説明

反応性シラン基を有する湿気硬化性ポリエーテルウレタン及びその使用

湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンの製造であって、NCO:OH当量比1.5:1〜2.5:1にて、
a) ヒドロキシル成分であって、i)20〜100重量%の、ポリエーテルジオールと他のポリエーテルセグメント(ここで、ポリエーテルセグメントは、少なくとも3000のMn及び0.04ミリ当量/g未満の不飽和度を有し、但し、1分子当たりのポリエーテルセグメントのMnの和は平均して6000〜20,000となる)、及びii)0〜80重量%の、ポリエーテルモノオールと1000〜15,000のMnを有する他のポリエーテルセグメントを含有するものを、
b) イソシアネート成分であって、i)20〜100重量%のジイソシアネートと、ii)0〜80重量%のモノイソシアネートを含有するもの、
と反応させて、イソシアネート含有反応生成物を生成させ、これを当量比0.8:1〜1.1:1にて、
c) イソシアネート反応性基と反応性シラン基を含有する化合物であって、式:


で示される化合物と反応させることを含んでなる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性シラン基を含有する湿気硬化性ウレタンを、低不飽和度を有するポリエーテルポリオールから製造する方法、及びこれらのポリウレタンのシーリング材、接着剤及び塗料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シラン末端ポリウレタン(STP)とも称される反応性シラン基含有ポリエーテルウレタン及びそのシーリング材及び接着剤としての使用は、既知であって、例えば、米国特許第5,554,709号;第4,857,623号;第5,227,434号及び第6,197,912号;並びに国際公開第02/06367号に記載されている。シラン末端ポリウレタンは様々な方法で製造し得る。ある方法では、シラン末端ポリウレタンは、ジイソシアネートをポリエーテルポリオールと反応させてイソシアネート末端プレポリマーを生成し、次いでこれをアミノシランと反応させてシラン末端ポリウレタンを生成させることによって製造される。シーリング材もまた、不飽和モノオールをジイソシアネートと反応させて不飽和末端基含有中間体を生成し、次いでこれらの不飽和基をヒドロシリル化によってアルコキシシラン基に変化させることによって製造される。別の方法では、シーリング材は、ポリエーテルジオールとイソシアナトシランとの反応によって一段階で製造される。
【0003】
シーリング材として有用であるためには、シラン末端ポリウレタンは6000〜20,000の数平均分子量を有するべきである。この分子量を得る一方法としては、KOH法によって製造された分子量2000のポリエーテルジオールを用いてイソシアネート末端プレポリマーを製造する方法が挙げられる。ウレタン基が存在すると高粘度の生成物を生じる。適当な塗布粘度を達成するために、多量の可塑剤と少量の充填材を添加することにより高い粘度を減少させるが、その結果、高価なシーリング材生成物となってしまう。
【0004】
高分子量のシーリング材を得る別の方法としては、低不飽和度を有し、欧州特許出願公開第0,546,310号、欧州特許出願公開第0,372,561号及びドイツ特許出願公開第19,908,562号に記載された特定の触媒を用いて製造された高分子量ポリエーテルジオールを用いる方法が挙げられる。このようなポリエーテルジオールを用いると、得られるシーリング材は優れた引張強度を有するものの、伸びが低すぎ、また100%モジュラスが高すぎるため、シーリング材は多くの用途にとって脆すぎる。
【0005】
多官能性と単官能性のシラン末端ポリウレタンの混合物に由来するシーリング材の製造は、既知であって、米国特許第5,554,709号及び第4,857,623号並びに国際公開第02/06367号に記載されている。しかし、これらの文献には、アスパラギン酸塩官能性シランを有する低不飽和度のポリエーテルポリオールを用いてシーリング材を製造することが開示されていない。
【0006】
アスパラギン酸塩官能性シランに由来するシラン末端ポリエーテルウレタンの製造は、米国特許第5,364,955号及び国際公開第98/18843号に開示されている。上記いずれの文献でも、ポリエーテルウレタンの製造に用いられるポリエーテルは、低不飽和度を有さない。また、多官能性と単官能性のシラン末端ポリウレタンの混合物は開示されていない。最後に、後者の文献では、ポリエーテルは15〜40重量%のエチレンオキシド単位を含有しなければならない。
【0007】
国際公開第00/26271号には、アスパラギン酸塩官能性シランを有する低不飽和度のポリエーテルポリオールに由来するシラン末端ポリエーテルウレタンの製造が開示されている。ジイソシアネートを高分子量ポリエーテルジオールと反応させてNCOプレポリマーを生成し、次いでこれをアスパラギン酸塩官能性シランでキャップしてシラン末端ポリエーテルウレタンを生成させることによって、生成物を得るものである。この出願には、ジシラン末端ポリエーテルウレタンと1個の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンとの混合物は開示されていない。
【0008】
米国特許第6,265,517号には、アスパラギン酸塩官能性シランを有する低不飽和度ポリエーテルポリオールからシラン末端ポリエーテルウレタンを製造する同様の方法が記載されている。該特許では、31モル%未満のモノオール含量を有する出発ポリオールが必要とされ、モノオールがイソシアネートと反応することによってプレポリマーの架橋と硬化を減少させるため、比較的高いモノオール含量は極めて不都合であることが教示されている。該特許ではまた、アルキル基がそれぞれ4個を超える炭素原子を含有するマレイン酸ジアルキルからアスパラギン酸シランを製造することを必要としている。
【0009】
欧州特許第0,372,561号は、低不飽和度のポリエーテルポリオールから製造される反応性シラン基含有ポリエーテルウレタンを開示する。また、1個の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンが開示されている。この出願は、反応性シラン基を組み込むためにアスパラギン酸塩官能性シランを用いることを開示しない。
【0010】
同時に係属する出願である第10/160,479号、第10/174,039号、第10/173,919号、及び第10/160,364号において、上記シーリング材の不備は克服されており、そこには、2個以上の反応性シラン基を有するポリエーテルウレタンと1個の反応性シラン基を有するポリエーテルウレタンの両方を含んでなる湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンが開示されている。該湿気硬化性ポリエーテルウレタンは、高い引張強度と伸びを持ち、既存生成物と比較して減少した100%モジュラスを有するシーリング材、接着剤及び塗料としての使用に適している。
【0011】
同時に係属する該出願では、2個以上の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタン成分は、低不飽和度の高分子量ポリエーテルポリオールから製造される。
【0012】
さらに、2つの成分の少なくとも1つに存在する反応性シラン基の少なくとも一部が、第2級アミノ基含有シランを使用することによって組み込まれる。最後に、同時に係属する出願中に記載されたポリエーテルウレタン成分は、別々に製造され、次いで、ブレンドされて、本発明による湿気硬化性ポリエーテルウレタンを生成する。
【0013】
これらの湿気硬化性ポリエーテルウレタンの不都合の一つは、ブレンドされた生成物は低粘度を有するにもかかわらず、2個以上の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタン成分は高い粘度を有し、低粘度の生成物よりも製造が困難なことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
よって、本発明の課題は、より低い製造粘度で製造でき、しかも同時に係属する出願中に開示されたポリエーテルウレタンの価値ある全特性を保持する、即ち、精製物が、高い引張強度と伸びを持ち、減少した100%モジュラスを有するシーリング材、接着剤及び塗料としての使用に適する湿気硬化性ポリエーテルウレタンを提供することである。
【0015】
この課題は、2個以上の反応性シラン基を有するポリエーテルウレタン成分と1個の反応性シラン基を有するポリエーテルウレタン成分の混合物を含有する湿気硬化性ポリエーテルウレタンを、別々に製造して混合する代わりに同時に製造する、本発明の方法によって達成し得る。
【0016】
本発明の方法に従って得られるポリエーテルウレタンは、同時に係属する出願によって得られた生成物と同様の特性を持つのは、驚くべきことである。なぜなら、より多くの種類の副生成物が本発明によって得られ、これらの副生成物が存在すると、湿気硬化性ポリウレタンの価値ある特性に影響を及ぼさないとは予期し得ないからである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、
湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンの製造方法であって、
NCO:OH当量比1.5:1〜2.5:1にて、
a) ヒドロキシル成分であって、
i) 成分a)の重量に基づき20〜100重量%の、2個のヒドロキシル基及び1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルであって、ここで、
ポリエーテルセグメントは、少なくとも3000の数平均分子量及び0.04ミリ当量/g未満の不飽和度を有し、但し、1分子当たりの全ポリエーテルセグメントの数平均分子量の和は平均して6000〜20,000となるポリエーテルと、
ii) 成分a)の重量に基づき0〜80重量%の、1個のヒドロキシル基及び1000〜15,000の数平均分子量を有する1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテル
を含有するものを、
b) イソシアネート成分であって、
i) 成分b)の重量に基づき20〜100重量%の、2個のイソシアネート基を含有する化合物と、
ii) 成分b)の重量に基づき0〜80重量%の、1個のイソシアネート基を含有する化合物
を含有するもの、
と反応させて、イソシアネート含有反応生成物を生成させ、
次いで、この反応生成物を、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の当量比0.8:1〜1.1:1にて、
c) イソシアネート反応性基と1個以上の反応性シラン基を含有する化合物であって、成分c)の少なくとも10モル%は式:
【化1】

〔式中、
Xは、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な同じまたは異なる有機基を表し、但し、これらの基の少なくとも2つはアルコキシ又はアシルオキシ基であり、
Yは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝状アルキレン基を表し、
R1は、100℃の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基、又は、式II:
【化2】

で示される基を表す。〕
で示される化合物、
と反応させて、湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンを生成させる(但し、a-ii)及びb-ii)の総百分率は合計で少なくとも10となる)ことを含んでなる、方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明によると、用語「反応性シラン基」は、置換基「X」によって定義される少なくとも2個のアルコキシ又はアシルオキシ基を含有するシラン基を意味する。2個又は3個のアルコキシおよび/またはアシルオキシ基を含有するシラン基は、1個の反応性シラン基と見なされる。また、ウレタンは、1個又はそれ以上のウレタンおよび/または尿素基を含有する化合物である。これらの化合物は、好ましくは1個又はそれ以上のウレタン基を含有し、場合により尿素基を含有してよい。より好ましくは、これらの化合物はウレタン及び尿素基の両方を含有する。
【0019】
湿気硬化性ポリエーテルウレタンを製造するために用いられるイソシアネート含有反応生成物は、様々な方法で製造し得る。例えば、ポリエーテルジオールa-i)とポリエーテルモノオールa-ii)の混合物を過剰のジイソシアネートb-i)と反応させて、NCOプレポリマーと、1モルのジイソシアネートと1モルのポリエーテルモノオールの反応により生じたモノイソシアネートを含有するイソシアネート含有反応生成物を生成させることによって、製造することができる。この実施態様では、ポリエーテルモノオールa-ii)は、成分a)の重量に基づき、少なくとも10重量%の量で存在する。
【0020】
別の実施態様では、イソシアネート含有反応生成物は、ポリエーテルジオールa-i)を、過剰のジイソシアネートb-i)及びモノイソシアネートb-ii)と反応させて、NCOプレポリマーと、1モルのモノイソシアネートと1モルのポリエーテルジオールの反応により生じたモノイソシアネートを含有するイソシアネート含有反応生成物を生成させることによって、製造することができる。この実施態様では、モノイソシアネートb-ii)は、成分b)の重量に基づき、少なくとも10重量%の量で存在する。
【0021】
ポリエーテルモノオールa-ii)とモノイソシアネートb-ii)の両方が存在する前記方法を組み合わせて使用することも可能である。
【0022】
イソシアネート含有反応生成物は、イソシアネート成分をポリエーテル成分と、1.5:1〜2.5:1、好ましくは1.8:1〜2.2:1、より好ましくは1.9:1〜2.1:1、最も好ましくは2:1のNCO:OH当量比で反応させることにより製造される。1モルのイソシアネート成分を、ヒドロキシル基の各当量につき反応させるのが、とりわけ好ましい。
【0023】
ジイソシアネートb-i)、ポリエーテルジオールa-i)及びポリエーテルモノオールa-ii)から、NCO:OH当量比2:1でイソシアネート含有反応生成物を製造する際、反応混合物には、ジイソシアネートとジオールの2/1付加物;少量のより高い分子量のオリゴマー、例えば3/2付加物;モノオールとジイソシアネートの1/1付加物であるモノイソシアネート;モノオール2分子とジイソシアネート1分子の反応により生じる非官能性ポリマー;ジオールとモノオールの両方を含有する様々な生成物;及び、少量の未反応ジイソシアネートが含まれ、これらは、例えば、蒸留によって除去でき、若しくは、反応混合物中に残存し得る。
【0024】
本発明による湿気硬化性ポリエーテルウレタンを生成させるために、イソシアネート含有反応生成物は、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の当量比0.8:1〜1.1:1、好ましくは0.9:1〜1.05:1、より好ましくは約1:1で、反応性シラン基を含有する化合物c)と反応させる。
【0025】
過剰のジイソシアネートb)をアミノシランc)と反応させてモノイソシアネートを生じさせ、次いで、得られたモノイソシアネートをポリエーテルa-i)とa-ii)の混合物と反応させてポリエーテルウレタンを生じさせることによって、湿気硬化性ポリエーテルウレタンを製造してもよい。
【0026】
本発明の方法によって得た湿気硬化性ポリエーテルウレタンは、2個以上、好ましくは2個の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンA)、及び1個の反応性シラン基を含有するポリエーテルウレタンB)を含む。未反応イソシアネートb)とアミノシランc)の反応生成物であるポリマーC)も、存在する。ポリマーC)は、好ましくは、5重量%未満の量で存在する。
【0027】
反応混合物は、モノオール2分子とジイソシアネート1分子、モノイソシアネート2分子とジオール1分子、又は、モノオール1分子とモノイソシアネート1分子の反応によって生成する非官能性ポリマーD)も含有する。非官能性ポリマーD)は、一般に、30重量%未満の量で存在する。
【0028】
本発明によれば、NCO:OH当量比を調節して、前述の反応物質から生じる追加量の非官能性ポリマーD)を生成させることも可能である。これらのポリマーは、反応混合物に残存して、その後に本発明による湿気硬化性ポリエーテルウレタンを使用する間、可塑剤として機能する。
【0029】
成分a-i)として使用するのに適当なポリエーテルには、2個のヒドロキシル基を含有するポリエーテルと、必要に応じ、成分a-i)の重量に基づき20重量%までの2個を超えるヒドロキシル基を含有するポリエーテルが含まれる。本発明のある実施態様では、ポリエーテルは1以上の、ある場合には1つのポリエーテルセグメントを含有する。ポリエーテルセグメントは、少なくとも3000の、ある場合には少なくとも6000の、他の場合には少なくとも8000の数平均分子量を有する。また、ポリエーテルセグメントの数平均分子量は、20,000まで、ある場合には15,000まで、他の場合には12,000までであってよい。ポリエーテルセグメントの数平均分子量は変化することができ、上記値の任意間の範囲をとり得る。非限定的な例として、ポリエーテルセグメントが数平均分子量3000を有するとき、1分子当たりの全ポリエーテルセグメントの数平均分子量が、平均して6000〜20,000となるように、2以上のこれらのセグメントが存在しなければならない。
【0030】
ポリエーテルは、0.04ミリ当量/g(meq/g)未満の、ある場合には0.02meq/g未満の、他の場合には0.01meq/g未満の、ある状況下では0.007meq/g以下の最大総不飽和度を有する。不飽和量は、ポリエーテルの製造に用いた方法、並びにポリエーテルの分子量に応じて変化し得る。このようなポリエーテルジオールは既知であり、適当なスターター分子のプロポキシル化によって製造し得るが、この例に限定されない。別の非限定的な例としては、少量(ポリオール重量を基準に20重量%まで)のエチレンオキシドを用いることができる。エチレンオキシドを用いる場合、ポリプロピレンオキシド基のための、又はこれをキャップするための開始剤として、エチレンオキシドを用いることができる。適当なスターター分子の非限定的な例には、エチレン グリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6 ヘキサンジオール及び2-エチルヘキサンジオール-1,3などのジオールが含まれる。ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールもまた適当である。
【0031】
ポリエーテルポリオールの適当な製造方法は既知であって、例えば、EP-A 283 148、US-A 3,278,457、US-A 3,427,256、US-A 3,829,505、US-A 4,472,560、US-A 3,278,458、US-A 3,427,334、US-A 3,941,849、US-A 4,721,818、US-A 3,278,459、US-A 3,427,335、及びUS-A 4,355,188に記載されている。複合金属シアン化物を触媒として用いてこれを製造するのが好適である。
【0032】
ポリエーテルポリオールに加えて、32〜500の分子量を有する低分子量の二価及び三価アルコールを少量(ポリオール重量を基準に20重量%まで)、用いることもできる。適当な例には、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン又はトリメチロールプロパンが含まれる。しかし、低分子量アルコールの使用はさほど好適なわけではない。
【0033】
ポリエーテルa-i)は、100重量%までの量で存在する。ポリエーテルモノオールa-ii)を単一の単官能性成分として用いるとき、ポリエーテルa-i)は、20重量%、好ましくは30重量%、より好ましくは40重量%の最小量で存在し、90重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは70重量%の最大量で存在する。上記百分率は、ポリエーテルa)の全重量に基づく。
【0034】
適当なポリエーテルモノオールa-ii)は、1000〜15,000、好ましくは3000〜12,000、より好ましくは6000〜12,000の数平均分子量を有するポリエーテルモノオールである。ポリエーテルモノオールは、単官能性の出発化合物をアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシド、より好ましくはプロピレンオキシドでアルコキシル化することによって製造される。エチレンオキシドを用いる場合、ポリエーテルの重量に基づき、40重量%までの量でこれを使用する。KOH法により又は混合金属シアン化物触媒によってポリエーテルを製造することが好ましい。後者の方法により、低不飽和度の生成物が得られる。
【0035】
好適には、ポリエーテルは、0.04 ミリ当量/g(meq/g)未満の、ある場合には0.02meq/g未満の、他の場合には0.01meq/g未満の、ある状況では0.007meq/g以下の最大総不飽和度を有する。不飽和量は、ポリエーテルを製造するために用いた方法、並びにポリエーテルの分子量によって変化する。これらのポリエーテルモノオールは、既知であって、ポリエーテルポリオールを製造するための前述の方法によって製造できるが、非限定的な例としては、適当なスターター分子のプロポキシル化による方法が挙げられる。非限定的な別の例において、少量(ポリオール重量に基づき20重量%まで)のエチレンオキシドを使用することもできる。ポリエーテルa-i)と同様に、エチレンオキシドを用いる場合、ポリプロピレンオキシド基用の又はこれをキャップするための開始剤としてこれを使用できる。
【0036】
適当なスターター分子の例には、脂肪族、脂環式及び芳香脂肪族アルコール、フェノール及び置換フェノール、例えばメタノール、エタノール、異性体のプロパノール、ブタノール、ペンタノール及びヘキサノール、シクロヘキサノール並びにより高分子量の化合物、例えばノニルフェノール、2-エチルヘキサノール及びC12〜C15の直鎖第1級アルコール混合物(Neodol 25、Shellから市販)が含まれる。例えばアリルアルコールなどの不飽和アルコール;及び例えばヒドロキシ酢酸エチル及びヒドロキシエチルアクリレートなどのヒドロキシ官能性エステルも、適当である。より高分子量のモノヒドロキシ化合物、とりわけノニルフェノール及びC12〜C15の直鎖第1級アルコール混合物が好ましい。
【0037】
ポリエーテルa-ii)が単一の単官能性成分として存在するとき、10重量%、より好ましくは20重量%、最も好ましくは30重量%の最小量で存在し、80重量%、好ましくは70重量%、より好ましくは60重量%の最大量で存在することが好ましい。上記の百分率は、ポリエーテルa)の全重量に基づく。
【0038】
適当なイソシアネートb-i)には、式:R(NCO)2〔式中、Rは、分子量が112〜1,000、好ましくは140〜400の有機ジイソシアネートからイソシアネート基を除去することによって得られる有機基を表す。〕で表される既知の有機ジイソシアネートモノマーが含まれる。好適なジイソシアネートは、Rが、4〜18個の炭素原子を有する二価の脂肪族炭化水素基、5〜15個の炭素原子を有する二価の脂環式炭化水素基、7〜15個の炭素原子を有する二価の芳香脂肪族炭化水素基、又は6〜15個の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基を表す、上記式によって示されるものである。
【0039】
適当な有機ジイソシアネートの例には、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-及び-1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-2-イソシアナトメチルシクロペンタン、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、ビス-(4-イソシアナト-シクロヘキシル)-メタン、1,3-及び1,4-ビス-(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、ビス-(4-イソシアナトシクロ-ヘキシル)-メタン、2,4'-ジイソシアナト-ジシクロヘキシルメタン、ビス-(4-イソシアナト-3-メチル-シクロヘキシル)-メタン、α,α,α',α'-テトラメチル-1,3-および/または-1,4-キシリレンジイソシアネート、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロ-トルイレンジイソシアネート、1,3-および/または1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、2,4-および/または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート及び1,5-ジイソシアナトナフタレン、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0040】
3個又はそれ以上のイソシアネート基を含有するポリイソシアネートモノマー、例えば4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネート、例えば4,4',4"-トリフェニルメタントリイソシアネート、及びアニリン/ホルムアルデヒド縮合物をホスゲン化することによって得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートも、イソシアネートb)の重量に基づき20重量%までの量で用い得る。上記のポリイソシアネートモノマーから製造され、イソシアヌレート、ウレットジオン、ビウレット、ウレタン、アロファネート、イミノオキサジアジンジオン、カルボジイミドおよび/またはオキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート付加物も、上記のものほど好適ではないが適当である。
【0041】
好適なジイソシアネートには、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)-メタン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、α,α,α',α'-テトラメチル-1,3-および/または-1,4-キシリレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、並びに2,4-および/または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートが含まれる。とりわけ、イソホロンジイソシアネート、2,4-トルイレンジイソシアネート、並びに2,4-及び2,6-トルイレンジイソシアネートの混合物が好適である。
【0042】
ジイソシアネートb-i)は、100重量%までの量で存在する。モノイソシアネートb-ii)を単一の単官能性成分として用いるとき、ジイソシアネートb-i)は、20重量%、好ましくは30重量%、より好ましくは40重量%の最小量で存在し、90重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは70重量%の最大量で存在する。上記百分率は、イソシアネートb)の全重量に基づく。
【0043】
適当なイソシアネートb-ii)には、式:R(NCO)〔式中、Rは、有機ジイソシアネートに関して前記したように定義される。〕で示されるものが含まれる。適当なモノイソシアネートには、前記したジイソシアネートで示されるものが含まれる。例えば、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、2-エチルヘキシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート及びベンジルイソシアネートが挙げられる。
【0044】
モノイソシアネートb-ii)が単一の単官能性成分として存在するとき、好ましくは、10重量%、より好ましくは20重量%、最も好ましくは30重量%の最小量で存在し、80重量%、好ましくは70重量%、より好ましくは60重量%の最大量で存在する。上記百分率は、イソシアネートb)の全重量に基づく。
【0045】
反応性シラン基を含有する適当な化合物c)は、式I
【化3】

〔式中、
Xは、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な同じまたは異なる有機基を表し、但し、これらの基の少なくとも2つはアルコキシ又はアシルオキシ基であり、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基、より好ましくはアルコキシ基であり、
Yは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝状アルキレン基、好ましくは2〜4個の炭素原子を含有する直鎖基又は5〜6個の炭素原子を含有する分枝基、より好ましくは3個の炭素原子を含有する直鎖基を表し、
R1は、100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基(但し、R1はサクシネート基ではない)、好ましくは1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又は芳香族基、より好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又は芳香族基を表し、若しくは、R1は、式II:
【化4】

で示される基を表す。〕
で示される化合物である。
【0046】
Xがメトキシ、エトキシ基又はプロポキシ基、より好ましくはメトキシ又はエトキシ基を表し、Yが3個の炭素原子を含有する直鎖基である化合物が、とりわけ好適である。
【0047】
第2級アミノ基を含有する式Iの適当なアミノアルキルアルコキシシラン及びアミノアルキルアシルオキシシランの例には、N-フェニルアミノプロピル-トリメトキシシラン(OSI CorporationからA-9669として市販)、ビス-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン(OSI CorporationA-1170として市販)、N-シクロヘキシルアミノプロピル-トリエトキシシラン、N-メチルアミノプロピル-トリメトキシシラン、N-ブチルアミノプロピル-トリメトキシシラン、N-ブチルアミノプロピル-トリアシルオキシシラン、3-(N-エチル)アミノ-2-メチルプロピル-トリメトキシシラン、4-(N-エチル)アミノ-3,3-ジメチルブチル-トリメトキシシラン、及び対応するアルキルジエトキシ、アルキルジメトキシ及びアルキルジアシルオキシシラン、例えば3-(N-エチル)アミノ-2-メチルプロピル-メチルジメトキシシランが含まれる。
【0048】
アルコキシシラン基を含有し、化合物c)としての使用に特に好適な、式Iに対応する化合物の特定の群は、アスパルテート基を含有し、式III:
【化5】

〔式中、
X及びYは、上記に定義したものであり、
R2及びR5は、同じまたは異なる、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な有機基、好ましくは、1〜9個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル或いはブチル基を表し、
R3及びR4は、同じまたは異なる、水素又は100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基、好ましくは水素を表す。〕
で示されるものである。
【0049】
式IIIの化合物は、式IV:
【化6】

で示されるアミノシランを、式V:
【化7】

で示されるマレイン酸或いはフマル酸のエステルと反応させることによって製造される。
【0050】
式IVで示される適当なアミノアルキルアルコキシシランとアミノアルキルアシルオキシシランの例には、3-アミノプロピル-トリアシルオキシシラン、3-アミノプロピル-メチルジメトキシシラン;6-アミノヘキシル-トリブトキシシラン;3-アミノプロピル-トリメトキシシラン;3-アミノプロピル-トリエトキシシラン;3-アミノプロピル-メチルジエトキシシラン;5-アミノペンチル-トリメトキシシラン;5-アミノペンチル-トリエトキシシラン:4-アミノ-3,3-ジメチルブチル-トリメトキシシラン;及び3-アミノプロピル-トリイソプロポキシシランが含まれる。3-アミノプロピル-トリメトキシシラン及び3-アミノプロピル-トリエトキシシランは特に好適である。
【0051】
アスパラギン酸シランを製造するのに適当な、場合により置換されてよいマレイン酸或いはフマル酸エステルの例には、ジメチル、ジエチル、ジブチル(例えば、ジ-n-ブチル)、ジアミル、ジ-2-エチルヘキシルエステル、並びにこれら、および/またはマレイン酸及びフマル酸の他のアルキル基の混合物に基づく混合エステル;及び2位および/または3位でメチル置換された対応するマレイン酸及びフマル酸エステルが含まれる。マレイン酸のジメチル、ジエチル及びジブチルエステルが好ましいが、ジエチルエステルが、とりわけ好ましい。
【0052】
第1級アミンとマレイン酸或いはフマル酸エステルを反応させて式IIIのアスパラギン酸シランを生成させることは、既知であって、例えば、米国特許第5,364,955号に記載されており、ここに引用することによって、その内容は本明細書の一部分を構成するものとする。
【0053】
式Iで示される化合物は、成分c)として好ましく用いられる。本発明の利益を得るためには、該化合物は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%の量で存在すべきである。本発明により必要とされる式Iの化合物に加え、成分c)は、式Iに相当しないアミノシラン、例えば式IVで示される第1級アミノシランも含み得る。
【0054】
本発明の方法によって得られた組成物は、水又は湿気の存在下で硬化させて、被覆物、接着剤又はシーリング材を製造できる。該組成物は、アルコキシシラン基の加水分解に由来する「シラン重縮合」によって硬化してSi-OH基を生成し、次いで、これがSi-OH又はSi-OR基のいずれかと反応して、シロキサン基(Si-O-Si)を生成する。
【0055】
適当な酸又は塩基触媒を、硬化反応を促進するために使用してよい。その例には、例えばパラトルエンスルホン酸などの酸;ジブチル錫ジラウレートなどの金属塩;トリエチルアミン又はトリエチレンジアミンなどの第3アミン;及びこれらの触媒の混合物が含まれる。前述した低分子量の塩基性アミノアルキルトリアルコキシシランも、本発明による化合物の硬化を加速させる。
【0056】
一般に、1成分組成物は、特定の用途に応じて、無溶媒であるか、1成分組成物の重量を基準に70%まで、好ましくは60%の有機溶媒を含有するかのどちらかである。適当な有機溶媒には、ポリウレタン化学又は塗料化学から既知の溶媒が含まれる。
【0057】
該組成物は、既知の添加剤、例えば均展材、湿潤剤、流れ調整剤、皮張り防止剤、消泡剤、充填材(白亜、石灰、粉末、沈降および/または焼成シリカ、ケイ酸アルミニウム及び高沸点ワックスなど)、粘度調節剤、可塑剤、顔料、染料、UV吸収剤及び熱分解と酸化分解に対する安定剤などを含有してもよい。
【0058】
1成分組成物は、例えば木、プラスチック、革、紙、繊維製品、セラミック、石膏、組積造、金属及びコンクリートなど、任意の所望の基材に使用してよい。該組成物は、標準的方法、例えば吹付、散布、フラッディング、キャスティング、浸漬、ロール塗り及び押出によって塗布することができる。
【0059】
1成分組成物は、周囲温度又は高温で硬化することができる。好ましくは、湿気硬化性組成物は、周囲温度で硬化される。
【0060】
本発明を更に説明するが、以下の実施例によって何ら限定されることを意図しない。実施例中、全ての部及び百分率は、特記しない限り重量による。
【実施例】
【0061】
シラン官能性アスパラギン酸塩1の調製
米国特許第4,364,955号に従って、アスパラギン酸塩樹脂を調製した。撹拌機、熱電対、窒素入口及び冷却器付き添加漏斗を装備した5リットルフラスコへ、1483g(8.27当量)の3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(Silquest A-1110、OSI Corporationから市販)を添加した。添加漏斗を用いて、2時間かけて1423.2g(8.27当量)のマレイン酸ジエチルを入れた。添加の間、反応器の温度を25℃に維持した。更に5時間、反応器を25℃に保ち、生成物をガラス容器中へ流し込み、窒素ブランケット下でシールした。一週間後、不飽和数は0.6であり、反応が〜99%完結していることを示していた。
【0062】
ポリエーテルジオール1
官能価2及び当量5783を有するポリオキシプロピレンジオール(Acclaim 12200 (不飽和度=0.007meq/g)、Bayer Corporationから市販)。
【0063】
ポリエーテルモノオール2
ノニルフェノール(183g、0.89当量)をステンレス製反応器へ充填した。ヘキサシアノコバルト酸亜鉛-tert-ブチルアルコール錯体(0.143g、米国特許第5,482,908号に記載されたように製造)を添加し、混合物を撹拌しながら真空下で130℃にて1時間加熱して、ノニルフェノールスターターから水の痕跡を除去した。プロピレンオキシド(6407g、145.6当量)を反応器中へ6時間かけて導入した。エポキシド添加を完了した後、更なる圧力減少が生じなくなるまで混合物を130℃に加熱した。生成物を真空ストリッピングし、次いで、反応器から抜き出した。得られたポリエーテルは、OH価8.5、当量6612、及び官能価1を有していた。
【0064】
実施例1 - 74:26ジオール:モノオール混合物から、その場でのシラン末端ポリウレタン(STP)1の製造

撹拌機、窒素入口、冷却器、ヒーター及び添加漏斗を、2リットル丸底フラスコに装備した。フラスコ中へ、イソホロンジイソシアネート36.2g(0.33当量)、ポリエーテルジオール1を733.9g(0.13当量)、ポリエーテルモノオール2を264.5g(0.04当量)、及びジブチル錫ジラウレート0.23gを充填した。NCO含有量が0.57%(理論値=0.66%)となるまで、反応物を60℃へ8時間加熱した。59.7g(0.16当量)のシラン官能性アスパラギン酸塩1を添加し、IRスペクトルで測定して残存NCOがなくなるまで、フラスコを60℃で更に1時間加熱した。湿気捕捉剤としてビニルトリメトキシシラン5.5gを添加した。得られた生成物は、25℃で34,700mPa.sの粘度を有していた。
【0065】
実施例2 - 60:40ジオール:モノオール混合物から、その場でのシラン末端ポリウレタン(STP)2の製造

撹拌機、窒素入口、冷却器、ヒーター及び添加漏斗を、2リットル丸底フラスコに装備した。フラスコ中へ、イソホロンジイソシアネート35.33g(0.32当量)、ポリエーテルジオール1を602.3g(0.10当量)、ポリエーテルモノオール2を400.5g(0.06当量)、及びジブチル錫ジラウレート0.22gを充填した。NCO含有量が0.61%(理論値=0.64%)となるまで、反応物を60℃へ8時間加熱した。51.6g(0.16当量)のシラン官能性アスパラギン酸塩1を添加し、IRスペクトルで測定して残存NCOがなくなるまで、フラスコを60℃で更に1時間加熱した。湿気捕捉剤としてビニルトリメトキシシラン5.5gを添加した。得られた生成物は、25℃で31,500mPa.sの粘度を有していた。
【0066】
実施例3 - 50:50ジオール:モノオール混合物から、その場でのシラン末端ポリウレタン(STP)3の製造

イソホロンジイソシアネート34.55g(0.31当量)、ポリエーテルジオール1を502.0g(0.087当量)、ポリエーテルモノオール2を502.2g(0.069当量)、及びシラン官能性アスパラギン酸塩1を56.9g(0.16当量)使用したこと以外は、実施例2を繰り返した。得られた生成物は、25℃で39,000mPa.sの粘度を有していた。
【0067】
実施例4 - 40:60ジオール:モノオール混合物から、その場でのシラン末端ポリウレタン(STP)4の製造

イソホロンジイソシアネート95.1g(0.43当量)、ポリエーテルジオール1を1134g(0.20当量)、ポリエーテルモノオール2を1700.4g(0.233当量)、及びシラン官能性アスパラギン酸塩1を160.2g(0.43当量)使用したこと以外は、実施例2を繰り返した。得られた生成物は、25℃で27,700mPa.sの粘度を有していた。
【0068】
実施例5 (比較) - シラン末端ポリウレタン(STP)5の製造

5リットル丸底フラスコに、撹拌機、窒素入口、冷却器、ヒーター及び添加漏斗を装備した。フラスコ中へ、イソホロンジイソシアネート139.3g(1.26当量)、ポリエーテルジオール1を3643.3g(0.63当量)、及びジブチル錫ジラウレート0.8gを充填した。NCO含有量が0.72%(理論値=0.70%)となるまで、反応物を60℃へ3時間加熱した。229.8g(0.63当量)のシラン官能性アスパラギン酸塩1を添加し、IRスペクトルで測定して残存NCOがなくなるまで、フラスコを60℃で更に1時間加熱した。湿気捕捉剤としてビニルトリメトキシシラン20gを添加した。得られた生成物は、25℃で73,000mPa.sの粘度を有していた。
【0069】
実施例6 (比較) - シラン末端ポリウレタン(STP)6の製造

5リットル丸底フラスコに、撹拌機、窒素入口、冷却器、ヒーター及び添加漏斗を装備した。フラスコ中へ、イソホロンジイソシアネート150.9g(1.14当量)、ポリエーテルモノオール2を3664.1g(0.57当量)、及びジブチル錫ジラウレート0.6gを充填した。NCO含有量が0.65%(理論値=0.63%)となるまで、反応物を60℃へ3時間加熱した。202.2g(0.57当量)のシラン官能性アスパラギン酸塩1を添加し、IRスペクトルで測定して残存NCOがなくなるまで、フラスコを60℃で更に1時間加熱した。湿気捕捉剤としてビニルトリメトキシシラン20gを添加した。得られた生成物は、25℃で16,100mPa.sの粘度を有していた。
【0070】
シランシーリング材の調製
以下の標準的な処方と手順を用いて、その場で製造された上記STPをシーリング材に調製した。比較のSTP5及び6は、70:30の比率で調製した。
【0071】
手順
以下は、試験用STPの全てを調製するために使用した、標準的なシーリング材の処方及び手順である。各配合成分について示した値は、配合物総重量に対する重量%である。高速遠心ミキサーを用いて、以下に示すステップで配合成分を混合した。各混合時間は、2200rpmの速度で1分の長さであった。
【0072】
ステップ1:
下記成分を、クリーンで乾燥した混合容器へ充填した。
STP(ブレンド) 37.5
可塑剤 17.5
接着促進剤 0.8
触媒 0.1
乾燥剤 0.5
内容物を、2200rpmの速度で長さ1分、混合した。
【0073】
ステップ2:
充填材の一部を混合容器へ添加した。
充填材 23.6
内容物を、2200rpmの速度で1分、混合した。
【0074】
ステップ3:
残りの充填材を混合容器へ添加した。
充填材 20.0
内容物を、2200rpmの速度で長さ1分、混合した。
【0075】
ステップ4:
混合容器の側面をこすり取り、内容物を2200rpmの速度で更に1分間混合し、充填材の全てを混合物中へ混合した。
【0076】
ステップ5:
得られた生成物を、完全真空下(>28mmHg)、50℃で1時間脱気した。材料を即座に使用した。
【0077】
Exxon Jayflex DIDPを可塑剤として使用した。アミノシラン(Silquest A-1120、OSI Corporationから市販)を接着促進剤として使用した。ビニルトリメトキシシラン(Silquest A-171、OSI Corporationから市販)を乾燥剤として使用した。使用した充填材は、Specialty Minerals Ultra P Flex 沈降カルシウムカーボネート(平均粒度0.07ミクロン)であった。使用した触媒はジブチル錫ジラウレートであった。
【0078】
シランシーリング材の硬化及び試験
シーリング材配合物を0.25インチ厚のポリエチレンシート上へキャストし、20℃、50%相対湿度の標準条件で、試験前に少なくとも2週間硬化させた。引張強度、伸び%及び100%モジュラスは、ASTM D 412に準じて測定した。結果を下表に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
本発明による生成物は比較用のシーリング材中には存在しない副生成物を含有するにもかかわらず、本発明によるその場(in-situ)法によって製造された生成物についてのシーリング材特性は、シーリング材組成物中で使用するシラン末端ポリウレタンを別個に製造してブレンドすることによって得られた特性に匹敵することを、上記実験例は実証している。
【0081】
本発明は、例示目的のために上記のように詳細に記載したが、その詳細は単にその目的のためだけであって、クレームによって限定され得ること以外は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当該分野における熟練者によって変更が成され得るものと解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンの製造方法であって、
NCO:OH当量比1.5:1〜2.5:1にて、
a) ヒドロキシル成分であって、
i) 成分a)の重量に基づき20〜100重量%の、2個のヒドロキシル基及び1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテルであって、ここで、
ポリエーテルセグメントは、少なくとも3000の数平均分子量及び0.04ミリ当量/g未満の不飽和度を有し、但し、1分子当たりの全ポリエーテルセグメントの数平均分子量の和は平均して6000〜20,000となるポリエーテルと、
ii) 成分a)の重量に基づき0〜80重量%の、1個のヒドロキシル基及び1000〜15,000の数平均分子量を有する1個以上のポリエーテルセグメントを含有するポリエーテル
を含有するものを、
b) イソシアネート成分であって、
i) 成分b)の重量に基づき20〜100重量%の、2個のイソシアネート基を含有する化合物と、
ii) 成分b)の重量に基づき0〜80重量%の、1個のイソシアネート基を含有する化合物
を含有するもの、
と反応させて、イソシアネート含有反応生成物を生成させ、
次いで、この反応生成物を、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の当量比0.8:1〜1.1:1にて、
c) イソシアネート反応性基と1個以上の反応性シラン基を含有する化合物であって、
i) 式I:
【化1】

〔式中、
Xは、100℃以下でイソシアネート基に対し不活性な同じまたは異なる有機基を表し、但し、これらの基の少なくとも2つはアルコキシ又はアシルオキシ基であり、
Yは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝状アルキレン基を表し、
R1は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又は芳香族基及び式II:
【化2】

で示される基から選択される有機基を表す。〕
で示される化合物、及び
ii) 式IV:
【化3】

で示されるアミノシランと、式V:
【化4】

〔式中、
X及びYは、上記に定義したものであり、
R2及びR5は、同じまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3及びR4は、同じまたは異なる、水素又は100℃以下の温度でイソシアネート基に対して不活性な有機基を表す。〕
で示されるマレイン酸又はフマル酸エステルの反応生成物
から選択されるもの、
と反応させて、湿気硬化性アルコキシシラン官能性ポリエーテルウレタンを生成させる(但し、a-ii)及びb-ii)の総百分率は合計で少なくとも10となる)ことを含んでなる、方法。
【請求項2】
Xは、同じまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し、
Yは、2〜4個の炭素原子を含有する直鎖基又は5〜6個の炭素原子を含有する分枝基を表し、
R1は、エチルを表す、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分c)の少なくとも10モル%は、式:
【化5】

〔式中、
Xは、同じまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し、
Yは、2〜4個の炭素原子を含有する直鎖基又は5〜6個の炭素原子を含有する分枝基を表し、
R2及びR5は、同じまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3及びR4は、水素を表す。〕
で示される化合物である、請求項1に記載のポリエーテルウレタン。
【請求項4】
成分a-i)は、成分a)の重量に基づき20〜90重量%の量で存在し、成分a-ii)は、成分a)の重量に基づき10〜80重量%の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
成分a-i)は、成分a)の重量に基づき20〜90重量%の量で存在し、成分a-ii)は、成分a)の重量に基づき10〜80重量%の量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
成分a-i)は、成分a)の重量に基づき20〜90重量%の量で存在し、成分a-ii)は、成分a)の重量に基づき10〜80重量%の量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
成分b-i)は、成分b)の重量に基づき20〜90重量%の量で存在し、成分b-ii)は、成分b)の重量に基づき10〜80重量%の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
成分b-i)は、成分b)の重量に基づき20〜90重量%の量で存在し、成分b-ii)は、成分b)の重量に基づき10〜80重量%の量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
成分b-i)は、成分b)の重量に基づき20〜90重量%の量で存在し、成分b-ii)は、成分b)の重量に基づき10〜80重量%の量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
成分a-i)は、成分a)の重量に基づき30〜80重量%の量で存在し、成分a-ii)は、成分a)の重量に基づき20〜70重量%の量で存在し、成分c)の少なくとも80モル%は、式Iで示される化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
成分a-i)は、成分a)の重量に基づき30〜80重量%の量で存在し、成分a-ii)は、成分a)の重量に基づき20〜70重量%の量で存在し、成分c)の少なくとも80モル%は、式Iで示される化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
成分a-i)は、成分a)の重量に基づき30〜80重量%の量で存在し、成分a-ii)は、成分a)の重量に基づき20〜70重量%の量で存在し、成分c)の少なくとも80モル%は、式IIIで示される化合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
成分b-i)は、成分b)の重量に基づき30〜80重量%の量で存在し、成分b-ii)は、成分b)の重量に基づき20〜70重量%の量で存在し、成分c)の少なくとも80モル%は、式Iで示される化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
成分b-i)は、成分b)の重量に基づき30〜80重量%の量で存在し、成分b-ii)は、成分b)の重量に基づき20〜70重量%の量で存在し、成分c)の少なくとも80モル%は、式Iで示される化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
成分b-i)は、成分b)の重量に基づき30〜80重量%の量で存在し、成分b-ii)は、成分b)の重量に基づき20〜70重量%の量で存在し、成分c)の少なくとも80モル%は、式IIIで示される化合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
成分a-i)のポリエーテルセグメントは、少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分a-ii)のポリエーテルセグメントは、3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
成分a-i)のポリエーテルセグメントは、少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分a-ii)のポリエーテルセグメントは、3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
成分a-i)のポリエーテルセグメントは、少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分a-ii)のポリエーテルセグメントは、3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
成分a-i)のポリエーテルセグメントは、少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分a-ii)のポリエーテルセグメントは、3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項20】
成分a-i)のポリエーテルセグメントは、少なくとも6000の数平均分子量を有し、成分a-ii)のポリエーテルセグメントは、3000〜12,000の数平均分子量を有する、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2007−526356(P2007−526356A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536778(P2006−536778)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034837
【国際公開番号】WO2005/042609
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】