説明

厨房ユニット

【課題】 健常者、高齢者、車椅子使用者が同じ厨房を使って台所作業が楽にできる厨房ユニットを提供する。
【解決手段】 天板に調理台11と前記調理台11の奥行きより奥行きが大きくなされたシンク12とが設けられ、前記シンク12の下方に着座した人の膝を挿入可能な膝入れ空間24を設けた厨房ユニット1であって、前記シンク12の前面側の立ち上がり部25に切り欠き部21を設けている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、健常者、高齢者、車椅子使用者が同じ厨房を使って作業する事ができるようにした厨房ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】厨房を前にして健常者は立った姿勢の方が効率良く作業を進めることができるが、脚の弱った人や車椅子使用者は立っての作業は無理であるので、座ったまま台所作業ができるように厨房ユニットの床面から天板までの高さを低く(700〜750mm)構成し、かつ、天板の下部に椅子や車椅子に座ったまま脚先が入り込むことのできる空間を有したものが提供されている。また、特開平9−252855号公報に、厨房ユニットとして、低いシンクに通常の高さのシンクの天板と繋がり面一になる蓋板を設け、下部をオープンスペースとすることにより、健常者と脚の弱った人や車椅子使用者の別途または同時使用ができる厨房ユニットが開示されている。あるいは、台所作業をする人の身長による差や使い勝手を考慮して、厨房ユニット全体としての床面からの高さを、油圧ジャッキなどで昇降可能とし、使う人の好適な高さに合わせるようにしたものも提案されており、この中で蹴込の深いものは車椅子使用者も使用可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の厨房ユニットは、一般的には健常者用と特殊仕様の、例えば車椅子使用者用とが別々に製作され、提供されていた。そのため、車椅子使用者用の天板の低い厨房ユニットは需要が少なく量産効果が得られないことから高価とならざるを得なかった。また、特開平9−252855号公報に記載の厨房ユニットは高低複数のシンクを有する構成であるので必然的に大きな厨房ユニットとなり、スペース的に余裕のある建物にしか設置できず、又高価になってしまう。あるいは、昇降機能を備えた厨房ユニットは、昇降機能を内蔵するため全体として構造が複雑となりやはり高価とならざるを得なかった。
【0004】本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、健常者、高齢者、車椅子使用者が同じ厨房を使って台所作業が楽にできる厨房ユニットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、天板に調理台と前記調理台の奥行きより奥行きが大きくなされたシンクとが設けられ、前記シンクの下方に着座した人の膝を挿入可能な膝入れ空間を設けた厨房ユニットであって、前記シンクの前面側の立ち上がり部に切り欠き部を設けたことを特徴とする。
【0006】請求項2記載の発明は、請求項1記載の厨房ユニットにおいて、前記調理台より低い着座用調理台を前記天板の下方に出し入れ自在に設けたことを特徴とする。
【0007】(作用)請求項1記載の厨房ユニットは、シンクの奥行きが調理台の奥行きより大きくなされているので、シンク下方に膝入れ空間を形成し易く、さらに収納部も形成し易い。立位で台所作業をする場合には、調理台とシンクの境目近傍であるシンクの側方に立って行えば、いちいち調理台の前やシンクの前に移動する必要がなくなり動線を短くすることができる。座位で台所作業をする場合には、シンクの前面側の立ち上がり部に切り欠き部が形成されているので、シンクの作業高さが実質的に低くなされたことになり車椅子に座ったままで、シンク前面側から楽に作業ができる。
【0008】請求項2記載の厨房ユニットは、調理台より低い着座用調理台を前記天板の下方に出し入れ自在に設けたので、座位でも楽に調理を行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である厨房ユニットの説明図であって、(イ)図は斜視図、(ロ)図は(イ)図X−X線断面図である。図2は使用状態を示す平面図であって、(イ)図は立位での使用、(ロ)図は座位(車椅子)での使用を示す。
【0010】図1において、1は厨房ユニットであって、厨房ユニット1は、図1(イ)図に示すように、天板に調理台11とシンク12が設けられ、シンク12は調理台11より奥行きが大になされ、前面に12〜30cm突出している。そして、突出したシンクと調理台の境目近傍である連続する部分22は曲面形状になされている。また、シンクの前面側にのみ切り欠き部21を有しており、シンク深さh1は12〜15cmになされている。一方突出したシンクと調理台の境目近傍である連続する部分22では、シンク深さh2は18〜21cmになされている。
【0011】上記厨房ユニット1のシンク12は、底付き箱体の収納部であるキャビネット13の上に設置され、調理台11は側板23の上に立脚している。また、キャビネット13の前面は扉付きになされ、キャビネット13の内部空間は、台所用品を収納できるようになっている。また、調理台の下方の空間にはキャスター付き台車3が収納できるようになっている。キャスター付き台車3は、上部に着座用調理台31を備える。着座用調理台31の高さは、車椅子に座っての作業に最適な高さに設定されており、立位作業用の調理台より低くなされている。
【0012】さらに、上記厨房ユニット1のシンク12は、厨房ユニット1の前面側に突出して取り付けられ、シンク12の突出部下方24に、車椅子に着座した人の膝を挿入可能な膝入れ空間が形成されている。
【0013】上記の構成になされた厨房ユニット1は、調理台の高さh3は80〜90cm、奥行きw1が45〜65cmに、そして、シンク12の突出部寸法w2が12〜30cmになされている。上記厨房ユニット1の使用時には、図2に示すように、(イ)図は健常者が立位で作業をする場合は、シンク12と調理台11の境目である連続する部分22の近傍に立って、あるいは高齢者が寄り掛かって、食器等を洗ったり、或いは調理したり、体の向きをかえるだけで(L型的に)動線が短くて作業することができる。また、連続する部分22には切り欠き部が形成されていないので、水はねを浴びる恐れが少ない。
【0014】一方図2(ロ)図は足腰の弱い高齢者や身障者が車椅子で作業する場合は、シンク前面側の切り欠部21から作業すると、調理台より約6cm程低くなっているので車椅子を高くする必要がなく、又前屈みになることもなく作業が楽にできる。さらに、シンク下方には15〜30cmのニースペースがあるので膝が邪魔になることがなく、また、調理台11の下に収納してあるキャスター付き台車3を引き出して車椅子の向きあるいは体の向きをかえるだけで着座用調理台31で調理ができ(L型的に)動線が短くて作業ができる。
【0015】(実施例の作用)本実施例の厨房ユニット1は、シンク12の奥行きが調理台11の奥行きより大きくなされているので、シンク12下方に膝入れ空間24を形成し易く、さらに収納部13も形成し易い。立位で台所作業をする場合には、調理台11とシンク12の境目近傍22であるシンク12の側方に立って行えば、いちいち調理台11の前やシンク12の前に移動する必要がなくなり動線を短くすることができる。
【0016】座位で台所作業をする場合には、シンク12の前面側の立ち上がり部25に切り欠き部21が形成されているので、シンク12の作業高さが調理台11より6cm低くなされたことになり車椅子に座ったままで、シンク前面側から楽に作業ができる。
【0017】また、調理台11より低いキャスター付き台車3の上部に着座用調理台31を前記天板の下方に出し入れ自在に設けたので、座位でも楽に調理を行うことができる。
【0018】
【発明の効果】請求項1記載の厨房ユニットは、シンクの奥行きが調理台の奥行きより大きくなされているので、シンク下方に膝入れ空間を形成し易く、さらに収納部も形成し易い。立位で台所作業をする場合には、調理台とシンクの境目近傍であるシンクの側方に立って行えば、いちいち調理台の前やシンクの前に移動する必要がなくなり動線を短くすることができる。座位で台所作業をする場合には、シンクの前面側の立ち上がり部に切り欠き部が形成されているので、シンクの作業高さが実質的に低くなされたことになり車椅子に座ったままで、シンク前面側から楽に作業ができる。即ち、健常者、高齢者、車椅子使用者が同じ厨房ユニットで台所作業が楽に行える。
【0019】請求項2記載の厨房ユニットは、調理台より低い着座用調理台を前記天板の下方に出し入れ自在に設けたので、座位でも楽に調理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の厨房ユニットの一実施例であって、(イ)図は斜視図、(ロ)図は(イ)図X−X線断面図である。
【図2】使用状態を示す平面図であって、(イ)図は立位での使用、(ロ)図は座位(車椅子)での使用を示す。
【符号の説明】
1 厨房ユニット
11 調理台
12 シンク
13 キャビネット
21 切り欠部
22 曲面部
23 側板
24 膝入れ空間
25 立ち上がり部
3 キャスター付き台車
31 着座用調理台

【特許請求の範囲】
【請求項1】 天板に調理台と前記調理台の奥行きより奥行きが大きくなされたシンクとが設けられ、前記シンクの下方に着座した人の膝を挿入可能な膝入れ空間を設けた厨房ユニットであって、前記シンクの前面側の立ち上がり部に切り欠き部を設けたことを特徴とする厨房ユニット。
【請求項2】 前記調理台より低い着座用調理台を前記天板の下方に出し入れ自在に設けたことを特徴とする請求項1記載の厨房ユニット。

【図1】
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【図2】
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