説明

収納装置

【課題】収納体に収納された被収納物を、収納体ごとまとめて取り出しまとめて戻すことができ、さらに、安全性、取扱い性、清掃性などに優れた収納装置の提供を目的とする。
【解決手段】収納装置は、スライドする載置板2と、この載置板2に取外し自在に載置され、スライド方向及びこのスライド方向と直交する方向に対する、四本の脚及び突出部を有する収納体3と、載置板2の先端部に設けられた前板4とを具備し、脚が載置板2の側板を挟むように係止し、かつ、突出部が載置板2の長孔に係入する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に関し、特に、システムキッチンなどに用いられ、収納体に収納した調味料などを、収納体ごと食卓に移動でき、さらに、使用後は、収納体ごと収納できる、安全性、取扱い性、清掃性などに優れた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチン等に設けられる収納装置は、その使用頻度が極めて多いことから、取扱い性、安全性、収納性などを向上させることが要求されてきた。
また、上記収納装置は、通常、構成要素がほぼ定まっており、かつ、販売価格が高額にならないように、構成要素の点数も限定されている。そのため、収納装置のメーカは、構成要素の点数が限定され、かつ、単純な(廉価な)構造が要求される各構成要素に対して、きめ細かな工夫を施すことにより、取扱い性や収納性などを向上させ、購買意欲を刺激する様々な収納装置を開発してきた。
【0003】
たとえば、実用新案文献1には、摺動台を介してスライドされる皿台に設けられた側枠に、収納棚を係合吊設したスライドラックの技術が開示されている。
また、実用新案文献2には、スライドされる二本の棒材に、引掛部を有するトレイを引掛係止する引き出し体へのトレイ取り付け構造の技術が開示されている。
なお、上記収納棚やトレイは、被収納体を収納した状態でも、側枠や棒材から着脱自在な構造としてある。これにより、ユーザは、収納棚やトレイに収納された被収納物を、収納棚やトレイごとまとめて取り出すことができる。
【特許文献1】実開平2−145128号公報
【特許文献2】実開平2−149535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実用新案文献1、2の技術は、収納棚やトレイを取り外したり取り付ける際、収納棚やトレイの高さに応じた距離だけ、収納棚やトレイを上下方向に移動させる必要があり、取扱い性が悪いといった問題があった。このことは、収納棚やトレイに収納された被収納物を、収納棚やトレイごとまとめて取り出し、まとめて戻したいユーザにとっては、全く不便であった。
また、実用新案文献2の技術は、二つのトレイを並べることにより、スライド方向の位置決めが行われる構成となっているので、一つのトレイを取り出し、もう一つのトレイだけが取り付けられた状態では、取り付けられた一つのトレイがスライド方向に移動してしまい、安全性に欠けるといった問題があった。
【0005】
さらに、実用新案文献1の技術は、たとえば、被収納体から液体が漏れると、漏れた液体が皿台に付着してしまい、この付着した液体を拭き取る際の清掃性が悪いといった問題があった。
また、実用新案文献2の技術は、たとえば、被収納体から液体が漏れると、漏れた液体がトレイの底に付着し、トレイの底が深いために、この付着した液体を拭き取る際の清掃性が悪いといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記諸問題を解決すべく、収納体に収納された被収納物を、収納体ごとまとめて取り出し、まとめて戻すことができ、さらに、開閉する際に収納体の移動や転倒を防止するといった安全性、取扱い性、清掃性などに優れた収納装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の収納装置は、スライドする載置板と、この載置板に取外し自在に載置され、スライド方向及びこのスライド方向と直交する方向に対する係止部を有する収納体と、載置板の先端部に設けられた前板とを具備した構成としてある。
本発明は、載置板が、スライド方向に延びた長孔の形成された矩形平板を有し、かつ、収納体が、係止部として、載置板のスライド方向に沿って対向する一対の側面に係止する二つ以上の脚、及び、長孔に係入される突出部を有するとよい。この場合、収納体を棒状体で形成し、その一部を曲折して長孔に係入される突出部とすることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、システムキッチンの発明としても有効であり、本発明のシステムキッチンは、請求項1〜7のいずれか一項に記載の収納装置が、端部の狭い空間に取り付けられた構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明における収納装置によれば、収納体に収納された被収納物を、収納体ごとまとめて取り出し、まとめて戻すことができ、さらに、安全性、取扱い性、清掃性などを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態にかかる収納装置を説明するための概略側面図を示している。
また、図2は、本発明の一実施形態にかかる収納装置を説明するための概略平面図を示している。
また、図3は、本発明の一実施形態にかかる収納装置を説明するための概略正面図を示している。
さらに、図4は、本発明の一実施形態にかかる収納装置を説明するための概略斜視図を示している。
図1、2、3、4において、本実施形態の収納装置は、システムキッチン10に取り付けられる収納装置としてあり、ガイドレール1、載置板2、収納体3、前板4及び接合手段5などを具備している。
なお、図1,2,3,4において、内部構造が理解しやすいように、前板4やシステムキッチン10を点線で図示してある。
【0011】
<ガイドレール>
図5は、本発明の一実施形態にかかる収納装置のガイドレールを説明するための要部の概略斜視図を示している。
図1〜5において、ガイドレール1は、レール11及びベース12などを有している。
ベース12は、ほぼL字状に折り曲げられた細長い一対の板部材であり、システムキッチン10の対向する側面に、それぞれ固定されている。
また、二本のレール11は、溝型に折り曲げられた細長い板部材であり、それぞれ各ベース12にスライド自在に装着されている。レール11は、上面のスライド閉方向側に、載置板2の主板21を挟むように係止する係止片111が形成されており、また、上面のスライド開方向側に、載置板2を螺着するための雌ねじ112が切られている。
なお、本実施形態のガイドレール1は、減速手段を備えており、勢いよく閉められた場合であっても、レール11が減速されるので、被収容物(図示せず)などに衝撃が加わるといった不具合を防止する。
【0012】
<載置板>
図6は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の載置板を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は側面図を示しており、(c)は正面図を示している。
図1〜6において、載置板2は、収納体3が載置される板状部材であり、プレス加工により成形される金属板としてある。この載置板2は、一対のレール11に対応したほぼ細長い矩形状の主板21と、主板21の長手方向に沿った両縁部から下方に折り曲げられた一対の側板22と、主板21のスライド閉方向側の縁部から上方に折り曲げられたガード板23とからなっている。また、載置板2は、ガイドレール1のレール11に固定され、スライド方向に自在にスライドする。
【0013】
主板21は、一対のレール11の係止片111に対応する位置に、矩形状の開口部211が形成されている。また、収納体3の載置位置に対応するほぼ中央部の二箇所に、スライド方向に延びた長孔212が形成されている。また、一対のレール11の雌ねじ112に対応する位置に、スライド方向と直交する方向に延びたねじ用長孔213が形成されている。さらに、スライド開方向側の両角部近傍に、接合手段5の基部51を螺着するための雌ねじ214が切られている。
また、主板21は、平板状としてあるので、清掃性に優れており、たとえば、角部に汚れが付着するといった不具合を防止することができる。
【0014】
側板22は、所定の幅を有する細長い矩形状である。後述する収納体3の脚341は、この一対の側板22の表面を挟むように係止する。すなわち、脚341が長く、かつ、側板22の幅が広いほど、収納体3を倒そうとする外力に対する転倒抑止力を増加させることができるので、脚341などの長さを調整することにより、被収納物の重量などに応じた転倒抑止力を容易に得ることができる。
また、ガード板23は、細長い矩形状としてあり、異物などが主板21を転がって、システムキッチン10の内部に侵入するのを効果的に防止する。
なお、本実施形態の載置板2は、薄い金属板をプレス加工することにより、所定の幅を有する側板22を形成する構成としてあるが、この構成に限定されるものではない。たとえば、載置板2の代わりに、所定の厚さを有する矩形平板を用いても、被収納物の重量などに応じた転倒抑止力を得ることができる。
【0015】
<収納体>
図7は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の収納体を説明するための概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は側面図を示しており、(c)は正面図を示している。
図1〜7において、収納体3は、金属製の丸棒からなる骨組構造を有しており、一つのベース骨組31、一つのスライド方向ガイド32、二つの周方向ガイド33、二本の脚棒34、及び、一本の係止棒35などを有している。このようにすると、収納体3の軽量化を図るとともに、収納体3の美観を向上させることができる。
【0016】
ベース骨組31は、スライド方向と直交する方向に沿って、対向するように設けられた一対の直線状の底棒311と、金属棒を下方に向かって溝型に折り曲げた一対のサイドガード312とを有している。このベース骨組31は、通常、まず一本の金属棒を折り曲げて細長い矩形環状体を形成し、次に、この矩形環状体の長手方向の両端部を上方に折り曲げ、さらに、端部どうしを接合することによって形成される。
また、スライド方向ガイド32は、通常、まず一本の金属棒を折り曲げて細長い矩形環状体(短手方向の距離が、底棒311の長さのほぼ半分である細長い矩形環状体)を形成し、次に、この矩形環状体の長手方向の両端部を上方に折り曲げ(この折り曲げ部の高さは、底棒311から下段の周方向ガイド33までの距離の約半分としてある。)、さらに、端部どうしを接合することによって形成される。このスライド方向ガイド32は、長手方向の金属棒が、底棒311と直交する向きに、底棒311上に載置された状態で、底棒311と接合される。
【0017】
係止棒35は、直線状の丸棒の中央部が下方に向かってほぼ半円状に湾曲しており、この湾曲した突出部351が、載置板2の長孔212に係入される。また、係止棒35は、両端部がそれぞれ一対の底棒311のほぼ中央部に載置された状態で、底棒311と接合される。
上記突出部351が長孔212に係入されることにより、スライド方向及びこのスライド方向と直交する方向に対して、収納体3が係止され位置決めされる。これにより、たとえば、載置板2を勢いよくスライドさせても、収納体3がスライド方向に移動するといった不具合を防止することができる。
なお、本実施形態では、一本の丸棒に曲折加工を施すことにより、突出部351を有する係止棒35を製造しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、一本の丸棒に、半円状に形成したもう一本の丸棒からなる突出部351を接合してもよい。
【0018】
脚棒34は、直線状の丸棒の両端部が下方に向かって折り曲げられ、さらに、折り曲げられた部分の先端側の両端部が水平方向に折り曲げられた形状としてある。この下方に折り曲げられた部分及びさらに水平方向に折り曲げられた部分からなる脚341が、載置板2の一対の側板22を挟むように係止する。この脚棒34は、底棒311と直交する向きに、一対の底棒311の端部上に載置された状態で、底棒311と接合される。すなわち、本実施形態では、二組の一対の(合計四本の)脚341が、側板22を挟むように係止する。
上記脚341が側板22を挟むように係止することにより、スライド方向と直交する方向に対して、収納体3が係止され位置決めされる。さらに、この脚341は、載置板2上で収納体3を回転させる方向、及び、スライド方向と直交する方向に収納体3を倒そうとする方向に対しても、収納体3を係止し位置決めすることができる。特に、スライド方向と直交する方向に収納体3を倒そうとする方向に対しては、脚341の高さHを調整することにより、所要の転倒抑止力を得ることができる。すなわち、収納体3を取り外したり取り付ける際、距離Hだけ収納体3を上下方向に移動させれるだけでよいので、取扱い性を大幅に向上させることができる。さらに、倒れ防止のカバー(図示せず)などを設ける必要がないので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0019】
上記脚341は、たとえば、収納体3をテーブル上に載置したとき、脚341の水平方向に折り曲げられた部分がテーブルと当接する。すなわち、脚341の水平方向に折り曲げられた部分が、脚体として機能するので、収納体3を安定した状態で、テーブルに載置することができる。
また、脚341は、上方から見ると、周方向ガイド33の内側に収まる構造としてあるので、収納体3を昇降させる際、脚341が隣りの収納体3と接触するといった不具合を防止することができる。
【0020】
また、収納体3の脚341を、ゴムや樹脂などのクッション材からなる保護部材342で被覆するとよい。本実施形態では、保護部材342として、樹脂製のチューブを用いており、このチューブは、該チューブに脚341の水平な先端部分が挿入された状態で、脚341に取り付けられている。このようにすると、たとえば、収納体3に複数の調味料を収納した場合、収納体3を載置板2から取り外し、テーブルなどに直接的に載置しても、テーブルに傷を付けるといった不具合を回避することができる。
また、保護部材342の弾性を利用して、脚341が側板22を適度の力で押圧する構成としてもよく、このようにすると、脚341により係止した際の収納体3のがたつきを抑制でき、また、転倒防止力を向上させることができる。
なお、本実施形態のチューブは、該チューブに脚341の水平な先端部分が挿入された状態で、脚341に取り付けられているが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、チューブが、該チューブに脚341の水平な先端部分及び下方に折り曲げられた垂直な部分が挿入された状態で、脚341に取り付けられてもよい。このようにすると、脚341により係止した際の収納体3のがたつきを抑制でき、また、転倒防止力をさらに向上させることができる。
【0021】
周方向ガイド33は、通常、まず一本の金属棒を折り曲げて細長い矩形環状体(短手方向の距離が、サイドガード312どうしの距離に対応し、長手方向の距離が、スライド方向ガイド32の長手方向の距離とほぼ同じである矩形環状体)を形成し、さらに、端部どうしを接合することによって形成される。この周方向ガイド33は、長手方向の金属棒が、周方向ガイド33に挟まれた状態で、周方向ガイド33に上下二段に接合される。
【0022】
また、収納体3が、収納体3に着脱自在に取り付けられるトレイ36を有するとよい。本実施形態のトレイ36は、図8に示すように、スライド方向ガイド32及びサイドガード312に対応する矩形状の底板361と、この底板361の周縁部に立設された矩形環状の側板362とからなっている。また、トレイ36の材料としては、樹脂、金属、木材などが使用される。このようにすると、たとえば、被収納体が液体調味料などであり、この液体調味料などが漏れた場合であっても、漏れた液体調味量などを受けることができ、さらに、トレイ36を取り外して容易に洗浄することができる。
【0023】
また、収納体3が、収納体3に着脱自在かつ取付け位置を変更自在に取り付けられる仕切り部材37を有するとよい。本実施形態の仕切り部材37は、図9に示すように、両端部が反対方向に約45°折り曲げられた形状の仕切り棒371と、仕切り棒371の両端部に設けられた樹脂製の係止部材372とからなっており、さらに、係止部材372には、周方向ガイド33に係合する円弧状の係止部373が形成されている。このようにすると、収納体3内における被収納体の移動可能距離を制限することができるので、たとえば、被収納体が収納体3内で大きく移動したり、あるいは、倒れるといった不具合を防止することができる。
なお、本実施形態の収納体3は、上述したように骨組構造を有しているが、これに限定されるものではない。たとえば、板部材からなる箱構造を有していてもよい。
また、収納体3の材料は、金属に限定されるものではなく、たとえば、樹脂や木材などでもよい。
【0024】
<前板>
前板4は、図1〜3に示すように、載置板2の先端部に取り付けられる板部材であり、収納装置が閉められた際、システムキッチン10の開口部を塞ぐ矩形状としてある。
また、この前板4は、接合手段5を介して載置板2に着脱自在に取り付けられている。このようにすると、たとえば、システムキッチン10が壁に隣接して設置されており、すなわち、図4において、システムキッチン10の側面が壁(図示せず)に接している場合、前板4を一旦取り外して、壁紙(図示せず)を壁に貼ることができ、美観を損ねるといった不具合を回避することができる。また、清掃する際などに、前板4を取り外すことができるので、隙間の汚れなどを容易に清掃することができる。
【0025】
<接合手段>
図10は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の接合手段を説明するための概略拡大図であり、(a)は基部の正面図を示しており、(b)は基部の側面図を示しており、(c)は基部の平面図を示しており、(d)は被接合部材の正面図を示しており、(e)は被接合部材の側面図を示しており、(f)は被接合部材の平面図を示している。
図10において、接合手段5は、載置板2に固定される基部51と、前板4に固定される被接合部材52と、基部51と被接合部材52とを連結する連結部材としての連結ねじ53とを有している。
【0026】
基部51は、載置板2に載置された状態で螺着される矩形状の取付板511と、この取付板511の前板4側の端部から立設された矩形状の接合板512と、この接合板512の左右両端部からシステムキッチン10側に立設された、補強のための側板517とからなっている。なお、この基部51は、通常、プレス加工により製造される。
取付板511は、載置板2の雌ねじ214と対応する位置に、ねじ穴518が形成されている。
接合板512は、上縁中央部から下方に向かって切欠515が形成され、この切欠515の先端が、長手が水平方向の長孔514と繋がっている。この切欠515を通るようにして、連結ねじ53が長孔514に装入される。また、連結ねじ53が、長孔514内を水平方向に移動できるので、前板4の水平方向の取付け位置を調整することができる。また、左右両端部の長孔523と対応する位置に、ほぼ正方形状の開口部516が形成されており、後述するように、この開口部516によって、前板4の位置合わせを行った状態でねじ54を締め込むことができる。さらに、長孔514の下方には、水平方向に延びた細長の支持部513が、前板4側に突き出ている。この支持部513は、上面に被接合部材52を支持するとともに、前板4の水平方向の傾きを規制することができる。また、支持部513を設けることにより、一本の連結ねじ53を回すことによって、前板4を取り付けたり取り外したりすることができ、作業性を向上させることができる。
【0027】
被接合部材52は、ほぼ細長い矩形状の平板の中央部を、システムキッチン10側に溝型に折り曲げた形状としてあり、左右両側の取付板521と中央部の被接合板522とを有している。
取付板521は、長手が上下方向の長孔523が形成されており、この長孔523にねじ54を挿入し、被接合部材52を前板4に螺着する際、前板4の水平方向の傾きや、前板4の高さ方向の位置を調整することができる。
被接合板522は、ほぼ中央に雌ねじが切られており、この雌ねじに連結ねじ53が締め込まれ、締め込まれた連結ねじ53の先端が、抜けないようにかしめられている。
【0028】
次に、上記構成の収納装置の組立て手順や使用方法などについて、図面を参照して説明する。
図11は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の組立て手順を説明するための概略図であり、(a)は接合手段を取り付けた後の斜視図を示しており、(b)は載置板を取り付ける斜視図を示しており、(c)は前板を取り付ける斜視図を示している。
また、図12は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の使用方法などを説明するための概略図であり、(a)は収納体を取り付ける斜視図を示しており、(b)は収納体の取り付けられた斜視図を示しており、(c)は収納体及び前板を取り外した斜視図を示している。
図11(a)において、まず、載置板2は、接合手段5の基部51が螺着され、さらに、被接合部材52が基部51に取り付けられている。
次に、接合手段5の取り付けられた載置板2は、係止片111が開口部211に入るように、引き出されたレール11に載置され、スライド閉方向に移動させられる。これにより、係止片111は、載置板2を係止する。
【0029】
次に、図11(b)に示すように、ねじ24が、ねじ用長孔213に挿入され、レール11の雌ねじ112に締め込まれる。この際、ねじ用長孔213により、レール11の先端部どうしの位置を調整できるので、レール11の滑りが悪くなるといった不具合を回避することができる。
続いて、システムキッチン10の開口部に対して、前板4の位置合わせを行い、その後、ねじ54を開口部516及び長孔523に挿入し、基部51を前板4に螺着する。この際、基部51に開口部516を形成してあるので、被接合部材52を基部51に接合させた状態で作業することができ、前板4の取付け位置精度を向上させることができる。
なお、ガイドレール1は、通常、システムキッチン10を組み立てる際、あらかじめシステムキッチン10に取り付けられている。
【0030】
次に、図12(a)に示すように、収納体3が、四本の脚341及び突出部351によって載置板2に係止された状態で、載置板2上に載置される。
この際、収納体3は、まず、載置板2の上方に移動され、載置板2上に載置されようとする。この移動は、太い矢印(移動線)で示すように、ほぼ水平方向への直線的な移動であるので、効率がよい。続いて、収納体3の四本の脚341が載置板2の左右方向の縁部の近傍に位置し、突出部351が載置板2の主板21と当接する。そして、収納体3は、ほぼ水平となるように維持されながら、太い実線(当接線)で示すように、突出部351が主板21と当接した状態で移動され、突出部351が主板21の長孔212に係入される位置に移動すると、太い点線(降下線)で示すように、突出部351の湾曲した表面にガイドされるようにして、収納体3がほぼ自動的に降下する。すなわち、収納体3は、四本の脚341が側板22を挟むように係止し、かつ、突出部351が長孔212に係入され、収納体3が載置板2に載置される。この作業は、突出部351の湾曲した表面によって収納体3がガイドされるので、非常に容易である。
【0031】
また、載置された収納体3は、図12(b)に示すように、四本の脚341及び突出部351によって係止されるので、スライド方向及びこのスライド方向と直交する方向に対して十分な係止力を発揮することができる。また、上下方向に長い(距離Hを有する)脚341が、側板22を挟むように係止するので、スライド方向と直交する方向に、収納体3が倒れるといった不具合を効果的に防止することができる。
【0032】
さらに、載置された収納体3は、図12(b)に示すように、太い点線(上昇線)に沿って上方にほぼ距離Hだけ持ち上げると、係止状態が解除され、この後は、太い矢印(移動線)で示すように、ほぼ斜め上方への直線的な移動であるので、効率がよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の収納装置は、収納体3に収納された被収納物を、収納体3ごとまとめて取り出し、まとめて戻すことができる。この際、四本の脚341が一対の側板22を挟むように係止し、かつ、突出部351が長孔212に係入されるので、収納体3が移動したり倒れるといった不具合を防止することができる。さらに、収納体3を載置板2に取り付ける際の作業は、上記移動線+当接線+降下線に沿った動作となるので、効率がよい。また、収納体3を載置板2から取り出す際の作業は、上記上昇線+移動線に沿った動作となるので、この動作も効率がよい。すなわち、本実施形態の収納装置は、優れた取扱い性を実現することができる。
【0034】
また、本発明は、システムキッチンの発明としても有効であり、本発明のシステムキッチンは、たとえば、上記実施形態の収納装置が、端部の狭い空間に取り付けられた構成としてある。
このようにすると、本発明のシステムキッチンは、優れた取扱い性を有する収納装置を備えることにより、付加価値を向上させることができる。
【0035】
本発明の収納装置及びシステムキッチンについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
たとえば、上記実施形態では、収納装置がシステムキッチン10に設けられているが、これに限定されるものではなく、たとえば、被収容物などに応じて様々な物品(工具棚、部品棚、医療器具用棚など)に設けることができる。
また、収納体3の構造や数量は、上記実施形態の構造や数量に限定されるものではなく、たとえば、被収容物などに応じて様々な構造や数量の収納体を選択的に用いる構成としてもよい。このようにすると、本発明にかかる収納装置を多目的に利用することができ、商品としての付加価値をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる収納装置を説明するための概略側面図を示している。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる収納装置を説明するための概略平面図を示している。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる収納装置を説明するための概略正面図を示している。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる収納装置を説明するための概略斜視図を示している。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる収納装置のガイドレールを説明するための要部の概略斜視図を示している。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の載置板を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は側面図を示しており、(c)は正面図を示している。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の収納体を説明するための概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は側面図を示しており、(c)は正面図を示している。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる収納装置のトレイを説明するための概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の仕切り部材を説明するための概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の接合手段を説明するための概略拡大図であり、(a)は基部の正面図を示しており、(b)は基部の側面図を示しており、(c)は基部の平面図を示しており、(d)は被接合部材の正面図を示しており、(e)は被接合部材の側面図を示しており、(f)は被接合部材の平面図を示している。
【図11】図11は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の組立て手順を説明するための概略図であり、(a)は接合手段を取り付けた後の斜視図を示しており、(b)は載置板を取り付ける斜視図を示しており、(c)は前板を取り付ける斜視図を示している。
【図12】図12は、本発明の一実施形態にかかる収納装置の使用方法などを説明するための概略図であり、(a)は収納体を取り付ける斜視図を示しており、(b)は収納体の取り付けられた斜視図を示しており、(c)は収納体及び前板を取り外した斜視図を示している。
【符号の説明】
【0037】
1 ガイドレール
2 載置板
3 収納体
4 前板
5 接合手段
10 システムキッチン
21 主板
22 側板
23 ガード板
24 ねじ
31 ベース骨組
32 スライド方向ガイド
33 周方向ガイド
34 脚棒
35 係止棒
36 トレイ
37 仕切り部材
51 基部
52 被接合部材
53 連結ねじ
54 ねじ
11 レール
12 ベース
111 係止片
112 雌ねじ
211 開口部
212 長孔
213 ねじ用長孔
214 雌ねじ
311 底棒
312 サイドガード
341 脚
342 保護部材
351 突出部
361 底板
362 側板
371 仕切り棒
372 係止部材
373 係止部
511 取付板
512 接合板
513 支持部
514 長孔
515 切欠
516 開口部
517 側板
518 ねじ穴
521 取付板
522 被接合板
523 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドする載置板と、
この載置板に取外し自在に載置され、スライド方向及びこのスライド方向と直交する方向に対する係止部を有する収納体と、
前記載置板の先端部に設けられた前板と
を具備したことを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記載置板が、スライド方向に延びた長孔の形成された矩形平板を有し、かつ、前記収納体が、前記係止部として、前記載置板のスライド方向に沿って対向する一対の側面に係止する二つ以上の脚、及び、前記長孔に係入される突出部を有することを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記収納体の脚が、前記収納体をテーブル上に載置したときの脚体となることを特徴とする請求項2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記収納体の脚が、クッション材からなる保護部材を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の収納装置。
【請求項5】
前記収納体が、棒状体からなる骨組構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項6】
前記収納体が、棒状体からなる骨組構造を有し、かつ、前記棒状体の一部を、曲折して前記突出部としたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項7】
前記前板が、接合手段を介して、前記載置板に着脱自在に取り付けられ、かつ、前記接合手段が、前記載置板に固定される基部と、前記前板に固定される被接合部材と、前記基部と前記被接合部材とを連結する連結部材とを有し、前記基部が、前記前板を支持するとともに前記前板の水平方向の傾きを規制する支持部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項8】
上記請求項1〜7のいずれか一項に記載の収納装置が、端部の狭い空間に取り付けられたことを特徴とするシステムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−118894(P2009−118894A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293009(P2007−293009)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000148807)株式会社太田製作所 (10)
【Fターム(参考)】