説明

収穫後の微生物による腐敗から収穫物を保護する方法

【課題】本発明は、哺乳動物での毒性が非常に低く、環境にやさしい物質を用いて、果実、野菜及び観賞植物の微生物による劣化を低減させる新規な方法を提供する。
【解決手段】ソルビン酸及び/又は1つ以上のそのアルカリ金属塩、及び/又はリン酸及び/又は1つ以上のそのアルカリ金属塩と組み合わせた浸透獲得抵抗性誘発剤を適用することにより、収穫後の微生物による腐敗から果実、野菜及び観賞植物を保護する方法により、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真菌のような腐敗原因生物による攻撃から果実、野菜及び観賞植物(ornamentals)を保護することに関する。特に、本発明は、ソルビン酸及び/又はそのアルカリ金属塩と組み合わせた浸透抵抗性誘発剤(systemic resistance inducers)の混合物を適用することにより、果実、野菜又は観賞植物を、収穫後の微生物による劣化から保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腐敗原因生物を制御する目的で、新しく収穫した果実、野菜及び観賞植物の表面に、抗菌剤を適用することは、果実、野菜及び観賞植物の処理において公知のプラクティスである。
【0003】
浸透抵抗性誘発剤は、植物における微生物抵抗性を惹起することが知られているが、果実、野菜及び観賞植物の収穫後の応用には用いられていない。なぜなら、これらを用いては、許容されるレベルの微生物制御が得られないからである。
【0004】
ソルベートは、果実、野菜及び観賞植物の微生物による分解に対するある程度の保護を付与することが知られているが、単独で用いられた場合には、その保護は商業的に許容されるレベルではない。
【0005】
収穫後の果実及び野菜の分野に与えられる規制及び環境的な圧力が増加していることに伴い、多くの抗菌物質の使用が取りやめられたり、その再登録がなされなくなったりしている。よって、容易に入手可能で、低毒性で、登録が禁止されにくい物質を用いて、収穫後の微生物による劣化から果実、野菜及び観賞植物を保護する方法を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、哺乳動物での毒性が非常に低く、環境にやさしい物質を用いて、果実、野菜及び観賞植物の微生物による劣化を低減させる新規な方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ソルビン酸及び/又はそのアルカリ金属塩と組み合わせた浸透獲得抵抗性誘発剤を適用することにより、収穫後の微生物による腐敗から果実、野菜及び/又は観賞植物を保護する方法を含む。
【0008】
ある実施形態において、果実及び/又は野菜に適用される物質は、ソルビン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、並びにリン酸及び/又はそのアルカリ金属塩及び/又はアンモニア塩を含む。ソルビン酸及び/又はその塩が、単独で、果実及び野菜を収穫後腐敗から保護する助けとなることが確認されている。リン酸及び/又はその塩が、単独で、果実及び野菜を収穫後腐敗から保護する助けとなることも確認されている。
【0009】
収穫後劣化の低減におけるソルビン酸(及び/又はその塩)と、リン酸(及び/又はその塩)との組み合わせの効果は、低温又は高温での収穫後劣化の低減におけるソルビン酸(及び/又はその塩)単独、又はリン酸(及び/又はその塩)単独の個別の効果の合計よりも大きいことが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第4日の実施例1のネーブルオレンジの未接種対照(処理A)の写真である。
【図2】第4日の実施例1のネーブルオレンジの接種対照(処理B)の写真である。
【図3】第7日の実施例1のネーブルオレンジの接種対照(処理B)の写真である。
【図4】第7日の実施例1の処理F (2%+2%)のネーブルオレンジの写真である。
【図5】第5日の実施例4の接種対照(処理B)のレモンの写真である。
【図6】第5日の実施例7の未処理対象(処理A)と処理Fの花を比較した写真である。
【図7】第7日の実施例7の未処理対象(処理A)と処理Fの花を比較した写真である。
【図8】実施例5のトマトに対する処理の効果を示す一連の写真である。
【図9】実施例4のレモンに対する処理の効果を示す一連の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、果実、野菜又は観賞植物のうちの1つに、ソルビン酸、ソルビン酸のアルカリ金属塩及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるソルビン酸供給物質と、リン酸、リン酸のアルカリ金属塩及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるリン酸供給物質とを含む混合物を適用することにより、果実、野菜又は観賞植物の1つを収穫後の微生物による劣化から保護する方法を提供する。
【0012】
本発明の方法において、上記の混合物は、ソルビン酸供給物質が約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在し、リン酸供給物質が約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する水溶液を含むことが好ましい。
上記のソルビン酸供給物質は、約1重量%と約3重量%の間の範囲で存在し、リン酸供給物質は、約1重量%と約3重量%との間の範囲で存在するのが好ましい。
【0013】
本発明の方法は、果実、野菜又は観賞植物を、上記の溶液中に、約5秒と約60秒の間の時間、又は約1分と約3分の間の時間、少なくとも部分的に浸漬させるさらなる工程を含むのが好ましい。
【0014】
本発明の方法において、果実、野菜又は観賞植物を、上記の溶液にドレンチする(drench)か、果実、野菜又は観賞植物に、上記の溶液を噴霧することが好ましい。
【0015】
上記の混合物は、固体の状態又は液体の状態であり、ソルビン酸供給物質が、約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在し、リン酸供給物質が、約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在するのが好ましい。
【0016】
本発明の方法においては、切花の茎が、10日以下の時間、上記の溶液中に置かれることが好ましい。
【0017】
本発明の方法においては、上記の混合物は、浸透抵抗性誘発剤をさらに含むことが好ましい。
【0018】
本発明は、約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する、ソルビン酸、ソルビン酸のアルカリ金属塩及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるソルビン酸供給物質と、約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する、リン酸、リン酸のアルカリ金属塩及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるリン酸供給物質とを含む組成物を調製し、
該組成物をワックスコーティングに組み入れ、
該コーティングを、果実、野菜又は観賞植物に適用する
工程を含む、果実、野菜又は観賞植物の1つを収穫後の微生物による劣化から保護する方法も提供する。
【0019】
上記の方法において、ソルビン酸供給物質は、約1重量%と約10重量%の間の範囲、より好ましくは約1重量%と約3重量%の間の範囲で存在するのが好ましい。
また、リン酸供給物質は、約1重量%と約10重量%の間の範囲、より好ましくは約1重量%と約3重量%の間の範囲で存在するのが好ましい。
【0020】
本発明を、以下の限定しない実施例により、さらに説明する。
【実施例】
【0021】
実施例1
実施例1では、7つの異なる処理を行った(以下のA〜G)。7つの処理のそれぞれについて4回の反復を行い、それぞれの反復は、6個の果実を含んでいた。つまり、各処理は、24個の果実に行った。この実施例で処理した果実は、6個の新しく収穫された成熟ネーブルオレンジであった。浸漬(Immersion)温度は、約25℃であった。
【0022】
処理は、次のとおりであった:
A. 水に浸漬した果実。未処理未接種対照。
B. 水に浸漬した果実。未処理接種対照。
C. 2%(w/w)ソルビン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
D. 2% (w/w)亜リン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
E. 1% (w/w)ソルビン酸カリウムと1% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
F. 2% (w/w)ソルビン酸カリウムと2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
G. 3% (w/w)ソルビン酸カリウムと3% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
【0023】
処理を行い、10分間放置して乾燥させた後に、処理B〜Gに、緑カビ(ペニシリウム・ディギタータム(P. digitatum))及び青カビ(ペニシリウム・イタリカム(P.italicum))の混合接種物を接種した。果実への接種は、両方の真菌からの胞子で被覆された針を用いて、3〜5 mmの深さまで果実の皮に穴をあけることにより行った。果実を、約25℃にてインキュベートし、接種から7日間にわたって腐敗の進行を測定した。
実験は、2回繰り返した。
【0024】
実施例1の結果:
【表1】

【0025】
実施例2
実施例2では、7つの異なる処理を行った(以下のA〜G)。7つの処理のそれぞれについて4回の反復を行い、それぞれの反復は、6個の果実を含んでいた。つまり、各処理は、24個の果実に行った。この実施例で処理した果実は、6個の新しく収穫された成熟レモンであった。浸漬温度は、約25℃であった。
【0026】
処理は、次のとおりであった:
A. 水に浸漬した果実。未処理未接種対照。
B. 水に浸漬した果実。未処理接種対照。
C. 2%(w/w)ソルビン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
D. 2% (w/w)亜リン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
E. 1% (w/w)ソルビン酸カリウムと1% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
F. 2% (w/w)ソルビン酸カリウムと2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
G. 3% (w/w)ソルビン酸カリウムと3% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
【0027】
処理を行い、10分間放置して乾燥させた後に、処理B〜Gに、緑カビ(ピー・ディギタータム)及び青カビ(ピー・イタリカム)の混合接種物を接種した。果実への接種は、両方の真菌からの胞子で被覆された針を用いて、3〜5 mmの深さまで果実の皮に穴をあけることにより行った。果実を、約25℃にてインキュベートし、接種から7日間にわたって腐敗の進行を測定した。
実験は、2回繰り返した。
【0028】
実施例2の結果:
【表2】

【0029】
実施例3
実施例3では、7つの異なる処理を行った(以下のA〜G)。7つの処理のそれぞれについて4回の反復を行い、それぞれの反復は、6個の果実を含んでいた。つまり、各処理は、24個の果実に行った。この実施例で処理した果実は、6個の新しく収穫された成熟ネーブルオレンジであった。浸漬温度は、約25℃であった。
【0030】
処理は、次のとおりであった:
A. 水に浸漬した果実。未処理未接種対照。
B. 水に浸漬した果実。未処理接種対照。
C. 2%(w/w)ソルビン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
D. 2% (w/w)亜リン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
E. 1% (w/w)ソルビン酸カリウムと1% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
F. 2% (w/w)ソルビン酸カリウムと2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
G. 3% (w/w)ソルビン酸カリウムと3% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
【0031】
処理を行い、10分間放置して乾燥させた後に、処理B〜Gに、白カビ病(sour rot)の原因因子であるゲオトリクム・カンジダム(Geotrichium candidum)の直径5 mmの菌糸プラグを接種した。果実への接種は、皮の5 mmのプラグを除き、ジー・カンジダムの菌糸プラグを挿入して果実の果実プラグを置き換えることにより行った。果実を、約25℃にてインキュベートし、接種から7日間にわたって腐敗の進行を測定した。
実験は、2回繰り返した。
【0032】
実施例3の結果:
【表3】

【0033】
実施例4
実施例4では、7つの異なる処理を行った(以下のA〜G)。7つの処理のそれぞれについて4回の反復を行い、それぞれの反復は、6個の果実を含んでいた。つまり、各処理は、24個の果実に行った。この実施例で処理した果実は、6個の新しく収穫された成熟レモンであった。浸漬温度は、約25℃であった。
【0034】
処理は、次のとおりであった:
A. 水に浸漬した果実。未処理未接種対照。
B. 水に浸漬した果実。未処理接種対照。
C. 2%(w/w)ソルビン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
D. 2% (w/w)亜リン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
E. 1% (w/w)ソルビン酸カリウムと1% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
F. 2% (w/w)ソルビン酸カリウムと2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
G. 3% (w/w)ソルビン酸カリウムと3% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
【0035】
処理を行い、10分間放置して乾燥させた後に、処理B〜Gに、白カビ病の原因因子であるゲオトリクム・カンジダムの直径5 mmの菌糸プラグを接種した。果実への接種は、皮の5 mmのプラグを除き、ジー・カンジダムの菌糸プラグを挿入して果実の果実プラグを置き換えることにより行った。果実を、約25℃にてインキュベートし、接種から7日間にわたって腐敗の進行を測定した。
実験は、2回繰り返した。
【0036】
実施例4の結果:
【表4】

【0037】
実施例5
実施例5では、7つの異なる処理を行った(以下のA〜G)。7つの処理のそれぞれについて4回の反復を行い、それぞれの反復は、6個の果実を含んでいた。つまり、各処理は、24個の果実に行った。この実施例で処理した果実は、6個の堅いが熟したトマトであった。浸漬温度は、約25℃であった。
【0038】
処理は、次のとおりであった:
A. 水に浸漬した果実。未処理未接種対照。
B. 水に浸漬した果実。未処理接種対照。
C. 2%(w/w)ソルビン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
D. 2% (w/w)亜リン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
E. 1% (w/w)ソルビン酸カリウムと1% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
F. 2% (w/w)ソルビン酸カリウムと2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
G. 3% (w/w)ソルビン酸カリウムと3% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に2分間浸漬した果実。
【0039】
処理を行い、10分間放置して乾燥させた後に、処理B〜Gに、白カビ病の原因因子であるゲオトリクム・カンジダムの直径5 mmの菌糸プラグを接種した。果実への接種は、皮の5 mmのプラグを除き、ジー・カンジダムの菌糸プラグを挿入して果実の果実プラグを置き換えることにより行った。果実を、25℃にてインキュベートし、接種から7日間にわたって腐敗の進行を測定した。
実験は、2回繰り返した。
【0040】
実施例5の結果:
【表5】

【0041】
実施例6
実施例6では、5つの異なる処理を行った(以下のA〜E)。5つの処理のそれぞれについて4回の反復を行い、それぞれの反復は、6個の果実を含んでいた。つまり、各処理は、24個の果実に行った。この実施例で処理した果実は、新しく収穫した成熟レモンであった。浸漬温度は、約25℃であった。
【0042】
処理は、次のとおりであった:
A. 25℃にて水に浸漬した果実。未処理接種対照。
B. 2%(w/w)ソルビン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
C. 2% (w/w)亜リン酸カリウムを含有する溶液に2分間浸漬した果実。
D. 2% (w/w)ソルビン酸カリウムと2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に25℃にて2分間浸漬した果実。
E. 2% (w/w)ソルビン酸カリウムと2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に50℃にて2分間浸漬した果実。
【0043】
処理を行い、10分間放置して乾燥させた後に、処理B〜Eに、白カビ病の原因因子であるゲオトリクム・カンジダムの直径3 mmの菌糸プラグを接種した。果実への接種は、皮の3 mmのプラグを除き、ジー・カンジダムの菌糸プラグを挿入して果実の果実プラグを置き換えることにより行った。果実を、約25℃にてインキュベートし、接種から7日間にわたって腐敗の進行を測定した。
【0044】
実施例6の結果:
【表6】

【0045】
実施例7
実施例7では、10の異なる処理を行った(以下のA〜J)。10の処理のそれぞれについて4回の反復を行い、それぞれの反復は、6本の茎がついた花を含んでいた。つまり、各処理は、24本の花茎に行った。この実施例で処理した植物は、以下に列挙する水和溶液中の6本の長い茎のバラであった。茎を、種々の溶液に最大で10日間浸漬させた。溶液は、10日の期間にわたって、蒸発散による損失を補うために、場合によっては水をいっぱいにつぎ足した。処理温度は、約25℃であった。
【0046】
処理は、次のとおりであった:
A. 水に浸漬した花茎。未処理対照。
B. 0.1% (w/w)ソルビン酸カリウムを含有する溶液に浸漬した花茎。
C. 0.1% (w/w)亜リン酸カリウムを含有する溶液に浸漬した花茎。
D. 0.2% (w/w)ソルビン酸カリウムを含有する溶液に浸漬した花茎。
E. 0.2% (w/w)亜リン酸カリウムを含有する溶液に浸漬した花茎。
F. 0.1% (w/w)ソルビン酸カリウムと0.1% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に浸漬した花茎。
G. 0.2% (w/w)ソルビン酸カリウムと0.2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に浸漬した花茎。
H. 0.3% (w/w)ソルビン酸カリウムと0.3% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に浸漬した花茎。
I. 0.25% (w/w)ソルビン酸カリウムと0.25% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に浸漬した花茎。
J. 0.2% (w/w)ソルビン酸カリウムと0.2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有する溶液に1時間浸漬し、その後、回収して水中に10日間入れた花茎。
【0047】
実施例7の結果:
【表7】

【0048】
実施例8
梱包施設で、市販の果実コーティングワックスを用いて果実を処理する。カルナウバワックス、又はウッドロジンのようなその他のいずれの低級光沢ワックス(lower-shine waxes)が好ましい。この実施例では、カルナウバワックスを、製造業者のラベルに従って使用強度まで希釈し、手でワックス中に少しの間(momentary)浸漬させることにより、ネーブルオレンジに適用した。以下の4つの処理(A〜D)のそれぞれについて4回の反復を行い、それぞれの反復は、6つの果実を含んでいた。つまり、各処理は、24個の果実に行った。処理の後に、上記のようにして果実を1度穿刺した。
【0049】
処理は、次のとおりであった:
A. ワックス処理なし。未処理未接種対照。
B. カルナウバワックス中に少しの間浸漬した果実、未処理未接種対照。
C. 2% (w/w)ソルビン酸カリウムと2% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有するカルナウバワックス中に少しの間浸漬した果実。
D. 4% (w/w)ソルビン酸カリウムと4% (w/w)亜リン酸カリウムとの混合物を含有するカルナウバワックス中に少しの間浸漬した果実。
【0050】
処理の後に、果実を30日間低温貯蔵し、回収して腐敗について評価した。
【0051】
実施例8の結果:
【表8】

【0052】
本発明の固体の形態は、上記の実施例で同定されるいずれの溶液を蒸発させることにより得ることができる。
【0053】
本発明は、例示的な実施形態の点で記載しているが、これらに限定されない。むしろ、添付の特許請求の範囲は、本発明の等価物の範囲を逸脱することなく当業者により行われ得る本発明のその他の変形及び実施形態を含むように解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実、野菜又は観賞植物のうちの1つに、ソルビン酸、ソルビン酸のアルカリ金属塩及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるソルビン酸供給物質と、リン酸、リン酸のアルカリ金属塩及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるリン酸供給物質とを含む混合物を適用することにより、果実、野菜又は観賞植物の1つを収穫後の微生物による劣化から保護する方法。
【請求項2】
前記混合物が、前記ソルビン酸供給物質が約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在し、前記リン酸供給物質が約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する水溶液を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ソルビン酸供給物質が約1重量%と約3重量%の間の範囲で存在し、前記リン酸供給物質が約1重量%と約3重量%との間の範囲で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記果実、野菜又は観賞植物を、前記溶液中に、約5秒と約60秒の間の時間、少なくとも部分的に浸漬させるさらなる工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記果実、野菜又は観賞植物を、前記溶液中に、約5秒と約60秒の間の時間、少なくとも部分的に浸漬させるさらなる工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記果実、野菜又は観賞植物を、前記溶液中に、約1分と約3分の間の時間、少なくとも部分的に浸漬させるさらなる工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記果実、野菜又は観賞植物を、前記溶液中に、約1分と約3分の間の時間、少なくとも部分的に浸漬させるさらなる工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記果実、野菜又は観賞植物を、前記溶液にドレンチする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記果実、野菜又は観賞植物を、前記溶液にドレンチする請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記果実、野菜又は観賞植物に、前記溶液を噴霧する請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記果実、野菜又は観賞植物に、前記溶液を噴霧する請求項3に記載の方法。
【請求項12】
約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する、ソルビン酸、ソルビン酸のアルカリ金属塩及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるソルビン酸供給物質と、約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する、リン酸、リン酸のアルカリ金属塩及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるリン酸供給物質とを含む組成物を調製し、
前記組成物をワックスコーティングに組み入れ、
前記コーティングを、果実、野菜又は観賞植物に適用する
工程を含む、果実、野菜又は観賞植物の1つを収穫後の微生物による劣化から保護する方法。
【請求項13】
前記ソルビン酸供給物質が、約1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ソルビン酸供給物質が、約1重量%と約3重量%の間の範囲で存在する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記リン酸供給物質が、約1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記リン酸供給物質が、約1重量%と約3重量%の間の範囲で存在する請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記ソルビン酸供給物質が、約1重量%と約3重量%の間の範囲で存在する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物が、固体の状態又は液体の状態であり、前記ソルビン酸供給物質が、約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在し、前記リン酸供給物質が、約0.1重量%と約10重量%の間の範囲で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項19】
切花の茎が、10日以下の時間、前記溶液中に置かれる請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記混合物が、浸透抵抗性誘発剤をさらに含む請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−215292(P2009−215292A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49244(P2009−49244)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(507387413)プラント プロテクタンツ,エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】