収納箱
【課題】コンパクトな形状で回収できて回収時の破損がおきにくく、再利用時に煩雑な工程を回避でき、環境負荷を軽減する。
【解決手段】収納箱1Aの本体部1Bは、相対向する長尺縦板部2に、長尺縦板部2を内側に折り曲げる第1の谷折部12が上下方向に設けられ、長尺縦板部2に連続する第1、第2長尺底板部3、21には、第1の谷折部12が略延長する位置に第2の谷折部14a、14bが設けられ、長尺縦板部2に連続する下側蓋部4、上側蓋部22には、第1の谷折部12が略延長する位置に第3の谷折部17a、17bが設けられ、第1乃至第3の谷折部12、14 、14b、17a、17bを折り曲げることにより本体部1B全体を折り畳めるようにした。
【解決手段】収納箱1Aの本体部1Bは、相対向する長尺縦板部2に、長尺縦板部2を内側に折り曲げる第1の谷折部12が上下方向に設けられ、長尺縦板部2に連続する第1、第2長尺底板部3、21には、第1の谷折部12が略延長する位置に第2の谷折部14a、14bが設けられ、長尺縦板部2に連続する下側蓋部4、上側蓋部22には、第1の谷折部12が略延長する位置に第3の谷折部17a、17bが設けられ、第1乃至第3の谷折部12、14 、14b、17a、17bを折り曲げることにより本体部1B全体を折り畳めるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包用の収納箱に関し、特に、繰り返し使用される紙製の収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
機械、電化製品、日用品等の各種物品を搬送する際、収納箱が用いられる。従来、この収納箱は使い捨てを前提に作られていたが、近年は環境問題がクローズアップされており、ゴミの排出量を減少させることが重要課題となっている。そして、収納箱も使い捨てずに回収し、再利用することが望ましい。そのため、従来、一度使用した収納箱を回収し、再利用を図るため循環利用システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−112789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1に記載の発明によれば、回収時には箱を展開して回収するものであって、再使用する際に再度組立てる煩雑な作業が必要となる問題がある。一方、空の収納箱を組立てた状態のままで回収すると、小さなスペースに大量の収納箱を収容することが出来ず、回収効率が悪い。更に、組立てた状態のままで収納箱の一部を折り曲げ、折り畳んだ状態で回収すると、コンパクトに折り畳むことができず、また、折り目の箇所の曲げ応力により、折り目の部分に折り皺が寄ったり破断したりする事態が起き易いという問題がある。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、コンパクトな形状で回収できて回収時の破損がおきにくく、再利用時に煩雑な工程を回避でき、環境負荷を軽減する収納箱を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、四方の縦板部と、該各縦板部に連続して設けられた複数の底板部と、前記各縦板部に連続して上側の略矩形の開口部を覆う複数の蓋部とが設けられた本体部を有する収納箱において、相対向する一対の前記縦板部には、該縦板部を内側に折り曲げるための第1の谷折部が上下方向に設けられ、前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記底板部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記底板部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第2の谷折部が設けられ、前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記蓋部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記蓋部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第3の谷折部が設けられ、前記底面部を上方に起立させると共に、前記蓋部を上方に起立させ又は下方に倒伏させて、前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部をそれぞれ折り曲げることにより箱全体を折り畳めるようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記底板部には、請求項1に記載の構成に加え、前記縦板部の近傍に前記第2の谷折部に連続するスリットを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記本体部を折り畳んだとき、前記第1の谷折部が設けられた縦板部に隣接する縦板部の面側から見た全体形状は略矩形となり、該全体形状において、一辺の長さは前記本体部を広げたときの前記開口部の一辺の長さ以下であり、前記一辺に隣接する他辺の長さは前記開口部の前記一辺に隣接する他片の長さ以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記平面視形状において、前記一辺の長さは前記開口部の一辺の長さと略同一であると共に前記他辺の長さは前記開口部の他片の長さと略同一であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成に加え、前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部は、外側に谷折用折曲部を設けると共に内側に山折用折曲部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の構成に加え、前記本体部は、古紙の圧縮成形により形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6に何れかに記載の構成に加え、前記本体部には、ICタグが配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、収納箱本体部の相対向する一対の縦板部には、縦板部を内側に折り曲げるための第1の谷折部が上下方向に設けられ、前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記底板部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記底板部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第2の谷折部が設けられ、前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記蓋部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記蓋部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第3の谷折部が設けられ、前記底面部を上方に起立させると共に、前記蓋部を上方に起立させ又は下方に倒伏させて、前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部をそれぞれ折り曲げることにより箱全体を折り畳めるようにしたことにより、底板部及び蓋部を縦板部と略平行状態にすることで第1の谷折部、第2の谷折部、第3の谷折部を略同一位置に重ね併せ、又は延長線上に配設して、縦板部を内側に折り曲げると同時に底板部と蓋部とを縦板部と同一方向に折り曲げることができる。これにより、収納箱の本体部をコンパクトな形状に折り畳んで回収することができる。また、再利用時には再び広げれば箱の形が形成されることから、展開した収納箱を再度組立てるような煩雑な工程を回避でき、利用者の利便性を向上させることができる。これにより、回収効率を高めて環境負荷を軽減できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、底板部には、縦板部の近傍に第2の谷折部に連続するスリットを設けたことにより、縦板部の第1の谷折部が突出する方向に配設された底板部が、折り曲げられた際に強い曲げ応力がかかる箇所にスリットを配設できる。そして、本体部が厚い材質で形成されていても、第1の谷折部と第2の谷折部とを重ね合わせて折り曲げた際に底板部にかかる曲げ応力を緩和して底板部の破断を防ぐことができる。これにより、回収時の破損を起きにくくし、収納箱の本体部を容易にコンパクトな形状に折り畳むことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、本体部を折り畳んだとき、第1の谷折部が設けられた縦板部に隣接する縦板部の面側から見た全体形状は略矩形となり、全体形状において、一辺の長さは本体部を広げたときの開口部の一辺の長さ以下であり、一辺に隣接する他辺の長さは開口部の一辺に隣接する他片の長さ以下であることにより、広げた収納箱の中に畳んだ収納箱を収納することができる。これにより、複数の収納箱を回収する際に回収スペースの無駄をなくし、より効率よく回収することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、第1の谷折部、第2の谷折部、第3の谷折部は、外側に谷折用折曲部を設けると共に内側に山折用折曲部を設けたことにより、折り畳む際に各谷折部に割れが生ずることを防止し、かつ本体部を折り畳む際の折り曲げをスムーズに行わせることができる。これにより、繰り返しの使用における耐性を高め、収納箱の回収作業の効率を高めることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、本体部は、古紙の圧縮成形により形成することにより、強度が高く繰り返しの使用による耐性の高い収納箱を低コストで製造できる。また、原料が古紙であるため、製造時の環境負荷が少なくなり、かつ製造した収納箱自体のリサイクルも可能となって、環境負荷の軽減を図ることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、本体部には、ICタグが配設されたことにより、収納箱の使用状況を簡易に把握でき、管理統括面から回収効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1A乃至図10には、この発明の実施の形態を示す。
【0020】
まず構成を説明すると、この実施の形態の収納箱1Aの本体部1Bは、図1Aに展開状態を示す第1部材1C、図1Bに展開状態を示す第2部材1D、図1Cに展開状態を示す第3部材1Eを組み合わせ、図2の斜視図に示すような態様に形成されている。
【0021】
これら第1部材1C、第2部材1D、第3部材1Eは、古紙パルプを圧縮成形した、強度、耐久性、耐水性の高い板紙(密度1.1(g/cm3)、引張り強さT60,Y35(MPa)、伸び率T6.2,Y7.0(%)、吸水率50(%)、程度)によって形成されている。板紙の厚さは2mm程度に形成するが、それ以上又はそれ以下の厚さであってもよい。古紙の圧縮成形にて形成した第1部材1C、第2部材1D、第3部材1Eは強度が高く、従って収納箱1Aは繰り返しの使用による耐性が高くなる。また、収納箱1Aは低コストで製造することが可能になる。
【0022】
図1Aに示す通り、第1部材1Cは、長尺縦板部2の上下に、第1長尺底板部3、下側蓋部4が設けられ、長尺縦板部2の左右には綴じ代部5、6が設けられている。
【0023】
長尺縦板部2の四辺は、折り曲げ易い形状の山折部7,8,9,10に形成されている。長尺縦板部2の右上にはナイロン製の把持部11が取り付けられており、左上には各種管理情報を記録可能なICタグ18が取り付けられている。長尺縦板部2の略中央部には、長尺縦板部2を内側に折り曲げるための第1の谷折部12が上下方向に設けられている。
【0024】
第1長尺底板部3は、縦方向長さL1が本体部1Bの正面視横方向長さL1(図2)と略同一に形成され、先端部の2箇所(図1Aにおける裏面側)に面ファスナ13a、13bが取り付けられている。また、第1長尺底板部3の略中央部の、第1の谷折部12に連続する位置には、第2の谷折部14aが上下方向に設けられている。また、第1の谷折部12と第2の谷折部14aとの間には、第2の谷折部14aの連続方向(即ち縦長)にスリット15aが切り欠き形成されている。
【0025】
下側蓋部4の端部の4箇所には、面ファスナ16a、16b、16c、16dが取り付けられている。また、下側蓋部4の、第1の谷折部12に連続する位置には、第3の谷折部17aが上下方向に設けられている。
【0026】
なお、第1の谷折部12、第2の谷折部14a、第3の谷折部17aは、表面側に谷折用折曲部が設けられると共に裏面側に山折用折曲部が設けられ、それぞれ谷折りし易い態様に形成されている。
【0027】
また、長尺縦板部2及び下側蓋部4を合わせた縦方向長さL2と、長尺縦板部2及び下側蓋部4の横方向長さL3とは略同一に形成されている。
【0028】
図1Bに示す通り、第2部材1Dは、長尺縦板部2の上下に、第2長尺底板部21、上側蓋部22が設けられ、長尺縦板部2の左右には綴じ代部5、6が設けられている。
【0029】
第2長尺底板部21は、縦方向長さL4が本体部1Bの正面視横方向長さL1(図2)よりも短く形成され、基端部の2箇所(図1Bにおける表面側)に面ファスナ23a、23bが取り付けられている。また、第2長尺底板部21の略中央部の、第1の谷折部12に連続する位置には、第2の谷折部14bが上下方向に設けられている。また、第1の谷折部12と第2の谷折部14bとの間には、第2の谷折部14bの連続方向(即ち縦長)に切り欠き形成したスリット15bが形成されている。
【0030】
上側蓋部22の端部の4箇所には、面ファスナ24a、24b、24c、24dが取り付けられている。また、下側蓋部4の、第1の谷折部12に連続する位置には、第3の谷折部17bが上下方向に設けられている。
【0031】
また、長尺縦板部2及び上側蓋部22を合わせた縦方向長さL2’と、長尺縦板部2及び上側蓋部22の横方向長さL3’とは同一に形成されている。なお、この縦方向長さL2’及び横方向長さL3’は、図1Aに示す縦方向長さL2及び横方向長さL3とも同一である(従って、以後 2’はL2、 3’は 3として包括的に記載する)。
【0032】
図1Cに示す通り、第3部材1Eは、短尺縦板部31の上下に、短尺底板部32、フラップ33、33が設けられている。
【0033】
短尺縦板部31の上辺及び下辺は、折り曲げ易い形状の山折部34,35に形成されている。短尺底板部32には、先端部略中央部から基端部にかけて、斜め方向に第4の谷折部36が形成されている。短尺底板部32の、第4の谷折部36と先端側の一辺と右側の一辺とで囲まれた略三角形の領域は、第1長尺底板部3や第2長尺底板部21に固着される固着面37を形成する。
【0034】
図2に斜視図を示す、この実施の形態の収納箱1Aの本体部1B(図2)は、1枚の第1部材1C、1枚の第2部材1D、2枚の第3部材1Eを組み合わせて形成されている。以下、組立方を説明する。
【0035】
まず、第1部材1Cと第2部材1Dを、裏面(図1A及び図1Bに表れていない側の面)を離間対向させて配設し、第1部材1Cと第2部材1Dの両端部に一対の第3部材1E、1Eを離間対向させて配設する。
【0036】
この状態で、図3に示すように、第3部材1Eの短尺縦板部31の表面両側部に第1部材1Cの綴じ代部5(又は6)、第2部材1Dの綴じ代部6(又は5)を当接させ、ビス38、38・・・38で固着させる。
【0037】
次に、一方の第3部材1Eの短尺底板部32の固着面37を第1部材1Cの第1長尺底板部3に(本体部1Bを広げた状態で)当接させ、固着面37と第1長尺底板部3とをビス38で固着する。更に、同様に、他方の第3部材1Eの短尺底板部32の固着面37を第2部材1Dの第2長尺底板部21に当接させ、固着面37と第2長尺底板部21とをビス38で固着する(図7)参照。これにより、収納箱1Aの本体部1Bが完成する。
【0038】
次に、この収納箱1Aを広げる動作と折り畳む動作について説明する。
【0039】
第一に、収納箱1Aの本体部1Bを広げる場合について説明する。この場合、最初に、一対の長尺縦板部2、2同士を離間対向させると共に一対の短尺縦板部31、31、同士を離間対向させ(図7参照)て、本体部1Bを平面視略矩形の形状とする(図3参照)。次に、短尺底板部32、32の上面に第2長尺底板部21が載置され、第2長尺底板部21の上面に第1長尺底板部3が載置された状態とし(図3及び図7参照)、第2長尺底板部21の面ファスナ23a、23bと第1長尺底板部3の面ファスナ13a、13bとを係合させて本体部1Bを広げた状態が完成する(図2参照)。
【0040】
この、本体部1Bを広げた状態で、第2長尺底板部21の上面に載置された第1長尺底板部3が本体部1Bの底面略全域を覆っている(図6参照)ので、本体部1Bの底面を丈夫に形成し、収容箱1Aの荷重に対する耐性を高くすることができる。
【0041】
そして、本体部1Bを広げた状態で蓋をするときは、下側蓋部4、上側蓋部22の順に本体部1Bの開口部19(図2参照)を覆って図3乃至図5に示す状態とし、下側蓋部4の面ファスナ16a、16b、16c、16dと上側蓋部22の面ファスナ24a、24b、24c、24dと(図2参照)を係合させる。
【0042】
第二に、本体部1Bを折り畳む場合について説明する。この場合、最初に、下側蓋部4の面ファスナ16a、16b、16c、16dと上側蓋部22の面ファスナ24a、24b、24c、24dとの係合を解除し、さらに第2長尺底板部21の面ファスナ23a、23bと第1長尺底板部3の面ファスナ13a、13bとの係合を解除させる。
【0043】
次に、下側蓋部4、上側蓋部22、フラップ33、33をそれぞれ上方に起立させる(図2参照)。そして、第1長尺底板部3、第2長尺底板部21が上方に起立させながら第1の谷折部12、第2の谷折部14a、14b、第3の谷折部17a、17bをそれぞれ谷折りすると、長尺縦板部2の中央部同士が近接する方向に移動すると共に第1長尺底板部3、第2長尺底板部21が上方に起立してゆく。そして、第1長尺底板部3と一方の短尺底板部32、第2長尺底板部21と他方の短尺底板部32とは固着面37にて固着されているので、起立に応じて第4の谷折部36が谷折りされつつ短尺底板部32、32も上方に起立してゆく。これにより、本体部1Bの底面方向から見た形状は略「Z」字型になる(図8参照)。
【0044】
そして、第2の谷折部14a、14bが設けられた位置は底板部を上方に起立させた際に第1の谷折部12に略重なる位置であり、また、第3の谷折部17a、17bが設けられた位置は第1の谷折部12が略延長する位置である(図1A、図1B参照)ことより、本体部1Bは最終的に第1の谷折部12、第2の谷折部14a(又は14b)、第3の谷折部17a(又は17b)が略同一位置に重ね合わされた状態で、図9に示す、略平面状のコンパクトな形状となるまで折り畳まれる。
【0045】
この折り畳まれた状態で、谷折りした内側に長尺縦板部2、外側に第1長尺底板部3又は第2長尺底板部21が重ね合わされており(図8参照)、外側に位置する第2の谷折部14a(又は14b)には強い曲げ応力がかかることになる。しかし、この本体部1Bにおいては、第1長尺底板部3及び第2長尺底板部21には、強い曲げ応力がかかる場所である、第2の谷折部14a(又は14b)の延長上の長尺縦板部2の近傍にスリット15a(又は15b)が設けられている。そのため、折り畳まれた際の当該箇所の曲げ応力はこのスリット15a(又は15b)の周辺部から第1長尺底板部3及び第2長尺底板部21にかかる。このとき、スリット15a(又は15b)は引張られた方向に膨張し、第1長尺底板部3及び第2長尺底板部21にかかる曲げ応力を緩和する作用を果たす。従って、折り畳まれた際の曲げ応力による第1長尺底板部3及び第2長尺底板部21の破断が防止される。
【0046】
本体部1Bを折り畳んだ状態で正面側(短尺縦板部31の面側)から見た全体形状は、図9に示す通り略矩形となっている。そして、この全体形状において、短辺(一辺)の長さL1は本体部1Bを広げたときの開口部19の一辺の長さ(L1)であり、短辺に隣接する長辺(他辺)の長さL2は長尺縦板部2及び下側蓋部4を合わせた長さである。この長辺の長さL2は、本体部1Bを広げたときの開口部19の長辺の長さL3(図6参照)に略等しい。
【0047】
即ち、本体部1Bを折り畳んだときの短辺の長さL1は広げたときの開口部19の短辺の長さL1以下であり、本体部1Bを折り畳んだときの長辺の長さL2は広げたときの開口部19の長辺の長さL3以下である。それゆえ、図10に示すように、折り畳んだ本体部1Bは開いた本体部1Bの内部に収納できる。加えて、折り畳んだ本体部1Bと開いた本体部1Bの開口部19は短辺の長さL1、L1同士が等しく、長辺の長さL2、L3同士は略等しいことから、図10に示すように、折り畳んだ本体部1Bは開いた本体部1Bの内部にほぼ隙間無く収容できる。
【0048】
そして、回収した収納箱1Aは、本体部1Bを再び広げればすぐに箱の形が形成されて再利用できる。従って、展開した収納箱を再度組立てるような煩雑な工程を回避でき、利用者の利便性が向上する。
【0049】
このようにして、収納箱1Aは回収と再利用を繰り返すことになるが、その際の管理情報はICタグ18に記録し、記録した情報は物流の過程でリーダ(図示せず)を介して読み取って情報管理センター(図示せず)等において管理する。これにより、収納箱1Aの使用状況を管理センター(図示せず)側で簡易に把握することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態においては、収納箱1Aの本体部1Bは開いた状態で平面視が長方形となるように形成したが、平面視正方形にすることもできるし、本実施の形態の平面視形状の以外の平面視形状を呈する収納箱にも適用できる。
【0051】
上記実施の形態においては、本体部1Bを折り畳む際、下側蓋部4、上側蓋部22、フラップ33、33をそれぞれ上方に起立させて本体部1B全体を折り畳む構成としたが、逆に、下側蓋部、上側蓋部、フラップをそれぞれ下方に倒伏させ、下側蓋部、上側蓋部、フラップがそれぞれ縦板部に折り重なった状態で本体部全体を折り畳む構成とすることもできる。これにより、折り畳んだ際の収納箱の本体部の形状をよりコンパクトに形成できる。
【0052】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】この発明の実施の形態に係る収納箱を形成する、第 部材の展開図である。
【図1B】同上収納箱を形成する、第2部材の展開図である。
【図1C】同上収納箱を形成する、第3部材の展開図である。
【図2】同上収納箱の本体部を広げた状態の斜視図である。
【図3】同上収納箱の本体部を広げた状態の正面図である。
【図4】同上収納箱の本体部を広げた状態の側面図である。
【図5】同上収納箱の本体部を広げた状態の蓋部を閉じた平面図である。
【図6】同上収納箱の本体部を広げた状態の蓋部を開けた平面図である。
【図7】同上収納箱の本体部を広げた状態の底面図である。
【図8】同上収納箱の本体部を折り畳みかけた状態の底面方向からみた斜視図である。
【図9】同上収納箱の本体部を折り畳んだ状態で正面側(短尺縦板部の面側)から見た図である。
【図10】同上折り畳んだ収納箱を開いた収納箱の内部に収納する態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1A・・・収納箱
1B・・・本体部
2・・・長尺縦板部(縦板部)
3・・・第1長尺底板部(底板部)
4・・・下部蓋部(蓋部)
12・・・第1の谷折部(谷折部)
14a、14b・・・第2の谷折部(谷折部)
15a、15b・・・スリット
17a、17b・・・第3の谷折部(谷折部)
18・・・ICタグ
19・・・開口部
21・・・第2長尺底板部(底板部)
31・・・短尺縦板部(縦板部)
32・・・短尺底板部(底板部)
33・・・フラップ(蓋部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包用の収納箱に関し、特に、繰り返し使用される紙製の収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
機械、電化製品、日用品等の各種物品を搬送する際、収納箱が用いられる。従来、この収納箱は使い捨てを前提に作られていたが、近年は環境問題がクローズアップされており、ゴミの排出量を減少させることが重要課題となっている。そして、収納箱も使い捨てずに回収し、再利用することが望ましい。そのため、従来、一度使用した収納箱を回収し、再利用を図るため循環利用システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−112789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1に記載の発明によれば、回収時には箱を展開して回収するものであって、再使用する際に再度組立てる煩雑な作業が必要となる問題がある。一方、空の収納箱を組立てた状態のままで回収すると、小さなスペースに大量の収納箱を収容することが出来ず、回収効率が悪い。更に、組立てた状態のままで収納箱の一部を折り曲げ、折り畳んだ状態で回収すると、コンパクトに折り畳むことができず、また、折り目の箇所の曲げ応力により、折り目の部分に折り皺が寄ったり破断したりする事態が起き易いという問題がある。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、コンパクトな形状で回収できて回収時の破損がおきにくく、再利用時に煩雑な工程を回避でき、環境負荷を軽減する収納箱を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、四方の縦板部と、該各縦板部に連続して設けられた複数の底板部と、前記各縦板部に連続して上側の略矩形の開口部を覆う複数の蓋部とが設けられた本体部を有する収納箱において、相対向する一対の前記縦板部には、該縦板部を内側に折り曲げるための第1の谷折部が上下方向に設けられ、前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記底板部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記底板部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第2の谷折部が設けられ、前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記蓋部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記蓋部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第3の谷折部が設けられ、前記底面部を上方に起立させると共に、前記蓋部を上方に起立させ又は下方に倒伏させて、前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部をそれぞれ折り曲げることにより箱全体を折り畳めるようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記底板部には、請求項1に記載の構成に加え、前記縦板部の近傍に前記第2の谷折部に連続するスリットを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記本体部を折り畳んだとき、前記第1の谷折部が設けられた縦板部に隣接する縦板部の面側から見た全体形状は略矩形となり、該全体形状において、一辺の長さは前記本体部を広げたときの前記開口部の一辺の長さ以下であり、前記一辺に隣接する他辺の長さは前記開口部の前記一辺に隣接する他片の長さ以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記平面視形状において、前記一辺の長さは前記開口部の一辺の長さと略同一であると共に前記他辺の長さは前記開口部の他片の長さと略同一であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成に加え、前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部は、外側に谷折用折曲部を設けると共に内側に山折用折曲部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の構成に加え、前記本体部は、古紙の圧縮成形により形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6に何れかに記載の構成に加え、前記本体部には、ICタグが配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、収納箱本体部の相対向する一対の縦板部には、縦板部を内側に折り曲げるための第1の谷折部が上下方向に設けられ、前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記底板部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記底板部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第2の谷折部が設けられ、前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記蓋部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記蓋部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第3の谷折部が設けられ、前記底面部を上方に起立させると共に、前記蓋部を上方に起立させ又は下方に倒伏させて、前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部をそれぞれ折り曲げることにより箱全体を折り畳めるようにしたことにより、底板部及び蓋部を縦板部と略平行状態にすることで第1の谷折部、第2の谷折部、第3の谷折部を略同一位置に重ね併せ、又は延長線上に配設して、縦板部を内側に折り曲げると同時に底板部と蓋部とを縦板部と同一方向に折り曲げることができる。これにより、収納箱の本体部をコンパクトな形状に折り畳んで回収することができる。また、再利用時には再び広げれば箱の形が形成されることから、展開した収納箱を再度組立てるような煩雑な工程を回避でき、利用者の利便性を向上させることができる。これにより、回収効率を高めて環境負荷を軽減できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、底板部には、縦板部の近傍に第2の谷折部に連続するスリットを設けたことにより、縦板部の第1の谷折部が突出する方向に配設された底板部が、折り曲げられた際に強い曲げ応力がかかる箇所にスリットを配設できる。そして、本体部が厚い材質で形成されていても、第1の谷折部と第2の谷折部とを重ね合わせて折り曲げた際に底板部にかかる曲げ応力を緩和して底板部の破断を防ぐことができる。これにより、回収時の破損を起きにくくし、収納箱の本体部を容易にコンパクトな形状に折り畳むことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、本体部を折り畳んだとき、第1の谷折部が設けられた縦板部に隣接する縦板部の面側から見た全体形状は略矩形となり、全体形状において、一辺の長さは本体部を広げたときの開口部の一辺の長さ以下であり、一辺に隣接する他辺の長さは開口部の一辺に隣接する他片の長さ以下であることにより、広げた収納箱の中に畳んだ収納箱を収納することができる。これにより、複数の収納箱を回収する際に回収スペースの無駄をなくし、より効率よく回収することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、第1の谷折部、第2の谷折部、第3の谷折部は、外側に谷折用折曲部を設けると共に内側に山折用折曲部を設けたことにより、折り畳む際に各谷折部に割れが生ずることを防止し、かつ本体部を折り畳む際の折り曲げをスムーズに行わせることができる。これにより、繰り返しの使用における耐性を高め、収納箱の回収作業の効率を高めることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、本体部は、古紙の圧縮成形により形成することにより、強度が高く繰り返しの使用による耐性の高い収納箱を低コストで製造できる。また、原料が古紙であるため、製造時の環境負荷が少なくなり、かつ製造した収納箱自体のリサイクルも可能となって、環境負荷の軽減を図ることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、本体部には、ICタグが配設されたことにより、収納箱の使用状況を簡易に把握でき、管理統括面から回収効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1A乃至図10には、この発明の実施の形態を示す。
【0020】
まず構成を説明すると、この実施の形態の収納箱1Aの本体部1Bは、図1Aに展開状態を示す第1部材1C、図1Bに展開状態を示す第2部材1D、図1Cに展開状態を示す第3部材1Eを組み合わせ、図2の斜視図に示すような態様に形成されている。
【0021】
これら第1部材1C、第2部材1D、第3部材1Eは、古紙パルプを圧縮成形した、強度、耐久性、耐水性の高い板紙(密度1.1(g/cm3)、引張り強さT60,Y35(MPa)、伸び率T6.2,Y7.0(%)、吸水率50(%)、程度)によって形成されている。板紙の厚さは2mm程度に形成するが、それ以上又はそれ以下の厚さであってもよい。古紙の圧縮成形にて形成した第1部材1C、第2部材1D、第3部材1Eは強度が高く、従って収納箱1Aは繰り返しの使用による耐性が高くなる。また、収納箱1Aは低コストで製造することが可能になる。
【0022】
図1Aに示す通り、第1部材1Cは、長尺縦板部2の上下に、第1長尺底板部3、下側蓋部4が設けられ、長尺縦板部2の左右には綴じ代部5、6が設けられている。
【0023】
長尺縦板部2の四辺は、折り曲げ易い形状の山折部7,8,9,10に形成されている。長尺縦板部2の右上にはナイロン製の把持部11が取り付けられており、左上には各種管理情報を記録可能なICタグ18が取り付けられている。長尺縦板部2の略中央部には、長尺縦板部2を内側に折り曲げるための第1の谷折部12が上下方向に設けられている。
【0024】
第1長尺底板部3は、縦方向長さL1が本体部1Bの正面視横方向長さL1(図2)と略同一に形成され、先端部の2箇所(図1Aにおける裏面側)に面ファスナ13a、13bが取り付けられている。また、第1長尺底板部3の略中央部の、第1の谷折部12に連続する位置には、第2の谷折部14aが上下方向に設けられている。また、第1の谷折部12と第2の谷折部14aとの間には、第2の谷折部14aの連続方向(即ち縦長)にスリット15aが切り欠き形成されている。
【0025】
下側蓋部4の端部の4箇所には、面ファスナ16a、16b、16c、16dが取り付けられている。また、下側蓋部4の、第1の谷折部12に連続する位置には、第3の谷折部17aが上下方向に設けられている。
【0026】
なお、第1の谷折部12、第2の谷折部14a、第3の谷折部17aは、表面側に谷折用折曲部が設けられると共に裏面側に山折用折曲部が設けられ、それぞれ谷折りし易い態様に形成されている。
【0027】
また、長尺縦板部2及び下側蓋部4を合わせた縦方向長さL2と、長尺縦板部2及び下側蓋部4の横方向長さL3とは略同一に形成されている。
【0028】
図1Bに示す通り、第2部材1Dは、長尺縦板部2の上下に、第2長尺底板部21、上側蓋部22が設けられ、長尺縦板部2の左右には綴じ代部5、6が設けられている。
【0029】
第2長尺底板部21は、縦方向長さL4が本体部1Bの正面視横方向長さL1(図2)よりも短く形成され、基端部の2箇所(図1Bにおける表面側)に面ファスナ23a、23bが取り付けられている。また、第2長尺底板部21の略中央部の、第1の谷折部12に連続する位置には、第2の谷折部14bが上下方向に設けられている。また、第1の谷折部12と第2の谷折部14bとの間には、第2の谷折部14bの連続方向(即ち縦長)に切り欠き形成したスリット15bが形成されている。
【0030】
上側蓋部22の端部の4箇所には、面ファスナ24a、24b、24c、24dが取り付けられている。また、下側蓋部4の、第1の谷折部12に連続する位置には、第3の谷折部17bが上下方向に設けられている。
【0031】
また、長尺縦板部2及び上側蓋部22を合わせた縦方向長さL2’と、長尺縦板部2及び上側蓋部22の横方向長さL3’とは同一に形成されている。なお、この縦方向長さL2’及び横方向長さL3’は、図1Aに示す縦方向長さL2及び横方向長さL3とも同一である(従って、以後 2’はL2、 3’は 3として包括的に記載する)。
【0032】
図1Cに示す通り、第3部材1Eは、短尺縦板部31の上下に、短尺底板部32、フラップ33、33が設けられている。
【0033】
短尺縦板部31の上辺及び下辺は、折り曲げ易い形状の山折部34,35に形成されている。短尺底板部32には、先端部略中央部から基端部にかけて、斜め方向に第4の谷折部36が形成されている。短尺底板部32の、第4の谷折部36と先端側の一辺と右側の一辺とで囲まれた略三角形の領域は、第1長尺底板部3や第2長尺底板部21に固着される固着面37を形成する。
【0034】
図2に斜視図を示す、この実施の形態の収納箱1Aの本体部1B(図2)は、1枚の第1部材1C、1枚の第2部材1D、2枚の第3部材1Eを組み合わせて形成されている。以下、組立方を説明する。
【0035】
まず、第1部材1Cと第2部材1Dを、裏面(図1A及び図1Bに表れていない側の面)を離間対向させて配設し、第1部材1Cと第2部材1Dの両端部に一対の第3部材1E、1Eを離間対向させて配設する。
【0036】
この状態で、図3に示すように、第3部材1Eの短尺縦板部31の表面両側部に第1部材1Cの綴じ代部5(又は6)、第2部材1Dの綴じ代部6(又は5)を当接させ、ビス38、38・・・38で固着させる。
【0037】
次に、一方の第3部材1Eの短尺底板部32の固着面37を第1部材1Cの第1長尺底板部3に(本体部1Bを広げた状態で)当接させ、固着面37と第1長尺底板部3とをビス38で固着する。更に、同様に、他方の第3部材1Eの短尺底板部32の固着面37を第2部材1Dの第2長尺底板部21に当接させ、固着面37と第2長尺底板部21とをビス38で固着する(図7)参照。これにより、収納箱1Aの本体部1Bが完成する。
【0038】
次に、この収納箱1Aを広げる動作と折り畳む動作について説明する。
【0039】
第一に、収納箱1Aの本体部1Bを広げる場合について説明する。この場合、最初に、一対の長尺縦板部2、2同士を離間対向させると共に一対の短尺縦板部31、31、同士を離間対向させ(図7参照)て、本体部1Bを平面視略矩形の形状とする(図3参照)。次に、短尺底板部32、32の上面に第2長尺底板部21が載置され、第2長尺底板部21の上面に第1長尺底板部3が載置された状態とし(図3及び図7参照)、第2長尺底板部21の面ファスナ23a、23bと第1長尺底板部3の面ファスナ13a、13bとを係合させて本体部1Bを広げた状態が完成する(図2参照)。
【0040】
この、本体部1Bを広げた状態で、第2長尺底板部21の上面に載置された第1長尺底板部3が本体部1Bの底面略全域を覆っている(図6参照)ので、本体部1Bの底面を丈夫に形成し、収容箱1Aの荷重に対する耐性を高くすることができる。
【0041】
そして、本体部1Bを広げた状態で蓋をするときは、下側蓋部4、上側蓋部22の順に本体部1Bの開口部19(図2参照)を覆って図3乃至図5に示す状態とし、下側蓋部4の面ファスナ16a、16b、16c、16dと上側蓋部22の面ファスナ24a、24b、24c、24dと(図2参照)を係合させる。
【0042】
第二に、本体部1Bを折り畳む場合について説明する。この場合、最初に、下側蓋部4の面ファスナ16a、16b、16c、16dと上側蓋部22の面ファスナ24a、24b、24c、24dとの係合を解除し、さらに第2長尺底板部21の面ファスナ23a、23bと第1長尺底板部3の面ファスナ13a、13bとの係合を解除させる。
【0043】
次に、下側蓋部4、上側蓋部22、フラップ33、33をそれぞれ上方に起立させる(図2参照)。そして、第1長尺底板部3、第2長尺底板部21が上方に起立させながら第1の谷折部12、第2の谷折部14a、14b、第3の谷折部17a、17bをそれぞれ谷折りすると、長尺縦板部2の中央部同士が近接する方向に移動すると共に第1長尺底板部3、第2長尺底板部21が上方に起立してゆく。そして、第1長尺底板部3と一方の短尺底板部32、第2長尺底板部21と他方の短尺底板部32とは固着面37にて固着されているので、起立に応じて第4の谷折部36が谷折りされつつ短尺底板部32、32も上方に起立してゆく。これにより、本体部1Bの底面方向から見た形状は略「Z」字型になる(図8参照)。
【0044】
そして、第2の谷折部14a、14bが設けられた位置は底板部を上方に起立させた際に第1の谷折部12に略重なる位置であり、また、第3の谷折部17a、17bが設けられた位置は第1の谷折部12が略延長する位置である(図1A、図1B参照)ことより、本体部1Bは最終的に第1の谷折部12、第2の谷折部14a(又は14b)、第3の谷折部17a(又は17b)が略同一位置に重ね合わされた状態で、図9に示す、略平面状のコンパクトな形状となるまで折り畳まれる。
【0045】
この折り畳まれた状態で、谷折りした内側に長尺縦板部2、外側に第1長尺底板部3又は第2長尺底板部21が重ね合わされており(図8参照)、外側に位置する第2の谷折部14a(又は14b)には強い曲げ応力がかかることになる。しかし、この本体部1Bにおいては、第1長尺底板部3及び第2長尺底板部21には、強い曲げ応力がかかる場所である、第2の谷折部14a(又は14b)の延長上の長尺縦板部2の近傍にスリット15a(又は15b)が設けられている。そのため、折り畳まれた際の当該箇所の曲げ応力はこのスリット15a(又は15b)の周辺部から第1長尺底板部3及び第2長尺底板部21にかかる。このとき、スリット15a(又は15b)は引張られた方向に膨張し、第1長尺底板部3及び第2長尺底板部21にかかる曲げ応力を緩和する作用を果たす。従って、折り畳まれた際の曲げ応力による第1長尺底板部3及び第2長尺底板部21の破断が防止される。
【0046】
本体部1Bを折り畳んだ状態で正面側(短尺縦板部31の面側)から見た全体形状は、図9に示す通り略矩形となっている。そして、この全体形状において、短辺(一辺)の長さL1は本体部1Bを広げたときの開口部19の一辺の長さ(L1)であり、短辺に隣接する長辺(他辺)の長さL2は長尺縦板部2及び下側蓋部4を合わせた長さである。この長辺の長さL2は、本体部1Bを広げたときの開口部19の長辺の長さL3(図6参照)に略等しい。
【0047】
即ち、本体部1Bを折り畳んだときの短辺の長さL1は広げたときの開口部19の短辺の長さL1以下であり、本体部1Bを折り畳んだときの長辺の長さL2は広げたときの開口部19の長辺の長さL3以下である。それゆえ、図10に示すように、折り畳んだ本体部1Bは開いた本体部1Bの内部に収納できる。加えて、折り畳んだ本体部1Bと開いた本体部1Bの開口部19は短辺の長さL1、L1同士が等しく、長辺の長さL2、L3同士は略等しいことから、図10に示すように、折り畳んだ本体部1Bは開いた本体部1Bの内部にほぼ隙間無く収容できる。
【0048】
そして、回収した収納箱1Aは、本体部1Bを再び広げればすぐに箱の形が形成されて再利用できる。従って、展開した収納箱を再度組立てるような煩雑な工程を回避でき、利用者の利便性が向上する。
【0049】
このようにして、収納箱1Aは回収と再利用を繰り返すことになるが、その際の管理情報はICタグ18に記録し、記録した情報は物流の過程でリーダ(図示せず)を介して読み取って情報管理センター(図示せず)等において管理する。これにより、収納箱1Aの使用状況を管理センター(図示せず)側で簡易に把握することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態においては、収納箱1Aの本体部1Bは開いた状態で平面視が長方形となるように形成したが、平面視正方形にすることもできるし、本実施の形態の平面視形状の以外の平面視形状を呈する収納箱にも適用できる。
【0051】
上記実施の形態においては、本体部1Bを折り畳む際、下側蓋部4、上側蓋部22、フラップ33、33をそれぞれ上方に起立させて本体部1B全体を折り畳む構成としたが、逆に、下側蓋部、上側蓋部、フラップをそれぞれ下方に倒伏させ、下側蓋部、上側蓋部、フラップがそれぞれ縦板部に折り重なった状態で本体部全体を折り畳む構成とすることもできる。これにより、折り畳んだ際の収納箱の本体部の形状をよりコンパクトに形成できる。
【0052】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】この発明の実施の形態に係る収納箱を形成する、第 部材の展開図である。
【図1B】同上収納箱を形成する、第2部材の展開図である。
【図1C】同上収納箱を形成する、第3部材の展開図である。
【図2】同上収納箱の本体部を広げた状態の斜視図である。
【図3】同上収納箱の本体部を広げた状態の正面図である。
【図4】同上収納箱の本体部を広げた状態の側面図である。
【図5】同上収納箱の本体部を広げた状態の蓋部を閉じた平面図である。
【図6】同上収納箱の本体部を広げた状態の蓋部を開けた平面図である。
【図7】同上収納箱の本体部を広げた状態の底面図である。
【図8】同上収納箱の本体部を折り畳みかけた状態の底面方向からみた斜視図である。
【図9】同上収納箱の本体部を折り畳んだ状態で正面側(短尺縦板部の面側)から見た図である。
【図10】同上折り畳んだ収納箱を開いた収納箱の内部に収納する態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1A・・・収納箱
1B・・・本体部
2・・・長尺縦板部(縦板部)
3・・・第1長尺底板部(底板部)
4・・・下部蓋部(蓋部)
12・・・第1の谷折部(谷折部)
14a、14b・・・第2の谷折部(谷折部)
15a、15b・・・スリット
17a、17b・・・第3の谷折部(谷折部)
18・・・ICタグ
19・・・開口部
21・・・第2長尺底板部(底板部)
31・・・短尺縦板部(縦板部)
32・・・短尺底板部(底板部)
33・・・フラップ(蓋部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四方の縦板部と、該各縦板部に連続して設けられた複数の底板部と、前記各縦板部に連続して上側の略矩形の開口部を覆う複数の蓋部とが設けられた本体部を有する収納箱において、
相対向する一対の前記縦板部には、該縦板部を内側に折り曲げるための第1の谷折部が上下方向に設けられ、
前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記底板部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記底板部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第2の谷折部が設けられ、
前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記蓋部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記蓋部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第3の谷折部が設けられ、
前記底面部を上方に起立させると共に、前記蓋部を上方に起立させ又は下方に倒伏させて、前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部をそれぞれ折り曲げることにより箱全体を折り畳めるようにしたことを特徴とする収納箱。
【請求項2】
前記底板部には、前記縦板部の近傍に前記第2の谷折部に連続するスリットを設けたことを特徴とする請求項1に記載の収納箱。
【請求項3】
前記本体部を折り畳んだとき、前記第1の谷折部が設けられた縦板部に隣接する縦板部の面側から見た全体形状は略矩形となり、該全体形状において、一辺の長さは前記本体部を広げたときの前記開口部の一辺の長さ以下であり、前記一辺に隣接する他辺の長さは前記開口部の前記一辺に隣接する他片の長さ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納箱。
【請求項4】
前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部は、外側に谷折用折曲部を設けると共に内側に山折用折曲部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の収納箱。
【請求項5】
前記本体部は、古紙の圧縮成形により形成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の収納箱。
【請求項6】
前記本体部には、ICタグが配設されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の収納箱。
【請求項1】
四方の縦板部と、該各縦板部に連続して設けられた複数の底板部と、前記各縦板部に連続して上側の略矩形の開口部を覆う複数の蓋部とが設けられた本体部を有する収納箱において、
相対向する一対の前記縦板部には、該縦板部を内側に折り曲げるための第1の谷折部が上下方向に設けられ、
前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記底板部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記底板部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第2の谷折部が設けられ、
前記第1の谷折部が設けられた前記縦板部に連続する前記蓋部には、前記第1の谷折部が略延長する位置に、前記蓋部を前記縦板部と同じ方向に折り曲げるための第3の谷折部が設けられ、
前記底面部を上方に起立させると共に、前記蓋部を上方に起立させ又は下方に倒伏させて、前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部をそれぞれ折り曲げることにより箱全体を折り畳めるようにしたことを特徴とする収納箱。
【請求項2】
前記底板部には、前記縦板部の近傍に前記第2の谷折部に連続するスリットを設けたことを特徴とする請求項1に記載の収納箱。
【請求項3】
前記本体部を折り畳んだとき、前記第1の谷折部が設けられた縦板部に隣接する縦板部の面側から見た全体形状は略矩形となり、該全体形状において、一辺の長さは前記本体部を広げたときの前記開口部の一辺の長さ以下であり、前記一辺に隣接する他辺の長さは前記開口部の前記一辺に隣接する他片の長さ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納箱。
【請求項4】
前記第1の谷折部、前記第2の谷折部、前記第3の谷折部は、外側に谷折用折曲部を設けると共に内側に山折用折曲部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の収納箱。
【請求項5】
前記本体部は、古紙の圧縮成形により形成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の収納箱。
【請求項6】
前記本体部には、ICタグが配設されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の収納箱。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−246100(P2007−246100A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68585(P2006−68585)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(500121366)スターウェイ株式会社 (7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(500121366)スターウェイ株式会社 (7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]