双安定液晶表示パネルの駆動方法及び駆動デバイス
【課題】双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法において、書き込み波形は直流成分を含んでいることと、書き込み終了直後にはまだ液晶分子が配向規制力の安定状態になっていないで徐徐に安定状態になることから、液晶にはCOM電極とSEG電極がGNDになった時点でもまだ電荷が溜まっていると考えられる。書き込み後の電荷残りは、一回ごとに見ると短時間であり問題ないが、書き換え回数が増えるに従って双安定液晶表示パネルを破壊していく。
【解決手段】双安定液晶表示パネルを書き換えるための波形を印加した直後に、駆動波形の最後のパルスよりも低い電圧の交流波形を加えた。また、電圧を徐徐に0Vに近づけた。
【解決手段】双安定液晶表示パネルを書き換えるための波形を印加した直後に、駆動波形の最後のパルスよりも低い電圧の交流波形を加えた。また、電圧を徐徐に0Vに近づけた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双安定液晶表示パネルの駆動方法及び駆動デバイスに関し、特に双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法及び駆動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、双安定液晶表示パネル10を表示制御するための一般的な機能ブロック図である。双安定液晶表示パネル10は、水平方向のコモンラインを駆動するコモン駆動部(COM-IC)11、垂直方向のセグメントラインを駆動するセグメント駆動部(SEG-IC)12、駆動電位(V0、V12、V34、V5、VCX)を生成する電源回路13、及びコモン駆動部11とセグメント駆動部12及び電源回路13を制御する制御部(MPU)14から構成される駆動デバイスで駆動される。
【0003】
制御部14がコモン駆動部11とセグメント駆動部12を制御するための信号と役割は、通常のSTN駆動ドライバ回路と同様である。コモン駆動部11に対しては、初期化信号RESETXがあり、スキャンタイミングを決めるCOM-Dataと書き込み用クロックのCLがあり、交流化信号FRCOMや表示消去のDispOffxがある。セグメント駆動部12に対しては、初期化信号RESETXがあり、表示画像データを与えるDIO(8)と書き込み用クロックXCKがあり、交流化信号FRSEGや表示消去のDispOffxがある。
【0004】
図2は、双安定ネマチック液晶の状態の切り替えであるスイッチングを説明する図で、双安定液晶表示パネル10のコモンとセグメントに特定の信号を印加して、ネマチック液晶分子のねじれ方向をツイスト状態(Twisted)とユニフォーム状態(Uniform)と呼ばれる2種類の状態に切り替える様子を示している。
【0005】
なお、本願に添付する図面において、COMはコモン電極に印加されるコモン信号を、COM-Scanは選択時のコモン信号即ち選択信号を、COM-No Scanは非選択時のコモン信号即ち非選択信号を、SEGはセグメント電極に印加されるセグメント信号を、更に、COM-SEGはコモン・セグメント間電圧即ちコモン電極とセグメント電極で挟持された交点画素に印加される表示電圧を示す。そして、前記書込み信号は白書込み信号と黒書込み信号の2種類であり、また前記表示信号は白表示電圧と黒表示電圧の2種類である。
【0006】
先ず、双安定液晶表示パネル10のコモン電極とセグメント電極の交点画素で白(White)を表示する場合について説明する。コモン端子に印加される選択信号の電圧波形は、図2の左側の最上段に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、時間間隔bとcは負のレベル-V、続く時間間隔dとeは正のレベル+V、続く時間間隔fは正のレベル+VCX(=+V-v)、そして残りの時間間隔gはレベル0となる波形である。
【0007】
セグメント端子に印加される白書込み信号の電圧波形は、図2の左側の2段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aからeはレベル0、続く時間間隔fは負のレベル-v、そして残りの時間間隔gはレベル0となる波形である。
【0008】
上述の如く時間と共に変移する選択信号と白書込み信号が印加されると、コモン端子とセグメント端子の間の差の電圧である白表示電圧の波形は、時間と共に変移する波形となる。即ち、図2の左側の3段目に示す如く、白表示電圧波形は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bとcは負のレベル-V、続く時間間隔dからeは正のレベル+V、そして残りの時間間隔gはレベル0となる波形である。このように、白表示電圧の波形は、負のレベル-Vボルトと正のレベル+Vの間で電圧遷移を行うものである。
【0009】
このような波形の白表示電圧をネマチック液晶に印加するのは、まず負のレベル-Vの電圧でネマチック液晶の分子の配向の安定状態を破壊し、ネマチック液晶の分子を縦方向に吊り上げ(図2の左側の最下段の左方の模式図)、その後に正のレベル+Vの電圧をレベル0の電圧へと開放してネマチック液晶の分子を配向方向へ寝かし(図2の左側の最下段の右方の模式図)、ツイスト状態(Twisted)にするためである。このようにして、図2の左側の三段目に示す波形の白表示電圧が印加された双安定液晶表示パネル10の交点画素は白を表示する。
【0010】
次に、双安定液晶表示パネル10のコモン電極とセグメント電極の交点画素で黒を表示する場合について説明する。コモン端子に印加される選択信号の電圧波形は、図2の左側最上段の波形と同じである。
【0011】
黒書込み信号の電圧波形は、図2の右側の2段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aからcはレベル0、続く時間間隔dは負のレベル-v、そして残りの時間間隔eからgはレベル0となる波形である。
【0012】
上述の如く時間と共に変移する選択信号と黒書込み信号が印加されると、コモン端子とセグメント端子の間の差の電圧である黒表示電圧の波形は、時間と共に変移する波形となる。即ち、図2の右側の3段目に示す如く、黒表示電圧の波形は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bとcは負のレベル-V、続く時間間隔dは正のレベル+(V+v)、続く時間間隔eは正のレベル+V、続く時間間隔fは正のレベル+VCX(=+V-v)、そして残りの時間間隔gはレベル0となる波形である。このように、黒表示電圧は、-Vと+(V+v)の間で電圧遷移を行うものである。
【0013】
このような波形の黒表示電圧をネマチック液晶に印加するのは、まず負のレベル-Vでネマチック液晶の分子の配向の安定状態を破壊し、ネマチック液晶の分子を縦方向に吊り上げ(図2の右側の最下段の左方の模式図)、その後に正のレベル+(V+v)を正のレベル+Vに、正のレベル+Vを正のレベル+VCX(=+V-v)に、最後に正のレベル+VCX(=+V-v)をレベル0へと順に段階的に低下させてネマチック液晶の分子をほぼ平行に配向し(図2の右側の最下段の右方の模式図)、ユニフォーム状態(Uniform)とするためである。このようにして、図2の右側の三段目に示す黒表示電圧が印加された双安定液晶表示パネル10の交点画素は、黒を表示する。
【0014】
図3は、双安定液晶表示パネル10のコモン端子とセグメント端子に印加される電圧波形の例を示す図であり、その左側にはn行目のコモン端子COM[n]、(n+1)行目のコモン端子COM[n+1]及び(n+2)行目のコモン端子COM[n+2]の連続する3行と、これらと交差する3列のセグメント端子、即ちm列目のセグメント端子SEG[m]、(m+1)列目のセグメント端子SEG[m+1]及び(m+2)列目のセグメント端子SEG[m+2]とからなる双安定液晶表示パネル1の一部が模式的に示されている。
【0015】
また、図3の右側には、双安定液晶表示パネル10の連続する3行のコモン端子COM[n]、COM[n+1]及びCOM[n+2]とこれらと交差するm列目のセグメント端子SEG[m]に印加される電圧波形を時間の経過に従って示されている。なお、破線の円で囲った部分は、選択信号の電圧波形を示す。
【0016】
選択(Scan)時にコモン端子に印加される選択信号の電圧波形は、図3の右側の上から第1段目から第3段目に示す如くで、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+V3、続く時間間隔cとdはレベル0、続く時間間隔eは正のレベル+V2、時間間隔fはレベル0となる波形である。但し、V3>V2である。
【0017】
非選択時にコモン端子に印加される非選択信号の電圧波形は、図3の右側の上から第1段目から第3段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cからeは正のレベル+V3、そして残りの時間間隔fはレベル0となる波形である。
【0018】
コモン端子に印加される信号の電圧波形は、図2と図3では大きく異なっている。即ち、図2に示す選択信号の電圧波形は、正負に大きく変移する電圧波形であるのに対して、図3に示す選択信号の電圧波形は正側のみにおいて大きく変移する波形である。なお、図2には非選択信号は示されていないが、図3に示す非選択信号も正側のみにおいて大きく変移する波形である。
【0019】
n行目のコモン端子COM[n]には、図3の右側の上から第1段目に示す如く、スキャン時間区間t1において選択信号が、スキャン時間区間t2とt3において非選択信号がそれぞれ印加されている。続くn+1行目のコモン端子COM[n+1]には、図3の右側の上から第2段目に示す如く、スキャン時間区間t1において非選択信号が、スキャン時間区間t2において選択信号が、更にスキャン時間区間t3において非選択信号がそれぞれ印加されている。更にそれに続くn+2行目のコモン端子COM[n+2]には、図3の右側の上から第3段目に示す如くスキャン時間区間t1とt2において非選択信号が、スキャン時間区間t3において選択信号がそれぞれ印加されている。
【0020】
セグメント端子に印加されるセグメント電圧、即ち、白書込み信号と黒書込み信号の電圧波形は、図3の右側の上から第4段目に示す如くである。ここでは、スキャン時間区間t1において白書込み信号が、スキャン時間区間t2において黒書き込み信号が、そして、スキャン時間区間t3において白書き込み信号がそれぞれ印加されている。
【0021】
白書込み信号の電圧波形は、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cとdは正のレベル+V3、続く時間間隔eは正のレベル+V4、そして残りの時間間隔fはレベル0となる波形である。
【0022】
また、黒書込み信号の電圧波形は、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cは正のレベル+V4、続く時間間隔dとeは正のレベル+V3、そして残りの時間間隔fはレベル0となる波形である。
【0023】
上述の如く、コモン端子に選択信号または非選択信号が、セグメント端子に白書込み信号または黒書込み信号が印加されると、コモン端子とセグメント端子間のコモン・セグメント間電圧、即ち白表示電圧と黒表示電圧は、図3の右側の下から1段目から3段目にそれぞれ示す如くとなる。
【0024】
即ち、n行目のコモン端子COM[n]とm列目のセグメント端子SEG[m]の交点画素には、図3の右側の下から3段目に示す如く、スキャン時間区間t1においては、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+V3、続く時間間隔cとdは負のレベル-V3、続く時間間隔eは負のレベル-(V4-V2)、そして残りの時間間隔fの時間はレベル0となる波形の白表示電圧が印加されている。
【0025】
スキャン時間区間t2においては、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cは負のレベル-V1、そして残りの時間間隔dからfはレベル0となる電圧波形の第1の寄生信号が印加されている。更に、スキャン時間区間t3においては、選択期間Tの最初の時間間隔aからdはレベル0、続く時間間隔eは負のレベル-V1、そして残りの時間間隔fはレベル0となる電圧波形の第2の寄生信号が印加されている。
【0026】
次に(n+1)行目のコモン端子COM[n+1]とm列目のセグメント端子SEG[m]の交点画素には、図3の右側の下から2段目に示す如く、スキャン時間区間t1においては第2の寄生信号が、スキャン時間区間t2においては黒表示電圧が、そしてスキャン時間区間t3においては第1の寄生信号がそれぞれ印加されている。黒表示電圧は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+V3、続く時間間隔cは負のレベル-V4、続く時間間隔dは負のレベル-V3、続く時間間隔eは負のレベル-(V3-V2)、そして残りの時間間隔fの時間はレベル0となる波形の電圧である。
【0027】
更に(n+2)行目のコモン端子COM[n+1]とm列目のセグメント端子SEG[m]の交点画素には、図3の右側の下から1段目に示す如く、スキャン時間区間t1においては第1の寄生信号が、スキャン時間区間t2においては第2の寄生信号が、そしてスキャン時間区間t3においては白表示電圧がそれぞれ印加されている。
【0028】
上述した如く、双安定液晶表示パネル10の表示は、選択信号の電圧波形を出力する1本のコモンと、全セグメントの信号状態によって1ライン分の白黒が決定し、1画面分の全コモンを順次スキャンする事により画面全体の表示が決定する。スキャンを行うのはその瞬間においては画面全体のうちの1本のコモンのみであり、残りの大多数のコモンは非選択信号の電圧波形を出力する。双安定液晶表示パネルの充放電電荷量を考える時は、コモンの大多数が出力する非選択信号の電圧とセグメント端子に印加された白書込み信号または黒書込み信号の電圧の電位差に着目する必要がある。つまり、コモン端子とセグメント端子間のコモン・セグメント間電圧の波形における寄生信号が双安定液晶表示パネル10を駆動する上での充放電電荷量に大きく寄与し、消費電流の大きさに影響を与える。
【0029】
図4は、双安定液晶表示パネル10の特定の駆動モード(Mode-C)の波形を示している。双安定液晶表示パネル10に印加される4種類の波形は、コモン端子に選択時に印加される選択信号、コモン端子に非選択時に印加される非選択信号、セグメント端子に印加される白書込み信号、セグメント端子に印加される黒書込み信号である。これらの電圧波形は図3に示したものと同じである。
【0030】
また、図4には、コモン端子とセグメント端子の交点画素に印加された4種類の電圧、即ち白表示電圧、黒表示電圧、第1の寄生信号40及び第2の寄生信号40が示されている。これらの電圧波形は図3に示したものと同じである。また、実際の電圧値及びパルス幅は温度特性を持っていて、低温になるに従って電圧は高くなり、パルス幅も長くなる。
【0031】
図4の下方に記した「1」と「0」の数字は、コモン端子に印加されるコモン電圧の波形とセグメント端子に印加されるセグメント電圧の波形の制御信号である。コモン電圧の波形はCCX、C-Data、FR、DispOffxの4つの信号で制御される。セグメント電圧の波形はS-Data、FR、DispOffxの3つの信号で制御される。セグメント駆動デバイスとして、既に市販されている一般的なSTN液晶を通常駆動するための(SA駆動方式ではない)ドライバを用いた場合、図6に示すセグメント駆動ドライバ(SEG-Drv.)の入出力テーブルで出力電圧は3つの制御信号により制御されるので、図4に示すようなセグメント制御信号とセグメント電圧波形の対応が成立する。
【0032】
双安定液晶表示パネル10を駆動するコモン電圧の波形には、一般的なSTN液晶の通常駆動には存在しないVCXなる電位があるので、その電位を出力させるための制御信号をCCXとしている。図7に示すコモン駆動ドライバ(COM-Drv.)の入出力テーブルで駆動モード(Mode-C)の欄に示すようにコモン出力を制御すれば、図4に示すようなコモン制御信号とコモン電圧波形の対応が成立する。
【0033】
このようにして双安定液晶表示パネル10に画像を書き込んだ後に、コモン電圧とセグメント電圧をGNDにして双安定液晶表示パネル10を無印加状態にしても書き込んだ表示画像は保持されている。すなわち画像書き込み後に電源を切っても双安定液晶表示パネル10の画像は表示されている。書き込み時に電力は必要であるが、その後は無電力で表示できることが双安定液晶表示パネル10の特徴である。
【0034】
双安定液晶表示パネル10への書き込み波形は前記のように直流成分を含んでいることと、書き込み終了直後にはまだ液晶分子が配向規制力の安定状態になっていないで徐徐に安定状態になることから、液晶にはCOM電極とSEG電極がGNDになった時点でもまだ電荷が溜まっていると考えられる。
【0035】
双安定液晶表示パネル10は、透明電極、絶縁膜、配向膜の順に形成されたガラス基板で液晶を挟んでいる構造になっていて、各膜が抵抗と容量の並列回路と考えると図5に示すような等価回路になる。また、液晶層も抵抗と容量の並列回路と考えられる。ここで、書き込み終了後に液晶層に溜まった電荷は絶縁膜、配向膜を通って透明電極側に抜けていくのと、液晶層自身の抵抗により抜けていくかの2方向がある。しかしながら、絶縁膜、配向膜、液晶層の比抵抗は非常に高く、電流が流れないので比較的長い時間(数秒〜数分)にわたって電荷が残ることとなる。
【0036】
また、双安定液晶表示パネル10のCOM電極にプラス直流電圧を加えると、1V程度でも数時間で配向膜が破壊され表示できなくなる。逆にSEG電極にプラス直流電圧を加えると配向膜にイオンが吸着して電気的特性が変化する。したがって、書き込み後の電荷残りは、一回ごとに見ると短時間であり問題ないが、書き換え回数が増えるに従って双安定液晶表示パネル10を破壊していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2004−4552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明が解決しようとする課題は、双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの書き換え可能回数を増やし信頼性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記課題を解決するために、双安定液晶表示パネル10を書き換えるための波形を印加した後に、駆動波形の最後のパルスよりも低い電圧の交流波形を加えた。また、電圧を徐序に0Vに近づけていくと、より効果的である。
絶縁膜、配向膜の抵抗と容量の並列回路を流れる電流は次式で表せる。
【数1】
ここで、膜が緻密でしっかりしているとRは無限に近づくので抵抗成分側から電荷が抜けなくなる。
書き込み後はCOM電極とSEG電極がGNDになるので交流成分が無く、角速度ωが0なので容量成分側からも電荷が抜けない。この時に小さな交流波形を印加することにより角速度ωが有限になり容量成分側から電荷が抜けることとなる。
【発明の効果】
【0040】
従来技術の書き込み後に交流波形を加えない場合、連続1万回書き込みで特性の変化が見られ表示が薄くなったが、本発明の書き込み後に交流波形を加えた場合、10万回連続書き込みしても特性の変化は無く、初期と同じ表示品質であった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】双安定液晶表示パネルを表示制御する一般的な機能ブロック図である。
【図2】コモン端子とセグメント端子にそれぞれ印加される電圧及びコモン・セグメント間電圧の波形に対応して交点画素が白または黒(Black)を表示する様子を模式的に示した双安定液晶のスイッチングの説明図である。
【図3】双安定液晶表示パネルのコモン端子とセグメント端子にそれぞれ印加される電圧、及びコモン・セグメント間電圧の波形を示す図である。
【図4】双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法であって、駆動モード(Mode-C)のコモン電圧、セグメント電圧及びコモン・セグメント間電圧の波形を示す図である。
【図5】双安定液晶表示パネルの構造と等価回路である。
【図6】セグメント駆動部(SEG-Drv.)の入出力テーブルを示す真理値表である。
【図7】コモン駆動部(COM-Drv.)の入出力テーブルを示す真理値表である。
【図8】従来の低温用の駆動モードで駆動されたときの双安定液晶表示パネルのコモン・セグメント間電圧のコモン・セグメント間電圧の波形を示す図である。
【図9】従来の選択波形の駆動信号で駆動した場合の波形図である。
【図10】本発明の実施例1の選択波形の駆動信号で駆動した場合の波形図である。
【図11】本発明の実施例2の選択波形の駆動信号で駆動した場合の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の双安定液晶表示パネル10の信頼性を改善する方法は、双安定液晶表示パネル10の駆動デバイスのハードウエアを変更することなく駆動波形を変更することにより実施できるものである。
【実施例1】
【0043】
本発明に係る駆動方法が適用される駆動デバイス、即ち正極駆動または負極駆動のみで白黒を選択できる双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動デバイスは、従来のハードウエア構成と同じである。即ち、図1に示す如く、双安定液晶表示パネル10は、水平方向のコモンラインを駆動するコモン駆動部(COM-IC)11、垂直方向のセグメントラインを駆動するセグメント駆動部(SEG-IC)12、駆動電位(V0、V12、V34、V5、VCX)を生成する電源回路13、及びコモン駆動部11とセグメント駆動部12及び電源回路13を制御する制御部(MPU)14から構成される駆動デバイスで駆動される。
【0044】
制御部14がコモン駆動部11とセグメント駆動部12を制御するための信号と役割は、通常のSTN駆動ドライバ回路と同様である。コモン駆動部11に対しては、初期化信号RESETXがあり、スキャンタイミングを決めるCOM-Dataと書き込み用クロックのCLがあり、交流化信号FRCOMや表示消去のDispOffxがある。セグメント駆動部12に対しては、初期化信号RESETXがあり、表示画像データを与えるDIO(8)と書き込み用クロックXCKがあり、交流化信号FRSEGや表示消去のDispOffxがある。電源回路13をコモン駆動部(COM-IC11の中に取り込む事、さらにセグメント駆動部(SEG-IC)12をも取り込んで1つのICにする事は当然可能である。
【0045】
次に、図8から図11を参照しながら、高電圧、長パルスの掛かる低温時について双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法を説明する。理解を容易にするために、本発明に係る双安定液晶表示パネルの駆動方法と従来の駆動方法と対比させて説明する。
【0046】
図8は、正極駆動または負極駆動のみで白黒を選択できる双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの従来の駆動方法で低温に適した駆動モード(Mode-G)でドライバICの最大電圧のパルスが出せるように工夫したものである。図8の電圧波形は、上から順にセグメント端子に印加される白書込み信号23と黒書込み信号24、コモン端子に印加される選択信号25、非選択信号26、選択時のコモン・セグメント間電圧である黒表示電圧33と白表示電圧34、及び非選択時のコモン・セグメント間電圧である寄生信号40の電圧波形をそれぞれ示す。
【0047】
白書込み信号23の電圧波形は、図8の最上段に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aとbは正のレベル+V5、続く時間間隔cは正のレベル+V12、続く時間間隔dとeは正のレベル+V0、そして残りの時間間隔fは正のレベル+V5となる波形である。
【0048】
黒書込み信号24の電圧波形は、図8の最上段に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aとbは正のレベル+V5、続く時間間隔cとdは正のレベル+V0、続く時間間隔eは正のレベル+V12、そして残りの時間間隔fは正のレベル+V5となる波形である。
【0049】
選択信号25の電圧波形は、図8の上から2段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間
間隔aは正のレベル+V5、続く時間間隔bは正のレベル+V0、続く時間間隔cとdは正のレベル+V5、続く時間間隔eは正のレベル+VCX、そして残りの時間間隔fは正のレベル+V5となる波形である。
【0050】
非選択信号26の電圧波形は、図8の上から3段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aとbは正のレベル+V5、続く時間間隔cからeは正のレベル+V0、そして残りの時間間隔fは正のレベル+V5となる波形である。
【0051】
選択時にコモン端子とセグメント端子に上述の如き電圧が印加されると、コモン端子とセグメント端子間のコモン・セグメント間電圧は、図8の上から4段目に示す如くとなる。なお、図8の上から4段目において、消去パルス31は正のレベル+5の矩形波であり、これに続いて印加される消去パルス32は負のレベル-5の矩形波である。
【0052】
選択信号25と白書込み信号23がそれぞれ印加されたときの白表示電圧33は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+5、続く時間間隔cは負のレベル-4、続く時間間隔dは負のレベル-5、続く時間間隔eは負のレベル-3、そして残りの時間間隔fの時間は正のレベル0となる波形の電圧である。
【0053】
また、選択信号25と黒書込み信号24がそれぞれ印加されたときの黒表示電圧34は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+5、続く時間間隔cとdは負のレベル-5、続く時間間隔eは負のレベル-2、そして残りの時間間隔fの時間はレベル0となる波形の電圧である。
【0054】
非選択時にコモン端子とセグメント端子に上述の如き電圧が印加されると、コモン端子とセグメント端子間のコモン・セグメント間電圧は、図8の最下段に示す如くとなる。なお、図8の最下段において、消去パルス31は正のレベル+5の矩形波であり、これに続いて印加される消去パルス32は負のレベル-5の矩形波である。
【0055】
非選択信号26と白書込み信号23がそれぞれ印加されたときには、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cは正のレベル+1、そして残りの時間間隔dからfの時間はレベル0となる波形の電圧である。前記の正のレベル+1の矩形波パルスは寄生信号40である。
【0056】
非選択信号26と黒書込み信号24がそれぞれ印加されたときには、選択期間Tの最初の時間間隔aからdはレベル0、続く時間間隔eは正のレベル+1、そして残りの時間間隔fはレベル0となる波形の電圧である。前記の正のレベル+1の矩形波パルスは寄生信号40である。
【0057】
図9は、図8の従来の駆動モードで駆動されたときの双安定液晶表示パネルのコモン・セグメント間電圧の波形を示す図である。図9から明らかな如く、従来の駆動モードで駆動されたときに駆動波形が0Vになっているにも関わらず比較的長い期間液晶層に電荷が残っているところは、全画面消去期間の後と走査期間の後である。
【0058】
(本発明の駆動方法)
次に、図8の従来の駆動モード(Mode-G)で駆動した図9の電圧波形に低い電圧の交流波形を加えた駆動方法を、図10、図11を参照して説明する。
【0059】
図10は全消去期間と走査期間は前記従来の駆動モード(Mode-G)と同じ波形を用い、その直後に交流矩形波を加えたものである。交流矩形波は、図4の駆動モード(Mode-C)のマイナス側の寄生信号40と図8の駆動モード(Mode-G)のプラス側の寄生信号40を用いて印加した。
【0060】
本実施例では、電圧値を走査期間の寄生信号40の半分にして5サイクル、2msの休み期間、1/4にして5サイクルを加えた。パルス幅は寄生信号40と同じで周波数は速くした。これにより、絶縁膜が緻密で液晶と透明電極が完全に絶縁された液晶パネルにおいても、書き換え可能回数が従来波形では1万回程度で表示画像が薄くなってしまった双安定液晶表示パネル10が、本発明の駆動波形では10万回書き換えても初期の表示品質を保てるようになった。
【実施例2】
【0061】
図11は全消去期間と走査期間は前記従来の駆動モード(Mode-G)と同じ波形を用い、その直後に交流矩形波を加えたものである。交流矩形波は、図4の駆動モード(Mode-C)のマイナス側の寄生信号40と図8の駆動モード(Mode-G)のプラス側の寄生信号40を用いて印加した。
【0062】
本実施例では、電圧値を走査期間の寄生信号40の半分にして数サイクル印加後、交流矩形波のタイミングは同じにして、LCD電源13をOFFにすることにより電圧値が徐徐に0Vに近づくようにした。パルス幅は寄生信号40と同じで周波数は速くした。これにより、絶縁膜が緻密で液晶と透明電極が完全に絶縁された液晶パネルにおいても書き換え可能回数が、従来波形では1万回程度で液晶パネルの特性が変化して表示画像が薄くなってしまったが、本発明の駆動波形では10万回書き換えても初期の表示品質を保てるようになった。
【0063】
また、印加する波形は、低電圧で交流であればよいので、矩形波にこだわる必要はなく他の波形でも同様の効果が得られる。
【0064】
また、交流矩形波を印加する期間は、液晶パネルの特性により変える必要があり、絶縁膜、配向膜が緻密で絶縁性が高い場合は長く、粗雑で絶縁性が低い場合は短くても良い、また、温度により全消去期間、操作期間の電圧値、パルス幅が変わり、特に低温時には電圧、パルス幅がともに大きくなるので交流矩形波を印加する期間も長くする必要がある。
【0065】
本発明により、双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネル駆動デバイスにおいて、従来の双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動デバイスを大幅に変更することなく、信頼性を向上することができた。
【符号の説明】
【0066】
10 双安定液晶表示パネル
11 コモン駆動部(COM-IC)
12 セグメント駆動部(SEG-IC)
13 電源部
14 制御部(MPU)
21 全コモン端子に印加される信号
22 全セグメント端子に印加される信号
23 白書込み信号
24 黒書込み信号
25 選択信号
26 非選択信号
31 コモン・セグメント間電圧波形
32 コモン・セグメント間電圧波形
33 黒表示電圧信号
34 白表示電圧信号
40 寄生信号
50 交流矩形波
COM コモン信号
COM-Scan 選択信号
COM-No Scan 非選択信号
SEG セグメント信号
COM-SEG コモン・セグメント間電圧または表示電圧
【技術分野】
【0001】
本発明は、双安定液晶表示パネルの駆動方法及び駆動デバイスに関し、特に双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法及び駆動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、双安定液晶表示パネル10を表示制御するための一般的な機能ブロック図である。双安定液晶表示パネル10は、水平方向のコモンラインを駆動するコモン駆動部(COM-IC)11、垂直方向のセグメントラインを駆動するセグメント駆動部(SEG-IC)12、駆動電位(V0、V12、V34、V5、VCX)を生成する電源回路13、及びコモン駆動部11とセグメント駆動部12及び電源回路13を制御する制御部(MPU)14から構成される駆動デバイスで駆動される。
【0003】
制御部14がコモン駆動部11とセグメント駆動部12を制御するための信号と役割は、通常のSTN駆動ドライバ回路と同様である。コモン駆動部11に対しては、初期化信号RESETXがあり、スキャンタイミングを決めるCOM-Dataと書き込み用クロックのCLがあり、交流化信号FRCOMや表示消去のDispOffxがある。セグメント駆動部12に対しては、初期化信号RESETXがあり、表示画像データを与えるDIO(8)と書き込み用クロックXCKがあり、交流化信号FRSEGや表示消去のDispOffxがある。
【0004】
図2は、双安定ネマチック液晶の状態の切り替えであるスイッチングを説明する図で、双安定液晶表示パネル10のコモンとセグメントに特定の信号を印加して、ネマチック液晶分子のねじれ方向をツイスト状態(Twisted)とユニフォーム状態(Uniform)と呼ばれる2種類の状態に切り替える様子を示している。
【0005】
なお、本願に添付する図面において、COMはコモン電極に印加されるコモン信号を、COM-Scanは選択時のコモン信号即ち選択信号を、COM-No Scanは非選択時のコモン信号即ち非選択信号を、SEGはセグメント電極に印加されるセグメント信号を、更に、COM-SEGはコモン・セグメント間電圧即ちコモン電極とセグメント電極で挟持された交点画素に印加される表示電圧を示す。そして、前記書込み信号は白書込み信号と黒書込み信号の2種類であり、また前記表示信号は白表示電圧と黒表示電圧の2種類である。
【0006】
先ず、双安定液晶表示パネル10のコモン電極とセグメント電極の交点画素で白(White)を表示する場合について説明する。コモン端子に印加される選択信号の電圧波形は、図2の左側の最上段に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、時間間隔bとcは負のレベル-V、続く時間間隔dとeは正のレベル+V、続く時間間隔fは正のレベル+VCX(=+V-v)、そして残りの時間間隔gはレベル0となる波形である。
【0007】
セグメント端子に印加される白書込み信号の電圧波形は、図2の左側の2段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aからeはレベル0、続く時間間隔fは負のレベル-v、そして残りの時間間隔gはレベル0となる波形である。
【0008】
上述の如く時間と共に変移する選択信号と白書込み信号が印加されると、コモン端子とセグメント端子の間の差の電圧である白表示電圧の波形は、時間と共に変移する波形となる。即ち、図2の左側の3段目に示す如く、白表示電圧波形は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bとcは負のレベル-V、続く時間間隔dからeは正のレベル+V、そして残りの時間間隔gはレベル0となる波形である。このように、白表示電圧の波形は、負のレベル-Vボルトと正のレベル+Vの間で電圧遷移を行うものである。
【0009】
このような波形の白表示電圧をネマチック液晶に印加するのは、まず負のレベル-Vの電圧でネマチック液晶の分子の配向の安定状態を破壊し、ネマチック液晶の分子を縦方向に吊り上げ(図2の左側の最下段の左方の模式図)、その後に正のレベル+Vの電圧をレベル0の電圧へと開放してネマチック液晶の分子を配向方向へ寝かし(図2の左側の最下段の右方の模式図)、ツイスト状態(Twisted)にするためである。このようにして、図2の左側の三段目に示す波形の白表示電圧が印加された双安定液晶表示パネル10の交点画素は白を表示する。
【0010】
次に、双安定液晶表示パネル10のコモン電極とセグメント電極の交点画素で黒を表示する場合について説明する。コモン端子に印加される選択信号の電圧波形は、図2の左側最上段の波形と同じである。
【0011】
黒書込み信号の電圧波形は、図2の右側の2段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aからcはレベル0、続く時間間隔dは負のレベル-v、そして残りの時間間隔eからgはレベル0となる波形である。
【0012】
上述の如く時間と共に変移する選択信号と黒書込み信号が印加されると、コモン端子とセグメント端子の間の差の電圧である黒表示電圧の波形は、時間と共に変移する波形となる。即ち、図2の右側の3段目に示す如く、黒表示電圧の波形は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bとcは負のレベル-V、続く時間間隔dは正のレベル+(V+v)、続く時間間隔eは正のレベル+V、続く時間間隔fは正のレベル+VCX(=+V-v)、そして残りの時間間隔gはレベル0となる波形である。このように、黒表示電圧は、-Vと+(V+v)の間で電圧遷移を行うものである。
【0013】
このような波形の黒表示電圧をネマチック液晶に印加するのは、まず負のレベル-Vでネマチック液晶の分子の配向の安定状態を破壊し、ネマチック液晶の分子を縦方向に吊り上げ(図2の右側の最下段の左方の模式図)、その後に正のレベル+(V+v)を正のレベル+Vに、正のレベル+Vを正のレベル+VCX(=+V-v)に、最後に正のレベル+VCX(=+V-v)をレベル0へと順に段階的に低下させてネマチック液晶の分子をほぼ平行に配向し(図2の右側の最下段の右方の模式図)、ユニフォーム状態(Uniform)とするためである。このようにして、図2の右側の三段目に示す黒表示電圧が印加された双安定液晶表示パネル10の交点画素は、黒を表示する。
【0014】
図3は、双安定液晶表示パネル10のコモン端子とセグメント端子に印加される電圧波形の例を示す図であり、その左側にはn行目のコモン端子COM[n]、(n+1)行目のコモン端子COM[n+1]及び(n+2)行目のコモン端子COM[n+2]の連続する3行と、これらと交差する3列のセグメント端子、即ちm列目のセグメント端子SEG[m]、(m+1)列目のセグメント端子SEG[m+1]及び(m+2)列目のセグメント端子SEG[m+2]とからなる双安定液晶表示パネル1の一部が模式的に示されている。
【0015】
また、図3の右側には、双安定液晶表示パネル10の連続する3行のコモン端子COM[n]、COM[n+1]及びCOM[n+2]とこれらと交差するm列目のセグメント端子SEG[m]に印加される電圧波形を時間の経過に従って示されている。なお、破線の円で囲った部分は、選択信号の電圧波形を示す。
【0016】
選択(Scan)時にコモン端子に印加される選択信号の電圧波形は、図3の右側の上から第1段目から第3段目に示す如くで、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+V3、続く時間間隔cとdはレベル0、続く時間間隔eは正のレベル+V2、時間間隔fはレベル0となる波形である。但し、V3>V2である。
【0017】
非選択時にコモン端子に印加される非選択信号の電圧波形は、図3の右側の上から第1段目から第3段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cからeは正のレベル+V3、そして残りの時間間隔fはレベル0となる波形である。
【0018】
コモン端子に印加される信号の電圧波形は、図2と図3では大きく異なっている。即ち、図2に示す選択信号の電圧波形は、正負に大きく変移する電圧波形であるのに対して、図3に示す選択信号の電圧波形は正側のみにおいて大きく変移する波形である。なお、図2には非選択信号は示されていないが、図3に示す非選択信号も正側のみにおいて大きく変移する波形である。
【0019】
n行目のコモン端子COM[n]には、図3の右側の上から第1段目に示す如く、スキャン時間区間t1において選択信号が、スキャン時間区間t2とt3において非選択信号がそれぞれ印加されている。続くn+1行目のコモン端子COM[n+1]には、図3の右側の上から第2段目に示す如く、スキャン時間区間t1において非選択信号が、スキャン時間区間t2において選択信号が、更にスキャン時間区間t3において非選択信号がそれぞれ印加されている。更にそれに続くn+2行目のコモン端子COM[n+2]には、図3の右側の上から第3段目に示す如くスキャン時間区間t1とt2において非選択信号が、スキャン時間区間t3において選択信号がそれぞれ印加されている。
【0020】
セグメント端子に印加されるセグメント電圧、即ち、白書込み信号と黒書込み信号の電圧波形は、図3の右側の上から第4段目に示す如くである。ここでは、スキャン時間区間t1において白書込み信号が、スキャン時間区間t2において黒書き込み信号が、そして、スキャン時間区間t3において白書き込み信号がそれぞれ印加されている。
【0021】
白書込み信号の電圧波形は、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cとdは正のレベル+V3、続く時間間隔eは正のレベル+V4、そして残りの時間間隔fはレベル0となる波形である。
【0022】
また、黒書込み信号の電圧波形は、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cは正のレベル+V4、続く時間間隔dとeは正のレベル+V3、そして残りの時間間隔fはレベル0となる波形である。
【0023】
上述の如く、コモン端子に選択信号または非選択信号が、セグメント端子に白書込み信号または黒書込み信号が印加されると、コモン端子とセグメント端子間のコモン・セグメント間電圧、即ち白表示電圧と黒表示電圧は、図3の右側の下から1段目から3段目にそれぞれ示す如くとなる。
【0024】
即ち、n行目のコモン端子COM[n]とm列目のセグメント端子SEG[m]の交点画素には、図3の右側の下から3段目に示す如く、スキャン時間区間t1においては、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+V3、続く時間間隔cとdは負のレベル-V3、続く時間間隔eは負のレベル-(V4-V2)、そして残りの時間間隔fの時間はレベル0となる波形の白表示電圧が印加されている。
【0025】
スキャン時間区間t2においては、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cは負のレベル-V1、そして残りの時間間隔dからfはレベル0となる電圧波形の第1の寄生信号が印加されている。更に、スキャン時間区間t3においては、選択期間Tの最初の時間間隔aからdはレベル0、続く時間間隔eは負のレベル-V1、そして残りの時間間隔fはレベル0となる電圧波形の第2の寄生信号が印加されている。
【0026】
次に(n+1)行目のコモン端子COM[n+1]とm列目のセグメント端子SEG[m]の交点画素には、図3の右側の下から2段目に示す如く、スキャン時間区間t1においては第2の寄生信号が、スキャン時間区間t2においては黒表示電圧が、そしてスキャン時間区間t3においては第1の寄生信号がそれぞれ印加されている。黒表示電圧は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+V3、続く時間間隔cは負のレベル-V4、続く時間間隔dは負のレベル-V3、続く時間間隔eは負のレベル-(V3-V2)、そして残りの時間間隔fの時間はレベル0となる波形の電圧である。
【0027】
更に(n+2)行目のコモン端子COM[n+1]とm列目のセグメント端子SEG[m]の交点画素には、図3の右側の下から1段目に示す如く、スキャン時間区間t1においては第1の寄生信号が、スキャン時間区間t2においては第2の寄生信号が、そしてスキャン時間区間t3においては白表示電圧がそれぞれ印加されている。
【0028】
上述した如く、双安定液晶表示パネル10の表示は、選択信号の電圧波形を出力する1本のコモンと、全セグメントの信号状態によって1ライン分の白黒が決定し、1画面分の全コモンを順次スキャンする事により画面全体の表示が決定する。スキャンを行うのはその瞬間においては画面全体のうちの1本のコモンのみであり、残りの大多数のコモンは非選択信号の電圧波形を出力する。双安定液晶表示パネルの充放電電荷量を考える時は、コモンの大多数が出力する非選択信号の電圧とセグメント端子に印加された白書込み信号または黒書込み信号の電圧の電位差に着目する必要がある。つまり、コモン端子とセグメント端子間のコモン・セグメント間電圧の波形における寄生信号が双安定液晶表示パネル10を駆動する上での充放電電荷量に大きく寄与し、消費電流の大きさに影響を与える。
【0029】
図4は、双安定液晶表示パネル10の特定の駆動モード(Mode-C)の波形を示している。双安定液晶表示パネル10に印加される4種類の波形は、コモン端子に選択時に印加される選択信号、コモン端子に非選択時に印加される非選択信号、セグメント端子に印加される白書込み信号、セグメント端子に印加される黒書込み信号である。これらの電圧波形は図3に示したものと同じである。
【0030】
また、図4には、コモン端子とセグメント端子の交点画素に印加された4種類の電圧、即ち白表示電圧、黒表示電圧、第1の寄生信号40及び第2の寄生信号40が示されている。これらの電圧波形は図3に示したものと同じである。また、実際の電圧値及びパルス幅は温度特性を持っていて、低温になるに従って電圧は高くなり、パルス幅も長くなる。
【0031】
図4の下方に記した「1」と「0」の数字は、コモン端子に印加されるコモン電圧の波形とセグメント端子に印加されるセグメント電圧の波形の制御信号である。コモン電圧の波形はCCX、C-Data、FR、DispOffxの4つの信号で制御される。セグメント電圧の波形はS-Data、FR、DispOffxの3つの信号で制御される。セグメント駆動デバイスとして、既に市販されている一般的なSTN液晶を通常駆動するための(SA駆動方式ではない)ドライバを用いた場合、図6に示すセグメント駆動ドライバ(SEG-Drv.)の入出力テーブルで出力電圧は3つの制御信号により制御されるので、図4に示すようなセグメント制御信号とセグメント電圧波形の対応が成立する。
【0032】
双安定液晶表示パネル10を駆動するコモン電圧の波形には、一般的なSTN液晶の通常駆動には存在しないVCXなる電位があるので、その電位を出力させるための制御信号をCCXとしている。図7に示すコモン駆動ドライバ(COM-Drv.)の入出力テーブルで駆動モード(Mode-C)の欄に示すようにコモン出力を制御すれば、図4に示すようなコモン制御信号とコモン電圧波形の対応が成立する。
【0033】
このようにして双安定液晶表示パネル10に画像を書き込んだ後に、コモン電圧とセグメント電圧をGNDにして双安定液晶表示パネル10を無印加状態にしても書き込んだ表示画像は保持されている。すなわち画像書き込み後に電源を切っても双安定液晶表示パネル10の画像は表示されている。書き込み時に電力は必要であるが、その後は無電力で表示できることが双安定液晶表示パネル10の特徴である。
【0034】
双安定液晶表示パネル10への書き込み波形は前記のように直流成分を含んでいることと、書き込み終了直後にはまだ液晶分子が配向規制力の安定状態になっていないで徐徐に安定状態になることから、液晶にはCOM電極とSEG電極がGNDになった時点でもまだ電荷が溜まっていると考えられる。
【0035】
双安定液晶表示パネル10は、透明電極、絶縁膜、配向膜の順に形成されたガラス基板で液晶を挟んでいる構造になっていて、各膜が抵抗と容量の並列回路と考えると図5に示すような等価回路になる。また、液晶層も抵抗と容量の並列回路と考えられる。ここで、書き込み終了後に液晶層に溜まった電荷は絶縁膜、配向膜を通って透明電極側に抜けていくのと、液晶層自身の抵抗により抜けていくかの2方向がある。しかしながら、絶縁膜、配向膜、液晶層の比抵抗は非常に高く、電流が流れないので比較的長い時間(数秒〜数分)にわたって電荷が残ることとなる。
【0036】
また、双安定液晶表示パネル10のCOM電極にプラス直流電圧を加えると、1V程度でも数時間で配向膜が破壊され表示できなくなる。逆にSEG電極にプラス直流電圧を加えると配向膜にイオンが吸着して電気的特性が変化する。したがって、書き込み後の電荷残りは、一回ごとに見ると短時間であり問題ないが、書き換え回数が増えるに従って双安定液晶表示パネル10を破壊していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2004−4552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明が解決しようとする課題は、双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの書き換え可能回数を増やし信頼性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記課題を解決するために、双安定液晶表示パネル10を書き換えるための波形を印加した後に、駆動波形の最後のパルスよりも低い電圧の交流波形を加えた。また、電圧を徐序に0Vに近づけていくと、より効果的である。
絶縁膜、配向膜の抵抗と容量の並列回路を流れる電流は次式で表せる。
【数1】
ここで、膜が緻密でしっかりしているとRは無限に近づくので抵抗成分側から電荷が抜けなくなる。
書き込み後はCOM電極とSEG電極がGNDになるので交流成分が無く、角速度ωが0なので容量成分側からも電荷が抜けない。この時に小さな交流波形を印加することにより角速度ωが有限になり容量成分側から電荷が抜けることとなる。
【発明の効果】
【0040】
従来技術の書き込み後に交流波形を加えない場合、連続1万回書き込みで特性の変化が見られ表示が薄くなったが、本発明の書き込み後に交流波形を加えた場合、10万回連続書き込みしても特性の変化は無く、初期と同じ表示品質であった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】双安定液晶表示パネルを表示制御する一般的な機能ブロック図である。
【図2】コモン端子とセグメント端子にそれぞれ印加される電圧及びコモン・セグメント間電圧の波形に対応して交点画素が白または黒(Black)を表示する様子を模式的に示した双安定液晶のスイッチングの説明図である。
【図3】双安定液晶表示パネルのコモン端子とセグメント端子にそれぞれ印加される電圧、及びコモン・セグメント間電圧の波形を示す図である。
【図4】双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法であって、駆動モード(Mode-C)のコモン電圧、セグメント電圧及びコモン・セグメント間電圧の波形を示す図である。
【図5】双安定液晶表示パネルの構造と等価回路である。
【図6】セグメント駆動部(SEG-Drv.)の入出力テーブルを示す真理値表である。
【図7】コモン駆動部(COM-Drv.)の入出力テーブルを示す真理値表である。
【図8】従来の低温用の駆動モードで駆動されたときの双安定液晶表示パネルのコモン・セグメント間電圧のコモン・セグメント間電圧の波形を示す図である。
【図9】従来の選択波形の駆動信号で駆動した場合の波形図である。
【図10】本発明の実施例1の選択波形の駆動信号で駆動した場合の波形図である。
【図11】本発明の実施例2の選択波形の駆動信号で駆動した場合の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の双安定液晶表示パネル10の信頼性を改善する方法は、双安定液晶表示パネル10の駆動デバイスのハードウエアを変更することなく駆動波形を変更することにより実施できるものである。
【実施例1】
【0043】
本発明に係る駆動方法が適用される駆動デバイス、即ち正極駆動または負極駆動のみで白黒を選択できる双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動デバイスは、従来のハードウエア構成と同じである。即ち、図1に示す如く、双安定液晶表示パネル10は、水平方向のコモンラインを駆動するコモン駆動部(COM-IC)11、垂直方向のセグメントラインを駆動するセグメント駆動部(SEG-IC)12、駆動電位(V0、V12、V34、V5、VCX)を生成する電源回路13、及びコモン駆動部11とセグメント駆動部12及び電源回路13を制御する制御部(MPU)14から構成される駆動デバイスで駆動される。
【0044】
制御部14がコモン駆動部11とセグメント駆動部12を制御するための信号と役割は、通常のSTN駆動ドライバ回路と同様である。コモン駆動部11に対しては、初期化信号RESETXがあり、スキャンタイミングを決めるCOM-Dataと書き込み用クロックのCLがあり、交流化信号FRCOMや表示消去のDispOffxがある。セグメント駆動部12に対しては、初期化信号RESETXがあり、表示画像データを与えるDIO(8)と書き込み用クロックXCKがあり、交流化信号FRSEGや表示消去のDispOffxがある。電源回路13をコモン駆動部(COM-IC11の中に取り込む事、さらにセグメント駆動部(SEG-IC)12をも取り込んで1つのICにする事は当然可能である。
【0045】
次に、図8から図11を参照しながら、高電圧、長パルスの掛かる低温時について双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法を説明する。理解を容易にするために、本発明に係る双安定液晶表示パネルの駆動方法と従来の駆動方法と対比させて説明する。
【0046】
図8は、正極駆動または負極駆動のみで白黒を選択できる双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの従来の駆動方法で低温に適した駆動モード(Mode-G)でドライバICの最大電圧のパルスが出せるように工夫したものである。図8の電圧波形は、上から順にセグメント端子に印加される白書込み信号23と黒書込み信号24、コモン端子に印加される選択信号25、非選択信号26、選択時のコモン・セグメント間電圧である黒表示電圧33と白表示電圧34、及び非選択時のコモン・セグメント間電圧である寄生信号40の電圧波形をそれぞれ示す。
【0047】
白書込み信号23の電圧波形は、図8の最上段に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aとbは正のレベル+V5、続く時間間隔cは正のレベル+V12、続く時間間隔dとeは正のレベル+V0、そして残りの時間間隔fは正のレベル+V5となる波形である。
【0048】
黒書込み信号24の電圧波形は、図8の最上段に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aとbは正のレベル+V5、続く時間間隔cとdは正のレベル+V0、続く時間間隔eは正のレベル+V12、そして残りの時間間隔fは正のレベル+V5となる波形である。
【0049】
選択信号25の電圧波形は、図8の上から2段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間
間隔aは正のレベル+V5、続く時間間隔bは正のレベル+V0、続く時間間隔cとdは正のレベル+V5、続く時間間隔eは正のレベル+VCX、そして残りの時間間隔fは正のレベル+V5となる波形である。
【0050】
非選択信号26の電圧波形は、図8の上から3段目に示す如く、選択期間Tの最初の時間間隔aとbは正のレベル+V5、続く時間間隔cからeは正のレベル+V0、そして残りの時間間隔fは正のレベル+V5となる波形である。
【0051】
選択時にコモン端子とセグメント端子に上述の如き電圧が印加されると、コモン端子とセグメント端子間のコモン・セグメント間電圧は、図8の上から4段目に示す如くとなる。なお、図8の上から4段目において、消去パルス31は正のレベル+5の矩形波であり、これに続いて印加される消去パルス32は負のレベル-5の矩形波である。
【0052】
選択信号25と白書込み信号23がそれぞれ印加されたときの白表示電圧33は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+5、続く時間間隔cは負のレベル-4、続く時間間隔dは負のレベル-5、続く時間間隔eは負のレベル-3、そして残りの時間間隔fの時間は正のレベル0となる波形の電圧である。
【0053】
また、選択信号25と黒書込み信号24がそれぞれ印加されたときの黒表示電圧34は、選択期間Tの最初の時間間隔aはレベル0、続く時間間隔bは正のレベル+5、続く時間間隔cとdは負のレベル-5、続く時間間隔eは負のレベル-2、そして残りの時間間隔fの時間はレベル0となる波形の電圧である。
【0054】
非選択時にコモン端子とセグメント端子に上述の如き電圧が印加されると、コモン端子とセグメント端子間のコモン・セグメント間電圧は、図8の最下段に示す如くとなる。なお、図8の最下段において、消去パルス31は正のレベル+5の矩形波であり、これに続いて印加される消去パルス32は負のレベル-5の矩形波である。
【0055】
非選択信号26と白書込み信号23がそれぞれ印加されたときには、選択期間Tの最初の時間間隔aとbはレベル0、続く時間間隔cは正のレベル+1、そして残りの時間間隔dからfの時間はレベル0となる波形の電圧である。前記の正のレベル+1の矩形波パルスは寄生信号40である。
【0056】
非選択信号26と黒書込み信号24がそれぞれ印加されたときには、選択期間Tの最初の時間間隔aからdはレベル0、続く時間間隔eは正のレベル+1、そして残りの時間間隔fはレベル0となる波形の電圧である。前記の正のレベル+1の矩形波パルスは寄生信号40である。
【0057】
図9は、図8の従来の駆動モードで駆動されたときの双安定液晶表示パネルのコモン・セグメント間電圧の波形を示す図である。図9から明らかな如く、従来の駆動モードで駆動されたときに駆動波形が0Vになっているにも関わらず比較的長い期間液晶層に電荷が残っているところは、全画面消去期間の後と走査期間の後である。
【0058】
(本発明の駆動方法)
次に、図8の従来の駆動モード(Mode-G)で駆動した図9の電圧波形に低い電圧の交流波形を加えた駆動方法を、図10、図11を参照して説明する。
【0059】
図10は全消去期間と走査期間は前記従来の駆動モード(Mode-G)と同じ波形を用い、その直後に交流矩形波を加えたものである。交流矩形波は、図4の駆動モード(Mode-C)のマイナス側の寄生信号40と図8の駆動モード(Mode-G)のプラス側の寄生信号40を用いて印加した。
【0060】
本実施例では、電圧値を走査期間の寄生信号40の半分にして5サイクル、2msの休み期間、1/4にして5サイクルを加えた。パルス幅は寄生信号40と同じで周波数は速くした。これにより、絶縁膜が緻密で液晶と透明電極が完全に絶縁された液晶パネルにおいても、書き換え可能回数が従来波形では1万回程度で表示画像が薄くなってしまった双安定液晶表示パネル10が、本発明の駆動波形では10万回書き換えても初期の表示品質を保てるようになった。
【実施例2】
【0061】
図11は全消去期間と走査期間は前記従来の駆動モード(Mode-G)と同じ波形を用い、その直後に交流矩形波を加えたものである。交流矩形波は、図4の駆動モード(Mode-C)のマイナス側の寄生信号40と図8の駆動モード(Mode-G)のプラス側の寄生信号40を用いて印加した。
【0062】
本実施例では、電圧値を走査期間の寄生信号40の半分にして数サイクル印加後、交流矩形波のタイミングは同じにして、LCD電源13をOFFにすることにより電圧値が徐徐に0Vに近づくようにした。パルス幅は寄生信号40と同じで周波数は速くした。これにより、絶縁膜が緻密で液晶と透明電極が完全に絶縁された液晶パネルにおいても書き換え可能回数が、従来波形では1万回程度で液晶パネルの特性が変化して表示画像が薄くなってしまったが、本発明の駆動波形では10万回書き換えても初期の表示品質を保てるようになった。
【0063】
また、印加する波形は、低電圧で交流であればよいので、矩形波にこだわる必要はなく他の波形でも同様の効果が得られる。
【0064】
また、交流矩形波を印加する期間は、液晶パネルの特性により変える必要があり、絶縁膜、配向膜が緻密で絶縁性が高い場合は長く、粗雑で絶縁性が低い場合は短くても良い、また、温度により全消去期間、操作期間の電圧値、パルス幅が変わり、特に低温時には電圧、パルス幅がともに大きくなるので交流矩形波を印加する期間も長くする必要がある。
【0065】
本発明により、双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネル駆動デバイスにおいて、従来の双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動デバイスを大幅に変更することなく、信頼性を向上することができた。
【符号の説明】
【0066】
10 双安定液晶表示パネル
11 コモン駆動部(COM-IC)
12 セグメント駆動部(SEG-IC)
13 電源部
14 制御部(MPU)
21 全コモン端子に印加される信号
22 全セグメント端子に印加される信号
23 白書込み信号
24 黒書込み信号
25 選択信号
26 非選択信号
31 コモン・セグメント間電圧波形
32 コモン・セグメント間電圧波形
33 黒表示電圧信号
34 白表示電圧信号
40 寄生信号
50 交流矩形波
COM コモン信号
COM-Scan 選択信号
COM-No Scan 非選択信号
SEG セグメント信号
COM-SEG コモン・セグメント間電圧または表示電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極駆動または負極駆動のみで白黒を選択できる双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法において、
書き込みパルスの直後に該書き込みパルスにおける最後のパルスよりも低電圧の交流波形を印加することにより液晶表示パネルに溜まった電荷を除去することを特徴とする双安定液晶表示パネルの駆動方法。
【請求項2】
前記交流波形に矩形波を用いたことを特徴とする請求項1に記載の双安定液晶表示パネルの駆動方法。
【請求項3】
前記交流波形の電圧、パルス幅、またはパルス回数を温度によって変化させることを特徴とする請求項1に記載の双安定液晶表示パネルの駆動方法。
【請求項4】
前記交流波形の電圧を徐徐に0Vにすることを特徴とする請求項1に記載の双安定液晶表示パネルの駆動方法。
【請求項5】
正極駆動または負極駆動のみで白黒を選択できる双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動デバイスにおいて、
書き込みパルスの直後に該書き込みパルスにおける最後のパルスよりも低電圧の交流波形を印加することにより液晶表示パネルに溜まった電荷を除去することを特徴とする双安定液晶表示パネルの駆動デバイス。
【請求項6】
前記交流波形に矩形波を用いたことを特徴とする請求項5に記載の双安定液晶表示パネルの駆動デバイス。
【請求項7】
前記交流波形の電圧、パルス幅、またはパルス回数を温度によって変化させることを特徴とする請求項5に記載の双安定液晶表示パネルの駆動デバイス。
【請求項8】
前記交流波形の電圧を徐徐に0Vにすることを特徴とする請求項5に記載の双安定液晶表示パネルの駆動デバイス。
【請求項1】
正極駆動または負極駆動のみで白黒を選択できる双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動方法において、
書き込みパルスの直後に該書き込みパルスにおける最後のパルスよりも低電圧の交流波形を印加することにより液晶表示パネルに溜まった電荷を除去することを特徴とする双安定液晶表示パネルの駆動方法。
【請求項2】
前記交流波形に矩形波を用いたことを特徴とする請求項1に記載の双安定液晶表示パネルの駆動方法。
【請求項3】
前記交流波形の電圧、パルス幅、またはパルス回数を温度によって変化させることを特徴とする請求項1に記載の双安定液晶表示パネルの駆動方法。
【請求項4】
前記交流波形の電圧を徐徐に0Vにすることを特徴とする請求項1に記載の双安定液晶表示パネルの駆動方法。
【請求項5】
正極駆動または負極駆動のみで白黒を選択できる双安定ネマチックのドットマトリクス液晶表示パネルの駆動デバイスにおいて、
書き込みパルスの直後に該書き込みパルスにおける最後のパルスよりも低電圧の交流波形を印加することにより液晶表示パネルに溜まった電荷を除去することを特徴とする双安定液晶表示パネルの駆動デバイス。
【請求項6】
前記交流波形に矩形波を用いたことを特徴とする請求項5に記載の双安定液晶表示パネルの駆動デバイス。
【請求項7】
前記交流波形の電圧、パルス幅、またはパルス回数を温度によって変化させることを特徴とする請求項5に記載の双安定液晶表示パネルの駆動デバイス。
【請求項8】
前記交流波形の電圧を徐徐に0Vにすることを特徴とする請求項5に記載の双安定液晶表示パネルの駆動デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−3151(P2012−3151A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139768(P2010−139768)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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