説明

取出装置付容器、及び該取出装置付容器を洗浄する方法

【課題】内容物を変更する場合にバルブなどの取出装置をきれいに洗浄することのできる取出装置付容器を提供する。
【解決手段】内部に内容物を貯留するための容器1と、容器から内容物を注出するために容器に注出管3を介して配設された取出装置5とを備える取出装置付容器は、取出装置を容器に対して着脱自在にするために、取出装置と容器との間の注出管に着脱装置20を配設している。着脱装置を利用して取出装置を容器から簡単に取り外しすることができるため、容器を洗浄する際に、取出装置を容器から外し、容器と取出装置とを別々に洗浄することができるようになり、特に、取出装置を洗浄液などに漬け置き洗いしたり、洗浄機に入れたりして、取出装置の内部に残留する「前の内容物」をきれいに洗い落とすことができ、コンタミを確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の内容物(液体)の注出するための取出装置を備える容器に関し、特に、容器内部の内容物の種類を交換した際の容器及び取出装置の洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体などの内容物を貯蔵や運搬するために、コンテナなどの容器が用いられてきた。図3及び図4を用いて、コンテナの代表的な構造を簡単に説明すると、容器1の下部に注出管3が配設されており、この注出管3に、容器1の内部に貯蔵された内容物を注出するためのバルブなどの取出装置5が取付けられている。ここで、取出装置5は、図3に示すように、容器1の下部に注出管3を介して直接溶接して固定されているものや、あるいは、図4に示すように、フランジ7を用いてボルト締めにて接続されているものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
今までは、コンテナなどの容器の内部に貯蔵する内容物の種類が少なかったりした関係で、内容物の種類毎に別の容器を使い分けてきたが、近年、内容物の種類が増加する一方、容器の個数にも限界があるので、一つの容器を、種類の異なる色々な内容物を貯蔵するために使用しなくてはならなくない場合が増えてきた。
【0004】
【特許文献1】特開2000−211691号公報(図20)
【特許文献2】特開2003−300586号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5に示すように、バルブの回転部9と固定部11との間の隙間13には、内容物15が溜まり(転写し)、特に、粘度の高い内容物の場合には、隙間13にこびりついてしまい、上述したように、バルブが容器1に固定されている場合には、バルブの内部をきれいに洗い流すのが難しく、洗浄するのに長時間を要することが知られており、容器を再使用する(次の液体を入れる)までに、かなりの時間を要してしまうという問題点があった。
【0006】
また、容器の洗浄確認方法は、洗浄後の水をpH紙で確認して行うが、粘度の高い内容物15がバルブの内部の隙間13にこびりついているような場合には、きれいに洗い流されていないのに、洗浄水のpHが中性となる場合がよくあった。これは、バルブの内部が完全に洗浄されておらず、内容物がバルブ内部に残留していることを意味している。従って、洗浄後に「次の内容物」を容器に入れた際に、バルブの内部に残留していた「前の内容物」が「次の内容物」に混入してしまい、所謂「コンタミ」が生じてしまうことも知られていた。このような、前に入っていた内容物が、今容器に入れた内容物と混ざってしまうコンタミが生じると、1)内容物(製品)の元の色が変わってしまう、2)内容物(製品)の性能を劣化させる、3)前の内容物と混ざり沈殿物が発生する、という問題が生じていた。
【0007】
今までは、少量のコンタミ・沈殿物は、問題視されて来なかったり、あるいは気が付かなかったりしていたのが現状である。しかしながら、数年前から品質規格であるISO9000が全世界の企業に導入されたため、製品(内容物)を受け入れる際の検査などが実施されるようになり、コンタミ・沈殿物が発見されるようになった。すなわち、従来においては、受け入れの検査は、現場である工場で、実施していないことが殆どであったが、ISO9000の導入で、検査を実施するようになったのである。
【0008】
従って、コンタミ・沈殿物が発見されるとクレームが付き、通常、1t〜10tぐらいの製品(内容物)が返品扱いとなるが、返品されたコンタミ品の使い道はなく、総て産業廃棄物として処理する必要があるため処分費用が掛かってしまい、返品自体と併せてかなりの経済的損失が生じてしまうという問題点があった。
【0009】
一方、コンタミに気が付かないまま、次の内容物を使用した場合には、使用した装置などに損傷を与える可能性もある。
【0010】
従って、本発明は、上述した従来の技術の問題を解決するためになされたもので、内容物を変更する場合にバルブなどの取出装置をきれいに洗浄することのできる取出装置付容器を提供することを主な目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明の一の局面によれば、内部に内容物を貯留するための容器と、該容器から前記内容物を注出するために該容器に注出管を介して配設された取出装置とを備える取出装置付容器は、前記取出装置を前記容器に対して着脱自在にするために、前記取出装置と前記容器との間の注出管に着脱装置を配設したことを特徴としている。
【0012】
前記着脱装置は、係合可能な雄雌一対の部材を備えており、該一対の部材の雄部材または雌部材が前記容器側の前記注出管の端部に取付けられ、該一対の部材の雌部材または雄部材が前記取出装置側の前記注出管の端部に取付けられており、さらに、一端部に、前記容器側の注出管の端部に取付けられた前記雄部材または雌部材と係合し得る、第2の雌部材または雄部材を備えると共に、第2の取出装置を備える第2の注出管を備え、前記雄部材及び雌部材の結合状態を解除することにより前記取出装置を前記容器から取り外した後に、前記第2の雌部材または雄部材を前記雄部材または雌部材に結合させることにより、前記第2の取出装置を備える前記第2の注出管を前記容器に取付けることができるようにするのが好ましい。
【0013】
また、本発明の別の局面によれば、取出装置付容器を洗浄する方法は、内部に貯留した内容物を注出するための取出装置が着脱装置を介して取付けられている容器を準備する段階と、該容器の内部に貯留した前記内容物を前記取出装置から注出した後、前記取出装置を前記容器から取り外す段階と、前記容器と前記着脱装置の容器側の部材とを洗浄する段階と、前記取出装置と前記着脱装置の取出装置側の部材とを洗浄する段階と、を備えることを特徴としている。
【0014】
前記容器と前記着脱装置の容器側の部材とを洗浄する段階の後に、前記内容物とは異なる別の内容物を注出するための第2の取出装置を、前記着脱装置を介して前記容器に取付ける段階を、さらに備えることも望ましい。
【発明の効果】
【0015】
着脱装置を利用して取出装置を容器から簡単に取り外しすることができるため、容器を洗浄する際に、取出装置を容器から外し、容器と取出装置とを別々に洗浄することができるようになり、特に、取出装置を洗浄液などに漬け置き洗いしたり、洗浄機に入れたりして、取出装置の内部に残留する「前の内容物」をきれいに洗い落とすことができ、コンタミを確実に防止することができる。
【0016】
また、通常、容器側の方が、取出装置側より早く洗浄することができるため、早く洗い終わった容器に、新しい、あるいは既に洗浄しておいた第2の(別の)取出し装置を、着脱装置を介して取付けることにより、容器の再使用までの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の好適な実施の形態を、添付図面を参照しながら説明するが、図中、同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示したもので、容器1と取出装置としてのバルブ5との間の注出管3に、着脱装置20を配設したところを示す概要図である。ここで、本願発明で言う「着脱装置」とは、フランジなどを付き合わせて複数個のボルト及びナット対で締付け固定して頻繁に取り外すことを予定していない固着方法とは異なり、係合可能な雄雌一対の部材からなり、必要時に簡単且つ迅速に着脱できると共に、着装時に液密性を確保できる部材をいう。
【0019】
注出管3に配設された着脱装置20は、雄雌一対の部材から構成されている。この実施形態では、雌部材22が容器1に連設された注出管3aの端部に取付けられ、雄部材24がバルブ5が配設された注出管3bの端部に取付けられている。雌部材22には、その内部に差し込んだ雄部材24が抜けないように保持し、また必要に応じてこれを解除できるロック手段26を備えている。ロック手段26は、カムアーム28を備えており、カムアーム28は、雌部材22の対向位置に張り出して設けた耳部30にピン32で回動自在に軸支してあって、基端側にピンに対して偏心したカム部29を備えている。雄部材24の差し込み部外周には、係合溝34を周設してあり、雄部材24の差し込み部を雌部材22に差し込み、カムアーム28を雌部材22に添う位置まで回動すると、カム部29が雄部材の係合溝34に入り込み、雄部材24が抜けないようにロックされるように構成されている。一方、カムアーム28を同図の二点鎖線で示すように、横向きの位置に回動させると、カム部29が係合溝34から外れ、ロックが解除される。
【0020】
次に、以上のような着脱装置20を備えた容器1を洗浄する方法を説明する。容器1の内部に貯留された内容物(液体)を注出し終えたら、着脱装置20のロックを解除して、容器1側の雌部材22から雄部材24を引き抜いて、バルブ5を容器1から取り外す。次に、容器1の内部、容器1側の注出管3aの内部、並びに、着脱装置20の雌部材22を洗浄する。また、容器1の洗浄とは別途に、バルブ5の内部、バルブ5側の注出管3bの内部、並びに、着脱装置20の雄部材24を洗浄する。この際に、バルブ5は、容器1とは別途に洗浄することができるため、例えば、バルブ5を洗浄液などに漬け置き洗いしたり、洗浄機に入れたりして、バルブ5の内部に残留する内容物をきれいに洗い落とすことができる。容器1を再使用する場合には、バルブ側の雄部材24を容器側の雌部材22に挿入してロックすることにより、きれいに洗浄されたバルブ5を容器1に取付けることができ、容器1の内部に別の内容物を貯留しても、前の内容物が今の内容物に混入することが無くなり、コンタミを確実に防止することができる。
【実施例2】
【0021】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。図2は、第2のバルブ5’を備えた着脱装置付の第2の注出管3b’を示している。この第2の注出管3b’は、差し替え用であり、バルブ5’とは反対側の端部に、着脱装置20の容器側の雌部材22に係合し得る雄部材24’が取付けられている。
【0022】
このような差し替え用の第2の注出管3b’を用いる方法を説明する。容器1の内部に貯留された内容物(液体)を注出し終えたら、着脱装置20のロックを解除して、容器1側の雌部材22から雄部材24を引き抜いて、バルブ5を容器1から取り外す。次に、容器1の内部、容器1側の注出管3aの内部、並びに、着脱装置20の雌部材22を洗浄する。また、容器1の洗浄とは別途に、バルブ5の内部、バルブ5側の注出管3bの内部、並びに、着脱装置20の雄部材24を洗浄する。この際に、コンタミを確実に防止するために、バルブ5は、洗浄液などに漬け置き洗いしたり、洗浄機に入れたりして洗浄するため、通常、容器側より長い洗浄時間を要する。従って、取り外したバルブ5の洗浄が終了するまで待機すると、容器が再使用できるまでの時間を浪費することになる。
【0023】
そこで、容器1の洗浄が終了した時点で、図2に示した差し替え用の注出管3b’を、その雄部材24’を容器側の雌部材22に差し込んでロックすることにより容器1に取付ければ、容器1の再使用までの時間を短縮することができる。この場合、差し替え用の第2の注出管3b’、雄部材24’、並びに、バルブ5’として、新品のものを準備するか、あるいは、予めきれいに洗浄が済んでいるものを準備すれば、容器の再使用に当たって、容器1の内部に別の内容物を貯留しても、前の内容物が今の内容物に混入することが無くなり、コンタミを確実に防止することができる。
【0024】
以上の実施の形態においては、着脱装置20の雌部材22を、容器側の注出管3aの端部に取り付け、雄部材24を、取出装置としてのバルブ側の注出管3bの端部に取り付けたが、本発明は、これに限定されるものではなく、雄部材と雌部材とを入れ替えて、雄部材を、容器側の注出管3aの端部に取り付け、雌部材を、取出装置としてのバルブ側の注出管3bの端部に取り付けることもできる。
【0025】
また、「容器」としては、内部に内容物(液体)を貯留できるものであればどのようなものでも良く、例えば、液体調合釜のような液体製造用容器、貯蔵タンクのような液体保管用容器、コンテナ・ローリーのような液体運搬用容器なども含まれるものであるが、これに限定されるものではない。「着脱装置」としては、係合可能な雄雌一対の部材を備えているものであればどのようなものでも良く、例えば、パッキン付継手、カプラ、ホース継手、ねじ込み継手、くいこみ継手、カムロック装置なども含まれるものであるが、これに限定されるものではない。「取出装置」としては、内部に画成された流路を開閉することにより内容物が通過し得るようなものであればどのようなものでも良く、例えば、ボールバルブ、バタフライバルブ、ストップバルブ、チョークバルブ、コック、カプラなども含まれるものであるが、これに限定されるものではない。
【0026】
従って、取出装置と差し替え用の第2の取出装置を同じものにすることも、あるいは、異なるものにすることもできる。異なるものにする場合には、容器に貯留される内容物に合わせて、取出装置を選択することができるのは言うまでもない。また、第2の実施形態においては、第2の取出装置を備えた差し替え用の注出管を1本準備したが、容器の内容物を頻繁に交換する場合など必要に応じて複数本準備することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る取出装置付容器の概略を示す一部破断側面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に第2の取出装置を備える係る差し替え用の注出管の概略を示す一部破断側面図である。
【図3】従来の取出装置付容器の全体的概略を示す側面図である。
【図4】従来の別の取出装置付容器の全体的概略を示す側面図である。
【図5】バルブの固定部及び回転部間の隙間に液体内容物が付着した状態を示す概要図である。
【符号の説明】
【0028】
1 容器
3,3a,3b 注出管
5 バルブ(取出装置)
20 着脱装置
22 雌部材
24 雄部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に内容物を貯留するための容器と、
該容器から前記内容物を注出するために該容器に注出管を介して配設された取出装置とを備える取出装置付容器において、
前記取出装置を前記容器に対して着脱自在にするために、前記取出装置と前記容器との間の注出管に着脱装置を配設したことを特徴とする取出装置付容器。
【請求項2】
前記着脱装置は、係合可能な雄雌一対の部材を備えており、該一対の部材の雄部材または雌部材が前記容器側の前記注出管の端部に取付けられ、
該一対の部材の雌部材または雄部材が前記取出装置側の前記注出管の端部に取付けられており、
さらに、一端部に、前記容器側の注出管の端部に取付けられた前記雄部材または雌部材と係合し得る、第2の雌部材または雄部材を備えると共に、第2の取出装置を備える第2の注出管を備え、
前記雄部材及び雌部材の結合状態を解除することにより前記取出装置を前記容器から取り外した後に、前記第2の雌部材または雄部材を前記雄部材または雌部材に結合させることにより、前記第2の取出装置を備える前記第2の注出管を前記容器に取付けることができる請求項1に記載の取出装置付容器。
【請求項3】
内部に貯留した内容物を注出するための取出装置が着脱装置を介して取付けられている容器を準備する段階と、
該容器の内部に貯留した前記内容物を前記取出装置から注出した後、前記取出装置を前記容器から取り外す段階と、
前記容器と前記着脱装置の容器側の部材とを洗浄する段階と、
前記取出装置と前記着脱装置の取出装置側の部材とを洗浄する段階と、を備える取出装置付容器を洗浄する方法。
【請求項4】
前記容器と前記着脱装置の容器側の部材とを洗浄する段階の後に、前記内容物とは異なる別の内容物を注出するための第2の取出装置を、前記着脱装置を介して前記容器に取付ける段階を、さらに備える請求項3に記載の取出装置付容器を洗浄する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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