説明

取付システム、装置および方法

システムを埋め込むための心室補助システムおよび方法を開示する。システムは、ポンプ、流入導管、流出導管、取付リング、リングクランプ、および弁構造を備え得る。取付リングは心臓の先端に取り付けられ得る。弁構造は剛体ハウジング内に弾力性のある一方向弁を有し得る。流入導管は血液の損失を最小にするように、鼓動中の心臓内の弁構造および取付リングを貫通し得る。切断ツール、コアリングナイフ、および/またはCクランプなどの装置、およびこれらの装置の使用は、補助人工心臓を埋め込むためのシステムおよび方法の一部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓補助装置の分野、特に、VADの体内への埋め込みおよびその心臓への取り付けに関する方法、装置およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
心臓補助装置は埋め込み型装置であり、心臓を補助して体内に血液を循環させる。心臓補助装置の一例に補助人工心臓(VAD)があり、これを用いて、心臓の片方または両方の心室による血液循環を補助する。一般的に、心不全の患者にVADを用いて左心室を補助する。現在、VADは、心不全の患者における移植を実行するための治療法の選択肢の1つまたはブリッジとして一般的に利用されている。
【0003】
VADを埋め込む手術には多くの危険および副作用が伴う。埋め込み手術は侵襲的であり、外科医は胸骨切開または開胸術により胸郭を開いて心臓に直接アクセスする必要がある。一般的に、手術中は心肺バイパス機械を用いるが、鼓動中の心臓の手術では、このような大変な侵襲的手術においても、心肺バイパス機械の使用に伴う副作用を最小限にできる。しかしながら、鼓動中の心臓の手術では、VADの埋め込み処理中に、細心の注意を払わないと深刻な失血を招く可能性がある。
【0004】
埋め込み処理手術に伴う問題は、埋め込みの成否に直接影響を与え得るが、さらに、これらの手術に伴う問題のいくつかは、患者の回復にも影響を与え得る。埋め込み処理中に合併症が生じると、極めて重篤な患者の回復時間が長期化する場合がある。手術に伴う問題は、患者に顕著かつ有害な副作用をもたらすことがあり、直接的に回復時間を長期化させる。VADを必要とする生まれつき病弱な心不全患者では、回復時間と危険要素とは多くの場合に組み合わされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
胸骨切開する必要のない、補助人工心臓を埋め込むためのシステムおよび方法が所望される。また、心肺バイパスする必要のない、VADを安全に埋め込むためのシステムおよび方法が所望される。鼓動中の心臓の手術において、補助人工心臓を埋め込むためのシステムおよび方法が所望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般用語で簡潔に説明すると、本発明は、心臓補助装置を埋め込むための装置、システムおよび方法に関する。装置は、取付リング、リングクランプ、コアリングナイフ、切断ツール、Cクランプツール、弁構造、およびパンチを備え得る。システムは、前述の装置の任意の1つまたはそれらの組み合わせを備える。
【0007】
本発明の態様では、取付リングは、遠位端部および近位端部を有するリング壁、近位端部に配置された結合リップ、および遠位端部に配置されたカフを備えている。結合リップは、リング壁から半径方向外側に延在する。カフはリング壁から半径方向外側に延在する。
【0008】
本発明の態様では、リングクランプは、第1の端部、第2の端部、および第2の端部におけるフックを含む第1の曲線線分と、第1の端部および第2の端部を含む第2の曲線線分と、第1の端部、第2の端部、および第2の端部におけるキャッチを含む第3の曲線線分と、第1のレバー端部、第2のレバー端部、および中央部を含むレバーとを備えている。第2の曲線線分の第1の端部は、第1の曲線線分の第1の端部に旋回可能に接続されている。キャッチは、フックに噛み合う大きさに形成されている。第1のレバー端部は、第2の曲線線分の第2の端部に旋回可能に接続されており、中央部は、第3の曲線線分の第1の端部に旋回可能に接続されている。
【0009】
本発明の態様では、リングクランプは、第1の端部および第2の端部を含む弾力性リングと、第1の端部における第1のラチェット部材と、第1の端部における保護部材と、第2の端部における第2のラチェット部材とを備えている。第2のラチェット部材は、保護部材と第1のラチェット部材との間の開口チャネルに噛み合うように構成されている。
【0010】
本発明の態様では、リングクランプは、クランプフレームと、クランプフレームの末端に取り付けられたクランプレバーと、クランプフレームの第2の末端に取り付けられたクランプハンドルとを備えている。クランプハンドルを動かすことにより、第1の末端と第2の末端とを互いと相対的に動かすことができる。
【0011】
本発明の態様では、コアリングナイフは、円形の刃先および内部中空を画定する円筒壁を含むコアリングブレードと、刃先に対向するコアリング隣接部とを備えている。コアリング隣接部は、コアリングブレード内に延在する伸長支持部に取り付けられている。刃先とコアリング隣接部とは、互いと相対的に移動可能である。
【0012】
本発明の態様では、切断ツールは、平坦ブレードと、ハウジングと、アクチュエータとを備えている。アクチュエータは前端および後端を有している。前端はハウジング内に位置し、平坦ブレードに取り付けられており、後端はハウジングから外に突き出る。
【0013】
本発明の態様では、Cクランプツールは、シリンダ外径を有するシリンダを収容するように構成された遠位開口部と、第1の線形エッジおよび第1の線形エッジとオフセットする第2の線形エッジを有する近位開口部と、遠位開口部と近位開口部との間に位置し、遠位棚面および遠位柱面を有する遠位溝と、近位開口部と遠位溝との間に位置し、近位棚面および近位柱面を有する近位溝と、近位棚面に対向する近位圧縮面と、側面開口部と、を含む本体を備えている。遠位開口部は遠位棚面を通り延在し、遠位柱面の湾曲部の遠位溝直径は、シリンダ外径よりも長く、近位柱面の湾曲部の近位溝直径は、遠位溝直径よりも長く、そして、近位開口部は近位圧縮面を通り延在し、側面開口部が遠位開口部および遠位溝と連絡する。
【0014】
本発明の態様では、弁構造は、近位端部および遠位端部を有するハウジングと、ハウジング内に位置し、遠位端部から近位端部への流体の流れを塞ぐように構成された弾力部材を含む弁とを備えている。この弁は、ハウジングを通る計器の通路を空けるように開き、ハウジングから計器を取り外すと自動で閉じるように構成されている。
【0015】
本発明の態様では、パンチは、ブレード刃先を有する中空ブレードと、中空ブレードに噛み合うように構成されたパンチヘッドと、パンチヘッドに取り付けられており、中空ブレード内においてパンチヘッドを縦軸に沿って摺動するステムと、を備えている。縦軸方向から見たパンチヘッドの外周は、その形状がブレード刃先にほぼ一致する。
【0016】
本発明の態様では、システムは、遠位端部および近位端部を有するリング壁、近位端部に配置された結合リップ、および遠位端部に配置されたカフを含む取付リングを備えている。結合リップはリング壁から半径方向外側に延在する。カフはリング壁から半径方向外側に延在する。他の態様では、システムは、結合リップとカフとの間のリング壁の一部を囲んでロックするように構成されたリングクランプを備えている。他の態様では、システムは、遠位部および近位部を含む流入導管を備えている。この遠位部は、リング壁を通り抜ける大きさに形成されている。他の態様では、システムは、リング壁を通り抜ける大きさに形成されている切断ツールを備えている。他の態様では、システムは、リング壁を通り抜ける大きさに形成されているコアリングナイフを備えている。他の態様では、システムは、取付リングにおける弁構造を備えている。他の態様では、システムは、弁構造のベースフランジおよび取付リングの結合リップを収容するように構成されているCクランプツールを備えている。
【0017】
本発明の態様では、方法は、心臓に取付リングを取り付けることと、心臓に通じるスリットを形成し、スリットにおいて心臓に通じる環状切開を形成し、取付リングおよび環状切開を通じて流入導管を挿入することとを含む。
【0018】
本発明の特徴および利点は、添付図面と併せて読解されるべく以下の詳細な説明から、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】心室補助システムの一例を示す図である。
【図2a】弁構造に取り付けられた取付リングの一例を示す斜視図および断面図である。
【図2b】弁構造に取り付けられた取付リングの一例を示す斜視図および断面図である。
【図3a】取付リングの一例を示す斜視図である。
【図3b】図3aのA−Aの断面図である。
【図4a】取付リングの一例を示す斜視図である。
【図4b】図4aの断面図である。
【図5】クランプの一例を示す図である。
【図6a】開放および閉塞構造であるクランプの一例を示す図である。
【図6b】開放および閉塞構造であるクランプの一例を示す図である。
【図7a】開放および閉塞構造である、取付リングのクランプの一例を示す図である。
【図7b】開放および閉塞構造である、取付リングのクランプの一例を示す図である。
【図8a】流入導管に取り付けられた取付リングの一例を示す図である。
【図8b】図8aの断面B−Bの斜視図である。
【図8c】図8bに示す図8aの断面B−Bの一例を示す図である。
【図9a】流入導管に取り付けられた取付リングの一例を示す図である。
【図9b】図9aの断面B’−B’の斜視図である。
【図9c】図9bに示す図9aの断面B’−B’の一例を示す図である。
【図10a】弁構造の一例を示す斜視図である。
【図10b】弁構造の一例を示す斜視図である。
【図10c】断面C−Cの一例を示す側面斜視図である。
【図10d】断面C−Cの一例を示す側面斜視図である。
【図11a】弁構造の一例を示す底面斜視図、上面斜視図、および上面図である。
【図11b】弁構造の一例を示す底面斜視図、上面斜視図、および上面図である。
【図11c】弁構造の一例を示す底面斜視図、上面斜視図、および上面図である。
【図12a】閉塞構造における弁の一例を示す斜視図および断面図である。
【図12b】閉塞構造における弁の一例を示す斜視図および断面図である。
【図12c】開放構造における図12aおよび図12bの弁を示す斜視図である。
【図13a】閉塞構造における弁の一例を示す上面斜視図および底面斜視図である。
【図13b】閉塞構造における弁の一例を示す上面斜視図および底面斜視図である。
【図13c】開放構造における図13aおよび図13bの弁を示す上面斜視図である。
【図13d】開放構造における図13aおよび図13bの弁を示す上面斜視図である。
【図14a】弁の一例を示す上面斜視図および底面斜視図である。
【図14b】弁の一例を示す上面斜視図および底面斜視図である。
【図15a】弁の一例を示す上面斜視図および底面斜視図である。
【図15b】弁の一例を示す上面斜視図および底面斜視図である。
【図15c】マイター弁の一例を示す図である。
【図15d】マイター弁の一例を示す図である。
【図15e】マイター弁の一例を示す図である。
【図15f】カモのくちばし状のダイヤフラム弁の一例を示す図である。
【図16a】断面C−Cにおける弁構造の一例の開放および閉塞構造を示す図である。
【図16b】断面C−Cにおける弁構造の一例の開放および閉塞構造を示す図である。
【図17a】断面C−Cにおける弁構造の一例の開放および閉塞構造を示す図である。
【図17b】断面C−Cにおける弁構造の一例の開放および閉塞構造を示す図である。
【図18a】弁の一例を示す分解図および上面図である。
【図18b】弁の一例を示す分解図および上面図である。
【図19a】取付リングと一体化した弁の一例を示す斜視図および断面図である。
【図19b】取付リングと一体化した弁の一例を示す斜視図および断面図である。
【図19c】取付リングと一体化した弁の一例を示す斜視図および断面図である。
【図19d】取付リングと一体化した弁の一例を示す斜視図および断面図である。
【図20】取付リングの一例および弁構造の一例を示す分解図である。
【図21a】弁の一例を示す上面斜視図である。
【図21b】断面D−Dにおける弁の一例を示す図である。
【図21c】ダイヤフラムフラップを備えた、図21aの弁を一部透明で示す底面斜視図である。
【図22】弁構造の一例を示す断面図である。
【図23】ハウジングを備えた弁構造の一例を一部透明で示す図である。
【図24】ハウジングを備えた弁構造の一例を一部透明で示す図である。
【図25】取付リングに弁構造を取り付ける方法の一例を示す断面図である。
【図26a】取付リングに弁構造を取り付ける方法の一例を示す断面図である。
【図26b】取付リングに弁構造を取り付ける方法の一例を示す断面図である。
【図27a】心室補助システムの一例を埋め込む方法のプロセスフローの一例を説明する図である。
【図27b】心室補助システムの一例を埋め込む方法のプロセスフローの一例を説明する図である。
【図28a】標的部位にアクセスする方法の一例を示す図である。
【図28b】標的部位にアクセスする方法の一例を示す図である。
【図29a】トンネラーの一例を示す図である。
【図29b】ブレット端を取り外した図29aのトンネラーの一例を示す図である。
【図29c】ブレット端を取り外した図29aのトンネラーの一例を示す図である。
【図30a】トンネラーの一例を示す図である。
【図30b】トンネラーシャフトから外装を取り外した図30aのトンネラーを示す図である。
【図31】流出導管に取り付けられトンネラーの一例を示す図である。
【図32】標的部位に流出導管を挿入する一例を示す図である。
【図33a】流出導管に大動脈を吻合する方法の一例を示す図である。
【図33b】流出導管に大動脈を吻合する方法の一例を示す図である。
【図33c】流出導管に大動脈を吻合する方法の一例を示す図である。
【図34a】大動脈を吻合後の、流出導管を流れる血液を示す図である。
【図34b】流出導管を流れる血液を止める方法の一例を示す図である。
【図34c】流出導管を流れる血液を止める方法の一例を示す図である。
【図34d】流出導管を流れる血液を止める方法の一例を示す図である。
【図35】心臓の先端に取付リングを取り付ける方法の一例を示す図である。
【図36a】コアリングナイフの一例を示す斜視図および側面図である。
【図36b】図36aの断面F−Fにおける一例を示す斜視図および側面図である。
【図36c】コアリングナイフの一例を示す斜視図および側面図である。
【図36d】図36aの断面F−Fにおける一例を示す斜視図および側面図である。
【図36e】引き込み構造におけるコアリングブレードを備えた図36aの断面F−Fの一例を示す側面図である。
【図37a】コアリングナイフの一例を示す斜視図および断面図である。
【図37b】コアリングナイフの一例を示す斜視図および断面図である。
【図37c】回転後の構造であるコアリング隣接部を備えたコアリングナイフ、および伸長構造であるコアリングブレードを示す正面図である。
【図37d】回転後の構造であるコアリング隣接部を備えたコアリングナイフ、および伸長構造であるコアリングブレードを示す正面図である。
【図38】コアリングナイフの一例を示す図である。
【図39a】断面で示す弁構造を備えたコアリングナイフを用いる方法の一例を示す側面図である。
【図39b】図39aの斜視端面図である。
【図40a】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図40b】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図40c】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図40d】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図40e】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図40f】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図40g】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図40h】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図40i】補助人工心臓システムの一例を使用する方法の一例を示す図である。
【図41a】コアリング方法の一例を示す図である。
【図41b】コアリング方法の一例を示す図である。
【図41c】コアリング方法の一例を示す図である。
【図41d】コアリング方法の一例を示す図である。
【図42a】取付リングの中に流入導管を挿入する一例を示す図である。
【図42b】取付リングの中に流入導管を挿入する一例を示す図である。
【図42c】取付リングの中に流入導管を挿入する一例を示す図である。
【図43a】ポンプ流出ひじ管を流れる血液を止め、ポンプを脱気する方法の一例を示す図である。
【図43b】ポンプ流出ひじ管を流れる血液を止め、ポンプを脱気する方法の一例を示す図である。
【図44】補助人工心臓を脱気する方法の一例を示す図である。
【図45】流出導管にポンプを取り付ける一例を示す図である。
【図46a】取付リングを示す図である。
【図46b】取付リングの部分断面図である。
【図46c】取付リングを示す図である。
【図46d】取付リングの部分断面図である。
【図47a】取付リングの形成に用いられる材料の平坦薄板を示す。
【図47b】取付リングを示す。
【図47c】取付リングを示す。
【図48a】一体化弁を備えた取付リングの実施形態を示す図である。
【図48b】一体化弁を備えた取付リングの実施形態を示す図である。
【図48c】一体化弁を備えた取付リングの実施形態を示す図である。
【図48d】一体化弁を備えた取付リングの実施形態を示す図である。
【図49a】取付リングに用いるクランプを示す斜視図である。
【図49b】取付リングに用いるクランプを示す斜視図である。
【図49c】取付リングに用いるクランプを示す斜視図である。
【図49d】取付リングに用いるクランプを示す斜視図であり、取付リングにおける閉じたクランプを示す。
【図50a】クランプを閉じてロッキングするラチェット歯を示す、取付リングに用いるクランプの平面図および斜視図である。
【図50b】クランプを閉じてロッキングするラチェット歯を示す、取付リングに用いるクランプの平面図および斜視図である。
【図51】一組の歯を備えた、取付リングに用いるクランプを示す平面図である。
【図52a】連続する環状切開となる線形切開を、心臓に行うための切断ツールを示す斜視図および断面図である。
【図52b】連続する環状切開となる線形切開を、心臓に行うための切断ツールを示す斜視図および断面図である。
【図52c】連続する環状切開となる線形切開を、心臓に行うための切断ツールを示す斜視図および断面図である。
【図52d】連続する環状切開となる線形切開を、心臓に行うための切断ツールを示す斜視図および断面図である。
【図53a】心臓を環状切開するためのコアリングナイフを示す斜視図および部分平面図である。
【図53b】心臓を環状切開するためのコアリングナイフを示す斜視図および部分平面図である。
【図53c】心臓を環状切開するためのコアリングナイフを示す斜視図および部分平面図である。
【図53d】心臓を環状切開するためのコアリングナイフを示す斜視図および部分平面図である。
【図53e】心臓を環状切開するためのコアリングナイフを示す斜視図および部分平面図である。
【図53f】心臓を環状切開するためのコアリングナイフを示す斜視図および部分平面図である。
【図54】コアリングナイフケーシングの一例を示す、コアリングナイフの一部を示す部分平面図である。
【図55】コアリングナイフ隣接部の一例を示す、コアリングナイフの一部を示す部分平面図である。
【図56a】バネ仕掛けのヒンジを有する弁構造を示す斜視図および近位における平面図である。
【図56b】バネ仕掛けのヒンジを有する弁構造を示す斜視図および近位における平面図である。
【図56c】バネ仕掛けのヒンジを有する弁構造を示す斜視図および近位における平面図である。
【図56d】バネ仕掛けのヒンジを有する弁構造を示す斜視図および近位における平面図である。
【図57a】2つの同一の等分部を有する弁構造を示す斜視図および平面図である。
【図57b】2つの同一の等分部を有する弁構造を示す斜視図および平面図である。
【図57c】2つの同一の等分部を有する弁構造を示す斜視図および平面図であり、遠位端部から見た図である。
【図57d】2つの同一の等分部を有する弁構造を示す斜視図および平面図であり、遠位端部から見た図である。
【図58a】弁構造を取付リングに噛み合わせるCクランプを示す斜視図、平面図および側面図である。
【図58b】弁構造を取付リングに噛み合わせるCクランプを示す斜視図、平面図および側面図である。
【図58c】弁構造を取付リングに噛み合わせるCクランプを示す斜視図、平面図および側面図である。
【図58d】弁構造を取付リングに噛み合わせるCクランプを示す斜視図、平面図および側面図である。
【図58e】弁構造を取付リングに噛み合わせるCクランプを示す斜視図、平面図および側面図である。
【図59a】取付リングおよび弁構造を備えたCクランプを示す斜視図である。
【図59b】取付リングおよび弁構造を備えたCクランプを示す斜視図である。
【図60a】種々の大動脈パンチを示す斜視図、断面図および部分側面図である。
【図60b】種々の大動脈パンチを示す斜視図、断面図および部分側面図である。
【図60c】種々の大動脈パンチを示す斜視図、断面図および部分側面図である。
【図60d】種々の大動脈パンチを示す斜視図、断面図および部分側面図である。
【図60e】種々の大動脈パンチを示す斜視図、断面図および部分側面図である。
【図61a】大動脈パンチにより穴部を形成した解剖学的血管を示す斜視図である。
【図61b】大動脈パンチにより穴部を形成した解剖学的血管を示す斜視図である。
【図62a】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図62b】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図62c】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図62d】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図63a】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図63b】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図63c】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図63d】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図64a】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図64b】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図64c】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図64d】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図65a】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図65b】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図65c】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【図65d】種々のコアリングナイフを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
鼓動中の心臓の手術中に、VADを埋め込むためのシステムおよび方法の一例を開示する。このシステムは、それ自体を用いた埋め込み手術中の心臓からの失血を最小化または抑制できる。これは特に、心外膜壁の一部のコアリングおよび心外膜壁を貫通する流入導管の挿入処置における失血を抑える。このシステムは、心臓の内部液量へのアクセスまたは接触に用いられる手術ツールの周囲に流体密封シールを備え得る。本開示を通じて、当業者は、VADに関する参照が、全ての心臓補助装置にも等しく適用できることを当然理解する。同様に、このシステムおよび手術ツールは、心臓または心臓血管システムの他の部分への類似するカニューレ挿入手術にも適用できる。
【0021】
図1は、ポンプ8を備えた補助人工心臓(VAD)システム13を示す。本明細書において近位または遠位として記述する全ての位置は、ポンプ8の位置と相対的な位置である。ポンプ8は、左心室から血液を引き込み、より高圧で大動脈に血液を送り込むことにより、心臓のポンプ機能を補助する。ポンプ8は、血管系におけるある位置(例えば、心臓)から第2の位置(例えば、大動脈などの目標血管系)に血液を導くように構成される。これにより、機械的循環支持/補助を与える。例えば、ポンプ8は一方向タービンポンプ8として構成されてもよく、ポンプ8の流入側(例えば、心臓)から流出側(例えば、大動脈)に血液を導くことができる。絶縁ワイヤを含む経皮リード5を用いることにより、ポンプ8と、ポンプ8の動作を制御するコントローラおよび/または遠隔装置との間の、データおよび/または電力の送信および/または受信が可能になる。一例では、コントローラまたは遠隔装置は患者の体外に配置されてもよい。ポンプ8の構造は、これらに限定されないが、軸流または遠心流を有する任意の構造でもよい。
【0022】
ポンプ8の第1の端部には流入導管10が直接取り付けられてもよいし、ポンプ8はそれを有してもよい。また、ポンプ8の第2の端部には流出導管2が直接取り付けられてもよいし、ポンプ8はそれを有してもよい。流入導管10とポンプ8との連結は、ポンプ8の流入孔7に取り付けるように構成されたらせん状のネジ込みカプラを用いて達成されてもよい。
【0023】
流入導管10は、例えば、第1の位置(例えば、心臓)からポンプ8に血液を導いて、流体連絡する中空チャネルを有してもよい。一例では、流入導管10は柔軟性を有する。他の例では、流入導管10は金属管などの剛体でもよい。さらなる別の例では、流入導管10は、剛体要素と柔軟要素とを組み合わせて形成されてもよい。これらの例には、屈曲可能な柔軟な中央部に接続された、ポンプ8と連結する(ポンプ8と相対的に)近位に位置する剛体ひじ管と、心臓と連結する(ポンプ8と相対的に)遠位に位置する剛体部とが含まれる。流入導管はポンプ本体の一部として形成されてもよい。
【0024】
図1に示すように、流入導管10の遠位端部は、埋め込み後かつ心臓に入る前に、弁構造12および取付リング22に入り込む。流入導管10の柔軟な中央部は、遠位端部と近位端部との間のひずみを緩和する。流入導管10の近位端部はポンプ8に連結される。血液は流入導管10の遠位開口部からその内部に入り、流入導管10の全長に沿って移動し、流入導管10の近位開口部から出る。その後、ポンプ8の流入孔7からポンプ8に入る。流入導管10はポンプ8と一体的に構成されてもよいし、別個に取り付け可能な構成でもよい。
【0025】
弁構造12は、VADの埋め込み中の心臓からの失血を抑制または最小化するように構成される。例えば、流入導管10が取付リング22に挿入されて、それが心臓と相対的に適切に配置されれば、弁構造12はシステムおよび患者から取り除かれてもよい。弁構造12はコアリングナイフおよび/または弁構造12を通るチャネルを通過する流入導管10を密閉できる。弁構造12は、VADの埋め込み中に心臓から流れ出る血液を最小化または抑制できる。弁構造12はさらに、心臓からの失血を抑制しつつ、手術中に用いる他の計器の通路を空ける。
【0026】
例えば、装置使用中、心臓の先端に弁構造12を間接的に取り付けるために、弁構造12を取付リング22に直接取り付けてもよい。取付リング22は、心室に接続するように構成されてもよい。VADが埋め込まれると、取付リング22は流入導管10を固定し、かつ密閉できる。取付リング22は心室または心臓コネクタでもよい。取付リング22は、VADを心臓壁に固定して取り付けることができる。取付リング22はそれ故、心臓、さらには流入導管10に固定されて構成される。
【0027】
血液または流体がポンプ8から出る場合には、ポンプ8の第2の端部(例えば、流出ポート)に流出導管が連結される。軸流ポンプ配置では、流出導管2はほぼ直線状であり、流入導管10と反対側に配置される。流入導管10と同様に、流出導管2の(ポンプ8と相対的な)近位端部がポンプ8と連結し、一方、流出導管2の(ポンプ8と相対的な)遠位端部は、ポンプ8から出た後の血液が再び入る循環系である目標血管系(例えば、大動脈)に連結する。
【0028】
流出導管2の近位端部もまた流入導管10と同様に、ポンプ8と連結するように剛体でもよい。流出導管2の中央部は、屈曲を軽減する柔軟な材料から形成されてもよい。一例では、流出導管2の(ポンプ8と相対的な)遠位部は、循環系に血液を再び入れるように、吻合により目標血管系(例えば、大動脈)に縫い付けられ得る、柔軟に密閉された移植片から形成されてもよい。
【0029】
心室補助システムでは、流入孔7と、流入導管10と、ポンプ8と、流出導管2と、流出ポートとが流体的に連絡する。弁構造12以外の、図1に示す心室補助システムの構成要素の全部または一部は、(カリフォルニア州プレザントンのソーラテックコーポレーションが製造する)Heartmate II Left Ventricular Assist Deviceの構成要素でもよい。
【0030】
図2aおよび図2bは弁構造12を示す。この弁構造12はシステムの他の構成要素と連動して、心臓の鼓動中に心臓を開くといった埋め込みまたはカニューレ手術中、または心肺バイパス機械を用いない場合などに心臓から流れ出る失血を抑制またはさもなければ最小化するのに寄与する。弁構造12はハウジング18を有する。このハウジング18は略円筒でもよく、構造の内壁に連結する弁16および/または1つ以上のシール17と適合する形状である。弁16は弁構造12において完全または部分密閉するように機能する。弁16は流体を流すか、遠位方向への要素の進入を可能にする。または、流体の流れまたは近位方向への要素の進入を十分に減少、もしくは完全に抑制する。ハウジング18および弁16は、取付リング22に取り付けおよび取り外し可能に構成され得る。ハウジング18は弁16と分離可能および取り外し可能に形成され得る。ハウジング18はその内周に取付リングチャネル14が形成され得る。取付リングチャネル14の内側には、ハウジング18の一端またはその付近に取付リング22が配置され得る。取付リング22および弁構造12は縦軸187を有し得る。取付リング22の縦軸と弁構造12の縦軸とは同軸上に位置し得る。
【0031】
ハウジング18の壁を貫通して脱気チャネル15が形成され得る。カニューレまたは埋め込み処理では、弁構造12内部に気体が入り込むことがある。循環系に入る気体は空気塞栓症を招き得、患者に害を及ぼす可能性がある。それ故、脱気チャネル15を用いて、心臓に流入導管10を挿入する前に、弁構造12から全ての気体を除去することができる。これにより、循環系に入る気体を抑制できる。一例では、システムを完全に組み立てる前に、吸引するか、かつ/または脱気チャネル15を通じて食塩水および/または血液などの液体を流し出して、システムから気体を除去する。脱気チャネル15の配置環境では、それは取付リングチャネル14と流体的に連絡するハウジング18の表面から半径方向外側に配置され得る。
【0032】
図3aおよび図3bは取付リング22を示す。取付リング22は、例えば、カフ19および21並びに心外膜壁への縫合により、心外膜壁に取り付けられ得る。心臓への縫合後、カフ19および21は、心臓壁に対して取付リング22を少なくとも機械的に支持できる。そして、カフ19および21は、流体(例えば、血液)を流すために心臓に挿入後の流入導管10を固定するための基準点としても機能する。取付リング22は、取付リングチャネル14を画定する取付リング壁29を有し得る。取付リングチャネル14はその両端が開口し得る。流入導管10は取付リングチャネル14を通って、心室内側の心房にアクセスできる。取付リング22の高さは高くてもよいし、低くてもよい。取付リング壁29は、ABS,Delrinで製造されるシリコーン成形本体、またはそれらの組み合わせから形成され得る。取付リング22は(例えば、ツールおよび流入導管10の挿入を容易にする環状構造の)ポリプロピレン環の挿入部、および(例えば、引き裂きを防ぐ)強化ポリエステルメッシュを含み得る。取付リング壁29は、カフ19および/または21に縫合され得る。カフパッド20は、PTFEフェルト、チタン、シリコーンまたはそれらの組み合わせから形成され得る。取付リング22の高さは、約5mm〜約25mmの範囲でもよい。取付リング壁29の(例えば、フランジを含まない)厚さは、約1mm〜約3mmの範囲でもよい。取付リングチャネル14の直径は、約10mm〜約25mmの範囲でもよい。
【0033】
取付リング壁29は遠位バンド31を有し得る。遠位バンド31は、取付リング壁29の遠位端またはその付近に位置し、取付リング壁29から半径方向に延在する。遠位バンド31は取付リング壁29と一体化して形成されてもよい。遠位バンド31は、遠位および/または近位カフ21に取り付けられてもよい。取付リング壁29は近位バンド26を有し得る。近位バンド26は取付リング壁29の近位端またはその付近に位置し、流入導管10が取付リングチャネル14に挿入されても、それに接触して実質的に円形断面を維持する。近位バンド26は剛体金属でもよいし、プラスチックでもよい。近位バンド26は、取付リング壁29の近位端部を構造的に強化できる。取付リング壁29は柔軟物質でもよいし、剛体でもよい。これらの近位バンド26および遠位バンド31は、留め具、取り付け点、視認可能な位置決めインジケータおよび/または埋め込み処理に用いられる他の構造、構成要素もしくはツールのロック機能として利用され得る。
【0034】
取付リング22の心臓への取り付けは、それのカフ19および/または21における1つ以上の領域を心臓に縫合、接合または固定することにより達成される。取付リング壁29はカフ19および/または21に取り付けられる。遠位カフ19または縫合領域および近位カフ21または縫合領域は円環形である。例えば、カフ19および/または21は、縫合、糸、ステープル、ブラッド、溶接、接着剤、エポキシ、またはそれらの組み合わせにより、取付リング22に取り付けられ得る。カフ19および21は、取付リング壁29から半径方向外側に延在する。遠位カフ19は、近位カフ21よりも外側に、半径方向に延在する。例えば、近位カフ21は遠位カフ19を構造的に支持し、その縫合され得る層が遠位カフ19よりも厚い。遠位カフ19および近位カフ21は、(すなわち、取付リング壁29および取付リングチャネル14が位置する部分は)中空が形成された円筒ディスク形状である。遠位カフ19は遠位バンド31の遠位側に位置し得る。近位カフ21は遠位バンド31の近位側に位置し、遠位バンド31および/または取付リング壁29に取り付けられ得る。遠位カフ19と近位カフ21とは積み重ねられてもよい。遠位カフ19は、例えば、近位カフ21の外周において半径方向に、近位カフ21に取り付けられ得る。
【0035】
カフ19および/または21は、それぞれ、そこを縫合され得るカフパッド20を有し得る。カフパッド20はメッシュまたは繊維材料から形成され得、一般的な外科用縫合針および縫合糸が貫通可能である。カフパッド20は、心外膜壁への縫合によりカフ19および/または21を固定するときに、容易に引き裂かれない程度に十分に強固な材料から形成される。この材料は、心外膜壁から離れるように取付リング22を突発的に強く引くときに取付リング22にかかるわずかな力でも引き裂かれない。カフパッド20は柔軟材料から形成されてもよい。カフパッド20は、そこを通る縫合に付着するように構成されてもよい。
【0036】
カフ19および/または21は、カフの平面形状を維持するカフフレーム23を有し得る。カフフレーム23はまた、カフパッド20を通る縫合の引き裂きを抑制し、カフから半径方向に出て、取り外されることを抑制する。カフフレーム23は、カフパッド20の外周に取り付けられた剛体の円形バンドでもよい。カフフレーム23は金属および/または硬質プラスチックでもよい。縫合は、カフフレーム23から半径方向内側にカフパッド20を貫通できる。
【0037】
取付リング壁29はリング壁結合リップ25を有し得る。リング壁結合リップ25は、取付リング壁29からのクランプ24の変位、滑動、または他の取り外れを防止できる。リング壁結合リップ25は、カフ19および21近位における取付リング壁29から半径方向に延在する。
【0038】
一体化、または単独で取り付けられたクランプ24は、リング壁結合リップ25の遠位、かつカフ19および/または21の近位において取付リング壁29に配置され得る。クランプ24は取付リング壁29に半径方向内向きの力を及ぼし得る。クランプ24は取付リング壁29周囲において半径方向への圧縮力を及ぼし得る。この力は例えば、流入導管10が取付リングチャネル14内にあるときに、流入導管10の外面に取付リング壁29の内面を圧力により噛み合わせる。クランプ24による圧縮力により、取付リング22を流入導管10に接触させて保持かつ密閉できる。取付リングシール34が、心臓からの血液が取付リング22と流入導管10との間から流れ出ることを防止する。流入導管10は、心外膜に形成された中心穴の周囲を単独で密閉できる。クランプ24は、リング壁結合リップ25とカフとの間において取付リング壁29から半径方向外側に配置され得る。
【0039】
図4aおよび図4bに示す取付リング22は、取付リング壁29の近位端部に取付リングシール34を有する。取付リングシール34は、取付リング壁29から取付リングチャネル14に向かい、半径方向内側に延在する。取付リングシール34は柔軟材料から形成されてもよい。取付リングシール34(および、本明細書に開示する任意の他のシール)は、軟質エラストマ、弾性エラストマ、または他のポリマから形成されてもよい。取付リングシール34は、取付リング壁29と一体化されてもよいし、それとは別個の部材として取り付けられてもよい。取付リングシール34は、取付リングチャネル14の要素の外径が取付リングシール34の内径よりも長い場合に、取付リングチャネル14に位置する要素を密閉する流体密封シールとして機能する。
【0040】
リング壁結合リップ25の内側には、近位バンド26が位置し得る。リング壁結合リップ25は、取付リング壁29から半径方向外側に延在する。リング壁結合リップ25は、クランプ24に対する締まりばめとして機能し、近接する取付リング壁29から離れるようなクランプ24の平行移動を防止できる。リング壁結合リップ25は、取付リング22に接触する要素に取り付けられてもよいし、かつ/またはそれと接触してもよい。例えば、流入導管10がリング壁界面に接触することにより、取付リングチャネル14を通り極端に遠い位置に流入導管10が移動することを防止できる。また、例えば、弁構造12がリング壁結合リップ25に取り付けられてもよい。近位バンド26はさらに、取付リング壁結合リップ25と弁構造ハウジング18とが結合している場合に、止血シールを構造的に支持する。
【0041】
取付リング22は1つのカフ35を有し得る。取付リング壁29は、カフ35の遠位側に位置する第1の遠位バンド32と、カフ35の近位側に位置する第2の遠位バンド33とを有し得る。カフ35は、第1の遠位バンド32と第2の遠位バンド33との間に取り付けられてもよいし、そこに圧力により嵌め込まれてもよい。
【0042】
図5は単一の、途切れないワイヤ材料から形成され得るクランプ24を示す。クランプ24は金属および/またはポリマ(例えば、プラスチック)から形成され得る。クランプ24はクランプフレーム37およびクランプハンドル36を有し得る。クランプフレーム37は半径方向への圧縮力を及ぼし、クランプハンドル36はクランプフレーム37の開放および/または閉塞に用いられ得る。クランプフレーム37は弾性的に変形可能である。クランプフレーム37はクランプ径38を有し得る。クランプ24が実質的または完全に弛緩または偏りのない構造である場合には、クランプ径38は、クランプ24が取り付けられる取付リング壁29の外径よりも短くてもよい。
【0043】
クランプハンドル36は、クランプフレーム37の他の構成要素から半径方向に延在し得る。クランプハンドル36の両側から圧縮、圧迫力を加えることにより、クランプハンドル36を互いに向かうように動かすことができる。クランプハンドル36に加えられる圧縮力により、クランプ径38が長くなり、クランプ24を開放構造にできる。
【0044】
クランプ24が開放構造であるときは、それは取付リング22に取り付けられ得、かつ/またはそれから取り外され得る。開放構造では、流入導管10は取付リングチャネル14を通り抜けてもよいし、そこから引き抜かれてもよい。
【0045】
図6aおよび図6bはクランプ24の別の例を示す。図6aは開放構造にあるクランプ24を示す。クランプ24のフレームは、クランプハンドル36と一体化するリボン状のバンドから形成される。クランプハンドル36はクランプ24を緩めることもできるし、堅く締めることもできる。示す構造では、クランプレバー39の第1の端部は、クランプフレーム37の第1の末端に回転自在に取り付けられる。また、クランプレバー39の第2の端部は、クランプハンドル36に回転自在に取り付けられる。クランプハンドル36は、クランプレバー39に取り付けられていないクランプフレーム37の第2の末端に回転自在に取り付けられ得る。クランプハンドル36は、クランプヒンジ40においてクランプフレーム37に取り付けられ得る。
【0046】
図6bは閉塞構造にあるクランプ24を示す。この例では、クランプハンドル36を回転して、クランプフレーム37を閉塞構造に堅く締める。クランプハンドル36は、クランプフレーム37の外周にぴったり接触して配置され得る。クランプハンドル36が閉じているときは、クランプレバー39は、クランプフレーム37の第1の末端を、クランプフレーム37の第2の末端に向かうように配置できる。
【0047】
ハンドルが閉じているときのクランプ径38は、ハンドルが開いているときよりも短くてもよい。ハンドルが閉じているときのクランプ径38は、クランプ24が取り付けられる取付リング壁29の外径よりも短くてもよい。ハンドルが開いているとき(図6aに示す)のクランプ径38は、クランプ24が取り付けられる取付リング壁29の外径よりも長くてもよい。ハンドルが開いているときのクランプ径38は、リング壁結合リップ25の外径よりも長くてもよい。
【0048】
図7aは取付リング外壁29を覆う、開放構造にある取付リング22におけるクランプ24を示す図である。開放構造にあるクランプ24において、コアリングナイフ、流入導管10、または他の手術ツールなどの要素は、取付リングチャネル14を通り抜ける。クランプ24は、リング壁結合リップ25とカフ35との間の取付リング壁29の外面に接触し得る。
【0049】
図7bは取付リング外壁29を覆う、閉塞構造にあるクランプ24を示す図である。閉塞構造にあるクランプ24において、取付リング壁29は、取付リングチャネル14に位置する流入導管10などの要素を圧縮および密閉できる。クランプ24は第2の遠位バンド33とリング壁結合リップ25との間に位置し得る。クランプ24は、取付リング壁29に半径方向内向きの力を及ぼし得る。閉じているクランプ24では、取付リング壁29の直径および取付リングチャネル14の直径が短くなり得る。
【0050】
図8a〜図8cは取付リング22に挿入され得る流入導管10を示す図である。取付リング22は流入導管10を利用して心臓にアクセスし、流入導管チャネル178を通じて心臓からポンプ8に血液を送る。流入導管10は、他の要素に接触するか、それに取り付けられるように構成された流入導管ストッパ42を有し得る。これは例えば、流入導管10が取付リング22内に過剰に挿入されることを防止する。流入導管ストッパ42遠位における流入導管10の外径は、取付リングチャネル14の内径よりも小さくてもよい。流入導管ストッパ42の外径は、取付リングチャネル14の内径よりも長くてもよい。
【0051】
例えば、流入導管10が取付リングチャネル14内を自由に通過可能なようにそこに挿入されたときに、クランプ24は(例えば、クランプハンドル36を互いに向かうように圧縮する力により)付勢されて開くことができる。流入導管10が取付リング22内の所望の位置に存在するときに、クランプ24を解放し、取付リング壁29の外側で圧縮状態に戻すことにより、例えば、流入導管10を取付リング22で締め付けて流入導管10を所定の位置に保持することができる。
【0052】
図9a〜図9cは取付リングチャネル14に流入導管10が挿入されているときの、開放構造にある図6aおよび図6bのクランプ24の一例を示す。この構造では、流入導管10は取付リング22内を自由に挿入できる。クランプハンドル36を回転すると、開くことができる。
【0053】
流入導管ストッパ42が、リング壁結合リップ25などの取付リング壁29の近位端部に接触するまで、流入導管10は取付リングチャネル14内を前進できる。流入導管10は取付リング22の遠位端部から外側に延在し、例えば、心臓の心房と流体的に連絡できる。
【0054】
流入導管10が取付リング22内の所望の位置にあるときには、クランプ24は閉塞または解放し、例えば、取付リング壁29を流入導管10に圧縮し得る。その後、流入導管10は、取付リング壁29の内面に接触するように圧力により押し込まれ、例えば、流入導管10を取付リング22と相対的な所定の位置に保持できる。
【0055】
図10a〜図10eはクラムシェルハウジング18を有し得る弁構造12の一例を示す。弁構造12のハウジング18は、第2のハウジング部54に対して分離可能に取り付けられる第1のハウジング部46を有する。第1のハウジング部46は、第2のハウジング部54に回転可能に取り付けられたクラムシェルでもよく、回転により開いて、心室補助システムの他の構成要素から取り除かれる。閉塞構造では、ハウジング部46および54は、ハウジング18を縦方向に通るハウジングチャネル58を画定し、両端が開口する。第1のハウジング部46は、第1のハウジング継ぎ目51および第2のハウジング継ぎ目48において第2のハウジング部54に取り付けられ得る。第1のハウジング継ぎ目51は第1のハウジング接合部50を有し得る。第2のハウジング継ぎ目48は第2のハウジング接合部49を有し得る。
【0056】
ハウジング接合部49および50はピンで留められたヒンジでもよい。例えば、第1および/または第2のハウジング接合部49および/または50は、それぞれ、第1および/または第2の継ぎ手ピン52および/または53を有し得る。ハウジング部46および54は、ハウジング接合部49および50を軸にして回転できる。ピン52および53は、それぞれ、ハウジング接合部49および50から取り外され得、ハウジング部46および54は、ハウジング接合部49および50において互いに分離され得る。分離後、ハウジング部46とハウジング部54は、ハウジング接合部49および50において再び組み立てられ得、継ぎ手ピン52および53は、ハウジング接合部49および50に再び挿入され得る。ハウジング18が接合部49および50のいずれかまたは両方において分離されると、ハウジング18とは別個かつ分離した要素である弁16は、ハウジング18から出るか、取り外されるか、それと分離し得る。
【0057】
ハウジング部46および54のいずれかまたは両方は、脱気ポート62を有し得る。脱気ポート62は脱気チャネル15の端部に配置され得る。脱気ポート62から外に気体が吸引されるか、かつ/または食塩水または血液がハウジング18の内部から脱気ポート62を通り流れ出ることにより、脱気処理中の弁16と心臓壁との間における一定の容積の気体を除去することができる。
【0058】
弁16は第1、第2、第3および第4の弁尖56を有し得る。弁尖56は柔軟材料から形成されてもよいし、弾性材料から形成されてもよい。弁尖56はエラストマから形成されてもよい。弁16は、隣接する弁尖56間に弁尖間継ぎ目64を有し得る。各弁尖56は弁尖内折り目部66を有し得る。各弁尖56は、弁尖間継ぎ目64または弁尖内折り目部66に弁尖リブ57または補強部を有し得る。これは例えば、継ぎ目64または折り目部66における弁尖56を強化する。弁尖56はハウジングチャネル58を通じて遠位方向に流体および固体を移動できる。弁尖56はハウジングチャネル58を通じる近位方向への流体および固体の移動を阻止する。弁尖56は、その遠位側からの圧力に対して閉じ得、例えば、心臓からの血液が弁構造12から外に流れ出ることを防止できる。
【0059】
弁16は、弁尖56の近位に弁シール60を有し得る。弁シール60はハウジングチャネル58に向かい半径方向に延在する。弁シール60は弾性材料から形成され得る。弁シール60は、ハウジングチャネル58内のコアリングナイフまたは流入導管10などの要素を密閉できる。弁尖56が広がって開くと、コアリングナイフまたは流入導管10を密閉する弁シール60は、心臓からの血液がそこを通り弁構造12から外に流れ出ることを防止できる。
【0060】
ハウジング18は、弁16の遠位に位置するハウジングシール47を有し得る。ハウジングシール47はハウジング18内に位置し、ハウジング18内の環状ハウジングシール溝55に取り付けられ得る。ハウジングシール47は、ハウジングチャネル58に向かい半径方向に延在する。ハウジングシール47は弾性材料から形成されてもよい。弁シール60と同様にハウジングシール47もまた、ハウジングチャネル58内のコアリングナイフまたは流入導管10などの要素に接触してこれらを密閉できる。弁尖56が広がって開くと、コアリングナイフまたは流入導管10を密閉するハウジングシール47は、心臓からの血液がそこを通り外に流れ出ることを防止できる。
【0061】
弁16は、弁尖56の底面から半径方向に延在する弁段部59を有し得る。弁段部59はハウジング18の内面においてくぼんだ弁溝61に位置し、締まりばめとして機能する。弁段部59は弁16を弁溝61に保持できる。
【0062】
図11a〜図11cはラッチング閉塞構造である弁構造12の別の例を示す。この弁構造12の一例におけるハウジング18では、図2aおよび図2bに示すような閉塞状態においてラッチすることにより、閉塞構造において第1のハウジング部46を第2のハウジング部54にロッキングできる。ハウジング18はまた、第2のハウジング部54から第1のハウジング部46のラッチを外すことにより、開くことができる。
【0063】
ハウジング18は、第1の結合ラッチ69を有し得る第1の接合部を備える。結合ラッチは(示すように)回転して開き、第1のハウジング継ぎ目51において第1のハウジング部46と第2のハウジング部54とを分離することができる。第1の結合ラッチ69は回転して閉塞し、ハウジング18の外壁と略同一平面に位置する。閉塞構造では、第1の結合ラッチ69は閉塞し、第1の接合キャッチ70に取り付けられる。第1の結合ラッチ69は第2のハウジング部54に位置し得、第1の接合キャッチ70は第1のハウジング部46に位置し得る。
【0064】
第1のハウジング部46と第2のハウジング部54とが分離すると、ハウジング18と弁16とが取り外され得る。弁16は壊れ易く、手で、またはナイフを用いるときに、心室補助構造とは分離して引き裂かれることがある。ハウジング18の取り外し後に、弁16は標的部位から取り外されてもよい。例えば、流入導管10を取付リング22から挿入し、ハウジング18を取り外した後に、流入導管10と分離するように弁16を引き離すことがある。
【0065】
第1のハウジング部46および/または第2のハウジング部54は、それぞれ、弁16の近位に連結溝71が形成され得る。連結溝71は、切断ブレードケース158、コアリングナイフ、流入導管10、またはそれらの組み合わせなど、ハウジング18と相互作用する他の構成要素の半径方向に延在するロッキングタブ181と摺動自在かつロック可能に相互作用するように構成され得る。ロッキングタブ181と連結溝とは相互に作用して、ハウジング18全体に挿入される構成要素を保持、固定、またはそれと解放可能に連結し、それらを位置合わせし得る。例えば、ロッキングタブ181と連結溝71とは、図40bおよび図40cに示すように、切断ブレードケース158用のスリットを形成し、スリットに後に挿入されるコアリング円盤台と同一の角度方向および位置に切断ブレードケース158を配置する。
【0066】
図12a〜図15bは、それぞれ、種々の構造の弁16の一例を示す。図10a〜図10eに示す弁16が弁尖を4つ有する弁16である例を図12aおよび図12bに示す。弁尖間継ぎ目64は、弁段部59を通る弁尖間継ぎ目を有さずに弁16の中心から弁段部59まで半径方向に延在し、または弁16の中心から弁段部59を通ってまで弁16の外周まで半径方向に延在し、またはそれらの組み合わせである。例えば、図12cに示すように、弁尖間継ぎ目64の1つは弁段部59を通り延在し、弁尖間継ぎ目64の他の要素は、弁段部59を通らずに、弁段部59に向かい延在する。そして、弁段部59を通り延在する弁尖間継ぎ目64の1つは、ハウジング18に取り付けられると、ハウジング継ぎ目51または48のいずれかと位置を合わせて配置され得る。
【0067】
弁尖間継ぎ目64は、継ぎ目の全長に沿って完全に分離した継ぎ目、目打ち、またはそれらの組み合わせでもよい(例えば、継ぎ目が弁段部59を通り延在して、弁尖56と目打ちとの間が完全に分離する)。弁16は、例えば、弁尖間継ぎ目64に沿って手で分解可能でもよい。完全に分離した弁尖間継ぎ目64を含む弁16では、弁16と流入導管10などの弁16が囲む要素とを分離するために引き裂く必要はない。図12cの矢印に示す方向にクラムシェル構造の弁を回転して開くことにより、弁16に囲まれる内部要素または構成要素から弁16を解放することができる。
【0068】
図13a〜図13cは弁16の別の例を示す。弁16は四尖弁(すなわち、弁尖を4つ有する)弁でもよく、その弁尖間継ぎ目64は弁段部59を通り弁16の外周まで延在し得る。図13cに示す弁16は矢印で示す方向に回転して開き。この弁16の第1の弁尖間継ぎ目64は、第1の弁尖68と第2の弁尖65との間において弁段部59を通り延在する。反対側の弁尖間継ぎ目64は弁段部59を通らず弁段部59まで延在することにより、弁が半分ずつ回転するためのヒンジとして機能してもよい。図13Dに示すように、第1の弁尖68と第2の弁尖65との間で弁段部59を通り延在している弁尖間継ぎ目64以外の残りの弁尖間継ぎ目64は、弁段部59まで延在しているが弁段部59を通らない。弁16内に位置するコアリングツールまたは流入導管10から弁16を取り外すときなどに、弁16はさらに回転して開き、各弁尖間継ぎ目64を広げて開いてもよい。
【0069】
図14aおよび図14bは三尖弁(すなわち、弁尖を3つ有する)である弁16のさらなる別の例を示す。図15aおよび図15bは二尖弁(すなわち、弁尖を2つ有する)である弁16のさらなる別の例を示す。
【0070】
図15c〜図15eは弁尖間継ぎ目64をその両端に有する弁16の一例を示す。この継ぎ目64は弁16の第1の側面における段部を通り延在するが、弁16の第1の側面とは反対側である第2の側面における段部を分離するようには延在しない。両側の弁尖間継ぎ目64は弁16の中央に集中し得、弁16の直径に沿う単一のスリットを形成する。弁16はマイター弁でもよい。弁尖は弁尖間継ぎ目64の留め継ぎまたは斜面において結合する。弁尖間継ぎ目64における弁尖は、ひだまたはカモのくちばし状でもよい。
【0071】
図15cは四尖弁16を示す。図15dは二尖弁16を示す。図15eは単尖弁16(すなわち、弁尖を1つ有する)を示す。この単尖弁16の継ぎ目は弁段部に延在しない。単尖弁は一種のダイヤフラム弁である。ダイヤフラム弁は、段部に延在する継ぎ目を2以上は有さない。継ぎ目の全長は、図21aおよび図21bに示すダイヤフラム継ぎ目88に近い長さでもよい。
【0072】
図15fに示すダイヤフラム弁16は、ダイヤフラム82を有するが、弁尖は有さない。弁16の継ぎ目は、弛緩した偏りのない構造において閉塞し得る直線スリットまたはポート83でもよい。スリットまたはポート83は、弁16の直径に沿い延在するが、弁段部59には延在しない。ポート83の周りにおける弁16は、カモのくちばし状、ひだまたは留め継ぎ状でもよい。
【0073】
図16aおよび図16bは、膨張式膜73である弁16を有し得る弁構造12の一例を示す。弁16は膨張かつ収縮して、閉塞かつ開放する。弁16は、膨張式膜73とハウジング18との間に膨張式の弁で動く室75を有し得る。膨張式膜73は弾性材料から形成されてもよい。膨張式膜73は、図16aに示すような収縮および開放構造になる。
【0074】
図16bに示す膨張式膜73は膨張および閉塞構造である。膨張式の弁で動く室75は、液体(例えば、食塩水)または気体(例えば、二酸化炭素)により矢印で示す方向に加圧され、膨張式膜73を膨張する。膨張式膜73は、ハウジングチャネル58内のコアリングナイフまたは流入導管10などの要素の周りを密閉できる。膨張式膜73の高摩擦面がハウジングチャネル58に対向し、コアリングナイフまたは流入導管10を圧力により噛み合わせることにより、これらをハウジングチャネル58内に固定できる。代替的に、膨張式膜73の低摩擦面がハウジングチャネル58に対向し、流入導管10のコアリングナイフを、膨張した膨張式膜73に接触させてハウジングチャネル58内を摺動可能にする。
【0075】
膨張式の弁で動く室75内の圧力は解放されて、膨張式膜73を開放構造に戻し、ハウジングチャネル58内の任意の要素の圧力による噛み合いを解放する。
【0076】
図17aは捻転またはねじれ膜77である弁16を有し得る弁構造12の一例を示す。ハウジング18の上下部は互いに逆に回転して、ねじれ膜77を開放または閉塞する。ねじれ膜77は緩い非弾性体でもよいし、弾性体で伸長可能に形成されてもよい。第1のハウジング部46および第2の部分は、それぞれ、底部に回転自在に取り付けられた上部を有し得る。ねじれ膜77は膜固定リング76により、(第1のハウジング部の上部として示す)ハウジング上部78、および(第1のハウジング部の底部として示す)底部79に取り付けられ得る。ねじれ膜77は、示すように、ねじれではない開放構造でもよい。
【0077】
図17bに示すハウジング上部78は、例えば、矢印で示す方向にハウジング底部79と相対的に回転して、弁16を部分的または完全に閉塞できる。ねじれ膜77はそれ自体が、ハウジングチャネル58内の要素の周囲においてねじれてもよい。ねじれ膜77はねじれた閉塞構造でもよい。上部および底部は逆に回転して、ねじれ膜77をねじらずに開放できる。
【0078】
図18aおよび図18bに示す弁16の別の例のダイヤフラム弁は、流入導管10またはコアリングナイフをダイヤフラム弁内に押圧したときに、偏りのない構造において閉塞し、かつ伸びて開放し得る。弁16は第1のダイヤフラム80および第2のダイヤフラム86を有し得る。ダイヤフラムは、エラストマまたはそれらの組み合わせなどの弾性材料から形成され得る。ダイヤフラムは、例えば、シリコーン、ポリウレタン、または他の血液適合性ポリマから形成されてもよい。第1のダイヤフラム80は、第2のダイヤフラム86に接触して取り付けられてもよい。
【0079】
第1のダイヤフラム80には、流入導管10またはコアリングナイフを収容可能な第1のダイヤフラムポート81が形成され得る。第2のダイヤフラム86にも、流入導管10またはコアリングナイフを収容可能な第2のダイヤフラムポート85が形成され得る。ダイヤフラムポートは円形でもよい。ダイヤフラムポートは弾性的に伸長可能な構造である。例えば、流入導管10またはコアリングナイフなどの固体要素の直径が、ダイヤフラムポートよりも大きい場合には、ダイヤフラムポートに力を加えて形状およびサイズを拡大して、固体要素を密閉しつつポートを通過可能にする。固体要素をダイヤフラムポートから取り外すと、ダイヤフラムポートは再び弛緩して、その形状およびサイズに偏りがなくなる。
【0080】
第1のダイヤフラム80はダイヤフラム結合リップ84を有し得る。ダイヤフラム結合リップ84により、ハウジング18の弁溝61にダイヤフラムを保持できる。ダイヤフラム結合リップ84は、第1のダイヤフラム80の外周における環でもよい。この環は第1のダイヤフラム80の他の構成要素に対して隆起しており、それよりも厚い。ダイヤフラム結合リップ84は、第2のダイヤフラム86および第1のダイヤフラム80を取り付けた結果として形成され得る。例えば、ダイヤフラム結合リップ84は、融合、接着もしくは溶接、または補強により形成されるリブであってもよい。
【0081】
第2のダイヤフラム86の直径は、第1のダイヤフラム80の直径よりも短くてもよい。第2のダイヤフラム86は、その外周または外周付近が第1のダイヤフラム80に取り付けられ得る。第2のダイヤフラム86は、第1のダイヤフラム80のダイヤフラム結合リップ84に取り付けられてもよいし、ダイヤフラム結合リップ84の反対側における第1のダイヤフラム80の表面に取り付けられてもよい。
【0082】
第1のダイヤフラム80と第2のダイヤフラム86とを取り付けると、第1および第2のダイヤフラム80および86が弛緩して偏りのない構造である場合には、第1のダイヤフラムポート81は第2のダイヤフラムポート85と一致しない(すなわち、重ならない)。ダイヤフラム弁16が弛緩して偏りのない構造であるときに、第1のダイヤフラムポート81と第2のダイヤフラムポート85とは、完全に重なっていてもよく、部分的に重なっていてもよく、または(示すように)少しも重なっていなくてもよい。ダイヤフラム弁16は弛緩構造において実質的に流体密封シールとして機能し得る。
【0083】
ダイヤフラム弁16、または弁尖弁などの他の弁の一例では、流量の確認が可能になる。例えば、弁16の反対側の血圧が陽圧であるか否かの検査または確認に少量の血流を用いることができる。例えば、加圧した心臓からの血液がダイヤフラム弁16と接触する場合には、第1のダイヤフラム80と第2のダイヤフラム86との間の圧力は完全に密閉するには不十分である。このため、血液のわずかな細流またはドリップ流がダイヤフラムポート81および85を通過する。代替的な例では、弁尖は弁尖間継ぎ目の縦方向に位置合わせされた流量の確認チャネルおよび小さなチャネルを有し得る。これらは、弁の抵抗が低い向きと反対側の向きの、隣接する弁尖間の流量を確認できる。
【0084】
図19aおよび図19bはダイヤフラム弁16と一体化された取付リング22の一例を示す。第1のダイヤフラム80は取付リング壁29と一体化されてもよい。第1のダイヤフラム80は、取付リングチャネル14の端部を実質的に閉塞できる。第2のダイヤフラム86は、第1のダイヤフラム80および/または取付リング壁29に取り付けられ得る。同様に、開示する他の種類の弁もまた、取付リング22と一体化され得る。例えば、図19cおよび図19dには、四尖弁16と一体化した取付リング22の一例を示す。図20は取付リング22に取り付けられる弁構造12内の、ダイヤフラム弁16の一例の分解した組立体を示す。弁16は取付リング22とは別の要素として分離可能である。ダイヤフラムフラップ87にはダイヤフラム82が取り付けられ得る。第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は、ハウジング18の半径方向内面の周囲にダイヤフラム溝90を有し得る。ダイヤフラム溝90には、ダイヤフラム結合リップ84が固定して取り付けられ得る。
【0085】
第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は、ハウジング18の半径方向内面の周囲にリング溝94を有し得る。リング溝94には、リング壁結合リップ25が固定して取り付けられ得る。
【0086】
第1のハウジング部46はハウジング第1のハンドル93を有し得る。第2のハウジング部54はハウジング第2のハンドル91を有し得る。ハウジングハンドル91および93を引くと、第2のハウジング部54から第1のハウジング部46を分離できる。例えば、第1のハウジング継ぎ目51と第2のハウジング継ぎ目48とは、完全に分離するか、その間に穴が形成されてもよい。
【0087】
テープ89はハウジング18の半径方向の外面の周囲をしっかりと覆う、実質的に非弾性の可塑性ポリマストリップでもよい。テープ89は第1のハウジング部46および第2のハウジング部54を半径方向に圧縮し、第2のハウジング部54に取り付けられた第1のハウジング部46を保持できる。テープ89の半径方向内面には接着剤が用いられる。テープ89はハウジング18の周囲に1度以上巻き付き得、ハウジング18およびテープ89自体の内層にも接着し得る。
【0088】
代替的に、テープ89は弾性の中空シリンダまたはバンドでもよい。ハウジング18の周りでテープ89を伸ばしてから、テープ89に加えられたその伸ばす力を解放することによりハウジング18上にテープ89を配置することができ、それにより、ハウジング18を弾性的に半径方向に圧縮する。
【0089】
図21a〜図21cはダイヤフラム弁16の別の例を示す。図21bに示すダイヤフラム82は、ダイヤフラムポート83からダイヤフラム82の外周に延在するダイヤフラム継ぎ目88を有し得る。ダイヤフラム継ぎ目88はその両側を完全に分割または分離する。これにより、流入導管10またはコアリングナイフなどの要素が、ダイヤフラムポート83および/またはダイヤフラム継ぎ目88においてダイヤフラム82を通過できる。ダイヤフラムポート83はダイヤフラム82の半径中心に位置し得る。ダイヤフラムフラップ87はダイヤフラムポート83を保護できる。
【0090】
図21cに示すダイヤフラムフラップ87は、ダイヤフラム82の取り付け領域96に取り付けられ得る。ダイヤフラムフラップ87は、取り付け領域96以外のダイヤフラム82には取り付けられていなくてもよい。それ故、ダイヤフラムポート83および/またはダイヤフラム継ぎ目88に要素を押圧するときに、邪魔にならない所にダイヤフラムフラップ87を開放できる。ダイヤフラムフラップ87は剛体でもよいし、柔軟材料から形成されてもよい。ダイヤフラムフラップ87は弾性材料から形成され得る。ダイヤフラムフラップ87はダイヤフラム82と同じ材料から形成されてもよい。
【0091】
ダイヤフラムフラップ87は外周まで延在し得る。ダイヤフラムフラップ87は、ダイヤフラムポート83およびダイヤフラム継ぎ目88を保護できる。ダイヤフラムフラップ87は、ダイヤフラム82の片面の一部を保護し、かつダイヤフラム82の片面の一部を(示すように)むき出してもよく、または、ダイヤフラム82の片面の全体を保護してもよい。
【0092】
ダイヤフラムフラップ87のダイヤフラム82の片面における流圧が、ダイヤフラムフラップ87の反対側におけるダイヤフラム82の片面の流圧を上回ると、ダイヤフラムフラップ87はダイヤフラム継ぎ目88およびダイヤフラムポート83を押圧し、さらにはダイヤフラム82を密閉できる。
【0093】
コアリングナイフまたは流入導管10などの要素が、ダイヤフラムフラップ87の反対側におけるダイヤフラム82の片面からダイヤフラム82に力を加えると、要素はダイヤフラムポート83およびダイヤフラム継ぎ目88においてダイヤフラム82を押圧して開き、要素がダイヤフラム82内を動くにつれて、ダイヤフラムフラップ87はそこから離れるように押圧され得る。
【0094】
図22はダイヤフラム結合リップ84がハウジング18のダイヤフラム溝90に位置して、組み立てられた弁構造12を示す。第1のハウジング部(不図示)と第2のハウジング部54とは、ハウジング18の外周にテープ89を巻き付けることにより、共に圧縮され得る。
【0095】
図23に示す弁構造12はロッキングリング98を有し得る。このロッキングリング98を利用して、取付リングチャネル14内に位置する流入導管10に接触するように取付リング22を圧縮できる。例えば、クランプ24の代わり、またはそれに加えてロッキングリング98を用いてもよい。ロッキングリング98は、ハウジング18の内面に半径方向に解放可能に取り付けられ得る。ロッキングリング98は、環状レールと共にハウジング18に別個に取り付けられ得、ロッキングリング98の半径方向の外面とハウジング18の半径方向の内面とが溝において結合する。
【0096】
脱気ポート62は(示すように)ハンドル部として機能し得、かつ/または弁構造12を脱気する。ハンドル部はハウジングハンドルに取り付けられ得るか、本明細書に記載するように、脱気するために開くことができる。
【0097】
図24に示すテープ89は、ハウジング18の外面の周りを半径方向に巻き付き得る。テープ89は第2のハウジング部54に第1のハウジング部46を圧縮できる。テープ89は、例えば、ハウジング18に対向する面が支持される接着剤でもよい。テープ89は接着剤でなくともよい。例えば、ハウジング18を弾性的に圧縮してテープ89と摩擦で噛み合うことにより、ハウジング18の外面に取り付けられ得る伸縮素材でもよい。
【0098】
図25に示す弁構造12は取付リング22に取り付けられ得る。この取り付けは、例えば、取付リング22に弁構造12をスナップすることにより実行される。VADの埋め込み手術前またはその最中に、弁構造12は取付リング22に取り付けられ得る。
【0099】
弁構造12は、取付リング壁29に対して矢印で示す方向に平行移動できる。リング壁結合リップ25は、弁構造12を取り付ける方向に対向する傾斜面を有し得る。弁構造12が取付リング22に接触して押圧されると、リング溝94の遠位におけるハウジング18の一部が、リング壁結合リップ25の傾斜面を変形させる。その後、リング壁結合リップ25はリング溝94に位置し、締まりばめとして機能する。
【0100】
図26aおよび図26bは取付リング22に弁構造12をスナップする別の例を示す。この例では、弁構造12はロッキングリング98を有し得る。ロッキングリング98は、ハウジングチャネルの縦軸103に対するロッキングリング壁角度100を成して配置される。ロッキングリング壁角度100は、例えば、約3度〜約15度、約10度でもよい。
【0101】
リング壁結合リップ25は、弁構造12を取り付ける方向に対向する傾斜面を有し得る。リング壁結合リップ25の傾斜面は、取付リングチャネルの縦軸101とリング壁角度102を成して配置される。リング壁角度102は、例えば、約3度〜約15度、約10度でもよい。リング壁角度102は、ロッキングリング壁角度100とほぼ等しい。
【0102】
取付リング壁29の上方で、弁構造12は取付リング22に矢印で示す方向に押圧され得る。取付リング22上の弁構造12が押圧されると、リング溝94の遠位におけるハウジング18の一部が、リング壁結合リップ25の傾斜面を変形させる。
【0103】
図26bに示す弁構造12は、組立リングに押圧され得る。リング溝94にはリング壁結合リップ25が位置し、締まりばめとして機能する。
【0104】
使用方法
図27aおよび図27bは心室補助システムを外科的に埋め込む処理を説明する。記述する外科的な前処理および埋め込み処理が、示すのとは異なる順序でも実行され得ることを当業者は当然理解する。心室補助システムを埋め込むための外科的処理は、最初に、患者を麻酔して背臥位にする。次に、低侵襲性アプローチを用いて左心尖および上行大動脈104を露出する。この低侵襲性アプローチには、左肋骨下切開、第二右前小切開、または通常ではより侵襲的であるが、外科医の作業スペースがより広くなる一般的な胸骨切開などが含まれる。
【0105】
この方法では、肋骨下の位置から大動脈部位までトンネルを形成することにより、流出導管2/移植片を配置するスペースを形成する。流出移植片トンネルは、例えば、可鍛性のトンネラーおよび/または湾曲したトンネラーを用いて、2つの切開間(例えば、左肋骨下切開と右前小切開との間)に形成され得る。トンネラー177は左肋下開胸から始まる右前小切開までのトンネルを形成する。
【0106】
トンネラー177はトンネラーチップを有し得る。このトンネラーチップは、トンネラーが右前小切開に至ると、トンネラーから取り外され得る。トンネラーの端部には流出移植片コネクタが取り付けられ得、これは、切開間に形成されたトンネルを通り引き込まれ得る。流出移植片は、標的部位におけるポンプ8用のポンプ寸法測定器に接続され得る。ポンプ寸法測定器はプラスチック要素であり、ポンプ8のサイズおよび形状、または最終的に配置されたポンプ8の噛み合いを検査するために用いられ得る。ポンプ寸法測定器は、ポンプ8の挿入前に標的部位に挿入される。
【0107】
流出移植片はポンプ寸法測定器に取り付けられると測定され得、ポンプ8と大動脈104との間のスペースに適合する長さに切断される。そして、流出導管2が十分に緩むことにより、ポンプ8および臓器が動作可能になる。しかしながら、この緩みが大き過ぎると、流出導管2をねじることができない。
【0108】
この処理が心肺バイパス機械を使用せず、心臓106のポンプ機能中に実行されない場合には、次に、側面咬合クランプを用いて大動脈104に流出移植片を吻合する。側面咬合クランプは、大動脈104を切開するために、大動脈104と大動脈パンチ126とを保持する。
【0109】
流出移植片または導管2の内部から気体を除去するために、流出移植片内に血液を流し込んだ後、止血鉗子などのクランプ131を流出移植片2に取り付けるか、流出移植片内のバルーン135を膨張させる。これにより、大動脈104から流出移植片2を通り流れる血液を阻止できる。心臓106からの血液の制御および脱気はまた、流出移植片2の壁にスリットを形成することによっても実行され得る。バルーン付きカテーテル132が、スリットを通り流出移植片2に繋がる。バルーン135はポンプ流出コネクタに配置され得、ポンプ流出コネクタを塞ぐために膨張する。バルーン付きカテーテル132におけるエンドおよび/または側部ポートを利用して、脱気できる。
【0110】
心臓106に流入導管10を接続する前に、ポンプ8および流入導管10または流入移植片を準備し得る。流入導管10の近位端部は、流入導管10およびポンプ8から全ての気体を除去するための、食塩水溶液に浸されたポンプ8に接続される。この接続は、流入導管10の遠位端部を心臓106に接続する前に実行される。この準備プロセスでは、流入導管10およびポンプ8全体の両方を食塩水溶液に沈めて、互いに接続する。流入導管10の遠位端部を心臓106に接続した後、ポンプ8の流出端に、血液の漏れを防止する妨害物を配置する。
【0111】
心臓106に流入導管10を接続する前に、心臓106における標的接続領域の心外膜面に取付リング22を縫い付け得る。一例では、縫合により、心臓106に取付リング22のカフ35を固定する。弁構造12または外部シールは、取付リング22に接触して固定され得る。この固定は、例えば、取付リングチャネル14を形成する壁上方の弁構造12を配置および固定することにより実行される。切断ブレードまたはツールを、弁構造12および取付リング22を通じて挿入することにより、標的接続領域における心筋にスリットを形成する。次に、スリットを通じてコアリングナイフ140を挿入し、心筋の一部をコアする。次に、コアリングナイフにより形成した、心臓106の開口部に、弁構造12および取付リング22を通じて流入導管10を挿入する。半径クランプ24を用いて取付リング22に流入導管10を固定できる。次に、外部シールを含む弁構造12を取り外す。流入導管10は左心室にも挿入できる。次に、(例えば、半径方向に拡大する構造から解放して)半径クランプ24を半径方向に圧縮して、かつ/またはロックして、取付リング22に流入導管10を固定する。
【0112】
流出移植片とポンプ8とを接続する処理において、システム全体を完全に脱気し得る。流出移植片およびポンプ8からの全ての気体の脱気または除去は、脱気袋、エンクロージャ、または食塩水溶液を利用して実行され得る。流出移植片の接続されていない端部は、妨害物を有するポンプ8の流出端と共に食塩水溶液に沈められ得る。クランプまたはバルーン135は流出移植片から取り外され得る。流出移植片およびポンプ8内の全ての気体は、脱気のために漏れ出るか、大動脈104から流れる血液に押し込まれて、袋、エンクロージャ、または食塩水溶液内に入る。また、妨害物を有するポンプ8の流出端も、食塩水溶液に沈められる。止血流出移植片クランプ131を流出移植片から取り外し、さらに、妨害物をポンプ8の流出端から取り外すと、流出移植片またはポンプ8のいずれかに残留するいかなる気体は、食塩水溶液またはエンクロージャに漏れ出す。ポンプ流出コネクタにバルーン135が予め挿入されている場合には、流出移植片2から止血クランプ131を解放することにより、大動脈104からの血液が流出移植片2に溢れ出て、出血し、脱気できる。その後、流出移植片2をポンプ流出コネクタに接続できる。バルーン135を収縮して、流出移植片2からバルーン付きカテーテル132を引き出すことができる。バルーン付きカテーテル132の取り出しに利用される、流出移植片2部位における穴部は、巾着縫合で閉塞され得る。システムから気体を除去した後、流出移植片2をポンプ8の流出端に接続する。
【0113】
身体の外にポンプ8から延在する経皮リード5用のトンネルを形成する。次に、ポンプ8を作動して、左心室から血液を流し、その流れを補助する。その後、患者の外科創傷を閉じる。
【0114】
図28〜図35は心臓106および埋め込み標的である血管系へのアクセスプロセス、および流出導管2用のトンネルを形成するのに用いるツールを集合的に示す。図28、図32および図35は、トンネルを形成する処理、およびトンネルに流出導管2を埋め込む処理を示す。図29a〜図31はトンネルの形成処理に用いるツールの一例を示す。図33a〜図33cは流出導管2との吻合接続のための大動脈切開128を目標血管系に形成する処理およびツールを示す。図34aおよび図34bは目標血管系への接続後に、血液が流出導管2から外に漏れ出ることを防止する処理およびツールを示す。
【0115】
図28aは胸骨切開をする必要のない、流出導管2用のトンネルの形成を示す。図28bは、胸骨を切開した場合の、トンネルを形成する必要のない、胸骨切開開口部107の形成を示す。
【0116】
侵襲性の低い手術の一例では、図28aに示すように、標的部位の末端または下方に第1の切開110を形成することにより、心臓106の左側の先端の直ぐ下などの標的部位にアクセスできる。標的部位に対して第1の切開110とは反対側において、第2の切開108が頭側に形成される。第2の切開108は右第二肋間付近に形成され、ここから大動脈104にアクセスできる。次に、トンネラー177を矢印111で示す方向に第1の切開110内に挿入し、矢印109で示す方向に、第1の切開110と第2の切開108との間にトンネルを形成する。トンネラーの端部177は第2の切開108から矢印105で示す方向に患者の身体から出るか、患者の内側に配置され、いずれにしても、第2の切開108にアクセスできる。
【0117】
図29a〜図30bは流出導管トンネルの形成に用いられ得るトンネラー177の一例を示す。図29aは伸長トンネラーシャフト115を有し得るトンネラー177の一例を示す。トンネラー177は、トンネラーシャフト115の近位端部にトンネラーハンドル114を有し得る。トンネラーシャフト115は、ねじり圧力のない状態では直線でもよい。トンネラーシャフト115の直径は、遠位取り付け錐体118の直径よりもかなり短く、可鍛性または柔軟性を有し、患者の骨格に適合する構造に変形する。トンネラー177は、トンネラーシャフト115の遠位端部に取り付け錐体118を有し得る。一例では、この遠位取り付け部は、トンネラー177の遠位端部に位置するブレット端124でもよい。ブレット端124は、遠位取り付け錐体118と平坦または同一平面上の継ぎ目を有し得る。ブレット端124は遠位取り付け錐体118から取り外されてそこを露出するか、遠位取り付け部の異なる界面構造に再配置される。例えば、ブレット端124は、図29bに示すように、遠位取り付け錐体118から遠位方向に延在する遠位取り付けコレット123に取り付けられ得るか、そこに再配置され得る。同様に、ブレット端124は、図29cに示すように、遠位取り付け錐体118から遠位方向に延在する遠位取り付けボルト122に取り付けられ得るか、そこに再配置され得る。遠位取り付けボルト122にはらせん状ネジ山121が形成され得る。遠位取り付けボルト122および遠位取り付けコレット123は、さらに下記するように、流出移植片の近位端部に取り付けられる。
【0118】
図30aおよび図30bは遠位取り付け錐体118に取り付けられた外装125を有し得るトンネラーの別の例177を示す。トンネラーシャフト115は、外装125および遠位取り付け錐体118とは分離して形成され得る。外装125の直径は、遠位取り付け錐体118の直径とほぼ等しく、その内部は中空でもよい。トンネラーシャフト115と外装125とは直径が異なっていてもよいし、湾曲部の半径がほぼ等しくてもよい。トンネラーシャフト115および外装125は共に剛体でもよい。トンネラーシャフト115は、外装125内で摺動自在に収容され得る。
【0119】
トンネラー177は第1の切開110を通じて、腹部および/または胸部の所望の位置に挿入され、流出導管2を最終的に配置するためのトンネルを形成する。ブレット端124は丸い先端に形成される。この形状のため、患者にトンネラー177を挿入するときに、組織を通る通路の分離または形成において組織を傷つけない。
【0120】
図31はブレット端124が取り外され得、流出導管連結器4が取り付け接触面の遠位に取り付けられ得る例を示す。トンネラー177の末端から流出導管2が延在し得る。トンネラー177を使用して、流出導管2の位置および向き(すなわち、回転、ねじれ、平行移動、方向)を操作できる。
【0121】
トンネラー177の遠位端部が患者に挿入され、第2の切開部位から出るか、そこに接触した後に、流出導管2をトンネラー177に取り付けることができる。この第2の切開部位には、右前小切開のような大動脈104付近の外科的開口部、または大動脈104付近の小規模の胸骨切開部が含まれる。図32は遠位取り付け接触面が、トンネルの遠位端部または第2の切開108から外に位置している例を示す。この例では、ブレット端124は遠位取り付け接触面から取り外され得、流出導管連結器4が遠位取り付け接触面に取り付けられ得る。次に、トンネラーハンドル114を引くことにより、トンネルを通じて流出導管連結器4および流出導管2を引き出すことができる。
【0122】
図33aに示す大動脈クランプ127を用いて、大動脈104の壁の一部をクランプする。この大動脈クランプ127は、任意の形状の側面咬合クランプでもよい。これは通常、例えば、心肺バイパス機械を用いない場合に、血管系(例えば、大動脈104)がなおも血液で満たされている場合に用いられる。大動脈パンチ126、外科用ナイフまたは他のツールを、大動脈104のクランプされた部分に用いて、図33bに示すように、血管系または標的血管(例えば、大動脈104)に小さな開口部を形成する。図33cに示す流出導管2は、開口部周囲の流出移植片/導管の遠位端部における環状エッジに取り付けることにより、標的血管に取り付けられ得る。この取り付けは、(示すように)縫合、ステープル、クリップ、ブラッド、接着剤、またはそれらの組み合わせを用いて達成される。
【0123】
図34aは大動脈104から大動脈クランプ127を取り外した例を示す。大動脈クランプ127を取り外すと、大動脈104を流れる血液130は矢印で示す方向に分岐して流出導管2内を流れる。流出導管2が詰まらない場合には、大動脈104からの血液130は流出導管2を貫流し、流出導管2の(近位)開口端から流れ出る。
【0124】
図34bは流出導管2を流れる血液の流れ130を止める方法の一例を示す。流出導管2に血管クランプ131を配置して流出導管2を圧縮する。この圧縮により、流出導管2を閉じて塞ぎ、大動脈104から流出導管2への血液の流れを止める。
【0125】
図34cは流出導管2を流れる血液の流れ130を止める方法の別の例を示す。血管形成術用バルーンに類似する膨張式バルーン135を、流出導管2の壁から挿入できる。バルーン135はカテーテル132と流体的に連絡する。バルーン135は、気体(例えば、二酸化炭素)または液体(例えば、食塩水)により膨張する。バルーン135は流出導管2内で膨張すると、流出導管2を塞いで、大動脈104から流出導管2を流れる血液を止める。バルーン135はその全表面が単一物質から形成されてもよい。
【0126】
図34dは流出導管2を流れる血液の流れ130を止める方法のさらなる別の例を示す。バルーン135は2以上の材料で覆われてもよい。第1の例では、バルーン135は2つのサブバルーンから形成された合成バルーンでもよい。この2つのサブバルーンは、第1の材料で覆われており、第1の容積を有する第1のサブバルーンと、第2の材料で覆われており、第2の容積を有する第2のサブバルーンとである。第2の例では、バルーン135は、第2の材料で覆われた第2の容積とはバルーン隔膜185により分離された、第1の材料で覆われた第1の容積を有し得る。第1の容積はカテーテル132内の第1のチャネルと流体的に連絡し得、第2の容積はカテーテル132または第2のカテーテル内の第2のチャネルと流体的に連絡し得る。第1の材料がバルーン遠位面133に用いられ、第2の材料がバルーン近位面134に用いられてもよい。バルーン遠位面133における第1の材料はガス透過可能な材料でもよい。バルーン近位面134における第2の材料は、ガスを透過するが、液体を透過しない材料(すなわち、PTFEまたはアクリル共重合体などの通気性膜)から形成され得る。バルーン135を流出導管2に挿入して、膨張させたときに、バルーン遠位面133は大動脈104に対向し、バルーン近位面134は大動脈104とは反対の方向を向く。
【0127】
流出導管2を脱気すると、流体(例えば、血液および残留気体)は、流出導管連結器4を通じてポンプ8から流れ出る。VAD内の気体はバルーン近位面134を通過してバルーン135に入る。バルーン遠位面133および第1の容積は膨張して血管を流れる気体を塞ぎ、その気体をバルーン近位面134に流し出しつつ、血液および/または食塩水を、流出導管2を通じて大動脈104に送り込む。バルーン135に取り込まれた気体は、カテーテル132を通り回収され得る。
【0128】
図35に示す流出導管2はトンネルを通り引き込まれ得る。例えば、第1の切開110付近または、ポンプ8用の標的部位に隣接する付近に流出導管連結器4を配置する。前述のように、流出導管2は、大動脈取り付け装置を用いて、大動脈縫合117などにより大動脈104に接続(すなわち、大動脈に吻合)され得る。大動脈への吻合は、流出導管2を引き込む前でも後でも、トンネラー177などを用いて胸部内に、かつ/またはそこを通じて実行され得る。
【0129】
胸部内への流出導管2の引き込み後、心尖取り付け装置を用いて、取付リング22を縫合する心尖113などの心臓の先端119に縫合できる。取付リング22は左心室(例えば、先端に)もしくは右心室、または左心房もしくは右心房のいずれかに接触して配置され、そこに取り付けられ得る。縫合する心尖113は、大動脈縫合117と同じ縫合材料で形成されてもよいし、それとは異なる材料で形成されてもよい。また、同じ大きさに形成されてもよいし、異なる大きさに形成されてもよい。取付リング22は、弁構造12が取り付けられていても、取り付けられていなくても、その先端に取り付けられ得る。
【0130】
図36a〜図38はコアリングナイフ140などの切断ツールの例を示す。これらを用いて、心臓106の鼓動中に心外膜組織の一部をコアできる。図36a〜図36eに示すコアリングナイフ140の一例は、円筒コアリングブレード137を備えている。この円筒コアリングブレード137は、円錐形のナイフヘッド136の近位側の隣接面に接触する心臓組織を切断するか、剪断するように構成される。図37a〜図37dは回転可能なコアリング隣接部145を有し得るコアリングナイフ140の別の例を示す。このコアリング隣接部145を、心臓106の小さなスリットに挿入し、回転して、コアの形成が所望される心臓組織に接触して圧迫するか、それを圧縮する。図38は前面ブレード152を有するコアリングナイフ140のさらなる別の例を示す。前面ブレード152はナイフヘッド136とは独立して配置可能である。
【0131】
図36a〜図36dはコアリングナイフ140の例を示す。コアリングナイフ140は中空の円筒コアリングブレード137を有し得る。コアリングナイフ140は、円錐またはブレット状のナイフヘッド136を有し得る。ナイフヘッド136の形状は、左心室内からナイフヘッド136を取り込むために、心外膜組織内の切り込みスリットから離れるように押圧される形状であればよい。ナイフヘッド136の近位面は、コアリングブレード137が接触して切断され得るコアリング隣接部145でもよい。
【0132】
コアリングナイフ140は、その近位端部にナイフハンドル139を有し得る。ナイフハンドル139はコアリング制御シャフト143に固定され得る。コアリング制御シャフト143はナイフヘッド136に固定され得る。ナイフハンドル139を平行移動することにより、ナイフヘッド136の平行移動を直接制御できる。ナイフは、コアリングナイフ140の本体から半径方向に延在するナイフストッパ138を有し得る。ナイフストッパ138は、コアリングブレード137と相対的な、ナイフハンドル139、それ故ナイフヘッド136の平行移動の範囲を制限できる。ナイフストッパ138は、組織内へのコアリングブレード137の挿入を制御できる。例えば、使用するナイフストッパ138を取付リング22または弁構造ハウジング18に接触させて、心臓壁を通じて隔膜内にコアリングブレード137を挿入するリスクを回避または最小化できる。
【0133】
図36eに示すナイフハンドル139を、矢印で示す方向に、遠位側に平行移動することにより、ナイフヘッド136をコアリングブレード137から離れるような矢印で示す方向に、遠位側に平行移動できる(すなわち、延在する)。ナイフハンドル139は、矢印で示す方向に、近位側にも平行移動し得、ナイフヘッド136をコアリングブレード137に向かうような矢印で示す方向に、近位側に平行移動できる(すなわち、引き込む)。コアリング隣接部145は、コアリングブレード137の遠位における刃先に接触する締まりばめとして機能し得る。コアリング隣接部145は、例えば、その外径が、コアリングブレード137の遠位端部の内径よりも短い場合にコアリングブレード137内で、それに接触して動作する。この構造では、コアリング隣接部145は、コアリングブレード137に接触する組織を剪断できる。
【0134】
図37aおよび図37bに示すコアリングナイフ140の例は、回転可能なコアリング隣接部145を備えている。このコアリング隣接部145は、心臓壁のスリットを通り、その後回転して、コアリングブレード137に対向する。コアリング隣接部145は円板でもよい。コアリング隣接部145が心臓壁を通り、かつ/またはコアリング隣接部145が通過可能な程度にスリットが大きく無い場合において、心臓壁におけるスリットがいまだ形成されていないときは、コアリング隣接部145の円板を利用して心臓壁にスリットを形成できる。コアリング隣接部145は、制御アーム146に回転自在に取り付けられ得る。制御アーム146は、この構造においてナイフハンドル139に取り付けられ得る。この構造により、ナイフハンドル139を用いて制御アーム146を操作することにより、コアリング隣接部145を回転できる。ナイフハンドル139は、コアリング制御シャフト143の近位端部に回転自在に取り付けられ得る。
【0135】
コアリング制御シャフト143の外面には、らせん状のコアリング溝が形成され得る。このコアリング溝は、例えば、コアリングナイフケース141を通り、コアリング制御シャフト143の全長に沿って形成される。コアリングナイフケース141は、そこから半径方向内側に延在するガイドペグ148を有し得る。ガイドペグ148は、コアリングナイフケース141に固定され得る。ガイドペグ148はらせん状のコアリング溝に固定され得、コアリングナイフケース141と相対的なコアリング制御シャフト143の動作を制御する。例えば、コアリングブレード137は、コアリングナイフケース141と相対的に、らせん状に回転できる。
【0136】
図37cに示すナイフハンドル139は、矢印142で示す方向に回転して、コアリング隣接部145を矢印149で示す方向に回転させる。回転構造のコアリング隣接部145が画定する平面は、コアリングブレード137の刃先が画定する平面と平行でもよい。
【0137】
図37dに示すナイフハンドル139は、矢印144で示す方向にらせん運動して、コアリング制御シャフト143およびコアリングブレード137を矢印150で示す方向にらせん状に動作させることができる。ナイフハンドル139のらせん運動は、らせん状のコアリングガイド147に摺動自在に噛み合うガイドペグ148により制限され得る。コアリングブレード137はらせん状に回転し、平行移動してコアリング隣接部145の近位面に接触する。コアリングブレード137は、コアリング隣接部145に接触するまで回転し、平行移動する。
【0138】
図38に示すコアリングナイフ140は前面ブレード152を有し得る。この前面ブレード152を利用して、コアリングナイフ140を心室に挿入するためのスリットを心外膜組織に形成できる。回転可能なコアリング隣接部145を備えたコアリングナイフ140もまた、前面ブレード152と一体化して構成され得る。前面ブレード152は、ナイフヘッド136の遠位面から遠位側に制御可能に延在できる。コアリングナイフ140は前面ブレード制御ノブ155を有し得る。この制御ノブ155を用いて前面ブレード152を延在および引き込みできる。前面ブレード制御ノブ155は、図41b〜図41dに示す前面ブレード制御シャフト174において、前面ブレード152に固定され得る。前面ブレード制御ノブ155は、矢印154で示す方向にノブ開口157内を近位側および遠位側に平行移動する。この移動により、前面ブレード152を、ナイフヘッド136と相対的な近位側および遠位側、すなわち矢印153で示す方向に、平行移動できる。
【0139】
矢印162で示す方向へのナイフハンドル139の平行移動により、ナイフヘッド136は、矢印151で示す方向に前面ブレード152とは独立して平行移動する。ナイフハンドル139の平行移動により、コアリングブレード137を延在および引き込みできる。前面ブレード制御ノブ155は矢印156で示す方向に回転して、ナイフハンドル139の平行移動に対する前面ブレード152の平行移動をロックまたはアンロックできる。
【0140】
ナイフヘッド136は、のみ先端構造を有し得る。ナイフヘッド136の遠位端部は、傷つける構造でもよいし、傷つけない構造でもよい。
【0141】
図39aおよび図39bに示すコアリングナイフ140は、弁構造12のハウジング18および取付リング22を通り、矢印で示す方向に挿入され得る。弁16の弁尖56は、コアリングナイフ140から離れるように弾性的に変形する。弁尖56、弁シール60、ハウジングシール47、またはそれらの組み合わせにより、コアリングナイフ140周りの流体密封シールを形成できる。例えば、コアリングナイフ140の使用中に、心臓106および弁構造12から外に出る血液の流れを抑制または最小化できる。
【0142】
図40a〜図40iは心臓106をコアリングする方法、および心臓106の鼓動中における心臓106への流入導管10の取り付けの例を示す。図40aに示す取付リング22は、心臓壁106に接触して配置され得る。1つ以上の縫合113によりカフ35を心臓106に縫い付け、心臓106に取付リング22を固定できる。クランプ24は、示すように開放構造において取付リング22に取り付けられ得る。弁構造12は、取付リング22を心臓106に取り付ける前でも後でも取付リング22に取り付けることができる。任意の時に血液および/または食塩水を脱気ポート62に入れるか、かつ/または脱気ポート62を吸引することにより、取付リングチャネル14および/またはハウジングチャネル58から気体を除去することができる。これは例えば、心臓壁を切断またはコアリングして開口を形成する前に実行される。
【0143】
図40bは切断ブレードを用いて形成され得る、心臓壁における初期のスリットを示す。切断ブレードは切断ブレードケース158に収容され、切断ブレードケース158から延在かつそこに収納されるように構成され得る。切断ブレードケース158は、弁構造12および取付リング22を通じて挿入できる。切断ブレードケース158は切断ブレードハンドル160および切断ブレードプランジャ159を有し得る。切断ブレードプランジャ159は、切断ブレードケース158の遠位端部における鋭い、線形切断ブレード(不図示)を制御できる。切断ブレードプランジャ159を矢印161で示す方向に平行移動して、切断ブレードを心臓106に挿入し、心臓106にスリットを形成できる。弁16および弁構造12のシールは、切断ブレードケース158に接触して流体密封シールを形成し、血液が心臓106から出て弁構造12を通り流れることを防ぐ。切断ブレードケース158は、スリットの形成後、弁構造12および手術部位から取り外され得る。切断ブレードの代わりに、図41a〜図41dに示し、それに関して記述するコアリングナイフ140から延在する前面ブレード152を用いてスリットを形成してもよい。
【0144】
図40cに示すコアリングナイフ140は、矢印163で示す方向に平行移動して、弁構造12および取付リング22に入る。コアリングナイフ140は、ロッキングタブ181とロッキングスロットまたは連結溝71とにおいて弁構造12に噛み合い、信頼できる接続並びに深度マーカおよびロケータを提供する。コアリング隣接部145は、切断ブレードが形成した、心臓106におけるスリットを通り挿入され得る。心臓106が鼓動し続けている間、コアリング隣接部145が押されて左心室165に入り得る。シールおよび弁16は、血液が鼓動中の心臓106から出て、弁構造12を通り流れることを防止するシールをコアリングナイフ140の周りに形成する。
【0145】
図40dに示すナイフハンドル139は矢印142で示す方向に回転して、コアリング隣接部145を矢印149で示す方向に回転させる。この回転により、例えば、心臓106の一部をコアするコアリングナイフ140を準備できる。コアリング隣接部145は、左心室165に接触する心臓壁の内側と略平行かつそれと接触する平面に位置し得る。
【0146】
図40eに示すコアリングブレード137はねじれて、心臓壁の残りの部分から心臓壁のシリンダを切断して取り去る。ハンドルを矢印144で示す方向にらせん状に動作することにより、コアリングブレード137を、矢印150で示す方向に心臓壁を通るようにらせん状に延在する。コアリングブレード137の遠位エッジは鋭く、かつ/または鋸歯状に形成される。このため、心臓壁を通るようにそれを動かすことにより、心臓壁を切断できる。コアリング隣接部145は、コアリングブレード137から離れるような心臓壁の運動に抵抗して、コアリングブレード137とコアリング隣接部145との間の心臓壁を圧縮する。コアリングブレード137は、コアリング隣接部145に接触して心臓壁をコアリングするまで伸張できる。弁構造12および/または取付リング22と同軸で(すなわち、ほぼ同一の縦軸に沿って)心臓壁がコアされ得る。
【0147】
コアリング隣接部145を有する代替的な一例のコアリングナイフ140の外径は、コアリングブレード137の刃先の内径よりも短い。このため、コアリングブレード137は、コアリング隣接部145に隣接してそれを通り伸張し、コアリングブレード137とコアリング隣接部145の外周との間のコアされた組織175を剪断できる。
【0148】
コアリングブレード137をコアリング隣接部145に押し付けてコアリングブレード137に閉塞容積を形成しながら、心臓106、取付リング22および弁構造12からコアリングナイフ140を回収かつ取り外すことができる。コアリングブレード137が形成した、心臓組織のコアは、コアリングブレード137内に格納され得、コアリングナイフ140とともに標的部位から除去できる。
【0149】
図40fに示すポンプ8の流入導管10(図40fにはポンプ8は不示)は、矢印183で示す方向に平行移動して、弁構造12および取付リング22に入る。流入導管ストッパ42がハウジング18に接触して締まりばめとして機能し、流入導管10の平行移動を停止できる。
【0150】
弁構造12および取付リング22の脱気は、弁構造12の脱気ポート62を吸引するか、かつ/または脱気ポート62に食塩水または血液を注入することにより行われる。弁構造12の脱気は、心室補助システムの埋め込む中に1度でもよいし、埋め込む中に複数回実行されてもよい。例えば、弁構造12に流入導管10を挿入する直前および/または直後に脱気できる。
【0151】
流入導管10の流入孔7が心臓106に配置され、それが(例えば、取付リングシール34を備えた)取付リング22、および/または(例えば、ハウジングシール47および/または弁16を備えた)弁構造12に接触して形成された流体密封シールを通過した後に、弁構造12は取付リング22から取り外されてもよい。例えば、第1の結合ラッチ69が矢印168で示す方向に開き、次に、第1のハウジング部46および第2のハウジング部54が矢印169で示す方向に回転して開き、弁構造12が取付リング22から取り外すことができる。
【0152】
図40gに示す構造の弁構造12は、処理中に開いて、流入導管10から取り外され得る。弁構造12の第1の部分は、弁構造12の第2の部分から離れるように回転する。例えば、弁尖間継ぎ目64において弁16の外周面を開くことにより、ハウジング継ぎ目51または49各々に沿って弁16は開いて分離する。第1のハウジング部46は、第2のハウジング継ぎ目48をヒンジとして第2のハウジング部54から離れるように回転して開く。ハウジング18が取り外されると、弁16はハウジング18から分離して流入導管10にとどまる。次に、弁16は、図40gに示すように、(ヒンジとして機能する)弁段部59に延在するが、そこを貫通しないリーフ間継ぎ目の端部において回転して開き、かつ/またはリーフ間継ぎ目において切断または引き裂かれ、流入導管10から引き出される。弁16はハウジング18と共に流入導管10から取り外されてもよいし、図40gに示すように、流入導管10からハウジング18を取り外した後に取り外されてもよい。図40hは弁構造12から取り外した後の流入導管10および取付リング22を示す。ポンプ8は示さないが、流入導管10の遠位端部に取り付けられている。流入導管10は、その遠位端部にポンプ8を取り付けるためのインジケータを有し得る。
【0153】
図40iに示す流入導管10は、矢印で示す方向にさらに平行移動して左心室165に入る。流入導管ストッパ42がリング壁干渉リップに接触して締まりばめとして機能するまで、流入導管10は平行移動する。次に、クランプハンドル36が矢印170で示す方向に閉じて、クランプ24の直径を短縮し、流入導管10の外側に接触する取付リング22の内側に圧力により噛み合うか、それを圧縮し、取付リング22と相対的な流入導管10の平行移動を縮小または抑制する。流入導管10の外面は、取付リングシール34などの取付リング22の内面に接触して流体密封シールとして作用する。流入導管10は取り外されるか、再配置される。これは例えば、クランプハンドル36を開いて、流入導管10を取り外すか、再配置し、次にクランプハンドル36を閉じることにより行われる。
【0154】
スリット形成中、心室へのコアリング隣接部145の挿入中、コアリング中、心臓106への流入導管10の挿入中、弁構造12の取り外し中、取付リング22周りのクランプ24の締め付け中、前述のいくつかまたは全ての処理中に心臓106は血液を送り出せる。
【0155】
図41a〜図41dは、図38に示す例に類似するコアリングナイフ140の例を用いて、心臓壁の一部をコアリングする方法を示す。図41aに示すコアリングナイフ140は、ダイヤフラム弁16を備えた弁構造12に接触して配置され得る。図41bに示すコアリングナイフ140は、ダイヤフラムポート83から挿入され得る。ダイヤフラムポートは、そこをコアリングナイフ140が通るように弾性的に変形する。ダイヤフラムは、コアリングナイフ140をダイヤフラムポートに挿入するときに、コアリングナイフ140の周りに流体密封シールを形成する。前面ブレード152はナイフヘッド136の遠位端部から外に延在し、矢印で示す方向に心臓壁を押圧し得る。前面ブレード152は心臓106を切断するか、スリットを形成できる。前面ブレード152が形成した、心臓壁のスリットまたは切断部にナイフヘッド136を押し込むことができる。
【0156】
図41cに示すナイフハンドル139は、矢印で示す方向に心臓106に向かい平行移動して、左心室165にナイフヘッド136を延在する。コアリング隣接部145が心臓壁の内面に面し得る。前面ブレード152は引き込まれて、ナイフヘッド136に保護されて他の箇所を傷つけない。
【0157】
図41dに示すナイフハンドル139は、心臓106から離れるように平行移動して、ナイフヘッド136を矢印で示す方向、すなわちコアリング隣接部145に向かう方向に引き込む。コアリング隣接部145およびコアリングブレード137は、心臓壁から離れて組織を切断できる。コアリング隣接部145およびコアリングブレード137は、(コアリング隣接部145の直径がコアリングブレード137の直径よりも短い場合に)組織を剪断するか、(コアリング隣接部145の直径がコアリングブレード137の直径以上の長さである場合に)切断することができる。コアされた組織175は、弁構造12からコアリングナイフ140を取り外すまで、コアリングブレード137の内部容積に格納され得る。弁構造12からコアリングナイフ140を取り外すときに、ダイヤフラムは閉じて、血液が心臓106から弁構造12に流れ出ることを防ぐか、最小化する。
【0158】
図42a〜図42cはロッキングリング98を有する弁構造12を用いて、取付リング22を流入導管10にクランプする方法を示す。図42aに示す流入導管10は、ダイヤフラム弁16を有する弁構造12を通り、矢印で示す方向に挿入され得る(図示の都合のため示さないが、ダイヤフラムは流入導管10を妨害しないように弾性的に変形し得る)。ダイヤフラムポート83は、流入導管10に適応するように弾性的に広がる。ダイヤフラムポート83は、流入導管10の周囲に流体密封シールを形成し、心臓106から出た血液が弁構造12の外に流れ出ることを防ぐ。
【0159】
図42bに示すテープ89は弁構造12から取り外され得る。次に、ハウジング18は第1のハウジング部46と第2のハウジング部54との構成要素に分離して、標的部位から取り外され得る。次に、例えば、流入導管10から引き裂くか、それから切断することにより、ダイヤフラム弁16が取り外され得る。もしくは、ダイヤフラム継ぎ目88を開いて、ハウジング18と共に取り外されてもよい。
【0160】
図42cに示すロッキングリング98は、矢印で示す方向に心臓106に力を加える。図42cに示す構造では、ロッキングリング98はリング壁29を圧縮できる。リング壁29の内径は、ロッキングリング98の圧縮圧力により縮小され得る。取付リング壁29の半径方向の内面は、流入導管10の外壁に接触して圧縮され、半径方向に圧入されて流体密封シールを形成する。ロッキングリング98は心臓106から離れるように引き出され得、取付リング壁29を伸ばして、広げる。これにより例えば、取付リング壁29の半径方向の内面と、流入導管10の半径方向の外面との間の圧入力を低減するか、完全に除去する。
【0161】
図43aおよび図43bは流出導管2を脱気する方法の例を示す。図43aに示す例では、流出導管2内の血液の流れを(示すように)クランプ131またはバルーン135を用いて止めて、バルーン付きカテーテル132を流出導管2の壁から挿入できる。ポンプ8の脱気は、例えば、ポンプ8を心室と流体的に連絡させて作動させるか、食塩水または血液をポンプ8に事前に含ませることにより行われる。バルーン135はポンプ8の末端側流出端に挿入され得る。ポンプ8は膨張して、例えば、ポンプ8および流入導管10を脱気状態(すなわち、ポンプ8または流入導管10の流体チャネル内に気体が無い状態)に維持する。
【0162】
図43bに示す流出導管2は、流出導管連結器4においてポンプ8に連結され得る。流出導管2とポンプ8とを連結する前に、クランプ131を流出導管2から取り外してもよい。これにより、大動脈104からの血液が流出導管2を脱気した後に、流出導管2をポンプ8に連結できる。
【0163】
代替的に、流出導管2をポンプ8に連結した後も流出導管クランプ131は流出導管2を保持してもよい。その後、ポンプ8および流出導管2からバルーン135を取り外してからポンプ8を作動してもよい。流出導管クランプ131とポンプ8との間の流出導管2からの気体は、側流出導管2の壁に形成された穴部を通り直接外に出てもよいし、流出導管2に挿入された針から外に出てもよい。側部ポートが形成されたバルーン付きカテーテルを用いる場合には、移植片に形成された穴部または追加の針を用いる代わりに、カテーテルポートを利用して気体を回収できる。
【0164】
流出導管2およびシステムの他の構成要素を脱気すれば、(示すような)バルーン135および/または流出導管クランプ131を、流出導管2から取り外してもよい。カテーテル132を流出導管2の壁から取り外した場合には、必要に応じて、巾着縫合などにより流出導管2を縫合して、流出導管壁に形成された穴部を閉じる。
【0165】
代替的に、バルーン135またはクランプ131を用いて流出導管2を塞いだ場合には、ポンプ8を流出導管2に取り付けて作動してもよい。心室補助システム内の過剰気体は、カテーテル132または本明細書に記載する二材料からなるバルーンを用いて回収できる。
【0166】
流出導管2およびポンプ8の組立中に気体がVADの構成要素に入ることを防止するために、液体で満たされた脱気袋、エンクロージャまたはポーチを用いてシステムを脱気する方法の別の例を図44は示す。流出導管連結器4、ポンプ8の流出端、およびポンプ8に取り付けられた流出導管2の端部は、脱気ポーチ179に配置され得る。脱気ポーチ179は、そこにVADの構成要素を配置する前でも後でも、食塩水で満たされ得る。取付リング22は、弁構造12の脱気ポート62を通じて予め脱気され得る。流出導管2は、大動脈104からの血液を利用して予め脱気され得、そして、例えば、流出導管クランプ131またはバルーン135を用いてこの血液を止めることができる。ポンプ8および流入導管10は、標的部位に流し出される前の食塩水または血液で予め満たされていてもよい。これらを標的部位に送り込む前のポンプ8の流出ポートは栓をされてもよい。
【0167】
ポンプ8の流出端および導管の流入端を脱気ポーチ179に配置する場合には、流出導管2内のバルーン135が引き込まれ、取り外されるか、流出導管2における流出導管クランプ131が取り外され得る。大動脈104からの血液が流出導管2を脱気すると、流出導管2内の気体は脱気ポーチ179内に送り込まれる。送り出された気体は、次に、脱気ポーチ179から漏れ出るか、VADの構成要素の開口部から離れた脱気ポーチ179の一部に移動する。ポンプ8が駆動して、そこから血液を流入導管10に送り出すことにより、ポンプ8および流入導管10におけるいかなる追加の気体を流出できる。次に、図43bまたは図45に示すように、脱気ポーチ179においても、それが無くても、流出導管2をポンプ8に取り付けられることができる。
【0168】
経皮リード5がポンプ8に取り付けられ得、これはさらに、当業界で周知の外部電源、制御装置、およびデータ送信装置に接続され得る。
【0169】
心臓106の鼓動中に、かつ患者に心肺バイパスを実行しなくても、このシステムを埋め込むことができる。ただし、システムの埋め込みは、心肺バイパスに関する特許を利用して心臓106の動作を減速するか、停止して行われる。システムの埋め込みは、本明細書に記載する侵襲性の低い技術を用いて行われる。ただし、完全な開胸および胸骨切開を利用して行ってもよい。
【0170】
図46aおよび図46bに示す別の実施形態の取付リング22の形成は、ポリマに埋め込まれるか、包まれ得る補強要素を含む型にポリマを射出成形して行われる。型穴は以下の幾何学的特徴を含む。すなわち、結合リップ25、管状流体通路を形成する円筒リング壁29、遠位バンド31、およびリングシール34を単一のユニタリー構造として同時に形成する幾何学的特徴を含む。リングシール34は、リングチャネル14に対して円形の近位開口部の内端を形成する。
【0171】
取付リング22は柔軟材料から形成されてもよい。成形に用いられるポリマは、埋め込みに適した他のポリマを用いてもよいが、シリコーンゴムでもよい。成形後に完全に冷却するか、かつ/または硬化して、リングチャネル14に挿入される円柱状物体に対してリングシール34が屈曲、合致、およびそれに接触して密閉可能なように、ポリマは柔軟材料から形成されてもよいし、弾性材料から形成されてもよい。補強要素は近位補強バンド202、遠位補強バンド204、および繊維メッシュ206を含む。近位補強バンド202および遠位補強バンド204を形成する材料は、型に注入され、取付リング22の構成要素を形成するポリマよりも堅い。近位補強バンド202および遠位補強バンド204がもたらす剛性により、さらに、リングチャネル14の反対端における開口部が円形状を維持できる。近位補強バンド202および遠位補強バンド204は、ナイロン、アセタール、ポリカーボネート、HDPE、PP、PET、PEEK、チタン鋼、またはステンレス鋼から形成され得る。繊維メッシュ206は、メッシュ管を形成するような網状のポリエステル系繊維から形成され得る。これは、成形過程の一部において型に配置され得る。他の種類の繊維およびメッシュ網を用いてもよい。繊維メッシュ206は、遠位バンド31およびリング壁29に分布され得る。繊維メッシュ206を用いることにより、カフ35を遠位バンド31に後に取り付けるために用いられる縫合などにより生じ得る機械的応力に起因するポリマの引裂を防止できる。繊維メッシュ206の張り出し端により、遠位バンド31のポリマ基質に対する縫合がしっかりと固定される。
【0172】
結合リップ25、リング壁29、遠位バンド31、リングシール34、近位補強バンド200、および遠位補強バンド202が、それぞれ、環状となるように、取付リング22は縦軸200を軸として回転対称となり得る。
【0173】
成形後、カフ35および遠位バンド31を通るように針を用いて縫合208を通すことにより、カフ35を遠位バンド31に取り付け得る。縫合208は途切れない、生体内非分解性繊維または糸でもよい。これは、遠位バンド31の外周内でらせん状に環を形成する。縫合208の反対端は、緩まないように結び目208aで結ばれ得る。リング壁29の一部29aは、遠位バンド31を越えて遠位側に延在する。カフ35のいかなる部分もリングチャネル14を塞がないように、一部29aを利用してカフ35をリングチャネル14の穴部の中心に位置させる。取付リング22の連続する臨床用途では、患者の心臓にカフ35を取り付けて、取付リングクランプ24を利用してリングチャネル14に流入導管10を固定できる。
【0174】
成形過程においてその直径および円形が流入導管10のサイズに一致する一貫性のある方法でリングシール34を形成できる。このため、取付リング22内に流入導管10を配置したときに、取付リング22と流入導管10の外面との間が流体密封シールとして機能する。
【0175】
図47a〜図47cに示す別の実施形態の取付リング22の形成は、繊維メッシュ206が埋め込まれるか、それで包まれる薄板にポリマを成形することにより行われる。ポリマおよび繊維メッシュに適する材料は図46a〜図46dに関して記述する。図47aおよび図47bに示すように、平坦薄板から矩形ストリップ210を切断し、それをロールすることにより取付リング22は形成され得る。これにより、ストリップの両端212が重なり合い、結合した端部212は共に、流体密封継ぎ目214を形成する。
【0176】
次に、カフ35および遠位部216に針を用いて縫合208を通すことにより、ロールしたストリップの遠位部216の周りにカフ35を取り付けることができる。単一の、途切れない縫合208の一部、またはいくつかの部分を用いて、カフ35の近位エッジ218および遠位エッジ220にロールしたストリップの遠位部216に固定できる。取付リング22の連続する臨床用途では、患者の心臓にカフ35を取り付けて、取付リングクランプ24を利用してリングチャネル14に流入導管10を固定できる。継ぎ目214の内側エッジ214aは、リングチャネル14の全長を通り延在する。内側エッジ214aを形成するストリップの端部212aは、反対端212bに平坦接触面を形成するように断面において先細り得る。平坦接触面を形成するために内側エッジ214aに材料を追加してもよい。平坦接触面であるため、リングチャネル14の内面は流入導管10に接触して流体密封シールを形成する。
【0177】
図48aおよび図48dに示す別の実施形態の取付リング22の形成は、以下の幾何学的特徴を有する型穴にポリマを射出成形することにより行われる。この幾何学的特徴は、リング壁29、遠位バンド31、リングシール34、およびリング弁230を単一のユニタリー構造として同時に形成する構造である。ポリマに適する材料は図46a〜図46dに関して記述する。図48aおよび図48cは、それぞれ、遠位端部および近位端部を示す。図48aおよび図48bは遠位バンド31の特徴をよりよく示す、カフを備えない取付リング22を示す。
【0178】
リング壁29、遠位バンド31、およびリングシール34が、それぞれ、環状となるように、取付リング22は縦軸200の周りで回転対称となり得る。示す実施形態では、リング弁230は四尖弁(すなわち、弁尖を4つ有する弁)であり、図12aおよび図15cに関連して記述する弁16と構造的に類似する。他の構造の弁230を用いてもよい。例えば、弁はこれらに限定されないが、(図14aに示すような)三尖弁、(図15aに示すような)二尖弁、ドーム弁、(図15fに示すような)ダイヤフラム弁、およびそれらの組み合わせでもよい。リングチャネル14の円形の近位開口部の内端にはリングシール34が形成される。円柱状物体(例えば、切断ツール300およびコアリングナイフ140)をリングチャネル14の近位開口部に挿入すると、リングシール34は円柱状物体に接触して密閉し、リング弁230が屈曲して開く。円柱状物体を取り外すと、リング弁230は自動的に閉じて、リング弁230の中を矢印231の方向に遠位側に流れる液体を低減、抑制または阻止する。取付リング22を心臓に取り付けることにより、弁構造12を用いずに心臓が鼓動し、血液を送り出している間に、リング弁230により心臓組織を切断およびコアリングできる。
【0179】
成形後、図46cおよび図46dに関して記述したように、カフ35および遠位バンド31に針を用いて縫合208を通すことにより、カフ35を遠位バンド31に取り付けることができる。取付リング22の連続する臨床用途では、患者の心臓にカフ35を取り付けて、取付リングクランプ24を利用してリングチャネル14に流入導管10を固定できる。
【0180】
前述の実施形態のいくつかでは、取付リング22の配置機構により、切断ツールおよびコアリングナイフ140が共通する配置を共有できる。切断ツールは図52a〜図52cに示すものでもよい。使用中、取付リング22に切断ツールを挿入する。以下により詳細に記載するように、取付リング22に切断ツールを挿入すると、この配置機構により、切断ツールの平坦ブレードは、特定の方法で確実に方向付けられる。一旦配置されると、平坦ブレードは延在して心臓組織にスリットを形成する。その後、切断ツールは取付リング22から取り外される。コアリングナイフ140の要素が挿入され得る通路としてスリットが機能する。コアリングナイフ140を取付リング22に挿入すると、この配置機構により、図37a〜図37dに示すように、回転可能なコアリング隣接部145を、切断ツールを用いて予め形成したスリットと同一ラインに沿うように確実に方向付けることができる。これにより、コアリング隣接部145を心臓腔に容易に進入させることができる。
【0181】
配置機構がとる構造的特徴では、例えば、取付リング22の近位端部に配置された結合リップ25に2つのくぼみ230(図4a)が形成され得る。くぼみ230はその形状およびサイズが、切断ツールの外面に形成された突起346(図52a参照)、およびコアリングナイフの外面に形成された突起411(図54参照)を収容するように形成される。くぼみ230は「ブラインド」配置でもよい。これは、くぼみと突起との噛み合いにより、適切な配置を指示する外科医または他の使用者に触覚フィードバックを与える。配置機構は視認可能なインジケータでもよい。例えば、結合リップ25に適用された対比色を用いた消去できないマーキング232(図46c)、および/またはエンボス加工されたマーキングでもよい。使用中、取付リング22への切断ツールの挿入中において、切断ツールの外面における一組の突起またはマーキングをマーキング232に合わせることにより配置できる。その後、取付リング22へのコアリングナイフ140の挿入中、コアリングナイフ140の外面における一組の突起またはマーキングをマーキング232に合わせることにより配置できる。
【0182】
再度図7aを参照すると、結合リップ25とカフ35との間に位置する取付リング壁29の中央部の周りにクランプ24が配置され得る。クランプ24は取付リング22において、その縦軸200に沿う方向に、取付リング壁29の中央部に至るまで平行移動することにより、取付リング25に備え付けられ得、かつ取り外され得る。ただし、クランプ24がそのクランプ径38を増大する能力を制限する場合には、結合リップ25およびカフ35が取付リング22の軸方向並進を妨げ得る。これにより、特に、取付リング22を心臓組織に固定した後の、取付リング22の備え付けおよび取り外しが困難になる。
【0183】
図49a〜図49dに示す別の実施形態のクランプ24は、複数のリンケージを有する。これらリンケージにより、取付リング22を心臓組織に固定した前でも後でも、取付リング22へのクランプ24の備え付け、およびそれからの取り外しが容易になる。リンケージは第1の湾曲部240、第2の湾曲部242、レバー244、および第3の湾曲部246を備える形状である。クランプ24が閉じているときは(図49a)、第1、第2および第3の湾曲部240,242,246の内面は、直径247の円を形成する。この円の形状では、取付リング22に流入導管10を固定するために、湾曲部が取付リング壁29に圧力を加える。直径247は取付リング壁29の外径とほぼ同じ長さでもよいし、それよりもわずかに短く(例えば、5パーセント、10パーセント、または20パーセント短く)てもよい。リンケージは互いと相対的に旋回して、取付リング壁29の外径よりも大きな開口部を形成できる。この能力により、結合リップ25とカフ35とが干渉しない方法で、取付リング22を備えつけ、かつ取り外しできる。
【0184】
図49bを参照すると、第1の湾曲部240の端部と第2の湾曲部242の端部とは、第一のヒンジ241により互いに旋回可能に接続されている。第1の湾曲部240の反対端には、フック245が備えられている。第2の湾曲部242の反対端は、第1のレバーヒンジ248を介してレバー244に接続されている。第2のレバーヒンジ250は、レバー244の内側部252と第3の湾曲部246の一端とを接続する。内側部252は第3の湾曲部246の2つの脚部254間に配置される。湾曲部246の反対端には、円筒形キャッチ256が備えられる。円筒形キャッチ256は脚部254同士を接続し、フック245内に嵌め込まれるサイズおよび形状に形成される。
【0185】
図49aは閉じたクランプ24を示す。レバー244は、第2の湾曲部242に形成された溝243(図49b)内に配置され、第3の湾曲部246の脚部254間にも位置する。円筒形キャッチ256はフック245に固定される。第1のレバーヒンジ248はフック245に隣接して位置する。
【0186】
クランプ24を閉じると、矢印260の方向に沿う第3の湾曲部246の運動は、クランプ24内に存在する取付リング壁29および流入導管10により抑制される。つまり、取付リング壁29および流入導管10により、クランプ24の内径247は短縮しない。
【0187】
クランプ24を開くために、操作者はレバー244の遊離端における突起258を、図49bに示す矢印262の方向に半径方向外側に引くことができる。矢印260に沿う突起258の運動により、内径247を縮小する必要無く、円筒形キャッチ256は矢印260に沿い移動する。それ故、突起258を矢印260に沿い引くときに、クランプ24内に存在する取付リング壁29および流入導管10は、円筒形キャッチ256がフック245から外れることを防がない。図49cに示すように、第1の湾曲部240が第一のヒンジ241の周りを旋回するように外れると、直径247よりも相当に大きい開口が形成される。
【0188】
クランプ24は閉じた位置においてもロッキングレバー244を提供できる。レバー244の遊離端には貫通孔264が形成される。図49aに示すような閉じた位置では、貫通孔の第1の開口266が表に出て、第2の開口268(図49b)は、第2の湾曲部242の溝243に配置される。第2の開口268は、第2の湾曲部242の外面を延在する貫通孔267の開口に対向する。貫通孔264と貫通孔267とが同軸上に位置を合わせることにより、縫合が両方の貫通孔を通って輪を形成できる。この縫合により、レバー244が矢印262の方向に出ることを防止してクランプ24の閉塞を維持できる。縫合の反対端が結び目で結ばれることにより、縫合は所定の位置に維持される。クランプ24を開くために、縫合は切断して取り外すことができる。
【0189】
図50aおよび図50bに示す別の実施形態のクランプ24は、取り外し可能な端部を有するリング270状の単一のユニタリー構造である。端部はラチェット機構を有し、これが互いに噛み合うことにより、リング270の内径272がより短くなる。第1の端部274は、保護部材276および半径方向内向きの複数の歯280を備えたラチェット部材278を含む。第2の端部282は半径方向外向きの複数の歯286を備えたラチェット部材284を含む。ラチェット部材284は、保護部材276とラチェット部材278との間の開口チャネルに位置する。クランプ24を開くと、図50aおよび図50bに示すように、ラチェット部材284の遊離端と、保護部材276とラチェット部材278との間の開口チャネルの端部との間にギャップ280が存在する。ギャップ280において、第1の端部274および第2の端部282は共に押圧され、歯280と歯286とは互いに噛み合う。歯280および歯286は、第1の端部274および第2の端部282が共に押圧される場合に、互いを滑るように構成される。また、互いに噛み合いして、第1の端部274および第2の端部282が、その後、互いから離れるようには動かないようにも構成される。使用中、クランプ24は、取付リング22の取付リング壁29の周りに配置され得る。保護部材276は、取付リング壁29がギャップ280内で挟まれることを防止する。
【0190】
リング270はばねのように機能し、第1の端部274および第2の端部282が共に押圧されたときのばねエネルギーを蓄える。リング270は、以下の幾何学的特徴を含む型穴にポリマを注入することにより形成され得る。この幾何学的特徴は、保護部材276、ラチェット部材278、歯280、ラチェット部材284、および歯286を単一のユニタリー構造として同時に形成する構造である。第1の端部274には貫通孔288が形成される。第2の端部282には貫通孔290が形成される。貫通孔288および貫通孔290は、第1の端部274および第2の端部282を共に押圧するツールの先端を収容できる。ラチェット部材278には貫通孔300が形成される。貫通孔300にツールを挿入し、半径方向外側に引くことにより、対向する歯280,286を互いから外すことができる。対向する歯280,286が外れると、第1の端部274および第2の端部282は、リング270が蓄えたばねエネルギーにより、互いから離れるように自動的に移動する。
【0191】
第1の端部274および第2の端部282を共に押圧した後に、縫合は安全な方法で貫通孔300および貫通孔290を通り輪になり、ラチェット部材が偶然に外れることを防止する。縫合の反対端を結び目で共に結ぶことにより、縫合を所定の位置に保持する。ラチェット部材を外して、内径272を増大するために、縫合は切断して取り外すことができる。
【0192】
図50aおよび図50bに示すクランプ24を開くと、内径272は取付リング22の取付リング壁29の外径よりも長くなる。第1の端部274および第2の端部282を共に押圧してクランプ24を閉じると、内径272は、流入導管10と、取付リング壁29の厚さとを合わせたサイズに一致する。これにより、取付リング22内に流入導管10を配置したときに、取付リング22と流入導管10の外面との間の流体密封シールが形成される。
【0193】
図51に示す別の実施形態のクランプ24のラチェット部材278,284は、それぞれ、1つの歯286,280のみを有する。他の実施形態では、さらなる噛み合いを与えるために、必要に応じて任意の数の歯を備えてもよく、かつ/またはクランプ24に使用可能な、異なるサイズの取付リング22および流入導管10を用いてもよい。
【0194】
心臓の先端119への取付リング22の取り付け後、図38に示すコアリングナイフ140の前面ブレード152を用いて、心外膜を通り、心臓の先端119における心筋にスリットを形成できる。代替的に、図52a〜図52cの切断ツール300を用いて、心臓にスリットを形成してもよい。
【0195】
図52aに示すように、円筒状ハウジング302は前端304および後端306を有する。後端306には半径方向に突き出るハンドル308が形成される。バネ仕掛けのアクチュエータ310が、後端306から軸方向外側に突き出て、ハウジング302内に収容された平坦ブレードに接続する。アクチュエータ310を矢印312の方向である軸方向前方に押圧することにより、前端304のスリット開口314から外側に平坦ブレードが延在する。
【0196】
図53aに示すように、ハウジング302の後部には、ばね316が収容される。ばね316の後端318はアクチュエータ310の中央部に取り付けられる。ばね316の前端320は、ハウジング302の壁322に接触する。ばね316および平坦ブレード326は、壁322の両端においてハウジング302に収容される。ばね316は圧縮して、使用者がアクチュエータ310を押圧するまで、平坦ブレードをハウジング302内に完全に収容する。アクチュエータ310は壁322の穴部を通り延在する。アクチュエータ310の前端324は平坦ブレード326に接続されている。アクチュエータ310を矢印312の方向に前方に平行移動すると、アクチュエータ310は壁322に接触してばね316を圧縮し、前端324が、ハウジング302の前端304から外にブレード326を押圧する。
【0197】
図53cはアクチュエータ310を前方に押圧した後に、スリット開口314から外に延在した平坦ブレード326を示す。ハウジング302にブレードシール328が収容され、これは前端304のスリット開口314に接触する位置に配置される。平坦ブレード326はブレードシール328を貫通する。このブレードシール328は、互いに対向する一組の柔軟なワイパ330を備えている。ワイパ330はブレード幅332全体を通り延在し(図52b)、平坦ブレード326の両側を圧迫することにより、ハウジング302の後部から血液が流れ出ることを防止する。ブレードシール328は、シリコーンゴムまたは他の弾性ポリマから形成され得る。他の実施形態では、ブレードシール328は、ブレード幅332と等しいサイズのスリットが形成されたポリマ発泡体のストリップでもよい。
【0198】
使用中、ハウジング302の前端304は取付リング22、または弁構造12と取付リング22との連結体に挿入される。ハウジング302の外径330および取付リング22のリングシール34はその大きさが、取付リング22を通るように前端304を挿入したときに、ハウジング302の外面とリングシール304との間が実質的な流体密封シールとして機能する大きさに形成される。鼓動中の心臓に平坦ブレード326を刺して、それを引っ込めると、心臓からの血液は取付リング22に流れて、ハウジング302のスリット開口314に入る。切断ツール300を通り、そこから流れ出る血液をブレードシール328が抑制または阻止することにより、失血を最小限にする。
【0199】
一部の実施形態では、ハウジング302の外径330および弁構造12のハウジングシール47(図10a)はその大きさが、取付リング22に取り付けられた弁構造12に前端304を挿入したときに、ハウジング302の外面とハウジングシール47との間に実質的な流体密封シールとして機能する大きさに形成される。鼓動中の心臓に平坦ブレード326を刺して、それを引っ込めると、心臓からの血液は、取付リング22、弁構造12、およびハウジング302のスリット開口314に流れ込み得る。切断ツール300を通り、そこから流れ出る血液をブレードシール328が抑制または阻止することにより、失血を最小限にする。
【0200】
再度図52aを参照すると、切断ツール300の最も前方の先端344から所定の距離342を空けた位置のハウジング320に停止機構340が配置される。停止機構340は、切断ツール340を取付リング内に配置したときに、先端344が心臓を押圧することを防止する。停止機構340には、取付リング22および/または弁構造12における配置機構に噛み合うサイズおよび形状に形成された一組の突起346が形成されている。
【0201】
一部の実施形態では、所定の距離342は取付リング22の長手方向の高さと等しいか、それよりも数ミリメートル短い。長手方向の高さは、取付リング22の縦軸に沿い測定された最大寸法でもよい。例示の取付リングの長手方向の高さは、図46dの矢印348で示す高さである。使用中、切断ツール300は、外科医または他の使用者により、取付リング22に取り付けられた弁構造12を用いなくても、心臓に固定された取付リング22に挿入される。停止機構304が取付リング22の結合リップ25に接触すると、切断ツール300の先端344が心臓真上の適切な位置に配置されたことを使用者は認識できる。結合リップ25に形成されたくぼみ230(図4a)に突起346が固定されるまで、使用者は中心軸301を軸にして切断ツール300をねじることができる。突起346がくぼみ230に噛み合うと、使用者は触覚フィードバックにより、切断ツール300が適切な回転配置に位置したことを認識できる。次に、使用者は平坦ブレード326を延在して心臓にスリットを形成できる。そして、切断ツール300と同じ回転配置のコアリングナイフ140を用いて、スリットの周りに丸穴を形成できる。
【0202】
一部の実施形態では、所定の距離342は、弁構造12と取付リング22とを積み重ねた長手方向の高さと等しいか、それよりも数ミリメートル短い。弁構造12と取付リング22との例示の組立体の長手方向の積み重ね高さを、図2bの矢印350に示す。使用中、外科医または他の使用者は、心臓に取り付けられた弁構造12および取付リング22に切断ツール300を挿入できる。停止機構304が弁構造12の近位端部に接触すると、切断ツール300の先端344が心臓真上の適切な位置に配置されたことを使用者は認識できる。弁構造12の近位端部に形成された配置機構(例えば、連結溝71(図11a)、配置溝497(図56a)、および配置溝(図57a))内に突起346が固定されるまで、使用者は中心軸301を軸にして切断ツール300をねじることができる。突起346が配置機構に噛み合うと、使用者は触覚フィードバックにより、切断ツール300が適切な回転配置に位置したことを認識できる。次に、使用者は平坦ブレード326を延在して心臓にスリットを形成できる。そして、切断ツール300と同じ回転配置のコアリングナイフ140を用いて、スリットの周りに丸穴を形成できる。
【0203】
停止機構340は示すように環状フランジでもよく、ハウジング320と一体形成されてもよく、それに取り外せないように取り付けられてもよい。突起346同士は、停止機構340の外周において互いから180度離れて間隔を空けて位置する。代替的に、停止機構304はハウジング302に沿って移動可能であり、所望に応じて、所定の距離342を調節できてもよい。
【0204】
図53a〜図53fに示す別の実施形態のコアリングナイフ140は、ピストル型グリップ360、解除トリガ362、および連接制御レバー364を有する。図53aに示すその始動構造におけるコアリングナイフ140では、コアリング隣接部145の平面はコアリングナイフ140の縦軸366に位置し、コアリングブレード137はコアリングナイフケース141に完全に収容される。コアリング隣接部145の平面は、コアリング隣接部145の外周における複数の点により画定される。コアリング隣接部145は、2本の支柱368によりその位置を保持される。支柱368間には制御アーム146が配置される。支柱368および制御アーム146はスライド組立体370の前端、さらには、グリップ360に固定して取り付けられた中心シャフト372(図53d)に延在する。支柱368および制御アーム146の前端は、コアリング隣接部145における種々の点に旋回可能に接続されている。制御アーム146は連接制御レバー364に動作可能に連結する。
【0205】
図53bに示すように、支柱368の前端は、縦軸366と略垂直である旋回ライン374を形成する点372においてコアリング隣接部145に取り付けられる。支柱368の前端は、コアリング隣接部145内を延在する細長いピンにより、コアリング隣接部145に取り付けられ得る。制御アーム146は、コアリング隣接部145の最も前方の先端378に近づくように、点372から離隔距離377だけ縦方向にオフセットした点376においてアリング接触部145に取り付けられる。制御アーム146の前端は、コアリング隣接部145内を延在する別の細長いピンにより、コアリング隣接部145に取り付けられ得る。離隔距離377だけ、支柱368が静止したまま、制御アーム146は矢印380に示す後ろ方向に運動する。これにより、コアリング隣接部145は旋回ライン374を軸として回転する。図53cに示すように、離隔距離377と等しい距離だけ点376が後方に動くと、コアリング隣接部145の平面は縦軸366と略垂直に位置する。制御アーム146は、グリップ360に旋回可能に取り付けられた制御レバー366に動作可能に連結する。図53dに示すように、矢印382に沿う方向に上方へ制御レバー366を旋回すると、隣接面145の平面が縦軸366と略垂直に位置するまで、制御アーム146は矢印380に沿い後方に移動する。制御レバー364は安全ラッチ384を備えている。制御レバー366がより低位置(図53a)にあるときは、安全ラッチ384はスライド組立体370のノブ385の前に位置し、スライド組立体370がコアリング隣接部145に向かい偶然に摺動することを防止する。制御レバー366が隆起位置(図53d)にあるときは、使用者が解除トリガ362を押し込むと、安全ラッチ384はノブ385から離れるように動き、スライド組立体370はコアリング隣接部145に向かい摺動する。
【0206】
スライド組立体370は、コアリングブレード137、コアリングナイフケース141、および内部スリーブ386を備えている。内部スリーブ386(図53f)は、中心シャフト372の周囲に配置され、その上を縦方向に摺動する。コアリングナイフケース141は内部スリーブ386に固定して取り付けられる。内部スリーブ386には、縦軸366と略平行に延在する一組の線形スロット388(図53f)が形成される。ピン390(図53e)が中心シャフト372から突き出て線形スロット388に入る。これにより、内部スリーブ386が中心シャフト372およびグリップ360と相対的に回転することを防止する。ピン390は、内部スリーブ386が中心シャフト372と相対的に回転することを防防止する。内部スリーブ386には、縦軸366と略平行の1つ以上の線に沿って配置された一連の穴部392がさらに形成される。中心シャフト372内のボール戻り止め機構が1つ以上の穴部392に嵌め込まれると、スライド組立体370が中心シャフト372上を自由に摺動できなくなる。ボール戻り止め機構は解除トリガ362に動作可能に連結する。解除トリガ362はばねであり、それに力が加えられないときに、ボール戻り止め機構がスライド組立体370の摺動を防ぐように取り付けられる。
【0207】
使用者が力を加えて解除トリガ362を押し下げると、ボール戻り止め機構が穴部392から外れる。次に、使用者がスライド組立体370をつかむと、図53eに示すように、それはコアリング隣接部145に向かい前方に摺動する。使用中、スライド組立体370は、コアリングナイフケース141の前方エッジ396が接触する点、または心臓組織398の真上に向かい前方に移動することが好ましい。この例では、コアリングナイフケース141が、取付リング22のリングチャネル14または取付リング22と結合した弁構造12内に配置されることが理解される。また、コアリング隣接部145が心臓腔内に配置され、コアリングナイフケース141の両側から心臓組織に接触することも理解される。コアリングナイフケース141の前方エッジ396が所望の位置に配置されると、ボール戻り止め機構が穴部392に嵌め込み、コアリングナイフケース141の長手位置をロックするため、使用者は解除トリガ362から手を放してもよい。
【0208】
この段階では、コアリングブレード137はコアリングナイフケース141内に完全に収納されたままである。コアリングブレード137は中空シリンダであり、その前端には鋭い円形チップ400が備えられる。コアリングブレード137の後端は、回転可能な制御スリーブ402の前端に固定して取り付けられる。回転可能な制御スリーブ402の後部には、らせん状のコアリングガイドまたはスロット147が形成される。制御スリーブ402の後端には、ノブ385が固定して取り付けられる。使用者がノブ385を手動で回転すると、制御スリーブ402およびコアリングブレード137が、ボール戻り止め機構およびピン390により静止状態を保っているコアリングナイフケース141および内部スリーブ386と相対的に回転する。ガイドペグ148がコアリングナイフケース141から突き出て、制御スリーブ402のらせんスロット147に入る。それ故、ノブ385を回転するのと同時に、制御スリーブ402およびコアリングブレード137は、コアリング隣接部145に向かい縦方向に平行移動する。反対方向に回転すると、制御スリーブ402およびコアリングブレード137は、コアリング隣接部145から離れるように縦方向に平行移動する。使用者はノブ385を両方向に回転させることにより、コアリングブレードに加える力を完全に制御し、かつコアリングブレードの前進を完全に制御できることが理解される。この実施形態では、完全な制御のために使用者が加える力を無効にする可能性のあるバネ仕掛けのコアリングブレード137を用いない。
【0209】
図53fに示すノブ385は、コアリングブレード137の円形チップ400がコアリング隣接部145に押し付けられるまで回転する。使用中、コアリングブレード137は、心筋を完全に貫通する円形切り抜きを形成する。ポリマ発泡体、吸収材料、または弾性材料である円形部が、コアリングブレード137の後端内部に配置され得る。これは、支柱368および制御アーム146にアクセスする穴部を塞ぎ、血液を阻止するか、吸い上げて、コアリングナイフ140の後部に血液が急速に入り込むことを防止する。心筋の円筒部分は、心臓の他の構成要素と完全に分離され、コアリングブレード137内に収容される。使用者はコアリングナイフ140を縦軸366と略平行の後方に引いて、取付リング22または弁構造12と取付リング22との結合体の真下から心筋の円筒部分を抜き出すことができる。心臓の鼓動中に手術を行う場合には、コアリングナイフ140の引き出し後、取付リング22のリング弁230(図48b)または弁構造12の弁16(図2a)のいずれかが自動的に閉じる。これにより、血液の重大な損失を防ぐ。
【0210】
コアリングナイフ140の使用では、まず、図53aに示すように、切断ツール300を用いて予め形成したスリットにコアリング隣接部145を、向きを合わせて挿入する。スリットへの挿入を容易にするために、コアリング隣接部145の平面を、スリットと同じ方向に配置する。スリットを見るための視線がコアリングナイフそれ自体、取付リング22のリング弁230(図48b)、または弁構造12の弁16(図2a)により遮られるため、適切な配置の達成は困難である。使用者は取付リング22または弁構造12の近位端部における配置機構を利用して、コアリング隣接部145を心臓のスリットに位置合わせできる。この配置機構の形態は、取付リング22の近位端部に配置された結合リップ25に形成されたくぼみ230(図4a)、および/または結合リップ25における対比色を用いた消去できないマーキング232(図46c)でもよい。配置機構の形態は、弁構造12の近位端部に形成された連結溝71(図11a)または配置溝497(図56aおよび図57a)、または弁構造12の近位端部における消去できないマーキングでもよい。突起および/または消去できないマーキングなどの、コアリングナイフケース141における配置機構に合致する機構は、取付リング22または弁構造12における配置機構と、視覚的に配置されるものでもよいし、物理的に噛み合うものでもよい。
【0211】
前述したように、使用者が解除トリガ362を押し下げている間、スライド組立体370は、コアリングナイフケース141の前方エッジ396が接触する点、または心臓組織398の真上の点に向かい移動する。心臓の表面と相対的な所望の位置への前方エッジ396の配置は、心臓表面への視線がコアリングナイフ140、弁構造12および/または取付リング22により遮られる場合には、視覚により行うのは困難である。
【0212】
図54に示すように、コアリングナイフケース141の前方エッジ396から所定の距離412空けたコアリングナイフケーシング141に停止機構410が配置され得る。停止機構410は、スライド組立体370が取付リング22内に配置されているときに、前方エッジ396が心臓を押圧することを防止する。停止機構410は、取付リング22または弁構造12における配置機構に噛み合うサイズおよび形状に形成された突起411、および/または心臓のスリットにコアリング隣接部145を位置合わせするための消去できないマーキングを含み得る。
【0213】
一部の実施形態では、所定の距離412は取付リング22の長手方向の高さと等しいか、それよりも数ミリメートル短い。例示の取付リングの長手方向の高さは、図46dの矢印348に示す高さである。使用中、外科医または他の使用者は、取付リング22に取り付けられた弁構造12を用いなくても、コアリングナイフ140を心臓に固定された取付リング22に挿入できる。停止機構410が取付リング22の結合リップ25に接触すると、コアリングナイフケース141の前方エッジ396が適切な位置に配置されたことを使用者は認識できる。その後、使用者は解除トリガ362から手を放して、コアリングナイフケース141を所定の位置にロックし、次に、ノブ385を回転し、コアリングブレード137をコアリングナイフケース141から出して、心臓に延在させる。
【0214】
一部の実施形態では、所定の距離412は、弁構造12と取付リング22との長手方向の積み重ね高さと等しいか、それよりも数ミリメートル短い。弁構造12と取付リング22との例示の組立体の長手方向の積み重ね高さを、図2bの矢印350に示す。使用中、使用者は心臓に取り付けられた弁構造12および取付リング22にコアリングナイフ140を挿入できる。停止機構410が弁構造12の近位端部に接触すると、コアリングナイフケース141の前方エッジ396が適切な位置に配置されたことを使用者は認識できる。その後、使用者は解除トリガ362から手を放して、コアリングナイフケース141を所定の位置にロックし、次に、ノブ385を回転し、コアリングブレード137をコアリングナイフケース141から出して、心臓に延在させる。
【0215】
停止機構410は環状フランジでもよく、コアリングナイフケーシング141と一体形成されてもよく、それに取り外せないように取り付けられてもよい。代替的に、停止機構410はコアリングナイフケーシング141に沿って移動可能であり、所望に応じて、所定の距離412を調節できてもよい。
【0216】
再度図54を参照すると、コアリング隣接部145は、略平坦または平面である隣接面414を有する。隣接面414は、制御レバー364を上方に旋回すると、コアリングナイフケース141に面する。使用中、コアリングブレード137が回転してコアリングナイフケース141から外に延在し、心臓の外面から取り外されるときに、隣接面414は心臓の内面を支持する。コアリングブレード137は、切断が完了すると、最終的には隣接面414を押し付ける。
【0217】
他の実施形態では、図55などに示すように、隣接面414はコアリング隣接部145の外周において隆起中央部416およびテーパエッジ418を有する。コアリングブレード137が回転して隣接面414に近づくように移動すると、隆起中央部416がコアリングブレード137に入り、テーパエッジ418はコアリングブレードの前方エッジ396に接触する。隆起中央部416およびテーパエッジ418により、隣接面414の中心と、コアリングブレード137の前方エッジ396の中心とが位置合わせする。隆起中央部416およびテーパエッジ418により、前方エッジ396の一部がコアリング隣接部145の外周を越えて延在し、隣接面414を圧迫できないような位置ずれが防止される。隣接面414は、凸状、球状、円錐、または隆起中央部およびテーパエッジを有する他の形状でもよい。
【0218】
図56a〜図56dに示す別の実施形態の弁構造12は、バネ仕掛けのヒンジを有する。図56aおよび図56bに示す弁構造12には取付リング22を示す。図56cおよび図56dに示す弁構造12には、取付リング22を示さない。弁構造は、一端において共にヒンジで動く2つの等分部に分けられ、他端にはロッキング機構を備える。図56bに示すように、ヒンジを利用することにより、取付リング22への備え付け、およびそれからの取り外しが容易になる。弁構造12の各等分部は、ハウジング18の等分部および弁16の等分部を備える。ハウジング18は、四尖弁構造である弁16を囲む。弁16については、図10a〜図10e、図12a〜図15f、または前述の任意の実施形態に関連して記述する。使用中、ハウジング18は取付リング22の結合リップ25を囲む。取付リング22については、図4a、図4b、図7a、図7b、または図46a〜図46cに関連して記述する。
【0219】
図56bに示すように、第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は、ハウジング18の2つの長手方向の等分部を形成する。長手方向の等分部は、縦軸187に沿う「切断」により形成される。第1のハウジング部46と第2のハウジング部54とは、縦軸187に一致する架空の平面により分けられる。第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は、それぞれ、その一端に第1および第2のヒンジ部材450a,bを備えている。これらは互いに噛み合い、ヒンジピン452により互いに旋回可能に接続されている。第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は、それぞれ、その反対端に第1および第2のロック部材454a,bを備えている。これらは共に摺動部材456によりロックされる。摺動部材456は、第1のロック部材454aと摺動自在に連結する。摺動部材456は溝460を有し、この溝は第2のロック部材454bにおけるリブ462を収容するサイズおよび形状に形成される。ハウジング18が閉じると、図56aに示すように、摺動部材456は、その内部にリブ462を保持する遠位位置に配置される。この配置において、第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は閉塞を維持し、共同して密閉する。ハウジング18を開くために、使用者は摺動部材を矢印464(図56a)の方向である近位側に動かして、リブ462から摺動部材456を外し、ヒンジピン452を中心に第1のハウジング部46および第2のハウジング部54を旋回させ、図56bに示すようにそれを開く。摺動部材456は、使用者が指でつかめる縦リブ、または摺動部材456を動かすためのツールを備える。
【0220】
ハウジングチャネル58はハウジング18の中心において弁16を通り、取付リング22のリングチャネル14に通じる。第1のハウジング部46は、貫通孔が形成された脱気ポート62を備えており、この貫通孔は、ハウジング18の外側から、弁16と取付リング22との間のハウジングチャネル58の一部に延在する。
【0221】
第1のハウジング部46の内側と第2のハウジング部54の内側とは、脱気ポートの貫通孔以外は互いに左右対称でもよい。それ故、示すおよび/または開示する第1のハウジング部46に関する機構は、第2のハウジング部54に存在してもよく、その逆も実現可能である。第1のハウジング部46の内側と第2のハウジング部54の内側とは、縦軸187を軸とする連結する回転対称でもよい。それ故、ハウジングチャネル58内の機構は、第1のハウジング部46から約180度延在し、第2のハウジング部54にも約180度延在してもよい。
【0222】
ハウジング18が閉じられているときは、取付リング22の結合リップ25は接合溝466内に保持される。接合溝466は、遠位フランジ468とガイドフランジ470との間に形成される。ガイドフランジ470の近位接面472は、切断ツール300またはコアリングナイフ140を取付リング22にガイドするために傾斜してもよい。一組の近位フランジ474には、弁16の弁段部59を保持する弁溝61が形成される。
【0223】
ハウジング18が閉じられているときは、第1のガスケット476および第2のガスケット478が圧縮され、第1のハウジング部46と第2のハウジング部54との間に流体密封シールを形成する。第1のガスケット476は、第1および第2のヒンジ部材450a,bに接触して配置される。第2のガスケット478は、第1および第2のロック部材454a,bに接触して配置される。第1のガスケット476および第2のガスケット478は、シリコーンゴムの発泡体の平坦部分または他の弾性ポリマ材料から形成され得る。これはまた、遠位フランジ468、ガイドフランジ470、および近位フランジ474を含むハウジング18の内側エッジに合致するエッジを有する。第1の一組のハンドル480は、それぞれ、縦リブ状であり、ロック部材454a,454bに接触して位置する。これらは、第1のハウジング部46および第2のハウジング部54から突き出る。使用者は指でつかめるハンドル480、またはツールを用いて、ハウジング18が閉じているときに、第1のガスケット476および第2のガスケット478を十分に圧縮して、摺動部材456をリブ462上で摺動させる。
【0224】
図56cおよび図56dはハウジング18の近位端部を示す。第2の一組のハンドル482がヒンジ部材450a,450bおよびヒンジピン452に接触して配置される。図56aに示すように、各ハンドル482は、ハウジング18の遠位端部に接触する底面484、および底面484から近位側に延在する長手方向の翼部486を備えている。底面484および翼部486はハウジング18に取り付けられる。底面484には貫通孔488が形成される。貫通孔488から翼部486に溝490が延在する。ハンドル482間にはねじりバネ492(図56c)が配置される。ねじりバネ492の直線端部は、翼部486に形成された溝に保持される。直線端部496が翼部486を互いから離すように絶え間なく押圧して、閉じたハウジング18を付勢するように、ねじりバネ492は圧縮される。ヒンジピン452がねじりバネ492のらせん部494を通り延在することにより、ねじりバネ492が翼部486から取り外れることが防止される。リブ462が取り外される近位部に摺動部材456を移動させた後、使用者はねじりバネ492を上回る力でハンドル462を同時に締めつけて、図56dに示すようにハウジング18を開く。使用者は溝490および/または貫通孔488にツールを嵌め込んで、ハンドル462を同時に締めつけてもよい。
【0225】
第1のハウジング部46および第2のハウジング部54各々の近位エッジ498には配置溝497が形成される。配置溝497はそのサイズおよび形状が、切断ツール300の外面に形成された突起346(図52a)、およびコアリングナイフ140の外面における突起411(図54)を収容するように形成される。切断ツール300およびコアリングナイフ140を溝497に嵌め込むことにより、切断ツール300の平坦ブレード326を用いて予め形成したスリットに、コアリングナイフ140のコアリング隣接部145を確実に位置合わせできる。第1のハウジング部46および第2のハウジング部54各々の側面には、配置マーキング498がエンボス加工される。これにより、切断ツール300およびコアリングナイフ140の配置が容易になる。
【0226】
図57a〜図57dに示す実施形態の弁構造12は、Cクランプツール600(図58a)を用いて備え付けられ得る。弁構造は2つの同一の等分部に分けられ、これらは所望に応じて、共にロックかつ分離され、取付リング22への備え付け、およびそれからの取り外し(図57aおよび図57bには不示)が容易になる。ハウジング18は四尖弁構造である弁16を囲む。弁16は図10a〜図10e、図12a〜図15f、または前述の任意の実施形態に関連して記述する。使用中、取付リング22の近位端部は、ハウジング18に囲まれる代わりに、ハウジング18の遠位端部に接触してもよい。ハウジング18は、その各機能が等しい機能から180度離れて位置する、縦軸187を軸とする回転対称構造でもよい。
【0227】
第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は互いに同一でもよい。このため、その各々に関して示すおよび/または開示する任意の機能に対応する機能が、他方にも存在してよい。図57bに示すように、第1のハウジング部46の両端にはヒンジ部材510が備えられ、これらは第2のハウジング部54のそれと噛み合う。ヒンジ部材510各々には貫通孔511が形成される。ヒンジ部材510の噛み合いは、摺動可能なヒンジピン520により共に保持される。ピン520は第1の直線脚部522および第2の直線脚部524を有する。第1の直線脚部は、ヒンジ部材510の貫通孔511内で摺動可能である。第2の直線脚部524は、ハウジング18の近位端部における翼528に形成された貫通孔526内で摺動可能である。
【0228】
ハウジング18が閉じられているときは、図57aに示すように、各ヒンジピン520は遠位に位置し、第1の直線脚部524はヒンジ部材510を共に保持する。ハウジング18を開くために、外科医または他の使用者は、遠位位置から近位側に矢印530の方向にヒンジピン520を動かして第1の直線脚部522を移動させ、図57bに示すように、ヒンジ部材510を互いから離れるように引き込む。第2の直線脚部524における足部材532が翼528に接触することにより、ヒンジピン520が完全に引き出てハウジング18から取り外れることが防止される。一方のヒンジピン520を近位側に動かし、他方のヒンジピン520を遠位側に位置させると、第1のハウジング部46と第2のハウジング部54とは互いから離れるように旋回してハウジング18を開く。ヒンジピン520両方を近位側に動かすと、第1のハウジング部46と第2のハウジング部54とは互いから完全に分離する。第1のハウジング部46と第2のハウジング部54とが互いから離れるように分離するか、旋回すると、ハウジングチャネル58内の近位フランジ534間から弁16は引き出されて完全に取り外される。
【0229】
第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は、それぞれ、貫通孔が形成された脱気ポート62を備えており、この貫通孔は、ハウジング18の外側から、弁16とハウジング18の遠位端部との間のハウジングチャネル58の一部に延在する。第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は、それぞれ、ガスケット536、配置ピン538、および配置穴540を備えている。配置ピン538と配置穴540とは、第1のハウジング部46と第2のハウジング部54との両端に配置される。このため、一方のハウジング部の配置ピン538が、他方のハウジング部の配置穴540に収容される。ハウジング18が閉じられているときは、ガスケット536は圧縮され、第1のハウジング部46と第2のハウジング部54との間に流体密封シールが形成される。ガスケット536はハウジング部と接合し、シリコーンゴムの発泡体の平坦部分または他の弾性ポリマ材料から形成され得る。これはまた、近位フランジ534およびベースフランジ552の輪郭を含む、ハウジング18の内側エッジに合致するエッジを有する。
【0230】
第1のハウジング部46および第2のハウジング部54各々の近位エッジ544には配置溝542が形成される。配置溝542はそのサイズおよび形状が、切断ツール300の外面に形成された突起346(図52a)、およびコアリングナイフ140の外面における突起411(図54)を収容するように形成される。切断ツール300およびコアリングナイフ140を溝496に嵌め込むことにより、切断ツール300の平坦ブレード326を用いて予め形成したスリットに、コアリングナイフ140のコアリング隣接部145を確実に位置合わせできる。
【0231】
図57bを参照するように、円筒突起が遠位側から近位開口部544に押圧されて、チャネル546内にスナップかつ保持されるように、配置溝542は構成され得る。近位開口部544の幅548がチャネル546の幅550よりもわずかに短いため、保持力が与えられる。一部の実施形態では、弁構造12は、配置溝542と噛み合う円筒突起が形成された備え付けツールの端部に移動し得る。備え付けツールを用いることにより、外科手術中に取付リング22に隣接する所望の位置に弁構造12を配置できる。例えば、備え付けツールは切断ツール300でもよい。ただし、これには限定されない。
【0232】
図57cおよび図57dは閉じた状態のハウジング18の遠位端部を示す。第1のハウジング部46および第2のハウジング部54は、それぞれ、ベースフランジ552を備えている。ベースフランジ552は剛体であり、ハウジング18の他の構成要素と同じ材料から形成されてもよい。ベースフランジ552には、底面ガスケット554が接着される。底面ガスケット554はシリコーンゴムの発泡体の平坦部分または他の弾性ポリマ材料から形成され得る。これはまた、ベースフランジ552のエッジにほぼ合致するエッジを備えている。
【0233】
ベースフランジ552はそのサイズおよび形状が、下記するように、Cクランプ600(図58c)内で回転可能に取り付けられるように形成される。各ベースフランジ552の内面556は、切断ツール300、コアリングナイフ140、および流入導管10が通過可能なサイズの半円形に形成される。ベースフランジ552の外面は、2本の外側直線面560を繋ぐ外側曲面558を含む。外側直線面560は互いに略平行であり、距離562(図57d)だけ互いにオフセットする。外側曲面558の湾曲部は直径564により画定される。ハウジング12が閉じた状態では、直径564は、第1のハウジング部46における外側曲面558と、第2のハウジング部54における外側曲面558との間の、ハウジングの幾何学的中心566を通り測定した距離である。直径564は距離562よりも長い。
【0234】
外側曲面558および外側直線面560は、ベースフランジ552の圧縮面561のエッジを画定する。圧縮面561(図57aおよび図57b)は近位方向を向き、下記するように、Cクランプ600により押圧され、底面ガスケット554を取付リング22に圧縮する。ベースフランジ552の外面の一部には、圧縮面561の遠位に位置する側部溝568が形成される。曲面558において側部溝568の一端に停止壁570が形成される。側部溝568はそれ自体が開き、溝の入口点572における外側直線面560の1つに接するまで、曲面558の外周に沿い停止壁570から延在する。
【0235】
図58a〜図58e、図59aおよび図59bに示すCクランプ600を用いることにより、心臓に取付リング22を固定し、取付リング22に弁構造12を位置合わせかつクランプした後に、取付リング22の固定を安定させることができる。Cクランプ600を用いることにより、切断ツール300およびコアリングナイフ140の使用中、および取付リング22への流入導管10の挿入中における配置および制御が容易になる。
【0236】
Cクランプ600はハンドル602に取り付けられて、患者の体内に挿入され得る。ハンドル602は、心臓の先端に届くのに十分な長さを有し、患者の胸郭表面からわずか約5〜6インチ外側に延在する部分を含む。一部の実施形態では、ハンドル602は剛体であり、固定湾曲部を有する。一部の実施形態では、使用者はハンドル602の湾曲部を調節およびロックできる。一部の実施形態では、図58bに示すように、ハンドル602は連接構造であり、接合部606において互いに接続された複数の部分を有する。この接合部606をノブ608により選択的に解放およびロックすることにより、ハンドル602の湾曲部を調節できる。ノブ608は接合部606を堅く締め、かつ/または各部分604の中心を通る1本以上のケーブルの張力を調節できるように構成される。接合部の運動は、ケーブルの全張力に応じて決まる。ハンドル602の湾曲部をロックして、患者の体内の所望の位置にCクランプ600を配置した後に、患者に取り付けられた胸郭の開創器にハンドル602を固定できる。
【0237】
図58cおよび図58dを参照するように、Cクランプ600の段部610にハンドル602が取り付けられる。段部から2本のアーム部612が延在する。アーム部612の遊離端614は互いから離れるように間隔を空けて、Cクランプ600の側面開口部616を画定する。各アーム部612の遊離端614の先端には2つの指部材618が形成される。指部材618の間には側部スロット620が形成される。一方のアーム部の指部材618の先端と、他方のアーム部の指部材618の先端とは遠位における離隔距離622だけ離れる。遠位離隔距離622は、Cクランプ600の底面における遠位開口部624の幅に一致する。遠位開口部624のエッジは図58dに示すようにU形状であり、互いに平行な遠位線形エッジ625を含み、遠位離隔距離622だけ互いにオフセットする。遠位溝直径648a(図58e)は、遠位離隔距離622よりも長い。一方のアーム部の側部スロット620のベース面と、他方のアーム部の側部スロット620のベース面とは、側面開口幅623だけ離れる。使用中、取付リング22の結合リップ25は側面開口幅623を通り抜けて、遠位開口部624は取付リング壁29を収容する。
【0238】
段部610およびアーム部612はクランプ本体601を形成する。クランプ本体601における遠位溝632および近位溝644には、互いに接する柱面628a,628bおよび棚面626a,626bが形成される。示す実施形態では、棚面626a,626bは平面である。柱面はクランプ縦軸630と略平行に延在し、使用中、取付リング22および弁構造12の円周面と結合する。遠位溝632の遠位柱面626aの湾曲部は、近位溝644の近位柱面626bの湾曲部と同心でもよい。棚面626a,626bは略平面、かつクランプ縦軸630と垂直であり、使用中、取付リング22および弁構造12の遠位または近位接面と結合する。他の実施形態では、棚面626a,626bは曲面またはくぼみが形成されてもよい。
【0239】
図59aおよび図59bに示すCクランプ600は、種々の装置を備える。使用中、Cクランプ600は、既に心臓に固定されている取付リング22に向かい前進する。取付リング22が側面開口部616を通り抜けるように、Cクランプ600は前進する。取付リング22の結合リップ25は、指部618の間を通り抜けて側部スロット620に入る。取付リング22のリング壁29はCクランプの遠位開口部624を通り抜ける。側部溝620間の側面開口幅623は、取付リング22の結合リップ25の外径とほぼ等しいか、それよりもわずかに長い。指部618の先端間の距離622は、取付リング22のリング壁29の外径とほぼ等しいか、それよりもわずかに長い。結合リップ25がCクランプ600の遠位溝632内に固定されるようにCクランプ600は配置される。遠位溝632の遠位棚面626aは結合リップ25を支持する。
【0240】
Cクランプ600の近位開口部634(図59a)はその形状およびサイズが、図57a〜図57dに示す弁構造12のベースフランジ552および底面ガスケット554を収容するように形成される。Cクランプ600のアーム部612の外面626cには、線形エッジ636および湾曲エッジ638が形成される。これらの形状は、ベースフランジ552の外側曲面558および外側直線面560に一致する。線形エッジ636は互いに平行である。湾曲エッジ638は近位柱面628bと交わる。ベースフランジ552が近位開口部634を通過できるように、線形エッジ636および湾曲エッジ638の全長は、ベースフランジ552の外側曲面558および外側直線面560とほぼ等しいか、それよりもわずかに長く形成される。線形エッジ636同士は近位離隔距離642だけ離れている。この距離642は、ベースフランジ552の直線面560間の距離562(図57d)とほぼ等しいか、それよりもわずかに長い。近位離隔距離642は近位溝直径648aよりも短い。
【0241】
図58dに示すように、遠位柱面628aの湾曲部が延在する角度は、180度〜300度の範囲である。示す実施形態では、遠位柱面628aが延在する角度は約270度である。近位柱面628bの湾曲部が延在する角度は、180度〜300度の範囲である。示す実施形態では、近位柱面628bが延在する角度は約270度である。
【0242】
使用中、弁構造12は、ベースフランジ552がCクランプ600に対向する矢印640(図59a)の方向にCクランプ600に向かい遠位側に移動する。ベースフランジ552の外側直線面560がCクランプ600の線形エッジ636と略平行になり、ベースフランジ552および底面ガスケット554が近位開口部634を通過可能になるまで、弁構造12はその縦軸を軸として回転する。底面ガスケット554は取付リング22の結合リップ25に接触する。ベースフランジ552は、互いに接する近位棚面626b、近位柱面628b、および近位圧縮面650が画定する近位溝644に固定される。近位柱面628bは、一方のアーム部における側部スロット620から、他方のアーム部における側部スロット620に延在し、近位溝直径648b(図58d)を有する円形である。この直径648bは、ベースフランジ552の外側曲面558の直径564(図57d)とほぼ等しいか、それよりもわずかに長い。図58dに示すように、近位溝直径648bは、線形エッジ636を隔てる近位離隔距離642よりも長い。図58e(Cクランプの側面図)に示すように、近位柱面628bの一部が線形エッジ636の(遠位側の)下方に位置し、近位圧縮面650と交わる。線形エッジ636下方の近位柱面628bの一部から半径方向内側に、一組の停止ピン652(図58dおよび図59a)が突き出る。
【0243】
図58eを参照するように、遠位溝632の遠位柱面628aの湾曲部の遠位溝直径648aは、取付リング22の取付リング壁29の外径とほぼ同じか、それよりもわずかに長い。近位溝直径628bは遠位溝直径628aよりも長い。近位圧縮面650は近位棚面626bに対向する。遠位開口部624は遠位棚面626aを通り延在する。近位開口部634は圧縮面650を通り延在する。
【0244】
弁構造12を遠位溝644に固定した後、弁構造12は矢印654の方向(図59b)に、クランプ縦軸630を軸としてCクランプ600と相対的に回転できる。回転するために、弁構造12を矢印640の方向に遠位側に押圧し、結合リップ25に対して弁構造12の底面ガスケット554を圧縮する。これにより、ベースフランジ552の圧縮面561を縦方向に位置合わせするか、Cクランプ600の近位圧縮面650下方にわずかに動かすことができる。次に、弁構造12を矢印654の方向に回転する。Cクランプ600の各停止ピン652により、反対方向には回転しない。回転中、停止ピン652は、ベースフランジ552の側部溝568に収容される。停止ピン652は溝の入口点572に入る。弁構造12を回転すると、側部溝568の端部における停止壁570が、互いに接触するまで停止ピン652に向かい移動する。これにより、いかなるさらなる回転を防止できる。弁構造12は4分の1(または、90度)回転するとその回転を停止する。回転が停止すると、図59bに示すように、ベースフランジ552の外側曲面558は、Cクランプ600の線形エッジ636の(遠位の)下方に位置する。ベースフランジ552の圧縮面561がCクランプ600の近位圧縮面650に噛み合うことにより、弁構造12の底面ガスケット554の、取付リング22の結合リップ25への圧縮および固定が維持される。
【0245】
図59bに示すように、弁構造12の近位エッジ544には配置組立体660が配置される。配置組立体660の突起662(図59aに1つ示す)は半径方向外側に延在し、近位エッジ544に形成された配置溝542に噛み合う。配置組立体660は、弁構造12および取付リング22に延在する先端を有するツールの一部でもよい。配置組立体660は、コアリングナイフケーシング141に取り付けられ得る。
【0246】
図60a〜図60cは他の実施形態の大動脈パンチ126を示す。大動脈パンチ126は、パンチケーシング680、ハンドル682、ガイドシリンダ684、シリンダ軸686、およびパンチヘッド688を備えている。縦軸681はガイドシリンダ684の中心を通る。シリンダ軸686は、パンチヘッド688とガイドシリンダ684とを接続する。ガイドシリンダ684は、パンチケーシング680内の内部チャネル690内を摺動する。ガイドシリンダ684は、縦軸681と平行のパンチヘッド688の移動を支持する。ハンドル682はガイドシリンダ684を貫通して、それに固定される。ハンドル682は、パンチケーシング680を貫通して形成されたスロット692から外に延在する。外科医または他の使用者は、操作ハンドル682を用いて、パンチケーシング680内のガイドシリンダ684を摺動できる。パンチケーシング680の前端には中空ブレード694が配置される。内部チャネル690は、ブレード694に形成されたブレード開口696を通り延在する。
【0247】
図60bに示すように、縦軸691方向から見た内部チャネル690の断面は楕円形である。この断面形状は、半円端部702において互いに接続された2つの平行側面700により画定される。半円端部702の直径は互いに等しい。各半円端部702の直径698は、側面700の全長よりも短い。ブレード開口696の形状は、ブレード刃先704により画定される。縦軸681方向から見ると、ブレード刃先704の断面形状は、内部チャネル690とほぼ同一の楕円形(平行側面および半円端部を含む)であり、かつほぼ同じ寸法である。パンチヘッド688は、ブレード開口696を通過可能な形状およびサイズに形成される。パンチヘッド688の外周706の輪郭の平行側面および半円端部は、ブレード刃先704と同一の楕円形状である。それ故、縦軸681方向から見るパンチヘッド688の楕円形状は、内部チャネル690の断面形状と等しい。
【0248】
使用中、パンチヘッド688を血管腔内に配置し、シリンダ軸686が切開を通り、ブレード694が血管の外側に留まるように、パンチヘッド688を大動脈または他の解剖学的血管を通る小切開に挿入する。それ故、パンチヘッド688とブレード694との間に血管壁が位置する。次に、使用者は矢印708に示す後ろ方向にハンドル682を引いて、パンチヘッド688をブレード刃先704に動かすことができる。パンチヘッド688がブレード刃先704を通り過ぎると、血管壁が切断または剪断される。ブレード刃先704およびパンチヘッド688の形状に応じて、血管壁の切断または剪断は同時に行われなくてもよいし、ブレード刃先704およびパンチヘッド688の種々の部分が互いを通過するときに徐々に実行されてもよい。パンチヘッド688がブレード694内を完全に移動すると、血管壁を貫通する穴部が形成される。
【0249】
図60c〜図60eはブレード刃先704およびパンチヘッド688の側面輪郭形状の一例を示す。側面輪郭は、長手方向681と垂直方向における示すブレード刃先704の最大寸法705に一致する。図60cでは、パンチヘッド外周706は縦軸681と略垂直の平面に位置し、ブレード刃先704の側面輪郭は凸状である。ブレード刃先704の凸状の側面輪郭は、側部712および側部712の前部から延在する中央部714を備えている。それ故、パンチヘッド688をブレード694に向かい動かすと、まず、中央部714およびシリンダ軸686に隣接する血管壁の中央部が切断または剪断され、次に、側部712に隣接する血管壁の一部が切断または剪断される。
【0250】
図60dに示す例では、パンチヘッド外周706の側面輪郭が凸状であり、ブレード刃先704は縦軸681と略垂直の平面に位置する。パンチヘッド外周706の凸状の側面輪郭は、側部716および側部716の前部から延在する中央部718を備えている。それ故、パンチヘッド688をブレード694に向かい動かすと、まず、中央部718およびシリンダ軸686に隣接する血管壁の中央部が切断または剪断され、次に、側部712に隣接する血管壁の一部が切断または剪断される。
【0251】
図60cおよび図60dに示す側面輪郭形状では、シリンダ軸686に最も近い血管壁の中央部が最初に切断される。ただし、図60cおよび図60dに示す側面輪郭形状では、異なる形状の穴部が血管壁に形成されてもよい。図61aに示すように、図60cの側面輪郭形状では、血管壁722に略楕円形の穴部720が形成される。穴部720は略平行の側面および半円端部により画定される。楕円形状である穴部720は、流出導管2を大動脈に取り付けるのに好ましい。図61bに示すように、図60dの側面輪郭形状では、血管壁726に略「ドッグボーン」形状の穴部724が形成される。穴部724の湾曲側部には、端部よりも中間領域が狭い穴部724が形成される。
【0252】
図60eでは、パンチヘッド外周706は縦軸681と略垂直の平面に位置し、ブレード刃先704の側面輪郭は凹状である。ブレード刃先704の凹状の側面輪郭は、中央部714およびその前部から延在する側部712を備えている。それ故、パンチヘッド688をブレード694に向かい動かすと、まず、側部712に隣接する血管壁の一部が切断または剪断され、次に、中央部714およびシリンダ軸686に隣接する血管壁の一部が切断または剪断される。図60eの側面輪郭形状では、図61bに示すような略「ドッグボーン」形状の穴部が血管壁に形成される。
【0253】
図62a〜図65dに示す種々の実施形態のコアリングナイフ140の構造要素は、図53a〜図53fに関連して記述した対応する要素と同じように機能する。各実施形態を、図53aおよび図53d〜図53fに関連して記述した動作処置に対応する一連の4つの図(記号a〜d)に示す。
【0254】
図62a〜図62dに示す実施形態のコアリングナイフ140は、ピストル型グリップ構造である。図62aに示す始動構造では、心臓に形成されたスリットにコアリング隣接部145を挿入するときは、不注意による解除トリガ362の作動を防止するために、これは連接制御レバー364によりふたをされる。
【0255】
図63a〜図63dおよび図64a〜図64dに示す実施形態のコアリングナイフ140は、直線グリップ構造である。グリップ360は縦軸366と略平行である。図63aおよび図64aに示す始動構造では、心臓に形成されたスリットにコアリング隣接部145を挿入するときは、不注意による解除トリガ362の作動を防止するために、これは連接制御レバー364によりふたをされる。
【0256】
図65a〜図65dに示す実施形態のコアリングナイフ140は、ピストル型グリップ構造である。解除トリガは中心シャフト372に位置し、ノブ362の形状である。連接制御レバー364からスタンドオフ365(図65b)が突き出る。図65aに示す始動構造では、心臓に形成されたスリットにコアリング隣接部145を挿入するときは、スタンドオフ365がノブ362の後部に接触することにより、ノブ362が偶然に押圧されることを防止する。
【0257】
単数形として本明細書に記載したいかなる要素は、複数形としても理解される(すなわち、「1つ」として記載したいかなる要素は2以上でもよい)。この記述では、「取り付け」、「連結」および「接合」は互いに置換可能な用語として用いられる。ある属性要素の任意の種類の要素は、その属性の他の任意の種類の要素の特性または要素を有する。前述の構造、要素または完全な組立体、本発明を実行するための方法および要素、並びに本発明の態様の一例は組み合わされ得、かつ任意の組み合わせで互いに変更され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端部および近位端部を有するリング壁と、
前記リング壁から半径方向外側に延在する、前記近位端部に配置された結合リップと、
前記リング壁から半径方向外側に延在する、前記遠位端部に配置されたカフと、を備えている、心臓に流入導管を取り付けるための取付リング。
【請求項2】
前記結合リップおよび前記カフは前記リング壁を取り囲む、請求項1に記載の取付リング。
【請求項3】
前記リング壁から半径方向内側に延在し、環状であるリングシールをさらに備えている、請求項1に記載の取付リング。
【請求項4】
前記リングシールは前記リング壁の前記近位端部に配置されている、請求項2に記載の取付リング。
【請求項5】
前記リング壁の前記近位端部に埋め込まれており、環状である近位補強バンドをさらに備えている、請求項4に記載の取付リング。
【請求項6】
前記リング壁の前記遠位端部に隣接しており、前記リング壁から半径方向外側に延在する遠位バンドをさらに備えており、前記カフが前記遠位バンドに固定されている、請求項1に記載の取付リング。
【請求項7】
前記カフは前記遠位バンドに固定されたフェルトを備えている、請求項6に記載の取付リング。
【請求項8】
繊維メッシュが、前記リング壁および前記結合リップのいずれかまたは両方に埋め込まれている、請求項1に記載の取付リング。
【請求項9】
前記リング壁は流体通路を形成し、前記取付リングは、前記リング壁に取り付けられており、前記流体通路を塞ぐリング弁をさらに備えており、前記リング弁は、前記流体通路を通る計器の通路を空けるように開き、前記流体通路から前記計器を取り外すと自動で閉じるように構成された弾力部材を備えている、請求項1に記載の取付リング。
【請求項10】
前記リング壁から半径方向内側に延在し、環状であるリングシールをさらに備えており、前記リング弁は、前記リングシールと前記リング壁の前記遠位端部との間に配置されている、請求項9に記載の取付リング。
【請求項11】
前記結合リップには、溝、くぼみ、およびマーキングからなる群から選択された少なくとも1つの配置機構が形成されている、請求項1に記載の取付リング。
【請求項12】
第1の端部、第2の端部、および前記第2の端部におけるフックを含む第1の曲線線分と、
第1の端部および第2の端部を含む第2の曲線線分と、
第1の端部、第2の端部、および前記第2の端部におけるキャッチを含む第3の曲線線分と、
第1のレバー端部、第2のレバー端部、および中央部を含むレバーと、を備えているリングクランプであって、
前記第2の曲線線分の前記第1の端部は、前記第1の曲線線分の前記第1の端部に旋回可能に接続されており、前記キャッチは前記フックに噛み合う大きさに形成されており、
前記第1のレバー端部は、前記第2の曲線線分の前記第2の端部に旋回可能に接続されており、前記中央部は、前記第3の曲線線分の前記第1の端部に旋回可能に接続されている、取付リングに流入導管を固定するためのリングクランプ。
【請求項13】
前記第2の曲線線分には溝が形成されている、請求項12に記載のリングクランプ。
【請求項14】
前記レバーは前記溝に噛み合う、請求項13に記載のリングクランプ。
【請求項15】
前記リングクランプは、前記レバーが前記溝に配置された閉塞構造を有し、前記キャッチは前記フック内に位置し、前記第1の曲線線分、前記第2の曲線線分、および前記第3の曲線線分は、内径を有する完全な円環を形成する、請求項13に記載のリングクランプ。
【請求項16】
前記リングクランプが前記閉塞構造にあり、前記レバーが前記溝から外れたときに、前記キャッチはその内径を縮小することなく、前記フックから外れる、請求項15に記載のリングクランプ。
【請求項17】
前記リングクランプは、前記第2のレバー端部が前記第2の曲線線分に接触して位置する閉塞構造をとり、前記閉塞構造において、前記キャッチは前記フック内に位置し、前記第1の曲線線分、前記第2の曲線線分、および前記第3の曲線線分は、内径を有する完全な円環を形成する、請求項12に記載のリングクランプ。
【請求項18】
前記リングクランプが前記閉塞構造にあり、前記第2のレバー端部が前記第2の曲線線分から離れるように移動するときに、前記キャッチはその内径を縮小することなく、前記フックから外れる、求項17に記載のリングクランプ。
【請求項19】
前記第2のレバー端部には第1の貫通孔が形成され、前記第2の曲線線分には第2の貫通孔が形成されている、請求項12に記載のリングクランプ。
【請求項20】
前記第2のレバー端部が前記第2の曲線線分に接触して位置しているときに、前記第1の貫通孔の開口は、前記第2の貫通孔の開口に面する、請求項19に記載のリングクランプ。
【請求項21】
前記第3の曲線線分は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置する2本の脚部材を備えており、前記レバーは、前記2本の脚部材間に噛み合う大きさに形成されている、請求項12に記載のリングクランプ。
【請求項22】
第1の端部および第2の端部を含む弾力性リングと、
前記第1の端部における第1のラチェット部材と、
前記第1の端部における保護部材と、
前記第2の端部における第2のラチェット部材と、を備えており、前記第2のラチェット部材は、前記保護部材と前記第1のラチェット部材との間の開口チャネルに噛み合うように構成されている、取付リングに流入導管を固定するためのリングクランプ。
【請求項23】
前記第1の端部および前記第2の端部が共に導かれ、前記第2のラチェット部材が前記前記開口チャネルを通り抜けるときに、前記第1の端部および前記第2の端部は互いと相対的に移動可能であり、前記第1のラチェット部材と前記第2のラチェット部材とは互いに噛み合い、前記第1の端部および前記第2の端部が互いから離れるように移動することを防止する、請求項22に記載のリングクランプ。
【請求項24】
前記第1の端部には第1の貫通孔が形成されており、前記第2の端部には第2の貫通孔が形成されている、請求項22に記載のリングクランプ。
【請求項25】
前記第1のラチェット部材には第3の貫通孔が形成されている、請求項24に記載のリングクランプ。
【請求項26】
円形の刃先および内部中空を画定する円筒壁を含むコアリングブレードと、
前記コアリングブレード内に延在する伸長支持部に取り付けられており、前記刃先に対向するコアリング隣接部と、を備えており、
前記刃先と前記コアリング隣接部とは互いと相対的に移動可能である、コアリングナイフ。
【請求項27】
前記伸長支持部に取り付けられたハンドルをさらに備えており、前記刃先に向かう前記ハンドルの直線運動により、前記コアリング隣接部が前記刃先から離れるように移動し、前記刃先から離れる前記ハンドルの直線運動により、前記コアリング隣接部が前記刃先に向かい移動する、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項28】
前記伸長支持部に取り付けられたハンドルをさらに備えており、前記ハンドルのねじれ運動により、前記コアリング隣接部が前記刃先から離れる、またはそれに近づくように移動する、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項29】
前記伸長支持部に取り付けられたハンドルをさらに備えており、前記ハンドルの傾斜運動により、前記コアリング隣接部が前記刃先と相対的に旋回する、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項30】
前記コアリングブレードの外面に配置されたストッパをさらに備えており、前記ストッパは前記刃先と相対的な前記コアリング隣接部の運動を制限する、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項31】
前記コアリング隣接部は、前記コアリングブレードの前記刃先に接触する締まりばめとして機能するサイズに形成される、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項32】
前記コアリング隣接部に連結された前面ブレードをさらに備えており、前記コアリング隣接部は前記前面ブレードと前記刃先との間に配置されている、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項33】
前記前面ブレードはナイフヘッドの前端の中に、かつそこから外に移動可能であり、前記コアリング隣接部は前記ナイフヘッドの後端に配置されている、請求項32に記載のコアリングナイフ。
【請求項34】
前記ナイフヘッドの前記前端の中に、かつそこから外に前記前面ブレードを動かすように構成された前面ブレード制御ノブをさらに備えている、請求項33に記載のコアリングナイフ。
【請求項35】
前記コアリング隣接部は前記伸長支持部に旋回可能に取り付けられている、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項36】
前記コアリングブレード内に延在する制御アームを介して、前記コアリング隣接部に動作可能に連結された連接制御レバーをさらに備えており、前記連接制御レバーの運動により、前記コアリング隣接部が旋回する、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項37】
コアリングナイフケーシングをさらに備えており、前記コアリングブレードは、前記コアリングナイフケーシングの中に、かつそこから外に移動可能である、請求項26に記載のコアリングナイフ。
【請求項38】
前記コアリングブレードに取り付けられた制御スリーブをさらに備えており、前記制御スリーブはらせんスロットを有しており、前記コアリングナイフケーシング内に配置されており、前記コアリングナイフケーシングは、前記らせんスロットに延在するガイドペグを備えており、前記制御スリーブの回転により、前記コアリングブレードが前記コアリングナイフケーシングから外に移動する、請求項37に記載のコアリングナイフ。
【請求項39】
グリップ、内部スリーブ、および前記グリップに固定して取り付けられており、前記内部スリーブ内に延在する中心シャフトをさらに備えており、前記内部スリーブは前記制御スリーブ、前記コアリングナイフブレード、および前記コアリングナイフケースを運び、前記内部スリーブは、前記中心シャフトにおける複数の位置のうちの任意の1つにおいて選択的に配置およびロックするように構成されている、請求項38に記載のコアリングナイフ。
【請求項40】
前記内部スリーブには直線的に配置された複数の穴部が形成されており、前記中心シャフト内のボール戻り止め機構が、前記穴部の少なくともいずれかに解放可能に噛み合う、請求項39に記載のコアリングナイフ。
【請求項41】
前記内部スリーブには線形スロットが形成されており、ピンが前記中心シャフトから前記線形スロット内に延在することにより、前記中心シャフトと相対的な前記内部スリーブの回転を防止する、請求項39に記載のコアリングナイフ。
【請求項42】
平坦ブレードと、
ハウジングと、
前端および後端を有するアクチュエータと、を備えており、
前記前端はハウジング内に位置し、前記平坦ブレードに取り付けられており、前記後端は前記ハウジングから外に突き出ている、切断ツール。
【請求項43】
前記ハウジングにはスリット開口が形成されており、前記スリット開口は前記平坦ブレードと位置を合わせて配置されており、前記スリット開口に接触して配置されたシールをさらに備えており、前記シールは前記平坦ブレードの両側を押し付けている、請求項42に記載の切断ツール。
【請求項44】
前記ハウジングは、前端、前記前端に形成されたスリット、およびハウジングから外に突き出る環状フランジを備えており、さらに、前記環状フランジと前端との間に位置する円筒外面を備えている、請求項42に記載の切断ツール。
【請求項45】
前記環状フランジから半径方向外側に延在する2つの突起が、前記環状フランジの外周において互いから180度離れて間隔を空けて位置している、前請求項44に記載の切断ツール。
【請求項46】
2つの突起がハウジングから半径方向外側に延在しており、前記ハウジングは前記2つの突起と前記前端との間に円筒外面を備えている、請求項42に記載の切断ツール。
【請求項47】
前記アクチュエータに外力が加えられないときに、前記平坦ブレードが前記ハウジング内に完全に収容されるように、前記アクチュエータはバネで留められている、請求項42に記載の切断ツール。
【請求項48】
シリンダ外径を有するシリンダを収容するように構成された遠位開口部と、
第1の線形エッジ、および前記第1の線形エッジとオフセットする第2の線形エッジを有する近位開口部と、
前記遠位開口部と前記近位開口部との間に位置し、遠位棚面および遠位柱面を有する遠位溝と、
前記近位開口部と前記遠位溝との間に位置し、近位棚面および近位柱面を有する近位溝と、
前記近位開口部が通り延在する、前記近位棚面に対向する近位圧縮面と、
前記遠位開口部および遠位溝と連絡する側面開口部と、を含む本体を備えており、前記遠位開口部は前記遠位棚面を通り延在し、前記遠位柱面の湾曲部の遠位溝直径は前記シリンダ外径よりも長く、前記近位柱面の湾曲部の近位溝直径は前記遠位溝直径よりも長い、
Cクランプツール。
【請求項49】
前記柱面が前記遠位棚面と接し、前記近位棚面が前記遠位柱面および前記近位柱面と接し、前記近位圧縮面が前記近位柱面と接し、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項50】
前記遠位柱面の前記湾曲部と、前記近位柱面の前記湾曲部とは同心である、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項51】
前記近位棚面および前記近位圧縮面は平面であり、互いに平行である、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項52】
前記第1の線形エッジと前記第2の線形エッジとは、前記近位溝直径よりも短い近位離隔距離だけ互いにオフセットする、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項53】
前記第1の線形エッジと前記第2の線形エッジとは互いに平行である、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項54】
前記遠位柱面の前記湾曲部は180度を超える角度で延在する、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項55】
前記遠位柱面の前記湾曲部は300度未満の角度で延在する、請求項54に記載のCクランプツール。
【請求項56】
前記近位柱面の前記湾曲部は180度を超える角度で延在する、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項57】
前記近位柱面の前記湾曲部は300度未満の角度で延在する、請求項56に記載のCクランプツール。
【請求項58】
前記近位柱面から外に停止ピンが突き出ている、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項59】
前記近位開口部は、前記近位柱面と接する湾曲エッジを備えている、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項60】
前記遠位開口部は、第1の遠位線形エッジおよび前記第1の遠位線形エッジと遠位離隔距離だけオフセットする第2の遠位線形エッジを備えており、前記遠位溝直径は前記遠位離隔距離よりも長い、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項61】
前記本体は第1のアーム部および第2のアーム部を備えており、前記第1のアーム部および前記第2のアーム部には前記遠位溝および前記近位溝が形成されている、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項62】
前記近位圧縮面の第1の部分は記第1のアーム部に位置し、前記近位圧縮面の第2の部分は前記第2のアーム部に位置する、請求項61に記載のCクランプツール。
【請求項63】
前記第1のアーム部および前記第2のアーム部各々は、2つの指部材および前記2つの指部材間の側部スロットを備えている、請求項61に記載のCクランプツール。
【請求項64】
前記第1のアーム部の前記側部スロットおよび前記第2のアーム部の前記側部スロットは、前記側面開口部の側面開口幅を画定し、前記側面開口幅は前記遠位溝直径以上の長さである、請求項63に記載のCクランプツール。
【請求項65】
前記本体に接続されたハンドルをさらに備えている、請求項48に記載のCクランプツール。
【請求項66】
前記ハンドルは連接している、請求項65に記載のCクランプツール。
【請求項67】
近位端部および遠位端部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に位置し、前記遠位端部から前記近位端部への流体の流れを塞ぐように構成された弾力部材を含み、前記ハウジングを通る計器の通路を空けるように開き、前記ハウジングから前記計器を取り外すと自動で閉じるように構成されている弁と、を備えている、弁構造。
【請求項68】
前記弁は前記ハウジングから取り外し可能である、請求項67に記載の弁構造。
【請求項69】
前記ハウジングから半径方向内側に突き出る第1のシールをさらに備えており、前記第1のシールは、前記ハウジングに挿入された円柱状物体周囲に流体密封シールを形成するように構成されている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項70】
前記第1のシールは前記ハウジングの前記遠位端部に接触して配置されており、前記ハウジングから半径方向内側に突き出る第2のシールをさらに備えており、前記第2のシールは前記ハウジングの前記近位端部に接触して配置されており、前記近位端部内に挿入された円柱状物体周囲に流体密封シールを形成するように構成されている、請求項69に記載の弁構造。
【請求項71】
前記弁は複数の弁尖を備えている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項72】
前記弁は膨張式膜を備えている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項73】
前記弁はねじれ膜を備えている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項74】
前記弁は第1のダイヤフラムおよび第2のダイヤフラムを備えており、前記第1のダイヤフラムは弾性的な第1のポートを備えており、前記第2のダイヤフラムは、前記弾性的な第1のポートと重複しない弾性的な第2のポートを備えている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項75】
前記ハウジングは前記遠位端部における半径方向内向きフランジを備えている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項76】
前記ハウジングは、互いと相対的に移動可能な2つの長手方向の等分部を備えている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項77】
前記2つの長手方向の等分部は、互いに旋回可能に連結するヒンジ部材、および選択的に互いに噛み合うか、外れるように構成されているロッキング部材を備えている、請求項76に記載の弁構造。
【請求項78】
前記2つの長手方向の等分部各々は、第1のハウジング部および第2のハウジング部を備えており、前記第1のハウジング部および前記第2のハウジング部各々は、第1の端部および第2の端部を備えており、前記第1のハウジング部の前記第1の端部は、第1の可動ピンにより、前記第2のハウジング部の前記第2の端部に連結されている、請求項76に記載の弁構造。
【請求項79】
前記第1のハウジング部の前記第2の端部は、第2の可動ピンにより、前記第2のハウジング部の前記第1の端部に連結されている、請求項78に記載の弁構造。
【請求項80】
前記2つの長手方向の等分部の間にガスケットが配置されている、請求項76に記載の弁構造。
【請求項81】
前記2つの長手方向の等分部の少なくともいずれかは、脱気ポートを備えており、前記脱気ポートの開口は、前記弁と前記ハウジングの前記遠位端部との間に位置している、請求項76に記載の弁構造。
【請求項82】
前記2つの長手方向の等分部各々は、フランジおよび前記フランジに隣接する接合溝を備えており、前記フランジおよび前記接合溝はハウジング内に位置している、請求項76に記載の弁構造。
【請求項83】
前記ハウジングの前記遠位端部に取り付けられた底面ガスケットをさらに備えている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項84】
前記ハウジングは前記遠位端部において半径方向外側に突き出るベースフランジを備えており、前記ベースフランジは外側直線面および外側曲面を備えている、請求項67に記載の弁構造。
【請求項85】
前記外側直線面は離隔距離だけ互いにオフセットし、前記曲面の直径は前記離隔距離よりも長い、請求項84に記載の弁構造。
【請求項86】
前記ベースフランジに取り付けられた底面ガスケットをさらに備えている、請求項84に記載の弁構造。
【請求項87】
前記外側曲面の少なくともいずれかには側部溝が形成されている、請求項84に記載の弁構造。
【請求項88】
ブレード刃先を有する中空ブレードと、
前記中空ブレードに噛み合うように構成されたパンチヘッドと、
前記パンチヘッドに取り付けられており、前記中空ブレード内において前記パンチヘッドを縦軸に沿って摺動するステムと、を備えており、
前記縦軸方向から見た前記パンチヘッドの外周は、その形状が前記ブレード刃先にほぼ一致している、パンチ。
【請求項89】
前記縦軸方向から見た前記パンチヘッドの外周は、そのサイズが前記ブレード刃先とほぼ一致する、請求項88に記載のパンチ。
【請求項90】
前記ブレード刃先は側部および前記側部間に位置する中央部を備えており、前記パンチヘッドが前記縦軸に沿って前記中空ブレード内を摺動するときに、前記側部が前記パンチヘッドの外周に接触する前に、前記中央部が前記パンチヘッドの外周に接触する、請求項88に記載のパンチ。
【請求項91】
前記縦軸方向から見た前記ブレード刃先は楕円形状である、請求項90に記載のパンチ。
【請求項92】
前記縦軸方向から見た前記パンチヘッドの外周は、円形端部により互いに接続された2つの平行側面を含む形状である、請求項88に記載のパンチ。
【請求項93】
前記縦軸方向から見た前記ブレード刃先は、円形端部により互いに接続された2つの平行側面を含む形状である、請求項88に記載のパンチ。
【請求項94】
前記縦軸と垂直方向から見た前記ブレード刃先は凸状である、請求項88に記載のパンチ。
【請求項95】
前記パンチヘッドの外周は平面に位置している、請求項94に記載のパンチ。
【請求項96】
前記縦軸と垂直方向から見た前記パンチヘッドの外周は凸状である、請求項94に記載のパンチ。
【請求項97】
前記ブレード刃先は平面に位置する、請求項88に記載のパンチ。
【請求項98】
前記縦軸と垂直方向から見た前記パンチヘッドの外周は凸状である、請求項97に記載のパンチ。
【請求項99】
中空ケーシング、前記中空ケーシング内で摺動可能なガイドシリンダ、およびハンドルをさらに備えており、前記ガイドシリンダは前記ステムおよび前記ハンドルに固定して取り付けられている、請求項88に記載のパンチ。
【請求項100】
遠位端部および近位端部を有するリング壁と、
前記リング壁から半径方向外側に延在する、前記近位端部に配置された結合リップと、
前記リング壁から半径方向外側に延在する、前記遠位端部に配置されたカフと、を含む取付リングを備えている、心臓補助装置を埋め込むためのシステム。
【請求項101】
前記結合リップと前記カフとの間の前記リング壁の一部の周囲をロックするように構成されたリングクランプをさらに備えている、請求項100に記載のシステム。
【請求項102】
前記リングクランプは、クランプフレーム、前記クランプフレームの末端に取り付けられたクランプレバー、および前記クランプフレームの第2の末端に取り付けられたクランプハンドルを備えており、前記クランプハンドルを動かすことにより、前記第1の末端と前記第2の末端とを互いと相対的に動かすことができる、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
前記リングクランプは、
第1の端部、第2の端部、および前記第2の端部におけるフックを含む第1の曲線線分と、
第1の端部、第2の端部、および溝を含む第2の曲線線分と、
第1の端部、第2の端部、および前記第2の端部におけるキャッチを含む第3の曲線線分と、
第1のレバー端部、第2のレバー端部、および中央部を含むレバーと、を備えているシステムであって、前記第2の曲線線分の前記第1の端部は、前記第1の曲線線分の前記第1の端部に旋回可能に接続されており、前記キャッチは前記フックに噛み合う大きさに形成されており、前記第1のレバー端部は、前記第2の曲線線分の前記第2の端部に旋回可能に接続されており、前記中央部は、前記第3の曲線線分の前記第1の端部に旋回可能に接続されている、請求項101に記載のシステム。
【請求項104】
前記リングクランプは、
第1の端部および第2の端部を含む弾力性リングと、
前記第1の端部における第1のラチェット部材と、
前記第1の端部における保護部材と、
前記第2の端部における第2のラチェット部材と、を備えており、前記第2のラチェット部材は、前記保護部材と前記第1のラチェット部材との間の開口チャネルに噛み合うように構成されている、請求項101に記載のシステム。
【請求項105】
遠位部および近位部を含む流入導管をさらに備えており、前記遠位部は前記リング壁を通り抜ける大きさに形成されている、請求項101に記載のシステム。
【請求項106】
前記流入導管は導管ストッパを備えており、
前記流入導管の前記遠位部が前記リング壁に噛み合うと、前記導管ストッパは前記リング壁の前記近位端部に接触し、前記流入導管の前記遠位部は前記リング壁の前記遠位端部から外に延在する、請求項105に記載のシステム。
【請求項107】
前記取付リングはリングシールを備えており、
前記流入導管の前記遠位部が前記リング壁に噛み合うと、前記リングシールは前記流入導管に接触して流体密封シールを形成する、請求項105に記載のシステム。
【請求項108】
前記リング壁を通り抜ける大きさに形成されている切断ツールをさらに備えており、前記切断ツールは、
平坦ブレードと、
ハウジングと、
前端および後端を有するアクチュエータと、を備えており、前記前端は前記ハウジング内に位置し、前記平坦ブレードに取り付けられており、前記後端は前記ハウジングから外に突き出ている、請求項100に記載のシステム。
【請求項109】
前記ハウジングは、前記ハウジングの先端から停止距離を空けて配置された停止機構を備えており、前記停止距離は前記取付リングの長手方向の高さ以下の長さである、請求項108に記載のシステム。
【請求項110】
前記取付リングはリングシールを備えており、前記切断ツールが前記リング壁に噛み合うと、前記リングシールは前記切断ツールに接触して流体密封シールを形成する、請求項108に記載のシステム。
【請求項111】
前記リング壁を通り抜ける大きさに形成されているコアリングナイフをさらに備えており、
前記コアリングナイフは、
円形の刃先および内部中空を画定する円筒壁を含むコアリングブレードと、
前記コアリングブレード内に延在する伸長支持部に取り付けられており、前記刃先に対向するコアリング隣接部と、を備えており、
前記刃先と前記コアリング隣接部とは、互いと相対的に移動可能である、請求項100に記載のシステム。
【請求項112】
それ自体の先端から停止距離を空けて配置された停止機構を有するコアリングナイフケーシングをさらに備えており、前記停止距離は前記取付リングの長手方向の高さ以下の長さである、請求項111に記載のシステム。
【請求項113】
前記取付リングはリングシールを備えており、
前記コアリングナイフが前記リング壁に噛み合うと、前記リングシールは前記コアリングナイフに接触して流体密封シールを形成する、請求項111に記載のシステム。
【請求項114】
前記リング壁を通り抜ける大きさに形成されている切断ツールをさらに備えている、請求項111に記載のシステム。
【請求項115】
前記結合リップと前記カフとの間の前記リング壁の一部の周囲をロックするように構成されたリングクランプをさらに備えている、請求項111に記載のシステム。
【請求項116】
遠位部および近位部を含む流入導管をさらに備えており、前記遠位部は前記リング壁が通り抜ける大きさに形成されている、請求項115に記載のシステム。
【請求項117】
前記取付リングにおける弁構造をさらに備えている、請求項100に記載のシステム。
【請求項118】
前記弁構造は前記取付リングと分離可能である、請求項117に記載のシステム。
【請求項119】
前記弁構造は、
近位端部および遠位端部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に位置し、前記遠位端部から前記近位端部への流体の流れを塞ぐように構成された弾力部材を含み、前記ハウジングを通る計器の通路を空けるように開き、前記ハウジングから前記計器を取り外すと自動で閉じるように構成されている弁と、を備えている、請求項118に記載のシステム。
【請求項120】
前記弁構造の前記ハウジングは、前記取付リングの外部機構に噛み合うように構成されたフランジを備えている、請求項119に記載のシステム。
【請求項121】
前記弁構造の前記ハウジングは、前記取付リングの前記結合リップを収容するように構成された接合溝を備えている、請求項119に記載のシステム。
【請求項122】
前記弁構造は前記ハウジングの前記遠位端部に取り付けられた底面ガスケットを備えており、前記底面ガスケットは、前記取付リングの前記結合リップに接触して密閉するように構成されている、請求項119に記載のシステム。
【請求項123】
前記弁構造の前記ハウジングは、前記ハウジングの前記遠位端部におけるベースフランジを備えている、請求項119に記載のシステム。
【請求項124】
前記弁構造の前記ベースフランジおよび前記取付リングの前記結合リップを収容するように構成されているCクランプツールをさらに備えている、請求項123に記載のシステム。
【請求項125】
前記ベースフランジが前記Cクランプツールに収容されている間、それと相対的に前記弁構造を回転可能なように前記Cクランプツールは構成されている、請求項124に記載のシステム。
【請求項126】
前記Cクランプツールは、前記ベースフランジおよび前記結合リップを共に押圧するように構成されている、請求項124に記載のシステム。
【請求項127】
前記Cクランプツールは、
前記取付リングの前記リング壁を収容するように構成された遠位開口部と、
第1の線形エッジ、および前記第1の線形エッジとオフセットする第2の線形エッジを有する近位開口部と、
前記遠位開口部と前記近位開口部との間に位置し、遠位棚面および遠位柱面を有する遠位溝と、
前記近位開口部と前記遠位溝との間に位置し、近位棚面および近位柱面を有する近位溝と、
前記近位開口部が通り延在する、前記近位棚面に対向する近位圧縮面と、
前記遠位開口部および前記遠位溝と連絡する側面開口部と、を有する本体を備えており、前記遠位開口部は前記遠位棚面を通り延在し、前記遠位柱面の湾曲部の遠位溝直径は前記リング壁の外径よりも長く、前記近位柱面の湾曲部の近位溝直径は前記遠位溝直径よりも長い、請求項124に記載のシステム。
【請求項128】
前記Cクランプツールの前記遠位溝は、前記取付リングの前記結合リップを収容するように構成されている、請求項127に記載のシステム。
【請求項129】
前記Cクランプツールの前記近位溝は、前記ベースフランジを収容するように構成されている、請求項127に記載のシステム。
【請求項130】
前記弁構造の前記ハウジングおよび前記取付リングの前記リング壁を通り抜ける大きさに形成された切断ツールをさらに備えており、前記切断ツールは、
平坦ブレードと、
ハウジングと、
前端および後端を有するアクチュエータと、を備えており、前記前端は前記ハウジング内に位置し、前記平坦ブレードに取り付けられており、前記後端は前記ハウジングから外に突き出ている、請求項117に記載のシステム。
【請求項131】
前記切断ツールの前記ハウジングは、前記ハウジングの先端から停止距離を空けて配置された停止機構を備えており、前記停止距離は、前記取付リングと前記弁構造との長手方向の積み重ね高さ以下の長さである、請求項130に記載のシステム。
【請求項132】
前記弁構造の前記ハウジングおよび前記取付リングの前記リング壁を通り抜ける大きさに形成されたコアリングナイフをさらに備えており、前記コアリングナイフは、
円形の刃先および内部中空を画定する円筒壁を含むコアリングブレードと、
前記コアリングブレード内に延在する伸長支持部に取り付けられており、前記刃先に対向するコアリング隣接部と、を備えており、
前記刃先と前記コアリング隣接部とは、互いと相対的に移動可能である、請求項117に記載のシステム。
【請求項133】
それ自体の先端から停止距離を空けて配置された停止機構を有するコアリングナイフケーシングをさらに備えており、前記停止距離は前記取付リングと前記弁構造との長手方向の積み重ね高さ以下の長さである、請求項132に記載のシステム。
【請求項134】
心臓から流れ出る血液を最小化するように構成されたダイヤフラム弁を備えており、前記血液の流れを補助するポンプを前記心臓に取り付けるように構成された器具。
【請求項135】
ハウジングをさらに備えており、前記弁は前記ハウジング内に位置し、前記ハウジングは第1のハウジング部および第2のハウジング部を備えており、前記第1のハウジング部は、前記第2のハウジング部に回転自在に取り付けられている、請求項134に記載の器具。
【請求項136】
前記弁は外周面および前記弁の前記外周面を通り延在する継ぎ目を備えている、請求項134に記載の器具。
【請求項137】
前記心臓に取り付けられるように構成された心臓コネクタをさらに備えており、前記心臓コネクタは、物体が前記心臓コネクタに挿入されたときの血液の流れを抑制するように構成されたシールを備えている、請求項134に記載の器具。
【請求項138】
前記心臓に取り付けられるように構成された心臓コネクタ、およびハウジング壁を備えたハウジングをさらに備えており、前記弁は前記ハウジング内に位置し、前記ハウジングは、前記ハウジングの壁を通り、前記ハウジングの内部チャネルと前記ハウジング外側の外部環境とを流体的に連絡する脱気チャネルを有する、請求項134に記載の器具。
【請求項139】
前記心臓に取り付けられるように構成された心臓コネクタ、および流入導管における前記心臓コネクタを圧縮するように構成されたクランプをさらに備えている、請求項134に記載の器具。
【請求項140】
流入導管と、
前記流入導管に取り付け可能であり、第1の方向に流体を十分に流し、前記第1の方向と反対方向の第2の方向への流体の流れを制限するダイヤフラム弁と、を備えており、
前記流入導管は、前記弁を通り、心臓と流体的に連絡するように構成されている、患者に用いる心臓補助装置を埋め込むための埋め込みシステム。
【請求項141】
心臓に取り外し可能に取り付けられた弁構造を備えており、
前記弁構造は弁およびハウジングを備えており、前記弁は第1の方向に流体を十分に流し、前記第1の方向と反対方向の第2の方向への流体の流れを制限し、前記ハウジング内に位置している、患者に用いる心臓補助装置を埋め込むための埋め込みシステム。
【請求項142】
前記ハウジングは第1のハウジング部および第2のハウジング部を備えており、前記第1のハウジング部は、前記第2のハウジング部に回転自在に取り付けられている、請求項141に記載のシステム。
【請求項143】
前記弁は外周面および前記弁の前記外周面を通り延在する継ぎ目を備えている、請求項141に記載のシステム。
【請求項144】
前記弁構造は、物体が前記弁構造に挿入されたときの血液の流れを抑制するように構成されたシールを備えている、請求項141に記載のシステム。
【請求項145】
前記心臓に取り付けられるように構成された心臓コネクタをさらに備えており、前記心臓コネクタは、物体が前記心臓コネクタに挿入されたときの血液の流れを抑制するように構成されたシールを備えている、請求項141に記載のシステム。
【請求項146】
前記ハウジングは、前記ハウジングの壁を通り、前記ハウジングの内部チャネルと前記ハウジング外側の外部環境とを流体的に連絡する脱気チャネルを備えている、請求項141に記載のシステム。
【請求項147】
前記弁を通るように構成されており、前記心臓と流体的に連絡する流入導管と、
前記流入導管と流体的に連絡するように構成されたポンプと、
前記ポンプと流体的に連絡するように構成された流出導管と、をさらに備えている、請求項141に記載のシステム。
【請求項148】
前記心臓に取り付けられるように構成された心臓コネクタ、および前記流入導管に前記心臓コネクタを圧縮するように構成されたクランプをさらに備えている、請求項147に記載のシステム。
【請求項149】
前記心臓を切断するように構成されたツールをさらに備えており、前記弁構造は前記ツールに取り付けられるように構成されている、請求項147に記載のシステム。
【請求項150】
流入導管と、
前記流入導管に取り外し可能に取り付けられた弁構造と、を備えており、
前記弁構造は弁およびハウジングを備えており、前記弁は第1の方向に流体を十分に流し、前記第1の方向と反対方向の第2の方向への流体の流れを制限し、前記ハウジング内に位置しており、
前記流入導管は、前記弁を通り、前記心臓と流体的に連絡するように構成されている、患者に用いる心臓補助装置を埋め込むための埋め込みシステム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13D】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図15d】
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【図15e】
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【図15f】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17a】
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【図17b】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19a】
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【図19b】
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【図19c】
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【図19d】
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【図20】
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【図21a】
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【図21b】
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【図21c】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26a】
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【図26b】
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【図27a】
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【図27b】
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【図28a】
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【図28b】
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【図29a】
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【図29b】
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【図29c】
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【図30a】
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【図30b】
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【図31】
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【図32】
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【図33a】
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【図33b】
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【図33c】
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【図34a】
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【図34b】
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【図34c】
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【図34d】
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【図35】
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【図36a】
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【図36b】
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【図36c】
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【図36d】
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【図36e】
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【図37a】
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【図37b】
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【図37c】
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【図37d】
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【図38】
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【図39a】
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【図39b】
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【図40a】
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【図40b】
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【図40c】
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【図40d】
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【図40e】
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【図40f】
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【図40g】
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【図40h】
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【図40i】
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【図41a】
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【図41b】
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【図41c】
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【図41d】
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【図42a】
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【図42b】
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【図42c】
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【図43a】
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【図43b】
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【図44】
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【図45】
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【図46a】
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【図46b】
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【図46c】
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【図46d】
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【図47a】
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【図47b】
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【図47c】
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【図48a】
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【図48b】
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【図48c】
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【図48d】
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【図49a】
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【図49b】
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【図49c】
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【図49d】
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【図50a】
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【図50b】
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【図51】
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【図52a】
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【図52b】
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【図52c】
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【図53a】
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【図53b】
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【図53c】
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【図53d】
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【図53e】
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【図53f】
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【図54】
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【図55】
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【図56a】
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【図56b】
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【図56c】
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【図56d】
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【図57a】
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【図57b】
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【図57c】
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【図57d】
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【図58a】
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【図58b】
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【図58c】
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【図58d】
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【図58e】
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【図59a】
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【図59b】
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【図60a】
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【図60b】
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【図60c】
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【図60d】
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【図60e】
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【図61a】
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【図61b】
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【図62a】
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【図62b】
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【図62c】
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【図62d】
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【図63a】
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【図63b】
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【図63c】
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【図63d】
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【図64a】
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【図64b】
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【図64c】
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【図64d】
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【図65a】
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【図65b】
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【図65c】
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【図65d】
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【公表番号】特表2013−510691(P2013−510691A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539060(P2012−539060)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/056751
【国際公開番号】WO2011/060386
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510267982)ソラテック コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】