説明

印字装置、印字方法、および印字プログラム

【課題】ライナレスラベルに印字する際にモータにかかる負荷を小さくすることができる印字装置、印字方法、および印字プログラムを提供する。
【解決手段】標準モードまたはライナレスモードへの切り替えに応じて、ステッピングモータ131の駆動を制御することにより、ロールPRからライナレスラベルを引き出す際のプラテンローラ117のトルクを、ロールPRから台紙付きラベルを引き出す際のプラテンローラ117のトルクよりも上げることができるので、ロールPRからライナレスラベルを剥がしてライナレスラベルに印字する際のステッピングモータ131にかかる負荷を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙付きラベルまたはライナレスラベルに印字する印字装置、印字方法、および印字プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙付きラベルおよびライナレスラベルに印字可能なプリンタは、台紙を介して巻回された台紙付きラベルのロールから台紙付きラベルを引き出して印字する場合と、粘着力を有する粘着面を介して巻回されたライナレスラベルのロールからライナレスラベルを引き出して印字する場合とで同等の印字速度で印字を行っていた(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ライナレスラベルのロールは、粘着力を有する粘着面を介してライナレスラベルが巻回されているため、粘着力を有しない台紙を介して台紙付きラベルが巻回されている台紙付きラベルのロールと比較して、ロールからライナレスラベルを剥がすために大きな力が必要とされる。
【0004】
しかしながら従来のプリンタでは、台紙付きラベルのロールから台紙付きラベルを引き出して印字する場合とライナレスラベルのロールからライナレスラベルを引き出して印字する場合とで同等の印字速度で印字を行っているため、ライナレスラベルのロールからライナレスラベルを引き出す際にライナレスラベルを引き出すローラを駆動するモータにかかる負荷が大きくなる、という課題がある。特に、電池からの電力の供給を受けてモータを動作させるポータブルプリンタは、モータにかかる負荷が大きくなると、電池の消耗が大きくなり、ポータブルプリンタを短い時間しか利用できなくなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ライナレスラベルに印字する際のモータにかかる負荷を小さくすることができる印字装置、印字方法、および印字プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、モータと、前記モータを駆動源として回動して、台紙付きラベルが巻回されたロールまたは粘着力を有する粘着面を介してライナレスラベルが巻回されたロールから、前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルを引き出すローラと、前記ロールから引き出された前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルに印字する印字部と、前記印字部によって前記台紙付きラベルに印字する標準モードまたは前記印字部によって前記ライナレスラベルに印字するライナレスモードに切り替える切替手段と、前記標準モードまたは前記ライナレスモードへの切り替えに応じて、前記モータの駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、モータと、前記モータを駆動源として回動して、台紙付きラベルが巻回されたロールまたは粘着力を有する粘着面を介してライナレスラベルが巻回されたロールから、前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルを引き出すローラと、前記ロールから引き出された前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルに印字する印字部と、を備えた印字装置の印字方法であって、前記印字装置は、切替手段が、前記印字部によって前記台紙付きラベルに印字する標準モードまたは前記印字部によって前記ライナレスラベルに印字するライナレスモードに切り替える切替工程と、制御手段が、前記標準モードまたは前記ライナレスモードへの切り替えに応じて、前記モータの駆動を制御する制御工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、モータと、前記モータを駆動源として回動して、台紙付きラベルが巻回されたロールまたは粘着力を有する粘着面を介してライナレスラベルが巻回されたロールから、前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルを引き出すローラと、前記ロールから引き出された前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルに印字する印字部と、を備えた印字装置を制御するためのプログラムであって、コンピュータを、前記印字部によって前記台紙付きラベルに印字する標準モードまたは前記印字部によって前記ライナレスラベルに印字するライナレスモードに切り替える切替手段と、前記標準モードまたは前記ライナレスモードへの切り替えに応じて、前記モータの駆動を制御する制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる印字装置、印字方法、および印字プログラムは、ライナレスラベルに印字する際のモータにかかる負荷を小さくすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態に係るポータブルプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、カバーが開いた状態のポータブルプリンタの外観を示す斜視図である。
【図3】図3は、ラベル搬送経路を示す模式図である。
【図4】図4はポータブルプリンタの制御系を示すブロック図である。
【図5】図5は、印字制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本実施の形態にかかるポータブルプリンタの機能ブロック図である。
【図7】図7は、1ドットを印字する周期内のサーマルヘッドの加熱時間を示すストローブ信号を示す図である。
【図8】図8は、プラテンローラの回動速度の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、台紙付きラベルまたはライナレスラベルのバックフィード制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印字装置、印字方法、および印字プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態では、この発明にかかる印字装置、印字方法、および印字プログラムを、台紙付きラベルのロールまたはライナレスラベルのロールを内部に収納し、サーマルヘッドにより台紙付きラベルまたはライナレスラベルの印字面を加熱して印字を行う感熱式のポータブルプリンタに適用した例について説明する。
【0012】
図1〜3を用いて、ポータブルプリンタ101の概略構造について説明する。図1は、本実施の形態に係るポータブルプリンタの外観を示す斜視図である。図2は、カバーが開いた状態のポータブルプリンタの外観を示す斜視図である。図3は、ラベル搬送経路を示す模式図である。
【0013】
ポータブルプリンタ101は、直方体形状の外観形状を有しており、ポータブルプリンタ101の印字機能、用紙送り機能をなす印字機構300(図4参照)及び電源となる充電池270(図4参照)をハウジング102内に収納している。本実施の形態においては、充電池270としてリチウムイオン充電池を使用している。ハウジング102は、台紙に貼付された台紙付きラベルが巻回されたロールPR、または糊などの粘着力がある粘着面を介してライナレスラベルが巻回されたロールPRを収納することができる内部構造を有しており、ロールPRを内部に導入できるように上面に開口部106が形成されている。開口部106にはカバー107が回動自在に配置されている。開口部106は、カバー107を開閉することにより開状態、又は閉状態にされる。
【0014】
なお、ハウジング102には、カバー107の開閉状態を検知するカバー開閉検知部であるカバー開閉センサ50(図4参照)が設けられている。カバー開閉センサ50は、機械式センサであるマイクロスイッチで構成されており、カバー107がハウジング102から解放され、開口部106が開放された状態では電流が流れないオフ状態となる。一方、カバー107が開口部106を覆った状態では電流が流れるオン状態となる。尚、このカバー開閉センサ50は、上述したマイクロスイッチに限られるものではなく、光センサを備えた非接触式スイッチなども使用することができる。
【0015】
カバー107は、開口部106の一辺をなすハウジング102の奥側辺108に取り付けられており、カバー107を閉じた状態で、カバー107の先端である外側辺111と、開口部106の一辺である手前側辺109との間にポータブルプリンタ101の幅方向に印字された台紙付きラベルまたはライナレスラベルを取り出すための細長い隙間部が形成される。この隙間部は、用紙排出口110として機能する。
【0016】
また、ハウジング102の一側面には、各種のコネクタを有する接続コネクタ部103、及び充電池270の着脱を可能とするバッテリ収納部104が配置されている。
【0017】
用紙排出口110から排出された台紙付きラベルまたはライナレスラベルをカットするため、用紙排出口110を構成するハウジング102の手前側辺109やカバー107の外側辺111は、鋭利な形状に形成されている。
【0018】
ハウジング102の内部には、ロールPRを着脱自在に収納可能な用紙収納部105が形成されている。用紙収納部105は、ロールPRを、ロール軸をポータブルプリンタ101の幅方向に向けた状態で収納している。プラテンローラ117は、ステッピングモータ131(図4参照)を駆動源として回動して、用紙収納部105に収納されたロールPRから台紙付きラベルまたはライナレスラベルを引き出して用紙排出口110(図1参照)に向けて搬送する。プラテンローラ117は、後述するサーマルヘッド112に対向して配置されている。また、プラテンローラ117は、ステッピングモータ131(図4参照)を駆動源として台紙付きラベルまたはライナレスラベルをロールPRから引き出す場合と反対方向に回動して、用紙排出口110まで達した台紙付きラベルまたはライナレスラベルをバックフィードさせる。
【0019】
サーマルヘッド112は、下方に配置されたヘッドブラケット115に着脱できるように配置されている。ヘッドブラケット115は、ハウジング102に固定され、サーマルヘッド112をポータブルプリンタ101の奥側上方に付勢する。また、サーマルヘッド112のポータブルプリンタ101の奥側には、ヘッドカバー116が隣接配置される。ヘッドカバー116は、ハウジング102に必要に応じて装着され、サーマルヘッド112を付勢してサーマルヘッド112の振動を防止する。
【0020】
サーマルヘッド112は、所定の複数の密度で発熱素子列114が一列に配置されている。サーマルヘッド112は、ヘッド制御装置133(図4参照)の制御に基づいて発熱素子列114が発熱することで、台紙付きラベルまたはライナレスラベルの印字面を加熱して印字を行う印字部である。サーマルヘッド112はヘッドブラケット115に着脱自在に配置され、例えば、203dpiのものと、300dpiのものとを選択して配置することができる。
【0021】
なお、図3に示すように、用紙排出口110は、台紙付きラベルまたはライナレスラベルの引き出し方向においてサーマルヘッド112よりも下流側に配置されているものとする。
【0022】
また、ハウジング102の内部には、駆動ギア119が配置されている。駆動ギア119は、モータ制御装置134(図4参照)に制御されて駆動するステッピングモータ131(図4参照)を駆動源として回動する。
【0023】
カバー107において、プラテンローラ117の近傍には、用紙抑えローラ118が配置されている。プラテンローラ117及び用紙抑えローラ118はいずれも、ポータブルプリンタ101の幅方向に回転軸を向けて回動自在となっている。
【0024】
プラテンローラ117は、カバー107が閉じられた状態でサーマルヘッド112の発熱素子列114と接する位置に位置決めされてカバー107に配置されている。ポータブルプリンタ101の正面側からみてプラテンローラ117の左側には、プラテンローラ117と一体に回動する従動ギア119aが接続されている。
【0025】
従動ギア119aは、カバー107が閉じられた状態になると駆動ギア119と噛み合い、駆動ギア119に駆動される。用紙抑えローラ118は、カバー107が閉じられた状態でヘッドカバー116と接する位置に位置決めされるようにカバー107に接続されている。カバー107が閉じられると、カバー107に取り付けられている従動ギア119aは、駆動ギア119と噛合し、従動ギア119aに連結されたプラテンローラ117を回転駆動する。本実施の形態において、駆動ギア119、従動ギア119aとは変速機132(図4参照)を構成する。
【0026】
本実施の形態では、ロールPRは、用紙収納部105内に配置され、レバー122で取り付け取り外し可能に配置され、その間隔をロールPRの間隔にあわせて変更できる2枚のガイドフェンス121の間に配置されている。
【0027】
また、ハウジング102には、外部電源から直流電力を供給する直流電力入力部210が配置されている。この直流電力入力部210には、ACアダプタ400のプラグ404が差し込まれ、ポータブルプリンタ101に直流電力が供給される。
【0028】
ACアダプタ400は、ポータブルプリンタ101と別体に形成され、外部の商用電力コンセントに差し込まれて、直流電力を出力する。ACアダプタ400は、内部に直流変換回路を備えた本体401と、本体401に取り付けられたコンセントプラグ402と、直流電力出力用のケーブル403と、プラグ404とを備え、コンセントプラグ402から入力されたAC100Vの電力をケーブル403先端のプラグ404にDC20Vとして出力する。
【0029】
なお、直流電力入力部210から直流電力を供給する装置としては、汎用ACアダプタの他、カーアダプタ(入出力12V)、DC−DCコンバータ(入力10〜60V、出力20V)等を使用することができる。
【0030】
そして、プラグ404を直流電力入力部210に接続することにより、ポータブルプリンタ101に直流電力が供給され、充電池270が充電可能な状態になる。
【0031】
加えて、ハウジング102には、操作部150が設けられている。操作部150には、電源スイッチ151と、ユーザが紙送りを指示するための紙送り指示部である紙送りボタン152と、ユーザが紙送りの一時停止を指示するための一時停止ボタン153と、充電池270の充電状態をユーザに報知するためのインジケータ154と、LCD(Liquid Crystal Display)155と、通信用窓156と、台紙付きラベルに印字する標準モードまたはライナレスラベルに印字するライナレスモードへの切替操作が可能な切替ボタン157と、が設けられている。概略的には、ポータブルプリンタ101は、通信用窓156および通信インタフェース140(図5参照)を介した赤外線通信などによってデータ送受信を実行することができ、これによって、例えば印字データを受信してRAM13やフラッシュメモリ14(いずれも図5参照)に蓄積することができる。
【0032】
次に、ポータブルプリンタ101の制御系について説明する。ここで、図4はポータブルプリンタの制御系を示すブロック図である。
【0033】
図4に示すように、ポータブルプリンタ101の印字機構300は、サーマルヘッド112にストローブ信号、印字信号を含む印字制御信号を出力するヘッド制御装置133と、ステッピングモータ131に駆動パルス信号を出力するモータ制御装置134とを備えている。そして、印字制御装置135は、カバー開閉センサ50、操作部150、印字機構300など、装置全体を制御する。
【0034】
また、ポータブルプリンタ101の印字機構300は、ヘッドブラケット115に取り付けられたサーマルヘッド112が300dpiのものであるか、203dpiのものであるかを検出する印字密度検出装置136を備えている。
【0035】
ここで、図5は、印字制御装置の構成を示すブロック図である。図5に示すように、印字制御装置135は、各種の演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)11を有している。このCPU11には、RAM(Random Access Memory)13、および電源を切っても記憶内容を保持することができる不揮発性記憶部であるフラッシュメモリ14がシステムバス15を介して接続されている。
【0036】
フラッシュメモリ14は、ポータブルプリンタ101の動作プログラムや各種設定情報を記憶する。CPU11は、フラッシュメモリ14に記憶された動作プログラムをRAM13にコピーして実行することにより各部を制御する。なお、フラッシュメモリ14に記憶された動作プログラムには、例えばプラテンローラ117の回動速度の制御処理や台紙付きラベルまたはライナレスラベルのバックフィード制御処理を行うためのプログラムも含まれる。加えて、フラッシュメモリ14は、プラテンローラ117の回動速度の制御処理や台紙付きラベルまたはライナレスラベルのバックフィード制御処理において用いられる回動速度テーブルやバックフィード長テーブルを記憶する。
【0037】
ここで、回動速度テーブルとは、標準モードおよびライナレスモードそれぞれと、各モードに切り替えられてサーマルヘッド112により台紙付きラベルまたはライナレスラベルに印字する場合のプラテンローラ117の回動速度と、を対応付けたテーブルである。なお、ライナレスモードと対応付けられたプラテンローラ117の回動速度は、標準モードと対応付けられたプラテンローラ117の回動速度よりも遅いものとする。
【0038】
また、バックフィード長テーブルとは、標準モードおよびライナレスモードそれぞれと、各モードに切り替えられた場合に台紙付きラベルまたはライナレスラベルをロールPRにバックフィードさせる長さ(以下、バックフィード長とする)と、を対応付けたテーブルである。なお、ライナレスモードと対応付けられたバックフィード長(例えば、5mm)は、標準モードと対応付けられたバックフィード長(例えば、10mm)よりも短いものとする。
【0039】
RAM13は、各種の可変情報を一時的に記憶する。また、RAM13の一部の領域は、台紙付きラベルまたはライナレスラベルに印字する印字データ(画像データ)が展開される印刷バッファとして利用される。印字データは、ホストコンピュータ(図示せず)から受信した印字対象となるデータである。なお、印字データは、フラッシュメモリ14に記憶されるものであっても良い。ホストコンピュータは、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話機、ハンディターミナル等であって、ユーザによる操作入力に応じて各種演算処理を実行する。
【0040】
また、CPU11には、通信インタフェース140、表示コントローラ141、キーコントローラ142、センサコントローラ143がシステムバス15を介して接続されている。表示コントローラ141は、CPU11の制御のもとで、操作部150のLCD155における表示(バッテリ残量、電波受信状況、エラーメッセージなど)を制御する。キーコントローラ142は、CPU11の制御のもとで、操作部150の電源スイッチ151、紙送りボタン152、一時停止ボタン153、切替ボタン157からのキー入力を制御する。センサコントローラ143は、CPU11の制御のもとで、カバー開閉センサ50などのセンサ類からの入力を制御する。
【0041】
通信インタフェース140は、ホストコンピュータなどの外部の機器と通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース140は、例えばIrDA等の赤外線通信、USB(Universal Serial Bus)、無線LAN(Local Area Network)、RS−232C、Bluetooth(登録商標)等により構成され、ホストコンピュータに設けられた通信インタフェースとの通信が可能である。
【0042】
また、ポータブルプリンタ101は、ハウジング102の内部に電力制御回路200を備える。電力制御回路200は、操作部150の電源スイッチ151のON/OFFに従って、ACアダプタ400等を介した外部の商用電力コンセントからの電力または充電池270から印字機構300の各部への電力の供給/遮断をソフト的に制御する。ソフト的とは、本ポータブルプリンタ101の制御信号によって電力の供給/遮断を制御することを意味する。
【0043】
電力制御回路200は、直流電力入力部210と、電圧変更装置220と、電力監視装置230と、電力制御装置240と、電力遮断装置250と、電源切替装置260と、電源供給装置であるシステム電源供給回路280と、を備える。
【0044】
電圧変更装置220は、直流電力入力部210から入力された所定電圧範囲(例えば10V〜25V)の直流電力の電圧を充電池270の充電に適した電圧(例えば8.4V、又は、16.8V:充電池の仕様により異なる)に変更する。本実施の形態では、充電池270はリチウムイオン充電池であるので、CC/CV充電方式、即ち、外部DC電圧を降圧して、電流電圧一定充電を行う。
【0045】
また、電圧変更装置220は、充電に際して、充電電圧、電流を可変にすることや、再充電の閾値を調節することにより、電池の寿命を延ばすことができる長寿命モードに設定することができる。電力監視装置230は、直流電力入力部210からの直流電力の電圧を監視する。電力遮断装置250は、電力監視装置230が検出した直流電圧の電圧が所定範囲(10V〜25V)から外れた場合、直流電力入力部210からの直流電力を遮断状態にする。電源切替装置260は、印字機構300に供給される駆動電力を直流電力入力部210からの電力及び充電池270からの電力のうちの一方に切り替える。
【0046】
電力制御装置240は、電力遮断装置250及び電源切替装置260に対して以下の制御を行う。
【0047】
まず、電力監視装置230の検出結果に基づいて、直流電力入力部210からの直流電力が所定範囲(10V〜25V)であるとき、電源切替装置260を動作させ、直流電力入力部210からの直流電力を電圧変更装置220に導通させる。これにより、電圧変更装置220から充電池270に充電用の直流電力(8.4V)を供給する。この状態で、システム電源供給回路280にも直流電力入力部210からの電力が供給される。
【0048】
また、電力制御装置240は、外部から直流電力が直流電力入力部210に供給されている状態で印字制御装置135からの印字指示を受けると、電源切替装置260を作動させて印字機構300の駆動電力を充電池270の電力とする。これにより、印字指示があったとき印字機構300への直流電力入力部210からの電力は遮断される。ただし、印字制御装置135への電力は、直流電力入力部210からの電圧が所定範囲であるときには直流電力入力部210から供給されるものとする。
【0049】
更に、電力制御装置240は、印字指示がないときでも、電力監視装置230で検出された直流電力の電圧が充電池の電圧より低いとき、電源切替装置260を駆動してシステム電源供給回路280への電力を充電池270から供給する。
【0050】
システム電源供給回路280は、印字制御装置135を介して印字機構300の各部に電力を供給する。印字機構300のサーマルヘッド112には、許容電圧の範囲で電力を印加する。即ち、ポータブルプリンタ101が印刷を行うときには、電力遮断装置250により、直流電力入力部210からの電力は遮断されている他、電源切替装置260により、充電池270からの電力が供給されており、サーマルヘッド112の許容電圧を超える電圧は供給されない。
【0051】
また、システム電源供給回路280は、印字制御装置135を駆動する電力(電圧、5V,3.3V,1.5V等)を供給する。このように、システム電源供給回路280は、外部直流電力及び充電池270の電圧の範囲で適正に動作できるように各部への動作入力電圧が設定されている。
【0052】
システム電源供給回路280は、充電池270及び直流電力入力部210からの直流電力で駆動する各電源系のオン、オフの制御を行う。即ち、システム電源供給回路280は、直流電力入力部210に直流電力が供給されている状態では直流電力入力部210からの直流電力を印字制御装置135に供給し、直流電力入力部210に直流電力が供給されていない状態では充電池270からの直流電力を印字制御装置135に供給する。
【0053】
また、システム電源供給回路280は、電力制御装置240によって、印字制御装置135へ充電池270からの直流電力が供給されたとき、この直流電力を印字制御装置135経由で印字機構300に供給する。
【0054】
なお、印字制御装置135は、印字機構300の制御を行う他、電力供給に際しては、電圧変更装置220及びシステム電源供給回路280からの情報を取得し、電圧変更装置220及びシステム電源供給回路280が充電できる条件であるとき、電力制御装置240に充電開始の指示を送る。
【0055】
また、印字制御装置135は、ポータブルプリンタ101を状況に応じてさまざまな状態モードに設定する。モードとしては、サーマルヘッド112による印刷が直ちに行われる待機モード、電力消費を低減するためシステムを省エネルギー状態としたスリープモード、サーマルヘッド112で印字を行う印字モード、充電池270を充電する充電モード、充電池270の寿命を縮めることがない低電圧で充電を行う長寿命充電モードが設定されている。
【0056】
各モードへの移行は以下のように制御されている。
【0057】
まず、充電池270での駆動時において、待機モードから所定時間経過した後にスリープモードに入る。スリープモードでは、不要な機能部の電源を閉じ、通信インタフェース140の待ち受けのみを行う。スリープモードであるとき、印字機構300を動作する必要が出た場合や、通信インタフェース140の送受信が発生した場合は、通常の待機モードに戻す。
【0058】
また、外部からの直流電力の供給時においては、スリープモードには入らず、通常の待機モードとする。これにより、印字モードへの起動を速くできる。待機モードでは、通信インタフェース140の待ち受けを行いつつ、電圧変更装置220で充電池270の充電制御を行う。
【0059】
このようなポータブルプリンタ101では、用紙収納部105に収納されたロールPRから台紙付きラベルまたはライナレスラベルを引き出して、カバー107を閉じると、引き出された台紙付きラベルまたはライナレスラベルはサーマルヘッド112及びプラテンローラ117の間に挟まれ、かつ、ヘッドカバー116及び用紙抑えローラ118の間に挟まれる。この状態で印字制御装置135の制御の下に印字が開始され、ステッピングモータ131がモータ制御装置134の制御によって駆動されると、台紙付きラベルまたはライナレスラベルは、ロールからサーマルヘッド112を経由して用紙排出口110に向かう方向に搬送される。また、サーマルヘッド112は、ヘッド制御装置133の制御に基づいて発熱素子列114を発熱させることによって、搬送される台紙付きラベルまたはライナレスラベルに対し所定の内容を印字する。
【0060】
次に、印字制御装置135のフラッシュメモリ14に記憶された動作プログラムをCPU11が実行することにより実現する機能について、図6に示す機能ブロック図を用いて説明する。図6は、本実施の形態にかかるポータブルプリンタの機能ブロック図である。
【0061】
本実施の形態のポータブルプリンタ101で実行されるプログラムは、図6に示すような各部(切替手段10、制御手段20、調整手段30など)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU11が上記フラッシュメモリ14からプログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM13上にロードされ、上述した各部(切替手段10、制御手段20、調整手段30など)がRAM13上に生成されるようになっている。
【0062】
切替手段10は、切替ボタン157による切替操作に応じて、ポータブルプリンタ101を標準モードまたはライナレスモードに切り替えるものである。これにより、ユーザは、自身が収納したロールPRが台紙付きラベルのロールPRかライナレスラベルのロールPRかに応じて、任意にポータブルプリンタ101を任意に標準モードまたはライナレスモードに切り替えることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、切替ボタン157による切替操作に応じて、ポータブルプリンタ101を標準モードまたはライナレスモードに切り替えているが、これに限定するものではない。例えば、LCD155の表面上にタッチ指定できるタッチパネルが積層配置されている場合には、切替手段10は、LCD155に標準モードまたはライナレスモードへの切替操作が可能なオブジェクトを表示し、当該オブジェクトによる標準モードまたはライナレスモードへの切替操作に応じて、ポータブルプリンタ101を標準モードまたはライナレスモードに切り替えても良い。若しくは、切替手段10は、用紙収納部105に収納されたロールPRが台紙付きラベルのロールかライナレスラベルのロールPRかを判別し、判別結果に従って、標準モードまたはライナレスモードに切り替えても良い。または、切替手段10は、図示しないホストコンピュータから送信されたコマンドに従って、標準モードまたはライナレスモードに切り替えても良い。
【0064】
制御手段20は、切替手段10による標準モードまたはライナレスモードへの切り替えに応じて、モータ制御装置134を介してステッピングモータ131の駆動を制御するものである。例えば、制御手段20は、切替手段10によりライナレスモードに切り替えられてサーマルヘッド112によりライナレスラベルに印字する場合のプラテンローラ117の回動速度を、切替手段10により標準モードに切り替えられてサーマルヘッド112により台紙付きラベルに印字する場合のプラテンローラ117の回動速度よりも遅くする。これにより、ロールPRからライナレスラベルを引き出す際のプラテンローラ117のトルクを、ロールPRから台紙付きラベルを引き出す際のプラテンローラ117のトルクよりも上げることができるので、ロールPRからライナレスラベルを剥がしてライナレスラベルに印字する際のステッピングモータ131にかかる負荷を小さくすることができる。
【0065】
より具体的には、制御手段20は、切替手段10により標準モードに切り替えられた場合、フラッシュメモリ14に記憶された回動速度テーブルにおいて標準モードと対応付けられた回動速度を、標準モードにおけるプラテンローラ117の回動速度に決定する。次いで、制御手段20は、決定した回動速度に従って駆動パルスの周期Tを決定し、決定した周期Tの駆動パルス信号をモータ制御装置134からステッピングモータ131に出力する。
【0066】
一方、制御手段20は、切替手段10によりライナレスモードに切り替えられた場合、フラッシュメモリ14に記憶された回動速度テーブルにおいてライナレスモードと対応付けられた回動速度を、ライナレスモードにおけるプラテンローラ117の回動速度に決定する。次いで、制御手段20は、決定した回動速度に従って駆動パルスの周期T(切替手段10により標準モードに切り替えられた場合にステッピングモータ131に出力する駆動パルス信号が示す駆動パルスの周期Tよりも長い周期)を決定し、決定した周期Tの駆動パルス信号をモータ制御装置134からステッピングモータ131に出力する。
【0067】
また、制御手段20は、ライナレスラベルをサーマルヘッド112にバックフィードさせるバックフィード長を、台紙付きラベルをサーマルヘッド112にバックフィードさせるバックフィード長よりも短くする。
【0068】
より具体的には、制御手段20は、切替手段10により標準モードに切り替えられた場合、フラッシュメモリ14に記憶されたバックフィード長テーブルにおいて標準モードと対応付けられたバックフィード長を、標準モードにおけるバックフィード長に決定する。次いで、制御手段20は、決定したバックフィード長に従ってモータ制御装置134からステッピングモータ131に駆動パルス信号を出力する時間を決定し、決定した時間、モータ制御装置134からステッピングモータ131に駆動パルス信号を出力する。
【0069】
一方、制御手段20は、切替手段10によりライナレスモードに切り替えられた場合、フラッシュメモリ14に記憶されたバックフィード長テーブルにおいてライナレスモードと対応付けられたバックフィード長を、ライナレスモードにおけるバックフィード長に決定する。次いで、制御手段20は、決定したバックフィード長に従ってモータ制御装置134からステッピングモータ131に駆動パルス信号を出力する時間(切替手段10により標準モードに切り替えられた場合にステッピングモータ131に駆動パルス信号を出力する時間よりも短い時間)を決定し、決定した時間、モータ制御装置134からステッピングモータ131に駆動パルス信号を出力する。
【0070】
なお、ライナレスモードにおいてライナレスラベルをサーマルヘッド112にバックフィードさせる場合のプラテンローラ117の回動速度は、標準モードにおいて台紙付きラベルをサーマルヘッド112にバックフィードさせる場合のプラテンローラ117の回動速度と同じであるものとする。つまり、ライナレスラベルをサーマルヘッド112にバックフィードさせる場合にステッピングモータ131に出力する駆動パルス信号が示す駆動パルスの周期Tは、台紙付きラベルをサーマルヘッド112にバックフィードさせる場合にステッピングモータ131に出力する駆動パルス信号が示す駆動パルスの周期Tと同じものとする。
【0071】
一般的に、ポータブルプリンタ101においては、印字を行った台紙付きラベルまたはライナレスラベルをカットした後、台紙付きラベルまたはライナレスラベルへの次の印字を隙間無く行うために、用紙排出口110まで進んだ台紙付きラベルまたはライナレスラベルをサーマルヘッド112までバックフィードさせる。従来のプリンタでは、ライナレスラベルをバックフィードさせる距離を、台紙付きラベルをバックフィードさせる距離と同じ距離にしていた。そのため、ライナレスラベルは、バックフィードさせる距離が長くなると、ライナレスラベル自体のコシが弱くなり折れ曲がりが発生して、ジャムが発生し易かった。
【0072】
しかし、本実施の形態によれば、ライナレスラベルの折れ曲がりによるジャムが発生しない範囲でライナレスラベルをバックフィードさせることができるので、ライナレスラベルに対して隙間無く印字することができかつジャムの発生を防止することができる。
【0073】
調整手段30は、切替手段10によりライナレスモードに切り替えられてサーマルヘッド112によりライナレスラベルに印字する場合の印字エネルギーを、切替手段10により標準モードに切り替えられてサーマルヘッド112により台紙付きラベルに印字する場合の印字エネルギーよりも大きくする。ライナレスラベルは、一般的に、粘着面からの剥離性を向上させるためにシリコンなどが塗布されており、サーマルヘッド112により印字する際の感度が鈍い場合が多い。そこで、本実施の形態では、ライナレスラベルに印字する場合の印字エネルギーを、台紙付きラベルに印字する場合の印字エネルギーよりも大きくすることにより、ライナレスラベルへの印字不良を防止している。
【0074】
図7は、1ドットを印字する周期内のサーマルヘッドの加熱時間を示すストローブ信号を示す図である。図7に示すように、調整手段30は、切替手段10によりライナレスモードに切り替えられた場合にヘッド制御装置133に対して出力するストローブ信号が示す1ドットを印字する周期T2内のサーマルヘッド112の加熱時間t2を、切替手段10により標準モードに切り替えられた場合にヘッド制御装置133に対して出力するストローブ信号が示す1ドットを印字する周期T1内のサーマルヘッド112の加熱時間t1よりも長くする。
【0075】
次に、図8を用いて、プラテンローラ117の回動速度の制御処理の流れについて説明する。図8は、プラテンローラの回動速度の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
制御手段20は、サーマルヘッド112による印字が開始される前に、切替手段10により切り替えられたモードが標準モードかライナレスモードかを判断する(ステップS801)。
【0077】
そして、制御手段20は、切替手段10により切り替えられたモードが標準モードである場合(ステップS801:標準モード)、フラッシュメモリ14に記憶された回動速度テーブルにおいて標準モードと対応付けられた回動速度を、標準モードにおけるプラテンローラ117の回動速度に決定する(ステップS802)。一方、制御手段20は、切替手段10により切り替えられたモードがライナレスモードである場合(ステップS801:ライナレスモード)、フラッシュメモリ14に記憶された回動速度テーブルにおいてライナレスモードと対応付けられた回動速度を、ライナレスモードにおけるプラテンローラ117の回動速度に決定する(ステップS803)。
【0078】
次いで、制御手段20は、決定したプラテンローラ117の回動速度に従って駆動パルスの周期Tを決定し、決定した周期Tの駆動パルス信号をステッピングモータ131に出力して、プラテンローラ117によるロールPRからの台紙付きラベルまたはライナレスラベルの引き出しを開始する(ステップS804)。
【0079】
ロールPRからの台紙付きラベルまたはライナレスラベルの引き出しが開始されると、調整手段30は、ヘッド制御装置133に対してストローブ信号を出力して、サーマルヘッド112による印字を開始する(ステップS805)。
【0080】
そして、調整手段30は、RAM13に展開された印字データの台紙付きラベルまたはライナレスラベルが印字されると、ヘッド制御装置133に対するストローブ信号の出力を停止してサーマルヘッド112による印字を終了する(ステップS806)。
【0081】
次いで、制御手段20は、サーマルヘッド112による印字が終了すると、ステッピングモータ131への駆動パルス信号の出力を停止して、ロールPRからの台紙付きラベルまたはライナレスラベルの引き出しを終了する(ステップS807)。
【0082】
次に、図9を用いて、台紙付きラベルまたはライナレスラベルのバックフィード制御処理の流れについて説明する。図9は、台紙付きラベルまたはライナレスラベルのバックフィード制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
サーマルヘッド112による印字が終了すると、制御手段20は、切替手段10により切り替えられたモードが標準モードかライナレスモードかを判断する(ステップS901)。
【0084】
そして、制御手段20は、切替手段10により切り替えられたモードが標準モードである場合(ステップS901:標準モード)、フラッシュメモリ14に記憶されたバックフィード長テーブルにおいて標準モードと対応付けられたバックフィード長を、標準モードにおけるバックフィード長に決定する(ステップS902)。一方、制御手段20は、切替手段10により切り替えられたモードがライナレスモードである場合(ステップS901:ライナレスモード)、フラッシュメモリ14に記憶されたバックフィード長テーブルにおいてライナレスモードと対応付けられたバックフィード長を、ライナレスモードにおいけるバックフィード長に決定する(ステップS903)。
【0085】
次に、制御手段20は、ステッピングモータ131に駆動パルス信号を出力して、用紙排出口110まで進んだ台紙付きラベルまたはライナレスラベルのバックフィードを開始する(ステップS904)。そして、台紙付きラベルまたはライナレスラベルのバックフィードが行なわれている間、制御手段20は、台紙付きラベルまたはライナレスラベルがバックフィードした長さが、決定したバックフィード長に達したか否かを判断する(ステップS905)。
【0086】
そして、台紙付きラベルまたはライナレスラベルがバックフィードした長さが、決定したバックフィード長に達したと判断した場合(ステップS905:Yes)、制御手段20は、ステッピングモータ131への駆動パルス信号の出力を停止して、台紙付きラベルまたはライナレスラベルのバックフィードを終了する(ステップS906)。
【0087】
本実施の形態のポータブルプリンタ101で実行される動作プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0088】
さらに、本実施の形態のポータブルプリンタ101で実行される動作プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のポータブルプリンタ101で実行される動作プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0089】
このように本実施の形態にかかるポータブルプリンタ101によれば、標準モードまたはライナレスモードへの切り替えに応じて、ステッピングモータ131の駆動を制御することにより、ロールPRからライナレスラベルを引き出す際のプラテンローラ117のトルクを、ロールPRから台紙付きラベルを引き出す際のプラテンローラ117のトルクよりも上げることができるので、ロールPRからライナレスラベルを剥がしてライナレスラベルに印字する際のステッピングモータ131にかかる負荷を小さくすることができる。特に、本実施の形態にかかるポータブルプリンタ101が充電池270からの電力の供給を受けて動作する場合に、ステッピングモータ131の負荷を小さくすることができるので、充電池270の消耗を小さくし、ポータブルプリンタ101を長く利用することができる。また、ライナレスラベルをバックフィードさせる際のライナレスラベルの折れ曲がりを防止できるので、ジャムの発生を防止できる。また、印字エリアを大きくできるので、ライナレスラベルの無駄を削減できる。
【符号の説明】
【0090】
101 ポータブルプリンタ
110 用紙排出口
112 サーマルヘッド
117 プラテンローラ
131 ステッピングモータ
157 切替ボタン
270 充電池
10 切替手段
20 制御手段
30 調整手段
PR ロール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開2004−314425公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを駆動源として回動して、台紙付きラベルが巻回されたロールまたは粘着力を有する粘着面を介してライナレスラベルが巻回されたロールから、前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルを引き出すローラと、
前記ロールから引き出された前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルに印字する印字部と、
前記印字部によって前記台紙付きラベルに印字する標準モードまたは前記印字部によって前記ライナレスラベルに印字するライナレスモードに切り替える切替手段と、
前記標準モードまたは前記ライナレスモードへの切り替えに応じて、前記モータの駆動を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ライナレスモードに切り替えられて前記印字部により前記ライナレスラベルに印字する場合の前記ローラの回動速度を、前記標準モードに切り替えられて前記印字部により前記台紙付きラベルに印字する場合の前記ローラの回動速度よりも遅くすることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルの引き出し方向において前記印字部よりも下流側に配置され、印字後の前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルをカットする排出口をさらに備え、
前記ローラは、さらに、前記モータを駆動源として前記ロールから前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルを引き出す場合と反対方向に回動して、前記排出口まで達した前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルをバックフィードさせ、
前記制御手段は、さらに、前記ライナレスモードに切り替えられて前記ライナレスラベルを前記印字部にバックフィードさせる長さを、前記標準モードに切り替えられて前記台紙付きラベルを前記印字部にバックフィードさせる長さよりも短くすることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項4】
前記モータに電力を供給する電池をさらに備え、
前記モータは、前記電池から供給された電力により駆動することを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の印字装置。
【請求項5】
前記標準モードまたは前記ライナレスモードへの切替操作が可能な切替ボタンをさらに備え、
前記切替手段は、前記切替ボタンによる切替操作に応じて前記標準モードまたは前記ライナレスモードへと切り替えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載の印字装置。
【請求項6】
前記印字部は、前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルを加熱して印字を行う印字ヘッドであり、
前記ローラは、前記印字ヘッドに対向して配置されたプラテンローラであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一に記載の印字装置。
【請求項7】
前記ライナレスモードに切り替えられて前記印字部により前記ライナレスラベルに印字する場合の印字エネルギーを、前記標準モードに切り替えられて前記印字部により前記台紙付きラベルに印字する場合の印字エネルギーよりも大きくする調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の印字装置。
【請求項8】
モータと、前記モータを駆動源として回動して、台紙付きラベルが巻回されたロールまたは粘着力を有する粘着面を介してライナレスラベルが巻回されたロールから、前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルを引き出すローラと、前記ロールから引き出された前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルに印字する印字部と、を備えた印字装置の印字方法であって、
前記印字装置は、
切替手段が、前記印字部によって前記台紙付きラベルに印字する標準モードまたは前記印字部によって前記ライナレスラベルに印字するライナレスモードに切り替える切替工程と、
制御手段が、前記標準モードまたは前記ライナレスモードへの切り替えに応じて、前記モータの駆動を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする印字方法。
【請求項9】
モータと、前記モータを駆動源として回動して、台紙付きラベルが巻回されたロールまたは粘着力を有する粘着面を介してライナレスラベルが巻回されたロールから、前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルを引き出すローラと、前記ロールから引き出された前記台紙付きラベルまたは前記ライナレスラベルに印字する印字部と、を備えた印字装置を制御するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記印字部によって前記台紙付きラベルに印字する標準モードまたは前記印字部によって前記ライナレスラベルに印字するライナレスモードに切り替える切替手段と、
前記標準モードまたは前記ライナレスモードへの切り替えに応じて、前記モータの駆動を制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−167939(P2011−167939A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34017(P2010−34017)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】