説明

原稿読取装置

【課題】湾曲経路を含む搬送経路に沿って原稿を搬送しつつ、当該原稿の画像を読み取る原稿読取装置に関し、両面読取に関する所要期間を短縮しつつ、装置の小型化に対応しうる原稿読取装置を提供する。
【解決手段】原稿読取装置1は、ADFユニット10によって、原稿トレイ15上に載置された原稿を、湾曲経路Rcを含む原稿搬送経路Rに沿って搬送しつつ、当該原稿の両面から画像を読み取り、排紙トレイ16へ排紙し得る。イメージセンサ56は、読取センサ72と搬送方向下流側において隣接し、且つ、原稿搬送経路Rを介して読取センサ72と逆側となる位置に配設されている。原稿搬送経路Rにおいて、イメージセンサ56よりも搬送方向下流側から排紙部50までの第2経路長LBは、イメージセンサ56の配設位置及び読取センサ72の配設位置を含む第1経路長LAよりも短く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲経路を含み、原稿トレイと排紙トレイを接続する搬送経路に沿って、原稿を搬送しつつ、当該原稿から画像を読み取る原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿読取装置として、ADFユニット(所謂、ADF:Auto Document Feeder)を有して構成された原稿読取装置が知られている。当該原稿読取装置は、ADFユニットによって、原稿トレイ上に載置されている原稿を順次、所定の搬送経路に沿って搬送し、読取部によって、当該搬送されている原稿から画像を読み取るように構成されている。又、読取部によって画像が読み取られた原稿は、搬送経路に沿って搬送され、排紙トレイ上に排紙される。
【0003】
このような原稿読取装置に関する発明として、特許文献1記載の発明が知られている。特許文献1記載の画像読取装置は、本体部上面に対して開閉自在に配設された原稿カバーとを有しており、原稿カバーに配設されたADFユニットによって、所定の搬送経路に沿って原稿を搬送しつつ、当該原稿の第1面から画像を読み取るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−064844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の画像読取装置においては、原稿トレイと排紙トレイは、夫々異なる高さに配設されており、搬送経路は、原稿の搬送方向を変更しつつ、異なる高さに位置する原稿トレイと排紙トレイを接続するように、略U字状に形成された湾曲経路を含んで構成されている。そして、当該画像読取装置は、当該湾曲経路よりも搬送方向上流側であって、搬送経路に沿う位置に配設されたイメージセンサによって、搬送経路上を搬送される原稿の第1面から画像を読み取る。
【0006】
ここで、ADFユニットによって、搬送経路に沿って原稿を搬送しつつ画像を読み取る方式であって、両面読取が可能な原稿読取装置が要望されている。両面読取とは、特許文献1のように、原稿の第1面のみから画像を読み取るだけでなく、原稿を継続して搬送しつつ、当該第1面の裏側にあたる第2面からも画像を読み取る方式である。
【0007】
特に、一度の原稿搬送で両面読取に対応する為には、原稿の第1面から画像を読み取る第1イメージセンサに加えて、原稿の第2面から画像を読み取る第2イメージセンサを、搬送経路に沿った位置に配設する必要がある。即ち、第2イメージセンサを、搬送経路に沿う位置であって、且つ、第1イメージセンサと異なる位置に配設する必要があるので、搬送経路の経路長が長くなってしまう傾向があった。そして、両面読取を行う際には、ADFユニットによって、原稿トレイから排紙トレイまでの間を、搬送経路に沿って原稿を搬送する必要があるため、搬送経路の経路長が長ければ、両面読取を完了するまでの所要期間が長くなってしまうという問題があった。
【0008】
又、ADFユニットを用いた原稿読取装置においても、装置の小型化が要望されている。この点、上述のように、両面読取に対応する為に第1イメージセンサに加えて、第2イメージセンサを配設すると、第1イメージセンサと第2イメージセンサの配置によっては、当該原稿読取装置の大型化を招いてしまう場合があった。
【0009】
本発明は、湾曲経路を含む搬送経路に沿って原稿を搬送しつつ、当該原稿の画像を読み取る原稿読取装置に関し、両面読取に関する所要期間を短縮しつつ、装置の小型化に対応しうる原稿読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係る原稿読取装置は、原稿トレイと、搬送手段と、読取部と、排紙トレイとを有しており、分離部と排紙部を含む搬送手段によって、原稿トレイ上に載置された原稿を、湾曲経路を含む搬送経路に沿って搬送しつつ、読取部によって、当該原稿から画像を読み取り、排紙トレイへ排紙し得る。読取部は、第1イメージセンサと、第2イメージセンサを有しているので、当該原稿読取装置は、原稿を搬送経路に沿って搬送しつつ、当該原稿の第1面及び第2面の両面から画像を読み取り得る。そして、第2イメージセンサは、前記第1イメージセンサに対して、前記搬送経路を介して逆側であって、前記搬送方向において、前記第1イメージセンサと隣接する位置に配設されている。従って、当該原稿読取装置は、第1イメージセンサ、第2イメージセンサを、このような位置関係に配設することで、両面読取を実現しつつ、装置の小型化に貢献し得る。更に、当該原稿読取装置において、搬送経路は、前記分離部の配設位置から前記読取部の配設位置までの搬送経路の経路長よりも、前記読取部の配設位置における搬送方向下流側の位置から前記排紙部の配設位置までの搬送経路の経路長が短く形成されている。ここで、前記分離部の配設位置から前記読取部の配設位置までの搬送経路の経路長は、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサの配設部分を含むこととなるので、両面読取を実現する関係上、一定の長さが必要となる。従って、読取部の配設位置における搬送方向下流側の位置から前記排紙部の配設位置までの搬送経路の経路長が短く形成することにより、搬送経路全体における経路長を短くすることができる。これにより、当該原稿読取装置は、一枚の原稿に対する両面読取に関する所要期間を短くすることができる。
【0011】
そして、本発明の他の側面に係る原稿読取装置において、搬送手段は、その周面による湾曲経路の一部を構成するメインローラを含んでおり、当該メインローラは、回転することにより、湾曲経路に沿って原稿を搬送する。従って、当該原稿読取装置は、一のメインローラの周面によって湾曲経路の一部を構成する為、樹脂等により湾曲経路を構成し、且つ、原稿を搬送する為の複数のローラを配設する場合に比べて、装置の小型化に貢献し得る。又、読取部は、メインローラの占有範囲よりも搬送方向上流側に配設されている。上述したように、読取部は、第1イメージセンサと、第2イメージセンサを有しているので、第1イメージセンサ又は第2イメージセンサが、メインローラと鉛直方向に重なることはない。即ち、当該原稿読取装置は、メインローラと読取部の位置関係を上述のように配置することで、装置の上下方向における小型化に貢献し得る。
【0012】
又、本発明の他の側面に係る原稿読取装置では、排紙部は、湾曲経路における搬送方向下流側であって、前記メインローラの回転軸を通る鉛直線よりも搬送方向上流側の範囲に排紙ローラを有している。排紙ローラが上述の範囲に配設されていることにより、当該原稿読取装置は、読取部の配設位置における搬送方向下流側の位置から前記排紙部の配設位置までの搬送経路の経路長を短くすることができ、もって、原稿の両面読取に関する所要期間を短くし得る。又、排紙ローラが上述の範囲に配設されていることにより、当該原稿読取装置は、メインローラにおける鉛直線上に、排紙ローラが存在する場合よりも、当該鉛直方向における装置のサイズを小型化し得る。
【0013】
そして、本発明の他の側面に係る原稿読取装置は、前記排紙ローラよりも搬送方向上流側において、前記湾曲経路を介して、前記メインローラの周面に向かって突出形成された第1ガイドリブを有している。当該第1ガイドリブは、前記排紙ローラと前記メインローラとのニップ位置よりも搬送方向上流側において、前記湾曲経路を搬送される原稿を、前記メインローラの周面に向けて押さえる。従って、当該原稿読取装置によれば、第1ガイドリブによって、湾曲経路を搬送されてきた原稿の端部を、排紙ローラとメインローラのニップ位置に対して円滑に案内することができ、もって、原稿を円滑に排紙トレイへ排紙しうる。
【0014】
又、本発明の他の側面に係る原稿読取装置は、第1トーションバネと、第1補強部材とを有しており、第1トーションバネの付勢力によって、排紙ローラの回転軸を、前記メインローラに向けて付勢する。従って、当該原稿読取装置は、排紙ローラとメインローラによって、湾曲経路を搬送された原稿を確実に挟持しつつ、排紙トレイへ排紙し得る。そして、第1トーションバネは、付勢端部と、固定端部と、コイル部を有しているので、排紙ローラの回転軸の上方には付勢端部のみが存在すればよく、固定端部及びコイル部は、排紙ローラの上方から離れた位置に配設し得る。従って、当該原稿読取装置によれば、排紙ローラの回転軸の上方からコイルスプリング等によって付勢する場合に比べ、上下方向における装置の小型化に貢献し得る。
【0015】
そして、本発明の他の側面に係る原稿読取装置において、搬送手段は、ニップローラを有しており、当該ニップローラは、読取部よりも搬送方向下流側において、前記メインローラの周面との間で前記原稿を挟持しつつ回転することにより、前記原稿を搬送経路に沿って搬送する。又、当該原稿読取装置は、ニップローラよりも搬送方向上流側において、前記湾曲経路に向かって突出形成された第2ガイドリブを有し、第2ガイドリブは、前記ニップローラよりも搬送方向上流側に位置する原稿の端部と接触することで、前記メインローラと前記ニップローラのニップ位置に向かって、前記原稿を案内する。従って、当該原稿読取装置によれば、第2ガイドリブによって、読取部によって画像が読み取られた原稿の端部を、ニップローラとメインローラのニップ位置に対して円滑に案内することができ、もって、原稿を円滑に搬送方向下流側へ搬送し得る。
【0016】
又、本発明の他の側面に係る原稿読取装置において、分離部は、分離ローラと、分離片と、第2トーションバネを有しており、分離ローラと分離片とを協働させることにより、原稿を一枚ずつに分離しつつ搬送する。第2トーションバネは、付勢端部と、固定端部と、コイル部とを有しており、付勢端部を介して、第2トーションバネの付勢力によって、分離片を、分離ローラに向かって付勢する。従って、当該原稿読取装置は、分離片を分離ローラの周面へ付勢することによって、原稿を確実に一枚ずつに分離し得る。更に、分離片の上方には付勢端部のみが存在すればよく、固定端部及びコイル部は、分離片の上方から離れた位置に配設し得る。従って、当該原稿読取装置によれば、分離片の上方からコイルスプリング等によって付勢する場合に比べ、上下方向における装置の小型化に貢献し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る原稿読取装置の構成を示す断面図である。
【図2】給紙部、分離部の構成を示す拡大断面図である。
【図3】メインローラ近傍の構成を示す拡大断面図である。
【図4】原稿読取装置における搬送経路と経路長の関係を示す説明図である。
【図5】上部カバーの外観斜視図である。
【図6】搬送経路構成部材の外観斜視図である。
【図7】排紙部の構成を示す拡大断面図である。
【図8】第1ガイドリブ、第2ガイドリブの作用に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る原稿読取装置を、ADFユニット10を有する原稿読取装置1に具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
先ず、原稿読取装置1の概略構成について、図1を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明においては、原稿読取装置1が使用可能に設置された状態を基準として、図1に示す上下方向及び左右方向を定義し、図1における紙面手前側を前方、紙面奥側を後方として定義して説明する。
【0020】
図1に示すように、原稿読取装置1は、原稿カバー5と、本体筐体60とを有している。原稿カバー5は、カバー筐体6、上部カバー7によりその外殻が構成されており、本体筐体60上面の後端縁を軸に開閉自在に配設されている。原稿カバー5は、その左側部分に、ADFユニット10(所謂、ADF:Auto Document Feeder)を備えている。そして、上部カバー7は、ADFユニット10の上面(即ち、原稿カバー5における上面左側部分)を構成し、カバー筐体6に対して開閉自在に取り付けられる。図5に示すように、上部カバー7は、第2ガイドリブ7Aと、第2バネ取付部7Bと、第2固定端保持部7Cを有しているが、その具体的構成については、後に詳細に説明する。
【0021】
ADFユニット10は、原稿の画像を読み取るために、原稿トレイ15上に載置された原稿を、所定の原稿搬送経路Rに沿って搬送し、排紙トレイ16へ排紙するユニットである。具体的に、ADFユニット10は、給紙部25、分離部30、搬送ローラ対35、メインローラ40、ニップローラ45、排紙部50、及び画像読取部55を備えている。当該ADFユニット10の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
そして、本体筐体60は、原稿読取装置1におけるスキャナ機能を実現するための各種構成部品を、当該本体筐体60内部に収容している。具体的には、本体筐体60は、当該原稿読取装置1の制御の中枢を担う制御部を収容している。当該制御部は、CPU、ROM、RAM等を有しており、原稿読取装置1の各機能に係る制御を担う。従って、制御部は、ADFユニット10、後述するスキャナユニット70等を制御することにより、原稿読取装置1におけるスキャナ機能を実現する。
【0023】
又、本体筐体60は、その内部にスキャナユニット70を有している。スキャナユニット70は、原稿の画像を読み取り可能に構成されており、所謂、フラットベッドスキャナとして機能し得る。具体的には、スキャナユニット70は、原稿載置台として機能するコンタクトガラス71、読取センサ72、キャリッジ73、スライド軸、及びモータ等を備えている(図2等参照)。コンタクトガラス71は、所謂「プラテンガラス」であり、本体筐体60の左右方向に沿って長辺が位置するA4サイズよりもやや大きな長方形状に形成されている。
【0024】
読取センサ72は、所謂、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)により構成され、コンタクトガラス71上に位置する原稿の画像を左右方向に移動しながら読み取る。当該読取センサ72は、主走査方向(即ち、本体筐体60における前後方向)がA4サイズの短辺に相当する長さの読取範囲を有しており、左右方向に移動可能なキャリッジ73上に配設されている。
【0025】
キャリッジ73は、本体筐体60の左右方向に向かって伸びるスライド軸によって、左右方向の一定の範囲(A4サイズの長辺寸法に相当する範囲)内をスライド移動可能に保持されている。従って、当該原稿読取装置1は、制御部によるモータの駆動制御に基づいて、読取センサ72を保持するキャリッジ73をスライド軸に沿ってスライド移動させつつ、コンタクトガラス71上に載置された原稿の画像を読み取り得る。
【0026】
尚、本実施形態に係る原稿読取装置1においては、ADFユニット10を用いて原稿の両面読取を行う場合、読取センサ72及びキャリッジ73は、スライド軸における最も左側の位置(図1中、読取センサ72、キャリッジ73を実線で示す位置)に位置する。以下の説明において、この時の読取センサ72等の位置を、ADF読取位置という。この点、スキャナユニット70をフラットベッドスキャナとして使用した場合、読取センサ72、キャリッジ73は、スライド軸における最も右側の位置(図1中、読取センサ72、キャリッジ73を破線で示す位置)までスライド移動する。
【0027】
上述したように、原稿カバー5は、本体筐体60上面の後端縁を軸に開閉自在に配設されており、図1に示すように、原稿カバー5を閉じた場合に本体筐体60上面(即ち、スキャナユニット70の上面)を覆う。従って、原稿カバー5を閉じた場合、当該原稿カバー5は、スキャナユニット70の読取対象としてセットされた原稿をその位置に固定し得る。
【0028】
次に、原稿読取装置1におけるADFユニット10の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、当該ADFユニット10は、原稿トレイ15と、排紙トレイ16と、搬送経路構成部材17と、搬送機構部20と、駆動モータ(図示せず)と、画像読取部55とを主に備えて構成されている。そして、ADFユニット10の内部には、原稿搬送経路Rが、搬送経路構成部材17や搬送機構部20の配置によって形成されている。当該ADFユニット10は、原稿トレイ15に載置された原稿を所定の原稿搬送経路Rに沿って搬送しつつ、画像読取部55によって、搬送途中の原稿から画像を読み取り、排紙トレイ16へ排紙する。尚、駆動モータは、ADFユニット10における原稿の搬送に関する駆動源であり、制御部の制御に従って搬送機構部20を駆動する。
【0029】
原稿トレイ15は、原稿カバー5の左右方向における中央部分に配設されており、ADFユニット10による搬送対象である原稿が、その長辺が左右方向に沿った状態(つまり、短辺が原稿読取装置1の前後方向に沿った状態)で載置される部分である。当該原稿トレイ15は、原稿搬送経路RにおけるADFユニット10の下方に位置する一端部に沿って形成されている。
【0030】
排紙トレイ16は、原稿トレイ15の上方に、原稿トレイ15との間に一定の間隔を隔てて配設されている。又、当該排紙トレイ16は、原稿搬送経路RにおけるADFユニット10の上方に位置する他端部に沿って形成されており、原稿読取装置1の左右方向において、原稿トレイ15よりも左側に位置している。当該排紙トレイ16の上面には、ADFユニット10によって搬送された原稿が積層される。又、図2に示すように、排紙トレイ16の下面には、第1バネ取付部16Aと、第1固定端保持部16Bが形成されており、これらは、分離部30を構成する第1トーションバネ33の取付に用いられる。これらに関する詳細については後述する。
【0031】
そして、原稿トレイ15の左側であって、前記排紙トレイ16の下方には、搬送経路構成部材17が配設されている。当該搬送経路構成部材17は、原稿搬送経路Rにおいて、ADFユニット10の下部を左右方向に延びる部分を、その下面によって構成する。又、当該搬送経路構成部材17は、原稿搬送経路Rの一部を構成する部分に、後述する第1ガイドリブ17Aと、画像読取部55を構成するセンサ収納部58を有しており、左側部分に、メインローラ支持部17Bを有している(図6参照)。尚、搬送経路構成部材17の詳細については、後に図面を参照しつつ説明する。
【0032】
原稿搬送経路Rは、原稿読取装置1の左右方向に沿って、原稿トレイ15から搬送経路構成部材17の下面に沿って延び、排紙トレイ16表面を接続するように、ADFユニット10内部に形成されており、湾曲経路Rcを有している。上述したように、原稿は、原稿トレイ15において、原稿の長辺が原稿読取装置1の左右方向に沿って載置されており、原稿読取装置1の左右方向に沿って延びる原稿搬送経路Rに従って搬送される。従って、原稿は、その短辺が原稿読取装置1の前後方向に沿った状態で、原稿搬送経路R上を搬送される。
【0033】
図1、図4に示すように、湾曲経路Rcは、ADFユニット10内の搬送経路構成部材17よりも左側部分に、側面視略U字状に形成されており、原稿トレイ15から左方向に向かって搬送された原稿の搬送方向を180度変換しつつ、排紙トレイ16に導くための経路である。従って、湾曲経路Rcは、原稿搬送経路Rの内、原稿カバー5における最も左側に位置する。
【0034】
尚、本実施形態においては、原稿トレイ15表面から原稿搬送経路Rに沿って排紙トレイ16へ向かう方向を原稿の搬送方向という。又、本実施形態に係る湾曲経路Rcは、原稿搬送経路Rにおいて、後述するメインローラ40とニップローラ45のニップ位置(以下、第1ニップ位置NA)から、メインローラ40と排紙ローラ51のニップ位置(以下、第2ニップ位置NB)の間となる部分を意味する。
【0035】
そして、ADFユニット10の搬送機構部20は、原稿トレイ15に載置された原稿を、給紙・搬送する為の機構部であり、駆動モータ(図示せず)の駆動力が伝達されることにより、原稿を原稿搬送経路Rに沿って搬送方向下流側へ搬送する。
【0036】
搬送機構部20は、給紙部25と、分離部30と、搬送ローラ対35と、メインローラ40と、ニップローラ45と、排紙部50とを有している。図2に示すように、給紙部25は、供給ローラ26と、原稿接触部材27とを有しており、原稿トレイ15上に載置された原稿を給紙し、原稿トレイ15から原稿搬送経路Rへ搬送する。供給ローラ26は、原稿トレイ15の搬送方向下流側において原稿搬送経路Rを搬送される原稿の下面に沿う位置に回転自在に軸支されており、駆動モータ(図示せず)の駆動により、原稿トレイ15に載置された原稿を搬送方向下流側へ搬送する。
【0037】
原稿接触部材27は、原稿搬送経路Rを介して、供給ローラ26と対向する位置に揺動自在に配設されており、供給ローラ26上に位置する原稿の上面と接触している。当該原稿接触部材27は、原稿トレイ15に積載された原稿を、供給ローラ26に押圧する。又、原稿接触部材27は、原稿の分離を円滑に行うために、原稿を捌く機能を有する。
【0038】
分離部30は、給紙部25によって給紙された原稿を一枚ずつに分離して、搬送方向下流側へ搬送する機構部であり、分離ローラ31と、分離パッド32と、第1トーションバネ33と、第1補強部材34を有している。
【0039】
分離ローラ31は、供給ローラ26よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを搬送される原稿の下面に沿う位置に回転自在に軸支されており、駆動モータ(図示せず)の駆動に伴って回転する。そして、当該分離ローラ31は、分離パッド32と協働することで、一枚の原稿のみを分離して搬送方向下流側へ搬送する。
【0040】
分離パッド32は、所定の可撓性及び摩擦係数を有する材料で構成された薄板状の部材であり、原稿接触部材27よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを介して、分離ローラ31と対向する位置に配設されている。そして、当該分離パッド32は、分離ローラ31上に位置する原稿の上面に接触するように配設されており、当該原稿に摩擦力を付与することによって、分離ローラ31と協働して、原稿を一枚ずつに分離する。
【0041】
第1トーションバネ33は、ねじりコイルバネとも称されるバネであり、コイル軸周りのトルクによって付勢力を付与する。第1トーションバネ33は、付勢端部33Aと、コイル部33Bと、固定端部33Cを有しており、排紙トレイ16の下面側において、分離パッド32を分離ローラ31に向かって付勢する。
【0042】
付勢端部33Aは、第1トーションバネ33の一端部であって、分離パッド32の上面(分離パッド32における分離ローラ31と対向する面の裏側)と接触することにより、第1トーションバネ33の付勢力を、分離パッド32に作用させる。
【0043】
コイル部33Bは、付勢端部33Aから連続して延びる線材をコイル状に巻回して構成されており、当該コイル部33Bのコイル軸まわりにトルクを発生させる。当該コイル部33Bは、排紙トレイ16の下面に形成された第1バネ取付部16Aに取り付けられる。図2に示すように、第1バネ取付部16Aは、排紙トレイ16の下面において、分離ローラ31及び分離パッド32よりも搬送方向下流側であって、且つ、後述する搬送ローラ対35よりも搬送方向上流側となる位置に形成されている。従って、コイル部33Bは、分離パッド32の上方に位置することはない。
【0044】
固定端部33Cは、コイル部33Bから連続して延びる線材であって、付勢端部33Aの逆側端部を構成する。当該固定端部33Cは、排紙トレイ16の下面に形成された第1固定端保持部16Bによって所定位置に固定される。図2に示すように、第1固定端保持部16Bは、排紙トレイ16の下面において、後述する搬送ローラ対35よりも搬送方向下流側の位置に、水平に延びる板状に形成されている。そして、固定端部33Cは、第1固定端保持部16Bの上面に載置することによって固定されるので、分離パッド32の上方に位置することはない。
【0045】
図2等に示すように、第1補強部材34は、金属製の板状部材を折曲加工して形成された部材であって、第1バネ取付部16Aに対して取り付けられる。第1補強部材34は、第1バネ取付部16Aに取り付けられることによって、第1バネ取付部16Aの剛性を高める。
【0046】
図2等に示すように、分離パッド32の上方には、第1トーションバネ33の付勢端部33Aのみが位置し、コイル部33B及び固定端部33Cは、分離パッド32の上方から離れた位置に位置する。従って、当該原稿読取装置1によれば、分離パッド32の上方からコイルスプリング等によって付勢する場合に比べ、上下方向における装置の小型化に貢献し得る。
【0047】
搬送ローラ対35は、分離部30よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rを介して相互に対向する位置に回転自在に軸支されている。搬送ローラ対35の内、原稿搬送経路Rの上部に位置するローラは、駆動モータ(図示せず)の駆動力によって回転駆動し、原稿搬送経路Rの下部に位置するローラは、対向するローラの回転に伴って従動する。搬送ローラ対35は、分離ローラ31等によって一枚ずつに分離された原稿を挟持しつつ回転することによって、当該原稿を、原稿搬送経路Rに沿って搬送方向下流側に搬送する。
【0048】
尚、読取センサ72及びキャリッジ73がADF読取位置に位置する場合、これらは、搬送ローラ対35よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路Rの下方に位置し(図1参照)、原稿搬送経路Rに沿って搬送される原稿の第1面から画像を読み取る。又、ADFユニット10を構成する画像読取部55は、ADF読取位置に位置する読取センサ72及びキャリッジ73と搬送方向下流側で隣接する位置であって、原稿搬送経路Rの上方に位置し(図1参照)、原稿搬送経路Rに沿って搬送される原稿の第2面から画像を読み取る。
【0049】
メインローラ40は、搬送経路構成部材17の左端側に形成されたメインローラ支持部17B(図6参照)において回転自在に軸支されており、駆動モータ(図示せず)の駆動により回転駆動する。即ち、メインローラ40は、読取センサ72及び画像読取部55よりも搬送方向下流側に位置する。そして、当該メインローラ40の外周面は、原稿搬送経路Rを構成する湾曲経路Rcに沿う位置に位置するので、湾曲経路Rcの一部を構成する。そして、当該メインローラ40が回転することによって、搬送ローラ対35から搬送された原稿を、湾曲経路Rcに沿って搬送し得る。
【0050】
尚、以下の説明においては、図3に示すように、メインローラ40の回転中心を「回転中心C」といい、当該回転中心Cを通り、鉛直(即ち、原稿読取装置1の上下方向)に延びる補助線を「鉛直補助線V」という。又、回転中心Cを通り、水平(即ち、原稿読取装置1の左右方向)に延びる補助線を「水平補助線H」という。
【0051】
ニップローラ45は、メインローラ40の下側において、原稿搬送経路Rを介して対向する位置に回転可能に軸支されており、メインローラ40の回転に伴って従動する。図3に示すように、当該ニップローラ45は、メインローラ40の外周面下部において、回転中心Cから鉛直方向下方となる位置(即ち、図3中、鉛直補助線V上となる位置)よりも搬送方向上流側にずれた位置で、メインローラ40の外周面と接触可能に配設されている。従って、原稿読取装置1によれば、ニップローラ45の回転中心が回転中心Cから鉛直方向下方に位置する場合と比べ、原稿読取装置1における高さ寸法の小型化に貢献し得る。
【0052】
排紙部50は、湾曲経路Rcを搬送された原稿を、排紙トレイ16上へ排紙する為の機構部であり、排紙ローラ51と、第2トーションバネ52と、第2補強部材53を有している。
【0053】
排紙ローラ51は、メインローラ40の上側において、原稿搬送経路Rを介して対向する位置に回転可能に軸支されており、メインローラ40の回転に伴って従動する。図3に示すように、当該排紙ローラ51は、メインローラ40の外周面上部において、回転中心Cから鉛直方向上方となる位置(即ち、図3中、鉛直補助線V上となる位置)よりも搬送方向上流側であって、回転中心Cに対して水平方向左側(即ち、図3中、水平補助線H上となる位置)よりも搬送方向下流側となる位置で、メインローラ40の外周面と接触可能に配設されている。従って、原稿読取装置1によれば、ニップローラ45の回転中心が回転中心Cから鉛直方向上方に位置する場合と比べ、原稿読取装置1における高さ寸法の小型化に貢献し得る。
【0054】
第2トーションバネ52は、第1トーションバネ33と同様に、ねじりコイルバネとも称されるバネであり、コイル軸周りのトルクによって付勢力を付与する。第2トーションバネ52は、排紙ローラ51の回転軸に対して付勢力を作用させ、排紙ローラ51をメインローラ40の外周面に向かって付勢する。これにより、原稿読取装置1によれば、湾曲経路Rcを搬送される原稿を、排紙ローラ51とメインローラ40によって挟持することができ、もって、当該原稿を確実に排紙トレイ16へ排紙し得る。尚、第2トーションバネ52の構成及び取付態様、第2補強部材53の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0055】
画像読取部55は、図1、図3に示すように、搬送ローラ対35よりも搬送方向下流側であり、且つ、メインローラ40及びニップローラ45よりも搬送方向上流側において、原稿搬送経路Rの上部に沿った位置に配設されている。図3に示すように、画像読取部55は、イメージセンサ56と、ガラス部材57と、搬送経路構成部材17に形成されたセンサ収納部58とから構成されており、原稿搬送経路Rに沿って搬送される原稿の第2面から画像を読み取る。
【0056】
図1、図3、図4、図6に示すように、センサ収納部58は、搬送経路構成部材17の下面に形成されており、イメージセンサ56をその内部に収納する。当該センサ収納部58は、原稿搬送経路R側に位置する下面側に開口部を有する凹状に形成されており、原稿読取装置1の前後方向に沿って、A4サイズの短辺よりもやや長い寸法の長辺を有している。
【0057】
そして、イメージセンサ56は、読取センサ72と同様に、所謂、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)により構成され、センサ収納部58の下方における原稿搬送経路Rを搬送される原稿の画像を読み取る。当該読取センサ72は、その一面側に撮像素子等が配設された読取面を有しており、主走査方向(即ち、本体筐体60における前後方向)がA4サイズの短辺に相当する長さを有している。図1、図3等に示すように、当該イメージセンサ56は、読取面が下方となる態様で、センサ収納部58内に収納される。即ち、イメージセンサ56の読取面は、原稿搬送経路Rに面している。ガラス部材57は、コンタクトガラス71と同様に、所謂「プラテンガラス」として機能し、センサ収納部58の開口部を閉塞し、センサ収納部58の内部を密閉する。
【0058】
続いて、本実施形態に係る原稿読取装置1における原稿搬送経路Rの構成及び経路長について、図4を参照しつつ、詳細に説明する。図4(A)に示すように、原稿搬送経路Rは、原稿トレイ15から排紙トレイ16までを接続するように構成されており、その途上には、給紙部25、分離部30、搬送ローラ対35、読取センサ72、イメージセンサ56、メインローラ40、ニップローラ45、排紙部50が位置する。
【0059】
ここで、図4(B)に示すように、第1経路長LAは、分離部30から、イメージセンサ56の配設位置における搬送方向下流側部分までの経路長を示す。即ち、第1経路長LAは、ADF読取位置における読取センサ72の配設位置及びイメージセンサ56の配設位置を含むこととなる。この結果、第1経路長LAは、原稿の両面読取を行う関係上、読取センサ72の配設位置及びイメージセンサ56の配設位置により構成される部分よりも短くすることはできず、一定の制限を受ける。
【0060】
一方、第2経路長LBは、イメージセンサ56の配設位置における搬送方向下流側部分から、排紙部50までの経路長を示す。上述したように、イメージセンサ56の配設位置よりも搬送方向下流側には、ニップローラ45及び排紙部50が位置しているので、第2経路長LBは、第1ニップ位置NA及び第2ニップ位置NBを含むこととなる。そして、湾曲経路Rcは、原稿搬送経路Rの内、第1ニップ位置NAから第2ニップ位置NBまでの範囲であるので、第2経路長LBは、湾曲経路Rcを含むこととなり、湾曲経路Rcの経路長と略同じ長さまで短くなる。そして、図4(A)及び図4(B)からわかるように、第2経路長LBは、第1経路長LAよりも短く構成されているので、原稿搬送経路R全体における経路長を短くすることができる。これにより、当該原稿読取装置1は、一枚の原稿に対する両面読取に関する所要期間(即ち、分離部30による原稿の分離から、両面読取を経て、排紙部50による排紙までに要する期間)を短くすることができる。
【0061】
続いて、本実施形態に係る原稿読取装置1において、ADFユニット10の上面を構成する上部カバー7の構成について、図5を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、上部カバー7は、ADFユニット10の上面を構成する板状のカバー部材であって、ADFユニット10の外殻を構成するカバー筐体6に対して開閉自在に取り付けられる。この上部カバー7を開放することにより、原稿搬送経路Rの一部を開放することができ、紙詰まりの場合には、上部カバー7を開放して、詰まった紙を除去することができる。又、当該上部カバー7は、第2ガイドリブ7Aと、第2バネ取付部7Bと、第2固定端保持部7Cを有している。
【0062】
第2ガイドリブ7Aは、ADFユニット10の上面を構成する上部カバー7の本体平面部に対して立設されたリブであり、上部カバー7の前後方向において、一定の間隔を隔てて複数列設されている。上部カバー7をカバー筐体6に対して取り付けた場合、各第2ガイドリブ7Aは、当該本体平面部から鉛直方向下方へ延びるように配設される。そして、第2ガイドリブ7Aの端縁は、側面視で弧を描くように形成されており、上部カバー7をカバー筐体6に取り付けた場合に、メインローラ40の外周面よりも更に左側に位置する(図8参照)。即ち、第2ガイドリブ7Aの端縁は、メインローラ40の外周面と対向する側における湾曲経路Rcの一部を構成する。
【0063】
第2バネ取付部7Bは、上部カバー7の本体平面部において、第2ガイドリブ7Aよりも左側に形成されており、排紙部50を構成する第2トーションバネ52が取り付けられる。又、当該第2バネ取付部7Bには、第2補強部材53が取り付けられる
【0064】
第2固定端保持部7Cは、第2バネ取付部7Bよりも左側に形成されており、第2トーションバネ52の固定端部52Cを保持する。当該第2固定端保持部7Cは、上部カバー7の本体平面部の下方において、上部カバー7の本体平面部と一定の間隔を隔てて水平に延びる板状に形成されている。第2固定端保持部7Cの上面に、第2トーションバネ52の固定端部52Cが載置される。
【0065】
次に、ADFユニット10の内部に配設される搬送経路構成部材17の構成について、図6を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、搬送経路構成部材17は、原稿搬送経路Rにおいて、ADFユニット10の下部を左右方向に延びる部分を、その下面によって構成し、第1ガイドリブ17Aと、メインローラ支持部17Bと、センサ収納部58を有している。
【0066】
上述したように、センサ収納部58は、搬送経路構成部材17の下面において、原稿搬送経路R側に開口部を有する凹状に形成されており、原稿読取装置1の前後方向に沿って、A4サイズの短辺よりもやや長い寸法の長辺を有している(図6参照)。当該センサ収納部58は、画像読取部55を構成するイメージセンサ56をその内部に収納する。又、当該センサ収納部58の開口部は、ガラス部材57により密閉される。
【0067】
図6に示すように、メインローラ支持部17Bは、搬送経路構成部材17の左端縁において、前後方向に一定の間隔を隔てた複数箇所(本実施形態においては4箇所)に形成されている。メインローラ支持部17Bは、側面視半円状に形成されており、その中心部分において、メインローラ40の回転軸を軸支する。メインローラ40の当接部(即ち、原稿と当接する部分)は、2つのメインローラ支持部17Bの間に位置する。当該メインローラ支持部17Bの半円部分の径は、メインローラ40の当接部の径よりも小さく形成されている。従って、メインローラ支持部17Bによってメインローラ40を支持した場合であっても、メインローラ40の当接部周面は、原稿搬送経路R(湾曲経路Rc)を搬送される原稿と当接し得る。
【0068】
図6に示すように、第1ガイドリブ17Aは、センサ収納部58の開口部端縁と、メインローラ支持部17Bとの間において、搬送経路構成部材17の下面から下方に突出形成されており、左右方向に延びている。第1ガイドリブ17Aの下端縁は、センサ収納部58の開口縁から、メインローラ支持部17Bの最下端部までを滑らかに接続している。
【0069】
続いて、排紙部50を構成する第2トーションバネ52について、図面を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、第2トーションバネ52は、付勢端部52Aと、コイル部52Bと、固定端部52Cを有しており、コイル軸周りのトルクによって付勢力を付与する。当該第2トーションバネ52は、排紙ローラ51の回転軸を介して、排紙ローラ51をメインローラ支持部17Bの外周面へ付勢する。
【0070】
図5、図7に示すように、付勢端部52Aは、第2トーションバネ52の一端部であって、排紙ローラ51の回転軸上部と接触することにより、第2トーションバネ52の付勢力を、排紙ローラ51に作用させる。
【0071】
コイル部52Bは、付勢端部52Aから連続して延びる線材をコイル状に巻回して構成されており、当該コイル部52Bのコイル軸まわりにトルクを発生させる。当該コイル部52Bは、上部カバー7に形成された第2バネ取付部7Bに取り付けられる。図5、図7に示すように、第2バネ取付部7Bは、排紙ローラ51よりも左側に形成されている。従って、コイル部52Bは、排紙ローラ51の上方に位置することはない。
【0072】
固定端部52Cは、コイル部52Bから連続して延びる線材であって、付勢端部52Aの逆側端部を構成する。当該固定端部52Cは、上部カバー7に形成された第2固定端保持部7Cの上面に載置することによって固定される。上述したように、第2固定端保持部7Cは、第2バネ取付部7Bよりも左側に形成されているので、固定端部52Cは、排紙ローラ51の上方に位置することはない。そして、図5、図7に示すように、第2補強部材53は、金属製の板状部材を折曲加工して形成された部材であって、第2バネ取付部7Bに対して取り付けられる。第2補強部材53は、第2バネ取付部7Bに取り付けられることによって、第2バネ取付部7Bの剛性を高める。
【0073】
図7に示すように、排紙ローラ51の上方には、第2トーションバネ52の付勢端部52Aのみが位置し、コイル部52B及び固定端部52Cは、排紙ローラ51の上方から離れた位置に位置する。従って、当該原稿読取装置1によれば、排紙ローラ51の上方からコイルスプリング等によって付勢する場合に比べ、上下方向における装置の小型化に貢献し得る。
【0074】
続いて、第1ガイドリブ17A及び第2ガイドリブ7Aの作用について、図8を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、第1ガイドリブ17Aは、センサ収納部58の開口部端縁と、メインローラ支持部17Bとの間において、搬送経路構成部材17の下面から下方に突出形成されており、左右方向に延びている。
【0075】
ここで、画像読取部55においては、原稿は、センサ収納部58の開口縁に配設されたガラス部材57表面と接触しつつ、原稿搬送経路Rに沿って搬送される。従って、画像読取部55を通過すると、原稿は、第1ガイドリブ17Aの下端縁と接触しつつ、原稿搬送経路Rに沿って搬送方向下流側(即ち、メインローラ40側)へ搬送される。
【0076】
図6〜図8に示すように、第1ガイドリブ17Aの下端縁は、センサ収納部58の開口縁から、メインローラ支持部17Bの最下端部までを滑らかに接続している。従って、当該原稿は、第1ガイドリブ17Aの下端縁に沿って移動することにより、第1ニップ位置NAに案内され、メインローラ40とニップローラ45によって確実に挟持搬送される。即ち、当該原稿読取装置1によれば、第1ガイドリブ17Aを形成することによって、画像読取部55による画像読取を完了した原稿を、第1ニップ位置NAへ確実に案内することができ、メインローラ40とニップローラ45によって、原稿を確実に搬送し得る。
【0077】
ここで、第1ニップ位置NAから搬送方向下流側へ搬送されると、原稿は、上記した第2ガイドリブ7Aの端縁と接触しつつ、搬送方向下流側へ搬送される。図8に示すように、第2ガイドリブ7Aは、第2ニップ位置NBよりも搬送方向上流側において、メインローラ40の外周面近傍まで突出している。従って、第2ガイドリブ7Aの端縁も、第2ニップ位置NBよりも搬送方向上流側において、メインローラ40の外周面近傍まで伸びることとなるので、原稿は、第2ガイドリブ7Aの端縁によって、第2ニップ位置NBへ案内され、メインローラ40と排紙ローラ51によって排紙されることになる。即ち、当該原稿読取装置1によれば、第2ガイドリブ7Aを形成することによって、湾曲経路Rcを搬送される原稿を、第2ニップ位置NBへ確実に案内することができ、メインローラ40と排紙ローラ51によって、原稿を、確実に排紙トレイ16へ排紙し得る。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る原稿読取装置1は、ADFユニット10によって、原稿トレイ15上に載置された原稿を、原稿搬送経路Rに沿って搬送しつつ、当該原稿の両面から画像を読み取り、排紙トレイ16へ排紙し得る。ここで、イメージセンサ56は、読取センサ72と搬送方向下流側において隣接し、且つ、原稿搬送経路Rを介して読取センサ72と逆側となる位置に配設されている。即ち、当該原稿読取装置1は、イメージセンサ56及び読取センサ72を、このような位置関係に配設することで、原稿の両面読取を実現しつつ、装置の小型化に貢献し得る。
【0079】
又、当該原稿読取装置1においては、第1経路長LAよりも第2経路長LBが短く形成されている(図4参照)。第1経路長LAは、イメージセンサ56の配設位置及び読取センサ72の配設位置が含まれることとなるので、原稿の両面読取を実現する関係上、一定の経路長が必要となる。従って、第2経路長LBを短く形成することにより、原稿搬送経路R全体の経路長を短くすることができる。これにより、当該原稿読取装置1によれば、一枚の原稿に対する両面読取の所要期間を短くすることができる。
【0080】
更に、当該原稿読取装置1においては、湾曲経路Rcの一部は、メインローラ40の外周面により構成されているので、樹脂等により湾曲経路を構成し、且つ、原稿を搬送する為の複数のローラを配設する場合に比べて、装置の小型化に貢献し得る。又、当該原稿読取装置1において、イメージセンサ56及び読取センサ72は、夫々、メインローラ40に対して左右方向にずれた位置に配設されている。従って、イメージセンサ56又は読取センサ72が、メインローラ40と鉛直方向に重なることはない。即ち、当該原稿読取装置1は、メインローラ40と、イメージセンサ56、読取センサ72の位置関係を上述のように配置することで、装置の上下方向における小型化に貢献し得る。
【0081】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態においては、原稿の画像を読み取る原稿読取装置を例として挙げたが、この態様に限定されるものではない。即ち、上述した実施形態に係る構成に対して、プリンタ機能を付加することにより、コピー機として構成しても良い。又、上述した実施形態に係る構成に対して、プリンタ機能、ファクシミリ機能等の種々の機能を付加することで、多機能機として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 原稿読取装置
5 原稿カバー
7A 第2ガイドリブ
10 ADFユニット
15 原稿トレイ
16 排紙トレイ
17A 第1ガイドリブ
20 搬送機構部
30 分離部
40 メインローラ
45 ニップローラ
50 排紙部
56 イメージセンサ
72 読取センサ
R 原稿搬送経路
Rc 湾曲経路
LA 第1経路長
LB 第2経路長


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される原稿トレイと、
前記原稿トレイと接続された搬送経路に沿って、前記原稿トレイに載置された原稿を、所定の搬送方向に従って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって、前記搬送経路に沿って搬送される原稿から画像を読み取る読取部と、
前記搬送経路の端部に接続され、前記読取部によって画像が読み取られた原稿が排紙される排紙トレイと、を有する原稿読取装置であって、
前記搬送手段は、
前記原稿トレイに載置された原稿を一枚ずつ分離し、前記読取部へ搬送する分離部と、
前記排紙トレイよりも原稿の搬送方向上流側であって、前記読取部よりも原稿の搬送方向下流側において、前記原稿を前記排紙トレイへ排紙する排紙部と、を有し、
前記読取部は、
前記搬送経路を搬送される原稿の第1面から画像を読み取る第1イメージセンサと、
前記第1イメージセンサに対して、前記搬送経路を介して逆側であって、前記搬送方向において、前記第1イメージセンサと隣接する位置に配設され、前記原稿の第1面の裏側に位置する第2面から画像を読み取る第2イメージセンサと、を有し、
前記搬送経路は、
前記読取部よりも搬送方向下流側において、原稿の搬送方向を変更する為に湾曲状に形成された湾曲経路を含み、
前記分離部の配設位置から前記読取部の配設位置までの搬送経路の経路長よりも、前記読取部の配設位置における搬送方向下流側の位置から前記排紙部の配設位置までの搬送経路の経路長が短く形成されている
ことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の原稿読取装置であって、
前記搬送手段は、
前記湾曲経路を形成すると共に、回転することにより前記湾曲経路に沿って原稿を搬送するメインローラを含み、
前記メインローラは、その周面により、前記湾曲経路の一部を構成し、
前記読取部は、
前記メインローラの占有範囲よりも前記搬送方向上流側に配設されている
ことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の原稿読取装置であって、
前記排紙部は、
前記メインローラの周面との間で原稿を挟持しつつ回転することにより、前記湾曲経路を搬送される原稿を前記排紙トレイへ排紙する排紙ローラを有し、
前記排紙ローラは、
前記湾曲経路における搬送方向下流側であって、前記メインローラの回転軸を通る鉛直線よりも搬送方向上流側の範囲に配設されている
ことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項4】
請求項3記載の原稿読取装置であって、
前記排紙ローラよりも搬送方向上流側において、前記湾曲経路を介して、前記メインローラの周面に向かって突出形成された第1ガイドリブを有し
前記第1ガイドリブは、
前記排紙ローラと前記メインローラとのニップ位置よりも搬送方向上流側において、前記湾曲経路を搬送される原稿を、前記メインローラの周面に向けて押さえる
ことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の原稿読取装置であって、
前記排紙ローラの回転軸を、前記メインローラに向けて付勢する第1トーションバネを有し、
前記第1トーションバネは、
前記排紙ローラの回転軸と接触して、前記メインローラに向かって付勢力を作用させる付勢端部と、
前記付勢端部と逆側の端部であって、前記湾曲経路の外殻を構成するフレーム部材に対して固定される固定端部と、
前記付勢端部及び前記固定端部と連続する部分をコイル状に巻回して構成され、前記フレーム部材に対して固定されるコイル部と、を有し、
前記第1トーションバネのコイル部が取り付けられる第1取付部に配設され、当該第1取付部の剛性を高める第1補強部材を有する
ことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5の何れかに記載の原稿読取装置であって、
前記搬送手段は、
前記読取部よりも搬送方向下流側において、前記メインローラの周面との間で前記原稿を挟持しつつ回転することにより、前記原稿を搬送経路に沿って搬送するニップローラを有し、
前記ニップローラよりも搬送方向上流側において、前記湾曲経路に向かって突出形成された第2ガイドリブを有し、
前記第2ガイドリブは、
前記ニップローラよりも搬送方向上流側に位置する原稿の端部と接触することで、前記メインローラと前記ニップローラのニップ位置に向かって、前記原稿を案内する
ことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の原稿読取装置であって、
前記分離部は、
前記原稿トレイから搬送された原稿と接触しつつ回転することで、原稿を分離しつつ搬送する分離ローラと、
前記分離ローラと協働することで、原稿を一枚ずつに分離する分離片と、
前記分離片を前記分離ローラに向かって付勢する第2トーションバネと、を有し、
前記第2トーションバネは、
前記分離片と接触して前記分離ローラへ向かって付勢力を作用させる付勢端部と、
前記付勢端部と逆側の端部であって、前記搬送経路の外殻を構成するフレーム部材に対して固定される固定端部と、
前記付勢端部及び前記固定端部と連続する部分をコイル状に巻回して構成され、前記フレーム部材において、前記分離片の配設位置に対して搬送方向にずれた位置に対して固定されるコイル部と、を有し、
前記第2トーションバネのコイル部が取り付けられる第2取付部に配設され、当該第2取付部の剛性を高める第2補強部材を有する
ことを特徴とする原稿読取装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−98716(P2013−98716A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239086(P2011−239086)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】