説明

印刷設定プログラム、及び印刷設定装置

【課題】日本語デバイスフォントを搭載していないプリンタに対して日本語デバイスフォントを使用するための印刷設定が行なわれることを効果的に防止する。
【解決手段】印刷データを処理するためのプリンタから取得した情報に基づき、プリンタに日本語デバイスフォントが搭載されているかどうかを判定する手順(S103)と、S103で日本語デバイスフォントが搭載されていないと判定された場合に、印刷データがダウンロード形式でプリンタに送信されるように、印刷データの印刷設定のデフォルト値を変更する手順(S104)とを、PCに実行させるプリンタドライバ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データのフォント設定を含む各種印刷設定を行なうための印刷設定プログラム、及び印刷設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタに搭載されるデバイスフォントの種類はプリンタの仕向けごとに異なるのが一般的である。例えば、日本向けプリンタに搭載されることが多い日本語デバイスフォントは、米国向けや欧州向けのプリンタには搭載されないのが一般的である。これは日本語デバイスフォントに限らずデバイスフォントの利用には高額なロイヤリティが発生するほか、日本語デバイスフォントは欧文デバイスフォントと比較して装置側のリソースを多く消費するからである。
【0003】
同様に、プリンタドライバのUIに関しても、各種言語で表記されたローカライズ版が用意されており、UIが日本語のドライバのみが日本語デバイスフォントを使用可能であり、UIがその他の言語のドライバは日本語デバイスフォントを使用することができない。
【0004】
以上のように、日本語デバイスフォントを用いて印刷処理を実行するためにはプリンタとドライバの双方が日本語デバイスフォントに対応している必要があり、日本語デバイスフォントに対応しているドライバから日本語デバイスフォントに対応していないプリンタに対して印刷指示を行なったとしても日本語部分が正確に印字されなかったりジョブがエラー終了したりするという問題が生じる。
【0005】
例えば、グローバル企業の日本支社に勤務する社員が米国本社に出張し、日本から持参してモバイルPCにより日本語の文書データを印刷しようとする場面について考える。この際、モバイルPC上の日本語デバイスフォントに対応しているドライバはデフォルト設定により日本語デバイスフォントへの置換を伴う印刷データ(PDLデータ)を作成するが、その印刷データを受信した米国仕向けのプリンタは日本語デバイスフォントを搭載していないため、上述したような問題が生じることになる。
【0006】
かかる場面においても、ダウンロード形式による印刷処理が指定されるように印刷設定を手動で変更することで日本語デバイスフォントへの置換を無効化することが可能ではあるが、ある程度知識を有するユーザでないと対処方法が分からず、本来想定されている使用環境ではないものの、ユーザの利便性を損ねてしまうという問題が生じていた。
【0007】
これに関連して、以下の特許文献1には、プリンタドライバから受信したPDLデータ中で指定されたデバイスフォントのうちプリンタデバイスに非搭載のものを特定するプリントサーバ、及びプリントサーバにより特定されたプリンタデバイスに非搭載のデバイスフォントをプリンタデバイスに配信するデータサーバ(フォントリソースサーバ)を備えた印刷システムが提案されている。このようなシステムによれば、日本語を含む全ての言語の文書データをデバイスフォントにより印刷することが理論的には可能となるが、膨大な量のデバイスフォントを予め格納しておく専用のデータサーバが必要となるため、上述のような場面において印刷エラーを回避するための現実的な手段を提供するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−192322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、特定の言語のデバイスフォントを搭載していない印刷装置に対して、当該言語のデバイスフォントを使用するための印刷設定が行なわれることを効果的に防止することができる印刷設定プログラム、及び印刷設定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0011】
(1)印刷データの印刷設定を行なうための印刷設定プログラムであって、前記印刷データを処理するための印刷装置から取得した情報に基づき、前記印刷装置に特定の言語のデバイスフォントが搭載されているかどうかを判定する手順(A)と、前記手順(A)で前記特定の言語のデバイスフォントが搭載されていないと判定された場合に、前記印刷データがダウンロード形式で前記印刷装置に送信されるように、前記印刷データの印刷設定のデフォルト値を変更する手順(B)と、をコンピュータに実行させることを特徴とする印刷設定プログラム。
【0012】
(2)前記手順(B)に先立ち、前記印刷データの作成に用いられたシステムフォントのデバイスフォントへの置換に関するフォント置換設定のデフォルト値がユーザにより変更されたかどうかを判定する手順(a)をさらに前記コンピュータに実行させ、前記手順(B)では、前記手順(a)でフォント置換設定のデフォルト値が変更されなかったと判定された場合のみ、前記印刷データの印刷設定のデフォルト値が変更されることを特徴とする上記(1)に記載の印刷設定プログラム。
【0013】
(3)前記特定の言語は、マルチバイト文字を使用する言語であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の印刷設定プログラム。
【0014】
(4)前記特定の言語は、日本語であることを特徴とする上記(3)に記載の印刷設定プログラム。
【0015】
(5)前記手順(A)では、SNMP(Simple Network Management Protocol)に従って前記情報を取得することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の印刷設定プログラム。
【0016】
(6)前記手順(A)では、PJL(Printer Job Language)コマンドを用いて前記情報を取得することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の印刷設定プログラム。
【0017】
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の印刷設定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0018】
(8)印刷データの印刷設定を行なうための印刷設定装置であって、前記印刷データを処理するための印刷装置から取得した情報に基づき、前記印刷装置に特定の言語のデバイスフォントが搭載されているかどうかを判定する判定部と、前記判定部により前記特定の言語のデバイスフォントが搭載されていないと判定された場合に、前記印刷データがダウンロード形式で前記印刷装置に送信されるように、前記印刷データの印刷設定のデフォルト値を変更する設定変更部と、を有することを特徴とする印刷設定装置。
【0019】
(9)前記判定部は、前記印刷データの作成に用いられたシステムフォントのデバイスフォントへの置換に関するフォント置換設定のデフォルト値がユーザにより変更されたかどうかを判定し、前記設定変更部は、前記判定部によりフォント置換設定のデフォルト値が変更されなかったとさらに判定された場合のみ、前記印刷データの印刷設定のデフォルト値を変更することを特徴とする上記(8)に記載の印刷設定装置。
【0020】
(10)前記特定の言語は、マルチバイト文字を使用する言語であることを特徴とする上記(8)または(9)に記載の印刷設定装置。
【0021】
(11)前記特定の言語は、日本語であることを特徴とする上記(10)に記載の印刷設定装置。
【0022】
(12)前記情報は、SNMP(Simple Network Management Protocol)に従って取得されることを特徴とする上記(8)〜(11)のいずれか1つに記載の印刷設定装置。
【0023】
(13)前記情報は、PJL(Printer Job Language)コマンドを用いて取得されることを特徴とする上記(8)〜(11)のいずれか1つに記載の印刷設定装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、印刷装置が特定の言語のデバイスフォントを搭載していない場合には、当該印刷装置向けの印刷データがダウンロード形式で送信されるように印刷設定のデフォルト値が変更されるので、特定の言語のデバイスフォントを搭載していない印刷装置に対して、特定の言語のデバイスフォントを使用するための印刷設定が行なわれることを効果的に防止することができる。その結果、ユーザの利便性を損ねていた、特定の言語のデバイスフォントが非搭載であることによる印刷エラーを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るPCの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るプリンタドライバの機能ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るコントローラファームウェアの機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るプリンタドライバの処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るプリンタドライバによる日本語デバイスフォント搭載判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係るプリンタドライバによるデフォルト値設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係るプリンタドライバによるフォント設定用UI画面を示す概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るプリンタドライバによるフォント設定用UI画面を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るコントローラファームウェアの処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムSの全体構成を示すブロック図である。図1のように、印刷システムSは、クライアントとしてのPC1、及びPC1から受信した印刷データに基づき印刷処理を実行する印刷装置としてのプリンタ2を備えており、これらはネットワークNを介して接続されている。ここで、ネットワークNは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によるLAN、又はLANどうしを専用線で接続したWAN等である。なお、PC1とプリンタ2はローカル接続されていてもよい。
【0028】
続いて、上記機器の構成について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るPC1の構成を示すブロック図である。図2のように、PC1は、CPU11、メモリ12、記憶装置13、表示装置14、入力装置15、及び入出力I/F16を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス17を介して接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0029】
CPU11は、プログラムに従って上記各部の制御や各種演算処理を実行するためのマイクロプロセッサ等からなる制御回路であり、PC1の各機能は、それに対応するプログラムをCPU11が実行することにより発揮される。メモリ12は、作業領域として一時的にプログラム及びデータを保持するRAM、及び各種プログラムを格納するROMからなる主記憶領域である。
【0030】
記憶装置13は、オペレーティングシステム(OS)を含む各種プログラムを格納するHDD等の補助記憶領域である。特に、記憶装置13は、印刷用の文書データを作成・編集するための各種アプリケーションソフトウェア、及び文書ファイルの印刷設定を行なうためのプリンタドライバを備えている。
【0031】
表示装置14は、ユーザに各種情報を表示するための液晶表示装置等の表示装置である。特に、表示装置14は、プリンタドライバにより提供される印刷設定用UI画面を表示する。同UI画面は、タブやボタン等の操作により、「用紙」、「製本」、「画像品質」、「フォント」等の設定項目ごとの詳細設定画面に切り替え可能である。このような詳細設定画面のうち、印刷処理に用いられるデバイスフォントに関する詳細設定のための「フォント」設定用UI画面について以下に詳細に説明する。
【0032】
図9は、本発明の一実施形態に係るフォント設定用UI画面Gの一例を示す概略図である。図9のように、フォント設定用UI画面Gは、「ダウンロードフォント」のプルダウンメニューm1、「プリンタフォントを使用するか」のチェックボックスc1、TrueTypeフォント/使用するプリンタフォントの「フォント置き換えテーブル」、及び「使用するプリンタフォント」のプルダウンメニューm2等を備えている。これらについて以下に順に説明する。
【0033】
「ダウンロードフォント」のプルダウンメニューm1は、ダウンロード形式による印刷処理が実行される場合にプリンタにダウンロードされるフォントのタイプを指定するために用いられ、具体的には「ビットマップ」及び「アウトライン」のいずれかが選択可能である。
【0034】
「プリンタフォントを使用する」のチェックボックスc1は、プリンタに搭載されたデバイスフォント(以下では「プリンタフォント」ともいう)の利用を伴う印刷処理、及びダウンロード形式による印刷処理のいずれか一方を指定するために用いられ、具体的には、チェックマークが付されている場合にはプリンタフォントの利用を伴う印刷処理が指定され、チェックマークが付されていない場合にはダウンロード形式による印刷処理が指定されることになる。
【0035】
「フォント置き換えテーブル」は、プリンタフォントの利用を伴う印刷処理が実行される場合のシステムフォント(本例では「TrueTypeフォント」を指す)とデバイスフォントとの置き換え設定の内容を示すテーブルである。そして、「使用するプリンタフォント」のプルダウンメニューm2は、「フォント置き換えテーブル」中のフォントの置き換え設定の内容を変更するために用いられる。「フォント置き換えテーブル」についてはさらに後述する。
【0036】
再び図2を参照すると、入力装置15は、ユーザから種々の動作指示を受け付けるためのキーボードやマウス等である。入出力I/F16は、PC1をネットワークNに接続し、プリンタ2を含むネットワークN上の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0037】
続いて、図3は、本実施形態に係るプリンタ2の構成を示すブロック図である。図3のように、プリンタ2は、CPU21、メモリ22、記憶装置23、操作部24、入出力I/F25、エンジン部26を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス27を介して接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0038】
CPU21は、プログラムに従って上記各部の制御や各種演算処理を実行するためのマイクロプロセッサ等からなる制御回路であり、プリンタ2の各機能はそれに対応するプログラムをCPU21が実行することにより発揮される。メモリ22は、作業領域として一時的にプログラム及びデータを保持するRAM、及び各種プログラムを格納するROM等からなる主記憶装置である。
【0039】
記憶装置23は、読み取り専用の記憶装置や大容量のランダムアクセス記憶装置を適宜組み合わせて構成される補助記憶装置である。特に、記憶装置23は、後述するコントローラファームウェアFを格納している。また、記憶装置23は、図9のフォント設定用UI画面Gにおいて「プリンタフォントを使用する」のチェックボックスc1にチェックマークが付された場合に使用される少なくとも1種類の日本語デバイスフォントを格納している。
【0040】
操作部24は、プリンタ2のステータスや設定情報等をユーザに表示する機能、及び種々の動作指示をユーザから取得する機能を備えたオペレーションパネルである。入出力I/F25は、プリンタ2をネットワークNに接続し、PC1を含むネットワークN上の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0041】
エンジン部26は、後述するコントローラファームウェアFの言語部f2が作成した描画データを記録用紙に印刷するための印刷エンジンである。より具体的に、エンジン部26は、感光体ドラムを帯電させる帯電工程、レーザ光により感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像工程、感光体ドラム上のトナー画像を転写ベルトにより記録用紙に転写する転写工程、記録用紙に転写されたトナー画像を定着ローラにより加熱・定着させる定着工程からなる電子写真方式に従って描画データを記録用紙に印刷する。なお、エンジン部26が採用する印刷方式は、上述したような電子写真方式ではなく、インパクト方式、熱転写方式、及びインクジェット方式等の他の公知の印刷方式であってもよい。
【0042】
続いて、図4は、PC1の記憶装置13に格納されているプリンタドライバDの機能ブロック図である。図4のようにプリンタドライバDは印刷データの生成を担当するコアドライバ部d1、及び各種UI画面の制御を担当するUI処理部d2を備えている。そして、コアドライバ部d1は、日本語デバイスフォント搭載判定部d11、及びフォント置換テーブルデフォルト値設定部d12を備えている。
【0043】
ここで、日本語デバイスフォント搭載判定部d11は、後述のように、プリンタ2から取得した情報に基づきプリンタ2に日本語デバイスフォントが搭載されているかどうかを判定する機能を有する。また、フォント置換テーブルデフォルト値設定部d12は、後述のように、日本語デバイスフォント搭載判定部d11の判定結果に応じてフォント置き換えテーブル(図9参照)のデフォルト値を変更する機能を有する。これらについてはさらに後述する。
【0044】
続いて、図5は、プリンタ2の記憶装置23に格納されているコントローラファームウェアFの機能ブロック図である。図5のように、コントローラファームウェアFは、プリンタ2全体の制御を担当する制御部f1、及びPC1から受信した印刷データに基づきエンジン部26向けの描画データを作成する言語部f2を備えている。そして、制御部f1は、日本語デバイスフォント搭載問い合わせ処理部f11を備えている。ここで、日本語デバイスフォント搭載問い合わせ処理部f11は、後述のように、プリンタドライバDからの問い合わせに応じて、記憶装置23に格納されたデバイスフォントに関する情報を返送する機能を有する。これについてはさらに後述する。
【0045】
次に、本実施形態に係る印刷システムSの動作の概要についてフローチャートを用いて説明する。図6は、本発明の一実施形態に係るプリンタドライバDの処理の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにより示されるアルゴリズムはPC1の記憶装置13に制御プログラムとして記憶されており、動作開始時にメモリ12に読み出されて実行される。
【0046】
先ず、プリンタドライバDは、UI処理部d2によるUI処理を実行する(S101)。ここで、UI処理とは、ユーザがアプリケーションから印刷を試みる過程でプリンタドライバDの印刷設定画面(不図示)を開いた場合のUI処理や、印刷の流れとは関係なくユーザがプリンタドライバDの印刷設定画面(不図示)を開いた場合のUI処理を意味する。
【0047】
続いて、プリンタドライバDは、アプリケーションからの印刷要求があったかどうかを判定する(S102)。そして、印刷要求があった場合は(S102のYES)、日本語デバイスフォント搭載判定部d11により、プリンタ2に日本語デバイスフォントが搭載されているかどうかを判定するための日本語デバイスフォント搭載判定処理(S103)を実行する。他方、アプリケーションからの印刷要求がなかった場合は(S102のNO)、前述のUI処理(S101)に戻る。
【0048】
ここで、図7のフローチャートを参照して日本語デバイスフォント搭載判定処理(S103)の具体的な手順について説明する。先ず、プリンタドライバDは、プリンタ2との通信を開始し、プリンタ2に搭載されているデバイスフォントに関する情報の問い合わせを行なう(S201)。このとき、プリンタドライバDは、ネットワークNを介してSNMP(Simple Network Management Protocol)のような通信プロトコルやPJL(Printer Job Language)コマンド等を用いてプリンタ2への問い合わせを行なう。
【0049】
そして、プリンタドライバDは、一定期間内にプリンタ2から返答を受け付けた場合は(S202のYES)、その情報に基づき日本語デバイスフォントの搭載/非搭載を判定する(S203)。ここで、本例においてプリンタドライバDが受け付ける返答の内容は“Yes”又は“No”のいずれかであり、“Yes”を取得した場合には日本語デバイスフォントが搭載されていると判定し(S204)、“No”を取得した場合には日本語デバイスフォントが搭載されていないと判定する(S205)。
【0050】
他方、一定期間内にプリンタ2から返答を受け付けなかった場合は(S202のNO)、日本語デバイスフォントは搭載されていないと判定する(S205)。その後、プリンタドライバDは図6のフローチャートに戻る(リターン)。
【0051】
再び図6を参照すると、プリンタドライバDは、フォント置換テーブルデフォルト値設定部d12により、フォント設定に関するデフォルト値を指定するためのデフォルト値設定処理を実行する(S104)
ここで、図8のフローチャートを参照してデフォルト値設定処理(S104)の具体的な手順について説明する。先ず、プリンタドライバDは、既に図9のようなフォント設定用UI画面G上でユーザによりフォントの置き換え設定が変更済みであるかどうかを判定する(S301)。そして、フォントの置き換え設定がユーザにより変更済みである場合は(S301のYES)、ユーザによる変更済みの設定内容が尊重されるように、フォント設定のデフォルト値を変更することなく図6のフローチャートに戻る(リターン)。
【0052】
他方、フォントの置き換え設定がユーザにより変更済みでない場合は(S301のNO)、前述の日本語デバイスフォント搭載判定処理(S103)での判定結果に応じて(S302)フォント設定のデフォルト値を変更する(S303/S304)。すなわち、プリンタ2に日本語デバイスフォントが搭載されている場合は(S302のYES)、印刷データのサイズ低減、及び描画データ作成処理の高速化のために、各々の日本語システムフォントがそれと互換性のある日本語デバイスフォントで置き換えられるようにフォントの置き換え設定のデフォルト値を変更する(S303)。
【0053】
図9は、S303でのデフォルト値の変更後のフォント設定用UI画面Gを示している。同図においては、日本語フォントの一つである「MS明朝」がそれと互換性のある日本語デバイスフォントである「HGMincho−Light」に置き換えられるように、フォント置き換えテーブルの内容が変更されている。その結果、プリンタドライバDはフォント名と文字コードのみからなる印刷データを生成することになる。
【0054】
他方、プリンタ2に日本語デバイスフォントが搭載されていない場合は(S302のNO)、ダウンロード形式による印刷処理が実行されるように、フォントの置き換え設定のデフォルト値を変更する(S304)。図10は、S304でのデフォルト値の変更後のフォント設定用UI画面Gを示している。同図においては、日本語システムフォントが日本語デバイスフォントに置き換えられることのないように、フォント置き換えテーブルの内容が変更されている。すなわち、全ての日本語システムフォントについての「使用するプリンタフォント」が「使用しない」に変更されている。その結果、プリンタドライバDはアウトライン形式もしくはビットマップ形式でダウンロードフォントデータをプリンタ2に送信するので、プリンタ2側での日本語デバイスフォントの非搭載による印刷エラーを回避することができる。
【0055】
再び図6を参照すると、プリンタドライバDは、前述のデフォルト値設定処理(S104)による変更後のフォント設定の内容に従って印刷データを生成し(S105)、それをネットワークNを介してプリンタ2に送信してから(S106)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0056】
続いて、図11は、本発明の一実施形態に係るコントローラファームウェアFの処理の手順を示すフローチャートである。図11のフローチャートにより示されるアルゴリズムはプリンタ2の記憶装置23に制御プログラムとして記憶されており、動作開始時にメモリ22に読み出されて実行される。
【0057】
先ず、コントローラファームウェアFは、制御部f1によるプリンタ2全体の制御処理を実行する(S401)。続いて、コントローラファームウェアFは、プリンタドライバDから日本語デバイスフォントの搭載/非搭載の問い合わせがあったかどうかを判定する(S402)。そして、プリンタドライバDから問い合わせがあった場合は(S402のYES)、日本語デバイスフォント搭載問い合わせ処理部f11により、日本語デバイスフォントの搭載の有無を返答する(S403)。より具体的に、日本語デバイスフォント搭載問い合わせ処理部f11は、記憶装置23に日本語デバイスフォントが格納されているかどうかを確認し、それが格納されている場合は“Yes”を、格納されていない場合は“No”を、それぞれプリンタドライバDに返送する。その後、コントローラファームウェアFは、前述の制御処理(S401)に戻る。
【0058】
他方、コントローラファームウェアFは、プリンタドライバDから問い合わせがなかった場合は(S402のNO)、プリンタドライバDから印刷データを受信したかどうかをさらに判定する(S404)。ここで、印刷データを受信しなかった場合は(S404のNO)、前述のS401に戻る。
【0059】
そして、印刷データを受信した場合は(S404のYES)、言語部F2により、エンジン部26が処理可能な描画データを作成する(S405)。つまり、ダウンロード形式による印刷設定がなされている場合には、アウトライン形式もしくはビットマップ形式で受信したダウンロードフォントデータを解釈することによりエンジン部26向けの描画データ(ビットマップデータ)を作成する。他方、日本語デバイスフォントの使用を伴う印刷設定がなされている場合には、フォント名と文字コードのみからなる印刷データ中の「MS明朝」のフォント名を「HGMincho−Light」に置き換えて描画データ(ビットマップデータ)を作成する。
【0060】
その後、コントローラファームウェアFは、S405で作成された描画データ(ビットマップデータ)をエンジン部26に送信してから(S406)、一連の処理を終了する(エンド)。このようにして言語部f2が作成した描画データを受信したエンジン部26は、その描画データに基づく画像を記録用紙に印刷する。
【0061】
以上のように本実施形態によると、プリンタ2が日本語デバイスフォントを搭載していない場合には、プリンタ2向けの印刷データがダウンロード形式で送信されるようにフォント設定のデフォルト値が変更されるので、日本語デバイスフォントを搭載していないプリンタ2に対して日本語デバイスフォントを使用するための印刷設定が行なわれることを効果的に防止することができる。その結果、ユーザの利便性を損ねていた、日本語デバイスフォントが非搭載であることによる印刷エラーを回避することができる。
【0062】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲において種々改変することができる。例えば、上記実施形態では本発明に係る印刷装置としてプリンタ2を例に挙げたが、当該印刷装置は多機能周辺機器(MFP)の一機能として実現されてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、プリンタ2は、PC1からの問い合わせに対して日本語デバイスフォントを搭載している場合には“Yes”を、搭載していない場合には“No”を、それぞれ返送するものとしたが、PC1側でのきめ細かな制御が可能となるように、プリンタ2に搭載された日本語デバイスフォントの名称を返送することもできる。さらに、本発明における特定の言語は日本語のみに限定されず、韓国語や中国語等の2バイト文字を使用する他の言語であってもよい。
【0064】
なお、本発明に係る印刷データ処理装置は、上記手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、上記手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、印刷データ処理装置を作動させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送され記録される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、印刷データ処理装置の一機能として同装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【0065】
上述した本発明の実施形態には、特許請求の範囲の各請求項に記載した発明以外にも、以下の付記に示すような発明が含まれる。
【0066】
[付記1] 記憶装置に格納された少なくとも一種類のデバイスフォントを用いて印刷データを実行可能な印刷装置を制御するための制御プログラムであって、
外部機器からの問い合わせに応じて、前記記憶装置に特定の言語のデバイスフォントが格納されているかどうかを判定するための情報を前記外部機器に送信する手順を、前記印刷装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【0067】
[付記2] 前記特定の言語は、マルチバイト文字を使用する言語であることを特徴とする付記1に記載の制御プログラム。
【0068】
[付記3] 前記特定の言語は、日本語であることを特徴とする付記2に記載の制御プログラム。
【0069】
[付記4] 前記問い合わせは、SNMP(Simple Network Management Protocol)に従って行なわれることを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【0070】
[付記5] 前記問い合わせは、PJL(Printer Job Language)を用いて行なわれることを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【0071】
[付記6] 付記1〜5のいずれか1つに記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0072】
[付記7] 少なくとも一種類のデバイスフォントが格納された記憶部と、
前記記憶部に格納されたデバイスフォントを用いて印刷データを実行可能な印刷実行部と、
外部機器からの問い合わせに応じて、前記記憶部に特定の言語のデバイスフォントが格納されているかどうかを判定するための情報を前記外部機器に送信するための送信部と、を有することを特徴とする印刷装置。
【0073】
[付記8] 前記特定の言語は、マルチバイト文字を使用する言語であることを特徴とする付記7に記載の印刷装置。
【0074】
[付記9] 前記特定の言語は、日本語であることを特徴とする付記7に記載の印刷装置。
【0075】
[付記10] 前記問い合わせは、SNMP(Simple Network Management Protocol)に従って行なわれることを特徴とする付記7〜9のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0076】
[付記11] 前記問い合わせは、PJL(Printer Job Language)コマンドを用いて行われることを特徴とする付記7〜9のいずれか1つに記載の印刷装置。
【符号の説明】
【0077】
1 PC、
11 CPU、
12 メモリ、
13 記憶装置、
14 表示装置、
2 プリンタ、
21 CPU、
22 メモリ、
23 記憶装置、
26 エンジン部、
D プリンタドライバ、
d1 コアドライバ部、
d11 日本語デバイスフォント搭載判定部、
d12 フォント置換テーブルデフォルト値設定部、
d2 UI処理部、
F コントローラファームウェア、
f1 制御部、
f11 日本語デバイスフォント搭載問い合わせ処理部、
f2 言語部、
G フォント設定用UI画面、
S 印刷システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データの印刷設定を行なうための印刷設定プログラムであって、
前記印刷データを処理するための印刷装置から取得した情報に基づき、前記印刷装置に特定の言語のデバイスフォントが搭載されているかどうかを判定する手順(A)と、
前記手順(A)で前記特定の言語のデバイスフォントが搭載されていないと判定された場合に、前記印刷データがダウンロード形式で前記印刷装置に送信されるように、前記印刷データの印刷設定のデフォルト値を変更する手順(B)と、をコンピュータに実行させることを特徴とする印刷設定プログラム。
【請求項2】
前記手順(B)に先立ち、前記印刷データの作成に用いられたシステムフォントのデバイスフォントへの置換に関するフォント置換設定のデフォルト値がユーザにより変更されたかどうかを判定する手順(a)をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記手順(B)では、前記手順(a)でフォント置換設定のデフォルト値が変更されなかったと判定された場合のみ、前記印刷データの印刷設定のデフォルト値が変更されることを特徴とする請求項1に記載の印刷設定プログラム。
【請求項3】
前記特定の言語は、マルチバイト文字を使用する言語であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷設定プログラム。
【請求項4】
前記特定の言語は、日本語であることを特徴とする請求項3に記載の印刷設定プログラム。
【請求項5】
前記手順(A)では、SNMP(Simple Network Management Protocol)に従って前記情報を取得することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の印刷設定プログラム。
【請求項6】
前記手順(A)では、PJL(Printer Job Language)コマンドを用いて前記情報を取得することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の印刷設定プログラム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の印刷設定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
印刷データの印刷設定を行なうための印刷設定装置であって、
前記印刷データを処理するための印刷装置から取得した情報に基づき、前記印刷装置に特定の言語のデバイスフォントが搭載されているかどうかを判定する判定部と、
前記判定部により前記特定の言語のデバイスフォントが搭載されていないと判定された場合に、前記印刷データがダウンロード形式で前記印刷装置に送信されるように、前記印刷データの印刷設定のデフォルト値を変更する設定変更部と、を有することを特徴とする印刷設定装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記印刷データの作成に用いられたシステムフォントのデバイスフォントへの置換に関するフォント置換設定のデフォルト値がユーザにより変更されたかどうかを判定し、
前記設定変更部は、前記判定部によりフォント置換設定のデフォルト値が変更されなかったとさらに判定された場合のみ、前記印刷データの印刷設定のデフォルト値を変更することを特徴とする請求項8に記載の印刷設定装置。
【請求項10】
前記特定の言語は、マルチバイト文字を使用する言語であることを特徴とする請求項8または9に記載の印刷設定装置。
【請求項11】
前記特定の言語は、日本語であることを特徴とする請求項10に記載の印刷設定装置。
【請求項12】
前記情報は、SNMP(Simple Network Management Protocol)に従って取得されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1つに記載の印刷設定装置。
【請求項13】
前記情報は、PJL(Printer Job Language)コマンドを用いて取得されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1つに記載の印刷設定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−3627(P2012−3627A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139808(P2010−139808)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】