説明

取外可能なリング状保護カバー付き食品用スライサー

回転可能な薄切りナイフを有する食品用スライサーは、薄切りナイフの外周刃先部分の周りに配置されたリング状保護具(38)を含む。取外可能なリング状保護カバー(50)は前記ナイフの外周刃先と前記リング状保護具との間の間隙内に配置された食品捕獲壁(52)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に大量の食品を薄切りするために用いられる食品用スライサーに関し、さらに詳しくは、取外可能なリング状保護カバーを含む食品用スライサーに関する。
【背景技術】
【0002】
円形薄切りナイフを有する食品用スライサーは、特にレストランや食料品業界で一般に用いられている。ナイフの刃先を保護するためナイフ刃先の周辺の一部にリング状保護具を配置することは一般に行われており、ナイフ保護機能を確かなものにするため、このリング状保護具をエンドユーザが取外すことが出来ないように取付けることが好ましい。食品は回転する薄切りナイフからリング状保護具に飛散する傾向がある。米国特許第5509337号は、清掃を容易にするため、ナイフの刃面からリング状保護具を取外すことの出来るスライサーを提供している。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5509337号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リング状保護具の清掃の必要性が少ない食品用スライサーを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、食品の薄切りに使用されるスライサーは、スライサー本体と、スライサー本体に回転可能に取付けられ外周刃先を有する円形薄切りナイフとを含む。また、この円形薄切りナイフの前後に食品を動かすためのキャリッジが取付けられている。円形薄切りナイフの外周刃先の周りの非切断域の少なくとも一部に沿ってリング状保護具が設けられており、リング状保護具と外周刃先との間には間隙が形成されている。リング状保護カバーは、円形薄切りナイフからリング状保護具へ向って飛散する食品を捕獲するように前記間隙内に配置された食品捕獲壁を含む。このリング状保護カバーは清掃のために取外すことができる。
【0006】
別の態様では、食品用スライサーのリング状保護具への食品の堆積を制限する方法が提供され、この食品用スライサーは外周刃先を有する回転可能な円形薄切りナイフを有し、リング状保護具がこの円形薄切りナイフの非切断域の少なくとも一部の周りに配置されている。前記方法は、外周刃先とリング状保護具との間に間隙を設け、この間隙に合う大きさの食品捕獲壁を、取外可能なスライサー部品に設け、このスライサー部品を、食品捕獲壁が前記間隙内に延びて外周刃先とリング状保護具との間に位置するように配置する各工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照すると、スライス機10は、筐体12(しばしばベースと称される)と、円形スライスナイフ14と、ゲージ板16と、食品保持用キャリッジ18とカバー板20とを含む。筐体はスライサー本体の一部と考えられ、鋳造部品などその他の部分を含む場合がある。円形スライスナイフ14は、モータその他の駆動装置(図示せず)によって軸22の回りを回転できるように筐体に取付けられている。ナイフ外周の刃先24は、ゲージ板16に隣接したナイフの切断域15において剥き出しになっている。(例えばこの切断域は図示した実施形態では略7時の方位から11時の方位に及ぶが、他の変形例も可能である。)ゲージ板は、薄切りの厚みを調整するためナイフの外周エッジ24によって定義される面に対し横方向に移動可能で、また外周エッジ24の切断域よりわずかに高く持ち上げられた「0」位置に配置することも可能である。食品キャリッジ18は、支持アーム28に取付けられたトレイ26を含み、このトレイは筐体に繋がる搬送台30に枢動可能に取付けることが出来る。搬送台30は筐体の内側から支持されており、適宜、薄切りナイフ14の前後で直線的な往復運動を行うように構成されているが、その変形例は当技術分野において公知である。キャリッジの移動は、手動または自動(例えば、駆動モータとベルトドライブ、または油圧その他の手段)によって実施することが出来る。食品が薄切り動作中のナイフの刃先を越えて移動すると、トレイ26上の食品はカバー板20の外向き面上を滑るが、この表面には滑りを良くするための隆起を設けてもよい。
【0008】
図示したカバー板20は、薄切りナイフ14の外周刃先24を、およそ1時の位置32から7時の位置34まで覆う。外周刃先24はカバー板20の下の陰線で示されている。薄切りナイフ14の12時の位置36においてカバー板の直径は小さくなり、ナイフの刃先を研ぐための空間または開口が設けられている。また、カバー板20はリング状保護具38(図1では内縁のみを陰線で示す)の上に延びている。このリング状保護具は、円形薄切りナイフの非切断域の少なくとも一部に沿って、外周刃先の回りに設けられており、図示するようにリング状保護具と外周刃先との間には隙間がある。このリング状保護具は筐体12に静止するように固定しても、また、米国特許第5509337号に開示されるように、清掃のため多少動かせるように取付けてもよい。何れの場合も、このリング状保護具はスライスナイフ14の刃先24を保護するように配置される。図示した実施形態におけるリング状保護具38は、薄切りナイフ36の12時領域までは延びていないが、このような領域には、(図1中の破線で囲まれた)研ぎ器42による刃研ぎが出来るようにする可動式ナイフ保護部材40が設けられている。例えば、ナイフ保護部材40は刃研ぎ中に軸100の回りを枢動してもよい。図示したように、ナイフ保護部材40とナイフの外周エッジ24との間には隙間が設けられている。
【0009】
ナイフ14からリング状保護具38および/またはナイフ保護部材40上への食品の飛散を制限するため、取外可能なリング状保護カバー(図1に示さず)が設けられている。図2は、リング状保護具38、ナイフ保護部材40およびリング状保護カバー50を具体的に示した分解斜視図であり、リング状保護カバー50がリング状保護具38から離れた状態で示されている。リング状保護カバー50は、ナイフの外周刃先24とリング状保護具との間に入る大きさの食品捕獲壁52を含む。図示した実施形態では、壁52が円周に延びて直円筒の部分を形成しているが、他の変形例(例えば、複雑な曲線および/または1つ以上の平坦部を有する壁など)も可能である。
【0010】
図示したリング状保護具38は略矩形の断面を有し、好ましくはスライサーのエンドユーザが取外すことが出来ないような方法でリング状保護具38をスライサーの筐体に取付けるための、外側に延びる取付支柱54と下方に延びる取付支柱56とを有している。さらにリング状保護カバーは半径方向内面58を含み、この内面は、図示した実施形態では円周方向に延びて直円筒の一部を形成するが、他の変形例(例えば、複雑な曲面および/または1つ以上の平坦部を有する表面など)も可能である。またリング状保護カバー50の壁52が刃先とリング状保護具38との間の間隙内に配置された際、リング状保護カバー50の動きを制限するように、図示したリング状保護具38にはテーパーピン60、62が含まれている。特に図示したリング状保護カバー38は壁52と結合する壁64を含み、この壁64が、ピン60、62が延びる起面となるリング状保護具の面66と重層するように構成されている。壁64には、ピン60、62が貫通するように合わされた取付開口部68、70が含まれる。リング状保護カバー50の外壁72は、リング状保護具38の外表面74と重層するように構成されている。外壁72には、支柱54を内部に配置するように調整されたスロット開口部76が含まれる。開口部68、70、76を、ピン60、62ならびに支柱54と組み合わせることで、リング状保護具38に対するリング状保護カバー50の顕著な動きが抑制され、同時に、リング状保護カバー50をリング状保護具38から取外すことが出来るようになる。この取外可能なカバー板を固定するため、リング状保護具38上にはテーパピン63が追加されているが、その詳細は以下に説明する通りである。
【0011】
特に図示した実施形態では、リング状保護カバー50の内壁52が、端部78、すなわちナイフと可動式ナイフ保護部材40との間の間隙部に配置されるのに十分な位置、まで延びている。リング状保護カバー50の壁64は壁52に伴って延びる。外壁72はリング状保護カバー50の端部78までは延びず、ナイフ保護部材40や研ぎ器42との干渉を防ぐようになっている。(図1参照)このようにリング状保護カバー50は、その長さの大半(例えば、およそ端部80から位置82まで)において略U字型の断面を有し、また位置82から端部78までの間で略L字型の断面を有する。しかしながら、リング状保護カバー50の断面には様々な変形例があることを認識すべきである。
【0012】
図3は、図1の線3−3に沿った部分断面図で、カバー板20と、リング状保護カバー50と、リング状保護具38と、ナイフ14の外側部分とが示されている。ここに示すように、壁52はナイフ14の外周エッジ24とリング状保護具38との間に配置されている。したがって薄切り操作の間に食品がナイフから半径方向外側に向って飛散すると、このような食品はリング状保護具38よりもむしろ壁52上に集まる。リング状保護カバー50は取り外しが可能なため、壁52は、取外すことの出来ないリング状保護具38よりも簡単に清掃することができる。この壁52は食品捕獲機能を有するが、食品の全てがリング状保護具に達しないように構成する必要はない。例えば、この壁がナイフエッジとリング状保護具との間の間隙の全域を覆わないように構成してもよい。図示したようにカバー板20の外縁部はリング状保護カバー50と重なり、これを固定する。このようにカバー板20は、リング状保護具38のテーパーピンと軸を合わせた開口を含んでもよい。再度図1の参照において、カバー板20は、また、カバー板を固定する相互作動ロッキング装置80を含んでもよい。このような装置は、例えば、米国特許第5509337号の図4に示されたものと類似のものでもよい。いずれにせよ、リング状保護カバー50を取り外して清掃するためには、カバー板20をまず取り外し、リング状保護カバー50をリング状保護具38から引き離して簡単に拭き取るか、清掃のため流しや食器洗浄機へ持ち運ぶようにする。壁52もまた、図3に示すようにナイフ保護部材40(図1)とナイフ14との間隙内までリング状保護具38に相対して延びるが、この際には外壁74を伴わない。
【0013】
1つの実施形態において、リング状保護具38とナイフの外周エッジ24との間の間隙は、約2.54mm〜4.445mm(0.100inch〜0.175inch)の厚みを有し、リング状保護カバーの食品捕獲壁52は約0.762mm〜2.03mm(0.030inch〜0.080inch)の厚みを有するが、他の変形例も可能である。リング状保護具38は典型的にはアルミニウムなどの金属で形成され、一方、リング状保護カバー50は典型的にはプラスチックで形成される。しかしながら材料の変更もまた可能である。
【0014】
図4の部分断面図に示す代替的実施形態は、リング状保護具38′およびリング状保護カバー50′の配置および形状の変形例を表している。特にリング状保護具38′は矩形断面を有さず、代わりに内側に延びるリップ90がナイフの刃先面からわずかに離れた面にあり、ナイフ14の外周エッジからリング状保護具までの半径方向の空間または間隙と、半径方向外側に向って傾斜した表面部分92を画定している。食品捕獲壁52′が、リング状保護具38′とナイフ14の外周エッジ24との間の間隙内に示されている。他の多くの変形例が可能である。
【0015】
図5には、カバー板に組み合わされたリング状保護カバーを設ける実施形態が示されている。特にカバー板120は、これに統合され、カバー板120の後または内側から、ナイフ14の外周エッジ24とリング状保護具38との間の間隙内に延びる食品捕獲壁122を含む。
【0016】
上の記述は説明と例示だけのためのものであり、限定を意図するものではなく、他の変形や改良が可能であることを明確に理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】食品用スライサーの側面図である。
【図2】リング状保護具およびリング状保護カバーを示す部品斜視図である。
【図3】図1の線3−3に沿った部分断面図である。
【図4】1つの代替的実施形態の部分断面図である。
【図5】別の代替的実施形態の部分断面図である。
【符号の説明】
【0018】
10 スライス機
12 筐体
14 円形スライスナイフ
16 ゲージ板
18 食品保持用キャリッジ
20 カバー板
22 回転軸
24 刃先
26 トレイ
28 支持アーム
38 リング状保護具
40 可動式ナイフ保護部材
42 研ぎ器
50 リング状保護カバー
52 食品捕獲壁
54 取付支柱
56 取付支柱
60 ピン
62 ピン
68 開口部
70 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の薄切りに使用されるスライサーであって、
スライサー本体と、
前記スライサー本体に対して回転するように取付けられ、外周刃先を有する円形薄切りナイフと、
食品を前記円形薄切りナイフの前後に動かすためのキャリッジと、
前記円形薄切りナイフの非切断域の少なくとも一部に沿った前記外周刃先の周りに設けられたリング状保護具と、
リング状保護具と前記外周刃先との間の間隙と、
前記円形薄切りナイフから前記リング状保護具へ向って飛散する食品を捕獲ように前記間隙内に配置された食品捕獲壁を含むリング状保護カバーとを備え、
前記リング状保護カバーが清掃のため取外可能としたスライサー。
【請求項2】
前記リング状保護具が、前記外周刃先によって画定される面から離れ、前記面と実質的に同一面上にある表面部分を含み、前記リング状保護カバーが前記表面部分上との重層部分を含む請求項1に記載のスライサー。
【請求項3】
前記重層部分が、その中に複数の開口部を含み、前記表面部分から延びるピンが前記開口部を通過してリング状保護カバーの動きを制限するようにした請求項2に記載のスライサー。
【請求項4】
前記リング状保護カバーが、その中に複数の開口部を含み、前記リング状保護具から延びる突起部が前記開口部を通過してリング状保護カバーの動きを制限するようにした請求項1に記載のスライサー。
【請求項5】
前記開口部の少なくとも1つがスロット型開口部である請求項4に記載のスライサー。
【請求項6】
前記非切断域の上部にこれに沿って配置されたナイフ研ぎ器があり、前記食品捕獲壁が、前記ナイフ研ぎ器と前記外周刃先との間に位置する上部を含む請求項1に記載のスライサー。
【請求項7】
可動式ナイフ保護部材が前記ナイフ研ぎ器近傍の前記ナイフ外周刃先に隣接するように配置されており、前記食品捕獲壁の前記上部が前記ナイフ保護部材と前記外周刃先との間に配置されている請求項6に記載のスライサー。
【請求項8】
前記リング状保護具が矩形断面を有し、前記リング状保護カバーが前記リング状保護具と合わさる領域においてU字型の断面を有し、前記リング状保護カバーが前記ナイフ研ぎ器と合わさる領域においてL字型の断面を有する請求項6に記載のスライサー。
【請求項9】
前記リング状保護具が、前記外周刃先と合わさり、外周に延びて部分的な直円筒を形成する表面を含み、前記食品捕獲壁が円周方向に延びて部分的な直円筒を形成する請求項1に記載のスライサー。
【請求項10】
前記間隙が約2.54mm〜4.445mm(0.100inch〜0.175inch)の厚みを有し、前記食品捕獲壁が約0.762mm〜2.03mm(0.030inch〜0.080inch)の厚みを有する請求項2に記載のスライサー。
【請求項11】
前記リング状保護カバーが、前記ナイフの外側を向く表面部分の上に配置されたカバー板に統合されており、前記食品捕獲壁が前記カバー板の内側から前記間隙内へ延び、前記カバー板の外側に食品の滑り面が含まれる請求項1に記載のスライサー。
【請求項12】
カバー板が前記リング状保護カバーの少なくとも一部の上に位置し、前記カバー板の外側が食品の滑り面を含み、前記カバー板が前記リング状保護カバーの固定を助け、かつ、取外可能である請求項1に記載のスライサー。
【請求項13】
食品用スライサーのリング状保護具への食品の堆積を制限する方法であって、前記食品用スライサーは外周刃先の付いた回転可能な円形薄切りナイフを有し、前記リング状保護具がこの円形薄切りナイフの非切断域の少なくとも一部の周りに配置されており、
前記方法が、
前記外周刃先と前記リング状保護具との間に間隙を設ける工程と、
前記間隙内に入る大きさの食品捕獲壁を取外可能なスライサー部品に設け、
前記食品捕獲壁が前記間隙内に延びて前記外周刃先と前記リング状保護具との間に配置されるように前記取外可能なスライサー部品を配置する工程とを含む方法。
【請求項14】
前記取外可能なスライサー部品が前記リング状保護具に隣接するリング状保護カバーであり、
前記方法が、前記リング状保護カバー上にカバー板を配置することを含み、前記カバー板の外側が食品滑り面を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記取外可能なスライサー部品が前記薄切りナイフの外向き面上に配置されたカバー板で、前記食品捕獲壁が前記カバー板の内側から延び、前記カバー板の外側が食品滑り面を含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
リング状保護具が矩形断面を有し、前記取外可能なスライサー部品が、前記リング状保護具の3側面を覆うU字型断面をもった部分を含むリング状保護カバーである請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−519840(P2009−519840A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547241(P2008−547241)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/044969
【国際公開番号】WO2007/075239
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(503158936)プレマーク エフイージー リミティド ライアビリティー カンパニー (11)
【Fターム(参考)】