説明

収着フィルタ材料及びその使用

【課題】 本願発明は、すべての種類の防護製品(例えば、防護服、防護手袋、防護靴及びその他の防護衣料品、例えば傷病兵運搬用の防護カバー、寝袋等)の製造、且つフィルタ及びフィルタ材料の製造に適した吸着フィルタ材料を提供するものである。
【解決手段】 本願発明の収着フィルタ材料は、化学兵器及び生物兵器のような有害化学的及び生物学的物質の収着のためのものであり、収着剤で処理された少なくとも一つの支持材料を有すると共に、前記収着剤が、少なくとも一つの有機金属構造体に基づくものであること、且つ、前記収着剤が少なくとも一つの有機金属構造体(MOF)を具備するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、収着フィルタ材料、特に請求項1の前段部分による吸着フィルタ材料に関するものであり、すべての種類の防護製品(例えば、防護服、防護手袋、防護靴及びその他の防護衣料品、例えば傷病兵運搬用の防護カバー、寝袋等)の製造、且つフィルタ及びフィルタ材料の製造に適したものであり、軍事部門及び軍事以外の部門の両方について、特にNBC使用について適したものである吸着フィルタ材料に関するものである。
【0002】
本願発明は、この収着フィルタ材料の使用、特に上述した防護材料における且つ上述したフィルタ及びフィルタ材料における吸着フィルタ材料の使用、上述した防護材料の使用、上述したフィルタ及びフィルタ材料の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚によって吸着され、重篤な身体上の傷害を生じるいくつかの物質が存在する。水疱を発症するマスタードガス(イエロークロス)及び神経毒サリンが例として述べられる。そのような毒物に接触する可能性のある人たちは、適当な防護衣類を着用し、適当な防護材料によってこれらの毒物に足して防護しなければならない。
【0004】
この目的のために、例えば化学毒が不浸透性であるゴム層を備えた空気及び水蒸気不浸透性である防護服が知られている。これらの衣服は、空気及び水蒸気不浸透性であるために、非常に早く温度が上昇するという不具合がある。
【0005】
しかしながら、いろいろな条件下で長時間使用することを意図する化学兵器に対する防護服は、着用者のために温度が上昇しないようにする必要がある。この目的のために、空気及び水蒸気浸透性であり、着用者の高い快適性を提供する防護服が知られている。
【0006】
強く汚染された衣服ですら、化学毒と永続的に結合する活性炭を具備する吸着フィルタ層を有して空気を通過させる透過性防護服は、着用者になんらリスクを負わせない。そのようなシステムの大きな利点は、活性炭が、内側からも接触するので、損傷された領域又は他の透過性の場所を通して入った毒についても素早く吸着することができることである。
【0007】
空気が通過する上述した透過性防護服における吸着層は、例えば活性炭粒子、特に約2.0mmまでの平均サイズを有する活性炭粒子又は小球が、布状支持材料にプリントされた接着剤の小さい点に結合されるように形成されるか、又はバインダ及び活性炭からなるカーボンペーストを含浸した網状ポリウレタンフォームが吸着層として使用されると共に、一般的な吸着層が、外側材料(例えば、カバー材料)によって補われ、着用者に対峙する内側が軽量布状材料によってカバーされるように形成される。
【0008】
さらに、例えば活性炭繊維不織布又は織られた活性炭繊維(特許文献1又はそれに先立つ特許文献2又は特許文献3参照)であるシート状活性炭繊維構造を具備する合成物も存在する。
【0009】
その全く曖昧な吸着特性によって、活性炭は最も広く使用される吸着剤である。活性炭は、一般に炭素含有開始合成物、好ましくは経済的に実用にかなった生成物を生じる開始合成物の炭化(低温度炭化、熱分解、焼成等の同義語として知られてもいる)及びそれに続く活性化によって得られるものである(例えば、H.V.キエンル及びE.ベーダー、「活性炭及びその製造方法」、エンケ出版、シュタットガルト、1980参照)。
【0010】
しかしながら、活性炭の製造は、比較的にエネルギーを消費する。さらに、金属塩での含浸は、いままでは所望の吸着効果を得るために必要とされており、そのため付加的な加工段階が必要となっていた。さらにまた、この方法において製造された吸着フィルタ材料は、常に所望の再生能力を有するものではない。さらに、多孔性及び細孔径分布は、容易に調整することができるものではなく、また作ることができるものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 94/01198 A1
【特許文献2】EP 0 649 332 B1
【特許文献3】EP 0 230 097 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明の目的は、上記従来技術の不利益点を避けるか、又は大きく減少させることができる収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料又は吸着防護材料を提供することにある。特に、そのような収着フィルタ材料は、NBC防護製品(例えば、防護服、防護手袋、防護靴及び防護衣料品の他の製品及び防護カバー、寝袋等)又はフィルタ及びフィルタ製品の製造に適したものであることが望ましい。特に吸着性能は、その使用に対応して製造することができることが望ましい。
【0013】
本願発明のさらなる目的は、気体及び/若しくは水蒸気に対する良好な透過性だけでなく、化学的及び生物学的汚染物質及び有毒物、特に化学兵器及び生物兵器に対する防護機能を確保する収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を提供することにある。
【0014】
本願発明の他の目的は、防護製品(例えば、防護服、防護手袋、防護靴及び防護頭巾等の防護衣料品、他の製品及び防護カバー、寝袋等)の使用に適し、且つこの方法で使用した時に着用者の高い着心地性を確保することができる収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を提供することにある。
【0015】
最後に、本願発明の他の目的は、フィルタ及びフィルタ材料(例えば、すべての種類の汚染物質、臭気物質及び毒物の、特に空気及び/若しくは気体流からの排除するためのもの、NBC防護マスクフィルタ、臭気フィルタ、シート状フィルタ、空気フィルタ、特に室内空気を浄化するためにフィルタ、吸着支持構造及び医療分野のためのフィルタ)における使用に適したものであり、この方法で使用した場合に良好なフィルタ効果を確保する収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本願発明は、本願発明の第1の様相によって、請求項1記載の収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を提案する。さらに、本願発明の吸着フィルタ材料の利益的な実施例は、従属請求項の主題である。
【0017】
本願発明は、本願発明のさらなる様相によって、防護製品、特に防護服、防護手袋、防護靴及び防護衣料品の他の製品、防護カバー、寝袋等を提供するものであり、それらは、本願発明の収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を使用して製造されたものであり、又は本願発明の収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を具備する防護製品を提供することにある。
【0018】
また、本願発明は、本願発明の他の様相によって、例えばNBC防護マスクフィルタ、臭気フィルタ、シート状フィルタ、空気フィルタ、室内空気の浄化のためのフィルタ及び医療分野のための吸着支持構造及びフィルタ等、空気及び/若しくは気体の流れからすべての種類の汚染物質、臭気物質及び有毒物を排除するためのフィルタ及びフィルタ製品であって、それらが本願発明の収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を使用して製造されるもの、又は本願発明の収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を具備するものを提供することにある。
【0019】
さらに、本願発明はさらに、本願発明の別の様相によって、例えば、NBC使用、軍事使用及び軍事使用以外の利用のための防護服、防護手袋、防護靴及び防護衣料品の他の製品、且つ防護カバー、寝袋等、すべての種類の防護製品を製造するための収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料の使用に提供されるものである。
【0020】
最後に、本願発明はさらに、本願発明の別の様相によって、すべての種類、特に空気及び/若しくは気体の流れからすべての種類の汚染物質、臭気物質及び毒物を除去するフィルタ及びフィルタ製品、例えばNBC防護マスクフィルタ、臭気フィルタ、シート状フィルタ、空気フィルタ、特に室内空気の浄化に使用されるフィルタ、吸着支持構造及び医療分野で使用されるフィルタを製造するための本願発明の収着フィルタ材料、特に吸収フィルタ材料の使用に、提供されるものである。
【0021】
したがって、本願発明は、本願発明の第1の様相によって、収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料、特に化学兵器及び/若しくは生物兵器のような有害な化学的及び/若しくは生物学的物質の収着、特に吸着に適している収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を提供するものであり、前記収着フィルタ材料は、収着剤、特に吸着剤で処理された少なくとも1つの支持材料を有し、前記収着剤は、少なくとも1つの有機金属構造体(MOF)に基づくものであり、且つ特に少なくとも1つの有機金属構造体(MOF)を具備するか、それからなる収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料を提供するものである。
【0022】
本願発明によって使用される支持材料に関しては、これは、一般的に、気体透過性であり、特に空気透過性である。本願発明によれば、本願発明によって使用される支持材料が、127Paの流路抵抗で、少なくとも10[l・m−2・s−1]、特に50[l・m−2・s−1]、好ましくは少なくとも100[l・m−2・s−1]、特に好ましくは少なくとも500[l・m−2・s−1]、及び/若しくは、10000[l・m−2・s−1]まで、特に20000[l・m−2・s−1]までのガス透過性、特に空気透過性を有することが好ましい。
【0023】
1つの具体例において、本願発明によって使用される支持材料は、三次元構造を有することが望ましい。特に、本願発明によって使用される支持材料は、この具体例では、好ましくは開放有孔フォーム、特に好ましくはポリウレタンフォームとして形成されることが望ましい。
【0024】
一方で、別の具体例において、本願発明によって使用される支持材料は、二次元及び/若しくはシート状構造を有することが望ましい。特に、本願発明によって使用される支持材料は、この具体例では、シート状、好ましくは布状構造として形成されることが望ましい。例えば、前記支持材料は、布シート状構造体、好ましくは空気透過性布状構造体、好ましくは織物、延伸ループニット、フォームドループニット、レイアップ又は布状合成物、特に不織布として形成されることが望ましい。特に、前記支持材料は、5〜1000g/m、特に10〜500g/m、好ましくは25〜450g/mの単位面積当たり重量を有することが望ましい。このように、この具体例における支持材料は、天然繊維及び若しくは合成繊維(化学的繊維)を含む若しくはそれらからなるシート状布構造体であることが望ましく、前記天然繊維は、ウール繊維及び綿繊維(CO)からなる群から選択されることが望ましく、前記合成繊維は、ポリエステル(PES);ポリオレフィン、特にポリエチレン(PE)及び若しくはポリプロピレン(PP);ポリ塩化ビニル(CLF);ポリ塩化ビニリデン(CLF);アセテート(CA);トリアセテート(CTA);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリアミド(PA)、特に芳香族化合物、好ましくは不燃性ポリアミド(例えば、NOMIX(登録商標));ポリビニルアルコール(PVAL);ポリウレタン;ポリビニルエステル;(メス)アクリラート;ポリ乳酸(PLA);活性炭;及びそれらの混合物からなる群から選択されることが望ましい。
【0025】
本願発明による支持材料のフィルタ効率及び/若しくは防護性能を向上させるために、前記支持材料は、(例えば、適当な含浸、コーティング等によって)撥油化及び/若しくは撥水化されることが望ましい。
【0026】
適切な場合、本願発明の収着フィルタ材料は、さらなるコーティング又は積層によって、例えば支持層から離れた収着フィルタ材料の側面に配置される上塗りによって補われ、サンドイッチ状構造(支持材料/吸着剤/上塗り)が結果として生じることが望ましい。1つ又はそれ事項の中間層(例えば、バリヤ層)が、存在しても良いものである。これは、当業者にとって公知の事実であるので、この件に関するさらなる詳細な説明は必要ない。
【0027】
前記収着剤は、通常、前記支持材料に固定される。これは、例えば接着剤による接着によって(例えば、接着剤によって)、又は、結果として収着剤固有の粘着性又は自己粘着性によって(例えば、スプレー付加によって又は有機バインダと混合することによって)実施されることが望ましい。
【0028】
良好な収着効果を達成するために、適用される収着剤の量は、収着フィルタ材料に基づいて、5〜95重量%の範囲内、好ましくは7.5〜90重量%の範囲内、特に好ましくは10〜80重量%の範囲内、より好ましくは12.5〜75重量%の範囲内、最も好ましくは15〜75重量%の範囲内であることが望ましい。
【0029】
本願発明によれば、前記収着剤は、粒子状形状において、特に粒状形状において、好ましくは小球状形状において存在することが望ましい。粒子形状収着剤の平均粒子径は、広い範囲で変化可能であり、特に粒子形状収着剤の平均粒子径は、0.01μm〜10.0mmの範囲内、特に0.1μm〜5.0mmの範囲内、好ましくは0.5μm〜2.5mmの範囲内、特に好ましくは1μm〜2.0mmの範囲内、最も好ましくは10μm〜1.5mmの範囲内であることが望ましい。平均粒子径について上述された値は、例えば特に0.1μm以上の粒子径に関する限りにおいて、ASTM D2862−97/04又は他の適当な方法にしたがって測定されることが望ましく、0.1μm以下の粒子径の関する限りにおいて、例えば動的光散乱法、スキャニング法、又は透過電子顕微鏡法、画像解析法等にしたがって、測定されることが望ましい。
【0030】
本願発明の目的に関して、使用される収着剤、特に吸着剤は、一般的に多孔性であり、結晶構造を有する「MOF物質」、「MOF材料」、「多孔性配位重合体」等と同義語的に使用される「有機金属構造体」(MOFs)であることが望ましい。これらの有機金属構造体は、相対的に単純モジュール構造であり、多孔性物質の新しいクラスを形成する。前記MOFは、一般的に複数の多官能性若しくは多座配位子(配位子)が結合する架橋結合点としての単核鎖体(「ノード」)である。「有機金属構造体(MOF)」という言葉は、有機金属構造体の分野のパイオニアの一人であるオマール・ヤギによって作られたものである。いろいろな合成物が、それらが発見された時に単に順番に基づいてヤギによって名付けられた(例えば、1998年からのMOF−2及び2004年からのMOF−177)。
【0031】
本願発明の目的に関して、有機金属構造体は、特に、その調合の後、特に不純物が取り除かれた後に得られる有機金属ハイブリッドポリマーと呼ばれ、最初に金属イオンに基づく反復構造単位を作製し、次に、少なくとも二座配位子と架橋するものである。このように、有機金属構造体は、内部空洞(細孔)を有する三次元構造体を形成するように、少なくとも二座有機配位子を介してお互いに結合すると共に、前記細孔が、金属原子及びそれらと結合する有機配位子によって定義され又は決定される。MOF構造体は、排他的に々金属イオン(例えば、胴又は亜鉛、等)又はその他2つ以上の異なる金属イオン(例えば、異なる種類の金属イオン、例えば胴及び亜鉛、等)を有することが望ましい。
【0032】
有機金属構造体に関するさらなる詳細は、例えばS.カスケルによる総説「Forum per Baukasten(おもちゃ箱に関するフォーラム):Nachrichten aus der Chemie (化学からの通信)、53,2005年4月、394頁〜399頁及びそこに引用された引例において見出すことが可能である。
【0033】
同様に、有機金属構造体自体の調合は、その技術分野における通常の知識を有するものにとって十分に公知であるので、これについての詳細な説明は不必要である。これに関して、特に上記に引用したS.カスケルの引例に加えて、適当な特許文献、例えばWO2007/023295A2、US2004/0097724A1,WO2005/049484A1,WO2005/068474A1及びWO2005/049892A1に限定されることなく例として参照することが可能である。
【0034】
このように有機金属構造体は、多孔性であり、一般的に結晶性物質であり、特にノードとして遷移金属(例えば、銅、錫、ニッケル、コバルト等)を有する有機金属複合体及びノード間の接続物又は架橋物としての有機分子(リガンド)からなる整列結晶性構造を有する物質である。それらの多孔性によって、これらの物質は、これまでは、ガスの貯蔵、例えば水素又はメタンの貯蔵のための物質とてのみ提案されていた。約4500m/gまでの値を有する高い内部表面積(BET又はラングミュア)による触媒としてのそれらの使用は考慮されたが、いままでのところこの種の特別な出願は存在しない。
【0035】
本願発明によれば、本出願人が、最初に有機金属構造体が吸着フィルタ材料における収着剤として、特に吸着剤としての使用に最も適していることを発見し、さらに今までの活性炭ベースの吸着剤の能力を超えないまでも少なくとも等しい能力を有することは驚くべきことであった。
【0036】
これに関する他の重要な要因は、有機金属構造体の調整において正確に設定可能な細孔径及び/若しくは細孔径分布によって、収着作用、特に吸着作用に関して高い選択性を達成することができると共に、細孔径及び/若しくは細孔径分布が、例えば有機リガンドの種類及び/若しくは大きさによって制御されるものである。
【0037】
特に、有機金属構造体の細孔径及び/若しくは細孔径分布は、少なくとも二座有機リガンドの種類及び/若しくは数、且つ/又は、金属イオンの酸化状態によって広い範囲で設定されるものである。したがって、有機金属構造体が、ミクロ細孔、メゾ細孔及び/若しくはマクロ細孔を有することが可能となる。ミクロ細孔及び/若しくはメゾ細孔の存在は、例えばDIN66131、DIN66135及び/若しくはDIN66134に基づいて77Kでの窒素吸着測定法によって測定される。
【0038】
本願発明の目的のために、ミクロ細孔という言葉は、20オングストローム以下の孔径を有する細孔を示し、メゾ細孔という言葉は、20オングストロームより大きく500オングストローム以下の範囲の孔径を有する細孔を示し、マクロ細孔という言葉は、500オングストロームより大きい孔径を有する細孔を示すものであり、細孔に関するこれらの定義は、Pure Appl. Chem. 45 (1976)、頁71ff、特に頁79:
・ミクロ細孔: 孔径micropores≦20オングストローム
・メゾ細孔: 20オングストローム<孔径mesopores≦500オングストローム
・マクロ細孔: 孔径macropores<500オングストローム
に対応するものである。
【0039】
収着剤、特に吸着剤として使用される有機金属構造体の特別な利点は、これら多孔性材料の細孔径及び細孔径分布の両方が、上述したように、リガンドの種類及び/若しくは数によって、且つ/又は、使用される金属の酸化状態によって、合成の間、目標とされる方法において設定されるという事実である。このように、例えば、細孔径の単峰性分布を有する収着剤、例えば主にミクロ多孔性である収着剤、主にメゾ多孔性である収着剤、又は主にマクロ多孔性である収着剤が、この方法において調整されるものである。同様に、これが、それぞれの応用について望ましいものである限りは、多峰性細孔径分布を得ることができる(例えば、ミクロ細孔及びメゾ細孔のそれぞれの場合に、高い比率、例えば等しい比率を有する収着剤)ものである。
【0040】
したがって、それぞれの場合に使用される有機金属構造体によれば、収着剤の特性、例えば内部表面積(BET又はラングミュア)及び総細孔容積は、下記するような広い範囲で変化可能である。
【0041】
本願発明の目的のために、少なくとも1つの有機金属構造体に基づく収着剤(MOF)は、上述したように使用される。
【0042】
本願発明の具体例において、前記収着剤は、少なくとも1つの有機金属構造体(MOF)からなることが可能であり、該収着剤は、少なくとも1つの有機金属構造体(MOF)をばらばらに含むものである(例えば、さらなるバインダなしに等)。
【0043】
一方、本願発明の別の具体例において、収着剤は、有機金属構造体(MOF)の混合物と有機バインダとを具備するものであり、例えばこの具体例では、収着剤は、有機バインダと結合される少なくとも1つの有機金属構造体(MOF)を具備するものである。ここで、MOF/バインダ比は、広い範囲で変化可能である。特に、この具体例では、収着剤は、1以上、特に1:1〜10:1の範囲内、好ましくは1.1:1〜5:1の範囲内、より好ましくは1.2:1〜3:1の範囲内、最も好ましくは1.4:1〜2.5:1の範囲内のMOF/バインダ比で有機金属構造体(MOF)と有機バインダを有するものである。前記有機バインダは、有機ポリマーであることが好ましく、この有機ポリマーは、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ(メス)アクリレート、ポリアクリレート、セルロース、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアルキレンオキサイド及びそれらの混合物からなる群から選択されることが望ましい。
【0044】
この具体例において、有機金属構造体(MOF)の混合物及び有機バインダからなる収着剤には、広い範囲の変異体が可能である。例えば、1つの変異体において、有機金属構造体(MOF)の混合物及び有機バインダは、成形された組織を与えるために加工可能な形、特に球状、粒状、パレット状、顆粒状、棒状、丸薬状、錠剤状等の形で存在することが望ましい。成形は、例えばこれらの目的のための通例の成形加工、特に配合、押出成形、加圧成形、溶融押出成形等によって実行されるものである。別の具体例において、バインダは、対照的に、シート状及び/若しくは二次元形状で、特に薄膜、シート、フィルム等において(例えば、0.1μm〜10mmの範囲内、特に0.5μm〜1mmの範囲内、好ましくは1μm〜0.1mmの範囲内の厚さで)存在するものであり、好ましくは微粒子状の有機金属構造体(MOF)がそこに付着し及び/若しくはそこに結合される。閉じられたバインダ層の場合、MOFがそこに付着し及び/若しくはそこに埋め込まれるバインダの気体不透過性、特に空気不透過性、且つ好ましくは水蒸気透過性(例えば呼吸活動)バリヤ層が結果として生じる。
【0045】
上記に指摘されるように、収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)は、少なくとも1つの金属、特に金属原子又は金属イオンに基づく構造的反復単位と、少なくとも二座及び/若しくは架橋有機リガンドを少なくとも具備することが望ましい。
【0046】
金属として、原則的に、少なくとも二座及び/若しくは架橋有機化合物(リガンド)を有する多孔性有機金属構造体を形成するために、元素周期表のすべての金属を使用することが可能である。
【0047】
特に、本願発明の目的のために、元素周期律表のIa, IIa, IIIa, IVa及びIb及びVIb族の元素から選択され、好ましくはMg, Ca, Sr, Ba, Sc, Y, Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Re, Fe, Ru, Os, Co, Rh, Ir, Ni, Pd, Pt,. Cu, Ag, Au, Zn, Cd, Hg, Al, Ga, In, Tl, Si, Ge, Sn, Pb, As, Sb 及びBiからなる群から選択され、特に好ましくはZn, Cu, Ni, Pd, Pt, Ru, Th, Fe, Mn, Ag, Al及びCuからなる群から選択され、特により好ましくはCu, Fe, Co, Zn, Mn, Al 及びAgからなる群から選択され、最も好ましくは、Cu, Fe, Al及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの金属、特に金属原子又は金属イオンからなる有機金属構造体(MOF)が好ましいものである。
【0048】
1つのリガンド又は複数のリガンドに関して、有機金属構造体(MOF)は、金属、特に金属原子又は金属イオンと少なくとも2つの配位結合を形成及び/若しくは同一又は異なる2つ以上の金属、特に金属原子又は金属イオンに対する配位結合を形成する少なくとも1つの官能基を具備する少なくとも1つの二座及び/若しくは架橋有機リガンドを有するものである。ここで、前記官能基は、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくはN, O, S, B, P, Si 及びAlからなる群から選択され、特に好ましくはN, O及びSからなる群から選択されたヘテロ原子を有するものである。前記リガンドは、少なくとも二価の有機酸、特にジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸及びそれらの混合物、特に好ましくは非置換、又は、特に1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上に連鎖を有する一置換芳香族ジカルボン、トリカルボン又はテトラカルボン酸から選択されることが望ましい。ここで、それぞれの連鎖は、少なくとも1つの同一若しくは異なる種類のヘテロ原子、特にN, O, S, B, P. Si及び/若しくはAl、好ましくはN, S, 及び/若しくはOである少なくとも1つのヘテロ原子を有するものである。
【0049】
通常、前記有機金属構造体(MOF)は、結晶性形状で存在する。特に結晶化度の程度は、少なくとも60%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、特により好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%以上であることが望ましい。この結晶化度の結果として、収着剤の特に良好な硬度、破裂抵抗及び/若しくは破断強度が本願発明によって得られるものであり、本願発明の収着フィルタ材料の使用特性でより好ましい効果を得ることができるものである。
【0050】
本願発明の収着フィルタ材料の特別に利益的な特性、特に収着特性に関する特性は、収着剤又は有機金属構造体(MOF)が、活性化形状において存在することにある。一般的にそのような活性化は、収着剤又は有機金属構造体(MOF)の内部表面積(BET及びラングミュア)及び総細孔容積のわずかでない上昇を導くものである。活性化は、収着剤又は有機金属構造体(MOF)を、特にそれが調合された後又は本願発明の収着フィルタ材料において使用される前に、熱処理されることによって達成されることが望ましい。活性化をもたらす熱処理は、分解温度以下、特に90℃〜300℃の範囲内の温度で、好ましくは100℃〜250℃の範囲内の温度で、より好ましくは110℃〜220℃の範囲内の温度で、0.1時間〜48時間の範囲内の時間で、特に1時間〜30時間の範囲内の時間で、好ましくは5〜24時間の範囲内の時間で、実行されることが望ましい。前記熱処理は、少なくとも実質的に非反応性、好ましくは実質的に不活性の環境下又は酸化性雰囲気(例えば、酸素の存在において、例えば大気雰囲気下)のいずれかで実行されることが望ましい。特別な理論に関する要望なしに、活性化処理の好ましい効果は、所定の不純物の除去又は浄化のための細孔及び/若しくは活性化の間に有機金属構造体の表面に生じる付加的な細孔、割れ目、裂け目等を存在させること、及びこれによって総細孔容積及び内部表面積の増加によって説明することができる。
【0051】
パラメータに関して上記及び下記に与えられたすべての数値の場合において、注目するべきは、指摘された限定値、特に上限及び下限が含まれること、例えば引用されたすべての値が、特別な場合において他のものが指摘されないならば、それぞれの制限を含むことである。さらに、特別な場合又は特別な応用を目的として、本願発明の範囲を逸脱することなしに記載された制限から少しずれることも必要であることは言うまでものない。
【0052】
パラメータについて上記及び下記に与えられた値は、標準化され又は明確に記載された測定方法を使用して、又はその技術分野における通常の知識を有するものがなじんだ測定方法によって測定されたものである。
【0053】
多孔率の特性化に関するパラメータ値及び、特に全孔隙率、内部表面積、細孔径、細孔径分布、吸着量等のような関連したパラメータは、それぞれの場合において、特に低温で(他の条件を指摘しない場合、通常、T=77Kで)関連した又は測定される有機金属構造体(MOF)又は吸着剤の窒素等温線から得られる。
【0054】
上述したように、収着剤として本願発明で使用される有機金属構造体(MOF)は、内部空洞、特に細孔を有する。言い換えると、有機金属構造体(MOF)は、多孔性である。これは、相対的に高い内部表面積及び総細孔容積を生じる。
【0055】
このように、収着剤として本願発明で使用される有機金属構造体(MOF)は、特にグールヴィッチ法によって測定された非常に大きな総細孔量を有するので、大きな吸着能力を手に入れることができる。グールヴィッチ法による総細孔容積の測定については、これは、この分野における通常の知識を有する者にとって公知である測定方法である。グールヴィッチ法による総細孔量の測定に関する詳細な説明は、例えばL.グールヴィッチ(1915)、J.Phys.Chem.Soc.Russ.47.805,及びS.ローウェル他による「多孔性個体及び粉末について特徴化:表面積細孔径及び密度」、クルワーアカデミック出版、アーティクルテクノロジーシリーズ、頁111ffを参照すること。
【0056】
本願発明に基づいて収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)のグールヴィッチ法によって測定された総細孔量は、少なくとも0.1cm/g、特に少なくとも0.2cm/g、好ましくは少なくとも0.3cm/gであり、また2.0cm/gまでの値であり、特に3.0cm/gまでの値であり、好ましくは4.0cm/gまでの値であり、特に好ましくは5.0cm/gまでの値であることが望ましい。
【0057】
また、本願発明に基づいて収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)のグールヴィッチ法によって測定された総細孔量は、0.1〜5.0cm/gの範囲内であり、特に0.2〜4.5cm/gの範囲内であり、好ましくは0.3〜4.0cm/gの範囲内であることが望ましい。
【0058】
本願発明に基づいて収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)の重量ベース及び容量ベースの容量(収着量)Vads(N)は、いろいろな分圧p/pで、十分に高いものである。
【0059】
このように、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)は、分圧力p/pが0.25(T=77K)で測定された10〜1000cm/gの範囲内、好ましくは20〜850cm/gの範囲内、特に好ましくは30〜800cm/gの範囲内の重量ベースの吸着されたN量Vads(wt.)を有するものである。
【0060】
さらに、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)は、分圧力p/pが0.25(T=77K)で測定された10〜500cm/cmの範囲内、好ましくは20〜400cm/cmの範囲内、特に好ましくは30〜300cm/cmの範囲内の重量ベースの吸着されたN量Vads(vol.)を有するものである。
【0061】
さらに、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)は、分圧力p/pが0.995(T=77K)で測定された40〜3000cm/gの範囲内、好ましくは50〜2750cm/gの範囲内、特に好ましくは100〜2500cm/gの範囲内の重量ベースの吸着されたN量Vads(wt.)を有するものである。
【0062】
最後に、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)は、分圧力p/pが0.995(T=77K)で測定された30〜1000cm/cmの範囲内、好ましくは40〜800cm/cmの範囲内、特に好ましくは50〜700cm/cmの範囲内の重量ベースの吸着されたN量Vads(vol.)を有するものである。
【0063】
上述したような多孔性構造によれば、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)は、同様に高い内部又は特定の表面積(BET及びラングミュア)を有する。
【0064】
ラングミュア等温線は、物理学的基礎を有する最も簡単な収着モデルである(例えば、I.ラングミュア「表面化学」、ノーベルレクチャア、1932年12月14日:ノーベルレクチュア、化学、1922〜1941、エルセヴィア出版社、アムステルダム、1966、nobel-prize.orgのPDFバージョン、いわゆるhttp://nobelprize.org/langmuir-lecture.html参照)。これは、吸着が1つの分子層において実行され、すべての収着箇所が均等であり、表面積が均一であり、且つ隣り合う収着箇所と吸着される粒子との間には相互作用がないという仮定に基づいている。結果として、このラングミュア等温線は、収着表面の最大収着量を示しているのみである。
【0065】
一方で、前記BETモデルは、ラングミュア等温線を、その溶解度又は飽和濃度に近い収着質の高い濃度での反応まで拡大すると共に、BETモデルは、その表面での複数の分子層で生じる収着に基づいているので、その収着量は、理論的に制限なしに上昇する(例えば、S.ブルノイア、P.H.エメット、E.テラー「多層分子増におけるガスの吸着」、J.Am.Chem.Soc.、60、1938 頁309−319参照)。
【0066】
BET及びラングミュア法による特定の表面積の測定は、原則的に、その技術分野における通常の知識を有する者にとって公知であるので、これについての詳細は省略する。すべてのBET表面積数値は、ASTM D6556−04による測定に基づいている。本願発明の目的のために、その技術分野における通常の知識を有する者にとって公知である多数点BET測定法(MP−BET)が、特に0.05〜0.1の分圧範囲p/pで、BET表面積を測定するために使用される。
【0067】
BET表面積の測定について、又はBET法についての詳細な説明は、上記ASTM D6556−04及びロンプケミエレクシコン、第10編、ゲオルグ論文出版、シュタットガルト/ニューヨーク、キーワード「BET法」及びそこに含まれる引例、及びヴィンナケル−クヘラー(第3編)、第7巻、頁93ff、及びZ.Anal.Chem.238、頁187−193(1968)参照のこと。
【0068】
上述したように、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)のさらなる特徴は、少なくとも150m/gであり、特に少なくとも250m/gであり、好ましくは少なくとも300m/gであり、特に好ましくは少なくとも375m/gであり、さらに好ましくは少なくとも750m/gであり、最も好ましくは少なくとも1500m/gであると共に、6000m/gまでの値であり、特には6250m/g間での値であり、好ましくは6500m/gまでの値であり、より好ましくは6750m/gまでの値であり、さらに好ましくは7000m/gまでの値であり、最も好ましくは7500m/gまでの値である比較的大きなラングミュア表面積を有することである。言い換えると、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)のラングミュア表面積は、150〜7500m/gの範囲内であり、特に225〜7000m/gの範囲内であり、好ましくは300〜6500m/gの範囲内であり、特に好ましくは375〜6250m/gの範囲内であり、大変好ましくは750〜6000m/gの範囲内である。
【0069】
同様に上述したように、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)のさらなる特徴は、少なくとも100m/gであり、特に少なくとも150m/gであり、好ましくは少なくとも200m/gであり、特に好ましくは少なくとも250m/gであり、さらに好ましくは少なくとも500m/gであり、最も好ましくは少なくとも1000m/gであると共に、4000m/gまでの値であり、特に4250m/gまでの値であり、好ましくは4500m/gまでの値であり、特に好ましくは4750m/gまでの値であり、さらに好ましくは5000m/gまでの値である比較的大きなBET表面積を有することである。言い換えると、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体(MOF)のBET表面積は、100〜5000m/gの範囲内であり、特に150〜4750m/gの範囲内であり、好ましくは200〜4500m/gの範囲内であり、特に好ましくは250〜4250m/gの範囲内であり、最も好ましくは500〜4000m/gの範囲内である。
【0070】
さらに、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体は、吸着される広い範囲の物質に関する良好な吸着特性を有するというそれらの特性を特徴づける良好なブタン吸着性を有すると同時に、良好なヨード数を有するものである。
【0071】
このように、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体のASTM D5742−95/00によって測定されたブタン吸着性は、少なくとも10%であり、特に少なくとも20%であり、好ましくは少なくとも30%である。本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体は、10〜95%の範囲内、特に20〜85%の範囲内、好ましくは30〜80%の範囲内のASTM D5742−95/00によって測定されたブタン吸着性を有する。
【0072】
細孔径分布によれば、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体は、共にメゾ細孔及びマクロ細孔によって主に提供される適当な表面積に関する数値であると見なすことができる良好なメチレンブルー及び糖蜜吸着数を有する。このように、メチレンブルー数又はメチレンブルー吸着性は、相対的に大きいミクロ細孔及び主に相対的に小さいメゾ細孔に関する定義された収着剤量当たりの定義された状態下で吸着されたメチレンブルーの量(言い換えると、乾燥され粉砕された収着剤の定義された量によって脱色された標準メチレンブルーのml数)を示すものであり、メチレンブルーの大きさと同程度の大きさの粒子について吸着能力を示すものである。一方で、糖蜜数は、メゾ多孔性及びマクロ多孔性についての数値であると見なされ、標準糖蜜水溶液を脱色するのに必要な収着物質の量を示すので、糖蜜数は、糖蜜(砂糖大根糖蜜)の大きさと同等の大きさの分子に関する吸着能力を示すものである。このように、メチレンブルー及び糖蜜数は共に、メゾ多孔性及びマクロ多孔性に関する数値であると見なすことができるものである。
【0073】
このように、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体のCERIC(化学製造連盟のヨーロッパ会議、ルイスアベニュー250、Bte71、B−1050、ブリュッセル、1986年11月、活性炭のテスト法、2.4項「メチレンブルー値」頁27−28)の方法によって測定されたメチレンブルー値は、少なくとも5ml、特に少なくとも7.5ml、好ましくは少なくとも10mlであり、且つ5ml〜100mlの範囲内であり、特に7.5ml〜80mlの範囲内であり、好ましくは10ml〜75mlの範囲内であることが望ましい。
【0074】
一方で、無次元糖蜜数は、ノリット法(ノリット N.V.アメルスフォールト、オランダ、ノリット標準表NSTM2.19「糖蜜数(ヨーロッパ)」又はそれに代わるパックス(PACS)法(PACS=Professional Analytical and Consulting Services Inc., コラポリス、ペンシルヴェニア、USA)のいずれかによって基本的に測定されるものである。ノリット法又はパックス法による糖蜜数の測定は、標準糖蜜水溶液を脱色するのに必要な粉砕されたテスト材料の量が測定されるもので、その測定は測光法によって実行されると共に、標準糖蜜水溶液は、ある基準に相対して設定される。本願発明の目的のために、糖蜜数の値は、パックス法によって測定される。本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体のパックス法によって測定された糖蜜数は、少なくとも30であり、特に少なくとも35であり、好ましくは少なくとも40であり、且つ30〜1500の範囲内であり、特に35〜1400の範囲内であり、好ましくは40〜1250の範囲内であり、特に好ましくは50〜1200の範囲内であることが望ましい。
【0075】
高い多孔性にも関わらず、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体は、許容圧力又は破断強度(重量負荷に抵抗する能力)及び許容摩耗抵抗を有するものである。
【0076】
さらに、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体は、ASTM D2854によって測定された50〜1000g/lの範囲内、特に100〜900g/lの範囲内、好ましくは150〜800g/lの範囲内の嵩密度(見掛け密度)を有することが望ましい。
【0077】
本願発明の収着フィルタ材料、特に吸着フィルタ材料に、少なくとも1つの有機金属構造体に基づく収着剤を使用することは、多くの利点を達成することができる。例として述べられたように、製造における低いエネルギー消費で、収着剤としての活性炭に基づく収着フィルタ材料の収着作用と同等の優れた収着作用、特に吸着作用の制限としてではなく、有機金属構造体の金属イオンの存在による付加的な利点によって、付加的な触媒活性成分を示し、本願発明の収着フィルタ材料の使用において殺菌性又は生物静力学的作用を生じることが明らかである。
【0078】
本願において最初に考慮され、収着剤、特に吸着剤の技術的特性及び触媒活性成分を1つの材料に一体した吸着剤に基づく新規の収着フィルタ材料を提供することが、本願発明の範囲内において可能となるものである。
【0079】
本出願人が見出したように、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体は、極性物質(例えば、アンモニア等)に関して、従来の吸着剤(例えば活性炭に基づく吸着剤)と比べて、改良された収着能力、特に吸着能力を有する。このように、図8で示される有機金属構造体(図8の上の曲線参照、MOFとして具体的にCu3(BTC)2、下記する例と比較)及び活性炭(図8の下の曲線参照)のアンモニア吸着等温線は、前記有機金属構造体が、活性炭に比べてより効率的に極性アンモニアを吸着することを示し、それは、たとえ活性炭に関する吸着容量が十分に且つ有効であると分類されているとしても、活性炭に比べて有機金属構造体の場合に、吸着されたアンモニアの量が非常に大きいことを示している。
【0080】
本願発明の特別な具体例において、有機金属構造体(MOF)は、本願発明の収着フィルタ材料において、活性炭に基づく付加的な収着剤又は吸着剤と一体化させることが可能である。言い換えると、有機金属構造体(MOF)は、特に活性炭に基づく収着剤又は吸着剤と共に使用することができるものである。このように、1つの具体例において、本願発明の収着フィルタ材料の支持材料は、例えば、シート状活性炭繊維構造体として形成されることが可能である。このシート状活性炭構造体は、例えば、20〜200g/mの単位面積重量、特に50〜150g/mの単位面積重量を有することが望ましく、またこれらのシート状活性炭構造体は、例えば、布状活性炭構造体であり、活性炭編物構造体であり、活性炭レイアップ構造体又は活性炭合成物であり、例えば炭化され活性化されたセルロース及び/若しくは炭化され活性化されたアクリロニトリルに基づくものであることが望ましい。また、別の可能性は、この目的のために、有機金属構造体ベースの収着剤粒子と共に、支持材料に付加される微粒子状、好ましくは小球状活性炭粒子(粒状炭、特に球状炭として知られ、例えば1.0mmより小さく、好ましくは0.8mmより小さく、より好ましくは0.6mmより小さく、少なくとも0.1mmの活性炭粒子の平均径を有するもの)を使用することである。特に、この具体例において、活性炭粒子は、5〜500g/mの量で、特に10〜400g/mの量で、好ましくは20〜300g/mの量で、より好ましくは25〜250g/mの量で、支持材料に付加されることが望ましい。この特別な具体例において、使用される活性炭は、それが繊維(例えばシート状活性炭繊維構造体)又は粒子の形であることに関わらず、少なくとも800m/gであり、特に少なくとも900m/gであり、好ましくは1000m/gであり、より好ましくは800〜1500m/gの範囲内の内部表面積(BET)を有することが望ましい。さらに、吸着効率又は吸着性能を向上させるために、付加的な収着剤又は吸着剤が、少なくとも1つの触媒を含浸させる。本願発明の目的のために最適な触媒は、例えば、酵素及び/若しくは金属イオン、好ましくは銅、銀、カドミウム、プラチナ、パラジウム、亜鉛及び/若しくは水銀イオンであると共に、触媒の量は、広い範囲で変化可能であるが、付加的収着剤又は吸着剤の重量に基づいて、0.05重量%〜12重量%の範囲内、好ましくは1重量%〜10重量%の範囲内、特に好ましくは2重量%〜8重量%の範囲内であることが望ましい。
【0081】
出願人は、本願発明によって収着剤として使用される有機金属構造体材料が従来の吸着剤(例えば活性炭に基づく吸着剤)と比較して極性物質に関する改善された収着作用、特に吸着作用を有することを発見しただけでなく、活性炭に基づく吸着剤が、有機金属構造体に比べて非極性物質(例えば、ネオペンタンのような炭化水素)に関して改善された収着作用、特に吸着作用を有することを発見した。このように、図9の活性炭のネオペンタン吸着等温線(図9の上の曲線参照)及び有機金属構造体のネオペンタン吸着等温線(図9の下の曲線参照、特にMOFとしてCu3(BTC)2)が、活性炭がMOF材料よりも良い効率で秘曲性ネオペンタンを吸着することができることを示しており、それは、たとえMOFに関する吸着能力が十分で且つ効率の良いものとして分類されたとしても、MOFと比較して活性炭の場合、吸着されたネオペンタンの量が非常に大きいことを示している。
【0082】
上記結果及び発見されたものは、MOFの特別な具体例によって本願発明により提供された結合及びことなる収着剤又は吸着剤、特に活性炭に基づいたものが、いろいろな収着剤の異なる特性が、1つの収着フィルタ材料に結合され、この方法において特に良好な防護性又は収着効果が達成されるので、特別に良好な結果を生じることを示すものである。
【0083】
本願発明のさらなる具体例、改良例及び変形例は、本明細書を読むことによって本願発明の範囲を逸脱することなしに、その技術分野における通常の知識を有する者が容易に理解し、実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、例えば塊状のCu3(BTC)2である純粋Cu3(BTC)2の回析パターンを示すものである。
【図2】図2は、ポリマー球(PET)のCu3(BTC)2である純粋Cu3(BTC)2の回析パターンを示すものである。
【図3】図3は、不織布上のCu3(BTC)2/Ps球である純粋Cu3(BTC)2の回析パターンを示すものである。
【図4】図4は、例えば塊状のAl(NDC)である純粋Al(NDC)の回析パターンを示すものである。
【図5】図5は、不織布上のAl(NDC)/PS球である純粋Al(NDC)の回析パターンを示すものである。
【図6】図6は、例えば塊状のZn2(BTC)2(DABCO)である純粋Zn2(BTC)2(DABCO)の回析パターンを示すものである。
【図7】図7は、不織布上のZn2(BTC)2(DABCO)/PET球である純粋Zn2(BTC)2(DABCO)の回析パターンを示すものである。
【図8】図8は、MOF材料のアンモニア吸着等温線(図8の上の曲線参照、特にCu3(BTC)2)及び活性炭のアンモニア吸着等温線(図8の下の曲線)を示すものである。
【図9】図9は、活性炭のネオペンタン吸着等温線(図9の上の曲線参照、特に)及びMOF材料のネオペンタン吸着等温線(図9の下の曲線、特にCu3(BTC)2)を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本願発明は、下記する例を用いることによって下記のように説明されるが、これらは本願発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0086】
Zn2(BTC)2(DABCO)型の有機金属構造体の合成及び特性評価:
4.06gのZn(NO3)2・4H2O及び2.62gのH3BTC(1,3,5−ベンゼントリカルボン酸=トリメシン酸)が、グラスビーカーにおいて150mlのDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解され、0.885gのDABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)が第2のグラスビーカーにおいて50mlのDMFに溶解される。2つのグラスビーカーの中身が混合され、形成された懸濁液が、15分間攪拌される。全体的な懸濁液が、5つの加圧減菌器に分配され、乾燥オーブンにおいて下記する温度プログラムが実行される:

10分 1時間 48時間 12時間
24℃―――→30℃―――→120℃―――→120℃―――→30℃

形成された生成物は、濾過された後、DMFで洗浄され、減圧下、100℃で乾燥される。
【0087】
上記生成物は、粉末回析図形によって特徴づけられる。BET表面積の測定の結果は、1370m/gの値であり、その値は、活性化(24時間大気雰囲気下で、200℃を切った温度で)によって約2055m/gまで増加する。
【実施例2】
【0088】
Cu3(BTC)2型の有機金属構造体の合成及び特性評価:
Cu3(BTC)2の合成は、HDPEフラスコ法によって実行される。この目的のために、10.4gのCu(NO3)2・3H2O及び5gのトリメシン酸が、DMF、エタノール及び水(1:1:1)の溶媒混合液250mlに攪拌された後、1リットルのHDPEフラスコに導入される。これは、しっかりと閉鎖され、ドライオーブンにおいて20時間85℃で加熱される。その後、反応容器は、オーブンから取り出されて室温まで急激に冷却される。形成された青い固体は濾過され、ジクロロメタン(DCM)に3日間攪拌され、容易に除去される溶媒によって、合成の間、多孔構造に結合された溶媒を置き換えるものである。より良い交換を確保するために、前記固体は、吸引によって濾過され、新鮮なDCMが使用される。
【0089】
別の方法として、前記合成は、12時間120℃で加圧滅菌される加熱及び圧力抵抗反応容器で、エタノール及び水(1:1)の溶媒混合液で実行される。
【0090】
この方法において合成されたCu3(BTC)2生成物は、粉末回析図形によって特徴付けられる。BET表面の測定の結果は、1315m/gの値であり、その値は活性化(24時間大気雰囲気下で、200℃を切った温度で)によって約2045m/gまで増加する。
【実施例3】
【0091】
Al(NDC)型の有機金属構造体の合成と特性評価:
0.26g(1.2mmol)の2,6−ナフタレンジカルボン酸が、30mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解される。0.52g(1.4mmol)のAl(NO3)3・9H2Oが付加され、その混合物は、20時間、消化容器において250mlのPTFEライナーにおいて110℃で加圧滅菌される。生成物は、遠心分離された後、沈殿物がDMFで3回洗浄される。その生成物は、大気中において80度で乾燥される。
【0092】
この方法で合成されたAl(NDC)生成物は、粉末回析図形によって特徴づけられる。BET表面積の測定の結果は、1400m/gの値であり、その値は活性化(16時間大気雰囲気下で、約180℃の温度で)によって約1954m/gまで増加する。
【実施例4】
【0093】
Cu3(BTC)2のポリマーマトリクスへの導入:
a) 複合球の製造:
特別な量の処方されたポリマーが、超音波によって下記に示される溶媒に溶解される。モルタルに前もって下塗りされた活性化(act.)又は非活性化のいずれかのCu3(BTC)2が、そこに分散される。Cu3(BTC)2の活性化は、質量の約30%の減少を伴うので、使用される量は、それにしたがって適用させなければならない。この分散は、ポリマーが溶けない溶媒にピペットによって点状に付加される。これは結果として、球形状に沈殿するポリマーを生じる。球形サイズは、点状付加の比率によって設定可能であり、迅速な点状付加は、相対的に小さい球状の形成を促進し、ゆっくりの点状付加は、比較的大きな球形の形成を行う。この球形物は、単離され、乾燥オーブンにおいて100℃で乾燥される。
【0094】
【表1】

【0095】
b)結果:
それぞれの実験による生成物の表面積は、書きする表に示される。活性化は、それぞれの場合において示された温度で24時間実行される。

【0096】
【表2】

【0097】
この方法において製造された複合球は、40重量%適用量での均等分散において、布状支持材料(約75g/mの単位面積当たりの重量を有する不織布)に熱溶融性接着剤によって固定され、結果として本願発明の収着フィルタ材料を生じる。
【実施例5】
【0098】
a)複合薄膜/皮膜の製造:
特別な量の上述したポリマーが、下記に示される溶剤に超音波によって溶解される。あらかじめ良好にすりつぶされた活性化(act.)又は非活性化のCu3(BTC)2がそこに分散される。約30%の質量の減少がCu3(BTC)2の活性化で生じるので、使用される量は、これにしたがって最適化される必要がある。この分散は、噴霧ボトルに導入され、圧縮空気によって、沈殿剤(ここではアセトン)を含む皿上にある金属メッシュ上に噴霧される。この溶剤は、室温で十分に高い蒸気圧を有する。形成された薄膜又は皮膜は、その後乾燥オーブンにおいて、100℃で乾燥される。
【0099】
【表3】

【0100】
b) 結果
それぞれの活性化実験の生成物の表面積は、下記の表に示される。活性化はそれぞれの場合示された温度で24時間実行される。
【0101】
【表4】

【0102】
この方法において製造された複合薄膜又は皮膜は、布状支持材料(約75g/m2の単位面積あたりの重量を有する布状ポリエステル構造体)上に、それらの全領域に渡って積層され、その結果としてMOFを含むバインダから構成されるバリヤ層を有する本願発明にかかる収着フィルタ材料を生じる。
【実施例6】
【0103】
異なる種類の複合物:
a) 製造:
特別な量の上述されたポリマーが、示された溶剤に超音波によって溶解される。あらかじめ粉砕された活性化Cu3(BTC)2が、そこに分散される。この分散は、沈殿剤の全体にわたって与えられる。乾燥オーブンにおける100℃でのそれに続く乾燥段階の間、前記「球」は、溶剤の蒸発によってその大きさを2倍以上に膨張させる。
【0104】
【表5】

【0105】
b) 結果
それぞれの実験の生成物の表面積は、下記する表に示される。活性化は、示される温度で24時間実行される。
【0106】
【表6】

【0107】
この方法で製造された複合物は、布状支持材料(約97g/mの単位面積当たりの重量を有するポリマーニット)上に固定され、結果として本願発明による収着フィルタ材料を生じる。
【実施例7】
【0108】
複合球のさらなる製造:
1:2のPET/Cu3(BTC)2の質量比を有する8.5gのCu3(BTC)2/PET球が、上記方法によって製造された。この目的のために、上述した方法によって新たに合成されたCu3(BTC)2が使用され、より小さい結晶子がよりよい分散を生じることから、それに続く冷却工程は、意図的に省略される。
【0109】
実行された実験及びその表面積は、下記の表で示される。
【0110】
【表7】

【0111】
【表8】

【0112】
PET及びPS球におけるCu3(BTC)のH2O安定性が試験される。この目的のために、あらかじめ合成された球が、約3時間室温で、水中撹拌され、H2O安定性をテストする。粉末回析において差異は見られなかった。
【0113】
あらかじめ製造された複合球は、それぞれの場合、約35重量%の適用量での均一分散において、熱溶融性接着剤によって布状支持材料(約88g/m2の単位面積当たりの重量を有する不織布)に固定され、その結果として、本願発明による収着フィルタ材料を生じる。
【実施例8】
【0114】
いろいろな不織布上へのPET/Cu3(BTC)2の懸濁のための直接噴霧
PETは、超音波槽の中でCu3(BTC)2に混合されたヘキサフルオロイソプロパノールに溶解される。この分散は、いろいろな不織布にスプレー方によって付加される。
【0115】
ここで、使用される溶剤による不織布上のアタックが観察されなかった。さらに、Cu-MOFの特別な表面積は、(使用されるCu3(BTC)2の量に基づいて)一定のままである。
【0116】
ポリマー/Cu3(BTC)2層の安定性は、層厚の上昇に伴って上昇すると同時に、可撓性は減少する。
【0117】
上述したポリマー/Cu3(BTC)2比は、それぞれの場合、使用される混合物に関して使用される。合成物は、先の実験のものと対応する。結果として本願発明の収着フィルタ材料を生じる。
【0118】
【表9】

【実施例9】
【0119】
熱溶融性接着剤によって接着する接着剤
市販されている熱溶融性接着剤は、乾燥オーブンにおいて150℃で溶解し、不織布に付加される。粉砕されていない非活性化Cu3(BTC)2は、それからすぐにまだ液体の接着剤上に散りばめられ、全体的に接着剤が固まるまで圧接される。これは、結果として本願発明による収着フィルタ材料を生じる。
【実施例10】
【0120】
市販のスプレーガンによる付加:
ここで使用される方法は、上述されたスプレー法であるが、0.4mmのノズル径を有する市販のエアブラシガン(コンラッド電子製、モデルHP330)が使用される。ガンのペイントカップが充填され、前記混合物が3〜3.5barの圧力を使用して不織布上に均一に噴霧される。この方法の利点は、不織布上に結果として生じる層の良好な再現性であり、前記層と比較されるそれらの大きな可撓性であり、且つ前記材料の均等な被覆である。
【0121】
実験は、2つの異なるCu3(BTC)2/PET比で実行され、形成された層の摩耗抵抗は、PET含有量の増加に伴って増加する。結果として、本願発明に係る収着フィルタ材料が生じる。
【0122】
【表10】

【実施例11】
【0123】
吸着の測定及び比較:
4つの収着フィルタ材料が製造され、すべての場合で、70g/m2の単位面積当たりの重量を有する撥油性及び撥水性布状ポリエステル構造体の形の空気透過性シート上織布材料が、支持材料の役目を果たす。4つの場合すべてで、粒子状又は球状吸着剤粒子の形の粒子状吸着剤(付加される吸着剤の量は、収着フィルタ材料に基づく約35重量%)は、接着剤(付加される接着剤の量は、8g/cm2)によって、ドットの格子状で且つ均一分布で、前記支持材料に固定される。
【0124】
本願発明によらない最初の2つの収着フィルタ材料が比較のために提供される。試料1は、含浸されないミクロ多孔性活性炭で処理され、試料2は、同じ型の金属塩含浸活性炭(活性炭に基づいて4.9重量%でCu/Zn/Ag含浸)で処理される。
【0125】
本願発明による2つの収着フィルタ材料(試料3及び試料4)が、Cu3(BTC)2に基づく有機金属構造体で処理され、試料3の場合、有機金属構造体は塊で使用され、試料4の場合は、球状構造を形成するためにバインダにおいて処理される(バインダ:ポリエステル、PET/Cu3(BTC)2比=1.4)。
【0126】
4つの収着フィルタ材料のすべてにおける吸着剤は、特に内部表面積及びミクロ多孔率に関する比較可能な特性を有する。
【0127】
【表11】

【0128】
4つの収着フィルタ材料すべてについて、マスタードガス及びソマンに対するそれぞれのバリヤ作用が、対抗流テストにおけるCRDEC-SP-84010の方法2.2によって測定される。この目的のために、マスタードガス又はソマンを含む空気流が、約0.45cm/sの流速で作用し、それぞれの吸着フィルタ材料の一定の流れ抵抗及び単位面積当たりの突破量が、16時間後に測定される(80%の相対大気湿度、32℃、10.1μlのHD/12.56cm2、又は12.1μlのGD/12.56cm2)。
【0129】
【表12】

【0130】
微生物に対する防護作用について、4つの収着フィルタ材料についての調査において、同様に優れた結果が、本願発明の収着フィルタ材料の場合に得られた。肺炎桿菌又は黄色ぶどう球菌(それぞれの場合、1.5〜3.0×10CFU/ml)を使用するASTM E2149−01による生物静力学をテストする実験において、24時間後これらの病原体の百分率減少率は、本願発明の収着フィルタ材料(試料3及び4)について、両方の場合で95%以上であった。試料1及び2の場合、これらの値は、53%及び90%であった。これは、本願発明の収着フィルタ材料の生物学的防護作用が改善されたことを示している。
【0131】
比較可能な結果が、Zn2(BTC)2(DABCO)型の材料を含む有機金属構造体を使用して得られる。ここで、本願発明による上記2つの材料におけるMOF成分は、それぞれ場合、Zn2(BTC)2(DABCO)で置き換えられた(BET:1498m2/g、ミクロ細孔の比率 >98%)、その結果として本願発明による試料5及び6において、マスタードガス及びソマンの突破が下記のように測定された。
【0132】
【表13】

【0133】
同様に、比較可能な結果が、Al(NDC)型の材料を含むMOFを使用して得られる。本願発明による上述した2つの材料におけるMOF成分が、それぞれの場合、Al(NDC)(表面積:1376m2/g、ミクロ細孔比率>98%)によって置き換えられ、その結果として本願発明による試料7及び8が生じ、マスタードガス及びソマンの突破が同様に測定される。
【0134】
【表14】

【0135】
さらに、本願発明による試料3及び4は、本願発明によらない試料1の非含浸ミクロ多孔性活性炭で付加的に処理され、それぞれの場合で適用される量が半分となり、結果として試料9及び10を生じる。マスタードガス及びソマンの突破がこれらについて同様に測定される。等しい総適用量でより良い吸着効果が、活性炭とMOFベース材料の結合の結果として得られ、相乗効果を示す。
【0136】
【表15】

【0137】
上記結果は、金属塩含浸活性炭の場合と比較して化学的及び生物学的兵器に関して改善された防護作用と少なくとも比較可能なものが、有機金属構造体によって得られるものである。有機金属構造体は、1つの材料に、吸着作用及び触媒性又は殺菌性もしくは生物静力学的作用を結合させる。これらの特性は、有機金属構造体を、化学兵器又は生物兵器のような有害な化学的及び/若しくは生物学的物質についての収着フィルタ材料における収着剤、特に吸着剤として、特徴づけるものである。
【実施例12】
【0138】
収着性能における活性化の影響:
収着特性への活性化の影響を測定するために、本願発明による2つの収着フィルタ材料が製造される。両方の場合において、約105g/m2の単位面積当たりの重量を有する疎油性化され且つ疎水性化された布状ポリエステル構造体の形の空気透過性シート状織布材料が支持材料として提供された。両方の場合において、吸着剤粒子の形の微粒子状の収着剤(適用される収着剤量:収着フィルタ材料に基づいて、約40重量%)が接着剤(適用される接着剤の量:約10g/m2)によって、前記支持材料に、グリッド状のドットで、均一分布で固定される。
【0139】
両方の収着フィルタ材料(試料11及び試料12)は、Cu3(BTC)2に基づいた有機金属構造体で処理され、試料11の場合は、有機金属構造体は非活性化の形において使用され、試料12の場合は、活性化の形において使用される(大気雰囲気下で180℃24時間活性化)。
【0140】
【表16】

【0141】
マスタードガス及びソマンに対するそれぞれのバリヤ作用が、対抗流テストにおいてCRDEC-SP-84010の方法2.2にしたがって、両収着フィルタ材料について測定される。
【0142】
【表17】

【0143】
肺炎桿菌及び黄色ブドウ球菌(それぞれの場合1.5〜3.0×10CFU/ml)を使用するASTM E2149-01にしたがって生物静力学特性をテストする実験において、24時間後これらの病原体に関する百分率減少率は、試料11及び試料12の場合、それぞれ95%及び99%以上である。このように、使用される有機金属構造体の活性化処理は、達成されるべき収着フィルタ材料の効率において十分な上昇を可能にするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学兵器及び生物兵器のような有害化学的及び生物学的物質の収着のためのものであり、収着剤で処理された少なくとも一つの支持材料を有する収着フィルタ材料において、
前記収着剤が、少なくとも一つの有機金属構造体に基づくものであること、且つ、前記収着剤が少なくとも一つの有機金属構造体(MOF)を具備することを特徴とする収着フィルタ材料。
【請求項2】
前記支持材料は、ガス透過性、特に空気透過性であり、且つ、127[Pa]の流れ抵抗で、少なくとも10[l・m-2・s-1]の空気透過性、特に少なくとも30[l・m-2・s-1]の空気透過性、好ましくは少なくとも50[l・m-2・s-1]の空気透過性、特に好ましくは少なくとも100[l・m-2・s-1]の空気透過性、より好ましくは少なくとも500[l・m-2・s-1]の空気透過性を有し、且つ/又は、10000[l・m-2・s-1]までの空気透過性、特に20000[l・m-2・s-1]までの空気透過性を有することを特徴とする請求項1記載の収着フィルタ材料。
【請求項3】
前記支持材料は、三次元構造体を有し、且つ、開孔フォームとして、特にポリウレタンフォームとして形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の収着フィルタ材料。
【請求項4】
前記支持材料は、二次元構造体及び/若しくはシート状構造体を有し、且つシート状、布状構造として形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の収着フィルタ材料。
【請求項5】
前記支持材料は、空気透過性の織布、延伸ループニット、フォームドループニット、レイアップ、布状合成物、又は不織布である布状材料からなるシート状構造体であること、且つ/又は、前記支持材料は、5〜1000[g/m2]の単位面積当たりの重量、特に10〜500[g/m2]の単位面積当たりの重量、好ましくは25〜450[g/m2]の単位面積当たりの重量を有することを特徴とする請求項4記載の収着フィルタ材料。
【請求項6】
前記支持材料は、天然繊維及び/若しくは合成繊維を含む又はそれらからなるシート状布状構造体であり、前記天然繊維は、ウール繊維及びコットン繊維(CO)からなる群から選択され、前記合成繊維は、ポリエステル(PES);ポリオレフィン、特にポリエチレン(PE)及び/若しくはポリプロプレン(PP);ポリ塩化ビニル(CLF);アセテート(CA);トリアセテート(CTA);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリアミド(PA)、特に芳香族化合物、好ましくは不燃性ポリアミド;ポリビニルアルコール(PVAL);ポリウレタン;ポリビニルエステル;(メス)アクリラート;ポリ乳酸(PLA);活性炭;及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項4又は5記載の収着フィルタ材料。
【請求項7】
前記収着剤は、接着剤によって、又は、固有の粘着性若しくは自己接着性によって、前記支持材料に固定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項8】
前記収着剤は、微粒子状、特に粒子状、好ましくは小球状で存在すること、且つ、粒子状収着剤の平均粒子径は、0.01μm〜10.0mmの範囲内、特に0.1μm〜5.0mmの範囲内、好ましくは0.5μm〜2.5mmの範囲内、特に好ましくは1μm〜2.0mmの範囲内、最も好ましくは10μm〜1.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項9】
前記収着剤は、少なくとも1つの有機金属構造体(MOF)からなること、且つ/又は、前記収着剤は、塊状及び/若しくはそのままの有機金属構造体からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項10】
前記収着剤は、有機金属構造体(MOF)と有機バインダーの混合物を具備すること、且つ/又は、前記収着剤は、有機バインダーと結合される形の少なくとも1つの有機金属構造体(MOF)を具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項11】
前記収着剤は、有機金属構造体/バインダー比が1以上、特に1:1〜10:1の範囲内、好ましくは1.1:1〜5:1の範囲内、特に好ましくは1.2:1〜3:1の範囲内、最も好ましくは、1.4:1〜2.5:1の範囲内の有機金属構造体(MOF)及び有機バインダーを具備すること、且つ/又は、前記有機バインダーが、有機ポリマであり、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ(メス)アクリレート、ポリアクリレート、セルロース、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアルキレンオキサイド及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項10記載の収着フィルタ材料。
【請求項12】
前記有機金属構造体(MOF)と有機バインダーの混合物は、球状、粒状、ペレット状、顆粒状、ロッド状の所定の形状に加工されるような形で存在すること、且つ、前記形状は、配合、押出成形、溶融加工等、これらの目的のための従来の形成加工によって実行されることを特徴とする請求項10又は11記載の収着フィルタ材料。
【請求項13】
前記バインダーは、シート状及び/若しくは二次元形状、特に薄膜状、シート状又はフィルム状で存在すること、且つ、微粒子状の前記有機金属構造体(MOF)は、そこに装着され、及び/若しくはそこに結合されることを特徴とする請求項10又は11記載の収着フィルタ材料。
【請求項14】
前記有機金属構造体(MOF)は、少なくとも1つの金属、金属原子又は金属イオンと、少なくとも二座配位及び/若しくは架橋有機リガンドとを具備することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項15】
前記有機金属構造体(MOF)は、元素周期表のIa, IIa, IIIa, IVa, VIIIa 及びIb, VIb族の元素からなる群から選択された少なくとも1つの金属、金属原子若しくは金属イオン、Mg, Ca, Sr, Ba, Sc, Y, Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Re, Fe, Ru, Os, Co, Rh, Ir, Ni, Pd, Pt, Cu, Ag, Au, Zn, Cd, Hg, Al, Ga, In, Tl, Si, Ge, Sn, Pb, As, Sb 及びBiからなる群から選択された少なくとも1つの金属、金属原子若しくは金属イオン、Zn, Cu, Ni, Pd, Pt, Ru, Th, Fe, Mn, Ag, Al及びCoかなる群から選択された少なくとも1つの金属、金属原子若しくは金属イオン、Cu, Fe, Co, Zn, Mn, Al及びAgからなる群から選択された少なくとも1つの金属、金属原子若しくは金属イオン、又はCu, Fe, Al及びZnからなる群から選択された少なくとも1つの金属、金属原子若しくは金属イオンを具備することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項16】
前記有機金属構造体(MOF)は、金属、金属原子若しくは金属イオンと少なくとも2つの配位結合を形成する、且つ/又は、同一若しくは異なる2つ以上の金属、金属原子若しくは金属イオンと配位結合を形成する少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1つの二座配位及び/若しくは架橋有機リガンドを具備すること、前記リガンドの官能基が、N, O, S, B, P, Si及びAlからなる群から選択され、又は、N. O及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つの記載の収着フィルタ材料。
【請求項17】
前記リガンドは、少なくとも二価の有機酸、特にジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸及びそれらの混合物からなる群から選択され、特に好ましくは、1,2,3,4又はそれ以上の連鎖を有する非置換の又は少なくとも一置換の芳香族ジカルボン酸、トリカルボン酸若しくはテトラカルボン酸からなる群から選択され、それぞれの連鎖は、特にN, O, S, B, P, Si及び/若しくはAl、好ましくはN, S及び/若しくはOである少なくとも1つの同一又は異なる種類のヘテロ原子を有することを特徴とする請求項16記載の収着フィルタ材料。
【請求項18】
前記有機金属構造体(MOF)は、結晶性形状で存在すると共に、結晶化のレベルは、少なくとも60%、特に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、特により好ましくは95%、最も好ましくは少なくとも99%以上であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項19】
前記有機金属構造体(MOF)は、90℃〜300℃の範囲内の温度で、好ましくは100℃〜250℃の範囲内の温度で、より好ましくは110℃〜220℃の範囲内の温度で、熱処理によって活性化された形状で存在することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項20】
前記有機金属構造体(MOF)は、内部空洞、特に細孔を有すること、且つ/又は、前記有機金属構造体(MOF)は多孔性であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項21】
前記有機金属構造体(MOF)は、グールヴィッチ法によって測定された少なくとも0.1[cm3/g]の総細孔量、特に少なくとも0.2[cm3/g]の総細孔量、好ましくは少なくとも0.3[cm3/g]の総細孔量を有すること、且つ/又は、前記有機金属構造体(MOF)は、グールヴィッチ法によって測定された2.0[cm3/g]までの、特に3.0[cm3/g]までの、好ましくは4.0[cm3/g]までの、特に好ましくは5.0[cm3/g]までの総細孔量を有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項22】
前記有機金属構造体(MOF)は、グールヴィッチ法によって測定された0.1〜5.0[cm3/g]の範囲内、特に0.2〜4.5[cm3/g]の範囲内、好ましくは0.3〜4.0[cm3/g]の範囲内の総細孔量を有することを特徴とする請求項1〜21のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項23】
前記有機金属構造体(MOF)は、分圧p/p0が0.25で測定された10〜1000[cm3/g]の範囲内、特に20〜850[cm3/g]の範囲内、好ましくは30〜800[cm3/g]の範囲内の重量ベースの吸着N2量Vads(wt.)を有すること、且つ/又は、分圧p/p0が0.25で測定された10〜500[cm3/cm3]の範囲内、特に20〜400[cm3/cm3]の範囲内、好ましくは30〜300[cm3/cm3]の範囲内の容量ベースの吸着N2量Vads(vol.)を有すること特徴とする請求項1〜22のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項24】
前記有機金属構造体(MOF)は、分圧p/p0が0.995で測定された40〜3000[cm3/g]の範囲内、特に50〜2750[cm3/g]の範囲内、好ましくは100〜2500[cm3/g]の範囲内の重量ベースの吸着N2量Vads(wt.)を有すること、且つ/又は、分圧p/p0が0.995で測定された30〜1000[cm3/cm3]の範囲内、特に40〜800[cm3/cm3]の範囲内、好ましくは50〜700[cm3/cm3]の範囲内の容量ベースの吸着N2量Vads(vol.)を有すること特徴とする請求項1〜23のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項25】
前記有機金属構造体(MOF)は、少なくとも100[m2/g]のBET表面積、特に少なくとも150[m2/g]のBET表面積、好ましくは少なくとも200[m2/g]のBET表面積、特に好ましくは少なくとも250[m2/g]のBET表面積、最も好ましくは少なくとも500[m2/g]のBET表面積を有すること、且つ/又は、前記有機金属構造体(MOF)は、4000[m2/g]までのBET表面積、特に4250[m2/g]までのBET表面積、好ましくは4500[m2/g]までのBET表面積、より好ましくは4750[m2/g]までのBET表面積を有することを特徴とする請求項1〜24のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項26】
前記有機金属構造体(MOF)は、100〜5000[m2/g]の範囲内のBET表面積、特に150〜4750[m2/g]の範囲内のBET表面積、好ましくは200〜4500[m2/g]の範囲内のBET表面積、特に好ましくは250〜4250[m2/g]の範囲内のBET表面積、最も好ましくは500〜4000[m2/g]の範囲内のBET表面積を有することを特徴とする請求項1〜25のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項27】
前記有機金属構造体(MOF)は、少なくとも150[m2/g]のラングミュア表面積、特に少なくとも250[m2/g]のラングミュア表面積、好ましくは少なくとも300[m2/g]のラングミュア表面積、特に好ましくは少なくとも375[m2/g]のラングミュア表面積、特により好ましくは少なくとも750[m2/g]のラングミュア表面積、最も好ましくは少なくとも1500[m2/g]のラングミュア表面積を有すること、且つ/又は、前記有機金属構造体(MOF)は、6000[m2/g]までのラングミュア表面積、特に6250[m2/g]までのラングミュア表面積、好ましくは6500[m2/g]までのラングミュア表面積、特に好ましくは6750[m2/g]までのラングミュア表面積、特により好ましくは7000[m2/g]までのラングミュア表面積、最も好ましくは7500[m2/g]までのラングミュア表面積を有することを特徴とする請求項1〜26のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項28】
前記有機金属構造体(MOF)は、150〜7500[m2/g]の範囲内のラングミュア表面積、特に225〜7000[m2/g]の範囲内のラングミュア表面積、好ましくは300〜6500[m2/g]の範囲内のラングミュア表面積、特に好ましくは375〜6250[m2/g]の範囲内のラングミュア表面積、最も好ましくは750〜6000[m2/g]の範囲内のラングミュア表面積を有することを特徴とする請求項1〜27のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項29】
前記有機金属構造体(MOF)は、少なくとも10%、特に少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%のブタン吸着性を有すること、且つ/又は、前記有機金属構造体(MOF)は、10〜95%の範囲内、特に20〜85%の範囲内、好ましくは30〜80%のブタン吸着性を有することを特徴とする請求項1〜28のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項30】
前記有機金属構造体(MOF)は、少なくとも5ml、特に少なくとも7ml、好ましくは少なくとも10mlのメチレンブルー値を有すること、且つ/又は、前記有機金属構造体(MOF)は、5〜100mlの範囲内、特に7.5〜80mlの範囲内、好ましくは10〜75mlの範囲内のメチレンブルー値を有することを特徴とする請求項1〜29のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項31】
前記有機金属構造体(MOF)は、少なくとも30、特に少なくとも35、好ましくは少なくとも40の糖蜜数を有すること、且つ/又は、前記有機金属構造体(MOF)は、30〜1500の範囲内、特に35〜1400の範囲内、好ましくは40〜1250の範囲内、特に好ましくは50〜1200の範囲内の糖蜜数を有することを特徴とする請求項1〜30のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項32】
前記有機金属構造体(MOF)は、50〜1000[g/l]の嵩密度、特に100〜900[g/l]の嵩密度、好ましくは150〜800[g/l]の嵩密度を有することを特徴とする請求項1〜31のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項33】
前記収着剤は、吸着フィルタ材料に基づいて5〜95重量%の範囲内の適用量で、特に7.5〜90重量%の範囲内の適用量で、好ましくは10〜80重量%の範囲内の適用量で、特に好ましくは12.5〜75重量%の範囲内の適用量で、最も好ましくは15〜70重量%の範囲内の適用量で存在することを特徴とする請求項1〜32のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項34】
前記有機金属構造体(MOF)は、活性炭に基づくさらなる収着剤若しくは吸着剤と共に使用されること、且つ/又は、前記吸着材料は、付加的に活性炭に基づく収着剤又は吸着剤で処理されることを特徴とする請求項1〜33のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料。
【請求項35】
軍事又は民事部門で使用されるすべての種類の防護衣料品、特に防護服、防護手袋、防護靴、防護靴下、防護頭巾、すべての種類の防護カバーのための防護材料及びNBC使用のためのすべての防護材料を製造するために、請求項1〜34のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料を使用すること。
【請求項36】
すべての種類の汚染物質、臭気物質及び毒物を、空気及び/若しくは気体の流れから除去するためのすべての種類のフィルタ、フィルタ材料、特にNBC防護マスクフィルタ、臭気フィルタ、シート状フィルタ、空気フィルタ、室内の空気を浄化するためのフィルタ、吸着性支持構造、及び医療関係用フィルタを製造するために、請求項1〜34のいずれか1つに記載の収着フィルタ材料を使用すること。
【請求項37】
防護服、防護手袋、防護靴、防護靴下、防護頭巾のような防護衣料品、及び防護カバー、NBC使用のためのすべての防護製品、特に軍事部門又は民間使用のための防護材料であって、請求項1〜34にいずれか1つに記載の収着フィルタ材料を使用して製造されること、且つ/又は、請求項1〜34のいずれか1つの記載の収着フィルタ材料を具備することを特徴とする防護材料。
【請求項38】
すべての種類の汚染物質、臭気物質及び毒物を、空気及び/若しくは気体の流れから除去するためのすべての種類のフィルタ、フィルタ材料、特にNBC防護マスクフィルタ、臭気フィルタ、シート状フィルタ、空気フィルタ、室内の空気を浄化するためのフィルタ、吸着性支持構造、及び医療関係用フィルタであって、請求項1〜34にいずれか1つに記載の収着フィルタ材料を使用して製造されること、且つ/又は、請求項1〜34のいずれか1つの記載の収着フィルタ材料を具備することを特徴とするフィルタ又はフィルタ材料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−502041(P2011−502041A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531427(P2010−531427)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006535
【国際公開番号】WO2009/056184
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】