収納袋
【課題】収納済み袋を持ち運ぶときに指先の内側や手のひらに痛みを感じることがなく、しかも、収納済み袋を持ち運ぶに際しての作業を簡単、且つ、的確に行える収納袋を提供する。
【解決手段】収納袋10を構成する他方シート12は一方シート11の上縁よりも外側に張り出した張出部分12a一体に有しており、該他方シート12の張出部分12aの一方シート11側の面には横長矩形状の取っ手シート13が重なり合い、且つ、その両端部13a及び13bを固着されていて、該取っ手シー13は一方シート11と同じ側で露出している。
【解決手段】収納袋10を構成する他方シート12は一方シート11の上縁よりも外側に張り出した張出部分12a一体に有しており、該他方シート12の張出部分12aの一方シート11側の面には横長矩形状の取っ手シート13が重なり合い、且つ、その両端部13a及び13bを固着されていて、該取っ手シー13は一方シート11と同じ側で露出している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取っ手付きの収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
腕力が乏しい者にとって持ち運びが困難な重量を有する収納済み袋(収納袋の収納部内に内容物を収納して封をしたものを指す)、例えば米等の穀物や培養土等の園芸土が収納された収納済み袋には、該収納済み袋の持ち運びが容易に行えるように取っ手(手で把持する部分を言う)が設けられているものがある。
【0003】
図1(A)は前記収納袋の一従来形態を示す(特許文献1を参照)。この収納袋100は、矩形状を成す2枚のシート101及び102から構成されている。重なり合う2枚のシート101及び102(以下、一方シート201と他方シート202と言う)の上側と左側と右側にはそれぞれシール部(103a、103b及び103c)がヒートシールによって形成されていて、該シール部(103a、103b及び103c)によってコ字形状に囲まれた下縁開口の収納部104(内容物収納用の収納部104)が一方シート101と他方シート102との間に形成されている。また、上側シール部103aの中央には、一方シート101及び他方シート102を貫通する略横長矩形状の取っ手孔105が設けられている。つまり、この収納袋100にあっては、上側シール部103aの取っ手孔105の上側部分が取っ手としての役目を果たす。
【0004】
前記収納袋100は、収納部104内に下縁開口を通じて内容物COを収納した後、一方シート101と他方シート102の下側にシール部(103d)をヒートシールによって形成して封をすることによって、図1(B)に示す収納済み袋100’となる。この収納済み袋100’を持ち運ぶときには、図1(B)に示すように、陳列されている収納済み袋100’の上側シール部103aの取っ手孔105に指先を差し込み、該取っ手孔105の上側部分(取っ手相当部分)を把持して収納済み袋100’を持ち上げる。
【0005】
図2(B)は前記収納袋の他の従来形態を示す(特許文献2及び3を参照)。この収納袋200は、矩形状を成す2枚のシート201及び202と、横長矩形状を成す1枚の取っ手シート207と、から構成されている。重なり合う2枚のシート201及び202(以下、一方シート201と他方シート202と言う)の上側と左側と右側にはそれぞれシール部(204a、204b及び204c)がヒートシールによって形成されていて、該シール部(204a、204b及び204c)によってコ字形状に囲まれた下縁開口の収納部205(内容物収納用の収納部205)が一方シート201と他方シート202との間に形成されている。また、上側シール部204aの中央には、その上縁から収納部205の手前に至る非シール領域204a1が設けられ、該上側シール部204a内には、一方シート201と他方シート202との間に挟まれるようにして取っ手シート203が介装されている。取っ手シート203の左端部203a及び右端部203bは上側シール部204aのシール領域内に位置していて一方シート201と他方シート202にヒートシールによって固着されているが、該取っ手シート203の中央部分は上側シール部204aの非シール領域204a1内に位置しているため一方シート201と他方シート202には固着されていない。つまり、この収納袋200にあっては、上側シール部204a内に存する取っ手シート203の中央部分が取っ手としての役目を果たす。
【0006】
前記収納袋200は、収納部205内に下縁開口を通じて内容物COを収納した後、一方シート201と他方シート202の下側部分にシール部(204d)をヒートシールによって形成して封をすることによって、図2(B)に示す収納済み袋200’となる。この収納済み袋200’を持ち運ぶときには、図2(B)に示すように、先ず、陳列されている収納済み袋200’の上側シール部204aの非シール領域204a1内に指先を挿入して、一方シート201と他方シート202との間から取っ手シート203の中央部分(取っ手相当部分)を引っ張り出す。そして、引っ張り出した取っ手シート203の中央部分の下側に指先を差し込み、該中央部分(取っ手相当部分)を把持して収納済み袋200’を持ち上げる。
【0007】
ところで、図1(A)に示した収納袋100にあっては、上側シール部103aの取っ手孔105の上側部分(取っ手相当部分)を把持して収納済み袋100’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手孔105の上側部分の下縁が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じるといった不具合がある。
【0008】
また、図2(A)に示した収納袋200にあっては、取っ手シート203の中央部分(取っ手相当部分)が上側シール部204aの非シール領域204a1内に位置しているため、説明書き等を十分に読んでからでないと引っ張り出すべき該中央部分を見つけることが難しいといった不具合がある。しかも、取っ手シート203の中央部分(取っ手相当部分)は非シール領域204a内において一方シート201と他方シート202との間に挟まれるようにして介装されているため、該中央部分を見つけても、手先が器用でない者にあっては該中央部分を一方シート201と他方シート202との間から引っ張り出すことは難しく、且つ、時間がかかるといった不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−308214号公報
【特許文献2】特許第4101274号公報
【特許文献3】特許第4253774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、収納済み袋を持ち運ぶときに指先の内側や手のひらに痛みを感じることがなく、しかも、収納済み袋を持ち運ぶに際しての作業を簡単、且つ、的確に行える収納袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、重なり合う2枚のシートの間にシール部によって囲まれた内容物収納用の収納部を有する収納袋であって、2枚のシートのうちの他方シートは一方シートの外縁よりも外側に張り出した張出部分を一体に有しており、該他方シートの張出部分の一方シート側の面には横長矩形状の取っ手シートが重なり合い、且つ、その両端部を固着されていて、該取っ手シートは一方シートと同じ側で露出している、ことを特徴とする。
【0012】
この収納袋によれば、取っ手シートが一方シートと同じ側で露出していることから、取っ手としての役目を果たす取っ手シートの中央部分(非固着部分)を簡単に見つけることができる。しかも、収納済み袋(収納袋の収納部内に内容物を収納して封をしたものを指す)を陳列した状態では、該収納済み袋の他方シートの張出部分と取っ手シートには皺や折り目が生じ、これによって取っ手シートの中央部分(非固着部分)と張出部分との間には部分的な隙間が生じるため、両者の間に指先を挿入する作業を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0013】
また、取っ手シートが横長矩形状を成していることやその中央部分(非固着部分)が変形し易いことから、取っ手シートの中央部分を把持して収納済み袋を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに該取っ手シートの中央部分は指先の内側や手のひらに面接触するような状態となる。つまり、取っ手シートの中央部分を把持して収納済み袋を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手シートの中央部分が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じることはないし、該収納済み袋を安定した状態で持ち上げたり運ぶことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、収納済み袋を持ち運ぶときに指先の内側や手のひらに痛みを感じることがなく、しかも、収納済み袋を持ち運ぶに際しての作業を簡単、且つ、確実に行える収納袋を提供することができる。
【0015】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(A)は一従来形態を示す収納袋の側面図、図1(B)は図1(A)に示した収納袋に内容物を収納した収納済み袋を持ち運ぶ際の作業を説明するための図である。
【図2】図2(A)は他の従来形態を示す収納袋の側面図、図2(B)は図2(A)に示した収納袋に内容物を収納した収納済み袋を持ち運ぶ際の作業を説明するための図である。
【図3】図3は本発明を三方袋に適用した実施形態を示す収納袋の側面図である。
【図4】図4は図3に示した収納袋の分解斜視図である。
【図5】図5は図4に示した一方シートと取っ手シートの作成方法を説明するための図である。
【図6】図6(A)は図3に示した取っ手シートの固着領域の形状詳細を示す図、図6(B)は図6(A)に示した固着領域の形状変形例を示す図である。
【図7】図7は図3に示した収納袋に内容物を収納して封をしたもの(収納済み袋)の側面図である。
【図8】図8は図7に示した収納済み袋を横向きに陳列した状態を示す図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は図7に示した収納済み袋を持ち運ぶ際の作業を説明するための図である。
【図10】図10は図3に示した取っ手シートの固着領域が有する傾斜縁の傾斜角度の適正範囲を確認するための試験結果を示す図である。
【図11】図11(A)と図11(B)は図3に示した収納袋の変形形態をそれぞれ示す収納袋の側面図である。
【図12】図12は本発明をスタンディング袋(スタンドパウチ)に適用した実施形態を示す収納袋の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3は本発明を三方袋に適用した実施形態を示す。この収納袋10は、矩形状を成す2枚のシート11及び12(以下、一方シート11と他方シート12と言う)と、横長矩形状を成す取っ手シート13と、から構成されている。
【0018】
重なり合う一方シート11と他方シート12の上側と左側と右側にはそれぞれシール部(14a、14b及び14c)がヒートシールによって形成されていて、該シール部(14a、14b及び14c)によってコ字形状に囲まれた下縁開口の収納部15(内容物収納用の収納部15)が一方シート11と他方シート12との間に形成されている。
【0019】
また、他方シート12は一方シート11の上縁よりも外側に張り出した横長矩形状の張出部分12aを一体に有しており、該他方シート12の張出部分12aの一方シート11側の面には横長矩形状の取っ手シート13が重なり合い、且つ、その左端部13a及び右端部13bをヒートシールによって固着されていて、該取っ手シート13は一方シート11と同じ側で露出している(以下、左端部13aの固着領域を同一符号を利用して左側固着領域13aと言い、右端部13bの固着領域を同一符号を利用して右側固着領域13bと言う)。
【0020】
さらに、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の表面には、該中央部分が取っ手であることを視認させるために「ここをお持ち下さい」等の案内表示部16が設けられている。つまり、この収納袋10にあっては、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)が取っ手としての役目を果たす。
【0021】
図4は前記収納袋10を分解した様子を示す。一方シート11、他方シート12及び取っ手シート13は、ヒートシール可能なフィルムを片面に有するラミネートフィルム、例えば2軸延伸のナイロンフィルム(厚さが約15μm)と未延伸のポリエチレンフィルム(厚さが約50μm)をドライラミネートした2層ラミネートフィルムから成る。勿論、ヒートシール可能なフィルムを片面に有するラミネートフィルムであれば、材質や層数を問わず各シート11,12及び13として利用できる。
【0022】
また、同図から分かるように、一方シート11は所定の左右寸法W11と上下寸法L11を有し、他方シート12はW11と同じ左右寸法W12とL11よりも大きな上下寸法L12を有し、取っ手シート13はW11と同じ左右寸法W13と(L12−L11)に合致した上下寸法L13を有する。一方シート11はその左縁,右縁及び下縁が他方シート12の左縁,右縁及び下縁と一致するように重なり合っているため、該他方シート12の上縁は一方シート11の上縁よりも(L12−L11)だけ外側に張り出している。つまり、この外側に張り出した部分が前記張出部分12aと成る。また、取っ手シート13はその左縁,右縁及び上縁が他方シート12の張出部分12aの左縁,右縁及び上縁と一致するように重なり合っているため、該取っ手シート13は一方シート11には重なっておらず、且つ、該張出部分12aから外側に張り出していない。
【0023】
図5は前記一方シート11及び取っ手シート13の作成方法を示すもので、該一方シート11及び取っ手シート13は、単一シートBSを2つのシートに切り分けたものから成る。詳しくは、他方シート12の上下寸法L12と同じ幅寸法を有する単一シートBSを図中矢印方向に走行させながら、一方シート11の上下寸法L11と取っ手シート13の上下寸法L13との境界に当たる位置に切断刃CUを当てて該単一シートBSを2つのシートに切り分ける。つまり、この切り分けられた2つのシートを一方シート11の左右寸法W11及び取っ手シート13の左右寸法W13を規定するライン(図中の2点鎖線を参照)で切断すれば、前記一方シート11及び取っ手シート13を得ることができる。
【0024】
因みに、他方シート12の上下寸法L12と同じ幅寸法を有する別シートを用意し、該別シート上に2つのシートに切り分けられた単位シートBSを重ね合わせて所期のヒートシールを行い、この後に前記切断を行えば、該切断によっって前記収納袋10に相当するものを得ることもできる。
【0025】
図6(A)は前記取っ手シート13の左側固着領域13aと右側固着領域13bの形状詳細を示す。尚、右側固着領域13bは左側固着領域13aと線対称形であるため、その図示を省略してある。同図から分かるように、両固着領域13a及び13bは強度的に十分な面積を持つ5角形を成していて、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)側に「取っ手シート13の下縁と鋭角(傾斜角度θ)を成す傾斜縁13a1及び13b1」と「取っ手シート13の上縁と直角を成す非傾斜縁13a2及び13b2」を有している。
【0026】
図6(B)は図6(A)に示した左側固着領域13aと右側固着領域13bの形状変形例を示す。尚、右側固着領域13bは左側固着領域13aと線対称形であるため、その図示を省略してある。同図から分かるように、両固着領域13a及び13bは強度的に十分な面積を持つ4角形を成していて、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)側に「取っ手シート13の下縁と鋭角(傾斜角度θ)を成す傾斜縁13a1及び13b1」のみを有しており、図6(A)に示したような「取っ手シート13の上縁と直角を成す非傾斜縁13a2及び13b2」は有していない。
【0027】
図6(A)に示した固着領域13a及び13bの形状と図6(B)に示した固着領域13a及び13bの形状の使い分けや、各々の傾斜角度θ等については後に詳述する。
【0028】
前記収納袋10は、収納部15内に下縁開口を通じて内容物CO、例えば米等の穀物や培養土等の園芸土を収納した後、一方シート11と他方シート12の下側にシール部(14d)をヒートシールによって形成して封をすることによって、図7に示す収納済み袋10’となる。
【0029】
この収納済み袋10’は、例えば、一方シート11と取っ手シート13が上を向くように上下方向に積み重ねられて陳列されるか(図8を参照)、或いは、一方シート11と取っ手シート13が前を向くように前後方向に並べて陳列される。収納部15内に内容物COが収納されている影響等から、陳列された収納済み袋10’の各シール部(14a、14b、14c及び14d)に加えて他方シート12の張出部分12aと取っ手シート13にも皺や折り目が生じ、これによって取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間には部分的な隙間CLが生じる。
【0030】
陳列されている収納済み袋10’を持ち運ぶときには、図9(A)に示すように、先ず、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間に指先を挿入する。取っ手シート13が一方シート11と同じ側で露出し、しかも、該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の表面に該中央部分が取っ手であることを視認させるための案内表示部16が設けられていることから、取っ手としての役目を果たす取っ手シート13の中央部分(非固着部分)を簡単に見つけることができる。しかも、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間には先に述べたように部分的な隙間CLが形成されていることから、両者の間に指先を挿入する作業は簡単、且つ、的確に行える。
【0031】
そして、図9(B)に示すように、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)を把持し、収納済み袋10’を持ち上げる。取っ手シート13が横長矩形状を成していることやその中央部分(非固着部分)が変形し易いことから、取っ手シート13の中央部分を把持して収納済み袋10’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに該取っ手シート13の中央部分は指先の内側や手のひらに面接触するような状態となる。因みに、取っ手シート13の中央部分を指先の内側や手のひらに面接触するような状態とするのに効果的な取っ手シート13の上下寸法L13(図4を参照)は40〜80mmである。依って、取っ手シート13の中央部分を把持して収納済み袋10’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手シート13の中央部分が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じることはないし、該収納済み袋10’を安定した状態で持ち上げたり運ぶことができる。
【0032】
ここで、図6(A)に示した固着領域13a及び13bの形状と図6(B)に示した固着領域13a及び13bの形状の使い分けや、各々の傾斜角度θ等について説明する。
【0033】
図6(A)に示した固着領域13a及び13bの形状は、取っ手シート13の左右寸法W13(図4を参照)が小さい場合に有利である。つまり、取っ手シート13の左右寸法W13が小さい場合には必然的に該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の左右寸法も小さくなってしまい、図9(A)を引用して説明した指先の挿入が行い難くなる。しかしながら、「取っ手シート13の上縁と直角を成す非傾斜縁13a2及び13b2」を固着領域13a及び13bに設けておけば、図6(B)に示した固着領域13a及び13bの形状に比べて該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の左右寸法を拡大できるため、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間に指先を挿入する作業が行い易くなる。
【0034】
また、図6(B)に示した固着領域13a及び13bの形状は、取っ手シート13の左右寸法W13(図4を参照)が大きい場合に有利である。つまり、取っ手シート13の左右寸法W13が大きい場合には「取っ手シート13の上縁と直角を成す非傾斜縁13a2及び13b2」を設けなくても、該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の左右寸法を十分に確保できるため、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間に指先を挿入する作業が行い易くなる。
【0035】
図10は、前記取っ手シート13の固着領域13a及び13bが有する傾斜縁13a1及び13b1の傾斜角度θ(degree)の適正範囲を確認するための試験結果を示す。ここでの試験は、他方シート12と同じラミネートフィルムから成る100mm角の第1サンプルシートと取っ手シート13と同じラミネートフィルムから成る50mm幅の第2サンプルシートを用意し、第2サンプルシートを図6(B)に示した固着領域と同じ形状で第1サンプルシートに固着した試験サンプルを準備した。そして、準備した試験サンプルの第2サンプルシートを傾斜縁に沿って折り曲げて、該第2サンプルシートと第1サンプルシートとに直線的な引っ張り荷重を加えて、固着領域が破壊したときの最大荷重N(newton)の測定を、固着領域の面積を変えずに傾斜縁の傾斜角度θ(degree)のみを変えて行った。
【0036】
試験結果を述べれば、傾斜角度θが90度のとき(非傾斜のとき)には約25Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが80度のときには約30Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが70度のときには約100Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが60度のときには約200Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが45度のときには約290Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが35度のときには約230Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが25度のときには約120Nで固着領域に破壊を生じた。これら数値をグラフに表すと図10のようになり、最大荷重N(newton)は傾斜角度θが90度未満になると45度に達するまで略比例的に増加し、45度を超えると略比例的に減少することが分かる。
【0037】
また、第2サンプルシートと第1サンプルシートとに直線的な引っ張り荷重を加えたときの様子を観察すると、固着領域の破壊は該固着領域の傾斜縁の端(図6(A)及び図6(B)に示した固着領域13a及び13bの傾斜縁13a1及び13b1の下端に相当)から生じる。また、傾斜角度θが鋭角の範囲にあるときには、固着領域の傾斜縁が引っ張り荷重を受け止めるような作用を生じる。
【0038】
この試験結果や観察結果から考察するに、図6(A)及び図6(B)に示した固着領域13a及び13bの傾斜縁13a1及び13b1の傾斜角度θは鋭角範囲内、特に70度〜25度の範囲内であることが好ましいと言える。つまり、傾斜角度θを鋭角範囲内、好ましくは70度〜25度の範囲内とすれば、傾斜縁13a1及び13b1によって引っ張り荷重に対する十分な耐久性を確保できるので、内容物COの重量が2kg以上の収納済み袋10’であっても取っ手シート13の中央部分を把持しての持ち運びを的確に行える。
【0039】
このように、前記収納袋10によれば、取っ手シート13が一方シート11と同じ側で露出し、しかも、該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の表面に該中央部分が取っ手であることを視認させるための案内表示部16が設けられていることから、取っ手としての役目を果たす取っ手シート13の中央部分(非固着部分)を簡単に見つけることができる。
【0040】
また、収納済み袋10’(収納袋10の収納部15内に内容物COを収納して封をしたものを指す)を陳列した状態では、該収納済み袋10’の他方シート12の張出部分12aと取っ手シート17には皺や折り目が生じ、これによって取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間には部分的な隙間CLが生じるため、両者の間に指先を挿入する作業を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0041】
さらに、取っ手シート13が横長矩形状を成していることやその中央部分(非固着部分)が変形し易いことから、取っ手シート13の中央部分を把持して収納済み袋10’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに該取っ手シート13の中央部分は指先の内側や手のひらに面接触するような状態となる。つまり、取っ手シート13の中央部分を把持して収納済み袋10’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手シート13の中央部分が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じることはないし、該収納済み袋10’を安定した状態で持ち上げたり運ぶことができる。
【0042】
さらに、取っ手シート13の両端部の固着領域13a及び13bは、該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)側に「取っ手シート13の下縁と鋭角(傾斜角度θ)を成す傾斜縁13a1及び13b1」を有しており、該傾斜縁13a1及び13b1によって引っ張り荷重に対する十分な耐久性を確保できるので、内容物COの重量が2kg以上の収納済み袋10’であっても取っ手シート13の中央部分を把持しての持ち運びを的確に行うことができる。
【0043】
尚、前記収納袋10は、下縁開口の収納部15を有するが、内容物COを収納する前の形成するシール部の位置を変更することによって、下縁以外の位置に開口を有する収納部を形成しても良い。例えば、図11(A)に示すように、一方シート11と他方シート12の左側と右側と下側にそれぞれシール部(14b、14c及び14d)を形成することによって、上縁に開口を有する収納部15を形成しても良いし、図11(B)に示すように、一方シート11と他方シート12の上側と左側と下側にそれぞれシール部(14a、14b及び14d)を形成することによって、右縁に開口を有する収納部15を形成しても良い。このような収納袋であっても開口を通じて収納部内に内容物COを収納することができるし、内容物COを収納した後に開口位置にシール部を形成して封をすれば前記同様の収納済み袋を得ることができる。
【0044】
また、前記収納袋10を用いて作成された収納済み袋10’は収納部15の周囲をシール部によって矩形枠状に囲まれるが、外気との通気が必要な内容物CO、例えば米等の穀物を収納部15内に収納する場合には、複数の貫通孔を有する不織布等から成る通気性シートをシール部の少なくとも一部に介装して該複数の貫通孔を通じて一方シート11と他方シート12とのヒートシールを行うようにしても良い。このようにすれば、シール部に介装された通気性シートを通じて、内容物COを収納した収納部15内と外気との通気を行うことができる。
【0045】
以上、実施形態として本発明を三方袋に適用したものを説明したが、本発明は三方袋以外の各種収納袋に適用可能であり、該適用によって前記と同様の作用及び効果を得ることができる。その一例を図12を引用して説明する。
【0046】
図12は本発明をスタンディング袋(スタンドパウチ)に適用した実施形態を示すもので、該収納袋20は、矩形状を成す2枚のシート21及び22(以下、一方シート21と他方シート22と言う)と、横長矩形状を成す取っ手シート23と、矩形状を成す底シート24と、から構成されている。
【0047】
重なり合う一方シート21と他方シート22の左側と右側と下側にはそれぞれシール部(25b、25c及び25d)がヒートシールによって形成されていて、該シール部(25b、25c及び25d)によってコ字形状に囲まれた上縁開口の収納部26(内容物収納用の収納部26)が一方シート11と他方シート12との間に形成されている。
【0048】
底シート24は2つ折りされたものが一方シート11と他方シート12との間の下側に配置されており、該底シート24の左側は互いがヒートシールによって固着されると共に一方シート11と他方シート12に固着され(符号25b1を参照)、該底シート24の右側は互いがヒートシールによって固着されると共に一方シート11と他方シート12に固着されている(符号25c1を参照)。前記下側シール部25dは、一方シート21と底シート24とが固着された部分と、他方シート22と底シート24とが固着された部分とによって構成されている。つまり、一方シート21と他方シート22の下側部分は底シート24を介して広げることが可能であり、該広がりを利用してのスタンディングが可能となっている。
【0049】
また、他方シート22は一方シート21の上縁よりも外側に張り出した横長矩形状の張出部分22aを一体に有しており、該他方シート22の張出部分22aの一方シート11側の面には横長矩形状の取っ手シート23が重なり合い、且つ、その左端部23a及び右端部23bをヒートシールによって固着されていて、該取っ手シート23は一方シート21と同じ側で露出している。
【0050】
さらに、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)の表面には、該中央部分が取っ手であることを視認させるために「ここをお持ち下さい」等の案内表示部27が設けられている。つまり、この収納袋20にあっては、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)が取っ手としての役目を果たす。
【0051】
因みに、一方シート21、他方シート22及び取っ手シート23がラミネートフィルムから成ることやこれらの寸法は図3に示した収納袋と同じであり、取っ手シート23の固着形状も図3に示した収納袋と同じである。また、底シート24も一方シート21、他方シート22及び取っ手シート23と同様のラミネートフィルムから成り、一方シート11の左右寸法W11と同じ左右寸法を有している。
【0052】
前記収納袋20は、収納部26内に上縁開口を通じて内容物、例えば米等の穀物や培養土等の園芸土を収納した後、一方シート21と他方シート22の上側にシール部(25a、図示省略)をヒートシールによって形成して封をすることによって収納済み袋となる。
【0053】
この収納済み袋は、一方シート21と他方シート22の下側部分は底シート24を介して広がることによってスタンディングが可能であるため、例えば、一方シート21と取っ手シート23が前を向くように自立させた状態で陳列される。収納部26内に内容物が収納されている影響等から、陳列された収納済み袋の他方シート22の張出部分22aと取っ手シート23にも皺や折り目が生じ、これによって取っ手シート23の中央部分(非固着部分)と張出部分22aとの間には部分的な隙間が生じる。
【0054】
陳列されている収納済み袋を持ち運ぶときには、先ず、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)と張出部分22aとの間に指先を挿入する。取っ手シート23が一方シート21と同じ側で露出し、しかも、該取っ手シート23の中央部分(非固着部分)の表面に該中央部分が取っ手であることを視認させるための案内表示部27が設けられていることから、取っ手としての役目を果たす取っ手シート23の中央部分(非固着部分)を簡単に見つけることができる。しかも、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)と張出部分22aとの間には先に述べたように部分的な隙間が形成されていることから、両者の間に指先を挿入する作業は簡単、且つ、的確に行える。
【0055】
そして、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)を把持し、収納済み袋を持ち上げる。取っ手シート23が横長矩形状を成していることやその中央部分(非固着部分)が変形し易いことから、取っ手シート23の中央部分を把持して収納済み袋を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに該取っ手シート23の中央部分は指先の内側や手のひらに面接触するような状態となる。依って、取っ手シート23の中央部分を把持して収納済み袋を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手シート23の中央部分が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じることはないし、該収納済み袋を安定した状態で持ち上げたり運ぶことができる。
【符号の説明】
【0056】
10,10-1,10-2…収納袋、11…一方シート、12…他方シート、12a…張出部分、13…取っ手シート、13a,13b…固着領域、13a1,13b1…傾斜縁、14a,14b,14c,14d…シール部、15…収納部、16…案内表示部、CO…内容物、10’…収納済み袋、20…収納袋、21…一方シート、22…他方シート、22a…張出部分、23…取っ手シート、23a,23b…固着領域、24…底シート、25b,25b,25c…シール部、26…収納部、27…案内表示部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、取っ手付きの収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
腕力が乏しい者にとって持ち運びが困難な重量を有する収納済み袋(収納袋の収納部内に内容物を収納して封をしたものを指す)、例えば米等の穀物や培養土等の園芸土が収納された収納済み袋には、該収納済み袋の持ち運びが容易に行えるように取っ手(手で把持する部分を言う)が設けられているものがある。
【0003】
図1(A)は前記収納袋の一従来形態を示す(特許文献1を参照)。この収納袋100は、矩形状を成す2枚のシート101及び102から構成されている。重なり合う2枚のシート101及び102(以下、一方シート201と他方シート202と言う)の上側と左側と右側にはそれぞれシール部(103a、103b及び103c)がヒートシールによって形成されていて、該シール部(103a、103b及び103c)によってコ字形状に囲まれた下縁開口の収納部104(内容物収納用の収納部104)が一方シート101と他方シート102との間に形成されている。また、上側シール部103aの中央には、一方シート101及び他方シート102を貫通する略横長矩形状の取っ手孔105が設けられている。つまり、この収納袋100にあっては、上側シール部103aの取っ手孔105の上側部分が取っ手としての役目を果たす。
【0004】
前記収納袋100は、収納部104内に下縁開口を通じて内容物COを収納した後、一方シート101と他方シート102の下側にシール部(103d)をヒートシールによって形成して封をすることによって、図1(B)に示す収納済み袋100’となる。この収納済み袋100’を持ち運ぶときには、図1(B)に示すように、陳列されている収納済み袋100’の上側シール部103aの取っ手孔105に指先を差し込み、該取っ手孔105の上側部分(取っ手相当部分)を把持して収納済み袋100’を持ち上げる。
【0005】
図2(B)は前記収納袋の他の従来形態を示す(特許文献2及び3を参照)。この収納袋200は、矩形状を成す2枚のシート201及び202と、横長矩形状を成す1枚の取っ手シート207と、から構成されている。重なり合う2枚のシート201及び202(以下、一方シート201と他方シート202と言う)の上側と左側と右側にはそれぞれシール部(204a、204b及び204c)がヒートシールによって形成されていて、該シール部(204a、204b及び204c)によってコ字形状に囲まれた下縁開口の収納部205(内容物収納用の収納部205)が一方シート201と他方シート202との間に形成されている。また、上側シール部204aの中央には、その上縁から収納部205の手前に至る非シール領域204a1が設けられ、該上側シール部204a内には、一方シート201と他方シート202との間に挟まれるようにして取っ手シート203が介装されている。取っ手シート203の左端部203a及び右端部203bは上側シール部204aのシール領域内に位置していて一方シート201と他方シート202にヒートシールによって固着されているが、該取っ手シート203の中央部分は上側シール部204aの非シール領域204a1内に位置しているため一方シート201と他方シート202には固着されていない。つまり、この収納袋200にあっては、上側シール部204a内に存する取っ手シート203の中央部分が取っ手としての役目を果たす。
【0006】
前記収納袋200は、収納部205内に下縁開口を通じて内容物COを収納した後、一方シート201と他方シート202の下側部分にシール部(204d)をヒートシールによって形成して封をすることによって、図2(B)に示す収納済み袋200’となる。この収納済み袋200’を持ち運ぶときには、図2(B)に示すように、先ず、陳列されている収納済み袋200’の上側シール部204aの非シール領域204a1内に指先を挿入して、一方シート201と他方シート202との間から取っ手シート203の中央部分(取っ手相当部分)を引っ張り出す。そして、引っ張り出した取っ手シート203の中央部分の下側に指先を差し込み、該中央部分(取っ手相当部分)を把持して収納済み袋200’を持ち上げる。
【0007】
ところで、図1(A)に示した収納袋100にあっては、上側シール部103aの取っ手孔105の上側部分(取っ手相当部分)を把持して収納済み袋100’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手孔105の上側部分の下縁が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じるといった不具合がある。
【0008】
また、図2(A)に示した収納袋200にあっては、取っ手シート203の中央部分(取っ手相当部分)が上側シール部204aの非シール領域204a1内に位置しているため、説明書き等を十分に読んでからでないと引っ張り出すべき該中央部分を見つけることが難しいといった不具合がある。しかも、取っ手シート203の中央部分(取っ手相当部分)は非シール領域204a内において一方シート201と他方シート202との間に挟まれるようにして介装されているため、該中央部分を見つけても、手先が器用でない者にあっては該中央部分を一方シート201と他方シート202との間から引っ張り出すことは難しく、且つ、時間がかかるといった不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−308214号公報
【特許文献2】特許第4101274号公報
【特許文献3】特許第4253774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、収納済み袋を持ち運ぶときに指先の内側や手のひらに痛みを感じることがなく、しかも、収納済み袋を持ち運ぶに際しての作業を簡単、且つ、的確に行える収納袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、重なり合う2枚のシートの間にシール部によって囲まれた内容物収納用の収納部を有する収納袋であって、2枚のシートのうちの他方シートは一方シートの外縁よりも外側に張り出した張出部分を一体に有しており、該他方シートの張出部分の一方シート側の面には横長矩形状の取っ手シートが重なり合い、且つ、その両端部を固着されていて、該取っ手シートは一方シートと同じ側で露出している、ことを特徴とする。
【0012】
この収納袋によれば、取っ手シートが一方シートと同じ側で露出していることから、取っ手としての役目を果たす取っ手シートの中央部分(非固着部分)を簡単に見つけることができる。しかも、収納済み袋(収納袋の収納部内に内容物を収納して封をしたものを指す)を陳列した状態では、該収納済み袋の他方シートの張出部分と取っ手シートには皺や折り目が生じ、これによって取っ手シートの中央部分(非固着部分)と張出部分との間には部分的な隙間が生じるため、両者の間に指先を挿入する作業を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0013】
また、取っ手シートが横長矩形状を成していることやその中央部分(非固着部分)が変形し易いことから、取っ手シートの中央部分を把持して収納済み袋を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに該取っ手シートの中央部分は指先の内側や手のひらに面接触するような状態となる。つまり、取っ手シートの中央部分を把持して収納済み袋を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手シートの中央部分が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じることはないし、該収納済み袋を安定した状態で持ち上げたり運ぶことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、収納済み袋を持ち運ぶときに指先の内側や手のひらに痛みを感じることがなく、しかも、収納済み袋を持ち運ぶに際しての作業を簡単、且つ、確実に行える収納袋を提供することができる。
【0015】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(A)は一従来形態を示す収納袋の側面図、図1(B)は図1(A)に示した収納袋に内容物を収納した収納済み袋を持ち運ぶ際の作業を説明するための図である。
【図2】図2(A)は他の従来形態を示す収納袋の側面図、図2(B)は図2(A)に示した収納袋に内容物を収納した収納済み袋を持ち運ぶ際の作業を説明するための図である。
【図3】図3は本発明を三方袋に適用した実施形態を示す収納袋の側面図である。
【図4】図4は図3に示した収納袋の分解斜視図である。
【図5】図5は図4に示した一方シートと取っ手シートの作成方法を説明するための図である。
【図6】図6(A)は図3に示した取っ手シートの固着領域の形状詳細を示す図、図6(B)は図6(A)に示した固着領域の形状変形例を示す図である。
【図7】図7は図3に示した収納袋に内容物を収納して封をしたもの(収納済み袋)の側面図である。
【図8】図8は図7に示した収納済み袋を横向きに陳列した状態を示す図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は図7に示した収納済み袋を持ち運ぶ際の作業を説明するための図である。
【図10】図10は図3に示した取っ手シートの固着領域が有する傾斜縁の傾斜角度の適正範囲を確認するための試験結果を示す図である。
【図11】図11(A)と図11(B)は図3に示した収納袋の変形形態をそれぞれ示す収納袋の側面図である。
【図12】図12は本発明をスタンディング袋(スタンドパウチ)に適用した実施形態を示す収納袋の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3は本発明を三方袋に適用した実施形態を示す。この収納袋10は、矩形状を成す2枚のシート11及び12(以下、一方シート11と他方シート12と言う)と、横長矩形状を成す取っ手シート13と、から構成されている。
【0018】
重なり合う一方シート11と他方シート12の上側と左側と右側にはそれぞれシール部(14a、14b及び14c)がヒートシールによって形成されていて、該シール部(14a、14b及び14c)によってコ字形状に囲まれた下縁開口の収納部15(内容物収納用の収納部15)が一方シート11と他方シート12との間に形成されている。
【0019】
また、他方シート12は一方シート11の上縁よりも外側に張り出した横長矩形状の張出部分12aを一体に有しており、該他方シート12の張出部分12aの一方シート11側の面には横長矩形状の取っ手シート13が重なり合い、且つ、その左端部13a及び右端部13bをヒートシールによって固着されていて、該取っ手シート13は一方シート11と同じ側で露出している(以下、左端部13aの固着領域を同一符号を利用して左側固着領域13aと言い、右端部13bの固着領域を同一符号を利用して右側固着領域13bと言う)。
【0020】
さらに、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の表面には、該中央部分が取っ手であることを視認させるために「ここをお持ち下さい」等の案内表示部16が設けられている。つまり、この収納袋10にあっては、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)が取っ手としての役目を果たす。
【0021】
図4は前記収納袋10を分解した様子を示す。一方シート11、他方シート12及び取っ手シート13は、ヒートシール可能なフィルムを片面に有するラミネートフィルム、例えば2軸延伸のナイロンフィルム(厚さが約15μm)と未延伸のポリエチレンフィルム(厚さが約50μm)をドライラミネートした2層ラミネートフィルムから成る。勿論、ヒートシール可能なフィルムを片面に有するラミネートフィルムであれば、材質や層数を問わず各シート11,12及び13として利用できる。
【0022】
また、同図から分かるように、一方シート11は所定の左右寸法W11と上下寸法L11を有し、他方シート12はW11と同じ左右寸法W12とL11よりも大きな上下寸法L12を有し、取っ手シート13はW11と同じ左右寸法W13と(L12−L11)に合致した上下寸法L13を有する。一方シート11はその左縁,右縁及び下縁が他方シート12の左縁,右縁及び下縁と一致するように重なり合っているため、該他方シート12の上縁は一方シート11の上縁よりも(L12−L11)だけ外側に張り出している。つまり、この外側に張り出した部分が前記張出部分12aと成る。また、取っ手シート13はその左縁,右縁及び上縁が他方シート12の張出部分12aの左縁,右縁及び上縁と一致するように重なり合っているため、該取っ手シート13は一方シート11には重なっておらず、且つ、該張出部分12aから外側に張り出していない。
【0023】
図5は前記一方シート11及び取っ手シート13の作成方法を示すもので、該一方シート11及び取っ手シート13は、単一シートBSを2つのシートに切り分けたものから成る。詳しくは、他方シート12の上下寸法L12と同じ幅寸法を有する単一シートBSを図中矢印方向に走行させながら、一方シート11の上下寸法L11と取っ手シート13の上下寸法L13との境界に当たる位置に切断刃CUを当てて該単一シートBSを2つのシートに切り分ける。つまり、この切り分けられた2つのシートを一方シート11の左右寸法W11及び取っ手シート13の左右寸法W13を規定するライン(図中の2点鎖線を参照)で切断すれば、前記一方シート11及び取っ手シート13を得ることができる。
【0024】
因みに、他方シート12の上下寸法L12と同じ幅寸法を有する別シートを用意し、該別シート上に2つのシートに切り分けられた単位シートBSを重ね合わせて所期のヒートシールを行い、この後に前記切断を行えば、該切断によっって前記収納袋10に相当するものを得ることもできる。
【0025】
図6(A)は前記取っ手シート13の左側固着領域13aと右側固着領域13bの形状詳細を示す。尚、右側固着領域13bは左側固着領域13aと線対称形であるため、その図示を省略してある。同図から分かるように、両固着領域13a及び13bは強度的に十分な面積を持つ5角形を成していて、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)側に「取っ手シート13の下縁と鋭角(傾斜角度θ)を成す傾斜縁13a1及び13b1」と「取っ手シート13の上縁と直角を成す非傾斜縁13a2及び13b2」を有している。
【0026】
図6(B)は図6(A)に示した左側固着領域13aと右側固着領域13bの形状変形例を示す。尚、右側固着領域13bは左側固着領域13aと線対称形であるため、その図示を省略してある。同図から分かるように、両固着領域13a及び13bは強度的に十分な面積を持つ4角形を成していて、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)側に「取っ手シート13の下縁と鋭角(傾斜角度θ)を成す傾斜縁13a1及び13b1」のみを有しており、図6(A)に示したような「取っ手シート13の上縁と直角を成す非傾斜縁13a2及び13b2」は有していない。
【0027】
図6(A)に示した固着領域13a及び13bの形状と図6(B)に示した固着領域13a及び13bの形状の使い分けや、各々の傾斜角度θ等については後に詳述する。
【0028】
前記収納袋10は、収納部15内に下縁開口を通じて内容物CO、例えば米等の穀物や培養土等の園芸土を収納した後、一方シート11と他方シート12の下側にシール部(14d)をヒートシールによって形成して封をすることによって、図7に示す収納済み袋10’となる。
【0029】
この収納済み袋10’は、例えば、一方シート11と取っ手シート13が上を向くように上下方向に積み重ねられて陳列されるか(図8を参照)、或いは、一方シート11と取っ手シート13が前を向くように前後方向に並べて陳列される。収納部15内に内容物COが収納されている影響等から、陳列された収納済み袋10’の各シール部(14a、14b、14c及び14d)に加えて他方シート12の張出部分12aと取っ手シート13にも皺や折り目が生じ、これによって取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間には部分的な隙間CLが生じる。
【0030】
陳列されている収納済み袋10’を持ち運ぶときには、図9(A)に示すように、先ず、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間に指先を挿入する。取っ手シート13が一方シート11と同じ側で露出し、しかも、該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の表面に該中央部分が取っ手であることを視認させるための案内表示部16が設けられていることから、取っ手としての役目を果たす取っ手シート13の中央部分(非固着部分)を簡単に見つけることができる。しかも、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間には先に述べたように部分的な隙間CLが形成されていることから、両者の間に指先を挿入する作業は簡単、且つ、的確に行える。
【0031】
そして、図9(B)に示すように、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)を把持し、収納済み袋10’を持ち上げる。取っ手シート13が横長矩形状を成していることやその中央部分(非固着部分)が変形し易いことから、取っ手シート13の中央部分を把持して収納済み袋10’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに該取っ手シート13の中央部分は指先の内側や手のひらに面接触するような状態となる。因みに、取っ手シート13の中央部分を指先の内側や手のひらに面接触するような状態とするのに効果的な取っ手シート13の上下寸法L13(図4を参照)は40〜80mmである。依って、取っ手シート13の中央部分を把持して収納済み袋10’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手シート13の中央部分が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じることはないし、該収納済み袋10’を安定した状態で持ち上げたり運ぶことができる。
【0032】
ここで、図6(A)に示した固着領域13a及び13bの形状と図6(B)に示した固着領域13a及び13bの形状の使い分けや、各々の傾斜角度θ等について説明する。
【0033】
図6(A)に示した固着領域13a及び13bの形状は、取っ手シート13の左右寸法W13(図4を参照)が小さい場合に有利である。つまり、取っ手シート13の左右寸法W13が小さい場合には必然的に該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の左右寸法も小さくなってしまい、図9(A)を引用して説明した指先の挿入が行い難くなる。しかしながら、「取っ手シート13の上縁と直角を成す非傾斜縁13a2及び13b2」を固着領域13a及び13bに設けておけば、図6(B)に示した固着領域13a及び13bの形状に比べて該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の左右寸法を拡大できるため、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間に指先を挿入する作業が行い易くなる。
【0034】
また、図6(B)に示した固着領域13a及び13bの形状は、取っ手シート13の左右寸法W13(図4を参照)が大きい場合に有利である。つまり、取っ手シート13の左右寸法W13が大きい場合には「取っ手シート13の上縁と直角を成す非傾斜縁13a2及び13b2」を設けなくても、該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の左右寸法を十分に確保できるため、取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間に指先を挿入する作業が行い易くなる。
【0035】
図10は、前記取っ手シート13の固着領域13a及び13bが有する傾斜縁13a1及び13b1の傾斜角度θ(degree)の適正範囲を確認するための試験結果を示す。ここでの試験は、他方シート12と同じラミネートフィルムから成る100mm角の第1サンプルシートと取っ手シート13と同じラミネートフィルムから成る50mm幅の第2サンプルシートを用意し、第2サンプルシートを図6(B)に示した固着領域と同じ形状で第1サンプルシートに固着した試験サンプルを準備した。そして、準備した試験サンプルの第2サンプルシートを傾斜縁に沿って折り曲げて、該第2サンプルシートと第1サンプルシートとに直線的な引っ張り荷重を加えて、固着領域が破壊したときの最大荷重N(newton)の測定を、固着領域の面積を変えずに傾斜縁の傾斜角度θ(degree)のみを変えて行った。
【0036】
試験結果を述べれば、傾斜角度θが90度のとき(非傾斜のとき)には約25Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが80度のときには約30Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが70度のときには約100Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが60度のときには約200Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが45度のときには約290Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが35度のときには約230Nで固着領域に破壊を生じ、傾斜角度θが25度のときには約120Nで固着領域に破壊を生じた。これら数値をグラフに表すと図10のようになり、最大荷重N(newton)は傾斜角度θが90度未満になると45度に達するまで略比例的に増加し、45度を超えると略比例的に減少することが分かる。
【0037】
また、第2サンプルシートと第1サンプルシートとに直線的な引っ張り荷重を加えたときの様子を観察すると、固着領域の破壊は該固着領域の傾斜縁の端(図6(A)及び図6(B)に示した固着領域13a及び13bの傾斜縁13a1及び13b1の下端に相当)から生じる。また、傾斜角度θが鋭角の範囲にあるときには、固着領域の傾斜縁が引っ張り荷重を受け止めるような作用を生じる。
【0038】
この試験結果や観察結果から考察するに、図6(A)及び図6(B)に示した固着領域13a及び13bの傾斜縁13a1及び13b1の傾斜角度θは鋭角範囲内、特に70度〜25度の範囲内であることが好ましいと言える。つまり、傾斜角度θを鋭角範囲内、好ましくは70度〜25度の範囲内とすれば、傾斜縁13a1及び13b1によって引っ張り荷重に対する十分な耐久性を確保できるので、内容物COの重量が2kg以上の収納済み袋10’であっても取っ手シート13の中央部分を把持しての持ち運びを的確に行える。
【0039】
このように、前記収納袋10によれば、取っ手シート13が一方シート11と同じ側で露出し、しかも、該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)の表面に該中央部分が取っ手であることを視認させるための案内表示部16が設けられていることから、取っ手としての役目を果たす取っ手シート13の中央部分(非固着部分)を簡単に見つけることができる。
【0040】
また、収納済み袋10’(収納袋10の収納部15内に内容物COを収納して封をしたものを指す)を陳列した状態では、該収納済み袋10’の他方シート12の張出部分12aと取っ手シート17には皺や折り目が生じ、これによって取っ手シート13の中央部分(非固着部分)と張出部分12aとの間には部分的な隙間CLが生じるため、両者の間に指先を挿入する作業を簡単、且つ、的確に行うことができる。
【0041】
さらに、取っ手シート13が横長矩形状を成していることやその中央部分(非固着部分)が変形し易いことから、取っ手シート13の中央部分を把持して収納済み袋10’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに該取っ手シート13の中央部分は指先の内側や手のひらに面接触するような状態となる。つまり、取っ手シート13の中央部分を把持して収納済み袋10’を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手シート13の中央部分が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じることはないし、該収納済み袋10’を安定した状態で持ち上げたり運ぶことができる。
【0042】
さらに、取っ手シート13の両端部の固着領域13a及び13bは、該取っ手シート13の中央部分(非固着部分)側に「取っ手シート13の下縁と鋭角(傾斜角度θ)を成す傾斜縁13a1及び13b1」を有しており、該傾斜縁13a1及び13b1によって引っ張り荷重に対する十分な耐久性を確保できるので、内容物COの重量が2kg以上の収納済み袋10’であっても取っ手シート13の中央部分を把持しての持ち運びを的確に行うことができる。
【0043】
尚、前記収納袋10は、下縁開口の収納部15を有するが、内容物COを収納する前の形成するシール部の位置を変更することによって、下縁以外の位置に開口を有する収納部を形成しても良い。例えば、図11(A)に示すように、一方シート11と他方シート12の左側と右側と下側にそれぞれシール部(14b、14c及び14d)を形成することによって、上縁に開口を有する収納部15を形成しても良いし、図11(B)に示すように、一方シート11と他方シート12の上側と左側と下側にそれぞれシール部(14a、14b及び14d)を形成することによって、右縁に開口を有する収納部15を形成しても良い。このような収納袋であっても開口を通じて収納部内に内容物COを収納することができるし、内容物COを収納した後に開口位置にシール部を形成して封をすれば前記同様の収納済み袋を得ることができる。
【0044】
また、前記収納袋10を用いて作成された収納済み袋10’は収納部15の周囲をシール部によって矩形枠状に囲まれるが、外気との通気が必要な内容物CO、例えば米等の穀物を収納部15内に収納する場合には、複数の貫通孔を有する不織布等から成る通気性シートをシール部の少なくとも一部に介装して該複数の貫通孔を通じて一方シート11と他方シート12とのヒートシールを行うようにしても良い。このようにすれば、シール部に介装された通気性シートを通じて、内容物COを収納した収納部15内と外気との通気を行うことができる。
【0045】
以上、実施形態として本発明を三方袋に適用したものを説明したが、本発明は三方袋以外の各種収納袋に適用可能であり、該適用によって前記と同様の作用及び効果を得ることができる。その一例を図12を引用して説明する。
【0046】
図12は本発明をスタンディング袋(スタンドパウチ)に適用した実施形態を示すもので、該収納袋20は、矩形状を成す2枚のシート21及び22(以下、一方シート21と他方シート22と言う)と、横長矩形状を成す取っ手シート23と、矩形状を成す底シート24と、から構成されている。
【0047】
重なり合う一方シート21と他方シート22の左側と右側と下側にはそれぞれシール部(25b、25c及び25d)がヒートシールによって形成されていて、該シール部(25b、25c及び25d)によってコ字形状に囲まれた上縁開口の収納部26(内容物収納用の収納部26)が一方シート11と他方シート12との間に形成されている。
【0048】
底シート24は2つ折りされたものが一方シート11と他方シート12との間の下側に配置されており、該底シート24の左側は互いがヒートシールによって固着されると共に一方シート11と他方シート12に固着され(符号25b1を参照)、該底シート24の右側は互いがヒートシールによって固着されると共に一方シート11と他方シート12に固着されている(符号25c1を参照)。前記下側シール部25dは、一方シート21と底シート24とが固着された部分と、他方シート22と底シート24とが固着された部分とによって構成されている。つまり、一方シート21と他方シート22の下側部分は底シート24を介して広げることが可能であり、該広がりを利用してのスタンディングが可能となっている。
【0049】
また、他方シート22は一方シート21の上縁よりも外側に張り出した横長矩形状の張出部分22aを一体に有しており、該他方シート22の張出部分22aの一方シート11側の面には横長矩形状の取っ手シート23が重なり合い、且つ、その左端部23a及び右端部23bをヒートシールによって固着されていて、該取っ手シート23は一方シート21と同じ側で露出している。
【0050】
さらに、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)の表面には、該中央部分が取っ手であることを視認させるために「ここをお持ち下さい」等の案内表示部27が設けられている。つまり、この収納袋20にあっては、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)が取っ手としての役目を果たす。
【0051】
因みに、一方シート21、他方シート22及び取っ手シート23がラミネートフィルムから成ることやこれらの寸法は図3に示した収納袋と同じであり、取っ手シート23の固着形状も図3に示した収納袋と同じである。また、底シート24も一方シート21、他方シート22及び取っ手シート23と同様のラミネートフィルムから成り、一方シート11の左右寸法W11と同じ左右寸法を有している。
【0052】
前記収納袋20は、収納部26内に上縁開口を通じて内容物、例えば米等の穀物や培養土等の園芸土を収納した後、一方シート21と他方シート22の上側にシール部(25a、図示省略)をヒートシールによって形成して封をすることによって収納済み袋となる。
【0053】
この収納済み袋は、一方シート21と他方シート22の下側部分は底シート24を介して広がることによってスタンディングが可能であるため、例えば、一方シート21と取っ手シート23が前を向くように自立させた状態で陳列される。収納部26内に内容物が収納されている影響等から、陳列された収納済み袋の他方シート22の張出部分22aと取っ手シート23にも皺や折り目が生じ、これによって取っ手シート23の中央部分(非固着部分)と張出部分22aとの間には部分的な隙間が生じる。
【0054】
陳列されている収納済み袋を持ち運ぶときには、先ず、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)と張出部分22aとの間に指先を挿入する。取っ手シート23が一方シート21と同じ側で露出し、しかも、該取っ手シート23の中央部分(非固着部分)の表面に該中央部分が取っ手であることを視認させるための案内表示部27が設けられていることから、取っ手としての役目を果たす取っ手シート23の中央部分(非固着部分)を簡単に見つけることができる。しかも、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)と張出部分22aとの間には先に述べたように部分的な隙間が形成されていることから、両者の間に指先を挿入する作業は簡単、且つ、的確に行える。
【0055】
そして、取っ手シート23の中央部分(非固着部分)を把持し、収納済み袋を持ち上げる。取っ手シート23が横長矩形状を成していることやその中央部分(非固着部分)が変形し易いことから、取っ手シート23の中央部分を把持して収納済み袋を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに該取っ手シート23の中央部分は指先の内側や手のひらに面接触するような状態となる。依って、取っ手シート23の中央部分を把持して収納済み袋を持ち上げるときや持ち上げ後に運ぶときに、該取っ手シート23の中央部分が指先の内側や手のひらに食い込んで痛みを感じることはないし、該収納済み袋を安定した状態で持ち上げたり運ぶことができる。
【符号の説明】
【0056】
10,10-1,10-2…収納袋、11…一方シート、12…他方シート、12a…張出部分、13…取っ手シート、13a,13b…固着領域、13a1,13b1…傾斜縁、14a,14b,14c,14d…シール部、15…収納部、16…案内表示部、CO…内容物、10’…収納済み袋、20…収納袋、21…一方シート、22…他方シート、22a…張出部分、23…取っ手シート、23a,23b…固着領域、24…底シート、25b,25b,25c…シール部、26…収納部、27…案内表示部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重なり合う2枚のシートの間にシール部によって囲まれた内容物収納用の収納部を有する収納袋であって、
2枚のシートのうちの他方シートは一方シートの外縁よりも外側に張り出した張出部分を一体に有しており、該他方シートの張出部分の一方シート側の面には横長矩形状の取っ手シートが重なり合い、且つ、その両端部を固着されていて、該取っ手シートは一方シートと同じ側で露出している、
ことを特徴とする収納袋。
【請求項2】
取っ手シートの両端部の固着領域は、該取っ手シートの非固着の中央部分側に、取っ手シートの下縁と鋭角を成す傾斜縁を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納袋。
【請求項3】
取っ手シートの非固着の中央部分の表面には、該中央部分が取っ手であることを視認させるための案内表示部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の収納袋。
【請求項4】
一方シートと取っ手シートは、単一シートを2つのシートに切り分けたものから成る、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の収納袋。
【請求項1】
重なり合う2枚のシートの間にシール部によって囲まれた内容物収納用の収納部を有する収納袋であって、
2枚のシートのうちの他方シートは一方シートの外縁よりも外側に張り出した張出部分を一体に有しており、該他方シートの張出部分の一方シート側の面には横長矩形状の取っ手シートが重なり合い、且つ、その両端部を固着されていて、該取っ手シートは一方シートと同じ側で露出している、
ことを特徴とする収納袋。
【請求項2】
取っ手シートの両端部の固着領域は、該取っ手シートの非固着の中央部分側に、取っ手シートの下縁と鋭角を成す傾斜縁を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納袋。
【請求項3】
取っ手シートの非固着の中央部分の表面には、該中央部分が取っ手であることを視認させるための案内表示部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の収納袋。
【請求項4】
一方シートと取っ手シートは、単一シートを2つのシートに切り分けたものから成る、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の収納袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−219133(P2011−219133A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90464(P2010−90464)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000208226)大和グラビヤ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000208226)大和グラビヤ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
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