説明

反射スクリーンおよび反射スクリーンの製造方法

【課題】コントラストの向上を図る反射スクリーンを提供する。
【解決手段】スクリーン基板10の観察面100aの法線に対して垂直方向にずれた方向から観察面100aに向けて斜めに投射された投影光を、観察面100a側に反射する反射スクリーン100において、スクリーン基板10の垂直方向および水平方向に複数の凹部11が形成され、凹部11は、半球面の一部を有し投影光を反射する投影光反射面12と、投影光反射面12につながり半球面の仮想面14よりも内側に形成され外光を吸収する外光吸収面13と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影光を入射させて用いる反射スクリーンおよび反射スクリーンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターなどから出射される投影光を受け、その投影光を反射させて拡大画像を映し出す反射スクリーンが知られている。その中で、近接型プロジェクター用の反射スクリーンとして、スクリーン基板の観察面に複数の円形の凸部を形成し、凸部の単位形状部において投影光が入射される部分に反射面を有する反射スクリーンが知られている(特許文献1参照)。
特に近年、ホームシアター等の人気の高まりに伴い、このような反射スクリーンは、室内の照明などの外光が存在する中においてもコントラストの高い画像を映し出すことが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−215162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような単位形状部では平面形状が円形であり、その中に投影光の反射面と外光の吸収面が構成されている。反射スクリーンの表面にこの単位形状部を密に配列させるが、円形の径によって単位形状部の数が決まってしまう。
反射スクリーンの白輝度を向上させるには、反射面の数を増やせばよいが、上記の構造では反射面の数を増やすことには限界がある。このため、上記の構造では反射スクリーンの白輝度を向上させ、コントラストの優れた反射スクリーンを得ることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる反射スクリーンは、スクリーン基板の観察面の法線に対して垂直方向にずれた方向から前記観察面に向けて斜めに投射された投影光を、観察面側に反射する反射スクリーンであって、前記スクリーン基板の垂直方向および水平方向に複数の凹部が形成され、前記凹部は、半球面の一部を有し投影光を反射する投影光反射面と、前記投影光反射面につながり前記半球面の仮想面よりも内側に形成され外光を吸収する外光吸収面と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、反射スクリーンの形成される単位形状部としての凹部は、半球面の一部を有し投影光を反射する投影光反射面と、投影光反射面につながり半球面の仮想面よりも内側に形成され外光を吸収する外光吸収面とを備えている。
このように外光吸収面を投影光反射面よりも小さく形成することで、投影光反射面の大きさを維持しつつ、従来の平面形状を円形とした構造に較べて、多くの単位形状部としての凹部を反射スクリーンに配置することができる。
このことから、本適用例によれば反射スクリーンの白輝度を向上させコントラストの高い画像を映し出す反射スクリーンを得ることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる反射スクリーンにおいて、前記外光吸収面は、3つ以上の頂点を有する曲面で形成されていることが望ましい。
【0009】
この構成によれば、反射スクリーンの成形型をエッチング技術を用いて形成することができ、反射スクリーンの製造が容易である。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる反射スクリーンにおいて、隣り合う前記凹部が互いに接して配置されていることが望ましい。
【0011】
この構成によれば、単位形状部である凹部を密に配置することができ、コントラストの高い画像を映し出す反射スクリーンを得ることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる反射スクリーンにおいて、前記凹部の前記投影光反射面は半球面の半分以上の面積を有していることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、凹部の投影光反射面を大きく確保することができ、反射スクリーンの高コントラスト化に寄与することができる。
【0014】
[適用例5]本適用例にかかる反射スクリーンの製造方法は、スクリーン基板の観察面の法線に対して垂直方向にずれた方向から前記観察面に向けて斜めに投射された投影光を、前記スクリーン基板の表面に複数形成された凹部により観察面側に反射する反射スクリーンの製造方法であって、型基板に半球状の半球凹部を形成する工程と、前記型基板の前記半球凹部の一部に保護膜を形成する工程と、前記保護膜をマスクとして前記型基板の前記半球凹部を等方性エッチングする工程と、前記型基板の形状を前記スクリーン基板に転写する工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
この反射スクリーンの製造方法によれば、半球凹部の一部に保護膜を形成し、半球凹部を等方性エッチングすることで、半球面の一部を有する面と、この面につながり半球面の仮想面よりも内側に形成された面を形成することができる。
半球面の一部を投影光の反射面とし、半球面の仮想面よりも内側に形成された面を外光の吸収面とすることで、コントラストの高い画像を映し出す反射スクリーンを得ることができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる反射スクリーンの製造方法において、前記保護膜を形成する工程が、前記型基板の斜め方向から金属膜を蒸着して前記半球凹部の一部に保護膜を形成することが望ましい。
【0017】
この反射スクリーンの製造方法によれば、型基板の斜め方向から金属膜を蒸着することで容易に、半球凹部の一部に保護膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態にかかる反射スクリーンと光源との位置関係を示す断面図。
【図2】本実施形態における反射スクリーンの正面図。
【図3】本実施形態における凹部の形状を示す拡大図。
【図4】反射スクリーンの垂直方向の断面を示す断面図。
【図5】本実施形態の反射スクリーンの製造方法を説明する模式工程図。
【図6】本実施形態の反射スクリーンの製造方法を説明する模式工程図。
【図7】本実施形態の反射スクリーンにおける、観察面に対して斜めからの投影光の反射状態を示す説明図。
【図8】変形例の凹部の形状と配列を示す平面図。
【図9】他の変形例の凹部の形状と配列を示す平面図。
【図10】他の変形例における凹部の形状を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の寸法の割合を適宜変更している。また、以下の説明においては直交座標系を設定して各部材の位置関係について説明する。鉛直面内における所定方向をX軸方向、鉛直面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向をZ軸方向とする。
(実施形態)
【0020】
図1は本実施形態にかかる反射スクリーンと光源との位置関係を示す断面図である。また、図2は本実施形態における反射スクリーンの正面図である。
図1、図2に示すように、反射スクリーン100は、反射スクリーン100の観察面100aの中心点Cを通る法線NLに対して垂直方向(Y軸方向)にずれた位置に配置された光源Pから、観察面100aに向けて斜めに投射された投影光Lpを、反射スクリーン100の観察側(Z軸正方向側)に反射するものである。そして、反射スクリーン100は、法線NLがZ軸と平行に配置されている。
スクリーン基板10は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂を用いて形成され可撓性を有している。また、スクリーン基板10は、例えば、染色等によって全体が黒色の光吸収材によって着色され、可視光を吸収可能に形成されている。
【0021】
また、反射スクリーン100はスクリーン基板10の観察面100a側に凹部が複数備えられている。
図3はスクリーン基板に形成された凹部の形状を示し、図2のA部拡大図である。図4は反射スクリーンの垂直方向の断面を示す断面図であり、図4(a)は図3のB−B断線に沿う概略断面図、図4(b)は凹部の形状を説明する概略断面図である。
【0022】
スクリーン基板10には凹部11が複数形成され、格子状にそれぞれが互いに接して配置されている。
凹部11は、図4(b)に示すように、半球面の約半分の面を有し投影光を反射する投影光反射面12と、この半球面の仮想面14よりも内側に外光を吸収する外光吸収面13を備えている。
投影光反射面12は球の中心であるQからほぼ等距離にある面であり、球の1/4の面が形成されている。このように、投影光反射面12を大きく確保することができ、反射スクリーンの高コントラスト化に寄与することができる。
また、図4(a)に示すように、投影光反射面12には効率よく投影光を反射させるために、投影光反射面12の少なくとも一部にアルミニウム(Al)等の反射性を有する材料によって、反射膜16が形成されている。反射膜16はスパッタ法または蒸着法により膜厚が10nm〜5μmとなるように成膜されている。
【0023】
そして、投影光反射面12につながり、球の1/4の面が進行して半球面となったときの仮想面14よりも内側、つまり球の中心Qに近づいた場所に外光吸収面13が形成されている。
外光吸収面13は、図3に示すように、3つの頂点15a,15b,15cを持つ曲面が連なったように形成されている。そして、中央の頂点15aは他の頂点15b,15cより低い位置に形成されている。この外光吸収面13は、スクリーン基板10の基材を黒色にすること、または凹部11の内壁面にブラックカーボン粉末などの光吸収性材料を塗布するなどの方法にて、光を吸収できるように構成されている。
なお、凹部11の半球の直径としては例えば20μm〜200μm程度に形成されている。
【0024】
さらに、図示しないが、スクリーン基板10の観察面100a上には、凹部11を充填するように保護層が形成されても良い。保護層は、例えば、樹脂などの可撓性を有する材料で形成することができる。
そして、保護層の上でスクリーン基板10の観察面100a側の最表面には、反射防止膜が形成されても良い。反射防止膜は、保護層と同様な材料で形成され、保護層の表面での投影光または外光などの反射を防止するように保護層との間で屈折率が調整されていることが好ましい。
【0025】
次に、上記のような構成の反射スクリーンを製造方法の一例について、図5、図6の模式工程図を用いて説明する。これらの図では、説明の便宜上、一つの凹部を示して説明する。
図5の模式工程図は、左側に断面で見た形状を示し、右側は平面視での形状を示している。
図5(a)に示すように、ソーダガラスなどのガラス基板20の上にマスク21を形成する。マスク21は、酸化クロム(CrO)膜を下地として、その上にクロム(Cr)膜をスパッタ法などにより成膜したものである。なお、マスク21を成膜する前に、ガラス基板20の表面をサンドブラスト加工し、ガラス基板20の表面を粗く形成してマスク21の密着力を向上させてもよい。
そして、マスク21に対して凹部を形成する位置に数μm程度の開口部22を形成する。開口部22はフォトエッチングまたはレーザー加工を用いて形成する。
【0026】
次に、図5(b)に示すように、マスク21に開口部22が形成されたガラス基板20をエッチング液に所定の時間だけ浸漬して、ガラス基板20に半球状に半球凹部23を形成する。エッチング液により開口部22を介してガラス基板20が等方にエッチングされ、断面形状がほぼ半球状にエッチングされる。エッチング液としては、一水素二フッ化アンモニウム系のエッチング液が用いられる。
【0027】
続いて、ガラス基板20からマスク21を剥離した後、図5(c)に示すように、半球凹部23が形成されたガラス基板20の斜め方向から金属を蒸着して保護膜24を形成する。
例えば、ガラス基板20の平面に対しておよそ45°の方向から蒸着を行えば、半球凹部23のおよそ半分に保護膜24が形成され、残りの半分には保護膜24が形成されない。
このように、ガラス基板20の斜め方向から金属を蒸着することで容易に、半球凹部23の一部に保護膜24を形成することが可能である。
なお、保護膜24は、例えばクロム(Cr)膜を下地として金(Au)膜を成膜したものである。また、金属膜によるガラス基板20のエッチング液からの保護を確実にするために、蒸着で形成された保護膜の上にめっき(金メッキ)などを施してもよい。
【0028】
次に、上記の保護膜24が形成されたガラス基板20をエッチング液に所定の時間だけ浸漬する。ガラス基板20は、図5(d)のように、半球凹部23の保護膜24の形成されていない部分から等方にエッチングされる。このため、保護膜24の形成されていない球の1/4の面はエッチングされて大きく拡大され、保護膜24が形成された面側は、保護膜24の形成されていない部分からの侵食を受けて等方にエッチングされ、凹部25が形成される。
なお、エッチング液としては、一水素二フッ化アンモニウム系のエッチング液が用いられる。
そして、ガラス基板20から保護膜24を剥離して、ガラス基板20は元転写型として完成する。
【0029】
次に、図6(a)に示すように、元転写型としてのガラス基板20を用いて、ニッケル(Ni)などの金属材料で電鋳型28を製作する。
続いて、図6(b)に示すように、電鋳型28の形状をポリ塩化ビニル(PVC)シートなどのスクリーン基板10に熱および圧力を加えて転写する。ここではスクリーン基板10は光吸収材料を含む黒色のポリ塩化ビニル(PVC)シートが用いられる。
そして、図6(c)に示すように、スクリーン基板10の凹部11の一部にアルミニウム膜(Al膜)などの反射膜16を形成する。反射膜16は、スクリーン基板10の斜方から蒸着またはスパッタリングすることで、凹部11の一部に成膜することができる。なお、反射材料を凹部11にスプレーして反射膜16を形成してもよい。
【0030】
このようにして、反射スクリーンが製作されるが、さらに、スクリーン基板10の凹部11を充填するように樹脂などの可撓性を有する材料で保護層を形成し、その上に反射防止膜を形成しても良い。
また、上記の反射スクリーンの製造方法では元転写型としてのガラス基板20を用いて電鋳型を形成したが、このガラス基板20を用いて樹脂転写によって樹脂型を形成し、この樹脂型から光硬化性樹脂を用いた2P転写法によりポリエチレンテレフタートシート(PETシート)またはポリ塩化ビニル(PVC)シートに形状を転写しても良い。
【0031】
次に、反射スクリーンの作用について説明する。
図7は本実施形態の反射スクリーンにおける、観察面に対して斜めからの投影光の反射状態を示す説明図である。
【0032】
図1で説明したように、反射スクリーン100の観察面100aの中心点Cを通る法線NLに対して垂直方向(Y軸方向)にずれた位置に配置されたプロジェクターなどの光源Pから、観察面100aに向けて斜めに投影光Lpが投射され、反射スクリーン100に映像が映しだされる。
【0033】
このような、観察面100aに対して斜めに入射した投影光Lpは、図7に示すように、凹部11内に形成された投影光反射面12に入射する。投影光反射面12の一部には反射膜16が形成されており、投影光Lpは反射スクリーン100の観察側に反射光Lrが反射される。なお、投影光Lpは凹部11の縁に遮られて、投影光反射面12の全面には投影光Lpは入射しない。
【0034】
一方、反射スクリーン100の観察面には、投影光Lpのほかに反射スクリーン100の上方から外光Loが入射する。観察面に入射した外光Loは、凹部11の外光吸収面13に入射する。そして、凹部11の外光吸収面13に到達した外光Loは外光吸収面13に吸収される。なお、外光は凹部11の縁に遮られて、投影光反射面12に入射することはない。
【0035】
以上のように、反射スクリーン100の形成される単位形状部としての凹部11は、半球面の一部を有し投影光を反射する投影光反射面12と、投影光反射面12につながり半球面の仮想面14よりも内側に形成され外光を吸収する外光吸収面13とを備えている。
このように外光吸収面13を投影光反射面12よりも小さく形成することで、投影光反射面12の大きさを維持しつつ、従来の平面形状を円形とした構造に較べて、多くの単位形状部としての凹部11を反射スクリーン100に配置することができる。
このことから、本実施形形態によれば反射スクリーン100の白輝度を向上させコントラストの高い画像を映し出す反射スクリーン100を得ることができる。
(変形例)
【0036】
次に、反射スクリーンに形成される凹部の形状と配列の変形例について説明する。
図8、図9は反射スクリーンに形成される凹部の形状と配列を示す平面図である。
図8に示すように、スクリーン基板10には凹部31が複数形成され、それぞれが互いに接して配置されている。凹部の配列は、横に一列に並んだ凹部31に対して、その上下に並ぶ凹部31がそれぞれ半球面の半径分ずれた配列である。
凹部31は、半球面の約半分の面積を有し投影光を反射する投影光反射面32と、この半球面の仮想面14よりも内側に外光を吸収する外光吸収面33を備えている。
投影光反射面32は球の1/4の面が形成され、球の1/4の面が進行して半球面となったときの仮想面14よりも内側、つまり球の中心Qに近づいた場所に外光吸収面33が形成されている。外光吸収面33は、3つの頂点35a,35b,35cを持つ曲面が連なったように形成されている。そして、頂点35a,35b,35cは、ほぼ同じ高さの位置に形成されている。
【0037】
また、図9に示すようにスクリーン基板10には凹部41が複数形成され、それぞれが互いに接して配置されている。凹部の配列は、横に一列に並んだ凹部41に対して、その上下に並ぶ凹部41がそれぞれ半球面の半径分ずれて配置されている。
凹部41は、半球面の約半分の面積を有し投影光を反射する投影光反射面42と、この半球面の仮想面14よりも内側に外光を吸収する外光吸収面43を備えている。
投影光反射面42は球の1/4の面が形成され、球の1/4の面が進行して半球面となったときの仮想面14よりも内側、つまり球の中心Qに近づいた場所に外光吸収面43が形成されている。外光吸収面43は、3つの頂点45a,45b,45cを持つ曲面が連なったように形成されている。そして、中央の頂点45aは他の頂点45b,45cより高い位置に形成されている。
【0038】
図8、図9のように、外光吸収面33,43の形状および配列を変更することで、反射スクリーンに配置する凹部の密度を適宜変更することができる。なお、外光吸収面の中央の頂点の高さは、ガラス基板にて作成する元転写型に最初に加工する半球状の半球凹部により決まり、大きさを制御するのが容易である。
【0039】
次に、凹部の外光吸収面の形状の変形例について説明する。
図10は他の変形例における凹部の形状を示す断面図である。
凹部51は、半球面の約半分の面積を有し投影光を反射する投影光反射面52と、この半球面の仮想面14よりも内側に外光を吸収する外光吸収面53を備えている。
投影光反射面12は球の中心であるQからほぼ等距離にある面であり、球の1/4の面が形成されている。
【0040】
そして、投影光反射面52につながり、球の1/4の面が進行して半球面となったときの仮想面14よりも内側、つまり球の中心Qに近づいた場所に外光吸収面53が形成されている。この外光吸収面53は図10の断面図において3段の曲面に形成されている。
これは、実施形態の凹部をさらにもう1回エッチングを行って得られる形状である。例えば、図4(b)において、Y方向(図中の上方)から斜めに保護膜を蒸着して、その後等方エッチングすることで形成できる。
このような凹部51の形状においても、実施形態と同様にコントラストの高い画像を映し出す反射スクリーンを得ることができる。
【0041】
なお、上記の実施形態では、凹部内に投影光を反射する投影光反射面と、外光を吸収する外光吸収面を設けたが、凸部に投影光を反射する投影光反射面と、外光を吸収する外光吸収面を設ける構成としても、コントラストの高い画像を映し出す反射スクリーンが得られる。
【符号の説明】
【0042】
10…スクリーン基板、11…凹部、12…投影光反射面、13…外光吸収面、14…半球面の仮想面、15a,15b,15c…頂点、16…反射膜、20…型基板としてのガラス基板、21…マスク、22…開口部、23…半球凹部、24…保護膜、25…凹部、28…電鋳型、31…凹部、32…投影光反射面、33…外光吸収面、35a,35b,35c…頂点、41…凹部、42…投影光反射面、43…外光吸収面、45a,45b,45c…頂点、51…凹部、52…投影光反射面、53…外光吸収面、100…反射スクリーン、100a…観察面、Lo…外光、Lp…投影光、Lr…反射光、Q…球の中心、P…光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン基板の観察面の法線に対して垂直方向にずれた方向から前記観察面に向けて斜めに投射された投影光を、観察面側に反射する反射スクリーンであって、
前記スクリーン基板の垂直方向および水平方向に複数の凹部が形成され、
前記凹部は、
半球面の一部を有し投影光を反射する投影光反射面と、
前記投影光反射面につながり前記半球面の仮想面よりも内側に形成され外光を吸収する外光吸収面と、を備えたことを特徴とする反射スクリーン。
【請求項2】
請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記外光吸収面は、3つ以上の頂点を有する曲面で形成されていることを特徴とする反射スクリーン。
【請求項3】
請求項1または2に記載の反射スクリーンにおいて、
隣り合う前記凹部が互いに接して配置されていることを特徴とする反射スクリーン。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記凹部の前記投影光反射面は半球面の半分以上の面積を有していることを特徴とする反射スクリーン。
【請求項5】
スクリーン基板の観察面の法線に対して垂直方向にずれた方向から前記観察面に向けて斜めに投射された投影光を、前記スクリーン基板の表面に複数形成された凹部により観察面側に反射する反射スクリーンの製造方法であって、
型基板に半球状の半球凹部を形成する工程と、
前記型基板の前記半球凹部の一部に保護膜を形成する工程と、
前記保護膜をマスクとして前記型基板の前記半球凹部を等方性エッチングする工程と、
前記型基板の形状を前記スクリーン基板に転写する工程と、を含むことを特徴とする反射スクリーンの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の反射スクリーンにおいて、
前記保護膜を形成する工程が、
前記型基板の斜め方向から金属膜を蒸着して前記半球凹部の一部に保護膜を形成することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−48140(P2011−48140A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196447(P2009−196447)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】