説明

取引時外貨換算

【課題】販売者の現地通貨からカード保有者のクレジットカード通貨への取引時通貨換算を行う方法を提供する。
【解決手段】換算レートは、特定の販売者、回収業者、カード協会および発行業者を参照して策定される。販売者が異なる通貨のカード保有者による取引に対して、販売者の通貨で認証要求を生成した後に、認証での取引金額は、販売者の通貨からカード保有者の発行通貨の通貨へ換算され、追加の手数料を含むよう任意に修正される。換算された認証要求は、次いで適切なカード協会と、その後認証のために発行銀行へ送信され、応答が販売者へ返信される。カード保有者は、カード保有者の通貨およびカード保有者が請求される金額と同一の金額で取引を見て、承認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、2002年11月7日出願の米国仮特許出願第60/424,477号、および2003年3月26日出願の米国仮特許出願第60/457,742号の優先権を主張する。両出願は引用して本明細書に組込む。
【0002】
本発明は、一般に通貨の換算を伴うクレジットカード取引を処理することに関し、詳細には、販売者、販売者の所在地、回収業者、ゲートウェイ、付加価値再販業者、通貨、カード種類、取引の種類、および/またはカード発行業者の組合せを参照して策定される特定の為替レートに基づきカード保有者の請求書通貨における取引の最終価格をカード保有者に提供するために、認証時に換算レートを決定することに関する。
【背景技術】
【0003】
クレジットカード環境では、取引は、販売者とカード保有者との間で行われる。販売者は、販売者が完了した販売に対する支払方法として、販売者がカード協会によって発行されるクレジットカードおよびデビットカード(まとめて「クレジットカード」と称する)を受入れることを認める口座に対して回収銀行と契約を結ぶ。販売者の口座は、決済通貨建であり、決済通貨は普通、販売者が所在する法域における法定通貨と同じである。その上、販売者が支払を受取る通貨は、一般に決済通貨と同じである(例えば、米国拠点販売者は米ドル建の販売者口座を有し、米ドルで支払を受取る)。販売者が2つ以上の決済通貨を持つことを所望する場合、販売者は、これに対応できるそれぞれが特定の通貨に関する複数の決済口座を回収銀行に開設する。従来のシステムでは、販売者は、普通には決済通貨でのクレジットカード取引を完結できるだけであり、その顧客は、決済通貨での価格を見て取引を完了できるだけである。読み易さのため、以下では、用語「現地通貨」を、販売者が決済を受取る通貨を称することに使用する。
【0004】
販売者がクレジットカードの支払を受入れることを可能にする多様な技術が利用可能である。例えば、販売者は、販売者の他の業務処理と分離した独立型のクレジットカード処理端末を使用してもよい。更に、販売者は、別の業務アプリケーション、例えば、ホテル経営の場合では、ホテル業務の幾つかの局面を管理する財産管理システムに包含されるソリューションに統合したクレジットカード装置を使用してもよい。更なる統合の例は、ガソリンポンプ、電子金銭登録機(ECR)システム等を含むが、それに限定されない。以下では用語「販売時点情報管理装置(POS装置)」を、一般にこれらの装置を記述することに使用する。
【0005】
多くの場合、POS装置は、回収銀行、または回収銀行の代わりにクレジットカード処理機能を扱うよう契約した第三者処理業者へ直接的に接続されていることがある。回収業者または第三者処理業者(まとめて「回収業者」)は、クレジットカード取引の認証および決済のために、代わってカード協会と連通している。他の場合、POS装置は、第三者によって中央ホスト化されており、複数の処理業者への接続性を有する「支払ゲートウェイ」経由で回収業者へ接続されていることがある。またさらに他の状況で、普通には非常に大きい販売者が関与する場合には、多数の遠隔個所が、処理のために、一種の社内ゲートウェイに似た企業のホスト中央サイトへ接続されていることがある。実際には、上記の多数の組合せが、業界内では配備でき、配備されている。
【0006】
カード保有者が海外で取引を完了する場合、つまり、より具体的には、発行銀行が所在する国の外で取引が完結する場合、取引の通貨建(すなわち、販売者の「現地通貨」)は、カード保有者が請求される通貨(すなわち、カード発行銀行の通貨、つまり「発行元通貨」)と異なる場合が多い。その結果として、ある時点で、取引金額は、現地通貨から発行元通貨へ換算される必要があり、それにより発行銀行はカード保有者へカード保有者の発行元通貨で請求明細書を提供できる。
【0007】
従来は、この換算は、認証時にカード協会によって行われるのではなく、取引が認証され、そして「バッチ処理」された(すなわち、支払のために販売者によって提出された)後にカード協会の一般決済処理中に生じている。ここで図1を参照して、英国からのカード保有者102が、米国を訪れて、英国ポンド英貨建のクレジットカードを使用して取引を完了することを想定する。カード保有者は、販売者口座が米ドル建である販売者へクレジットカードを呈示する。また、卸売市場で150米ドル=100ポンドであると想定する。カード保有者が販売者104から150ドルの商品を購入する場合、カード保有者と販売者との間の取引は、米ドルにて完了し、カード協会へ送られる。販売者は、次いで取引記録を販売者の回収業者106へ送り、回収業者は販売者に代わって支払を取得する責任がある。回収業者106は、依然として米ドル建の取引記録をカード協会108へ転送する。カード協会108は、発行元通貨が英国ポンド英貨であると判断して、それぞれのカード協会によって確立された卸売レートを使用して取引をその通貨に換算する。決済処理のこの時点で、従来は、カード協会が、図1において1%値入れとして示す値入率を適用し、換算した取引金額を151ポンドへ引き上げる。次に、カード発行業者110が取引を受取る時に、カード発行業者は、それ自身の値入れ、例えば、2%から4%の値入れを取引へ適用するのが普通であり、この場合では、値入れが2%であれば、取引金額を103ポンドへ引き上げる。カード協会および発行銀行によって換算され、カード協会および発行銀行によって課せられた手数料を含む新規金額、この場合では103ポンド、つまり元の購入価格より4.50米ドル多い金額が、普通にはカード保有者の次の請求明細書でカード保有者へ提供される。将来のある時点で、カード保有者は、取引の最終換算金額を発行元通貨で記載した請求明細書を呈示される。発行銀行の特定の業務慣習に依存して、換算が達成された正確な方法(例えば、取引へ適用される実際の換算レートおよびカード協会および発行銀行によって課せられる特定の手数料)は、カード保有者へ明確に開示されないのが普通である。従って、この従来モデルでは、カード協会108およびカード発行業者110は換算利益を受取るが、販売者および回収業者は受取らない。その上、カード保有者は、カード保有者の現地通貨での取引の最終金額を取引時点で決定することができず、それどころか次の請求明細書を受取る時点でのみ発行元通貨における取引の金額を発見することになる。更に、その時点でさえ、カード協会および発行銀行側のこの開示の欠如のために、カード保有者は最終金額が計算された正確な方法を決定することができないであろう。カード保有者は、この換算自体を拒否するか、または通貨換算を提供する他の機関または事業体を選択するかの機会も持たない。
【0008】
上述に鑑み、従って、販売者がカード保有者にクレジットカード取引の最終価格をカード保有者の発行元通貨建で取引時に呈示することを許容する外国為替支払システムに対するニーズが存在している。加えて、販売者、回収業者、処理業者、支払ゲートウェイおよび販売時点情報管理装置のプロバイダ、並びに取引の流れにおける他の参加当事者が、かかる当事者の処理および会計基盤設備への広範な変更を必要とせずに、取引時通貨換算サービスを容易にすることを許容する方法に対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、販売者が商品またはサービスを販売する通貨からカード保有者のクレジットカードが建てる通貨へ、特定の販売者、回収業者、カード協会およびカード発行業者を参照することによって特に策定されたレートを利用して、取引時通貨換算(以降、TOT通貨換算)を行う方法を可能にする。より具体的には、一実施の形態で、販売者が異なる通貨のカード保有者による取引に対して販売者の通貨での認証要求を生成した後だが、認証前のある時点で、認証要求は、通貨換算が適切である取引であると識別される。認証における取引金額は、販売者の通貨からカード保有者の発行元通貨の通貨へ換算され、追加の手数料を含むよう任意に修正される。換算された認証要求は、そこで適切なカード協会へ、次いで認証のために発行銀行へ送信される。取引を承認する認証返答が最終的に販売者へ返信される。かくしてカード保有者は、販売者の通貨ではなくカード保有者の発行元通貨で、取引についての適切な通貨換算レートと、値入れと、手数料とを正確に反映する金額で、取引を見て、それを承認できる。
【0010】
本発明の利点の1つは、販売者がそのPOS装置等のハードウェアシステムへ大幅な改修を行う必要なしに通貨換算が行われることである。同様に、本発明は、換算ソフトウェアまたはハードウェアをカード協会、回収業者銀行、または発行銀行で設置する必要なしに動作できる。本発明の別の利点は、本発明が取引認証連鎖に参加する機関のいずれにも配備することができ、それによって本発明が取引に対する種々の当事者に取引時換算処理に参加する「活力を与える」ことを許容することである。例えば、本発明は、回収銀行の処理システム内に直接的、または回収銀行がクレジットカード処理機能の一部を外部委託した第三者処理業者の参加を通して統合し、回収業者が一定の指定した外貨建でカード協会へ取引を提出する一方で、引き換えに販売者の現地通貨での決済を受取ることを許容するアプリケーションとして実施できる。
【0011】
本発明の別の観点は、取引処理におけるそれぞれの参加者による固有の通貨会計に対応していることである。より詳細には、販売者、回収業者、カード協会、および発行銀行の全てが、全ての該当する手数料、値入れ、およびその他の金額をそれらの現地通貨で含み、特定の取引の発行元通貨に換算されたそれぞれの取引についての取引レベルの詳細を提供する照合、収得、入金相殺、および交換報告書を受取る。この特徴は、それぞれの機関が報告されたデータに対して更なる何れの通貨換算ステップも行う必要なしに適切な内部会計を行うことを可能にする。
【0012】
本発明は、また、通貨換算がTOT換算経由で行われるべきか、またはオプトアウト機構を介して従来の方法で経由するかをカード保有者が選択することを可能にする種々の方法を包含する。本発明は、特定の取引環境に適合する開示およびオプトイン処理も含む。これらは、宿泊所、レストラン、および小売店環境についての開示を含む。
【0013】
本発明の別の観点では、取引を承認するようカード保有者により署名されるべき事前印刷の取引伝票が提供される。取引伝票は、カード保有者に適するような通貨換算処理を記述する事前印刷の情報を含み、カード保有者が所望の場合換算処理をオプトアウトし、カード保有者の取引がカード協会およびカード保有者の発行銀行によってその代わりに換算されること許容することを可能にする情報を含む。従って、どんな選択の自由もカード保有者に全く与えない既存の手法と違って、カード保有者は、通貨換算を行うことになる機関を決定する能力を有する。事前印刷の情報は、また、取引に対して適用される換算レートがカード協会によって適用される換算レートより良いであろうことをカード保有者に保証する約定を提供することもできる。これらの特徴は、現在は利用可能でない換算処理を使用する自由度をカード保有者に与える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】クレジットカード取引における外貨換算の従来の方法を示す図である。
【0015】
【図2】本発明の実施の形態に従う外貨のクレジットカード取引におけるデータフローを示す相互関係図である。
【0016】
【図3】本発明の実施の形態に従うクレジットカード取引における外貨換算の方法を示す図である。
【0017】
【図4】本発明の実施の形態に従うクレジットカード取引における外貨換算の方法を示すフローチャートである。
【0018】
【図5】本発明の実施の形態に従うシステムのブロック図である。
【0019】
【図6A】本発明の実施の形態に従う回収業者ID表のレイアウトを示す。
【図6B】本発明の実施の形態に従う回収業者ID表の内容を示す。
【0020】
【図7A】本発明の実施の形態に従う基本レート換算レート表のレイアウトを示す。
【図7B】本発明の実施の形態に従う基本レート換算レート表の内容を示す。
【0021】
【図8A】本発明の実施の形態に従う販売者ID相互参照表のレイアウトを示す。
【図8B】本発明の実施の形態に従う販売者ID相互参照表の内容を示す。
【0022】
【図9A】本発明の実施の形態に従う値入れ方法表のレイアウトを示す。
【図9B】本発明の実施の形態に従う値入れ方法表の内容を示す。
【0023】
【図10A】本発明の実施の形態に従う発行業者/協会の国際取引手数料表のレイアウトを示す。
【図10B】本発明の実施の形態に従う発行業者/協会の国際取引手数料表の内容を示す。
【0024】
【図11】本発明の実施の形態に従う開示および換算レート情報を持つ領収書の例を示す。
【0025】
【図12】本発明の実施の形態に従う開示および換算レート情報を持つレストラン環境における領収書の例を示す。
【0026】
【図13】本発明の実施の形態に従う開示および換算レート情報を持つ宿泊所環境における領収書の例を示す。
【0027】
図は、本発明の好ましい実施の形態を例証の目的だけのために示す。当該技術に精通する者にとって、本明細書に示す構造および方法の代替の実施の形態が、本明細書に説明した本発明の原理から逸脱することなく用いられてもよいことを、以下の検討から容易に認知するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一般的に言うと、本発明の好ましい実施の形態では、イベントのフローは、図2に示した通りである。フローは、カード保有者202がTOTサービスに参加することを合意した販売者204からクレジットカード購入(または返済)を開始する場合に始まる。他の事例では、販売者が、例えば、定期購買サービスの一環として自動的に課金を開始することもある。カード保有者のクレジットカードは発行元通貨建であり、発行元通貨は販売者の現地通貨とは異なる。カード保有者202と販売者204との間の取引は販売者の現地通貨建であり、販売者の現地通貨は販売者がその取引について販売者の回収業者から決済を受取る通貨である。
【0029】
販売者204は、好ましくは、取引に使用されたクレジットカード番号をTOTが適用できる全てのクレジットカードのクレジットカード登録番号を含む口座範囲ファイルと比較することによって、TOT処理に対応するように設計されたPOS装置を使用する。代替の実施の形態では、TOT適性取引の識別は、口座範囲ファイルを含む支払ゲートウェイで生じる。
【0030】
取引がTOT適性であると識別されるイベントでは、認証要求が支払処理業者208へ送信され、処理業者は下記で説明する方法で取引を換算する。支払処理業者208は、取引金額を発行元通貨で表現するだけでなく、一定の追加データフィールドに値を代入することにもよって当初の認証要求を修正する。支払処理業者208は、改修した認証要求を適切なカード協会210へ送り、カード協会は、代わって要求を発行銀行212へ転送する。次いで、認証返答がカード協会210を介して支払処理業者208へ返送される。支払処理業者208は、通貨換算情報を含む一定の追加データフィールドを含むことによってカード協会から受取った返送認証返答を改修する。改修した認証返答内に含まれる追加データ要素は、販売者204のPOS装置によって使用されて、カード保有者202に換算処理について通知し、TOTに対してオプトインすることを選択する。カード保有者202は、そこで、カード保有者の発行元通貨における取引の最終金額を、取引へ適用される適用可能な換算レートと共に知り、取引を承認できる。
【0031】
カード保有者と販売者との間の取引完了後のある時点、および一実施の形態では日常的にで、カード口座範囲ファイル205(図5)により取引をフィルタリングする責任がある販売者POS装置204は、販売者の最近のTOT取引の記録を(好ましくはバッチファイルとして)支払処理業者208へ送る。一実施の形態では、販売者POS装置204は、ファイルを直接、支払処理業者208へ送る。代替の実施の形態では、販売者POS装置204は、ファイルを回収業者206へ送り、回収業者が次いでファイルを支払処理業者208へ送る。販売者POS装置204が認証したTOT取引を認証した非TOT取引からまだ分別していない場合、口座範囲ファイル205が、TOT取引を抽出することに再度使用されるのが好ましく、TOTだけのバッチを作成し、それを支払処理業者208へ送る。支払処理業者208は、次いでカード協会210および発行銀行212と発行元通貨での精算と決済の手筈を整え、決済を回収業者206へ現地通貨で支払う。最終的に、発行銀行212は、課金を発行元通貨で処理し、それがカード保有者のクレジットカード請求明細書に記載される。取引時点で見積もられた換算取引金額は、クレジットカード請求明細書の金額と一致することになる。従って、カード保有者は、取引が完了した後に現れる追加手数料で驚くことはない。
【0032】
この処理フローから明らかであるように、販売者の通貨から発行元通貨への換算は、認証の時点で発生し、従来なされたように決済と精算の時点ではない。加えて、通貨換算ステップは、下記で更に説明するように、指示されたパラメータに従って、可能性のある多くの異なる換算レートの中から選定された換算レートを適用できる。
【0033】
図3は、丁度説明した処理の例を示す。カード保有者の発行元通貨は英国ポンドであり、販売者の現地通貨は米ドルであり、そして卸売外国為替レートは150米ドル=100英国ポンドであると想定する。カード保有者202が150米ドル価値の購入を販売者204で行い、購入を課金するためにそのクレジットカードを呈示する。販売者204は認証要求を開始し、それには150米ドルの取引金額を含む。この認証要求は、取引をTOT適性であると識別する上記で説明したPOS装置を経由して販売者の回収業者206(つまり技術会社)を介して、カード保有者の通貨(英国ポンド)への取引金額の換算を必要とする米ドル取引として支払処理業者208へ転送される。支払処理業者208は換算係数を決定し、その換算係数に基づき英国ポンドでの取引合計を計算する。支払処理業者208はまた、サービスを行うために処理業者208によって課金される手数料、または外貨取引を取扱うために回収業者、販売者、または発行銀行によって課金される手数料等の、必要に応じた手数料または値入れがあれば加算する。支払処理業者208は次いで、英国ポンド建の取引を反映する換算取引に対する改修した認証要求を、認証要求内に含まれる一定のデータ要素と一緒にカード協会210へ送る。カード協会210は次いで、代わって取引を英国ポンド建の取引としてカード発行業者212へ転送する。カード発行業者212は、換算された取引を認証するかどうかを判断し、販売者の通貨でなく発行業者の通貨(ここでは英国ポンド)である取引で認証する。従って、カード発行業者が取引を自己の通貨で受取り、取引を換算する更なるステップを取る必要がないことは、本発明の利点の1つである。認証し終ると、換算された取引についての認証返答が、カード協会210、処理業者208を介して、回収業者206および販売者POS装置204へ返送される。販売者POS装置206は、認証返答内の追加データフィールドを使用して、下記で説明するオプトイン機能を行う。カード保有者がオプトインを選択するイベントでは、POS装置は、必ず通貨換算開示を持つ領収書を印刷する。顧客がオプトインを辞退するイベントでは、POS装置は米ドルで領収書を印刷し、外国為替システムが決済ファイルを米ドルで提出する。認証返答は、何れの手数料も含んだ、取引の合計金額を発行元通貨で含んでいる。処理業者208は、後の照合報告のために、取引の詳細を要約するデータを保持する。
【0034】
図3では、150米ドル=100英国ポンドであるけれども、支払処理業者208によってカード協会210へ送られる金額が103ポンドであることに注意されたい。これは、支払処理業者によって取られる3ポンドの値入れを反映している。カード保有者はこの合計金額を取引伝票で見て、従ってこの時点でカード保有者の(および発行銀行の)通貨での取引の合計金額を知る。値入れ金額は、支払処理業者のパートナ314間でさまざまに共有できる。普通には、パートナ314は、処理業者に代わって取引を完了する手助けを行うことに関与する事業体であり、例えば、販売者の回収業者206、付加価値再販業者(VAR)等、を含んでいてもよい。また、カード協会210およびカード発行業者212は認証要求を精算時の発行元通貨で受取るので、それらは別の通貨へ金額を換算せず、その結果として追加の値入れを加算しないことにも注意されたい。
【0035】
換算レートおよび値入れ金額を決定することに関与するステップを、以下詳細に説明する。
【0036】
最初に支払処理業者208が受取る認証要求を考察する。上記で検討したように、認証要求は、販売者POS204によって販売者の現地通貨建で送られる。好ましい実施の形態では、認証要求は、クレジット認証要求に対するVISA EIS 1080 規格に準拠する。支払処理業者208が認証要求をカード協会210へ送る場合、それは発行元通貨において行われる。従って、支払処理業者208は、販売者の現地通貨での金額からカード保有者の発行元通貨での金額への換算を決定しなくてはならない。
【0037】
上記で説明したように、支払処理業者208による認証要求の受取に先立ち、販売者POS204は、好ましくはカード番号を口座範囲規定ファイル205とも称されるカード口座範囲ファイルにおけるカード番号の範囲と比較することに注意されたい。各クレジットカード番号は発行銀行の識別コード(銀行識別コード番号、つまりBINとも称される)で始まるので、BINから通貨の検索も、販売者POS204によって行うことができ、発行元通貨を決定する。販売者および発行業者の通貨がわかると、販売者POS204は、取引を支払処理業者208へ送り、処理業者は、この取引を換算できるかどうかを判断する。特定の取引は、例えば、支払処理業者が、法定上、契約上、または技術上の理由のために、特定の通貨へまたはそれから換算するように構成されていない場合、対応されないことがある。
【0038】
図4は、好ましい実施の形態において認証要求が受取られる場合に、支払処理業者208が取るステップのフローチャートである。支払処理業者208は、販売者POS204からの認証要求を受取った402後に、特定のカード製品および発行銀行が換算処理に対応しているかどうかを判断する404。処理業者208は、一実施の形態において、処理業者が対応するカード番号範囲の自主的なリストを保持している。かさねて、各範囲は、特定の発行業者、および特定のカード製品(例えば、ゴールドカード、担保付きカード等)と連係している。クレジットカードのカード番号が対応している範囲内に無い場合、取引は従来の方法で処理される406。カードが対応しているカード番号範囲内にある場合、支払処理業者208は、次いで、販売者/通貨の組合せが本当に対応されているかどうかを確認する408。かさねて、発行元通貨が一般的に支払処理業者208によって対応されているとカード口座範囲ファイル205が指し示す事実にもかかわらず、法定上、契約上、または技術的の要件のために、特定の販売者は、取引を支払処理業者208によって換算させる資格が無いことがある。例えば、カード口座ファイル205が新規データを反映するように正しく更新されていない場合、および取引が支払処理業者208へ転送されてはならなかった場合、これが生じることがある。支払処理業者208が販売者/通貨の組合せが対応されていないと判断すれば、取引は従来の方法で処理される。
【0039】
カード番号がカード口座範囲ファイル205に従い正当な範囲内にあり、販売者/通貨の組合せが支払処理業者208に従い対応されている場合、支払処理業者208は、指示されたカード種類に伴う取引について販売者の現地通貨とカード保有者の発行元通貨との間の換算のための基本レートを決定する410。この決定は以下で更に詳細に説明する。基本レートが決定された後に、販売者、回収業者、通貨、取引の種類、発行業者、およびカード種類の同一性の任意の組合せに基づき、値入れが決定される412。この決定も下記で詳細に説明する。基本レートおよび値入れが決定されると、認証要求は、元通貨に換算した金額を含む追加データを含むように改修され414、改修された認証要求は、次いでカード協会210へ送られる416。
【0040】
好ましい実施の形態では、支払処理業者208によって適用される換算レートの決定は、販売者、回収業者、クレジットカード種類、発行銀行、取引の種類、通貨、および精算期間を含む多くの変数に依存できる。これらの変数が換算レートに影響を及ぼすことのできる方法を示すために、本発明が実装できるシステム構成の例を説明することが役立つ。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態に従うシステム構成を示す。図5は、ネットワーク502へ接続される、販売者POS204、回収業者206、カード協会210、発行業者銀行212を含む。一実施の形態では、販売者POS204は、下記で説明する口座範囲規定表(ARDEF)205を含み、ゲートウェイへ接続されており、ゲートウェイは順にネットワーク502へ接続される。当該技術に精通する者にとって販売者で生成される取引がネットワークを介して通信できる多くの方式があり、選択された特定の実装が、説明した機能性を提供することに必要であることを除いて、本発明と密接に結び付いていないことは理解されるであろう。ネットワーク502は、高速で、信頼性のある、安全な通信を許容するための何れの好適なネットワークであってもよく、ATM、フレームリレー、インターネットVPN、および電話ダイヤルアップ接続を含む。支払処理業者208もネットワーク502へ接続されている。支払処理業者208は、支払処理ロジック504を含み、それは本明細書で説明した方法で通貨換算を行うのに必要とされる操作を行う。支払処理業者208は、また、換算処理において変数について適用可能な値を決定することに使用される幾つかのデータファイルを含んでいるのが好ましい。
【0042】
販売者POS204の1つの機能は、支払処理業者208による換算のために適性である外国取引を識別することである。販売者POS204は、認証要求に使用されたクレジットカード番号をARDEF表205によって識別されるクレジットカード番号の範囲と比較する。ARDEF表205は、支払処理業者サービスが対応している通貨建であるクレジットカードの口座番号の登録番号を含んでいるのが好ましい。販売者POS204は、支払処理業者208または関係事業体から定期的に更新されるARDEF表を、例えば、ダウンロードにより取得して、最新のARDEF表205が使用されていることを確実にするのが好ましい。販売者POS204によって生成される認証要求は、支払処理業者208によって提示される余分の機能性に対応するために、クレジットカード認証に対するVISA EIS 1080 規格によって提供されるグループIII追補記録を活用するように構成されるのが好ましい。認証要求に対して認証を取得し、追補を作成するために他の規格が存在することを当該技術に精通する者は認知するであろうし、認証要求の何れの好適な種類も本発明で代替の実施の形態で使用できる。
【0043】
販売者POS204がクレジットカードを国内通貨建(例えば、販売者の現地通貨と同一)として識別する場合、取引は、販売者の国内回収業者に向けられ、支払処理業者208による介入なしに平常のように現存の回収業者へ回される。取引がTOT適性として識別された時、販売者POS204は、認証要求を更なる取扱い支払処理業者208へ転送する。
【0044】
図5に示す場合では、支払処理業者208は販売者POS204から遠い場所に示されていることに注意されたい。しかし、代替の実施の形態では、支払処理業者208は、回収業者の所在地206にあり、回収業者の既存の基盤設備へのアプリケーションとして付属されている。いずれの実施の形態でも、支払処理業者208の機能性は類似しており、特定の実装は、本発明にとり有意義ではない。支払処理業者の処理は、依然として同じ機能性を保持したままで、事実上現存のまたは新規の何れの当事者にもわたった分散できる。
【0045】
認証要求を販売者POS204から受取ったときに、支払処理ロジック504は、販売者の回収業者がTOT換算プログラムの参加者であるかどうかをチェックする。販売者ID(MID)は認証要求の一部を形成しており、販売者に関する回収業者は、ルックアップ表を使用して決定されるのが好ましい。回収業者がわかると、回収業者がTOT換算プログラムの一部であるかどうかを判断することに、別のルップアップ表506を調べることができる。一実施の形態で、表506のフォーマットを図6Aに示し、表506の例を図6Bに示す。
【0046】
従って、例えば、販売者204に関する回収業者206についての回収業者IDが0001である場合、回収業者は First Bank of America であり、銀行の状態はアクティブである。これは First Bank of America が取引時通貨換算処理における活動中の参加者であることを意味する。
【0047】
次に、支払処理ロジック504が、指示された回収業者、販売者、通貨,およびカード種類に関する基本換算レートを決定する。好ましい実施の形態において、回収業者基本換算レート表508は、図7Aに示すレイアウトを有する。表508の例を図7Bに示す。
【0048】
基本換算レート表508を使用して、支払処理業者208は、正しい換算基本レートを決定する。基本レートは、示されたレートソースの公表による何らかの値入れ前の現物レートであり、ソースは好ましい実施の形態ではビザまたはマスターカードであるのが好ましい。例えば、図7Bに示す表では、連続番号0003は、2002年8月20日に、英国ポンド(通貨コード826)から米ドル(通貨コード840)へ換算するためのマスターカードの公表による基本レートが1.580であることを示している。すなわち、100英国ポンドは、基本レートで158米ドルに等しい。図示した実施の形態では、表は、異なる時間間隔にわたって通用するレートも含んでいる。例えば、引続き連番0003では、間隔Aは2日間である。間隔Aでは、レートはかさねて1.580である。しかし、間隔Bでは、5日間であり、レートは1.536である。間隔は、取引時点で取引を認証する必要があるが、実際には数日後まで取引を計上できないことがある販売者のために使用される。これは、例えば、電話を介してクレジットカードを取る通信販売小売業者のための場合かもしれない。その場合では、認証は注文を発した時点で行われるが、カード保有者のカードは、実際には製品の出荷まで課金されない。普通には、支払処理業者208は、特に契約上通貨換算レートにおける変化のリスクを負うよう義務付けられている場合、認証と精算との間の遅延を見ることを望まないであろう。従って、支払処理業者がより長い間隔のために提示する基本レートは、追加リスクを反映している。
【0049】
図7Aに示す表構造は、基本換算レート表が処理業者、販売者、およびカード種類の組合せについての基本レートを含むことを示している。例えば、再び図7Bに注目すると、連続番号0001は、ポンドから米ドルに換算するためにビザによって公表されたレートが1.588であり、アメリカのカード保有者にとってマスターカードのレートの1.580より不利であることを示している。
【0050】
基本通貨換算レートが決定されると、支払処理ロジック504は、換算に適用する正確な値入れを決定する。好ましい実施の形態では、支払処理業者208は、TOTサービスを使用することを認められた販売者のリストだけでなく、販売者の国際取引のそれぞれについて使用される値入れ方法のリストも含む販売者設定のファイルを含んでいる。このデータは、多様な方式で書式設定されてもよく、一実施の形態では、販売者ID相互参照表510および値入れ方法表512に含まれ、この両表は図5に支払処理業者208の一部として示されている。
【0051】
販売者ID相互参照表510は、販売者識別コード(MID)を使用して、販売者の回収業者、販売者の本拠地決済通貨、値入れ方法、外国MID、および外国MID精算通貨を識別する。これらのフィールドのそれぞれは、下記で更に明らかにする。表510のレイアウト例を図8Aに示す。
【0052】
国内販売者IDは、好ましくは販売者の国内回収業者によって販売者に割当てられている販売者IDである。回収業者IDは、販売者の回収業者についての数字識別子である。販売者の本拠地通貨は、販売者が業務を主導する通貨、すなわち、現地通貨に割当てられたISO通貨コードである。値入れ方法は、より十分に下記で説明するように、基本レートへ適用される値入れの種類を示す。外国販売者IDは、外貨取引の精算と決済に使用するために、販売者が受入れるそれぞれの通貨について販売者に割当てられた特定通貨MIDである。外国販売者IDの精算通貨は、前フィールドの外国販売者IDに関する通貨、および適切な取引を精算することに使用するための特定通貨回収業者BINに割当てられたISO通貨コードに対応する。図8Bは表510の例を示す。
【0053】
例えば、連続番号005は、123456789の本拠地MIDを有し、回収業者1を使用する販売者について、販売者の本拠地通貨は840(米ドル)であり、値入れ方法は「AE」(下記参照)であり、外国MIDは8321450005であり、そして外国MID精算通貨は702(シンガポールドル)であることを示す。同様に、連続番号004は、同じ回収業者を使用し、そして840(米ドル)の現地を有する同じ販売者について、値入れ方法は「AA」であり、外国MIDは8321450004であり、そして外国MID精算通貨は344(香港ドル)であることを示す。
【0054】
値入れ方法は、値入れ方法表512で規定されている。一実施の形態で、表512のフィールドを図9Aに示す。
【0055】
値入れ方法表512は、各方法についてその方法についての値入れが正か、負か、またはゼロであるかを示す。値がゼロである場合、値入れ方法は、単に上記で説明した基本レートである。また、表512に含まれているのは、値入れ率であり、値入れまたは値下げの大きさを示す。表512に従ってレイアウトされた表の例を図9Bに示す。
【0056】
上記で与えられた例において、表Fの連番004に関して値入れ方法は「AF」であり、連番005について値入れ方法は「AE」であったことを想起されたい。表Hから分るように、「AA」は、PP全世界的種類の値入れに相当し、1の指標および3.00の値を持つ。これは、種類AAの取引について、適用される値入れが+3%の値入れであることを意味する。「AE」は銀行+50基準点値入れに相当し、1の指標および0.50の値を持つ。これは、種類AEの取引について、適用される値入れが発行業者の値入れ金額に対して+0.5%の値入れであることを意味する。種々の他の値入れ種類が本発明の実施の形態に従って実施できることを当該技術に精通する者は認知するであろう。
【0057】
従って、表506、508、510、および512を使用して、支払処理業者208は、販売者、回収業者、カード発行業者、取引の種類、カード種類、精算間隔、および通貨の任意の組合せについても指示されたレートを選択することができる。かかる任意の事業体の組合せについても換算レートおよび値入れを個別に規定するこの能力は、システムを構成すること、および、個別の販売者、発行業者、回収業者、ゲートウェイ等とサービス関係および手数料体系を確立することで、支払処理業者に大幅な自由度を提供する。
【0058】
支払処理のこの方法の1つの利点には、換算レートをかかる細かいレベルの精度で設定できるので、通貨間取引の換算に従来方法を使用している現存の競合業者、すなわち、カード協会および発行業者によって提示されるレートよりも良いレートを供与するであろうことを、カード会員に保証するようにレートを迅速に調節することによって競合優位性を増す機会がある。例えば、支払処理業者208が、Bank of London によって発行された英国のビザカード保有者がビザ協会に米ドルを英国ポンドに換算させることによって取得するレートが1ドル=0.55ポンドであることに気付いた場合、支払処理業者d10は、カード保有者へ0.05ポンドの節約の可能性を表す1米ドル=0.60ポンドの換算を提示することによって競合優位性を追求できる。
【0059】
表駆使ロジックが提供する別の利点は、特定の販売者、回収業者、カード種別、またはその組合せを選択的に含めるかまたは除外する能力である。
【0060】
図10Aは、発行銀行およびカード協会によって適用される値入れを格納するための表514の一実施の形態のレイアウトを示す。図10Aのフィールドに従い編集した表の例を図10Bに示す。
【0061】
上記の例では、連続番号0002は、名前UOBおよびBIN400116001を有する発行業者がアジア太平洋地域のシンガポールに位置し、シンガポールドルに対するISOコードである通貨702でカードを発行することを示している。表は、また、この換算についての合計値入れが3.50%であり、その全てが発行業者によって保有されることも示している。従って、支払処理業者d10が基本レートの上に3.50%未満の値入れを提示する限り、処理業者はカード保有者へより良いレートを提供することになる。
【0062】
一実施の形態で、支払処理業者は、方法の種類(図9B)が基本レートの上に従来の3%値入れに常に打勝つように設定される「保証された」より良いレートを提示できる。例えば、値入れ方法ADの「銀行−50基準点」は、値入れが協会および発行業者によって課金されるレートより下に50基準点の、実際には値下げであることを示している。
【0063】
発行元通貨で換算され、値入れされた金額が決定すると、支払処理業者208は、換算された通貨金額を使用して認証要求を構築し、上記で説明したように要求をカード協会210へ送信する。支払処理ロジック504は、要求をカード協会へ送信する前に、認証要求へグループIII追補のフィールドに値を代入する。
【0064】
好ましい実施の形態では、販売者POS装置204は、支払処理業者208へのオプトイン機能性を可能にするために、そしてカード保有者202への通貨換算データの開示を可能にするために、Visa 外部インタフェース仕様 1080 に対する改修を活用する。販売者POS装置204、支払処理業者208、カード協会210および発行業者銀行212の間で送られた認証要求は、好ましいTOT処理と関連した使用のため、および特に通貨換算情報の回送を許容する特定のデータフィールドの包括のために、本明細書で説明したように改修されたVISA EIS 1080 規格に従う。当該技術に精通する者が知るように、EIS 1080 規格は、追加設定可能なフィールドへの対応を含んでいる。好ましい実施の形態では、支払処理業者208は、取引時点の通貨換算に対応するように認証要求および返答において規格に合せたグループIII追補を使用するように構成される。代替の実施の形態で、通貨換算情報の送信を容易にする追加データフィールドの包括によりTOTサービスと関連した使用のために改修された他の認証記録フォーマット仕様が活用されることがあることを当該技術に精通する者は容易に認知するであろう。
【0065】
認証要求を支払処理業者208へ送信する時、販売者POS装置204は、グループIII追補記録のオプトアウトフラグのフィールドを活用するのが好ましく、それは支払処理業者208が必要な通貨換算取引情報を持つ同じグループIII追補を販売者POS装置204へ返送することを許容する。大半の実例では、カード保有者は認証要求の時点でオプトインする機会を持つ余裕が無いので、オプトアウトフラグは「No」に初期設定する。一実施の形態において、追補記録は以下のフォーマットである:
【表1】

【0066】
支払処理業者208が認証返答をカード協会から受取る時、外国為替システムは、取引をTOT適性に基づくと認知し、追加の通貨換算情報をグループIII追補記録内に含む認証メッセージをPOS装置へ返送する。一実施の形態において、追補は以下のフォーマットである:
【表2】

【0067】
認証要求/返答への追補は、発行業者の通貨コード、現地通貨から発行業者通貨への換算に使用する換算レート、および換算レートフィールドで小数点があるべき所を識別するための指数指標を符号化する。例えば、発行元通貨が英国ポンド(GBP)であり、金額が350ポンドであり、そしてレートが0.6297である場合、カード保有者取引金額のフィールドは「350」を含むことになり、通貨コードのフィールドは「GBP」を含むことになり、換算レートフィールドは「0629700000」を含むことになり、そして指数指標のフィールドは「9」を含むことになろう。
【0068】
支払処理ロジック504が値入れ換算レートおよび取引金額を決定する場合、ロジックは、上記の例におけるように追補記録のフィールドに値を代入する。カード協会210へ送られる認証要求は、追補記録の「カード保有者の取引金額」のフィールド内に含まれるように発行元通貨建である。認証返答が販売者POS装置204で受信される場合、販売者POS装置204は、追補の存在により取引をTOT適性に基づくものとして認知する。追補記録にあるデータはPOS装置によって読まれ、発行元通貨での取引金額が幾らであるかをカード保有者202へ開示する。この開示は、カード保有者202がTOT処理のオプトインまたはオプトアウトの何れかを行うかを決定することを支援する。開示およびオプトアウト決定は、下記でさらに説明する。加えて、認証返答要素は、販売者POS204によって格納され、一部または全部が精算処理中に提出されるのが好ましい。換算された金額および換算レートは追補に含まれるので、販売者POS装置204が別個に換算レートを承知している必要はないことに注意されたい。これは、支払処理業者208のような集中化された個所が、それぞれのPOS装置に更新を強要する必要なしに基本レートおよび値入れを絶え間なく更新することを許容する。
【0069】
回収業者の内部処理および会計基盤設備は、販売者の照合および資金調達を容易にするために、1つの有効な運用通貨を保持するのが普通であり、それによって複数の通貨の照合および会計を当然必要とするTOTサービスを容易にする回収業者の能力を限定する(例えば、販売者が英国ポンド英貨の取引をカード協会へ提出し、処理業者が米ドルでカード協会から決済を受取る)。処理業者のシステムの歴史的限界を考えると、回収業者は、特定の取引へ適用される実際の換算レートを確立することから、TOT取引の認証と決済との間の外国為替処理の利益または損失によって影響を受けるであろう外国取引へ適用される利幅のそれぞれの当事者の分け前を計算する方法論の策定を管理することまでの、外国為替処理の予測できない変化を取扱うことに装備不十分である。結果として、これらのニーズに対処するために、本発明は、回収業者の内部システムへの大規模な変更なしに、回収業者の設備でTOTサービスに対応するような配備を可能にしている。
【0070】
支払処理業者208は、回収業者の販売者を適切に貸方記入または借方記入することで回収業者を支援するために、取引レベルの基準で販売者の回収業者への取引時点の通貨換算の報告を可能にする。精算事項の確認ファイルと呼ばれる1つのファイルが、参加している回収業者のそれぞれへ配布され、取引レベルのTOT換算およびカード協会決済についての結果を含む捕捉された取引情報を含むのが好ましい。収得/入金相殺ファイルと呼ばれる別のファイルもまた、それぞれの回収業者へ配布され、取引レベルでリストされた、カード協会から入る全ての例外取引情報を含んでいる。ファイルは、また、例外地域についての詳細も提供するのが好ましい。交換認定ファイルと呼ばれる第3のファイルが、それぞれの回収業者へ配布され、全面的な交換費用情報、捕捉された取引情報を含有し、そして取引レベルの支払処理業者および協会の決済および交換の手数料割当金についての結果を含んでいる。ファイルは、支払処理業者が交換費用を類別し、取引処理に関与する1つ以上の当事者にわたりこれらの費用を割り当てることを可能にする。
【0071】
上記ファイルのそれぞれからのデータは、日常の照合/証明報告処理に対応することに使用されるのが好ましい。これは複数通貨の会計処理であり、支払処理業者が全ての受取った取引活動、処理した例外を回収業者のそれぞれへ会計報告すること、ならびに国際取引金額の換算利益および損失を隔離および報告することを可能にする支払処理業者およびカード協会からの対応報告を有する。処理からの出力は、各回収業者がその国際取引処理および関する直接的収入および費用を全面的に会計報告し、追跡することを可能にする総合的照合と証明の報告書である。
【0072】
TOT通貨換算プログラムに参加している特定の販売者は、複数の発行元通貨に対応するように構成でき、1日(つまり、より一般的には、1バッチ期間)に、複数の発行元通貨で取引を成立させることがあることに注意されたい。一実施の形態では、支払処理業者208は、複数の発行元通貨での販売者取引を会計報告するための効率的なメカニズムを可能にしている。
【0073】
各販売者は国内販売者ID(MID)を有することを想起されたい。支払処理業者208は、販売者のMIDを販売者が対応するそれぞれの発行元通貨について新規の外国販売者ID(FMID)へマッピングする。例えば、販売者の現地通貨が米ドルであり、販売者がTOT為替のためにカナダドル、英国ポンド、ユーロ、日本円およびオーストラリアドルを受入れるように構成されている場合、支払処理業者208は、販売者について5つのFMIDを作成し、1対多数のマッピングを格納する。支払処理業者がバッチ取引記録を販売者から受取る場合、支払処理業者はマッピングを使用して、精算ファイルで特定の取引についてMIDを適切なFMIDに差し替える。例えば、販売者がユーロのカード保有者のためにTOT通貨換算取引を行う場合、取引記録でのMIDは、ユーロについての販売者のFMIDに差し替えられる。FMIDは、そこで、精算と決済のために適切な特定通貨の回収BINの下にそれぞれ一緒にバッチ処理される。最後に、照合のために、FMIDは、元の国内MIDへマッピングし戻され、販売者へ報告される。この処理の1つの利点は、処理業者が元の取引通貨/金額と取引精算通貨/金額および決済通貨/金額との間の、さもなければ遊離した接続性を取引レベルで照合することを許容することである。
【0074】
好ましい実施の形態では、取引を完了する前に、TOT通貨換算処理に参加することへカード保有者の承諾を得ることが望ましい。承諾を取得するための1つの理由は、カード協会の要求事項である場合、販売者へも適用される場合がある。そうすることの別の理由は、カード保有者がTOT通貨換算処理によって見積もられているレートが不利過ぎると感じている場合、または個人的理由により参加することをただ望まないだけの場合、カード保有者にオプトアウトしないこと、および参加しないことを選択する機会を供与することである。カード保有者が取引をオプトアウトする場合、取引は販売者の国内回収業者を通して従来の方法で処理され、換算はカード協会によって後日行われる。
【0075】
開示処理が最も効果的であるために、発行元通貨で請求される取引金額についてカード保有者に最初に勧告し、次いでその承諾を得ることが好ましい。この2つのステップが生じる方法は、取引の性質によって決まる。3つの例が示されており、それらは、1) 小売店取引; 2) レストラン取引;および 3) ホテル取引である。
【0076】
小売店
小売店環境でオプトインするための処理は、使用中のPOS装置の特定の機能性に依存し、装置が、「顧客向き」であるか「販売者向き」であるか、すなわち、装置を操作するのは顧客か販売者かに依存する。好ましくは、TOT開示および承諾(オプトイン受領)言語の呈示は、カード保有者が単に取引領収書に署名すれば、支払処理業者208がその取引をTOT取引として処理する、といったものである。
【0077】
カード保有者が取引の一部分を「キー」入力する機会を有する顧客向きPOS装置を販売者が使用している場合、オプトインは、好ましくはPOS装置の画面上に承諾文言を表示し、カード保有者が発行元通貨での支払を選択するよう求めることによって取得される。小売店POSアプリケーションの多様性、および画面上に表示できる文字数を考えると、カード保有者からの承諾を追求および取得することに多様な方式があることを当該技術に精通する者は認識するであろう。
【0078】
販売者向き端末の場合、オプトインのメッセージは、好ましくは、カード保有者の承諾を口頭で得て、カード保有者の好みを有効にするために必要とするキーを押す販売者の従業員によって対処される。
【0079】
カード保有者が支払処理業者208システムへオプトインすると、販売者は、カード保有者との取引を慣習的な方法で完了する(例えば、適正な認証を確実にし、カード保有者の署名を領収書に取得する等)。好ましい実施の形態では、認証方法に対する追補記録にあるフィールドは、カード保有者がオプトインしたことを示すよう設定される「オプトイン」フラグを含む。支払処理業者208は、取引を精算する前にフラグをチェックし、オプトインについてフラグが設定されていない何れの取引も精算しない。取引を精算する代わりに、支払処理業者208は取引を従来の方法で処理する。
【0080】
販売者POS204によって受取られた認証返答は適用される換算レートおよび発行業者通貨での取引の合計金額を含む追補記録情報を含んでいるので、カード保有者はオプトインするかどうかについて情報を得た上で決定できる。カード保有者は、署名が取引について要求される時点で通貨換算情報を含む取引領収書を提供されるのが好ましい。一実施の形態で、取引領収書は、少なくとも以下の項目を含む:
・販売者の現地通貨での取引の価格;
・通貨についての適切な通貨記号または3文字のISO略語を伴う発行元通貨に換算された取引の価格;
・その日付で有効な換算レート;
・換算処理の簡潔な釈明。
【0081】
図11は、小売店環境でカード保有者へ呈示される領収書の例を示す。図11の領域1102では、領収書は、換算レート、換算通貨および換算された合計金額をカード保有者に通知する。図示の場合、販売者の現地通貨での購入金額は100米ドルであり、換算通貨は日本円(JPY)であり、レート(値入れを含む)は121.4321であり、そして円でカード保有者へ課金される合計金額は12143円である。
【0082】
レストラン
レストラン環境でカード保有者の承諾を得ることは、小売店環境と異なり、何故なら、一般的に、カード保有者も給仕係もPOS装置の直接傍にいないからである。例えば、給仕人が、一般的に勘定書を顧客へ呈示し、顧客は自己のクレジットカードを呈示し、給仕人はそこでそのクレジットカードを取り、それをPOS装置に通して、印刷された領収書を持ちテーブルへ帰る。顧客は領収書に署名し、チップを加算し、給仕人はチップの金額をPOS装置に加算する。従って、レストラン環境では、開示とプログラム承諾とは、もっぱら署名のためにカード保有者へ呈示される取引文書内だけでカード保有者から取得されるのが好ましく、POS装置においてではない。承諾は、TOT通貨換算開示を既存の署名欄の下に印刷するのが好ましく、カード保有者がオプトアウトを希望する場合にカード保有者が給仕係に通知できる追加の署名欄を持つことによって得られる。
【0083】
小売店環境におけるように、初期設定は、好ましくはカード保有者がTOT通貨換算プログラムへの参加を希望することである。結果として、好ましい実施の形態では、カード保有者が領収書の適切な箇所に単に署名すれば、TOT通貨換算が行われることになる。しかし、カード保有者がオプトアウトする欄に確かに署名する場合、支払はレストランの国内回収業者を通して従来の方法で処理されることになる。
【0084】
小売店の例におけるように、レストランPOSアプリケーションの多様性および画面上に表示できるデータ量を考えると、オプトイン手順を行うことに多くの方式がある。一実施の形態では、給仕係は単に、TOT処理による換算のために適性な、すなわち、カードがARDEF表205の範囲の一部である、取引に対するオプトインを確認するよう、チップを入力する場合にプロンプトされる。
【0085】
カード保有者がオプトインすると、販売者POS204は、上記で説明したようにカード保有者との取引を完了する。
【0086】
チップ行動を有するレストランの販売者POSシステム204では、支払処理業者の認証返答の追補記録にある換算された通貨の金額フィールドは、チップ額を含まない。レストラン取引の場合、Visa EISの「チップ額」が(販売者の源通貨での)チップ額で値が入力されている場合、支払処理業者208は、販売者の本拠地金額(チップを含む)、および任意のデータグループに提供されるレートを使用してカード保有者の請求金額を決定し、認証する。かように、TOT処理に参加するチップ行動を持つレストランの場合、販売者POS204は、Visa EIS 1080 規格に従う「チップ額」フィールドに、好ましくは値を入力しなければならない。
【0087】
図12は、一実施の形態で、レストラン環境でカード保有者へ提示される課金伝票の例を示す。換算通貨、換算レートおよび換算金額を開示することに加えて、領域1202は、また、カード保有者によって加算される何れのチップ額も換算金額に含まれないが、開示された同じ換算レートで加算されることを開示している。カード保有者がTOT取引のオプトアウトを望むことを示すよう、第2の署名欄がカード保有者に対して設けられている。
【0088】
宿泊所
宿泊所環境(例えば、ホテル、モーテル、イン等)では、一実施の形態において、施設で取引を完了する全てのカード保有者によって署名される販売手形、帳票、インボイス、または他の文書上に印刷された開示文言にカード保有者を署名または頭文字署名させることによってオプトインが得られる。そのような文言の例は:
「我が国際カード保有者への便宜として、取引時のクレジットカード換算サービスをご提示いたします。貴方がこのサービスの使用を希望され、貴方のVisa(登録商標)またはMasterCard(登録商標)がこのサービスに適している場合、課金の元の現地通貨金額は、チェックアウト時点で貴方のカードプロバイダによって提示されるレートより有利な為替レートで、カード請求される通貨へ換算されます。」
【0089】
開示文言は、宿泊所施設で取引を完了する全てのカード保有者によって署名される同じ販売手形、帳票、インボイス、または他の文書上に表示されるのが好ましい。開示文言は、紙上に事前印刷されるか、またはチェックイン取引の他の要素と共に字句として印刷されて伝達できる。
【0090】
販売者が「ペーパーレス」または特急チェックインサービスを採用している場合、カード保有者へ開示を提供するための代替の方法は、カード保有者が、サービスに参加するフロント係による口頭促進を含む。カード保有者が承認すれば、承認はフロント係によってPOSに入力され、結果として、サービスに参加するカード保有者の決定を印刷した確認となる。
【0091】
かさねて、初期設定は、カード保有者をプログラムにオプトインさせることが好ましい。従って、カード保有者が開示に署名すれば、支払はTOTとして処理される。
【0092】
好ましい実施の形態では、カード保有者が当初の認証でTOT通貨換算処理へオプトインしない場合、その後の何れの付加的または逆向きの認証も、精算ファイルも同じように、グループIII追補記録の「オプトアウトフラグフィールド」を「Yes」へ設定して含まなくてはならない。
【0093】
支払処理業者208によって提供される認証返答メッセージでPOSへ返送されたグループIII追補内の情報は、換算情報での帳票の後日の印刷を可能にするために格納されるのが好ましい。しかし、支払処理業者208は頻繁に為替レートを更新するので、認証処理中に販売者の現地通貨からカード保有者の通貨へ取引金額を換算することに使用する為替レートは、(認証と取引捕捉とが同じ日に発生しなければ)カード保有者の帳票上へ印刷する最終取引金額を換算することに使用され、精算のためにカード協会へ提出される為替レートではない。
【0094】
チェックアウト時にカード保有者へ開示する更新したレートを得るため、販売者204は、好ましくは販売者204でアクティブの(例えば、ホテルに宿泊している)カード保有者口座のそれぞれについて毎日「ゼロ」認証を行う。すなわち、販売者POS204は、0.00ドルの金額での付加的認証を求めて支払処理業者208へアクセスする。これらの取引は、プログラム参加のためにフラグ付けたグループIII追補記録のおかげで販売者204で識別可能である(すなわち、TOT換算のために適性でない取引は、認証返答にグループIII追補記録を有せず、カード保有者がオプトアウトした適性な取引はグループIII追補記録のオプトアウトフラグフィールドに「Yes」を含んでいる)。
【0095】
更新したレートがゼロ認証処理を経て得られると、販売者POS204は、好ましくは適正なレートが帳票および決済ファイルに反映されるようにこれらのレートを格納する。加えて、販売者POS204は、チェックアウト後に要求される帳票が適正な換算情報で印刷されることを確実にするために、180日間これらのレートを格納するのが好ましい。例えば、帰宅して、カード保有者がその請求書のコピーを求めてホテルに電話する場合、帳票は印刷でき、その正確さが検証できる。
【0096】
図13は、一実施の形態において、ホテル環境でチェックアウト時にカード保有者へ呈示される帳票の例を示す。開示された換算通貨、換算レートおよび換算金額は、その日に履行したゼロ認証の結果に基づき呈示され、チェックイン時の値と異なることがある。
【0097】
本発明を、限られた数の実施の形態に関して特に詳細に説明した。本発明は、他の実施の形態においてもまた実施できることを当該技術に精通する者は認識するであろう。なによりも、構成要素の特定の命名、用語の大文字使用、属性、データ構造、またはその他のプログラミングまたは構造的観点は、必須または有意義ではなく、そして、本発明を実装するメカニズムまたはその特徴は、異なる名前、フォーマット、またはプロトコルを有していてもよい。更に、システムは、説明したようにハードウェアおよびソフトウェアの組合せにより、またはもっぱらハードウェア要素で実装されてもよい。また、本明細書で説明した種々のシステム構成要素の間の機能性の特定の区分は、単なる例示であり、必須ではなく;単一のシステム構成要素によって行われる機能は、複数の構成要素によってその代わりに行われてもよく、複数の構成要素によって行われる機能は、単一の構成要素によってその代わりに行われてもよい。例えば、支払処理業者の特定の機能等は、多くのまたは1つのモジュールで提供されてもよい。
【0098】
上記説明の幾つかの部分は、情報についての操作のアルゴリズムおよび記号表現という形で本発明の特長を示している。これらのアルゴリズム記述および表現は、クレジット取引に精通する者がその作業要旨を最も効果的に他の当該技術に精通する者へ伝達することに使用する手段である。これらの操作は、関数でまたは論理的に記述されているとはいえ、コンピュータプログラムによって実装できると理解される。その上に、一般性を失うことなく、これらの操作の編成をモジュールまたは符号装置として言及することは、時には好都合であるとも判明した。
【0099】
しかし、これらのおよび類似の用語の全ては、適切な物理量と連係でき、単にこれらの量に適用される好都合なラベルであることに留意すべきである。特に、明記のない限り、本発明の検討から明白なように、説明の全体にわたって、「処理」または「演算」または「計算」または「決定」または「表示」等の用語を利用する検討は、コンピュータシステムメモリまたはレジスタまたは他のかかる情報記憶装置、伝送または表示装置内部の物理的(電子的)量として表されたデータを操作し、変換するコンピュータシステム、または類似の電子的演算装置の作用および処理に言及する。
【0100】
本発明の一部の観点は、アルゴリズム形態の本明細書に説明した処理ステップおよび命令を含む。本発明の処理ステップおよび命令は、ソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアで実施でき、ソフトウェアで実施された場合、リアルタイムのネットワークオペレーティングシステムによって使用される異なるプラットフォーム上に常駐し、操作されるようダウンロードできることに注意すべきである。
【0101】
本発明は、また、本明細書の操作を行うための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築してもよく、またはコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に作動または再設定される汎用コンピュータで構成してもよい。かかるコンピュータプログラムは、コンピュータ読出可能記憶媒体に格納してもよく、記憶媒体は、例えば、限定しないが、フロッピディスク、光ディスク、CD−ROM、光磁気ディスクを含む任意の種類のディスク、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、特定用途向け集積回路(ASIC)、または電気的命令を格納するために好適な任意の種類の媒体であり、それぞれがコンピュータシステムバスへ結合される。その上、明細書で言及したコンピュータは、単一のプロセッサを含んでもよいし、演算能力を増大するために複数プロセッサ設計を採用する構成であってもよい。
【0102】
本明細書で示すアルゴリズムおよび表示は、何れの特定のコンピュータまたは他の装置と本質的に関係しない。種々の汎用システムも本明細書の教示に従ったプログラムで使用されてもよく、必要とされる方法ステップを行うより専用の装置を構築することが好都合であると判明することもある。多様なこれらのシステムのために必要とされる構造は、上記の説明から明らであろう。加えて、本発明は、いずれか特定のプログラミング言語を参照して説明してはいない。多様なプログラミング言語が本明細書で説明したような本発明の教示を実装することに使用されてもよいと認識され、特定の言語への言及があれば、本発明の実装可能性および最良の様態の開示のために提供される。
【0103】
最後に、本明細書に使用した言葉は、主に読み易さと解説目的で選択してあり、発明の主題を線引きする、つまり境界線を引くように選択していないことに注意すべきである。従って、本発明の開示は、本発明の範囲を示す意図であり、本発明の範囲を限定する意図はない。
【符号の説明】
【0104】
104 販売者
106 回収業者
108 カード協会
110 カード発行業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通貨換算を伴うクレジットカード取引を処理する方法であって、
第1通貨での取引金額を含むクレジットカード取引に対する認証要求を受取ることと、
前記取引金額を第2通貨へ換算することと、
前記換算された取引金額を含む前記認証要求を発行銀行へ送信することと、
前記取引を承認する認証返答を受取ることと、
前記換算された取引金額を含む取引伝票を印刷することであって、前記取引伝票は前記換算された取引金額で前記取引を処理させることを辞退する前記カード保有者の署名を受取るための署名区画を含むことと
を具備する方法。
【請求項2】
クレジットカード取引を処理するための方法であって、前記取引は前記カード保有者のクレジットカードを使用して販売者とカード保有者との間で生じ、前記販売者は現地通貨に関連し、前記クレジットカードは関連する発行元通貨を有し、前記方法は、
前記販売者からの認証要求を受取ることであって、前記認証要求は前記現地通貨建の取引金額を含むことと、
前記現地通貨建と前記発行元通貨建との間の複数の換算レートの中から適用可能な換算レートを選択することと、
選択された適用可能な換算レートを用いて、前記現地通貨建の前記取引金額を前記発行元通貨建の金額へ換算することと、
前記認証要求をカード協会へ転送することであって、前記転送される認証要求は前記発行元通貨建であることと、
前記カード協会からの認証返答を受取ることであって、前記認証返答は前記発行元通貨建であることと、
前記認証返答を前記販売者へ転送することであって、前記転送された認証返答は前記発行元通貨建の金額を含むとともに換算情報を含むことと
を具備する方法。
【請求項3】
前記複数の換算レートの各々は、基本レートに対して適用される複数の値入れレートの1つを含む、請求項2の方法。
【請求項4】
前記適用可能な換算レートは、前記クレジットカードの種類に従って選択される、請求項3の方法。
【請求項5】
前記クレジットカードはカード協会によって発行され、前記基本レートは、更に、前記現地通貨から前記発行元通貨へ取引を換算することに前記カード協会が使用する卸売現物為替レートに従って決定される、請求項4の方法。
【請求項6】
前記適用可能な換算レートは、前記販売者の同一性に従って選択される、請求項3の方法。
【請求項7】
前記適用可能な換算レートは、前記取引を受取った前記販売者に関連する回収業者の同一性に従って選択される、請求項3の方法。
【請求項8】
前記適用可能な換算レートは、前記クレジットカードを発行したカード協会に従って選択される、請求項3の方法。
【請求項9】
前記適用可能な換算レートを選択することは、更に、
前記クレジットカードの発行者によって課された換算レートを決定することと、
前記クレジットカードの発行者によって課された前記決定された換算レートよりも低い換算レートを選択することと
を含む、請求項3の方法。
【請求項10】
前記適用可能な換算レートを選択することは、更に、
前記クレジットカードに関連したカード発行協会によって課された換算レートを決定することと、
前記カード発行協会によって課された前記決定された換算レートよりも低い換算レートを選択することと
を含む、請求項3の方法。
【請求項11】
前記適用可能な換算レートは、前記クレジットカードの発行銀行に従って選択される、請求項3の方法。
【請求項12】
前記適用可能な換算レートは、前記取引を受取った前記販売者の決済精算期間に従って選択される、請求項3の方法。
【請求項13】
前記適用可能な換算レートの前記値入れは正である、請求項3の方法。
【請求項14】
前記適用可能な換算レートの前記値入れは負である、請求項3の方法。
【請求項15】
更に、前記発行元通貨建の金額の一部を前記取引に対する当事者へ提供することを具備する、請求項3の方法。
【請求項16】
前記取引に対する当事者は、前記販売者である、請求項15の方法。
【請求項17】
前記取引に対する当事者は、前記販売者の回収銀行である、請求項15の方法。
【請求項18】
前記取引に対する当事者は、販売時点管理技術のプロバイダである、請求項15の方法。
【請求項19】
前記取引に対する当事者は、支払ゲートウェイのプロバイダである、請求項15の方法。
【請求項20】
更に、取引報告書を作成することを具備し、前記取引報告書は前記取引に帰する交換費用を含む、請求項2の方法。
【請求項21】
前記選択された換算レートを前記カード保有者へ開示することを更に具備する、請求項2の方法。
【請求項22】
前記換算レートを開示することは、取引記録を印刷することを含み、前記記録は前記現地通貨および前記発行元通貨での取引金額を含む、請求項21の方法。
【請求項23】
前記カード保有者からの承諾を得て、前記発行元通貨建の金額で前記クレジットカード取引を完了することを更に具備する、請求項21の方法。
【請求項24】
前記カード保有者からの承諾を得ることは、更に、前記カード保有者の署名を取引領収書に得ることを具備する、請求項23の方法。
【請求項25】
前記カード保有者からの承諾を得ることは、更に、販売時点管理装置において顧客からの入力を受取ることを具備する、請求項23の方法。
【請求項26】
前記カード保有者からの承諾を得ることは、更に、前記カード保有者へ前記現地通貨および前記発行元通貨での取引金額を前記販売時点管理装置上で表示することと、前記金額のうちの1つの選択を前記カード保有者から前記販売時点管理装置上で受取ることを具備する、請求項25の方法。
【請求項27】
前記カード保有者からの承諾を得ることは、更に、口頭で前記承諾を得ることを具備する、請求項25の方法。
【請求項28】
クレジットカード取引を処理するための方法であって、各取引は前記カード保有者のクレジットカードを使用して販売者とカード保有者との間で生じるとともにある取引金額を有し、各販売者は現地通貨に関連し、各クレジットカードは関連する発行元通貨を有し、前記方法は、
複数の取引を複数の販売者から受取ることと、
各取引について、前記取引を前記現地通貨建の金額から前記発行元通貨建の金額へ換算するための基本レートを決定し、値入れを決定して前記基本レートへ適用し、前記基本レートおよび前記値入れ率によって前記取引金額を前記現地通貨建の金額から前記発行元通貨建の金額へ換算することと、
前記取引を受取った前記販売者へ前記発行元通貨建の金額を通信することと
を具備する方法。
【請求項29】
クレジットカード取引を処理するためのコンピュータプログラムであって、前記取引はカード保有者のクレジットカードを使用して販売者と該カード保有者との間で生じ、前記販売者は現地通貨に関連し、前記クレジットカードは関連する発行元通貨を有し、前記コンピュータプログラムは、プロセッサに、
前記販売者からの認証要求を受取る手順と、ここで、前記認証要求は前記現地通貨建の取引金額を含む前記手順と、
前記現地通貨建と前記発行元通貨建との間の複数の換算レートの中から適用可能な換算レートを選択する手順と、
選択された適用可能な換算レートを用いて、前記現地通貨建の前記取引金額を前記発行元通貨建の金額へ換算する手順と、
前記認証要求をカード協会へ転送する手順と、ここで、前記転送される認証要求は前記発行元通貨建である前記手順と、
前記カード協会からの認証返答を受取る手順と、ここで、前記認証返答は前記発行元通貨建である前記手順と、
前記認証返答を前記販売者へ転送する手順と、ここで、前記転送される認証返答は前記発行元通貨建であるとともに、換算情報を含む前記手順と
を、実行させるよう構成されていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項30】
クレジットカード取引を処理するための方法であって、前記取引は販売者と複数のカード保有者との間で生じ、各カード保有者は関連する発行元通貨を有するクレジットカードを使用し、前記販売者は販売者ID(MID)を有し、そして前記販売者は現地通貨に関連しており、前記方法は、
前記販売者が対応する各発行元通貨に対し、前記販売者用の外国販売者ID(FMID)を規定することと、
前記販売者の前記MIDから各FMIDへのマッピングを決定することと、
処理されるべき複数のクレジット取引記録を前記販売者から受取ることであって、各取引記録は前記MIDを含むことと、
受取る各取引記録について、前記MIDを前記取引に使用される前記クレジットカードの前記発行元通貨に対する前記FMIDに置き換えて、修正した取引記録を作成することと、
FMIDによって前記修正した取引記録をグループ化することと、
精算のために前記グループ化した修正取引記録を送信することと
を具備する方法。
【請求項31】
決済報告書を受取ることであって、前記決済報告書は精算のために送信される前記グループ化した修正取引記録の決済結果を含むことと、
前記販売者の各FMIDから前記販売者の前記MIDへのマッピングを決定することと、
照合報告書を前記MIDによって識別される前記販売者へ送信することと
を更に具備する、請求項30の方法。
【請求項32】
クレジットカード取引処理を容易にするためのクレジットカード領収書であって、取引は販売者とカード保有者との間で生じ、前記カード保有者は関連する発行元通貨を持つクレジットカードを有し、前記販売者は関連する現地通貨を有し、前記領収書は、
前記現地通貨建の取引金額、
前記発行元通貨建の取引金額、および
前記カード保有者の署名を得るための署名欄、
を含む開示情報
を備え、前記開示情報は、更に、前記署名欄のカード保有者署名が、前記取引金額を前記現地通貨から前記発行元通貨へ換算することの認証であることを明示することを特徴とするクレジットカード領収書。
【請求項33】
前記クレジットカード領収書は、更に、前記カード保有者から認証を得るための第2の署名欄を含み、前記開示情報は、更に、前記署名欄のカード保有者署名が、前記取引金額を前記現地通貨から前記発行元通貨へ換算することの認証の否定であることを明示する、請求項32のクレジットカード領収書。
【請求項34】
クレジットカード取引を処理するためのシステムであって、各取引は販売者とカード保有者との間で生じ、前記カード保有者は関連する発行元通貨を持つクレジットカードを有し、各販売者は関連する現地通貨を有し、
販売者とカード保有者との間の、クレジットカードを使用する、前記販売者に関連する前記現地通貨建の取引を容易にするため、そして、前記取引時に前記カード保有者へ前記クレジットカードに関連する前記発行元通貨に換算された取引金額と前記現地通貨での取引金額を開示するための、販売時点管理システムと、
前記販売者の販売時点管理システムへ通信可能に接続される支払プロセッサであって、前記取引時に前記現地通貨から前記発行元通貨への通貨換算を決定するための支払処理ロジックと複数のデータファイルを含む支払プロセッサと
で構成されるシステム。
【請求項35】
前記販売者の販売時点管理システムから前記支払プロセッサへの通信が、前記現地通貨を同定する、請求項34のシステム。
【請求項36】
前記支払プロセッサは決済ファイルを含み、前記決済ファイルは、カード保有者が前記取引を前記現地通貨で完了したか、前記発行元通貨で完了したかを各取引について示す、請求項34のシステム。
【請求項37】
前記決済ファイルは、更に、各取引について、前記取引の時間、前記現地通貨額面金額、前記発行元通貨額面金額、前記換算レート、および通貨コードを含む、請求項36のシステム。
【請求項38】
前記現地通貨での取引金額および前記発行元通貨での取引金額の両方の前記カード保有者への開示は、クレジットカード領収書上に提供され、かつ、前記クレジットカード領収書は、前記換算を認証するための署名欄を含む、請求項34のシステム。
【請求項39】
前記クレジットカード領収書は、
チップ額の記入のための場所と、
前記チップ額は取引時通貨換算を使用して換算されることの開示と
を含む、請求項38のシステム。
【請求項40】
前記クレジットカード領収書は、更に、前記取引時通貨換算をオプトアウトするための署名欄を含む、請求項39のシステム。
【請求項41】
前記カード保有者へ開示される前記換算される取引金額は、見積金額である、請求項34のシステム。
【請求項42】
前記販売者は宿泊所を前記カード保有者へ提供し、前記見積金額は前記カード保有者の到着時に開示される、請求項41のシステム。
【請求項43】
前記販売者は宿泊所を前記カード保有者へ提供し、実際の換算金額は前記カード保有者へ前記カード保有者の出発時に提供される、請求項41のシステム。
【請求項44】
前記販売者は宿泊所を前記カード保有者へ複数のレート期間に対して提供し、前記実際の換算金額は、前記複数の各レート期間に対する換算金額を含む、請求項43のシステム。
【請求項45】
前記レート期間は一晩である、請求項44のシステム。
【請求項46】
前記複数のデータファイルは、取引が前記支払プロセッサによって換算される販売者の回収業者を識別するための回収業者識別表を含む、請求項34のシステム。
【請求項47】
前記複数のデータファイルは、前記現地通貨と前記発行元通貨との間の基本換算レートを識別するための基本換算レート表を含む、請求項34のシステム。
【請求項48】
前記基本換算レートは、更に、カード協会によって指定される、請求項47のシステム。
【請求項49】
前記基本換算レートは、更に、回収業者によって指定される、請求項47のシステム。
【請求項50】
前記基本換算レートは、更に、期間によって指定される、請求項47のシステム。
【請求項51】
前記基本換算レートは、更に、販売者によって指定される、請求項47のシステム。
【請求項52】
前記複数のデータファイルは、前記販売者によって対応される各発行元通貨に対して販売者MIDを外国MID(FMID)へマッピングするための販売者ID(MID)相互参照表を含む、請求項34のシステム。
【請求項53】
前記MID相互参照表は、更に、各販売者の基本通貨から各FMID精算通貨へ換算するために使用されるべき値入れ方法の指示を含む、請求項52のシステム。
【請求項54】
前記複数のデータファイルは、値入れ方法表を含む、請求項34のシステム。
【請求項55】
前記値入れ方法表は、前記値入れが正であるかどうかの指示を含む、請求項54のシステム。
【請求項56】
前記値入れ方法表は、更に、値入れの値を含む、請求項55のシステム。
【請求項57】
前記値入れ方法表は、前記値入れが負であるかどうかの指示を含む、請求項54のシステム。
【請求項58】
前記値入れ方法表は、更に、値入れの値を含む、請求項57のシステム。
【請求項59】
前記複数のデータファイルは、複数の各クレジットカードに適用される値入れを示すためのカード協会手数料表を含む、請求項34のシステム。
【請求項60】
前記カード協会手数料表は、発行銀行によって適用される値入れを示す、請求項59のシステム。
【請求項61】
前記カード協会手数料表は、カード協会によって適用される値入れを示す、請求項59のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−301561(P2009−301561A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181980(P2009−181980)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【分割の表示】特願2005−507110(P2005−507110)の分割
【原出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【出願人】(505163567)プラネット ペイメント,インク. (2)
【Fターム(参考)】