説明

原料ヤード受入時の積山検出器およびその方法

【課題】原料ヤード受入時のスタッカーにおける積山検出器、およびその方法を提供する。
【解決手段】原料ヤード受入時の積山を検出するための積山検出器7において、積山検出器7に検出羽14を設置し、かつ、積山検出器7上部に重錘16を設置したことを特徴とする原料ヤード受入時の積山検出器7。また、積山検出器7の位置を、スカッターの機内ベルトコンベアの中心から積山検出器7までの距離Ls、積山間隔をLpとするとき、Ls≦Lp/2とすることを特徴とする原料ヤード受入時の積山検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭等のバラ物原料に係る原料ヤード受入時のスタッカーにおける積山検出器、およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スタッカーにおける積山検出器としては、チルト式、水銀式の他に超音波式距離計を用いる方法などがある。水銀方式の積山検出は動作が速く安定しているが、環境上の配慮から好ましくない。また、超音波式距離計を用いることもあるが、検出器が高価なことと検出器自体の調整に手間がかかることや、検出器の維持管理にも手間がかかる。さらには、検出器自体の耐環境性が機構の簡単なチルト式に比較すると劣ることなどの理由により、あまり一般的でない。
【0003】
上記理由によりチルト式が一般的に用いられている。チルト式は積山の傾斜面を流れるバラ物の流れにより動作し、また、一定以上の傾きにならないと動作しない。また、バラ物の中で石炭のように比重が軽い場合には、チルト式スイッチでも重量の軽い物を用いることが多いが、軽量型のものでも数kgあるため、一定の傾きを持つためには、ある程度バラ物の流れが大きなところでなければならず、積山が穏やかに堆積して行く場所では、チルト式スイッチは傾く前にバラ物の中に埋没してしまい、検出不能能となる。
【0004】
一方、バラ物をヤードに堆積する際、一条N列積みでは、自らが積付した山に周囲を囲まれながら積付を行うことが多くなる。隣接山がある場合、位置によって荷の流れ方が異なる。また、スタッカーでの積付を行う場合のバラ物などの荷の投てき距離は、荷の種類によって異なる。また、同じバラ物でも銘柄や、荷役T/H、その時の含有水分量によっても異なる。その時に応じた位置に積山検出器を移動させられればよいが、投てき距離を荷役の都度測定することは非現実的であり、また、適切な移動機構を設置することも困難である。
【0005】
上述したような問題のある積山を検出するための装置として、例えば特開昭59−38616号公報(特許文献1)に開示されているように、積山検出装置を備えたブームに払出コンベアとバケットホイルを備えた荷役機械において、スタッキング作用時はアームを回転させることによりセンサーを積山側に近づけ、レバーをストッパーで固定して、アームの回転位置、すなわち、センサーの位置を保持し、リクレーミング作用時にはアームを逆転させてセンサーを積山から遠ざけ、レバーをストッパーで固定してセンサーの積山から遠ざけた位置にて保持する積山検出装置が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開昭59−38616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1のような積山検出装置は検出装置そのものの改良でないために、上記した隣接山がある場合、位置によって荷の流れ方が異なる等の条件に対応した検出装置となっておらず、本発明が課題としている目的を十分に満足した積山検出装置ではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したように、スタッカーを自動化するためには、積山検出器の設置位置や改良を行い、動作感度を向上させることにより、積山検出を安定させる必要がある。そこで、これらの問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、積山検出器に検出羽を設け、荷の流れを広い面積で受けられるようにし、かつ、積山検出器の傾きの支点を変える積山検出器上部に重錘を設置し、その重錘の取付け位置の適正化を図ると共に、隣接山と干渉の少ない積山検出器を提供するものである。
【0009】
その発明の要旨とするところは、
(1)原料ヤード受入時の積山を検出するための積山検出器において、積山検出器に検出羽を設置し、かつ、該積山検出器上部に重錘を設置したことを特徴とする原料ヤード受入時の積山検出器。
(2)前記(1)に記載の積山検出器の位置を、スタッカーの機内ベルトコンベアの中心から積山検出器までの距離Ls、積山間隔をLpとするとき、Ls≦Lp/2とすることを特徴とする原料ヤード受入時の積山検出方法にある。
【発明の効果】
【0010】
以上、述べたように、本発明によって荷の流れを広い面積で受けられるようにし、かつ、積山検出器の感度を向上させると共に、隣接山のある場合にも性能よく働き、隣接山と干渉の少ない積山検出器を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について、図面に従って詳細に説明する。
図1は、原料ヤード受入時のスタッカーの概略図である。この図に示すように、原料ヤード1の積付け長手方向に敷設された走行レール2上を走行可能なヤード機械としてのスタッカー3による積付けを制御する積付け制御機構(図示せず)とを有している。スタッカー3は走行レール2上を走行する機体4と、この機体4上に装備され、かつ旋回および俯仰可能なブーム5と、このブーム5内を長手方向に回転するベルトコンベア6とを有しており、このベルトコンベア6にバラ物原料が積載されてブーム5の先端位置(積付け位置)まで搬送され、この先端位置で落下されるようになっている。
【0012】
このため、バラ物原料は落下地点で落下に伴って徐々に成長し、原料の安息角に応じた山形の積山8となる。なお、スタッカー3全体の走行、ブーム5の俯仰、旋回、およびベルトコンベア6の搬送は、スタッカー3の所定位置に夫々装備されている走行モータ、俯仰モータ、旋回モータ、および搬送モータ(いずれも図示せず)を駆動制御することにより行われる。なお、符号7は積山検出器を示す。
【0013】
図2は、本発明に係るスタッカーのブーム先端部の全体概略図である。この図に示すように、スタッカーのブーム5には積付けするためのベルトコンベア6が設置されている。また、ブーム5の先端にはドラム9に一端を固定したフレーム11がある。フレーム11の先端にロープ10が固定されており、ロープ10に積山検出器7が連結されている。なお、積山の高さはスタッカーのブーム高さとロープ10の長さによって決められる。ここで積山検出器7の感度が悪く、動作にばらつきがあると、積山高さにもばらつきが発生し、一様な高さの山が形成できない。積山検出器の感度を上げることは、積山高さの安定化にも寄与する。
【0014】
また、図2は、積山検出器自体を昇降させる機構も示している。これはスタッカーは山の積付作業以外の仕事をする時に、積山検出器が障害となる場合に積山作業以外では積山検出器を上昇させておくようにするためのものである。スタッカーが積山作業しかしない場合は、勿論このような昇降機構は不要である。
【0015】
図3は、積山検出器の動作原理を示す図である。この図3(a)は傾斜面13でのバラ物原料12の流れと積山検出器の位置関係を示している。積山が所定の高さになると、積山が積山検出器7と接触し始める。さらに、積山が堆積すると図3(b)に示すように積山検出器7が斜めに傾き始める。一定の傾きになるとチルト式スイッチである積山検出器7が作動し、積山が所定の高さになったことを検出できる。
【0016】
図4は、積山検出器が埋没する時の状態の説明図である。上述したような方法で積山が所定の高さになったことを検知したら、所定の山間隔(Lp)だけ機体を移動させて、次の山の積付を行う。図4(a)はこの時の様子を示す。積山8は既に所定の高さまで積付を行った山で、積山8´はLpだけ移動した後に積付をしている最中の山である。この場合、図4(a)に示すように、隣接山が存在するときには、山と山との谷間に積山検出器が位置することがある。
【0017】
上述したような場合には、図4(b)に示すように積山検出器の下側から山が堆積することがある。このように堆積すると、積山検出器7の自重でバラ物12の中に沈み込み、積山検出器が傾くことなく埋没してしまう。特に比重の軽いバラ物を扱う場合において、荷役T/Hや隣接山が存在する場合に起こりやすい。さらには、積山検出器7が積山8の傾斜に近いと積山8にも積山検出器7が接触し所定の傾きに到達出来ず埋没する。このように積山検出器7がバラ物12中に沈み込み、そのために積山検出器7の作動が停止するのを防止するために、本発明においては、その積山検出器7に重錘を設置して積山検出器7の作動距離を小さくし、検出器の作動を出来るだけ停止するのを防止する。
【0018】
図5は、積山検出器の検出作動についての説明図である。図5(a)は従来の積山検出器7の作動距離を示し、図5(b)は本発明に係る作動距離を示している。この図から分かるように、従来の図5(a)に示す作動距離に対して、本発明は作動距離が短いため、検出動作が極めて速くなる。すなわち、取り付けフレーム15からの積山検出器7の上部に重錘16を設置した。また、この重錘16の位置を可変することにより、作動距離を変化させ、図3または図4に示す各種の状態に応じた積山検出器7の作動を可能とするものである。
【0019】
上記のように、積山検出器上部に重錘16を設置し、チルト式スイッチが傾くための支点を検出器に出来るだけ近づけることで、検出器の作動を速くすることが可能となり、しかも、この重錘16は積山検出器7より十分に重くした。これにより重錘16より下にある検出器部のみが傾くような形となり、より早く所定の傾きになり検出感度を向上させることができる。
【0020】
さらに、積山検出器7の作動が停止するのを防止するために、積山検出器7に検出羽を設置した。図6は、本発明に係る積山検出器に検出羽を設置した概略図である。この図に示すように、積山検出器7の下部に検出羽14、例えば十字型の検出羽を設置することで、バラ物原料の流れを広い面積で受けられるようにする。このように、積山検出器7に検出羽を設置したことで、接触面積が大きくなりバラ物原料の流れに対して感度のよい検出機能を発揮することが可能となる。
【0021】
一方、図4で述べたように、隣接山と積山検出器とが干渉する位置にある場合には、積山検出器の動作が阻害されやすい。これを防止するために、隣接山との中間に位置する場合を例にとって説明すると、図4に示すように隣接山がある場合には、隣接山との頂点間隔と、積山検出器7の位置は密接な関係をなし、積山検出器7の設定位置は機械の物理的な制約で決定されるが、スタッカーの機内ベルトコンベアの中心から積山検出器をLsとし、積山間隔をLpとした時に、Ls≦Lp/2とすることで、積山検出器の作動を停止することなく最適な測定を可能とするものである。この関係は、スタッカーの停止精度や積山位置での機体の旋回角度などによって決定されたものである。ただし、LsがLp/2を超えると、その積山検出器の作動が悪くなることから、その範囲とした。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】原料ヤード受入時のスタッカーの概略図である。
【図2】本発明に係るスタッカーのブーム先端部の全体概略図である。
【図3】積山検出器の動作原理を示す図である。
【図4】積山検出器の作動が停止する場合を示した図である。
【図5】積山検出器の検出作動についての説明図である。
【図6】本発明に係る積山検出器に検出羽を設置した概略図である。
【符号の説明】
【0023】
1 原料ヤード
2 走行レール
3 スタッカー
4 機体
5 ブーム
6 ベルトコンベア
7 積山検出器
8、8´積山
9 ドラム
10 ロープ
11 フレーム
12 バラ物原料
13 傾斜面
14 検出羽
15 取り付けフレーム
16 重錘


特許出願人 新日本製鐵株式会社 他1名
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ヤード受入時の積山を検出するための積山検出器において、積山検出器に検出羽を設置し、かつ、該積山検出器上部に重錘を設置したことを特徴とする原料ヤード受入時の積山検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の積山検出器の位置を、スタッカーの機内ベルトコンベアの中心から積山検出器までの距離Ls、積山間隔をLpとするとき、Ls≦Lp/2とすることを特徴とする原料ヤード受入時の積山検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−8616(P2007−8616A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188700(P2005−188700)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000005924)株式会社三井三池製作所 (43)
【Fターム(参考)】