説明

収容装置

【課題】容器に収容された包装体から物品を安定して取り出すことができる技術を提供する。
【解決手段】ウェットティッシュ130は包装体100に収容され、包装体100は容器200に収容される。包装体100の蓋120は、第1のシート121と第2のシート122の積層部分により構成される開閉部120Bと、第1のシート121から延びている第2のシート122の部分によって構成される基部120Aを有している。第1のシート121の一つの面は、第1の接着剤123によって、本体110の表面に剥離可能に接着される。第2のシート122の一つの面は、第2の接着剤124によって、第1のシート121の他の面に接着されるとともに、本体110の表面に接着される。包装体100は、蓋120の開閉部120Bが、本体110の表面から剥離されて折り返され、第1の接着剤123によって本体110の裏面に接着された状態で、容器200に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を取り出し可能に収容する収容装置に関し、特に、物品を安定して取り出すことができる収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維材料をシート状に形成したティッシュペーパーや不織布等に薬剤、化粧水やアルコール等の液体を含浸させた種々のウェットティッシュが使用されている。このようなウェットティッシュの収容形態としては、柔軟性を有する材料で形成された本体を有する包装体に収容する収容形態や、この包装体を容器に収容する収容形態等が用いられている。包装体を容器に収容する収容形態を用いる場合には、包装体に収容されているウェットティッシュが少なくなると、包装体が容器内で移動する。包装体が容器内で移動すると、包装体の開口と容器の開口の位置関係がずれ、ウェットティッシュを安定して取り出すことができなくなる。従来、このような包装体の開口と容器の開口の位置関係がずれるのを防止するために、特許文献1に開示されている収容装置が知られている。特許文献1に開示されている収容装置は、容器の底壁の一部を底上げ用板部に形成している。そして、ウェットティッシュの枚数が少なくなった時には、底上げ用板部を押し上げて、包装体の開口と容器の開口の位置関係を調整する。
【特許文献1】特開2001−240162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されている従来の収容装置は、容器の底壁に切り込み部分を形成する必要がある。このため、この切込み部分からゴミが混入する。また、ウェットティッシュが乾燥する虞もある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、簡単な構成で、容器に収容した包装体から物品を安定して取り出すことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、物品を収容する包装体と、包装体を収容する容器を備えている。本発明は、例えば、繊維材料によってシート状に形成した基材に液体を含浸させた物品を収容する収容装置として構成することができる。勿論、本発明は、これ以外の種々の物品を収容する収容装置として構成することができる。
包装体は、本体と蓋により構成される。包装体の本体は、ラミネートフィルム、典型的には、熱融着フィルムによって形成される。包装体の本体は、物品を収容する物品収容空間と、物品を物品収容空間から取り出すための開口を有している。包装体の蓋は、樹脂フィルムによって形成される。包装体の蓋は、包装体の本体の開口を覆う開閉部と、開閉部から延びる基部を有している。この包装体の蓋は、一つの面に塗布された接着剤によって、包装体の本体の表面に接着される。典型的には、包装体の蓋の開閉部は、包装体の本体の開口より大きい面積を有し、包装体の本体の開口を覆うように接着される。この時、少なくとも開閉部が繰り返し剥離可能に接着される。蓋を接着する態様としては、例えば、開閉部と基部を同じ接着剤によって接着する態様や、開閉部と基部を異なる接着剤で接着する態様を用いることができる。
容器は、本体と蓋により構成される。容器の本体は、例えば、樹脂により形成される。容器の本体は、包装体を収容する包装体収容区間と、物品を包装体収容空間から取り出すための開口を有している。容器の蓋は、例えば、樹脂により形成される。容器の蓋は、容器の本体の開口を開閉可能に、容器の本体に取り付けられる。
そして、包装体は、包装体の蓋の開閉部が、包装体の本体の表面から剥がされて基部側に折り返され、包装体の蓋に塗布された接着剤によって、包装体の本体の開口に対向する、容器の本体の裏面に接着された状態で、包装体収容空間に収容される。
本発明では、包装体が包装体収容空間に挿入される時、包装体の蓋の開閉部が基部側に折り返され(包装体の本体の開口が開いた状態で)、開閉部に塗布されている接着剤によって、包装体の本体の開口に対応する、容器の裏面に接着される。これにより、包装体の物品収容空間に収容されている物品が少なくなっても、包装体の開口と容器の開口の位置関係が変わらないため、物品を安定に取り出すことができる。
【0005】
一つの形態では、包装体の蓋は、第1のシートと、第1のシートより大きい第2のシートを積層して形成される。すなわち、包装体の蓋の開閉部は、第1のシートと第2のシートとの積層部分によって構成され、包装体の蓋の基部は、第1のシートから延びている第2のシートの部分によって構成される。また、接着剤が塗布される、包装体の蓋の一つの面は、開閉部を構成する第1のシートの、第2のシートと反対側の面と、基部を構成する第2のシートの、第1のシート側の面によって形成される。典型的には、第2のシートの一つの面に塗布された接着剤によって、第1のシートと第2のシートが接着されるとともに、第2のシートが包装体の本体の表面に接着され、第1のシートの、第2のシートと反対側の面(第1のシートの一つの面)に塗布された接着剤によって、第1のシートが包装体の本体の表面に接着される。
本形態では、包装体の蓋は、開閉部と基部との境界部で厚さが変化する。このため、包装体の蓋の開閉部が、包装体の本体の表面から剥がされて、基部側に折り返される時、境界部がヒンジ部として機能する。したがって、包装体の蓋の開閉部を基部側に折り返す際に、包装体の基部が剥がれるのが防止される。
【0006】
他の形態では、包装体の蓋の一つの面を形成する第2のシートの面に塗布される接着剤の接着力は、包装体の蓋の一つの面を形成する第1のシートの面に塗布される接着剤の接着力より大きく設定されている。
本形態では、包装体の蓋の基部を包装体の本体の表面に接着する接着剤の接着力が大きい。このため、包装体の蓋の開閉部を、包装体の本体の表面から剥がして、基部側に折り返す際に、ユーザは、開閉部からの反力の変化によって、開閉部が、開閉部と基部との境界部まで剥がされたことを容易に判別することができる。したがって、包装体の蓋の基部が剥がれるのを防止することができる。
【0007】
さらに他の形態では、第2のシートの曲げ剛性は、第1のシートの曲げ剛性より小さく設定されている。第1のシートの曲げ剛性と第2のシートの曲げ剛性を変える態様としては、例えば、第1のシートと第2のシートの厚さを変える態様や、第1のシートと第2のシートを形成する材料を変える態様を用いることができる。
本形態では、包装体の蓋の開閉部が、包装体の本体の表面から剥がされて、基部側に折り返された場合、開閉部に加える力を除去しても、開閉部が開口側に倒れない。このため、蓋の開閉部の操作および物品を取り出す操作を片手で行うことができる。
【0008】
さらに他の形態では、包装体の蓋の開閉部と基部との境界部から包装体の蓋の先端までの長さは、開閉部と基部との境界部の箇所で開閉部が基部側に折り返された時に、蓋の先端が、包装体の本体の、開口を有する表面と反対側の表面の位置に達しない長さに設定されている。「開口を有する面と反対側の表面の位置」は、開口を有する表面と反対側の表面に沿って引いた線と交差する位置を意味する。
本形態では、包装体の蓋の開閉部を基部側に折り返した状態で、包装体を包装体収容空間に収容した時に、包装体の蓋が容器の本体の裏面に確実に接着される。
【0009】
さらに他の形態では、包装体の蓋は、開閉部から、基部と反対側に延びる摘み部を有している。また、包装体の蓋は、一つの面の開閉部と基部に対応する箇所に塗布された接着剤によって、包装体の本体の表面に接着される。この時、少なくとも開閉部が繰り返し剥離可能に包装体の本体の表面に接着する。そして、包装体の蓋の開閉部と基部との境界部から包装体の蓋の先端までの長さは、蓋が開閉部と基部との境界部の箇所で基部側に折り返された時に、蓋の先端が、包装体の本体の、開口を有する表面と反対側の表面の位置に達しない長さに設定されている。
本形態では、包装体の蓋の先端側に摘み部が設けられため、包装体の蓋の開閉部の操作が容易となる。また、包装体の蓋の先端側を、開閉部と基部との境界部を中心として基部側に折り返した状態で、包装体を包装体収容空間に収容した時に、包装体の蓋が容器の本体の裏面に確実に接着される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、包装体の蓋の開閉部が基部側に折り返され、折り返された開閉部に塗布されていう接着剤によって、包装体の蓋が容器の本体の裏面に接着された状態で、包装体が包装体収容空間に収容される。これにより、包装体に収容されている物品の数が少なくなっても、包装体の開口と容器の開口の位置関係が変化することがないため、物品を安定して取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、ウェットティッシュを取り出し可能に収容するウェットティッシュ収容装置300として構成した、本発明の一実施の形態を説明する。本実施の形態のウェットティッシュ収容装置300は、ウェットティッシュ130を収容する包装体100と、包装体100を収容する容器200により構成されている。
ウェットティッシュ130は、繊維材料をシート状に形成した基材(例えば、不織布、ガーゼ、コットンシート、ティッシュペーパー)に液体(例えば、アルコール、消毒液、化粧水)等を含浸させたものを意味する。
本実施の形態では、ウェットティッシュ130が本発明の「物品」に対応し、包装体100が本発明の「包装体」に対応し、容器200が本発明の「容器」に対応し、ウェットティッシュ収容装置300が本発明の「収容装置」に対応する。
【0012】
本実施の形態で用いる包装体100の構成を、図1〜図4により説明する。ここで、図1には、開口112を閉じた状態の包装体100の斜視図が示され、図2には、図1のII−II線断面図が示されている。また、図3には、開口112を開いた状態の包装体100の斜視図が示され、図4には、図3のIV−IV線断面図が示されている。なお、本実施の形態で用いる包装体100は、単体で(容器300に収容しないで)使用することもできる。
包装体100は、本体110と蓋120により構成されている。本体110が本発明の「包装体の本体」に対応し、蓋120が本発明の「包装体の蓋」に対応する。
【0013】
包装体100の本体110は、上壁110aと底壁110bにより形成され、ウェットティッシュ130を収容するウェットティッシュ収容空間110Hを有している。また、包装体100の本体110は、上壁110aに形成され、ウェットティッシュ130をウェットティッシュ収容空間110Hから取り出すための開口112を有している。本明細書では、開口112が形成される面を「上壁」と呼んでいる。ウェットティッシュ収容空間110Hが本発明の「物品収容空間」に対応し、開口112が本発明の「物品を物品収容空間から取り出すための、包装体の本体の開口」に対応する。
ウェットティッシュ130は、開口112から順次取り出すことができるように、ウェットティッシュ収容空間110H内に収容される。好ましくは、開口112からウェットティッシュ130を取り出した時、次に取り出されるウェットティッシュ130の一部が開口112から飛び出した状態となるように収容される。例えば、折り返したウェットティッシュ130を、折り返し方向が交互に逆になるように積層して積層体を形成する。この時、ウェットティッシュ130の下方側(積層体の下方側)の端部が、次に取り出されるウェットティッシュ130の上方側(積層体の上方側)の端部の下方に配置されるように積層する。
【0014】
包装体100の本体110は、例えば、加熱することによって融着可能なフィルム(「熱融着フィルム」という)によって形成される。典型的には、包装体100の本体110は、熱融着フィルムによってウェットティッシュ130を包み、熱融着フィルムが重ねられている縦シール部(図示省略)および横シール部111a、111bを押圧および加熱し、縦シール部および横シール部111a、111bで熱融着フィルムを結合することによって形成される。縦シール部は、本体110の下部に、包装体100の製造時における熱融着フィルムの搬送方向に沿って形成される。また、横シール部111a、111bは、包装体100の製造時における熱融着フィルムの搬送方向に沿って離れた前後の箇所に、熱融着フィルムの搬送方向に直交する方向に沿って形成される。
包装体100の本体110を形成する熱融着フィルムとしては、加熱することによって融着可能な種々のフィルムを用いることができる。なお、本実施の形態では、ウェットティッシュ130を収容するため、熱融着フィルムとしては、ウェットティッシュ130の湿潤状態を保持可能(乾燥を防止可能)なフィルムを用いるのが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂により形成される保護層、アルミニウムにより形成される湿潤保持層(乾燥防止層)、二軸延伸ポリプロピレン樹脂により形成される熱融着層(ヒートシール層)が積層された積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。このような熱融着フィルムを用いて本体110を形成する場合には、縦シール部および横シール部において、熱融着層(二軸延伸ポリプロプレン樹脂層)が対向するように、熱融着フィルムを重ねる。なお、保護層は省略することができる。また、湿潤保持層(乾燥防止層)は、ウェットティッシュ収容空間110Hに収容されているウェットティッシュ130の湿潤状態を維持する(乾燥を防止する)ことができればよく、アルミニウム層に限定されない。また、熱融着層は、加熱されることによって融着されればよく、二軸延伸ポリプロピレン樹脂層に限定されない。
【0015】
本実施の形態では、本体110を形成する熱融着フィルムには、本体110の上壁110aに対応する箇所に、開口縁112aに沿ってミシン目状の切込みが形成されている。熱融着フィルムのうち、このミシン目状の切込み(開口縁112a)によって囲まれた開口形成部110Aは、後述するように、包装体100の蓋120の開閉部120Bが最初に本体110の表面から剥がされる時に、開閉部120Bに接着された状態で本体110から剥がされる。開口形成部110Aが本体110から剥がされることによって、本体110の上壁110aに開口112が形成される。
開口112(開口縁112a)は、ウェットティッシュ130をウェットティッシュ収容空間110Hから取り出すことができる種々の形状に形成することができる。例えば、長軸と短軸を有する楕円形状、円形形状、四角形状に形成することができる。本実施の形態では、本体110には、楕円形状を有する開口112(開口縁112a)が形成される。なお、開口112の楕円形状は、長軸が、本体110の長手方向(図2では、縦シール部の方向と同じ左右方向)を向き、短軸が、本体110の長手方向に直交する方向(横シール部の方向と同じ方向)を向くように形成されている。
なお、予め開口112が形成された熱融着フィルムを用いて本体110を形成する方法を用いることもできる。
【0016】
包装体100の蓋120は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂や二軸延伸ポリプロピレン(OPP)樹脂等によって形成される。蓋120は、開閉部120Bと、開閉部120Bから一方側に延びている基部120Aと、開閉部120Bから他方側(基部120Aと反対側)に延びている摘み部(先端部)120Cを有している。開閉部120Bは、本体110の開口112の面積より大きい面積を有している。そして、蓋120は、一つの面に塗布された接着剤によって、本体110の上壁110aの表面に接着される。この時、基部120Aは、開口112が形成されていない箇所に接着され、開閉部120Bは、開口112を覆う箇所に接着される。摘み部120Cは、開閉部120Bを操作する際の摘みとして用いられる。このため、摘み部120Cには接着剤を塗布しないのが好ましい。接着剤としては、少なくとも開閉部120Bを繰り返し剥離可能に本体110の上壁110aの表面に接着する接着剤(例えば、感圧接着剤)が用いられる。
【0017】
ここで、本実施の形態の包装体100は、容器200に収容しないで使用可能である。包装体100を単独で使用する場合、ウェットティッシュ130をウェットティッシュ収容空間110Hから取り出す際には、ユーザは、蓋120の摘み部120Cを指で摘んで開閉部120Bを本体110の上壁110aの表面から剥がす。そして、開閉部120Bを基部120A側に折り返して、開口112を開ける。ここで、摘み部120Cが指から離れた時に、蓋120の弾性によって、開閉部120Bが本体110の上壁110aの表面側に倒れる場合には、開口112が閉じるため、ウェットティッシュ130を取り出すことができない。すなわち、蓋120の開閉部120Bの操作およびウェットティッシュ130の取り出し操作を片手で行うことができない。
本実施の形態では、片手でウェットティッシュ130を取り出すことができるようにするために、図2および図4に示されているように、包装体100の蓋120は、第1のシート121と第2のシート122を積層して構成されている。第1のシート121は、開閉部120Bに対応する形状を有している。また、第2のシート122は、第1のシート121より大きく形成され、基部120A、開閉部120Bおよび摘み部120Cに対応する形状を有している。
第1のシート121は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を使用したシート又は合成紙によって形成される。第1のシート121は、50μm〜100μmの厚さ、好適には、70μmの厚さに形成される。第2のシート122は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等を使用したシートによって形成される。第2のシート122は、10μm〜20μmの厚さ、好適には、20μmの厚さに形成される。すなわち、第2のシート122の厚さは、第1のシート121の厚さより小さく設定されている。これにより、第2のシート122の曲げ剛性が、第1のシート121の曲げ剛性より小さい。なお、第2のシート122の曲げ剛性を第1のシート121の曲げ剛性より小さくする方法としては、厚さを変える方法に限定されず、材料を変える方法を用いることもできる。
【0018】
第1のシート121の一つの面(図2では、下側の面)には、第1の接着剤123が塗布される。また、第2のシート122の一つの面(図2では、下側の面)には、第2の接着剤124が塗布される。本実施の形態では、第2の接着剤124は、摘みとして用いられる摘み部120Cに対応する箇所には塗布されていない。第1の接着剤123および第2の接着剤124としては、例えば、アクリル系接着剤が用いられる。
第2の接着剤124によって、第1のシート121と第2のシート122が接着される。すなわち、第1のシート121と第2のシート122が積層される。この時、第1のシート121の他の面(図2では、上側の面)は、第2のシート122の一つの面の、開閉部120Bに対応する箇所に接着される。これにより、蓋120の開閉部120Bは、第1のシート121と第2のシート122との積層部分によって構成され、基部120Aは、第1のシート121から一方側(図2では、右側)に延びている第2のシート122の部分によって構成され、摘み部120Cは、第1のシート121から他方側(図2では、左側)に延びている第2のシート122の部分によって構成される。120Dは、開閉部120Bと基部120Aの境界部である。これにより、蓋120の厚さは、境界部120Dの箇所で変化している。そして、蓋120は、開閉部120Bを構成する第1のシート121の一つの面に塗布されている第1の接着剤123と、基部120Aを構成する第2のシート122の一つの面(第1のシート121と同じ側の面)に塗布されている第2の接着剤124によって、本体110の上壁110aの上面に接着される。
通常状態では、ウェットティッシュ130の乾燥を防止するために、開閉部120Bを本体110の上面110aに接着し、開口112を閉じる。一方、ウェットティッシュ130を取り出す際には、蓋120の開閉部120Bを本体110の上壁110aの表面から剥がし、開口112を開ける。このため、第2の接着剤124としては、開閉部120Bを、繰り返し剥離可能に本体110の上壁110aの表面に接着する接着剤が用いられる。
ここで、第2の接着剤124の接着力が第1の接着剤123の接着力と同じ場合には、開閉部120Bを本体110の上壁110aの表面から剥がし、開閉部120Bを基部120A側に折り返す時に、基部120Aも本体110の上壁110aの表面から剥がれる虞がある。このため、本実施の形態では、基部120Aを構成する第2のシート122を本体110の表面に接着する第2の接着剤124として、開閉部120Bを構成する第1のシート121を本体110の表面に接着する第1の接着剤123の接着力より大きい接着力を有する接着剤を用いている。
【0019】
ウェットティッシュ収容空間110Hに収容されているウェットティッシュ130を本体110の開口112から取り出す操作を以下に説明する。
ユーザが、ウェットティッシュ130を開口112から取り出す時には、蓋120の摘み部(先端部)120cを指で掴んで引っ張る。例えば、摘み部120Cを、上壁110aの表面の上方および基部110Aの方向に引っ張る。これにより、第1の接着剤123によって上壁110aの表面に接着されている開閉部120Bは、摘み部120C側の箇所から順に、上壁110aの表面から剥がれるとともに、基部120A側に折り返される。開閉部120Bを最初に開操作する場合には、開口縁112aに沿って形成されている切込み線によって囲まれた開口形成部110aが、第1の接着剤123によって開閉部120Bに接着された状態で本体110から剥がれる。これにより、本体110の上壁110aに開口112が形成される。
本実施の形態では、蓋120の基部120Aを本体120に接着する第2の接着部材124の接着力が、蓋120の開閉部120Bを本体110に接着する第1の接着剤123の接着力より大きく設定されている。これにより、開閉部120Bが、開閉部120Bと基部120Aとの境界部120Dまで剥がれると、ユーザは、指に加わる反力の増加によって、開閉部120Bが境界部120Dの箇所まで剥がされたことを認識することができる。
また、本実施の形態では、蓋120の開閉部120Bは、第1のシート121と第2のシート122との積層部分によって構成され、蓋120の基部120Aは、第1のシートから延びている第2のシートの部分によって構成されている。すなわち、開閉部120Bと基部120aとの境界部120Dで蓋120の厚さが変化している。これにより、開閉部120Bが、開閉部120Bと基部120Aとの境界部120Dまで剥がれると、境界部120Dがヒンジとして機能し、開閉部120Bを本体110の表面から剥がす力が、境界部120Dを中心とする開閉部120Bの回転力として吸収される。
また、本実施の形態では、第2のシート122の曲げ剛性は、第1のシート121の曲げ剛性より小さく設定されている。これにより、図4に示されているように、開閉部120Bを境界部120Dの箇所まで剥がすと、開口部120Bは、自重によって、基部120A側に倒れた状態を維持する。この状態で、ユーザが摘み部120Cから指を離しても、開閉部120Bが開口112側に倒れるのが防止される。したがって、ユーザは、片手で開閉部120Bの操作およびウェットティッシュ130の取り出し操作を行うことができる。
ウェットティッシュ130を使用しない時には、ウェットティッシュ130の乾燥を防止するために、ユーザは、摘み部120Cを開口112側に戻し、第1の接着剤123によって開閉部120Bを本体110の上壁110aの表面に接着する。
【0020】
次に、本実施の形態で用いる容器200の構成を、図5により説明する。ここで、図5には、包装体100を収容する容器200の斜視図が示されている。
容器200は、本体210と、上蓋220と、底蓋230により構成されている。本体210、上蓋220、底蓋230は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂等によって形成される。本体210が本発明の「容器の本体」に対応し、上蓋220が本発明の「容器の蓋」に対応する。
【0021】
容器200の本体210は、上壁210aと側壁を有している。容器200の本体210の底部は開口されている。本体210の底部の開口は、底蓋230によって閉じられる。上壁210a、側壁、底蓋230によって、包装体100を収容する包装体収容空間210Hが形成されている(図7参照)。
容器210の上壁210aには、第1の凹部211、第2の凹部212、ウェットティッシュ130を包装体収容空間210Hから取り出すための取出口215、フラップ216が形成されている。第1の凹部211は、第1の底面211aと第1の側面211bにより形成されている。第2の凹部212は、第1の凹部211より内側に配置され、第2の底面212aと第2の側面212bにより形成されている。取出口215とフラップ216は、第2の凹部212の底面212に形成されている。取出口215は、包装体収容空間210Hに包装体100を収容した時に、包装体100の開口112に対応する箇所に形成されている。これにより、包装体100に収容されているウェットティッシュ130を、包装体100の開口112および容器200の取出口215を介して取り出すことができる。フラップ216は、ウェットティッシュ130を取り出した時、次に取り出されるウェットティッシュ130の一部を挟んで保持する。取出口215が、本発明の「容器の開口」に対応する。取出口215の形状や配置位置は適宜選択することができる。
上蓋220は、ヒンジ部(図示省略)によって、取出口215が閉じる閉位置と取出口215が開く開位置の間で回動可能に本体210に取り付けられている。上蓋220には、本体210の第1の凹部211に挿入可能な第1の壁部材221と、第2の凹部212に挿入可能な第2の壁部材222を有している。上蓋220が閉位置に回動されると、上蓋210の第1の壁部材211が第1の凹部211に挿入されるとともに、第2の壁部材223が第2の凹部212に挿入されて、取出口215が閉じられる。これにより、包装体収容空間210Hが密封状態となり、ウェットティッシュ130の乾燥が防止される。
また、上蓋220は、突起224を有している。本体210には、ロック位置とロック解除位置の間で移動可能なプッシュボタン240が設けられている。プッシュボタン240は、上蓋220の突部224と係合する溝(図示省略)を有している。プッシュボタン240は、ばね(図示省略)の弾性力によって、ロック位置に移動する方向に付勢されている。上蓋220が閉位置に回動されると、上蓋220の突部224がプッシュボタン240の溝に係合する(ロック状態)。この状態で、プッシュボタン240をロック解除側に移動させると、上蓋220の突部224とプッシュボタン240の溝との係合が解除され(ロック解除状態)、上蓋220は、板ばね223の弾性力によって開位置に回動する。上蓋220の突起224とプッシュボタン240によって、上蓋220を閉位置にロックしあるいは閉位置へのロックを解除するロック機構が構成されている。
【0022】
次に、本実施の形態のウェットティッシュ収容装置300からウェットティッシュ130を取り出す操作、すなわち、包装体収容空間210Hに収容されている包装体100から、包装体100の開口112および容器200の取出口215を介してウェットティッシュ130を取り出す操作を、図6および図7を参照して説明する。なお、図6には、包装体100を容器200に収容する操作、すなわち、本実施の形態のウェットティッシュ収容装置300を形成する操作を説明する図が示されている。図7には、図6のVII−VII線断面図が示されている。
包装体100を容器200に収容してウェットティッシュ収容装置300を構成する際には、蓋110の摘み部120Cをユーザの指で摘んで引っ張り、開閉部120Bを本体110の上壁110aの表面から剥がす。そして、開閉部120Bを、開閉部120Bと基部120Aとの境界部120Dを中心に基部120A側に折り返す。この場合、開閉部120Bは、前述したように、自重によって、基部120A側に倒れた状態に維持される。すなわち、包装体100は、開口112が開いた状態にある。
そして、包装体100を、包装体100の開口112が容器200の取出口215に対向するように、容器200の本体210の底部の開口から包装体収容空間210Hに挿入する。その後、底蓋220を本体210に取り付けて包装体収容空間210Hを閉じる。この時、包装体100の蓋120の開閉部120Bが基部120A側に倒れた状態にあるため、蓋120の開閉部120Bを構成する第1のシート121の一つの面に塗布されている第1の接着剤123が、容器200の本体210の取出口215側に配置される。このため、包装体100が容器200の包装体収容空間210Hに挿入されると、包装体100の蓋120の開閉部120Bに塗布されている第1の接着剤123によって、蓋120は、容器200の本体210の上壁210aの裏面212cに接着される。包装体100の蓋120が容器200の本体210の上壁210aの裏面212cに接着することによって、包装体100は、容器200の包装体収容空間210H内で位置決めされる。すなわち、包装体100の開口112と容器200の取出口215との位置関係が固定される。
ユーザは、ウェットティッシュ130を取り出す際には、プッシュボタン240をロック解除位置に操作して容器200の上蓋220の閉位置へのロックを解除する。これにより、容器200の蓋220が、板ばね220の弾性力によって、開位置に回動し、取出口215が開く。
この状態で、ユーザは、包装体100に収容されているウェットティッシュ130を、容器200の取出口215および包装体100の開口112を介して取り出す。この時、次に取り出されるウェットティッシュ130の一部が取出口215から飛び出し、フラップ216に係止される。
ウェットティッシュ130を使用しない時には、ウェットティッシュ130の乾燥を防止するために、ユーザは、容器200の蓋220を閉位置に回動させてロックする。
【0023】
本実施の形態では、包装体100を容器200の0包装体収容空間210Hに収容する際、包装体100の蓋120の開閉部120Bに塗布されている第1の接着剤123を利用し、蓋120を容器200の本体210の上壁210aの裏面に接着させている。これにより、包装体100が容器200の包装体収容空間210H内で位置決めされるため、ウェットティッシュ130が少なくなっても、包装体100が包装体収容空間210H内で移動するのが防止される。したがって、包装体100を収容している容器200の取出口215から、包装体100に収容されているウェットティッシュ130を安定して取り出すことができる。
また、本実施の形態では、包装体100の蓋120の開閉部120Bが、第1のシート121と第2のシート122の積層部分により構成され、基部120Aが、第1のシート121から延びている第2のシート122の部分により構成されている。さらに、第2のシート122の曲げ剛性が、第1のシート121の曲げ剛性より大きく設定されている。これにより、包装体100の蓋120の開閉部120Bを基部120A側に折り返すことによって、開閉部120Bは、基部120A側に折り返された状態に維持される。したがって、包装体100を容器200の包装体収容空間210Hに挿入する際に、包装体収容空間210H内における包装体100の配置位置を容易に調製することができる。
また、本実施の形態では、包装体100を容器200に収容する際に、包装体100の蓋120を本体110から剥がしていない。このため、容器200から取り出した包装体100を再度使用することができる。
【0024】
ここで、包装体100の蓋120の長さについて、図8を参照して説明する。なお、図8は、図7の断面図を簡略化した図である。
図8に破線で示されているように、蓋120の境界部120Dから蓋120の先端320xまでの長さ(開閉部120Bの長手方区の長さと摘み部120Cの長手方向の長さの合計)が長いと、蓋120は、境界部120Dから本体110の上壁110aの表面に沿って基部120A側に延びるとともに、横シール部111aを迂回して底壁110bまで延びる。この場合、包装体100の蓋120を容器200の本体210の上壁210aの裏面に接着することができなくなる虞がある。
そこで、本実施の形態では、図8に実線で示されているように、蓋120の境界部120Dから蓋120の先端120xまでの長さ(開閉部120Bの長手方向の長さと摘み部120Dの長手方向の長さの合計)を適切な範囲に設定している。すなわち、蓋120の先端側(開閉部120B0側)を境界部120Dを中心に基部120A側に折り返した時、蓋120の先端120xが、開口112が形成されている上壁110aと反対側の底壁110bに対応する位置に達しないように設定されている。「底壁110bに対応する位置に達しないように設定する」という記載は、「底壁110bに沿って延ばした線と交差する位置に達しないように設定する」ことを表している。
【0025】
ここで、包装体100の外径寸法は、ウェットティッシュ130を積層した積層体の大きさによって概略定まる。また、横シール部111aの長さは、包装体100によって異なる。したがって、蓋120の境界部130Dから蓋120の先端120xまでの長さの範囲を、ウェットティッシュ130を積層した積層体の大きさを用いて簡略的に設定することができる。例えば、蓋120の境界部120Dから蓋120の先端120xまでの長さを、[L1+L2]以下に設定する。[L1]は、蓋120の境界部120Dと、ウェットティッシュ130の積層体の上面の、基部120A側の縁部(本体110の上面110aの、基部120A側の縁部)110cとの間の長さである。[L2]は、ウェットティッシュ130の積層体の厚さ(本体110の上壁110aの表面と底壁110bの表面の間の長さ)である。
なお、蓋120の境界部120Dから蓋120の先端120xまでの長さの最小値は、包装体100の開口112の大きさによって決定される。
このように、本実施の形態では、蓋120の開閉部120Bと基部120Aとの境界部120Dから蓋120の先端120xまでの長さを、包装体100を容器200の包装体収容空間210に挿入した時に、包装体100の蓋120が容器200の本体210の上壁210aの裏面212cに確実に接着される適切な範囲に設定している。したがって、包装体100の開口112と容器200の取出口215の位置関係を固定することができるため、ウェットティッシュ130を容器200の取出口215から安定に取り出すことができる。
【0026】
ところで、前述したように、本実施の形態で用いている包装体100の蓋120は、第1のシート121と第2のシート122との積層部分により構成される開閉部120Bと、第1のシートから延びる第2のシートの部分によって構成される基部120Aを有している。このため、蓋120を、第1のシート121が下方、第2のシート122が上方となるように配置した時、基部120aを構成する第2のシート121の部分の下方に第1のシート121が存在しない(図9参照)。この場合、基部120Aを構成する第2のシート122には、自重による力が加わる。この力は、開閉部120Bと基部120Aとの境界部120Dから離れるほど大きくなる。
また、前述したように、本実施の形態で用いている包装体100では、蓋120の基部120Aを構成する第2のシート122の曲げ剛性は、開閉部120Bを構成する第1のシート121の曲げ剛性より小さく設定されている。このため、基部120Aの剛性が小さい。特に、基部120Aの、開閉部120Bと反対側の端部(境界部120Dから延びる縁部と、開閉部120Bと反対側の縁部が交差する箇所)の剛性が小さくなる。
ここで、基部520Aの、開閉部520Bと反対側の端部522aが尖った形状(例えば、直角形状)に形成されている蓋520を図9に示す。図9に示されている蓋520は、開閉部520Bが、第1のシート521と第2のシート522との積層部分によって構成され、基部520Aが、第1のシート521から一方側に延びている第2のシート522の部分によって構成され、摘み部520Cが、第1のシート521から他方側(基部520Aと反対側)に延びている第2のシート522の部分によって構成されている。基部520Aの、開閉部520Bと反対側の端部522aが尖った形状に形成されている場合、この端部522aの剛性が特に小さくなる。したがって、図9に示されている蓋520は、第1のシート521が下方、第2のシート522が上方に配置されている状態において、白矢印で示されているように、端部522aが第1のシート521側に撓む虞がある。
また、包装体20の製造時等に、蓋520が、第1のシート521が下方、第2のシート522が上方に配置されている状態で、蓋520に、図10に白矢印で示される方向に力Fが加わることがある。端部522aが尖った形状に形成されている場合、この力Fはそのまま加わる。このため、黒矢印で示されるように、端部522aが折れ曲がる虞がある。
以上のように、基部520Aの端部522aが尖った形状に形成されている場合、端部522aに撓みや折れ曲がりが発生する虞れがある。そして、端部522aに撓みや折れ曲がりが発生している状態で蓋520を本体110の表面に接着すると、蓋120の基部120Aに皺が発生する。
【0027】
そこで、本実施の形態では、蓋120の基部120Aの端部122aの剛性を大きくすることによって当該基部120Aに撓みや折れ曲がりが発生するのを防止し、それによって蓋120の基部120Aに皺が発生するのを防止する技術を用いている。
本実施の形態で用いている蓋120の斜視図が図11に示されている。蓋120は、前述したように、第1のシート121と第2のシート122との積層部分によって構成される開閉部120Bと、第1のシート121から一方側に延びている第2のシートの部分によって構成される基部120Aと、第1のシート121から他方側(基部120Aと反対側)に延びている摘み部120Cを有している。そして、基部120Aの、開閉部120Bと反対側の端部122aがR形状(円弧形状)に形成されている。R形状に加工する場合には、R形状の半径が設定される。基部120Aの端部122aがR形状に形成されている場合、図11に示されているように、端部122aに加わる力Fは分散される。すなわち、端部122aの剛性が、角形状等の尖った形状に形成されている場合に比べて大きくなる。したがって、端部122aに加わる力によって当該端部122aに撓みや折れ曲がりが発生するのが防止され、それによって、蓋120の基部120Aに皺が発生するのが防止される。
基部120Aの端部122aに撓みや折れ曲がりが発生するのを防止するための、当該端部122aのR形状の半径は、基部120Aの形状(蓋120の長手方向に沿った長さ、蓋120の長手方向に直交する方向の幅)、開閉部120Bを構成する第1のシート部材121の厚さ等に基づいて適切な値に設定される。なお、いくつかの大きさの蓋120について実験を行った結果では、基部120Aの端部122aのR形状の半径が1mmでは蓋120の基部120Aに皺が発生したが、1.5mmでは蓋120の基部120Aに皺が発生しなかった。この実験結果から、基部120Aの端部122aのR形状の半径は、1.5mm以上に設定するのが好ましい。基部120Aの端部122aのR形状の半径の最大値は、基部120Aの長さや基部120Aの所望の強度等に基づいて決定される。
【0028】
基部の端部の形状は、R形状に限定されない。他の構成の蓋420が図12に示されている。
図12に示されている蓋420では、基部420Aの、開閉部420Bと反対側の端部422aが面取り加工されている。面取り加工は、端部422aの先端側を切断する加工方法である。面取り加工を行う場合には、端部422aを形成する縁部のうちの一方の縁部に対する切断面の角度を示す面取り角度θと、端部422aの先端と切断箇所との間の寸法を示す面取り寸法mが設定される。例えば、面取り角度θは、基部420Aの、開閉部420Bと反対側の縁部422dに対する切断面の角度を示す。また、面取り寸法mは、開閉部420Bと基部420Aとの境界部120Dから延びる縁部422cと切断箇所との間の長さを示す。基部420Aの端部422aが面取り加工されている場合も、図12に示されているように、端部422aに加わる力Fは分散される。すなわち、端部422aの剛性が、角形状等の尖った形状に形成されている場合に比べて大きくなる。したがって、端部422aに加わる力によって当該端部422aに撓みや折れ曲がりが発生するのが防止され、それによって、蓋420の基部420Aに皺が発生するのが防止される
基部420Aの端部422aの面取り形状(面取り角度や面取り寸法)は、蓋420の基部420Aの形状(長さや幅)、開閉部420を構成する第1のシート部材121の厚さ等によって設定される。前述のR形状についての実験結果から、端部422aの面取り形状(面取り加工)は、面取り角度を略45度、面取り寸法を1.5mm以上に設定するのが好ましい。端部422aの面取り形状の面取り寸法の最大値は、基部420Aの長さや基部420Aの所望の強度等に基づいて決定される。
【0029】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
本発明の収容装置は、ウェットティッシュ等のシート状物品に限定されず、種々の物品を収容する収容装置として構成することができる。
包装体100の開口112は、本体110の上壁110aに形成したが、少なくとも一部が本体110の上壁110aに形成されていればよい。
容器200の取出口215(容器の開口)を開閉する開閉機構として、本体210の上壁210aに形成された第1の凹部211と上蓋230に形成された第1の壁部材231からなる第1の開閉機構と、本体210の上壁210aに形成された第2の凹部212と上蓋230に形成された第2の壁部材232からなる第2の開閉機構を用いたが、一方の開閉機構を省略することもできる。また、容器200の取出口215(容器の開口)を開閉する開閉機構は、他の種々の構成の開閉機構を用いることができる。
包装体100の蓋120を基部120A、開閉部120Bおよび摘み部(先端部)120Cにより構成したが、基部120Aと開閉部120Bにより構成することもできる。
容器200の上蓋230を、取出口215が閉じた状態に保持する保持機構および保持機構による保持動作を解除する解除ボタンは、実施の形態で説明した構成に限定されない。
包装体100の蓋120の基部120Aを本体110の表面に接着する接着剤としては、基部120Aを剥離可能に本体110の表面に接着する接着力を有する接着剤を用いてもよいし、基部120Aを強固に(剥離不能に)本体110の表面に接着する接着力を有する接着剤を用いてもよい。
包装体100の蓋120を、第1のシート121と第2のシート122を積層して形成したが、単一のシートによって形成してもよいし、3以上のシートを積層して構成してもよい。蓋120を単一のシートによって構成する場合には、開閉部120Bと基部120Aの境界部120Dを中心とする開閉部120Bの折り曲げを容易にするために、境界部120Dに対応する箇所に、外周縁から内側に窪んでいる切り欠きを形成するのが好ましい。この場合、切り欠きに挟まれた部分がヒンジ部として機能する。
包装体100の本体110の上壁110aに開口縁112aに沿って切込み線を形成し、切込み線によって囲まれる開口形成部110Aを、蓋120に塗布された接着剤を用いて剥がすことによって開口112を形成したが、開口112が形成された本体110を用いることもできる。この場合には、蓋120の第1の接着剤123は、開閉部120Bの一つの面の、開口112に対応する箇所を除いた箇所に塗布するのが好ましい。
包装体100は、実施の形態で説明した構成に限定されない。例えば、包装体110の形状、開口112の形状や配設位置、蓋120の形状や配設位置は、適宜変更可能である。また、物品を包装体100に収容する態様としては、種々の態様を用いることができる。
包装体100を収容する容器200の構成は、実施の形態で説明した構成に限定されない。例えば、本体210の形状、取出口215の形状や配設位置、取出口215を開閉する蓋220の形状等は、適宜変更可能である。また、包装体100を容器200に収容する態様としては、種々の態様を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態で用いる包装体の斜視図(開口が閉じている状態)である。
【図2】図1のII−II線断面図である、
【図3】本発明の一実施の形態で用いる包装体の斜視図(開口が開いている状態)である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態で用いる容器の斜視図(取出口が開いている状態)である。
【図6】包装体を容器に収容する操作を説明する図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態で用いる包装体の蓋の長さの範囲を説明する図である。
【図9】包装体の蓋の基部の端部が角形状である場合の問題点を説明する図である。
【図10】包装体の蓋の基部の端部が角形状である場合の問題点を説明する図である。
【図11】本発明の一実施の形態で用いる包装体の蓋を示す図である。
【図12】本発明の他の実施の形態で用いる包装体の蓋を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
100 包装体
110 包装体の本体
110a 上壁
110b 底壁
110c 縁部
110A 開口形成部
110H ウェットティッシュ収容空間(物品収容空間)
111a、111b 横シール部
112 開口
112a 開口縁
120、420、520 包装体の蓋
120A、420A、520A 基部
120B、420B、520B 開閉部
120C、420C、520C 摘み部(先端部)
120D、420D、520D 境界部
121、521 第1のシート
122、422、522 第2のシート
122a、422a、522a 端部
123、523 第1の接着剤
124、524 第2の接着剤
130 ウェットティッシュ(物品)
200 容器
210 容器の本体
210a 上壁
210H 包装体収容空間
211 第1の凹部
211a 第1の底面
211b 第1の側面
212 第2の凹部
212a 第2の底面
212b 第2の側面
212c 上壁の裏面
215 取出口
216 フラップ
220 上蓋(容器の蓋)
221 第1の壁部材
222 第2の壁部材
223 板ばね
224 突起
230 底蓋
240 プッシュボタン
300 ウェットティッシュ収容装置(収容装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を取り出し可能に収容する収容装置であって、
前記物品を収容する包装体と、前記包装体を収容する容器を備え、
前記包装体は、本体と蓋により構成され、
前記包装体の本体は、前記物品を収容する物品収容空間と、前記物品を前記物品収容空間から取り出すための開口を有し、
前記包装体の蓋は、前記包装体の本体の開口を覆う開閉部と、当該開閉部から延びる基部を有し、また、前記包装体の蓋は、一つの面に塗布された接着剤によって、前記包装体の本体の表面に、少なくとも前記開閉部が剥離可能に接着され、
前記容器は、本体と蓋により構成され、
前記容器の本体は、前記包装体を収容する包装体収容空間と、前記物品を前記包装体収容空間から取り出すための開口を有し、
前記容器の蓋は、前記容器の本体の開口を開閉可能に、前記容器の本体に取り付けられており、
前記包装体は、前記包装体の蓋の開閉部が、前記包装体の本体の表面から剥がされて前記基部側に折り返され、前記一つの面に塗布された接着剤によって、前記容器の本体の、前記包装体の本体の開口に対向する側の裏面に接着された状態で、前記包装体収容空間に収容されることを特徴とする収容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の収容装置であって、前記包装体の蓋の開閉部は、第1のシートと、当該第1のシートより大きい第2のシートとの積層部分によって構成され、前記包装体の蓋の基部は、前記第2のシートの、前記第1のシートから延びている部分によって構成され、また、前記包装体の蓋の一つの面は、前記開閉部を構成する前記第1のシートの、前記第2のシートと反対側の面と、前記基部を構成する前記第2のシートの、前記第1のシート側の面によって形成されていることを特徴とする収容装置。
【請求項3】
請求項2に記載の収容装置であって、前記包装体の蓋の一つの面を形成する前記第2のシートの面に塗布される接着剤の接着力は、前記包装体の蓋の一つの面を形成する前記第1のシートの面に塗布される接着剤の接着力より大きいことを特長とする収容装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の収容装置であって、前記第2のシートの曲げ剛性は、前記第1のシートの曲げ剛性より小さいことを特徴とする収容装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の収容装置であって、前記包装体の蓋の前記開閉部と前記基部との境界部から前記包装体の蓋の先端までの長さは、前記蓋が、前記境界部の箇所で前記基部側に折り返された時に、前記蓋の先端が、前記包装体の本体の、開口を有する表面と反対側の表面の位置に達しない長さに設定されていることを特徴とする収容装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の物品収容装置であって、
前記包装体の蓋は、前記開閉部から、前記基部と反対側に延びる摘み部を有し、また、前記包装体の蓋は、一つの面の前記開閉部と前記基部に対応する箇所に塗布された接着剤によって、前記包装体の本体の表面に、少なくとも前記開閉部が剥離可能に接着され、
前記包装体の蓋の前記開閉部と前記基部との境界部から前記包装体の蓋の先端までの長さは、前記蓋が、前記境界部の箇所で前記基部側に折り返された時に、前記蓋の先端が、前記包装体の本体の、開口を有する表面と反対側の表面の位置に達しない長さに設定されていることを特徴とする収容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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