説明

反応性官能基を含有するバッテリーセパレーター

熱遮断機構を有し、優れた機械的特性及び低い電気抵抗を示すバッテリーセパレーター(16)は、バッテリー内で水又は酸と化学的に反応して水又は酸を除去し、その結果、バッテリー性能を向上させる反応性官能基(2)を有する水を除去する及び/又は酸を除去する材料を含む。バッテリーセパレーター(16)は、好ましくは、機械的完全性をもたらす第1のポリオレフィンと、水を除去する又は酸を除去する反応性官能基(2)を有する第2のポリオレフィンとを含む。バッテリーセパレーター(16)は、好ましくは、水を除去する又は酸を除去する材料が全体に分散しているポリマーマトリックス(4)を含む微小孔性フィルム(6)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小孔性ポリオレフィンフィルム、該フィルムを含むバッテリーセパレーター、及び該セパレーターを用いて製造したリチウムバッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンバッテリーの市場は、ソニーが最初の商業用の電池を1991年に導入して以来、精力的に成長し続けている。その130Wh/kgを越えるエネルギー密度と、1,000サイクルを越えるサイクル寿命によって、リチウムイオンバッテリーシステムは、携帯用コンピューター、カムコーダー、及び携帯電話などの用途において良く使用されるようになっている(非特許文献1)。リチウムイオンバッテリーは、ニッケル−カドミウムバッテリー及びニッケル金属水素化物バッテリーと比較して、エネルギー密度が高く、サイクル寿命が長く、動作電圧が高いので、多くの携帯用電子アプリケーションにとって好ましい電源である。また、リチウムイオンバッテリーは、リチウムバッテリーと比較した場合に、比較的高い金属リチウムではなく、炭素ベースのアノードを概して使用するという利益をもたらす。炭素アノードは、グラフェンシート間のリチウムイオンの挿入によって機能する。リチウムイオンバッテリーに最もよく使用されているカソードの材料はリチウムコバルト酸化物及びリチウムマンガン酸化物である。
【0003】
リチウムイオンバッテリーは、セパレーターがアノードのリボンとカソードのリボンとの間に挟まれている渦巻き構造及び柱状構造の状態で製造される。次に、セパレーターの孔を、塩、例えばLiPF6を有機溶媒、例えばエチレン・カーボネート:ジメチル・カーボネートが50:50である有機溶媒に溶解することによって生じたイオン伝導性の電解質で満たす。セパレーターの主要な役割は、アノード及びカソード間の電子伝導(すなわちショート)を防ぎつつ、電解質によってイオン伝導を可能にすることである。好ましいセパレーターは、それ自体有機溶媒に不溶であり、電解質及び電極活性物質に対して化学的に安定しており、そのマトリックスに適したサイズの孔を有する。
【0004】
再充電可能なリチウムイオンバッテリーの導入によって、不活性で多孔性のフィルムとしての機能をより果たすセパレーターが必要とされている。セパレーターは、良好な機械的性質及び電気的性質を与えることが必要とされているのみならず、高温、過充電、又はバッテリーの缶の物理的な貫通の条件下で電池の安全性を向上させるための熱遮断機構を組み込むことも必要とされている。詳細には、好ましいセパレーターは、特定の温度に達することにより、セパレーターが融解するようになり、セパレーターの孔が崩壊して、バッテリーがオーバーヒートするか、又はショートした場合に電極間のイオン伝導を最小限にするいわゆる「ヒューズ効果」を有する。「ヒューズ効果」によって、電解質の点火可能性とバッテリーの爆発が抑えられる。
【0005】
最も市販されているリチウムイオンバッテリーは、微孔性のポリオレフィンセパレーターを備える。そのようなセパレーターは、ポリオレフィンが優れた機械的性質及び化学的安定性を合理的なコストでもたらすので、通常ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、又はそれらのいくつかの組み合わせから作られる。多くのポリプロピレンセパレーターはリチウムイオンアプリケーションに使用するのには高すぎる遮断温度(>160℃)を有するので、PEセパレーターが好ましい。しかしながら、特定のポリオレフィンセパレーターは、圧力及び高温下での収縮および乏しい機械的完全性から生じる「穴の形成」のために、多くの場合充分に遮断しない。対照的に、超高分子量のPE(UHMWPE)ベースのセパレーターは、良好な高温での完全性と穴の崩壊を引き起こすのに充分なポリマーのフローを有し、それによって、電極間及びセパレーターを介しての電流が抑えられる。その結果、UHMWPEベースのセパレーターは遮断により無孔のフィルムに変化する。UHMWPEベースのセパレーターは、多くの場合、直線の低密度のPE(LLDPE)、高密度のPE(HDPE)、低密度のPE(LDPE)、又は機械的な完全性を危うくすることなく、遮断温度又は遮断割合を操作するPEの別の形を含む。PEの微孔性セパレーターの場合、ヒューズ温度、すなわち熱遮断が生じる温度は約120℃〜約150℃である。したがって、UHMWPEを含有するセパレーターは、リチウムイオンバッテリーに使用するのに望ましい安全特性をもたらす。
【0006】
バッテリーセパレーターの遮断機構を完全にするために多大な研究が行われている。しかしながら、リチウム又はリチウムイオンバッテリーから付随的な湿気又は酸を取り除く方法についての研究はほとんど行われていない。リチウム又はリチウムイオンバッテリー内での水分子及び特定の酸(例えばフッ化水素酸(HF))の存在は、水又は酸が電解質に溶解した塩、アノード、カソード、又はバッテリー缶と反応することができるので、バッテリー性能に悪影響をもたらす。これらの副反応はバッテリー性能を妨げる。
【0007】
したがって、優れた機械強度特性、電気抵抗特性、熱遮断機構及び水もしくは酸の除去能力を示すリチウム又はリチウムイオンバッテリーに使用するための微孔性ポリオレフィンセパレーターを提供することが望ましい。
【0008】
【非特許文献1】J. Power Sources 70 (1998) pp. 48-54
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、熱遮断機構、優れた機械的完全性及び電気抵抗の特性、並びにバッテリー内の水分子又は酸分子がセパレーターの全体に渡って分布している官能基と反応するような水除去又は酸除去の能力をもたらすリチウム又はリチウムイオンバッテリーに使用するためのセパレーターを提供することにある。
【0010】
本発明は、リチウムバッテリーに使用した場合に、熱遮断機構、優れた機械的完全性、低い電気抵抗、及び水除去又は酸除去の能力をもたらすバッテリーセパレーターである。水除去又は酸除去の能力は、バッテリー内の水又は酸と反応し、その結果、寄生的な副反応の除去によってバッテリー性能を向上させる官能基の存在から生じる。バッテリーセパレーターは、好ましくは、水を除去するか、又は酸を除去する基が分散している微小孔性ポリマーマトリックスを含む。
【0011】
好ましい一実施態様において、バッテリーセパレーターは、自立した構造のフィルムを形成するのに充分な機械的完全性もたらす第1のポリオレフィンと、水又は酸の除去をもたらす化学的に付着させた反応性官能基を有する第2のポリオレフィンとを含む。好ましい第1のポリオレフィンはUHMWPEであり、好ましい第2のポリオレフィンは化学的に付着させた無水物基を含む。
【0012】
好ましい実施態様において、第1のポリオレフィン、第2のポリオレフィン、及び可塑剤を高温で加工し、押し出して、薄いフィルムを製造する。その後、抽出処理によって可塑剤を除去することによって、生じたセパレーター全体に流体透過性をもたらす通路を作成する。
【0013】
本発明の更なる目的及び利益は以下の好ましい実施態様の詳細な説明と添付した図面を参照することにより明らかとなるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明において、リチウムバッテリーに使用するためのバッテリーセパレーターは、リチウムバッテリーから水又は酸を取り除くか又は効果的に除去し、その結果、バッテリー性能を向上させる水を除去する又は酸を除去する反応性官能基を化学的に付着させたポリオレフィンを含む。反応性官能基は、バッテリー内で水及び/又は酸と反応して、電解質からそれを化学的に除去することによって、リチウムバッテリーから水又は酸を除去する。
【0015】
バッテリーセパレーターの一例を図1に示す。図1は、水を除去する又は酸を除去する反応性官能基2が微小孔性ウェブのポリマーマトリックス4の全体に渡って分布しているのを示す概略図である。バッテリー操作の間、ウェブの孔8は電解質(図示せず)で満たされている。水を除去する又は酸を除去する反応性官能基2は、ウェブ6のポリマーマトリックス4の全体に渡って分散しているが、主にウェブの孔8の表面で機能する。したがって、図1は、水を除去する反応性官能基2がウェブの孔8に存在しているのを示す。
【0016】
ポリマーマトリックス4は、好ましくは第1のポリオレフィンと第2のポリオレフィンとを含む。第1のポリオレフィンは、自立した構造の特性を有するフィルムを形成するのに充分な機械的完全性をもたらし、第2のポリオレフィンは、水又は酸の除去をもたらす化学的に付着させた反応性官能基を有する。「自立した構造」とは、フィルムの巻き上げ及び巻き戻しなどの操作を可能にするのに充分な機械的特性を有するフィルムを指す。「フィルム」及び「ウェブ」という用語は、本願においては交互に使用する。
【0017】
種々の第1のポリオレフィンを、バッテリーセパレーターのポリマーマトリックスの形成に関して用いてもよい。好ましい第1のポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン(PE)、及びポリ−4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。好ましい種類のPEとしては、低密度のポリエチレン(LDPE)、直線の低密度のポリエチレン(LLDPE)、高密度のポリエチレン(HDPE)、UHMWPE、低分子量のPE(LMWPE)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、1種又は複数のUHMWPE、LDPE、LLDPE、HDPE、又はLMWPEを混合する。より好ましくは、UHMWPEを1種又は複数のHDPE、LDPE又はLLDPEと混合する。フィルムに組み入れる好ましいUHMWPEは、少なくとも10デシリットル/グラム、好ましくは約20デシリットル/グラム以上の固有粘度を有するものである。現在市販されているUHMWPEは、約40デシリットル/グラムの固有粘度の上限を有する。
【0018】
種々の第2のポリオレフィンを、バッテリーセパレーターのポリマーマトリックスの形成に関して用いてもよい。第2のポリオレフィンは好ましくは無水物含有ポリマーであるが、リチウム又はリチウムイオンバッテリー内の成分と適合し、バッテリー内の水又は酸と化学的に反応して、バッテリーから水又は酸を効果的に除去するいずれのポリオレフィンであってもよい。水を除去する及び酸を除去する材料の例としては、化学的に修飾したポリオレフィンが挙げられる。市販されている水を除去する及び/又は酸を除去する材料の例は、Equistar Chemical Company製のIntegrate(商標)NE 556-P35である。
【0019】
当業者に既知の種々の方法を使用して、本発明のバッテリーセパレーターを作成してもよいが、「湿式」方法が好ましい。「湿式」方法は、第1のポリオレフィン、水を除去する反応性官能基を含む第2のポリオレフィン、及びその他の望ましい成分を、液状で、不揮発性の可塑剤と混合することを含む。生じた混合物又はスラリーをツインスクリューの押出機の供給口に注入し、温度を上昇させ、剪断を行う。混合物又はスラリーをダイを通じて押し出し、充分な可塑剤を生じたフィルムから抽出して、微小孔性のセパレーターを形成する。本方法の例は下記の通りである。
【実施例】
【0020】
UHMWPE(37.5kg、GUR(商標)4120、Ticona製)、HDPE粉末(25kg、Alathon(商標)L5005、35メッシュ以下、Equistar製)、ステアリン酸リチウム(0.72kg、Norac製)、酸化防止剤(0.59g、Irganox(商標)B215、Ciba製)、及び可塑剤(111.1kg、Hydrocal(商標)800、Calumet製)を共にRoss VMC-100ミキサー内で混合した。無水マレイン酸で修飾したポリオレフィン粉末(0.027kg、NE 556 P35、Equistar製)及び更なる可塑剤(0.91kg)を4.5kgの上記混合物に添加して、30%重量/重量のポリマー・スラリーを形成した。このスラリーを、40mmのツインスクリューの押出機(Betol製)に約5.4kg/時間の速度でポンプ注入し、約208℃の溶融温度を維持した。押し出し物を、1.9mmの隙間を有する直径49.5mmの環状ダイに供給する溶融ポンプ(37rpm;3cc/rev)に通した。押し出し物を空気で膨張させて、305cm/分で上部のニップに通過させた、レイフラットが356mmで、首の長さが300mmである2軸配向のフィルムを製造した。100mm x 200mmのサンプルを可塑剤充填シートから切り取り、金属フレーム内の四方で押さえた。押さえたサンプルを、トリクロロエチレン(TCE)の槽内で充分に抽出し、80℃の循環空気オーブン内で乾燥した。生じたUHMWPEベースのセパレーターは62%の多孔率と26.7マイクロメーターの厚さを有していた。
【0021】
好ましい可塑剤は、第1及び第2のポリオレフィン用の蒸発しない溶媒であり、好ましくは室温で液体である。可塑剤は、室温でポリオレフィンに対する溶媒和効果をほとんど有さないか、又は全く有さず、ポリオレフィンの軟化温度又はその温度を超える温度で溶媒和作用を行う。UHMWPEでは、溶媒和又はゲル化温度は約160℃を越え、好ましくは約160℃〜約240℃の間である。適した可塑剤の例としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、又はそのようなオイルの2種以上の混合物が挙げられる。適した市販のプロセス・オイルの例としては、Calumet製のHydrocal(商標)800、Shell Oil Companyで売られているオイル(ShellFlex(商標)3681、Gravex(商標)41、及びCatnex(商標)945など)、Chevron Oil Companyで売られているオイル(Chevron 500Rなど)、及びLyondell Oil Companyで売られているオイル(Tufflo(商標)6056など)が挙げられる。いくつかの事例において、抽出後のポリマーシート中に残留するいずれのオイルも電気化学的に不活性であるようなプロセス・オイルを選択するのが望ましい。
【0022】
フィルムからのプロセス・オイルの抽出に使用するのに好ましい溶媒は、ポリマーマトリックス中に含まれる官能基に有害ではなく、蒸留によって溶媒と可塑剤とを分離することが実施可能である沸点を有する。溶媒の例としては、1,1,2−トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、TCE、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、及びトルエンが挙げられる。
【0023】
UHMWPEウェブに組み入れる更なる成分の例としては、酸化防止剤、着色料、顔料、残余の可塑剤又はプロセス・オイル、ワックス、滑剤、他のポリマー、充填剤(例えばシリカ、アルミナ、及び窒化ホウ素)、及び加工助剤が挙げられる。
【0024】
本発明の実施は、特定のセパレーターの組成、構成、又は厚さに制限されるものではない。例えば、セパレーターは単層又は多層の構成であってもよい。多層セパレーターの構成の一例は、PEフィルムに近接して2つのPPフィルムのそれぞれを配置することを含む。特定の厚さに限定されないが、本発明に従うバッテリーセパレーターの例は、約8マイクロメーター〜約50マイクロメーターの間の厚さを有し、該厚さはリチウム及びリチウムイオンバッテリーの製造者の好ましい範囲内に入るものである。
【0025】
本発明のバッテリーセパレーターの好ましい実施は、リチウム又はリチウムイオンバッテリーに使用する多層電極アセンブリーに微小孔性セパレーターを入れることである。本発明のバッテリーセパレーターのリチウムイオンバッテリーへの使用を図2に図示する。リチウムイオンバッテリーは、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。図2に示す多層電極アセンブリー12は、陰極(アノード)14、セパレーター16、陽極(カソード)18、及びカレント・コレクタ(図示せず)を備える。作動用リチウムイオンバッテリーは、図2に示していないイオン伝導性電解質、並びにアノード14、セパレーター16、カソード18、及びカレント・コレクタを囲む容器20を備える。好ましいポリオレフィンフィルムは電解質を迅速にそれ全体に運ぶことを可能にするのに充分な多孔率を有する。
【0026】
多種多様の電気化学的に活性を有する材料を使用してアノード14及びカソード18を形成することができ、該材料は、本技術分野において広く知られている。カソードの例としては、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、及びリチウムマンガン酸化物に加えて、例えばリチウムニッケルコバルト酸化物といったハイブリッドリチウム酸化物のいずれの種類も挙げられる。好ましいアノードの例としては、繊維、粉末又はマイクロビーズの形状の結晶質又は非晶質の炭素系材料、天然又は合成のグラファイト、カーボンブラック、コークス、メソカーボンマイクロビーズ、又は活性炭を含めたカーボンベースのアノードがある。
【0027】
リチウムイオンバッテリーに広く使用されている2種類の電解質システムがある。広く使用されている電解質システムの第1の種類は、液体電解質を使用して、円筒状又は柱状の金属缶内に詰めた電極間に充分なイオン伝導をもたらす液体電解質システムである。広く使用されている電解質システムの第2の種類は、ゲル電解質が電極間に挟まれているゲル電解質システムである。電解質システムのいずれのタイプ、又はそれらのいかなる組み合わせも本発明のバッテリーにおいて実施してもよい。
【0028】
本発明の主旨から逸脱することなく上記の実施態様に多くの変更を加えることができることは当業者に明らかである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、水を除去する又は酸を除去する官能基が全体に分散しているバッテリーセパレーターを示す概略図である。
【図2】図2は、リチウムイオンバッテリーに使用する多層電極アセンブリーを示す概略図である。
【符号の説明】
【0030】
2 水を除去する又は酸を除去する反応性官能基
4 ポリマーマトリックス
6 ウェブ
8 ウェブの孔
12 多層電極アセンブリー
14 アノード
16 セパレーター
18 カソード
20 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムバッテリーのバッテリーセパレーターとして使用するための自立した構造の微少孔性フィルムであって、
第1及び第2のポリオレフィンを有するポリマーマトリックスを含み、
該第1の及び第2のポリオレフィンの1つは、前記リチウムバッテリーから水及び酸の1つをそれぞれ有効に除去する化学反応を生じさせることによって、前記微少孔性フィルムに水を除去する能力及び酸を除去する能力の1つをもたらす反応性官能基を有する微少孔性フィルム。
【請求項2】
前記リチウムバッテリーが、リチウム一次バッテリー及びリチウムイオンバッテリーから基本的になる群より選択される請求項1記載の微小孔性フィルム。
【請求項3】
前記第1のポリオレフィンが、ポリプロピレン、LDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPE、低分子量PE、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、及びそれらの組み合わせから基本的になる群より選択される請求項1記載の微小孔性フィルム。
【請求項4】
前記第2のポリオレフィンが、水及び酸の1つと化学的に反応することが可能な化学的に修飾されたポリオレフィンである請求項1記載の微小孔性フィルム。
【請求項5】
前記第2のポリオレフィンが無水物基を含む請求項1記載の微小孔性フィルム。
【請求項6】
リチウムバッテリーのバッテリーセパレーターとして使用するための流体透過性を全体にもたらす通路を有する自立した構造の微小孔性フィルムであって、
該微小孔性フィルムに機械的完全性をもたらす第1のポリオレフィンと、該リチウムバッテリーから水及び酸の1つをそれぞれ有効に除去する化学反応を生じさせることによって、該微少孔性フィルムに水を除去する能力及び酸を除去する能力の1つをもたらす反応性官能基を含む第2のポリオレフィンとを有するポリマーマトリックスを含む微小孔性フィルム。
【請求項7】
前記リチウムバッテリーが、リチウム一次バッテリー及びリチウムイオンバッテリーから基本的になる群より選択される請求項6記載の微小孔性フィルム。
【請求項8】
前記第1のポリオレフィンが、ポリプロピレン、LDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPE、低分子量PE、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、及びそれらの組み合わせから基本的になる群より選択される請求項6記載の微小孔性フィルム。
【請求項9】
前記第2のポリオレフィンが、水及び酸の1つと化学的に反応することが可能な化学的に修飾されたポリオレフィンである請求項6記載の微小孔性フィルム。
【請求項10】
前記第2のポリオレフィンが無水物基を含む請求項6記載の微小孔性フィルム。
【請求項11】
前記反応性官能基が、前記微小孔性フィルムの通路において主として機能する請求項6記載の微小孔性フィルム。
【請求項12】
前記微小孔性フィルムが押し出しフィルムとして形成される請求項6記載の微小孔性フィルム。
【請求項13】
前記バッテリーセパレーターが複数のフィルムを含む多層セパレーターである請求項6記載の微小孔性フィルム。
【請求項14】
前記バッテリーセパレーターが単一のフィルムを含む単層セパレーターである請求項6記載の微小孔性フィルム。
【請求項15】
アノード層とカソード層との間に配置されたセパレーター層を備える多層電極アセンブリーであって、
該セパレーター層は、第1のポリオレフィンと第2のポリオレフィンとを有するポリマーマトリックスを含む微小孔性フィルムとして形成され、該第1のポリオレフィンは該セパレーター層に機械的完全性をもたらし、該第2のポリオレフィンは該セパレーター層に水を除去する性質及び酸を除去する性質の1つをもたらす反応性官能基を含み、
該アノード層及び該カソード層はそれぞれ電気伝導特性を有する材料組成を含む多層電極アセンブリー。
【請求項16】
第1のポリオレフィンが、ポリプロピレン、LDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPE、低分子量PE、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、及びそれらの組み合わせから基本的になる群より選択される請求項15記載の電極アセンブリー。
【請求項17】
第2のポリオレフィンが、水及び酸の1つと化学的に反応することが可能な化学的に修飾されたポリオレフィンである請求項15記載の電極アセンブリー。
【請求項18】
第2のポリオレフィンが無水物基を含む請求項15記載の電極アセンブリー。
【請求項19】
前記セパレーター層が複数の層を含む請求項15記載の電極アセンブリー。
【請求項20】
前記セパレーター層が単層である請求項15記載の電極アセンブリー。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−525789(P2007−525789A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515024(P2006−515024)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/017065
【国際公開番号】WO2005/001956
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(501328762)アムテック リサーチ インターナショナル エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】