説明

厨房用フィルター

【課題】 調理時に発生するオイルミストや臭気、焦煙の付着吸着除去に優れ、且付着吸着に伴い廃棄できる安価さ及び廃棄に際しての減容化や土壌改良材として再利用可能な厨房用フィルターの提供。
【解決手段】 含有結合水が2乃至6重量%の真珠岩を焼成発泡させて連続気泡構造で且その見掛比重が0.1乃至0.2及びその粒径が2mm以上のパーライトからなる付着吸着材と、該付着吸着材が漏出せぬ網目合若しくは通気孔が形成された金網材若しくはパンチングメタル板で、所要寸法形状に形成されたフィルターケースとからなる厨房用フィルター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は厨房用フィルターに関するもので、更に詳しくは調理に際して発生するオイルミストの付着除去と、臭気及び焦煙の吸着除去にも優れる新規な厨房用フィルターに係わるものである。
【背景技術】
【0002】
厨房における調理手段としては焼く、炒める、揚げる、煮る、蒸す、及び炊く等があるが、具体的調理手段は食材と献立とにより決定され、これらの内食材として魚介類や食肉類が用いられる場合には該食材中に多量の油脂分を含有しているため、特に焼きや炒め等の調理時には膨大量のオイルミストの発生に加えて臭気や焦煙も発生する。
ところで従来からの飲食店舗における調理は、厨房における調理機器を用いて且調理人任せで調理がなされるものであり、発生したオイルミストや臭気及び焦煙等は直近上方に設けられた厨房用レンジフード内に設けてなるフィルターを流通させて、主にオイルミストを付着除去のうえダクトを経由させたうえ外部排気フィルターで更にオイルミストの付着除去をなし外部排気がなされているが、外部排気に際しても近隣に二次汚染が発生せぬよう排出部の配置にも十分な配慮がなされていた。
【0003】
反面近年においては生活水準の向上や家族構成の著しい変化に伴って、食生活の中食化や外食化への移行を初め、食に対する高級化や個性化はもとより調理参加即ち自己の嗜好に合せた調理並びに調味をなす自己調理指向の増大とも相俟って、飲食店舗においても自己調理が可能なよう飲食テーブルに炭火種や加熱プレートを配置させ若しくはロースター器機を配備のうえ、焼き、炒め、揚げ、煮付け等の自己調理飲食店舗、例えば焼き肉店、焼き鳥店、お好み焼店、魚介類のあぶり焼き店舗等が急激に増大化し、特に都市部ではこれら店舗が密集材立するため調理に伴うオイルミストや臭気或いは焦煙の外部排出に伴って、近隣建物や店舗等に二次汚染を発生させる結果ともなっている。
【0004】
かかる理由は、とりわけ自己調理自己調味の飲食店舖では、調理に伴い発生する高温度のオイルミストや臭気或いは焦煙を流通させるうえからフィルター素材には耐火不燃性素材が不可避とされるため、セラミックス素材を連続気孔構造に形成させたもの、或いは網目合の異なる金網材を適宜数に積層形成させたものが専ら使用されてなるものであって、これら既存フィルターにおいては流通するオイルミストにおいてはその粘性付着性によりフィルター形成素材の外表面に付着し除去がなされるものの、臭気や焦煙については何等の吸着機能も保持せぬものであるから、排出される時間までに多少の希釈されることがあろうとも、結局は外部排出される結果となる。
加えてこれらフィルター材はコスト的に極めて高価なばかりか、使用時間とともに油脂分の付着重積で流通が阻害されて頻繁に高温高アルカリ洗浄をなさねばならぬため、莫大な維持コストが強いられている実情にある。
【0005】
かかる実情に鑑み発明者は、耐火不燃性素材で調理時に発生するオイルミストの付着除去はもとより臭気や焦煙の吸着除去もなしえ、而も付着性や吸着性の低下に伴い逐次廃棄しえる低コストで且廃棄に際して減容化並びに有効利用性をも保持する素材として、黒曜石を所要の大きさに破砕のうえ略1,000℃で焼成することにより、独立気泡構造でその見掛比重が0.1乃至0.2の嵩高軽量の略粒形状からなるパーライトと、該パーライトの容量に対して10乃至20容量%割合で、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは珪酸ソーダ水溶液と混合混練のうえ、所要の厚さと幅及び長さに成形のうえ加熱乾燥を施し、パーライト相互を接合接着させてパーライト相互の接合間隙にオイルミストや臭気或いは焦煙が分散流通されて少ない負圧で、且パーライトの外表面全面に微細で膨大数に形成される微細間隙にオイルミストの付着除去はもとより、臭気や焦煙の吸着除去のなしえるフィルター材の開発に成功し先願もなされている。
【0006】
然るに、調理に際して発生するオイルミストは本質的に粘性付着性を保持するものであるから、流通に際しての物理的接触面を大きく形成することで、付着除去を自在に調整することが可能となるものの、臭気や焦煙においては臭気分子や焦煙中の微粒子を吸着捕捉しえる吸着孔隙と吸着容量即ち吸着比表面積率を有することが肝要であって、これがためには連続気泡構造の素材が要請される。
これがため発明者は更なる研究を重ねた結果、その結合水として略2乃至6%重量含有する真珠岩を所望の大きさに破砕のうえ略1,000乃至1,200℃で焼成発泡させることにより、水分の蒸散放出に伴う連続気泡構造のパーライトが形成しえることに着目し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は調理で発生するオイルミストと臭気及び焦煙の付着吸着除去に極めて優れるとともに、付着吸着量の増加に際しても容易に廃棄しえる安価さと、且簡易な破砕による減容化と土壌改良材として利用できる厨房用フィルターの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、その含有結合水が2乃至6重量%の真珠岩を所要の大きさに破砕のうえ略1,000乃至1,200℃で焼成させた連続気泡構造で且その見掛比重が0.1乃至0.2及びその平均粒径が2mm以上のパーライトからなる付着吸着材と、該付着吸着材が漏出せぬ網目合若しくは通風孔で且その空隙率が80%以上に形成された金網材若しくはパンチングメタル材により所要の寸法と形状で而もその適宜部位には付着吸着材の出し入れが可能なよう開閉自在の開閉蓋が設けられたフィルターケースとからなり、フィルターケース内に付着吸着材を充填のうえ、オイルミストや臭気及び焦煙を吸引するダクト前に配置させて該フィルターケース内を流通せしめて付着除去並びに吸着除去をなし、且ダクト後にも配置させ流通せしめて付着除去並びに吸着除去をなして外部排気させることを特徴とする厨房用フィルターに存する。
【0009】
更には付着吸着材の遊動促進により付着吸着に係わる接触面積を増大せしめること、並びに負圧の増加を抑制して長期使用を実現すること、及び遊動や振動による摩損防止を図るため、付着吸着材の外表面に少なくともその水分率が80乃至95重量%に希釈された珪酸ソーダ水溶液が噴霧塗着されたうえ乾燥が施されて補強層が形成されてなる構成に存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は前述の如き構成からなるものであって、付着吸着材の主要成分が酸化珪素や酸化アルミニウム及び酸化鉄からなり、且その含有結合水の水分率が略2乃至6重量%割合からなる真珠岩を1,000乃至1,200℃の高温度で焼成させ連続気泡構造で且その見掛比重が0.1乃至0.2と極めて軽量嵩高に自然発泡させたパーライトからなるため、その外表面全体が無機質で極く微細な凹凸面状を呈することとなるため、オイルミストの付着面積が大きく形成され、更には膨大数に亘る連続気泡構造の微細吸着孔隙が開口し、而もその比表面積も膨大であるため臭気分子や焦煙中の微粒子等が多量に吸着されることとなる。
【0011】
そしてかかるパーライトの粒径が2mm以上即ち表面積率が大きく、且該パーライトが漏出せぬ網目合若しくは通風孔で且その空隙率が80%以上に形成された金網材若しくはパンチングメタル材により所要の寸法形状に形成され、且その適宜位置に開閉自在の開閉辺が設けられたフィルターケース内に充填されたうえ、発生するオイルミストや臭気及び焦煙が吸引されるダクト前に配置させて該フィルターケース内を流通させることにより、フィルターケース内に充填された付着吸着材は軽量嵩高なため、流通する風圧により付着吸着材各個が遊動しオイルミストや臭気或いは焦煙がその全面に亘って接触し、優れた付着除去や吸着除去がなされる。
更に付着吸着材の各個が遊動することにより、オイルミストの付着や臭気若しくは焦煙の吸着が増大しても負圧の上昇が抑制される。
【0012】
そして本発明ではオイルミストの付着除去とともに臭気や焦煙の吸着除去が可能であるばかりか、付着や吸着の増大に際しても負圧の上昇が抑制されるため、ダクトの後に配置させ流通させて外部排気させることにより、オイルミストや臭気、焦煙の確実な付着吸着除去がなされて近隣への二次汚染も防止される。
加えて本発明は金網材やパンチングメタル材により所要の寸法形状で且開閉辺が設けられたフィルターケースを作成しておけば繰り返し使用でき、而も内部に見掛比重が0.1乃至0.2の軽量嵩高なパーライトからなる付着吸着材が充填使用されるものであるから極めて安価であって、頻繁な交換によってもコスト負担は僅かであって使い捨てが可能であり、且付着吸着後は僅かな外力で容易に崩壊し略1/8〜1/10に減容化できるとともに、付着された魚介類や食肉類の油脂分も土壌菌の格好の飼料となるため、農地や緑地への還元で土壌改良材として再利用ができる。
【0013】
加えて本発明に使用する連続気泡構造からなる付着吸着材は、塊状で且外表面も複雑多形で粗面化されてなるから、フィルターケース内への充填使用でも付着吸着材相互が遊動しにくく、且強度の流通抵抗により遊動させると、付着吸着材相互が摩損し摩損粉の発生危険も予想されるが、該付着吸着材の外表面にその水分率が80乃至95重量%に希釈させた珪酸ソーダ水溶液を噴霧塗着のうえ乾燥させた補強層の形成により遊動の促進と摩損の防止が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
主要成分が酸化珪素、酸化アルミ及び酸化鉄からなり、含有結合水の水分率が略4%重量割合の真珠岩を略1,000℃で焼成し連続気泡構造で且見掛比重が0.1で、而も平均粒径が略5mmのパーライトを付着吸着材として用い、その線径が0.5mmで網目合が3mm及び空隙率が97%の金網材で所要の厚さと幅及び長さで、且適宜位置に開閉蓋を有するフィルターケース内に充填のうえ、オイルミストや臭気、焦煙を流通させて付着除去吸着除去を図る。
【実施例1】
【0015】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、図1は付着吸着材1の拡大説明図であって、該付着吸着材1はその主要成分が酸化珪素と酸化アルミニウム及び酸化鉄からなり、且焼成発泡により連続気泡構造の微細孔隙1Bを形成せしめるうえから、その含有結合水が略2乃至6重量%で含有されてなる真珠岩1Aが用いられる。
この真珠岩1Aは略1,000乃至1,200℃の高温度で焼成することにより、結合水の蒸散放出に伴う連続気泡構造の微細孔隙1Bが膨大数に形成されるもので、実質的にはその見掛比重において略0.1乃至0.2即ち略10乃至20倍程度の加熱発泡がなされるものであって、該加熱発泡に際しての結合水の蒸散放出は、その内部から外表面に向かって連続気泡構造を形成しつつ無定形に拡散放出されるものであるから、その素材たる真珠岩1Aの破砕形状に略類似した多角塊状で且その外表面も乱雑粗面化した形状となる。
【0016】
更に焼成に際しての結合水の蒸散は、あまり破砕粒径が大きくなると、連続気泡構造の生成並びに蒸散がされにくくなることから、通常においては最大でも略5乃至6mm程度が良好であって、且焼成発泡の倍率としては略10乃至20倍であるから、素材としての真珠岩1Aの破砕としてはせいぜい2乃至3mm程度になすこととなる。
かくして形成される付着吸着材1は、無機質素材特有の質感に加えて見掛比重が0.1乃至0.2と嵩高高発泡に発泡させるため、外表面全体が極く微細な凹凸状1Cとなり且連続気泡構造に係わる膨大数の微細孔隙1Bの露出等とも相俟って、該付着吸着材1相互の流動性が悪く且過剰な付加に際しては摩損磨耗の危険も孕んでいる。
【0017】
本発明においては、前述のオイルミストの付着除去と臭気及び焦煙の吸着除去に優れる付着吸着材1をフィルターケース2内に充填のうえ、オイルミストや臭気或いは焦煙を流通せしめて、付着吸着材1相互を流通圧力の付加により遊動せしめて、オイルミストや臭気或いは焦煙との接触付着吸着面積を高めること、及び付着量や吸着量の増加に際しても負圧を抑制せしめて、長期に亘り付着除去や吸着除去を維持せしめることにある。
【0018】
これがためには図2に示す如く、付着吸着材1相互の遊動促進と且磨耗摩損防止を図るため、補強層形成付着吸着材10が提案される。
この補強層形成付着吸着材10は、当然に調理直近での使用においては耐火不燃性も要請される。
そこでパーライトからなる付着吸着材1の外表面に、その水分率が80乃至95重量%に希釈させた珪酸ソーダ水溶液を噴霧塗着せしめたうえ乾燥望ましくは加熱乾燥により補強層10Aを形成させるもので、かかる場合に珪酸ソーダ水溶液の水分率が80乃至95重量%にまで希釈させるものの使用は、連続気泡構造に伴う膨大数に形成される微細孔隙1Bが閉塞されぬよう配慮することにある。
かかる場合において使用する珪酸ソーダとしてはNaOとSiOとの組成割合が略1:2、1:3及び1:4の3種類が一般的に上市されているが、強靭な補強層10Aの形成に際しては、NaO:SiO比が1:2乃至1:3の組成のものが好ましく、反面粗雑な全体形状や外表面の平滑化のためには、NaO:SiO比が1:3乃至1:4程度の組成のものが、加熱乾燥に際して発泡生成し易く外表面の平滑化に有利である。
【0019】
かくしてなる付着吸着材1は、図3に示すようなフィルターケース2に充填されたうえ実用使用に供される。
このフィルターケース2は、その内部に付着吸着材1が充填されることから、当然に付着吸着材1が漏出せぬことが不可欠であり、且調理直近におけるオイルミストや臭気或いは焦煙等は極めて高温度の状態にあるから、耐火不燃素材の使用も要請される。
これがためには、付着吸着材1が漏出せぬ網目合2Bを有する金網材2A若しくは通風孔21Bが穿設されてなるパンチングメタル板21Aで、且負圧を小ならしめるうえからもその空隙率が少なくとも80%以上好ましくは90乃至95%以上に形成された金網材2A若しくはパンチングメタル板21Aが用いられる。
【0020】
そしてかかる金網材2A若しくはパンチングメタル板21Aで所要の寸法形状に形成させ、且必要に応じては該フィルターケース2の適宜位置に、付着吸着材1の出し入れが可能なよう開閉自在に開閉辺20Fが設けられ、而も充填後の開閉固定を図るための適宜の固定具20Hが設けられている。即ち図3には金網材2Aを用いて扁平板状に形成されたフィルターケース2が示されており、上辺20A、下辺20B、後側辺20C、左右側辺20D及び20E、並びに開閉辺20Fが一体的に折合形成されてなるとともに、上辺20Aと開閉辺20Fとが可動自在に例えば蝶番等の可動具20Gが介在され、而も該開閉辺20Fの下辺部には適宜の固定具20Hが設けられた構成のものである。
【0021】
このフィルターケース2の使用に際しては、開閉辺20Fを開口のうえ付着吸着材1を充填し、固定具20Hで固定のうえ図4に示すように例えばロースター30の吸引フード30Aの下端に設けられたフィルターホルダー30B内に本発明厨房用フィルター3を装着させ、調理で発生した高温度のオイルミストや臭気或いは焦煙を流通させて付着除去並びに吸着除去をなさしめたうえ、ダクト30C内を移送させ外部排気枠30Dに更に本発明厨房用フィルター3を装着せしめて、確実なオイルミストの付着除去と臭気及び焦煙の吸着除去をなしたうえ外部排気を図る。
かかる場合に本発明厨房用フィルター3は使用される場所により寸法が異なるもので調理用ロースター等により装着させるものでは、厚さが25乃至30mm、幅及び長さが200乃至250mm程度となり、更に厨房の天井等に設置された厨房用フィルターボックスや外部排気枠30Dに装着させる場合では、その厚さが25乃至30mm、幅及び長さが500mmが一般的である。
【0022】
図5は円筒形からなるフィルターケース22の説明図であって、該円筒形フィルターケース22は、前記の金網材2A若しくはパンチングメタル板21Aを用いて所要の口径と深さの外枠板22Aと、該外枠板22Aより所要の充填空隙22Bが形成されるような口径と深さで内枠板22Cが形成されてなり、且該内枠板22Cは外枠板22Aの下端よりその内側に所要の幅より詳しくは略15乃至20mmの幅で延出された支持縁22Dに支持されて実質的に、その幅が15乃至20mmの充填空隙22Bが形成されるよう構成されている。
かくしてなる円筒形のフィルターケース22の充填空隙22B内に付着吸着材1が充填されたうえは、図6のAに示すように吸引フード30Aの下端に設けられたフィルターホルダー30B内に装着させ、充填された付着吸着材1内を流通させたうえ、オイルミストの付着除去と臭気及び焦煙の吸着除去をなしダクト30C内に移送させるものである。
【0023】
更に図7には網篭形フィルターケース23の説明図が示されてなるもので、該網篭形フィルターケース23も充填される付着吸着材1が漏出せぬ網目合2Bを有する金網材2Aを用いて、底部23Aを有し且略ダクト30Cの口径と等しい径と高さの篭部23Bからなる構成のもので、使用に際しては該網篭形フィルターケース23内に付着吸着材1を所要容量に充填のうえ、図6Bに示す如く吸引フード30Aとダクト30Cとの間に装着させ、該網篭形フィルターケース23内に充填されてなる付着吸着材1内を略垂直方向に流通させオイルミストの付着除去及び臭気や焦煙の吸着除去を図るものである。
【0024】
かかる円筒形フィルターケース22或いは網篭形フィルターケース23を流通させることによりオイルミストの付着除去や臭気及び焦煙の吸着除去がなされ、且ダクト30C内を移送させたうえは外部排気枠30Dに装着させた扁平板状からなる本発明厨房フィルター3を流通させて、更なるオイルミストの付着除去並びに臭気や焦煙の吸着除去がなされ外部排気がなされる。
【0025】
以下に本発明におけるオイルミスト付着除去及び臭気、焦煙の吸着除去テスト結果を報告する。
オイルミストの付着除去テストは、焼き肉用ロースター(都市ガス熔岩加熱型)を用いて、試料としてはその線径が0.5mmで網目合が3mmの金網材を用いて、厚さ25mm、幅及び長さが200mmの寸法形状に形成したフィルターケースに、その粒径が5mmで連続気泡構造でその見掛比重が0.1のパーライトからなる付着吸着材を90g重量に充填使用し、対照としてはセラミックス素材を連続気孔構造で、且厚さが25mm幅及び長さが200mmのものを用いた。
試験方法は、定形焼き肉メニュー(畜肉部材略300g、野菜類等略400g)を、1日平均5食分を連続して調理飲食させてオイルミストの付着状態を判定したもので、焼肉ロースターはそれぞれ10台づつ使用し維持コストも試算したもので、結果は表1の通りである。
【0026】
【表1】

【0027】
次に消臭テストについては、前期オイルミスト付着除去テストに用いた試料及び対照を用いて、1回3lづつ3回に分けて計9lの臭気空気を採取のうえ行なった。
試験方法はニオイセンサーを用いて採取10分後に行なったもので、測定対象臭気には野菜類の臭気としてメチルメルカプタン、魚肉類の臭気としてトリメチルアミン、及び一般臭気として硫化水素について測定したもので、結果は表2の通りであった。
【0028】
【表2】

【0029】
更に焦煙の消煙テストについては測定方法に適切なものが発見されぬため、試料及び対照を流通させた焦煙を含む空気を、直径10cm、長さ26cmの透明容器に採取後、直ちに視覚評価により判断させたもので、視覚評価者10名により視覚評価基準として濃濁、中濁、微濁及び清浄の4段階評価により評価させたもので、結果は表3の通りである。
【0030】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0031】
調理用ロースターのフィルターホルダーや外部排気枠に装着できるよう形成することで、即時にオイルミストの付着除去、及び臭気や焦煙の吸着除去がなしえる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】 付着吸着材の拡大説明図である。
【図2】 補強層が形成された付着吸着基材の拡大説明図である。
【図3】 フィルターケースの説明図である。
【図4】 調理用ロースターにおける使用態様図である。
【図5】 円筒用フィルターケースの説明図である。
【図6】 円筒形若しくは網篭形フィルターの使用態様図である。
【図7】 網篭形フィルターケースの説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 付着吸着材
1A 真珠岩
1B 微細孔隙
1C 微細凹凸状
10 補強層形成付着吸着材
10A 補強層
2 フィルターケース
2A 金網材
2B 網目合
20A 上辺
20B 下辺
20C 後側辺
20D 左側辺
20E 右側辺
20F 開口辺
20G 可動具
20H 固定具
21A パンチングメタル板
21B 通風孔
22 円筒形フィルターケース
22A 外枠板
22B 充填空隙
22C 内枠板
22D 支持縁
23 網篭形フィルターケース
23A 底部
23B 篭部
3 厨房用フィルター
30 ロースター
30A 吸引フード
30B フィルターホルダー
30C ダクト
30D 外部排気枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含有結合水が2乃至6重量%の真珠岩を破砕のうえ焼成して連結気泡構造で見掛比重が0.1乃至0.2及びその粒径が2mm以上のパーライトからなる付着吸着材と、該付着吸着材が漏出しない網目合若しくは通風孔で、且その空隙率が80%以上に形成されてなる金網材若しくはパンチングメタル板により、所要の寸法形状に形成されたフィルターケースとからなり、フィルターケース内に付着吸着材を充填のうえオイルミスト並びに臭気及び焦煙を流通せしめて、オイルミストの付着除去並びに臭気や焦煙の吸着除去をなすことを特徴とする厨房用フィルター。
【請求項2】
フィルターケース内に充填される付着吸着材が、パーライトの外表面に少なくともその水分率が80乃至95重量%に希釈された珪酸ソーダ水溶液が噴霧塗着され、且乾燥されて補強層が形成された補強層形成付着吸着材である、請求項1記載の厨房用フィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−88126(P2011−88126A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260429(P2009−260429)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【出願人】(504384516)
【Fターム(参考)】