説明

厨房キャビネット

【課題】配管の点検やメンテナンスをおこなう際に、十分に作業できるスペースのとれる厨房キャビネットを提供する。
【解決手段】 側端に立設された側板(12)、(12)と、背板(13)及び底板(11)とから成る上方及び前方が開放した厨房キャビネットにおいて、背板(13)下部は背面開口(15)を設け、底板奥部は底面開口(16)を設け、前記底板(11)後端には、カバープレート(3)下部の板厚に嵌合する嵌合部が形成され、前記嵌合部にカバープレート(3)が着脱自在に嵌合されるとともに、カバープレート(3)上部と背板(13)の奥行き方向のあいだには、前端がカバープレート(3)の板厚に勘合する嵌合部を形成し、着脱自在にカバープレートの上端と勘合し、後端は背板(13)と固定され、水平な板部(21)を有する配管カバー(2)を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、奥底側隅部に開設された配管スペース部を有する厨房キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、図8に示すように、キャビネット本体は、側端に立設された側板と、その下部がキャビネット下端より上部に立設される背板と、後端が背板の手前に位置する底板とをそなえ、背板(12)及び側板の上端にはカウンターが架設され、キャビネット本体の前面を開閉する扉または引き出しを複数列で一ないし多段に収納するように形成されている。そして、配管(101)をキャビネット本体の幅方向に通すことのできる配管スペースをキャビネット本体に確保するために、下部がキャビネット下端より上方に位置させ開口部を設けた背板と、後端がキャビネット手前に位置させ開口部を設けた底板とからなるキャビネット本体奥側の下隅部を配管スペースとして利用する厨房キャビネットにおいて、上記開口部を側面視L字状の配管カバーで覆われるものがあった。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−304874号公報(第2頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1における厨房キャビネットにあっては、配管スペース内の配管の点検やメンテナンス作業をおこなう場合、配管には既に止水栓など(図示せず)が付設されており、更に上記配管カバーの板部に配管が貫通し、そのままの状態で配管カバーを上方へは十分移動できず、作業スペースを確保しにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、配管の点検やメンテナンスをおこなう際に、十分に作業できるスペースのとれる厨房キャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の厨房キャビネットは、
側端に立設された側板と、背板及び底板とから成る上方及び前方が開放した厨房キャビネットにおいて、背板下部は背面開口を設け、底板奥部は底面開口を設け、前記底板後端には、カバープレート下部の板厚に嵌合する嵌合部が形成され、前記嵌合部にカバープレートが着脱自在に嵌合されるとともに、カバープレート上部と背板の奥行き方向のあいだには、前端がカバープレートの板厚に勘合する嵌合部を形成し、着脱自在にカバープレートの上端と勘合し、後端は背板と固定され、水平な板部を有する配管カバーを設けたものである。
【0007】
この発明によれば、点検やメンテナンスをおこなう際に、既に配管類は接続されておって前記配管カバーの前後方向に配された板部を配管が貫通したままの状態でも、前記配管カバー前端とカバープレート上部は着脱自在に勘合されていることと、カバープレート下部と下ホルダーが着脱自在に勘合されているために、カバープレートを外すことができ、点検やメンテナンスのための十分な大きさの作業スペースが確保される。
【0008】
本発明の請求項2に記載の厨房キャビネットは、請求項1に加えて、前記配管カバーは、弾性部材により形成されることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、配管カバーを持ち上げカバープレートから離脱させる際に、配管カバーが下に凸状にたわむために、より小さな力で配管カバーの前端の嵌合部から前記カバープレート上端を離脱させることができる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の厨房キャビネットは、請求項1又は2に加えて、カバープレートを弾性部材で形成することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、カバープレートの上下の嵌合部を離脱させた後に、カバープレートをキャビネットの外部へ取り出す際に、弧状に形状変形できるために、キャビネット内部の突出部位やシンク下部に取り付けられている排水トラップなどの突出部位を回避しながら、キャビネットの外部へ取り出すことができる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の厨房キャビネットは、請求項1から3に加えて、前記カバープレートの横方向の大きさは、キャビネットの内法と略等しくすることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、配管スペースの前方に開口する横の長さを最大にすることができるために、点検、メンテナンス作業を容易におこなえる。
【0014】
本発明の請求項5に記載の厨房キャビネットは、請求項1から3に加えて、前記カバープレートは左右に複数分割されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、カバープレートの1枚あたりの大きさを小さくできるために、キャビネット内部の突出部位やシンク下部に取り付けられている排水トラップなどの突出部位を回避しながら、キャビネットの外部へ取り出すことができる。
【0016】
本発明の請求項6に記載の厨房キャビネットは、請求項1から5に加えて、前記カバープレートの側部には、断面略コ字形状で、カバープレート側部板厚に嵌合し、横方向に摺動自在とするスペーサを有することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、スペーサが摺動するために、スペーサを側板側に当接させることができ、カバープレートと側板の間の間隙を塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例におけるキャビネットを示す斜視図である。
【図2】実施例におけるキャビネットが備える配管スペース部の側面図である。
【図3】実施例におけるカバープレートを外した場合のキャビネットを示す斜視図である。
【図4】実施例における配管カバーと下ホルダーを示す側面図である。
【図5】実施例2における、カバープレートを分割した場合のキャビネットを示す斜視図である。
【図6】実施例3における下ホルダーを示す側面図である。
【図7】実施例4におけるカバープレートと側板との間隙を塞ぐスペーサを示す斜視図である。
【図8】先行技術を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る厨房キャビネットの構造を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。尚、図1、図3、図5、図7においては紙面左下方側をキャビネットの前面側(手前側)とし、紙面右上方側をキャビネットの後面側(奥側)としまた、図2、図4、図6、図8においては紙面左側をキャビネットの前面側(手前側)とし、紙面右側をキャビネットの後面側(奥側)として説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、実施例におけるキャビネットを示す斜視図であり、例として水道配管は配管カバーを貫通し立設し水栓の配管と接続した状態をあらわしている。図示してはいないが、排水管やガス管も同様に配管カバーを貫通し接続する。図2は実施例におけるキャビネットが備える配管スペース部の側面図である。図3は実施例におけるキャビネットを示す斜視図であり、点検やメンテナンス作業をするために、カバープレートを外し去ったところである。図1の符号1は、家庭内のキッチン等に設けられるシステムキッチンのベースキャビネットである。ベースキャビネット1は底板11、左右の側板12、12、背板13を備え、図示しないが例えば、前面を開閉する扉、または引き出しを複数列で一ないし多段に収納するよう構成されている。
【0021】
底板11の後端はキャビネット後端より手前に位置し、前記底板後端からキャビネットの後端にわたり、横の長さはキャビネットの内法に略等しい大きさで下方に底面開口16されている。
【0022】
背板13の下端はキャビネット下端より上方に位置し、前記背板下端からキャビネットの下端にわたり、横の長さはキャビネットの内法に略等しい大きさで後方に背面開口15されており、キャビネット奥底隅部に開設された開口15,16を上方からは配管カバー2で、前方からはカバープレート3で遮蔽し配管スペース14を形成する。
【0023】
図4において、配管カバー2は、平板部21の前端には突片211、212を下方に突設させ、カバープレート3の板厚に勘合する嵌合部213を形成する。また、前記配管カバー2の後端には、突片221を上方へ突設させ、背板13の下部に配管カバーの突片222部を当接させ、ネジなどの係止具で固定されている。また、配管カバー2は、例えば合成樹脂などの材料で成型されており、平板部21は適宜の弾性を有する。
【0024】
底板11の後端には、上方に突出したU字状の突片61,62を有し、カバープレート3の下部板厚に勘合する嵌合部64を形成し、突片61,62の下部には突片状固定部63を形成し、底板11の後端に固定される。
【0025】
更に、カバープレート3は、下部を前記下ホルダー6とで形成された嵌合部64に着脱自在に取り付いており、カバープレート3の上部は、前記配管カバー2の嵌合部213に着脱自在に取り付いている。
【0026】
次に、ベースキャビネット1をシンクキャビネットのベースキャビネットとした場合、配管を点検、メンテナンスする作業について説明する。
【0027】
ベースキャビネット1の上部には、シンクが設けてある図示しない天板が載置固定される。また、ベースキャビネット1は、キャビネット底部から水道管51が立ち上がる位置に設置されている。水道管51は配管カバー2を貫通し立設され、止水栓53と接続され、更に水栓のホース54に接続される。図示してはいないが、排水管も配管カバー2を貫通し、立設されている。
【0028】
配管スペース14にある配管接続部を作業者が視認するために、カバープレートを外す必要がある。配管カバー2を上方へ持ち上げることにより、配管カバー2は下方に凸状にたわみ、カバープレート3との嵌合部を離脱させることができる。次に、カバープレート3を上方略手前に持ち上げ、着脱自在に取り付いているカバープレート3と下ホルダー4の嵌合部が離脱し、カバープレート3を外すことができる。そして配管スペース部の前面は、キャビネットの内法全幅にわたり大きく開口され、点検やメンテナンス作業を容易におこなうことができる。従って、水道管51や図示していないが排水管が配管カバー2を貫通した状態を維持したまま、点検やメンテナンス作業ができる。カバープレート3を外す順序は、カバープレート3の下部と下ホルダー4の嵌合を外し、次に、カバープレート上部と配管カバー2の嵌合を外すのでもよい。
【0029】
カバープレート3は合成樹脂または木製材料で形成されており、面積に比しその厚みを薄くしていることから、弾性を発揮できる。配管カバー2及び下ホルダー4から離脱されたカバープレート3は湾曲させることによって形状変形し、キャビネット内部の突出部位やシンク下部に取り付けられている排水トラップなどの突出部位を回避しながら、キャビネットの外部へ完全に取り出すことができる。従って、点検やメンテナンス作業を容易におこなうことができる。
【0030】
点検メンテナンスが完了すれば、カバープレート3の下部と下ホルダーの嵌合部64に挿入し勘合させ、次に、カバープレート3の上部を配管カバー2の嵌合部213に挿入し勘合させ、配管スペース部14を遮蔽することができる。カバープレート3を取り付ける順序は、カバープレート3の上部を配管カバー2の嵌合部213に挿入し勘合させ次に、カバープレート3の下部と下ホルダーの嵌合部64に挿入し勘合させてもよい。
【0031】
図6は実施例3における下ホルダーの形態である。水平部41と、水平部41の後端に上方へ突設した突片42と、前記水平部41の前端に下方へ突設した突片43とからなる下ホルダー4が、底板後端111に当接された突片43を介してネジなどの係止具で固定されている。また、前記下ホルダーの突片42と底板後端111でカバープレート3の下端板厚に勘合するよう嵌合部が形成されている。
【0032】
図5は実施例2におけるカバープレートの形態である。この例ではカバープレート3を左右に分割している。キャビネット内部の突出部位やシンク下部に取り付けられている排水トラップなどの突出部位を回避させるために、カバープレート3を湾曲させながら、キャビネットの外へ取り出す方法を前に述べたが、湾曲させても回避できない障害物等がある場合には、図5のように複数分割することでより障害物を回避しやすくできる。
【0033】
図7は実施例4におけるカバープレートと側板の間の間隙を塞ぐ方法を示す。カバープレート3はキャビネットの左右側板12,12の間に付設されることから、着脱を容易にするためにクリアランスを設ける必要がある。従ってカバープレート3の横方向長さは、キャビネットの内法より若干小さくする。このときカバープレート3と側板12の間に間隙が生ずる。
【0034】
断面略コ字状で、突片71、72により形成され、カバープレート3の板厚と勘合させる嵌合部74を有するするとともに、勘合させた状態で横方向に摺動自在とするスペーサ7において、前記スペーサ7を側板側へ当接することで、側板とのクリアランスを塞ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 厨房キャビネット(キャビネット)
11 底板
12 側板
13 背板
14 配管スペース
15 背面開口(開口)
16 底面開口(開口)
2 配管カバー
21 平板部
221 突片
222 突片
213 勘合部
3 カバープレート
4 下ホルダー
41 水平部
42 突片
43 突片
5 配管
51 水道管
53 止水栓
54 (シャワー水栓)ホース
6 下ホルダー(実施例2)
61 突片
62 突片
63 突片状固定部
64 勘合部
7 スペーサ
71 突片
72 突片
74 勘合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側端に立設された側板(12)、(12)と、背板(13)及び底板(11)とから成る上方及び前方が開放した厨房キャビネットにおいて、背板(13)下部は背面開口(15)を設け、底板奥部は底面開口(16)を設け、前記底板(11)後端には、カバープレート(3)下部の板厚に嵌合する嵌合部が形成され、前記嵌合部にカバープレート(3)が着脱自在に嵌合されるとともに、カバープレート(3)上部と背板(13)の奥行き方向のあいだには、前端がカバープレート(3)の板厚に勘合する嵌合部を形成し、着脱自在にカバープレートの上端と勘合し、後端は背板(13)と固定され、水平な板部(21)を有する配管カバー(2)を設けたことを特徴とする厨房キャビネット。
【請求項2】
前記配管カバー(2)は、弾性部材により形成されることを特徴とする請求項1に記載の厨房キャビネット。
【請求項3】
前記カバープレート(3)は、弾性部材により形成されることを特徴とする請求項1ないし2に記載の厨房キャビネット。
【請求項4】
前記カバープレート(3)の横方向の大きさは、キャビネットの内法と略等しいことを特徴とする請求項1から3に記載の厨房キャビネット。
【請求項5】
前記カバープレート(3)は左右に複数分割されていることを特徴とする請求項1から3に記載の厨房キャビネット。
【請求項6】
前記カバープレート(3)の側部には、断面略コ字形状で、カバープレート側部板厚に嵌合し、横方向に摺動自在とするスペーサ(7)を有することを特徴とする請求項1から5に記載の厨房キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−284386(P2010−284386A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141757(P2009−141757)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】