説明

取引処理装置及び取引処理方法

【課題】所定の取引処理に関する情報を正しい位置に印字する。
【解決手段】取引処理装置は、前記取引処理装置に挿入された印字対象媒体の磁気ストライプ情報を読み取る磁気ストライプ読取部と、前記印字対象媒体の所定のページを光学的に読み取る光学読取部と、前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する印字開始位置決定部と、を備え、前記印字開始位置決定部は、前記磁気ストライプ読取部により読み取られた前記磁気ストライプ情報に含まれる前記印字対象媒体の第1の印字行情報と前記光学読取部により読み取られた前記印字対象媒体の第2の印字行情報との比較結果に基づいて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引処理装置及び取引処理方法に関し、利用者の操作入力に応じて所定の取引処理を行う取引処理装置及び取引処理方法に適用して好適なるものである。
【背景技術】
【0002】
利用者により挿入された通帳を読み取って取引処理を行う取引処理装置として、銀行等の金融機関に設置された自動取引装置(ATM:Automated Teller Machine)が挙げられる。
【0003】
自動取引装置は、利用者が銀行等の金融機関の窓口で人手を介して手続きを行わなくとも、利用者自らが操作して、利用者の口座からの現金の引き出しまたは預け入れ、他の口座への振り込みや振り替え等の各種取引を行うことを可能としている。自動取引装置を利用することにより、金融機関側としては窓口業務の合理化を図ることができ、利用者側としては手続きの簡略化や待ち時間の短縮化を図ることができる。このため、今日では、自動取引装置がほとんどの金融機関の店頭に設置され、広く一般に普及している。
【0004】
自動取引装置において、顧客が通帳を使用して各種取引を行う場合、通帳の磁気ストライプに記録された情報と通帳を光学的に読み取った情報とを比較して、通帳のどの位置に取引結果を印字するかが決定される。従来、通帳の磁気ストライプに記録された情報と通帳を光学的に読み取った情報とを比較した結果、一致した場合に取引結果を該当箇所に印字し、不一致の場合に取引を不可とする方法が用いられている。
【0005】
しかし、通帳の磁気ストライプに記録された情報か、通帳を光学的に読み取った情報のいずれかが誤っていた場合には、取引結果を印字する位置を決定することができないため取引が中断されてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1には、通帳の磁気ストライプに記録された印字行数と、通帳を光学的に読み取った印字行数のうち、より大きい行数から印字する技術が開示されている。特許文献1によれば、通帳の磁気ストライプに記録された印字行数と、通帳を光学的に読み取った印字行数とが不一致の場合に取引を中断させることなく、より大きい行数から印字して取引を続行することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−140818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1では、通帳の裏写りや汚れなどにより実際に印字された行数より光学的に読み取った行数が大きくなった場合でも、光学的に読み取られた印字行数が採用されてしまうため、正しい行から印字することができず、通帳に無駄な空欄の行ができてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、所定の取引処理に関する情報を正しい位置に印字することが可能な取引処理装置及び取引処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために本発明においては、利用者の操作入力に応じて所定の取引処理を実行する取引処理装置であって、前記取引処理装置に挿入された印字対象媒体の磁気ストライプ情報を読み取る磁気ストライプ読取部と、前記印字対象媒体の所定のページを光学的に読み取る光学読取部と、前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する印字開始位置決定部と、を備え、前記印字開始位置決定部は、前記磁気ストライプ読取部により読み取られた前記磁気ストライプ情報に含まれる前記印字対象媒体の第1の印字行情報と前記光学読取部により読み取られた前記印字対象媒体の第2の印字行情報との比較結果に基づいて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定することを特徴とする、取引処理装置が提供される。
【0011】
かかる構成によれば、磁気ストライプ読取部により読み取られた磁気ストライプ情報に含まれる印字対象媒体の第1の印字行情報を取得し、光学読取部により読み取られた印字対象媒体の第2の印字行情報を取得し、第1の印字行情報と第2の印字行情報との比較結果に基づいて印字対象媒体への印字開始位置を決定する。これにより、磁気ストライプの印字行情報と光学的に読み取った印字行情報とを比較して、次の通帳印字開始位置を正しく設定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の取引処理に関する情報を正しい位置に印字して、顧客の利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の本実施の形態に係る自動取引システムを示すブロック図である。
【図2】同実施形態にかかる自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態にかかる通帳機構部の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態にかかる磁気ストライプに記録される情報を示す概念図である。
【図5】同実施形態にかかる通帳の印字行を説明する概念図である。
【図6】同実施形態にかかる自動取引装置の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図7】同実施形態にかかる自動取引装置の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図8】同実施形態にかかる自動取引装置の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図9】同実施形態にかかる自動取引装置の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態にかかる印字行情報を説明する説明図である。
【図11】同実施形態にかかる通帳の画像を含む表示画面を示す概念図である。
【図12】同実施形態にかかる通帳の画像を含む表示画面を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本実施の形態の目的
まず、本実施の形態の目的について説明する。利用者(以下、利用者を顧客と称して説明する場合もある。)により挿入された通帳を読み取って取引処理を行う取引処理装置として、銀行等の金融機関に設置された自動取引装置(ATM:Automated Teller Machine)が挙げられる。
【0015】
自動取引装置は、利用者が銀行等の金融機関の窓口で人手を介して手続きを行わなくとも、利用者自らが操作して、利用者の口座からの現金の引き出しまたは預け入れ、他の口座への振り込みや振り替え等の各種取引を行うことを可能としている。自動取引装置を利用することにより、金融機関側としては窓口業務の合理化を図ることができ、利用者側としては手続きの簡略化や待ち時間の短縮化を図ることができる。このため、今日では、自動取引装置がほとんどの金融機関の店頭に設置され、広く一般に普及している。
【0016】
自動取引装置において、顧客が通帳を使用して各種取引を行う場合、通帳の磁気ストライプに記録された情報と通帳を光学的に読み取った情報とを比較して、通帳のどの位置に取引結果を印字するかが決定される。一般的に、通帳の磁気ストライプに記録された情報と通帳を光学的に読み取った情報とを比較した結果、一致した場合に取引結果を該当箇所に印字し、不一致の場合に取引を不可とする方法が用いられている。
【0017】
しかし、通帳の磁気ストライプに記録された情報か、通帳を光学的に読み取った情報のいずれかが誤っていた場合には、取引結果を印字する位置を決定することができないため、取引が中断されてしまうという問題があった。例えば、通帳に既に印字された文字が薄い場合には、実際に印字された行数より光学的に読み取った行数が小さくなってしまう場合がある。また、通帳に既に印字された文字が濃い場合には、前のページの印字結果が裏写りして、実際に印字された行数より光学的に読み取った行数が大きくなってしまう場合もある。また、既に印字された文字の濃淡の影響だけでなく、通帳に汚れがあった場合にも、通帳の汚れを印字行と判断してしまい、実際に印字された行数と光学的に読み取った行数が異なってしまうこととなる。このため、通帳の磁気ストライプの情報が正しく、人手を介せば通帳の次の印字位置を容易に決定することができる場合であっても、従来の自動取引装置では、通帳の次の印字位置を決定することができず取引が中断されてしまっていた。
【0018】
そこで、通帳の磁気ストライプに記録された印字行数と、通帳を光学的に読み取った印字行数のうち、より大きい行数から印字する技術が開示されている。当該技術によれば、通帳の磁気ストライプに記録された印字行数と、通帳を光学的に読み取った印字行数とが不一致の場合に取引を中断させることなく、より大きい行数から印字して取引を続行することが可能となる。例えば、何らかの理由で通帳の磁気ストライプの情報が誤っていた場合や、通帳に印字された文字が薄く、実際に印字された行数より光学的に読み取った行数が小さい場合でも、通帳の磁気ストライプに記録された印字行数と光学的に読み取った印字行数のうち大きい方を採用して、取引処理を実行させることが可能となる。
【0019】
しかし、当該技術では、通帳の裏写りや汚れなどにより実際に印字された行数より光学的に読み取った行数が大きくなった場合でも、光学的に読み取られた印字行数が採用されてしまうため、正しい行から印字することができなくなってしまう。この場合、通帳に印字をせずに取引を中断するか、通帳に無駄な空欄の行が生じてしまうことを承知で印字処理を実行しなければならないという問題があった。
【0020】
そこで、本発明は、上記のような事情を一着眼点として、本発明の実施形態にかかる取引処理装置が創作されるに至った。本実施の形態にかかる取引処理装置1によれば、所定の取引処理に関する情報を正しい位置に印字することが可能となる。以下では、取引処理装置に自動取引装置(ATM)を適用して説明する。
【0021】
(2)自動取引システムの構成
次に、自動取引システムの概要について説明する。図1に示すように、自動取引システムは、自動取引装置1、ホスト計算機10及び通信網20を備えている。自動取引装置1とホスト計算機10とは、通信網20を介して接続されている。図1では、ホスト計算機10に1つの自動取引装置1が接続されているが、かかる例に限定されず、ホスト計算機10に複数の自動取引装置1が接続されていてもよい。また、通信網20は、自動取引装置1およびホスト計算機10を通信可能に接続する通信回線網である。通信網20は、例えばインターネット、電話回線網、衛星通信網等の公衆回線網や、WAN、LAN、IP−VPN等の専用回線網などで構成されており、有線、無線を問わない。
【0022】
自動取引装置1は、利用者の要求する種々の取引を自動的に実行する装置であって、例えば、顧客操作部3、カード/明細票機構部4、通帳機構部5、紙幣入出金機構部6及び硬貨入出金機構部7などを備える。
【0023】
ホスト計算機10は、通信網20を介して、自動取引装置1との間で取引情報等の各種情報を送受信する情報処理装置である。また、ホスト計算機10は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ等の情報処理資源を備え、メインフレーム系のホスト計算機、パーソナルコンピュータや、ワークステーションなどを例示できる。CPUは、演算処理装置として機能し、メモリに記憶されているプログラムや演算パラメータ等にしたがって、ホスト計算機10の動作を制御する。また、ホスト計算機10は、キーボード、スイッチやポインティングデバイス、マイクロフォン等の情報入力装置と、モニタディスプレイやスピーカ等の情報出力装置とを備えている。
【0024】
(3)自動取引装置の構成
また、図2に示すように、自動取引装置1は、上記した顧客操作部3、カード/明細票機構部4、通帳機構部5、紙幣入出金機構部6及び硬貨入出金機構部7に加えて、制御部2、回線接続部8および音声案内ガイダンス部9を備える。
【0025】
制御部2は、CPUやメモリ等のハードウェア構成と、プログラムやデータ等のソフトウェア構成とを含む。制御部2のCPUは、メモリに格納されている各種プログラムに従って自動取引装置1の各種取引処理全般を制御する。また、制御部2は、後述する印字開始位置を決定する印字開始位置決定部としての機能も有する。
【0026】
顧客操作部3は、表示画面及びキー入力を備え、利用者が取引を行う際に、取引操作の誘導画面を表示画面に表示したり、利用者によるキー入力を検知したりする。例えば、利用者により暗証番号のキー入力や各種取引処理における処理ボタンの押下などを受け付ける。また、顧客操作部3は、入力機能を備えた表示部(入力表示部ともいう)であるタッチパネルなどにより構成されてもよく、取引処理に関する種々の情報を表示画面に表示し、当該表示画面に含まれる複数の項目への押下処理を検知する。
【0027】
カード/明細票機構部4は、利用者のカードの挿入又は利用者へのカードの排出動作や、カードの磁気ストライプまたはICチップへのリード/ライト動作や、カードエンボス部分のイメージの読み取り機能などを有する。また、取引した内容が印字された明細票を装置内から排出する機能を有する。
【0028】
通帳機構部5は、通帳を受け付けたり、搬送したり、印字したりする機能を有する。通帳機構部5については、後で詳細に説明する。
【0029】
紙幣入出金機構部6は、紙幣の入金や出金機能、紙幣の鑑別や搬送及び収納機能などを有する。硬貨入出金機構部7は、硬貨の入金や出金機能、硬貨の鑑別や搬送及び収納機能などを有する。
【0030】
回線接続部8は、ホスト計算機10と接続して、各種情報を送受信する機能を有する。音声案内ガイダンス部9は、取引に関する情報を、音声を用いて利用者に通知する機能を有する。
【0031】
図3に示すように、通帳機構部5は、通帳挿入口302、搬送路303、磁気ストライプ処理部304、光学読取部305及び通帳印字部306などを備える。
【0032】
通帳挿入口302は、利用者により通帳が挿入された通帳301を受け付ける機能を有する。搬送路303は、通帳挿入口302により受け付けられた通帳各処理部に搬送する機能を有する。磁気ストライプ処理部304は、通帳の磁気ストライプの読み取り/書き込みを行う機能を有する。磁気ストライプには、利用者の口座情報等が記録されている。例えば、図4に示すように、磁気ストライプには、磁気ストライプの開始位置を示す開始符号、次の印字行を示す行数、利用者の口座情報を示す金融機関情報、店舗情報、科目、口座番号及び通帳残高、磁気ストライプの終了位置を示す終了符号などが記録されている。
【0033】
例えば、図5に示すような通帳301の場合、24行の印字行3011があり、各行に磁気ストライプに記録されている行数の情報(以下、当該行数の情報をMS行数と称する場合もある)3012が対応している。MS行数には、次に印字する行数、または、印字済み行数の情報が記録される。どちらの行数が記録されるかは、通帳の種類により予め決められている。例えば、3行目まで印字されている場合には、MS行数には次に印字する4行目を示す「4」、または、印字済み行数の「3」が格納される。
【0034】
光学読取部305は、通帳のバーコードや印字済み行を光学的に読み取る機能を有する。通帳印字部306は、通帳の所定の位置に取引に関する情報を印字する機能を有する。
【0035】
ここで、自動取引装置1により印字される通帳の印字行について説明する。例えば、図5に示す通帳301の3行目まで印字されている場合には、光学読取部305により通帳301が光学的に読み取られて、3行目まで印字されていることが把握される。光学読取部305により把握される印字行は、通帳301の印字の濃淡によって、実際に印字された行数とは異なる場合がある。例えば、印字が薄い場合には、印字の薄い部分を光学読取部305により読み取ることができず、実際に印字された行数より小さい行数となってしまう。また、印字が濃い場合には、印字が裏写りして、実際に印字された行数より大きい行数となってしまう。また、通帳301に取引に関する印字以外に汚れがある場合には、通帳の汚れを印字行と判断して、実際に印字された行数より大きい行数となってしまう場合もある。
【0036】
(3)自動取引装置の動作の詳細
次に、自動取引装置1の動作の詳細について説明する。図6では、銀行等の金融機関に設定されているATMを自動取引装置1に適用して説明する。以下では、自動取引装置1において、通帳のみを利用して取引が行われる場合を例示して説明するが、かかる例に限定されず、通帳とカードを併用して利用する場合にも本実施の形態を適用することができる。
【0037】
図6に、利用者が取引を開始してから取引を終了するまでの自動取引装置1の動作の詳細を示す。上記したように、自動取引装置1の制御部2(以下、単に制御部2として説明する。)によって各種取引処理の実行が制御される。すなわち、自動取引装置1の各部の動作を制御部2が制御している。
【0038】
自動取引装置1の顧客操作部3には、「お引出し」「お預入れ」「残高照会」「通帳記入」「お振込」「お振替」など、利用者が取引を開始するための取引ボタンが表示されている。利用者は、顧客操作部3に表示されているこれらの取引ボタンから、所望する取引を選択して、当該取引に対応する取引ボタンを押下して取引を開始する。
【0039】
取引が開始された後、制御部2は、通帳機構部5に通帳が挿入されたかを判定する(S401)。例えば、上記した取引ボタンから「通帳記入」など、通帳を使用する取引が選択された場合に、制御部2は、顧客操作部3に通帳の挿入を促す画面を表示させて、利用者により通帳機構部5に通帳が挿入されるのを待つ。
【0040】
そして、ステップS401において、通帳が通帳機構部5に挿入されたと判定された場合には、制御部2は、ステップS402以降の処理を実行する。一方、ステップS401において、通帳が通帳機構部5に挿入されていないと判定された場合には、ステップS401の処理を繰り返す。
【0041】
ステップS402において、制御部2は、通帳機構部5に挿入された通帳の磁気ストライプ(図中MS(Magnetic Stripe)と表記)を読み取る(S402)。具体的に、制御部2は、通帳の磁気ストライプを読み取り、図4に示す磁気ストライプに記録されている行数や金融機関情報などを取得する。そして、制御部2は、通帳機構部5に挿入された通帳のページを光学的に読み取る(S403)。具体的に、制御部2は、図5に示す通帳のページの24行の印字行に印字されている文字等を光学的に読み取る。
【0042】
次に、制御部2は、磁気ストライプの印字行情報及び光学的に読み取った印字行情報があるかを判定する(S404)。例えば、磁気ストライプの印字行情報がない場合とは、通帳の磁気ストライプの読み取りが正常に実施されず、磁気ストライプの印字行情報が取得できない場合や、もともと印字行数を磁気ストライプに記録しないタイプの通帳である場合が考えられる。また、光学的な読み取りによる印字行情報がない場合とは、通帳の印字が薄いために光学的な読み取りが正常に実施されず、光学的な読み取りによる印字行情報が取得できない場合が考えられる。
【0043】
ステップS404において、磁気ストライプの印字行情報及び光学的に読み取った印字行情報があると判定された場合には、ステップS405の処理を実行する。
【0044】
一方、ステップS404において、磁気ストライプの印字行情報または光学的に読み取った印字行情報のいずれかがないと判定された場合には、ステップS417の処理を実行する。すなわち、ステップS404において、磁気ストライプの印字行情報がない場合には、光学的に読み取った印字行情報を印字行として次の印字開始位置を決定する。また、ステップS404において、光学的に読み取った印字行情報がない場合には、磁気ストライプの印字行情報を印字行として、次の印字開始位置を決定する。印字開始位置が決定された後、決定した印字開始位置から通帳を印字して(S417)、通帳を利用者に返却して(S418)、処理を終了する。
【0045】
ステップS405において、磁気ストライプの印字行情報と光学的に読み取った印字行情報とが一致するか否かを判定する(S405)。ステップS405において、磁気ストライプの印字行情報と光学的に読み取った印字行情報とが一致すると判定された場合には、光学的に読み取った印字済みの行数(または磁気ストライプの印字行情報)から、次の印字開始位置を決定する。印字開始位置が決定された後、決定した印字開始位置から通帳を印字して(S417)、通帳を利用者に返却して(S418)、処理を終了する。
【0046】
ステップS405において、磁気ストライプの印字行情報と光学的に読み取った印字行情報とが一致していないと判定された場合には、印字開始位置を顧客に選択させるかを判定する(S406)。ステップS406における判定は、顧客に選択させるか否かを予め設定して、該設定に基づいて判定してもよい。また、顧客に、顧客自ら選択するか、自動取引装置1に決定させるかを選択させてもよい。
【0047】
ステップS406において、印字開始位置を顧客に選択させると判定された場合には、ステップS411以降の処理を実行する。一方、ステップS406において、印字開始位置を顧客に選択させずに、自動取引装置1側で決定すると判定された場合には、磁気ストライプの印字行情報が、光学的に読み取った印字行情報より小さいかを判定する(S407)。
【0048】
ステップS407において、磁気ストライプの印字行情報が、光学的に読み取った印字行情報より小さいと判定された場合には、磁気ストライプに記録された印字行情報と光学的に読み取った印字行情報との間に空行があるかを判定する(S408)。ここで、空行すなわち印字されていない空白行があるかは、通帳のページの各印字行の2値化情報(白黒情報)基づいて判定することができる。例えば、通帳のページの各印字行について、印字されている行は「黒」と判定され、印字されていない行は「白」と判定される。したがって、磁気ストライプに記録された印字行情報と光学的に読み取った印字行情報との間の行がすべて「黒」である場合には、空白行がないと判定することができる。一方、磁気ストライプに記録された印字行情報と光学的に読み取った印字行情報との間に「白」が1行以上含まれている場合には、空白行があると判定することができる。なお、通帳のページの各印字行の2値化情報は、例えば、該ページの左半分の印字行情報から取得してもよい。通常、通帳のページの左側から取引処理が印字されるため、左半分の印字行情報を取得すれば、印字行に取引処理を印字されているかを判断することができる。
【0049】
磁気ストライプの印字行情報が光学的に読み取った印字行情報より小さく、かつ、磁気ストライプに印字された印字行情報と光学的に読み取った印字行情報との間に空行がない場合(ステップS408においてNo)には、光学的に読み取った印字済みの行数から次の印字開始位置を決定する(S410)。これは、図10のパターン1の場合に相当する。例えば、なんらかの理由で磁気ストライプに記録された印字行情報が正しくない場合が考えられる。この場合、光学的に読み取った印字行情報から次の印字開始位置を決定する。ステップS410の後、決定した印字開始位置から通帳を印字し(S417)、通帳を顧客に返却して(S418)、処理を終了する。
【0050】
一方、磁気ストライプの印字行情報が光学的に読み取った印字行情報より小さく、かつ、磁気ストライプに印字された印字行情報と光学的に読み取った印字行情報との間に空行がある場合(ステップS408においてYes)には、磁気ストライプに記録された印字行情報から次の印字開始位置を決定する(S409)。これは、図10のパターン2の場合に相当する。例えば、通帳のページに印字行以外の汚れがあるなどの理由で、光学的に読み取った印字行情報が正しくない場合が考えられる。この場合、磁気ストライプに記録された印字行情報から次の印字開始位置を決定する。ステップS409の後、決定した印字開始位置から通帳を印字し(S417)、通帳を顧客に返却して(S418)、処理を終了する。
【0051】
また、ステップS407において、磁気ストライプの印字行情報が、光学的に読み取った印字行情報より大きいと判定された場合には、磁気ストライプに記録された印字行情報から次の印字開始位置を決定する(S409)。これは、図10のパターン3の場合に相当する。例えば、通帳に印字された印字結果が薄いなどの理由で、光学的に読み取った印字行情報が正しくない場合が考えられる。この場合、磁気ストライプに記録された印字行情報から次の印字開始位置を決定する。ステップS409の後、決定した印字開始位置から通帳を印字し(S417)、通帳を顧客に返却して(S418)、処理を終了する。
【0052】
印字開始位置を顧客に設定させる場合(ステップS406:Yes)には、制御部2は、顧客操作部3に通帳の画像情報を表示させて、顧客からの操作を受け付ける(S411)。図11及び図12に、ステップS411において、顧客操作部3に表示される通帳の画像を含む表示画面を示す。図11または図12に示す表示画面が顧客操作部3に表示された後、顧客により顧客操作部3のいずれかのボタンが押下される。
【0053】
図11は、印字行の1行が1明細に対応している通帳の画像情報を含む表示画面500である。図11に示すように、顧客操作部3に表示される表示画面500には、光学的に読み取った通帳の印字行イメージ501が表示され、印字行イメージ501に対応して、磁気ストライプに記録された印字行情報から決定された次の印字開始位置を示す矢印502、顧客により選択可能な印字開始位置を示す丸印503及び各種ボタン504などが表示される。図12は、印字行の3行が1明細に対応している通帳の画像情報を含む表示画面510である。図11の1行が1明細に対応している通帳の場合と異なり、磁気ストライプに記録された印字行情報から決定された次の印字開始位置を示す矢印502及び顧客により選択可能な印字開始位置を示す丸印503は、3行ごとに表示される。ここで、矢印502は、光学的に読み取った印字済みの行数から決定した次の印字開始位置を示すこととしてもよい。
【0054】
上記では、顧客の入力に応じて、表示画面500の矢印502を上下させて印字開始位置を選択操作しているが、かかる例に限定されない。例えば、通帳の各行に通し番号を付与し、顧客により入力された行番号を印字開始位置としてもよい。また、顧客が印字開始行を決定する際に、自動取引装置1に印字開始位置を決定させる「お任せ」ボタンを設けてもよい。顧客により「お任せ」ボタンが押下された場合、顧客は印字開始位置を選択する操作をせずに、自動取引装置1が印字開始位置を決定するようにしてもよい。
【0055】
図7に戻り、顧客により顧客操作部3を介して「矢印を下へ」ボタン504が押下された場合(S412)、制御部2は、印字開始位置が1行下に指定されたことを表すため、矢印502を1つ下の丸印503の場所に移動させて、印字開始位置を移動した旨の画面案内を行う(S411)。
【0056】
また、顧客により顧客操作部3を介して「矢印を上へ」ボタン505が押下された場合(S412)、制御部2は、印字開始位置が1行上に指定されたことを表すため、矢印502を1つ上の丸印503の場所に移動させて、印字開始位置を移動した旨の画面案内を行う(S411)。
【0057】
例えば、矢印が最下段にある状態で「矢印を下へ」ボタン504が押下された場合には、通帳機構部5により通帳の次のページがめくらせ、当該ページを光学的に読み取って、当該ページの通帳の画像を顧客操作部3に表示して表示画面500と同様の画面案内を行ってもよい。また、矢印が最上段にある状態で「矢印を上へ」ボタン505が押下された場合には、通帳機構部5により通帳の前のページをめくらせ、当該ページを光学的に読み取って、当該ページの通帳の画像を顧客操作部3に表示して表示画面500と同様の画面案内を行ってもよい。
【0058】
そして、顧客により顧客操作部3を介して「通帳返却」ボタン506が押下された場合(S413:Yes)、制御部2は、通帳機構部5に通帳があるかを判定する(S420)。ステップS420において、通帳があると判定された場合には、通帳の磁気ストライプの情報を記憶して(S421)、通帳を返却して(S422)再度画面案内を行う(S411)。一方、ステップS420において、通帳がないと判定された場合には、再度画面案内を行う(S411)。
【0059】
また、通帳機構部5に通帳が挿入された場合(S414)には、通帳機構部5により制御部2は、挿入された通帳の磁気ストライプの情報を読み取り(S423)、挿入された通帳のページを光学的に読み取る(S424)。その後、制御部2は、挿入された通帳が、前回挿入されていた通帳と一致するかを判定する(S425)。具体的に、制御部2は、ステップS421において記憶した磁気ストライプの情報と、挿入された通帳の磁気ストライプの情報とを比較して、挿入されている通帳が前回挿入された通帳と同じものかを判定する。
【0060】
ステップS425において、挿入された通帳が前回挿入されていた通帳と一致すると判定された場合には、制御部2は、画面案内を行う(S411)。一方、ステップS425において、挿入された通帳が前回挿入されていた通帳と一致しないと判定された場合には、制御部2は、通帳を返却して(S426)、画面案内を行う(S411)。
【0061】
続いて、顧客により顧客操作部3を介して「取消」ボタン507が押下された場合(S415:Yes)、通帳機構部5に挿入されている通帳を返却し(S418)、処理を終了する。
【0062】
また、通帳機構部5に通帳が挿入されており、かつ、顧客により顧客操作部3を介して「確定」ボタン508が押下された場合(S416:Yes)、画面上で指定された印字開始位置から通帳に取引処理等を印字する(S417)。その後、通帳を返却して(S426)、処理を終了する。
【0063】
なお、上記ステップS406において、印字開始位置を、顧客に選択させるか自動取引装置1が決定するかを判定するとしたが、かかる例に限定されない。例えば、印字開始位置を必ず顧客に選択させる構成としてもよいし、印字開始位置を顧客に選択させない構成としてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、通帳の磁気ストライプに記録された印字行情報と、光学的に読み取った印字行情報とを比較して、通帳の印字開始位置を決定しているが、光学的に読み取った印字行情報のみを用いて通帳の印字開始位置を決定するようにしてもよい。
【0065】
例えば、何らかの要因で通帳の磁気ストライプが破損して、磁気ストライプに記録された印字行情報が読み取れない場合には、光学的に読み取った印字行情報や空行の有無をもとに判断した結果を顧客操作部3の表示画面に表示させて、印字開始行を選択させるようにしてもよい。
【0066】
また、自動取引装置1に接続されたホスト計算機10に通帳の磁気ストライプの情報を記憶させている場合には、ホスト計算機10に磁気ストライプの情報を照会する構成としてもよい。例えば、通帳の磁気ストライプが完全に破壊されて、通帳の磁気ストライプに記録された印字行情報が読み取れない状態であっても、ホスト計算機10に磁気ストライプの情報を照会して、磁気ストライプの情報をホスト計算機10から取得するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態を通帳以外の帳票に印字する場合に適用してもよい。例えば、帳票の空白部分に何らかの印字を行う場合に、上記実施の形態を適用することができる。具体的に、印字対象の帳票を光学的に読み取って、所定の印字位置に汚れなどを検出した場合には、その読み取った画像を顧客操作部3に表示させて、印字開始位置を顧客に決定させるようにしてもよい。
【0068】
(4)本実施の形態の効果
以上のように、本実施の形態による自動取引装置1は、磁気ストライプ処理部304により読み取られた磁気ストライプ情報に含まれる印字対象媒体の印字行情報を取得し、光学読取部305により読み取られた印字対象媒体の印字行情報を取得し、これらの印字行情報との比較結果に基づいて印字対象媒体への印字開始位置を決定する。例えば、通帳に印字以外の汚れなどがあり、光学的に読み取った最終印字行情報が正しい印字行開始位置ではなかったとしても、磁気ストライプの印字行情報と光学的に読み取った印字行情報とを比較して、次の通帳印字開始位置を正しく設定することができ、通帳に無断な空欄行をつくることなく印字を行うことができる。これにより、通帳に無断な空欄が発生して、通帳が見づらくなってしまうことを防止することができる。また、無駄な空欄ができるために、通帳の印字ページの消費が早まり、新しい通帳への切り替え時期が早まり、資源を無駄遣いすることを防止することができる。
【0069】
さらに、磁気ストライプの印字行情報と光学的に読み取った印字行情報とが異なる場合でも、両者の印字行情報を比較して自動取引装置1が正しい印字位置を決定することができるため、銀行窓口や係員操作を介在させることなく、自動取引装置1により適切に通帳に印字することが可能となる。これにより、ATMの利便性を向上させたり、窓口対応や係員の負荷を軽減したりすることができる。また、本実施の形態では、自動取引装置1にATMを適用して説明したが、かかる例に限定されず、通帳記帳機など通帳を処理する装置を備えていれば本実施の形態を適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 取引処理装置(自動取引装置)
2 制御部
3 顧客操作部
4 カード/明細票機構部
5 通帳機構部
6 紙幣入出金機構部
7 硬貨入出金機構部
8 回線接続部
9 音声案内ガイダンス部
10 ホスト計算機
301 通帳
302 通帳挿入口
303 搬送路
304 磁気ストライプ処理部
305 光学読取部
306 通帳印字部
3011 印字行
3012 磁気ストライプに記録されている行数の情報
500 1行1明細の通帳の場合の表示画面
501 通帳の印字行イメージ
502 次の印字開始位置を示す矢印
503 選択可能な印字開始位置を示す丸印
504 「矢印を下へ」ボタン
505 「矢印を上へ」ボタン
506 「通帳返却」ボタン
507 「取消」ボタン
508 「確定」ボタン
510 3行1明細の通帳の場合の表示画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作入力に応じて所定の取引処理を実行する取引処理装置であって、
前記取引処理装置に挿入された印字対象媒体の磁気ストライプ情報を読み取る磁気ストライプ読取部と、
前記印字対象媒体の所定のページを光学的に読み取る光学読取部と、
前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する印字開始位置決定部と、
を備え、
前記印字開始位置決定部は、
前記磁気ストライプ読取部により読み取られた前記磁気ストライプ情報に含まれる前記印字対象媒体の第1の印字行情報と前記光学読取部により読み取られた前記印字対象媒体の第2の印字行情報との比較結果に基づいて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する
ことを特徴とする、取引処理装置。
【請求項2】
前記印字開始位置決定部は、
前記第1の印字行情報と前記第2の印字行情報より小さい場合に、前記第1の印字行情報と前記第2の印字行情報との間に空白行があるか否かに基づいて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項3】
前記印字開始位置決定部は、
前記第1の印字行情報と前記第2の印字行情報との間に空白行がある場合に、前記第1の印字行情報に基づいて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する
ことを特徴とする、請求項2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記印字開始位置決定部は、
前記第1の印字行情報と前記第2の印字行情報との間に空白行がない場合に、前記第2の印字行情報に基づいて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する
ことを特徴とする、請求項2に記載の取引処理装置。
【請求項5】
前記印字開始位置決定部は、
前記第1の印字行情報と前記第2の印字行情報より大きい場合に、前記第1の印字行情報に基づいて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項6】
前記印字開始位置決定部は、
前記第1の印字行情報と前記第2の印字行情報とが不一致の場合に、利用者の入力に応じて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項7】
顧客に取引案内を表示する表示部をさらに備え、
前記印字開始位置決定部は、
前記光学読取部に読み取られた前記印字対象媒体の画像情報を前記表示部に表示させ、
前記第1の印字行情報と前記第2の印字行情報との比較結果に基づいて決定された前記印字対象媒体への印字開始位置を示す情報を、前記印字対象媒体の画像情報に重畳させることを特徴とする、請求項1に記載の取引処理装置。
【請求項8】
前記印字開始位置決定部は、
利用者の入力に応じて、前記表示部に表示された前記印字対象媒体への印字開始位置を示す情報を変更し、変更後の印字開始位置を示す情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする、請求項7に記載の取引処理装置。
【請求項9】
利用者の操作入力に応じて所定の取引処理を実行する取引処理装置を用いた取引処理方法であって、
前記取引処理装置は、
前記取引処理装置に挿入された印字対象媒体の磁気ストライプ情報を読み取る磁気ストライプ読取部と、
前記印字対象媒体の所定のページを光学的に読み取る光学読取部と、
前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する印字開始位置決定部と、
を備え、
前記印字開始位置決定部が、
前記磁気ストライプ読取部により読み取られた前記磁気ストライプ情報に含まれる前記印字対象媒体の第1の印字行情報を取得する第1のステップと、
前記光学読取部により読み取られた前記印字対象媒体の第2の印字行情報を取得する第2のステップと、
前記第1の印字行情報と前記第2の印字行情報との比較結果に基づいて前記印字対象媒体への印字開始位置を決定する第3のステップと
を含むことを特徴とする、取引処理方法。



【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−92861(P2013−92861A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233698(P2011−233698)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】