反応培地の空間配列に対し局部化した温度制御
複数のウエルのプレートなどの空間配列に同時に行われる複数反応の個々の温度が、個々の制御を熱電気モジュールにより行われ、各モジュールが、配列内の単一の領域から熱を供給し又は熱を排出し、その領域が、単一の反応容器(vessel)又は1群の反応容器(vessel)のいずれかを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が1例である逐次型化学反応に関する。特に本発明は、複数の反応培地で同時に化学反応行い、そして各培地において反応を独立して制御する方法及び装置を開示する。
【0002】
2.先行技術の記載
PCRが、相違する処理工程の間の急激な温度変化にて反応混合物の正確な温度調節を必要とする化学方法の多くの例のひとつである。PCRそれ自体、DNAを増幅する方法であり、すなわち配列を形成する1本鎖から多くのDNA配列の複製物を生成する。
【0003】
PCRは、典型的にウエル、管、毛細管などの種々の反応容器(vessel)に試薬の輸送、温度調節、および光検出を提供する装置において行われる。この方法は、異なる工程が異なる温度で行われ、そして温度が、繰り返される温度変化を介して循環される、という温度感受性の一連の工程を含む。
【0004】
PCRが任意の反応容器(vessel)にて行われるが、複数ウエル反応プレートが、選択による反応容器(vessel)である。多くの適用例において、PCRが「リアル・タイム」にて行われ、そして反応混合物が、分析手段として反応培地における蛍光性タグ種(species)から光検出を用い、その工程を介し繰り返し分析される。別の適用例においてDNAが、別に増幅及び分析のため培地から取り出される。PCR法の複数の例において、それにおける方法では、多くの試料において併行して行われ、好ましい構成は、各試料が、複数ウエルのプレート構造又はプレート様構造の一個のウエルを占める構成で、そして全試料が、工程の各段階で共通の熱環境に同時に平衡化される。幾つかの場合において試料を2の熱環境に曝し、各試料に交わる温度勾配を作り出す。
【0005】
典型的なPCR装置においては、ウエルそれぞれに試料を伴う96ウエルのプレートが、金属ブロックと接触した状態にて配置され、そのブロックが、Peltierの加熱/冷却装置か、ブロック内で構成されたチャンネルを介し熱輸送流体を循環させる閉鎖回路の液体の加熱/冷却システムのいずれかにより、加熱及び冷却される。Cepheid(Sunnyvale,California,USA)が販売するSMART CYCLER(商標)IIシステムなどの特定装置が、個々の反応容器(vessels)や毛細管を使用し、異なる反応容器の異なる熱環境を提供する。
【0006】
これらの装置がコスト高で、且つ信頼性のある均質温度を実現することができない。SingaporeのInstitute of Microelectronics社が、同様に複数の熱環境を提供する装置を提示するが、個々の熱領域を生成する集積回路を使用するものである。この方法は縮小されたものであるが、一般的にマイクロプレートと称する複数ウエルの反応プレートの使用を可能にするものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要約
本発明は、反応帯域の空間配列における個別領域の温度を独立して制御する手段を提供し、これにより個々の反応容器(vessels)、毛細管、あるいは集積回路の基板やチップの形式で作成されデバイスの使用を必要とするよりむしろ異なる熱領域が、単一の複数ウエルのプレートに形成されそして保持できるようにする。従って本発明は、2種以上の個々のPCR試験を単一プレートにて行うことができる。本発明の場合PCRの実験が最適であり、そして比較実験の実行を可能にする。
【0008】
従ってプレ−トのウエルを、サブ分割(subdivisions)か領域にグループ分けができ、各領域が単一のウエルか2個以上の1グループウエルのいずれかで、そして異なる領域が異なる温度で維持できるが、特定領域下の全ウエルを同一の温度制御下にて維持できる。次に複数の処理方法が、高コストと複雑性を低減すると共に、各帯域内の均一性と信頼性を改良して同時に行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明及び好ましい実施の形態の詳細な説明
本発明は、反応帯域の空間配列に適用し、そこにおける配列が、線形配列、2次元配列、又は複数の反応帯域の何か固定した物理的配列のうちのいずれかである。これらの配列が保持される容器(receptacles)は、典型的に試料ブロックを指し、その試料が、PCR処理を行う反応混合物である。
【0010】
本特許が発行される、本願の提出する日付で、本発明は、反応帯域を平面な2次元配列を形成し、そして種々のサイズの特に顕著なマイクロプレートを形成する試料ブロックに特定の関心を示すものである。最も一般的マイクロプレートが、標準的なウエルのサイズと空間を有し、8列でそれぞれ12のウエルの標準的な平面矩形配列に配置された96ウエルのプレートである。本発明は、有意に少ないウエルのプレート、および有意に多いウエルのプレートを同様に適用可能である。
【0011】
本発明による試料ブロックの各領域に独立した温度制御が、複数の熱電気モジュールにて行われ、こうしたモジュールのそれぞれが、各領域に別々のモジュールを有するブロックの1領域へ熱結合した。本発明の好ましい例において、種々の熱障害物(barriers)が、隣接する領域から各領域を熱的に絶縁し、そして各モジュールが、各モジュールに送られる電源の強度、そして好ましい例における各モジュールを通る電流の極性を独立して制御できる方法にて、電源へ電気的に接続される。
【0012】
さらにPeltierデバイスとして知られた熱電気モジュールは、当業者間で周知でそして電気部品の商業的供給者から容易に入手可能な、実験設備及び装置の部品要素として広く使用されているユニットである。熱電気デバイスが、加熱ポンプとして機能する小型ソリッド・ステイト・デバイスであり、電流が2種の異なる電気伝導体を介して流れる時、2種の導体の接続が、電流の方向により熱の吸収か放出のいずれかになるという理論に基づいて動作する。
【0013】
典型的な熱電気モジュールは、半導体材料により分離された2種のセラミック・プレート又は金属プレートから成り、そこで一般例としては、ビスマス・テルライドである。電流に加えて熱輸送の方向が、半導体の荷電キャリアーの特性により決定される(すなわちN-型対P型である)。従って熱電気モジュールが、反応帯域(zones)の加熱又は冷却領域へ、本発明の装置に配置可能であり、そして/又は電気的に接続することができる。
【0014】
有意に小さなデバイスも有意に大きなデバイスも共に存在しそして使用可能であっても、1個の熱電気モジュールが、数センチ平方の表面寸法で数ミリメータも薄くて良い。側面の寸法が単一モジュールの寸法を越える試料ブロック領域の温度を制御するように、熱電気モジュールを互いにグループ化することができる。選択肢として、モジュールそれ自体の側面寸法が、個々の領域の寸法に合うように選択できる。
【0015】
試料ブロックの隣接領域が、熱的に相互に絶縁された本発明の例において、こうした絶縁が、空気の間隙又は空隙(air gaps or voids)により、又は試料ブロック中に低熱導電性の固体熱障害物を埋め込むことにより実現できる。熱絶縁の固体材料は、ポリスチレン、ポリ(ビニルグロライド)、ポリウレタン、およびポリイソシアネートなどの発泡プラスチックである。
【0016】
試料ブロック領域に熱電気モジュールの熱的接続が、技術的に周知な種々の方法のいずれかにて行われる。例としては、熱電気モジュールとサンプル・ブロックとの間の全表面が接触するための熱伝導性の接着剤、グリース、プティ(putties)又はペーストがある。
【0017】
更なる例として、個々の制御を提示する具体的例が熱パイプである。熱の移動及び温度制御のため通常用いられる従来の構造の熱パイプ、特にラップトップ及びデスクトップ・コンピュータで使用される型式を用いることができる。典型的な加熱パイプは、閉鎖した容器で、最も一般的チューブで両端を伴い一端を熱受容端部で、もう一端を熱分散端部と指定され、そして容器内に保持される揮発性作動流体がある。
【0018】
作動流体が、熱受容端部から熱分散端部へ、揮発と縮合サイクルにて連続的に熱移動する。加熱パイプの位置付けおよび熱の移動方向により、サイクルが完了するまで熱分散端部から熱受容端部へ凝縮された流体を戻すことが、重力による手段又は重力に逆らって流体を移動するよう、加熱パイプ内の灯芯(wick)又は毛細管構造などの流体移動手段のいずれかにより行うことができる。
【0019】
熱パイプにおける作動流体が、流体の熱移動特性に基づいて選択される。これらの特徴のうち顕著なものは、高い潜熱、高い熱伝導性、液体及び気体の低粘性、および高い表面張力である。多くの場合における価値となる付加的特徴が、熱安定性、灯心部(wick)及び
壁材料の湿潤性、想定される作動温度範囲にわたる適度な蒸気圧である。
【0020】
これらを考慮すると有機液体も無機液体も共に使用可能であり、想定される温度範囲により最適な液体を選択することができる。PCR系として有益な範囲が約50℃から約100℃の作動流体が、最も適切となる。試料は、アセトン、メタノール、エタノール、水、トルエン及び種々の表面活性剤である。
【0021】
灯心部(wick)又は毛細管の構造が、作動流体を熱受容端部へ戻す加熱パイプにおいて、こうした構造が、加熱パイプの技術において周知であり、そして種々の形状が想定される。例としては、多孔性構造であり、典型的に種々の孔サイズの金属発泡剤、又はフェルトから作成される。さらなる例としては、線維材料、顕著なセラミック線維又は炭素繊維があげられる。
【0022】
灯心部(wick)は、焼結された粉末、又はスクリーン・メッシュから形成され、そして毛細管では、加熱パイプ壁における軸溝の形状、又は加熱パイプ内の実際のキャピラリーが想定される。灯心部(wick)又は毛細管構造は、加熱パイプの壁で配置され、一方凝縮された作動流体が、パイプの中心を通し流れる。選択肢として灯心部(wick)又は毛細管構造が、加熱パイプの中心又はバルク領域に配置され、一方で凝縮された作動流体が、パイプ壁の下側を流れる。
【0023】
加熱パイプが用いられる本発明の好ましい例において、デバイス又は構造が、凝縮した流体が戻されるか又は移動される速度を個々に制御できるように、加熱パイプの設計に取り入れられる。これは、熱電気モジュールにより提供される個々の熱制御に加えて、さらに個々の熱制御を提供する。
【0024】
凝縮した流体の戻り速度に伴うこうした制御を、電場又は磁場、圧力、および機械力、およびレーザ光線、高周波、および他の電磁波、および磁気ひずみ効果など、外部から与えられた影響に応答し、灯心部(wick)において部品を組み入れることにより同様に行うことができる。もし灯心部(wick)が磁気応答物質を含む場合、たとえば、灯心部(wick)の移動又は灯心部(wick)の力が、磁場を与えることにより制御できる。これは、外部磁気コイルにて容易に実施し、且つ制御可能である。灯心部(wick)内の機構圧力が加えられ、そして圧電素子又はソレノイド弁などの流量調節素子にて制御される。
【0025】
本発明の種々の例において熱シンクが、熱電気デバイス又は熱パイプ、あるいはその両方により、放出された熱を受容又は分散するための装置の構成要素として含まれる。放熱フイン(fins)及び循環液又は気体冷却剤などの従来の熱シンクを使用することができる。
【0026】
熱電気デバイスと試料ブロックとの間をさらなる形の熱的結合が、試料ブロックある領域から次の領域へ、個々の制御にて変動可能な熱パイプ以外の種々の方法により、行うことができる。個々の熱パイプ制御と同様、さらに熱結合(coupling)制御の方法が、電磁波、磁場、又は電場、熱、および機械的圧力などの外部の影響に応答する熱結合(coupling)材料を使用して行うことができる。
【0027】
こうした熱結合(coupling)材料の例としては、電気応答粒子、磁気応答粒子、圧電素子、および圧縮性材料又は弾性材料の懸濁液又はスラリーがあげられる。こうした材料の熱結合(coupling)を変動できる外部から及ぼされる影響としては、局部的で電気的に特記される交流電流、電場、局所的な磁場、および局部的に圧力を与える機械的プランジャーがあげられる。
【0028】
本図は、本発明が提供できる方法の特定例を明示し、そして本発明の範囲を定義し又は限定を意図するものでない。
【0029】
図1は、6個の試料ブロック102から構成されるPCRプレート101を明示し、ウエル103の配列を含み、そして熱領域として働くブロックのそれぞれが、残りのブロックとは分離している。この例における6個のブロックが、反応帯域(zones)の空間配列を集合的に構成し、これらの用語を本明細書に使用するように、各ブロックがその配列の分離「領域」を示す。各隣接対の試料ブロック間には、熱的にブロックを相互に分離するように、空気の間隙104がある。
【0030】
空気の間隙に対し別の選択肢は、低熱伝導材料を挿入することである。各ブロックの下に、Peltierデバイス(熱電気モジュール)105がある。そのモジュールが、独立して作動するが、熱シンク106を共通的に共有する。熱除去機能に加え共通の熱シンク106が、全構成物の支持ベースとしての働きを有し、試料ブロックの配置の機構的一体化を提供し、そして試料ブロック間の空気の間隙幅を固定する。試料ブロックが、低熱伝導性のプラスチック・ネジ又は他のハードウエア部品など非熱伝導性デバイスにて熱シンクに個々に確保することができる。
【0031】
図2は、図1の構造の側面図であり、低伝導性プラスチックなどの熱絶縁材料の固体障害物107が、隣接するブロック間、そしてさらには隣接するPeltierデバイス105間に挿入され、一方共通の熱シンク106が、ブロック全体に構造的一体化を提供する実施の態様を示している。
【0032】
各熱領域に対する個々の試料ブロックにおける使用の可能な選択は、個々の熱領域が、各領域の境界を定義するスリットにより輪郭が描かれる単一ブロックである。プラスチック材料か低熱伝導性材料のいずれかにより形成された絶縁シム(shims)又所定位置に挿入した絶縁障害物が、スリットに代わり使用されるか、又はスリットへ挿入することができる。分離したPeltierデバイスが、領域全体に共通する熱シンク(sink)を有する各熱領域に使用される。1個のブロックが、アルミプレートなどの熱導電性材料である。
【0033】
図1及び図2の構成を逆にした構成を図3に示し、そこでPeltierデバイスを使用し、全熱領域へ熱を供給する加熱器と結合し、加熱以外に冷却をする。個々の試料ブロック110が個々の熱領域を定義し、そして剛性の平面構成内で図に示されていない構造要素により保持される。選択肢として、複数ウエルのプレート領域が、個々の試料ブロックへ置き換え可能である。
【0034】
試料ブロック配列の上に配置されているのが、全配列の上に延びている単一の加熱素子111であり、そして各試料ブロックの底部に熱的に接合されるのは、個々に制御されるPeltierデバイス112である。従って種々の試料ブロックに別々の温度が、Peltierデバイスの冷却率変えることにより行われる。加熱要素111は、ボード領域にわたり熱を供給する要素のいずれかで良い。例としては、抵抗加熱器、誘導加熱器、極超音波加熱器、および赤外線加熱器があげられる。各Peltierデバイスの熱排出側で、上記の熱シンク113がある。
【0035】
図4に示すものは、反応帯域の空間配列における個々の熱領域へ、Peltierデバイス202の熱結合のための加熱パイプ201を用いる構成図である。個々の領域それぞれへの温度制御が、分離したPeltierデバイスと分離した加熱パイプとを組み合わせ提供される。各熱パイプを、Peltierデバイスへ熱受容端部(すなわちその蒸発端部)で熱結合し、そして個々の反応ウエル又は反応ウエルのグループへ、その熱分散端部(すなわちその凝集端部)で熱結合する。
【0036】
反対に単一の熱パイプが、反応ウエルに熱結合した熱受容端部、とPeltierデバイスへ熱的結合した熱消散端部を、熱移動に対し逆方向に向けることができる。この逆構成においてPeltierデバイスを冷却要素として用い、そしてフイルム状加熱器などの分離した加熱要素203が、反応ウエルへ熱を供給する働きをする。ウエル又はウエル群全てに共通した単一フイルム状加熱器か、それぞれのウエル、又はウエル群に対する個々のフイルム加熱器のいずれかが使用される。
【0037】
単一の任意の熱領域の温度が、ある程度Peltierデバイスにて、そしてある程度加熱パイプにて制御される。明示された各加熱パイプは、パイプ壁領域上に灯心部帯域(wicking zone)204を有し、そしてパイプを介してその熱移動率を、灯心部帯域(wicking zone)の灯心部の作用を調節して制御することができる。幾つかの方法のどれかで調節を行うことができる。
【0038】
図5aは、たとえば、磁気応答材料205を含む灯心部帯域(wicking zone)を伴う加熱パイプを示す。この材料又は全体の灯心部帯域(wicking zone)が、加熱パイプ上に磁場を与えることで移動の要因となり、それが電磁コイル206にて容易に行われる。コイルを介し流れる電流強度及び極性が変更可能であり、これにより灯心部帯域(wicking zone)を通る作動流体の流量を調節する。図5bが示す別の例では、圧電素子207が、パイプ壁の灯心部帯域(wicking zone)に包埋される。圧電素子の電場が変動すると、灯心部帯域(wicking zone)部分の開閉を誘導するよう圧変化を起こすことができる。
【0039】
このことが、作動流体の流量を再度調節する。図5cが示す第3の例としては、灯心部帯域(wicking zone)からの流体の移動が、外部加熱素子208から局部的に加熱し誘導され且つ制御される。図5dが示す第4の例では、外部ソレノイド弁209が、灯心部帯域(wicking zone)通路を開閉するためか、流体の流量を調節する手段として灯心部帯域(wicking zone)へ機械的圧力をかけるかのいずれかに用いられる。図5eが示す第5の例では加熱パイプが、流体の流量を調節するよう、外部電磁コイル211又は外部圧により磁気的に制御される内部弁210を含む。
【0040】
選択肢としての加熱パイプを通る熱移動量の調節方法が、作動流体の塊状(bulk)移動の調節による。図6に示す構造は、作動流体として磁気応答する流体221を用い、そしてパイプの囲りを巻いた電気コイル222を含む。コイルにて形成される磁場が、蒸発と凝縮のサイクルにより、流体の流れを加速か減速のいずれかにて、磁気応答による流体運動が生ずる。さらに灯心部帯域(wicking zone)が、磁場に作動流体の応答と結び付けて提示し、そして操作することができる。選択肢として、磁気応答作動流体及びコイルが、灯心部帯域(wicking zone)を置き換えるものとして働くことができる。通常の磁気応答流体は、液体懸濁培地における磁気粒子の懸濁液である。
【0041】
さらに本発明の加熱領域の変化及び制御が、複数ウエルのプレートの各領域(すなわちウエル又はウエル群それぞれ)とプレートの下の加熱又は冷却ユニットとの間を熱結合の変化を加えることにより、行うことができる。図示的に図7に示す構造において、試料プレート231は、高い熱伝導性の支持ブロック232の上で、プレートとブロックとの間の変動幅としての隙間233で平衡が保たれる。隙間幅が、機械モータ、圧電素子、磁気ボイスコイル(voice coils)、又は空気圧ドライブの使用により変化させることができる。図7が単一の熱領域を示しているが、同様の加熱領域の配列が、隙間幅の変化に独立した手段を有する。
【0042】
さらに種々の熱結合が、図8aから図8fに示す異なる種類の熱結合も使用し行うことができる。試料ブロック241が複数ウエルのプレート又は複数ウエルのプレートに在る支持ブロックにて可能であり、各図の上部に示す。図8aは、変動可能な熱結合器243にて各加熱領域に分離した加熱器242、各熱領域の1としてPeltierデバイスの配列部244、および共通の熱シンク部245を示している。
【0043】
図8bが、熱ペースト又はスラリー252中で、アルミニウムなどの非磁性であるが電気伝導性粒子251を使用し、Peltier デバイス253の下に配置されたAC電気コイル254の配列部を有する試料ブロックへ非磁性材料の熱結合するPeltier デバイス253の配列部を示している。個々の任意のコイル254を介し流れる電流により、粒状スラリー内の局部電場を生成する渦電流で排斥作用が生ずる。異なる強度の局部電場が、スラリー状の粒子の異なる排斥強度を形成し、そして粒子がこれらの間の排斥作用として互いに密接に引き合うことにより、スラリーの熱伝導度が、反発作用の降下につれ高くなる。
【0044】
図8cにおいて、局部磁場における変動にて熱伝導性が変化する磁気粒子261の磁気流体又は懸濁液は、Peltier デバイスの下に適切な加熱シンク263を備え、試料ブロック241とPeltier デバイス262との間に配置される。Peltier デバイスと加熱シンクの下に配置された磁気コイル264が、磁気流体における局部磁場を形成し、そして電流強度における種々のコイル間の差が、磁気流体内の局部磁場の違いを生み出し、そしてそれにて局部磁場に隣接した試料ブロックとPeltier デバイスとの接近を引き起こす。
【0045】
さらに熱接触が、プレートに対して加熱又は冷却ブロックを圧縮するように種々の機械的圧力を変動可能であり、異なる圧力をかけると、異なる熱接触度を呈することになる。
図8dが、この方法で作動する構造を示す。個々に制御された機械プランジャー271が、加熱シンク部272、Peltier デバイス273、および圧縮可能な熱結合部274に圧をかける。選択肢としての構成を図8eに示し、その構成で試料ブロック241又は加熱シンク281が、磁気材料から作成され、異なる圧力とそのための接触度が、加熱シンクの下の個々のコイル282から流れる異なる電流の結果として、異なる磁場をかけることにより行われる。
【0046】
同様の効果を、図8fに示すようにスラリー状の加熱グリース292に懸濁された圧電素子291にて行うことができる。種々の方法で電圧を、圧電素子に印加することができる。たとえば個々の圧電素子へ配線を接触させることができる。次に電圧が、平行に配線された圧電素子と中央処理器の制御電源により配線を介し印加される。電圧は数百ボルトも高くすることができる。
【0047】
選択肢として圧電素子を、高周波(RF)の波長で通電できる。これを行うために各圧電素子が、高周波(RF)の領域を電圧に検出し、そして変換する応答回路を有する。DC電源の振幅を、圧電素子を有意に収縮するに必要な電圧へ、マイクロチップDC-DCコンバータにより増大させることができる。極めて小さな強度(マイクロアンプ(microamps)のオーダ)の電流で十分なことから、検出されたRFエネルギーの変換が、圧電素子へ配線が接続されることなく使用できる。
【0048】
さらなる選択肢としては、RF又はサブ-RFの場を利用し、圧電素子上の個々の回路に接続したコンデンサーを用いることである。誘導電気による電荷、およびDC-DC変換が、圧電素子の制御そして/又は圧縮することになる。更なる選択肢としては、再度RF又はサブRFを用い、個々の圧電素子上の回路構成要素へ誘導結合を使用することである。誘導電流をコンデンサーに充電し、そして次にDC-DC変換器を用い圧電素子を制御しそして圧縮する。これらの方法のいずれかにより圧電素子292に及ぼす電圧の変化が、スラリー292の圧力の局部的な変化を創りだし、これにより熱結合の変化を創り出す。圧電素子291が、スラリーの微細な動きを受け、これにより熱結合を調節する。
【0049】
各加熱領域および個々の反応培地における温度制御は、試料ウエルの内容物と温度制御要素との間の熱平衡を迅速にできるよう設計された特定の試料プレートを使用することにより、特にPeltierデバイスか上記種々の熱結合である場合に、増大させることができる。
【0050】
一試料プレートの構成を図9に示し、ここでウエルから成るプレート301が、薄い結合ストリップ、又はフィラメント303によってのみ結合された個々の入れ物又はるつぼ302として成形される。フィラメントが、プレートに構造的な一体性と均一な空間を提供するが、るつぼ間の熱移動を最小にするように十分に薄くなっている。
【0051】
フィラメントが、るつぼからるつぼへの熱移動をより減少させるように、比較的熱伝導性の比較的低いプラスチック又は他の材料から作成される。るつぼ302及びフィラメント303が、るつぼ302を受ける凹み305、およびフィラメント303を受ける溝306を有する熱移動ブロック304上に在る。個々の熱移動ブロック304が、個々のるつぼ又はるつぼ群として使用できる。
【0052】
各るつぼ302の外部輪郭は、熱移動ブロック304における凹み部305の表面と全表面が接触する状態である。るつぼは、従来用いられた試料プレートの標準的ウエルと同じ寸法を有することができる。試料プレート301は、2ショットにて又は鋳型成形工程(molding steps)にて成形可能である。最初のショットにおいて、各るつぼ302が、高い熱伝導性プラスチックから作成される。第二のショットにおいて、フィラメント303が、熱伝導の悪いプラスチック、セラミック、又は他の材料を用い成形される。
【0053】
ウエル又はるつぼそれ自体が、個々のウエルとプレートの下に配置された加熱又は冷却ブロックとの間の熱接触を改良するように、形成することができる。特に形状化したるつぼと試料プレートとの例を図10に示し、ここで試料プレート311が、熱移動ブロック312の凹み部に形状が相補的な輪郭を有す。試料プレートの1ウエル313の断面を示し、その底部の中心で突き出し部、又は隆起部(bump)314を含む、形状の曲がった複雑な輪郭を示している。
【0054】
これは、下にある熱移動ブロックとウエルの壁面さらにはウエル内容物との間の接触表面積が増大することになる。表面積がより大きくなれば、ウエルの側面寸法を増大させることなく実行できる。より大きな突起部などの複雑な輪郭の別の形状が、同じ効果を提供できる。試料が、表面積を増大させ、そしてブロックとプレート間の接触を改良する断面のハッチング、凹み部、ポスト(posts)、又は他の特徴を含む形状(profiles)である。さらに図10に示す形状(profiles)、および他の高表面積の形状(profiles)は、連続ウエブ(web)部が、図9のフィラメント303に置き換えられる従来構造の試料プレートにて、連続的に使用することができる。
【0055】
図11が、図11のプレート及びブロックの組み合わせ変化を示し、そこでプレート315が各ウエルの床部を除いて剛性である。各ウエルの床の形成が、ウエル幅をまたがる弾性的なフイルム316である。
【0056】
さらに熱移動ブロック317が、各凹み部(indentation)319の底部から上方向に延びた突き出し部318で、相違している。さらに凹み部(indentation)の側壁が、ウエルの側壁の形状と相補的で、そして各ウエルの弾性的な底部316が、各ウエルにおける突き出し部318の周りに延びており、試料プレートの各ウエル全体の底部及び壁部とブロック中の各凹み部(indentation)の内部表面との間を十分な表面接触を提供する。この設計の利点は、プレート315がブロック317から取り出された時、ウエルに占める液体を容易に吸引することができる。
【0057】
上記試料プレートが、分析又は実験装置に、又は試料操作装置に用いられる従来材料のいずれか、および熱変換に特に有効な特定の又は強化された特性を提供する材料から製造することができる。こうした材料群の1が、熱伝導プラスチック材料又は高い熱伝導性の非プラスチック材料である。
【0058】
さらに熱伝導性は、電気プレーテングにて改良することができる。プレート材料が、その磁気特性、超音波相互作用特性、RF-相互作用特性、又は磁気ひずみ特性に対し選択することができる。そのプレートが、ブラスト法、熱成形、および射出成形を含む種々の製造方法にて成形できる。選択肢として試料プレートが、全体にわたって配置され、そして試料を、被覆ブロック表面の凹み部(indentation)に直接置くことができる。
【0059】
試料プレートと加熱又は冷却ブロックとの間の熱接触が、種々の方法によりさらに最適に又は改良することができる。図12aは、プレート410とブロック411が、相補的形状であり、そのプレートが、ブロック内のポート412を介して一部真空吸引されることにより、ブロックに強制力が加えられる。
【0060】
示されていないがブロック中の凹み部(indentation)413は、プレート410の下側へ真空を送る小さな開口部を含む。選択肢としては図12bに示すように、上からプレートに圧力をかけることであり、ここでプレート421上の空気圧420が、ブロック422に対するプレートに力を加える。空気圧に対する代わりに、機械的手段及び流体手段により印加される圧力がある。
【0061】
温度ブロックに対するプレートのウエルを圧縮する第3の構成を、図12cに示す。この構成においてプレート431とブロック432は、再度形状が相補的であるが、柔軟で好ましくは弾性的な密封フイルム433が、各ウエルの上部にわたって配置される。所望による清浄な圧縮ブロック434が、密封フイルムの上に配設される。
【0062】
圧縮ブロック434の下側に、密封フイルム433を圧縮する突起部435があり、破線にて示されるように、各ウエルの内側に密封フイルムを延伸し膨張させ、ブロックに対しさらにウエル壁へ作用して各ウエルの内容物に圧力をかける。圧力ブロック434の光透過性特性が、試料プレートからウエル内容物の照明とシグナルの検出の両方を行うことができる。
【0063】
透明蓋(lid)の加熱要素(すなわち被覆抵抗性を伴うガラス又はプラスチックブロック)が、圧縮ブロックの代わりに用いられ、そしてパッドが、蓋(lid)加熱要素とプレート・アセンブリとの間に挿入され、蓋(lid)からプレート・アセンブリへの圧力の伝達を可能にする。パッドが、上から光測定を可能にするように各ウエルの上を開口する不透明材料でよい。選択肢としてパッドが、フイルムへ圧力を伝達する表面を提供しながら、画像化できるスクリーンと類似する一連の小孔を含むことができる。
【0064】
個々の反応帯域と熱領域における温度検出が、温度制御の種々の方法を組み合わせて行うことができる。たとえばサーミスター又は熱伝対などの温度センサーを使用することができる。さらに各ウエルにおいて配置された1又は複数の孔へ合わせて、導電性材料を組み入れることで、個々のウエルにおける溶液の抵抗を測定し温度を検出することができる。
【0065】
ブロックそれ自体又は試料プレートの抵抗を測定することにより、さらに温度が検出される。互いに交差するそれぞれの方向における配列(array)を介しDCかAC電流のいずれかを通すことにより、そして交互に電流を測定することにより、これをウエルの矩形配列(array)で処理可能である。得られたデータは、従来の数学的関係(それぞれ2個の未知係数を有する2つの式)にて処理され、ブロックの全点に対し複数の抵抗値の測定が行われる。
【0066】
さらにこの方法が、それプレート自体上にて、特に温度により抵抗値の大きな変化を提示する抵抗材料にてプレートを被覆することで用いることができる。さらにプレートは、たとえばプレートに包埋された金属、炭素、又はその他の材料で達成される特定の抵抗特性を有する材料から構成できる。更なる方法は、別々に校正される温度プローブにて定量化される相対温度を提供するように、非接触性の2次元赤外線カメラを使用することにより行われる。
【0067】
さらなる方法では、温度指示としてプレートの色の変化、又は変動、そして試料の色変化又は変動の検出を含む。色変化が、実時間(real-time)カメラにより検出することができる。さらなる選択肢として、応答器を伴うセンサーをプレート内に包埋することができる。さらなる選択肢として、ウエルの内容物を固定容積にて封入し、そして理想気体の関係式pV = nRTを用い、指示温度としてウエル内の圧力を測定する方法である。
【0068】
温度により変化する磁界を作り出す適切な材料のブロックを使用して、さらに磁界の変化を使用することができる。さらなる選択肢として、赤外線の点センサーがある。加えてセンサーを、Peltierデバイスに組み入れることができる。さらに熱プローブの内側の個々のセンサーばかりか埋め込まれたビメタン・ストリップを使用できる。
【0069】
種々の加熱方法及び要素が、冷却のため配置されたPeltierデバイスと結合して使用するために上に記載されたが、これらの方法の1が、光エネルギーで加熱することである。図13が、個々のウエルの部分的加熱が、光源441からの光線により行われる構造体を示す。
【0070】
光源からの光が、プレートの各ウエル444に対し別々のレンズを用いて、示される共通の光源441か各ウエル444に対し分離した光源のいずれかで、試料プレート443にて狙われる一連の焦点レンズ442を通して収集される。どれかの単一レンズ442を上、下に動かすことにより、焦点の内、外へ誘導し、試料へ伝達される熱量を変化させる。従って各ウエルの温度を、個々に調節することができる。試料プレート下のブロック445が、下にあるPeltierデバイス446への熱移動の何れかを提供する。この方法における局部的加熱が、いずれかの数のウエル又は熱領域へ適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本明細書に伴う全ての図は、本発明の範囲内の構造を示す。
【0072】
【図1】図1は、ある部分のプレートにおける局所的に温度制御によりPCRプレート、又は他の複数ウエル反応プレートの透視図である。
【0073】
【図2】図2は、熱障害物(barrier)が、プレート内の隣接する領域間に配置された図1のものと同様のプレートの断面部である。
【0074】
【図3】図3は、プレート全体へ熱を供給する加熱付加要素により、前の図ものと同様のプレートの断面図である。
【0075】
【図4】図4は、個々の熱領域に対し個別の熱パイプを利用し、PCT又は他の複数ウエルの反応プレートに対する温度制御システムの透視図である。
【0076】
【図5】図5a乃至5bが、図4のシステムにおいて使用するための5の異なる熱パイプ構造の透視図である。
【0077】
【図6】図6は、図4のシステムにおいて使用するための6番目の熱パイプ構造の透視図である。
【0078】
【図7】図7は、これまでの図面のシステムに使用するためのプレート及び熱変換ブロックの断面図である。
【0079】
【図8】図8a乃至8fが、これまでの図面の温度制御システムに使用するための6の異なる可変熱連結(coupling)システムの断面図である。
【0080】
【図9】図9は、個々のウエル間の熱絶縁性を高めるために設計された試料プレートの透視図である。
【0081】
【図10】図10は、加熱又は冷却要素との高められた熱接触を提供する構造にて、試料プレートの1のウエルの断面図である。
【0082】
【図11】図11は、熱接触を高めた温度制御要素を提供する別の設計の試料プレートの断面図である。
【0083】
【図12】図12a乃至12cが、試料プレートと加熱又は冷却要素との間の熱接触を高めたさらなる構成物の断面積である。
【0084】
【図13】図13は、これまでの図面の局所的に温度制御システムと結びついて使用するため局部化された加熱を提供する更なる方法の断面図である。
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が1例である逐次型化学反応に関する。特に本発明は、複数の反応培地で同時に化学反応行い、そして各培地において反応を独立して制御する方法及び装置を開示する。
【0002】
2.先行技術の記載
PCRが、相違する処理工程の間の急激な温度変化にて反応混合物の正確な温度調節を必要とする化学方法の多くの例のひとつである。PCRそれ自体、DNAを増幅する方法であり、すなわち配列を形成する1本鎖から多くのDNA配列の複製物を生成する。
【0003】
PCRは、典型的にウエル、管、毛細管などの種々の反応容器(vessel)に試薬の輸送、温度調節、および光検出を提供する装置において行われる。この方法は、異なる工程が異なる温度で行われ、そして温度が、繰り返される温度変化を介して循環される、という温度感受性の一連の工程を含む。
【0004】
PCRが任意の反応容器(vessel)にて行われるが、複数ウエル反応プレートが、選択による反応容器(vessel)である。多くの適用例において、PCRが「リアル・タイム」にて行われ、そして反応混合物が、分析手段として反応培地における蛍光性タグ種(species)から光検出を用い、その工程を介し繰り返し分析される。別の適用例においてDNAが、別に増幅及び分析のため培地から取り出される。PCR法の複数の例において、それにおける方法では、多くの試料において併行して行われ、好ましい構成は、各試料が、複数ウエルのプレート構造又はプレート様構造の一個のウエルを占める構成で、そして全試料が、工程の各段階で共通の熱環境に同時に平衡化される。幾つかの場合において試料を2の熱環境に曝し、各試料に交わる温度勾配を作り出す。
【0005】
典型的なPCR装置においては、ウエルそれぞれに試料を伴う96ウエルのプレートが、金属ブロックと接触した状態にて配置され、そのブロックが、Peltierの加熱/冷却装置か、ブロック内で構成されたチャンネルを介し熱輸送流体を循環させる閉鎖回路の液体の加熱/冷却システムのいずれかにより、加熱及び冷却される。Cepheid(Sunnyvale,California,USA)が販売するSMART CYCLER(商標)IIシステムなどの特定装置が、個々の反応容器(vessels)や毛細管を使用し、異なる反応容器の異なる熱環境を提供する。
【0006】
これらの装置がコスト高で、且つ信頼性のある均質温度を実現することができない。SingaporeのInstitute of Microelectronics社が、同様に複数の熱環境を提供する装置を提示するが、個々の熱領域を生成する集積回路を使用するものである。この方法は縮小されたものであるが、一般的にマイクロプレートと称する複数ウエルの反応プレートの使用を可能にするものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の要約
本発明は、反応帯域の空間配列における個別領域の温度を独立して制御する手段を提供し、これにより個々の反応容器(vessels)、毛細管、あるいは集積回路の基板やチップの形式で作成されデバイスの使用を必要とするよりむしろ異なる熱領域が、単一の複数ウエルのプレートに形成されそして保持できるようにする。従って本発明は、2種以上の個々のPCR試験を単一プレートにて行うことができる。本発明の場合PCRの実験が最適であり、そして比較実験の実行を可能にする。
【0008】
従ってプレ−トのウエルを、サブ分割(subdivisions)か領域にグループ分けができ、各領域が単一のウエルか2個以上の1グループウエルのいずれかで、そして異なる領域が異なる温度で維持できるが、特定領域下の全ウエルを同一の温度制御下にて維持できる。次に複数の処理方法が、高コストと複雑性を低減すると共に、各帯域内の均一性と信頼性を改良して同時に行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明及び好ましい実施の形態の詳細な説明
本発明は、反応帯域の空間配列に適用し、そこにおける配列が、線形配列、2次元配列、又は複数の反応帯域の何か固定した物理的配列のうちのいずれかである。これらの配列が保持される容器(receptacles)は、典型的に試料ブロックを指し、その試料が、PCR処理を行う反応混合物である。
【0010】
本特許が発行される、本願の提出する日付で、本発明は、反応帯域を平面な2次元配列を形成し、そして種々のサイズの特に顕著なマイクロプレートを形成する試料ブロックに特定の関心を示すものである。最も一般的マイクロプレートが、標準的なウエルのサイズと空間を有し、8列でそれぞれ12のウエルの標準的な平面矩形配列に配置された96ウエルのプレートである。本発明は、有意に少ないウエルのプレート、および有意に多いウエルのプレートを同様に適用可能である。
【0011】
本発明による試料ブロックの各領域に独立した温度制御が、複数の熱電気モジュールにて行われ、こうしたモジュールのそれぞれが、各領域に別々のモジュールを有するブロックの1領域へ熱結合した。本発明の好ましい例において、種々の熱障害物(barriers)が、隣接する領域から各領域を熱的に絶縁し、そして各モジュールが、各モジュールに送られる電源の強度、そして好ましい例における各モジュールを通る電流の極性を独立して制御できる方法にて、電源へ電気的に接続される。
【0012】
さらにPeltierデバイスとして知られた熱電気モジュールは、当業者間で周知でそして電気部品の商業的供給者から容易に入手可能な、実験設備及び装置の部品要素として広く使用されているユニットである。熱電気デバイスが、加熱ポンプとして機能する小型ソリッド・ステイト・デバイスであり、電流が2種の異なる電気伝導体を介して流れる時、2種の導体の接続が、電流の方向により熱の吸収か放出のいずれかになるという理論に基づいて動作する。
【0013】
典型的な熱電気モジュールは、半導体材料により分離された2種のセラミック・プレート又は金属プレートから成り、そこで一般例としては、ビスマス・テルライドである。電流に加えて熱輸送の方向が、半導体の荷電キャリアーの特性により決定される(すなわちN-型対P型である)。従って熱電気モジュールが、反応帯域(zones)の加熱又は冷却領域へ、本発明の装置に配置可能であり、そして/又は電気的に接続することができる。
【0014】
有意に小さなデバイスも有意に大きなデバイスも共に存在しそして使用可能であっても、1個の熱電気モジュールが、数センチ平方の表面寸法で数ミリメータも薄くて良い。側面の寸法が単一モジュールの寸法を越える試料ブロック領域の温度を制御するように、熱電気モジュールを互いにグループ化することができる。選択肢として、モジュールそれ自体の側面寸法が、個々の領域の寸法に合うように選択できる。
【0015】
試料ブロックの隣接領域が、熱的に相互に絶縁された本発明の例において、こうした絶縁が、空気の間隙又は空隙(air gaps or voids)により、又は試料ブロック中に低熱導電性の固体熱障害物を埋め込むことにより実現できる。熱絶縁の固体材料は、ポリスチレン、ポリ(ビニルグロライド)、ポリウレタン、およびポリイソシアネートなどの発泡プラスチックである。
【0016】
試料ブロック領域に熱電気モジュールの熱的接続が、技術的に周知な種々の方法のいずれかにて行われる。例としては、熱電気モジュールとサンプル・ブロックとの間の全表面が接触するための熱伝導性の接着剤、グリース、プティ(putties)又はペーストがある。
【0017】
更なる例として、個々の制御を提示する具体的例が熱パイプである。熱の移動及び温度制御のため通常用いられる従来の構造の熱パイプ、特にラップトップ及びデスクトップ・コンピュータで使用される型式を用いることができる。典型的な加熱パイプは、閉鎖した容器で、最も一般的チューブで両端を伴い一端を熱受容端部で、もう一端を熱分散端部と指定され、そして容器内に保持される揮発性作動流体がある。
【0018】
作動流体が、熱受容端部から熱分散端部へ、揮発と縮合サイクルにて連続的に熱移動する。加熱パイプの位置付けおよび熱の移動方向により、サイクルが完了するまで熱分散端部から熱受容端部へ凝縮された流体を戻すことが、重力による手段又は重力に逆らって流体を移動するよう、加熱パイプ内の灯芯(wick)又は毛細管構造などの流体移動手段のいずれかにより行うことができる。
【0019】
熱パイプにおける作動流体が、流体の熱移動特性に基づいて選択される。これらの特徴のうち顕著なものは、高い潜熱、高い熱伝導性、液体及び気体の低粘性、および高い表面張力である。多くの場合における価値となる付加的特徴が、熱安定性、灯心部(wick)及び
壁材料の湿潤性、想定される作動温度範囲にわたる適度な蒸気圧である。
【0020】
これらを考慮すると有機液体も無機液体も共に使用可能であり、想定される温度範囲により最適な液体を選択することができる。PCR系として有益な範囲が約50℃から約100℃の作動流体が、最も適切となる。試料は、アセトン、メタノール、エタノール、水、トルエン及び種々の表面活性剤である。
【0021】
灯心部(wick)又は毛細管の構造が、作動流体を熱受容端部へ戻す加熱パイプにおいて、こうした構造が、加熱パイプの技術において周知であり、そして種々の形状が想定される。例としては、多孔性構造であり、典型的に種々の孔サイズの金属発泡剤、又はフェルトから作成される。さらなる例としては、線維材料、顕著なセラミック線維又は炭素繊維があげられる。
【0022】
灯心部(wick)は、焼結された粉末、又はスクリーン・メッシュから形成され、そして毛細管では、加熱パイプ壁における軸溝の形状、又は加熱パイプ内の実際のキャピラリーが想定される。灯心部(wick)又は毛細管構造は、加熱パイプの壁で配置され、一方凝縮された作動流体が、パイプの中心を通し流れる。選択肢として灯心部(wick)又は毛細管構造が、加熱パイプの中心又はバルク領域に配置され、一方で凝縮された作動流体が、パイプ壁の下側を流れる。
【0023】
加熱パイプが用いられる本発明の好ましい例において、デバイス又は構造が、凝縮した流体が戻されるか又は移動される速度を個々に制御できるように、加熱パイプの設計に取り入れられる。これは、熱電気モジュールにより提供される個々の熱制御に加えて、さらに個々の熱制御を提供する。
【0024】
凝縮した流体の戻り速度に伴うこうした制御を、電場又は磁場、圧力、および機械力、およびレーザ光線、高周波、および他の電磁波、および磁気ひずみ効果など、外部から与えられた影響に応答し、灯心部(wick)において部品を組み入れることにより同様に行うことができる。もし灯心部(wick)が磁気応答物質を含む場合、たとえば、灯心部(wick)の移動又は灯心部(wick)の力が、磁場を与えることにより制御できる。これは、外部磁気コイルにて容易に実施し、且つ制御可能である。灯心部(wick)内の機構圧力が加えられ、そして圧電素子又はソレノイド弁などの流量調節素子にて制御される。
【0025】
本発明の種々の例において熱シンクが、熱電気デバイス又は熱パイプ、あるいはその両方により、放出された熱を受容又は分散するための装置の構成要素として含まれる。放熱フイン(fins)及び循環液又は気体冷却剤などの従来の熱シンクを使用することができる。
【0026】
熱電気デバイスと試料ブロックとの間をさらなる形の熱的結合が、試料ブロックある領域から次の領域へ、個々の制御にて変動可能な熱パイプ以外の種々の方法により、行うことができる。個々の熱パイプ制御と同様、さらに熱結合(coupling)制御の方法が、電磁波、磁場、又は電場、熱、および機械的圧力などの外部の影響に応答する熱結合(coupling)材料を使用して行うことができる。
【0027】
こうした熱結合(coupling)材料の例としては、電気応答粒子、磁気応答粒子、圧電素子、および圧縮性材料又は弾性材料の懸濁液又はスラリーがあげられる。こうした材料の熱結合(coupling)を変動できる外部から及ぼされる影響としては、局部的で電気的に特記される交流電流、電場、局所的な磁場、および局部的に圧力を与える機械的プランジャーがあげられる。
【0028】
本図は、本発明が提供できる方法の特定例を明示し、そして本発明の範囲を定義し又は限定を意図するものでない。
【0029】
図1は、6個の試料ブロック102から構成されるPCRプレート101を明示し、ウエル103の配列を含み、そして熱領域として働くブロックのそれぞれが、残りのブロックとは分離している。この例における6個のブロックが、反応帯域(zones)の空間配列を集合的に構成し、これらの用語を本明細書に使用するように、各ブロックがその配列の分離「領域」を示す。各隣接対の試料ブロック間には、熱的にブロックを相互に分離するように、空気の間隙104がある。
【0030】
空気の間隙に対し別の選択肢は、低熱伝導材料を挿入することである。各ブロックの下に、Peltierデバイス(熱電気モジュール)105がある。そのモジュールが、独立して作動するが、熱シンク106を共通的に共有する。熱除去機能に加え共通の熱シンク106が、全構成物の支持ベースとしての働きを有し、試料ブロックの配置の機構的一体化を提供し、そして試料ブロック間の空気の間隙幅を固定する。試料ブロックが、低熱伝導性のプラスチック・ネジ又は他のハードウエア部品など非熱伝導性デバイスにて熱シンクに個々に確保することができる。
【0031】
図2は、図1の構造の側面図であり、低伝導性プラスチックなどの熱絶縁材料の固体障害物107が、隣接するブロック間、そしてさらには隣接するPeltierデバイス105間に挿入され、一方共通の熱シンク106が、ブロック全体に構造的一体化を提供する実施の態様を示している。
【0032】
各熱領域に対する個々の試料ブロックにおける使用の可能な選択は、個々の熱領域が、各領域の境界を定義するスリットにより輪郭が描かれる単一ブロックである。プラスチック材料か低熱伝導性材料のいずれかにより形成された絶縁シム(shims)又所定位置に挿入した絶縁障害物が、スリットに代わり使用されるか、又はスリットへ挿入することができる。分離したPeltierデバイスが、領域全体に共通する熱シンク(sink)を有する各熱領域に使用される。1個のブロックが、アルミプレートなどの熱導電性材料である。
【0033】
図1及び図2の構成を逆にした構成を図3に示し、そこでPeltierデバイスを使用し、全熱領域へ熱を供給する加熱器と結合し、加熱以外に冷却をする。個々の試料ブロック110が個々の熱領域を定義し、そして剛性の平面構成内で図に示されていない構造要素により保持される。選択肢として、複数ウエルのプレート領域が、個々の試料ブロックへ置き換え可能である。
【0034】
試料ブロック配列の上に配置されているのが、全配列の上に延びている単一の加熱素子111であり、そして各試料ブロックの底部に熱的に接合されるのは、個々に制御されるPeltierデバイス112である。従って種々の試料ブロックに別々の温度が、Peltierデバイスの冷却率変えることにより行われる。加熱要素111は、ボード領域にわたり熱を供給する要素のいずれかで良い。例としては、抵抗加熱器、誘導加熱器、極超音波加熱器、および赤外線加熱器があげられる。各Peltierデバイスの熱排出側で、上記の熱シンク113がある。
【0035】
図4に示すものは、反応帯域の空間配列における個々の熱領域へ、Peltierデバイス202の熱結合のための加熱パイプ201を用いる構成図である。個々の領域それぞれへの温度制御が、分離したPeltierデバイスと分離した加熱パイプとを組み合わせ提供される。各熱パイプを、Peltierデバイスへ熱受容端部(すなわちその蒸発端部)で熱結合し、そして個々の反応ウエル又は反応ウエルのグループへ、その熱分散端部(すなわちその凝集端部)で熱結合する。
【0036】
反対に単一の熱パイプが、反応ウエルに熱結合した熱受容端部、とPeltierデバイスへ熱的結合した熱消散端部を、熱移動に対し逆方向に向けることができる。この逆構成においてPeltierデバイスを冷却要素として用い、そしてフイルム状加熱器などの分離した加熱要素203が、反応ウエルへ熱を供給する働きをする。ウエル又はウエル群全てに共通した単一フイルム状加熱器か、それぞれのウエル、又はウエル群に対する個々のフイルム加熱器のいずれかが使用される。
【0037】
単一の任意の熱領域の温度が、ある程度Peltierデバイスにて、そしてある程度加熱パイプにて制御される。明示された各加熱パイプは、パイプ壁領域上に灯心部帯域(wicking zone)204を有し、そしてパイプを介してその熱移動率を、灯心部帯域(wicking zone)の灯心部の作用を調節して制御することができる。幾つかの方法のどれかで調節を行うことができる。
【0038】
図5aは、たとえば、磁気応答材料205を含む灯心部帯域(wicking zone)を伴う加熱パイプを示す。この材料又は全体の灯心部帯域(wicking zone)が、加熱パイプ上に磁場を与えることで移動の要因となり、それが電磁コイル206にて容易に行われる。コイルを介し流れる電流強度及び極性が変更可能であり、これにより灯心部帯域(wicking zone)を通る作動流体の流量を調節する。図5bが示す別の例では、圧電素子207が、パイプ壁の灯心部帯域(wicking zone)に包埋される。圧電素子の電場が変動すると、灯心部帯域(wicking zone)部分の開閉を誘導するよう圧変化を起こすことができる。
【0039】
このことが、作動流体の流量を再度調節する。図5cが示す第3の例としては、灯心部帯域(wicking zone)からの流体の移動が、外部加熱素子208から局部的に加熱し誘導され且つ制御される。図5dが示す第4の例では、外部ソレノイド弁209が、灯心部帯域(wicking zone)通路を開閉するためか、流体の流量を調節する手段として灯心部帯域(wicking zone)へ機械的圧力をかけるかのいずれかに用いられる。図5eが示す第5の例では加熱パイプが、流体の流量を調節するよう、外部電磁コイル211又は外部圧により磁気的に制御される内部弁210を含む。
【0040】
選択肢としての加熱パイプを通る熱移動量の調節方法が、作動流体の塊状(bulk)移動の調節による。図6に示す構造は、作動流体として磁気応答する流体221を用い、そしてパイプの囲りを巻いた電気コイル222を含む。コイルにて形成される磁場が、蒸発と凝縮のサイクルにより、流体の流れを加速か減速のいずれかにて、磁気応答による流体運動が生ずる。さらに灯心部帯域(wicking zone)が、磁場に作動流体の応答と結び付けて提示し、そして操作することができる。選択肢として、磁気応答作動流体及びコイルが、灯心部帯域(wicking zone)を置き換えるものとして働くことができる。通常の磁気応答流体は、液体懸濁培地における磁気粒子の懸濁液である。
【0041】
さらに本発明の加熱領域の変化及び制御が、複数ウエルのプレートの各領域(すなわちウエル又はウエル群それぞれ)とプレートの下の加熱又は冷却ユニットとの間を熱結合の変化を加えることにより、行うことができる。図示的に図7に示す構造において、試料プレート231は、高い熱伝導性の支持ブロック232の上で、プレートとブロックとの間の変動幅としての隙間233で平衡が保たれる。隙間幅が、機械モータ、圧電素子、磁気ボイスコイル(voice coils)、又は空気圧ドライブの使用により変化させることができる。図7が単一の熱領域を示しているが、同様の加熱領域の配列が、隙間幅の変化に独立した手段を有する。
【0042】
さらに種々の熱結合が、図8aから図8fに示す異なる種類の熱結合も使用し行うことができる。試料ブロック241が複数ウエルのプレート又は複数ウエルのプレートに在る支持ブロックにて可能であり、各図の上部に示す。図8aは、変動可能な熱結合器243にて各加熱領域に分離した加熱器242、各熱領域の1としてPeltierデバイスの配列部244、および共通の熱シンク部245を示している。
【0043】
図8bが、熱ペースト又はスラリー252中で、アルミニウムなどの非磁性であるが電気伝導性粒子251を使用し、Peltier デバイス253の下に配置されたAC電気コイル254の配列部を有する試料ブロックへ非磁性材料の熱結合するPeltier デバイス253の配列部を示している。個々の任意のコイル254を介し流れる電流により、粒状スラリー内の局部電場を生成する渦電流で排斥作用が生ずる。異なる強度の局部電場が、スラリー状の粒子の異なる排斥強度を形成し、そして粒子がこれらの間の排斥作用として互いに密接に引き合うことにより、スラリーの熱伝導度が、反発作用の降下につれ高くなる。
【0044】
図8cにおいて、局部磁場における変動にて熱伝導性が変化する磁気粒子261の磁気流体又は懸濁液は、Peltier デバイスの下に適切な加熱シンク263を備え、試料ブロック241とPeltier デバイス262との間に配置される。Peltier デバイスと加熱シンクの下に配置された磁気コイル264が、磁気流体における局部磁場を形成し、そして電流強度における種々のコイル間の差が、磁気流体内の局部磁場の違いを生み出し、そしてそれにて局部磁場に隣接した試料ブロックとPeltier デバイスとの接近を引き起こす。
【0045】
さらに熱接触が、プレートに対して加熱又は冷却ブロックを圧縮するように種々の機械的圧力を変動可能であり、異なる圧力をかけると、異なる熱接触度を呈することになる。
図8dが、この方法で作動する構造を示す。個々に制御された機械プランジャー271が、加熱シンク部272、Peltier デバイス273、および圧縮可能な熱結合部274に圧をかける。選択肢としての構成を図8eに示し、その構成で試料ブロック241又は加熱シンク281が、磁気材料から作成され、異なる圧力とそのための接触度が、加熱シンクの下の個々のコイル282から流れる異なる電流の結果として、異なる磁場をかけることにより行われる。
【0046】
同様の効果を、図8fに示すようにスラリー状の加熱グリース292に懸濁された圧電素子291にて行うことができる。種々の方法で電圧を、圧電素子に印加することができる。たとえば個々の圧電素子へ配線を接触させることができる。次に電圧が、平行に配線された圧電素子と中央処理器の制御電源により配線を介し印加される。電圧は数百ボルトも高くすることができる。
【0047】
選択肢として圧電素子を、高周波(RF)の波長で通電できる。これを行うために各圧電素子が、高周波(RF)の領域を電圧に検出し、そして変換する応答回路を有する。DC電源の振幅を、圧電素子を有意に収縮するに必要な電圧へ、マイクロチップDC-DCコンバータにより増大させることができる。極めて小さな強度(マイクロアンプ(microamps)のオーダ)の電流で十分なことから、検出されたRFエネルギーの変換が、圧電素子へ配線が接続されることなく使用できる。
【0048】
さらなる選択肢としては、RF又はサブ-RFの場を利用し、圧電素子上の個々の回路に接続したコンデンサーを用いることである。誘導電気による電荷、およびDC-DC変換が、圧電素子の制御そして/又は圧縮することになる。更なる選択肢としては、再度RF又はサブRFを用い、個々の圧電素子上の回路構成要素へ誘導結合を使用することである。誘導電流をコンデンサーに充電し、そして次にDC-DC変換器を用い圧電素子を制御しそして圧縮する。これらの方法のいずれかにより圧電素子292に及ぼす電圧の変化が、スラリー292の圧力の局部的な変化を創りだし、これにより熱結合の変化を創り出す。圧電素子291が、スラリーの微細な動きを受け、これにより熱結合を調節する。
【0049】
各加熱領域および個々の反応培地における温度制御は、試料ウエルの内容物と温度制御要素との間の熱平衡を迅速にできるよう設計された特定の試料プレートを使用することにより、特にPeltierデバイスか上記種々の熱結合である場合に、増大させることができる。
【0050】
一試料プレートの構成を図9に示し、ここでウエルから成るプレート301が、薄い結合ストリップ、又はフィラメント303によってのみ結合された個々の入れ物又はるつぼ302として成形される。フィラメントが、プレートに構造的な一体性と均一な空間を提供するが、るつぼ間の熱移動を最小にするように十分に薄くなっている。
【0051】
フィラメントが、るつぼからるつぼへの熱移動をより減少させるように、比較的熱伝導性の比較的低いプラスチック又は他の材料から作成される。るつぼ302及びフィラメント303が、るつぼ302を受ける凹み305、およびフィラメント303を受ける溝306を有する熱移動ブロック304上に在る。個々の熱移動ブロック304が、個々のるつぼ又はるつぼ群として使用できる。
【0052】
各るつぼ302の外部輪郭は、熱移動ブロック304における凹み部305の表面と全表面が接触する状態である。るつぼは、従来用いられた試料プレートの標準的ウエルと同じ寸法を有することができる。試料プレート301は、2ショットにて又は鋳型成形工程(molding steps)にて成形可能である。最初のショットにおいて、各るつぼ302が、高い熱伝導性プラスチックから作成される。第二のショットにおいて、フィラメント303が、熱伝導の悪いプラスチック、セラミック、又は他の材料を用い成形される。
【0053】
ウエル又はるつぼそれ自体が、個々のウエルとプレートの下に配置された加熱又は冷却ブロックとの間の熱接触を改良するように、形成することができる。特に形状化したるつぼと試料プレートとの例を図10に示し、ここで試料プレート311が、熱移動ブロック312の凹み部に形状が相補的な輪郭を有す。試料プレートの1ウエル313の断面を示し、その底部の中心で突き出し部、又は隆起部(bump)314を含む、形状の曲がった複雑な輪郭を示している。
【0054】
これは、下にある熱移動ブロックとウエルの壁面さらにはウエル内容物との間の接触表面積が増大することになる。表面積がより大きくなれば、ウエルの側面寸法を増大させることなく実行できる。より大きな突起部などの複雑な輪郭の別の形状が、同じ効果を提供できる。試料が、表面積を増大させ、そしてブロックとプレート間の接触を改良する断面のハッチング、凹み部、ポスト(posts)、又は他の特徴を含む形状(profiles)である。さらに図10に示す形状(profiles)、および他の高表面積の形状(profiles)は、連続ウエブ(web)部が、図9のフィラメント303に置き換えられる従来構造の試料プレートにて、連続的に使用することができる。
【0055】
図11が、図11のプレート及びブロックの組み合わせ変化を示し、そこでプレート315が各ウエルの床部を除いて剛性である。各ウエルの床の形成が、ウエル幅をまたがる弾性的なフイルム316である。
【0056】
さらに熱移動ブロック317が、各凹み部(indentation)319の底部から上方向に延びた突き出し部318で、相違している。さらに凹み部(indentation)の側壁が、ウエルの側壁の形状と相補的で、そして各ウエルの弾性的な底部316が、各ウエルにおける突き出し部318の周りに延びており、試料プレートの各ウエル全体の底部及び壁部とブロック中の各凹み部(indentation)の内部表面との間を十分な表面接触を提供する。この設計の利点は、プレート315がブロック317から取り出された時、ウエルに占める液体を容易に吸引することができる。
【0057】
上記試料プレートが、分析又は実験装置に、又は試料操作装置に用いられる従来材料のいずれか、および熱変換に特に有効な特定の又は強化された特性を提供する材料から製造することができる。こうした材料群の1が、熱伝導プラスチック材料又は高い熱伝導性の非プラスチック材料である。
【0058】
さらに熱伝導性は、電気プレーテングにて改良することができる。プレート材料が、その磁気特性、超音波相互作用特性、RF-相互作用特性、又は磁気ひずみ特性に対し選択することができる。そのプレートが、ブラスト法、熱成形、および射出成形を含む種々の製造方法にて成形できる。選択肢として試料プレートが、全体にわたって配置され、そして試料を、被覆ブロック表面の凹み部(indentation)に直接置くことができる。
【0059】
試料プレートと加熱又は冷却ブロックとの間の熱接触が、種々の方法によりさらに最適に又は改良することができる。図12aは、プレート410とブロック411が、相補的形状であり、そのプレートが、ブロック内のポート412を介して一部真空吸引されることにより、ブロックに強制力が加えられる。
【0060】
示されていないがブロック中の凹み部(indentation)413は、プレート410の下側へ真空を送る小さな開口部を含む。選択肢としては図12bに示すように、上からプレートに圧力をかけることであり、ここでプレート421上の空気圧420が、ブロック422に対するプレートに力を加える。空気圧に対する代わりに、機械的手段及び流体手段により印加される圧力がある。
【0061】
温度ブロックに対するプレートのウエルを圧縮する第3の構成を、図12cに示す。この構成においてプレート431とブロック432は、再度形状が相補的であるが、柔軟で好ましくは弾性的な密封フイルム433が、各ウエルの上部にわたって配置される。所望による清浄な圧縮ブロック434が、密封フイルムの上に配設される。
【0062】
圧縮ブロック434の下側に、密封フイルム433を圧縮する突起部435があり、破線にて示されるように、各ウエルの内側に密封フイルムを延伸し膨張させ、ブロックに対しさらにウエル壁へ作用して各ウエルの内容物に圧力をかける。圧力ブロック434の光透過性特性が、試料プレートからウエル内容物の照明とシグナルの検出の両方を行うことができる。
【0063】
透明蓋(lid)の加熱要素(すなわち被覆抵抗性を伴うガラス又はプラスチックブロック)が、圧縮ブロックの代わりに用いられ、そしてパッドが、蓋(lid)加熱要素とプレート・アセンブリとの間に挿入され、蓋(lid)からプレート・アセンブリへの圧力の伝達を可能にする。パッドが、上から光測定を可能にするように各ウエルの上を開口する不透明材料でよい。選択肢としてパッドが、フイルムへ圧力を伝達する表面を提供しながら、画像化できるスクリーンと類似する一連の小孔を含むことができる。
【0064】
個々の反応帯域と熱領域における温度検出が、温度制御の種々の方法を組み合わせて行うことができる。たとえばサーミスター又は熱伝対などの温度センサーを使用することができる。さらに各ウエルにおいて配置された1又は複数の孔へ合わせて、導電性材料を組み入れることで、個々のウエルにおける溶液の抵抗を測定し温度を検出することができる。
【0065】
ブロックそれ自体又は試料プレートの抵抗を測定することにより、さらに温度が検出される。互いに交差するそれぞれの方向における配列(array)を介しDCかAC電流のいずれかを通すことにより、そして交互に電流を測定することにより、これをウエルの矩形配列(array)で処理可能である。得られたデータは、従来の数学的関係(それぞれ2個の未知係数を有する2つの式)にて処理され、ブロックの全点に対し複数の抵抗値の測定が行われる。
【0066】
さらにこの方法が、それプレート自体上にて、特に温度により抵抗値の大きな変化を提示する抵抗材料にてプレートを被覆することで用いることができる。さらにプレートは、たとえばプレートに包埋された金属、炭素、又はその他の材料で達成される特定の抵抗特性を有する材料から構成できる。更なる方法は、別々に校正される温度プローブにて定量化される相対温度を提供するように、非接触性の2次元赤外線カメラを使用することにより行われる。
【0067】
さらなる方法では、温度指示としてプレートの色の変化、又は変動、そして試料の色変化又は変動の検出を含む。色変化が、実時間(real-time)カメラにより検出することができる。さらなる選択肢として、応答器を伴うセンサーをプレート内に包埋することができる。さらなる選択肢として、ウエルの内容物を固定容積にて封入し、そして理想気体の関係式pV = nRTを用い、指示温度としてウエル内の圧力を測定する方法である。
【0068】
温度により変化する磁界を作り出す適切な材料のブロックを使用して、さらに磁界の変化を使用することができる。さらなる選択肢として、赤外線の点センサーがある。加えてセンサーを、Peltierデバイスに組み入れることができる。さらに熱プローブの内側の個々のセンサーばかりか埋め込まれたビメタン・ストリップを使用できる。
【0069】
種々の加熱方法及び要素が、冷却のため配置されたPeltierデバイスと結合して使用するために上に記載されたが、これらの方法の1が、光エネルギーで加熱することである。図13が、個々のウエルの部分的加熱が、光源441からの光線により行われる構造体を示す。
【0070】
光源からの光が、プレートの各ウエル444に対し別々のレンズを用いて、示される共通の光源441か各ウエル444に対し分離した光源のいずれかで、試料プレート443にて狙われる一連の焦点レンズ442を通して収集される。どれかの単一レンズ442を上、下に動かすことにより、焦点の内、外へ誘導し、試料へ伝達される熱量を変化させる。従って各ウエルの温度を、個々に調節することができる。試料プレート下のブロック445が、下にあるPeltierデバイス446への熱移動の何れかを提供する。この方法における局部的加熱が、いずれかの数のウエル又は熱領域へ適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本明細書に伴う全ての図は、本発明の範囲内の構造を示す。
【0072】
【図1】図1は、ある部分のプレートにおける局所的に温度制御によりPCRプレート、又は他の複数ウエル反応プレートの透視図である。
【0073】
【図2】図2は、熱障害物(barrier)が、プレート内の隣接する領域間に配置された図1のものと同様のプレートの断面部である。
【0074】
【図3】図3は、プレート全体へ熱を供給する加熱付加要素により、前の図ものと同様のプレートの断面図である。
【0075】
【図4】図4は、個々の熱領域に対し個別の熱パイプを利用し、PCT又は他の複数ウエルの反応プレートに対する温度制御システムの透視図である。
【0076】
【図5】図5a乃至5bが、図4のシステムにおいて使用するための5の異なる熱パイプ構造の透視図である。
【0077】
【図6】図6は、図4のシステムにおいて使用するための6番目の熱パイプ構造の透視図である。
【0078】
【図7】図7は、これまでの図面のシステムに使用するためのプレート及び熱変換ブロックの断面図である。
【0079】
【図8】図8a乃至8fが、これまでの図面の温度制御システムに使用するための6の異なる可変熱連結(coupling)システムの断面図である。
【0080】
【図9】図9は、個々のウエル間の熱絶縁性を高めるために設計された試料プレートの透視図である。
【0081】
【図10】図10は、加熱又は冷却要素との高められた熱接触を提供する構造にて、試料プレートの1のウエルの断面図である。
【0082】
【図11】図11は、熱接触を高めた温度制御要素を提供する別の設計の試料プレートの断面図である。
【0083】
【図12】図12a乃至12cが、試料プレートと加熱又は冷却要素との間の熱接触を高めたさらなる構成物の断面積である。
【0084】
【図13】図13は、これまでの図面の局所的に温度制御システムと結びついて使用するため局部化された加熱を提供する更なる方法の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応帯域の空間配列の個別領域で独立した温度制御用装置において、
各領域にて分離したモジュールと前記領域に熱結合した複数の熱電気モジュール;
前記熱電気モジュールへ電気的に接続された電源;並びに
前記電源から各熱電気モジュールへの電力強度を独立して制御し、それにより別の領域と独立して各領域の温度を保持する手段;
を含む前記装置。
【請求項2】
隣接した領域から前記各領域を分離した熱絶縁手段をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記熱電気モジュールと、前記領域か熱シンク手段のいずれかとの間の熱結合を提供するよう配置された加熱パイプをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記加熱パイプが、前記熱電気モジュールと前記領域との間の熱結合を提供するよう配置された、請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記加熱パイプが、前記熱電気モジュールと前記熱シンク手段との間を熱結合するよう配置された、請求項2記載の装置。
【請求項6】
前記各加熱パイプが、熱受容端部、熱分散端部、作用流体、そして前記熱分散端部から前記熱受容端部へ前記作動流体を輸送する流体輸送手段を含む、請求項2記載の装置。
【請求項7】
前記各加熱パイプが、他の加熱パイプと独立して各加熱パイプにて、前記熱分散端部から熱受容端部へ作動流体の輸送量を独立して制御する、流体輸送制御手段をさらに含む、請求項6記載の装置。
【請求項8】
全ての熱電気モジュールに単一の共通熱シンクをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項9】
各熱電気モジュールに対し個々の熱シンクをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記熱絶縁手段が空気隙間(air gap)である、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記熱絶縁手段が、各隣接する領域の対間に配置された熱絶縁材料の固体障害物(barriers)を含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記熱電気モジュールと前記領域との間の前記熱結合が、個々に変動可能な複数の熱結合手段により提供される、請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記個々に変動可能な熱結合手段が、流体培地中へ電気伝導性非磁性粒子の分散、および前記分散部内に局所化したAC電場を形成しこれにより前記粒子間の電気的反発作用を形成する手段、各領域に対しこうした電場の一つを有し、そして前記電場の強度を独立して制御しこれにより各領域へ、前記熱電気モジュール対し独立的に制御された熱結合を提供する手段を含む、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記個々に変動可能な熱結合手段は、熱伝導性が磁場にて変化する磁気流体、および前記磁気流体内に局所的に磁場を形成する手段、各領域にこうした磁場の一つを有し、そして前記局所的に磁場の強度を独立して制御し、それにより各領域へ熱電気モジュール対し独立して制御された熱結合を提供するための手段を含む、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記個々に変動可能な熱結合手段が、前記領域の方へ熱電気モジュールを進行(urge)するよう局所的に圧力をかけ、そして前記局所的に圧力強度を独立して制御する手段、これにより前記熱電気モジュールへ独立して制御した熱結合を、各領域に提供する独立制御手段を含む、請求項12記載の装置。
【請求項16】
局所的に圧力をかける前記手段が、前記磁気材料、および局所的に磁場を前記磁気材料へかける手段、並びに前記独立した制御手段が前記局所的に磁場を独立して制御する手段を含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
局所的に圧力をかける前記手段が、圧電素子および前記圧電素子のそれぞれに電圧をかける手段、並びに前記独立した制御手段が前記電圧を独立して制御する手段を含む、請求項15記載の装置。
【請求項18】
前記反応帯域の空間配列(array)が、固定された平面配置(array)に結合された複数のウエルにて定義される請求項1記載の装置。
【請求項19】
前記ウエルが、熱伝導壁を有し、そして熱絶縁材料のフィラメントにて接続された個別の上部を開口した受容体部(receptacles)の、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記ウエルのそれぞれが曲がった断面形状(profile)を有する、請求項18記載の装置。
【請求項21】
前記ウエルのそれぞれが、弾性的に閉鎖した底部を有し、そして前記装置が、前記ウエルに対し形状及び空間配置に相補的凹み部(indentations)を伴う熱伝導性支持ブロックを含むが、前記ウエルが前記支持ブロックに対し圧縮された時、前記突き出し部が前記弾性閉鎖部に対し圧縮し、それにより前期突き出し部周辺に前記弾性閉鎖部を伸張し、前記突き出し部に相当する量だけ増大する内部表面積を前記各ウエルに提供するよう、配置された各凹み部(indentation)内の突き出し部を除く、請求項18記載の装置。
【請求項1】
反応帯域の空間配列の個別領域で独立した温度制御用装置において、
各領域にて分離したモジュールと前記領域に熱結合した複数の熱電気モジュール;
前記熱電気モジュールへ電気的に接続された電源;並びに
前記電源から各熱電気モジュールへの電力強度を独立して制御し、それにより別の領域と独立して各領域の温度を保持する手段;
を含む前記装置。
【請求項2】
隣接した領域から前記各領域を分離した熱絶縁手段をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記熱電気モジュールと、前記領域か熱シンク手段のいずれかとの間の熱結合を提供するよう配置された加熱パイプをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記加熱パイプが、前記熱電気モジュールと前記領域との間の熱結合を提供するよう配置された、請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記加熱パイプが、前記熱電気モジュールと前記熱シンク手段との間を熱結合するよう配置された、請求項2記載の装置。
【請求項6】
前記各加熱パイプが、熱受容端部、熱分散端部、作用流体、そして前記熱分散端部から前記熱受容端部へ前記作動流体を輸送する流体輸送手段を含む、請求項2記載の装置。
【請求項7】
前記各加熱パイプが、他の加熱パイプと独立して各加熱パイプにて、前記熱分散端部から熱受容端部へ作動流体の輸送量を独立して制御する、流体輸送制御手段をさらに含む、請求項6記載の装置。
【請求項8】
全ての熱電気モジュールに単一の共通熱シンクをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項9】
各熱電気モジュールに対し個々の熱シンクをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記熱絶縁手段が空気隙間(air gap)である、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記熱絶縁手段が、各隣接する領域の対間に配置された熱絶縁材料の固体障害物(barriers)を含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記熱電気モジュールと前記領域との間の前記熱結合が、個々に変動可能な複数の熱結合手段により提供される、請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記個々に変動可能な熱結合手段が、流体培地中へ電気伝導性非磁性粒子の分散、および前記分散部内に局所化したAC電場を形成しこれにより前記粒子間の電気的反発作用を形成する手段、各領域に対しこうした電場の一つを有し、そして前記電場の強度を独立して制御しこれにより各領域へ、前記熱電気モジュール対し独立的に制御された熱結合を提供する手段を含む、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記個々に変動可能な熱結合手段は、熱伝導性が磁場にて変化する磁気流体、および前記磁気流体内に局所的に磁場を形成する手段、各領域にこうした磁場の一つを有し、そして前記局所的に磁場の強度を独立して制御し、それにより各領域へ熱電気モジュール対し独立して制御された熱結合を提供するための手段を含む、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記個々に変動可能な熱結合手段が、前記領域の方へ熱電気モジュールを進行(urge)するよう局所的に圧力をかけ、そして前記局所的に圧力強度を独立して制御する手段、これにより前記熱電気モジュールへ独立して制御した熱結合を、各領域に提供する独立制御手段を含む、請求項12記載の装置。
【請求項16】
局所的に圧力をかける前記手段が、前記磁気材料、および局所的に磁場を前記磁気材料へかける手段、並びに前記独立した制御手段が前記局所的に磁場を独立して制御する手段を含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
局所的に圧力をかける前記手段が、圧電素子および前記圧電素子のそれぞれに電圧をかける手段、並びに前記独立した制御手段が前記電圧を独立して制御する手段を含む、請求項15記載の装置。
【請求項18】
前記反応帯域の空間配列(array)が、固定された平面配置(array)に結合された複数のウエルにて定義される請求項1記載の装置。
【請求項19】
前記ウエルが、熱伝導壁を有し、そして熱絶縁材料のフィラメントにて接続された個別の上部を開口した受容体部(receptacles)の、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記ウエルのそれぞれが曲がった断面形状(profile)を有する、請求項18記載の装置。
【請求項21】
前記ウエルのそれぞれが、弾性的に閉鎖した底部を有し、そして前記装置が、前記ウエルに対し形状及び空間配置に相補的凹み部(indentations)を伴う熱伝導性支持ブロックを含むが、前記ウエルが前記支持ブロックに対し圧縮された時、前記突き出し部が前記弾性閉鎖部に対し圧縮し、それにより前期突き出し部周辺に前記弾性閉鎖部を伸張し、前記突き出し部に相当する量だけ増大する内部表面積を前記各ウエルに提供するよう、配置された各凹み部(indentation)内の突き出し部を除く、請求項18記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13】
【公表番号】特表2007−503217(P2007−503217A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533292(P2006−533292)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/016025
【国際公開番号】WO2004/105947
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(591099809)バイオ−ラッド ラボラトリーズ,インコーポレイティド (79)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/016025
【国際公開番号】WO2004/105947
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(591099809)バイオ−ラッド ラボラトリーズ,インコーポレイティド (79)
【Fターム(参考)】
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