説明

原子炉格納容器の熱輸送装置およびその方法

【課題】 長期的に原子炉格納容器内部の発生熱を原子炉格納容器外部へ輸送をすることができ、かつ原子炉建屋の耐震性能への影響が少ない原子炉格納容器の熱輸送装置を提供する。
【解決手段】 原子炉格納容器の熱輸送装置1は、原子炉格納容器22の内側において設けられ、この原子炉格納容器22内の発生熱31を受熱し、内部を流れる冷媒32に受熱した発生熱31を与える受熱部2と、前記原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器23の上頂よりも下方に位置するように設けられ、内部において冷却材33を収容し、冷却材33を所定温度以下に保つ冷却手段を有する冷却タンク3と、内部を流れる冷媒32の熱を冷却材33へ放熱する放熱部4と、受熱部2と放熱部4を連結して冷却ループ51を形成し、この冷却ループ51内において冷媒32を循環させるヒートパイプ5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉格納容器内部の発生熱を原子炉格納容器外部へ輸送する原子炉格納容器の熱輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所において、極めて稀な確率ではあるが、原子炉圧力容器に接続している主蒸気配管が破断した場合、原子炉格納容器内に高温及び高圧の原子炉一次冷却材が放出される原子炉冷却材喪失事故(以下、「LOCA」という。)が起こる可能性がある。また、LOCAが起きた際、冷却材が喪失することで原子炉水位が低下し、炉心が露出して冷却が不十分となり炉心溶融の可能性がある過酷事故(SA)が起こる可能性がある。
【0003】
沸騰水型原子力発電所でLOCAが発生した場合、原子炉格納容器内のドライウェルに高温及び高圧の原子炉一次冷却材が放出されると、ドライウェル内の温度及び圧力が急激に上昇する。LOCA時に放射性物質の原子炉格納容器外への放出を防ぐため、原子力発電所は、原子炉格納容器の設計温度及び設計圧力に至る以前にドライウェル内に放出された高温及び高圧の冷却材を、ベント管を通じてサプレッションチェンバ内に放出し、サプレッションチェンバ内にあるプール水によって凝縮させることで原子炉格納容器内の温度及び圧力を低減させる構造となっている。
【0004】
また、主蒸気配管破断によって冷却材が原子炉圧力容器に戻らず喪失すると、原子炉水位が低下し、炉心が露出して冷却が不十分になる可能性があるが、非常用炉心冷却系としてサプレッションプール水を水源とした非常用炉心冷却系(以下、「ECCS」という。)等が備えられており、ECCSが作動することで、原子炉圧力容器内に冷却水が注入され炉心を冠水することで炉心溶融を防ぐとともに、サプレッションプール水を原子炉格納容器に注入して原子炉格納容器内の熱を自然循環によって徐熱する。
【0005】
一方、何らかの理由によりECCSが作動せず、注水に失敗した場合でも、中央制御室作業員の手動操作で原子炉格納容器内にスプレイを行う残留熱除去系(RHR)の注水設備を用いて、原子炉圧力容器冷却時に発生した水蒸気をスプレイによって凝縮することで原子炉格納容器内の温度及び圧力を低減させる構造となっている。
【0006】
このように、LOCAや過酷事故が起きた場合、ECCSが作動することで炉心は冷却されるが、さらにLOCAや過酷事故によって原子炉格納容器内に生じる発生熱を冷却または外部へ輸送し徐熱するために以下の技術が開発されている。
【0007】
原子炉格納容器の上方に冷却水タンクを設置し、原子炉内部の水位が低下することで炉心溶融等の過酷事故が起きた場合に、タンク内にある水源を重力により原子炉格納容器内に散布して原子炉格納容器内に生じる発生熱を冷却する技術が開発されている(例えば、特許技術1参照。)。
【0008】
また、原子炉格納容器の内側に受熱部を設け、原子炉格納容器の外側に冷却用プールを設け、さらに冷却用プール内に放熱部を設け、受熱部と放熱部をヒートパイプによって連結して内部に冷媒を循環させることにより、原子炉格納容器内の発生熱を受熱部によって受熱し、この発生熱を放熱部から冷却用プール内に放熱することによって、原子炉格納容器内の発生熱を外部へ輸送し徐熱する技術が開発されている(例えば、特許技術2参照。)。
【0009】
さらに、ヒートパイプの受熱部が原子炉格納容器内部に位置し、ヒートパイプの放熱部がサプレッションプール内部に位置するように、原子炉格納容器内部とサプレッションプールとを隔てる側壁を貫いてヒートパイプを設け、原子炉格納容器内部の熱をサプレッションプールへ輸送し、サプレッションプール水へ放熱する技術が開発されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−248166
【特許文献2】特開平6−88893
【特許文献3】特開2002−122686
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術は、冷却水タンクの容量は数日分と限界があり、長期間の冷却をすることができないという課題がある。また、上述した特許文献2に記載の技術は、原子炉圧力容器の上方において冷却プールおよび放熱部を設けているため、地震発生時に冷却プールおよび放熱部が原子炉建屋に対して大きなモーメントを及ぼし、耐震設計上不利であるという課題があった。
【0012】
さらに、上述した特許文献3に記載の技術は、サプレッションプール内にサプレッションプール水の冷却手段を備えておらず、サプレッションプール内に輸送された熱を放熱または冷却することができないため徐熱能力が低い、または長期間の冷却をすることができないという課題がある。
【0013】
そこで本発明は、長期的に原子炉格納容器内部の発生熱を原子炉格納容器外部へ輸送をすることができ、かつ原子炉建屋の耐震性能への影響が少ない原子炉格納容器の熱輸送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の原子炉格納容器の熱輸送装置は、原子炉格納容器の内側において設けられ、この原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、内部を流れる冷媒に受熱した発生熱を与える受熱部と、原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられ、内部において冷却材を収容し、冷却材を所定温度以下に保つ冷却手段を有する冷却タンクと、冷却タンク内において設けられ、内部を流れる冷媒の熱を冷却タンク内の冷却材へ放熱する放熱部と、受熱部と放熱部を連結して冷却ループを形成し、この冷却ループ内において冷媒を循環させるヒートパイプとを備えることを特徴とする。
【0015】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の原子炉格納容器の熱輸送方法は、原子炉格納容器の内側に設けられる受熱部によって原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、前記受熱部の内部を流れる冷媒に受熱した発生熱を与える工程と、原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられる冷却タンク内に収容され、冷却手段によって所定の温度以下に保たれる冷却材へ放熱部の内部を流れる冷媒の熱を放熱する工程と、受熱部と放熱部をヒートパイプによって連結した冷却ループ内において冷媒を循環させる工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、原子炉格納容器の熱輸送装置によって長期的に原子炉格納容器内部の熱を原子炉格納容器外部へ輸送をすることができ、かつ原子炉格納容器の熱輸送装置による原子炉建屋の耐震性能への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の全体概略縦断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の概略縦断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の全体概略縦断面図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の全体概略縦断面図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の概略縦断面図。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の中間熱輸送装置を設けた場合の全体概略縦断面図。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の中間熱輸送装置および第2中間熱輸送装置を設けた場合の全体概略縦断面図。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の全体概略縦断面図。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の受熱部の概略縦断面図。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の全体概略縦断面図。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の全体概略縦断面図。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の中間熱輸送装置および熱媒介装置を示し、(a)は概略縦断面図、(b)は概略横断面図。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の全体概略縦断面図。
【図14】本発明の第9の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置の概略縦断面図。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置を加圧水型原子力プラントに設けた例を示す概略縦断面図。
【図16】本発明の第1の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置を高速炉プラントに設けた例を示す概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係る原子炉格納容器の熱輸送装置(以下、PCV熱輸送装置と称する。)について図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の全体縦断面概略図である。
【0020】
PCV熱輸送装置1が設けられる原子力発電プラントには、沸騰水型原子力プラント、加圧水型原子力プラント、高速炉プラント等、原子炉格納容器22内部に原子炉容器23が設けられる形式の原子力発電プラントに適用することができる。
【0021】
ここで、原子炉容器23は、内部に核燃料および冷却材(図示せず。)を収容する容器を示し、炉型に応じて原子炉容器、原子炉圧力容器と呼ぶが、以下、総称して原子炉圧力容器と呼ぶ。また、原子炉格納容器22は、原子炉容器23を内包し、過酷事故時に原子炉容器23から漏えいした放射性物質の外部への漏えいを抑制する容器である。原子炉格納容器22の内部において原子炉圧力容器23が設けられ、さらに原子炉格納容器22の外周を取り囲むように原子炉建屋21が設けられる。
【0022】
図1は、一般的な沸騰水型原子力プラントを示している。沸騰水型原子力プラントにおける原子炉容器23は、内部に核燃料および冷却材である水を収容し、内部で発生する蒸気圧力に耐え得るように設計された金属圧力容器である。沸騰水型原子炉における原子炉圧力容器23には一般的に、下底において制御棒駆動機構が設けられ、上方側面において主蒸気配管が設けられている(図示せず。)。
【0023】
さらに、沸騰水型原子力プラントにおける原子炉格納容器22は、鉄筋コンクリート壁によって底部ならびに側壁が形成され、上部がドーム形状の金属鋼板によって覆われることによって構成される。
【0024】
PCV熱輸送装置1は、受熱部2と、冷却タンク3と、放熱部4と、ヒートパイプ5とから構成される。受熱部2は、原子炉格納容器22の内側であって、原子炉圧力容器23の側周面と離間した位置において配置される。また、冷却タンク3は、原子炉格納容器22の外側であって、原子炉建屋21の床面において配置される。ここで、原子炉格納容器22の側壁と冷却タンク3の側壁が互いに離間するように冷却タンク3を配置することが望ましい。
【0025】
また、冷却タンク3は、冷却タンク3のタンク上面が原子炉圧力容器23の上頂よりも下方に位置するように設けられるものとし、特にタンク上面が原子炉圧力容器23の重心24よりも下方に位置することが望ましい。ここで、原子炉圧力容器23の重心24は、原子力プラントの耐震評価に用いられる有限要素法を用いたFEM(Finite Element Method)コードによって算出することができる。FEMコードは、構造物をメッシュと呼ばれる小部分に分割し、メッシュ間の相互作用をシミュレートすることによって、構造物全体の地震発生時の挙動を解析するものである。
放熱部4は、冷却タンク3の内部であって、後述する受熱部2の受熱部排出孔42がよりも放熱部4の放熱部導入孔43が上方に位置するように配置される。ヒートパイプ5は、受熱部2と放熱部4を連結して後述する冷却ループ51を形成する。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の概略縦断面図である。受熱部2は、外部の熱を受熱し、内部を流れる冷媒32に熱を与えることができる装置であり、熱伝導性の高い金属やセラミックス材料を適用することができる。受熱部2には、冷媒32を内部に導入する受熱導入孔41が下方に、冷媒32を内部から排出する受熱部排出孔42が上方に設けられる。さらに、外部に露出する面積を増やし、受熱効率を高めるためにフィン45を設けること、または表面に凹凸を有する形状とすることが望ましい。
【0027】
冷却タンク3は、内部において冷却材33を保持し、この冷却材33を所定温度以下に保つ冷却手段を有する容器である。冷却材33は、水やアンモニア、アルコール等が適用可能である。さらに、冷却材33を銅やアルミ等の金属材料を適用してもよい。冷却材33は、ヒートポンプや冷却コンデンサといった冷却手段によって所定の温度以下、例えば30度の室温程度に保たれるものとする。
【0028】
また、冷却材33を地中へ循環させ、地熱によって冷却して所定の温度以下に保つ構成としてもよい。さらに、他の装置の冷却水をバイパスしたものや専用の冷却水を冷却タンク3内部へ導入し排出して冷却タンク3内部の温度が常に所定の温度を下回る構成としてもよい。
【0029】
なお、原子力プラントにおいて上述したECCSを作動させるためのサプレッションプールが設けられるときは、冷却タンク3はサプレッションプールと独立して設けられるものとし、冷却タンク3内の冷却材33は、原子炉格納容器22内から隔離して冷却タンク3内部に保持され、原子炉格納容器22内に注入されることはないものとする。
【0030】
また、放熱部4は、内部を流れる冷媒32の熱を冷却材33に放熱することができる装置であり、受熱部2と同様の熱伝導性の高い材料が適用される。放熱部4には、冷媒32を内部に導入する放熱部導入孔43が上方に、冷媒32を内部から排出する放熱部排出孔44が下方に設けられる。さらに、冷却材33に露出する面積を増やし、放熱効率を高めるためにフィン46を設けること、または表面に凹凸を有する形状とすることが望ましい。
【0031】
ヒートパイプ5は、2本を一組として構成され、2本のヒートパイプ5がそれぞれ原子炉格納容器22の側壁の上下2箇所を貫通し、2本のうち一方が受熱部2の受熱部排出孔42と放熱部4の放熱導入孔43を連結し、さらに2本のうち他方が放熱部4の放熱部排出孔44と受熱部2の受熱部導入孔41を連結することによって、冷却ループ51を形成する。
【0032】
受熱部2と放熱部4とヒートパイプ5とから構成される冷却ループ51は、内部において冷媒32を循環させる。ここで、冷媒32には、発生熱31の温度以下で気化し、冷却材33の温度で凝縮する液体を用いることが望ましく、例えば、水、アンモニア、アルコールなどを適用することができる。
【0033】
さらに、原子炉圧力容器23の周囲を取り囲むように同心円状に複数の受熱部2を設け、複数の受熱部2の各々に対して冷却タンク3および放熱部4を設け、受熱部2と放熱部4を連結して複数の冷却ループ51を形成することが望ましい。
【0034】
(作用)
以下、本発明の第1の実施形態の作用について説明する。原子炉圧力容器23にLOCAや過酷事故が発生したとき、原子炉圧力容器23内部の核燃料の崩壊熱や、原子炉圧力容器23および原子炉格納容器22内部の物質が相互に反応した反応熱である発生熱31が原子炉格納容器22内に生じる。
【0035】
以下、冷却ループ51内部の冷媒32として水を用いた場合について説明する。受熱部2は、原子炉格納容器22内の発生熱31を受熱し、発生熱31を内部を流れる冷媒32である水に与える。発生熱31の熱を受け取った冷媒32である水は、気化して立ち上り、受熱部排出孔42から排出され、ヒートパイプ5内を放熱部4の方向へ移動する。放熱部4は、放熱部導入孔43から冷媒32を内部に導入し、冷媒32の熱を冷却タンク3の冷却材33に放熱する。
【0036】
放熱部4の内部において冷却された冷媒32は、凝縮して放熱部排出孔44から排出され、ヒートパイプ5内を受熱部2の方向へ移動し、受熱部導入孔41から受熱部2内部に導入され、再び受熱部2から発生熱31の熱を受け取る。
【0037】
このようにして、冷媒32である水の気化と凝縮による自然循環によって冷媒32を冷却ループ51内で循環させ、原子炉格納容器22内の発生熱31を原子炉格納容器外側へ輸送し、原子炉格納容器22内の発生熱31の徐熱を行う。
【0038】
次に、地震発生時の耐震性能について説明する。PCV熱輸送装置1の冷却タンク3は、冷却タンク3のタンク上面が原子炉圧力容器23の重心24より下方に位置するように設けられるため、地震発生時に冷却タンク3によって原子炉建屋21全体に及ぼすモーメントは、冷却タンク3が原子炉圧力容器23の上方に配置されるときに比べて低減される。
【0039】
さらに、原子炉格納容器22の側壁と、冷却タンク4の側壁は独立して離間しているため、地震時の冷却タンク3のモーメントは原子炉格納容器22の側壁に直接伝達せず、原子炉格納容器22の耐震性能への影響を低減することができる。
【0040】
(効果)
本発明の第1の実施形態によれば、原子炉格納容器22内の発生熱31を受熱部2によって受熱して冷媒32に与え、さらに放熱部4によって冷媒32の熱を冷却タンク3内の冷却材33に放熱することによって、原子炉格納容器22内の発生熱31を原子炉格納容器22外側へ輸送し、徐熱することができる。
【0041】
さらに、冷却タンク3を、タンク上面が原子炉圧力容器23の重心24より下方に位置するように設け、さらに原子炉格納容器22の側壁と冷却タンク4の側壁とを独立して離間させることによって、PCV熱輸送装置1による原子炉建屋21および原子炉格納容器22の耐震性能への影響を低減することができる。
【0042】
図15は、本発明の第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置を加圧水型原子力プラントに設けた例を示す概略縦断面図である。加圧水型原子力プラントにおける原子炉容器23は、内部に核燃料および冷却材である水(図示せず。)を収容し、加圧された冷却水の圧力に耐え得るように設計された金属容器である。加圧水型原子炉における原子炉容器23には一般的に、上部において制御棒駆動機構が設けられ、側面において一次冷却水配管が設けられるものとする(図示せず。)。
【0043】
さらに、加圧水型原子力プラントにおける原子炉格納容器22は、鉄鋼製のドームによって構成され、内部において原子炉容器23に加えて、1次冷却水を内部に導入して蒸気を発生させる蒸気発生器25および1次冷却水に圧力を加える加圧器26が設けられている。
【0044】
図16は、本発明の第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置を高速炉プラントに設けた例を示す概略縦断面図である。高速炉プラントにおける原子炉容器23は、内部に核燃料および冷却材である液体ナトリウム(図示せず。)を収容する容器である。高速炉プラントにおける原子炉容器23には一般的に、上部において制御棒駆動機構が設けられ、側面においてナトリウム配管が設けられている(図示せず。)。
【0045】
さらに、高速炉プラントにおける原子炉格納容器22は、鉄鋼製のドームによって構成され、内部において原子炉容器23に加えて一次系ナトリウムと二次系ナトリウムの熱交換を行う中間熱交換器27が設けられるものとする。なお、高速炉プラントが二次系ナトリウムループを省いた構成である場合、中間熱交換器の構成は省かれる。
【0046】
(第2の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第2の実施形態に係るPCV熱輸送装置について図3を参照して説明する。第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0047】
図3は、本発明の第2の実施形態に係るPCV熱輸送装置の概略縦断面図である。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、新たに中間熱輸送装置8を設けた点である。中間熱輸送装置8は、中間放熱部6と中間受熱部7とから構成される。中間熱輸送装置8は、受熱部2と放熱部4の間であって、原子炉格納容器22の内側において配置される。
【0048】
中間放熱部6と中間受熱部7は、互いの側面を接触させて配置される。中間放熱部6は、内部を流れる冷媒32の熱を中間受熱部7へ放熱し、中間受熱部7は、内部を流れる冷媒32へ中間放熱部6から受け取った熱を与えることができるものとする。
【0049】
ヒートパイプ5aによって、受熱部2の受熱部導入孔41と中間放熱部6の排出孔を連結し、受熱部2の受熱部排出孔42と中間放熱部6の導入孔を連結することによって受熱部側冷却ループ52を構成する。さらに、ヒートパイプ5bは、原子炉格納容器22の側壁を貫通し、放熱部4の放熱部導入孔43と中間受熱部7の排出孔を連結し、放熱部4の放熱部排出孔44と中間受熱部7の導入孔を連結することによって放熱部側冷却ループ53を構成する。
【0050】
(作用)
以下、本発明の第2の実施形態の作用について説明する。受熱部側冷却ループ52において、受熱部2は、原子炉格納容器22内の発生熱31を受熱し、発生熱31を内部を流れる冷媒32に与える。発生熱31を受け取った冷媒32は、受熱部排出孔42から排出され、ヒートパイプ5a内を中間放熱部6の方向へ移動する。中間放熱部6は、導入孔から冷媒32を内部に導入し、冷媒32の熱を中間受熱部7に放熱する。
【0051】
さらに、放熱部側冷却ループ53において、中間受熱部7は、内部を流れる冷媒32へ中間放熱部6から受け取った熱を与える。中間受熱部7から熱を受け取った冷媒32は、中間受熱部7の排出孔から排出され、ヒートパイプ5b内を放熱部4の方向へ移動する。放熱部4は、放熱部導入孔43から冷媒32を内部に導入し、冷媒32の熱を冷却タンク3の冷却材33に放熱する。
【0052】
(効果)
本発明の第2の実施形態によれば、中間熱輸送装置8を新たに設け、受熱部側冷却ループ52および放熱部側冷却ループ53からなる複数の熱サイクルを形成することによって、PCV熱輸送装置1全体をより広い温度範囲の熱サイクルとし、発生熱31の熱輸送効率を高めることができる。
【0053】
なお、中間放熱部6と中間受熱部7の互いの側面を接触させて中間放熱部6から中間受熱部7へ熱を伝達させるだけでなく、中間放熱部6と中間受熱部7の間に熱伝導性の高い金属やセラミクスを設けて、これらによって中間放熱部6から中間受熱部7への熱の伝達を媒介させてもよい。また、受熱部側冷却ループ52内部と放熱部側冷却ループ53内部を流れる冷媒32に異なる材料を適用することによって、より広い温度範囲の熱サイクルとすることが可能となる。
【0054】
さらに、中間熱輸送装置8は、受熱部2と放熱部4の間であって、原子炉格納容器22の内側において配置されるだけでなく、原子炉格納容器22の外側において配置してもよい。このとき、ヒートパイプ5aが原子炉格納容器22の側壁を貫通して、受熱部2と中間熱輸送装置8を連結するものとする。
【0055】
(第3の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第3の実施形態に係るPCV熱輸送装置について図4を参照して説明する。第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。図4は、本発明の第3の実施形態に係るPCV熱輸送装置の概略断面図である。第3の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、新たに第2中間熱輸送装置15を設けた点である。
【0056】
第2中間熱輸送装置15は、第2中間放熱部13と第2中間受熱部14とから構成される。第2中間熱輸送装置15は、受熱部2と放熱部4の間であって、原子炉格納容器22の外側において配置される。
【0057】
第2中間放熱部13と第2中間受熱部14は、互いの側面を接触させて配置される。第2中間放熱部13は、内部を流れる冷媒32の熱を第2中間受熱部14へ放熱し、第2中間受熱部14は、内部を流れる冷媒32へ第2中間放熱部13から受け取った熱を与えることができるものとする。
【0058】
ヒートパイプ5aによって、受熱部2の受熱部排出孔42と中間放熱部6の導入孔を連結し、受熱部2の受熱部導入孔41と中間放熱部6の排出孔を連結することによって受熱部側冷却ループ52を構成する。
【0059】
また、ヒートパイプ5bによって、放熱部4の放熱部導入孔43と第2中間受熱部14の排出孔を連結し、放熱部4の放熱部排出孔44と第2中間受熱部14の導入孔を連結することによって放熱部側冷却ループ53を構成する。
【0060】
さらに、ヒートパイプ5cによって、中間受熱部7の排出孔と第2中間放熱部13の導入孔を連結し、中間受熱部7の導入孔と第2中間放熱部13の排出孔を連結することによって中間冷却ループ54を構成する。
【0061】
(作用)
以下、本発明の第3の実施形態の作用について説明する。受熱部側冷却ループ52において、受熱部2は、原子炉格納容器22内の発生熱31を受熱し、内部を流れる冷媒32に発生熱31を与える。発生熱31を受け取った冷媒32は、受熱部排出孔42から排出され、ヒートパイプ5a内を中間放熱部6の方向へ移動する。中間放熱部6は、導入孔から冷媒32を内部に導入し、冷媒32の熱を中間受熱部7に放熱する。
【0062】
中間冷却ループ54において、中間受熱部7は、内部を流れる冷媒32に中間放熱部6からの熱を与える。中間受熱部7から熱を受け取った冷媒32は、排出孔から排出され、ヒートパイプ5c内を第2中間放熱部13の方向へ移動する。第2中間放熱部13は、導入孔から冷媒32を内部に導入し、冷媒32の熱を第2中間受熱部14に放熱する。
【0063】
放熱部側冷却ループ53において、第2中間受熱部14は、内部を流れる冷媒32に第2中間放熱部13から受け取った熱を与える。第2中間受熱部14において熱を受け取った冷媒32は、排出孔から排出され、ヒートパイプ5b内を放熱部4の方向へ移動する。放熱部4は、放熱部導入孔43から冷媒32を内部に導入し、冷媒32の熱を冷却タンク3内の冷却材33に放熱する。
【0064】
(効果)
本発明の第3の実施形態によれば、中間熱輸送装置8および第2中間熱輸送装置15を新たに設け、受熱部側冷却ループ52および放熱部側冷却ループ53ならびに中間冷却ループ54からなる複数の熱サイクルを形成することによって、PCV熱輸送装置1全体をより広い温度範囲の熱サイクルとし、発生熱31の熱輸送効率を高めることができる。
【0065】
(第4の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第4の実施形態に係るPCV熱輸送装置について図5乃至図7を参照して説明する。第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0066】
図5は、本発明の第4の実施形態に係るPCV熱輸送装置の概略縦断面図である。第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、ヒートパイプ5に代えてウィック式ヒートパイプ16を設けた点である。ウィック式ヒートパイプ16は、配管の内周面にウィック17が内張りされることにより構成される。ここで、ウィック17には、金属焼結体やセラミックスといった多孔質材料が適用され、毛細管作用によって内部に液体の凝縮冷媒35を流通させることができるものである。さらに、配管のうちウィック17より内側の部位を気体流通部18とする。
【0067】
ウィック式ヒートパイプ16は、受熱部2の側面と放熱部4の側面を連結して冷却流路61を形成する。さらに、凝縮冷媒35を放熱部4からウィック式ヒートパイプ16を伝って受熱部2へ移動させることができるように、受熱部2および放熱部4の内部においても、ウィック式ヒートパイプ16のウィック17と連続するようにウィック17を内張りすることが望ましい。
【0068】
(作用)
以下、本発明の第4の実施形態の作用について説明する。受熱部2は、原子炉格納容器22内の発生熱31を受熱して、内部を流れる凝縮冷媒35に発生熱31を与える。凝縮冷媒35は、発生熱31を受け取り気化して気化冷媒34となり、ウィック式ヒートパイプ16における気体流通部18内を伝って放熱部4方向に移動する。放熱部4において気化冷媒34は、熱を冷却タンク3内の冷却材33へ放熱し、凝縮して凝縮冷媒35となる。凝縮冷媒35は、ウィック式ヒートパイプ16におけるウィック17内を毛細管作用によって受熱部2方向に移動し、再び受熱部2において発生熱31を受け取る。
【0069】
なお、本実施形態は以下の変形が可能である。図6は、本発明の第4の実施形態に係るPCV熱輸送装置の中間熱輸送装置を設けた場合の全体概略縦断面図である。この場合、第2の実施形態と同様に中間熱輸送装置8を原子炉格納容器22の内側において設けるものとする。さらに、受熱部2と中間放熱部6をウィック式ヒートパイプ16aによって連結して受熱部側冷却流路62を形成し、放熱部4と中間受熱部7をウィック式ヒートパイプ16bによって連結して放熱部側冷却流路63を形成する。
【0070】
本構成においては、第2の実施形態と同様に、受熱部2において冷媒31に与えた発生熱31を中間熱輸送装置8を介して、放熱部4において冷却タンク3内の冷却材33への放熱することができる。
【0071】
図7は、本発明の第4の実施形態に係るPCV熱輸送装置の中間熱輸送装置および第2中間熱輸送装置を設けた場合の全体概略縦断面図である。この場合、第3の実施形態と同様に中間熱輸送装置8を原子炉格納容器22の内側において設け、第2中間熱輸送装置15を原子炉格納容器22の外側において設けるものとする。さらに、放熱部4と中間受熱部7をウィック式ヒートパイプ16bによって連結して受熱部側冷却流路62を形成し、中間受熱部7と第2中間放熱部13をウィック式ヒートパイプ16cによって連結して中間冷却流路64を形成し、放熱部4と第2中間受熱部14をウィック式ヒートパイプ16bによって連結して放熱部側冷却流路63を形成する。
【0072】
本構成においては、第3の実施形態と同様に、受熱部2において冷媒31に与えた発生熱31を中間熱輸送装置8および第2中間熱輸送装置15を介して、放熱部4において冷却タンク3内の冷却材33への放熱することができる。
【0073】
また、1本のウィック式ヒートパイプ16によって受熱部2と放熱部4を連結するだけでなく、複数のウィック式ヒートパイプ16によって受熱部2と放熱部4を連結してもよい。さらに、ウィック式ヒートパイプ16は、配管の内周面にウィック17を内張りする構成だけでなく、凝縮冷媒35を流通させる気体流通部18からなる配管と、気体冷媒34を流通させるウィック17からなる配管を独立させた構成としてもよい。
【0074】
(効果)
本発明の第4の実施形態によれば、ウィック式ヒートパイプ16によって受熱部2の側面と放熱部4を連結して冷却流路61を形成し、ウィック式ヒートパイプ16のウィック17内において毛細管作用により冷媒31を受熱部2方向へ移動させることによって、外部動力なしに冷媒31を冷却流路61内において循環させることができる。
【0075】
(第5の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第5の実施形態に係るPCV熱輸送装置について図8および図9を参照して説明する。第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。図8は、本発明の第5の実施形態に係るPCV熱輸送装置の全体概略縦断面図である。第5の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、受熱部2を原子炉格納容器22の側壁内面に沿って配置した点である。
【0076】
図9は、本発明の第5の実施形態に係るPCV熱輸送装置の受熱部の概略縦断面図である。受熱部2は、一面が原子炉格納容器22の側壁内面に沿って配置される。さらに受熱部2は、原子炉格納容器22の側壁内面に沿う面において受熱部導入孔41および受熱部排出孔42が設けられ、受熱部導入孔41および受熱部排出孔42にそれぞれヒートパイプ5が接続される。
【0077】
(作用)
以下、本発明の第5の実施形態の作用について説明する。受熱部2は、原子炉格納容器22の側壁内面から露出する面において、発生熱31を受熱し、内部を流れる冷媒32に発生熱31を与える。発生熱31を受け取った冷媒32はヒートパイプ5内を放熱部4へ移動する。
【0078】
ここで、ヒートパイプ5は、受熱部2の原子炉格納容器22の側壁内面に沿う面において設けられる受熱部導入孔41および受熱部排出孔42に接続されるため、ヒートパイプ5は、原子炉格納容器22の内側において露出しない。したがって、原子炉格納容器22の内側におけるヒートパイプ5の破損による冷媒32の漏えいを防ぐことができる。
【0079】
(効果)
本発明の第5の実施形態によれば、受熱部2を原子炉格納容器22の側壁内面に沿って配置し、受熱部2のうち原子炉格納容器22の側壁内面に沿う面において設けられる受熱部導入孔41および受熱部排出孔42にヒートパイプ5を接続することによって、原子炉格納容器22の内側に露出するヒートパイプ5をなくし、原子炉格納容器22の内側における冷媒32の漏えいを防ぐことができる。
【0080】
なお、受熱部2は、一面を原子炉格納容器22の側壁内面に沿って配置するだけでなく、受熱部2を原子炉格納容器22の側壁内側に受熱部2を埋め込むようにして配置してもよい。さらに、受熱部2によって原子炉格納容器22の側壁の一部を構成してもよい。
【0081】
なお、第2の実施形態のように中間熱輸送装置8を設けたときは、中間熱輸送装置8を原子炉格納容器22の外側に配置し、受熱部2と中間熱輸送装置8をヒートパイプ5aによって連結するものとする。また、第3の実施形態のように、第2中間熱輸送装置15を設けたときは、第2中間熱輸送装置15を原子炉格納容器22の外側であって、中間熱輸送装置8よりも放熱部4側に設けるものとする。
【0082】
さらに、第4の実施形態を適用するときは、受熱部2を原子炉格納容器22の側壁内面に沿って配置し、受熱部2のうち原子炉格納容器22の側壁内面に沿う面においてウィック式ヒートパイプ16を接続するものとする。
【0083】
(第6の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第6の実施形態に係るPCV熱輸送装置について図10を参照して説明する。第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0084】
図10は、本発明の第6の実施形態に係るPCV熱輸送装置の全体概略縦断面図である。第6の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、新たに隔離壁9を設けた点である。中間熱輸送装置8は、原子炉格納容器22の内側において配置される。隔離壁9は、受熱部2と中間熱輸送装置8の間に配置され、中間熱輸送装置8を原子炉格納容器22の側壁および隔離壁9によって包囲するように設けられる。
【0085】
(作用)
以下、本発明の第6の実施形態の作用について説明する。中間熱輸送装置8およびその近傍のヒートパイプ5に破損が生じ冷媒32が外部に漏えいしたとき、漏えいした冷媒32は、原子炉格納容器22内部の水素や酸素、または原子炉格納容器22内の構造物と接触して反応を起こす可能性がある。さらに、漏えいした冷媒32が気化し、原子炉格納容器22内部の圧力の増大を招く可能性がある。
【0086】
本実施形態の構成において、中間熱輸送装置8は原子炉格納容器22の側壁および隔離壁9によって包囲されているので、中間熱輸送装置8およびその近傍のヒートパイプ5から冷媒32が漏えいしたとき、冷媒32を原子炉格納容器22の側壁と隔離壁9との間に留めることができるので、上述した冷媒32の水素や酸素との反応や、気化した冷媒32による原子炉格納容器22内部の圧力の増大を防ぐことができる。
【0087】
(効果)
本発明の第6の実施形態によれば、中間熱輸送装置8を原子炉格納容器22の側壁および隔離壁9によって包囲することによって、中間熱輸送装置8およびその近傍のヒートパイプ5の破損による影響を低減することができる。
【0088】
(第7の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第7の実施形態に係るPCV熱輸送装置について図11および図12を参照して説明する。第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0089】
図11は、本発明の第7の実施形態に係るPCV熱輸送装置の概略縦断面図である。第7の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、新たに熱媒介装置10を設けた点である。さらに、中間熱輸送装置8の中間放熱部6を原子炉格納容器22の側壁内面に沿って配置し、中間熱輸送装置8の中間受熱部7を原子炉格納容器22の側壁外面に沿って配置する。
【0090】
図12は、本発明の第7の実施形態に係るPCV熱輸送装置の中間熱輸送装置および熱媒介装置を示し、(a)は概略縦断面図、(b)は概略横断面図である。熱媒介装置10は、原子炉格納容器22の側壁であって、中間放熱部6と中間受熱部7とが対向する位置に設けられる。熱媒介装置10は、中間放熱部6から熱を効率よく受け取るために、熱伝導性の高い材料が適用され、中間放熱部6のうち中間受熱部7と対向する面に沿う形状とする。さらに、熱媒介装置10において中間放熱部6の熱を中間受熱部7へ効率よく伝達させるために、中間放熱部6および原子炉格納容器22の側壁ならびに中間受熱部7を貫くフィン47を設け、フィン47の両端をそれぞれ中間放熱部6および中間受熱部7の内部を流れる冷媒32に接触させることが望ましい。
【0091】
(作用)
以下、本発明の第7の実施形態の作用について説明する。受熱部2は、原子炉格納容器22内の発生熱31を受熱し、発生熱31を内部を流れる冷媒32に与える。発生熱31の熱を受け取った冷媒32は、受熱部排出孔42から排出され、ヒートパイプ5a内を中間放熱部6の方向へ移動する。
【0092】
中間放熱部6は、導入孔から冷媒32を内部に導入し、冷媒32の熱を熱媒介装置10に与える。熱媒介装置10は、中間放熱部6から受け取った熱を中間受熱部7へ与える。中間受熱部7は、内部を流れる冷媒32へ中間放熱部6から受け取った熱を与える。中間受熱部7から熱を受け取った冷媒32は、排出孔から排出され、ヒートパイプ5b内を放熱部4の方向へ移動する。放熱部4は、放熱部導入孔43から冷媒32を内部に導入し、冷媒32の熱を冷却タンク3の冷却材33に放熱する。
【0093】
ここで、原子炉格納容器22の側壁にヒートパイプ5を貫通させて設けると、ヒートパイプ5に破断等が生じたときに、原子炉格納容器22内部の物質が側壁に設けられたヒートパイプ5用の貫通孔を通って外部に漏えいする可能性がある。しかしながら、本実施形態では、ヒートパイプ5は原子炉格納容器22の側壁を貫通しないので、原子炉格納容器22内部の物質の外部への漏えいを防ぐことができる。
【0094】
(効果)
本発明の第7の実施形態によれば、熱媒介装置10を原子炉格納容器22の側壁において設け、熱媒介装置10によって、中間放熱部6から中間受熱部7への熱輸送を行わせることによって、ヒートパイプ5による原子炉格納容器22の側壁の貫通孔をなくし、原子炉格納容器22内の物質の外部への流出を防ぐことができる。
【0095】
なお、原子炉格納容器22の側壁が十分な熱伝導性を持つときは、原子炉格納容器22の側壁を熱媒介装置10として兼用させることができる。さらに、熱媒介装置10によって原子炉格納容器22の側壁の一部を構成してもよい。
【0096】
(第8の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第8の実施形態に係るPCV熱輸送装置について図13を参照して説明する。第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0097】
図13は、本発明の第8の実施形態に係るPCV熱輸送装置の概略縦断面図である。第8の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、新たに蓄熱体11を設けた点である。蓄熱体11は、原子炉格納容器22の外側に位置するヒートパイプ5bのいずれかの位置において接続される。
【0098】
蓄熱体11は、ヒートパイプ5内部の冷媒32の熱を受熱し蓄熱することができる装置である。さらに、蓄熱体11は、運転員または専用の取替え装置によって着脱可能な構成とする。
【0099】
(作用)
以下、本発明の第8の実施形態の作用について説明する。PCV熱輸送装置1の徐熱容量は、十分な余裕をもって設計されるが、原子炉圧力容器23の過酷事故によっては、原子炉格納容器22内の発生熱31がPCV熱輸送装置1の熱サイクルの熱輸送容量を超過する可能性がある。
【0100】
しかしながら、本実施形態では、PCV熱輸送装置1の熱容量を超過するときに、ヒートパイプ5に蓄熱体11を接続して超過分の熱を受熱させ、受熱した蓄熱体11を取り外すことによって、PCV熱輸送装置1の熱サイクルの熱輸送容量の超過時においても原子炉格納容器22内の発生熱31の徐熱を行うことができる。
【0101】
(効果)
本発明の第8の実施形態によれば、原子炉格納容器22内の発生熱31がPCV熱輸送装置1の熱サイクルの容量を超過したときでも、ヒートパイプ5に蓄熱体11を接続して超過分の熱を受熱させ、受熱した蓄熱体11を取り外すことによって、原子炉格納容器22内の発生熱31の徐熱を行うことができる。
【0102】
なお、第3の実施形態のように、第2中間熱輸送装置8bを設けたときにおいても、放熱部側冷却ループ53を構成するヒートパイプ5bおよび中間冷却ループ54を構成するヒートパイプ5cのうち原子炉格納容器22の外側に位置するいずれかの位置において蓄熱体11を接続することが可能である。
【0103】
(第9の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第9の実施形態に係るPCV熱輸送装置について図14を参照して説明する。第1の実施形態に係るPCV熱輸送装置の各部と同一部分には同一符号を付し、同一の構成についての説明は省略する。
【0104】
図14は、本発明の第9の実施形態に係るPCV熱輸送装置の概略縦断面図である。第9の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、受熱部2および放熱部4の内部において、冷媒32を旋回または蛇行させる曲流機構12を設けた点である。曲流機構12は、受熱部2および放熱部4の内部において、複数のフィンまたは凹凸形状として設けられ、冷媒32の流れを旋回または蛇行させることができるものとする。
【0105】
(作用)
以下、本発明の第9の実施形態の作用について説明する。受熱部2および放熱部4の内部において、曲流機構12は、冷媒32を旋回または蛇行させる。冷媒32は、旋回または蛇行することによって受熱部2および放熱部4の内面との接触時間および接触体積を増やし、受熱部2が冷媒32へ与える熱量、ならびに放熱部4が冷媒32から受け取る熱量を、曲流機構12を設けないときに比べて増やすことができる。
【0106】
(効果)
本発明の第9の実施形態によれば、曲流機構12によって受熱部2および放熱部4の内部において冷媒32を旋回または蛇行させることによって、受熱部2が冷媒32へ与える熱量、ならびに放熱部4が冷媒32から受け取る熱量を増やし、PCV熱輸送装置1の徐熱効率を高めることができる。
【0107】
なお、第2の実施形態における中間熱輸送装置8の中間放熱部6および中間受熱部7、ならびに第3の実施形態における第2中間熱輸送装置15の第2中間放熱部13および第2中間受熱部14においても内部に曲流機構12を設けることによって受放熱する熱量を増やし、PCV熱輸送装置1の徐熱効率を高めることができる。
【0108】
なお、本発明の実施形態は上述した実施形態に限られないことは言うまでもない。例えば、受熱部2および冷却タンク3ならびに放熱部4の大きさや形状は、原子力発電所の出力や必要とする徐熱容量によって適宜変更され得るものである。さらに、冷媒32および冷却材33の材料ならびに温度も同様に適宜変更され得るものである。
【0109】
また、冷却タンク3の冷却材33を冷却する冷却手段は、原子力プラントの運転中に常に冷却材33を所定温度以下に下回るように運転する必要はなく、原子力プラントの過酷事故を感知することによって、または運転員による指令によって運転するようにしてもよい。なお、上述した第1から第9の実施形態は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0110】
1・・・PCV熱輸送装置
2・・・受熱部
3・・・冷却タンク
4・・・放熱部
5、5a、5b、5c・・・ヒートパイプ
6・・・中間放熱部
7・・・中間受熱部
8・・・中間熱輸送装置
9・・・隔離壁
10・・・熱媒介装置
11・・・蓄熱体
12・・・曲流機構
13・・・第2中間放熱部
14・・・第2中間受熱部
15・・・第2中間熱輸送装置
16、16a、16b・・・ウィック式ヒートパイプ
17・・・ウィック
18・・・気体流通部
21・・・原子炉建屋
22・・・原子炉格納容器
23・・・原子炉圧力容器
24・・・重心
25・・・蒸気発生器
26・・・加圧器
27・・・中間熱交換器
31・・・発生熱
32・・・冷媒
33・・・冷却材
34・・・気化冷媒
35・・・凝縮冷媒
41・・・受熱部導入孔
42・・・受熱部排出孔
43・・・放熱部導入孔
44・・・放熱部排出孔
45、46、47・・・フィン
51・・・冷却ループ
52・・・受熱部側冷却ループ
53・・・放熱部側冷却ループ
54・・・中間冷却ループ
61・・・冷却流路
62・・・受熱部側冷却流路
63・・・放熱部側冷却流路
64・・・中間冷却流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器の内側において設けられ、この原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、内部を流れる冷媒に受熱した前記発生熱を与える受熱部と、
前記原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられ、内部において冷却材を収容し、この冷却材を所定温度以下に保つ冷却手段を有する冷却タンクと、
前記冷却タンク内において設けられ、内部を流れる前記冷媒の熱を前記冷却タンク内の前記冷却材へ放熱する放熱部と、
前記受熱部と前記放熱部を連結して冷却ループを形成するヒートパイプとを備え、前記冷却ループ内において前記冷媒を循環させることを特徴とする原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項2】
原子炉格納容器の内側において設けられ、この原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、内部を流れる冷媒に受熱した前記発生熱を与える受熱部と、
前記原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられ、内部において冷却材を収容し、この冷却材を所定温度以下に保つ冷却手段を有する冷却タンクと、
前記冷却タンク内において設けられ、内部を流れる前記冷媒の熱を前記冷却タンク内の前記冷却材へ放熱する放熱部と、
気化した前記冷媒が流通する気体流通部と、凝縮した前記冷媒が流通するウィックとを有し、前記受熱部と前記放熱部を連結して冷却流路を形成するヒートパイプとを備え、
前記冷却流路内において前記冷媒を循環させることを特徴とする原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項3】
原子炉格納容器の内側において設けられ、この原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、内部を流れる冷媒に受熱した前記発生熱を与える受熱部と、
前記原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられ、内部において冷却材を収容し、この冷却材を所定温度以下に保つ冷却手段を有する冷却タンクと、
前記冷却タンク内において設けられ、内部を流れる前記冷媒の熱を前記冷却タンク内の前記冷却材へ放熱する放熱部と、
前記受熱部と前記放熱部との間において設けられ、中間受熱部と中間放熱部とを有し、前記中間受熱部の内部を流れる前記冷媒の熱を前記中間放熱部の内部を流れる前記冷媒へ与える中間熱輸送装置と、
前記受熱部と前記中間熱輸送装置の前記中間放熱部を連結して受熱部側冷却ループを形成し、さらに前記放熱部と前記中間熱輸送装置の前記中間受熱部を連結して放熱部側冷却ループを形成するヒートパイプとを備え、前記受熱部側冷却ループおよび前記放熱部側冷却ループ内において前記冷媒を循環させることを特徴とする原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項4】
原子炉格納容器の内側において設けられ、この原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、内部を流れる冷媒に受熱した前記発生熱を与える受熱部と、
前記原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられ、内部において冷却材を収容し、この冷却材を所定温度以下に保つ冷却手段を有する冷却タンクと、
前記冷却タンク内において設けられ、内部を流れる前記冷媒の熱を前記冷却タンク内の前記冷却材へ放熱する放熱部と、
前記受熱部と前記放熱部との間において設けられ、中間受熱部と中間放熱部とを有し、前記中間受熱部の内部を流れる前記冷媒の熱を前記中間放熱部の内部を流れる前記冷媒へ与える中間熱輸送装置と、
気化した前記冷媒が流通する気体流通部と、凝縮した前記冷媒が流通するウィックとを有し、前記受熱部と前記中間熱輸送装置の前記中間放熱部を連結して受熱部側冷却流路を形成し、さらに前記放熱部と前記中間熱輸送装置の前記中間受熱部を連結して放熱部側冷却流路を形成するヒートパイプとを備え、
前記受熱部側冷却流路および前記放熱部側冷却流路内において前記冷媒を循環させることを特徴とする原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項5】
原子炉格納容器の内側において設けられ、この原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、内部を流れる冷媒に受熱した前記発生熱を与える受熱部と、
前記原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられ、内部において冷却材を収容し、この冷却材を所定温度以下に保つ冷却手段を有する冷却タンクと、
前記冷却タンク内において設けられ、内部を流れる前記冷媒の熱を前記冷却タンク内の前記冷却材へ放熱する放熱部と、
前記受熱部と前記放熱部との間において設けられ、中間受熱部と中間放熱部とを有し、前記中間受熱部の内部を流れる冷媒の熱を前記中間放熱部の内部を流れる冷媒へ与える中間熱輸送装置と、
前記受熱部と前記放熱部との間であって前記中間熱輸送装置よりも前記放熱部側において設けられ、第2中間受熱部と第2中間放熱部とを有し、前記第2中間受熱部の内部を流れる冷媒の熱を前記第2中間放熱部の内部を流れる冷媒へ与える第2中間熱輸送装置と、
前記受熱部と前記中間熱輸送装置の前記中間放熱部を連結して受熱部側冷却ループを形成し、さらに前記中間熱輸送装置の前記中間放熱部と前記第2中間熱輸送装置の前記中間受熱部を連結して中間冷却ループを形成し、さらに前記放熱部と前記第2中間熱輸送装置の前記中間受熱部を連結して放熱部側冷却ループを形成するヒートパイプとを備え、前記受熱部側冷却ループおよび前記中間冷却ループおよび前記放熱部側冷却ループ内において前記冷媒を循環させることを特徴とする原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項6】
原子炉格納容器の内側において設けられ、この原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、内部を流れる冷媒に受熱した前記発生熱を与える受熱部と、
前記原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられ、内部において冷却材を収容し、この冷却材を所定温度以下に保つ冷却手段を有する冷却タンクと、
前記冷却タンク内において設けられ、内部を流れる前記冷媒の熱を前記冷却タンク内の前記冷却材へ放熱する放熱部と、
前記受熱部と前記放熱部との間において設けられ、中間受熱部と中間放熱部とを有し、前記中間受熱部の内部を流れる冷媒の熱を前記中間放熱部の内部を流れる冷媒へ与える中間熱輸送装置と、
前記受熱部と前記放熱部との間であって前記中間熱輸送装置よりも前記放熱部側において設けられ、第2中間受熱部と第2中間放熱部とを有し、前記第2中間受熱部の内部を流れる冷媒の熱を前記第2中間放熱部の内部を流れる冷媒へ与える第2中間熱輸送装置と、
気化した前記冷媒が流通する気体流通部と、凝縮した前記冷媒が流通するウィックとを有し、前記受熱部と前記中間熱輸送装置の前記中間放熱部を連結して受熱部側冷却流路を形成し、さらに前記中間熱輸送装置の前記中間放熱部と前記第2中間熱輸送装置の前記中間受熱部を連結して中間冷却流路を形成し、さらに前記放熱部と前記第2中間熱輸送装置の前記中間受熱部を連結して放熱部側冷却流路を形成するヒートパイプとを備え、
前記受熱部側冷却ループおよび前記中間冷却ループおよび前記放熱部側冷却ループ内において前記冷媒を循環させることを特徴とする原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項7】
前記受熱部は、前記原子炉格納容器の側壁内面に沿って配置され、
前記ヒートパイプは、前記受熱部のうち前記原子炉格納容器の側壁内面に沿う面において前記受熱部と連結されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項記載の原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項8】
前記中間熱輸送装置は、前記原子炉格納容器の内側において設けられ、
さらに前記原子炉格納容器の内側において、前記原子炉格納容器の側壁内面とともに前記中間熱輸送装置を包囲する隔離壁を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか一項記載の原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項9】
前記中間熱輸送装置の前記中間放熱部は、前記原子炉格納容器の側壁内面に沿って配置され、
前記中間熱輸送装置の前記中間受熱部は、前記原子炉格納容器の側壁外面に沿って配置され、
前記原子炉格納容器の側壁であって、前記中間放熱部と前記中間受熱部とが対向する位置において、前記中間放熱部から熱を受け取り、前記中間受熱部へ熱を与える熱媒介装置をさらに備えることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか一項記載の原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項10】
前記ヒートパイプのうち前記原子炉格納容器の外側に位置する部分のいずれかにおいて、前記冷媒の熱を受け取り蓄熱し、さらに着脱可能な蓄熱体をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項記載の原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項11】
前記受熱部および前記放熱部の内部において、前記冷媒を蛇行または旋回させる曲流機構を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項記載の原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項12】
前記冷却タンクは、前記タンク上面がさらに前記原子炉圧力容器の重心より下方に位置するように設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか一項記載の原子炉格納容器の熱輸送装置。
【請求項13】
原子炉格納容器の内側に設けられる受熱部によって原子炉格納容器内の発生熱を受熱し、前記受熱部の内部を流れる冷媒に受熱した発生熱を与える工程と、
前記原子炉格納容器の外側であって、タンク上面が原子炉圧力容器の上頂よりも下方に位置するように設けられる冷却タンク内に収容され、冷却手段によって所定の温度以下に保たれる冷却材へ放熱部の内部を流れる前記冷媒の熱を放熱する工程と、
前記受熱部と前記放熱部をヒートパイプによって連結した冷却ループ内において前記冷媒を循環させる工程とを備えることを特徴とする原子炉格納容器内の熱輸送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−154644(P2012−154644A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11355(P2011−11355)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】