説明

収穫機

【課題】稈長が長く背の高さの高い被収穫物の収穫をスムーズに行おうとするものである。
【解決手段】機体の下部に設ける走行装置3と、機体の前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置4と、該刈取装置4の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置5とを備える収穫機において、前記刈取装置4には、植立状態の植物を切断する切断装置8と、該切断装置8によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置9と、該横移送装置9によって移送された植物を引き継いで脱粒装置5へ供給する搬送装置10とを設けると共に、前記横移送装置9の前側に幅狭に形成した複数の移送装置11を左右方向に互いに間隔をおいて配置したことを特徴とする収穫機の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ひまわり等の植物を刈り取る収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、油糧作物を原料として、バイオディーゼル燃料の精製やパルプの製造を行なう、いわゆるバイオマス利用技術が注目されている。そのバイオマスの資源作物としてひまわり等の種子等が利用される。
【0003】
ひまわり等の植物は、茎部が長く背丈が高い。このような植物を収穫する収穫機として、特許文献1に示すように、機体の前部に植物の花托部のみを刈り取りながら取り込む刈取装置を設け、その後方に残茎を刈り払う第二刈刃装置を各々設けた構成のものがある。
【0004】
この構成により刈り取られた花托部は、脱粒装置内へ供給されて種子が脱粒される。又、残茎は、第二刈刃装置で短く切断されて圃場へ放置される。
【特許文献1】特開平9−154369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1には、ひまわりの花托部だけを刈り取るための具体構成が開示されていない。即ち、従来では、例えばこのひまわりの花托部を刈り取るための技術が確立されておらず、倒伏したひまわりを刈取装置内へ円滑に取り込むことができなかったり、刈取装置へ掻き込む際に、花托部ごと種子を脱落させて収穫損失が発生する問題があった。また、稲麦などに比べて、花托部の脱粒負荷は大きく、刈取装置による刈幅を大きく設定して多条刈りができるように構成した場合、大量の花托部が脱粒装置へ供給されて詰まりを起こす等の不具合が生じ、収穫作業を円滑に行なえなくなる問題がある。この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
このために、請求項1に記載の発明は、機体の下部に設ける走行装置3と、機体の前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置4と、該刈取装置4の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置5とを備える収穫機において、前記刈取装置4には、植立状態の植物を切断する切断装置8と、該切断装置8によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置9と、該横移送装置9によって移送された植物を引き継いで脱粒装置5へ供給する搬送装置10とを設けると共に、前記横移送装置9の前側に幅狭に形成した複数の移送装置11を左右方向に互いに間隔をおいて配置したことを特徴とする収穫機としたものである。
【0007】
例えば、前記収穫機によるひまわりの収穫作業においては、この収穫機の機体の下部に設けた走行装置3前進駆動し、前部に設けた刈取装置4を高刈り収穫作業位置(通常、稲麦の刈取作業高さよりも高い位置)に高さ調節して、収穫作業を開始する。すると、刈取装置4における横移送装置9の前側に設けた幅狭の複数の移送装置11の間に植立状態のひまわりの茎部が導入され、この移送装置11の上側に花托部が載るようにして後方へ移送され、切断装置8で花托部よりも下側の茎部が切断される。そして、この花托部は、横移送装置9へ引き継がれ、この横移送装置9によって刈取装置4の所定位置へ向けて移送され、搬送装置10に引き継がれて脱粒装置5へ供給される。脱粒装置5で脱粒された種子を、貯留タンクへ投入して一時貯留するように構成してもよい。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記走行装置3の左右両側に設ける左右の走行クローラ3a,3a間の中心位置に対して、前記複数の移送装置11の配置範囲の左右中心位置を左右方向に偏倚させたことを特徴とする請求項1に記載の収穫機としたものである。
【0009】
このように、複数の移送装置11の配置範囲の左右中心位置を、左右の走行クローラ3a,3a間の中心位置に対して左右方向に偏倚させることにより、この移送装置11を刈取装置4の全幅にわたって設ける場合に比べて、刈取作業幅が狭くなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記複数の移送装置11は、無端チェン11aに対して移送片11jを所定間隔ごとに取り付けて構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収穫機としたものである。
【0011】
これにより、無端チェン11aに取り付けた移送片11jによって、花托部が係止されて円滑に移送される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によると、刈取装置4における横移送装置9の前側に、幅狭に形成した複数の移送装置11を左右方向に所定の間隔をおいて設けたことにより、これら複数の移送装置11の間に、例えばひまわり等の植物の茎部が導入されれば、その花托部を移送装置11の上側に載るようにして移送できるため、花托部の脱落を少なくして種子の収穫を能率よく行なうことができる。
【0013】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、移送装置11の配置範囲を左右方向に偏倚させて刈取作業幅を狭くし、刈取条数を減らして花托部等の過剰供給による脱粒装置5の詰まりを少なくして、収穫作業の能率を向上させることができる。また、移送装置11の配置範囲の左右中心位置を、未収穫作業域の側に偏倚させれば、植立状態の植物を、この移送装置11の後側に配置されるクローラ3aによって、踏み倒すことが少なくなり、収穫損失を少なくすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によると、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加え、移送装置11による花托部の移送を円滑に行なえるものとして、収穫作業を能率よく行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
ひまわり等の植物を刈り取って種子等を収穫するコンバイン1について説明する。図1から図4に示しているように、コンバイン1は、機体の下部に設ける走行装置3と、この走行装置3を支持する走行車台2と、機体の前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置4を設けている。また、前記走行車台2の上側で刈取装置4の後側にひまわり等の花托部から種子を脱粒させる脱穀装置(脱粒装置)5を載置し、この脱穀装置5の右横側に脱穀済みひまわりの種子を貯留する貯留タンク5aを載置している。
【0016】
前記刈取装置4の左右両外側には、各ナローガイド6aを有する分草体6と、機体1aの全幅に亘ってひまわり等を掻き込みするリール装置7と、ひまわり等の花托部を茎部と共に後方上部へ移送する複数のチェン駆動方式の移送装置11と、花托部を切断する切断装置8と、茎部から切断された花托部を引き継いで掻き込み移送する横移送装置9と、この横移送装置9から花托を受けて脱粒装置5へ移送供給する搬送装置10等よりなる構成である。これら刈取装置4の移送装置11等を主に図示して説明する。
【0017】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3a,3aを張設した走行装置3を配設している。
刈取装置4全体は、油圧駆動による伸縮シリンダ13によって土壌面に対して昇降する。又、ひまわり等の背丈の高い植物を収穫作業するときには、刈取装置4を所定の高刈り高さ位置へ高さ調節して収穫作業する。
【0018】
前記貯留タンク5a側の前部には、図1、及び図4で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部の調節等の操作を行う操作部14と操縦席15とを設け、又、この操縦席15の下側にエンジン16を載置している。
【0019】
前記走行車台2の前部に装架した走行用のミッションケース17内の伝動機構17aの伝動経路中には、その出力に基づいて走行車速を検出する車速センサ17b(電磁ピックアップ式又はフォトカプラ式)を設けている。
【0020】
前記貯留タンク5aの後側には、図1、及び図4で示すように、縦移送螺旋18aを内装した縦支持筒18を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この縦支持筒18の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘ると共に排出螺旋19aを内装軸支した排出オーガ19を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設している。前記縦支持筒18及び排出オーガ19から種子が機外へ排出される構成である。
【0021】
前述のごとく、縦支持筒18及び排出オーガ19内には、それぞれ縦移送螺旋18a及び排出螺旋19aを設けているが、これら縦移送螺旋18a及び排出螺旋19aを廃止して、送風機(図示せず)から送風される空気力で、種子を機外へ排出するように構成してもよい。
【0022】
前記刈取装置4には、図1及び図4に示すように、前方の植物群から刈取対象の植物を掻き込んで分離する側面視六角形状のリール装置7と、チェン駆動式の移送装置11、と、第一切断装置8と、横移送装置9と、搬送装置10とから構成している。このリール装置7は、前方のひまわりを掻き込んで分離するものである。リール装置7は、左右両側の支持杆20に設けた支持軸20aへ回転自在に軸支し、六箇所の隅部に左右方向にスラットバーを設け、このスラットバーに所定間隔でリールタイン7aを取り付けている。リールタイン7aは、平行リンク機構により、前記リール装置7全体が回転しても、略一定の下向き姿勢を保ったまま周回移動するように構成している。この各リールタイン7aでひまわり等を引き起こし、このひまわりを分離して掻き込む。このリール装置7は、上下伸縮シリンダ(図示せず)の作動により、刈取装置4に対して独立して昇降させることができる。
【0023】
また、前記第一切断装置8はバリカン式の刈刃を左右方向に摺動駆動する構成のもので、上下の刈刃を対称形状に形成して上側の刈刃のみを左右摺動させるもの、又は、上下の刈刃を互いに逆方向に摺動させるものである。又、左右方向に所定間隔をおいてフィンガを配置し、このフィンガ内に刈刃を左右移動するように設けたものでもよい。
【0024】
また、前記横移送装置9は、刈取装置4の左右幅に相当する長さのオーガ(外周に螺旋を備えた回転胴)を、左右方向の軸芯周りに駆動回転するように設けて構成する。該オーガにおける前記搬送装置10始端部との対応位置には、該オーガによって左右一側へ移送されてきた花托部を搬送装置10の始端部へ引き継がせる掻込杆(クランクフィンガ)9dを設ける。
【0025】
また、前記搬送装置10は、前端部の回転軸に設けた左右の従動スプロケット10eと後端部の回転軸に設けた左右の駆動スプロケット10fとにわたって移送チェン10aを巻き掛け、該左右の無端チェン間に多数の移送ラグ10bを所定間隔ごとに取り付けて構成する。
【0026】
前記移送装置11は、図4の実施例では、前記複数の移送装置11を6基設ける構成としているが、状況に応じて6基以外の数を設けるように構成してもよい。
前記チェン駆動式の移送装置11は、図1〜図4に示すように、前記横移送装置9の前方に設ける構成としている。そして、移送装置11は、刈取装置4の中央部より左寄りの位置であって、互いに左右方向に所定間隔(ひまわりの茎部が通過可能であるが、花托部は通過不能な間隔。40mm程度がよい。)をおいて複数設ける構成としている。要するに、圃場の状況等に合わせて、変更してもよい。また、走行装置3の左右両側に設ける左右の走行クローラ3a,3a間の中心位置に対して、複数の移送装置11の配置範囲の左右中心位置を左右方向に偏倚させる構成としている。
【0027】
この移送装置11について図7に基づいて説明する。移送装置11の前端下部には、左右方向に前下軸12aを設けている。この前下軸12aに対して前下スプロケット12dを回転自在に支持する構成としている。具体的には、前下スプロケット12dの孔の内径部に軸受けを固定して設け、この軸受けに前下軸12aを挿入して構成している。
【0028】
又、横移送装置9の前側上部へ左右方向に前上軸12bを設けている。この前上軸12bには、前上スプロケット12eを軸支している。更に、前記前上軸12bより、所定距離後側であって横移送装置9の前部上側には、刈取装置4の略全幅に亘って後上軸12cを左右方向に設けている。この後上軸12cの所定位置には、所定間隔をおいて後上スプロケット12fを取り付けし、前記前上スプロケット12eと後上スプロケット12fとは、互いに前後方向に所定の間隔を設けている。これら前下・前上・後上スプロケット12d、12e、12fには、チェン11aを掛け回して設けている。入力プーリを軸支した入力軸から伝動ギャーケース(共に図示せず)を介して、後上軸12cが回転駆動されて、移送装置11のチェン11aが回転駆動される。本実施例では、無端帯であるチェンとしているが、その他、ベルトなど無端帯であれば何でもよい。
【0029】
前記移送装置11のチェン11aは、図5及び図6で示すように、所定間隔毎に上方へ突出させているチェンプレート11bと、突出していないチェンプレート11bとより構成している。このようなチェンプレート11b、11bを左右両側へ設けている。
【0030】
図5及び図6に示すように、前記チェン11aの突出部を有する左右両側のチェンプレート11bには、L字形状の移送片11jを設ける構成としている。この移送片11jは、下面に取り付けた取付板11mを介して、ボルト及びナット及びピン等によりチェン11aに装着する構成としている。また、図6で示すように、前に装着部となる(イ)は移送片11jの回動中心である。このL字形状の移送片11jの下側の折り曲げ部を、移送方向上手側へ向けている。即ち、垂直部を移送方向の上手側へ配置する構成としている。又、この移送片11jの移送方向上手側の垂直面の左右両側端部は、R形状や切り欠き形成して、ひまわり等の花托部及び茎部が損傷するのを防止している。
【0031】
前記移送装置11のチェン11aへ設けた各移送片11jの下側には、この各移送片11jが通過すると共に、移送片11jの左右のばたつきを防止する受板11nを設けている。この受板11nには、チェン11aが通るための凹部を形成している。また、この受板11nのみでは剛性が弱いので、受板11nの左右両側であって下側に向かう左右の側板11p、11pを設け、この左右両側の側板11p、11pの下側を受板で接続して箱形状に構成している。
【0032】
互いに間隔を置いて配置している各移送装置11間にひまわり等の茎部が入ると、茎部は前記移送片11jにより、後方上部へ移送される。また、花托部についても、移送片11j上に載置されているので、花托部はこの移送片11jの移送作用を受けて後方へ移送される。
【0033】
刈取装置4の背面壁に軸支した入力プーリに前記搬送装置10の外側壁面に沿って配置した伝動ベルトを巻き掛けて、機体1a側からの駆動力を入力するように構成する。そして、該入力プーリと第一切断装置駆動用伝動ケース44の入力軸に設けた入力プーリ45との間に伝動ベルトを巻き掛ける。また、前記入力プーリとリール装置7の駆動力入力用のプーリ46との間に伝動ベルトを巻き掛けると共に、該伝動ベルトに対して外側からプーリを当接させ、該プーリを伝動ベルトの背面駆動によって駆動回転させるように構成する。更に、該プーリと前記後上軸12cとの間に伝動ベルトを巻き掛ける。これにより、前記刈取装置4の背面壁に軸支した入力プーリに駆動力が入力されると、リール装置7と第一切断装置8と複数個の移送装置11とが連動して駆動される。また、前記横移送装置9と搬送装置10とを連動して駆動するように構成する。前記横移送装置9を前記第一切断装置8への伝動機構の途中から駆動するように構成してもよい。
【0034】
また、図1、図3、図7、図25に示す38は、下部移送装置である。この下部移送装置38は、前記入力プーリ45からベルト伝動される構成である。下部移送装置38は、軸38aに対してラセン38bが固着して設けられている構成である。
【0035】
ひまわりの茎部が前記下部搬送装置38に当たると、茎部はほんの少し機体進行方向右側よりに姿勢変更され、このような状態で後述する第二切断装置21で茎部の下側部分が切断される構成である。これにより、第二切断装置21で茎部の下側部分が切断しやすくなり、茎部は略整列した状態で倒れるようになる。よって、後工程での茎部の収納作業が容易となる。
【0036】
また、この下部搬送装置38は、図2に示すように、取り外して作業してもよい。この場合においては、伝動系については、前記入力プーリ45からのベルトを外すのみでよいので、能率の良い作業が可能となる。
【0037】
前述のような6基ないし5基の移送装置11の移送作用によってひまわり等は後方上部へ移送され、切断装置8でひまわりの花托部下部の茎部が切断される。
前記横移送装置9の前方には、前述した複数の移送装置11を設けているが、横移送装置9の後側には、第二切断装置21を設ける構成としている。しかも、この第二切断装置21は、走行装置3の左右両側へ設けた左右の走行クローラ3a、3a間の間隔部の前側に配置する構成としている。第二切断装置21の詳細構成については、図8〜図11に基づいて後述する。
【0038】
前記第二切断装置21を設けたことにより、これら各移送装置11間にひまわりの茎部が導入されれば、第二切断装置21で残茎部が切断可能となり、後工程として、残茎部を鎌等により作業者が切断するような手間を省くことができるようになる。また、ひまわり等の花托部の収穫と同時に、残茎部の処理を行うことができて便利であると共に、工数の低減を図ることができる。また、残茎部についても、バイオマス資源としてパルプの創造などに利用可能となる。
【0039】
図4に示すように、前記左右の走行クローラ3a、3a間の中心位置Aに対して、前記複数の移送装置11の配置範囲の左右中心位置を、左右方向のいずれか一方側へずらせて設ける構成としている。本実施例では、コンバインの進行方向に対して左側へ寄せて構成した図を図示している。
【0040】
このように、左右の走行クローラ3a、3a間の中心位置Aに対して前記複数の移送装置11の配置範囲の左右中心位置を左右方向のいずれか一方側へずらせて設けるように構成したことにより、一方側へ寄せた側のこの各移送装置11の幅が広くなり、機体1aを寄せた反対側寄りに走行可能となり、寄せた側の走行クローラ3aでひまわりの茎稈を踏むことを無くすることができる。又、一方側へ寄ったことにより、運転操作作業者の視界が良好になる。更に、この各移送装置11の中心位置Aへひまわり等の茎部の導入が容易になる。
【0041】
前記各移送装置11間へひまわりの茎部を取り込みすると共に、チェン11aへ設けた移送片11jでひまわり等の茎部を係止し、移送片11jに載置された花托部を支持係止して花托部及び茎部を後方上部へ移送し、後方上部へ設けた前上・後上スプロケット12e、12f間へ張設したチェン11aの上側張設範囲の下側へ設けた切断装置8により、花托部の下側近傍部の茎部が切断される。この切断された花托部は、さらに移送片11jで後方へ移送され、後方の移送終端部から横移送装置9へ引き継ぎされる。この横移送装置9へ花托部を引き継ぎ移送することで、ひまわりの種子の損失を大幅に減少させることができる。又、花托部が移送片11jで移送されることで搬送が良好になる。横移送装置9へ引継ぎされた花托部は、その後、搬送装置10を経て脱穀装置5内へ移送供給される。
【0042】
前記複数設けた移送装置11のチェン11aへ、所定間隔で移送片11jを取り付けるにあたり、本実施例では図4で示すように、隣合う移送装置11の移送片11jの位置を前後方向で同じ位置にしているが、前後方向で所定寸法ずらして設けてもよい。
【0043】
これにより、ひまわりが倒伏状態であったり茎部の背丈のバラツキが大きい場合に、最初の移送片11jが取りこぼしをしたときであっても、隣接の移送片11jが作用して係止することにより、係止ミスの減少を図ることができて、ひまわりの取り込み失敗を防止できるようになる。
【0044】
前記横移送装置9は、図1及び図4で示すように、各移送装置11の後側へ設けている。この横移送装置9は、掻込円筒9aに対して、左右両側の左・右移送ラセン9b、9cを設け、この左・右移送ラセン9b、9c間に複数個の掻込杆9dを設ける構成としている。花托部は、前記左・右移送ラセン9b、9cによって掻込杆9d部分へと搬送され、掻込杆9dで搬送装置10へと送り込まれる構成である。
【0045】
搬送装置10は、図1及び図4に示すように、横移送装置9と脱穀装置5との間を接続させて設けている。この搬送装置10は、移送ラグ10bを所定間隔に装着した移送チェン10aを回転自在に張設している。そして、搬送装置10に送り込まれた花托部は、前記移送チェン10aの各移送ラグ10bで後方上部へ移送されて脱穀装置5へ供給される。
【0046】
図1に示すように、前記脱穀装置5の扱室内には、扱胴5bを軸架して設け、この扱胴5bの始端部外径部には、移送ラセン5cを設けている。また、移送ラセン5cの後方には、複数本の扱歯5dを設けている。前記移送ラセン5cによって花托部が扱室内へ掻き込まれると共に脱穀され、その後、複数本の扱歯5dによって脱穀される。すると、花托部から種子が脱穀(脱粒)し、この種子と共に排塵物が下方の選別室に落下する。選別室に落下した被処理物は、唐箕からの選別風と揺動選別棚の揺動作用により選別され、選別後の種子は、昇降機5e等で貯留タンク5a内へ供給されて一時貯留される。
【0047】
前記移送装置11は、図1で示すように、前上・後上軸12b、12cの前後方向略中央部であって、切断装置8の下側でこの切断装置8の近傍部を基点として設けている後上軸12cを回動中心として上下回動移動自在に設けている。そして、ひまわり等の倒伏状態により、上下移動調節できる構成である。又、第一切断装置8は、移送装置11のチェン11aの上部移送の作用側の下部側の近傍部へ設けていて、花托部の下側近傍の茎部を切断し、切断長さの安定化を図っている。この詳細構成については、図12〜図13に基づいて後術する。
【0048】
これにより、前記移送装置11を上下回動移動自在に設けたことにより、ひまわりの倒伏状態適応性の向上を図ることができる。又、切断性能、及び脱性能が安定するようになる。
【0049】
前記移送装置11のチェン11aの上側部は、図1で示すように、地面に対して略平行状態に設けると共に、この平行部の上側に前記リール装置7を軸支し、このリール装置7のリールタイン7a先端部の回転軌跡L2は、チェン11aの上側の平行面部へ当接しないように設けている。
【0050】
これにより、切断したひまわりの花托部が前方へ落下するのを防止できて損失を少なくすることができるようになる。そして、花托部を適確に後方の横移送装置9内へ移送供給できる。
【0051】
また、図1で示すように、前記リール装置7のリールタイン7aの取付角度は、この移送装置11の上側面に対して前方へ寄せた状態では角度(B)にすると共に、この移送装置11の後方では、リール杆7aの角度は、移送装置11の上面に対して略直立状態の角度(C)になるように設けている。
【0052】
これにより、前記移送装置11上では、リール装置7のリールタイン7aの角度が移送装置11の上側面に対して倒れている状態であるので、ひまわりの花托部をやさしく保持して掻込みできるようになる。又、移送装置11の後方部では、リールタイン7aの角度が立っていることにより、掻込み作用が強くなり、機体1a内へ取り込み作用が向上して、取り込み失敗(ヘッドロス)の減少を図ることができるようになる。
【0053】
また、図示はしないが、各移送装置11の上方を通過する各リールタイン7aの回転軌跡は、この各移送装置11の左右両外側部位置を通過する各リールタイン7aの回転軌跡よりも上方を通過するように設けている。
【0054】
これにより、前記移送装置11上では、ひまわりの花托を損傷させることなく保持できるようになり、各移送装置11の左右両側では、切断した花托を落下させないように、掻込作用を向上させて、取り込み失敗(ヘッドロス)の軽減を図る構成としている。
【0055】
前記リールタイン7aに代わりに、図2に示すように、支持杆7cで支持した帯状のスラット7bを設けるように構成してもよい。この帯状のスラット7bの下側面で、花托部を保持(上方から押える)して後方へ移送する。又、リール装置7の回転速度と移送装置11のチェン11aの回転速度とは、略同じ速度にしている。
【0056】
これにより、切断した花托部を前記リール装置7の帯状のスラット7bにより、面で花托部を保持しながら後方へ移送させると共に、回転速度を同じにしたことにより、取り込みの失敗(ヘッドロス)を防止することができる。
【0057】
次に、圃場内に残っている残茎部を切断する前記第二切断装置21について詳述する。
第二切断装置21の下部には、図8〜図10で示すように、伝動ケース25を設けている。この伝動ケース25内には、油圧モータ26のモータ軸26aへ軸支したモータギヤー26aと、カウンタ軸27へ軸支したカウンタギヤー27aと、回転刃21bの回転軸21cへ軸支した回転ギャー21d等とを内装している。これら各ギヤー26a、27a、21dは噛合して回転刃21bを回転駆動する。前記油圧モータ26につきては、電気的なモータでもよい。
【0058】
前記支持装置21aは、図8及び図9で示すように、への字形状の長アーム28aの基部を第1回動支点として第1支持ピン28cで軸支し、第2支持ピン28dは、長アーム28aで軸支している。短アーム28bの先端部を第2回動支点として第2支持ピン28dで軸支している。伝動ケース25は、圃場面に対して、これら各ピン28c、28d、28eを回動中心として、追従するように設けている。
【0059】
又、前記上アーム29aの基部は後支持ピン29dで軸支し、下アーム29bの長孔29c部と、上アーム29aの前端部とは、前支持ピン29eで軸支し、この下アーム29bの下部と、短アーム28bの後部とは、第3支持ピン28eで軸支して設けている。これらにより形成された支持装置21aの上下回動移動により、第二切断装置21が上下回動する。
【0060】
これにより、前記回転刃21bの下側へ伝動機構を内装した伝動ケース25を設けたことにより、切断したひまわりの茎部が回転刃21bの上部を移送されることで移送が良好となる。また、第二切断装置21が上下移動することで、圃場の凹凸に対応が可能である。
【0061】
前記回転刃21bでひまわりの茎部を切断する切断部の後方であって、回転刃21bの回転外周の外側に、図10で示すように、油圧モータ26を設けている。
これにより、前記回転刃21bで切断したひまわりの茎稈の通過障害になることがない。又、回転方向の逆に油圧モータ26を配置していることにより、切断した茎部の後方への移送障害を防止できる。
【0062】
前記刈取装置4と第二切断装置21は、上下回動自在に設ける構成とし、この上下回動は、操作部14へ設けた昇降スイッチ14aの入り切り操作により昇降可能である。機体のトラック等への積み降ろし時においては、刈取装置4と第二切断装置21を上昇させる。
【0063】
図11で示すように、前記刈取装置4の移送装置10の下側面には、正逆回転するモータ30を設け、このモータ30のモータ軸30aの先端部には、上下移動装置31の上回動アーム31aを装着し、この上回動アーム31aと下回動アーム31bとは、接続杆31cで接続している。
【0064】
前記下回動アーム31bの一方側を取付板31dへ回動自在に装着し、下回動アーム31bの他方側を第二切断装置21の受板21eと支持装置21aの長アーム28aとへ装着した上下杆28fの略中央部へ回動自在に装着している。モータ30の正逆回転駆動により、上回動アーム31aと、接続杆31cと、下回動アーム31bと、上下杆28fと、受板21e等とを介して、第二切断装置21が上下回動移動する構成である。
【0065】
これにより、前記モータ30を刈取装置4部側に取り付けすることにより、この刈取装置4と第二切断装置21とが連動して上下回動移動し、干渉をすることを防止できるようになる。
【0066】
図1、図4及び図12に示すように、前記刈取装置4の前部へ設けた複数の移送装置11の前端部には、各移送装置11の先端部へ取付板32aを設けし、この取付板32aへ円形状の分草板32bを支持軸32cで回転自在に軸支している。
【0067】
これにより、前記各移送装置11の前端部には、回転自在に円形状の分草板32bを設けたことにより、ひまわりの茎部が分草板32bへ当接しても分草板32bは左右方向へ抵抗なく回動するので、茎部を押し倒すことがなく、ひまわりの茎部の取り込み失敗を防止できるようになる。
【0068】
図12に示すように、分草板32bの上方を移送装置11の移送片11jが通過するように構成している。
これにより、分草板32bの上側面には屑等が溜まりにくくなるので、詰り発生を防止できるようになる。
【0069】
前記複数の移送装置11の各チェン11aの後方上部の平行面部(ニ)と、リール装置7のリールタイン7a回転外周の下端部(ハ)との間の隙間は、図12で示すように、最小隙間(H1)にして設けている。最小隙間(H1)とは、リールタイン7aがチェン11aに当接しない限界の距離である。
【0070】
これにより、前記各移送装置11の移送終端部近傍は、上下移動調節しない構成としているので、その上方部にリール装置7の各リールタイン7aの最接近する最下端部(ハ)点を配置するが、その隙間についてはほとんど変化しないために、花托部の移送が可能になる。
【0071】
図13及び図14に示すように、前記各移送装置11の各チェン11aを軸支した前上軸12bの下側後部には、この各移送装置11を軸支して上下に回動移動する内軸12jを設け、この内軸12jの左右両側へ外軸12hを設け、この左右の両外軸12h、12hを、左右両側の支持枠34b、34bの上側面へ設けた左右両側のコの字形状の支持メタル34a、34aで軸支している。内軸12jの左右両側の左右の外軸12h、12hを回動中心(ロ)として、各移送装置11を上下に回動移動自在に設けている。
【0072】
図13に示す41は連結フレームであり、複数の移送装置11を連結している。これにより、複数の移送装置11は、前記左右の外軸12h、12hを回動中心(ロ)として、一体的に上下可能となっている。この場合、連結フレーム41の左右両端部は、刈取装置4側に固着している。したがって、移送装置11を上下移動調節すると、内軸12jの左右両側の左右の外軸12h、12hを回動中心(ロ)として、移送装置11始端側の前下スプロケット12dが上下移動する構成である。前記連結フレーム41は、切断装置8の後方に設けているので、花托部や茎部の通過には影響がない。
【0073】
これにより、前記各移送装置11を、ひまわりの茎部の稈長(ひまわりの背丈)、ひまわりの倒伏状態、及び雑草の状態等により、移送装置11を上下方向へ移動調節することで、移送装置11でのひまわりの掻き込みを良好にして掻き込み移送することができる。
【0074】
また、図13及び図14で示すように、前記各移送装置11の上下回動状態を軸支する内軸12jの外径部には、回動アーム35cを設けると共に、この回動アーム35cと回動レバー35aとを接続ピン35dで接続している。又、この回動レバー35aは、横移送装置9の上側面へ設けている複数段の調節用溝を有する調節ガイド35bを設けている。前記回動レバー35aを回動移動操作して調節ガイド35bの調節用溝の所定位置へ調節操作して挿入することにより、各移送装置11を上下の所定位置へ調節できる構成である。この調節ガイド35bの取付位置は、操縦席15で運転している運転作業者の視界に入るように設け、容易に操作可能位置へ設けている。
【0075】
これにより、運転中に操縦席15から、前記回動レバー35aの操作できるので、簡単に各移送装置11の上下位置を調節変更できる。これにより、精度のよい収穫作業ができる。
【0076】
図15で示すように、各移送装置11の左右両外側に、左・右分草カバー35e、35eを設けている。この左・右分草カバー35e、35eは、それぞれの下部に設けた各回動軸35f、35fを回動中心として、上下回動自在に設けてもよい。
【0077】
これにより、前記左・右分草カバー35e、35eを上下回動自在に設けたことにより、畦への突っ込みや、コンバインをトラックに積み込む際のアユミとの干渉の際には、左・右分草カバー35e、35eが上方へ逃げることにより、破損及び変形の防止ができる。
【0078】
図14で示すように、左右両外側の各移送装置11の外側には、左右のカバー42、42を設ける構成としている。このカバー42、42と、左右両外側の各移送装置11、11との間においては、所定間隔L3、L3を設けている。この所定間隔L3、L3部分へひまわりの茎部が導入されたときであっても、ひまわりは後方部へ移送されて、ひまわりの花托部は切断装置8で切断できる構成としている。
【0079】
これにより、刈取り幅の増加を図ることができる。又、二条列や多条列の収穫も可能になる。
また、前記所定間隔L3、L3にひまわりの茎稈が挿入されて花托部が切断され、残った残茎部は後方の走行装置3の左右両側の走行クローラ3a、3aで踏み付けするようにしてもよい。
【0080】
これにより、残茎部を再利用しない時には、前記所定間隔L3、L3にひまわりの茎部二条列が個別に挿入されるように運転操作し、花托部が切断された後に、花托部切断済みの残茎部を左右両側の各クローラ3aで踏み付けることにより、後処理が不要となる。この場合においては、第二切断装置21は駆動しないが、駆動しても問題はない。
【0081】
前記左右のカバー42、42については、前後方向で二分割してヒンジ37hで接続している。そして、前側のカバー42a、42aは、ヒンジ37hを支点として上下方向に回動可能に構成している。
【0082】
このように、左右のカバー42,42で覆おうことで、花托が引っ掛かることがなくなり、ロス発生を防止できる。又、左右のカバー42、42でガイドを兼ねていることにより、コスト低減が可能である。更に、前側のカバー42a、42aが上方へ回動可能に構成しているので、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0083】
前記各移送装置11のチェン11aへ所定間隔で設ける移送片11jを支持する別構成の実施例である受装置36の構成について、図16により説明する。
受板11nの略中央部には、チェン11aが通る凹部を設けている。この受板11nの下側面には、コの字形状の受ガイド36aを設け、この受ガイド36aの下部の左右両側には、外側へ所定角度で傾斜すると共に、下方へ垂直状態に垂れ下がり部を設けた下受ガイド36bを設けている。
【0084】
前記受装置36の凹部を有する受板11nにおいては、この受板11nの上側の凹部を通過するチェン11aへ設けた各移送片11jを支持すると共に、受板11nの下方を通過するチェン11a及び移送片11jは、前記受ガイド36aの下部の左右両側へ設けた下受ガイド36b、36b間の空間部を通過させている。そして、移送片11jの全幅L5及び受板11nの全幅L4よりも、下部左右両側の下受ガイド36b、36b間の全幅L6を所定幅広い幅となるように構成している。これにより、移送片11jが容易に非搬送側を通過可能となる。
【0085】
また、前記受ガイド36aの下部の左右両側には、外側へ所定角度で傾斜する下受ガイド36bを設けたことで、必然的に複数設けた各移送装置11間の隙間は下部ほど狭くなる構成である。
【0086】
これにより、移送するひまわりの茎部の振れを防止できるようになる。又、受装置36は、図17で示すように、左右両側の下受ガイド36bを受板11nの下側面まで延長して設け、上下方向略中間位置へ接続板36cを設けた構成とするもよい。
【0087】
これにより、前記移送片11jの移送面を広くなるので、搬送能力が向上するようになる。又、チェン11aの非作用側(非搬送側)をカバーしているので、障害発生防止となる。また、上下方向の中間部広くして搬送容量の拡大と、剛性のアップとを図ることができる。
【0088】
前記複数の移送装置11は、チェン11aへ所定間隔で各移送片11jを設けているが、このチェン11aの上平行部の下側へ設けた切断装置8は、図13で示すようにフィンガー式としている。
【0089】
前述のように、ひまわりは各移送装置11の移送片11jにより取りこぼしなく切断装置8部まで移送され、切断装置8部まで移送されたひまわりは、フィンガー式の切断装置8で適切に切断できるようになる。切断装置8をフィンガー式としたことで、コスト低減にもなる。
【0090】
図18の斜視図には、図14で説明したカバー42を示している。カバー42については、単なる板状のものであれば、茎部が損傷する可能性があるので、カバー42、42の外周部へは、上下方向にフランヂ42aを設けている。このフランヂ42aの高さ42bは、移送装置11の後部位置から前部位置にかけてその高さを順次高くなるように構成している。
【0091】
これにより、前記各移送装置11の後部を回動中心として上下に回動調節した場合、移送装置11とカバー42との位置関係は、図19及び図20で示すような位置関係となる。即ち、移送装置11が最上部位置になると、図20で示すような位置関係となり、移送装置11が最下降位置になると、図19で示すような位置関係となる。
【0092】
これにより、前記各移送装置11を上下移動調節しても、左右両外側の移送装置11、11の各移送片11j、11jと、この各移送片11j、11jと対向する各カバー42、42のフランヂ42a、42aの面部との位置関係は、移送装置11が上下方向のどの位置にあっても、フランヂ42a面部から各移送片11jが外れることないので、ひまわりの茎部を適確に移送することができる。
【0093】
また、前記カバー42を設けることにより、切断した花托部がカバー42上にころがり落ちた場合であっても、前述したリール装置7のリールタイン7aがカバー42上を通過するように構成しているので、花托部はリールタイン7aで横移送装置9内へ掻込みされる。これにより、花托部が圃場上に落下しまう、いわゆる、ヘットロスの軽減を図ることができる。
【0094】
前記各移送装置11を上下回動移動操作する場合は、図13及び図14で説明した回動レバー35aを操作するが、この回動レバー35aを最下方位置へ操作して、この各移送装置11を最上部位置へ操作したときには、この回動レバー35bの調節ガイド35bへ設けている上昇スイッチ35jが入り状態となる。この上昇スイッチ35jの入り状態になると、前述した第二切断装置21が最上部位置へ移動制御される。又、逆に移送装置11を下降させると、これに伴い、第二切断装置21も下降制御される。
【0095】
これにより、前記各移送装置11を最上部位置へ操作したときには、第二切断装置21も最上部位置へ移動されることにより、運搬車(トラック)等へ積み込みのときに、この第二切断装置21の破損を防止できる。又、各移送装置11を下降させると、第二切断装置21が同時に下降することにより、下げ忘れを防止できる。
【0096】
また、前記各移送装置11を最上昇位置へ移動させたときには、刈取装置4及び脱穀装置5が「入」(作業状態)の条件に基づいて、リール装置7及び切断装置8、又はリール装置7、切断装置8及び第二切断装置21とが停止すべく制御する。
【0097】
これにより、前記各移送装置11を最上昇位置へ操作することで、切断装置8、及びリール装置7が停止することにより、従来の枕扱ぎ時に操作する枕扱ぎレバーが不用となり、コスト低減になる。又、安全に枕扱ぎができる。更に、各移送装置11は回転駆動されていることにより、花托部を各移送装置11上へ乗せるだけで、枕扱ぎが可能で作業が楽にできるようになる。
【0098】
前記複数の移送装置11の左右両外側の各移送装置11、11の外側部には、図14及び図21で示すように、前方部及び外側部へ突出して、先端部(前部)を山形状に形成した左・右ガイド37a、37bを設けている。又、この左・右ガイド37a、37bの内側の後端部は、左右両外側の各移送装置11の前方下部へ設けた、円形状の各分草板32b、32bの上側面上へ交差状態に延長して設けている。
【0099】
このように、左右両側の左・右ガイド37a、37bを、左右両側の分草板32b、32bと交差状態に設けていることにより、左右に倒伏したひまわりの茎部は、これら左・右ガイド37a、37bに導かれ、適切に左右両側の各移送装置11、11の内側部へ導かれるようになる。
【0100】
前記複数の移送装置11の前端側部へ設ける分草装置32の円形状の分草板32bを装着する取付板32aについては、図16で示すように、正面視左側へ所定角度(α1)で傾斜させている。この所定角度(α1)で傾斜した取付板32aへ茎部を掻込み移送する円形状の分草板32bを設けていることにより、この分草板32bも同じ角度に傾斜させるように構成している。
【0101】
これにより、隣接する前記分草板32b、32b間に、上下及び左右に隙間が増加して通路が拡大されるようになり、詰り発生が防止できるようになる。又、塵埃、及び稈屑等が滑り落ちて、更に詰りを解消できる。
【0102】
前記複数の各移送装置11のチェン11aには、所定間隔で移送片11jを設けているが、チェン11aの回転速度よりもリール装置7の回転速度を所定回転高速にすると共に、走行装置3の走行クローラ3aの車速に対して、上記各回転を追従させて設けている。
【0103】
これにより、前記リール装置7の回転速度の方が、各移送装置11の各チェン11aよりも高回転速度にしたことにより、機体1a内への取り込み側にリール装置7が作用するようになるので、各移送装置11上のひまわりを適切に取り込むことが可能となる。即ち、ひまわりの取り込み失敗(ヘッドロス)を防止できるようになる。
【0104】
複数の移送装置11の各チェン11aには、所定間隔に移送プレート11jを設けると共に、図22及び図23で示すように、切断装置8の後側にフレーム39aを設けている。そして、駆動用の後上軸12cの上側であって各移送装置11間には、略L字形の各ガイド39bを、フレーム39aの上側面へ装着して設けている。
【0105】
これにより、前記各ガイド39bを設けることにより、駆動用の後上軸12c上の移送がスムーズになる。又、この後上軸12cへの巻き付きを防止、及び通路の障害による詰りを解消することができる。
【0106】
前記搬送装置10の上側前部に案内板10cを設け、この案内板10cの下側へ供給口10dを設けると共に、この供給口10dの前側へ設けた横移送装置9の掻込円筒9aには、図24〜図25で示すように、取付板9eを軸心に対して移送方向に所定角度で傾斜させて設けている。この取付板9eへゴム材等よりなるゴム掻込板9fを設け、このゴム掻込板9fと移送装置10の移送チェン10aに設けた移送ラグ10bとが当接する状態に設けている。
【0107】
これにより、前記ゴム掻込板9fを軸心に対して傾斜させて設けたことにより、このゴム掻込板9fが相手に対して、連続的に当接することで騒音もなく、又、傾斜させたことにより、被搬送物(種子、花托部等)の送り効果の向上を図ることができる。
【0108】
図26で示すように、前記脱穀装置5の扱室内には、扱胴5bを回転自在に軸支し、この扱胴5bの外径部には、移送始端部側に移送ラセン5cを二重に設けている。また、この移送ラセン5cの後側には、複数の扱歯5d群を設けている。また、扱胴5bの下側には、脱穀処理物が漏下する脱穀網5fを張設している。
【0109】
又、前記脱穀網5fの下側の選別室内には、被処理物を揺動選別する揺動選別装置5hを設け、この揺動選別装置5hの下側前部には、この揺動選別装置5hから落下する被処理物を風選する唐箕5jを設け、この唐箕5jの後側には、一番ラセン5mと、二番ラセン5nとを設けている。一番ラセン5m内に取り込まれた一番物(種子)は、右横外側へ設けた昇降機5eで貯留タンク5a内へ揚送供給され、この貯留タンク5a内へ一時貯留される。二番ラセン5n内に取り込まれた二番物は、右横外側へ設けた二番用の昇降機40で揚送されて、扱室や棚上等へ還元されて再度脱穀処理される。
【0110】
前記扱胴5bの外径部の後方部(複数の扱歯5d群の後方)へ設ける移送ラセン43を設ける構成としている。これにより、移送ラセン43で脱穀しながら脱被処理物を早く後方へ搬送可能となる。
【0111】
図27で示すように、前記移送ラセン43は、複数個に分割する構成としている。分割した移送ラセン43を重合させて、ボルト及びナット等により締付けて一体的に形成する。又、分割した移送ラセン43の下端部には、複数個の取付板5pを固着し、この各取付板5pを介してボルト及びナット等により、移送ラセン43を扱胴5bの外径部へ装着するように構成している。
【0112】
また、移送ラセン43を複数個に分割する構成としているので、脱穀処理状態により、移送ラセン43を取り外しできることで、良好な脱穀処理ができる。また、移送ラセン43の一部が破損した場合、容易に交換可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】コンバインの左側全体説明図
【図2】コンバインの左側全体説明図
【図3】コンバインの左側全体説明図
【図4】コンバインの全体平面図
【図5】移送装置のチェン部の拡大斜視図
【図6】移送装置のチェン部の拡大側面図
【図7】移送装置部の拡大側面図
【図8】第二切断装置部の拡大側面図
【図9】第二切断装置部の拡大平面図
【図10】第二切断装置部の拡大側面図
【図11】第二切断装置部の側面図
【図12】分草装置部の側面図
【図13】切断装置部と、回動レバー部と、移送装置部との拡大側面図
【図14】移送装置部の拡大平面図
【図15】分草カバー部の拡大側面図
【図16】受装置部の拡大正面図
【図17】受装置部の正面図
【図18】分草カバー部と、移送装置部との拡大正面斜視図
【図19】分草カバー部と、移送装置部との拡大正断面図
【図20】分草カバー部と、移送装置部との拡大正断面図
【図21】分草装置と、左・右ガイドとの側面図
【図22】切断装置と、ガイドと、移送装置との拡大側面図
【図23】切断装置と、ガイドと、移送装置との拡大平面図
【図24】掻込移送装置部と、搬送コンベア装置部との拡大側面図
【図25】掻込移送装置のゴム掻込板部の平面図
【図26】脱穀装置部の拡大側断面図
【図27】脱穀装置の移送プレートの拡大平面斜視図
【符号の説明】
【0114】
3 走行装置
3a 走行クローラ
4 刈取装置
5 脱穀装置(脱粒装置)
8 第一切断装置
9 横移送装置
10 搬送装置
11 移送装置
11a 無端チェン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の下部に設ける走行装置(3)と、機体の前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置(4)と、該刈取装置(4)の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置(5)とを備える収穫機において、前記刈取装置(4)には、植立状態の植物を切断する切断装置(8)と、該切断装置(8)によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置(9)と、該横移送装置(9)によって移送された植物を引き継いで脱粒装置(5)へ供給する搬送装置(10)とを設けると共に、前記横移送装置(9)の前側に幅狭に形成した複数の移送装置(11)を左右方向に互いに間隔をおいて配置したことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
前記走行装置(3)の左右両側に設ける左右の走行クローラ(3a,3a)間の中心位置に対して、前記複数の移送装置(11)の配置範囲の左右中心位置を左右方向に偏倚させたことを特徴とする請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記複数の移送装置(11)は、無端チェン(11a)に対して移送片(11j)を所定間隔ごとに取り付けて構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収穫機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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