開き状態と、ロール収納部161を内部に収容する閉じ状態とに切り替えられる。開閉蓋101Bを開き状態とすることで、ロール収納部161を装置外部に露出させ、ロール紙Sの装着や交換を容易に行うことができる。
【0019】
トップカバー101の前後方向略中央部(この例では固定部101Aと開閉蓋101Bとが付き合わされる部分)には、印字後のロール紙Sを排出するための排出口107が設けられている。このとき、排出口107は、上下方向に沿った一方側に(この例では上方に)向かって開口するように設けられている。
【0020】
開閉蓋101Bの前方側端部には、プラテンローラ111(搬送ローラ)が回転自在に支持されている。プラテンローラ111は、開閉蓋101Bが上記閉じ状態にあるときに、モータケーシング21内の回転子(図示せず)の回転が伝達されることにより、ロール紙Sを搬送する。
【0021】
<メカユニット及び周辺>
一方、筐体100の内部の、前後方向中央部付近には、メインシャーシ部材150を備えたメカユニットMU(印刷処理機構)が設けられている。メカユニットMUの詳細構成を図4に示す。図4、上記図2、及び上記図3に示すように、メカユニットMUにおいて、メインシャーシ部材150の内部に、ヘッドユニットHUが前後方向に揺動自在に配置されている。ヘッドユニットHUには、サーマルラインヘッド112(印字ヘッド)と、このサーマルラインヘッド112での発熱を冷却するためのヒートシンク114と、が一体化されて備えられている。そして、ヒートシンク114が、前方側端部がメインシャーシ部材150に支持された複数(この例では2つ)のコイルバネ115により、上記プラテンローラ111側(すなわち後方側)へと付勢されている。これにより、開閉蓋101Bが上記閉じ状態にあるときに、サーマルラインヘッド112はプラテンローラ111に所定の圧接力で接触する。
【0022】
また、メカユニットMUには、図4に示すように、メインシャーシ部材150の左側に、プラテンローラ111を回転駆動する駆動力を発生する前述の駆動モータの外郭となる略円筒形状のモータケーシング21と、複数のギアから構成され、開閉蓋101Bの閉じ状態においてプラテンローラ111に作動連結されることで上記モータの駆動力をプラテンローラ111に伝達するギア機構132と、が設けられている。モータケーシング21は、筐体100の内部において、上記排出口107から下側に設けられる(前述の図3(b)参照)。上記駆動モータは、メカユニットMUの下方から筐体100内部の後方にかけて配置された制御基板170(図3参照)によって、その駆動が制御される。なお、制御基板170は、取り扱い性や組立性の便宜を図るために、この例では、水平方向に延設されている。
【0023】
筐体100内の制御基板170の下方には、アンダーカバー102の下面側から上記電池が挿入されて配置される電池収納部163(図3参照)が備えられている。なお、電池収納部163では、図示を省略するが、安定性や重心配置の観点から、上記電池は横置きに収納されている。そして、上記制御基板170は、上記電池収納部163に収納された電池から供給される電力を用いつつ、サーマルラインヘッド112、上記駆動モータ等の制御を行う。
【0024】
<プリンタの概略動作>
上記構成において、印刷時には、PC端末や携帯電話等の外部機器より、プリンタ1に対し、無線通信(又は有線通信や赤外線通信でもよい)を介して、印刷データが送信される。また、モータの駆動力に基づくプラテンローラ111の回転によってロール収納部161からロール紙Sが繰り出される。繰り出されたロール紙Sは、排出口107の下方に設けられたガイド部材120により、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部に案内される。そして、サーマルラインヘッド112とプラテンローラ111との間に挿通されたロール紙Sに対し、サーマルラインヘッド112が上記印刷データに基づいた所望の態様の印刷を行う。印刷後のロール紙Sは、排出口107から筐体100の外部へと排出される。このとき、メインシャーシ部材150には、排出口107の内側において当該排出口107に沿うように固定歯160が取り付けられている。操作者は、上記のようにして印刷が完了し排出口107から排出されたロール紙Sの端部を、この固定歯160を用いて手動で切断することができる。
【0025】
なお、紙詰まり等が生じた場合には、トップカバー101の上記開閉蓋101Bを開放することで、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされ、容易にロール紙Sを引き出すことが可能となる。
【0026】
<本実施形態の特徴>
以上の構成において、本実施形態の特徴は、上述した制御基板170、電池収納部163、及びロール収納部161の筐体100内における配置にある。以下、その詳細を図5〜図10により順を追って説明する。
【0027】
前述したように、本実施形態のプリンタ1では、ロール収納部161と、サーマルラインヘッド112、駆動モータ、メインシャーシ部材150等を備えたメカユニットMUと、電池収納部163と、制御基板170とが、筐体100内に設けられている。
【0028】
このとき、本実施形態のようにロール収納部161においてロール紙Sをその軸方向を水平にして収納する場合、ロール収納部161の上下方向寸法が比較的大きくなる(図2及び図3参照)。また、本実施形態のように制御基板170が略水平に延設される場合、制御基板170の上下方向寸法は小さいが水平方向寸法は比較的大きくなる。さらに、本実施形態のように電池が横置きに収納される場合、電池収納部163の上下方向寸法は小さく水平方向寸法は比較的大きくなる(図3参照)。
【0029】
そこで、本実施形態のプリンタ1では、図5〜図7に示すように、筐体100の内部を、前後方向一方側(この例では前方側)の第1領域Pと前後方向他方側(この例では後方側)の第2領域Qとに区分する。そして、第1領域Pの下部に電池収納部163を設けると共に、第1領域Pの上部に制御基板170を設けている。すなわち、共に水平方向寸法が大きい電池収納部163(図3(a)参照)と制御基板170とを上下に第1領域Pに配置する。また、第2領域Qには、上下方向寸法が大きいロール収納部161を配置する。なお、上記電池収納部163及び制御基板170が配置された第1領域Pと、ロール収納部161が配置された第2領域Qとの境界近傍に、上記メカユニットMUが配置されている。
【0030】
上記のように第2領域Qにロール収納部161を単独で設けることにより、ロール収納部161の上下に制御基板170や電池収納部163を設ける場合に比べて、筐体100の上下方向寸法の大型化が抑制される。また、反対側の第1領域Pに電池収納部163と制御基板170とを上下に積層させて配置することにより、それらを水平方向に並べて配置する場合に比べ、筐体100の水平方向寸法の大型化が抑制される。
【0031】
<仕切壁>
上記のように、第1領域Pと第2領域Qとの境界近傍に上記メカユニットMUが配置されているが、本実施形態の大きな特徴として、図7に示すように、メカユニットMUの下部に仕切壁Rが設けられている。この仕切壁Rの詳細について、図8〜図10を用いて説明する。
【0032】
本実施形態では、筐体100に開閉蓋101Bを設けている。これにより、前述したように、操作者は、開閉蓋101Bを開き状態としロール収納部161を外部に露出することで、ロール紙Sのロール収納部161への装着や新しいロール紙Sとの交換を容易に行うことができる。その際、開閉蓋101Bによって筐体100内部の第2領域Qが外部開放可能となることから、第1領域Pに配置された制御基板170の防水性に配慮する必要がある。
【0033】
そこで本実施形態では、図8〜図10に示すように、第1領域Pと第2領域Qとの境界部に、筐体100の内部構造を上記第1領域Pと上記第2領域Qとに仕切るための上記仕切壁Rが、アンダーカバー102の内底部から立設されている。また、上記仕切壁Rの上部を覆うように、メカユニットMUが設けられている。これにより、上記のように外部開放可能な第2領域Qと制御基板170のある第1領域Pとの間を、仕切壁R及びメカユニットMUによって密閉することができる。
【0034】
<制御基板の突出形状>
本実施形態においては、制御基板170は、図8及び図10に示すように、メインシャーシ部材150の下方へ入り込むように突出した突出基板部170aを備えている。これに対応して、筐体100内部の第1領域Pは、通常の部分である第1ベース領域部P1と、第1ベース領域部P1からロール収納部161側へ突出した第1突出領域部P2とを備えており、上記突出基板部170aはこの第1突出領域部P2に配置される。
【0035】
このとき、突出基板部170aの上方に、上記排出口170が位置している(図10参照)。排出口107は、開閉蓋101Bの開閉状態に関係なく筐体100に開口していることから、排出口107から侵入しうる飛沫に対する突出基板部170aの防水性に配慮する必要がある。そこで、本実施形態においては、前述したように、突出基板部170aはメインシャーシ部材150の下方に入り込むように配置されている。言い換えれば、メインシャーシ部材150が突出基板部170aの上方を覆うように配置されている。
【0036】
一方、筐体100内部の第2領域Qは、上記の第1突出領域部P2の突出形状と対応するように、当該第1突出領域部P2の左右方向に隣接する第2突出領域部Q2を備えている。このとき、第2領域Qは、第2突出領域部Q2よりもロール収納部161側に引っ込んで配置された第2ベース領域部Q1を備えており、この第2ベース領域部Q1が上記第1突出領域部P2のロール収納部161側(言い換えれば後方側)に対向して配置されている。なお、これら左右2つの第2突出領域部Q2には、上記メカユニットMUの左右両端部分が挿入配置される。すなわち、左側の第2突出領域部Q2には、メカユニットMUの左端部分である、上記モータケーシング21やギア機構132(図4参照)が挿入配置される。一方、右側の第2突出領域部Q2には、メカユニットMUの右端部分である、リリース機構(詳細図示は省略)が挿入配置される。
【0037】
<仕切壁の具体的構成>
本実施形態では、仕切壁Rは、上述した第1領域Pの第1突出領域部P2と第2領域Qの第2突出領域部Q2との境界部に対応して、第1仕切部R1と、第2仕切部R2と、第3仕切部R3と、を備えている。第1仕切部R1は、第1突出領域部P2と第2ベース領域部Q1とを仕切るように左右方向に沿って延設され、突出基板部170aの突出端に位置し、メインシャーシ部材150の下方に潜り込むように配置される。第2仕切部R2は、第1仕切部R1よりも前方側(言い換えれば上記電池側)に位置し、第2突出領域部Q2と第1ベース領域部P1とを仕切るように左右方向に沿って延設される。第3仕切部R3は、第1仕切部R1と第2仕切部R2とを接続するとともに、第1突出領域部P2と第2突出領域部Q2とを仕切るように、前後方向に沿って延設される。この結果、上記第1仕切部R1、第2仕切部R2、第3仕切部R3を備えた仕切壁Rは、図8(b)及び図9(b)に示すように、平面視において、直角に曲がる略クランク形状となっている。
【0038】
このとき、メカユニットMUのサーマルラインヘッド112及びこれに対向配置されるプラテンローラ111は、第3仕切部R3の上方に配置される(図5(a)、図5(b)、図7参照)。そして、上記駆動モータは、サーマルラインヘッド112やプラテンローラ111の左右方向一方側(この例では左側)の端部の下方において、第2領域Qの左側の第2突出領域部Q2に配置されている。すなわち、サーマルラインヘッド112及びプラテンローラ111を仕切壁Rの上方に設ける一方で、駆動モータを仕切壁Rの上方ではなく、第2仕切部R2及び第3仕切部R3の側方にある第2突出領域部Q2に配置している。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1においては、水平方向寸法の大きい制御基板170及び電池収納部163は第1領域Pで上下方向に積層して配置し、上下方向寸法の大きいロール収納部161は第2領域Qに単独で配置する。これにより、筐体100の水平方向寸法及び上下方向寸法を必要最小限にとどめ、筐体100の全体を確実に小型化することができる。
【0040】
また、本実施形態では特に、外部開放可能な第2領域Qと制御基板170のある第1領域Pとの間を、仕切壁R及びメカユニットMUによって密閉することができる。この結果、制御基板170が配置される第1領域Pの防水性を向上することができる。
【0041】
また、本実施形態では特に、第2領域Qのうち、後方側に突出した第1領域Pの第1突出領域部P2に対向する部分を、前方側に引っ込んだ第2ベース領域部Q1としている。これにより、第1領域P及び第2領域Qを前後方向に並べて配置したときに必要な、筐体100の前後方向における寸法を低減することができる。これにより、さらに確実に筐体100の小型化を図ることができる。
【0042】
また、本実施形態では特に、サーマルラインヘッド112及びプラテンローラ111を仕切壁Rの上方に設ける一方で、駆動モータを仕切壁Rの上方ではなく仕切壁Rの側方にある第2突出領域部Q2に配置している。これにより、メカユニットMUの設置による筐体100の上下方向寸法の増大を抑制しつつ、仕切壁Rとの協働によって第1領域Pと第2領域Qとの間の密閉機能を果たすことができる。
【0043】
また、本実施形態では特に、突出基板部170aがメインシャーシ部材150の下方に入り込むように配置されている。これにより、突出基板部170aを、排出口107から侵入しうる飛沫から確実に隔離し、防水性を向上することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0045】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0046】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 プリンタ(印刷装置)
100 筐体
101B 開閉蓋
107 排出口
111 プラテンローラ(搬送ローラ)
112 サーマルラインヘッド(印字ヘッド)
161 ロール収納部(媒体収納室)
170 制御基板
170a 突出基板部
MU メカユニット(印刷処理機構)
S ロール紙(被印字媒体)
P 第1領域
P1 第1ベース領域部
P2 第1突出領域部
Q 第2領域
Q1 第2ベース領域部
Q2 第2突出領域部
R 仕切壁
R1 第1仕切部
R2 第2仕切部
R3 第3仕切部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外郭を構成する略箱形の筐体と、
前記筐体のうち水平方向に含まれる第1方向に沿った一方側に位置する第1領域の下部に設けられ、電力を供給するための電池を収納する電池収納部と、
前記筐体のうち前記第1領域の上部に略水平に配置された制御基板と、
前記筐体のうち前記第1方向に沿った他方側に位置する第2領域に設けられ、被印字媒体を収納する媒体収納室と、
前記筐体の前記第1領域と前記第2領域との境界部に当該第1領域と当該第2領域とを区分するように設けられ、前記制御基板の制御に基づき、前記電池収納部に収納された前記電池の電力により、前記媒体収納室から供給される前記被印字媒体に所望の印字を行う、印刷処理機構と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記筐体の内部構造を前記第1領域と前記第2領域とに仕切るための仕切壁を有し、
前記筐体は、
開き状態において前記媒体収納室を外部に露出可能な開閉蓋を備えており、
前記印刷処理機構は、
前記仕切壁の上部を覆うように設けられている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
前記第1領域は、
第1ベース領域部と、
前記印刷処理機構の下方へ入り込むように前記第1ベース領域部から前記他方側へ突出して設けられる第1突出領域部を含み、
前記第2領域は、
第2ベース領域部と、
前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記第1突出領域部に隣接して配置され、前記第2ベース領域部よりも前記一方側へ突出して設けられる少なくとも1つの第2突出領域部を含み、
前記制御基板は、
前記印刷処理機構の下方へ入り込むように前記第1領域の前記第1突出領域部に配置される突出基板部を備えており、
前記仕切壁は、
前記第1突出領域部と前記第2ベース領域部とを仕切るように前記第2方向に沿って延設される第1仕切部と、
前記第1仕切部よりも前記一方側に位置し、前記第2突出領域部と前記第1ベース領域部とを仕切るように前記第2方向に沿って延設される第2仕切部と、
前記第1仕切部と前記第2仕切部とを接続するように設けられ、前記第1突出領域と前記第2突出領域部とを仕切るように前記第1方向に沿って延設される第3仕切部と、
を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の印刷装置において、
前記印刷処理機構は、
前記被印字媒体に印字を行う印字ヘッドと、
前記被印字媒体の搬送経路を挟み前記印字ヘッドに対向して設けられた搬送ローラを駆動する駆動モータと、
を備えており、
前記搬送ローラ及び前記印字ヘッドは、
前記仕切壁の前記第3仕切部の上方に位置するように配置され、
前記駆動モータは、
前記搬送ローラ及び前記印字ヘッドの前記第2方向に沿った一方側の端部の下方で、前記第2領域の前記第2突出領域部に配置される
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の印刷装置において、
前記筐体は、
前記制御基板の前記突出基板部の上方となる位置に、前記印刷処理機構により印字が形成された前記被印字媒体を排出する排出口を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項1】
装置外郭を構成する略箱形の筐体と、
前記筐体のうち水平方向に含まれる第1方向に沿った一方側に位置する第1領域の下部に設けられ、電力を供給するための電池を収納する電池収納部と、
前記筐体のうち前記第1領域の上部に略水平に配置された制御基板と、
前記筐体のうち前記第1方向に沿った他方側に位置する第2領域に設けられ、被印字媒体を収納する媒体収納室と、
前記筐体の前記第1領域と前記第2領域との境界部に当該第1領域と当該第2領域とを区分するように設けられ、前記制御基板の制御に基づき、前記電池収納部に収納された前記電池の電力により、前記媒体収納室から供給される前記被印字媒体に所望の印字を行う、印刷処理機構と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記筐体の内部構造を前記第1領域と前記第2領域とに仕切るための仕切壁を有し、
前記筐体は、
開き状態において前記媒体収納室を外部に露出可能な開閉蓋を備えており、
前記印刷処理機構は、
前記仕切壁の上部を覆うように設けられている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
前記第1領域は、
第1ベース領域部と、
前記印刷処理機構の下方へ入り込むように前記第1ベース領域部から前記他方側へ突出して設けられる第1突出領域部を含み、
前記第2領域は、
第2ベース領域部と、
前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記第1突出領域部に隣接して配置され、前記第2ベース領域部よりも前記一方側へ突出して設けられる少なくとも1つの第2突出領域部を含み、
前記制御基板は、
前記印刷処理機構の下方へ入り込むように前記第1領域の前記第1突出領域部に配置される突出基板部を備えており、
前記仕切壁は、
前記第1突出領域部と前記第2ベース領域部とを仕切るように前記第2方向に沿って延設される第1仕切部と、
前記第1仕切部よりも前記一方側に位置し、前記第2突出領域部と前記第1ベース領域部とを仕切るように前記第2方向に沿って延設される第2仕切部と、
前記第1仕切部と前記第2仕切部とを接続するように設けられ、前記第1突出領域と前記第2突出領域部とを仕切るように前記第1方向に沿って延設される第3仕切部と、
を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の印刷装置において、
前記印刷処理機構は、
前記被印字媒体に印字を行う印字ヘッドと、
前記被印字媒体の搬送経路を挟み前記印字ヘッドに対向して設けられた搬送ローラを駆動する駆動モータと、
を備えており、
前記搬送ローラ及び前記印字ヘッドは、
前記仕切壁の前記第3仕切部の上方に位置するように配置され、
前記駆動モータは、
前記搬送ローラ及び前記印字ヘッドの前記第2方向に沿った一方側の端部の下方で、前記第2領域の前記第2突出領域部に配置される
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の印刷装置において、
前記筐体は、
前記制御基板の前記突出基板部の上方となる位置に、前記印刷処理機構により印字が形成された前記被印字媒体を排出する排出口を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−49174(P2013−49174A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187864(P2011−187864)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]