説明

反射板

【課題】低い周波数で動作させる場合にも、面積の大型化を抑え、かつ製造が容易な反射板を得る。
【解決手段】誘電体の基板の一方の面上に地板を形成し、地板と対向する基板の他方の面上に、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有する複数の矩形の導体パッチを間隔を有して一次元的または二次元的に配列し、導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ間で形成されるキャパシタンス成分および/もしくは導体パッチに電流が流れることにより形成されるインダクタンス成分を導体パッチごとに変化させた領域を形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特定の周波数帯の電磁波を反射させる周波数選択板として使用する反射板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の周波数帯の電磁波を反射または透過させる特性を有する周波数選択板が知られている(例えば特許文献1参照)。この周波数選択板は、ダイポール形、トリポール形、円形リング形、または正方形ループ形などのある一定の単純形状からなる導体パッチ、または導体スロットの素子パターンを一定の間隔で複数配列した構成を持っている。導体パッチで構成された周波数選択板は、例えば、特定周波数の電波を反射するバンドパスフィルタとして使用される。一方、導体スロットで構成された周波数選択板は、例えば、特定周波数の電波のみを透過するバンドパスフィルタとして使用される。しかしながら、上記のような周波数選択板は、素子パターンのもつ共振特性を利用することで、特定周波数の電磁波のみを反射または透過させるため、素子パターンサイズが共振周波数に依存している。例えば、共振周波数を低く設定する場合には、素子パターンサイズを大きくする必要がある。そのため、低い周波数で動作する周波数選択板は面積が大きくなってしまうという問題がある。この問題を解決する方法として、基本素子パターンに対して、自己相似なフラクタル形状にした素子パターンを形成し、これにより素子パターンを高密度化することで面積を一定にしたままで共振周波数を低下させる技術がある(例えば特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−177639号公報
【特許文献2】特開2005−142298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に示されるような従来の周波数選択板は、共振周波数を低く設定するために、自己相似なフラクタル形状の素子パターンを高密度化することで面積の大型化を抑えるようにしているが、反面、基本素子パターンをフラクタル化するため、パターン形状が複雑化して製造を困難にするという問題を生じる。
【0005】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、低い周波数で動作させる場合にも、面積の大型化を抑え、かつ製造が容易な反射板を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る反射板は、誘電体の基板の一方の面上に地板を形成し、地板と対向する基板の他方の面上に、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有する複数の矩形の導体パッチを間隔を有して一次元的または二次元的に配列し、導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ間で形成されるキャパシタンス成分および/もしくは導体パッチに電流が流れることにより形成されるインダクタンス成分を導体パッチごとに変化させた領域を形成したものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有する複数の矩形の導体パッチを使用し、各導体パッチの辺の長さ、導体パッチの間隔、基板の誘電率または誘電体基板の厚みを、導体パッチの配列方向に従って変化させることにより、一度に導体パッチ単位で異なるキャパシタンス成分やインダクタンス成分を得ている。したがって、特定の周波数帯の電磁波に対して、導体パッチごとに反射位相特性を持つことでき、反射の法則に従わない反射を可能にする。また、小さな簡単な形状の導体パッチを使用することで、共振周波数を低周波数に設定することができ、かつ製造が容易な反射板を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による反射板の構造を示す平面図であり、図2は同反射板の構造を示す側面図である。
この反射板は、地板1、基板2および導体パッチ3から構成されている。基板2は誘電体等の一定の厚みを持つ板であり、基板2の一方の面上には、地板1が形成されている。また、地板1と対向する基板2の他方の面上には、少なくとも動作周波数において1波長以下の寸法を有する複数の矩形の導体パッチ3が、所定の間隔を有して一次元的または二次元的(この例では、二次元的)に配列されている。さらに、導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、導体パッチごとの前記方向に沿った辺の長さが増加または減少(この例では、増加)するように配列されている。図1および図2の例では、導体パッチ3の横方向の辺の長さが、導体パッチ3a,3b,3cの順に徐々に増加するように形成されている。
ここで、導体パッチ3は矩形であるが、この発明の場合の「矩形」には正方形も含むものとする。また、導体パッチ3の辺の長さの増減は、順次一定の値ずつ変化してもよいし、ランダムに変化してもよいものとする。
【0009】
次に、反射板の動作について説明する。
反射板に電磁波が入射した場合、隣接する導体パッチ3間でキャパシタンス成分Cが形成される。また、導体パッチ3上に流れる電流により、インダクタンス成分Lが形成される。これらのキャパシタンス成分Cとインダクタンス成分LによってLC共振回路が形成される。この反射板は、複数の導体パッチ3が一次元的または二次元的に配列されているため、上記LC共振回路が複数形成される。各LC共振回路は、共振周波数において高インピーダンス特性を示すようになる。このように、隣接する導体パッチ3間のキャパシタンス成分Cを利用して、LC共振回路は形成されるため、小さな導体パッチを使用した場合でも、共振周波数を低周波数に設定することができる。
【0010】
上述のように導体パッチ3を構成した面に、電磁波が入射する場合、その反射位相は電磁波の周波数に依存する。電磁波の反射位相が−180度から+180度の範囲で変化する場合、電磁波の周波数がLC共振回路の共振周波数に近い場合には電磁波の反射位相は0度となり、導体パッチ3を構成した面は磁気壁として動作する。電磁波の周波数がLC共振回路の共振周波数より低周波となるに従い、反射位相は+180度へと漸近していく。また、LC共振回路の共振周波数よりも高周波数となるに従い、−180度へと漸近していく特性を有する。なお、このことについては、“High-Impedance Electromagnetic Surfaces with a Forbidden Frequency Band", D. Sievenpiper, L. Zhang, R. F. Broas, N. G. Alexopolous, and E. Yablonovitch, IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol. 47, No. 11, Nov 1999に記載されている。
【0011】
ここで、隣接する導体パッチ3間で形成されるキャパシタンス成分Cは、導体パッチ3の面積によって変化する。また、導体パッチ3上に電流が流れることにより形成されるインダクタンス成分Lは、電流の経路長によって変化するため、導体パッチ3の面積に対して変化する。したがって、キャパシタンス成分Cおよびインダクタンス成分Lによって決定されるLC共振回路の共振周波数は、導体パッチ3の面積によって変化する。よって、入射する電磁波の反射位相特性も導体パッチ3の面積によって変化することになる。
【0012】
導体パッチ3の面積により変化する電磁波の反射位相特性のシミュレーションを図3に示す。この計算では、同じ大きさの導体パッチ3を無限周期配列した面に平面波が垂直入射した場合を想定している。導体パッチ3は、6mm×6mm、10mm×10mm、13mm×13mmの正方形の3種類とした。3種類の場合の全てにおいて、基板2の厚みは1mm、基板2の誘電率は3.9、隣接する導体パッチ3間の距離は1mmとした。図3において、曲線4は導体パッチ3を6mm×6mmとした場合の反射位相特性、曲線5は10mm×10mmとした場合の反射位相特性、また、曲線6は13mm×13mmとした場合の反射位相特性を表す。ここで分かるように、導体パッチ3の面積が大きくなるに従って、反射位相が0度となる周波数は、低周波数側へシフトしており、反射位相特性は変化している。したがって、ある特定周波数の電磁波が異なる面積の導体パッチ3に入射した場合、導体パッチ3の面上での反射位相は、各導体パッチ3の面積に応じた反射位相となる。
【0013】
図1および図2の反射板において、複数の導体パッチ3が二次元的に所定の間隔で配列されており、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、複数の導体パッチ3の上記一方向に沿った辺の長さが増加するため、導体パッチ3の面積は上記一方向に沿って増加している。したがって、ある特定周波数の電磁波が入射した場合、各導体パッチ3における反射位相は、それぞれ異なる。
【0014】
通常、電磁波は均一な面で反射した場合、反射位相は場所によらず同位相となるため、入射角と反射角が等しくなるという反射の法則に従った反射が起こる。一方、この実施の形態1の反射板の場合は、各導体パッチ3における反射位相がそれぞれ異なるため、反射板で反射された電磁波は、反射位相が場所によって異なる。したがって、反射波の波面が揃わない。よって、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射となる。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、一定の厚みを持つ誘電体の基板2の一方の面上に地板1を形成し、地板1と対向する基板2の他方の面上に、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有する複数の矩形の導体パッチ3を所定の間隔を有して一次元的または二次元的に配列し、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、導体パッチ3ごとの前記一方向に沿った辺の長さを増加または減少させた領域を有するようにしている。すなわち、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ3間で形成されるキャパシタンス成分Cおよび導体パッチ3に電流が流れることにより形成されるインダクタンス成分Lを導体パッチ3ごとに変化させる構成としている。したがって、入射したある特定の周波数帯の電磁波に対して、各導体パッチ3は異なる反射位相特性を持つことができるため、反射板の場所によって反射位相が異なり、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板として機能することができる。
また、隣接する導体パッチ3間のキャパシタンス成分Cを利用して、LC共振回路を形成するため、特許文献1の従来の周波数選択板のように導体パッチ単体で共振特性を得るよりも、小さな導体パッチを使用した場合でも、共振周波数を低周波数に設定することができる。また、導体パッチには、特許文献2のような複雑な素子パターンを用いず、矩形という簡単な形状を用いているため、製造が容易であり、コスト面においても有利である。
【0016】
なお、上記例では、基板2の一方の面上に地板1を形成し、地板1と対向する基板2の他方の面上に導体パッチ3を配列した構造について示したが、これに限るものではなく、地板1と導体パッチ3とを、ビアホール等の導体で接続したマッシュルーム形と呼ばれる構造としても同様の効果を得ることができる。
【0017】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による反射板の構造を示す平面図であり、図5は同反射板の側面図である。
この実施の形態2の反射板は、一定の厚みを持つ誘電体等の基板2の一方の面上に地板1を形成し、地板1と対向する基板2の他方の面上に、複数の矩形の導体パッチ3を一次元的または二次元的(この例では、二次元的)に配列し、導体パッチ3が、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有しているという点までは実施の形態1と同様である。この実施の形態2の場合は、複数の導体パッチ3は、いずれも同じ寸法であり、かつ導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ3の間隔を増加または減少(この例では、増加)させるように配列した構成としている点が実施の形態1と異なる。
ここで、隣接する導体パッチ3の間隔の増減は、順次一定の値ずつ変化してもよいし、ランダムに変化してもよいものとする。
【0018】
次に、反射板の動作について説明する。基本的な動作は、実施の形態1の反射板と同様であるので、ここでは省略し、実施の形態1の反射板と異なる部分について主に説明する。なお、以下の各実施の形態においても、同様に、原則として異なる部分を中心に説明するものとする。
基板2の他方の面上に複数の導体パッチ3を配列することにより、隣接する導体パッチ3間でキャパシタンス成分Cが形成される。また、導体パッチ3上に流れる電流により、インダクタンス成分Lが形成される。これらのキャパシタンス成分Cとインダクタンス成分LによりLC共振回路が形成される。上記キャパシタンス成分Cは、隣接する導体パッチ3間の距離によって変化するため、上記LC共振回路の共振周波数も、隣接する導体パッチ3間の距離によって変化する。したがって、反射位相特性は、隣接する導体パッチ3間の距離により変化する。
【0019】
隣接する導体パッチ3間の距離により変化する電磁波の反射位相特性のシミュレーションを図6に示す。この計算では、同じ大きさの導体パッチ3を無限周期配列した面に平面波が垂直入射した場合を想定しており、隣接する導体パッチ3間の距離は、0.2mm、0.5mm、1mmの3種類とした。3種類の場合の全てにおいて、導体パッチ3は、13mm×13mmの正方形とし、基板2の厚みは1mm、基板2の誘電率は3.9とした。図6において、曲線7は隣接する導体パッチ3間の距離を0.2mmとした場合の反射位相特性、曲線8は隣接する導体パッチ3間の距離を0.5mmとした場合の反射位相特性、また、曲線9は隣接する導体パッチ3間の距離を1mmとした場合の反射位相特性を表す。隣接する導体パッチ3間の距離(図6ではgapと表記)が大きくなるに従って、反射位相が0度となる周波数は、高周波数側へシフトしており、反射位相特性は変化している。したがって、ある特定周波数の電磁波が導体パッチ3を配列した面に入射した場合、各導体パッチ3面上での反射位相は、各隣接する導体パッチ3間の距離に応じた反射位相となる。
【0020】
図4および図5の反射板において、複数の導体パッチ3が二次元的に配列されており、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ3間の距離を増加させるようにしているので、ある特定周波数の電磁波が入射した場合、各導体パッチ3における反射位相はそれぞれ異なる。したがって、上記反射板で反射された電磁波は、反射位相が場所によって異なるため、反射波の波面が揃わない。よって、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射となる。
【0021】
以上のように、この実施の形態2によれば、一定の厚みを持つ誘電体等の基板2の一方の面上に地板1を形成し、地板1と対向する基板2の他方の面上に、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有する同じ寸法の複数の導体パッチ3を一次元的または二次元的に配列し、かつ配列の少なくとも一方向に沿って隣接する導体パッチ3間の距離を増加または減少させた領域を有するようにしている。すなわち、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ3間で形成されるキャパシタンス成分Cを変化させる構成としている。したがって、入射したある特定の周波数帯の電磁波に対して、各導体パッチ3は異なる反射位相特性を持つことができるため、場所によって反射位相が異なり、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板として機能する。また、隣接する導体パッチ3間のキャパシタンス成分Cを利用してLC共振回路を形成するため、小さな導体パッチを使用した場合でも、共振周波数を低周波数に設定することができる。また、導体パッチには、複雑な素子パターンを用いず、矩形という簡単な形状を用いているため、製造が容易であり、コスト面においても有利である。
【0022】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3による反射板の構造を示す平面図であり、図8は同反射板の側面図である。
この実施の形態3の反射板は、一定の厚みを持つ誘電体等の基板2の一方の面上に地板1を形成し、地板1と対向する基板2の他方の面上に、複数の矩形の導体パッチ3を所定の間隔を有して一次元的または二次元的(この例では、二次元的)に配列し、導体パッチ3が、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有しているという点までは実施の形態1と同様である。この実施の形態3の場合は、基板2の誘電率が導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って導体パッチの位置ごとに増加または減少(この例では、増加とする)するように構成した点が実施の形態1と異なる。すなわち、図7および図8に示すように、基板2は、誘電率が基板2a,2b,2cの順に徐々に変化した構成としている。
ここで、基板2の誘電率の増減は、順次一定の値ずつ変化してもよいし、ランダムに変化してもよいものとする。
【0023】
次に、反射板の動作について説明する。
基板2の他方の面上に複数の導体パッチ3を配列することにより、隣接する導体パッチ3間でキャパシタンス成分Cが形成される。また、導体パッチ3上に流れる電流により、インダクタンス成分Lが形成される。これらのキャパシタンス成分Cとインダクタンス成分LによりLC共振回路が形成される。これらキャパシタンス成分Cとインダクタンス成分Lは、基板2の誘電率によって変化するため、上記LC共振回路の共振周波数も基板2の誘電率によって変化する。これにより、反射位相特性は、基板2の誘電率によって変化する。
【0024】
基板2の誘電率により変化する電磁波の反射位相特性のシミュレーションを図9に示す。この計算では、同じ大きさの導体パッチ3を無限周期配列した面に平面波が垂直入射した場合を想定しており、基板の誘電率は、1.0、2.2、3.9の3種類とした。3種類の場合の全てにおいて、導体パッチ3は、13mm×13mmの正方形とし、基板2の厚みは1mm、隣接する導体パッチ間の距離は1mmとした。図9において、曲線10は基板2の誘電率を1.0とした場合の反射位相特性、曲線11は誘電率を2.2とした場合の反射位相特性、また、曲線12は誘電率を3.9とした場合の反射位相特性を表す。基板2の誘電率が大きくなるに従って反射位相が0度となる周波数は、低周波数側へシフトしており、反射位相特性は変化している。したがって、ある特定周波数の電磁波が入射した場合、各導体パッチ3面上での反射位相は、基板2の誘電率に応じた反射位相となる。
【0025】
図7および図8の反射板において、基板2の一表面上に複数の導体パッチ3が二次元的に配列されており、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って基板2の誘電率が導体パッチ3の位置ごとに増加するように構成されているので、ある特定周波数の電磁波が入射した場合、各導体パッチ3における反射位相は、それぞれ異なるようになる。したがって、上記反射板で反射された電磁波は、反射位相が場所によって異なるため、反射波の波面が揃わない。よって、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射となる。
【0026】
以上のように、実施の形態3によれば、一定の厚みを持つ誘電体等の基板2の一方の面上に地板1を形成し、地板1と対向する基板2の他方の面上に、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有する同じ寸法の複数の導体パッチ3を所定の間隔を有して一次元的または二次元的に配列し、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、基板2の誘電率を導体パッチの位置ごとに増加または減少させた領域を有するようにしている。すなわち、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ3間で形成されるキャパシタンス成分Cおよび導体パッチ3に電流が流れることにより形成されるインダクタンス成分Lを導体パッチ3ごとに変化させる構成としている。したがって、入射したある特定周波数帯の電磁波に対して、各導体パッチ3は異なる反射位相特性を持つことができるため、場所によって反射位相が異なり、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板として機能することができる。また、隣接する導体パッチ3間のキャパシタンス成分Cを利用してLC共振回路を形成するため、小さな導体パッチを使用した場合でも、共振周波数を低周波数に設定することができる。また、導体パッチには、複雑な素子パターンを用いず、矩形という簡単な形状を用いているため、製造が容易であり、コスト面においても有利である。
【0027】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態4による反射板の構造を示す平面図であり、図11は同反射板の構造を示す側面図である。
この実施の形態4の反射板は、誘電体等の基板2の一方の面上に地板1を形成し、地板1と対向する基板2の他方の面上に複数の矩形の導体パッチ3を所定の間隔を有して一次元的または二次元的(この例では、二次元的)に配列し、導体パッチ3が、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有しているという点までは実施の形態1と同様である。この実施の形態4の場合は、基板2が導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、その厚みを導体パッチの位置ごとに段階的に増加または減少させるように配列した構成としている点が実施の形態1と異なる。すなわち、図11に示すように、基板2は、厚みが、基板2a,2b,2cの順に徐々に変化した構成としている。なお、基板2a,2b,2cは同質誘電体とするが、異なる誘電率の誘電体で構成してもよい。
ここで、基板2の厚みの増減は、順次一定の値ずつ変化してもよいし、ランダムに変化してもよいものとする。
【0028】
次に、反射板の動作について説明する。
基板2の他方の面上に複数の導体パッチ3を配列することにより、隣接する導体パッチ3間でキャパシタンス成分Cが形成される。また、導体パッチ3上に流れる電流により、インダクタンス成分Lが形成される。これらのキャパシタンス成分Cとインダクタンス成分LによりLC共振回路が形成される。これらキャパシタンス成分Cとインダクタンス成分Lは、基板2の誘電率によって変化する。基板が同質の場合、誘電率は基板2の厚みによって変化するため、キャパシタンス成分Cとインダクタンス成分Lは、基板2の厚みによって変化する。したがって、上記LC共振回路の共振周波数も基板2の厚みによって変化する。これにより、反射位相特性は基板2の厚みにより変化する。
【0029】
基板2の厚みにより変化する電磁波の反射位相特性のシミュレーションを図12に示す。この計算では、同じ大きさの導体パッチ3を無限周期配列した面に平面波が垂直入射した場合を想定しており、基板2の厚みは、1mm、2mm、4mmの3種類とした。3種類の場合の全てにおいて、導体パッチ3は、13mm×13mmの正方形とし、隣接する導体パッチ間の距離は1mmとし、基板2の誘電率は3.9とした。図12において、曲線13は基板2の厚みを1mmとした場合の反射位相特性、曲線14は基板2の厚みを2mmとした場合の反射位相特性、また、曲線15は基板2の厚みを4mmとした場合の反射位相特性を表す。ここで分かるように、基板2の厚みが大きくなるに従って、反射位相が0度となる周波数は、低周波数側へシフトしており、反射位相特性は変化している。したがって、ある特定周波数の電磁波が、厚みが異なる面に入射した場合、各導体パッチ3面上での反射位相は、基板2の厚みに応じた反射位相となる。
【0030】
図10および図11の反射板において、基板2の一表面上に複数の導体パッチ3が二次元的に配列されており、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って基板2の厚みが導体パッチ3の位置ごとに増加するように構成されているので、ある特定周波数の電磁波が入射した場合、各導体パッチ3における反射位相は、それぞれ異なるようになる。したがって、上記反射板で反射された電磁波は、反射位相が場所によって異なるため、反射波の波面が揃わない。よって、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射となる。
【0031】
以上のように、実施の形態4によれば、誘電体の基板2の一方の面上に地板1を形成し、地板1と対向する基板2の他方の面上に、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有する同じ寸法の複数の導体パッチ3を所定の間隔を有して一次元的または二次元的に配列し、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、基板2の厚みを導体パッチ3の位置ごとに増加または減少させた領域を有するようにしている。すなわち、導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ3間で形成されるキャパシタンス成分Cおよび導体パッチ3に電流が流れることにより形成されるインダクタンス成分Lを導体パッチ3ごとに変化させる構成としている。したがって、入射したある特定の周波数帯の電磁波に対して、各導体パッチ3は異なる反射位相特性を持つことできるため、場所によって反射位相が異なり、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板として機能することができる。また、隣接する導体パッチ3間のキャパシタンス成分Cを利用してLC共振回路を形成するため、小さな導体パッチを使用した場合でも、共振周波数を低周波数に設定することができる。また、導体パッチには、複雑な素子パターンを用いず、矩形という簡単な形状を用いているため、製造が容易であり、コスト面においても有利である。
なお、基板2としては、一体成型した厚みを異なる一枚の板を使用してもよいし、あるいは厚みの異なる板を順次結合したものでもよい。
【0032】
実施の形態5.
図13は、この発明の実施の形態5による反射板の構造を示す平面図であり、図14は同反射板の構造を示す側面図である。
この実施の形態5では、上記実施の形態1で説明した、地板1、誘電体等の基板2、複数の導体パッチ3から構成された種類の反射板16を、複数個一次元的または二次元的に周期配列して一つの反射板を構成している。ここでは、各反射板において導体パッチ3a、3b、3cの順に導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿った辺の長さが増加または減少(この例では、増加)している。また、この場合、各反射板16において、対応する導体パッチ3の配列の少なくとも一方向に沿った辺の長さの増減の値は一定としている。
【0033】
次に、反射板の動作について説明する。
図13および図14で用いている反射板16は、実施の形態1の反射板と同じである。したがって、反射板16に入射したある特定の周波数帯の電磁波は、各導体パッチ3で異なる反射位相特性を呈するため、反射板の場所によって反射位相が異なり、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板となる。この実施の形態5の反射板は、この反射板16の複数個を一次元的または二次元的に周期配列して構成しているため、さらに広い範囲で入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板を構成することになる。
【0034】
図13および図14の例では、実施の形態1で説明した種類の反射板を複数個組み合わせた反射板の例について説明したが、これに限るものではない。例えば、実施の形態2で説明した種類の反射板、すなわち導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って隣接する導体パッチの間隔が増加または減少するように構成した反射板を組み合わせてもよい。また、実施の形態3で説明した種類の反射板、すなわち導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、基板の誘電率が増加または減少するように構成した反射板を組み合わせてもよい。さらに、実施の形態4で説明した種類の反射板、すなわち導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って基板の厚みが増加または減少するように構成した反射板を組み合わせてもよい。
【0035】
以上のように、この実施の形態5によれば、実施の形態1から実施の形態4の反射板のうちのいずれか1種類の反射板の複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列し、配列した全ての反射板において、当該反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値を一定になるようにして組み合わせ反射板を形成している。したがって、個別の反射板1個よりも、さらに広い範囲で入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板を構成することができる。
【0036】
実施の形態6.
上記実施の形態5では、実施の形態1から実施の形態4の反射板のうちのいずれか1種類の反射板の複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列して組み合わせ反射板とした例について説明したが、次のようにして組み合わせ反射板を構成してもよい。
すなわち、実施の形態1から実施の形態4で説明した種類の反射板のうちから、少なくとも2種類を用い、この2種類の反射板を含んだ複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列し、配列した全ての反射板において、反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値を一定になるようにして組み合わせ反射板を形成する。このことにより、実施の形態5と同様の効果を奏することができる。
【0037】
実施の形態7.
図15は、この発明の実施の形態7による反射板の構造を示す平面図であり、図16は同反射板の構造を示す側面図である。
この実施の形態7の反射板は、実施の形態1で説明した種類の反射板16の複数個を一次元的または二次元的(この例では、一次元的)に配列した構成としている。ここでは、1個の反射板16の構成は、導体パッチ3が、導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、同方向に沿った辺の長さが増加または減少するように配列されているが、組み合わせた全ての反射板16では、導体パッチの辺の長さが同じように変化するのではなく、導体パッチの辺の長さの増減の値がランダムとなるように設定されている。すなわち、図15および図16を見ると、左側に位置する反射板は、図1および図2の反射板のように、導体パッチの配列の一方向に沿って導体パッチの辺が3a、3b、3cと順次増加する配列となっているが、中間に位置する反射板は、導体パッチの辺が3c、3b、3aと順次減少する配置となっている。また、右側に位置する反射板は、導体パッチの辺が3b、3a、3cと減少、増加といった配置となっている。
【0038】
次に、反射板の動作について説明する。
この実施の形態7の反射板を構成している各反射板16は、実施の形態1で説明したものと同じであり、入射したある特定の周波数帯の電磁波に対して、各導体パッチ3は異なる反射位相特性を持つことできるため、反射板の場所によって反射位相が異なり、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板となる。さらに、上述のような種類の反射板の複数個を一次元的または二次元的に配列し、隣り合う個別の反射板16で、導体パッチの辺の長さの増加減の仕方を異なるようにしている。そのため、広い範囲で入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板となる。
【0039】
なお、図15および図16では、実施の形態1で説明した種類の反射板を複数個組み合わせた反射板の例について説明したが、これに限るものではない。例えば、実施の形態2で説明した種類の反射板、すなわち導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチの間隔が増加または減少するように構成した反射板を用い、かつ隣り合う各組の反射板で、隣接する導体パッチ間隔の増加または減少の仕方を異なるようにしたものとしてもよい。また、実施の形態3で説明した種類の反射板、すなわち導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、基板の誘電率が増加または減少するように構成した反射板を用い、かつ隣り合う各組の反射板で、基板の誘電率の増加または減少の仕方を異なるようにしたものとしてもよい。さらに、実施の形態4で説明した種類の反射板、すなわち導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、基板の厚みが増加または減少するように構成した反射板を用い、かつ隣り合う各組の反射板で、基板の厚みの増加または減少の仕方が異なるようにしたものとしてもよい。
【0040】
以上のように、この実施の形態7によれば、実施の形態1から実施の形態2のうちのいずれか1種類の反射板の複数個を一次元的または二次元的に配列し、配列した全ての反射板において、当該反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値をランダムになるようにして組み合わせによる反射板を形成している。したがって、個別の反射板1個よりも、さらに広い範囲で入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板を構成することができる。
【0041】
実施の形態8.
上記実施の形態7では、実施の形態1から実施の形態4の反射板のうちのいずれか1種類の反射板の複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列して組み合わせ反射板とした例について説明したが、次のようにして組み合わせ反射板を構成してもよい。
すなわち、実施の形態1から実施の形態4で説明した種類の反射板のうちから、少なくとも2種類を用い、この2種類の反射板を含んだ複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列し、配列した全ての反射板において、当該反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値をランダムになるようにして組み合わせ反射板を形成する。このことにより、実施の形態7と同様の効果を奏することができる。
【0042】
実施の形態9.
図17は、この発明の実施の形態9による反射板の構造を示す平面図であり、図18は同反射板の構造を示す側面図である。
図17および図18の反射板は、上記実施の形態5の図13および図14で説明したものと同様な、地板1、誘電体等の基板2、複数の導体パッチ3から構成されている反射板16を、複数個一次元的または二次元的(この例では、一次元的)に配列して、組み合わせの反射板を構成している。また、個別の反射板16で見た場合、対応する導体パッチ17,18,19の辺の長さがそれぞれ一定の値で増加または減少(この例では、増加)する関係を持っている。しかし、この実施の形態9の反射板の場合、配列された各反射板16a、16b、16cで、互いに対応した位置にある、増加または減少の対象となる導体パッチの辺の長さに、予め一定の差を持たせている。すなわち、対応する導体パッチ17a,17b,17cは、横の辺の長さに少し差(増加)を与えた関係となっている。加えて、導体パッチの辺の長さは、配列の少なくとも一方向に一定の値で増加するようにしているから、導体パッチ18a,18b,18c、また19a,19b,19cも同じように横の辺の長さに少し差(増加または減少)を与えた関係となっている。
したがって、反射板に入射したある特定の周波数帯の電磁波は、各導体パッチで異なる反射位相特性を持つことできるため、広い範囲で、場所によって反射位相が異なり、入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板として機能する。
【0043】
実施の形態9の組み合わせの反射板は、次のように構成してもよい。
例えば図19および図20に示すように、個別の反射板16の種類として、実施の形態2で説明したような、導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチの間隔が増加または減少(この例では、増加)するように配列した構成の反射板を用い、かつ配列した各反射板16a,16b,16cで、互いに対応した位置にある、増加または減少の対象となる隣接する導体パッチの間隔20a,20b,20c(同様21a,21b,21c)に、予め一定の差を持たせておく。
【0044】
また、図21および図22に示すように、個別の反射板16の種類として、実施の形態3で説明したような、導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、基板の誘電率が増加または減少(この例では、増加)するように配列した構成の反射板を用い、かつ配列した各反射板16a,16b,16cで、互いに対応した位置にある、増加または減少の対象となる基板22a,22b,22c(同様23a,23b,23cおよび24a,24b,24c)の誘電率に、予め一定の差を持たせておく。
【0045】
さらに、図23および図24に示すように、個別の反射板16の種類として、実施の形態4で説明したような、導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、基板の厚みが増加または減少(この例では、増加)するように配列した構成の反射板を用い、かつ配列した各反射板16a,16b,16cで、互いに対応した位置にある、増加または減少の対象となる基板25a,25b,25c(同様26a,26b,26cおよび27a,27b,27c)の厚みに、予め一定の差を持たせておく。
【0046】
以上のように、この実施の形態9によれば、実施の形態1から実施の形態4のうちのいずれか1種類の反射板の複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列し、配列した全ての反射板において、当該反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値を一定になるようにし、かつ配列した各反射板で互いに対応した位置にある、増加または減少の対象となる導体パッチの辺の長さ、隣接する導体パッチの間隔、基板の誘電率または基板の厚みに、予め一定の差を持たせている。したがって、実施の形態5の組み合わせの反射板よりも、さらに広い範囲で入射角と反射角が等しくならず、反射の法則に従わない反射板を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態1による反射板の構造を示す平面図である。
【図2】図1に係る反射板の側面図である。
【図3】同実施の形態1に係る反射板の電磁波の反射位相特性のシミュレーションを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2による反射板の構造を示す平面図である。
【図5】図4に係る反射板の側面図である。
【図6】同実施の形態2に係る反射板の電磁波の反射位相特性のシミュレーションを示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態3による反射板の構造を示す平面図である。
【図8】図7に係る反射板の側面図である。
【図9】同実施の形態3に係る反射板の電磁波の反射位相特性のシミュレーションを示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態4による反射板の構造を示す平面図である。
【図11】図10に係る反射板の側面図である。
【図12】同実施の形態4に係る反射板の電磁波の反射位相特性のシミュレーションを示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態5による反射板の構造を示す平面図である。
【図14】図13に係る反射板の側面図である。
【図15】この発明の実施の形態7による反射板の構造を示す平面図である。
【図16】図15に係る反射板の構造を示す側面図である。
【図17】この発明の実施の形態9による反射板の構造を示す平面図である。
【図18】図17に係る反射板の側面図である。
【図19】この発明の実施の形態9による反射板の2番目の例の構造を示す平面図である。
【図20】図19に係る反射板の側面図である。
【図21】この発明の実施の形態9による反射板の3番目の例の構造を示す平面図である。
【図22】図21に係る反射板の側面図である。
【図23】この発明の実施の形態9による反射板の4番目の例の構造を示す平面図である。
【図24】図23に係る反射板の側面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 地板、2,2a,2b,2c,22a,22b,22c,23a,23b,23c,24a,24b,24c,25a,25b,25c,26a,26b,26c,27a,27b,27c 基板、3,3a,3b,3c,17,17a,17b,17c,18,18a,18b,18c,19,19a,19b,19c 導体パッチ、20a,20b,20c,21a,21b,21c 導体パッチの間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体の基板の一方の面上に地板を形成し、地板と対向する基板の他方の面上に、少なくとも動作周波数における1波長以下の寸法を有する複数の矩形の導体パッチを間隔を有して一次元的または二次元的に配列し、
導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチ間で形成されるキャパシタンス成分および/もしくは導体パッチに電流が流れることにより形成されるインダクタンス成分を導体パッチごとに変化させた領域を形成したことを特徴とする反射板。
【請求項2】
一定の厚みを持つ基板上に、導体パッチを所定の間隔を有して配列し、
導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、導体パッチごとの前記方向に沿った辺の長さを増加または減少させてキャパシタンス成分およびインダクタンス成分を変化させた領域を形成したことを特徴とする請求項1記載の反射板。
【請求項3】
一定の厚みを持つ基板上に、同じ寸法の複数の矩形の導体パッチを配列し、
導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、隣接する導体パッチの間隔を増加または減少させてキャパシタンス成分を変化させた領域を形成したことを特徴とする請求項1記載の反射板。
【請求項4】
一定の厚みを持つ基板上に、同じ寸法の複数の矩形の導体パッチを所定の間隔を有して配列し、
導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、前記基板の誘電率を導体パッチの位置ごとに増加または減少させてキャパシタンス成分およびインダクタンス成分を変化させた領域を形成したことを特徴とする請求項1記載の反射板。
【請求項5】
基板上に、同じ寸法の複数の矩形の導体パッチを所定の間隔を有して配列し、
導体パッチの配列の少なくとも一方向に沿って、基板の厚みを導体パッチの位置ごとに増加または減少させてキャパシタンス成分およびインダクタンス成分を変化させた領域を形成することを特徴とする請求項1記載の反射板。
【請求項6】
請求項2から請求項5のうちのいずれか1項に記載の1種類の反射板の複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列し、
配列した全ての反射板において、当該反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値を一定にしたことを特徴とする反射板。
【請求項7】
請求項2から請求項5のうちのいずれか1項に記載の反射板の少なくとも2種類を含んだ複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列し、
配列した全ての反射板において、当該反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値を一定にしたことを特徴とする反射板。
【請求項8】
請求項2から請求項5のうちのいずれか1項に記載の1種類の反射板の複数個を一次元的または二次元的に配列し、
配列した全ての反射板において、当該反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値をランダムにしたことを特徴とする反射板。
【請求項9】
請求項2から請求項5のうちのいずれか1項に記載の反射板の少なくとも2種類を含んだ複数個を一次元的または二次元的に周期的に配列し、
配列した全ての反射板において、当該反射板の種類に対応した、導体パッチの辺の長さの増減の値、隣接する導体パッチの間隔の増減の値、基板の誘電率の増減の値または基板の厚みの増減の値をランダムにしたことを特徴とする反射板。
【請求項10】
配列した各反射板で互いに対応した位置にある、増加または減少の対象となる導体パッチの辺の長さ、隣接する導体パッチの間隔、基板の誘電率または基板の厚みに、予め一定の差を持たせたことを特徴とする請求項6記載の反射板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate