説明

原子炉燃料アセンブリ用の燃料棒およびその製造方法

【課題】原子炉燃料アセンブリ用の燃料棒およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】原子炉22用の燃料棒58は、底端部、中間領域内に第1の軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーン、および頂端部の近位に配置された第3の軸方向ゾーンを有する燃料棒58を含む。第1の軸方向ゾーンは、第2の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有し、第2の軸方向ゾーンは、第3の軸方向ゾーンより大きいまたはこれと等しい濃縮度を有する。また、複数の燃料棒58を含む燃料アセンブリ42、ならびに燃料棒58および燃料アセンブリ42を設計および製造する方法も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原子炉に関し、より具体的には、原子炉炉心用の燃料棒および燃料アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
本項の記述は、単に本開示に関する背景情報を提供するものであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
原子炉では、U−235などの核分裂燃料原子が、原子核崩壊をもたらす1つの中性子をその原子核に吸収し、この原子核崩壊により、運動エネルギーを有するより低い原子量の平均2つの核分裂破片およびいくつかの中性子を高エネルギーで生成する。一般的な原子炉では、燃料は、燃料棒の形をとり、その各々は、縦長の被覆チューブ内に配置された核燃料の積み重ねられた焼結ペレットを含む。各々の燃料棒は、同じ長さでも、異なる長さのものでもよい。通常、各々の燃料棒は、燃料棒の縦/軸方向に燃料濃縮度の分布を有し、しばしば、燃料棒の軸方向長さ全域で一様な濃縮度になるように設計される。
【0004】
燃料棒のグループが、互いに結合され、しばしば、ケーシング内に封入されて燃料バンドル(燃料アセンブリとも称される)が形成される。燃料アセンブリは、原子炉炉心内に置かれ、炉心内で上部と下部の炉心板の間に支持される。複数の燃料アセンブリは、自発的な核分裂反応が可能である原子炉炉心を形成するように行列状に配列される。
【0005】
核分裂生成物の運動エネルギーが、燃料棒内で熱として消散される。エネルギーはまた、燃料アセンブリ内に蓄えられ、中性子、γ線および核分裂プロセスから生じる他の放射線によって低減される。原子炉の運転中、(冷却材および中性子減速材の両方の働きをする)水は、燃料アセンブリの底部に入り、燃料棒を過ぎて燃料アセンブリを通って上方向に流れる。熱が、燃料棒によって放出され、水に取り込まれ、この水が沸騰し、蒸気に転換される。冷却材(液体と蒸気)が、燃料アセンブリの上部を抜けて上方向に立ち上がり、蒸気は、燃料アセンブリの頂部から出て、そこで蒸気は、電気エネルギーを生成するためのタービンへの送出のために集められる。
【0006】
水および蒸気が上昇するとき、冷却材は、液体含有量が低減し、蒸気含有量が増大する。燃料棒の上部では、冷却材は、主として蒸気を含有する。このため、燃料アセンブリの上部の燃料は、燃料アセンブリの底部の燃料ほど、液体から蒸気の発生に効率良く使用されない結果となる。さらに、燃料アセンブリの上部では蒸気含有量がより多いため、液体の蒸気に対する比がより高い下部よりも、冷却材による燃料棒の冷却が小さくなる結果となる。燃料棒からの熱量が、燃料棒の上部で使用可能な冷却材より過剰になると、ドライアウトのリスクが生じる。さらに、燃料アセンブリおよび炉心の底部から頂部の圧力降下の割合が大きくなるほど、炉心の不安定性が増す。より高い割合の蒸気が存在するとき、冷却材の中性子の減速が低減される。というのは、蒸気は、水に比べて劣る減速材であるからである。
【0007】
運転中、蒸気ボイドの割合は、原子炉の頂部に向って上昇し、それにより、炉心の頂部領域内および燃料棒およびアセンブリの周りでは減速が低下する。したがって、原子炉炉心内の出力分布は、一般に、炉心の低部領域に向って歪曲される。可燃性吸収材を軸方向に不均一に分布させることによってこれを補い、炉心の中間および/または頂部の軸方向部分内でウランを濃縮することが、知られている実践である。可燃性吸収材は、中性子吸収によってより小さい中性子吸収能力を有する材料に転換された中性子吸収材である。いくつかの燃料棒が、しばしば可燃性吸収材を備えて設けられ、燃料棒内の出力分布は、高温作動時に最大反応度を有する軸方向領域に向って歪曲される。よく知られた可燃性吸収材は、通常ガドリニアの形態のガドリニウムである。設計上使用可能な可燃性吸収材は、小さな中性子断面の吸収材によって残留した同位体中性子吸収のために、望ましくない燃料補給終了サイクルの中性子吸収反応性残留物を有する。例えば、ガドリニウムが可燃性吸収材として使用される場合、高断面同位体(Gd−155およびGd−157)は、すばやく減少するが、偶同位体(Gd−154、Gd−156、およびGd−158)内における連続した中性子捕獲により、残留の吸収が残る。したがって、可燃性吸収材を使用することは、最も効果的または望ましい原子炉炉心の設計方法ではなく、燃料サイクルの非能率をもたらす結果となる。
【0008】
さらに、原子炉が、低温停止状態にあるとき、照射された沸騰水型原子炉炉心の頂部は、運転中、上部でのプラトニウムの生成がより多く、上部内のU−235の破壊がより少ないため、底部よりも反応度が高い(炉心の上部内では、より大きい転換率およびより小さな燃焼が生じる。)低温停止状態では、炉心の上部の蒸気ボイドが除去され、このため、炉心の上部は底部より反応度が高くなる。
【0009】
指摘するように、炉心および燃料アセンブリ内の軸方向の出力形成は、従来、より多くの可燃性吸収材を原子炉炉心の低部に含めることによって実現される。しかし、望ましい停止マージンを維持するための全出力の最適化に対する最適な可燃性吸収材形成は、低温停止中、適切に維持されない。低温停止マージンの目的を満たすには、通常、初期の濃縮およびウラン鉱石の要件に不利であり、燃料サイクル効率を低減し、したがって原子炉の燃料サイクルコストを増大させる、過度の可燃性吸収材残留を伴う燃料アセンブリを設計することが必要になる。
【0010】
別の問題は、ガドリニアなどの利用可能な可燃性吸収材が、燃料棒の熱伝導性を低下させ、核分裂ガス放出を増加させることである。その結果、ガドリニア含有棒は、燃料アセンブリ内で最も限界的な棒になることが多く、出力の割合が落とされなければならず、それに対応して局所的な出力分布への悪影響を伴う。必要とされる出力割合の低下量は、ガドリニアの濃度によって決まるが、適切な低温停止マージンを提供するためにさらに高いガドリニア濃度が要求される、拡張された燃焼燃料バンドル設計および/または高エネルギーサイクル設計には重大な問題となる。
【0011】
したがって、中間または上部内により大きい濃縮度を有し、低部に可燃性吸収材を用いて燃料アセンブリを軸方向形成する現在の方法は、最適な炉心形状を得ること、燃料サイクル効率および原子炉の運転コストに深刻な悪影響を及ぼす。
【特許文献1】米国特許第4,229,258号公報
【特許文献2】米国特許第4,330,367号公報
【特許文献3】米国特許第4,629,599号公報
【特許文献4】米国特許第4,683,113号公報
【特許文献5】米国特許第5,091,139号公報
【特許文献6】米国特許第5,171,516号公報
【特許文献7】米国特許第5,198,186号公報
【特許文献8】米国特許第5,229,068号公報
【特許文献9】米国特許第5,524,128号公報
【特許文献10】米国特許第5,544,211号公報
【特許文献11】米国特許第5,790,618号公報
【特許文献12】米国特許第5,912,933号公報
【特許文献13】米国特許第6,343,106号公報
【特許文献14】米国特許第6,611,572号公報
【特許文献15】米国特許第6,674,825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の発明者は、原子炉用の複合の軸方向に変化が付けられた濃縮された燃料棒の設計および生産に成功した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の様々な実施形態は、次の1つまたは複数を実証した;燃料利用および燃料サイクル効率の改良、非効率な可燃性吸収材の使用の低減、燃料バンドルの頂部におけるプラトニウム生成の増大、炉心上部の漏れの低減、燃料装荷パターンの柔軟性の改良、低温停止マージンの最適化、限界出力マージンの増大、Kw/ftマージンの増大、ウラン総量および燃料再補充時の平均濃縮度の低減、および/または全体の燃料サイクルコストの低減。
【0014】
1つの態様によれば、原子炉用の燃料棒は、底端部の近位に配置された第1の軸方向ゾーン、中間領域内に第1の軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーン、および頂端部の近位に配置された第3の軸方向ゾーンを含む。第1の軸方向ゾーンは、第2の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有し、第2の軸方向ゾーンは、第3の軸方向より高い、またはこれと等しい濃縮度を有する。
【0015】
別の態様によれば、原子炉用の燃料棒を設計する方法は、燃料棒の底端部の近位に配置された第1の軸方向ゾーンの濃縮度を、局所ピーク出力を最小に抑えるように指定すること、燃料棒の中間領域内に第1軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーンの濃縮度を決定すること、および燃料棒の頂端部の近位に配置された第3の軸方向ゾーンの濃縮度を決定することを含み、第2および第3の軸方向ゾーンの濃縮度を決定することは、R因子を最小にするためのものである。
【0016】
さらに別の態様によれば、原子炉用の燃料アセンブリは、1つまたは複数の燃料棒を有する複数の燃料棒を含み、この1つまたは複数の燃料棒は、概ね底端部に配置された第1の軸方向ゾーン、中間領域内に第1の軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーン、および概ね頂端部に配置された第3の軸方向ゾーンを含み、第1の軸方向ゾーンは、第2の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有し、第2の軸方向ゾーンは、第3の軸方向より大きい、またはこれと等しい濃縮度を有する。
【0017】
別の態様によれば、原子炉の燃料アセンブリは、複数の燃料棒を含み、1つまたは複数の燃料棒は、概ね底端部に配置された第1の軸方向ゾーン、中間領域内に第1軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーン、および概ね頂端部に配置された第3の軸方向ゾーンを含み、第1の軸方向ゾーンは、第1の軸方向ゾーンの局所ピーク出力を最適化するように構成され、第2および第3の軸方向ゾーンは、燃料アセンブリに合わせてR因子を最適化するように構成される。
【0018】
さらに別の態様によれば、原子炉の燃料アセンブリを設計する方法は、燃料アセンブリ内の複数の燃料棒の各々の第1の軸方向ゾーンの濃縮度を、第1の軸方向ゾーンの局所ピーク出力を最適化するように指定すること、および燃料アセンブリ内の複数の燃料棒の各々の第2の軸方向ゾーンおよび第3の軸方向ゾーンの濃縮度を、燃料アセンブリに合わせてR因子を最適化するように決定することを含み、第1の軸方向ゾーンは、各々の燃料棒の底端部の近位に配置され、第2の軸方向ゾーンは各々の燃料棒の中間領域内に第1軸方向ゾーンに隣接して配置され、第3の軸方向ゾーンは各々の燃料棒の頂端部の近位に配置される。
【0019】
さらに別の態様によれば、燃料棒を製造する方法は、チューブを、第1の濃縮度を有する複数の第1の燃料ペレットで第1の軸方向ゾーンの長さまで満たして、チューブの概ね底端部内に配置された第1の軸方向ゾーンを形成すること、チューブを、第2の濃縮度を有する複数の第2の燃料ペレットで第2の軸方向ゾーン長さまで満たして、第2の軸方向ゾーンを形成することを含み、第2の濃縮度は、第1の濃縮度より小さい。本方法はまた、チューブを、第3の濃縮度を有する複数の第3の燃料ペレットで第3の軸方向ゾーン長さまで満たして、第3の軸方向ゾーンを形成することを含み、第3の濃縮度は、第2の濃縮度より小さい、またはこれと等しい。
【0020】
さらに別の態様によれば、燃料バンドルが複数の燃料棒を含む原子炉用の燃料バンドルを製造する方法は、第1のチューブを、第1の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで低部のゾーン長さまで満たして、チューブの概ね低部内に配置された低部の軸方向ゾーンを形成すること、第1のチューブを、第1の濃縮度より小さい第2の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで中間の軸方向ゾーン長さまで満たして、中間の軸方向ゾーンを形成すること、第1のチューブを、第2の濃縮度より小さい、またはこれと等しい第3の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで上部の軸方向ゾーン長さまで満たして、上部の軸方向ゾーンを形成すること、および第2のチューブを、第1の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで第2の低部の軸方向ゾーン長さまで満たして、第2のチューブの概ね低部内に配置された第2の低部の軸方向ゾーンを形成することを含み、複数の燃料ペレットは、第2の中間の軸方向ゾーン長さまで第2の濃縮度を有して、第2の中間の軸方向ゾーンを形成し、複数の燃料ペレットは、第2の上部の軸方向ゾーン長さまで第3の濃縮度を有して、第2の上部の軸方向ゾーンを形成し、第2の中間の軸方向ゾーン長さは、第1の中間軸方向ゾーン長さより大きい。
【0021】
本発明のさらなる態様が、以下で部分的に明らかになり、部分的に指摘される。本開示の様々な態様を、個々にまたは互いに組み合わせて実施できることを理解されたい。また、詳細な説明および図は、特定の例示的な実施形態を示すが、単に例示のためのものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図を通じて、対応する参照番号は、同じまたは対応する部品および特徴を示すことを理解されたい。
【0023】
以下の説明は、単に例示的な性質のものであり、本開示あるいは開示の用途または使用を限定するものではない。
【0024】
本明細書で説明するように、統合された軸方向に変化する濃縮度(IAVE)は、濃縮分布が複数の高度または長さで軸方向に変化する燃料棒および燃料バンドル設計、および製造プロセスを含む。従来、当業者は、原子炉の最適なパフォーマンスは、燃料棒の頂部または最も高い部分が、最高レベルまたは同等レベルの濃縮度を有したときに得られると考えていた。しかし、本発明の発明者は、燃料棒および燃料アセンブリの底部または低部の軸方向部分内で最高レベルの濃縮度を有する、新規の統合された軸方向に変化する濃縮度(IAVE)設計による改良された作動特性を備えた燃料棒および燃料アセンブリを設計することに成功した。
【0025】
本発明者は、本開示の様々な実施形態が、燃料棒、燃料アセンブリおよび原子炉炉心に対する改良された作動特性を提供したことを実証した。例えば、本明細書で説明した本発明の1つまたは複数の実施形態を使用することにより、底部濃縮ゾーンと中間濃縮ゾーンの間、かつ中間濃縮ゾーンと頂部濃縮ゾーンの間で少なくとも0.2を有する原子炉設計に必要とされる場合、炉心濃縮度デルタを得ることができることが発明者の努力により示された。濃縮ゾーンの各々の長さまたは高さは、燃料棒および燃料アセンブリを原子炉の燃料サイクルパフォーマンスおよび/または燃料バンドルまたは炉心の軸方向長さの全部または一部にわたって濃縮度の形成または平坦化を最適化するよう設計する際に変更される。
【0026】
さらに、燃料棒の1つまたは複数の実施形態を燃料バンドルおよび炉心設計に組み込むことにより、燃料棒および燃料バンドルの製造を簡略化し、したがって、製造コストの低減をもたらすことができる。これは、統合された軸方向に変化する濃縮度を有する濃縮ゾーンの数がより少ない燃料棒を利用できる可能な設計改良によって達成することができる。例えば、多くの実施形態では、濃縮ゾーンの数および濃縮ゾーンの種類を、従来の実践よりも大幅に低減することができる。いくつかのケースでは、少ない数の濃縮ゾーンにおける高さまたはゾーン長さを変更すると、すべてではないが最も多くの燃料バンドルおよび炉心設計要件に合った十分な設計の変形形態を提供することができる。燃料バンドルは、燃料バンドル内の1つまたは複数の燃料棒の1つまたは複数のゾーン長さを変えることにより、かつ燃料棒ゾーンのサブセットを生成することにより、複数の異なる有効な濃縮ゾーンを有するように設計および製造することができる。その結果、複雑な燃料バンドル濃縮プロファイルを、大幅に簡略化された個々の燃料棒を用いて設計し、生成することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、底端部の軸方向ゾーンおよび/または頂端部の軸方向ゾーンは、高い濃縮度を有する燃料棒または燃料バンドルを生成するために第2および/または第3の軸方向ゾーンと等しい濃縮度を有することができ、あるいは低い濃縮度の上部または下部を有する燃料棒または燃料バンドルを形成するために天然ウランを利用することができる。
【0028】
本明細書で説明された燃料棒および/または燃料バンドルは、いくつかの実施形態では、Kw/ftおよび限界出力(CPR)マージンの改良に関連して、改良された局所ピーキングおよびR因子を備える燃料バンドルを提供することができる。知られているように、局所ピーキングおよびR因子の最適化および改良は、一般に、局所ピーキングを最小に抑え、R因子を最小に抑えることを含む。例えば、本明細書で説明した1つの例示的な実施形態に合致する燃料バンドルは、出力形成ゾーン(Power Shaping Zone)(PSZ)としても知られているように、バンドルの低部において1.14の低さの局所ピーキングを実証した。さらに、他の実施形態による他の例示的な燃料バンドルは、0.93の低さのR因子を実証した。当業者に知られているように、局所ピーキングおよびR因子のこうしたレベルは、一般に可能と考えられているものよりも低い。その結果、本開示で説明した燃料棒および燃料バンドルを備えて設計された炉心は、同等のレベルの濃縮度、したがって燃料コストを有する燃料棒および燃料バンドルと比べて改良されたキロワット/1フィート(Kw/ft)マージンおよび限界出力比(CPR)マージンを生成することができる。その結果、本明細書に説明された1つまたは複数の実施形態は、原子炉用の燃料サイクル効率の改良をもたらすことができる。
【0029】
さらに、いくつかの実施形態では、サイクル形成の最後を、従来の設計に比べてより低い、より小さいピークにすることができる。その結果、低温運転限度最小限界出力比(lower operating limit minimum critical power ratios)(OLMCPR)が生成され、したがって、追加のCPRマージンを得ることができる。これは、さらなる燃料サイクル効率および運転柔軟性の改良をもたらすことができる。
【0030】
次に図1を参照すれば、本開示の燃料棒および燃料アセンブリの作動環境の例示的な実施形態が、沸騰水型原子炉圧力容器(RPV)10の一部を切り取った断面図で示される。原子炉圧力容器10は、概ね円筒形であり、下端部12によって一方の端部で、取り外し可能な上端部14によって他方の端部で閉じられる。側壁16は、下端部12から上端部14に延びる。側壁16は、その上に上端部14が取り付けられた頂部フランジ18を含む。円筒形に成形された炉心シュラウド20は、原子炉炉心22を取り囲む。シュラウド20は、シュラウド支持体24によって一方の端部で支持され、対向する取り外し可能なシュラウドヘッド26を含む。アニュラス28が、シュラウド20と側壁16の間に形成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、環形状を有するポンプデッキ30が、シュラウド支持体24と側壁16の間に延びる。ポンプデッキ30は、複数の円形開口32を含み、各々の開口はジェットポンプ34を収容する。ジェットポンプ34は、炉心シュラウド20の周りで円周方向に分散される。他の実施形態では、当技術分野でも知られているように、水流は非機械的な方法で作り出されるので、ポンプ34は必要とされない。
【0032】
熱が、燃料セル40を含む炉心22内で生成される。各々の燃料セル40は、1つまたは複数の燃料バンドル42を含み、1つの実施形態では、例として4つの燃料バンドル42を含む。各々の燃料バンドル42は、複数の核分裂性物質の燃料棒(図示せず)およびそれに関連した制御棒44を含む。燃料棒は、10×10行列などの行列状に配列される。
【0033】
燃料バンドル42は、通常、沸騰水型原子炉内の炉心板46の頂部に取り付けられ、この炉心板46から燃料バンドル42は水を受け入れ、そこから燃料棒44が挿入され、炉心22から燃料バンドル42の1つまたは複数の間に引き出される。炉心22内で発生した熱量は、中性子吸収材料、例えばハフニウムの複数の制御棒44を挿入し、引き出すことによって調節される。制御棒44が燃料バンドル42に隣接するまで挿入されると、制御棒は、そうでなければ炉心22内で熱を発生させる連鎖反応を促進するのに利用されるはずの中性子を吸収する。制御棒案内チューブ48が、炉心板46下方に配置され、炉心22から引き出された際、制御棒44を受け入れる。制御棒案内チューブ48は、挿入および引き出し中の制御棒44の非垂直な運動を制限する。
【0034】
水が、炉心板46下方から循環して立ち上がり燃料バンドル42を抜け、燃料バンドル42の燃料棒内での核反応によって発生した熱によって少なくとも部分的に蒸気に転換される。蒸気セパレータ50は、蒸気を水から分離し、水は再循環される。蒸気乾燥器52は、蒸気から残留する水を取り除く。蒸気は、上端部14近傍の蒸気出口54から原子炉圧力容器10を出る。
【0035】
次に図2を参照すれば、炉心22内に行列として配列された、複数の燃料セル40、燃料バンドル42、および制御棒44を有する、簡略化された炉心56Aが示される。一般的な炉心22は、700を超える燃料バンドル42、95,000を超える燃料棒、および190を超える制御棒を含むことができるので、この炉心56は、簡略化されていることを理解されたい。
【0036】
図3では、4つの燃料バンドル42および1つの制御棒44を有する燃料セル40が、部分的に切り取られた等角図で示される。各々の燃料バンドル42は、燃料バンドルケーシング60内に封入された複数の燃料棒58を含む。燃料ケーシング60内に燃料棒58の10×10行列または格子を有する燃料バンドル42の1つの簡略化された例が、図4に示される。燃料バンドル42内の燃料ロッド58は、燃料バンドル内の(文字入りの列および数字入りの行によってなどの)その行列または格子位置によって、(燃料棒行列の周囲の周りに径方向位置61を有する行列内の文字入りの列、数字入りの行によって示されたものなどの)その相対位置によって、および/またはそれらの形状によって画定することができる。燃料バンドル42はまた、1つまたは複数の水路59を含むこともできる。
【0037】
再び図3を参照すれば、燃料バンドル42は、燃料バンドル42の挿入および炉心22からの取り外しを助けるために、燃料バンドル42の上部に配置されたハンドル62を含む。各々の燃料バンドル42は、その上に燃料棒58が取り付けられた低部タイプレート64および開口68を有するノーズ66を含み、この開口から、冷却材が、上記で説明したように燃料バンドルケーシング60内かつ燃料棒58の周りを上方向に流れるように受け入れられる。制御棒44は、複数の制御ブレード70を含み、その各々は、4つの隣り合う燃料バンドル42の間に挿入されてこれらの間で核反応を制御するように構成される。
【0038】
図3に示すように、燃料バンドル42内の各々の燃料棒58は、約150インチの範囲の長さを有し、例としては、120インチ、133インチ、138インチ、139インチ、および145インチにほぼ等しい長さを有することができる。したがって、各々の燃料棒は、低部タイプレート64上に取り付けられた底端部、燃料棒の他方の端部に配置された頂端部、およびそれらの間に配置された中間部を有する。底端部から頂端部の長さは、通常は底端部に対する軸方向位置として称される、燃料棒58の軸方向の寸法を規定する。
【0039】
燃料バンドル42内の各々の燃料棒58は、縦長の燃料バンドルチャネル60内に底端部から頂端部まで配置された積み重ねられた焼結燃料ペレットによって画定される燃料アセンブリの軸方向の寸法に沿って分布された、異なる濃縮またはガドリニウムのドーピングを有することができる。燃料棒58内の、様々なレベルの濃縮度を備える燃料ペレットまたは他の材料の様々な内容物は、一般に、本明細書では軸方向ゾーンとして称される。
【0040】
1つの例示的な実施形態では、原子炉用の燃料棒は、底端部の近位に配置された第1の軸方向ゾーン、中間領域に第1の軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーン、および頂端部の近位に配置された第3の軸方向ゾーンを含む。第1の軸方向ゾーンは、第2の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有し、第2の軸方向ゾーンは、第3の軸方向ゾーンより大きい、またはこれと等しい濃縮度を有する。そのような燃料棒は、いくつかの実施形態(図5に示すものなど)では、3つだけの軸方向ゾーンに限定されることがあるが、他の実施形態では、濃縮度、可燃性吸収材または他のドーピングおよび/または天然ウランの組み合わせを有する、4つ、5つ、またはそれ以上の軸方向ゾーン(これも例として図5に示す)を有することができる。図5に示すように、12の燃料棒の各々は、異なる高さの第1の軸方向ゾーンZ1、第2の軸方向ゾーンZ2、第3の軸方向ゾーンZ4などを有する。燃料棒A〜F、I、K、およびLは、濃縮度(図示せず)を含むが、燃料棒G、H、およびJは、斜線で示すように可燃性吸収材を含むものとして示す。図5の様々な燃料棒設計で指摘されるように、各々の燃料棒の軸方向ゾーンの総数は、限定されるが、各々の燃料棒内の軸方向ゾーンの数および各々の軸方向ゾーンの高さは、様々でよい。さらに、図5には明確に示していないが、各々のゾーン内の濃縮度もまた、各々の燃料棒内の軸方向ゾーンの最高の濃縮度を有する第1の軸方向ゾーンと一致させて、様々でよい。
【0041】
第1の例示的な実施形態では、第1の軸方向ゾーンは、第2の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有する。本実施形態の利点の1つは、軸形状が、改良された燃料効率およびより良好な過渡加圧をもたらすように炉心の底部に保持されることである。第2の例示的な実施形態では、第2の軸方向ゾーンは、第3の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有する。本発明の実施形態の1つの利点は、炉心の頂部で生じる漏れをより小さくして改良された燃料効率をもたらすことである。
【0042】
第3の例示的な実施形態では、第1の軸方向ゾーンは、第2および第3の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有する。この設計では、燃料アセンブリは、改良された局所ピーキング因子およびR因子、したがって改良された燃料サイクル効率を実現する。他の実施形態では、第2および第3の軸方向ゾーンは、ほぼ同等の濃縮度を有する。こうした3つの例により、本開示に説明したように、統合された軸方向に変化する濃縮プロファイルの1つまたは複数の実施形態を利用することにより、様々な設計目的および燃料サイクル効率が、様々なプロファイルを有するコスト効果のある燃料バンドルによって達成可能である。これらは、軸方向ゾーンの数を限定された数のバリエーション内で変化させることにより、低部の第1の軸方向ゾーンが上部の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有する状態で軸方向ゾーンの濃縮度を変化させることにより、かつ燃料バンドル内の様々な棒においてゾーン長さを変化させることにより、達成することができる。
【0043】
上記で説明したように、ゾーン数に加えて、底端部に対するゾーン高さまたは0高さ表示を変えることができる。3つ、4つ、または5つの軸方向ゾーンの説明および詳述は、説明した例示的な実施形態のうちの1つまたは複数内に明確に指摘しない限り、燃料棒内の1つまたは複数の追加の軸方向ゾーンの存在または燃料棒内のその場所に限定するものではないことを理解されたい。しかし、さらに以下で詳細に指摘するように、いくつかの実施形態では、燃料バンドル内の大部分またはすべての燃料棒が、同数の軸方向ゾーンを有し、各々の棒内の各々の軸方向ゾーンは、同じ濃縮度を有するペレットで満たされる。そのような場合、複合燃料バンドルは、燃料棒と燃料バンドル内の様々な燃料棒の位置の間のゾーン高さを変更するだけで構成される。別の実施形態では、1棒当たりのゾーン数および1つまたは複数のゾーン内の濃縮度および/または可燃性の吸収材もまた、複合の燃料バンドルを作り出すために変更することができる。
【0044】
例えば、いくつかの実施形態では、底端部の軸方向ゾーンが、燃料棒の底部に、底端部と第1の軸方向ゾーンの間に配置される。この底端部の軸方向ゾーンは、(未濃縮の)天然ウランを含むことができ、あるいは第1の軸方向ゾーンと等しい、またはより小さい濃縮度を含むことができる。また、いくつかの実施形態では、頂端部の軸方向ゾーンが、燃料棒の頂部に配置される。この頂端部の軸方向ゾーンは、(未濃縮の)天然ウランを含むことができ、あるいは第1の軸方向ゾーンと等しい、またはより小さい濃縮度を含むことができる。指摘したように、濃縮度、可燃性吸収材ドーピング、または天然ウランの1つまたは複数の追加の軸方向ゾーンを、燃料棒上の1つまたは複数の位置または場所に含めることができる。しかし、1つの実施形態では、燃料棒は、せいぜい3つの濃縮ゾーンしか有さず、別の実施形態では、燃料棒は、せいぜい5つの濃縮ゾーンしか有さず、5つのうち2つは、底端部の軸方向ゾーンおよび頂端部の軸方向ゾーンである。
【0045】
同様に、軸方向ゾーンの濃縮度および各々のゾーンの長さはまた、所望の原子炉炉心の設計および作動に合わせてカスタマイズすることもできる。例えば、1つの実施形態では、第1の軸方向ゾーンの濃縮度および/または長さを、燃料棒の局所ピーク出力(通常はKw/ft)または中に燃料棒が組み立てられた燃料バンドルのピーク出力またはピーキング因子を最適化するように構成することができる。第1の軸方向ゾーンのゾーン長さは、燃料棒の全長の一部または大部分でよく、1つの実施形態では、燃料棒の全長の約3分の1である。別の例示的な実施形態では、第2および第3の軸方向の濃縮ゾーンの一方または両方の濃縮度および/または長さ(本明細書では高さと称されることもある)が、R因子(例えば限界出力比またはCPR)、出力分布プロファイルおよび/または燃料棒または中に燃料棒が組み立てられた燃料バンドルの局所ピーク出力を最適化するように寸法設定される。第1、第2、および/または第3の軸方向ゾーンの各々内の濃縮度は、各々のゾーン内で一様に軸方向に分布することができ、あるいは徐々に小さくする、または別の形で燃料棒および燃料バンドルの設計要求事項およびパフォーマンス目標に合わせるように形成することができる。
【0046】
別の実施形態では、原子炉用の燃料棒を設計する方法は、燃料棒の底端部の近位に配置された第1の軸方向ゾーンの濃縮度を、局所ピーク出力を最小に抑えるように指定すること、燃料棒の中間領域に第1の軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーンの濃縮度を決定すること、および燃料棒の頂端部の近位に配置された第3の軸方向ゾーンの濃縮度を決定することを含み、第2および第3の軸方向ゾーンの濃縮度を決定することは、R因子を最小に抑えるためである。
【0047】
これは、第1の軸方向ゾーンの濃縮度を、第2の軸方向ゾーンおよび/または第3の軸方向ゾーンの濃縮度より大きい第1の濃縮度を指定するように指定することを含むことができる。さらに、これは、第2の軸方向ゾーンの濃縮度より小さい、またはこれと等しい第3の軸方向ゾーンの濃縮度を決定することを含むことができる。また、いくつかの実施形態では、第1の軸方向ゾーンのゾーン長さが、局所ピーク出力を最適化するように決定され、第2の軸方向ゾーンのゾーン長さおよび第3の軸方向ゾーンのゾーン長さの一方または両方が、上記に説明したようにR因子を最適化するようにそれぞれ決定することができる。
【0048】
上記で指摘したように、本明細書に説明した燃料棒の1つまたは複数の実施形態を、燃料バンドル(本明細書では、燃料アセンブリとも称される)に組み込むことができ、1つまたは複数の燃料バンドルを、原子炉内に炉心を形成するように配列することができる。各々の燃料バンドルは、概ね底端部に配置された第1の軸方向ゾーン、中間領域に第1の軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーン、および概ね頂端部に配置された第3の軸方向ゾーンを有する燃料棒の1つまたは複数を備えた複数の燃料棒を含む。上記で指摘したように、第1の軸方向ゾーンは、第2の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有し、第2の軸方向ゾーンは、第3の軸方向ゾーンより大きい、またはこれと等しい濃縮度を有する。
【0049】
これも上記で示したように、燃料アセンブリ内の燃料棒の1つまたは複数が、様々な最適化に合わせて決定および/またはカスタマイズすることができる様々な濃縮度を有することができる。例えば、燃料バンドル内の1つまたは複数の棒の1つまたは複数の軸方向ゾーンは、1つの濃縮度を含むことができ、あるいは棒、燃料バンドルおよび/または炉心の最適化されたR因子および/または局所ピーク出力を提供する複数のゾーン長さを含むことができる。さらに、上記に示したように、燃料バンドル内の1つまたは複数の燃料棒における軸方向ゾーン長さを、改良されたおよび/または制御された作動特性をもたらすように変更することができる。例としては、第1の軸方向ゾーンのゾーン長さは、燃料アセンブリの燃料棒の1つまたは複数における燃料棒の全長の約3分の1と等しいものでよい。燃料バンドル内の別の燃料棒では、第1の軸方向ゾーンの長さは、ほぼ3分の1でよい。
【0050】
例えば、いくつかの実施形態では、原子炉の燃料アセンブリは、複数の燃料棒を含み、1つまたは複数の燃料棒は、概ね底端部に配置された第1の軸方向ゾーン、中間領域に第1の軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーン、および概ね頂端部に配置された第3の軸方向ゾーンを含み、第1の軸方向ゾーンは、第1の軸方向ゾーンの局所ピーク出力を最適化するように構成され、第2および第3の軸方向ゾーンは、R因子を燃料アセンブリに合わせて最適化するように構成される。
【0051】
同様に、いくかの実施形態では、原子炉用の燃料アセンブリを設計する方法は、燃料アセンブリ内の複数の燃料棒の各々の第1の軸方向ゾーンの濃縮度を、第1の軸方向ゾーンの局所ピーク出力を最適化するように指定すること、および燃料アセンブリ内の複数の燃料棒の各々の第2の軸方向ゾーンおよび第3の軸方向ゾーンの濃縮度を、R因子を燃料アセンブリに合わせて最適化するように決定することを含み、第1の軸方向ゾーンは、各々の燃料棒の底端部の近位に配置され、第2の軸方向ゾーンは、各々の燃料棒の中間領域内に第1の軸方向ゾーンに隣接して配置され、第3の軸方向ゾーンは、各々の燃料棒の頂端部の近位に配置される。
【0052】
単一の燃料棒に関して上記で説明したように、燃料アセンブリ内の複数の燃料棒の濃縮度およびゾーン長さを、燃料アセンブリ用の目的を満たすように指定し、決定することができる。これは、燃料アセンブリ内の各々の燃料棒の各々の第2の軸方向ゾーンおよび各々の第3の軸方向ゾーンの濃縮度を、両方が、各々の対応する燃料棒内で、いくつかのケースでは、アセンブリ内の燃料棒のすべてにわたって、第1の軸方向ゾーンより小さい濃縮度を有するように決定することを含むことができる。他の実施形態では、各々の燃料棒の各々の第3の軸方向ゾーンの濃縮度を、一方または両方の濃縮度が第1の燃料棒より小さくなるように、かついくつかの実施形態では、第3の軸方向ゾーンの濃縮度が、各々の対応する燃料棒内で、一部のケースでは、燃料アセンブリ内の燃料棒のすべてにわたって、第2の軸方向ゾーンの濃縮度より小さく、またはこれと等しくなるように決定することができる。
【0053】
これはまた、各々の燃料棒の第1の軸方向ゾーンの各々のゾーン長さを第1の軸方向ゾーンの局所ピーク出力を最適化するように決定すること、および各々の燃料棒の第2の軸方向ゾーンの各々および第3の軸方向ゾーンの各々のゾーン長さを、R因子を燃料アセンブリに合わせて最適化するように決定することを含むことができる。
【0054】
1つの実施形態では、各々の第2の軸方向ゾーンおよび各々の第3の軸方向ゾーンの濃縮度が、燃料アセンブリ内の燃料棒すべての各々の第1の軸方向ゾーンの濃縮度の後に決定される。例えば、燃料アセンブリ内の第1の軸方向ゾーンは、局所ピーク出力を最小に抑えるように設計することができ、次いで、燃料棒および燃料アセンブリの第2および第3の軸方向ゾーンが、燃料アセンブリの第1またはそれより低部の部分内の事前に最小化された局所ピーク出力を考慮して、燃料アセンブリ全体のR因子を最小に抑えるように設計される。
【0055】
これはまた、燃料棒の一部、例えば燃料アセンブリの周辺または端部の周りに配置された燃料棒などにおいて、第2の軸方向ゾーンおよび第3の軸方向ゾーンの濃縮度を増大させることを含むことができる。また、いくつかの実施形態では、これは、燃料アセンブリの中間部分(縁部以外)内に配置された燃料棒の第2および第3の軸方向ゾーンの濃縮度を低減することを含むことができる。
【0056】
こうした論議から当業者に知られるように、炉心内の1つの燃料バンドルまたは複数の燃料バンドル内の燃料棒すべてが、同じ構成、例えば、各々のゾーンに対する同じ濃縮度、同じ長さの各々のゾーン、1燃料棒当たり同数のゾーンなどを有する必要はない。例えば、1つの燃料バンドルにおいて、燃料バンドルのすべてまたは大部分を、製造上の利点をもたらす同数の軸方向ゾーン(3つ、4つ、または5つなど)に限定することができる。しかし、燃料棒の1つまたは複数の間における各々の軸方向ゾーンの濃縮度、可燃性吸収材のドーピングおよび/または長さは、異なっていてよい。このようにして、製造コストを低減することができ、原子炉炉心の設計者は、1燃料棒当たり、1燃料バンドル当たり、および炉心設計の調整により、炉心を好ましい設計に合わせてまたは所望の作動特性に合わせて設計することができる。
【0057】
1つの例示的な作動では、複数の燃料バンドルの各々が、異なる局所ピークおよび異なるR因子を持つように構成される。燃料バンドルの2つ以上において、燃料棒の大部分は、本質的に3つの軸方向濃縮ゾーン(第1、第2、および第3の軸方向ゾーン)を有する。これは、底部に公称の底端部ゾーンおよび頂部に公称の頂端部ゾーンを含むことができる。各々の燃料棒内の第1のゾーンの大部分は、ほぼ等しい濃縮度の第1の燃料ペレットを有し、各々の燃料棒内の第2のゾーンの大部分は、ほぼ等しい濃縮度の燃料ペレットを有し、各々の燃料棒内の第3のゾーンの大部分は、ほぼ等しい濃縮度の燃料ペレットを有する。各々の第1の燃料ペレットの濃縮度は、第2の燃料ペレットおよび第3の燃料ペレットより大きい。燃料バンドル内の複数の燃料棒は、第1、第2、および第3のゾーンに対して異なるゾーン長さまたは高さを有することができる。各々の燃料バンドルを備えた複数の燃料棒内のゾーン長さをおよびそのような軸方向に変化する濃縮度の各々の位置を変更するだけで、燃料バンドルの2つ以上が、異なる局所ピーク出力および異なるR因子を有する。したがって、燃料行列の設計者は、別の方法でも同様に構成および製造される軸方向に変化する濃縮度の燃料棒を使用することにより、多様な複合の軸方向に変化する濃縮度バンドルから所望のまたは最適化された炉心を作り出すことができる。
【0058】
さらに、燃料アセンブリ内の燃料棒を、燃料アセンブリ内のそれらの位置に基づいて最適化することができる。例えば、縁棒は、通常、燃料アセンブリ内の燃料棒の行列の周囲に沿ってまたはその周りに配置された棒である。いくつかの実施形態では、径方向の燃料棒の第1の軸方向ゾーンだけが、局所ピーク出力に対して最適化される。他の燃料棒の第1の軸方向ゾーンは、独立して濃縮および/または構成されるが、局所ピーク出力を最適化するためのものではない。同様に、いくつかの実施形態では、径方向の棒の第2の軸方向ゾーンおよび/または第3の軸方向ゾーンだけが、R因子または限界出力比(CPR)に対して最適化される。燃料アセンブリ内の他の棒内の第2および第3の軸方向ゾーンは、異なるレベルの濃縮度および異なるゾーン長さを有するが、それらのR因子に対しては最適化されない。
【0059】
別の例示的な実施形態では、燃料アセンブリの1つまたは複数の燃料棒は、燃料棒の2つ以上のグループを含むことができ、その各々の燃料棒は、燃料アセンブリの設計および特性をカスタマイズするために軸方向ゾーン、濃縮度、例としては局所ピーク出力およびR因子などの最適化された因子、および/または軸方向ゾーン長さの異なる組合せを有する。各々のグループは、燃料棒のサブセット、可能であれば燃料バンドル内の燃料棒の総数のかなりの部分を有する1つまたは複数から構成することができる。
【0060】
次に図6を参照すれば、1つの例示的な実施形態では、第1のバンドル(バンドル1として示す)は、22個の燃料バンドル要素を含み、2個は、水路W1およびW2であり、20個は異なる種類の燃料棒である。本例における20個の異なる燃料棒の各々は、0.71の自然に濃縮されたウランの底部の軸方向ゾーンを含む。さらに、燃料棒の多くは、これも0.71の自然に濃縮されたウランを含む頂部の軸方向ゾーンを含む。燃料棒のいくつかにおいては、頂部ゾーンは、数字「0.71」で示す天然ウランを含む。各々の軸方向ゾーンは、ゾーン内の数字で示すウラン濃縮量を含む。いくつかの燃料ロッドでは、ガドリニウムドーピングの量も、「G」、例えばG4.0などで示される。
【0061】
図示するように、ほとんどの燃料棒は、150インチの全長棒である。しかし、燃料棒の2つは、部分長棒F9およびF10であり、その各々は、それぞれ4.8および5.0の大きい濃縮度を有する第1の軸方向ゾーンのみを含む。こうした部分長棒の頂部は、「V」で示され、当業者によって消失棒(vanished rod)として称されている。
【0062】
こうした20種類の燃料棒は、図7に示す燃料バンドルを形成するために利用される。各々の燃料棒および燃料バンドル内のその位置は、炉心の設計目的を達成するように設計および組み立てられる。他の燃料バンドル設計および設計目的は、図6に示すのと同じ20の燃料棒を用いることによって得ることができる。しかし、いくつかの実施形態では、燃料棒の1つまたは複数に対する変形形態および追加の燃料棒設計が、所望の目的を達成するために炉心設計内の他の燃料バンドルに対して望ましいあるいは必要とされることがある。図6に示すように、燃料棒の選択番号(アスタリスクで上部に示されたもの)を、軸方向ゾーンの数、軸方向ゾーンの濃縮度またはドーピング、および/またはゾーン長さの変更により、様々なバンドル設計を達成するように変更することができる。
【0063】
図8は、図9の4分の1の炉心フォーマットに示す例示的な炉心56Bに使用する7つの異なる燃料バンドル(1〜7)用の1組の燃料棒軸方向ゾーンの変形形態を示す。図9の炉心全体は、こうした7つの燃料バンドルから構成され、その各々は、図6の燃料棒からおよび/または図8に示す変形形態から構成される。図8は、燃料棒X1、X4、X6、X7およびX9の軸方向ゾーンの構成および長さに対する変形形態または改変形態を示し、各々の変形形態は、各々の改変された燃料棒の頂部にあるダッシュおよびツーダッシュによって示されている。各々の燃料棒構成を含む炉心内のバンドルが、各々の燃料棒の底部に示される。
【0064】
図8では、4.8の濃縮度および4.0のガドリニウムドーピングを備えた第1の軸方向ゾーンを有する燃料棒X1が示される。第2の軸方向ゾーンは、ガドリニウムドーピング無しで4.4のより低い濃縮度を有する。X1の燃料棒は、燃料バンドル1〜3および5〜7に利用される。しかし、燃料バンドル4では、改変されたX1A燃料棒は、燃料棒の中間部により高いガドリニウムでドープされた部分またはゾーンを含むための第1の軸方向ゾーンの区分を含む。燃料棒X4に対する同様の改変形態が、燃料棒X4Aとして示されるが、ここでは、ガドリニウムドーピングは、一定に保たれるが、ウラン濃縮は、第1の軸方向ゾーンからバンドル4の燃料棒の中間部に配置された第2の軸方向ゾーンにかけて低減される。
【0065】
図8に示すように、燃料棒X6(図6から)は、燃料バンドル1内にだけある。改変された燃料棒X6Aは、燃料バンドル4に使用され、改変された燃料棒X6Bは、燃料バンドル2、3、および5〜7内にある。燃料棒X6Aでは、濃縮ゾーンの1つが無くされ、燃料棒X6Bでは、ガドリニウムドーピングが、第1の軸方向ゾーンから除かれ、第2の軸方向ゾーンの濃縮度が低減される。燃料棒X7は、燃料バンドル1〜3内にあるが、図示するように、燃料バンドル4に使用するためのX7Aとして、燃料バンドル5〜7に使用するためのX7Bとして改変される。燃料棒X9は、燃料バンドル1、2および4〜6内にあるが、燃料棒X9A内に第3の軸方向ゾーンを追加し、第1および第2の軸方向ゾーンの長さを調整することにより、燃料バンドル3および7で使用するために改変される。
【0066】
上記で指摘したように、いくつかの燃料棒は、図9内のような炉心のサブセットに使用するように構成することができる。図8に示すように、燃料棒X10は、燃料バンドル4内だけにあり、燃料棒X10AおよびG15は、燃料バンドル3および7内だけにある。これらの各々は、本開示の様々な実施形態による、濃縮度、軸方向ゾーンの数、およびガドリニウムドーピングレベルの変形形態を含む。
【0067】
図6〜8で説明した様々な燃料棒および燃料バンドルから構成された図9に示す炉心56B設計は、改良された軸方向出力軸方向ノードパフォーマンスをもたらすことができる。例えば、図10の照射線量に対する軸方向出力軸方向ノードの表100に示すように、線102は、200メガワット日/標準トンのウラン(MWD/ST)における軸方向出力を示し、線104は、5,000メガワット日/標準トンにおける軸方向出力を示す。これらの両方は、軸方向ノード4周辺はピーク、すなわち炉心内では非常に低い状態を反映する。上記で指摘したように、改良された燃料サイクル効率は、炉心内における軸方向出力軸方向ノード分布が低いことなどからもたらされる。さらに、追加の照射線量を12,500MWD/STにおける線106で示すと、軸方向出力のピークは、軸方向ノード4から約軸方向ノード14、すなわち炉心の軸方向の中間周辺まで上昇する。このピークは、依然として、特に12,500MWD/STにおける炉心内では相対的に低いと考えられている。当業者に知られているように、そのような照射線量上の低減された軸方向出力ピーキングは、前は達成可能ではなく、本明細書の他の場所で指摘し、当業者に知られるように、いくつかの大きな利点を提供する。
【0068】
例示的な実施形態で説明したような様々な燃料棒を、様々な方法によって製造することができる。例えば、燃料棒を製造する1つの例示的な方法では、底端部、頂端部、および底端部と頂端部の間に配置された中間領域を有する、チューブなどの燃料棒が、第1の濃縮度を有する複数の第1の燃料ペレットで第1の軸方向ゾーンの長さまで満たされて、チューブのほぼ底端部内に配置された第1の軸方向ゾーンが形成される。第1のゾーンは、どのような長さも有することができ、1つの実施形態では、チューブ全長の3分の1にほぼ等しい。チューブはまた、第2の濃縮度を有する複数の第2の燃料ペレットで第2の軸方向ゾーン長さまで満たされて第2の軸方向ゾーンが形成され、第2の濃縮度は第1の濃縮度より小さい。本方法はまた、チューブを、第3の濃縮度を有する複数の第3の燃料ペレットで第3の軸方向ゾーン長さまで満たして、第3の軸方向ゾーンを形成することを含み、第3の濃縮度は、第2の濃縮度より小さい、またはこれと等しい。
【0069】
いくつかの実施形態では、本方法は、チューブを、第1の燃料ペレットで満たして、チューブの底端部に隣接して底端部と第1の軸方向ゾーンの間に底端部ゾーン長さを有する底端部の軸方向ゾーンを形成する前に、チューブを底端部燃料ペレットで満たすことを含む。さらに、いくつかの実施形態では、チューブを第3の燃料ペレットで満たして、チューブの頂端部の近位でまたはそれに隣接して頂端部のゾーン長さを有する頂端部の軸方向ゾーンを形成した後、チューブを頂端部燃料ペレットで満たすことができる。
【0070】
本明細書で説明した燃料バンドルの1つまたは複数は、様々な方法で製造することができ、それは、依然として本開示の範囲内にあることができる。例えば、製造の1つの例示的な方法では、原子炉用の燃料バンドルは、第1のチューブを第1の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで低部のゾーンの長さまで満たして、チューブの概ね低部内に配置された低部の軸方向ゾーンを形成し、第1のチューブを、第1の濃縮度より小さい第2の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで中間の軸方向ゾーン長さまで満たして、中間の軸方向ゾーンを形成し、第1のチューブを、第2の濃縮度より小さい、またはこれと等しい第3の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで上部の軸方向ゾーン長さまで満たして、上部の軸方向ゾーンを形成し、第2のチューブを、第1の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで第2の低部の軸方向ゾーン長さまで満たして、第2のチューブの概ね低部内に配置された第2の低部の軸方向ゾーンを形成することにより、組み立てられ、複数の燃料ペレットは、第2の中間の軸方向ゾーン長さまで第2の濃縮度を有して第2の中間の軸方向ゾーンを形成し、複数の燃料ペレットは、第2の上部の軸方向長さまで第3の濃縮度を有して第2の上部の軸方向ゾーンを形成する。第2の中間の軸方向ゾーン長さは、第1の中間の軸方向ゾーン長さを上回る。
【0071】
上記で指摘したように、第1および第2のチューブの低部の軸方向ゾーン長さは、燃料バンドルのピーク出力の最適化に応じて寸法設定することができ、第1および第2のチューブ用の中間および上部の軸方向ゾーンの軸方向ゾーン長さは、燃料バンドルのR因子の最適化に応じてそれぞれ寸法設定される。いくつかの実施形態では、軸方向ゾーン1、ゾーン2、および/またはゾーン3用の様々な異なるゾーンの軸方向ゾーン長さを、燃料アセンブリ内の燃料棒の様々な部分に対して、燃料棒および燃料バンドルの組み立て中に変更することができる。本製造方法は、改善された燃料サイクル効率を有する原子炉の炉心を提供しながら、燃料棒および燃料アセンブリの製造コストを低減することもできる。例えば、1つの実施形態では、発明者は、基準のバンドル平均濃縮度より0.10下回るバンドル濃縮度を有する燃料バンドルを設計することに成功した。これは、1バンドル当たりのウランのコストの大幅な低減、対応する燃料サイクル効率の大きな改良に相当する。同様のまたはより良好な効率性の改良は、本明細に説明するように他の実施形態から予想される。
【0072】
1つまたは複数の燃料棒が、底端部または底部の軸方向ゾーンを含む場合、製造方法はまた、低部の軸方向ゾーンを満たす前に、第1のチューブおよび第2のチューブを複数の底部燃料ペレットで低部の軸方向ゾーン長さまたは高さまで満たすことを含む。底部燃料ペレットは、例として、天然ウランおよびまたは第1の濃縮度にほぼ等しい濃縮度を有する濃縮された底部燃料ペレットを含むことができる。本方法はまた、上部の軸方向ゾーンを満たす前に、第1および第2のチューブを複数の頂部燃料ペレットで満たすことを含むこともできる。そのような実施形態では、頂部燃料ペレットでの充填は、チューブの頂部の近位に配置された頂部の軸方向ゾーンを形成するために頂端部の軸方向ゾーン長さまたは高さまでとなる。
【0073】
第1の低部の軸方向ゾーンは、第2の低部の軸方向ゾーンの長さにほぼ等しい長さを有することができ、第1の中間の軸方向ゾーンは、第2の中間の軸方向ゾーン長さを上回る長さを有し、第1の上部の軸方向ゾーンは、第2の上部の軸方向ゾーンを下回る長さを有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、本方法は、さらに、第3のチューブを、底端部の濃縮度を有する複数の燃料ペレットで第3の低部の軸方向ゾーン長さまで満たして、第3のチューブの概ね低部内に配置された第3の低部の軸方向ゾーンを形成することを含み、複数の燃料ペレットは、第3の中間の軸方向ゾーン長さまで頂端部の濃縮度を有して第3の中間の軸方向ゾーンを形成し、複数の燃料ペレットは、第3の上部の軸方向長さまで第6の濃縮度を有して第3の上部の軸方向ゾーンを形成する。様々な実施形態の濃縮度の組合せは、例として、底端部の濃縮度より大きい第1の濃縮度、頂端部の濃縮度より大きい第2の濃縮度、および/または第6の濃縮度より大きい第3の濃縮度を有することができる。
【0075】
要素または特徴および/またはその実施形態を説明する際、冠詞「1つ」、「その」および「前記」は、その要素または特徴の1つまたは複数が存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、「有する」は、包含的であり、具体的に説明されたもの以外にも追加の要素または特徴が存在してもよいことを意味するものとする。
【0076】
当業者は、本開示の範囲を逸脱することなく、上記で説明した例示的な実施形態および実装形態に様々な変更を加えることができることを認識するであろう。したがって、上記の説明に含まれた、あるいは添付の図に示したすべての事項は、限定的な意味ではなく例示的であると解釈されるべきである。
【0077】
さらに、本明細書に説明されたプロセスまたは段階は、必ずしも、論じたまたは例示した特定の順序においてそれらのパフォーマンスを要求するものとして解釈するものではないことを理解されたい。また、追加または代替のプロセスまたは段階を使用できることも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本開示による燃料棒、燃料アセンブリ、および炉心設計のための1つの例示的な作動環境として、部分的に切り取られた、沸騰型原子炉圧力容器の断面斜視図である。
【図2】原子炉炉心の一般的な配置を示す、例示的な概略の平面図である。
【図3】4つの燃料バンドルおよび原子炉の炉心からの制御棒を有する燃料セルの1つの簡略化された、例示的な、部分的に切り取られた等角図である。
【図4】複数の燃料棒を含む、10×10行列を有する燃料バンドルの一般的な配置を示す、簡略化された、概略平面図である。
【図5】本開示の様々な例示的な実施形態による様々な軸方向ゾーンの構成を示す表である。
【図6】第1の例示的な燃料バンドル用の複数の統合された軸方向ゾーン型濃縮燃料棒を示す表である。
【図7】1つの例示的な実施形態による複数の統合された軸方向ゾーン型濃縮燃料棒の配置を示す第1の例示的な燃料バンドルの概略平面図である。
【図8】1つの例示的な実施形態による第2〜第7の燃料棒に使用する、図6に示す第1の例示的燃料バンドルからの軸方向ゾーン設計および濃縮度の変形形態を示す表である。
【図9】1つの例示的な実施形態による図6〜8に提供された7つの燃料バンドル設計を利用する原子炉炉心の4分の1の例示的な概略平面図である。
【図10】1つの例示的な実施形態による、統合された軸方向に可変の濃縮度の燃料バンドルを用いて構成された原子炉炉心用の3例の原子炉の照射線量間隔における、軸方向出力軸方向ノード対照射線量の表である。
【符号の説明】
【0079】
10 原子炉圧力容器(RPV10)
12 下端部
14 取り外し可能な上端部
16 側壁
20 成形された炉心シュラウド
22 原子炉炉心
24 シュラウド支持体
26 取り外し可能なシュラウドヘッド
28 アニュラス
30 ポンプデッキ
32 円形開口
34 ジェットポンプ
40 燃料セル
42 燃料バンドル
44 制御棒
46 炉心板
48 棒案内チューブ
50 蒸気セパレータ
52 蒸気乾燥器
54 蒸気出口
56 炉心
56A 簡略化された炉心
56B 例示的な炉心
58 燃料棒
59 水路
60 燃料バンドルケーシング
61 径方向位置
62 ハンドル
64 低部タイプレート
66 ノーズ
68 開口
70 制御ブレード
100 グラフ
102 200MWD/ST用の線102
104 5,000MWD/ST用の線104
106 12,500MWD/ST用の線106

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底端部、頂端部、および前記底端部と前記頂端部の間に配置された中間領域を有する原子炉22用の燃料棒58であって、
前記底端部の近位に配置された第1の軸方向ゾーンと、
前記中間領域内に前記第1の軸方向ゾーンに隣接して配置された第2の軸方向ゾーンと、
前記頂端部の近位に配置された第3の軸方向ゾーンとを有し、
前記第1の軸方向ゾーンが、前記第2の軸方向ゾーンより大きい濃縮度を有し、前記第2の軸方向ゾーンが、前記第3の軸方向ゾーンより大きい、またはこれと等しい濃縮度を有することを特徴とする燃料棒58。
【請求項2】
前記第1の軸方向ゾーンの前記濃縮度が、局所ピーク出力を最適化するように構成されることを特徴とする請求項1記載の燃料棒58。
【請求項3】
前記第2の軸方向ゾーンのゾーン長さおよび前記第3の軸方向ゾーンのゾーン長さが、R因子を最適化するようにそれぞれ寸法設定されることを特徴とする請求項2記載の燃料棒58。
【請求項4】
前記第2の軸方向ゾーンの前記濃縮度および前記第3の軸方向ゾーンの前記濃縮度が、R因子を最適化するようにそれぞれ選択されることを特徴とする請求項2記載の燃料棒58。
【請求項5】
さらに、前記底端部と前記第1の軸方向ゾーンの間に配置された底端部の軸方向ゾーンを備え、前記底端部の軸方向ゾーンが、天然ウランおよび前記第1の軸方向ゾーンの濃縮度とほぼ等しい濃縮度の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の燃料棒58。
【請求項6】
さらに、前記第3の軸方向ゾーンと前記頂端部の間に配置された頂端部の軸方向ゾーンを備え、前記頂端部の軸方向ゾーンが、天然ウランおよび前記第1の軸方向ゾーンの前記濃縮度とほぼ等しい濃縮度の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5記載の燃料棒58。
【請求項7】
前記燃料棒58が、せいぜい5つの軸方向ゾーンしか有さないことを特徴とする請求項6記載の燃料棒58。
【請求項8】
前記第2の軸方向ゾーンのゾーン長さおよび前記第3の軸方向ゾーンのゾーン長さが、R因子を最適化するように寸法設定されることを特徴とする請求項1記載の燃料棒58。
【請求項9】
前記第1、第2、および第3の軸方向ゾーンの各々が、各々の軸方向ゾーン内に一様に軸方向に分布されることを特徴とする請求項1記載の燃料棒58。
【請求項10】
前記燃料棒58が、天然ウランよりも大きな濃縮度を有する、せいぜい3つの軸方向ゾーンしか有さないことを特徴とする請求項1記載の燃料棒58。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−122369(P2008−122369A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−267825(P2007−267825)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)