説明

原稿読み取り装置

【課題】筐体上面に形成された開口部にプラテンガラスが取り付けられた原稿読み取り装置において、撓みなどの変形を筐体に生じさせることなく、また部品点数を増加させずに筐体内への異物の侵入を防止する。
【解決手段】筐体2の開口部20の周縁に他の部分より一段高い支持部22を連続して形成する。そして、プラテンガラス11を支持部22で支持すると共に、プラテンガラス11と支持部22とを気密に接触させる。ここで、筐体2内への異物の侵入をより確実に防ぐ観点からは、支持部22の外周端22aを、プラテンガラス11の外周端11aよりも内側に位置させるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンターやそれらの機能を複合的に備えた画像形成装置に用いられる原稿読み取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿読み取り装置は、原稿を光学的に走査して読み取る。具体的には、プラテンガラス上に原稿を載置して光を照射し、その反射光や透過光を、光学的に処理してCCDなどの光電変換素子でデジタル信号に変換して画像データとする。ここで、原稿読み取り装置内のミラーやレンズなどの光学部品に埃などの異物が付着すると、当該異物も画像として読み取られる結果、画質の低下を招く。
【0003】
従来、装置筐体へのプラテンガラスの取り付けは、例えば、高さ位置を決めるために筐体の四隅などに凸部を設けてプラテンガラスを支持していたが、プラテンガラスと筐体との間に隙間が生じ、ここから筐体内に異物が侵入することがあった。また、筐体に形成された開口部にプラテンガラスを直接取り付けることも考えられるが、筐体材料の厚みが薄くなると筐体の強度が低下し筐体が撓んで、プラテンガラスと筐体との間に隙間が生じ、前記と同様に、隙間から異物が侵入する。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、プラテンガラスと筐体との間にシール部材を介在させて、異物の侵入を防止する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-287438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前記提案の構成では、シール部材をプラテンガラスの全外周にわたって介在させなければならないので、組み立て作業が煩雑となり作業効率が低下する。また、部品点数も増加する。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、筐体上面に形成された開口部にプラテンガラスが取り付けられた原稿読み取り装置において、撓みなどの変形を筐体に生じさせることなく、また部品点数を増加させずに筐体内への異物の侵入を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明に係る原稿読み取り装置は、上面に開口部が形成された筐体と、筐体内に取り付けられた光学部品と、筐体の開口部の少なくとも一部を封止するように取り付けられた、原稿が載置されるプラテンガラスと有し、プラテンガラスは、前記開口部の周縁に連続して形成された、筐体上面の他の部分より一段高い支持部によって支持され、プラテンガラスと前記支持部とは気密に接触していることを特徴とする。
【0009】
ここで、自動原稿搬送装置によって搬送されてきた原稿を読み取るためのスリットガラスをさらに設け、プラテンガラスとスリットガラスとによって筐体の開口部を封止するようにしてもよい。
【0010】
また、筐体内への異物の侵入をより確実に防ぐ観点からは、前記支持部の外周端を、プラテンガラスの外周端よりも内側に位置させるのが好ましい。
【0011】
そしてまた、前記支持部に、プラテンガラスを位置決めするための立ち上がり部を切り起こし形成し、切り起こし後の開口を前記筐体の内側から弾性部材で塞ぐようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る原稿読み取り装置では、筐体上面の開口部の周縁に連続して形成された、筐体上面の他の部分より一段高い支持部によってプラテンガラスを支持するので、筐体がプラテンガラスの重みなどで撓み変形するおそれがなく、またプラテンガラスと支持部とは気密に接触しているので、シール部材などを用いることなく筐体内への異物の侵入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る原稿読み取り装置の一例を示す斜視図。
【図2】図1に示す原稿読み取り装置の概略構成を示す垂直断面図。
【図3】図1のA部の部分拡大図。
【図4】プラテンガラスの支持部への取付状態を示す部分垂直断面図。
【図5】本発明に係る原稿読み取り装置の他の例を示す斜視図。
【図6】図5の原稿読み取り装置のスリットガラスの長手方向両端部の垂直断面図。
【図7】図5の原稿読み取り装置のスリットガラスの長手方向中央部の垂直断面図。
【図8】立ち上がり部を形成した支持部の部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る原稿読み取り装置について図に基づいてさらに詳しく説明するが本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0015】
図1に本発明に係る原稿読み取り装置の一例を示す斜視図を、図2に概略構成を示す垂直断面図をそれぞれ示す。図1に示す原稿読み取り装置Rは、筐体2の上面に形成された四角形状の開口部20にプラテンガラス11が載置されている。筐体2の内部には、後述する走行ユニット(光学部品)12a,12bとCCDなどの光を電気信号に変換する撮像素子(光学部品)13とが設けられている。
【0016】
図2に示すように、プラテンガラス11の下側には第1走行ユニット12a及び第2走行ユニット12bが設けられている。第1走行ユニット12a及び第2走行ユニット12bは、不図示の駆動伝達機構や走行用レールによってモータ15からの動力で水平方向に移動する。
【0017】
第1走行ユニット12aは、光源121と、反射板122と、ミラー123とを備え、プラテンガラス11上に載置された原稿10に対して、光源121から光を照射し、その反射光をミラー123で第2走行ユニット12bへ送る。なお、反射板122で光源121の光を効率的に原稿面へ照射する効果を高めるためのものである。この第1走行ユニット12aは、原稿10の左端から右端まで移動し、原稿からの反射光を連続的に第2走行ユニット12bへ送る。
【0018】
第2走行ユニット12bは、ミラー124とミラー125とを備え、第1走行ユニット12aから送られてきた光を、レンズ12cを介してCCDなどの撮像素子13へ送る。第2走行ユニット12bは、第1走行ユニット12aと同期して移動するが、その移動速度は第1走行ユニット12aの半分である。この第2走行ユニット12bの移動によって、原稿10の画像面からレンズ12cまでの距離は原稿10のどの位置でも同じとなる。これにより、原稿10のどの位置でも焦点は合った状態となる。
【0019】
そして、レンズ12cで集光された光は撮像素子13に照射され電気信号に変換される。なお、この例では撮像素子13によって原稿の画像を電気信号に変換する例を示したが、撮像素子13に換えて感光体を原稿読み取り装置の外側に配置し、一様に帯電させた感光体表面にレンズ12cを通過した光を照射して露光することにより、原稿画像と同じ静電潜像を感光体表面に形成してもよい。この場合、レンズ12cを通過した光は別設の窓ガラスを通して感光体に照射する。
【0020】
図3に、図1のA部分の拡大斜視図を示す。図1及び図3に示すように、筐体2の上面に形成された開口部20の周縁には、筐体上面の他の部分より一段高い支持部22が全周にわたって連続して形成されている。
【0021】
図4に示すように、支持部22は、筐体2の基準面21よりも高さHだけ高く形成されている。この支持部22の上面にプラテンガラス11が載置され、プラテンガラス11は支持部22によって支持される。このように、プラテンガラス11と筐体2との接触面を基準面21よりも一段高くすることによって、筐体2の上面に堆積したゴミや塵埃などの異物が筐体2内へ侵入することが抑制される。また、曲げモーメントに対する筐体2の強度が向上し、プラテンガラス11を支持することによっても筐体2に撓みなどの変形は生じない。高さHに特に限定はないが、一般に0.5mm〜5mmの範囲が好ましい。また、基準面21から支持部22への傾斜角度は加工容易性等の考慮し適宜決定すればよいが、傾斜角度を急角度にするほど、筐体2内への異物侵入抑制効果が高くなる。
【0022】
さらに、支持部22の外周端22aを、プラテンガラス11の外周端11aよりも内側に位置させている。これにより、支持部22の近傍の基準面21に異物が堆積することが抑制される。部品寸法や組み立てにばらつきがある場合であっても、支持部22の平坦面が露出しないようにする観点からは、支持部22の外周端22aとプラテンガラス11の外周端11aと間の長さL2は1mm〜5mmの範囲とするのが好ましい。また、プラテンガラスに局部的な力が加わることを回避する観点からは、プラテンガラス11と支持部22との接触長さL1は1mm〜10mmの範囲とするのが好ましい。
【0023】
図5に、本発明に係る原稿読み取り装置の他の実施形態を示す斜視図を示す。この図に示す原稿読み取り装置Rは、不図示の自動原稿搬送装置(ADF)によって搬送されてきた原稿を読み取るためのスリットガラス32を有し、筐体2の開口部20は、スリットガラス32とプラテンガラス11とによって封止されている。
【0024】
スリットガラス32は、筐体2の開口部20の一部に装着されたガイド部材31の開口30に嵌め入れられることにより取り付けられている。図6に、スリットガラス32の長手方向両端部の垂直断面図を示し、図7に、スリットガラス32の長手方向中央部の垂直断面図を示す。図6に示すように、スリットガラス32は、ガイド部材31の長手方向両端部に形成された、開口30の側面下端から開口内方へ延出した受け部31aによって支持されている。一方、図7に示すように、ガイド部材31の長手方向両端部の間の中間部には受け部は形成されておらず、ガイド部材31の開口30の側面とスリットガラス32の側面とが接触しているだけで、ガイド部材31とスリットガラス32との隙間から筐体2内部にゴミや塵埃が侵入するおそれがあるので、この接触面を塞ぐようにガイド部材31とスリットガラス32とにわたってシート部材34が貼設されている。なお、ガイド部材31の開口30の側面全周にわたって受け部31aを形成し、スリットガラス32を支持するようにしてももちろん構わない。
【0025】
他方、図5に示すように、プラテンガラス11の3つ辺は、前記実施形態と同様に、筐体2に形成された支持部22によって支持されている。プラテンガラス11の残る1つの辺は、ガイド部材31によって支持されている。具体的には、図6及び図7に示すように、ガイド部材31の側面に形成された、プラテンガラス11の厚みとほぼ等しい高さの矩形状の切込み31bに、プラテンガラス11の前記1つの辺が嵌め込まれ、プラテンガラス11はガイド部材31に支持されている。なお、プラテンガラス11表面に原稿10を載置するときの基準位置を示す原稿位置決め部材33も、プラテンガラス11上にガイド部材31によって固定支持されている。
【0026】
プラテンガラス11を筐体2に高精度で取り付けるために、位置決め部を筐体2に設けてもよい。図8に、位置決め部の一例を示す部分斜視図を示す。筐体2に形成された支持部22の一部に、他よりも幅の広い拡張部221が設けられている。そして、拡張部221の開口部側の端部から四角形状の立ち上がり部23が切り起こされている。この立ち上がり部23に、プラテンガラス11の側面を当接させることによってプラテンガラス11の筐体2に対する位置決めがなされる。なお、立ち上がり部23を切り起こした後に形成される開口24は、開口24の深さと等しい又は若干厚い弾性部材25を筐体2の内側から貼着することによって充塞されている。これにより、開口24から筐体2内への異物の侵入が防止される。立ち上がり壁23は、プラテンガラス11の1つの辺又は2つ以上の辺に対して設ければよく、少なくとも隣り合う2つの辺に対して設けるのが好ましい。また立ち上がり壁23は、プラテンガラス11の1つの辺に対して1つ又は2つ以上設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る原稿読み取り装置は、筐体上面の開口部の周縁に連続して形成された、筐体上面の他の部分より一段高い支持部によってプラテンガラスを支持するので、筐体がプラテンガラスの重みなどで撓み変形するおそれがなく、またプラテンガラスと支持部とは気密に接触しているので、シール部材などを用いることなく筐体内への異物の侵入を防止でき有用である。
【符号の説明】
【0028】
2 筐体
,R 原稿読み取り装置
10 原稿
11 プラテンガラス
11a プラテンガラスの外周端
12a,12b 走行ユニット(光学部品)
13 撮像素子(光学部品)
20 開口部
21 基準面
22 支持部
22a 支持部の外周端
23 立ち上がり部
24 開口
25 弾性部材
31 ガイド部材
32 スリットガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部が形成された筐体と、筐体内に取り付けられた光学部品と、筐体の開口部の少なくとも一部を封止するように取り付けられた、原稿が載置されるプラテンガラスと有し、
プラテンガラスは、前記開口部の周縁に連続して形成された、筐体上面の他の部分より一段高い支持部によって支持され、プラテンガラスと前記支持部とは気密に接触していることを特徴とする原稿読み取り装置。
【請求項2】
自動原稿搬送装置によって搬送されてきた原稿を読み取るためのスリットガラスをさらに有し、プラテンガラスとスリットガラスとによって筐体の開口部が封止されている請求項1記載の原稿読み取り装置。
【請求項3】
前記支持部の外周端が、プラテンガラスの外周端よりも内側に位置している請求項1又は2記載の原稿読み取り装置。
【請求項4】
前記支持部に、プラテンガラスを位置決めするための立ち上がり部が切り起こし形成され、切り起こし後の開口は前記筐体の内側から弾性部材で塞がれた請求項1〜3のいずれかに記載の原稿読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−62629(P2013−62629A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198926(P2011−198926)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】