説明

反射材又は蛍光材を付けた救難救命具

【課題】 救命ボート等の救命具等において、遭難時に日中の視認性はオレンジ色等の色彩を使用して考慮されているが日没後においての視認性が悪いために夜間捜索が困難であって遭難者の発見に支障が生じている問題があった。
【解決手段】 救命具等に反射材や蛍光材を取付け、若しくはシート上にして装備することにより夜間において捜索者が照射したライトなどを効率的に反射し遭難者位置を明示できる救命具等の製品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遭難時等に用いられる救難救命具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より救命具類は万一の遭難時には目立つようにオレンジ色や黄色等の明るい色彩が使用されている。
【0003】
このため、日中における捜索時においては捜索者から発見し易くなっている。
【0004】
発煙筒や救命ライト等の発煙発光具は、船舶・航空機等に予め準備されている救命具セットには装備が義務づけられている。
【特許文献1】特開2005−306260
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
日中における遭難時には救命具のオレンジ色等は目立つので、捜索時には役立つものであるが、日没後において遭難者の位置を特定することは難しくなるので、夜間の捜索は夜明けまで一時打ち切られてしまうことが多い。
【0006】
また、例え日中であっても海上では波間に消えたり白波に紛れたりし、山岳では生い茂る木々や岩石又は雪原等に埋もれてしまい発見しづらいことが多かった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、捜索時特に夜間においても遭難者の位置を特定しやすくするために反射材や蛍光材を救命具や着装品に装備し、暗闇において捜索者が投光器等を照らせば、その光を効率的に反射して、遭難者の位置が判り易くなる。
【0008】
例えば、救命ボートの外周上側面部や救命ジャケット肩口・腹背面、登山時のリュック外周面等に、板状又はシート・シール状の反射材や蛍光材を取付ける。
【0009】
反射材や蛍光材の製品を現在装備されている救難救命具や登山装備品等に取付けることによって機能を付加することができる。
【0010】
また、化学的調合にて自発光する商品を付加すれば、光の照射がない暗闇においても遭難者位置の特定がし易くなる。
【0011】
更に、赤外線反射材や電波反射材を用いれば、捜索者側でそれら特殊光源や電波照射装置を準備して捜索地域を順次照射し、遭難者の発見に利用することができる。
【0012】
そして、反射材を折りたたみ式のシートとして救難救命装備品に加えて準備すれば、万一の遭難時にもそれを開いて広げることによって反射面積が大きくなり、より効率的に目立つことによって、捜索者から発見され易くなる。
【発明の効果】
【0013】
この発明は前記のように構成されており、以下に記載のような効果を有する。
【0014】
第一として、照射された光を効率的に反射するので、夜間における捜索であっても遭難者の発見の可能性が上がるので、日没後の捜索続行ができる。
【0015】
救難救命具や登山装備品に予め反射材や蛍光材が装備されていれば、精神的体力的疲労時や遭難者の意識がない場合であっても、捜索者から照射された光を反射して遭難者の位置が判明し、救助することが可能である。
【0016】
第二に、反射材や蛍光材は板状又はシート・シール状等様々な形状の製品が市販されているので、現在配置されている救難救命具や登山装備品にも安価で容易に付加装備が可能であり、本発明の効果を得ることができる。
【0017】
また、化学発光式の自発光具を装備すれば、発光地点が暗闇での捜索に役立つと共に、遭難者の手元作業時や前方照射による夜間移動などにおいても利用可能となる。
【0018】
更に、赤外線反射材や電波反射材による装備が普及すれば、捜索者側での特殊光源や電波照射装置等の装備を以て、夜間での遭難者発見可能性が飛躍的に上がる効果が期待できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の製品は、救命ボート、救命ジャケット若しくは衣服・リュック類・ヘルメット等に反射材や蛍光材を各部上側面や肩口等に取付けることによって構成され、万一の遭難時において照射された投光器等のライトを効率的に反射する。
【0020】
既存の救難救命具や登山装備品であっても、あとから反射材や蛍光材を追加取付けすることが可能である。
【0021】
折りたたみ式で展開して使用するシート状の反射材や蛍光材は、船舶・航空機などの救難時装備品として予め準備されているものに加えられれば、遭難時に遭難者の位置明示の手段として使用できるものである。
【0022】
本発明を更に詳細に説明する。
【0023】
本発明の製品は、救命ボート、救命ジャケット若しくは衣服・リュック類・ヘルメットの上面・側面・肩口部等に反射材や蛍光材を取付け・縫い付け・接着等によって付加装備するものである。
【実施例1】
【0024】
本発明の製品の母材となる反射材又は蛍光材による部材を万一の遭難が予想される装備品や着装品、例えば救命ボート、救命ジャケット若しくは衣服・リュック類・ヘルメット等に取付け・縫い付け・接着等を施して装備する。
【0025】
図1は救命ボート2の上面に反射材1を装備した状態の一例を示す。
【0026】
反射材1は、救命ボート2の上面に一列又は複数列若しくは帯状に全周に渡り取付けられ、上空からの照明照射を反射し易くなっている。
【0027】
また、救命ボート2の側面にも反射材1を取付けることにより、海上捜索による側方からの照明照射も反射するようにするのが望ましい。
【0028】
ここで万一の遭難時を想定すると、例えば航空機海上不時着時においては、航空機搭乗者は不時着後救命ボートに乗り移って後、救助を待つこととなる。
【0029】
救命ボートにはSOS送信機や発煙筒なども装備されているが、これらは電池切れや使用回数に限りがあり、消耗後にはこれら器材の効果は失われる。
【0030】
長期に渡る漂流となってからは、日中夜間を問わず早期の発見が生存の可否を左右するのであるから、当然夜間における捜索続行が期待される。
【0031】
この場合夜間捜索において、海上を漂流する救命ボートの発見は困難を極めるが、上空からの投光器等の照射に対して本発明製品の反射材や蛍光材が装備されていれば、効率的に反射・視認が可能となる。
【0032】
また、本発明製品は遭難者の操作を要さないので、例えば救命ボート付近上空に捜索者が到達すれば、捜索者の照らす光を救命ボート上側面の反射材や蛍光材が効率的に反射して遭難者の位置を明示する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
従来より救命ボートや救命ジャケットにはオレンジ色等の目立つ色彩が用いられているが、これは日中における視認性や海上・山中での視認性を狙ったものであって、夜間においてはその効果が極端に低下するものであった。
【0034】
夜間捜索時において、本発明の反射材や蛍光材を装備した救難救命具であれば、照射された照明を効率的に反射するので、暗闇の中でも遭難者位置の特定がし易くなり、遭難者発見の可能性が上がる機能を有する。
【0035】
本発明製品は、救命具等の製造時に取付けられる他に、既存配置の救難救命具にも後付けにて取付けることが可能であり、また反射材や蛍光材は様々な製品が市販されているので安価であって形状も様々にあるので比較的容易に付加することができる。
【0036】
本発明製品は、一度装備されれば特段に遭難者の操作を要することもないので、遭難時の状況により例えば精神的肉体的疲労時や意識を失っている場合であっても、捜索者の方が照明を照射すればその機能を発揮して、視認性を向上させるものである。
【0037】
また、薬剤混合によって発光する化学調合式自発光タイプであれば、夜間の捜索者からの視認性を上げる効果の他にも遭難者自身の手元照明や夜間移動に伴う前方照射、危険動物からの忌避などの役目も有する。
【0038】
また、赤外線などの特殊光源を反射する特殊な反射材や蛍光材であれば、暗闇の夜間捜索時に捜索者が装備した赤外線照射装置を照射することによって、広範囲を効率的に捜索することが可能となるので、早期での遭難者発見が期待できる。
【0039】
一方、光源・電波等の反射材をシート状にして、これを救難救命具セットに装備しておけば、万一の遭難の際にその反射材シートを上空・地上捜索隊から目立つ場所に広げて置くことによって、捜索者への位置明示機能を有し、発見され易くなる効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明製品の取付け状態一例図を示す。
【符号の説明】
【0041】
1…反射材又は蛍光材
2…救命ボート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射材や蛍光材を各部上面・側面・肩口部等の第三者から発見され易い位置に取付けることによって、海難事故や山岳遭難等の日没後捜索時に捜索者より照射されたライトなどの光を反射若しくは周辺より際立たせることにより夜間の遭難者位置特定機能を付加したことを特徴とする救命ボート、救命ジャケット若しくは衣服・リュック類・ヘルメット等の救難救命具。
【請求項2】
化学調合式自己発光具を救命具等に予め取付け、暗闇における遭難時に発光させることにより捜索者より発見されやすくなる機能を付加したことを特徴とする請求項1に記載の救難救命具。
【請求項3】
赤外線反射材若しくは電波反射材等の特殊光源又は電波類の反射材を用いて、捜索時に上空又は地上から照射された特殊光源又は電波類を効率的に反射して、遭難者の位置を特定できる機能を付加したことを特徴とする請求項1に記載の救難救命具。
【請求項4】
光源・電波等の反射材を折りたたみ式のシート状に加工して救難時に拡張展開して使用できるように装備したことを特徴とする請求項1に記載の救難救命具。



【図1】
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【公開番号】特開2008−114640(P2008−114640A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297490(P2006−297490)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(306037481)
【Fターム(参考)】