説明

印刷設定適用プログラム、印刷制御プログラム、印刷設定適用装置および印刷設定適用方法

【課題】印刷ジョブを投入してXPSプリンタドライバによる印刷制御処理を開始した後に、印刷順序や印刷レイアウトなどの印刷設定を変更することはできなかった。
【解決手段】複数の分類単位で分類された印刷対象を示す印刷ジョブデータを取得し、前記分類単位に対して対応付けられる複数の印刷設定であって、適用の優先順位が前記分類単位毎に予め決められている印刷設定を示す設定済情報を取得し、前記設定済情報が示す印刷設定が変更されたときに当該変更された印刷設定を示す情報を取得し、前記印刷対象に対して、前記変更された印刷設定を最も優先的に適用させるとともに前記変更された印刷設定以外の前記設定済情報が示す印刷設定を前記優先順位通りに適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷設定を決定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子的に扱う文書の仕様としてXPS(XML Paper Specification)仕様が策定され、種々の場面で利用され始めている。当該XPS仕様においては、ジョブ、ドキュメント、ページのそれぞれに対応した階層毎にプリントチケットと呼ばれる情報を設定することによって各階層内の印刷対象に対する印刷設定を行うことが可能である(例えば、特許文献1参照)。
XPS仕様で記述されたXPSドキュメントはアプリケーションプログラムやアプリケーションプログラムに連動する仮想的なプリンタ(XPS Document Writer)等で作成することが可能であり、当該XPSドキュメントはXPS仕様に対応したプリンタドライバ(XPSプリンタドライバと呼ぶ)の制御によって印刷することが可能である。
【特許文献1】特開2008−33812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
XPS仕様のXPSドキュメントにおいては階層毎に印刷設定を行うことが可能であるものの、XPSプリンタドライバにおいてXPS仕様で記述されたXPSドキュメントを印刷する際に、上述の各階層に対する印刷設定を印刷対象に適用する際の優先順位は予め決められている。従って、印刷ジョブを投入してXPSプリンタドライバによる印刷制御処理を開始した後に、印刷順序や印刷レイアウトなどの印刷設定を変更することはできない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、印刷設定の優先順位が既に特定されている場合であっても、当該特定済みの印刷設定と異なる印刷設定を適用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、印刷対象が複数の分類単位で分類されるとともに、当該分類単位に対して複数の印刷設定が対応づけられており、さらに、当該印刷設定において適用の優先順位が分類単位毎に予め決められている状態において、印刷設定が変更されたときに当該変更された印刷設定を最も優先的に適用する。すなわち、印刷設定を適用する際の優先順位が予め決定されて印刷ジョブが投入された場合であっても、その印刷設定の変更を受け付けるように構成し、変更を受け付けたときには当該変更された印刷設定の適用の優先順位を最上位に設定する。従って、印刷ジョブの投入前に印刷設定の優先順位が既に特定されている場合であっても、印刷ジョブの投入後に当該特定済みの印刷設定と異なる印刷設定を適用することが可能である。
【0005】
ここで、印刷ジョブデータ取得機能は、複数の分類単位で分類された印刷対象を示す印刷ジョブデータを取得することができれば良く、印刷対象は各種の指標に基づいて分類することが可能である。例えば、印刷ジョブを構成する文書の構成要素に基づいてジョブ、ドキュメント、ページの各階層に分類した場合は各階層が分類単位になるし、写真,文書などのように印刷対象を内容に基づいて分類した場合は各内容が分類単位になる。従って、分類単位は印刷対象を所定の指標に基づいて分類した単位であり、ある印刷対象が異なる分類単位に重複して分類されることがあり得る。例えば、あるページはその上位の分類であるドキュメントやジョブを構成する。
【0006】
印刷設定取得機能は、分類単位に対して対応づけられている印刷設定であって、適用の優先順位が予め決められている印刷設定を示す情報を設定済情報として取得することができればよい。従って、分類単位に対して直接的に対応づけられた印刷設定を取得する構成としても良いし、分類単位に対して間接的に対応づけられた印刷設定を取得する構成としても良い。後者としては、各印刷対象に対応づけられている印刷設定および各印刷対象の分類を取得し、印刷対象の分類に基づいて各分類単位に対応づけられている印刷設定を論理的に特定し、分類単位毎の印刷設定を取得しても良く、種々の構成を採用可能である。
設定済情報は、予め印刷ジョブデータに含まれていても良いし、利用者が入力部を介して入力することによって特定される構成であっても良い。なお、印刷設定は、印刷対象を印刷するに際して各印刷対象に対して適用可能な設定であれば良く、複数の種類の設定が可能である場合には、印刷設定の種類と各種類の印刷設定の設定内容とで印刷設定を特定する。
【0007】
上述のように、印刷対象は重複して異なる分類単位に分類され得るため、複数の分類単位のそれぞれに対して印刷対象が設定されている場合、それぞれの印刷対象で異なった設定内容の印刷設定を示していることがあり得る。そこで、印刷設定には適用の優先順位が分類単位毎に予め決められている。すなわち、任意の印刷対象に対して異なる印刷設定が設定されているときに適用すべき印刷設定を特定するための情報として優先順位が予め分類単位毎に決められている。例えば、印刷設定を階層によって分類した構成において、下位の階層であるほど適用の優先順位を高くする構成等を採用可能である。
【0008】
設定変更取得機能は、印刷設定が変更されたときに当該変更後の印刷設定を示す情報を取得することができればよく、例えば、印刷ジョブが投入されたときに設定されていた印刷設定を変更するためのUIを構成し、当該UIによって受けつけた変更後の設定内容を示す情報を取得する構成を採用可能である。なお、ここでは、分類単位毎に印刷設定の変更を受け付けてもよいし、特定の印刷対象について印刷設定の変更を受け付けてもよい。
【0009】
印刷設定適用機能は、変更された印刷設定を最も優先的に適用させ、他の印刷設定については予め決められている優先順位通りに適用するように印刷設定を定義することができればよい。すなわち、ある印刷対象に対して重複して異なる印刷設定が設定され得る状態においては、印刷対象に対して最終的に適用される印刷設定を特定する必要がある。そこで、変更後の印刷設定が他の印刷設定よりも上位の優先順位となるように設定する。この構成によれば、印刷対象に対して重複して異なる印刷設定が設定され得ることに起因して複雑に印刷設定が設定されている状況において、きわめて容易に変更された印刷設定を適用することが可能である。また、変更対象ではない印刷設定についても簡易な構成によって最終的に適用される印刷設定を特定することが可能である。
【0010】
印刷設定適用機能においては、印刷設定を印刷対象に対して適用する処理を行うことができればよい。すなわち、変更後の印刷設定を適用させるとともに、当該変更された印刷設定以外の前記設定済情報が示す印刷設定については既定の優先順位に従って印刷設定を適用した結果を示すデータを生成するための処理を行う構成であればよい。このためには、例えば、印刷設定の設定内容を指定して各印刷設定のそれぞれに対応した処理を行う複数のフィルタを構成すればよい。
【0011】
さらに、既定のフォーマットで設定済情報(例えば、プリントチケット)を定義する構成に本発明を適用してもよい。この構成においては、複数の印刷設定を示す設定済情報が分類単位に対して対応付けられており、最終的に適用される印刷設定を特定するために適用の優先順位に従って印刷設定を順次上書きする。すなわち、適用の優先順位が低い印刷設定を、適用の優先順位が高い印刷設定で上書きすると、その結果得られる印刷設定においては、適用の優先順位が高い印刷設定が残り、優先順位が低い印刷設定が破棄されていくことになる。従って、優先順に従って最終的に適用される印刷設定を特定することができる。このように印刷設定を上書きしていく処理において、上述の変更された印刷設定についても同様の処理を行うことで印刷設定を確定するために、変更された印刷設定を適用するための更新印刷設定情報を作成する構成とする。この構成によれば、更新印刷設定情報が示す印刷設定(変更された印刷設定)による上書きを最後に行うことで、最終的に上述の変更された印刷設定を適用するための印刷設定を生成することができる。従って、当該印刷設定に基づいて印刷設定の適用処理を行うことによって、上述の変更された印刷設定を印刷対象に適用することが可能である。むろん、印刷設定は設定可能な複数の印刷設定の種類のうち、一部について印刷設定の設定内容を規定した情報であってよいため、印刷設定を上書きする際に上書きされない印刷設定の種類が存在し得るが、そのような印刷設定の種類は低い優先順位の印刷設定が維持されることになる。
【0012】
さらに、更新印刷設定情報を作成する際に、上述の変更された印刷設定に関連する他の印刷設定の設定内容を無効化して上述の変更された印刷設定を適用するための情報を作成する構成としても良い。すなわち、ある印刷設定を行うと他の印刷設定の設定内容として選択し得る選択肢が限定されるなど、複数の印刷設定のそれぞれが互いに関連する場合がある。そこで、変更された印刷設定に関連する他の印刷設定であって設定済情報で設定済の印刷設定を無効化すれば、変更された印刷設定を確実に適用する構成とすることができる。例えば、複数のドキュメントに渡る複数のページから抽出して特定の順序で印刷するように設定が変更された場合、設定済情報でドキュメント毎に複数部数の印刷を行う部数印刷の設定が行われている場合、変更された印刷順序と部数印刷の設定が矛盾する。そこで、印刷順序の変更が行われたときには部数印刷の設定を無効化し、変更された印刷設定と矛盾しない印刷設定(例えば、印刷設定を初期設定に戻す)とする。
【0013】
さらに、変更対象となる印刷設定としては各種の印刷設定を想定可能であり、例えば、印刷対象の印刷順序や、印刷対象を印刷する際のレイアウトを変更対象とすることが可能である。印刷対象の印刷順序を変更する構成であれば、予め印刷順序(例えば、ページ順や印刷ジョブの投入順)が設定されている状態で印刷ジョブが投入されたとしても、印刷ジョブの投入後に印刷順序を変更することが可能である。印刷対象を印刷する際のレイアウトを変更する構成であれば、予め印刷する際のレイアウト(例えば、1枚の印刷媒体上に印刷されるページ数やページの向きなど)が設定されている状態で印刷ジョブが投入されたとしても、印刷ジョブの投入後に印刷レイアウトを変更することが可能である。
【0014】
さらに、印刷設定の変更を受け付ける好ましい構成として、ジョブ、ドキュメント、ページの各階層に分類された印刷対象を当該階層に従って表示部に表示させて印刷設定の変更を受け付ける構成としてもよい。すなわち、この構成においては、印刷対象の分類単位である階層を直接的に示すことができるため、各分類単位に対応付けられた印刷対象を明確に示すことが可能であり、この状態において印刷設定の変更対象となるページの指定を受け付ける。この構成によれば、設定中の印刷設定の設定内容を容易に把握しながら所望の印刷設定とするために印刷設定を変更すべきか否かを容易に判断して印刷設定の変更作業を行うことが可能である。
【0015】
さらに、XPS仕様の印刷ジョブデータについて印刷ジョブの投入後に印刷設定を変更する構成に対して本発明を適用してもよい。すなわち、XPS仕様の印刷ジョブデータに基づいてXPSプリンタドライバが印刷を行う際に、印刷ジョブデータが示す印刷対象に対してXPSプリンタドライバが複数の印刷設定を適用する構成において、印刷ジョブの投入前に予め設定された印刷設定よりも印刷ジョブの投入後に設定された印刷設定の適用の優先順位を高くしてもよい。
【0016】
さらに、本発明のように、印刷設定を適用する際の優先順位が予め決められる構成において、印刷設定が変更された場合には当該変更された印刷設定の適用の優先順位を最上位にする手法は、装置や方法としても適用可能である。また、以上のようなプログラム、装置、方法は、単独の印刷装置として実現される場合もあれば、複数の装置を組み合わせることによって実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、コンピュータと印刷装置が協働することによって本発明にかかるプログラム、装置、方法を提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、印刷装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷制御装置の構成:
(2)印刷制御処理:
(2−1)印刷設定適用処理:
(2−2)マージ処理:
(3)他の実施形態:
【0018】
(1)印刷制御装置の構成:
図1は、本発明にかかる印刷制御装置10の構成を示すブロック図である。印刷制御装置10は、RAM,ROM,CPU等を備える制御部20と記憶媒体30とを備えており、制御部20はROMや記憶媒体30に記録されたプログラムを実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてのXPSプリンタドライバ21やアプリケーションプログラム等を実行可能である。当該XPSプリンタドライバ21は各種の機能を実行するためのプログラムモジュールから構成され、その機能として、印刷対象に適用される印刷設定を優先順に従って特定する機能、印刷設定の変更を受け付ける機能、変更された印刷設定を印刷対象に対して最優先で適用する機能を備えている。
【0019】
また、印刷制御装置10は、図示しないインタフェースを備えており、印刷制御装置10には当該インタフェースを介して入力部50と表示部51とプリンタ52とが接続される。入力部50はユーザの入力内容に対応した信号を出力するマウスやキーボード等の装置であり、制御部20は当該信号に基づいてユーザの入力内容を特定する。表示部51は制御部20が出力する信号に応じて任意の画像を表示するディスプレイ等の装置である。プリンタ52は制御部20が出力する印刷データに基づいて印刷データが示す画像を印刷する印刷装置であり、本実施形態においては制御部20が出力するレンダリング後の印刷データに基づいて印刷を実行する。
【0020】
アプリケーションプログラム24は、入力部50による操作内容を受け付けて文章や画像等を作成する機能を制御部20に実現させるモジュールである。XPSプリンタドライバ21は、印刷対象および印刷設定を示す印刷ジョブデータに基づいて各印刷対象に印刷設定を適用する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、アプリケーションプログラム24の処理に基づいて利用者が印刷実行指示(印刷ジョブの投入)を行うと、制御部20は当該印刷実行指示にかかる印刷対象を示す印刷ジョブデータを処理対象としてXPSプリンタドライバ21による処理を開始する。
【0021】
XPSプリンタドライバ21は、印刷設定を適用するためのプログラムモジュールとして印刷設定適用プログラム22とフィルタ0〜フィルタnとを備えている。フィルタ0〜フィルタn(nは1以上の整数)はXPS仕様の印刷ジョブデータで記述された印刷対象について複数の印刷設定のそれぞれを適用するための処理を行うフィルタであり、本実施形態においてフィルタ0は変更された印刷順序を反映して最終的に適用される印刷設定を特定するためのフィルタである。すなわち、アプリケーションプログラム24において印刷ジョブが投入されることによって作成される印刷ジョブデータは印刷対象に対して適用すべき印刷設定を示す情報を含んでおり、当該印刷設定によって印刷対象が印刷される順序は予め決められている。一方、本実施形態においては、印刷順序の変更を受け付ける構成となっており、印刷順序が変更された場合、フィルタ0は変更された印刷順序で印刷させるための情報を作成する。
【0022】
フィルタ1〜フィルタnはXPS仕様の印刷ジョブデータを扱うために通常のXPSプリンタドライバが備えるフィルタである。従って、フィルタ1〜フィルタnにおいては、その処理順序が予め決められ、かつ、処理順序を変更することはできない構成となっており、最後に実行するフィルタnはレンダリングを行うためのフィルタである。すなわち、フィルタnにおいては、フィルタnより前のフィルタによって処理されたXMLベースのデータをラスタライズ画像に変換する処理や、色変換処理、ハーフトーン処理、並べ替え処理を行って、プリンタ52が印刷を実行可能な印刷データを生成する。なお、フィルタnによると、色変換処理の前後でRGBデータがCMYKデータに変換されるが、フィルタnによる処理後の画像を表示部51にて表示させるのであれば、変換前のRGBデータや、CMYKデータをRGBデータに再変換したデータを使用する。むろん、印刷にはCMYKデータに基づいて生成された印刷データを使用すればよい。
【0023】
フィルタ1〜フィルタ(n−1)は、最終的に適用すべき印刷設定を示す情報を参照し、XMLベースのデータを変更することによって当該最終的に適用すべき印刷設定を適用する。すなわち、本実施形態における印刷設定は、スタンプマークの重畳機能や拡大縮小機能、Nup機能など印刷設定の種類を示す情報と、スタンプの種類、拡大縮小率、NupのN値など印刷設定の設定内容を示す情報とによって特定され、印刷設定の種類と設定内容はXMLベースのデータで記述されている。そこで、フィルタ1〜フィルタ(n−1)は、最終的に適用すべき印刷設定に従って、各フィルタに対応した印刷設定の種類と設定内容とを記述したデータを編集することによって印刷設定の変更を適用する。
【0024】
なお、本実施形態はXPS仕様の印刷ジョブデータを扱うため、印刷ジョブはジョブ、ドキュメント、ページの各階層からなる階層構造を形成している。すなわち、1つの印刷ジョブは1以上のドキュメントで構成され、1つのドキュメントは1以上のページで構成されている。印刷対象は、ジョブおよびドキュメントを構成するページの中から任意に選択可能である。
【0025】
また、XPS仕様の印刷ジョブデータは、適用すべき印刷設定をジョブやドキュメント、ページに対応づけた設定済情報(プリントチケット)を含めた状態とすることが可能である。当該印刷ジョブデータに含まれる設定済情報においては、予め印刷設定の適用範囲(スコープ)が印刷対象の分類単位毎(本実施形態においては階層毎)に決められている。また、設定済情報が示す印刷設定は分類単位毎に適用の優先順位が決められており、本実施形態においては、下位階層に対応づけられた印刷設定ほど優先順位が高くなっている(優先順位が高い順にページ、ドキュメント、ジョブである)。
【0026】
本実施形態においては、印刷順序の設定を変更するため、変更された印刷順序にて印刷を行うための更新印刷設定情報を作成する。このために、印刷設定適用プログラム22は、印刷ジョブデータ取得部22aと印刷設定取得部22bと設定変更取得部22cと印刷設定適用部22dとを備えている。
【0027】
制御部20は、印刷ジョブデータ取得部22aの処理により、印刷対象を示す印刷ジョブデータを記憶媒体30に記憶させる(印刷ジョブデータ31)。当該印刷ジョブデータ31は印刷設定適用プログラム22によるフィルタ処理の適用対象となる。
【0028】
さらに、制御部20は、印刷設定取得部22bの処理により、印刷ジョブデータ31にて設定済の印刷設定を取得して、当該設定済の印刷設定を示すとともに印刷設定の変更を受け付けるプレビューUIを表示部51に表示させる。すなわち、制御部20は、印刷ジョブデータ31に含まれる設定済情報(印刷ジョブ投入時の印刷設定を示す情報)を取得し、当該設定済情報に基づいて各階層に印刷設定が対応づけられていることを示すアイコンを表示部51に表示させる。
【0029】
さらに、制御部20は、設定変更取得部22cの処理により、設定済情報が示す印刷設定にて指定された印刷順序の変更を受け付け、当該変更された印刷順序を示す情報を取得する。さらに、制御部20は、印刷設定適用部22dの処理により、変更された印刷順序で印刷を行わせ、印刷順序以外の設定については設定済情報が示す印刷設定を優先順位通りに適用させるための印刷設定を特定する。本実施形態においては、上述のフィルタ0によってこの処理を実現している。すなわち、フィルタ0は、印刷順序の変更が受け付けられた場合に、当該印刷順序を示すとともに、当該印刷順序の設定に関連する他の印刷設定の設定内容を無効化することを示す更新印刷設定情報を作成する。そして、設定済情報において適用の優先順位が低い印刷設定を適用の優先順位が高い印刷設定で順次上書きし、得られた印刷設定を上述の無効化するための情報で上書きする。この結果、最終的には、設定済情報にて印刷順序に関連する何らかの設定がなされていたとしてもその設定は無効化され、変更された印刷順序で印刷を行うための印刷設定が特定される。
【0030】
さらに、制御部20は、印刷設定適用部22dの処理により、印刷ジョブデータ31から印刷対象を示す情報を抽出するとともに、最終的に生成された印刷設定を適用するためのフィルタ処理(フィルタ1〜フィルタnによる処理)を行う。フィルタnによる処理が終了すると、XPSプリンタドライバ21は、処理後のデータに基づいて印刷データを生成し、当該印刷データに基づいてプリンタ52を制御する。この結果、変更された印刷順序で印刷が行われ、印刷順序以外の設定については設定済情報が示す設定内容が適用される。従って、印刷ジョブの投入前に印刷設定の優先順位が既に特定されている場合であっても、印刷ジョブの投入後に当該特定済みの印刷設定と異なる印刷設定(本実施形態では印刷順序)を適用することが可能である。
【0031】
(2)印刷制御処理:
次に、上述の構成における印刷処理を説明する。制御部20は、アプリケーションプログラム24による印刷実行指示に応じてXPSプリンタドライバ21を起動し、図2〜図4に示す処理を実行する。この処理において制御部20は、印刷ジョブデータ取得部22aの処理により、印刷ジョブデータ31を記憶媒体30に記憶させる(ステップS100)。
【0032】
次に、制御部20は、印刷設定取得部22bの処理により設定済情報を取得し(ステップS105)、当該設定済情報に基づいてプレビューUIを形成する(ステップS110)。図5はプレビューUIの一例を示す図であり、同図5においては矩形のプレビューウィンドウ51aの左側の枠51bにおいて印刷対象を階層に従って表示するとともに階層に対応づけられた設定済情報を表示する。また、プレビューウィンドウ51aの右側の枠51cにおいて印刷順序の変更を受け付けるための画面を表示する。
【0033】
このために、制御部20は、印刷ジョブデータ31を参照して印刷対象の分類単位を特定し、上述のプリントチケットを参照し、分類単位に対して印刷設定が既に定義されている場合には当該印刷設定を示す情報を設定済情報として取得してプレビューウィンドウ51aに表示させる。
【0034】
図5に示す例においては、枠51bにおいて分類単位としてのジョブを示すアイコンJ(角丸四角形),ドキュメントを示すアイコンD(角丸四角形),ページを示すアイコンP(四角形)が表示される。なお、図5に示す例においては1個のジョブに3個のドキュメントが含まれ、各ドキュメントのそれぞれには5,4,3枚のページが含まれている。ステップS110においては、印刷ジョブデータ31が示す階層構造に基づいて、あるジョブ(アイコンJ)に含まれる3個のドキュメントのアイコンDを線で結ぶとともにアイコンJを最も左側に配置することによってジョブ階層の下位に3個のドキュメントが含まれることを明示している。また、各ドキュメントに含まれるページはドキュメントのアイコンDの下方に延びる線に接続されたアイコンPで示されている。
【0035】
さらに、枠51bにおいては、旗のアイコンFJ,FD,FPによって各階層に対して印刷設定が既に定義されていることを示している。すなわち、アイコンFJはジョブを適用対象として何らかの印刷設定が規定されていることを示している。また、アイコンFDはドキュメントを適用対象として何らかの印刷設定が規定されていることを示し、アイコンFPはページを適用対象として何らかの印刷設定が規定されていることを示している。従って、図5に示す例においては、旗のアイコンFJ,FD,FPによって設定済情報を示している。なお、プレビューウィンドウ51aの枠51bにおいては、各ページの内容をサムネイルによって示している。ここで、サムネイルを示す情報は印刷ジョブデータ31に予め含まれていても良いし、フィルタ処理によって生成しても良く種々の構成を採用可能である。
【0036】
ステップS110において、プレビューウィンドウ51aを表示させると、制御部20は、さらに、ステップS115〜S135において、印刷順序の変更を受け付けるための処理を行う。このためにまず、制御部20は、設定変更取得部22cの処理により、入力部50の操作に基づいて印刷順序の変更を受け付けたか否かを判別する(ステップS115)。図5に示す例においては、枠51b内の各ページのアイコンを枠51c内の印刷順序指定枠51dにドラッグアンドドロップすることによって印刷順序を指定することが可能である。すなわち、印刷順序指定枠51dの右上には印刷順序を示す番号(図5に示す例では1〜12)が表示され、各印刷順序指定枠51dにドロップされたページの印刷順序が当該右上の番号によって特定される。
【0037】
なお、図5においては、1個目のドキュメントの1ページ目(P1)が番号1、2個目のドキュメントの1ページ目(P2)が番号2の印刷順序指定枠51dにドロップされた状態を示している。すなわち、印刷ジョブが投入された時点では設定済情報において、1個目のドキュメントの1〜5ページ目、2個目のドキュメントの1〜4ページ目、3個目のドキュメントの1〜3ページ目という順序で印刷順序が指定されているが、図5においてはその印刷順序を変更し、ページP1を1番目、ページP22番目に印刷するように印刷順序を変更した状態を示している。また、図5に示す例においては、順序決定ボタン51eによって印刷順序の変更を確定させることができる。
【0038】
ステップS115において、印刷順序の変更を受け付けたと判別されないときにはステップS120〜S135をスキップする。ステップS115において、印刷順序の変更を受け付けたと判別されたとき、制御部20は、印刷設定適用部22dの処理により、印刷順序指定枠51d内のページ情報を取得する(ステップS120)。すなわち、印刷順序指定枠51d内にドロップされたページを特定するためのページ情報(当該ページのジョブ番号、ドキュメント番号、ページ番号および記憶媒体30内の保存場所)を取得する。当該ページ情報の取得は、印刷順序指定枠51dにて指定された印刷順序に従って逐次行われる。
【0039】
次に、制御部20は、印刷設定適用部22dの処理により、該当ページについて印刷順序に関連する設定済情報を無効化するための情報(プリントチケット)を作成する(ステップS125)。すなわち、該当ページにおいては、印刷順序が変更される前に設定済情報が対応づけられている可能性があるため、印刷順序に関連する他の印刷設定であって設定済情報において規定された印刷設定を無効化するための情報を作成する。
【0040】
ここで、印刷順序に関連する他の印刷設定としては、印刷部数の設定、印刷レイアウトの設定など、印刷順序に影響を与え得る総ての印刷設定を想定し得る。例えば、図5に示す旗のアイコンFDにおいて各ページを2upで印刷する設定がなされている場合、1個目のドキュメントに含まれる1ページ目P1と2ページ目P3とを1枚目の印刷媒体に印刷するように印刷順序が設定されていることになる。しかし、図5に示す例においては、印刷順序指定枠51dにおいて2番目にページP2を印刷するように指定しているため、変更後の印刷順序と設定済情報が示す印刷順序とが整合しない。そこで、ここでは印刷順序に関連する印刷設定を無効化する情報を作成する。なお、作成された情報は記憶媒体30に記録される。
【0041】
次に、制御部20は、印刷設定適用部22dの処理により、該当ページの更新印刷設定情報を作成する(ステップS130)。すなわち、印刷順序指定枠51dに登録された各ページについて印刷順序指定枠51dの右上に示された順序で印刷を行わせるための情報とステップ125にて作成された設定済情報を無効化(例えば、印刷順序の変更と矛盾しない設定となるように印刷設定を初期値に戻す)するための情報とを対応づけて更新印刷設定情報とする。図6は、更新印刷設定情報の例を示している。同図6においては、ページ情報(ジョブ番号、ドキュメント番号、ページ番号)および無効化情報(無効化を行うための情報を特定するためのポインタ)が、印刷順序指定枠51dにて指定される印刷順序に従って左から順に並べて記録されている。なお、ジョブ番号、ドキュメント番号、ページ番号は印刷ジョブが投入された時点に特定される番号であり、例えば、図5に示す例においてページP1は1個目のジョブ、1個目のドキュメントの1ページ目であるため、ジョブ番号、ドキュメント番号、ページ番号がそれぞれJ01、D01、P01となっている。
【0042】
このように、特定の印刷順序に指定されたページについて処理を行うと、制御部20は、印刷設定適用部22dの処理により、ページがドロップされた印刷順序指定枠51dの全枠について処理を行ったか否かを判別し(ステップS135)、全枠について処理を行ったと判別されなければ印刷順序指定枠51dを一つ後の印刷順序に対応する枠に切り替えてステップS120以降の処理を行う。
【0043】
ステップS135において、印刷順序指定枠51dの全枠について処理を行ったと判別されると、印刷順序が変更された総てのページについて更新印刷設定情報が作成されたことになるため、制御部20は、印刷設定適用部22dの処理により、当該更新印刷設定情報と設定済情報とに基づいて印刷設定適用処理を行う(ステップS140)。この後、制御部20は、XPSプリンタドライバの処理により、印刷設定適用後の状態で印刷を行うための印刷データを作成してプリンタ52に対して出力する(ステップS145)。
【0044】
(2−1)印刷設定適用処理:
次に、上述のステップS140における印刷設定適用処理を説明する。図3は、当該印刷設定適用処理を示すフローチャートである。この処理において、制御部20は、フィルタ0の処理により、印刷順序が変更された各ページについて最終的に適用すべき印刷設定を特定するための処理実行する(ステップS200〜S215)。
【0045】
具体的には、制御部20は、更新印刷設定情報を参照して印刷順序が変更されたページを示すページ情報を取得し、当該ページに対応づけられた無効化情報を取得する(ステップS200)。そして、制御部20は、当該ページ情報が示すページの印刷ジョブデータを取得する(ステップS205)。なお、当該ページの印刷ジョブデータにおいてはページを印刷する際の画像を示す情報と設定済情報とが含まれる。従って、ステップS200,S205を実行することにより、当該ページの設定済情報と無効化情報とが特定されることになる。
【0046】
そこで、制御部20は、設定済情報と無効化情報とに基づいて印刷設定のマージ処理を行う(ステップS210)。この処理は、上述のように印刷設定を上書きする処理であり、詳細は後述する。次に、制御部20は、更新印刷設定情報に記述された印刷順序に従って当該更新印刷設定情報に登録された全ページについての処理を終了したか否かを判別し(ステップS215)、全ページについて処理を終了したと判別されなければ次の印刷順序に対応づけて登録されたページを処理対象としてステップS200以降の処理を繰り返す。
【0047】
ステップS215において、全ページについて処理を終了したと判別されたとき、全ページについてステップS210の処理が終了しており、更新印刷設定情報に登録された全ページについて最終的に適用すべき印刷設定が特定された状態となる。
【0048】
そこで、制御部20は、フィルタ1〜フィルタnによって、各ページの印刷ジョブデータに対して最終的に適用すべき印刷設定を適用する処理を行う。すなわち、複数のフィルタ1〜フィルタnのそれぞれは複数の印刷設定のそれぞれに対応しており、これらのフィルタ1〜フィルタnにおいては、各フィルタに受け渡すパラメータによって各印刷設定を特定して処理対象のページに対してフィルタを適用する。さらに、ここでは、更新印刷設定情報に記述された印刷順序に従って各ページの印刷ジョブデータを逐次処理対象とする。従って、更新印刷設定情報に記述された印刷順序に従って印刷設定を適用することが可能である。
【0049】
なお、図3に示すフィルタ処理においては最終的に適用すべき印刷設定に従って、フィルタ1〜フィルタ(n−1)のそれぞれについて同様の処理順序で処理を進める。例えば、ステップS220〜S230はフィルタ1に関する処理であり、フィルタ2〜フィルタ(n−1)においてもそれぞれのフィルタに関する処理順序は同様である。なお、図3においては、フィルタ2〜フィルタ(n−1)における処理は省略している。
【0050】
フィルタ1〜フィルタ(n−1)のそれぞれにおいて処理順序は同様であるため、ここでは、フィルタ1について説明する。フィルタ1の処理を行うため、制御部20は、まず、フィルタ1を起動し(ステップS220)、フィルタ1に対応する印刷設定について設定内容を規定した情報が、最終的に適用すべき印刷設定に含まれるか否かを判別する(ステップS225)。そして、ステップS225にて、フィルタ1に対応する印刷設定について設定内容を規定した情報が存在すると判別された場合には、そのページについて印刷ジョブデータ31を参照し、フィルタ1による処理を行うことで当該ページに対して当該設定内容の印刷設定を適用する(ステップS230)。ステップS225にて、フィルタ1に対応する印刷設定について設定内容を規定した情報が、最終的に適用すべき印刷設定に含まれると判別されない場合にはステップS230をスキップする。
【0051】
フィルタ2〜フィルタ(n−1)においても、各フィルタのそれぞれに対応する印刷設定について設定内容を規定した情報が、最終的に適用すべき印刷設定に含まれるときにそのページに対して当該設定内容の印刷設定を適用する処理を行う。フィルタnはレンダリングを行うフィルタであるため、本実施形態においては、必ず実行される。すなわち、制御部20は、フィルタ(n−1)に関する処理を行った後、フィルタnを起動し(ステップS250)、フィルタ(n−1)までフィルタを適用する処理を行った後のデータに対してフィルタnによる処理を行って印刷対象のページについて印刷イメージを生成する(ステップS255)。
【0052】
(2−2)マージ処理:
次に、上述のステップS210におけるマージ処理を説明する。図4は、当該マージ処理を示すフローチャートである。この処理において、制御部20は、デフォルトの印刷設定を他の印刷設定で逐次上書きしていくことによって最終的に適用すべき印刷設定を示す情報を特定する。
【0053】
このため、制御部20は、まず、図4に示すマージ処理が実行された段階で処理対象となっていたページに対応する設定済情報を全階層について取得する(ステップS300)。すなわち、処理対象のページについて、ページ階層に対応づけられた設定済情報が存在する場合には当該設定済情報を取得し、ドキュメント階層に対応づけられた設定済情報が存在する場合には当該設定済情報を取得し、ジョブ階層に対応づけられた設定済情報が存在する場合には当該設定済情報を取得する。
【0054】
次に、制御部20は、ステップS300にて取得した設定済情報の中に、ジョブ階層とドキュメント階層に対応づけられた設定済情報が存在するか否かを判別し(ステップS305)、存在すると判別されたときには、ジョブ階層の印刷設定をドキュメント階層の印刷設定で上書きする(ステップS310)。ステップS305にて、ジョブ階層とドキュメント階層に対応づけられた設定済情報が存在すると判別されないときにはステップS310をスキップする。スキップされた場合、この印刷設定は上書きされていないため印刷設定はデフォルト値となる。
【0055】
次に、制御部20は、ステップS300にて取得した設定済情報の中に、ページ階層に対応づけられた設定済情報が存在するか否かを判別し(ステップS315)、存在すると判別されたときには、印刷設定(デフォルト値あるいはステップS310で上書きされた後の印刷設定)をページ階層の印刷設定で上書きする(ステップS320)。ステップS315にて、ページ階層に対応づけられた設定済情報が存在すると判別されないときにはステップS320をスキップする。
【0056】
次に、制御部20は、処理対象のページに対応づけられた無効化情報が存在するか否かを判別し(ステップS325)、存在すると判別されたときには、印刷設定(デフォルト値あるいはステップS310,ステップS320で上書きされた後の印刷設定)を無効化情報で上書きする(ステップS330)。ステップS325にて、無効化情報が存在すると判別されないときにはステップS330をスキップする。以上の処理においては、設定済情報にて予め決められた適用の優先順位が高いほど後に上書きするため、優先順位に従って印刷設定を適用するように、印刷設定を特定することができる。
【0057】
さらに、印刷順序が変更された場合には当該印刷順序に関連する印刷設定の設定内容を無効化するための無効化情報による上書きを最も後に行っている。従って、印刷順序の変更と矛盾しない印刷設定を生成することができる。なお、本実施形態においては、以上の処理によって各ページについて最終的に適用すべき印刷設定を特定する処理を、更新印刷設定情報に規定された印刷順序通りに行い、図3に示すステップS220以降において、得られた印刷設定を各ページに対して適用する処理を当該印刷順序通りに実行することで変更された印刷順序で印刷を行う構成を実現している。しかし、印刷順序についても印刷設定を示す情報(プリントチケット)によって設定内容を特定する構成としてもよい。すなわち、無効化情報で印刷設定を上書きする際に印刷順序を規定する印刷設定を変更後の設定内容で上書きする構成としても良い。
【0058】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、印刷設定を適用する際の優先順位が予め決められる構成において、印刷設定が変更された場合には当該変更された印刷設定の適用の優先順位を最上位にすることができる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。
【0059】
例えば、XPS仕様の印刷ジョブデータを処理するXPSプリンタドライバにおいてフィルタ構成を修正することができないなど制約がある場合には、XPSプリンタドライバが備えるフィルタと同じコアロジックのフィルタによってフィルタ1〜フィルタnを構成してもよい。
【0060】
さらに、変更対象となる印刷設定は上述のような印刷順序の変更に限定されない。例えば、印刷レイアウトの変更について本発明を適用しても良い。この場合、図1に示す構成と図2〜図4に示すフローチャートはほぼ同様であるが、印刷順序の変更に関する構成を印刷レイアウトの変更に関連する構成に変更すればよい。むろん、印刷順序の変更と印刷レイアウトの変更とのいずれか又は双方を選択して行うことができるように構成してもよい。
【0061】
また、印刷レイアウトを変更するための構成において、印刷レイアウトの変更指示を行うためのUIは各種のUIを採用することが可能である。例えば、図7に示す例において、プレビューウィンドウ51aの左側の枠51bは図5と同様であり、右側の枠51cにおいてレイアウトを変更するためのレイアウト指定枠510dを表示する。
【0062】
当該例においては、レイアウト指定枠510dにて1枚の印刷媒体の一方の面に4ページ分の画像を印刷する(4up)構成としており、枠51bに示すサムネイルをドラッグアンドドロップによってレイアウト指定枠510d内に配置することでレイアウトを指定する構成としてある。また、この例においても印刷レイアウトに関連する他の印刷設定を無効化する無効化情報を生成することによって容易に変更された印刷レイアウトを適用することが可能になる。なお、印刷レイアウトに関連する他の印刷設定としては、印刷部数の設定や印刷順序の設定等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】印刷制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図3】印刷設定適用処理を示すフローチャートである。
【図4】マージ処理を示すフローチャートである。
【図5】プレビューUIの一例を示す図である。
【図6】更新印刷設定情報の例を示す図である。
【図7】プレビューUIの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10…印刷制御装置、20…制御部、21…プリンタドライバ、22…印刷設定適用プログラム、22a…印刷ジョブデータ取得部、22b…印刷設定取得部、22c…設定変更取得部、22d…印刷設定適用部、24…アプリケーションプログラム、30…記憶媒体、31…印刷ジョブデータ、50…入力部、51…表示部、51a…プレビューウィンドウ、51b…枠、51c…枠、51d…印刷順序指定枠、51e…順序決定ボタン、52…プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分類単位で分類された印刷対象を示す印刷ジョブデータを取得する印刷ジョブデータ取得機能と、
前記分類単位に対して対応付けられる複数の印刷設定であって、適用の優先順位が前記分類単位毎に予め決められている印刷設定を示す設定済情報を取得する印刷設定取得機能と、
前記設定済情報が示す印刷設定が変更されたときに当該変更された印刷設定を示す情報を取得する設定変更取得機能と、
前記印刷対象に対して、前記変更された印刷設定を最も優先的に適用させるとともに前記変更された印刷設定以外の前記設定済情報が示す印刷設定を前記優先順位通りに適用する印刷設定適用機能と、
をコンピュータに実現させる印刷設定適用プログラム。
【請求項2】
前記印刷設定適用機能は、前記変更された印刷設定を前記印刷対象に適用するための印刷設定を示す更新印刷設定情報を作成し、前記設定済情報において前記適用の優先順位が低い印刷設定を前記適用の優先順位が高い印刷設定で順次上書きし、最後に、得られた印刷設定を前記更新印刷設定情報が示す印刷設定で上書きする、
請求項1に記載の印刷設定適用プログラム。
【請求項3】
前記更新印刷設定情報は、前記変更された印刷設定に関連する他の印刷設定の設定内容を無効化する情報を含む、
請求項2に記載の印刷設定適用プログラム。
【請求項4】
前記設定変更取得機能は、前記印刷対象の印刷順序が変更されたことを示す情報を取得する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷設定適用プログラム。
【請求項5】
前記設定変更取得機能は、前記印刷対象を印刷する際のレイアウトが変更されたことを示す情報を取得する、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷設定適用プログラム。
【請求項6】
前記印刷対象はジョブ、ドキュメント、ページの各階層に分類されており、
前記設定変更取得機能は、表示部に前記分類対象に対応付けられた印刷設定とともに前記印刷対象を前記階層に従って表示させ、前記表示部に表示された前記ページの指定と当該指定された前記ページの印刷設定の変更を受け付ける、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷設定適用プログラム。
【請求項7】
前記印刷ジョブデータは、XPS仕様の印刷ジョブデータである、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷設定適用プログラム。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷設定適用プログラムを含み、
前記印刷設定適用機能によって印刷設定を適用した後の前記印刷対象を印刷するための印刷データを生成し、当該印刷データに基づいて印刷装置を制御する印刷制御機能を、
コンピュータに実現させる印刷制御プログラム。
【請求項9】
複数の分類単位で分類された印刷対象を示す印刷ジョブデータを取得する印刷ジョブデータ取得手段と、
前記分類単位に対して対応付けられる複数の印刷設定であって、適用の優先順位が前記分類単位毎に予め決められている印刷設定を示す設定済情報を取得する印刷設定取得手段と、
前記設定済情報が示す印刷設定が変更されたときに当該変更された印刷設定を示す情報を取得する設定変更取得手段と、
前記印刷対象に対して、前記変更された印刷設定を最も優先的に適用させるとともに前記変更された印刷設定以外の前記設定済情報が示す印刷設定を前記優先順位通りに適用する印刷設定適用手段と、
を備える印刷設定適用装置。
【請求項10】
複数の分類単位で分類された印刷対象を示す印刷ジョブデータを取得する印刷ジョブデータ取得工程と、
前記分類単位に対して対応付けられる複数の印刷設定であって、適用の優先順位が前記分類単位毎に予め決められている印刷設定を示す設定済情報を取得する印刷設定取得工程と、
前記設定済情報が示す印刷設定が変更されたときに当該変更された印刷設定を示す情報を取得する設定変更取得工程と、
前記印刷対象に対して、前記変更された印刷設定を最も優先的に適用させるとともに前記変更された印刷設定以外の前記設定済情報が示す印刷設定を前記優先順位通りに適用する印刷設定適用工程と、
を含む印刷設定適用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−146139(P2010−146139A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320497(P2008−320497)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】