説明

印刷設定システムおよび印刷設定方法

【課題】プリンタードライバーの印刷設定機能を管理するファイルの保守および管理を容易にする。
【解決手段】印刷システム5の印刷設定変更ツール20は、印刷設定の変更情報を印刷設定ファイル30に出力する設定項目変更指示部22と、変更情報が印刷設定ファイル30に出力される場合、印刷設定ファイル30の認証キーを読み込み、所定の規則を適用して次に有効な認証キーを生成し、印刷設定ファイル30の認証キーを次に有効な認証キーに書き換える認証キー生成部24とを備え、プリンタードライバー10は、印刷設定ファイル30の認証キーと所定の規則に基づき、印刷設定ファイル30の変更情報を取得するか、否かを判定する認証キー判定部12と、変更情報を取得する場合、印刷設定ファイル30の変更情報を取得する設定項目読み込み部14と、取得した変更情報に基づいて印刷設定に関する印刷情報を書き換えるDevMode設定部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷設定システムおよび印刷設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターをコンピューターに接続し、コンピューターで作成した印刷データをプリンターに印刷しようとする際、プリンターの機種毎に用意されたプリンタードライバーと呼ばれるソフトウェアをコンピューターに組み込む必要がある。そして、組み込んだプリンタードライバーを用いて、印刷する用紙やレイアウトなどの各種情報をコンピューターに対して設定する処理を行うことにより、プリンターから設定した条件で印刷することができる。
このようなプリンターの設定では、ユーザーが所定の操作を行うことにより、コンピューターの画面上にプリンタープロパティのウィンドウを表示し、このプリンタープロパティに表示されるユーザーインターフェイスを介してユーザーが操作することで実現される。また、プリンターの設定をプリンタープロパティに限定せず、印刷設定に関する情報を外部のファイルに記述するようにして、エディター等のアプリケーションから印刷設定をファイルに書き込むことにより、印刷設定をよりフレキシブルに行うことができる。
通常、このようなファイルへの書き込みは、管理者等の所定の権限を有するユーザーに限定され、悪意ある改ざんを回避する方法として、下記特許文献1に示すように、認証キーを設けてファイルへのアクセスを制限する方法が広く知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−160547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、認証キーが固定化されて変更できない場合、同様なファイルが複数個存在すると作成された時間的な順序がわからないため、古い印刷設定のファイルが採用されてしまうことがあった。更に、認証キーの規則を理解しなくとも、認証キーをそのままコピーして貼り付けることで、アクセス制限を容易に無効化できた。また、認証キーが都度変更される場合であっても、それぞれの認証キーの時間的な順序がわからないため、古い印刷設定のファイルが採用されてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる印刷設定システムは、認証キーが付加された印刷設定ファイルを介して、印刷設定ツールがプリンタードライバーに対して印刷設定を行う印刷設定システムであって、前記印刷設定ツールは、印刷設定の変更に関する変更情報を受付け、受付けた前記変更情報を前記印刷設定ファイルに出力する変更指示部と、前記変更情報が前記印刷設定ファイルに出力される場合、前記印刷設定ファイルに付加された前記認証キーを読み込み、読み込んだ前記認証キーに所定の規則を適用することにより、読み込んだ前記認証キーの次に有効な認証キーを前記読み込んだ認証キーに基づいて生成し、前記印刷設定ファイルの前記認証キーを前記次に有効な認証キーに書き換える認証キー書き換え部と、を備え、前記プリンタードライバーは、前記印刷設定ファイルに付加された前記認証キーを読み込み、読み込んだ前記認証キーと前記所定の規則に基づいて、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得するか、否かを判定する判定部と、前記変更情報を取得すると判定した場合、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得する変更情報取得部と、取得した前記変更情報に基づいて、印刷設定に関する印刷情報を書き換える印刷情報設定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、印刷設定ツールは、印刷設定ファイルから読み込んだ認証キーに所定の規則を適用して次に有効な認証キーを生成するため、次に有効な認証キーは、直近で有効な認証キーを基準に生成されると共に、印刷設定ツールが印刷設定ファイルに変更情報を出力した場合に限って生成される。また、プリンタードライバーは、印刷設定ファイルから読み込んだ認証キーと、印刷設定ツールと同一の所定の規則に基づいて、印刷設定ファイルに含まれる変更情報を取得するか、否かを判定し、変更情報を取得する場合、印刷設定ファイルに含まれる変更情報に基づいて印刷設定に関する印刷情報を書き換える。従って、印刷設定ツールで印刷設定を変更する場合に限り、次に有効な認証キーが生成され、プリンタードライバーは生成された認証キーの有効性を確認した後、変更情報を取得し、印刷設定に関する印刷情報を書き換える。これにより、第三者の印刷設定ファイルの改ざんを無効化できると共に、最新ではない印刷設定が印刷情報に採用されることを回避できる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかる印刷設定システムにおいて、前記プリンタードライバーは、前記印刷情報に応じた前記認証キーを保持し、前記判定部は、保持する前記認証キーに前記所定の規則を適用することで、読み込んだ前記認証キーに合致する場合、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得すると判定することが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、プリンタードライバーは、印刷設定ツールが次に有効な認証キーを生成するのと同様に、保持している認証キーに所定の規則を適用して認証キーを生成し、2つの認証キーが合致するか、否かを判定するため、認証キーの有効性をより確実に確認できる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかる印刷設定システムにおいて、前記所定の規則は、読み込んだ前記認証キーを基準に、前記次に有効な認証キーを一意かつ従順に生成しても良い。
【0011】
[適用例4]
本適用例にかかる印刷設定方法は、認証キーが付加された印刷設定ファイルを介して、印刷設定ツールがプリンタードライバーに対して印刷設定を行う印刷設定方法であって、前記印刷設定ツールが印刷設定の変更に関する変更情報を受付け、受付けた前記変更情報を前記印刷設定ファイルに出力する工程と、前記変更情報が前記印刷設定ファイルに出力される場合、前記印刷設定ツールが前記印刷設定ファイルに付加された前記認証キーを読み込み、読み込んだ前記認証キーに所定の規則を適用することにより、読み込んだ前記認証キーの次に有効な認証キーを前記読み込んだ認証キーに基づいて生成し、前記印刷設定ファイルの前記認証キーを前記次に有効な認証キーに書き換える工程と、前記プリンタードライバーが前記印刷設定ファイルに付加された前記認証キーを読み込み、読み込んだ前記認証キーと前記所定の規則に基づいて、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得するか、否かを判定する工程と、前記プリンタードライバーが前記変更情報を取得すると判定した場合、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得する工程と、取得した前記変更情報に基づいて、前記プリンタードライバーが印刷設定に関する印刷情報を書き換える工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような方法によれば、印刷設定ツールは、印刷設定ファイルから読み込んだ認証キーに所定の規則を適用して次に有効な認証キーを生成するため、次に有効な認証キーは、直近で有効な認証キーを基準に生成されると共に、印刷設定ツールが印刷設定ファイルに変更情報を出力した場合に限って生成される。また、プリンタードライバーは、印刷設定ファイルから読み込んだ認証キーと、印刷設定ツールと同一の所定の規則に基づいて、印刷設定ファイルに含まれる変更情報を取得するか、否かを判定し、変更情報を取得する場合、印刷設定ファイルに含まれる変更情報に基づいて印刷設定に関する印刷情報を書き換える。従って、印刷設定ツールで印刷設定を変更する場合に限り、次に有効な認証キーが生成され、プリンタードライバーは生成された認証キーの有効性を確認した後、変更情報を取得し、印刷設定に関する印刷情報を書き換える。これにより、第三者の印刷設定ファイルの改ざんを無効化できると共に、最新ではない印刷設定が印刷情報に採用されることを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、印刷設定システムの一形態として、印刷システムについて図面を参照して説明する。
【0014】
(実施形態)
図1は、印刷システム5の概構成を示すブロック図である。この印刷システム5は、コンピューター200とプリンター300を備えて成る。
コンピューター200は、CPU(Central Processing Unit)220、メモリー210、I/O部225、入力装置215、モニター230および記憶装置235をハードウェアとして備え、これらはバス240を介して情報を授受可能に接続されている。
CPU220は、コンピュータープログラムに従って種々の処理や制御を行う。メモリー210は、コンピュータープログラムやデータなどを記憶したり、一時的に保持したりする。I/O(Input Output)部225は、各種周辺装置との間でデータなどの授受を行う。入力装置215は、キーボードやポインティングデバイスなどから成り、ユーザーからの指示が入力される。モニター230は、CRTや液晶ディスプレイなどから成り、画像を表示する。記憶装置235は、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などから成り、画像データや種々のコンピュータープログラムを格納する。
プリンター300の印字方式は限定されるものではなく、インクジェット方式やレーザー方式を想定する。このプリンター300は、I/O部225を介してコンピューター200と接続されている。この場合、接続方式は限定されず、USB(Universal Serial Bus)のようなシリアルバスを介して接続されても良く、無線LAN(Local Area Network)のようにネットワークを介して接続されても良い。
【0015】
コンピューター200は、それぞれのハードウェアの管理や、ユーザーとのインターフェイスを所定のオペレーティングシステム40により実現している。このオペレーティングシステム40は、CPU220がオペレーティングシステムプログラムを実行することにより、コンピューター200上に構築される。尚、本実施形態では、オペレーティングシステム40として、Windows(登録商標)を想定するが、これに限定されるものではない。
【0016】
また、コンピューター200には、アプリケーションプログラムやプリンタードライバープログラムが予めインストールされ、記憶装置235に記憶されている。これらのアプリケーションプログラムやプリンタードライバープログラムは、CPU220の指示により記憶装置235から読み出されてメモリー210上に転送された後、実行されることにより、プリンタードライバー10や、アプリケーションプログラムの1つである印刷設定変更ツール20がコンピューター200上に構築される。
印刷設定変更ツール20は、ユーザーにより起動され、図示を略したユーザーインターフェイスを介して印刷に関する種々の設定を行うことができる。印刷設定変更ツール20により設定された情報は、印刷設定ファイル30に書き込まれる。この印刷設定ファイル30は、通常は記憶装置235に記憶されており、必要に応じてメモリー210上に展開される。
プリンタードライバー10は、記憶装置235に記憶された印刷設定ファイル30をメモリー210上に展開し、印刷設定ファイル30に書き込まれている情報に基づいて、コンピューター200に接続されたプリンター300を制御すると共に、プリンター300の機能に応じた印刷データを生成する。
【0017】
図2は、プリンタードライバー10、印刷設定変更ツール20および印刷設定ファイル30の詳細を説明するブロック図である。また、図3は、印刷設定ファイル30の書き換え処理を説明する図であり、適宜参照して説明する。
プリンタードライバー10は、認証キー判定部12、設定項目読み込み部14、DevMode設定部16および印刷ジョブ生成部18を備える。印刷設定変更ツール20は、設定項目変更指示部22および認証キー生成部24を備える。これらの機能部は、上述したコンピューター200のハードウェアと、各ソフトウェアとが有機的に協働することで実現する。また、印刷設定ファイル30は、認証キー記述部32と設定項目記述部34で構成される。
最初に、印刷設定ファイル30について説明する。本実施形態では、印刷設定ファイル30は、XML(extensible markup language)言語で記述されている。認証キー記述部32には、この印刷設定ファイル30の有効性を示す認証キーが記述されている。本実施形態では、認証キーは所定の数値を初期値とする数値が採用される。また、設定項目記述部34は、プリンタードライバー10で設定可能な情報が記述されている。例えば、図3の印刷設定ファイル30Aは、認証キー記述部32Aには、「123」が記述され、設定項目記述部34Aには、両面印刷の機能を無効にすることを示す「両面印刷=OFF」が記述されている。
【0018】
次に、印刷設定変更ツール20について説明する。設定項目変更指示部22は、ユーザーからの印刷設定の変更を指示するメッセージがオペレーティングシステム40を介して伝わり、このメッセージを受けて、設定項目記述部34に記述されている該当部分の情報を書き換える変更指示部である。認証キー生成部24は、設定項目記述部34の内容が変更された場合、現在の認証キーの次に有効な認証キーを生成し、生成した認証キーを認証キー記述部32に書き込む認証キー書き換え部である。
現在の認証キーの次に有効な認証キーを生成する生成ルールは、後述するプリンタードライバー10の認証キー判定部12と共有されている。本実施形態では、現在の認証キーの次に有効な認証キーは、現在の認証キーの数値に各桁の数値を加算した数値となる。例えば、図3の印刷設定ファイル30Aの設定項目記述部34Aが印刷設定変更ツール20により書き換えられた場合、現在の認証キーの次に有効な認証キーは、印刷設定ファイル30Bの認証キー記述部32Bに示すように、「123」に「1」と「2」と「3」を加えた「129」となる。即ち、認証キーの生成ルールは、現在の認証キーに対して適用することにより、次の認証キーを一意かつ従順に生成する。本実施形態の場合、現在の数値よりも必ず大きい昇順の数値が一意に決まる。
【0019】
尚、認証キーの生成ルールは、これに限定されるものではなく、プリンタードライバー10の認証キー判定部12と共有されていれば、種々の数値や文字等であっても良く、何れの方法で生成されても良い。また、設定項目記述部34の記述に関係なく、プリンタードライバー10の設定をインストールされた時の初期値に戻すような特別な認証キーが定義されていても良い。
次に、プリンタードライバー10について説明する。認証キー判定部12は、オペレーティングシステム40からの指示を受けて、印刷設定ファイル30の認証キーを読み込み、読み込んだ認証キーと認証キーの生成ルールに基づいて、読み込んだ認証キーの有効性を判定すると共に、印刷設定ファイル30に含まれる設定項目記述部34の取得を判定する判定部である。
より詳細には、現在の印刷設定に対応した認証キーは、印刷設定に関する情報が記憶されたデータベースであるDevMode構造体の拡張領域等に格納されている。認証キー判定部12は、DevMode構造体から取得した現在の認証キーに基づき、印刷設定変更ツール20と共有する生成ルールに基づいて次に有効な認証キーを生成する。生成した認証キーと印刷設定ファイル30から読み込んだ認証キーとを比較して合致するか否かを判定し、判定した結果を設定項目読み込み部14に送る。尚、認証キー判定部12は、生成した認証キーと印刷設定ファイル30から読み込んだ認証キーとが異なる場合、所定の範囲で、印刷設定ファイル30から読み込んだ認証キーとが一致するまで、更に次に有効な認証キーを生成して再度判定しても良い。
【0020】
設定項目読み込み部14は、認証キー判定部12から送られる判定結果に応じて、印刷設定ファイル30の設定項目記述部34を読み込む変更情報取得部である。即ち、図3の印刷設定ファイル30Bの場合のように、生成した認証キーと印刷設定ファイル30Bから読み込んだ認証キーとが合致する場合、設定項目読み込み部14は、印刷設定ファイル30Bの設定項目記述部34Bを読み込み、読み込んだ印刷設定情報をDevMode設定部16に送る。他方で、2つの認証キーが合致しない場合は、印刷設定ファイル30が正しく更新されないと判定し、設定項目記述部34Bを読み込まずに終了する。この際、何らかのメッセージをユーザーに示しても良い。
DevMode設定部16は、設定項目読み込み部14から送られる印刷設定情報に基づき、DevMode構造体の情報を書き換える印刷情報設定部である。例えば、図3の印刷設定ファイル30Bの場合、両面印刷の機能を有効にすることを示す「両面印刷=ON」が記述されているので、メモリー210の所定位置に保持されているDevMode構造体の所定のメンバー領域を書き換え、両面印刷を有効にする。
印刷ジョブ生成部18は、ユーザーからの印刷指示に応じて、メモリー210の所定位置に保持されているDevMode構造体の情報を参照して印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブをプリンター50に送る。この際、DevMode構造体の情報がDevMode設定部16により書き換えられた場合は、書き換えられた印刷設定に基づいて印刷ジョブが生成される。他方で、DevMode構造体の情報がDevMode設定部16により書き換えられない場合は、従来の印刷設定に基づいて印刷ジョブが生成される。
【0021】
ここで、図3に示すように、テキストエディター90のように、印刷設定変更ツール20以外のツールにより印刷設定ファイル30が書き換えられた場合を説明する。テキストエディター90による書き換えは、印刷設定ファイル30Cのように設定項目記述部34Cのみが書き換えられる場合と、印刷設定ファイル30Dのように認証キー記述部32Dと設定項目記述部34Dが書き換えられる場合が想定できる。
前者の場合、認証キー判定部12は、認証キー記述部32Cに記述されている認証キーが現在の認証キーと一致すると判定し、これを受けてプリンタードライバー10の設定項目読み込み部14は、設定項目記述部34Cが更新されていないと判定し、読み込み動作に遷移せず終了する。
後者の場合、認証キー判定部12は、認証キー記述部32Dに記述されている認証キーが現在の認証キーの次に有効な認証キーではないと判定し、これを受けてプリンタードライバー10の設定項目読み込み部14は、2つの認証キーが一致しないため、書き換えられた設定項目記述部34Dの読み込み動作に遷移せず終了する。
上述したように、印刷設定変更ツール20以外のツールにより印刷設定ファイル30が書き換えられた場合は、いずれの場合も、変更した印刷設定情報は無視され、DevMode構造体は更新されない。
【0022】
図4は、印刷設定変更ツール20の処理の流れを説明するフローチャートである。最初に、CPU220は、記憶装置235に記憶されている印刷設定ファイル30を開く(ステップS100)。次に、CPU220は、ユーザーからの指示に応じて、設定項目記述部34に記述されている印刷設定項目を設定項目記述部34に上書きして書き換える(ステップS102)。次に、CPU220は、ユーザーから印刷設定ファイル30の上書きが指示されるか、否かを判定する(ステップS104)。
ここで、印刷設定ファイル30の上書きが指示されないと判定した場合(ステップS104でNo)、CPU220は、印刷設定項目の書き換えを反映することなく印刷設定ファイル30を閉じ(ステップS112)、一連の処理を終了する。
他方で、印刷設定ファイル30の上書きが指示されたと判定した場合(ステップS104でYes)、CPU220は、現在の認証キーの次に有効な認証キーを生成ルールに従い生成する(ステップS106)。次に、CPU220は、生成した認証キーを認証キー記述部32に上書きして書き換える(ステップS108)。次に、CPU220は、認証キーと印刷設定項目の書き換えが反映した内容で印刷設定ファイル30を登録する(ステップS110)。次にCPU220は、登録した印刷設定ファイル30を閉じ(ステップS112)、一連の処理を終了する。
【0023】
図5は、プリンタードライバー10において、印刷設定ファイル30の書き換えをチェックする処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、プリンタードライバー10がコンピューター200上に構築されている場合、オペレーティングシステム40が所定の時間間隔で実行を指示する。
最初に、CPU220は、記憶装置235に記憶されている印刷設定ファイル30を開く(ステップS120)。次に、CPU220は、印刷設定ファイル30の認証キー記述部32から認証キーを読み込む(ステップS122)。次に、CPU220は、保持している認証キーから、読み込んだ認証キーが生成ルールに従い正しく更新されたか、否かの有効性を判定する(ステップS124)。
ここで、読み込んだ認証キーが正しく更新されたと判定されない場合(ステップS126でNo)、CPU220は、印刷設定ファイル30を閉じ(ステップS132)、一連の処理を終了する。
他方で、読み込んだ認証キーが正しく更新されたと判定された場合(ステップS126でYes)、CPU220は、印刷設定ファイル30の設定項目記述部34から印刷設定項目を読み込む(ステップS128)。次に、CPU220は、読み込んだ印刷設定項目を反映したDevMode構造体を設定する(ステップS130)。最後に、CPU220は、印刷設定ファイル30を閉じ(ステップS132)、一連の処理を終了する。
【0024】
上述した2つのフローチャートにより、プリンタードライバー10は、印刷設定ファイル30に記述された認証キーが生成ルールに従って正しく更新された場合に限り、印刷設定ファイル30に記述された設定項目記述部34から印刷設定項目を読み込み、読み込んだ印刷設定項目に基づいてDevMode構造体を設定する。従って、印刷システム5により、プリンタードライバー10のバージョン管理が容易になり、古いバージョンの印刷設定ファイル30を読み込むことによる混乱やトラブルを回避できる。また、プリンタードライバー10を管理する管理者の負担を軽減できる。
【0025】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態では、プリンタードライバー10、印刷設定変更ツール20および印刷設定ファイル30が同一のコンピューター200上で機能したが、これに限定されるものではない。即ち、印刷設定ファイル30は、プリンタードライバー10が組み込まれたコンピューター(クライアントコンピューター)200とは異なり、ネットワークで接続された他のコンピューター(例えば、サーバーコンピューター)側にあっても良い。この場合、印刷設定変更ツール20は、クライアントコンピューター200側にあっても良く、サーバーコンピューター側にあっても良い。また、認証キー記述部32に記述されている認証キーはテキスト形式に限定されず、バイナリー形式で記述されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの概構成を示すブロック図。
【図2】プリンタードライバー、印刷設定変更ツールおよび印刷設定ファイルの詳細を説明するブロック図。
【図3】印刷設定ファイルの書き換え処理を説明する図。
【図4】印刷設定変更ツールの処理の流れを説明するフローチャート。
【図5】プリンタードライバーにおいて、印刷設定ファイルの書き換えをチェックする処理の流れを説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
5…印刷システム、10…プリンタードライバー、12…認証キー判定部、14…設定項目読み込み部、16…DevMode設定部、18…印刷ジョブ生成部、20…印刷設定変更ツール、22…設定項目変更指示部、24…認証キー生成部、30,30A,30B,30C,30D…印刷設定ファイル、32,32A,32B,32C,32D…認証キー記述部、34,34A,34B,34C,34D…設定項目記述部、40…オペレーティングシステム、50…プリンター、90…テキストエディター、200…コンピューター、210…メモリー、215…入力装置、220…CPU、225…I/O部、230…モニター、235…記憶装置、240…バス、300…プリンター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証キーが付加された印刷設定ファイルを介して、印刷設定ツールがプリンタードライバーに対して印刷設定を行う印刷設定システムであって、
前記印刷設定ツールは、
印刷設定の変更に関する変更情報を受付け、受付けた前記変更情報を前記印刷設定ファイルに出力する変更指示部と、
前記変更情報が前記印刷設定ファイルに出力される場合、前記印刷設定ファイルに付加された前記認証キーを読み込み、読み込んだ前記認証キーに所定の規則を適用することにより、読み込んだ前記認証キーの次に有効な認証キーを前記読み込んだ認証キーに基づいて生成し、前記印刷設定ファイルの前記認証キーを前記次に有効な認証キーに書き換える認証キー書き換え部と、を備え、
前記プリンタードライバーは、
前記印刷設定ファイルに付加された前記認証キーを読み込み、読み込んだ前記認証キーと前記所定の規則に基づいて、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得するか、否かを判定する判定部と、
前記変更情報を取得すると判定した場合、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得する変更情報取得部と、
取得した前記変更情報に基づいて、印刷設定に関する印刷情報を書き換える印刷情報設定部と、を備えることを特徴とする印刷設定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷設定システムにおいて、
前記プリンタードライバーは、前記印刷情報に応じた前記認証キーを保持し、
前記判定部は、保持する前記認証キーに前記所定の規則を適用することで、読み込んだ前記認証キーと合致する場合、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得すると判定することを特徴とする印刷設定システム。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の印刷設定システムにおいて、
前記所定の規則は、読み込んだ前記認証キーを基準に、前記次に有効な認証キーを一意かつ従順に生成することを特徴とする印刷設定システム。
【請求項4】
認証キーが付加された印刷設定ファイルを介して、印刷設定ツールがプリンタードライバーに対して印刷設定を行う印刷設定方法であって、
前記印刷設定ツールが印刷設定の変更に関する変更情報を受付け、受付けた前記変更情報を前記印刷設定ファイルに出力する工程と、
前記変更情報が前記印刷設定ファイルに出力される場合、前記印刷設定ツールが前記印刷設定ファイルに付加された前記認証キーを読み込み、読み込んだ前記認証キーに所定の規則を適用することにより、読み込んだ前記認証キーの次に有効な認証キーを前記読み込んだ認証キーに基づいて生成し、前記印刷設定ファイルの前記認証キーを前記次に有効な認証キーに書き換える工程と、
前記プリンタードライバーが前記印刷設定ファイルに付加された前記認証キーを読み込み、読み込んだ前記認証キーと前記所定の規則に基づいて、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得するか、否かを判定する工程と、
前記プリンタードライバーが前記変更情報を取得すると判定した場合、前記印刷設定ファイルに含まれる前記変更情報を取得する工程と、
取得した前記変更情報に基づいて、前記プリンタードライバーが印刷設定に関する印刷情報を書き換える工程と、を備えることを特徴とする印刷設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−181927(P2010−181927A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22303(P2009−22303)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】