説明

原子炉内検査工法

【課題】沸騰水型原子炉における事故発生時に、原子炉ウェルを閉止するシールドプラグ、原子炉格納容器の上蓋、及び原子炉圧力容器の上蓋を取り外すことなく、原子炉圧力容器内を検査できること。
【解決手段】沸騰水型原子炉における原子炉格納容器4の内側に設置された原子炉圧力容器6内を検査する原子炉内検査工法において、原子炉ウェル3を閉止するシールドプラグ5と原子炉格納容器の上蓋4Aと原子炉圧力容器の上蓋6Aとが鉛直方向で下方に向かって順次配置されており、まず、シールドプラグ5、原子炉格納容器4の上蓋4Aに加工装置16を用いてアクセスホール20、21を鉛直方向に順次加工し、次に、原子炉圧力容器6に設置されたヘッドノズル11を遠隔操作により開放し、その後、検査装置をアクセスホール20、21及びヘッドノズル11を経て原子炉圧力容器6内へ移動させ、この検査装置により原子炉格納容器内を検査するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故発生時に沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内を検査する原子炉内検査工法に関する。
【背景技術】
【0002】
炉心溶融等の過酷事故が発生した原子炉では、原子炉内の状況を早急に把握する必要があるが、原子炉炉内に放射性物質が飛散している場合など、シールドプラグ、原子炉格納容器の上蓋、及び原子炉圧力容器の上蓋を容易に取外せない状況が想定される。
【0003】
非特許文献1では、炉心溶融が発生した米国スリーマイルアイランド(TMI)原子力発電所における事故後の原子炉の調査として、上部制御棒駆動機構の貫通孔から原子炉内に検査装置を投入したことが報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】TMI−2 DEFUELING TOOLS ENGINERING REPORT、Bechtel North American Power Corporation、GEND−INF−073、1986年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、原子炉上部の貫通孔から原子炉内にアクセスして、原子炉を開放せずに原子炉内を検査する工法は、TMI原子力発電所のように、原子炉上部から原子炉内まで伸びた貫通孔を有する加圧水型原子炉(PWR)では有効である。しかしながら、沸騰水型原子炉(BWR)では、原子炉上部から原子炉圧力容器内に直接アクセス可能な貫通孔が存在しないため、上述の工法を採用することができない。
【0006】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、沸騰水型原子炉における炉心溶融等の過酷事故発生時に、原子炉ウェルを閉止するシールドプラグ、原子炉格納容器の上蓋、及び原子炉圧力容器の上蓋を取り外すことなく、原子炉圧力容器内を検査できる原子炉内検査工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、沸騰水型原子炉における原子炉格納容器の内側に設置された原子炉圧力容器内を検査する原子炉内検査工法において、原子炉ウェルを閉止するシールドプラグと前記原子炉格納容器の上蓋と前記原子炉圧力容器の上蓋とが鉛直方向で下方に向かって順次配置されており、まず、前記シールドプラグに加工装置を用いてアクセスホールを鉛直方向に加工し、次に、前記原子炉格納容器の前記上蓋と前記原子炉圧力容器の前記上蓋のそれぞれにアクセス手段を、前記アクセスホールの鉛直方向下方に設け、その後、検査装置を、前記アクセスホール及び前記アクセス手段を経て前記原子炉圧力容器内へ移動させ、この検査装置により前記原子炉圧力容器内を検査することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、シールドプラグ、原子炉格納容器の上蓋、原子炉圧力容器の上蓋のうち、シールドプラグにアクセスホールを、原子炉格納容器及び原子炉圧力容器の両上蓋にアクセス手段をそれぞれ設け、これらのアクセスホール及びアクセス手段を経て検査装置を原子炉圧力容器内へ移動させ、この原子炉圧力容器内を検査するので、沸騰水型原子炉における炉心溶融等の過酷事故発生時に、原子炉ウェルを閉止するシールドプラグ、原子炉格納容器の上蓋、及び原子炉圧力容器の上蓋を取り外すことなく、原子炉圧力容器内を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る原子炉内検査工法の第1実施形態を実施する沸騰水型原子炉を示す断面図。
【図2】原子炉内検査工法の第1実施形態におけるアクセスホール加工工程を主に示す概念図。
【図3】原子炉内検査工法の第1実施形態におけるヘッドノズル開放工程を主に示す概念図。
【図4】原子炉内検査工法の第1実施形態における検査工程を主に示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1〜図4)
図1は、本発明に係る原子炉内検査工法の第1実施形態を実施する沸騰水型原子炉を示す断面図であり、図2は、原子炉内検査工法の第1実施形態におけるアクセスホール加工工程を主に示す概念図である。
【0011】
図1に示すように、沸騰水型原子炉(BWR)10では、原子炉建屋1は、オペレーションフロア2、原子炉ウェル3、原子炉格納容器4、及び各種の機器を配置した多数の部屋から構成されている。原子炉ウェル3はシールドプラグ5で閉止される。また、原子炉格納容器4内には原子炉圧力容器6が設置されている。この原子炉圧力容器6内に、炉心7、蒸気乾燥器8、シュラウドヘッド9、及び各種の炉内構造物が設置されている。更に、原子炉圧力容器6の上蓋6Aには、閉止フランジ12(図2)によって閉止されたヘッドノズル11が設置されると共に、各種の系統に接続されるノズル(不図示)が設置されている。
【0012】
また、原子炉ウェル3を閉止するシールドプラグ5と、原子炉格納容器4の上蓋4Aと、原子炉圧力容器6の上蓋6Aとは、鉛直方向で下方に向かって順次配置されている。従って、この沸騰水型原子炉10では、通常、オペレーションフロア2上でシールドプラグ5、原子炉格納容器4の上蓋4A、原子炉圧力容器6の上蓋6A、蒸気乾燥器8、シュラウドヘッド9等を順番に取り外して炉心7へアクセスする。
【0013】
上述のような沸騰水型原子炉10において、本実施形態の原子炉内検査工法の第1実施形態が原子炉圧力容器6内を検査する上で必要な設備ついて、図2〜図4を用いて説明する。この設備は、作業架台15、加工装置16、ヘッドノズルボルト取扱具17、遮蔽蓋18、線量計23及び除染装置24、並びに検査装置19である。
【0014】
図2に示す作業架台15は、シールドプラグ5にアクセスホール20(後述)を加工する前に、シールドプラグ5を含むオペレーションフロア2に設置されるものであり、底部に遮蔽部材15Aを備える。この遮蔽部材15Aは、原子炉ウェル3等内の放射性物質及び放射線がアクセスホール20を経て外部へ飛散しないように、この放射性物質及び放射線を遮蔽する機能を果たす。シールドプラグ5へのアクセスホール20の加工から検査装置19による原子炉圧力容器6内の検査までの各作業が、作業架台15を使用してなされる。尚、この作業架台15は、図2にのみ示し、図3及び図4には図示を省略している。
【0015】
加工装置16は、オペレーションフロア2上においてヘッドノズル11の上方に位置づけられ、シールドプラグ5にアクセスホール20を加工し、原子炉格納容器4の上蓋4Aにアクセスホール21を、前記アクセスホール20の鉛直方向下方に加工する。更に、加工装置16は、原子炉圧力容器6内の炉心7を除く炉内構造物(例えば蒸気乾燥器8及びシュラウドヘッド9等)に対し、原子炉圧力容器6の上蓋6Aにおけるヘッドノズル11の鉛直下方に、検査装置19が通過可能な貫通孔(不図示)を加工する。前述のアクセスホール20及び21により、シールドプラグ5の上方空間と原子炉格納容器4の上蓋4A内空間とが連通する。尚、アクセスホール21は、原子炉格納容器4の上蓋4Aに設けられたアクセス手段として機能する。
【0016】
図3に示すヘッドノズルボルト取扱具17は、原子炉圧力容器6の上蓋6Aに設置されたヘッドノズル11を閉止している閉止フランジ12のボルトを取り外し、閉止フランジ12を取り除いてヘッドノズル11を開放するために用いられるものである。このヘッドノズルボルト取扱具17は、シールドプラグ5に形成されたアクセスホール20、及び原子炉格納容器4の上蓋4Aに形成されたアクセスホール21を通って閉止フランジ12の位置まで投入され、遠隔操作される。このヘッドノズルボルト取扱具17により開放されたヘッドノズル11は、原子炉圧力容器6の上蓋6Aに設けられたアクセス手段として機能する。
【0017】
遮蔽蓋18は、シールドプラグ5、原子炉格納容器4の上蓋4Aにそれぞれ形成されたアクセスホール20、21と、閉止フランジ12が取り除かれて開放されたヘッドノズル11に設置される。この遮蔽蓋18は、原子炉ウェル3、原子炉格納容器4、原子炉圧力容器6内の放射性物質及び放射線が、上述のアクセスホール20、21及びヘッドノズル11を経て外部へ飛散しないように、放射性物質及び放射線を遮蔽する。
【0018】
この遮蔽蓋18は、例えば加工装置16及びヘッドノズルボルト取扱具17に取り外し可能に装備されて、アクセスホール20及び21の加工中または加工後、並びにヘッドノズル11の開放中または開放後に、この加工されたアクセスホール20及び21、並びに開放されたヘッドノズル11に直ちに装着されてもよい。または、遮蔽蓋18は、図示しない専用の装着治具を用いて、加工装置16によるアクセスホール20及び21の加工後、並びにヘッドノズルボルト取扱具17によるヘッドノズル11の開放後に、アクセスホール20及び21並びに開放されたヘッドノズル11に装着されてもよい。
【0019】
また、遮蔽蓋18は開閉可能に構成される。つまり、この遮蔽蓋18は、アクセスホール20、21及びヘッドノズル11に設置された状態で、加工装置16、ヘッドノズルボルト取扱具17、線量計23、除染装置24または検査装置19等により下方へ押圧されたときに開操作され、加工装置16、ヘッドノズルボルト取扱具17、線量計23、除染装置24または検査装置19等が挿入(投入)可能に構成される。
【0020】
線量計23は、シールドプラグ5へのアクセスホール20の加工中もしくは加工後に、原子炉格納容器4の上蓋4Aへのアクセスホール21の加工中もしくは加工後に、またはヘッドノズル11の開放中もしくは開放後に、それぞれアクセスホール20、21、ヘッドノズル11の周囲の放射線量を測定する。
【0021】
除染装置24は、線量計23により測定された放射線量が所定値以上の場合に、アクセスホール20の加工後、アクセスホール21の加工後またはヘッドノズル11の開放後に、これらのアクセスホール20、21、及び開放されたヘッドノズル11を除染する。この除染により、アクセスホール20、21またはヘッドノズル11を通過する加工装置16、ヘッドノズルボルト取扱具17、線量計23、除染装置24、検査装置19等の汚染が低減される。
【0022】
検査装置19は、原子炉圧力容器6内、特に炉心7の状態を検査するものであり、シールドプラグ5のアクセスホール20、原子炉格納容器4の上蓋4Aのアクセスホール21、原子炉圧力容器6の上蓋6Aの開放されたヘッドノズル11を通過可能な大きさに設定されている。この検査装置19は、原子炉圧力容器6内を検査後、この原子炉圧力容器6内に据え置かれて、原子炉圧力容器6内を継続的に監視する計測器として機能してもよい。
【0023】
次に、本実施形態の原子炉内検査工法を説明する。
まず、図2に示すように、シールドプラグ5を含むオペレーションフロア2に、遮蔽部材15Aを具備する作業架台15を設置する(作業架台設置工程)。
【0024】
次に、この作業架台15に作業者が載り、加工装置16を用いてシールドプラグ5にアクセスホール20を、原子炉格納容器4の上蓋4Aにアクセスホール21を、それぞれヘッドノズル11の鉛直方向上方に順次加工する。これらのアクセスホール20及び21の加工中または加工後に、これらのアクセスホール20、21のそれぞれに遮蔽蓋18を設置する(本段落;アクセスホール加工工程)。
【0025】
加工装置16の投入中または引上げ後に、線量計23をアクセスホール20、21に投入して、これらのアクセスホール20、21の加工中または加工後(遮蔽蓋18の設置後も含む)における、アクセスホール20、21の周囲の放射線量を、線量計23を用いて測定する。この線量計23による放射線量の測定値が所定値以上になったとき、線量計23を引き上げ、除染装置24をアクセスホール20、21に投入して、これらのアクセスホール20、21を除染する(本段落;線量測定・除染工程)。
【0026】
次に、除染装置24を引き上げ、ヘッドノズルボルト取扱具17をアクセスホール20及び21に投入して、このヘッドノズルボルト取扱具17を遠隔操作することにより閉止フランジ12を取り除き、ヘッドノズル11を開放する。このヘッドノズル11の開放中または開放後に、このヘッドノズル11に遮蔽蓋18を設置する(本段落;ヘッドノズル開放工程)。
【0027】
ヘッドノズルボルト取扱具17の投入中または引き上げ後に、線量計23をアクセスホール20及び21を経て、開放されたヘッドノズル11に投入し、ヘッドノズル11の開放中または開放後に、このヘッドノズル11の周囲の放射線量を線量計23を用いて測定する。この線量計23による放射線量の測定値が所定位置以上になったとき、線量計23を引き上げ、除染装置24をアクセスホール20及び21を経て開放されたヘッドノズル11に投入して、この開放されたヘッドノズル11を除染する(本段落;線量測定・除染工程)。
【0028】
次に、除染装置24を引き上げ、加工装置16をアクセスホール20、21及び開放されたヘッドノズル11を経て原子炉圧力容器6内に投入し、この原子炉圧力容器6内の炉心7を除く炉内構造物(例えば蒸気乾燥器8及びシュラウドヘッド9等)に対し、ヘッドノズル11の鉛直下方に、図示しない貫通孔を加工する(炉内構造物加工工程)。
【0029】
その後、加工装置16を引き上げ、検査装置19を、アクセスホール20、21及び開放されたヘッドノズル11を経て原子炉圧力容器6内に投入し、更に炉内構造物の貫通孔を通過させて炉心7まで移動させる。そして、この検査装置19によって、原子炉圧力容器6内、特に炉心7の状態を検査する(本段落;検査工程)。
【0030】
検査装置19により原子炉圧力容器6内を検査した後に、この検査装置19を原子炉圧力容器6内に据え置き、この検査装置19を、原子炉圧力容器6内の特に炉心7を継続的に監視する計測器として機能させてもよい。
【0031】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)及び(2)を奏する。
(1)シールドプラグ5、原子炉格納容器4の上蓋4A、原子炉圧力容器6の上蓋6Aのうち、シールドプラグ5、原子炉格納容器4の上蓋4Aにそれぞれアクセスホール20、21を加工し、原子炉圧力容器6の上蓋6Aに設置されたヘッドノズル11を開放し、これらのアクセスホール20、21及び開放されたヘッドノズル11を経て検査装置19を原子炉圧力容器6内へ移動させ、この原子炉圧力容器6内を検査する。このため、沸騰水型原子炉10における炉心溶融等の過酷事故発生時に、原子炉ウェル6を閉止するシールドプラグ5、原子炉格納容器4の上蓋4A、及び原子炉圧力容器6の上蓋6Aを取り外すことなく、原子炉圧力容器6内、特に炉心7を検査できる。従って、オペレーションフロア2上で放射線量が増加している場合にも、作業員の被爆を大幅に低減できる。
【0032】
(2)シールドプラグ5、原子炉格納容器4の上蓋4Aには、原子炉圧力容器6の上蓋6Aに設置されたヘッドノズル11の鉛直方向上方にそれぞれアクセスホール20、21が加工され、更に、原子炉圧力容器6の炉内構造物には、ヘッドノズル11の鉛直方向下方に貫通孔が形成されている。このため、検査装置19をオペレーションフロア2から炉心7まで一直線に移動させることができ、この結果、原子炉圧力容器6内の検査作業を容易化できる。
【0033】
[B]第2実施形態
この第2実施形態において、前記第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0034】
本実施形態が前記第1実施形態と異なる点は、原子炉圧力容器6の上蓋6Aに設けられたアクセス手段が、開放されたヘッドノズル11ではなく、ヘッドノズル11の閉止フランジ12を含めた上蓋6Aに、加工装置16により加工されたアクセスホール30(図4)である点である。
【0035】
この原子炉圧力容器6の上蓋6A(閉止フランジ12を含む)に加工されるアクセスホール30は、図2に示す加工装置16を用いてシールドプラグ5、原子炉格納容器4の上蓋4Aにアクセスホール20、21をそれぞれ順次加工した後、これらのアクセスホール20及び21の鉛直方向下方に、加工装置16を引き抜くことなくそのまま下降させて加工される。原子炉圧力容器6の上蓋6A(閉止フランジ12を含む)へのアクセスホール30の加工中または加工後には、アクセスホール20及び21の場合と同様にして、遮蔽蓋18をアクセスホール30に設置する。
【0036】
以上のように構成されたことから、本実施形態においても、前記第1実施形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)を奏する。
【0037】
(3)原子炉圧力容器6の上蓋6A(閉止フランジ12を含む)に加工装置16を用いてアクセスホール30を形成することから、閉止フランジ12をヘッドノズルボルト取扱具17を用いて取り除くことができず、ヘッドノズル11を開放することができない場合にも対処できる。これにより、原子炉圧力容器6の上蓋6A(閉止フランジ12を含む)に設けられたアクセスホール30を通して、検査装置19を原子炉圧力容器6内に移動させ、この原子炉圧力容器6内を検査することができる。
【0038】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形してもよく、また、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0039】
例えば、原子炉格納容器4の上蓋4Aに設けられるアクセス手段を、加工装置16により加工されるアクセスホール21ではなく、原子炉格納容器4の上蓋4Aに予め設置されて開放状態とされたマンホール(不図示)であってもよい。
【0040】
この原子炉格納容器4の上蓋4Aに設置されたマンホールは、通常、図示しないマンホール蓋により閉止されているので、加工装置16を用いてシールドプラグ5にアクセスホール20を加工した後、例えばマンホール蓋取扱具(不図示)をアクセスホール20に投入し、このマンホール蓋取扱具を遠隔操作することでマンホール蓋を取り除き、これによりマンホールを開放する。ここで、シールドプラグ5のアクセスホール20、原子炉格納容器4の上蓋4Aのマンホール、原子炉圧力容器6の上蓋6Aのヘッドノズル11は、鉛直方向略直線状に位置づけられることが好ましい。
【符号の説明】
【0041】
3 原子炉ウェル
4 原子炉格納容器
4A 上蓋
5 シールドプラグ
6 原子炉圧力容器
6 上蓋
7 炉心
8 蒸気乾燥器(炉内構造物)
9 シュラウドヘッド(炉内構造物)
10 沸騰水型原子炉
11 ヘッドノズル
12 閉止フランジ
15 作業架台
15A 遮蔽部材
16 加工装置
17 ヘッドノズルボルト取扱具
18 遮蔽蓋
19 検査装置
20、21、30 アクセスホール
23 線量計
24 除染装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸騰水型原子炉における原子炉格納容器の内側に設置された原子炉圧力容器内を検査する原子炉内検査工法において、
原子炉ウェルを閉止するシールドプラグと前記原子炉格納容器の上蓋と前記原子炉圧力容器の上蓋とが鉛直方向で下方に向かって順次配置されており、
まず、前記シールドプラグに加工装置を用いてアクセスホールを鉛直方向に加工し、
次に、前記原子炉格納容器の前記上蓋と前記原子炉圧力容器の前記上蓋のそれぞれにアクセス手段を、前記アクセスホールの鉛直方向下方に設け、
その後、検査装置を、前記アクセスホール及び前記アクセス手段を経て前記原子炉圧力容器内へ移動させ、この検査装置により前記原子炉圧力容器内を検査することを特徴とする原子炉内検査工法。
【請求項2】
前記原子炉格納容器の上蓋に設けられるアクセス手段は、前記上蓋に加工装置により加工されるアクセスホールであり、
前記原子炉圧力容器の上蓋に設けられるアクセス手段は、前記原子炉圧力容器の前記上蓋に設置されたヘッドノズルを閉止する閉止フランジを遠隔操作で取り除くことにより開放される前記ヘッドノズルであることを特徴とする請求項1に記載の原子炉内検査工法。
【請求項3】
前記原子炉格納容器の上蓋に設けられるアクセス手段は、前記上蓋に加工装置により加工されるアクセスホールであり、
前記原子炉圧力容器の上蓋に設けられるアクセス手段は、前記原子炉圧力容器の前記上蓋に加工装置により加工されるアクセスホールであることを特徴とする請求項1に記載の原子炉内検査工法。
【請求項4】
前記原子炉格納容器の上蓋に設けられるアクセス手段は、前記上蓋に設置されたマンホールを閉止するマンホール蓋を遠隔操作で取り除くことにより開放される前記マンホールであることを特徴とする請求項1に記載の原子炉内検査工法。
【請求項5】
前記原子炉圧力容器の上蓋にアクセス手段を設けた後、前記原子炉圧力容器内の炉心を除く炉内構造物に対し、前記アクセス手段の鉛直方向下方に、検査装置が通過可能な貫通孔を加工することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の原子炉内検査工法。
【請求項6】
前記シールドプラグへのアクセスホールの加工中もしくは加工後、または原子炉格納容器、原子炉圧力容器のそれぞれの上蓋へのアクセス手段の設置中もしくは設置後に、これらのアクセスホールとアクセス手段には、放射性物質及び放射線を遮蔽する遮蔽蓋を設置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の原子炉内検査工法。
【請求項7】
前記シールドプラグへのアクセスホールの加工中もしくは加工後、または原子炉格納容器、原子炉圧力容器のそれぞれの上蓋へのアクセス手段の設置中もしくは設置後に、これらのアクセスホールとアクセス手段の周辺の放射線量を測定し、その後、前記アクセスホール及び前記アクセス手段を除染することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の原子炉内検査工法。
【請求項8】
前記シールドプラグにアクセスホールを加工する前に、放射性物質及び放射線の遮蔽機能を有する作業架台を前記シールドプラグに設置し、この作業架台を使用して前記アクセスホールの加工等の各種作業を実施することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の原子炉内検査工法。
【請求項9】
前記検査装置により原子炉圧力容器内を検査した後、この検査装置を前記原子炉圧力容器内に据え置き、この検査装置を、前記原子炉圧力容器内を継続して監視するための計測器として機能させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の原子炉内検査工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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