説明

反射型スクリーン

【課題】従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストの一層の向上を図ることが可能な反射型スクリーンを提供する。
【解決手段】斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射する反射型スクリーンであって、少なくとも一方の面に複数の凹凸部を有する基材と、凹凸部22の一部に形成された反射部30と、凹凸部22のうち反射部30とは異なる部分に形成され、投写光とは異なる方向から入射する外光の少なくとも一部を吸収する第1吸収部40と、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収する第2吸収部42とを備えることを特徴とする反射型スクリーン10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射する反射型スクリーンであって、少なくとも一方の面に複数の凹凸部を有する基材と、凹凸部の一部に形成された反射部と凹凸部のうち反射部とは異なる部分に形成され、投写光とは異なる方向から入射する外光の少なくとも一部を吸収する吸収部とを備える反射型スクリーン(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0003】
従来の反射型スクリーンによれば、反射部を備えるため、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射することが可能となり、より明るい投写画像を得ることが可能となる。また、従来の反射型スクリーンによれば、吸収部を備えるため、吸収部で外光の少なくとも一部を吸収することにより、明るい環境においても投写画像のコントラストの向上を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−023693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸収部の表面には、一般的に黒色の材料が用いられる。黒色は他の色と比較して多くの光を吸収することが可能である。しかしながら、黒色の材料でも光を100%吸収することはできないため(例えば、黒布や黒紙においては、5〜15%程度の光を吸収できずに反射してしまう。)、従来の反射型スクリーンにおいては、投写画像のコントラストの一層の向上を図ることが困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストの一層の向上を図ることが可能な反射型スクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の反射型スクリーンは、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射する反射型スクリーンであって、少なくとも一方の面に複数の凹凸部を有する基材と、前記凹凸部の一部に形成された反射部と、前記凹凸部のうち反射部とは異なる部分に形成され、前記投写光とは異なる方向から入射する外光の少なくとも一部を吸収する第1吸収部と、前記第1吸収部で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収する第2吸収部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このため、本発明の反射型スクリーンによれば、第2吸収部を備えるため、第1吸収部で吸収されずに反射した外光の少なくとも一部を吸収することが可能となり、その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストの一層の向上を図ることが可能となる。
【0009】
また、本発明の反射型スクリーンによれば、反射部を備えるため、従来の反射型スクリーンと同様に、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射することが可能となり、より明るい投写画像を得ることが可能となる。
【0010】
また、本発明の反射型スクリーンによれば、第1吸収部を備えるため、従来の反射型スクリーンと同様に、外光の少なくとも一部を吸収することができ、明るい環境においても投写画像のコントラストの向上を図ることが可能となる。なお、本発明の第1吸収部は、従来の反射型スクリーンにおける吸収部に相当する構成要素である。
【0011】
本発明における第2吸収部は、第1吸収部で吸収されずに反射した外光の少なくとも一部のみならず、第2吸収部に直接入射する外光の少なくとも一部を吸収することができる。
【0012】
[2]本発明の反射型スクリーンにおいては、前記凹凸部は、鋸刃状の断面形状を有する山形形状からなることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることにより、山形形状における一方の領域に反射部を形成することができ、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射することが可能となる。また、山形形状における他方の領域に第1吸収部を形成でき、明るい環境においても投写画像のコントラストの向上を図ることが可能となる。
【0014】
「鋸刃状の断面形状を有する山形形状」とは、山形形状のうち、断面形状としてみたときに峰で区分される一方の領域と他方の領域とで傾斜角度が異なる形状のことをいう(後述する図2参照。)。
【0015】
[3]本発明の反射型スクリーンにおいては、前記反射部は、前記山形形状の峰で区分される2つの領域のうち一方側に形成され、前記第1吸収部は、前記山形形状の峰で区分される2つの領域のうち他方側に形成され、前記第2吸収部は、前記第1吸収部と連続していることが好ましい。
【0016】
本発明の反射型スクリーンによれば、第2吸収部は、第1吸収部と連続しているため、第1吸収部で反射された外光を第2吸収部に到達させ易くすることが可能となる。
【0017】
[4]本発明の反射型スクリーンにおいては、前記山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを前記使用者側から見たとき、前記山形形状が直線に沿って形成された配列パターンからなり、前記第2吸収部は、溝状の形状を有することが好ましい。
【0018】
本発明の反射型スクリーンによれば、第2吸収部は溝状の形状を有するため、第1吸収部で反射された外光が溝状の第2吸収部に入り込むようになり、第1吸収部で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収することが可能となる。その結果、本発明の反射型スクリーンは、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。
【0019】
また、本発明の反射型スクリーンによれば、山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを使用者側から見たとき、山形形状が直線に沿って形成された配列パターンからなるため、プレス成形等の一般的な方法で本発明の反射型スクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0020】
[5]本発明の反射型スクリーンにおいては、前記山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを前記使用者側から見たとき、前記山形形状が円弧に沿って形成された配列パターンからなり、前記第2吸収部は、溝状の形状を有することが好ましい。
【0021】
本発明の反射型スクリーンによれば、第2吸収部は溝状の形状を有するため、第1吸収部で反射された外光が溝状の第2吸収部に入り込むようになり、第1吸収部で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収することが可能となる。その結果、本発明の反射型スクリーンは、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。
【0022】
また、本発明の反射型スクリーンによれば、山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを使用者側から見たとき、山形形状が円弧に沿って形成された配列パターンからなるため、より多くの投写光を反射型スクリーンの正面にいる使用者に向けて反射することが可能となる。
【0023】
[6]本発明の反射型スクリーンにおいては、前記溝状の形状における断面形状は、四角形状からなることが好ましい。
【0024】
このような構成とすることにより、第1吸収部で反射された外光が、第2吸収部に入り込みやすくなり、第1吸収部で吸収されずに反射された外光をより多く吸収することが可能となる。
【0025】
なお、本明細書において、「四角形状」とは、正方形や長方形等を含む形状のことをいう。
【0026】
[7]本発明の反射型スクリーンにおいては、前記溝状の形状における断面形状は、半円形状からなることが好ましい。
【0027】
このような構成とすることによっても、第1吸収部で反射された外光が、第2吸収部に入り込みやすくなり、第1吸収部で吸収されずに反射された外光をより多く吸収することが可能となる。
【0028】
なお、本明細書において、「半円形状」とは、厳密な半円形状のみをことをいうものではなく、半円に類似する曲線形状を有する形状を含む形状(例えば、オーバルの類を半分に切断した形状)のこともいう。
【0029】
[8]本発明の反射型スクリーンにおいては、前記第1吸収部の表面及び前記第2吸収部の表面は、光吸収性の材料からなることが好ましい。
【0030】
このような構成とすることにより、より多くの外光を吸収することができる。
【0031】
[9]本発明の反射型スクリーンにおいては、前記第1吸収部の表面及び前記第2吸収部の表面は、粗面からなり、前記反射部の表面は、平滑面からなることが好ましい。
【0032】
このような構成とすることにより、第1吸収部の表面及び第2吸収部の表面で外光を散乱することが可能となり、使用者に向かう外光を減らすことが可能となる。その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。
【0033】
また、上記[9]に記載の反射型スクリーンにおいては、反射部の表面は平滑面であるため、投写光を散乱することなく使用者に向けて反射することが可能となり、投写画像の明るさを損なうこともない。
【0034】
[10]本発明の反射型スクリーンおいては、前記反射部の表面、前記第1吸収部の表面及び前記第2吸収部の表面は、粗面からなることも好ましい。
【0035】
このような構成とすることによっても、第1吸収部の表面及び前記第2吸収部の表面で外光を散乱することが可能となり、使用者に向かう外光を減らすことが可能となる。その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。
【0036】
また、上記[10]に記載の反射型スクリーンにおいては、反射部の表面を除外することなく粗面加工(マイクロビーズの吹きつけ加工等)をして反射型スクリーンを製造することができるため、反射型スクリーンの製造が容易となり、ひいては、反射型スクリーンの製造コストの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1に係る反射型スクリーン10を用いたプロジェクションシステムの構成図。
【図2】実施形態1に係る反射型スクリーン10を説明するために示す図。
【図3】実施形態1に係る反射型スクリーン10の正面図。
【図4】実施形態2に係る反射型スクリーン12を説明するために示す図。
【図5】実施形態3に係る反射型スクリーン14の正面図。
【図6】変形例に係る反射型スクリーン16を説明するために示す図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の反射型スクリーンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0039】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る反射型スクリーン10を用いたプロジェクションシステムの構成図である。図1(a)はプロジェクションシステムの一の構成図であり、図1(b)はプロジェクションシステムの他の構成図である。
図2は、実施形態1に係る反射型スクリーン10を説明するために示す図である。図2(a)は反射型スクリーン10の要部断面図であり、図2(b)は図2(a)の符号Aで示す部分を拡大して示す図である。
図3は、実施形態1に係る反射型スクリーン10の正面図である。なお、図3においては、説明のために山形形状(凹凸部22)の配列パターンを簡素化して図示している。
【0040】
実施形態1に係る反射型スクリーン10は、図1に示すように、例えば近接投写型のプロジェクター1を備えるプロジェクションシステムに用いる反射型スクリーンであって、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射することにより、プロジェクター1からの画像光を拡大投影するものである。
【0041】
反射型スクリーン10は、図2に示すように、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射する反射型スクリーンであって、一方の面に複数の凹凸部22を有する基材20と、凹凸部22の一部に形成された反射部30と、凹凸部22のうち反射部30とは異なる部分に形成され、投写光とは異なる方向から入射する外光の少なくとも一部を吸収する第1吸収部40と、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収する第2吸収部42とを備える。
【0042】
基材20における凹凸部22は、図2に示すように、山形形状のうち、断面形状としてみたときに峰24で区分される一方の領域と他方の領域とで傾斜角度が異なる形状であり、すなわち、鋸刃状の断面形状を有する山形形状からなる。
山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを使用者側から見たとき、山形形状が直線に沿って形成された配列パターンからなる。(図3参照。)。
【0043】
基材20は光吸収性の材料(特に、黒色の材料が好ましい。)からなり、例えば、光吸収性フィラーと、弾性を有するバインダー樹脂とを有する。
光吸収性フィラーとしては、例えば、カーボンブラック等の顔料や、黒色系の色素粒子等を好適に用いることができる。
バインダー樹脂としては、例えば、弾性を有する熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。具体的には、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを好適に用いることができる。
【0044】
なお、上記の光吸収性フィラー及びバインダー樹脂のほか、添加剤として、硬化剤、帯電防止剤、防汚処理剤、バインダー樹脂の劣化を防ぐための紫外線吸収剤などを適宜添加してもよい。
【0045】
反射部30は、図2に示すように、山形形状の峰で区分される2つの領域のうち一方側(傾斜角度が緩い方)に形成され、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射する。詳しい説明は省略するが、反射部30の表面は平滑面からなる。
反射部30を形成するための材料は、例えば、光を反射するフィラーと、紫外線硬化性バインダー樹脂とからなる。反射部30を形成するための材料としては、正反射成分の大きな材料を用いることが好ましい。
【0046】
光を反射するフィラーとしては、例えば、シリカ、酸化チタン、雲母、硫酸バリウム、塩化バリウム又はアルミニウム等の金属粉を好適に用いることができる。
紫外線硬化性バインダー樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを好適に用いることができる。
【0047】
なお、上記の光を反射するフィラー及び紫外線硬化性バインダー樹脂のほか、添加剤として、硬化剤、帯電防止剤、防汚処理剤、バインダー樹脂の劣化を防ぐための紫外線吸収剤などを適宜添加してもよい。
【0048】
反射部としては、蒸着したアルミニウムその他の材料からなる層を用いてもよい。
【0049】
第1吸収部40は、山形形状の峰で区分される2つの領域のうち他方側に形成され、投写光とは異なる方向から入射する外光を吸収する。
【0050】
第2吸収部42は、溝状の形状を有し、第1吸収部40と連続している。第2吸収部42は、溝状の形状における断面形状が四角形状からなる。また、第1吸収部40の表面及び第2吸収部42の表面は、粗面加工(マイクロビーズの吹きつけ加工等)が施された粗面からなる。
【0051】
ここで、外光が、第1吸収部40及び第2吸収部42において吸収される様子を説明する。
第1吸収部40に入射した外光は、図2に示すように、第1吸収部40においてその少なくとも一部が吸収される。しかしながら、第1吸収部40に入射した外光のうち一部の外光は、第1吸収部40で吸収されずに反射される。反射した当該外光は、第1吸収部40と連続している第2吸収部42に入射し、第2吸収部42においてその少なくとも一部が吸収される。
【0052】
第2吸収部42は、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部のみならず、第2吸収部42に直接入射する外光の少なくとも一部も吸収することができる。
【0053】
実施形態1に係る反射型スクリーン10における、第1吸収部40の表面及び第2吸収部42の表面は、基材20そのものであり、光吸収性の材料からなる。
【0054】
なお、基材の表面に光吸収性の材料をコーティングすることにより、第1吸収部の表面及び第2吸収部の表面を光吸収性の材料からなるものとしてもよい。
【0055】
このように、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、第2吸収部42を備えるため、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収することが可能となり、その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストの一層の向上を図ることが可能となる。
【0056】
また、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、反射部30を備えるため、従来の反射型スクリーンと同様に、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射することが可能となり、より明るい投写画像を得ることが可能となる。
【0057】
また、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、第1吸収部40を備えるため、従来の反射型スクリーンと同様に、外光の少なくとも一部を吸収することができ、明るい環境においても投写画像のコントラストの向上を図ることが可能となる。
【0058】
また、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、第2吸収部42は、第1吸収部40と連続しているため、第1吸収部40で反射された外光を第2吸収部42に到達させ易くすることが可能となる。
【0059】
また、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、第2吸収部42は溝状の形状を有するため、第1吸収部40で反射された外光の少なくとも一部が溝状の第2吸収部42に入り込むようになり、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収することが可能となる。その結果、実施形態1に係る反射型スクリーン10は、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。
【0060】
また、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを使用者側から見たとき、山形形状が直線に沿って形成された配列パターンからなるため、プレス成形等の一般的な方法で本発明の反射型スクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0061】
また、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、基材20(第1吸収部の表面及び第2吸収部の表面)は、光吸収性の材料からなるため、より多くの外光を吸収することができる。
【0062】
また、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、第1吸収部40の表面及び第2吸収部42の表面が粗面からなるため、第1吸収部40の表面及び第2吸収部42の表面で外光を散乱することが可能となり、使用者に向かう外光を減らすことが可能となる。その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。
【0063】
また、実施形態1に係る反射型スクリーン10によれば、反射部30の表面が平滑面であるため、投写光を散乱することなく使用者に向けて反射することが可能となり、投写画像の明るさを損なうこともない。
【0064】
実施形態1に係る反射型スクリーン10においては、基材20における凹凸部22が鋸刃状の断面形状を有する山形形状からなるため、山形形状における一方の領域に反射部を形成することができ、斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射することが可能となる。また、山形形状における他方の領域に第1吸収部を形成でき、明るい環境においても投写画像のコントラストの向上を図ることが可能となる。
【0065】
実施形態1に係る反射型スクリーン10においては、第2吸収部の溝状の形状における断面形状が四角形状からなるため、実施形態1に係る反射型スクリーン10においては、第1吸収部40で反射された外光が、第2吸収部42に入り込みやすくなり、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光をより多く吸収することが可能となる。
【0066】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る反射型スクリーン12を説明するために示す図である。図4(a)は反射型スクリーン12の要部断面図であり、図4(b)は図4(a)の符号Aで示す部分を拡大して示す図である。
【0067】
実施形態2に係る反射型スクリーン12は、基本的には実施形態1に係る反射型スクリーン10と同様の構成を有するが、第2吸収部の構成が実施形態1に係る反射型スクリーン10とは異なる。すなわち、実施形態2に係る反射型スクリーン12においては、図4に示すように、第2吸収部44は、溝状の形状における断面形状が半円形状からなる。
【0068】
このように、実施形態2に係る反射型スクリーン12は、第2吸収部44の構成が実施形態1に係る反射型スクリーン10とは異なるが、第2吸収部44を備えるため、実施形態1に係る反射型スクリーン10と同様に、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収することが可能となり、その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストの一層の向上を図ることが可能となる。
【0069】
また、実施形態2に係る反射型スクリーン12によれば、第1吸収部40で反射された外光が溝状の第2吸収部44に入り込むようになり、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収することが可能となる。その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。
【0070】
実施形態2に係る反射型スクリーン12においては、第2吸収部44の溝状の形状における断面形状が半円形状からなるため、第1吸収部40で反射された外光が、第2吸収部44に入り込みやすくなり、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光をより多く吸収することが可能となる。
【0071】
なお、実施形態2に係る反射型スクリーン12は、第2吸収部の構成以外の点においては、実施形態1に係る反射型スクリーン10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る反射型スクリーン10が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0072】
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係る反射型スクリーン14の正面図である。なお、図5においては、説明のために山形形状(凹凸部22)の配列パターンを簡素化して図示している。
【0073】
実施形態3に係る反射型スクリーン14は、基本的には実施形態1に係る反射型スクリーン10と同様の構成を有するが、山形形状の配列パターンが実施形態1に係る反射型スクリーン10とは異なる。すなわち、実施形態3に係る反射型スクリーン14においては、図5に示すように、山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを使用者側から見たとき、山形形状が円弧に沿って形成された配列パターンからなる。
【0074】
このように、実施形態3に係る反射型スクリーン14は、山形形状の配列パターンが実施形態1に係る反射型スクリーン10とは異なるが、第2吸収部42を備えるため、実施形態1に係る反射型スクリーン10と同様に、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収することが可能となり、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストの一層の向上を図ることが可能となる。
【0075】
また、実施形態3に係る反射型スクリーン14によれば、第1吸収部40で反射された外光が溝状の第2吸収部42に入り込むようになり、第1吸収部40で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収することが可能となる。その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。
【0076】
また、実施形態3に係る反射型スクリーン14によれば、山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを使用者側から見たとき、山形形状が円弧に沿って形成された配列パターンからなるため、より多くの投写光を反射型スクリーンの正面にいる使用者に向けて反射することが可能となる。
【0077】
なお、実施形態3に係る反射型スクリーン14は、山形形状の配列パターン以外の点においては、実施形態1に係る反射型スクリーン10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る反射型スクリーン10が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0078】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0079】
(1)上記各実施形態においては、凹凸部が鋸刃状の断面形状を有する山形形状からなる反射型スクリーンを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図6は、変形例に係る反射型スクリーン16を説明するために示す図である。図6(a)は変形例に係る反射型スクリーン16の正面図である。図6(b)は反射型スクリーン16の要部断面図であり、図6(c)は図6(b)の符号Aで示す部分を拡大して示す図である。なお、図6においては、説明のために凹部の数を減らして図示している。変形例に係る反射型スクリーン16においては、図6に示すように、凹凸部が半球状の凹部52からなる。
本発明は、図6に示すような、凹凸部が半球状の凹部からなる反射型スクリーンにも適用可能である。
【0080】
(2)上記実施形態1においては、第2吸収部の溝状の形状における断面形状が四角形状からなる場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第2吸収部の溝状の形状における断面形状が四角形状以外の多角形状(例えば、三角形状や五角形状等。)からなるものであってもよい。
【0081】
(3)上記実施形態2においては、第2吸収部の溝状の形状における断面形状が半円形状からなる場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第2吸収部の溝状の形状における断面形状が半円以外の曲線形状を有する形状からなるものであってもよい。
【0082】
(4)上記実施形態1においては、第1吸収部40の表面及び第2吸収部42の表面が粗面からなり、反射面30の表面が平滑面からなる場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。反射部の表面、第1吸収部の表面及び第2吸収部の表面が粗面からなってもよい。このような構成とすることによっても、第1吸収部の表面及び第2吸収部の表面で外光を散乱することが可能となり、使用者に向かう外光を減らすことが可能となる。その結果、従来の反射型スクリーンと比較して、投写画像のコントラストのより一層の向上を図ることが可能となる。また、反射部の表面、第1吸収部の表面及び第2吸収部の表面が粗面からなるため、反射部の表面を除外することなく粗面加工(マイクロビーズの吹きつけ加工等)をして反射型スクリーンを製造することができ、反射型スクリーンの製造工程が容易となり、ひいては、反射型スクリーンの製造コストの低減を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
1…プロジェクター、2…反射ミラー、10,12,14,16…反射型スクリーン、20,50…基材、22…凹凸部、24…(山形形状の)峰、30,60…反射部、40,70…第1吸収部、42,44,72…第2吸収部、52…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜めから投写される投写光を使用者に向けて反射する反射型スクリーンであって、
少なくとも一方の面に複数の凹凸部を有する基材と、
前記凹凸部の一部に形成された反射部と、
前記凹凸部のうち反射部とは異なる部分に形成され、前記投写光とは異なる方向から入射する外光の少なくとも一部を吸収する第1吸収部と、
前記第1吸収部で吸収されずに反射された外光の少なくとも一部を吸収する第2吸収部とを備えることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項2】
請求項1に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記凹凸部は、鋸刃状の断面形状を有する山形形状からなることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項3】
請求項2に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記反射部は、前記山形形状の峰で区分される2つの領域のうち一方側に形成され、
前記第1吸収部は、前記山形形状の峰で区分される2つの領域のうち他方側に形成され、
前記第2吸収部は、前記第1吸収部と連続していることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項4】
請求項3に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを前記使用者側から見たとき、前記山形形状が直線に沿って形成された配列パターンからなり、
前記第2吸収部は、溝状の形状を有することを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項5】
請求項3に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記山形形状の配列パターンは、当該反射型スクリーンを前記使用者側から見たとき、前記山形形状が円弧に沿って形成された配列パターンからなり、
前記第2吸収部は、溝状の形状を有することを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記溝状の形状における断面形状は、四角形状からなることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記溝状の形状における断面形状は、半円形状からなることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記第1吸収部の表面及び前記第2吸収部の表面は、光吸収性の材料からなることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記第1吸収部の表面及び前記第2吸収部の表面は、粗面からなり、
前記反射部の表面は、平滑面からなることを特徴とする反射型スクリーン。
【請求項10】
請求項1〜8に記載の反射型スクリーンにおいて、
前記反射部の表面、前記第1吸収部の表面及び前記第2吸収部の表面は、粗面からなることを特徴とする反射型スクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−252034(P2012−252034A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122161(P2011−122161)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】