説明

原子力発電所用の水抜き方法

【課題】 給復水系の機器および配管から迅速に水抜き可能な原子力発電所用の水抜き方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の代表的な構成は、機器124および配管126から排出された水を受けるファンネル164と、最下層のフロアの下(床面よりも下)に設置されファンネル164を介して流下した水が貯留されるサンプタンク166と、サンプタンク166から水を排出するサンプポンプ168とが設置された建屋において、機器124および配管126から水抜きする原子力発電所用の水抜き方法であって、サンプタンク166の上部を上蓋170によって封止し、上蓋170にサンプタンク166の上のフロアより高い位置で開口する排気用のベント管170aを接続し、サンプポンプ168を稼働させながら機器124および配管126からファンネル164を介してサンプタンク166へと水抜きすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の建屋内に配設された機器および配管から水抜きする原子力発電所用の水抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所では、電気事業法第五四条にもとづき、定期検査(以下、「定検」と称する)が実施されている。かかる定検は、以前は100日程度の期間をかけて行われることが多かった。しかし、近年では技術進歩により、安全性を充分に確保しつつ、その期間が短縮されてきている。定検のために原子炉を停止させている期間が短いほど、発電所の設備利用率が向上されるが、さらなる定検の短縮が望まれている。
【0003】
定検では、複数の作業が並行して実施される。そのなかの一つに、タービン建屋の給復水系(復水器で回収した復水を浄化して原子炉へ供給する系統)の機器および配管の水抜き、並びに点検作業がある。かかる機器および配管の水抜きでは、内部に溜まった水を低電導度廃液系(水質的に比較的高純度(低電導度)の水(廃液)を処理する系統)へと排出する。
【0004】
すなわち、給復水系の機器や配管は低電導度廃液系のファンネルへと接続しており、ファンネルからは最下層のフロアの下(床面よりも低い位置)に設置されたサンプタンクへと水が流下する構造になっている。サンプタンクにはサンプポンプが接続しており、サンプポンプが液体廃棄物処理設備(ラドウェスト設備)へとサンプタンクに貯留した水を排出する。
【0005】
特許文献1には、サンプタンクについて記載されている。以前のサンプタンクは単に床面より低い位置に埋め込まれており、仮にこれがあふれるとフロアに放射能が含まれる可能性のある水が広がってしまうおそれがあった。そのため現在では、特許文献1に例示されるように、サンプピットと呼ばれる堰(大きめの穴)を設け、その中にサンプタンクを設置している。これにより、万が一にもサンプタンクから水があふれた場合であっても、まずサンプピットであふれた水を受けることができ、フロアへの浸水を防止することができる。特許文献1には不図示であるが、サンプピットには、ピット内への水の侵入(漏洩)を検知して警報を報知する漏洩検出器が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭58−76199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような機器および配管の水抜きにおいては、流下する水の水量がその経路上のブロー弁の開度に依存する。水抜きを実施すると、当然にサンプタンクの水量が増加していくため、並行してサンプポンプによって排出を行う。サンプタンクに流入する水量(流入量)が、サンプポンプが排出する水量(排出量)よりも多ければ、サンプタンクから水が漏洩してしまう。
【0008】
漏洩が発生すると、周囲の清掃やその他関連する業務が発生し、作業が中断されるため、定検の期間が長くなってしまうおそれがある。これより、従来、ブロー弁を慎重に開けざるを得ない状況にあった。具体的には、サンプタンクに流入する水量が、サンプポンプへと排出する水量の2割程度になってしまっていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、給復水系の機器および配管から迅速に水抜き可能な原子力発電所用の水抜き方法を提供し、定検の期間短縮に寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の代表的な構成は、機器および配管から排出された水を受けるファンネルと、最下層のフロアの下に設置されファンネルを介して流下した水が貯留されるサンプタンクと、サンプタンクから水を排出するサンプポンプとが設置された建屋において、機器および配管から水抜きする原子力発電所用の水抜き方法であって、サンプタンクの上部を上蓋によって封止し、上蓋にサンプタンクの上のフロアより高い位置で開口する排気用のベント管を接続し、サンプポンプを稼働させながら、機器および配管からファンネルを介してサンプタンクへと水抜きすることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、機器や配管の水抜きに際して、サンプタンクから水が溢れるおそれがない。サンプタンクの上のフロアより高い位置まで排気用のベント管が延びているため、サンプタンクへの水の流入が妨げられることもない。よって、ブロー弁の開度を大きくして、サンプポンプの排出量に対するサンプタンクの流入量の比を従来よりも大きく(例えば同等程度まで大きく)することができる。これより、機器や配管から迅速に水抜きすることが可能であり、定検の期間短縮に寄与することが可能である。
【0012】
上記の建屋において、少なくとも最下層のフロアに設置されたファンネルを封止すると好ましい。ファンネルはフロア近くに開口しているため、仮にサンプタンクへの流入量がサンプポンプの排出量を上回ると、サンプタンクに収容できなかった水が比較的早期に最下層のフロアのファンネルから溢れ出る可能性がある。そこで、最下層のフロアのファンネルを密閉することで、サンプタンクから逆流した水がそのファンネルより漏洩することを回避できる。
【0013】
また、このとき、サンプタンクからファンネルまでの配管の容積も、サンプタンクと同様に貯留スペースとして考えることができる。そのため、実質的に、サンプタンクの容積を増大させたことと同じになり、サンプタンクへの排水量をさらに確保する(多くする)ことができる。
【0014】
上記のベント管の開口する位置を、水抜きする機器および配管のいずれよりも高くすると好ましい。ベント管の開口が一番高い位置になるようにすることで、サンプタンクから水が逆流してベント管より漏洩することを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、給復水系の機器および配管から迅速に水抜き可能な原子力発電所用の水抜き方法を提供し、定検の期間短縮に寄与することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかる原子力発電所用の水抜き方法が適用されるタービン建屋、および原子炉建屋を示す図である。
【図2】図1に示す給復水系の概略図である。
【図3】図1に示す給復水系の水抜き経路について模式的に示す図である。
【図4】図3のサンプタンクを示す図である。
【図5】図3のファンネルを示す図である。
【図6】本実施形態にかかる原子力発電所用の水抜き方法を適用した場合の定検時の工程を説明する図である。
【図7】タービン建屋の具体的な構造を例示する断面図である。
【図8】タービン建屋の具体的な構造を例示する断面図である。
【図9】図7、8のタービン建屋の復水系の配管の具体的な経路を例示する図である。
【図10】図7、8のタービン建屋の給水系の配管の具体的な経路を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態にかかる原子力発電所用の水抜き方法が適用されるタービン建屋110、および原子炉建屋100を示す図である。図1では不図示であるが、タービン建屋110の紙面手前側または奥側にはコントロール建屋が存在する。なお、ここでは、沸騰水型原子炉(BWR)を図示している。
【0019】
図1に示すように、原子炉建屋100では、原子炉格納容器102の中に原子炉圧力容器104が収容されている。原子炉圧力容器104の炉心では、ウラン等からなる燃料の核分裂反応が実施され、大量の熱エネルギーが取り出される。この大量の熱エネルギーにより、給復水系122(復水系122a(図9参照)、給水系122b(図10参照))等から供給された水(炉水)が高温高圧の水蒸気に変えられて、主蒸気配管106を通じてタービン建屋110内のタービン112へと供給される。これにより、タービン112を回転させ、同軸でつながっている発電機114にて電気を発生させる。
【0020】
タービン112の下方には、復水器116が備えられている。復水器116には、常に海水配管118により海水が循環しており、タービン112を回した水蒸気を回収して冷却し、再び水に戻す役割を果たしている。回収された水(復水)は、給復水系122を通じて、再び原子炉圧力容器104へと送られる。
【0021】
図2は、給復水系122の概略図である。給復水系122には、復水浄化ポンプ128、復水ろ過装置132、復水脱塩装置134、空気抽出器136、グランド蒸気復水器138、復水ポンプ130、給水加熱器、原子炉給水ポンプ154(タービン駆動原子炉給水ポンプ154a、電動駆動原子炉給水ポンプ154b)等の機器124と、これらを接続する配管126(給復水系の配管)とが含まれる。給水加熱器としては、第1給水加熱器142、第2給水加熱器144、第3給水加熱器146、第4給水加熱器148、第5給水加熱器150および第6給水加熱器152が備えられる。
【0022】
原子力発電所の定検では、給復水系122の機器124や配管126を水抜きして、これらを点検する必要がある。図3は、給復水系122の水抜き経路について模式的に示す図である。図3(a)が給復水系122から低電導度廃液系160のファンネル164までの水抜き経路を図示しており、図3(b)が低電導度廃液系160のファンネル164から低電導度廃液系160のサンプタンク166までの水抜き経路を図示している。
【0023】
図3(a)に示すように、給復水系122の機器124の多くは、ブロー弁162を介して、低電導度廃液系160のファンネル164へと接続している。ブロー弁162は大抵の場合は機器124ごとに設けられているが、熱交換器(給水加熱器)のように複数台が隣接して設置されている場合には、複数台に1つのブロー弁162が接続されている場合もある。かかるブロー弁162を手動操作等で開けることで、給復水系122の機器124および配管126の水抜きが実施される。このとき、ブロー弁162の開度により、給復水系122の機器124および配管126から排出される水の水量が調整される。
【0024】
図3(b)に示すように、各機器124が接続する各ファンネル164(図3(b)では代表して1つのファンネルに符号を付す)は、一律の高さ(同じフロア)に配置されているわけではない。各ファンネル164は、異なる高さ(異なるフロア)に分散している。そして、これらのファンネル164を介して流下した水が貯留される低電導度廃液系160のサンプタンク166が、タービン建屋110の最下層のフロアの下(床面よりも低い位置)に設置されている。なお、本実施形態では、タービン建屋110は、地下2階〜地上2階までのフロアを有するものとする。
【0025】
図4は、図3のサンプタンク166を示す図である。図4(a)ではサンプタンク166の外観を内部を透視して図示しており、図4(b)ではサンプタンク166を上方から見た場合を図示している。図4(a)、(b)に示すように、サンプタンク166は、各ファンネル164を介して自重により流下した水が廃液入口166a、166bより流入する貯留槽である。サンプタンク166には、循環水入口166cより循環水を投入可能である。
【0026】
サンプタンク166の周囲には、サンプタンク166から溢れた水を受け、放射能が含まれる可能性のある水の漏洩を防ぐサンプピット172と呼ばれる堰が設置されている。サンプピット172の上部には、ごみ等の異物の侵入を防ぐ遮蔽板172aが設置される。
【0027】
サンプピット172は2畳程度の大きさを有し、サンプタンク166はファンネル164よりもはるかに大きい容積を有する。サンプタンク166に溜まった水は、サンプポンプ168(例えば、15m/h程度の能力)により、液体廃棄物処理設備(ラドウェスト設備)へと排出される。
【0028】
本実施形態では、サンプタンク166の上部を上蓋170によって封止する。そして、上蓋170にサンプタンク166の上のフロアより高い位置で開口する排気用のベント管170aを接続する(上蓋170による封止およびベント管170a接続の順序は問わない)。上のフロアとは、本実施形態ではサンプタンク166が地下2階に設置されていることから、地下1階以上のフロアを意味する。サンプタンク166が仮に地下3階に設置されていれば、地下2階以上のフロアを意味する。なお、図面では蝶ネジによって上蓋170を締結し封止する構造を例示しているが、封止構造はかかる例に限定されず種々のものを採用することができる。
【0029】
さらに、ベント管170aの開口は、水抜き対象である給復水系122の機器124および配管126のいずれよりも高くなるように設定するのが好ましい。ここでは、ベント管170aの開口がこれらよりも高くなるように、最上階(地上2階)よりも高い位置まで延長されている(図3(b)参照)。なお、サンプタンク166の上蓋170には、サンプピット172の遮蔽板172aと同様に、フロートスイッチ用座170b、170cや温度計用座170d等、必要な装置を取り付けるための座(台座)が設定される。
【0030】
図5は、図3のファンネル164を示す図である。図5(a)ではファンネル164の外観を図示しており、図5(b)ではファンネル164に閉止プラグ164b、164cを取り付けた場合の横断面(水平断面)を図示している。図5(a)に示すように、ファンネル164は、給復水系122から排出された水を受ける中間枡であり、上端が開口した直径20〜30cm程度の縦管である。本実施形態では、少なくとも最下層のフロア(地下2階)に設置されたファンネル164(図3(b)中、封止範囲Rとして図示する)を、透明な上蓋164aで封止する。透明な上蓋164aは開閉可能な構造とする。
【0031】
全てのフロアのファンネル164を封止することも考えられるが、この場合はファンネル164の数が多すぎるため、作業が非現実的となる。したがって、最下層のフロア、もしくは下から2層目までのフロアのファンネル164を封止する程度が好ましく、また水抜きする水量を考慮すればそれで十分と考えられる。なお、上蓋164aを透明としているのは、ファンネル164内への水の流入、排出を外部から確認するためである。
【0032】
ファンネル164と機器124とが直接配管にて接続されていない部分(ポンプのシール水受けの部分等)がある場合には、その大気開放口から、ファンネル164より逆流した水が漏洩するおそれを払拭できない。そこで、図5(b)に示すように、開閉可能な透明な上蓋164aの内部に着脱可能な閉止プラグ164b、164cを取り付けてもよい。これにより、上記大気開放口からの漏洩を確実に排除できる。
【0033】
上述した構成によれば、給復水系122の水抜きに際して、サンプタンク166を上蓋170で封止しているためサンプタンク166から水が溢れるおそれがない。サンプタンク166の上のフロアより高い位置まで排気用のベント管170aが延びているため、サンプタンク166への水の流入が妨げられることもない。少なくとも地下2階のファンネル164が透明な上蓋164aにより封止されているため、地下2階のファンネル164から水が溢れ出るおそれがない。
【0034】
加えて、サンプタンク166から地下2階のファンネル164までの配管の容積も、自重により流下した水の貯留スペースとして考えることが可能である。そのため、ブロー弁162を全開にしたとしても、通常、水が逆流して溢れ出ることはない。タービン建屋110の設計上、水が地下1階のファンネル164から溢れ出るおそれがある場合には、これらも透明な上蓋164aで封止すればよい。また、ベント管170aの開口が一番高い位置(給復水系122よりも高い位置)になっているため、サンプタンク166から逆流した水がベント管170aより漏洩するおそれもない。
【0035】
故に、ブロー弁162の開度を大きく(全開に)して、サンプポンプ168を稼働させながら、給復水系122の機器124および配管126からファンネル164を介してサンプタンク166へと水抜きすることができる。これにより、サンプポンプ168の排出量に対するサンプタンク166の流入量の比を大きくすることができ(サンプポンプ168をフルパワーで稼動させることができ)、給復水系122の機器124および配管126の水抜きを迅速に完了することができる。
【0036】
なおいうまでもないが、流入量が排出量を大幅に上回ると、例えばサンプポンプ168を稼働させずにブロー弁162を開くと、いずれ上層フロアのファンネル164から逆流してあふれてしまう(タービン建屋110の全てのファンネル164を封止することは現実的ではない)。すなわち本発明は、いかなる場合も絶対に水漏れしないことを補償するものではなく、流入量が排出量を一時的に上回ったとしても漏水事故が発生するまでの余裕を持たせることにより、流入量と排出量の調整を図って対処することを可能とするものである。
【0037】
図6は、本実施形態にかかる原子力発電所用の水抜き方法を適用した場合の定検時の工程を説明する図である。ここでは、1月7日〜3月2日までの55日間で定検を実施する場合の工程について例示している。なお、各工程の後の括弧内の数字はその工程に要する日数である。図6に示すように、従来、給復水系122の機器124および配管126の水抜き期間(以下、「HDO」と称する)は、ブロー弁162を慎重に開けざるを得ないため、約7日間程度であった。
【0038】
HDOはクリティカル工程(定検期間を決定する作業を組み合わせた工程)ではなく、サブクリティカル工程(潜在的にクリティカル工程となり得る工程)である。しかし、この場合、給復水系122の点検作業の期間(以下、「給復水系点検期間」と称する)を28日間程度しか確保できなかった。
【0039】
給復水系122の点検作業には、上述した機器124や配管126(弁)等の点検が含まれる。そのため、24時間体制で作業を行ったとしてもこの日数での完了はかなり難しい。これより、HDOの短縮が強く要請されていた。
【0040】
ここで上記説明した水抜き方法を実施すると、ブロー弁162を全開にして水抜きを実施することができ、HDOを約2日間で完了することができる。そのため、給復水系点検期間として、約33日間の期間を確保することができ、作業設定に裕度を持たせることができる。よって、サブクリティカル工程である給復水系点検期間の延長による定検期間の増大を防止することができる。また、クリティカル工程が短縮された場合、定検の短縮にはサブクリティカル工程の短縮が必須となるため、定検の期間短縮にも寄与することとなる。
【0041】
以下、具体的なタービン建屋110の構造を挙げ、水抜き対象の給復水系122の機器124および配管126について例示する。図7および図8は、タービン建屋110の具体的な構造を例示する断面図である。図7ではタービン建屋110を側面方向(コントロール建屋に隣接する方向)から見ており、図8ではタービン建屋110を正面方向(原子炉建屋100に隣接する方向)から見ている。図9は図7、8のタービン建屋110の復水系122aの配管の具体的な経路を例示する図であり、図10は図7、8のタービン建屋110の給水系122bの配管の具体的な経路を例示する図である。
【0042】
図7および図8に示すように、給復水系122の機器124および配管126は、地下1階から地下2階に集中して配設されている。実際の給復水系122には、同様の設備が2つまたは3つ(A系、B系、C系が)備えられている。不図示ではあるが、低電導度廃液系160のサンプタンク166もA系とB系とで2つ備えられている。なお、図7では、復水器116、復水脱塩装置134、第4給水加熱器148、および第5給水加熱器150を例示している。図8では、復水器116、復水ろ過装置132、グランド蒸気復水器138、第1給水加熱器142、第2給水加熱器144、第3給水加熱器146、第4給水加熱器148、第5給水加熱器150、第6給水加熱器152タービン駆動原子炉給水ポンプ154a、および電動駆動原子炉給水ポンプ154bを例示している。
【0043】
定検における給復水系122の水抜きでは、図9および図10において実線で示した経路の水抜きを実施する。なお、図9の復水系122aから図10の給水系122bへは、復水脱塩装置134(COND(A)、COND(B)、COND(C))にて連続している。
【0044】
図7〜図10では、理解を容易にするために図中略称を記載している。CP(Condensate Pump)は復水ポンプである。CPP(Condensate Polisher Pump)は復水浄化ポンプである。CONDは復水脱塩装置134である。HTR(Heat Transform)は給水加熱器(1HTRは第1給水加熱器142、2HTRは第2給水加熱器144、以下6HTRまで同様に対応する)である。T/D RFP(Turbine Driven Reactor Feed Water Pump)はタービン駆動原子炉給水ポンプ154aである。M/D RFP(Motor Driven Reactor Feed Water Pump)は電動駆動原子炉給水ポンプ154bである。RPV(Reactor Pressure Vessel)は原子炉圧力容器104である。また、(A)はA系を表し、(B)はB系を表し、(C)はC系を表している。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、原子力発電所の建屋内に配設された機器および配管から水抜きする原子力発電所用の水抜き方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
100…原子炉建屋、102…原子炉格納容器、104…原子炉圧力容器、106…主蒸気配管、110…タービン建屋、112…タービン、114…発電機、116…復水器、118…海水配管、122…給復水系(122a…復水系、122b…給水系)、124…給復水系の機器、126…給復水系の配管、128…浄化復水ポンプ、130…復水ポンプ、132…復水ろ過装置、134…復水脱塩装置、136…空気抽出器、138…グランド蒸気復水器、142…第1給水加熱器、144…第2給水加熱器、146…第3給水加熱器、148…第4給水加熱器、150…第5給水加熱器、152…第6給水加熱器、154…原子炉給水ポンプ(154a…タービン駆動原子炉給水ポンプ、154b…電動駆動原子炉給水ポンプ)、160…低電導度廃液系、162…ブロー弁、164…ファンネル、164a…上蓋、164b、164c…閉止プラグ、166…サンプタンク、166a、166b…廃液入口、166c…循環水入口、168…サンプポンプ、170…上蓋、170a…ベント管、170b、170c…フロートスイッチ用座、170d…温度計用座、172…サンプピット、172a…遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器および配管から排出された水を受けるファンネルと、最下層のフロアの下に設置され前記ファンネルを介して流下した水が貯留されるサンプタンクと、該サンプタンクから水を排出するサンプポンプとが設置された建屋において、前記機器および配管から水抜きする原子力発電所用の水抜き方法であって、
前記サンプタンクの上部を上蓋によって封止し、
前記上蓋に前記サンプタンクの上のフロアより高い位置で開口する排気用のベント管を接続し、
前記サンプポンプを稼働させながら、前記機器および配管から前記ファンネルを介して前記サンプタンクへと水抜きすることを特徴とする原子力発電所用の水抜き方法。
【請求項2】
前記建屋において、少なくとも最下層のフロアに設置された前記ファンネルを封止することを特徴とする請求項1に記載の原子力発電所用の水抜き方法。
【請求項3】
前記ベント管の開口する位置を、水抜きする前記機器および配管のいずれよりも高くすることを特徴とする請求項1または2に記載の原子力発電所用の水抜き方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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