説明

印字装置

【課題】印字処理を行なうも文字情報のうち、特定の情報を濃く印字処理することが可能なバックプリントの印字装置を提供する。
【解決手段】写真プリントシステム1が備える印字装置12では、ドットインパクト方式の印字ヘッド31と、印字ヘッド31と対向して配置されるプラテン32と、印字ヘッド31とプラテン32との間隙に搬送されるインクリボン33と、印字ヘッド31によって印字処理される文字情報に含まれる店舗名については、他の補正値等の情報よりも濃く印字処理を行なうように印字ヘッドの動作を制御する制御部42と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドットインパクト方式の印字を行う印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、写真処理装置において、プリント面と反対の裏面に、店舗名や、オーダ番号、補正情報等のプリント情報を印字する印字装置として、例えば、印字ヘッド、プラテン、インクを染み込ませたインクリボンとを備えたドットインパクト方式の印字装置が用いられている。
このような、ドットインパクト方式の印字装置においては、例えば、印字ヘッドがインクリボンの同一箇所を打ち付けることによって印字濃度が薄くなることを避けるため、インクリボンの移動速度を調整する等によって印字濃度を一定に保つ必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、印字ヘッドの動作を感光材料の搬送速度の変化と同期させて、搬送速度が変化した場合においても適切な印字濃度を保つことができる印字装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−351698号公報(平成16年12月16日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の印字装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、このようなプリント面と反対の裏面に印字される文字情報のうち、店舗名等の印字には、プリントサービスを依頼したユーザが再び同じ店舗にプリントサービスの依頼を行なうように促す販売促進ツールとしての意味がある。そのため、印字情報のうち、店舗名等の情報だけ印字を濃くして他の情報よりも目立たせたいという要望が強かった。ビットマップに変換するフォントを少なくとも1つ新たに付加して搭載(写真処理装置のフォントデータとして保管したり、ユーザ操作によってパソコンから個別にフォントデータを搭載等。)したりすることは考えられてはいるが、写真プリントのバックプリントに使われる印字装置が安価で低解像度のものであることから現実には使われていない。そのため、バックプリントで使われている印字装置において、店舗名等の特定の情報について他の情報と区別して印字することは非常に困難なものとなっていた。
【0005】
本発明の課題は、印字処理を行なう文字情報のうち、特定の情報を濃く印字処理することが可能なバックプリントの印字装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る印字装置は、ドットインパクト方式の印字ヘッドと、印字ヘッドに対向して配置されるプラテンと、印字ヘッドとプラテンとの間隙に搬送されるインクリボンと、印字ヘッドによって印字処理される文字情報に含まれる特定の情報については、他の情報よりも濃く印字処理を行なうように印字ヘッドの動作を制御する制御部と、を備えている。
【0007】
ここでは、文字情報に含まれる特定の情報については、濃く印字処理を行なうように印字ヘッドを制御する。
ここで、文字情報には、厳密な意味での文字だけでなく、数字や、アルファベット、ロゴマーク等の他、図形や記号等の情報が含まれる。
通常、このようなインクリボンを使用したドットインパクト方式の印字処理では、感光材料のプリント面とは反対側の面に、オーダ番号や、プリント処理に関する補正情報、あるいはプリント処理を行なった店舗情報等を印字する、いわゆるバックプリントが行なわれる。そして、これらのバックプリントのうち、例えば、店舗情報には、ユーザが再び写真プリントを依頼するように促して販売促進に繋げるといった意味がある。このため、このような種々の印字処理を行なう情報のうち、店舗等を示す文字やロゴマークだけを濃く印字して目立たせたい、という強い要望があった。
【0008】
しかし、このようなドットインパクト方式の印字装置では、印字処理を行なう情報の中で、特定の情報だけ印字濃度を濃くするといった印字処理を行なうことが困難であった。
そこで、本発明に係る印字装置において、制御部は、印字ヘッドに対して文字情報に含まれる特定の情報を濃く印字処理させる。
これにより、例えば、感光材料に対して特定の情報、例えば、店舗を示すロゴマークの印字処理を行なう場合だけ、印字濃度が濃くなるように印字ヘッドを制御して印字することができる。
このため、バックプリントのうち、例えば、店舗等の販売促進のために印字する情報については、印字濃度を濃くすることによって、他の補正情報等と比較して目立たせることができる。
【0009】
第2の発明に係る印字装置は、第1の発明に係る印字装置であって、制御部は、特定の情報に対応する印字処理を行なう場合には、印字ヘッドをインクリボンに対して押し当てる駆動時間を他の情報に対応する印字処理における駆動時間よりも長くなるように印字ヘッドの動作を制御する。
ここでは、特定の情報に対応する印字処理を行なう場合には、他の情報に対応する印字処理よりも印字ヘッドをインクリボンに対して押し当てる駆動時間を長くする。
これにより、インクリボンから感光材料に対して、より多くのインクを転写することができるので、他の情報に対応する印字処理よりも印字濃度を濃くすることができる。
【0010】
第3の発明に係る印字装置は、第1または第2の発明に係る印字装置であって、制御部は、特定の情報に対応する印字処理を行なう場合には、印字ヘッドをインクリボンに対して押し当てる回数を他の情報に対応する印字処理における押し当てる回数よりも多くなるように印字ヘッドの動作を制御する。
【0011】
ここでは、特定の情報に対応する印字処理において、印字ヘッドをインクリボンに対して押し当てる回数が他の情報に対応する印字処理よりも多くなるように、印字ヘッドを制御する。
これにより、インクリボンから感光材料に対してより多くのインクを転写させることができるので、印字濃度をより濃くすることができる。
【0012】
第4の発明に係る印字装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る印字装置であって、制御部は、特定の情報に対応する印字処理を行なう場合には、印字ヘッドをインクリボンに対して押し当てる圧力を他の情報に対応する印字処理における押し当てる圧力よりも大きくなるように印字ヘッドの動作を制御する。
ここでは、特定の情報に対応する印字処理において、印字ヘッドをインクリボンに押し当てる圧力が他の情報に対応する印字処理よりも大きくなるように制御する。
これにより、インクリボンから感光材料に対してより多くのインクを転写させることができるので、印字濃度をより濃くすることができる。
【0013】
第5の発明に係る印字装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る印字装置であって、特定の情報は、写真プリントを行なう店舗情報であって、他の情報は、写真プリントにおける補正情報である。
【0014】
ここでは、特定の情報とは、写真プリントを行なう店舗の情報である。
ここで、店舗情報には、写真プリントを実際に行なった店舗を示す情報の他、写真プリントをユーザに提供する店舗グループのグループ名等が含まれる。また、補正情報には、感光材料に対してプリント処理を行なった際に、オペレータによって指示された補正の内容を示す情報が含まれる。
【0015】
これにより、バックプリントとして印字される情報のうち、写真プリントを行なった店舗の情報については、補正情報に対応する印字処理よりも濃く印字処理を行なって目立たせることができる。
この結果、店舗情報、例えば、店舗を示す文字やロゴマークを濃く印字して補正情報よりも目立たせたいという要望に応えることができる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係る印字装置によれば、バックプリントのうち、例えば、店舗等の販売促進のために印字する情報については、印字濃度を濃くすることによって、他の補正情報等と比較して目立たせることができる。
第2の発明に係る印字装置によれば、インクリボンから感光材料に対して、より多くのインクを転写することができるので、他の情報に対応する印字処理よりも印字濃度を濃くすることができる。
【0017】
第3の発明に係る印字装置によれば、インクリボンから感光材料に対してより多くのインクを転写させることができるので、印字濃度をより濃くすることができる。
第4の発明に係る印字装置によれば、インクリボンから感光材料に対してより多くのインクを転写させることができるので、印字濃度をより濃くすることができる。
第5の発明に係る印字装置によれば、店舗情報、例えば、店舗を示す文字やロゴマークを濃く印字して補正情報よりも目立たせたい、という要望に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る印字装置12を備えた写真プリントシステム1について図1〜図6を用いて説明すれば以下の通りである。
写真プリントシステム1は、種々のフィルムやメディアから画像データ等を読み込んで画像データの入出力を制御する操作ステーション2と、操作ステーション2から入力された画像データに基づいて印画紙P(感光材料)に対してプリント処理を行なう写真処理装置3と、を備えている。
【0019】
なお、以下の説明において登場する「上流側」および「下流側」とは、印画紙Pの搬送方向における上流側と下流側とを示すものとする。
[写真処理装置3の構成]
本発明の一実施形態に係る写真処理装置3は、図1に示すように、ケーブル4を介して接続された操作ステーション2から受信した画像情報に基づき、印画紙Pを搬送しながら印画紙Pに対して画像の露光処理および現像処理などを行う写真処理装置である。
【0020】
写真処理装置3は、図2に示すように、主として、2つの印画紙マガジン11と、印字装置12と、シートカッター13と、露光エンジン14と、処理槽ユニット15と、印画紙搬送部18と、センサ10と、筐体60と、コンベア16と、ソータ17(図1参照)と、を有している。
2つの印画紙マガジン11は、写真処理装置3の内部において、長尺なロール状の印画紙Pを1個ずつ収納しており、印画紙搬送部18によって適宜必要な量の印画紙Pが引き出される。
【0021】
印字装置12は、印画紙マガジン11の下流側にあり、印画紙搬送部18の一部と隣接する位置に配置されている。ここで、印画紙Pのプリント面の裏面に、オーダ番号や、補正値、または写真プリントサービスを行った店舗名等の文字情報を印字する。なお、印字装置12の詳細は、後段にて詳述する。また、補正値とは、印画紙Pに対してプリント処理を行なう際に、オペレータが行なった補正処理の内容を示した値である。
【0022】
シートカッター13は、印字装置12の下流側にあり、印画紙搬送部18の一部と隣接するように配置されている。ここで、印画紙マガジン11から引き出され、印字装置12により印字が施された印画紙Pのマージン部分の切断や、プリントに適した所定のサイズへの切断を行う。
露光エンジン14は、シートカッター13の下流側にあり、印画紙搬送部18に隣接するように配置されている。ここで、プリントに適した所定のサイズに切断された印画紙Pのプリント面に対して、画像情報をもとに画像を露光処理する。具体的には、プリントする撮影画像の露光処理を行う。また、露光エンジン14には、副走査方向に搬送される印画紙Pに対して主走査方向に沿ってRGBの3色のレーザ光線を照射する図示しないライン露光ヘッドを有している。
【0023】
処理槽ユニット15は、露光エンジン14の下流側に配置されており、印画紙Pの現像処理を行う現像槽15aと、漂白および定着処理を行う漂白定着槽15bと、漂白および定着処理を安定させる安定槽15cとを有する。各々の槽には、各々の処理に必要な処理液が貯留されている。露光エンジン14による露光処理後の印画紙Pが、処理槽15a〜15cをこの順で経由しながら印画紙搬送部18によって搬送されることで、所望の写真画像が印画紙Pの表面に形成される。
【0024】
印画紙搬送部18は、写真処理装置3の内部において、印画紙マガジン11に収容された長尺なロール状の印画紙Pを引き出すとともに、プリントに適した所定のサイズに切断された印画紙Pを、印画紙Pに対して行われる様々な処理に対応した搬送速度で搬送する。また、印画紙搬送部18は、印画紙Pの搬送方向における露光エンジン14の上流側および下流側にそれぞれ配置されたチャッカー式搬送ユニット18aと、複数の挟持搬送ローラ対18bと、を有している。
【0025】
チャッカー式搬送ユニット18aは、プリントサイズに切断された印画紙Pの下流側(先端側)の端部を搬送方向における両側からつまむようにして搬送する。
挟持搬送ローラ対18bは、2つのローラを組み合わせて構成されており、2つのローラの間の隙間に印画紙Pを挟みこんで回転することで印画紙Pを下流側へと搬送する。
センサ10は、プリントサイズにカットされた各印画紙Pの搬送方向における先端部が、露光エンジン14により露光処理される位置に到達したことを検知する。
【0026】
筐体60は、上述した2つの印画紙マガジン11と、印字装置12と、シートカッター13と、露光エンジン14と、処理槽ユニット15と、印画紙搬送部18と、を少なくとも内部に有しており、各部位が外部の光により誤って露光されることを防いでいる。
コンベア16は、写真処理装置3の上部に露出しており、写真画像が表面に形成されて乾燥処理後に排出された印画紙Pをソータ17の方向へ搬送する(図1および図2参照)。
【0027】
ソータ17は、写真処理装置3の前面側に鉛直方向に複数のトレイを並べた状態で配置されており、コンベア16によって搬送される印画済みの印画紙Pを、オーダ単位で各トレイに振り分ける(図1参照)。
[印字装置12の構成]
次に、本発明の一実施形態に係る印字装置12の概略構成を、図3〜図6を用いて説明する。
【0028】
印字装置12は、印画紙Pのプリント面の裏面にインクを用いて印字処理、いわゆるバックプリントを行なうドットインパクト方式の印字装置である。
印字装置12は、図3に示すように、主として、印字ヘッド31と、プラテン32と、インクリボン33と、駆動ローラ36と押圧ローラ37とからなるローラ対38と、制御部42と、を有している。
【0029】
印字ヘッド31は、インクリボン33に押し当てる方向から見ると、図4および図5に示すように、ドット39を複数有している。ここで、後段にて詳述する制御部42は、印字処理において、インクリボン33を印画紙Pに押し当てるために、印字ヘッド31を駆動し、文字情報の印字に対応する位置にあるドット39を突出させてインクリボン33に打ちつけさせる。
【0030】
また、プラテン32は、図3に示すように、印字ヘッド31と対向して配置され、ドット39の打ちつけを受けて印字品質を保持する役割を果たす。
ローラ対38は、環状のインクリボン33を、印字ヘッド31とプラテン32との間に搬送する、インクリボン搬送部としての役割を果たす。ローラ対38は、駆動ローラ36とこれと対になった押圧ローラ37からなる。インクリボン33はこれらのローラの間に挟み込まれ、駆動ローラ36が図中時計回りに回転することで反時計回りに回転する。これに伴って、インクリボン33は、図5に示すように、図中矢印方向(a方向)に送られ、印字ヘッド31とプラテン32との間を移動していく。なお、インクリボン33は、布状の材料にインクを含浸させたものである。
【0031】
インクリボン33が収納されたリボンカセット35は、図5に示すように、印字装置12に取りつけられる。リボンカセット35は、ケース35a内に長尺のインクリボン33を収納するリボン収納部35bと、このリボン収納部35bの上段に、リボン収納部35bと区画して形成される図示しないインクタンクとを備えている。また、リボン収納部35bの入口には、インクリボン33をa方向に送るための一対のリボン送り出し用のローラ対38(駆動ローラ36、押圧ローラ37)を設けている。
【0032】
これらリボン送り出し用のローラ対38(駆動ローラ36、押圧ローラ37)が回転することにより、リボン収納部35b内にインクリボンが送り込まれ、印字ヘッド31を回ってリボン収納部35b内に回収され、また、リボン収納部35bから印字ヘッド31に向けて送り出されるこの動作がエンドレスに行われる。
また、リボンカセット35のケース35a内には、フェルト35eが配設されており、このフェルト35eにインクを染み込ませて図示しないインクタンク内のインクがエンドレスに送られるインクリボン33に供給される。本実施の形態では、図示しないインクタンクとフェルト35eによりインク供給部を構成している。
【0033】
制御部42は、上述したように、印字ヘッド31に対してドット39を突出させてインクリボン33に打ち付けることで印字処理を行なう。この際、印字処理を行なう文字情報がオーダ番号や補正値等の情報(他の情報)である場合には、制御部42は、図6(a)に示す通常の印字処理における印字信号によって印字ヘッド31を駆動し、ドット39を突出させてインクリボン33に打ち付ける。一方、文字情報が写真プリントサービスを行なった店舗名(特定の情報)である場合には、制御部42は、図6(b)に示す印字信号によって印字ヘッド31を駆動し、ドット39を突出させてインクリボン33に打ち付けさせる。ここで、図6(a)および図6(b)に示す印字信号が「ON」になるとドット39が印字ヘッド31から突出してインクリボン33を打ち付けて、印字信号が「OFF」になるまでの間、ドット39がインクリボン33を印画紙Pに押し当て続ける。そして、印字信号が「OFF」になると、ドット39は、印字ヘッド31の所定の位置に戻る。また、図6(b)に示す店舗名を印字処理する際の印字信号は、図6(a)に示す店舗名以外の情報、例えば、オーダ番号や補正値等を印字処理する際の印字信号よりも信号が「ON」になる駆動時間が約3倍長くなっているため、店舗名の印字濃度を他のオーダ番号や、補正値等の情報よりも濃くすることができる。このように、制御部42は、各印字情報ごとに対応する印字信号によってドット39を駆動してインクリボン33を印画紙Pに押し当てる駆動時間を他の補正値等に対応する印字処理を行なう場合よりも長くすることで、インクリボン33から印画紙Pにより多くのインクを転写させることができる。
【0034】
このため、バックプリントのうち、店舗名を濃く印字して他の補正値等の情報よりも目立たせることができる。
[印字装置12の特徴]
(1)
本実施形態の写真プリントシステム1が備える印字装置12では、図3に示すように、ドットインパクト方式の印字ヘッド31と、印字ヘッド31と対向して配置されるプラテン32と、印字ヘッド31とプラテン32との間隙に搬送されるインクリボン33と、印字ヘッド31によって印字処理される文字情報に含まれる店舗名については、他の補正値等の情報よりも濃く印字処理を行なうように印字ヘッドの動作を制御する制御部42と、を備えている。
【0035】
ここで、本実施形態の印字装置12では、文字情報のうち、店舗名については濃く印字処理を行なうように、印字ヘッド31を制御する。
これにより、印画紙Pに対して店舗名の印字処理を行なう場合だけ、印字濃度が濃くなるように印字ヘッド31を制御して印字することができる。
このため、バックプリントのうち、店舗名を濃く印字して他の補正値等の情報よりも目立たせることができる。
【0036】
(2)
本実施形態の写真プリントシステム1が備える印字装置12では、店舗名に対応する印字処理を行なう場合には、印字ヘッド31をインクリボン33に対して押し当てる駆動時間を他の情報に対応する印字処理における駆動時間よりも長くなるように印字ヘッド31の動作を制御する。
【0037】
このように、制御部42は、図6(b)に示す印字信号によってドット39を駆動してインクリボン33を印画紙Pに押し当てる時間を、図6(a)に示す他の補正値等に対応する印字処理を行なう印字信号よりも長くすることで、インクリボン33から印画紙Pにより多くのインクを転写させることができる。
(3)
本実施形態の写真プリントシステム1が備える印字装置12では、特定の情報が写真プリントサービスを行なった店舗名であって、他の情報がオーダ番号や補正値等の情報である。
【0038】
これにより、バックプリントとして印字される情報のうち写真プリントサービスを行なった店舗の情報については、オーダ番号や補正値等の情報よりも濃く印字処理を行なうことができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0039】
(A)
上記実施形態では、制御部42は、店舗名に対応する印字処理を行なう場合には、印字ヘッド31をインクリボン33に対して押し当てる駆動時間を他の情報に対応する印字処理における駆動時間よりも長くなるように印字ヘッド31の動作を制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
例えば、店舗名に対応する印字処理において、印字ヘッド31を駆動し、ドット39をインクリボン33に対して押し当てる回数が他の補正値等の情報よりも多くなるように制御部42を制御してもよい。
この場合には、インクリボン33から印画紙Pに対してより多くのインクを転写させることができるので、印字濃度をより濃くすることができる。
【0041】
(B)
上記実施形態では、制御部42は、店舗名に対応する印字処理を行なう場合には、印字ヘッド31をインクリボン33に対して押し当てる駆動時間を他の情報に対応する印字処理における駆動時間よりも長くなるように印字ヘッド31の動作を制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
例えば、店舗名に対応する印字処理において、印字ヘッド31を駆動し、ドット39をインクリボン33に対して押し当てる圧力が他の補正値等の情報よりも大きくなるように制御部42を制御してもよい。
この場合には、インクリボン33から印画紙Pに対して、より多くのインクを転写させることができるので、印字濃度をより濃くすることができる。
【0043】
(C)
上記実施形態では、制御部42は、店舗名に対応する印字処理を行なう場合には、印字ヘッド31をインクリボン33に対して押し当てる駆動時間を他の情報に対応する印字処理における駆動時間よりも長くなるように印字ヘッド31の動作を制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
例えば、上記実施形態で示した制御部42による印字ヘッド31の動作を制御する方法と、上記他の実施形態(A)、(B)において示した制御部42による印字ヘッド31の動作の制御方法のうち、少なくとも2つ以上の制御方法を組み合わせて用いてもよい。
この場合には、印字ヘッド31や、プラテン32、印画紙P等の使用状況や特性に応じて、印字濃度をより効果的に濃くすることができる。
【0045】
(D)
上記実施形態では、制御部42は、店舗名に対応する印字処理を行なう場合には、印字ヘッド31をインクリボン33に対して押し当てる駆動時間を3倍程度、他の情報に対応する印字処理における駆動時間よりも長くなるように印字ヘッド31の動作を制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
例えば、店舗名に対応する印字処理の際に印字ヘッド31をインクリボンに押し当てる駆動時間は、他の情報に対する印字処理における駆動時間よりも長ければよい。
この場合には、印字ヘッド31や、プラテン32、印画紙P等の使用状況や特性に応じて、最適な濃度で印字処理を行なうことができる。
(E)
上記実施形態では、特定の情報が店舗名である例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
例えば、他の情報よりも濃く印字処理を行って目立たせたい場合には、特定の情報として、店舗名の代わりに、店舗グループのグループ名、または、ロゴマーク等を印字してもよい。
この場合にも、上記実施形態にかかる写真処理装置3と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(F)
上記実施形態では、印字処理を行なう文字情報のうち、特定の情報が店舗名であり、他の情報がオーダ番号や補正値等の情報である例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、印字処理を行なう文字情報のうち、所定の間隔ごとの文字情報を特定の情報として、他の文字情報よりも濃く印字処理を行なってもよい。
【0049】
この場合には、所定間隔ごとの文字情報を他の文字情報よりも濃く印字処理することができる。
(G)
上記実施形態では写真プリントシステム1において、印字装置12を備えている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
例えば、写真プリントシステム1の代わりに、インクジェットプリンタ等において印字装置12を備えてもよい。また、印字装置12を備えたドットインパクト方式のプリンタでもよい。
この場合にも、上記実施形態にかかる写真処理装置3と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の印字装置は、バックプリントのうち、特定の情報については濃く印字処理を行なうことが可能になるという効果を奏することから、ドットインパクト方式の印字装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係る写真プリントシステムの外観図。
【図2】図1に含まれる写真処理装置の内部構成を示す図。
【図3】図2に含まれる印字装置の構成を示す模式図。
【図4】図3に含まれる印字ヘッド付近の構成を示す図
【図5】図2に含まれる印字装置にインクリボンカセットを装着した状態の断面図。
【図6】図3に含まれるドットを駆動する際の印字信号を示す図。
【符号の説明】
【0053】
1 写真プリントシステム
2 操作ステーション
3 写真処理装置
4 ケーブル
10 センサ
11 印画紙マガジン
12 印字装置
13 シートカッター
14 露光エンジン
15 処理槽ユニット
16 コンベア
17 ソータ
18 印画紙搬送部
18a チャッカー式搬送ユニット
18b 狭持搬送ローラ対
31 印字ヘッド
32 プラテン
33 インクリボン
35 リボンカセット
35a ケース
35b リボン収納部
35e フェルト
36 駆動ローラ
37 押圧ローラ
38 ローラ対
39 ドット
42 制御部
60 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドットインパクト方式の印字ヘッドと、
前記印字ヘッドに対向して配置されるプラテンと、
前記印字ヘッドと前記プラテンとの間隙に搬送されるインクリボンと、
前記印字ヘッドによって印字処理される文字情報に含まれる特定の情報については、他の情報よりも濃く前記印字処理を行なうように前記印字ヘッドの動作を制御する制御部と、
を備えている印字装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記特定の情報に対応する前記印字処理を行なう場合には、前記印字ヘッドを前記インクリボンに対して押し当てる駆動時間を前記他の情報に対応する前記印字処理における前記駆動時間よりも長くなるように前記印字ヘッドの動作を制御する、
請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記特定の情報に対応する前記印字処理を行なう場合には、前記印字ヘッドを前記インクリボンに対して押し当てる回数を前記他の情報に対応する前記印字処理における前記押し当てる回数よりも多くなるように前記印字ヘッドの動作を制御する、
請求項1または2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記特定の情報に対応する前記印字処理を行なう場合には、前記印字ヘッドを前記インクリボンに対して押し当てる圧力を前記他の情報に対応する前記印字処理における前記押し当てる圧力よりも大きくなるように前記印字ヘッドの動作を制御する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の印字装置。
【請求項5】
前記特定の情報は、写真プリントを行なう店舗情報であって、前記他の情報は、前記写真プリントにおける補正情報である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−268968(P2007−268968A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100327(P2006−100327)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】