説明

即席食品収容容器

【課題】食品を封入した状態で容器に収容されている袋状包装体を開封することなく、容器内に湯または水を注いで食品を飲食することができると共に、輸送時に袋状包装体が破損するおそれが低減されている即席食品収容容器を提供する。
【解決手段】即席食品収容容器2は、底面11及び底面の周縁から立ち上がる側壁部12を有し、側壁部の自由端が開口部15を形成している容器本体10、並びに開口部を閉塞する蓋部20を備える容器Cと、二重に重ね合わされた水溶性の可食フィルムが周縁部でシールされることにより内部に密閉された空間を有する袋状に形成され、容器に収容されている袋状包装体Pと、袋状包装体の密閉された空間に封入されている食品とを具備し、容器の内表面からは突部30が突設されており、並べて形成され対をなす突部間に袋状包装体が挟持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容されている食品に湯または水を注いで飲食する即席食品収容容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スープ、麺類、雑炊など、発泡樹脂製や紙製の容器内に食品が収容されており、容器に湯を注いで飲食する即席食品が種々存在する。このような即席食品の中には、粉末スープ、薬味、調味料などが、プラスチック製の袋に封入された状態で容器に収容されているものも多い。そのような場合、容器内に湯を注ぐのに先立ち、プラスチック製の袋を開封して内容物を取り出す必要があり、面倒である。また、開封後のプラスチック製の袋は、ゴミになるという問題もある。
【0003】
一方、本出願人は、可食フィルムで袋状に成形した包装体に薬剤や栄養補助食品が封入された製剤包装体を提案している(特許文献1参照)。図11を用いて説明すると、製剤包装体100は、可食フィルム101を二重に重ね合わせ、外周縁に沿って圧着してシール部102を形成することにより袋状とし、その内部の収容空間104に薬剤などの内容物105が封入されているものである。
【0004】
本発明者らは、このような袋状の包装体を水溶性の可食フィルムで形成し、上述した従来の即席食品におけるプラスチック製の袋と代替すれば、袋状の包装体の上から湯または水を注ぎ、可食フィルムを溶解させて内容物を飲食できることに着眼した。このようにすれば、食品が封入されている袋を開封する手間を要さず簡易に飲食できることに加え、袋状の包装体自体も可食性であるため、ゴミとして廃棄する必要がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、可食フィルムは、プラスチック製のフィルムに比べると強度が小さい。そのため、可食フィルムで形成された袋状の包装体を容器の中に収容した状態で輸送する場合は、振動に伴う容器内壁との衝突等に起因して、袋状の包装体が破損するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、食品を封入した状態で容器に収容されている袋状包装体を開封することなく、容器内に湯または水を注いで食品を飲食することができると共に、輸送時に袋状包装体が破損するおそれが低減されている即席食品収容容器の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる即席食品収容容器は、「底面及び該底面の周縁から立ち上がる側壁部を有し、該側壁部の自由端が開口部を形成している容器本体、並びに前記開口部を閉塞する蓋部を備える容器と、二重に重ね合わされた水溶性の可食フィルムが周縁部でシールされることにより内部に密閉された空間を有する袋状に形成され、前記容器に収容されている袋状包装体と、該袋状包装体の前記密閉された空間に封入されている食品とを具備し、前記容器の内表面からは一以上の突部が突設されており、前記袋状包装体は、前記突部と前記容器の内表面との間、または/及び、並べて形成された少なくとも一対の前記突部間に挟持されている」ものである。
【0008】
ここで、本発明において「フィルム」とは、厚さ1μm〜500μmの薄片を指している。また、可食フィルムが「二重に重ね合わされた」態様としては、二枚の可食フィルムが重ね合わされた態様であっても、一枚の可食フィルムが折り曲げられて重ね合わされた態様であってもよい。
【0009】
「水溶性の可食フィルム」は、水溶性かつ可食性のフィルム形成剤を含有する溶液または懸濁液を、平滑な基面上に固定したベースフィルム上に流延し、流延された溶液または懸濁液を乾燥させフィルム化することにより形成することができる。ここで、水溶性かつ可食性のフィルム形成剤としては、ゼラチン、ペクチン、アラビノキシラン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、プルラン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー ス、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、加工澱粉等を例示することができる。
【0010】
可食フィルムの周縁における「シール」は、熱板式やインパルス式の外部加熱によるヒートシール、電波や超音波を用いた内部加熱によるヒートシールによって行われたものとすることができる。或いは、糊化した高粘度のデンプン等を接着剤とした圧着や、可食フィルムの周縁部に水等を塗布し部分的に溶解させてから行われる圧着など、加熱を伴わない圧着により行われたものであっても良い。
【0011】
「袋状包装体」の形状は特に限定されず、平面視で四角形、三角形、五角形、六角形等の多角形状や、円形、楕円形とすることができる。
【0012】
袋状包装体に封入される「食品」としては、湯または水を加えて飲食されるものであれば特に限定されず、粉末スープ、粉末ジュース、粉茶、粉末コーヒー、粉乳、乾燥野菜や乾燥肉などの具材、塩・砂糖・コショウ・七味唐辛子などの調味料や香辛料を例示することができる。また、湯または水を加えてから練ることによりペースト状として食する食品であっても良い。
【0013】
「容器の内表面」は、容器を構成する容器本体及び蓋部の内表面を指している。また、容器の内表面から突設される「突部」は、容器本体及び蓋部の双方に設けることも、何れか一方に設けることもできる。
【0014】
上記構成の本発明では、容器の内表面から突設された突部によって袋状包装体が支持されるため、輸送する際に容器が振動したとしても、袋状包装体が容器内で移動し、容器の内表面と衝突することが抑止される。これにより、強度が低く、容器の内表面との衝突や摩擦によって傷付き破れ易い可食フィルムで形成されていても、袋状包装体が破損するおそれが低減されている。
【0015】
そして、即席食品の飲食に当たっては、袋状包装体を開封する手間を要しない。すなわち、容器本体に設けられた突部に袋状包装体が支持されている場合は、単に容器内に湯または水を注ぐだけで良い。また、蓋部に設けられた突部に袋状包装体が支持されている場合は、袋状包装体を蓋部から外して容器内に入れ、容器内に湯または水を注ぐ。袋状包装体は水溶性であり、湯または水によって容易に溶解するため、袋状包装体を開封することなく、封入されていた食品を飲食することができる。また、袋状包装体は可食性であるため、食品と共に問題なく飲食することができる。加えて、袋状包装体は薄いフィルムで形成されているため、含まれるフィルム形成剤は微量であり、且つ、上記に例示したフィルム形成剤はほとんど無味であるため、食品の味を損なうおそれがない。
【0016】
本発明にかかる即席食品収容容器は、上記構成において、「前記突部は、前記容器本体に設けられている」ものとすることができる。
【0017】
上記構成の本発明では、突部が容器本体に設けられていることにより、袋状包装体も容器本体において突部に支持されている。従って、即席食品の飲食に当たっては、単に容器内に湯または水を注ぐだけでよく、極めて簡易である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の効果として、食品を封入した状態で容器に収容されている袋状包装体を開封することなく、容器内に湯または水を注いで食品を飲食することができると共に、輸送時に袋状包装体が破損するおそれが低減されている即席食品収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態の即席食品収容容器の(a)縦断面図、及び、(b)A−A線断面図である。
【図2】本発明の第二実施形態の即席食品収容容器の(a)縦断面図、及び、(b)B−B線断面図である。
【図3】第二実施形態の変形例を示す縦断面図である。
【図4】図3とは異なる第二実施形態の変形例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第三実施形態の即席食品収容容器の(a)縦断面図、及び、(b)D−D線断面図である。
【図6】第三実施形態の変形例の三種について、図5のD−D線断面に相当する断面を示す図である。
【図7】(a)本発明の第四実施形態の即席食品収容容器の縦断面図、及び、(b)第四実施形態の変形例の縦断面図である。
【図8】図7(b)とは異なる第四実施形態の変形例を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第五実施形態の即席食品収容容器の(a)縦断面図、及び、(b)E−E線断面図である。
【図10】本発明の第六実施形態の即席食品収容容器の(a)縦断面図、及び、(b)F−F線断面図である。
【図11】特許文献1の製剤包装体の(a)平面図、及び(b)縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図1乃至図10を用いて説明する。まず、第一実施形態の即席食品収容容器1は、図1に示すように、底面11及び底面11の周縁から立ち上がる側壁部12を有し、側壁部12の自由端が開口部15を形成している容器本体10、並びに開口部15を閉塞する蓋部20を備える容器Cと、二重に重ね合わされた水溶性の可食フィルムが周縁部でシールされることにより内部に密閉された空間を有する袋状に形成され、容器Cに収容されている袋状包装体Pと、袋状包装体Pの密閉された空間に封入されている食品とを具備している。容器Cの内表面からは複数の突部30が突設されており、袋状包装体Pは、それぞれ並べて形成された複数対の突部30間に挟持されている。また、本実施形態では、突部30は容器本体10に設けられている。
【0021】
より詳細に説明すると、突部30は容器本体10の側壁部12の内表面から突出するように設けられている。このような突部30は、例えば、容器本体10をポリスチレンなどの発泡樹脂製とし、その成形時に一体的に形成することができる。本実施形態では、突部30として、側壁部12において開口部15に近い位置に設けられた上方突部31と、側壁部12において底面11に近い位置に設けられた下方突部32を備えている。そして、上方突部31は、二つが同じ高さに並んで設けられて対となったものが二対設けられており、その一対は他の一対と、容器本体10の内部空間をはさんで対面するように設けられている。具体的には、本実施形態では容器本体10の横断面は円形であり、二対の上方突部31を結ぶ仮想線は、円形断面の直径に相当する。また、下方突部32は、上方突部31と同数設けられており、平面視で(容器本体10を真上から見た状態で)上方突部31と重なる位置に設けられている。
【0022】
袋状包装体Pは、四角形の可食フィルムの二枚が、重ね合わされた上で四方がシールされた形状であり、内部に粉末スープや粉末ジュースなどの食品が封入されている。従って、袋状包装体Pは、中央が少し膨らんだ薄い四角の袋状である。そして、袋状包装体Pは、四隅の近傍がそれぞれ一対の上方突部31間または一対の下方突部32間に挟持され、底面11に対して直交する方向(以下、「縦方向」と称する)に支持されている。ここで、並んで設けられる一対の突部30は、袋状包装体Pを挟むことができると共に、袋状包装体Pが大きく動くことなく安定的に挟持されるように、所定の間隔をあけて設けられるものであり、間隔の大きさは、例えば、1mm〜10mmとすることができる。なお、突部30によって袋状包装体Pが支持されている状態を明確に図示するため、図1では、突部30の大きさ及び袋状包装体Pの厚さを誇張して図示していると共に、袋状包装体Pが袋状であること、及び、内部に食品が封入されていることは省略して図示している。これは、以下の図でも同様である。
【0023】
なお、上記構成において、蓋部20は容器本体10と同様に発泡樹脂で形成しても良いし、紙やプラスチックで形成しても良い。また、図1に例示しているように、蓋部20の内表面に乾燥剤29を貼着しても良い。
【0024】
上記の構成により、容器本体10内に湯または水を注げば、袋状包装体Pが湯または水に浸漬される。これにより、水溶性の可食フィルムで形成された袋状包装体Pが湯または水によって溶解し、袋状包装体Pに封入されていた食品が湯または水によって調理された状態となり、食品を飲食することができる。
【0025】
次に、第二実施形態の即席食品収容容器2について、図2を用いて説明する。第二実施形態において第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し詳細な説明は省略する。これは以下の実施形態においても同様である。
【0026】
第二実施形態が第一実施形態と相違する点は、側壁部12から突設された突部30の数、及びこれに支持される袋状包装体Pの数である。より具体的には、第二実施形態では、第一実施形態の構成に加えて、上方突部31b及び下方突部32bがそれぞれ四対付加されている。すなわち、四対の上方突部31bはそれぞれ上方突部31に対して径方向に離れた位置に形成されており、そのうち二対は、上述した“円形断面における直径”に平行な一本の仮想線と側壁部12との交点に位置し、残りの二対は、前記直径に平行な他の一本の仮想線と側壁部12との交点にそれぞれ位置している。そして、下方突部32bは、平面視で上方突部31bと重なる位置に設けられている。
【0027】
かかる構成により、対をなす上方突部31b間、及び、対をなす下方突部32bによっても袋状包装体Pを挟持することができるため、第二実施形態では容器本体10に三つの容器袋状包装体Pを収容することができる。
【0028】
このように第二実施形態では、複数の袋状包装体Pを容器に収容できるため、袋状包装体Pが一つである第一実施形態に比べて、袋状包装体Pに封入される食品の総量を増加させることができる。また、袋状包装体Pごとに封入される食品の種類を異ならせることもでき、例えば、一つの袋状包装体Pに粉末スープを封入し、二つ目の袋状包装体Pにコショウなどの調味料を封入し、三つ目の袋状包装体Pに乾燥ネギなどの薬味を封入することができる。更に、容器本体10内に複数の袋状包装体Pが収容されているが、互いに離隔した状態で支持されているため、袋状包装体Pどうしが接触し破損するおそれが防止されている。
【0029】
なお、第二実施形態では、一つの袋状包装体Pが四対の突部30で挟持される場合を例示したが、これに限定されず、図3に示すように、上方突部31と下方突部32との間に中間突部33を設け、対をなす中間突部33によっても袋状包装体Pが挟持される構成の即席食品収容容器2bとすることができる。このような構成により、より安定的に袋状包装体Pを支持することができる。
【0030】
或いは、図4に例示するように、第二実施形態における上方突部31と、これと平面視で重なる位置の下方突部32とが連結され一体化された形状に相当する突部34、すなわち、側壁部12の内面に沿って底面11から開口部15に向かう方向に延設された細長い突部34の対によって、袋状包装体Pが挟持される構成の即席食品収容容器2cとすることができる。
【0031】
次に、第三実施形態の即席食品収容容器3について、図5を用いて説明する。第三実施形態が第一実施形態及び第二実施形態と相違する点は、突部40が側壁部12の周方向に延びるように形成されていることである。ここで、本実施形態では、突部40は一対が設けられおり、それぞれ側壁部12の内表面に沿って一周し、閉じるように形成されていると共に、高さ方向に並んで形成されている。より具体的には、それぞれの突部40は、底面11と平行な仮想面が側壁部12と交わる線に沿って形成されている。これにより、食品が封入された袋状包装体Pは、一対の突部40によって周縁部が挟持され、容器本体10内において底面11と平行な方向(以下、「横方向」と称する)に横架された状態で支持される。
【0032】
第三実施形態では、側壁部12の内表面に沿って一周して閉じる一対の突部40によって、一つの袋状包装体Pが挟持される場合を示したが、変形例として図6に示すように、一つの袋状包装体Pが複数対の突部41によって挟持される構成とすることができる。すなわち、図6の突部41は、それぞれ側壁部12において周方向に延びるが、一周して閉じるまでには至らない長さであり、同一高さで複数が周方向に離隔して設けられると共に、それぞれが高さ方向に間隙をあけて並べられた突部41と対をなしている。より具体的には、図6に例示した突部41は、それぞれ側壁部12の内表面に沿って平面視円弧状に形成されている。ここで、突部41の対の数は特に限定されないが、図6(a),(b)では四対の突部41、図6(c)では三対の突部41が、平面視において等間隔となるように設けられている場合を示している。また、図6(a)では図5と同様に袋状包装体Pが平面視で四角形である場合を例示し、図6(b),(c)では袋状包装体Pが平面視で円形の場合を例示している。
【0033】
次に、第四実施形態の即席食品収容容器4について、図7(a)を用いて説明する。第三実施形態との相違は、それぞれ側壁部12の内表面に沿って周方向に延び、高さ方向に並んで袋状包装体Pを挟持する突部40の対または突部41の対(以下、「突部対42」と称する)が、高さ方向に離隔して複数設けられている点である。
【0034】
従って、第四実施形態では容器本体10内に、複数の袋状包装体Pがそれぞれ横方向に、互いに離隔して収容される。これにより、第二実施形態と同様に、袋状包装体Pに封入される食品の総量を増加させることができると共に、袋状包装体Pごとに異なる種類の食品を封入させることができる。また、容器本体10内に収容される袋状包装体Pが複数であるが、互いに離隔した状態で支持されているため、袋状包装体Pどうしが接触し破損するおそれが防止されている。
【0035】
なお、図7(a)では二組の突部対42により二つの袋状包装体Pが支持される場合を例示したが、突部対42の数及びこれに支持される袋状包装体Pの数はこれに限定されない。
【0036】
第三実施形態及び第四実施形態のように、突部40,41が側壁部12において周方向に延びて形成され、袋状包装体Pが横方向に支持される場合は、第一実施形態及び第二実施形態のように袋状包装体Pが縦方向に支持される場合に比べて、容器本体10の底面11側に、袋状包装体Pによって遮られない空間を設けやすいという利点がある。すなわち、第一実施形態及び第二実施形態では、第三実施形態及び第四実施形態と同程度の大きさの袋状包装体Pを収容しようとすると、第三実施形態及び第四実施形態における容器本体10の横断面の最大長さと同程度の高さで袋状包装体Pが縦方向に立設され、容器本体10内の空間が区画される。これに対し、袋状包装体Pが横方向に支持される場合は、突部対42のうち最も底面11に近い最下段の突部と底面11との間に、ある程度大きな空間を形成することが可能である。
【0037】
従って、このように形成される空間に、袋状包装体Pに封入されていない他の食品(以下、「非包装食品N」と称する)を収容することが可能である。このとき、非包装食品Nが、麺や春雨を絡み合わせて乾燥させた食品のように、一つにまとめられた形状が保持される食品であれば、最下段の突部の高さ分だけ、袋状包装体Pと非包装食品Nとの間の距離を保つことが可能である。従って、輸送の際の振動に起因して非包装食品Nが跳ね上がって袋状包装体Pに衝突し、可食フィルムで形成された袋状包装体Pが破損することが抑止される。
【0038】
また、変形例として、図7(b)に示した即席食品収容容器4bのように、袋状包装体Pを支持する突部対42のうち最下段の突部より底面11に近い高さで、側壁部12の内表面から突出するように、袋状包装体Pを支持させない突部51を設けても良い。これにより、非包装食品Nと袋状包装体Pとの間の距離をより大きく保持することができる。
【0039】
或いは、図8に示した即席食品収容容器4cのように、袋状包装体Pを支持する突部対42のうち最下段のものより底面11に近い高さで、袋状包装体Pを支持する一組の突部対42と同様の構成の突部対52を設け、この突部対52によって可食フィルムFが挟持されている構成とすることができる。この可食フィルムFは袋状に形成する必要はなく、食品は封入させないものである。このような構成とすることにより、突部対52と底面11との間の空間に、一つにまとめられた形状が保持されないような非包装食品Nを収容したとしても、その跳ね上がりを可食フィルムFで防止することができる。すなわち、非包装食品Nの跳ね上がりにより可食フィルムFが多少破損したとしても、食品を封入している袋状包装体Pの破損を防止することができる。これにより、非包装食品Nとして、小型のものを複数収容することが可能であり、例えば、乾燥ワンタン、乾燥ワカメ、乾燥野菜、乾燥肉などの具材を収容することができる。
【0040】
次に、第五実施形態の即席食品収容容器5について、図9を用いて説明する。第一実施形態〜第四実施形態では、袋状包装体Pは並べて形成された突部対42によって挟持される構成であったが、第五実施形態は袋状包装体Pが突部と容器Cの内表面との間に挟持される点で相違している。より詳細に説明すると、本実施形態では、突部45は側壁部12の内周面から容器本体10の内側に向けて突出し、更に開口部15に向かう方向に側壁部12に沿って屈曲している。すなわち、突部30の縦断面は略L字形である。このような構成により、突部30と側壁部12の間に間隙が形成され、ここに袋状包装体Pを挟持させることができる。
【0041】
なお、図9では、突部45より開口部15に近い高さにおいて、逆向きのL字形の突部45bが側壁部12から突設されている場合を図示している。すなわち、突部45bは、側壁部12の内表面から容器本体10の内側に向けて突出し、更に底面11に向かう方向に側壁部12に沿って屈曲している。このような構成とすることにより、突部45と側壁部12の内表面との間に加えて、突部45bと側壁部12の内表面との間でも袋状包装体Pを挟持することができるため、袋状包装体Pがより安定的に支持される。なお、突部45,45bをそれぞれ複数設けることにより、或いは、突部45,45bがそれぞれ単一であっても側壁部12において周方向に長く延びるように設けることにより、複数の袋状包装体Pを支持させることも可能である。
【0042】
次に、第六実施形態の食品収容容器6について、図10を用いて説明する。第六実施形態は、袋状包装体Pが突部と容器Cの内表面との間に挟持される点は第五実施形態と同じであるが、突部46が容器Cにおいて蓋部20に設けられている点で相違している。すなわち、突部46は、蓋部20の内表面から容器本体10側に突出し、更に蓋部20に沿う方向に蓋部20の中心側に向けて屈曲している。このような構成とすることにより、突部46と蓋部20の内表面との間に、袋状包装体Pを挟持することができる。
【0043】
なお、図10では、突部46が環状に閉じる形状であり、単一の突部46と蓋部20との間で袋状包装体Pの周縁部が挟持されている場合を例示しているが、これに限定されず、閉じない形状の突部としても良く、そのような突部の複数によって一つの袋状包装体Pが挟持される構成とすることもできる。
【0044】
以上のように、第一実施形態〜第六実施形態の即席食品収容容器1,2,2b,2c,3,4,4b,4c,5,6では、容器Cに設けられた突部30,40等によって袋状包装体Pが支持されており、大きく移動することが抑止されているため、輸送に伴う振動に起因して袋状包装体Pが容器Cの内表面と衝突することにより、破損するおそれが低減されている。
【0045】
そして、第一実施形態〜第五実施形態では、突部30,40等が容器本体10に設けられており、袋状包装体Pが容器本体10内に収容されている。そのため、容器本体10に湯または水を注げば、水溶性の可食フィルムで形成された袋状包装体Pが溶解し、袋状包装体Pを開封する手間を要することなく、封入されていた食品を簡易に飲食することができる。また、第六実施形態では、突部46によって支持されている袋状包装体Pを蓋部20から外し、容器本体10に入れてから湯または水を注げば、同じく袋状包装体Pを開封する手間を要することなく、封入されていた食品を飲食することができる。
【0046】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0047】
例えば、容器Cに設けられる突部の数、突部によって支持される袋状包装体Pの数は、上記に例示されたものに限定されない。
【0048】
また、上記では、容器Cにおいて、容器本体10及び蓋部20の一方に突部が設けられ袋状包装体Pが支持される場合を例示したが、これに限定されず、容器本体10及び蓋部20の双方に突部を設け、双方に袋状包装体Pが支持される構成とすることもできる。
【0049】
更に、第一実施形態〜第四実施形態では、容器本体10内において袋状包装体Pが底面11に直角または平行な方向に支持される場合を図示して説明したが、正確に直角または平行である必要はなく、袋状包装体Pが傾斜するように支持されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1,2,2b,2c,3,4,4b,4c,5,6 即席食品収容容器
10 容器本体
11 底面
12 側壁部
15 開口部
30,40,41,45,45b,46 突部
31,31b 上方突部(突部)
32,32b 下方突部(突部)
33 中間突部(突部)
34 細長い突部(突部)
C 容器
P 袋状包装体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2009−61108号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面及び該底面の周縁から立ち上がる側壁部を有し、該側壁部の自由端が開口部を形成している容器本体、並びに前記開口部を閉塞する蓋部を備える容器と、
二重に重ね合わされた水溶性の可食フィルムが周縁部でシールされることにより内部に密閉された空間を有する袋状に形成され、前記容器に収容されている袋状包装体と、
該袋状包装体の前記密閉された空間に封入されている食品とを具備し、
前記容器の内表面からは一以上の突部が突設されており、
前記袋状包装体は、前記突部と前記容器の内表面との間、または/及び、並べて形成された少なくとも一対の前記突部間に挟持されている
ことを特徴とする即席食品収容容器。
【請求項2】
前記突部は、前記容器本体に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の即席食品収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−140333(P2011−140333A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2596(P2010−2596)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(591091043)株式会社ツキオカ (38)
【Fターム(参考)】