説明

反芻胃内保護的及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含む組成物

反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含み、各粒子が塩化コリンを含有するコア、及びコアを取り囲み、反芻胃の活性により塩化コリンを保護する一方で、反芻動物の反芻胃通過後の消化管の部分中にそれらを放出する保護被膜を含む組成物である。コアは、乾燥結晶粉末形態の塩化コリンから主としてなり、及びそれと組合わさって、コアを取り囲む保護被膜が、主にカルナウバ蝋からなる外部連続層及び疎水性物質からなる内部連続層を含む。該組成物を含有する飼料ペレット、及び該組成物を含有する飼料用予混合物、該組成物を含有する飼料ペレットを含んだ飼料用予混合物。非ペレット形態で該組成物を含有するマッシュ飼料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に反芻動物において、反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含む組成物に関する。
【0002】
ある一定の飼料添加物により、動物の食餌を補うことが慣例になってきており、その使用で動物の健康状態が一般に改善するか、食肉用動物における飼料効率が向上するか、又は産乳動物における産乳量及び/又は乳品質が向上することができる。
【0003】
これらの添加物の中で、近年特に反芻動物の飼育に関し、コリンが特に注目されてきた。
【0004】
用語「反芻動物」は、3又は4室の胃の複合体を有し、一度嚥下したものを再び咀嚼することを特徴とする偶蹄動物(例えば家畜、バイソン、羊、ヤギ等)を意味する。
【0005】
別途記載しない限り、用語「コリン」は一般にコリンそれ自体、コリン誘導体、コリン含有組成物、コリン化合物又はコリン化合物の混合物を意味する。コリンは多くの形態、例えば特に誘導体の中で、コリン、塩化コリン、酒石酸水素コリン、クエン酸水素コリン、炭酸水素コリン、硫酸コリン、及び水酸化コリンの形態で入手可能である。一般に、コリンはその形態によらず、コリン自体が有効な添加物であるため、原則的にどのコリン形態でも当該技術分野では使用可能であると考えられている。
【0006】
コリンの好ましい形態は、容易に入手可能でコリン含有率が高いため、一般に塩化コリンである。
【0007】
コリンは、正常な動物の成長及び行動のための本質的な栄養素である。コリンは細胞壁、神経伝達(アセチルコリンの前駆体である)、脂肪の代謝及び移送の本質的成分である。コリンはまた不安定メチル基(動物の食餌において、メチオニン及びベタインによっても供給することができ、葉酸及びビタミンB12を用いて合成することもできる不安定メチル基)の重要な供給源である。
【0008】
コリンは、正常には反芻胃内のミクロフローラによる合成の結果として、例えば主にまぐさ系食餌を用いる牛の給飼プログラムにおいて適切な量で反芻動物に供給される。原生動物がコリン合成に関与する主な種であると思われる。したがって、原生動物の成長及び増殖を損なう反芻胃内の状態を生む食餌は、動物へのコリン供給量を不足させ、食餌にコリンを添加することが有益となる場合がある。このようなタイプの食餌の例としては、反芻胃pHをしばしば原生動物の増殖に最適なpHより低い5.5から5.8の範囲にする高濃厚食餌、おそらく脂肪給餌による反芻胃内のpH低下の結果、又は原生動物に対する脂肪の直接作用として、原生動物の数をさらに減少させる脂肪を含有する食餌である。
【0009】
補充コリンは、食餌の効率に影響を与えるように見える。
【0010】
さらに、脂向性化合物及びメチル供与体として、研究者はコリン補充食が乳の収量及び組成の両方に影響を与えることを示した。この効果は反芻動物、特に乳牛において見出された。
【0011】
コリンは、肝臓を介して脂肪組織から乳腺へ可動性脂肪を搬送するのを改善するようにも見える。
【0012】
一般にコリンは動物の健康状態に有益である。即ち、補充コリンは、特にまぐさ対濃厚飼料比の低い飼料を給餌する場合、「低脂肪」症候群を予防する。
【0013】
コリン−メチオニンの関係が重要と思われる。動物の生涯における負のエネルギーバランスの期間において、メチル基、メチオニン及びグルコース代謝間の相互作用はメチオニンの要求に影響を及ぼす。コリン不足の場合、メチオニンはコリンに置き換わるように見える。メチオニンが不十分なレベルにある場合、コリンはメチル供与体としてのメチオニンを温存する。この事実は、コリンの補充がメチル供与体としてのメチオニンの分解を減少させ、タンパク質合成に必須なこのアミノ酸の代謝の節約に影響する可能性を示唆している。
【0014】
したがって、コリンの組み込みは、反芻動物の食餌の補充において重要な因子である。同時に、飼料に直接混合する飼料添加物として用いられたときに、多くの生物学的に活性な物質と同様に、コリンは、本質的に連続発酵槽である反芻胃内でそれらを分解するために、反芻動物に効果的に利用されていないと認識されている。反芻動物は非常に多種類の微生物が中性状態(即ち、5から8のpH範囲)で反芻胃内に生存するのを許容し、単胃動物では生来消化できず、宿主にとって直接栄養価のない成分(例えばセルロース)を消化し、用いて、それらを宿主が同化し、利用することのできる生成物に転化するミクロフローラによる作用を有利に利用している。他方で、反芻胃内で行われるミクロフローラによる作用はある一定の不利益をもたらす。非常に価値ある物質(例えばコリン)が、反芻胃内の微生物による化学変化又は消化を受け、栄養価のはるかに低い物質に変換される。
【0015】
したがって、コリンを反芻胃内保護形態において経口的に反芻動物に供給しなければならない。
【0016】
用語「反芻胃内で保護された」(又は「反芻胃内保護された」)は、実質的に分解されずに反芻胃内を通過する能力を有することを意味する。コリンが「反芻胃通過後に有効」であることが重要であり、そのことは経口投与されたコリンが反芻胃内を通過するが、反芻胃通過後のある点に到達するまで有効にならないことを意味する。したがって、コリンの反芻胃内保護形態は、反芻動物の有効な飼育のために、第四胃内及び/又はそれに続く消化管にコリンを送達することが可能でなければならない。
【背景技術】
【0017】
反芻胃内保護的コリンの製造に用いる最も一般的な技術は、反芻胃内の環境からコリンを遮蔽する保護マトリックス中にそれをカプセル化するが、反芻胃通過後の消化器系の管内にそれを放出できるようにすることである。保護マトリックスは、活性物質を含有するコアを物理的に保護する外部層連続被膜を含んでも、含まなくてもよい。
【0018】
カプセル化は、よく知られている流動層技術により得ることができる。それは、粒子が相互に自由に流動することができ、被膜材料を微細な液滴に霧化し、運動中に粒子と接触し、表面上に広がる。融解した被覆材料の薄膜層が、空気流中において被覆材料の融点より低い温度で結晶化する。圧力、流速及び温度のパラメータはプロセスを最適化するために用いる。このような技術の使用は固体状態の化合物のカプセル化を制限する。
【0019】
カプセル化はさらに、回転装置内にカプセル化する粉末材料を入れることにより得ることができる。これは粉末材料を回転装置の周囲に沿ってらせん運動で回転させる。同時に適当な結合剤溶液を回転装置内にスプレーする。遠心力による衝突及びカプセル化する材料の回転装置の研磨内壁に沿った持続的な回転運動が、結合剤溶液と共にカプセル/マイクロカプセルを生成する。
【0020】
他の技術は、融点より高い温度の活性物質及び被膜材料の混合物を、融点より低い温度の空気流中にスプレーすることからなる。十分な空気圧を用い、小さな開口部を有するノズルを通して行う上記混合物のスプレーは、コア及び被覆材料を含有するマイクロスフェアの形態を得る。米国特許第5496571号は、液体塩化コリンと被覆材料を含有するマイクロスフェアを生成する、液相塩化コリンと種々の脂質との混合物をスプレーすることからなる、この技術の塩化コリンのカプセル化への応用を開示する。米国特許第5190775号は、塩化コリンをカプセル化する技術を開示し、それによれば被覆材料に適用する前に塩化コリンの液相を穀物担体により吸収する。得られた顆粒は吸収されたコリンを有する穀物担体により構成され、次いで予め液体状態にした被覆材料中に懸濁させ、懸濁液を「凍結室」内にスプレーしてもよい。代わりに、得られた顆粒を空気流中に懸濁させ、被覆材料とともにスプレーしてもよい。
【0021】
多くの特許文献には、特に非常に多数の活性物質の反芻胃内保護、とりわけコリンの反芻胃内保護のために開発された保護マトリックスの処方を幾つも報告している。攻撃性のある微生物がpH範囲約5から7の水性環境中で生存する反芻胃内の、当該技術分野で開発された大部分の保護マトリックスは、反芻胃内でのコリンの早過ぎる放出を防止するために何らかの疎水性非水溶性物質を含有し、反芻胃通過後の消化管内でのコリン放出を制御するためにほとんど常に何らかの親水性物質と混合し、結合させている。得られた保護マトリックスは、反芻胃通過後の消化管内の酸性pHで崩壊するような組成と構造を有すると考えられている。
【0022】
上述したように、コリンの好ましい形態は、容易に入手でき、コリン含有率が高いため、一般に塩化コリンである。上記のように、塩化コリンは通常液相(通常水に希釈した形態)中で使用され、1滴又は2滴以上の包埋マトリックス中に直接分散させるか(米国特許第5496571号)、又は穀物担体に吸収させ、次いで保護マトリックス中に包埋する(米国特許第5190775号)。
【0023】
一般に、保護マトリックスによりコリンに提供される反芻胃内保護の程度は、コリンの反芻胃内保護形態の「反芻胃内バイパス性」により表すことができる。この「反芻胃内バイパス性」(又は単に「反芻胃内バイパス」もしくは「バイパス」とも記す)は、反芻胃内を通過後に、反芻動物の消化性腸管の反芻胃通過後部分においてまだ利用可能なカプセルのコア中に元々存在するコリンの量の割合として定義される。
【0024】
保護マトリックス及び/又は保護被膜のために従来技術で開発された組成物は、一般に複雑で、有効にするために非常に微細に調節した構造及び/又は表面組織を供える必要があるという事実以外に、塩化コリンのカプセル化又はマイクロカプセル化(上記のように、補充コリンの最も好ましい形態の1つ)の上記既存技術の特徴的な欠点は、塩化コリンの反芻胃内バイパス性の低下が、他の特定の操作をそれらに施すことなしに、直ちに当該動物に投与されなければ起きることである。この問題は、部分的には当該技術分野ですでに認識されている:特に米国特許第6106871号は、使用前にコリン化合物が分解するのを防止するため、飼料と混合する前に反芻胃内保護的コリン化合物が他の成分と混合されていないのが好ましく、及びさらに牛に給餌する直前に、コリン化合物を飼料と混合するのも好ましいと明確に述べている。
【0025】
反芻胃内バイパス性の低下は、以下の場合のいずれか又はすべてにおいても起こる場合がある:最終的に反芻動物に給餌される飼料予混合物又は飼料混合物にマイクロカプセルを混合する場合;この混合された形態において、マイクロカプセルをある期間貯蔵する場合;マイクロカプセルをペレットプロセスに供する場合であって、それによりマイクロカプセルが単一成分又は動物の飼料全体のいずれかにより構成される飼料ペレットに含まれる場合;得られた飼料ペレットが反芻動物に投与される前に所定の期間貯蔵される場合。
【0026】
さらに、通常用いられる被覆材料の特性は、飼料ペレットを製造する過程で受ける厳しい条件(機械的圧力、熱応力及び使用される温度)に耐えられない。特に、ペレット化は、水分、熱及び圧力を併用した機械的プロセスにより、比較的小さな粒子がより大きな粒子(3mmから5cm以上の範囲)へ凝集することと定義することができる。代表的な使用温度は55℃から90℃の範囲である。
【0027】
該保護マトリックスが有効でないか損傷しているために漏出を示す場合、特に湿度が問題となり、マイクロカプセルが漏出を示す場合に湿度が引き起こす損傷(並びに、その結果起こる反芻胃内バイパス性の顕著な低下)は、当該技術分野においてよく知られている。このことは特に塩化コリンについて真実である。
【0028】
従来技術の溶液のいずれも上記の問題を解決できておらず、調製及び他の飼料組成物と混合する場合、反芻胃内バイパス性の低下に対するカプセル化された塩化コリンの安定性の問題に対処していない。当該技術分野で示された、塩化コリンを含有するすべてのタイプのマイクロカプセルは、ペレット化プロセスの厳しい条件を切り抜けることができず、又は少なくともそれらの塩化コリン量を反芻胃内バイパス性の著しい低下に対して良好に保護するのに十分でない。欧州及び米国における大部分の家畜補充飼料がペレットの形態で製造されていることを述べれば、このことは大きな問題である。このプロセスにおいて、高い温度、圧及び/又は注入蒸気に起因する応力が、予め行う撹拌プロセス中に起こる機械的損傷を悪化させ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含む組成物であって、この組成物の反芻動物への投与遅延又はこの組成物が投与前に受けるプロセスによる、塩化コリンの反芻胃内バイパス性の低下を、実質的に軽減する組成物を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含む組成物であって、ペレット化従来法で、特に飼料ペレット製造プロセス中に加えられる機械的圧力、熱応力及び温度に耐えることにより、飼料ペレット製造プロセスに組成物を供することによる塩化コリンの反芻胃内バイパス性の低下を、実質的に軽減し、塩化コリンの反芻胃通過後の効率を向上させる組成物を提供することである。
【0031】
本発明のさらに別の目的は、反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含む組成物であって、飼料の貯蔵に一般に用いられる倉庫及び納屋における通常の大気条件での貯蔵、特に温度変化及び/又は湿度変化が起こる条件での貯蔵による、塩化コリンの反芻胃内バイパス性の低下を、実質的に軽減し、塩化コリンの反芻胃通過後の効率を向上させる組成物を提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含む組成物であって、特に混合した組成物を所定の期間貯蔵する場合、組成物と予混合物(例えばビタミン−ミネラル予混合物)、及び/又は他の飼料成分、及び/又は飼料添加物、及び/又は完全飼料との混合による、塩化コリンの反芻胃内バイパス性の低下を、実質的に軽減し、塩化コリンの反芻胃通過後の効率を向上させる組成物を提供することである。
【0033】
本発明の目的は、マイクロカプセル化プロセスの適切な実施を更に促進することにより、得られたマイクロカプセル/粒子が、飼料ペレットを製造するプロセスと、及び予混合物中で予混合し、又は最終の飼料中で混合するいずれかのプロセスとの両方、並びに予混合物又は給餌飼料それ自体の貯蔵条件に対して耐性を高め、同時に反芻胃内で安定で反芻胃通過後に有効となるような形態をとり、かつそのように前処理した、塩化コリンを含有する粒子を含む組成物を提供することである。
【0034】
本発明は、出願人が請求項に記載するように、乾燥結晶形態の塩化コリンのカプセル化に基づいている。カプセル化プロセスから得られる各粒子は、乾燥結晶粉末形態の塩化コリンから主としてなるコア、並びにそれと組合わさって、コアを取り囲み、主にカルナウバ蝋からなる外部連続層及び疎水性物質からなる内部連続層を少なくとも含む保護被膜を含有する。
【0035】
本発明の別の目的は、上記組成物/粒子を含有する飼料ペレットを提供することである。
【0036】
本発明の別の目的は、上記組成物/粒子を含有する、又は上記組成物/粒子を順に含む飼料ペレットを含有する飼料用の予混合物を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、上記組成物/粒子を含有する非ペレット形態の完成飼料、いわゆる「マッシュ飼料」又は「完全混合飼料(TMR)」を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
以下の記載の中でより明らかになる、これらの目的及びそれ以外の目的は全て、添付した独立請求項による構造的及び機能的特性を有する、反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含む組成物により(並びに、飼料ペレット及び/又は飼料用予混合物及び/又は上記組成物/上記粒子をすべて含む完全飼料により)、本発明に従って達成されるが、さらに、反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有するマイクロカプセルを含む組成物(並びに、飼料ペレット及び/又は飼料用予混合物及び/又は上記組成物/上記粒子をすべて含む完全飼料)の特定の実施形態は、添付したそれぞれの従属請求項により個別化されている。
【0039】
本発明を、非限定的実施例により単に示した例示的実施形態を補助として、以下の説明でより詳細に例示する。
【0040】
上述のように、反芻胃内保護及び反芻胃通過後の効率を有する塩化コリンを提供するために開発された、既知の封入用外殻及び被膜は、非常に複雑で精密な構造であっても、飼料ペレットの製造プロセス及び/又は通常の混合プロセスの両方に耐えることがなく、その結果反芻胃内バイパス性の低下が起こる。特に、出願人は、反芻胃内バイパス性の低下が活性成分の吸湿と、カプセル形成用被膜保護マトリックスの機械的損傷により、塩化コリンがマトリックス自体を通して流出し、反芻胃液中に入って分解することとが相俟っていることを明示することができた。
【0041】
出願人は、乾燥結晶粉末形態の主として塩化コリンからなるコアと、コアを取り囲み、主にカルナウバ蝋からなる外部連続層及び疎水性物質からなる内部連続層を少なくとも含む保護被膜との組合せが問題を解決し、反芻胃内バイパス性の低下を顕著に低減又は回避し、並びに本発明の粒子に、飼料ペレットの製造及び/又は混合プロセスに伴う厳しい機械的及び熱的条件に対する適切な耐久性を与えることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
詳細には、本発明の組成物は反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される、塩化コリンを含有する粒子を含む。各粒子は塩化コリンを含有するコア、及びコアを取り囲み、塩化コリンを反芻胃の活性から保護する一方で、同時に塩化コリンを反芻動物の反芻胃通過後の消化管の部分中に放出することが可能な保護被膜を含有する。
【0043】
該コアは主に乾燥結晶粉末形態の塩化コリンからなる。
【0044】
かかるコアと組合せて、コア自体を取り囲む保護被膜は、主にカルナウバ蝋からなる外部連続層及び疎水性物質からなる内部連続層を含有する。
【0045】
上記の本発明の粒子の構造、コア構造と上記の構成及び構造を有する内部層及び外部層の両方の存在との組合せは、反芻胃内バイパス性の低下に対して組成物を保護するのに非常に有効であることが分かった。上記のように給餌飼料は、(機械的)混合プロセスの間、従来技術のマイクロカプセルに応力/破裂を起こし得る粒子形態の、ミネラル及び植物由来の成分を含有している。特に、マイクロカプセル表面の機械的摩滅、並びに圧縮及び/又は剪断応力による亀裂が発生し、反芻胃内バイパス性をほとんど完全に低下させる。さらに、ペレット化操作はそれ自体、機械的だけでなく、温度由来の損傷が起こり得る温度及び圧力で行われる。これに対し、本発明の粒子は特に適切な温度/機械抵抗を示し、そのことは、他の飼料添加物又は飼料との混合/予混合において発生する機械的及び熱応力を、ペレット化プロセスにおける応力と同様に克服できることを出願人が発見したものである。本発明の外部層は耐熱性に強く寄与している。それは摩滅に対する非常に良好な機械抵抗をも提供するように見え、同様に内部層及びコアの組成物の組合せにおいて、混合又はペレット化において発生するような圧縮及び/又は剪断応力を適用した後でさえ、反芻胃内バイパス性の強い保護を提供する。さらに、この最後の特性の改善は、以下の記載においてより詳細に説明するように、所定の少量の剛性制御剤を外部層に添加することによって得ることができる。
【0046】
コアに関する限り、好ましくは塩化コリンの乾燥結晶粉末が、所定の粒径分布を有する微粉化結晶により構成される。特に、該微粉化結晶の平均粒径は100マイクロメータから300マイクロメータの範囲であってよく、好ましくは約200マイクロメータと同等である。
【0047】
コアは結晶及び最終粒子のサイズに応じて、塩化コリンの単一の結晶、又は2つ以上の結晶、又は複数の結晶により構成されていてよい。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、コア中の塩化コリンの乾燥結晶粉末の量はコアの重量に対して80重量%から95重量%の範囲、より好ましくはコアの重量に対して85重量%から90重量%の範囲である。したがって、コア中の塩化コリンは非常に高い濃縮形態であり、このことは重要な利点である。塩化コリンの乾燥した結晶を直接用いることにより得られる効果の1つは、このような高濃度を可能にすることである。
【0049】
一般に、コアは全粒子の重量に対して30重量%から70重量%の範囲の重量を有することができ、より具体的には、コアは全粒子の重量に対して40重量%から50重量%の範囲の重量を有することができる。
【0050】
有利には、コアは所定量の添加物質、特にカプセル化及び本発明の最終粒子の形態に含まれる技術プロセスを遂行するのに有用な添加物質を含有することができる。
【0051】
該添加物質は流動性調整剤を含有してもよい。流動性調整剤はケイ酸塩類から選択された1種又は2種以上の化合物を含有してもよい。特に、流動性調整剤が、アルミノケイ酸塩の群から選択された1種又は2種以上の化合物を含有してもよい。流動性調整剤はまた、ゼオライト、シリカ、パーライトからなる群から選択された1種又は2種以上の化合物を含有してもよい。流動性調整剤は上記の化合物の1種のみ又はそれらの任意の適切な組合せからなるものであってよい。
【0052】
さらに、非常に有利には本発明の好ましい実施形態において、添加物質には防湿層として作用する所定量の結合剤が含まれる。したがって、塩化コリンの乾燥結晶は、コアを取り囲む予定の保護被膜を生成するのに必要な工程中に湿気/水分への有害な曝露から効果的に保護され、したがって、塩化コリンの操作及び被覆プロセスを行うために特別に乾燥及び保護された環境を必要とせずに済ませる。
【0053】
好ましくは、防湿層として作用する結合剤は、ステアリン酸塩類から選択された1種又は2種以上の化合物を含有する。特に、防湿層として作用する結合剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムから選択された1種又は2種以上の化合物を含有する。結合剤は上記の化合物の1種のみ又はそれらの任意の適切な組合せにより構成されてもよい。
【0054】
好ましくは、コア中の添加物質の量はコアの重量に対して1重量%から10重量%、より好ましくはコアの重量に対して2重量%から8重量%である。本発明の具体的な実施形態(以下参照)において、コア中の添加物質の量はコアの重量に対して7重量%である。
【0055】
保護被膜に関する限り、全粒子重量に対するパーセントは30%から70%、好ましくは50%から60%である。
【0056】
外部層中のカルナウバ蝋の量は、外部層自体の重量に対して80重量%から100重量%の範囲である。好ましくは、外部層中のカルナウバ蝋の量は、外部層自体の重量に対して90重量%から95重量%の範囲である。
【0057】
前に述べたように、カルナウバ蝋により完全に構成されていない場合、外部層の剛性を制御するために、外部層はさらにカルナウバ蝋と混合した所定量の剛性制御剤を含有するのが有利である。
【0058】
剛性制御剤の添加は、カルナウバ蝋の天然の剛性を部分的に低減することにより、粒子が混合又はペレット化プロセスにおいて受ける圧縮及び/又は剪断応力による亀裂に対し、外部層の耐性を顕著に向上させることができ、したがって、反芻胃内バイパス性の低下に対する粒子自体の耐性を顕著に向上させることができる。機械的摩滅及び/又は熱応力に対する非常に高い耐性を有する必要性と、圧縮及び/又は剪断応力による亀裂に対する耐性を改善する必要性との間の最も良いバランスを得るために、有利には剛性制御剤の量は外部層の重量に対して20重量%より低いか、高くても20重量%までとすることができるが、好ましくは外部層の重量に対して5重量%から10重量%である。
【0059】
剛性制御剤は可塑剤であってよい。
【0060】
剛性制御剤は好ましくは1種又は2種以上の脂質を含む。
【0061】
特に、1種又は2種以上の脂質は好ましくは植物油類から選択され、例えば具体的にはパーム油及び大豆油からなる群から選択される。好ましくは1種又は2種以上の脂質の少なくともいくつか又は全部が水素化植物油である。
【0062】
剛性制御剤は、上記の化合物の1種のみ又はそれらの任意の適切な組合せにより構成されてもよい。
【0063】
外部連続層は、一般に30重量%から60重量%、好ましくは45重量%から55重量%の範囲の保護被膜の重量に対する割合から構成される。
【0064】
内部連続層に関する限り、それを構成する疎水性物質は1種又は2種以上の脂質を含有していてもよい。
【0065】
これらの1種又は2種以上の脂質は、好ましくは植物油類から選択される。具体的にはパーム油及び大豆油からなる群から選択することができる。好ましくは1種又は2種以上の脂質の少なくともいくつか又は全部が水素化植物油である。
【0066】
疎水性物質はステアリン酸を含有していてもよい。
【0067】
疎水性物質は上記の化合物の1種のみ又はそれらの任意の適切な組合せにより構成されていてよい。
【0068】
内部連続層は一般に40重量%から70重量%、好ましくは45重量%から55重量%の範囲の保護被膜の重量に対する割合から構成される。
【0069】
乾燥結晶塩化コリン粉末/顆粒が本発明の内部層及び外部層によりカプセル化することができれば、種々のマイクロカプセル化技術が本発明の粒子を製造するのに適用できる。
【0070】
好ましい技術はいわゆる流動層技術である。
【0071】
本発明による粒子の特有の性質が与えられると、本発明の組成物は、その反芻胃内バイパス性のわずかな又は無視し得る低下を伴う通常のペレット化プロセスにより飼料ペレットに含有されてもよい。特に、本発明によれば、ペレット化プロセスに典型的な熱応力、例えば50℃から80℃(又は90℃に至るまで)の範囲の温度による応力に耐える能力を本発明の粒子に付与するのに有効な、コアの構造及び組成と内部層及び外部層の両連続層の構造及び組成の組合せを見出すことができる。
【0072】
本発明による粒子の特有の性質が与えられると、本発明の組成物は、反芻胃内バイパス性のわずかな又は無視し得る低下を伴う通常の予混合プロセスによる飼料の予混合物において含まれていてもよい。
【0073】
予混合物は、(ミネラル及び/又は植物由来の)担体中の濃縮飼料添加物/成分を、これらの濃縮成分を最終飼料へ希釈するために、注意深くかつ効果的に混合することにより得られる。予混合物の使用は飼料中への飼料添加物のより有効な投与及び分配をもたらす。最終飼料中の予混合物の含有率は、最終飼料の重量に対して0.5重量%から20重量%の範囲であり、代表的には1重量%から7重量%である。
【0074】
特に、本発明によれば、予混合物の調製プロセスにおいて他の飼料成分(ミネラル、微量元素、ビタミン、植物担体、タンパク質補充食等)との混合に耐える能力を本発明の粒子に与えるのに有効な、コアの構造及び組成と内部層及び外部層の両連続層の構造及び組成の組合せを見出すことができる。
【0075】
本発明の組成物は、予め製造された飼料ペレットの手段によっても予混合物中に含有させることができ、それは組成物自体を含有する。
【0076】
本発明による粒子の特有の性質が与えられると、反芻胃内バイパス性のわずかな又は無視し得る低下を伴う通常の混合プロセスにより、本発明の組成物を非ペレット形態のマッシュ(すりつぶした)飼料に直接混合してもよい。
【0077】
本発明によれば、コアの構造及び組成と内部層及び外部層の両連続層の構造及び組成の組合せを見出すことができ、それは種々の雰囲気条件(−20℃から40℃の温度範囲及び/又は20%R.H.から80%R.H.の相対湿度範囲)中で、反芻胃内バイパス性のわずかな又は無視し得る低下を伴う、所定の期間、有効に貯蔵する能力を本発明の粒子に与えるのに有効である。
【0078】
本発明によれば、コアの構造及び組成と内部層及び外部層の両連続層の構造及び組成の組合せを見出すことができ、それはマッシュ飼料又は予混合物(直接的に又は予め調製した飼料ペレットに含まれる)中に混合される、反芻胃内バイパス性のわずかな又は無視し得る低下を伴う、所定の期間、有効に貯蔵する能力を本発明の粒子に与えるのに効果的であり、上記の所定の期間は、例えば1から6ヵ月間、好ましくは少なくとも3ヵ月と同等の期間である。
【0079】
以下の実施例1から5は、いくつかの異なる実施形態において本発明をいかに実施するかを示す。それらは説明のためだけに示すのであり、いかなる意味においても請求された本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0080】
実施例1
コアは微粉化結晶形態の乾燥結晶塩化コリンをコアに対して90重量%含有する。残部の10重量%は流動性調整剤(シリカ、コアに対して3重量%)及び防湿層として作用する結合剤(ステアリン酸マグネシウム、コアに対して7重量%)により構成される。コアは最終粒子に対して45.50重量%を示す。保護被膜全体は最終粒子に対して54.50重量%を示す。内部連続層は水素化パーム油(内部層に対して100重量%)だけで構成される。外部連続層はカルナウバ蝋(外部層に対して90重量%)及び大豆油(外部層に対して10重量%)により構成される。内部層は全被覆材料に対して70重量%を示し、最終粒子に対して38.15重量%を示す。外部層は全被覆材料に対して30重量%を示し、最終粒子に対して16.35重量%を示す。組成物中の最終粒子は300マイクロメータから1200マイクロメータの範囲の粒径を有する。
【0081】
実施例2
コアは微粉化結晶形態の乾燥結晶塩化コリンをコアに対して90重量%含有する。残部の10重量%は流動性調整剤(シリカ、コアに対して3重量%)及び防湿層として作用する結合剤(ステアリン酸カルシウム、コアに対して7重量%)により構成される。コアは最終粒子に対して39.0重量%を示す。保護被膜全体は最終粒子に対して61.0重量%を示す。内部連続層は水素化大豆油(内部層に対して100重量%)だけで構成される。外部連続層は完全にカルナウバ蝋(外部層に対して100重量%)により構成される。内部層は全被覆材料に対して60重量%を示し、最終粒子に対して36.6重量%を示す。外部層は全被覆材料に対して40重量%を示し、最終粒子に対して24.4重量%を示す。組成物中の最終粒子は400マイクロメータから1200マイクロメータの範囲の粒径を有する。
【0082】
実施例3
コアは微粉化結晶形態の乾燥結晶塩化コリンをコアに対して90重量%含有する。残部の10重量%は流動性調整剤(シリカ、コアに対して3重量%)及び防湿層として作用する結合剤(ステアリン酸カルシウム、コアに対して7重量%)により構成される。コアは最終粒子に対して44.2重量%を示す。保護被膜全体は最終粒子に対して55.8重量%を示す。内部連続層は水素化大豆油(内部層に対して100重量%)だけで構成される。外部連続層はカルナウバ蝋(外部層に対して100重量%)だけで構成される。内部層は全被覆材料に対して55重量%を示し、最終粒子に対して30.7重量%を示す。外部層は全被覆材料に対して45重量%を示し、最終粒子に対して25.1重量%を示す。組成物中の最終粒子は200マイクロメータから1000マイクロメータの範囲の粒径を有する。
【0083】
実施例4
コアは微粉化結晶形態の乾燥結晶塩化コリンをコアに対して85重量%含有する。残部の15重量%は流動性調整剤(コアに対してそれぞれ3重量%及び5重量%のパーライト及びシリカにより構成される)及び防湿層として作用する結合剤(ステアリン酸カルシウム、コアに対して7重量%)により構成される。コアは最終粒子に対して47.2重量%を示す。保護被膜全体は最終粒子に対して52.8重量%を示す。内部連続層は水素化大豆油(内部層に対して100重量%)だけで構成される。外部連続層はカルナウバ蝋(外部層に対して90重量%)及びパーム油(外部層に対して10重量%)で構成される。内部層は全被覆材料に対して55重量%を示し、最終粒子に対して29.0重量%を示す。外部層は全被覆材料に対して45重量%を示し、最終粒子に対して23.8重量%を示す。組成物中の最終粒子は400マイクロメータから1200マイクロメータの範囲の粒径を有する。
【0084】
実施例5
コアは微粉化結晶形態の乾燥結晶塩化コリンをコアに対して85重量%含有する。残部の15重量%は流動性調整剤(コアに対してそれぞれ3重量%及び5重量%のパーライト及びシリカにより構成される)及び防湿層として作用する結合剤(ステアリン酸カルシウム、コアに対して7重量%)により構成される。コアは最終粒子に対して47.75重量%を示す。保護被膜全体は最終粒子に対して52.25重量%を示す。内部連続層は水素化大豆油(内部層に対して100重量%)だけで構成される。外部連続層はカルナウバ蝋(外部層に対して95重量%)及びパーム油(外部層に対して5重量%)で構成される。内部層は全被覆材料に対して50重量%を示し、最終粒子に対して26.125重量%を示す。外部層は全被覆材料に対して50重量%を示し、最終粒子に対して26.125重量%を示す。組成物中の最終粒子は400マイクロメータから1200マイクロメータの範囲の粒径を有する。
【0085】
本発明の結果が3つの特徴的な主題事項を(乾燥結晶塩化コリンにより構成されるコア、本発明により定義された内部層及び外部層の両方を含有する保護被膜により取り囲まれている)組み合せることによってのみ達成されることを明らかにすることを目的として、本発明による粒子からなるこれらの実施例製剤を、穀物担体に吸収された液体塩化コリンを含有するタイプの市販品2種(特に:製品全重量に対して塩化コリン力価30.5重量%を有する市販品1、及び製品全重量に対して塩化コリン力価40.2重量%を有する市販品2)及び特に本発明の1つ又は2つ以上の具体的な特徴を除くことにより出願人が作製した、塩化コリンを含有する粒子からなる比較製剤3種と比較した。
【0086】
比較製剤3種を以下に記す。
【0087】
比較例1
コアは乾燥結晶塩化コリンをコアに対して85重量%含有する。残部の15重量%は流動性調整剤(ゼオライト、コアに対して8重量%)及び防湿層として作用する結合剤(ステアリン酸カルシウム、コアに対して7重量%)により構成される。保護被膜は、水素化されたパーム油(保護被膜に対し100重量%)のみによる、ただ1つの連続層により作製される。組成物中の最終粒子は500マイクロメータから1000マイクロメータの範囲の粒径を有する。
【0088】
比較例2
コアは乾燥結晶塩化コリンをコアに対して90重量%含有する。残部の10重量%は流動性調整剤(シリカ、コアに対して3重量%)及び防湿層として作用する結合剤(ステアリン酸マグネシウム、コアに対して7重量%)により構成される。保護被膜は、カルナウバ蝋(保護被膜に対し100重量%)のみによる、ただ1つの連続層により作製される。組成物中の最終粒子は500マイクロメータから1000マイクロメータの範囲の粒径を有する。
【0089】
比較例3
コアは乾燥結晶塩化コリンをコアに対して90重量%含有する。残部の10重量%は流動性調整剤(シリカ、コアに対して3重量%)及び防湿層として作用する結合剤(ステアリン酸マグネシウム、コアに対して7重量%)により構成される。保護被膜は、カルナウバ蝋(保護被膜に対し50重量%)及び水素化されたパーム油(保護被膜に対し50重量%)の混合物による、ただ1つの連続層により作製される。コアは最終粒子に対して38.9重量%を示す。保護被膜は最終粒子に対して61.1重量%を示す。組成物中の最終粒子は300マイクロメータから800マイクロメータの範囲の粒径を有する。
【0090】
いくつかの比較試験を実施し、その結果を以下の表1から5に示す。
【0091】
表1はそれぞれ異なる実施例製剤、比較製剤及び反芻胃内保護塩化コリンの市販製品を以下の組成を有するビタミン−ミネラル予混合物中に混合した後の、反芻胃内バイパス性の低下を評価する試験の結果を示す:
ビタミンA 10.000.000IU
ビタミンD3 800.000IU
ビタミンE 40.000mg
ビタミンB1 4.000mg
ビタミンB2 6.000mg
ビタミンB6 2.000mg
ビタミンB12 60mg
ビタミンC 40.000mg
ビタミンK3 1.200mg
ビタミンPP 40.000mg
ビオチン 40mg
D−パントテン酸 4.000mg
葉酸 2.000mg
イノシトール 6.000mg
コバルト 800mg
ヨウ素 2.400mg
マンガン 12.000mg
鉄 4.000mg
銅 1.600mg
亜鉛 60.000mg
セレン 300mg
及び平均含有量4.5%の水分、13.7%の粗精製タンパク質、24.0%の灰分を含有する。
【0092】
1IU(国際単位)のビタミンAは0.300μgのレチノールに相当する。1IU(国際単位)のビタミンD3は0.025μgのコレカルシフェロールに相当する。
【0093】
塩化コリンを含有する粒子/マイクロカプセルは、すべての場合において予混合物に対して11重量%の含有率で予混合物中に含まれる。
【0094】
試験において用いられる予混合物は、容量60リットルのステンレス鋼横型ミキサー中で15分間混合することにより得られた。
【0095】
塩化コリンの力価は、過塩素酸を用いる非水滴定により直接に、又は塩素測定により間接的に測定することができる。
【0096】
バイパスは初期濃度とpH=6.5及び37.5℃の温度で緩衝溶液中に6時間保持した後の放出された塩化コリンの濃度(%)との間の濃度差(%)としてin vitroで計算した。
【0097】
バイパス性の低下は混合前後のバイパス間の%差異として計算した。
【0098】
予混合物中のコリンの分析は、酵素比色法による分光光度定量法により実施することができる。試料調製は、予混合物を熱水(温度約95℃)中に入れ、マイクロカプセル/粒子を溶解するために撹拌して行う。
【0099】
表2は、表1及び上記(反芻胃内保護塩化コリンの含有率:予混合物に対し11重量%)の試験に用いた、同一の予混合物中でそれらを混合した後の、実施例3、実施例4及び市販製品1のバイパス性の時間(3ヵ月間)における漸進的変化を示す。
【0100】
予混合物は容量60リットルのステンレス鋼横型ミキサー中で15分間撹拌し、次いで25℃及び65%R.H.で人工気象室(climate room)中に貯蔵した。
【0101】
表3は、それぞれ異なる実施例製剤、比較製剤及び反芻胃内保護塩化コリンの市販製品をタンパク質補充食(特に乾燥酵母及び大豆単離物、5%水分及び4%粗精製タンパク質の混合物)中に混合した後の、反芻胃内バイパス性の低下を評価するための試験の結果を示す。塩化コリンを含有する粒子/マイクロカプセルは、すべての場合においてタンパク質補助食に対して8重量%の含有率でタンパク質補助食中に含まれる。
【0102】
試験において用いられる最終補充食は、容量60リットルのステンレス鋼横型ミキサー中で15分間混合することにより得られた。
【0103】
塩化コリンの力価は、過塩素酸を用いる非水滴定により直接に、又は塩素測定により間接的に測定することができる。
【0104】
バイパスは初期濃度とpH=6.5及び37.5℃の温度で緩衝溶液中に6時間保持した後に放出される塩化コリンの%との間の%差異としてin vitroで計算した。
【0105】
バイパス性の低下は混合前後のバイパス間の%差異として計算した。
【0106】
予混合物中のコリンの分析は、酵素比色法による分光光度定量法により実施することができる。試料調製は、補充食を熱水(温度約95℃)中に入れ、マイクロカプセル/粒子を溶解するために撹拌して行う。
【0107】
表4は、それぞれ異なる実施例製剤を市販マッシュ飼料(大豆粉、大麦、乾燥粉砕トウモロコシ、もみがら、小麦粉、ひまわり粉、大豆油、炭酸カルシウム、リン酸一ナトリウム、12%の水分、17%の粗精製タンパク質、5.3%の粗精製脂質、4.7%の粗精製繊維及び5.0%の灰分により構成される)中に混合した後の、反芻胃内バイパス性の低下を評価するための試験の結果を示す。塩化コリンを含有する粒子/マイクロカプセルは、すべての場合において市販マッシュ飼料に対して0.2重量%の含有率で市販マッシュ飼料中に含まれる。
【0108】
試験に用いた最終的なマッシュ飼料は、横型ミキサーにより36rpmで20分間混合することにより得られた。
【0109】
バイパスは、初期濃度とpH=6.5及び37.5℃の温度で緩衝溶液中に6時間保持した後に放出された塩化コリンの%との間の%差異としてin vitroで計算した。
【0110】
バイパス性の低下は混合前後のバイパス間の%差異として計算した。
【0111】
表5は、それぞれ異なる実施例製剤、比較製剤及び反芻胃内保護塩化コリンの市販製品を以下の組成を有するペレット化された飼料補充食に、通常のペレット化プロセスにより含有させた後の、反芻胃内バイパス性の低下を評価するための試験の結果を示す:
高脂肪大豆 23.31%
大豆粉 51.27%
ポテト粉末 6.95%
ビタミン−ミネラル予混合物 6.50%
乾燥粉砕トウモロコシ 3.84%
硫酸マグネシウム 2.80%
硫酸カルシウム 2.80%
炭酸カルシウム 2.54%
及び11.35%の水分、36.00%の粗精製タンパク質、4.60%の粗精製脂質、16.70%の灰分、10.00%のNDF、1.94%のカルシウム、0.47%のリン、1.23%のカリウム、0.35%のマグネシウム、10.08%の澱粉/糖質を含有する。
【0112】
特に、反芻胃内バイパス性の低下は3週間評価した。
【0113】
バイパスは、初期濃度とpH=6.5及び37.5℃の温度で緩衝溶液中に6時間保持した後の放出された塩化コリンの%との間の%差異としてin vitroで計算した。
【0114】
ペレット化された飼料中のコリンの分析は、酵素比色法による分光光度定量法により実施することができる。試料調製は、ペレットをすりつぶし、得られた生成物を熱水(温度約95℃)中に入れ、マイクロカプセル/粒子を溶解するために撹拌して行う。
【0115】
このように着想された本発明は、本発明を特徴付ける発明概念の範囲内で多くの改変及び変更を行うことが可能である。さらに、すべての構成要素は他の技術的に等価な要素に置き換えることが可能である。
【0116】
本発明の多くの特徴及び利益は、本発明の構造及び機能の詳細とともに以上の記載において述べた。しかし、かかる開示は例示しているに過ぎず、本発明の原理の範囲内で、添付の請求項に表現する用語の一般的な広い意味により示される全範囲まで、細部の変更が可能である。
【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化コリンを含有し、反芻胃内保護及び反芻胃通過後有効な形態で投与される粒子を含み、
各粒子が塩化コリンを含有するコアと、前記コアを取り囲み、反芻胃の活性により塩化コリンを保護する一方で、反芻動物の消化管の反芻胃通過後の部位中に塩化コリンを放出する保護被膜とを含む組成物であって、
前記コアが、乾燥結晶粉末形態の塩化コリンから主として成り、
前記コアと組み合わさって、前記コアを取り囲む保護被膜が、主にカルナウバ蝋からなる外部連続層及び疎水性物質からなる内部連続層を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
塩化コリンの乾燥結晶粉末が、所定の粒径分布を有する微粉化結晶により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記微粉化結晶の平均粒径が100マイクロメータから300マイクロメータの範囲であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記微粉化結晶の平均粒径が200マイクロメータであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記コア内の塩化コリンの乾燥結晶粉末の量が、前記コアの重量に対して80重量%から95重量%の範囲であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記コア内の塩化コリンの乾燥結晶粉末の量が、前記コアの重量に対して85重量%から90重量%の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記コアが所定量の添加物質を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記添加物質が流動性調整剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
流動性調整剤がケイ酸塩類から選択された1種又は2種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記流動性調整剤がアルミノケイ酸塩の群から選択された1種又は2種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記流動性調整剤が、ゼオライト、シリカ、パーライトからなる群から選択された1種又は2種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記添加物質が、防湿層として作用する所定量の結合剤を含むことを特徴とする請求項7から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記防湿層として作用する結合剤が、ステアリン酸塩類から選択された1種又は2種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記防湿層として作用する結合剤が、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムから選択された1種又は2種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記コア内の前記添加物質の量が、コアの重量に対して1重量%から10重量%の範囲であることを特徴とする請求項7から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記コア内の前記添加物質の量が、コアの重量に対して2重量%から8重量%の範囲であることを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記コア内の前記添加物質の量が、コアの重量に対して7重量%であることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記コアが、前記粒子全体の重量に対して30%から70%の範囲の重量を有することを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記コアが、前記粒子全体の重量に対して40%から50%の範囲の重量を有することを特徴とする請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記外部層中のカルナウバ蝋の量が、前記外部層自体の重量に対して80重量%から100重量%の範囲であることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記外部層中のカルナウバ蝋の量が、前記外部層それ自体の重量に対して90重量%から95重量%の範囲であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記外部層が、外部層の剛性を制御するために、カルナウバ蝋と混合した所定量の剛性制御剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記剛性制御剤の所定量が、前記外部層の重量に対して20重量%以下であることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記剛性制御剤の所定量が、前記外部層の重量に対して5重量%から10重量%の範囲であることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記剛性制御剤が可塑剤であることを特徴とする請求項22又は23又は24に記載の組成物。
【請求項26】
前記剛性制御剤が1種又は2種以上の脂質を含むことを特徴とする請求項22又は23又は24又は25に記載の組成物。
【請求項27】
前記外部連続層が、前記保護被膜の重量に対して30重量%から60重量%の範囲を占めることを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記外部連続層が、前記保護被膜の重量に対して45重量%から55重量%の範囲を占めることを特徴とする請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記内部連続層が、前記保護被膜の重量に対して40重量%から70重量%の範囲を占めることを特徴とする請求項1から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記内部連続層が、前記保護被膜の重量に対して45重量%から55重量%の範囲を占めることを特徴とする請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
疎水性物質が1種又は2種以上の脂質を含むことを特徴とする請求項1から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
1種又は2種以上の脂質が植物油類から選択されることを特徴とする請求項26又は31に記載の組成物。
【請求項33】
1種又は2種以上の脂質がパーム油及び大豆油からなる群から選択されることを特徴とする請求項26又は31に記載の組成物。
【請求項34】
前記1種又は2種以上の脂質の少なくとも1種が水素化植物油であることを特徴とする請求項32又は33に記載の組成物。
【請求項35】
前記疎水性物質がステアリン酸を含むことを特徴とする請求項1から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記保護被膜が、前記全粒子重量に対して30重量%から70重量%の範囲を占めることを特徴とする請求項1から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記保護被膜が、前記全粒子重量に対して50重量%から60重量%の範囲を占めることを特徴とする請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
請求項1から37のいずれか一項に記載の組成物を含有することを特徴とする飼料ペレット。
【請求項39】
請求項1から37のいずれか一項に記載の組成物を含有することを特徴とする飼料用予混合物。
【請求項40】
請求項38に記載の飼料ペレットを含有することを特徴とする飼料用予混合物。
【請求項41】
請求項1から37のいずれか一項に記載の組成物を含有することを特徴とする非ペレット形態のマッシュ飼料。



【公表番号】特表2007−518391(P2007−518391A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504361(P2005−504361)
【出願日】平成15年7月21日(2003.7.21)
【国際出願番号】PCT/IT2003/000448
【国際公開番号】WO2005/006876
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(501492454)アスカー チミシ エスアールエル (2)
【氏名又は名称原語表記】ASCOR CHIMICI S.r.l.
【住所又は居所原語表記】Via Piana, 265 47032 BERTINORO−FRAZ. CAPOCOLLE (Forli) ITALY
【Fターム(参考)】