説明

取付構造付き磁石

【課題】磁石の割れを防止しつつ該磁石を被取付部に取付けることができると共に、取付構造要素の損傷を防止しつつ容易に被取付部から磁石を取外すことを可能とする取付構造付き磁石及び組部品を提供する。
【解決手段】ボルト20の軸部20aを挿通するためのボルト挿通孔11aと、ボルト20の頭部20bを収容可能に設けられた凹部11bとが形成された磁石本体11を有する取付構造付き磁石10のボルト挿通孔11aに、雌ねじ部20cが内周面に形成された金属製のカラー12が挿着されて磁石本体11に固定される。カラー12の一端部は凹部11bに収容されるボルト20の頭部20bを当接させ得るようにボルト挿通孔11aから凹部11bに突出されており、カラー12の他端部は、カラー12の横方向に張り出すようにカラー12に形成された係合部(フランジ)12bを介して磁石本体11の端面に係合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被取付部に取り付けるための構造を有する磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に見られる如く、磁石本体にねじを挿通する貫通孔を形成すると共に、この貫通孔の一端に、ねじの頭部を没入させる大径の凹部を形成し、磁石本体を上記貫通孔に挿通するねじにより被取付部に締結・固定するようにしたものが知られている。
【0003】
また、特許文献2に見られる如く、内周に雌ねじが形成されたブッシュを、磁石に穿設された貫通孔に嵌入しておき、そのブッシュに非磁性体のねじをねじ込むようにしたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3059538号公報
【特許文献2】特開平8−17623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1のものでは、磁石本体を被取付部にねじにより締結するときに、磁石本体を被取付部に押し付ける力がねじの頭部から磁石に作用するため、磁石が割れやすいという不都合がある。
【0006】
一方、前記特許文献2のものでは、ねじを被取付部にねじ締めするときに、ねじから磁石に直接的に押し付け力が作用しないようにすることは可能である。しかるに、特に磁石が強い磁力を持つものであると共に、被取付部が磁性体材質のものである場合に次のような不都合がある。
【0007】
すなわち、被取付部に磁力により吸着している磁石を該被取付部から取外す際に、ねじの頭部を把持して磁石を被取付部から剥がそうとすると、ブッシュを磁石の貫通孔から抜脱させてしまったり、あるいは、ブッシュやこれにねじ締めされたねじのねじ山を損傷させてしまう場合がある。
【0008】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、磁石の割れを防止しつつ該磁石を被取付部に取付けることができると共に、取付構造要素の損傷を防止しつつ容易に被取付部から磁石を取外すことを可能とする取付構造付き磁石、並びに、該取付構造付き磁石を有する組部品を提供することを目的とする。また、その取付構造付き磁石に適したボルト、並びに、そのボルトを有する組部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の取付構造付き磁石は、上記の目的を達成するために、ボルトの軸部を挿通するためのボルト挿通孔と、前記ボルトの頭部を収容可能に該ボルト挿通孔の一端に設けられた凹部とが磁石本体に形成された取付構造付き磁石であって、前記ボルト挿通孔に挿着されて前記磁石本体に固定され、前記ボルトを螺合させる雌ねじ部が内周面に形成された金属製のカラーを備えており、該カラーの一端部は、前記凹部に収容されるボルトの頭部を当接させ得るように前記ボルト挿通孔から前記凹部に突出されており、該カラーの他端部は、前記ボルト挿通孔から前記凹部の反対側に突出されており、さらに該カラーは、該カラーの他端部側から一端部側に向かう力を該カラーに作用させた場合に、該力を前記磁石本体に伝達すべく該カラーに横方向に張り出すように形成された係合部を介して該磁石本体に係合されていることを特徴とする取付構造付き磁石。
【0010】
また、本発明の組部品は、上記の本発明の取付構造付き磁石と、前記ボルトとから構成されることを特徴とする。
【0011】
かかる本発明によれば、前記取付構造付き磁石を被取付部に取付ける際には、前記ボルトの軸部を前記カラーにねじ込み、さらに、該カラーから突出するボルトの軸部の先端部を被取付部にねじ込む。
【0012】
なお、この場合、前記取付構造付き磁石と被取付部との位置合わせを事前に行なった後に、カラーへのボルトの軸部のねじ込みを行なうようにしてもよいが、ボルトの軸部を事前にカラーにねじ込んで、該軸部の先端部を、該カラーから突出させておき、この状態で、ボルトと取付構造付き磁石との組部品を被取付部の既定の取付位置に移送して、該ボルトの被取付部へのねじ込みを行なうようにしてもよい。
【0013】
そして、最終的にボルトの頭部を、前記ボルト挿通孔から突出している前記カラーの一端部に当接させた状態で前記凹部に収容させる。これにより、前記取付構造付き磁石がボルトを介して被取付部に締結される。
【0014】
このとき、前記凹部に収容されるボルトの頭部が前記カラーの一端部に当接され、また、カラーの他端部が前記ボルト挿通孔から前記凹部と反対側に突出されているので、ボルトの頭部と被取付部との間に前記カラーが介在した状態で該ボルトが被取付部に締め付けられることとなる。
【0015】
このため、前記ボルトを被取付部に締め付けることによって該ボルトの軸心方向でボルトの頭部から被取付部に向かって発生する力は、前記磁石本体に直接的に作用することなく、前記カラーに作用することとなる。これにより、ボルトの締め付けに起因して発生する力によって磁石本体が割れてしまうのを防止できる。さらに、ボルトの締め付けに起因して発生する力を磁石本体に作用させないようにすることができることから、被取付部へのボルトの締め付けを十分に行なうことができる。その結果、被取付部への取付構造付き磁石の締結を確実に行なうことが可能となる。
【0016】
また、本発明によれば、例えば次のような作業によって前記取付構造付き磁石を被取付部から取外すことができる。すなわち、被取付部へのボルトの締め付け(ねじ締め)を緩めて、該ボルトの軸部をカラーに螺合させたまま、該ボルトの頭部を前記収容部から離脱させる。そして、この状態で、ボルトの頭部を把持して引っ張ることで、取付構造付き磁石を被取付部から取外す。
【0017】
このとき、前記カラーが、横方向(カラーの軸心方向に対して交差する方向)に張り出すように該カラーに形成された前記係合部を介して前記磁石本体に係合されているので、該磁石本体には、それを被取付部から取外すための力(カラーの他端部側から一端部側に向かう力)が前記係合部を介して作用する。このため、前記磁石本体の磁力によって該磁石が被取付部に吸着していても、ボルトの軸部の雄ねじ部やカラーの雌ねじ部のねじ山が損傷を受けるのを防止しつつ、前記取付構造付き磁石を容易に被取付部から取外すことができる。
【0018】
以上の如く、本発明の取付構造付き磁石及び組部品によれば、磁石本体の割れを防止しつつ取付構造付き磁石を被取付部に取付けることができると共に、取付構造要素の損傷を防止しつつ容易に被取付部から取付構造付き磁石を取外すことが可能となる。
【0019】
かかる本発明では、前記係合部は、前記カラーの他端部側から一端部側に向かう力を該カラーに作用させた場合に、該力を前記磁石本体に伝達し得る構造であればよいが、該係合部の好適な構造としては、次のような構造を採用することが好ましい。すなわち、前記係合部は、前記カラーの他端部に形成されて、前記ボルト挿通孔の他端側の開口端周縁で前記磁石本体の端面に当接されたフランジであることが好適である。
【0020】
これによれば、前記取付構造付き磁石を被取付部から取外す作業時において、前記カラーのフランジが磁石本体の端面(前記凹部が形成されている面と反対側の端面)に当接しているので、該磁石本体を被取付部から取外すための力(カラーの他端部側から一端部側に向かう力)をフランジを介して確実に磁石本体に作用させることができる。このため、ボルトの軸部の雄ねじ部やカラーの雌ねじ部のねじ山が損傷を受けるのを防止しつつ、前記取付構造付き磁石を被取付部から取外すことをより一層、円滑且つ容易に行なうことができる。
【0021】
また、本発明のボルトは、上記した本発明の取付構造付き磁石の前記ボルト挿通孔に挿通するボルトであって、該ボルトの軸部のうち、該ボルトの頭部を前記カラーの一端部に当接させた状態で該カラーの内部から突出する部分にのみ、雄ねじ部が形成されていることを特徴とする。そして、この本発明のボルトは、上記した本発明の組部品におけるボルトとして好適である。
【0022】
これによれば、被取付部への前記取付構造付き磁石の最終的な締結状態、すなわち、前記ボルトの頭部が前記カラーの一端部に当接した状態では、ボルトの軸部の雄ねじ部は、カラーの雌ねじ部から離脱して、被取付部だけに螺合することとなる。そして、ボルトの軸部の雄ねじ部が被取付部だけに螺合した状態では、カラーがボルトの軸部に対してその軸心方向に移動自在となるので、該カラーによってボルトの動きを阻害することなく、該ボルトの軸部を被取付部にねじ込んでいくことができる。その結果、ボルトを所望の締め付け力で被取付部に締め付けることができ、ひいては、被取付部への取付構造付き磁石の締結状態のばらつきを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態における組部品のボルトと取付構造付き磁石とを示す図。
【図2】図1の組部品の取付構造付き磁石を被取付部に取付けた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態を図1及び図2を参照して説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の組部品1は、取付構造付き磁石10と、ボルト20とから構成される。
【0026】
取付構造付き磁石10は、磁石本体11と、この磁石本体11に装着された金属製のカラー12とから構成されており、磁石本体11には、ボルト20の軸部20aを挿通するためのボルト挿通孔11aと、ボルト20の頭部20bを収容可能にボルト挿通孔11aの一端に設けられた凹部11bとが形成されている。ボルト挿通孔11aは、ボルト20の頭部20bよりも小径の孔であり、その一端は、凹部11bの底面の中央部で開口し、他端は、磁石本体11の凹部11bが形成されている端面と反対側の端面(図1では下面)で開口している。
【0027】
カラー12は、ボルト挿通孔11aの径とほぼ同一の外径を有する筒状部12aの一端部に、本発明における係合部として、該筒状部12aの径方向(横方向)外方に張り出すフランジ12bを一体に形成した構造のものであり、筒状部12aの内周面には、ボルト20を螺合させる雌ねじ部12cが形成されている。
【0028】
このカラー12の筒状部12aは、ボルト挿通孔11aの両開口端のうちの凹部11bと反対側の開口端から該ボルト挿通孔11aに嵌入され、該カラー12のフランジ部12bが、ボルト挿通孔11aの凹部11bと反対側の開口端周縁で磁石本体11の端面に当接されている。これにより、カラー12がボルト挿通孔11aに挿着され、磁石本体11に固定されている。また、カラー12のフランジ12bが形成された端部は、ボルト挿通孔11aから凹部11bと反対側に突出されることとなる。
【0029】
この場合、カラー12の軸方向の長さは、ボルト挿通孔11aの長さよりも長いものとされており、カラー12の筒状部12aのフランジ部12bと反対側の端部が、磁石本体11の凹部11bに収容されるボルト20の頭部20bを当接させ得るようにボルト挿通孔11aから凹部11bに若干突出されている。
【0030】
また、本実施形態では、カラー12は、磁性体材質の金属(例えば鉄鋼)により構成されており、磁石本体11との間に作用する磁力によって該磁石本体11に吸着・固定されるようになっている。但し、カラー12の筒状部12aとフランジ部12bとの両方又は一方を、適宜の接着剤によって磁石本体11に固定するようにしてもよい。このようにした場合に、カラー12は、非磁性体材質の金属により構成されていてもよい。
【0031】
前記ボルト20は、その軸部20aの先端側の部分だけに雄ねじ部20cが形成されたボルトである。この場合、ボルト20の軸部20aは、カラー12の軸方向の長さよりも十分に長いものとされており、ボルト20の軸部20aを前記カラー12にねじ込んで、該ボルト20の頭部20bをカラー12の筒状部12aの端部に当接させた状態で、図2に示す如く、軸部20aの先端部がボルト挿通孔11aの開口端(凹部11bと反対側の開口端)から突出するようになっている。そして、ボルト20の雄ねじ部20cは、ボルト20の軸部20aのうち、上記の如くボルト挿通孔11aから突出する部分に形成されている。
【0032】
換言すれば、ボルト20の軸部20aのうち、雄ねじ部20cが形成されていない部分の長さは、前記カラー12の軸方向の長さよりも若干長いものとなっている。
【0033】
なお、本実施形態では、ボルト20の頭部20bの上端面には、六角レンチ等の締め付け用工具を係合させる凹部20dが形成されている。また、ボルト20の材質は、磁性体材質の金属、例えば鉄鋼により構成されている。但し、ボルト20の材質は、非磁性体材質の金属であってもよい。
【0034】
次に、本実施形態の組部品1の取付構造付き磁石10(以下、単に磁石10ということがある)を被取付部に取付ける作業と、該被取付部から取外す作業とに関して説明する。
【0035】
ここで、図2を参照して、本実施形態で例示的に説明する被取付部Wは、金型の鋼材などの磁性体材質の金属部材である。そして、この被取付部Wには、磁石10を収容する凹部Waが形成されていると共に、その凹部Waの底面の中央部で開口する雌ねじ穴Wbが形成されている。雌ねじ穴Wbは、ボルト10を螺合させることができるねじ穴である。
【0036】
この被取付部Wへの磁石10の取付けは、次のようにして行なわれる。すなわち、まず、事前に、ボルト20の軸部20aを、磁石本体11の凹部11b側からカラー12にねじ込んで、ボルト20の軸部20aを先端部を、カラー12から若干突出させておく。なお、この場合、ボルト20の雄ねじ部20cの一部(頭部20b寄りの部分)は、カラー12の雌ねじ部12cに螺合させておく。
【0037】
この状態で、ボルト20の頭部20bを把持して、磁石10を被取付部Wの凹部Waに収容しつつ、ボルト20の先端部を被取付部Wの雌ねじ穴Wbの開口端に位置決めする。この場合、磁石10のカラー12の雌ねじ部12cにボルト20の雄ねじ部20cが螺合されているので、ボルト20に対する磁石10の動きが制限され、該磁石10を、被取付部Wの凹部Waの所要の位置に円滑に収容させることができる。
【0038】
次いで、ボルト20の頭部20bを適宜の工具によって回転駆動して、該ボルト20の軸部20aを被取付部Wの雌ねじ穴Wbにねじ込んでいく。このとき、そのねじ込みがある程度進行すると、ボルト20の雄ねじ部20cの全体がカラー20を貫通し、ボルト20の雄ねじ部20cとカラー12の雌ねじ部12cとの螺合状態が解除される(カラー12がボルト20に対して軸方向に移動自在となる)と共に、ボルト20の雄ねじ部20cが被取付部Wの雌ねじ穴Wbだけに螺合した状態となる。
【0039】
このため、ボルト20の軸部20aを、カラー12によってボルト20の動きが阻害されることなく、被取付部Wの雌ねじ穴Wbに円滑にねじ込んでいくことができる。そして、最終的に、ボルト20の頭部20bと、被取付部Wの凹部Wbの底部との間でカラー12が被取付部Wに押し付けられるようになるまで、ボルト20の軸部20aが被取付部Wの雌ねじ穴Wbにねじ込まれる。これにより、磁石10がボルト20を介して被取付部Wに締結されることとなる。
【0040】
このとき、ボルト20の雄ねじ部20cが被取付部Wの雌ねじ穴Wbだけに螺合しているので、磁石10のカラー12がボルト20の頭部20bと被取付部Wとの間で適正な力で保持されるように、被取付部Wへのボルト20の締め付けを行なうことができる。ひいては磁石10を所要の適切な締結力で被取付部Wに確実に締結することができ、被取付部Wに対する磁石10の締結状態のばらつきを抑制できる。
【0041】
また、ボルト20の頭部20bは、カラー12の筒状部12aの端部に当接し、磁石本体11には当接しないので、ボルト20の締め付けに起因する力が磁石本体11に作用することはない。このため、磁石本体11が割れるのを防止できる。
【0042】
このように、本実施形態の組部品1によれば、磁石本体11が割れるのを防止つつ、磁石10を被取付部Wに適切な締結状態で取り付けることを容易に行うことができる。
【0043】
また、ボルト20の頭部21bが磁石本体11の凹部11bの底面に接触しないので、凹部11bの側壁とボルト20の頭部21bの外周面との間のクリアランス、ひいては、凹部11bの内径を極力小さくすることができる。このため、磁石本体11の凹部11bを形成した端面の表面積を可能な限り大きくして、被取付部Wの表面に磁石10の磁力によって吸着させようとする磁性体部材に対して該磁石10から作用する吸着力を高めることができる。
【0044】
次に、被取付部Wからの磁石10の取外しは、次のようにして行なわれる。すなわち、まず、ボルト20の頭部20bを適宜の工具によって締め付け時と逆向きに回転駆動することで、被取付部Wに対するボルト20の締め付けを緩め、ボルト20の雄ねじ部20cを、被取付部Wの雌ねじ穴Wbから離脱させる。そして、ボルト20aの雄ねじ部20cをカラー12の雌ねじ部12cに螺合させると共に、ボルト20の頭部20bを磁石本体11の凹部11bから離脱させる。
【0045】
そして、この状態で、ボルト20の頭部20bを把持して引っ張ることで、該ボルト20と共に磁石10を被取付部Wから取外す。
【0046】
このとき、ボルト20の雄ねじ部20cがカラー12の雌ねじ部12cに螺合しているので、ボルト20の頭部20bに対する引っ張り力(カラー12のフランジ12b側の端部から凹部11b側の端部に向かう力)が、カラー12に作用する。さらに、この引張り力は、カラー12のフランジ12bから磁石本体11に作用する。
【0047】
このため、ボルト20の雄ねじ部20cとカラー12の雌ねじ部12cとの間に過大な力が作用しないようにしつつ、磁石10と被取付部Wとの間の磁力による吸着力に抗して、磁石10を被取付部Wから取外すことができる。従って、ボルト20の雄ねじ部20cやカラー12の雌ねじ部12cのねじ山を損傷させたりすることなく、磁石10を被取付部Wから容易に取外すことができる。
【0048】
なお、以上説明した実施形態では、被取付部Wが磁性体材質の金属部材である場合を例にとって説明したが、本実施形態の取付構造付き磁石10を取り付ける被取付部は、非磁性体材質の部材であってもよいことはもちろんである。
【0049】
また、前記実施形態では、本発明における係合部を、前記フランジ12bにより構成したものを示したが、該係合部は、フランジ12b以外の構造を採用することもできる。例えば、磁石本体11のボルト挿通孔11aの内周面に雌ねじ部を形成しておくと共にカラー12の筒状部12aの外周面に前記係合部としての雄ねじ部を形成しておくようにしてもよい。このようにした場合には、フランジ12bを省略してもよい。
【0050】
あるいは、例えば、カラー12の筒状部12aの凹部11bと反対側の端部に、前記フランジ部12bの代わりに、該筒状部12aの横方向に張り出すように複数の突起を形成し、それらの突起を本発明における係合部として備えるようにしてもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、ボルト挿通孔11aが磁石本体11の凹部11bよりも小径なものを示したが、ボルト挿通孔11aが凹部11bと同径の孔であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…組部品、10…取付構造付き磁石、11…磁石本体、11a…ボルト挿通孔、11b…凹部、12…カラー、12b…カラーのフランジ(係合部)、12c…カラーの雌ねじ部、20…ボルト、20a…ボルトの軸部、20b…ボルトの頭部、20c…ボルトの雄ねじ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトの軸部を挿通するためのボルト挿通孔と、前記ボルトの頭部を収容可能に該ボルト挿通孔の一端に設けられた凹部とが磁石本体に形成された取付構造付き磁石であって、
前記ボルト挿通孔に挿着されて前記磁石本体に固定され、前記ボルトを螺合させる雌ねじ部が内周面に形成された金属製のカラーを備えており、
該カラーの一端部は、前記凹部に収容されるボルトの頭部を当接させ得るように前記ボルト挿通孔から前記凹部に突出されており、
該カラーの他端部は、前記ボルト挿通孔から前記凹部の反対側に突出されており、
さらに該カラーは、該カラーの他端部側から一端部側に向かう力を該カラーに作用させた場合に、該力を前記磁石本体に伝達すべく該カラーに横方向に張り出すように形成された係合部を介して該磁石本体に係合されていることを特徴とする取付構造付き磁石。
【請求項2】
請求項1記載の取付構造付き磁石において、
前記係合部は、前記カラーの他端部に形成されて、前記ボルト挿通孔の他端側の開口端周縁で前記磁石本体の端面に当接されたフランジであることを特徴とする取付構造付き磁石。
【請求項3】
請求項1又は2記載の取付構造付き磁石の前記ボルト挿通孔に挿通するボルトであって、
該ボルトの軸部のうち、該ボルトの頭部を前記カラーの一端部に当接させた状態で該カラーの内部から突出する部分にのみ、雄ねじ部が形成されていることを特徴とするボルト。
【請求項4】
請求項1又は2記載の取付構造付き磁石と、前記ボルトとから構成されることを特徴とする組部品。
【請求項5】
請求項4記載の組部品において、
前記ボルトは、その軸部のうち、該ボルトの頭部を前記カラーの一端部に当接させた状態で該カラーの内部から突出する部分にのみ、雄ねじ部が形成されているボルトであることを特徴とする組部品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−104614(P2012−104614A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251334(P2010−251334)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(505191168)株式会社ミスミ (16)
【Fターム(参考)】