説明

原子力発電プラント

【課題】
外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に動作し、サプレッションプールを冷却可能な手段を備えた原子力発電プラントを提供すること。
【解決手段】
本発明は、原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、蒸気凝縮プール中に設置されて蒸気凝縮熱交換器が接続されている原子力発電プラントにおいて、前記蒸気凝縮熱交換器の下流側には、該蒸気凝縮熱交換器で凝縮された蒸気を放出する凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力発電プラントに係り、特に、サプレッションプール冷却設備を備えているものに好適な原子力発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラント、例えば沸騰水型軽水炉(以下、BWRという)は、原子炉停止後も炉心の崩壊熱を除去する必要がある。通常は、原子炉圧力容器や、原子炉格納容器内の下部に設置されたサプレッションプールから一部の水を抜き取り、それを海水と熱交換する熱交換器を通して冷却した後、原子炉圧力容器やサプレッションプールに戻すことで崩壊熱を除去している。
【0003】
このような冷却システムは、原子炉圧力容器やサプレッションプールからの水の抜き取り、及び冷却用の海水の汲み上げに電動ポンプを使用しており、システムの動作には電源が必要である。原子炉への外部からの送電が止まるような異常事象発生時には、原子炉に設置された非常用発電機が起動して、これらの冷却システムを運転するようになっている。
【0004】
一方、原子炉への外部からの送電が止まったときに、電源無しに崩壊熱を除去するシステムとして、例えば特許文献1に記載されている非常用復水器が提案されている。
【0005】
非常用復水器は、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取り、プール水中に設置した伝熱管を通すことで蒸気を凝縮させて凝縮水とし、この凝縮水を原子炉圧力容器に戻す原子炉冷却システムである。凝縮した水の重さ(水頭)を駆動力として動作するため、電源無しに動作することが可能である。
【0006】
通常、非常用復水器などの崩壊熱除熱用機器が無い場合、又は崩壊熱除熱用機器の起動に失敗した場合には、原子炉圧力容器内で崩壊熱により発生した蒸気をサプレッションプールに逃がすことで、原子炉圧力容器内で発生した崩壊熱を原子炉圧力容器外に逃がしている。この時、原子炉圧力容器内の冷却水は、サプレッションプールに移行した量だけ減少するため、原子炉圧力容器への注水が必要になる。
【0007】
一方、電源無しに原子炉圧力容器に注水するシステムとして、原子炉圧力容器から抜き取った蒸気を駆動力とするポンプで注水する原子炉隔離時冷却設備などがある。
【0008】
この原子炉隔離時冷却設備は、原子炉圧力容器内で発生する蒸気のエネルギーを利用して注水ポンプを駆動するシステムである。注水ポンプ制御用に電力が必要であるが、外部電源や非常用発電機からの電力供給が無い場合でもバッテリで動作が可能である。
【0009】
原子炉隔離時冷却系設備の制御用バッテリの容量は有限であるため、長時間運転する場合は、大容量のバッテリを設置する必要がある。この問題を回避する方策として、原子炉隔離時冷却設備と発電設備を組み合わせたシステムが特許文献2や特許文献3で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭62−182697号公報
【特許文献2】特開平9−113669号公報
【特許文献3】特開2001−349975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1などに記載されている非常用復水器は、電源無しに原子炉圧力容器内の炉心で発生した崩壊熱の除去が可能であるが、その動作時間は冷却用プールの水量で制約される。崩壊熱は冷却用プールで回収されるため、冷却用プール水は徐々に加熱され、冷却用プール水温が沸点に達した後、冷却用プール水は蒸発することになる。即ち、冷却用プール水が蒸発して無くなった時点で、非常用復水器は実質的に動作が停止する。
【0012】
非常用復水器の冷却用プールは、その動作原理から原子炉圧力容器よりも上部に設置する必要があり、長時間駆動させるために大容量の冷却用プールを設置する場合は、耐震性を維持するために建設コストが増大する可能性がある。
【0013】
これを防止するためには、冷却用プールの容量は小さくしておき、替わりに冷却用プールへの注水系を設けても良いが、この場合は、冷却用プール位置が高いために一定以上の揚程を持ったポンプを設置する必要がある。
【0014】
一方、原子炉隔離時冷却設備は、制御用バッテリがあれば、他の電源無しに原子炉圧力容器への注水が可能である。特許文献2や特許文献3のように、原子炉隔離時冷却設備と発電設備を組み合わせれば、制御用バッテリも電圧安定のための小容量のもので良い。
【0015】
しかし、原子炉隔離時冷却設備は原子炉圧力容器内で発生した崩壊熱の除去機能は無く、崩壊熱は最終的に原子炉格納容器内のサプレッションプールに放出される。そのため、原子炉隔離時冷却設備を長時間運転するためには、サプレッションプールの温度上昇抑制(本発明では、温度上昇抑制のことを冷却と呼ぶ)手段が必要となる。
【0016】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に動作し、サプレッションプールを冷却可能な手段を備えた原子力発電プラントを提供することをある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の原子力発電プラントは、上記目的を達成するために、原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、蒸気凝縮プール中に設置されて蒸気凝縮熱交換器が接続されている原子力発電プラントにおいて、前記蒸気凝縮熱交換器の下流側には、該蒸気凝縮熱交換器で凝縮された蒸気を放出する凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の原子力発電プラントは、上記目的を達成するために、原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、注水ポンプが直結された注水ポンプ駆動用タービンが接続され、前記注水ポンプ駆動用タービンの排気配管は、前記サプレッションプールに接続されている原子力発電プラントにおいて、前記蒸気供給配管の前記原子炉格納容器の外側で、かつ前記注水ポンプ駆動用タービンの上流側には、前記蒸気供給配管から一部の蒸気を抜き取るバイパス配管が接続され、該バイパス配管の下流側には、蒸気凝縮プール中に設置された蒸気凝縮熱交換器が接続されていると共に、該蒸気凝縮熱交換器の下流側は凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の原子力発電プラントは、上記目的を達成するために、原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、注水ポンプが直結された注水ポンプ駆動用タービンが接続され、該注水ポンプ駆動用タービンの排気配管は、前記サプレッションプールに接続されている原子力発電プラントにおいて、前記蒸気供給配管の前記原子炉格納容器の外側で、かつ前記注水ポンプ駆動用タービンの上流側には、前記蒸気供給配管から一部の蒸気を抜き取るバイパス配管が接続され、該バイパス配管の下流側には、蒸気凝縮プール中に設置された蒸気凝縮熱交換器が接続されていると共に、該蒸気凝縮熱交換器の下流側は凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は、前記注水ポンプ駆動用タービンから排出された蒸気をサプレッションプールに排出する配管の途中に接続されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の原子力発電プラントは、上記目的を達成するために、原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、注水ポンプが直結された注水ポンプ駆動用タービンが接続され、該注水ポンプ駆動用タービンの排気配管は、前記サプレッションプールに接続されている原子力発電プラントにおいて、 前記蒸気供給配管の前記原子炉格納容器の外側で、かつ前記注水ポンプ駆動用タービンの上流側には、前記蒸気供給配管から一部の蒸気を抜き取るバイパス配管が接続され、該バイパス配管の下流側には、発電機が直結された発電用タービンが接続され、該発電用タービンの排気側には、蒸気凝縮プール中に設置された蒸気凝縮熱交換器が接続されていると共に、該蒸気凝縮熱交換器の下流側には凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に動作し、原子炉格納容器内に設置されたサプレッションプールを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の非常用復水器を備えた原子力発電プラントを示す構成図である。
【図2】本発明の原子力発電プラントの実施例1を示し、静的サプレッションプール冷却システムの一例の構成図である。
【図3】本発明の原子力発電プラントの実施例1を示し、静的サプレッションプール冷却システムの変形例1の構成図である。
【図4】本発明の原子力発電プラントの実施例1を示し、静的サプレッションプール冷却システムの変形例2の構成図である。
【図5】従来の原子炉隔離時冷却設備を備えた原子力発電プラントを示す構成図である。
【図6】本発明の原子力発電プラントの実施例2を示し、静的サプレッションプール冷却システムの一例の構成図である。
【図7】本発明の原子力発電プラントの実施例2を示し、静的サプレッションプール冷却システムの変形例1の構成図である。
【図8】本発明の原子力発電プラントの実施例3を示す静的サプレッションプール冷却システムの構成図である。
【図9】本発明の原子力発電プラントの実施例4を示す静的サプレッションプール冷却システムの構成図である。
【図10】本発明の原子力発電プラントの実施例2を示し、静的サプレッションプール冷却システムの変形例2の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明者等は、外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に動作し、原子炉格納容器内に設置されたサプレッションプールの冷却を実現するには、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取り、その蒸気を原子炉格納容器の外側で、冷却プール水中に設けた熱交換器で凝縮してサプレッションプールに放出すれば良いとの結論に達した。
【0024】
これにより、原子炉圧力容器内で発生した崩壊熱の大部分を原子炉格納容器外部に放出できるため、原子炉格納容器内に設置されたサプレッションプールを冷却することができる。
【0025】
上記の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0026】
本発明の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムの実施例1について説明する。本実施例は、沸騰水型軽水炉(BWR)の例を示しているが、圧力容器内で蒸気を発生させ、その熱をプール水に放出するシステム全般に適用できる。
【0027】
まず、従来の原子力発電プラントにおける非常用復水器の構成例を図1を用いて説明する。
【0028】
該図に示す如く、原子力発電プラントは、原子炉格納容器3と、この原子炉格納容器3の内部に設置された原子炉圧力容器1と、原子炉格納容器3の下部に設置され、原子炉格納容器3内の圧力上昇を抑制するサプレッションプール7とを備えて概略構成されている。
【0029】
原子炉圧力容器1の上部(蒸気領域)には、蒸気を抜き取る非常用復水器蒸気供給配管11が接続され、この非常用復水器蒸気供給配管11は、原子炉格納容器3の壁面を貫通し、原子炉格納容器3の外部に引き抜く構成となっている。また、非常用復水器蒸気供給配管11には、原子炉格納容器3の外側で非常用復水器熱交換器12が接続されている。この非常用復水器熱交換器12は、非常用復水器冷却プール13中に設置されている。
【0030】
そして、非常用復水器熱交換器12内で凝縮された蒸気は、非常用復水器凝縮水放出配管14を通って、最終的には原子炉圧力容器1の下部(水領域)に戻されるようになっている。また、非常用復水器凝縮水放出配管14上には、非常用復水器起動弁15が設置されており、通常運転中は閉止している非常用復水器起動弁15を開くことで、非常用復水器が起動される。
【0031】
なお、実際の原子炉では、原子炉格納容器3を貫通する非常用復水器蒸気供給配管11及び非常用復水器凝縮水放出配管14の原子炉格納容器3の貫通部の前後には、隔離弁が設置されるが、本実施例の図面には図示していない。また、原子炉隔離時冷却設備、非常用復水器及び本実施例の静的サプレッションプール冷却システムともに、通常運転中は閉じており、起動時に開く起動弁が設置され、各配管上には必要に応じて逆止弁や閉止弁が設置されるが、本実施例の図面には図示していない。
【0032】
本発明の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムの実施例1の構成を図2に示す。
【0033】
該図に示す如く、本実施例の原子力発電プラントも実施例1と同様に、原子炉格納容器3と、この原子炉格納容器3の内部に設置された原子炉圧力容器1と、原子炉格納容器3の下部に設置され、原子炉格納容器3内の圧力上昇を抑制するサプレッションプール7とを備えて概略構成されている。
【0034】
そして、本実施例では、原子炉圧力容器1の上部(蒸気領域)に、蒸気を抜き取る蒸気供給配管2が接続され、この蒸気供給配管2は、原子炉格納容器3の壁面を貫通し、原子炉格納容器3の外部に引き抜く構成となっている。また、蒸気供給配管2には、原子炉格納容器3の外側で、蒸気凝縮プール5中に設置されている蒸気凝縮熱交換器4が接続されている。更に、蒸気凝縮熱交換器4の下流側には凝縮水放出配管6の一端が接続され、この凝縮水放出配管6の他端は、サプレッションプール7に接続され、凝縮水放出配管6上には、静的サプレッションプール冷却システム起動弁8が設置されている。
【0035】
上記した蒸気凝縮熱交換器4は、蒸気凝縮プール5中に設置されているが、通常運転中の蒸気凝縮プール5の水位は、蒸気凝縮熱交換器4の上端よりも高くしておくと共に。蒸気凝縮プール5の上部は、大気に開放する構造となっている。また、蒸気凝縮プール5に外部から水を補給できる系統を設置しておくと、蒸気凝縮プール5内の水が減少した場合でも除熱性能を維持できるため効果的である。
【0036】
このような本実施例の構成だと、蒸気凝縮熱交換器4内で凝縮された蒸気は、凝縮水放出配管6を通って最終的に原子炉格納容器3内のサプレッションプール7に放出される。凝縮水放出配管6上には、静的サプレッションプール冷却システム起動弁8が設置されており、通常運転中は閉止している静的サプレッションプール冷却システム起動弁8が開くことで、静的サプレッションプール冷却システムが起動される。
【0037】
なお、蒸気凝縮熱交換器4を流れる蒸気流量が多すぎると、蒸気を十分に凝縮できない可能性があることと、原子炉圧力容器1の圧力が急激に減少する可能性があるため、図3に示す如く、蒸気供給配管2上にオリフィス9を設置する(変形例1)か、又は図4に示す如く、凝縮水放出配管6上に流量調整弁10を設置しておく(変形例2)と良い。
【0038】
図3に示した変形例1のオリフィス9は、流速が高い場所に設置すれば、オリフィス9部で流速が臨界流に制限される設計が可能であるため、蒸気が凝縮する前の蒸気供給配管2上に設置した方が良いが、凝縮水放出配管6上に設置しても一定の効果は期待できる。
【0039】
尚、上記のオリフィス9、流量調整弁10は、複数個設けてもよいが少なくとも1つ設置されていれば、効果は期待できる。
【0040】
一方、図4に示した変形例2の流量調整弁10は、蒸気凝縮熱交換器4よりも下流側に設置しておけば、蒸気凝縮熱交換器4の圧力が高くなり、蒸気凝縮熱交換器4の除熱性能向上が期待できるため、凝縮水放出配管6上に設置した方がより効果が期待できるが、蒸気供給配管2上に設置しても蒸気流量を制限する効果は期待できる。
【0041】
なお、実際の原子炉では、原子炉格納容器3を貫通する蒸気供給配管2及び凝縮水放出配管6の原子炉格納容器3の貫通部の前後には隔離弁が設置され、各配管上には必要に応じて逆止弁や閉止弁が設置されるが、本実施例の図面には図示していない。
【0042】
次に、原子炉で外部電源が喪失し、更に非常用発電機の起動にも失敗するような発生確率は非常に低いが厳しい事象を想定し、このような事象の発生時に本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムを起動した場合の働きを、以下に説明する。
【0043】
まず、スクラムにより制御棒(図示せず)が炉心(図示せず)に挿入され、原子炉の出力は急減するが、原子炉圧力容器1内では継続して崩壊熱が発生する。崩壊熱により原子炉圧力容器1内の冷却水が沸騰して蒸気が発生するが、発生した蒸気は蒸気供給配管2を通してその一部又は全量が抜き取られる。
【0044】
原子炉圧力容器1から抜き取られた蒸気は、蒸気供給配管2を通って蒸気凝縮熱交換器4へと送られる。蒸気凝縮熱交換器4内で蒸気は凝縮し、その熱は蒸気凝縮プール5へと放出される。蒸気凝縮熱交換器4内で凝縮した蒸気は、その後、凝縮水放出配管6を通ってサプレッションプール7に放出される。
【0045】
本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムが存在しない場合には、原子炉圧力容器1内で発生した蒸気は、その大部分が主蒸気配管(図示せず)上に設置された蒸気逃し安全弁(図示せず)などを通じて、飽和蒸気の状態でサプレッションプール7に放出される。
【0046】
これに対して、本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムでは、原子炉圧力容器1から抜き取った蒸気のエネルギーは、凝縮して飽和水又はサブクール水となるため大幅に小さくなる。そのため、本システムを用いることで、サプレッションプール7の加熱(温度上昇)を大幅に抑制することができる。
【0047】
また、本実施例では、このサプレッションプール7の温度上昇抑制効果を、サプレッションプール冷却と定義している。なお、一例として、大気圧下の飽和水エンタルピが417kJ/kgであるのに対し、飽和蒸気のエンタルピは2657kJ/kgと6倍以上である。
【0048】
次に、本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムと従来の原子力発電プラントにおける非常用復水器の違いについて説明する。
【0049】
上述した通り、図1に示した従来の原子力発電プラントにおける非常用復水器では、原子炉圧力容器1よりも上部に非常用復水器熱交換器12及び非常用復水器冷却プール13を設置する必要がある。これは、非常用復水器が非常用復水器熱交換器12内で凝縮した水の重さを駆動力として原子炉圧力容器1に凝縮水を戻すシステムだからである。
【0050】
一方、本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムは、原子炉圧力容器1とサプレッションプール7の圧力差を駆動力として蒸気を流すことができるため、必要に応じてより多くの蒸気を蒸気凝縮熱交換器4に供給することが可能である。
【0051】
また、従来の原子力発電プラントにおける非常用復水器及び本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムは、共に冷却プール(従来の非常用復水器冷却プール13、及び本実施例の蒸気凝縮プール5)水を加熱、沸騰させることで、原子炉圧力容器1内で発生した崩壊熱を除去している。そのため、これらのシステムを長時間運転するためには、冷却プールの水量を多く確保する必要がある。
【0052】
また、従来の原子力発電プラントにおける非常用復水器では、非常用復水器冷却プール13を原子炉圧力容器1よりも上部に設置するため、長時間運転のために大容量の冷却プールを設置すると、耐震性を維持するために建設コストが上昇する可能性がある。
【0053】
これに対して、本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムの蒸気凝縮プール5は、使用する運転範囲(原子炉圧力容器1とサプレッションプール7の圧力差)の設定にもよるが、サプレッションプール7よりも低い位置から、サプレッションプール7よりも数10m高い位置まで設置が可能であり、設置高さの制約が少ない。低い高さに冷却プールを設置した場合には、冷却プール水への水の補給も容易となる利点がある。そのため、長時間の崩壊熱除熱によるサプレッションプール7の温度上昇抑制をより容易に実現可能である。
【0054】
以上より、本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムを用いれば、外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に動作し、原子炉格納容器内に設置されたサプレッションプールの冷却を実現できる。
【実施例2】
【0055】
本発明の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムの実施例2について説明する。本実施例は、実施例1の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムと、従来の原子炉隔離時冷却設備を組み合わせたものである。
【0056】
まず、従来の原子力発電プラントにおける原子炉隔離時冷却設備の構成例を図5を用いて説明する。
【0057】
該図に示す如く、原子力発電プラントは、原子炉格納容器3と、この原子炉格納容器3の内部に設置された原子炉圧力容器1と、原子炉格納容器3の下部に設置され、原子炉格納容器3内の圧力上昇を抑制するサプレッションプール7とを備えて概略構成されている。
【0058】
そして、原子炉圧力容器1の上部(蒸気領域)には、蒸気を抜き取る蒸気供給配管2が接続され、この蒸気供給配管2は、原子炉格納容器3の壁面を貫通した後、注水ポンプ18を駆動する注水ポンプ駆動用タービン16に接続されている。注水ポンプ駆動用タービン16の上流側には、通常運転中は閉じており、起動時に開く原子炉隔離時冷却設備起動弁17が設置されている。注水ポンプ駆動用タービン16を出た蒸気は、排気配管を介して最終的に原子炉格納容器3内のサプレッションプール7に放出されて凝縮する。
【0059】
原子炉への注水系統は、一例としては2系統設置されている。1つは、原子炉格納容器3の外部の復水貯蔵タンク(図示せず)を水源とするもので、復水貯蔵タンクから水を抜き取り、注水ポンプ駆動用タービン16と同軸上に設置されて駆動される注水ポンプ18で加圧して原子炉圧力容器1内に注水する系統である。もう1つは、原子炉格納容器3内のサプレッションプール7から水を抜き取り、同じく注水ポンプ18で加圧して原子炉圧力容器1内に注水する系統である。通常は、復水貯蔵タンクからの注水を実施し、復水貯蔵タンク内の水量が減少した場合は、サプレッションプール7からの注水に切り替えている。
【0060】
なお、実際の原子炉では、原子炉格納容器3を貫通する蒸気供給配管2の原子炉格納容器3の貫通部の前後には隔離弁が設置されるが、本発明の図面には図示していない。また、各配管上には必要に応じて逆止弁や閉止弁が設置されるが、本実施例の図面には図示していない。
【0061】
通常、原子炉圧力容器1内では、発生した崩壊熱により蒸気が発生するが、発生した蒸気の一部は原子炉隔離時冷却設備の注水ポンプ駆動用タービン16の運転に使用されている。一般的に、注水ポンプ駆動用タービン16が使用する蒸気量は崩壊熱により発生する蒸気量より小さいため、崩壊熱で発生した蒸気の大部分は、主蒸気管(図示せず)上に設置された蒸気逃し安全弁(図示せず)などを通してサプレッションプール7に放出されている。原子炉隔離時冷却設備を想定よりも長時間運転した場合は、サプレッションプール7の水温は徐々に上昇し、原子炉格納容器3内部の圧力も上昇する可能性がある。
【0062】
本発明の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムの実施例2の構成を図6に示す。
【0063】
該図に示す如く、本実施例の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムの構成は、図5に示した従来例と略同様であるが、本実施例では、その原子炉隔離時冷却設備の蒸気供給配管2上の原子炉格納容器3の外部で、かつ、注水ポンプ駆動用タービン16の上流側に、蒸気供給配管2から一部の蒸気を抜き取るバイパス配管19を設置している。このバイパス配管19上には、蒸気凝縮熱交換器4が接続されており、蒸気凝縮熱交換器4は、蒸気凝縮プール5中に設置されている。
【0064】
更に、蒸気凝縮熱交換器4の下流側には凝縮水放出配管6の一端が接続され、この凝縮水放出配管6の他端は、サプレッションプール7に接続され、凝縮水放出配管6上には、静的サプレッションプール冷却システム起動弁8が設置されている。
【0065】
上記した蒸気凝縮熱交換器4を通って凝縮された水は、凝縮水放出配管6を通って、最終的に原子炉格納容器3内のサプレッションプール7に放出される。凝縮水放出配管6上には、静的サプレッションプール冷却システム起動弁8が設置されており、通常運転中は閉止している静的サプレッションプール冷却システム起動弁8が開くことで、静的サプレッションプール冷却システムが起動する。
【0066】
なお、本実施例では、注水ポンプ駆動用タービン16から排出された蒸気をサプレッションプール7に排出する配管と、バイパス配管19上の蒸気凝縮熱交換器4を通って凝縮された水を排出する凝縮水放出配管6とは別配管としているが、図7に示す変形例1のように、凝縮水放出配管を共用としたシステムとしても構わない。即ち、図7に示す如く、蒸気凝縮熱交換器4からの凝縮水放出配管6を、注水ポンプ駆動用タービン16から排出された蒸気をサプレッションプール7に排出する配管の途中に接続しても良い。
【0067】
更に、実施例1に示した本発明の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムを、原子炉隔離時冷却設備を持つ原子力発電プラントにそのまま用いることも可能であり、その場合の実施例2の構成例(変形例2)は、図10のようになる。即ち、図6では、蒸気供給配管2から一部の蒸気を抜き取るバイパス配管19を設置しているが、本実施例では、図10に示す如く、原子炉圧力容器1と蒸気凝縮熱交換器4を蒸気供給配管2aを介して直接接続したものである。他の構成は、図6と同様である。
【0068】
また、本実施例の構成には、図3や図4に示したように、各配管上にオリフィスや流量調整弁を設置しても構わない。
【0069】
なお、実際の原子炉では、原子炉格納容器3を貫通する蒸気供給配管2の原子炉格納容器3の貫通部の前後には隔離弁が設置され、各配管上には必要に応じて逆止弁や閉止弁が設置されるが、本実施例の図面には図示していない。
【0070】
このような本実施例の構成でも上述した実施例1と同様に、外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に動作し、原子炉格納容器内に設置されたサプレッションプールの冷却を実現できる。
【実施例3】
【0071】
本発明の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムの実施例3について、図8を用いて説明する。
【0072】
実施例3と実施例2との違いは、実施例3では注水ポンプ駆動用タービン16の出口にも蒸気凝縮熱交換器4aを設置したことである。即ち、図8に示す如く、注水ポンプ駆動用タービン16の出口に接続された配管上に、蒸気凝縮プール5中に設置された蒸気凝縮熱交換器4aを設置し、この蒸気凝縮熱交換器4aを通って凝縮された水は、凝縮水放出配管6aを通って、最終的に原子炉格納容器3内のサプレッションプール7に放出される構成となっている。
【0073】
凝縮水放出配管6a上には、静的サプレッションプール冷却システム起動弁8aが設置されており、通常運転中は閉止している静的サプレッションプール冷却システム起動弁8aが開くことで、静的サプレッションプール冷却システムが起動する。
【0074】
このような実施例3の構成とすることで、実施例1及び2と同様な効果が得られることは勿論、注水ポンプ駆動用タービン16から排出された蒸気も凝縮できるため、サプレッションプール7の冷却効果が向上する。
【0075】
また、図7に示したように、凝縮水放出配管6を共用としたシステムとしたり、図3及び図4に示したように、各配管上にオリフィス9及び流量調整弁10を設置しても構わない。
【0076】
なお、実際の原子炉では、原子炉格納容器3を貫通する蒸気供給配管2の原子炉格納容器貫通部の前後には隔離弁が設置され、各配管上には必要に応じて逆止弁や閉止弁が設置されるが、本実施例の図面には図示していない。
【実施例4】
【0077】
本発明の原子力発電プラントにおける静的サプレッションプール冷却システムの実施例4について、図9を用いて説明する。
【0078】
実施例4と実施例2との違いは、バイパス配管19上に、特許文献2や特許文献3で提案されているような発電用タービン20及び発電機21を付加したことである。即ち、図9に示す如く、バイパス配管19上に発電用タービン20が設置され、この発電用タービン20に直結されている発電機21を駆動して発電するものである。発電用タービン20の出口に接続された配管上には、蒸気凝縮プール5中に設置された蒸気凝縮熱交換器4が設置されている。以下の構成は、実施例2と同様である。
【0079】
このような実施例4の構成とすることで、実施例1及び2と同様な効果が得られることは勿論、原子炉隔離時冷却設備の運転には、制御用の外部電源又はバッテリが必要であるが、実施例4のような発電機構を付加したシステムとすることで、外部電源が無い場合に使用するバッテリ容量を削減出できると共に、他の電源を必要とする設備にも給電可能となる。
【0080】
本実施例でも、上記した実施例と同様に凝縮水放出配管6を共用としたシステムとしたり、各配管上にオリフィス9や流量調整弁10を設置しても構わない。
【0081】
なお、実際の原子炉では、原子炉格納容器3を貫通する蒸気供給配管2の原子炉格納容器3の貫通部の前後には隔離弁が設置され、各配管上には必要に応じて逆止弁や閉止弁が設置されるが、本実施例の図面には図示していない。
【符号の説明】
【0082】
1…原子炉圧力容器、2、2a…蒸気供給配管、3…原子炉格納容器、4、4a…蒸気凝縮熱交換器、5…蒸気凝縮プール、6、6a…凝縮水放出配管、7…サプレッションプール、8、8a…静的サプレッションプール冷却システム起動弁、9…オリフィス、10…流量調整弁、11…非常用復水器蒸気供給配管、12…非常用復水器熱交換器、13…非常用復水器冷却プール、14…非常用復水器凝縮水放出配管、15…非常用復水器起動弁、16…注水ポンプ駆動用タービン、17…原子炉隔離時冷却設備起動弁、18…注水ポンプ、19…バイパス配管、20…発電用タービン、21…発電機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、蒸気凝縮プール中に設置されて蒸気凝縮熱交換器が接続されている原子力発電プラントにおいて、
前記蒸気凝縮熱交換器の下流側には、該蒸気凝縮熱交換器で凝縮された蒸気を放出する凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項2】
原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、注水ポンプが直結された注水ポンプ駆動用タービンが接続され、前記注水ポンプ駆動用タービンの排気配管は、前記サプレッションプールに接続されている原子力発電プラントにおいて、
前記蒸気供給配管の前記原子炉格納容器の外側で、かつ前記注水ポンプ駆動用タービンの上流側には、前記蒸気供給配管から一部の蒸気を抜き取るバイパス配管が接続され、該バイパス配管の下流側には、蒸気凝縮プール中に設置された蒸気凝縮熱交換器が接続されていると共に、該蒸気凝縮熱交換器の下流側は凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項3】
請求項2に記載の原子力発電プラントにおいて、
前記注水ポンプ駆動用タービンの排気配管に、蒸気凝縮プール中に設置された蒸気凝縮熱交換器が接続され、該蒸気凝縮熱交換器の下流側には凝縮水放出配管の一端が接続され、前記凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項4】
原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、注水ポンプが直結された注水ポンプ駆動用タービンが接続され、該注水ポンプ駆動用タービンの排気配管は、前記サプレッションプールに接続されている原子力発電プラントにおいて、
前記蒸気供給配管の前記原子炉格納容器の外側で、かつ前記注水ポンプ駆動用タービンの上流側には、前記蒸気供給配管から一部の蒸気を抜き取るバイパス配管が接続され、該バイパス配管の下流側には、蒸気凝縮プール中に設置された蒸気凝縮熱交換器が接続されていると共に、該蒸気凝縮熱交換器の下流側は凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は、前記注水ポンプ駆動用タービンから排出された蒸気をサプレッションプールに排出する配管の途中に接続されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項5】
原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る蒸気供給配管が接続されていると共に、該蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記蒸気供給配管の下流側には、注水ポンプが直結された注水ポンプ駆動用タービンが接続され、該注水ポンプ駆動用タービンの排気配管は、前記サプレッションプールに接続されている原子力発電プラントにおいて、
前記蒸気供給配管の前記原子炉格納容器の外側で、かつ前記注水ポンプ駆動用タービンの上流側には、前記蒸気供給配管から一部の蒸気を抜き取るバイパス配管が接続され、該バイパス配管の下流側には、発電機が直結された発電用タービンが接続され、該発電用タービンの排気側には、蒸気凝縮プール中に設置された蒸気凝縮熱交換器が接続されていると共に、該蒸気凝縮熱交換器の下流側には凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項6】
原子炉格納容器と、該原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、該原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールとを備え、前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る第1の蒸気供給配管が接続されていると共に、該第1の蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、前記第1の蒸気供給配管の下流側には、注水ポンプが直結された注水ポンプ駆動用タービンが接続され、該注水ポンプ駆動用タービンの排気配管は、前記サプレッションプールに接続されている原子力発電プラントにおいて、
前記原子炉圧力容器には蒸気を抜き取る第2の蒸気供給配管が接続されていると共に、該第2の蒸気供給配管は前記原子炉格納容器の外側まで引き出され、該第2の蒸気供給配管の下流側には、蒸気凝縮プール中に設置されて蒸気凝縮熱交換器が接続され、該蒸気凝縮熱交換器の下流側には、該蒸気凝縮熱交換器で凝縮された蒸気を放出する凝縮水放出配管の一端が接続され、該凝縮水放出配管の他端は前記サプレッションプールに接続されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の原子力発電プラントにおいて、
前記凝縮水放出配管上に、通常運転中には閉止して起動時には開く弁が設置されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項8】
請求項2、4、5又は6のいずれかに記載の原子力発電プラントにおいて、
前記蒸気供給配管上に、通常運転中には閉止して起動時には開く弁が設置されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の原子力発電プラントにおいて、
前記蒸気供給配管、又は凝縮水放出配管上には、流量を制限するためのオリフィスが少なくとも1つ設置されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の原子力発電プラントにおいて、
前記蒸気供給配管、又は凝縮水放出配管上には、流量を調整するための流量調整弁が少なくとも1つ設置されていることを特徴とする原子力発電プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−24672(P2013−24672A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158693(P2011−158693)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)