説明

反応性改質剤

本発明は、(A)加水分解性シリル基含有モノマー、(B)メチルメタクリレート、(C)ブチルアクリレート、および(D)アルキル鎖の炭素数7から9の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を共重合してなる数平均分子量5000以上のアクリル重合体であって、A成分の含有量が0.01〜10重量部、B成分の含有量が5〜95重量部、C成分の含有量が5〜95重量部、D成分の含有量が5〜95重量部であり、A〜D成分の合計が50〜100重量部であり、かつC/Dの重量比が0.5〜2.0である反応性改質剤である。原料が安価で取り扱いが容易であり、重合体との混合時の保存安定性に優れる反応性改質剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は硬化性組成物の反応性改質剤に関する。特に縮合によりシロキサン結合を形成し架橋しうるケイ素含有官能基(以下の記載においては、加水分解性シリル基と表現することもある。)を含有するオキシアルキレン重合体に対する反応性改質剤、およびそれらを含有してなる保存安定性に優れる室温硬化性組成物に関する。なお、本発明において(メタ)アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいう。
【背景技術】
加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体の改質剤として使用する方法は、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に提案されている。
これらの方法の中では、特許文献3に示されている長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル含有共重合体をブレンドする方法が透明性、引っ張り物性、各種実用特性の点から優れている。しかし、長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル含有共重合体をブレンドする方法は原料の長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル単量体が一般に高価であり、また常温で固体であるため取り扱いにくいという問題点があった。また、複数の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合する場合、一般にあらかじめ混合した各単量体単位を安全性のために冷却しておく必要があるが、長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いた場合には、冷却された他の単量体単位と混合すると析出してきて好ましくないという問題点があった。
【特許文献1】 特開昭59−122541号公報
【特許文献2】 特開昭60− 31556号公報
【特許文献3】 特開昭63−112642号公報
【特許文献4】 特開平 6−172631号公報
【発明の開示】
本発明の目的は、安価で原料の取り扱い性のよい改質剤であり、優れた保存安定性と力学的性質を示す硬化性組成物を提供しうる反応性改質剤を開発することである。
本発明者等は、加水分解性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体において、長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルを用いなくとも、炭素数7〜9のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合成分として特定量用いることにより、加水分解性シリル基を有する重合体組成物の反応性改質剤として、充分な保存安定性を有し、各種実用特性においても充分に優れることを見出し、本発明に到達した。
具体的に記載すると、本発明の反応性改質剤は下記A〜Dの単量体成分を共重合させて得られる数平均分子量5000以上の加水分解性シリル基含有アクリル重合体であり、A成分の含有量が0.01〜10重量部、B成分の含有量が5〜95重量部、C成分の含有量が5〜95重量部、D成分の含有量が5〜95重量部であり、A〜D成分の合計が50〜100重量部であり、かつC/Dの重量比が0.5〜2.0であることを特徴とする。
(A)加水分解性シリル基含有モノマーおよび加水分解性シリル基を導入可能な官能基を含有するモノマーからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー
(B)メチルメタクリレート
(C)ブチルアクリレート
(D)アルキル鎖の炭素数7から9の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
前記(A)は好ましくは加水分解性シリル基を含有するモノマーである。
また、本発明の反応性改質剤は加水分解性シリル基含有オキシアルキレン重合体の改質剤として特に好ましい。従って、本発明は、加水分解性シリル基含有オキシアルキレン重合体、前記本発明の反応性改質剤および硬化促進剤を必須成分とする室温硬化性樹脂組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
加水分解性シリル基は室温においてもシロキサン結合を形成し架橋しうるという特徴を有する。(A)成分により本発明の反応性改質剤に導入される加水分解性シリル基の代表例は、一般式(1):
−Si(R3−a)X (1)
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R′)SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。ここでR′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR′は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは1、2、または3を示す。)で表わされる。
(A)成分における加水分解性シリル基の具体例としては、経済性、取り扱いの容易さなどの点から、ジメチルモノメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジイソプロペニルオキシシリル基およびトリイソプロペニルオキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明における(D)成分である炭素数7〜9のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、一般式(2):
CH=C(R)COOR (2)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を、Rは炭素数7〜9のアルキル基を示す)で表わされる。Rとしては、例えば、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基等のアルキル基があげられるが、原料の入手性、経済性の点から2−エチルヘキシル基、イソノニル基が特に好ましい。なお、一般式(2)で示される単量体は、単独で(D)成分として用いてもよく、2種以上を(D)成分として用いてもよい。
反応性改質剤として十分な性能を発揮するには、反応性改質剤が相手ポリマーと十分に相溶し、かつ反応性改質剤と相手ポリマーとの混合物が適度な粘度であることが必要である。
本発明における(B)成分であるメチルメタクリレート、(C)成分であるブチルアクリレートは、比較的安価で入手性の良いモノマーであり、(D)成分と組合わせて共重合することで、十分な重合性を得ることが可能である。また、各種ポリマーに対する反応性改質剤の相溶性の確保、混合物が適度な粘度を得るに適した反応性改質剤のTgの調整を行うことが可能である。
本発明における反応性改質剤の1分子中の加水分解性シリル基の個数は、充分な硬化性を得る点、および反応性改質剤として十分な性能を発揮するために相手ポリマーと供架橋することが望ましいことから、平均1個以上、更には1.1個以上、特には1.5個以上であることが好ましい。
反応性改質剤の数平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算において5,000〜100,000のものが、取扱いの容易さ、相手ポリマーと十分な相溶性を得ることができる点、高価な加水分解性シリル基含有モノマーの使用量を少なくできる点から好ましい。更には5,000〜50,000のものがより好ましく、7,000〜30,000のものが特に好ましい。反応性改質剤の数平均分子量が5,000を下回る場合は、良好なゴム弾性体が得られ難く、また、反応性改質剤1分子中の加水分解性シリル基の個数を前記した好ましい範囲とするために必然的に(A)成分である加水分解性シリル基含有モノマーや加水分解性シリル基を導入可能な官能基を含有するモノマーの使用量が増えることになり、コスト的に不利になる。また100,000を越える場合は、粘度が高くなり取り扱いが難しくなるおそれがある。
本発明の反応性改質剤は、単量体(A)、(B)、(C)および(D)を、ビニル重合、たとえばラジカル反応によるビニル重合、具体的には、通常の溶液重合法や塊重合法などにより重合することにより得られる。重合は、前記単量体に、必要に応じてラジカル開始剤を加えて、50〜150℃の反応温度で行い得る。溶剤は、使用してもよく、使用しなくてもよいが、使用する場合は、安価であり重合反応の安全性の点から、エーテル類、炭化水素類、酢酸エステル類、アルコール類のごとき非反応性の溶剤を用いることが好ましい。環境面からは非芳香族系の溶剤を使用することが好ましい。非芳香族系溶剤としては、ブタノール等のアルコール類が環境への配慮、得られた重合体の取り扱いやすさにおいて好ましい結果を与える。
本発明における反応性改質剤に加水分解性シリル基を導入する方法としては、種々の方法があるが、例えば、
(1)重合性不飽和結合と加水分解性シリル基を有する化合物〔例えばCH=CHSi(OCH〕を、単量体(B)、(C)および(D)に添加して共重合する方法、
(2)重合性不飽和結合および反応性官能基(以下、Z基という)を有する化合物(例えば、アクリル酸)を単量体(B)、(C)および(D)に添加して共重合させ、そののち生成した共重合体を加水分解性シリル基およびZ基と反応しうる官能基(以下、Z′官能基という)を有する化合物〔例えば、イソシアネート基と−Si(OCH基を有する化合物〕と反応させて加水分解性シリル基を導入する方法、
前記(1)の方法で用いられる化合物の具体例としては、たとえば次の化合物があげられる。
CH=CHSi(CH)(OCH、CH=CHSi(CH)Cl、CH=CHSi(OCH、CH=CHSiCl、CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH、CH=CHCOO(CHSi(OCH、CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl、CH=CHCOO(CHSiCl、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl、CH=C(CH)COO(CHSiCl、CH=CHCHOC(O)−Ph−COO(CHSi(CH)(OCH、CH=CHCHOC(O)−Ph−COO(CHSi(OCH、CH=CHCHOC(O)−Ph−COO(CHSi(CH)Cl、CH=CHCHOC(O)−Ph−COO(CHSiClが挙げられる。但し、Phはパラフェニレン基を示す。これらの化合物の中では、経済性、得られる硬化性組成物の反応性の点から、CH=CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCHが好ましい。
これらのシラン化合物は種々の方法により合成されるが、例えば、アセチレン、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート等と、メチルジメトキシシラン、メチルジクロルシラン等を、VIII族遷移金属の触媒下で反応させることにより製造することができる。このような遷移金属錯体触媒としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウムおよびニッケルから選ばれたVIII族遷移金属錯体化合物が有効に使用される。とくに白金ブラック、塩化白金酸、白金アルコール化合物、白金オレフィンコンプレックス、白金アルデヒドコンプレックス、白金ケトンコンプレックスなどの白金系化合物が有効である。
(2)の方法で用いる化合物中、Z基およびZ′基の例としては種々の基の組合わせがあるが、一例として、Z基としてビニル基、Z′としてヒドロシリコン基(H−Si)をあげることができる。Z基とZ′基とはヒドロシリル化反応により結合しうる。Z基としてビニル基をもち、さらに重合性不飽和結合を有する化合物としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート等をあげることができる。またZ′基としてヒドロシリコン基をもち、さらに加水分解性シリル基を有する化合物であるヒドロシラン化合物の具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシランなどのケトキシメートシラン類;ジメチルシラン、トリメチルシロキシメチルシラン、1,1−ジメチル−2,2−ジメチルジシロキサンなどのハイドロシラン類;メチルトリ(イソプロペニルオキシ)シラン、ジメチルトリ(イソプロペニルオキシ)シランなどのアルケニルオキシシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に使用される加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体に含有されている加水分解性シリル基は特に限定されるものではないが、代表的なものを示すと、例えば、一般式(3)で表される基が挙げられる。
−(−Si(R2−c)X−O−)−Si(R3−b)X (3)
(式中、R及びRは、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R′)SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはRが2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR′は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。bは0、1、2、または3を、cは0、1、または2をそれぞれ示す。また、m個の一般式(3):
−Si(R2−c)X−O− (4)
におけるcは異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。但し、b+Σc≧1を満足するものとする。)
上記Xで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば好適に使用できる。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、環境への配慮、原料の入手性の点から、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基及びアルケニルオキシ基が好ましいが、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点から、メトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
この加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(b+Σc)は1〜5の範囲であるのが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素中に2個以上存在する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。反応性ケイ素中に、ケイ素原子は1個あってもよく、2個以上あってもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された加水分解性シリル基の場合には、20個程度あってもよい。加水分解性ケイ素基としては、特に制限されないが、加水分解活性の高い点と加水分解性が穏やかで取扱いやすい点とを勘案すると、ジメチルモノメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジイソプロペニルオキシシリル基およびトリイソプロペニルオキシシリル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
加水分解性シリル基はオキシアルキレン重合体1分子中に少なくとも1個、更には1.1〜5個程度存在するのが好ましい。重合体1分子中に含まれる加水分解性シリル基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなるため好ましくない。また加水分解性シリル基の数が5個を越えると硬化物が硬くなり過ぎるため好ましくない。加水分解性シリル基はオキシアルキレン重合体分子鎖の末端に存在してもよく、内部に存在してもよい。加水分解性シリル基が分子鎖の末端に存在すると、最終的に形成される硬化物に含まれるオキシアルキレン重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなるため好ましい。
上記オキシアルキレン重合体としては、例えば、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシイソブチレン、オキシテトラメチレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。オキシアルキレン重合体の分子鎖は1種だけの繰り返し単位からなっていてもよいし、2種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。また。このオキシアルキレン重合体は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、あるいは、これらの混合物であってもよい。これらのオキシアルキレンの中でも分子鎖が実質的に、一般式(5):
−CH(CH)CH−O− (5)
で表される繰り返し単位を含有するものが、得られる硬化性組成物の取り扱いやすさ、硬化物物性の点から好ましい。また、ここで実質的にとは、他の単量体等が含まれていてもよいが、上記一般式(5)で表される繰り返し単位が重合体中に50重量%以上、好ましくは80重量%以上存在することを意味する。
このオキシアルキレン重合体の数平均分子量(Mn)としては、硬化性および取り扱いやすさの点から、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算において、6,000〜60,000のものが好ましく、更には8,000〜50,000のものがより好ましく、更には優れた力学的性質を有する点から、10,000〜30,000であることが特に好ましい。また、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、1.6以下の分子量分布が狭い(Mw/Mn比が小さい)ものが好ましく、更には1.5以下であることがより好ましく、更には1.4以下であることが特に好ましい。このように分子量分布が狭いオキシアルキレン重合体を、本発明の反応性改質剤と混合して硬化性組成物にした場合、分子量分布の広いオキシアルキレン重合体を用いた場合と比較して、組成物が低粘度となり、良好な作業性を示すため好ましい。
本発明の加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体は、例えば、官能基を有するオキシアルキレン重合体に加水分解性シリル基を導入することによって得ることができる。
加水分解性シリル基の導入は公知の方法で行えばよい。すなわち、例えば、以下の方法があげられる。
▲1▼末端に水酸基等の官能基を有するオキシアルキレン重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
▲2▼末端に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基(以下、Y官能基という)を有するオキシアルキレン重合体に、このY官能基に対して反応性を示す官能基(以下、Y′官能基という)および加水分解性シリル基を有する化合物を反応させる。このY′官能基を有するケイ素化合物としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのようなアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのようなメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのようなエポキシシラン類;ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどのようなビニル型不飽和基含有シラン基;γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどのような塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランなどのようなイソシアネート含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシランなどのようなハイドロシラン類などが具体的に例示され得るが、これらに限定されるものではない。
以上の方法の中では、▲1▼の方法、または▲2▼のうち末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および加水分解性シリル基を有する化合物を反応させる方法が、反応の容易さおよび原料の入手性の点から、好ましい。
なお、加水分解性シリル基を導入すると、導入前の重合体に比較して分子量分布が広がる傾向にあるため、導入前の重合体の分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。
高分子量で分子量分布が狭いオキシアルキレン重合体は、例えば、特開昭61−197631号、特開昭61−215622号、特開昭61−215623号、特開昭61−218632号、特公昭46−27250号、特公昭59−15336号、特開昭50−149797号、特開昭61−197631号、特開平2−276821号、特開平10−273512号特開平10−36499号、特開平11−106500号、特開平11−302371号などに開示された方法により得ることができる。
この中でも、分子量分布の狭い重合体を容易に入手するためには、開始剤の存在下、複合金属シアン化錯体、セシウム化合物およびP=N結合を有する化合物から選ばれるいずれかを触媒としてアルキレンオキシドを重合させて得られる重合体であることが好ましい。
開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコール又は多価アルコールおよび水酸基を有する各種のオリゴマーを用いることができ、この中でも経済性、取り扱いやすさの点から、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオールが好ましい。
また、本発明に用い得る複合金属シアン化錯体としては、重合活性の点から亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、中でも重合制御の点からエーテルおよび/またはアルコール錯体が好ましい。より分子量分布の狭い重合体を得るためには、エーテルとしてはエチレングリコールジメチルエーテル(グライム)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)が好ましく、アルコールとしてはt−ブタノールが好ましい。
複合金属シアン化錯体の使用量としては、仕上がりポリオキシアルキレン化合物中に0.0001〜0.03重量%であることが好ましく、反応性の点から0.001〜0.01重量%であることがより好ましい。0.0001重量%未満では反応速度が充分ではなく、また0.03重量%超では、オキシアルキレン重合体の製造コストが上昇するため好ましくない。
また、本発明に用いうるセシウム化合物としては、たとえばセシウム金属、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド、セシウムプロポキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムおよび炭酸セシウムから選ばれるものを主成分とするものが、重合反応性の点から好ましい。入手性、経済性の点から、水酸化セシウムがより好ましい。
セシウム系触媒の使用量としては、セシウム金属として仕上がりポリオキシアルキレン化合物中に0.05〜1.5重量%であることが好ましく、反応性の点から0.1〜1.0重量%であることがより好ましい。0.05重量%未満では反応速度が充分ではなく、また1.5重量%超では、オキシアルキレン重合体の製造コストが上昇するため好ましくない。
本発明に用い得るP=N結合を有する化合物の好ましい形態としては、ホスファゼニウム化合物、ホスフィンオキシド化合物、および、ホスファゼン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
ホスファゼニウム化合物としては、特開平11−106500号公報記載の化合物が挙げられる。例えば、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムエトキシド、テトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムtert−ブトキシド等が例示される。
ホスファゼン化合物としては、特開平10−36499号公報記載の化合物が挙げられる。例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(1−ピロリジニル)ホスファゼン、または7−エチル−5,11−ジメチル−1,5,7,11−テトラアザ−6λ5−ホスファスピロ[5,5]ウンデカ−1(6)−エン等が例示できる。
ホスフィンオキシド化合物としては、特開平11−302371号公報記載の化合物が挙げられる。例えば、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド、トリス[トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド等が例示できる。
これらの内、工業的な利用見地から、ホスファゼニウム化合物、およびホスフィンオキシド化合物が好ましい。
P=N結合を有する化合物の使用量としては、開始剤中の活性水素化合物1モルに対し、P=N結合を有する化合物が1×10−4〜5×10−1モルであることが好ましい。1×10−4モル未満では反応速度が充分ではなく、また5×10−1超では、ポリオキシアルキレン化合物の製造コストが上昇するため好ましくない。
本発明の硬化性組成物における反応性改質剤とオキシアルキレン重合体との比率は、反応性改質剤の量がオキシアルキレン重合体100部(重量部、以下同様)に対して5〜5000部の範囲が、オキシアルキレン重合体の特性改善の効果が顕著にあるので好ましく、さらに好ましくは5〜2000部の範囲であり、目的とする用途、性能に応じて選択するのが通常である。
本発明の組成物は硬化促進剤を使用してもよく、硬化促進剤の種類によって特に限定されないが、前記硬化触媒の具体例としては、非スズ金属触媒として、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ステアリン酸錫などの2価錫カルボン酸塩類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビス(アルキルマレエート)などのジブチル錫ジカルボキシレート類、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド、などのジアルキル錫のアルコキシド誘導体類、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫アセトアセテートなどのジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、ジブチル錫オキシドとエステル化合物による反応混合物、ジブチル錫オキシドとシリケート化合物による反応混合物、およびこれらジアルキル錫オキシド誘導体のオキシ誘導体などの4価ジアルキル錫オキシドの誘導体;また、非スズ金属触媒として、オクチル酸やオレイン酸、ナフテン酸、ステアリン酸などをカルボシ酸成分とするカルボン酸カルシウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸鉄、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉛、カルボン酸チタニウム、カルボン酸ニッケルなどのカルボン酸金属塩類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシルチタネート)などのチタンアルコキシド類;アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレートなどのアルミニウムアルコキシド類;ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレートなどのジルコニウムアルコキシド類;チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、オクチレングリコレート、チタンラクテートなどのチタンキレート類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどのアルミニウムキレート類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテートなどのジルコニウムキレート類;アミン類、アミン塩、4級アンモニウム塩、グアニジン化合物等の塩基性化合物などが挙げられる。
これらは単独もしくは混合して使用できる。これらの硬化触媒は、加水分解性シリル基含有オキシアルキレン重合体100重量部に対して0.1〜10重量部程度使用する。硬化促進剤の使用量が少なすぎると、硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が充分に進行しにくくなる場合がある。一方、硬化促進剤の使用量が多すぎると、硬化時に局所的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなるので、好ましくない。
本発明の硬化性組成物を使用するに際しては、さらに必要に応じて、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、水添ヒマシ油およびシラスバルーンなどの如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤などの充填剤を適宜使用できる、特に強度の高い硬化組成物を得たい場合には、主にフュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華などから選ばれる充填剤を加水分解性シリル基含有オキシプロピレン重合体100重量部に対し、1〜100重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で伸びが大である硬化組成物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーンなどから選ばれる充填剤を加水分解性シリル基含有オキシプロピレン重合体100部に対し5〜200部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。もちろんこれら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
本発明の硬化性組成物においては、可塑剤を充填剤と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填剤を混入できたりするのでより有効である。この可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどの如きフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの如き脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどの如きグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの如き脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどの如きリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジルなどの如きエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体などのポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレンなどのポリスチレン類;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、塩素化パラフィン類などの可塑剤が単独または2種類以上の混合物の形で任意に使用できる。可塑剤量は、加水分解性シリル基含有オキシプロピレン重合体100重量部に対し、0〜100重量部の範囲で使用すると好ましい結果が得られる。
更に、必要に応じて、接着性改良剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤などの各種添加剤を適宜添加することが可能である。本発明の硬化性組成物の調整法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサーやロールやニーダーなどを用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法が採用されうる。また、これら成分を適当に組合わせることにより、1液型や2液型の配合物をつくり使用することもできる。
本発明の硬化性組成物は、大気中に暴露されると水分の作用により、三次元的に網状組織を形成し、ゴム状弾性を有する固体へと硬化する。本発明の硬化性組成物は弾性シーラントとして特に有用であり、建造物、船舶、自動車、道路などの密封剤として使用し得る。更に、単独あるいはプライマーの助けをかりてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如き広範囲の基質に密着し得るので、種々のタイプの密封組成物および接着組成物としても使用可能である。接着剤としては、1液接着剤、2液接着剤、オープンタイム後に接着するコンタクト接着剤、粘着剤などに使用でき、更に、塗料、塗膜防水剤、食品包装材料、注型ゴム材料、型取り用材料、発泡材料としても有用である。
【実施例】
本発明をより一層明らかにするために、以下具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の合成例で用いた(A)加水分解性シリル基含有モノマーは下記の通りである
Y9910:γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン
(日本ユニカー社製)
A−174:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(製造例1)
分子量約2,000のポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、末端基分析により得られる平均分子量が10,000であるポリオキシプロピレングリコール(すなわち水酸基末端ポリエーテルオリゴマー)を得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加した後メタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたオリゴマー500gに対しヘキサン10gを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)30μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)9.0gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下で留去し、加水分解性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。H−NMR分析より、得られた重合体の末端への加水分解性シリル基導入率は77%であることを確認した(ポリマーA)。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は約15,000、Mw/Mnは1.1であった。
(製造例2)
GPCよる数平均分子量4000のポリオキシプロピレンジオール(三井武田化学株製アクトコールP−23)を開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体を触媒としてプロピレンオキシドの重合を行い、GPCにより得られる数平均分子量が30000であるポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオール1000gにナトリウムメチラートの28%メタノール溶液19.7gを加えた後、攪拌しながら真空ポンプによる減圧下130℃でメタノールを留去し、次いでアリルクロライド9.4gを加え30分間攪拌した後真空ポンプによる減圧下で残存するアリルクロライドを除去した。さらに、ナトリウムメチラートの28%メタノール溶液9.6gを加え攪拌しながら、真空ポンプによる減圧下130℃でメタノールを留去し、次いでアリルクロライド6.3gを加え4時間攪拌した後、真空ポンプによる減圧下で残存するアリルクロライドを除去することで、クルード(crude)の末端に不飽和基を有する有機重合体を得た。得られた有機重合体をヘキサンに溶解した後、水と混合することで脱塩精製し、水を除去し、ヘキサンを蒸発させることで淡黄色透明な不飽和基末端有機重合体を得た。得られた淡黄色透明な不飽和基末端有機重合体にメチルジメトキシシラン10.2gおよび触媒として塩化白金酸のイソプロパノール溶液0.06gを加え90℃にて2時間攪拌させることで末端に加水分解性ケイ素基を有する有機重合体を得た。GPCにより得られる、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は約30000、Mw/Mnは1.2であった。
(合成例1〜9)
105℃に加熱したトルエン中に、表1に示す量の(重合性ビニル基を有する)モノマー、及び表1に示す量の2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬社製商品名V−59)(重合開始剤)を溶解したトルエン溶液を、4時間かけて滴下した後、さらに2時間重合を行い、合成物1〜9を得た。なお、表1に示す各成分の使用量は重量部である。得られた合成物の分子量はGPCにより測定した。
(合成例10〜17)
105℃に加熱したトルエン中に、表2に示す量の(重合性ビニル基を有する)モノマー、及び表2に示す量の2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬社製商品名V−59)(重合開始剤)を溶解したトルエン溶液を4時間かけて滴下した後、さらに2時間重合を行い、合成物10〜17を得た。なお、表2に示す各成分の使用量は重量部である。得られた合成物の分子量はGPCにより測定した。
【実施例1〜8】
上記合成例1〜8で得た合成物1〜8と製造例1で得たポリマーAとを固形分重量比40:60で混合した後、120℃減圧下でトルエンを留去して、重合体を得た。
【実施例9】
上記合成例9で得た合成物9と製造例2で得たポリマーBとを固形分重量比40:60で混合した後、120℃減圧下でトルエンを留去して、重合体を得た。
(比較例1〜8)
上記合成例10〜17で得た合成物1〜8と製造例1で得たポリマーAとを固形分重量比40:60で混合した後、120℃減圧下でトルエンを留去して、重合体を得た。
このようにして得られた重合体を5℃の条件下に30日間放置した後の重合体の性状を目視で確認した。また、得られた保存安定性の良好な重合体に、表面処理炭酸カルシウム(白艶華CCR:白石工業)150重量部と重質炭酸カルシウム(ナノックス25A:丸尾カルシウム)20重量部および酸化チタン(タイペーク R−820:石原産業)10重量部、可塑剤として数平均分子量3,000のPPG(ポリプロピレングリコール)60重量部、タレ防止剤(ディスパロン #6500:楠本化成)2重量部、紫外線吸収剤(チヌビン213:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)1重量部、光安定剤(サノール LS770:三共)1重量部、脱水剤(A−171:日本ユニカー)2重量部、接着付与剤(A−1120:日本ユニカー)2重量部、硬化触媒(ネオスタン U−220:日東化成)2重量部を混合し、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を厚さ3mmのシート状に展延し、23℃で3日放置した後、50℃で4日間加熱し、配合物シートを得て、配合物シートをサンシャインウエザメーターにて耐候性の評価を行った。結果を表3、表4に示す。
なお、表1、表2中のモノマーの略号は以下の通りである。
MMA: メタクリル酸メチル
BA: アクリル酸ブチル
2−EHA:アクリル酸2エチルヘキシル
ANO: アクリル酸ノルマルオクチル
AIO: アクリル酸イソオクチル
AIN: アクリル酸イソノニル
SMA: メタクリル酸ステアリル
LMA: メタクリル酸ラウリル




【産業上の利用可能性】
本発明の反応性改質剤は、使用する原料が安価で取り扱いが容易であり、かつ、保存安定性が良く、相溶性が良いために改質剤として使用した場合に透明な組成物が得られやすいという特徴を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)加水分解性シリル基を含有するモノマーおよび加水分解性シリル基を導入可能な官能基を含有するモノマーからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、(B)メチルメタクリレート、(C)ブチルアクリレート、および(D)アルキル鎖の炭素数7から9の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、を共重合してなる数平均分子量5000以上の加水分解性ケイ素基含有アクリル重合体であって、A成分の含有量が0.01〜10重量部、B成分の含有量が5〜95重量部、C成分の含有量が5〜95重量部、D成分の含有量が5〜95重量部であり、A〜D成分の合計が50〜100重量部であり、かつC/Dの重量比が0.5〜2.0である反応性改質剤。
【請求項2】
(A)が加水分解性シリル基を含有するモノマーである請求の範囲第1項に記載の反応性改質剤。
【請求項3】
加水分解性シリル基含有オキシアルキレン重合体の改質剤である請求の範囲第1項または第2項に記載の反応性改質剤。
【請求項4】
加水分解性シリル基含有オキシアルキレン重合体、請求の範囲第3項に記載の反応性改質剤、および硬化促進剤を必須成分とする室温硬化性樹脂組成物。

【国際公開番号】WO2004/096875
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505842(P2005−505842)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005516
【国際出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】