説明

危険度判定装置

【課題】死角領域の危険度を適切に判定できる危険度判定装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る危険度判定装置1は、自車両Mの周囲に存在する障害物により形成される死角領域を検出する死角領域検出部11と、対向車線RNを走行する複数の対向車の車間距離情報を取得する対向車情報取得部12と、死角領域のうち自車両Mより対向車線RN側に位置する第1の死角領域Btの付近を走行する対向車の車間距離情報に基づいて、第1の死角領域Btの危険度を判定する危険度判定部15と、を備える。本発明に係る危険度判定装置1によれば、第1の死角領域Bt内から飛び出そうとする他車両Nvが存在したとしても、第1の死角領域Btの付近を走行する対向車の車間距離が狭い場合には他車両Nvが自車両M側へ飛び出す危険度は低いことなどから、対向車の車間距離情報に基づいて第1の死角領域Btの危険度を適切に判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の周囲の危険度を判定する危険度判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術文献として特開2009−070094号公報が知られている。この公報に記載された走行安全装置では、他車両の進路を推定することで当該他車両と自車両とが衝突する可能性の有無を判定し、衝突する可能性がある場合に衝突回避操作を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−070094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した走行安全装置では、自車両が他車両を検知できない死角領域が存在すると、死角領域から飛び出す他車両に対応できず適切な回避操作が実行されないという問題があった。また、死角領域に対応するため、死角領域に必ず他車両が存在すると仮定すると、死角領域の度に減速するなど運転者に違和感を与える過度な運転支援となるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、死角領域の危険度を適切に判定できる危険度判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、自車両の周囲に存在する障害物により形成される死角領域を検出する死角領域検出手段と、対向車線を走行する複数の対向車の車間距離情報を取得する車間距離情報取得手段と、死角領域のうち自車両より対向車線側に位置する第1の死角領域の付近を走行する対向車の車間距離情報に基づいて、第1の死角領域の危険度を判定する危険度判定手段と、を備える危険度判定装置を特徴とする。
【0007】
本発明に係る危険度判定装置によれば、第1の死角領域内から飛び出そうとする他車両が存在したとしても、第1の死角領域の付近を走行する対向車の車間距離が狭い場合には他車両が自車両側へ飛び出す危険度は低いことなどから、対向車の車間距離情報に基づいて第1の死角領域の危険度を適切に判定することができる。
【0008】
本発明に係る危険度判定装置においては、対向車線が渋滞状況であるか否かを判定する渋滞状況判定手段を更に備え、危険度判定手段は、第1の死角領域の付近を走行する対向車の車間距離が所定の飛び出し可能車間距離以上である場合、渋滞状況判定手段が対向車線は渋滞状況ではないと判定したときと比べて、渋滞状況判定手段が対向車線は渋滞状況であると判定したときの第1の死角領域の危険度を高く判定することが好ましい。
【0009】
本発明に係る危険度判定装置によれば、渋滞状況であるにも関わらず対向車の車間距離が他車両の飛び出しできる程に開いている場合、第1の死角領域から飛びだそうとする他車両を対向車が意識している可能性が高いことから、渋滞状況ではない場合と比べて第1の死角領域の危険度を高く判定することで、より精度の高い危険度の判定が実現できる。
【0010】
本発明に係る危険度判定装置においては、自車両の前方を走行する先行車の車速情報を含む先行車情報を取得する先行車情報取得手段を更に備え、危険度判定手段は、死角領域のうち自車両より対向車線の反対側に位置する第2の死角領域の付近を通過した先行車の先行車情報に基づいて、第2の死角領域の危険度を判定することが好ましい。
【0011】
本発明に係る危険度判定装置によれば、第2の死角領域から飛び出そうとする他車両が存在する場合には他車両が存在しない場合と比べて先行車の挙動が異なると考えられることから、第2の死角領域の付近を通過した先行車の先行車情報に基づいて第2の死角領域の危険度を適切に判定することができる。
【0012】
本発明に係る危険度判定装置においては、先行車情報取得手段は、先行車と自車両との車間距離情報を取得し、危険度判定手段は、第2の死角領域の付近を通過した先行車の車速が所定の基準車速以上であり且つ当該先行車及び自車両の車間距離が所定の追従車間距離未満である場合には、当該先行車の車速が基準車速未満である場合又は当該先行車及び自車両の車間距離が追従車間距離以上である場合と比べて、第2の死角領域の危険度を低く判定することが好ましい。
【0013】
本発明に係る危険度判定装置によれば、第2の死角領域から飛び出そうとする他車両が存在したとしても、第2の死角領域の付近を先行車が十分な車速で通過し、当該先行車と自車両との車間距離が十分に短い場合には、他車両は先行車と同様に自車両の通過を待つと考えられることから、それ以外の場合と比べて危険度を低く判定することで、より精度の高い危険度の判定が実現できる。
【0014】
本発明に係る危険度判定装置においては、自車両周囲の地図情報を取得する地図情報取得手段を更に備え、危険度判定手段は、地図情報に基づいて第1の死角領域の危険度を判定することが好ましい。
【0015】
本発明に係る危険度判定装置によれば、地図情報に基づいて死角領域内にわき道などが存在するか否かを判断できるので、第1の死角領域の危険度の判定を精度良く行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、死角領域の危険度を適切に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図2】第1の死角領域を説明するための平面図である。
【図3】第1の死角領域内のわき道の道幅の演算方法を説明するための平面図である。
【図4】第1の死角領域内のわき道の道幅の演算方法の他の例を説明するための平面図である。
【図5】衝突領域の演算方法を説明するための平面図である。
【図6】衝突領域の演算方法の他の例を説明するための平面図である。
【図7】第2の死角領域を説明するための平面図である。
【図8】第1の死角領域に対する動作を示すフローチャートである。
【図9】第2の死角領域に対する動作を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図11】第1の死角領域に対する動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の死角領域に対する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1に示されるように、第1の実施形態に係る運転支援装置(危険度判定装置)1は、自車両が障害物を検出できない死角領域の危険度を判定することで、死角領域の危険度に応じた運転支援を実施するものである。死角領域とは、運転者による目視の他、車載のレーダやカメラでも障害物の存在を検知できない領域である。死角領域は、自車両の周囲に存在する障害物(他車両や建物など)により形成される。
【0020】
運転支援装置1は、自車両の周囲の障害物を検出することで、当該障害物により形成される自車両の死角領域を検出する。まず、死角領域のうち自車両より対向車線側に位置する第1の死角領域について説明を行う。
【0021】
図2は第1の死角領域を説明するための平面図である。図2に示す自車両Mは、片側一車線の道路を構成する自車線RMを走行している。自車線RMに隣設する対向車線RN上には、三台の対向車Na,Nb,Ncが走行している。自車両Mの車速をV、対向車Na,Nb,Ncの車速をそれぞれVa,Vb,Vcとして示す。
【0022】
対向車Na,Nb,Ncは、自車両Mの周囲に死角領域を形成する障害物である。ここで、対向車Nbにより形成される第1の死角領域Btについて説明する。第1の死角領域Btは、自車両Mの前方で自車両Mより対向車線RN側に位置している。
【0023】
第1の死角領域Btは、自車両Mから見て対向車Nbの影となる領域である。第1の死角領域Btは、自車両Mから延びる二本の仮想直線A1,A2により挟まれている。仮想直線A1,A2は、対向車Nbに対する自車両Mの検知範囲の境界を概略的に示したものである。図3に示されるように、仮想直線A1は、自車両Mの視点基準P0から対向車Nbの右側後端P1を通って延在する直線である。仮想直線A2は、自車両Mの視点基準P0から対向車Nbの左側前端P2を通って延在する直線である。視点基準P0は、例えば車載のレーダやカメラの設置位置に相当する。
【0024】
図2に示す状況においては、自車両Mは第1の死角領域Bt内に位置するわき道Rvの有無及び他車両Nvの有無を検知できない。この他車両Nvが存在する場合において他車両Nvと自車両Mとが衝突する可能性のある領域を衝突領域Eとして示す。
【0025】
この場合、運転支援装置1は、対向車Nbの位置や大きさから第1の死角領域Btを検出した後、第1の死角領域Btの付近を走行する対向車Na,Nb,Ncに関する対向車情報を取得する。運転支援装置1は、車載のレーダ、カメラ、車々間通信などにより対向車情報を取得する。この対向車情報には、対向車Na,Nb,Ncの車間距離に関する車間距離情報及び対向車Na,Nb,Ncの車速に関する車速情報が含まれる。対向車Na及び対向車Nbの車間距離をL1、対向車Nb及び対向車Ncの車間距離をL2として図2に示す。
【0026】
また、運転支援装置1は、対向車線RNが渋滞状況であるか否かの判定を行う。運転支援装置1は、対向車Na,Nb,Ncの車速や車間距離から対向車線RNが渋滞状況であるか否かを判定する。運転支援装置1は、例えば対向車Na,Nb,Ncの車速Va,Vb,Vcが低速で且つほぼ一定である場合や、発進と停止とを繰り返している場合に対向車線RNは渋滞状況であると判定する。なお、運転支援装置1は、第1の死角領域Btの付近の対向車Na,Nb,Ncだけではなく、ナビ情報を用いることにより、より広い範囲の対向車の情報に基づいて渋滞状況を判定することもできる。
【0027】
運転支援装置1は、対向車情報及び渋滞状況の判定結果に基づいて、第1の死角領域Btの危険度を判定する。具体的には、運転支援装置1は、第1の死角領域Btの付近を走行する対向車Nb,Ncの車間距離L2が所定の飛び出し可能車間距離未満である場合、第1の死角領域Btから対向車Nb,Ncの間を通って他車両Nvが飛び出す可能性はほとんどないため危険度を最低値と判定する。所定の飛び出し可能車間距離としては、わき道Rvから飛び出す他車両Nvが二輪車である場合も考慮した値が設定される。また、飛び出し可能車間距離は、対向車線RNにおける平均車速などに応じて値を変更する態様であっても良い。
【0028】
また、運転支援装置1は、第1の死角領域Btの付近を走行する対向車Nb,Ncの車間距離L2が飛び出し可能車間距離以上である場合、対向車線RNは渋滞状況ではないと判定したときと比べて、対向車線RNは渋滞状況であると判定したときの危険度を高く判定する。これは、渋滞状況であるにも関わらず第1の死角領域Btの付近を走行する対向車Nb,Ncの車間距離L2が飛び出し可能な程度に開いているときは、第1の死角領域Bt内の他車両Nvの飛び出しを意識してわざと開けている可能性が高いためである。
【0029】
運転支援装置1は、第1の死角領域Btから他車両Nvが飛び出すと仮定して、自車両Mと他車両Nvとが衝突する可能性のある領域である衝突領域Eを演算する。なお、危険度が最低値であると判定した場合などには必ずしも衝突領域Eを演算する必要はない。以下、衝突領域Eの演算について図面を参照して説明する。
【0030】
図3に示されるように、運転支援装置1は、対向車Nbにより第1の死角領域Btが形成されている場合、まず自車両Mと対向車Nbとの位置関係から仮想直線A1,A2を算出する。図3に、仮想直線A1と対向車線RNの道路端との交点P3、仮想直線A1と道路端とのなす角度θ、自車両Mの先端の視点基準P0と対向車Nbの右側後端P1との直線距離DN、視点基準P0と交点P3との直線距離DWを示す。
【0031】
この場合、第1の死角領域Bt内に存在可能なわき道Rvの道幅Dは、下記の式(1)から求めることができる。
【数1】

【0032】
式(1)により求めた道幅Dの値が一般的な車両の幅より狭い場合には、わき道なしと判断して衝突領域Eの演算を終了する。この一般的な車両には二輪車も含まれる。また、図4に、自車両Mがわき道Rvの一部を検知している場合の例を示す。図4において、仮想直線A1とわき道Rvの端との交点をP4、仮想直線A1と対向車線RNの道路端との交点をとして示す。この場合、自車両Mの先端の視点基準P0と交点P4との直線距離をDWとすることで、上記式(1)を用いてわき道Rvの道幅Dが求められる。この道幅Dは確実な値ではないため、余裕をもって大きめに計算される。
【0033】
以上の手順によりわき道Rvの道幅Dが求められると、わき道Rvから飛び出す他車両Nvと自車両Mとが衝突する可能性のある衝突領域Eが演算される。図5は、他車両Nvが直進すると仮定した場合の衝突領域Eの演算を説明するための図である。図5において、自車両Mの進路を示す仮想直線をQ1,Q2、他車両の進路を示す仮想直線をQ3,Q4とする。この場合の衝突領域Eは、仮想直線Q1〜Q4に囲まれた矩形領域として演算することができる。
【0034】
また、図6は、他車両Nvが自車線RMへ合流すると仮定した場合の衝突領域Eの演算を説明するための図である。図6では、他車両Nvが自車線RMへ合流するため、自車線RMの手前から右折進路をとると仮定する。他車両Nvの進路を示す仮想線Q5,Q6とする。仮想線Q5は、他車両Nvが大回りで右折した場合の進路に対応する線である。また、仮想線Q6は、他車両Nvが小回りで右折した場合の進路に対応する線である。仮想線Q5,Q6の右折進路は、道幅Dを半径とする円弧を用いて作成しても良く、また始点及び終点を設定してスプライン補間を行うことにより作成しても良い。この場合の衝突領域Eは、仮想直線Q1,Q2と仮想線Q5,Q6によって囲まれた領域として演算することができる。
【0035】
図2に示されるように、運転支援装置1は、衝突領域Eを演算した後、他車両Nvが衝突領域Eに至るまでの走行距離Lvを推定する。また、運転支援装置1は、他車両Nvの車速Vvを推定する。他車両Nvの車速Vvは、固定値であっても良く、交通状況に応じて複数の値から選択する態様であっても良い。
【0036】
運転支援装置1は、推定した走行距離Lv及び車速Vvに基づいて、他車両Nvが衝突領域Eに到達する他車両到達タイミングを演算する。運転支援装置1は、第1の死角領域Btの危険度と他車両到達タイミングとに基づいて、運転支援を実施する。
【0037】
運転支援装置1は、第1の死角領域Btの危険度が高いと判定した場合、自車両Mの衝突領域Eへの到達タイミングと他車両到達タイミングとをずらす運転支援を優先的に実施する。また、運転支援装置1は、第1の死角領域Btの危険度が低いと判定した場合、運転支援を実施しないか、もしくは、ACC[Adaptive Cruise Control]などの他の運転支援を優先的に実施する。
【0038】
次に、死角領域のうち自車両Mより対向車線RNの反対側に位置する第2の死角領域について説明する。図7に示されるように、自車両Mは片側一車線の道路を構成する自車線RMを走行しており、自車両Mの直前を先行車Nfが走行している。自車両Mの車速をV、先行車Nfの車速をVfとして示す。また、自車両Mと先行車Nfとの車間距離をLfとして示す。
【0039】
自車線RMの道路端側には壁Tが存在しており、この壁Tが障害物となって第2の死角領域Bfが形成されている。自車両Mの前方には、自車線RMに接続するわき道Rwが存在している。わき道Rwの一部は自車両Mに検知されている。仮想直線A3は、わき道Rwに対する自車両Mの検知範囲の境界を概略的に示したものである。わき道Rwの大部分は、仮想直線A3を超えた第2の死角領域Bfに含まれている。
【0040】
第2の死角領域Bf内のわき道Rwには、自車両Mの前方へ飛び出そうとする他車両Nwが存在する可能性がある。他車両Nwと自車両Mとが衝突する可能性のある衝突領域Eを示す。なお、図7に示すLwは他車両Nwが衝突領域Eに至るまでの走行距離である。
【0041】
この場合、運転支援装置1は、壁Tの存在からわき道Rwについての第2の死角領域Bfを検出した後、先行車Nfに関する先行車情報を取得する。先行車情報には、先行車Nfの車速情報や操舵情報の他、自車両Mと先行車Nfとの車間距離情報なども含まれる。
【0042】
運転支援装置1は、第2の死角領域Bfの検出結果と先行車情報とに基づいて、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近(わき道Rwの手前)を通過したか否かを判定する。運転支援装置1は、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近を通過したと判定した場合、先行車Nfの先行車情報に基づいて第2の死角領域Bfの危険度を判定する。
【0043】
具体的には、運転支援装置1は、第2の死角領域Bfの付近を通過した先行車Nfの車速Vfが所定の基準速度以上であり、且つ先行車Nfと自車両Mとの車間距離が所定の追従車間距離未満である場合、先行車Nfの車速Vfが所定の基準速度未満の場合又は先行車Nfと自車両Mとの車間距離が所定の追従車間距離以上である場合と比べて、第2の死角領域Bfの危険度を低く判定する。
【0044】
これは、第2の死角領域Bfから飛び出そうとする他車両Nwが存在したとしても、第2の死角領域Bfの付近を先行車Nfが十分な車速で通過し、先行車Nfと自車両Mとの車間距離が十分に近い場合には、他車両Nwは先行車Nfと同様に自車両Mの通過を待つと考えられるためである。この場合、運転支援装置1は、自車両Mを先行車Nfと同様の速度で通過させる。
【0045】
なお、基準速度は、例えば、自車両Mが走行する道路の法定速度であってナビ情報等から得られるもの、もしくは予め運転者により設定された速度としておくことができる。追従車間距離は、他車両Nwが存在したとしても自車両Mと先行車Nfとの間に飛び込むことなく、自車両Mが先行車Nfに追従して第2の死角領域Bf付近を通過可能と考えられる車間距離である。基準速度や追従車間距離は、固定値であっても良く、自車両Mの車速Vなどに応じて変化する値であっても良い。
【0046】
また、運転支援装置1は、第2の死角領域Bfの付近を通過した先行車Nfの挙動に基づいて、第2の死角領域Bfの危険度を判定する。具体的には、運転支援装置1は、先行車Nfが第2の死角領域Bfの手前で減速して通過後に加速した場合や先行車Nfが第2の死角領域Bfを迂回する軌跡をとって通過した場合、第2の死角領域Bf内に先行車Nfが注意を払うものが存在したと判断して、第2の死角領域Bfの危険度を高く判定する。
【0047】
運転支援装置1は、第2の死角領域Bfから他車両Nwが飛び出すと仮定して、自車両Mと他車両Nwとが衝突する可能性のある衝突領域Eを演算する。なお、危険度が最低値であると判定した場合などには必ずしも衝突領域Eを演算する必要はない。
【0048】
運転支援装置1は、自車両Mの進路を示す仮想直線Q1,Q2と他車両Nwの進路を示す仮想線Q7,Q8とに囲まれた領域を衝突領域Eとして演算する。運転支援装置1は、衝突領域Eを演算した後、他車両Nwが衝突領域Eに至るまでの走行距離Lwを推定する。また、運転支援装置1は、他車両Nwの車速Vwを推定する。他車両Nwの車速Vwは、固定値であっても良く、交通状況に応じて複数の候補の中から選択する態様であっても良い。
【0049】
運転支援装置1は、推定した走行距離Lw及び車速Vwに基づいて、他車両Nwが衝突領域Eに到達する他車両到達タイミングを演算する。運転支援装置1は、第2の死角領域Bfの危険度と他車両到達タイミングとに基づいて、運転支援を実施する。
【0050】
運転支援装置1は、第2の死角領域Bfの危険度が高いと判定した場合、自車両Mの衝突領域Eへの到達タイミングと他車両到達タイミングとをずらす運転支援を優先的に実施する。また、運転支援装置1は、第2の死角領域Bfの危険度が低いと判定した場合、運転支援を実施しないか、もしくは、ACCなどの他の運転支援を優先的に実施する。
【0051】
以下、上述した運転支援装置1の構成について説明する。
【0052】
図1に示されるように、運転支援装置1は、装置1を統括的に制御するECU[Electronic Control Unit]2を備えている。ECU2は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなる電子制御ユニットである。ECU2では、ROMに記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、死角領域の検出などの演算処理を実行する。
【0053】
ECU2は、障害物検出部3、車々間通信部4、路車間通信部5、車速センサ6、及び車両制御部7と接続されている。
【0054】
障害物検出部3は、自車両Mの周囲の他車両や建物などの障害物を検出するものである。障害物検出部3は、例えばミリ波レーダ、レーザレーダ、カメラなどの機器から構成されている。障害物検出部3は、自車両Mの周囲に存在する障害物の位置や大きさ、相対速度などに関する障害物情報をECU2に送信する。
【0055】
車々間通信部4は、車々間通信可能な他車両との間で車々間通信を実施する。車々間通信部4は、車々間通信により、他車両の現在位置情報や車速情報、他車両前後の車間距離情報などの他車両情報を取得する。車々間通信部4は、取得した他車両情報をECU2に送信する。
【0056】
路車間通信部5は、道路に設けられたインフラ設備(例えば、光ビーコン)との間で路車間通信を行う。路車間通信部5は、路車間通信によりVICS[Vehicle Information Communication System]などの通信システムを介して交通情報を取得する。交通情報には、自車両Mの周囲の車線の渋滞情報や道路情報などが含まれる。路車間通信部5は、取得した交通情報をECU2に送信する。
【0057】
車速センサ6は、自車両Mの車速を検出する。車速センサ6は、検出した自車両Mの車速情報をECU2に送信する。車両制御部7は、ECU2からの信号に応じて自車両Mの走行制御を行う。車両制御部7は、自車両Mのエンジン制御部、ステアリングアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及びシフトアクチュエータなどから構成されている。車両制御部7は、ECU2からの信号に応じて走行制御を行うことで、自車両Mの運転者に対する運転支援を実施する。
【0058】
ECU2は、死角領域検出部11、対向車情報取得部12、渋滞状況判定部13、先行車情報取得部14、危険度判定部15、及び運転支援部16を有している。
【0059】
死角領域検出部11は、障害物検出部3の障害物情報に基づいて、自車両Mの死角領域を検出する。死角領域検出部11は、障害物検出部3の障害物情報に基づいて自車両Mの周囲に存在する壁や他車両などの障害物を検出する。死角領域検出部11は、検出した障害物により形成される死角領域の検出を行う。
【0060】
死角領域検出部11は、検出した死角領域のうち自車両Mより対向車線RN側に位置する領域を第1の死角領域Btとする。また、死角領域検出部11は、検出した死角領域のうち自車両Mより対向車線RNの反対側に位置する領域を第2の死角領域Bfとする。
【0061】
対向車情報取得部12は、障害物検出部3の障害物情報及び車々間通信部4の他車両情報に基づいて、第1の死角領域Btの付近を走行する対向車Na,Nb,Ncの対向車情報を取得する。対向車情報取得部12は、対向車Na,Nb,Ncの車速や位置関係、車々間通信の結果から対向車Na,Nb,Ncの車間距離情報を取得する。この対向車情報取得部12は、特許請求の範囲に記載の車間距離情報取得手段として機能する。
【0062】
渋滞状況判定部13は、障害物検出部3の障害物情報、車々間通信部4の他車両情報、及び路車間通信部5の交通情報に基づいて、対向車線RNが渋滞状況であるか否かを判定する。渋滞状況判定部13は、例えば対向車の車速や車間距離から渋滞状況を判定する。
【0063】
先行車情報取得部14は、障害物検出部3の障害物情報、車々間通信部4の他車両情報、及び車速センサ6の車速情報に基づいて、自車両Mの前方を走行する先行車Nfの先行車情報を取得する。先行車情報取得部14は、先行車Nfの車速情報や操舵情報、自車両Mと先行車Nfとの車間距離情報を含む先行車情報を取得する。
【0064】
先行車情報取得部14は、取得した先行車情報と死角領域検出部11の検出結果とに基づいて、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近を通過したか否かを判定する。先行車情報取得部14は、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近を通過したと判定するまで、危険度判定部15による第2の死角領域Bfの危険度の判定に移行しない。なお、先行車情報取得部14は、先行車Nfが存在しない場合、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近を通過しないと判定する。
【0065】
危険度判定部15は、死角領域検出部11の検出結果、対向車情報取得部12の対向車情報、渋滞状況判定部13の判定結果、及び先行車情報取得部14の先行車情報に基づいて、死角領域の危険度を判定する。具体的には、危険度判定部15は、対向車情報取得部12の対向車情報及び渋滞状況判定部13の判定結果に基づいて、第1の死角領域Btの危険度を判定する。また、危険度判定部15は、先行車情報取得部14の先行車情報に基づいて、第2の死角領域Bfの危険度を判定する。
【0066】
危険度判定部15は、死角領域から飛び出そうとする他車両と自車両Mとが衝突する可能性のある衝突領域Eを演算する。なお、危険度が最低値の場合などには、必ずしも衝突領域Eを演算する必要はない。また、危険度判定部15は、死角領域内の他車両が衝突領域Eに到達する他車両到達タイミングを演算する。
【0067】
運転支援部16は、危険度判定部15の判定した死角領域の危険度に応じた運転支援を実施する。運転支援部16は、自車両Mの走行制御を行う車両制御部7へ信号を送信することで運転支援を実施する。運転支援部16は、死角領域の危険度が高いと判定した場合、自車両Mの衝突領域Eへの到達タイミングと他車両到達タイミングとをずらす運転支援を優先的に実施する。また、運転支援部16は、死角領域の危険度が低いと判定した場合、運転支援を実施しないか、もしくは、ACCなどの他の運転支援を優先的に実施する。
【0068】
次に、上述した運転支援装置1の動作について説明する。
【0069】
まず、第1の死角領域Btに対する運転支援装置1の動作について説明する。図2及び図8に示されるように、運転支援装置1の死角領域検出部11は、障害物検出部3の障害物情報に基づいて、自車両Mより対向車線RN側に位置する第1の死角領域Btを検出する(S1)。次に、対向車情報取得部12は、障害物検出部3の障害物情報及び車々間通信部4の他車両情報に基づいて、第1の死角領域Btの付近を走行する対向車Na,Nb,Ncの対向車情報を取得する(S2)。
【0070】
続いて、渋滞状況判定部13は、障害物検出部3の障害物情報、車々間通信部4の他車両情報、及び路車間通信部5の交通情報に基づいて、対向車線RNが渋滞状況であるか否かを判定する(S3)。
【0071】
その後、危険度判定部15は、対向車情報取得部12の対向車情報及び渋滞状況判定部13の判定結果に基づいて、第1の死角領域Btの危険度を判定する(S4)。第1の死角領域Btの危険度の判定後、危険度判定部15は、第1の死角領域Btから飛び出す他車両Nvと自車両Mとが衝突する可能性のある衝突領域Eの演算を行う(S5)。また、危険度判定部15は、第1の死角領域Bt内の他車両Nvが衝突領域Eに到達する他車両到達タイミングを演算する。
【0072】
運転支援部16は、危険度判定部15の判定した第1の死角領域Btの危険度に応じた運転支援を実施する(S5)。運転支援部16は、死角領域の危険度が高いと判定した場合、自車両Mの衝突領域Eへの到達タイミングと他車両到達タイミングとをずらす運転支援を優先的に実施する。その後、ステップS1に戻る。
【0073】
次に、第2の死角領域Bfに対する運転支援装置1の動作について説明する。図7及び図9に示されるように、運転支援装置1の死角領域検出部11は、まず障害物検出部3の障害物情報に基づいて第2の死角領域Bfを検出する(S11)。
【0074】
次に、先行車情報取得部14は、障害物検出部3の障害物情報、車々間通信部4の他車両情報、及び車速センサ6の車速情報に基づいて、自車両Mの前方を走行する先行車Nfの先行車情報を取得する(S12)。
【0075】
続いて、先行車情報取得部14は、取得した先行車情報と死角領域検出部11の検出結果とに基づいて、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近を通過したか否かを判定する(S13)。先行車情報取得部14は、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近を通過していないと判定した場合(先行車Nfが存在しない場合も含む)、ステップS11に戻る。
【0076】
その後、危険度判定部15は、死角領域検出部11の検出結果と先行車情報取得部14の先行車情報に基づいて、第2の死角領域Bfの危険度を判定する(S14)。第2の死角領域Bfの危険度の判定後、危険度判定部15は、第2の死角領域Bfから飛び出す他車両Nwが存在すると仮定して、他車両Nwと自車両Mとが衝突する可能性のある衝突領域Eの演算を行う(S15)。また、危険度判定部15は、第2の死角領域Bf内の他車両Nwが衝突領域Eに到達する他車両到達タイミングを演算する。
【0077】
運転支援部16は、危険度判定部15の判定した死角領域の危険度に応じた運転支援を実施する(S16)。運転支援部16は、死角領域の危険度が高いと判定した場合、自車両Mの衝突領域Eへの到達タイミングと他車両到達タイミングとをずらす運転支援を優先的に実施する。その後、ステップS11に戻る。
【0078】
続いて、上述した運転支援装置1の作用効果について説明する。
【0079】
第1の実施形態に係る運転支援装置1によれば、図2に示されるように、対向車線RN側の第1の死角領域Bt内から飛び出そうとする他車両Nvが存在したとしても、第1の死角領域Btの付近を走行する対向車Na,Nb,Ncの車間距離が狭い場合には他車両Nvが自車両M側へ飛び出す危険度は低いことなどから、対向車Na,Nb,Ncの車間距離情報に基づいて第1の死角領域Btの危険度を適切に判定することができる。
【0080】
また、この運転支援装置1によれば、渋滞状況であるにも関わらず対向車Nb,Ncの車間距離L2が他車両Nvの飛び出しできる程に開いている場合、対向車Ncが第1の死角領域Btから飛びだそうとする他車両Nvを意識している可能性が高いことから、渋滞状況ではない場合と比べて第1の死角領域Btの危険度を高く判定することで、より精度の高い危険度の判定が実現できる。
【0081】
更に、この運転支援装置1によれば、図7に示されるように、対向車線RNと反対側の第2の死角領域Bfから飛び出そうとする他車両Nwが存在する場合には他車両Nwが存在しない場合と比べて先行車Nfの挙動が異なると考えられることから、第2の死角領域Bfの付近を通過した先行車Nfの先行車情報に基づいて第2の死角領域Bfの危険度を適切に判定することができる。具体的には、運転支援装置1は、先行車Nfが第2の死角領域Bfの手前で減速して通過後に加速した場合や先行車Nfが第2の死角領域Bfを迂回する軌跡をとって通過した場合、第2の死角領域Bf内に先行車Nfが注意を払うものが存在する可能性が高いことから、第2の死角領域Bfの危険度を高く判定することができる。
【0082】
また、この運転支援装置1によれば、第2の死角領域Bfから飛び出そうとする他車両Nwが存在したとしても、第2の死角領域Bfの付近を先行車Nfが十分な車速で通過し、先行車Nfと自車両Mとの車間距離Lfが十分に短い場合には、他車両Nwは先行車Nfと同様に自車両Mの通過を待つと考えられることから、それ以外の場合と比べて危険度を低く判定することで、より精度の高い危険度の判定が実現できる。
【0083】
[第2の実施形態]
図10に示されるように、第2の実施形態に係る運転支援装置21は、第1の実施形態に係る運転支援装置1と比べて、自車両Mの周囲の地図情報を利用して死角領域の危険度を判定する点が異なる。
【0084】
具体的には、第2の実施形態に係る運転支援装置21のECU22は、GPS[Global Positioning System]受信部23及び地図データベース24に接続されている。GPS受信部23は、複数のGPS衛生からの信号を受信することにより自車両Mの現在位置を検出する。GPS受信部23は、検出した自車両Mの現在位置情報をECU22に送信する。地図データベース24は、道路や建物等に関する地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース24は、ECU22からの要求に応じて自車両Mの周囲の地図情報を送信する。
【0085】
また、第2の実施形態に係るECU22は、地図情報取得部25を有している。地図情報取得部25は、GPS受信部23の現在位置情報に基づいて、地図データベース24に地図情報の要求を行う。地図情報取得部25は、地図データベース24からの送信により自車両Mの周囲の地図情報を取得する。
【0086】
地図情報取得部25は、取得した地図情報と死角領域検出部11の検出結果とに基づいて、死角領域内に道が存在するか否かを判定する。この場合の道には、一般的なわき道の他、住宅や商業施設における駐車場の出口なども含まれる。地図情報取得部25は、死角領域内に道が存在しないと判定した場合、死角領域の危険度を判定することなく動作を終了する。
【0087】
第2の実施形態に係るECU22の危険度判定部26では、死角領域検出部11の検出結果、対向車情報取得部12の対向車情報、渋滞状況判定部13の判定結果、及び先行車情報取得部14の先行車情報に加え、地図情報取得部25の地図情報に基づいて死角領域の危険度を判定する。
【0088】
危険度判定部26は、地図情報取得部25の地図情報に基づいて死角領域内のわき道Rvの道幅Dを認識する(図2参照)。危険度判定部26は、認識したわき道Rvの道幅Dに基づいて、第1の実施形態と同様の手順により衝突領域Eの演算を行う。
【0089】
次に、上述した運転支援装置21の動作について説明する。
【0090】
まず、第1の死角領域Btに対する運転支援装置21の動作について説明する。図2及び図11に示されるように、運転支援装置21の死角領域検出部11は、障害物検出部3の障害物情報に基づいて、自車両Mより対向車線RN側に位置する第1の死角領域Btを検出する(S21)。
【0091】
次に、地図情報取得部25は、地図データベース24の地図情報と死角領域検出部11の検出結果とに基づいて、死角領域内に道が存在するか否かを判定する(S22)。地図情報取得部25は、死角領域内に道が存在しないと判定した場合、動作を終了してステップS21に戻る。地図情報取得部25は、死角領域内に道が存在すると判定した場合、ステップS23に移行する。
【0092】
ステップS23において、対向車情報取得部12は、障害物検出部3の障害物情報及び車々間通信部4の他車両情報に基づいて、第1の死角領域Btの付近を走行する対向車Na,Nb,Ncの対向車情報を取得する。
【0093】
次に、渋滞状況判定部13は、障害物検出部3の障害物情報、車々間通信部4の他車両情報、及び路車間通信部5の交通情報に基づいて、対向車線RNが渋滞状況であるか否かを判定する(S24)。
【0094】
その後、危険度判定部26は、対向車情報取得部12の対向車情報、渋滞状況判定部13の判定結果、及び地図情報取得部25の地図情報に基づいて、第1の死角領域Btの危険度を判定する(S25)。危険度判定部26は、地図情報取得部25の地図情報からわき道Rvの存在を認識する。危険度判定部26は、わき道Rv付近の対向車Nb、Ncの車間距離情報に基づいて第1の死角領域Btの危険度を判定する。
【0095】
ステップS26において、危険度判定部26は、地図情報取得部25の地図情報に基づいて認識したわき道Rvの道幅Dに基づいて、衝突領域Eの演算を行う。また、危険度判定部26は、第1の死角領域Bt内の他車両Nvが衝突領域Eに到達する他車両到達タイミングを演算する。
【0096】
運転支援部16は、危険度判定部26の判定した第1の死角領域Btの危険度に応じた運転支援を実施する(S27)。運転支援部16は、死角領域の危険度が高いと判定した場合、自車両Mの衝突領域Eへの到達タイミングと他車両到達タイミングとをずらす運転支援を優先的に実施する。その後、ステップS21に戻る。
【0097】
次に、第2の死角領域Bfに対する運転支援装置21の動作について説明する。図7及び図12に示されるように、運転支援装置1の死角領域検出部11は、まず障害物検出部3の障害物情報に基づいて、自車両Mより対向車線RNの反対側に位置する第2の死角領域Bfを検出する(S31)。
【0098】
次に、地図情報取得部25は、地図データベース24の地図情報と死角領域検出部11の検出結果とに基づいて、死角領域内に道が存在するか否かを判定する(S32)。地図情報取得部25は、死角領域内に道が存在しないと判定した場合、動作を終了してステップS31に戻る。地図情報取得部25は、死角領域内に道が存在すると判定した場合、ステップS33に移行する。
【0099】
ステップS33において、先行車情報取得部14は、障害物検出部3の障害物情報、車々間通信部4の他車両情報、及び車速センサ6の車速情報に基づいて、自車両Mの前方を走行する先行車Nfの先行車情報を取得する。
【0100】
続いて、先行車情報取得部14は、取得した先行車情報と死角領域検出部11の検出結果とに基づいて、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近を通過したか否かを判定する(S34)。先行車情報取得部14は、先行車Nfが第2の死角領域Bfの付近を通過していないと判定した場合(先行車Nfが存在しない場合も含む)、ステップS31に戻る。
【0101】
その後、危険度判定部26は、死角領域検出部11の検出結果と先行車情報取得部14の先行車情報に基づいて、第2の死角領域Bfの危険度を判定する(S35)。第2の死角領域Bfの危険度の判定後、危険度判定部26は、第2の死角領域Bfから飛び出す他車両Nwの存在を仮定して、他車両Nwと自車両Mとが衝突する可能性のある衝突領域Eの演算を行う(S36)。また、危険度判定部26は、第2の死角領域Bf内の他車両Nwが衝突領域Eに到達する他車両到達タイミングを演算する。
【0102】
運転支援部16は、危険度判定部26の判定した死角領域の危険度に応じた運転支援を実施する(S37)。運転支援部16は、死角領域の危険度が高いと判定した場合、自車両Mの衝突領域Eへの到達タイミングと他車両到達タイミングとをずらす運転支援を優先的に実施する。その後、ステップS31に戻る。
【0103】
以上説明した第2の実施形態に係る運転支援装置21によれば、第1の実施形態に係る運転支援装置1と同様の効果を得ることができる。更に、この運転支援装置21によれば、地図情報に基づいて死角領域内にわき道などが存在するか否かを判断できるので、死角領域の危険度の判定を精度良く行うことができる。また、この運転支援装置21では、死角領域内に他車両が飛び出すような道が存在しない場合には危険度の判定を行わないことで、誤判定を避けることができ、信頼性が高く効率的な運転支援を行うことができる。
【0104】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0105】
例えば、死角領域の危険度の判定は、天候や昼夜の別などに応じて判定基準を変更する態様であっても良い。また、死角領域の検出方法や衝突領域の演算方法は上述したものに限られない。
【符号の説明】
【0106】
1,21…運転支援装置(危険度判定装置) 2…ECU 3…障害物検出部 4…車々間通信部 5…路車間通信部 6…車速センサ 7…車両制御部 11…死角領域検出部(死角領域検出手段) 12…対向車情報取得部(車間距離情報取得手段) 13…渋滞状況判定部(渋滞状況判定手段) 14…先行車情報取得部(先行車情報取得手段) 15,26…危険度判定部(危険度判定手段) 16…運転支援部 23…GPS受信部 24…地図データベース 25…地図情報取得部(地図情報取得手段) M…自車両 Na,Nb,Nc…対向車 Nf…先行車 Nv…他車両 Nw…他車両 P0…視点基準 RM…自車線 RN…対向車線 Rv…わき道 Rw…わき道 T…壁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲に存在する障害物により形成される死角領域を検出する死角領域検出手段と、
対向車線を走行する複数の対向車の車間距離情報を取得する車間距離情報取得手段と、
前記死角領域のうち前記自車両より前記対向車線側に位置する第1の死角領域の付近を走行する前記対向車の前記車間距離情報に基づいて、前記第1の死角領域の危険度を判定する危険度判定手段と、
を備える危険度判定装置。
【請求項2】
前記対向車線が渋滞状況であるか否かを判定する渋滞状況判定手段を更に備え、
前記危険度判定手段は、前記第1の死角領域の付近を走行する前記対向車の車間距離が所定の飛び出し可能車間距離以上である場合、前記渋滞状況判定手段が前記対向車線は渋滞状況ではないと判定したときと比べて、前記渋滞状況判定手段が前記対向車線は渋滞状況であると判定したときの前記第1の死角領域の危険度を高く判定する請求項1に記載の危険度判定装置。
【請求項3】
前記自車両の前方を走行する先行車の車速情報を含む先行車情報を取得する先行車情報取得手段を更に備え、
前記危険度判定手段は、前記死角領域のうち前記自車両より前記対向車線の反対側に位置する第2の死角領域の付近を通過した前記先行車の前記先行車情報に基づいて、前記第2の死角領域の危険度を判定する請求項1又は2に記載の危険度判定装置。
【請求項4】
前記先行車情報取得手段は、前記先行車と前記自車両との車間距離情報を取得し、
前記危険度判定手段は、前記第2の死角領域の付近を通過した前記先行車の車速が所定の基準車速以上であり且つ当該先行車及び前記自車両の車間距離が所定の追従車間距離未満である場合には、当該先行車の車速が前記基準車速未満である場合又は当該先行車及び前記自車両の車間距離が前記追従車間距離以上である場合と比べて、前記第2の死角領域の危険度を低く判定する請求項3に記載の危険度判定装置。
【請求項5】
前記自車両周囲の地図情報を取得する地図情報取得手段を更に備え、
前記危険度判定手段は、前記地図情報に基づいて前記第1の死角領域の危険度を判定する請求項1〜4の何れか一項に記載の危険度判定装置。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−192878(P2012−192878A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59582(P2011−59582)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】