説明

反射型表示装置

【課題】 表示の発色状態を切り替え可能とすること。
【解決手段】 光吸収板12への入射光量を変化できる光シャッタ11を設けた。そのため、光吸収板12によるコレステリック液晶パネル10への反射光量を小さくすることができ、例えば、明色の背景部に濃色の文字等の画像を表示させる場合、表示対象である画像を表示させる画素が透明とされると、その透明とされた画素に黒色を表示させ、背景部を表示させる画素に当該画素による反射光の色(白濁色)を表示させることができ、その結果、文字や映像等の画像をコントラストの高い発色状態とすることができる。
また、光吸収板12による反射光量を大きくすることができ、例えば、透明とされた画素に反射光の色(青色)を表示させ、背景部を表示させる画素に白濁色と反射光の色との混合色を表示させることができ、その結果、背景がより白く見える発色状態(白色部分が紙に近い発色状態)とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面側への入射光を反射することで表示を行う反射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の反射型表示装置としては、光を透過するフォーカルコニック状態と光を反射するプレーナ状態とを画素毎に切り替え可能なコレステリック液晶パネルが前面側に配され、そのコレステリック液晶パネルを透過した光を吸収する黒い光吸収板が背面側に配されたものが知られている。そして、このような反射型表示装置にあっては、光を透過する画素(透明な画素)に黒色が表示され、光を反射する画素に反射光の色(白濁色)が表示される。その結果、文字や映像等の画像が前面側に表示させるようになっている。
【0003】
また、一般に、人間の目は青みがかった色を白っぽく感じる傾向がある。そのため、例えば、全波長域の光を吸収する黒い光吸収板に代え、非青色波長領域の光のみを吸収する光吸収板(即ち、青色の光を反射する光吸収板)が配された反射型表示装置もある。そして、この反射型表示装置にあっては、光を透過する画素(透明な画素)に青色が表示され、光を反射する画素に当該画素による反射光の色(白濁色)と前記光吸収板による反射光の色(青色)との混合色を表示させるようになっている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】日経BP社FLAT−PANEL DISPLAY 2004 戦略編、P202−P209
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術のうち前者のものにあっては、コレステリック液晶パネルを透過した光を黒い光吸収板に吸収させるようにしたため、例えば、明色の背景部(例えば白地の背景部)に濃色の文字等の画像を表示させる場合、画像を表示させる画素に黒色が表示され、背景部を表示させる画素に白濁色が表示されることから、画像をコントラスト高く表示できるものの、例えば、青色の光を反射する光吸収板を用いる場合に比べ、背景部を表示させる画素が黒っぽく感じられてしまうというという問題があった。
【0005】
また、上記従来の技術のうち後者のものにあっては、コレステリック液晶パネルを透過した光に含まれる青色の光を光吸収板に反射させるようにしたため、背景部を表示させる画素に青みがかった白濁色が表示され、背景部を表示させる画素を白っぽく感じさせることができるものの、画像を表示させる画素(最暗部)の明度が、前記反射板による青色の反射光で高くなってしまい、例えば、黒い光吸収板を用いる場合に比べ、画像の最明部と最暗部との明度の比、つまり、コントラストが低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の未解決の問題点を解決することを目的とするものであって、光の透過状態を画素毎に切り替え可能な透過層を前面側に備え、その透過層を透過した光を背面側で吸収させることで表示を行う反射型表示装置において、前記表示の発色状態を調整可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明である反射型表示装置は、光の透過状態を画素毎に切り替え可能な透過層を前面側に備え、前記透過層を透過した光を背面側で吸収させることで表示を行う反射型表示装置であって、前記透過層を透過した光を吸収し、その吸収状態を変化可能な吸収手段を備えることを特徴とする。なお、透過層としては、コレステリック液晶パネルやカイラルネマティック液晶パネル等を挙げることができる。
【0008】
また、第2の発明である反射型表示装置にあっては、前記吸収手段は、前記透過層を透過した光に含まれる特定波長の光を吸収する光吸収板と、前記透過層を透過して前記光吸収板に入射する入射光量を変化させる入射光量変化手段とを備えることを特徴とする。
さらに、第3の発明である反射型表示装置にあっては、前記光吸収板は、前記透過層を透過した光に含まれる非青色波長領域の光を吸収することを特徴とする。なお、非青色波長領域としては、例えば、500nm以上の波長域の可視光線等を挙げることができる。
【0009】
これら第1から第3の発明によれば、例えば、光吸収板に入射する入射光量を小さくすることで、光吸収板による透過層への反射光量を小さくすることができ、透過層の透明な画素を通して、光吸収板による反射光が透視されることを妨げることができる。そのため、例えば、明色の背景部(例えば白地)に濃色の文字等の画像を表示させる場合、画像を表示させる画素のみを透明とすることで、画像を表示させる画素に黒色を表示させ、背景部を表示させる画素に当該画素による反射光の色(白濁色)を表示させることができる。その結果、文字や映像等の画像をコントラストが高い発色状態とすることができる。
【0010】
また、光吸収板に入射する入射光量を大きくすることで、光吸収板による透過層への反射光量を大きくすることができ、透過層の透明な画素を通して、光吸収板による反射光が透視されるようにすることができる。そのため、例えば、明色の背景部(例えば白地)に濃色の文字等の画像を表示させる場合、画像を表示させる画素が透明とされ、光吸収板で非青色領域の光が吸収させることで、画像を表示させる画素に青色を表示させ、背景部を表示させる画素に当該画素による反射光の色(白濁色)と光吸収板による反射光の色(青色)との混合色を表示させることができる。その結果、文字や映像等の画像の背景が白っぽく見える発色状態、つまり、白色部分が紙に近い発色状態とすることができる。
【0011】
また、第4の発明である反射型表示装置にあっては、前記表示の発色状態を選択させる選択手段を備え、前記入射光量変化手段は、前記選択手段で選択された発色状態に基づいて、前記透過層を透過して前記光吸収板に入射する入射光量を変化させる。なお、選択手段としては、それぞれが実現可能な発色状態に対応づけられ、押し込み操作させることで、利用者に当該発色状態を選択させる複数のスイッチ等を挙げることができる。
【0012】
この第4の発明によれば、利用者に所望の発色状態を選択させることで、利用者の好みの発色状態で、文字や映像等の画像を透過層の前面に表示させることができる。
さらに、第5の発明である反射型表示装置にあっては、前記入射光量変化手段は、前記光吸収板と前記透過層との間に配された光シャッタを備え、前記光シャッタは、所定電圧が印可されると前記透過層を透過して前記光吸収板に入射する光を遮断する液晶層及び、その液晶層を挟み込むように配され、当該液晶層全体に前記所定電圧を印加可能な一対の透明電極を含む液晶パネルと、その液晶パネルを挟み込むように配され、偏光方向が互いに直交する方向又は互いに平行な方向に向けられた一対の偏光板とを備えることを特徴とする。なお、透明電極としては、ITO (Indium-Tin-Oxide)等、電気が流れやすく、可視光(目に見える光)を通すことのできる物質を用いた電極を挙げることができる。
【0013】
また、第6の発明である反射型表示装置にあっては、前記液晶層は、ツイストネマティック液晶が封入された層であることを特徴とする。
これら第5及び第6の発明によれば、液晶層全体に所定電圧を印可することで、その印可された所定電圧による電界方向に液晶層内の液晶を整列させることができる。そのため、例えば、互いに偏光方向が直交する方向に一対の偏光板が配されている場合には、透明電極に通電することで、透過層を通る光を偏光板に遮断させることができる。また、透明電極への通電を停止することで、透過層を通る光を光吸収板に入射させることもできる。
【0014】
さらに、第7の発明である反射型表示装置にあっては、前記透明電極に電力を供給する電力供給手段を備え、前記電力供給手段は、前記表示が開始された後、所定時間が経過したときに、前記透明電極への電力の供給を停止することを特徴とする。
この第7の発明によれば、例えば、表示の閲覧に十分な時間が経過したときに、透明電極への所定電圧の印加を停止することができ、前記表示を閲覧し終えて、反射型表示装置を放置されたときに、無駄に電力が消費されてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の反射型表示装置の実施形態として、所定のページに区切られた複数のコンテンツを閲覧するための電子ブックリーダに適用した例を図面に基づいて説明する。
この電子ブックリーダ1は、明色の背景部に濃色の文字等の画像を含むコンテンツを表示させるものであって、前面側に配されて、コンテンツの画像データ(コンテンツに含まれる文字や映像等の画像を表示するためのデータ)を表示させる画素(以下、「画像データ対応画素」とも呼ぶ。)を透明とし、背景部を表示させる画素に入射光を反射させるコレステリック液晶パネルと、背面側に配されて、コレステリック液晶パネルを透過した光に含まれる長波長光を吸収する(即ち、青色の光を反射する)光吸収板と、コレステリック液晶パネルと光吸収板との間に配された光シャッタとを備えるコンテンツ表示部を含むものである。そして、電子ブックリーダは、コレステリック液晶パネルを透過して光吸収板に入射する光量を光シャッタで変化させ、光吸収板によるコレステリック液晶パネルへの反射光量を変化させることで、コンテンツの発色状態を変更可能としたものである。
【0016】
<電子ブックリーダの構成>
図1は、本実施形態の電子ブックリーダの概略構成図である。また、図2は、本実施形態の内部構成を示すブロック図である。この図2に示すように、電子ブックリーダ1は、ページ送りスイッチ2、画像データ生成部3、画像データ入力I/F4、コレステリックLCD(Liquid Crystal Display)コントローラ5、青みUPスイッチ6、青みDOWNスイッチ7、システムコントローラ8及びコンテンツ表示部9を含んで構成される。
【0017】
ページ送りスイッチ2は、図1に示すように、前面側の平面視右下部に配され、利用者が押し込み操作可能な丸いボタン状に形成されている。そして、ページ送りスイッチ2は、押し込み操作されると、それまでコンテンツ表示部9に表示されていたコンテンツの次ページのコンテンツをコンテンツ表示部9に切換表示させる指令(以下、「ページ送り指令」とも呼ぶ。)を画像データ生成部3とシステムコントローラ8とに出力する。
【0018】
また、画像データ生成部3は、ページ送りスイッチ2からページ送り指令が出力されると、次ページのコンテンツの画像データ(ラスタデータ)を生成する。そして、画像データ生成部3は、その生成された画像データを画像データ入力I/F4に出力する。
さらに、画像データ入力I/F4は、画像データ生成部3から画像データが出力されると、その出力された画像データをコレステリックLCDコントローラ5に入力する。
【0019】
また、コレステリックLCDコントローラ5は、画像データ入力I/F4から画像データが入力されると、その画像データに対応するコンテンツがコンテンツ表示部9に表示されるように、コンテンツ表示部9の行ドライバ18(後述)を駆動させる指令(以下、「行ドライバ駆動指令」とも呼ぶ。)と、列ドライバ19(後述)を駆動させる指令(以下、「列ドライバ駆動指令」とも呼ぶ。)とを生成する。そして、コレステリックLCDコントローラ5は、それら行ドライバ駆動指令と列ドライバ駆動指令とをそれぞれコンテンツ表示部9の行ドライバ18(後述)と列ドライバ19(後述)とに出力する。
【0020】
さらに、青みUPスイッチ6及び青みDOWNスイッチ7それぞれは、図1に示すように、前面側の平面視右中央部に配され、利用者が押し込み操作可能な上向き三角形及び下向き三角形のボタン状に形成されている。そして、青みUPスイッチ6は、押し込み操作されると、コンテンツ表示部9に表示されているコンテンツの青みを増加させる指令(以下、「青みUP指令」とも呼ぶ。)をシステムコントローラ8に出力する。また、青みDOWNスイッチ7は、押し込み操作されると、前記コンテンツの青みを低下させる指令(以下、「青みDOWN指令」とも呼ぶ。)をシステムコントローラ8に出力する。
【0021】
また、システムコントローラ8は、ページ送りスイッチ2からページ送り指令が出力されると光シャッタ開閉処理(後述)を実行する。そして、システムコントローラ8は、光シャッタ開閉処理(後述)によって、青みUPスイッチ6から出力される青みUP指令と青みDOWNスイッチ7から出力される青みDOWN指令とに基づいて、コンテンツ表示部9のコレステリック液晶パネル10(後述)を透過して光吸収板12(後述)に入射する光量を制御させる指令を生成し、その生成された指令をコンテンツ表示部9のTN液晶パネルドライバ28(後述)に出力する。なお、前記光吸収板12(後述)に入射する光量を制御させる指令としては、例えば、前記光量が最大となるように光シャッタ11(後述)を開放状態とさせる電圧の印加停止指令(以下、「電圧印加停止指令」とも呼ぶ。)や、前記光量が「0」となるように、光シャッタ11(後述)を遮断状態とさせる電圧印加の開始指令(以下、「電圧印加開始指令」とも呼ぶ。)等を挙げることができる。
【0022】
さらに、コンテンツ表示部9は、図3の側面断面図に示すように、コレステリック液晶パネル10、光シャッタ11及び光吸収板12を含んで構成される。コレステリック液晶パネル10は、前面側の平面視中央部に配されている。そして、コレステリック液晶パネル10は、コレステリック液晶が封入されたコレステリック液晶層13と、そのコレステリック液晶層13の上下面を挟む複数の透明電極(行電極14、列電極15)と、その行電極14の上面及び列電極15の下面から、コレステリック液晶層13内のコレステリック液晶を挟んで封入するガラス板16、17を含んで構成される。また、行電極14は、平面視縦方向に沿って互いに平行に配され、列電極15は、平面視横方向に沿って互いに平行に配され、それら行電極14と列電極15との交差点それぞれに画素が形成される。
【0023】
また、コレステリック液晶パネル10は、図2に示すように、コレステリック液晶層13の平面視左側に配された行ドライバ18と、平面視上側に配された列ドライバ19とを備える。そして、行ドライバ18及び列ドライバ19は、それぞれコレステリックLCDコントローラ5から出力される行ドライバ駆動指令及び列ドライバ駆動指令に従って、任意の画素に所定電圧を印可し、その印加された所定電圧でコレステリック液晶パネル10の画像データ対応画素を透明(フォーカルコニック状態)とし、その他の画素、つまり、背景部を表示させる画素に当該画素による反射光の色を表示させる(プレーナ状態)。
【0024】
また、光シャッタ11は、図3に示すように、コレステリック液晶パネル10の背面側に配されている。そして、光シャッタ11は、ツイストネマティック(TN:Twisted Nematic)液晶が封入されたTN液晶層20と、そのTN液晶層20の上下面を挟む一対の透明電極(上電極21、下電極22)と、その上電極21の上面及び下電極22の下面から、TN液晶層20内のTN液晶を挟んで封入するガラス板23、24とを含むTN液晶パネル25を備える。また、光シャッタ11は、そのTN液晶パネル25の上下面を挟み込むように配され、偏光方向が互いに直交する方向(平面視で90度ずれた方向)に向けられた一対の黒色の偏光板26、27も備えている。
【0025】
また、光シャッタ11は、図2に示すように、TN液晶層20の左下側に配されたTN液晶パネルドライバ28を備える。そして、TN液晶パネルドライバ28は、システムコントローラ8から電圧印加指令が出力されると、TN液晶パネル25に液晶整列電圧を印可し、その印加でTN液晶パネル25内のTN液晶を電界の方向に整列させる。また、システムコントローラ8から電圧印加停止指令が出力されると、TN液晶パネル25に印可されている電圧を停止し、TN液晶パネル25内のTN液晶をねじれ状態とさせる。
【0026】
さらに、光吸収板12は、光シャッタ11の背面側に配されている。そして、光吸収板12は、コレステリック液晶パネル10と光シャッタ11とを透過して入射する光に含まれる長波長の光を吸収する(青色の光を反射する)塗装(青色の塗装)がされている。
【0027】
<システムコントローラの動作>
次に、システムコントローラ8で実行される光シャッタ開閉処理を、図4のフローチャートに従って説明する。この光シャッタ開閉処理は、ページ送りスイッチ2からページ送り指令が出力されると実行される処理であって、まずそのステップS1で、この演算処理が前回実行されたときにTN液晶層20に電圧が印可されていたか否かを示す情報(以下、「前回電圧情報」とも呼ぶ。)を記憶装置(不図示)から読み出す。なお、この演算処理が初めて実行されるときのように、前回電圧情報が記憶装置(不図示)に格納されていない場合には、前回電圧情報として、この演算処理が前回実行されたときに電圧が印加されていたことを示す情報が読み出されたものとし、以後のステップを実行する。
【0028】
次にステップS2に移行して、前記ステップS1で読み出された前回電圧情報を参照し、その前回電圧情報が、この演算処理が前回実行されたときにTN液晶層20に電圧が印可されていたことを示す情報であるか否かを判定し、電圧が印加されていたことを示す情報である場合には、電圧印加開始指令をTN液晶パネルドライバ28に出力する。
前記ステップS3では、青みUPスイッチ6から青みUP指令が出力されたか否かを判定する。そして、青みUP指令が出力された場合には(Yes)ステップS4に移行し、出力されていない場合には(No)ステップS5に移行する。
【0029】
前記ステップS4では、電圧印加停止指令をTN液晶パネルドライバ28に出力してから、ステップS7に移行する。
一方、前記ステップS5では、青みDOWNスイッチ7から青みDOWN指令が出力されたか否かを判定する。そして、青みDOWN指令が出力された場合には(Yes)ステップS6に移行し、出力されていない場合には(No)前記ステップS7に移行する。
【0030】
前記ステップS6では、電圧印加開始指令をTN液晶ドライバ28に出力してから、前記ステップS7に移行する。
前記ステップS7では、この演算処理が開始されてから一定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判定する。一定時間が経過した場合には(Yes)ステップS8に移行し、一定時間が経過していない場合には(No)前記ステップS3に移行する。
【0031】
前記ステップS8では、TN液晶層20に電圧が印可されているか否かを示す情報を、前回電圧情報として記憶装置(不図示)に格納する。
次にステップS9に移行して、電圧印加停止指令をTN液晶ドライバ28に出力してから、この演算処理を終了する。
【0032】
<電子ブックリーダの具体的動作>
次に、本実施形態の電子ブックリーダ1の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、電子ブックリーダ1に次ページのコンテンツを切換表示させようと、利用者がページ送りスイッチ2を押し込み操作したとする。すると、ページ送りスイッチ2によって、ページ送り指令が画像データ生成部3とシステムコントローラ8とに出力される。また、画像データ生成部3によって、次ページのコンテンツの画像データが生成され、その生成された画像データが画像データ入力I/F4に出力される。そして、画像データ入力I/F4によって、その画像データがコレステリックLCDコントローラ5に入力される。
【0033】
また、コレステリックLCDコントローラ5によって、その画像データに基づいて行ドライバ駆動指令と列ドライバ駆動指令とが生成され、その行ドライバ駆動指令と列ドライバ駆動指令とが行ドライバ18と列ドライバ19とに出力される。そして、行ドライバ18と列ドライバ19とによって、その行ドライバ駆動指令と列ドライバ駆動指令とに従って、コレステリック液晶パネル10の任意の画素に所定電圧が印可され、図5の画素aに示すように、画像データ対応画素が透明とされ、画素bに示すように、背景部を表示させる画素に当該画素による反射光の色(白濁色)が表示される。
【0034】
また同時に、システムコントローラ8によって、光シャッタ開閉処理が実行され、図4に示すように、まずそのステップS1で、記憶装置(不図示)から前回電圧情報が読み出される。また、この演算処理が前回実行されたときに、TN液晶層20に液晶整列電圧が印可されていたとすると、ステップS2で、その前回電圧情報が参照され、電圧印加開始指令がTN液晶パネルドライバ28に出力される。そして、TN液晶パネルドライバ28によって、TN液晶パネル25に液晶整列電圧が印可され、TN液晶パネル25内のTN液晶が電界方向に整列され、TN液晶パネル25を通る光が偏光板26、27の上面で吸収されて遮断される。そのため、図5に示すように、光吸収板12によるコレステリック液晶パネル10への反射光量が「0」となり、画素aに示すように、コレステリック液晶パネル10の透明な画素を通して、光吸収板12による反射光が透視されなくなる。それゆえ、その透明な画素に黒色が表示され、画素bに示すように、背景部を表示させる画素に白濁色が表示され、その結果、文字や映像等の画像がくっきりと見やすい発色状態(コントラストの高い発色状態)とされたコンテンツがコンテンツ表示部9に表示される。
【0035】
また、前記ステップS3及びS5の判定が「No」となり、さらに、演算処理の開始直後であると、ステップS7の判定が「No」となり、上記フローが繰り返し実行される。
上記フローが繰り返し実行され、利用者がコンテンツ表示部9に表示されているコンテンツを閲覧しているうちに、コンテンツの背景部分をより白く見たいという要求が生じ、利用者が青みUPスイッチ6を押し込み操作したとする。すると、青みUPスイッチ6によって、青みUP指令がシステムコントローラ8に出力される。そして、ステップS3の判定が「Yes」となり、ステップS4で、電圧印加停止指令がTN液晶パネルドライバ28に出力される。そして、TN液晶パネルドライバ28によって、TN液晶パネル25に印可されている電圧が停止され、TN液晶パネル25内のTN液晶がねじれ状態とされ、コレステリック液晶パネル10を透過した光が光吸収板12に入射される。そのため、図6に示すように、その入射した光に含まれる青い光が光吸収板12によってコレステリック液晶パネル10に反射され、画素aに示すように、コレステリック液晶パネル10の透明な域を通して、青色の反射光が透視される。それゆえ、その透明な画素に青色が表示され、画素bに示すように、背景部を表示させる画素に白濁色と反射光の色(青色)との混合色が表示され、その結果、文字や映像等の画像の背景がより白く見える発色状態(白色部分が紙に近い発色状態)とされたコンテンツがコンテンツ表示部9に表示される。
【0036】
また、前記ステップS3及びS5の判定が「No」となり、さらに、ステップS7の判定が「No」となり、前記ステップS3から、上記フローが繰り返し実行される。
上記フローが繰り返し実行されるうちに、利用者がコンテンツを閲覧し終えて、コンテンツ表示部9を放置していたときに、この演算処理が開始されてから10分経過したとする。すると、ステップS7の判定が「Yes」となり、ステップS8で、新たな前回電圧情報が記憶装置(不図示)に格納され、ステップS9で、電圧印加停止指令がTN液晶パネルドライバ28に出力される。そして、TN液晶パネルドライバ28によって、TN液晶層20への電圧の印可が停止されてから、この演算処理が終了される。
【0037】
このように、本実施形態の電子ブックリーダ1にあっては、画像データを表示させる画素、つまり、画像データ対応画素が透明とされ、その他の画素、つまり、背景部を表示させる画素が白濁色とされた後、10分が経過したときに、TN液晶層20への電圧の印加を停止するようにした。そのため、コンテンツを閲覧し終えて、電子ブックリーダ1を放置されたときに、無駄に電力が消費されてしまうことを防止することができる。
【0038】
また、青みUPスイッチ6や青みDOWNスイッチ7で選択された発色状態に基づいて、コレステリック液晶パネル10を透過して光吸収板12に入射する入射光量を変化させ、光吸収板12による反射光量を変化させるようにした。そのため、例えば、利用者に青みUPスイッチ6や青みDOWNスイッチ7を押し込み操作させることで、利用者の好みの発色状態で、コンテンツをコンテンツ表示部9の前面に表示させることができる。
【0039】
ちなみに、サイドライトでコンテンツ表示部9の前面側を照らすことで、文字等の画像の背景がより白く見える発色状態とする従来の方法にあっては、光吸収板12による反射光量を制御することで当該発色状態とする方法に比べ、消費電力が大きくなってしまう。
以上、上記実施形態では、図3のコレステリック液晶パネル10が特許請求の範囲の透過層を構成し、以下同様に、図2のシステムコントローラ8、TN液晶パネルドライバ28、図3の光シャッタ11、光吸収板12、TN液晶層20、上電極21、下電極22、図4のステップS3〜S6が吸収手段を構成し、図2のシステムコントローラ8、TN液晶パネルドライバ28、図3の光シャッタ11、TN液晶層20、上電極21、下電極22、図4のステップS3〜S6が入射光量変化手段を構成し、図1、図2の青みUPスイッチ6、青みDOWNスイッチ7が選択手段を構成し、図2のシステムコントローラ8、TN液晶パネルドライバ28、図4のステップS7及びS9が電力供給手段を構成する。
【0040】
なお、本発明の反射型表示装置は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
なお、TN液晶パネル25に液晶整列電圧を印加することで、光吸収板12に入射する光を遮断する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、TN液晶パネル25に任意の電圧を印加できるように構成し、液晶整列電圧より低い電圧を印可することで、光吸収板12に光をわずかに入射させ、反射パネル12に青色の光をわずかに反射させることができ、その結果、コントラストの高い発色状態としつつ、白色部分が紙に近い(白い)発色状態とすることができる。
【0041】
また、偏光方向が互いに直交する方向に向けられた一対の偏光板26、27を光シャッタ11に備える例を示したが、これに限られるものではない。例えば、偏光方向が互いに平行な方向に向けられた一対の偏光板を備えるようにしてもよい。そのようにすれば、TN液晶パネル25に所定電圧を印可することで、コレステリック液晶パネル10を通る光を光吸収板12に入射させることができ、また、前記所定電圧の印加を停止することで、コレステリック液晶パネル10を通る光を偏光板に遮断させることができる。
【0042】
さらに、一対の偏光板26、27、つまり、2枚の偏光板26、27を備える方式の光シャッタ11を用いる例を示したが、これに限られるものではない。例えば、偏光板を1枚だけ備える方式の光シャッタ11を用いるようにしてもよい。
また、長波長の光を吸収する光吸収板12を用いる例を示したが、これに限られるものではない。例えば、その他の波長の光を吸収するようにしてもよい。
【0043】
さらに、光シャッタ11と光吸収板12とを用い、コレステリック液晶パネル10への反射光量を制御する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、光シャッタ11と光吸収板12とに代えて、分散媒が青色に着色され且つ帯電粒子が黒色に着色された電気泳動表示体を用いてもよい。そのようにすれば、電気泳動表示体に電圧を印可し、帯電粒子を前面側に移動させることで、コレステリック液晶パネル10を通って入射した光を吸収して遮断させ、コレステリック液晶パネル10への反射光量を小さくさせることができる。また、電気泳動表示体に逆向きの電圧を印可し、帯電粒子を背面側に移動させ、分散媒を前面側に移動させることで、コレステリック液晶パネル10を通って入射した光に含まれる青色の光をコレステリック液晶パネル10に反射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】電子ブックリーダの外観を示す概略構成図である。
【図2】図1の電子ブックリーダの内部構成を示すブロック図である。
【図3】図1のコンテンツ表示部の側面を破断して示す側面断面図である。
【図4】光シャッタ開閉処理を示すフローチャートである。
【図5】図1のコンテンツ表示部の動作を説明するための説明図である。
【図6】図1のコンテンツ表示部の動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1は電子ブックリーダ、2はページ送りスイッチ、3は画像データ生成部、4は画像データ入力用I/F、5はコレステリックLCDコントローラ、6は青みUPスイッチ、7は青みDOWNスイッチ、8はシステムコントローラ、9はコンテンツ表示部、10はコレステリック液晶パネル、11は光シャッタ、12は光吸収板、13はコレステリック液晶層、14は行電極、15は列電極、16及び17はガラス板、18は行ドライバ、19は列ドライバ、20はTN液晶層、21は上電極、22は下電極、23及び24はガラス板、25はTN液晶パネル、26及び27は偏光板、28はTN液晶パネルドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の透過状態を画素毎に切り替え可能な透過層を前面側に備え、前記透過層を透過した光を背面側で吸収させることで表示を行う反射型表示装置であって、
前記透過層を透過した光を吸収し、その吸収状態を変化可能な吸収手段を備えることを特徴とする反射型表示装置。
【請求項2】
前記吸収手段は、前記透過層を透過した光に含まれる特定波長の光を吸収する光吸収板と、前記透過層を透過して前記光吸収板に入射する入射光量を変化させる入射光量変化手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の反射型表示装置。
【請求項3】
前記光吸収板は、前記透過層を透過した光に含まれる非青色波長領域の光を吸収することを特徴とする請求項2に記載の反射型表示装置。
【請求項4】
前記表示の発色状態を選択させる選択手段を備え、前記入射光量変化手段は、前記選択手段で選択された発色状態に基づいて、前記透過層を透過して前記光吸収板に入射する入射光量を変化させることを特徴とする請求項2に記載の反射型表示装置。
【請求項5】
前記入射光量変化手段は、前記光吸収板と前記透過層との間に配された光シャッタを備え、前記光シャッタは、所定電圧が印可されると前記透過層を透過して前記光吸収板に入射する光を遮断する液晶層及び、その液晶層を挟み込むように配され、当該液晶層全体に前記所定電圧を印加可能な一対の透明電極を含む液晶パネルと、その液晶パネルを挟み込むように配され、偏光方向が互いに直交する方向又は互いに平行な方向に向けられた一対の偏光板とを備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の反射型表示装置。
【請求項6】
前記液晶層は、ツイストネマティック液晶が封入された層であることを特徴とする請求項5に記載の反射型表示装置。
【請求項7】
前記透明電極に電力を供給する電力供給手段を備え、前記電力供給手段は、前記表示が開始された後、所定時間が経過したときに、前記透明電極への電力の供給を停止することを特徴とする請求項5又は6に記載の反射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−38901(P2006−38901A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213937(P2004−213937)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】