受信装置、受信方法、およびプログラム
【課題】受信性能を向上させることができるようにする。
【解決手段】本技術の一側面の受信装置は、極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を調整する利得制御部と、データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する制御部とを備える。本技術は、DVB-T2規格のMISO(Multi Input, Single Output)方式で送信されるデータを受信する受信機に適用することができる。
【解決手段】本技術の一側面の受信装置は、極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を調整する利得制御部と、データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する制御部とを備える。本技術は、DVB-T2規格のMISO(Multi Input, Single Output)方式で送信されるデータを受信する受信機に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置、受信方法、およびプログラムに関し、特に、受信性能を向上させることができるようにした受信装置、受信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[OFDMについて]
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式によるデータ伝送は、伝送帯域内に多数の直交するサブキャリア(副搬送波)を使用し、それぞれのサブキャリアの振幅や位相にデータを割り当てることによって行われる。データはOFDMシンボルと呼ばれるシンボル単位で伝送される。OFDMシンボルに対しては、送信時にIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)が行われる。
【0003】
図1は、OFDMシンボルを示す図である。OFDMシンボルは、一般に、送信時にIFFTが行われる信号区間である有効シンボルと、有効シンボルの後半の一部の波形が、そのまま有効シンボルの先頭にコピーされたガードインターバル(GI)とから構成される。
【0004】
OFDMシンボルの先頭にガードインターバルを設けることによって、マルチパスに対する耐性を向上させることが可能になる。このようなOFDMシンボルを複数集めて一つのOFDM伝送フレームが形成される。
【0005】
[DVB-T2のMISOについて]
第2世代欧州地上波デジタル放送規格(DVB-T2)ではMISO(Multi Input, Single Output)によるデータ伝送が可能になっている。例えば送信側で2本のアンテナを利用してデータを送信することにより、2本のアンテから送信される信号の組み合わせによってダイバーシチ(diversity)を生じさせることができ、受信性能を向上させることが可能になる。MISOによるデータ伝送は、特に、強いマルチパスの環境下において有効とされている。
【0006】
図2は、DVB-T2におけるMISOによるデータ伝送を示す図である。
【0007】
図2に示すように、MISO送信機にはアンテナ1(Tx1)、アンテナ2(Tx2)の2本のアンテナが設けられ、MISO受信機には1本のアンテナ(Rx1)が設けられる。MISO送信機には、Alamouti pairとなるSa,Sbの2つの信号が入力される。
【0008】
MISO送信機は、Sa,Sbに対してAlamouti codingを施し、Tx1から、Sa,Sbをその順番で送信する。一方、MISO送信機は、Tx2から、Saの複素共役である(Sa)*と、Sbの複素共役であり、かつ符号を反転させた−(Sb)*を、−(Sb)*,(Sa)*の順番で送信する。
【0009】
MISO受信機は、伝送路特性H11,H12,H21,H22を推定し、受信信号Ra,Rbに対してAlamouti decodingを行うことによって、送信信号Sa,Sb(Sa’,Sb’)を取得する。Tx1からSaが送信されるとともにTx2から−(Sb)*が送信される時刻を時刻t1、Tx1からSbが送信されるとともにTx2から(Sa)*が送信される時刻を時刻t2とすると、H11は、Tx1−Rx1間の時刻t1における伝送路特性を表し、Saに対する重みとなる。また、H12は、Tx1−Rx1間の時刻t2における伝送路特性を表し、Sbに対する重みとなる。H21は、Tx2−Rx1間の時刻t1における伝送路特性を表し、−(Sb)*に対する重みとなり、H22は、Tx2−Rx1間の時刻t2における伝送路特性を表し、(Sa)*に対する重みとなる。
【0010】
MISO受信機において、受信信号Ra,Rbはそれぞれ下式(1)、(2)により表される。
【数1】
【数2】
【0011】
式(1)、(2)を行列式で表すと下式(3)のようになる。
【数3】
【0012】
受信信号を表す行列をR、伝送路特性を表す行列をH、送信信号を表す行列をSとすると、式(3)は下式(4)により表される。行列R,H,Sはそれぞれ下式(5)、式(6)、式(7)により表される。
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【0013】
MISO受信機によるAlamouti decodingは下式(8)により表される。S’はAlamouti decodingによる復号後の信号を表す行列である。
【数8】
【0014】
式(8)においては、受信信号を表す行列Rから送信信号を表す行列Sを求めるために、伝送路特性を表す行列Hの逆行列を行列Rに乗算することが行われる。ノイズが無ければ行列Sと行列S’は一致することになる。行列S’は下式(9)により表される。
【数9】
【0015】
MISO受信機は、以上のようにして求めたSa’,Sb’を出力する。
【0016】
図3は、データ伝送がMISOによって行われる場合のSP(Scattered Pilot)の配置の例を示す図である。図3の横軸はキャリア番号を表し、縦軸はシンボル番号を表す。
【0017】
SPは伝送路特性の推定に用いられる既知信号である。欧州地上波デジタル放送規格(DVB-T)や日本地上波デジタル放送規格(ISDB-T)ではSPの配置が一意に定められているが、DVB-T2では8種類のPilot Pattern(PP)が定められている。DVB-T2のMISO受信機においては、受信した信号に含まれる情報に基づいてPPを特定し、SPを用いて伝送路特性を推定することが行われる。図3のSPの配置は、PP2の場合の配置を示す。
【0018】
データ伝送がMISOによって行われる場合、SPは、図3に示すように、Sum SP、またはDiff SPとして送信される。
【0019】
Sum SPは、偶数番号(シンボル番号が偶数)のシンボルにおけるSPである。Sum SPは、Tx1,Tx2から、極性が変更されないSP(以下、正転SPという)として送信され、MISO受信機において足し合わされる。
【0020】
Diff SPは、奇数番号(シンボル番号が奇数)のシンボルにおけるSPである。Diff SPは、Tx1からは正転SPとして、Tx2からは、極性が反転したSP(以下、反転SPという)として送信され、MISO受信機において引き算される。極性が反転した状態は、IQ平面上で、原点を中心として点対称の位置にある状態である。
【0021】
MISO受信機は、このSum SPとDiff SPをそれぞれ時間方向および周波数方向に補間して、全キャリアにおける伝送路特性を推定することになる。
【0022】
[DVB-T2のSignalingについて]
DVB-T2では、T2フレームと呼ばれるフレームが定義され、データはT2フレーム単位で送信される。
【0023】
T2フレームは、P1,P2と呼ばれる2種類のプリアンブル(Preamble)信号を含み、そのプリアンブル信号には、OFDM信号の復調等の処理に必要な情報が含まれる。
【0024】
図4は、T2フレームのフレーム構造を示す図である。図4に示すように、1つのT2フレームには、P1シンボル、P2シンボル、及び、データシンボル(Normal又はFC)が含まれる。
【0025】
P1シンボルはP1 Signalingを送信するためのシンボルであり、以下のa〜dの情報が含まれる。
a.フレーム識別
b.伝送方式
c.FFTサイズ
d.GI長の一部
【0026】
フレーム識別は、伝送フレームがT2 Frameであるのか、FEF(Future Extension Frame)であるのかを表す。伝送方式は、伝送方式がSISO(Single Input Single Output)であるのか、MISO(Multiple Input, Single Output)であるのかを表す。FFTサイズは、送信側の1回のIFFT演算のpoint数を表す。GI長の一部は、7種類のGI長を2つにグルーピングし、いずれのグループのGI長を使ってシンボルの伝送が行われているのかを表す。
【0027】
送信信号の伝送方式がSISOであるのかMISOであるのかを特定するには、MISO受信機は、P1 Signalingを復号すればよいことになる。なお、P2シンボルにも上記a〜dの情報が重複してSignalingされているが、P2シンボルのL1PRE Signaling、L1POST Signalingを復号するには、P1 Signalingの上記a〜dの情報が必要になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】"Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital terrestrial television broadcasting system (DVB-T2)", DVB Document A122 June 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
MISOでは、Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路の状態によって、Sum SPとDiff SPの電力に大きな差が生じる。以下に例を示す。
【0030】
例1
Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路の振幅特性および位相特性が同一である場合(H11=H21,H12=H22である場合)
この場合、図5に示すように、奇数番号のシンボルでは、Tx1からの正転SPと、Tx2からの反転SPが相殺され、MISO受信機におけるDiff SPの電力は"0"になる。つまり、2シンボル毎にSPの電力が"0"になる。
【0031】
図5の1段目はMISO送信機のTx1から送信される信号を表し、2段目はTx2から送信される信号を表す。図5の3段目はMISO受信機のRx1において受信される信号を表し、4段目はMISO受信機におけるゲイン制御の例を表す。
【0032】
図5の例においては、奇数番号のシンボルであるシンボル#1,#3の位置に矢印で示すように、Tx1から正転SPとして送信されたDiff SPの電力と、Tx2から反転SPとして送信されたDiff SPの電力がMISO受信機において相殺されている。MISO受信機におけるDiff SPの電力は"0"となる。
【0033】
一方、偶数番号のシンボルであるシンボル#0,#2の位置に矢印で示すように、Tx1から正転SPとして送信されたSum SPの電力と、Tx2から正転SPとして送信されたSum SPの電力がMISO受信機において足し合わされている。各Sum SPの電力を"1"とすると、MISO受信機におけるSum SPの電力は"2"となる。
【0034】
例2
Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路の振幅特性が同一であり、位相特性が逆位相である場合(H11=−H21,H12=−H22である場合)
この場合、例1の場合と反対に、偶数番号のシンボルでは、Tx1からの正転SPと、Tx2からの正転SPが相殺され、Sum SPの電力は"0"になる。つまり、2シンボル毎にSPの電力が"0"になる。
【0035】
例1、例2の場合以外の場合においても、MISOでは、Sum SPの電力とDiff SPの電力に大きな差が生じることがあり、これが、2シンボル毎の、OFDM信号全体の電力の偏りになる。特に、SPの配置間隔がより密なPPである場合には、この電力の偏りが顕著に現れる。
【0036】
通常、MISO受信機にはAGC(Automatic Gain Control)の機能が用意されており、入力されたOFDM信号の電力が一定に保たれる。入力されたOFDM信号の電力が低い場合、ゲインを高く設定することによって電力を上げ、反対に、入力されたOFDM信号の電力が高い場合、ゲインを低く設定することによって電力を下げるような制御が動的に行われる。
【0037】
従って、MISO受信機においては、図5の4段目に示すように、入力されたOFDM信号が偶数番号のシンボルの信号である場合には、大きな電力が検出されることに追従してゲインが低く設定されることになる。また、入力されたOFDM信号が奇数番号のシンボルの信号である場合には、小さな電力が検出されることに追従してゲインが高く設定されることになる。図5の楕円C1,C2で囲んで示す部分のゲインの変化は、OFDM信号が奇数番号のシンボルの信号であり、電力が低いことが検出されたことに追従していることを表す。
【0038】
このように、ゲインの追従速度によっては、2シンボル毎のOFDM信号全体の電力の偏りにゲインが追従してしまい、入力されたOFDM信号の電力の変化が大きくなってしまう。その結果、受信性能の劣化を引き起こすことがある。
【0039】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、例えばデータ伝送がMISOで行われる場合であっても受信性能を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本技術の一側面の受信装置は、極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を調整する利得制御部と、データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する制御部とを備える。
【0041】
極性の方向の相関が高い信号には、極性の方向が完全に一致するだけでなく、極性の方向の相関を表す値が閾値以上である信号も含まれる。また、極性の方向の相関が低い信号には、極性の方向が完全に反転しているだけでなく、極性の方向の相関を表す値が閾値未満である信号も含まれる。追従特性には追従速度が含まれる。
【0042】
前記制御部には、データの伝送方式がMISOである場合、SISOである場合と異なる特性で利得を追従させることができる。
【0043】
前記制御部には、利得の追従特性を規定するパラメータを変えることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0044】
利得の追従特性を規定するパラメータには時定数が含まれる。時定数以外の他のパラメータを変えることによって利得の追従特性を制御するようにしてもよい。
【0045】
前記制御部には、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちのいずれかのパイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0046】
前記利得制御部は、DVB-T2のOFDM信号の電力を調整し、前記第1のパイロット信号は、Sum SPであり、前記第2のパイロット信号は、Diff SPであるようにすることができる。
【0047】
P1シンボルを検出する検出部をさらに設けることができる。この場合、前記制御部には、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOである場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0048】
前記制御部には、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0049】
前記OFDM信号から前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号を抽出し、電力の小さい方のパイロット信号を特定する処理部をさらに設けることができる。この場合、前記制御部には、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0050】
前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差を計算する処理部をさらに設けることができる。この場合、前記制御部には、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOであり、かつ、前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差が閾値以上である場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0051】
前記制御部には、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0052】
前記処理部には、さらに、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちの電力の小さい方のパイロット信号を特定させ、前記制御部には、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0053】
本技術の一側面においては、極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力が利得制御部によって調整され、データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性が制御される。
【発明の効果】
【0054】
本技術によれば、受信性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】OFDMシンボルを示す図である。
【図2】MISOによるデータ伝送を示す図である。
【図3】SPの配置の例を示す図である。
【図4】T2フレームのフレーム構造を示す図である。
【図5】Sum SPとDiff SPの電力差について説明する図である。
【図6】本技術の一実施形態に係る受信装置に設けられる信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【図7】受信装置の処理について説明するフローチャートである。
【図8】図7のステップS6において行われる第1の追従特性制御処理について説明するフローチャートである。
【図9】図7のステップS6において行われる第2の追従特性制御処理について説明するフローチャートである。
【図10】受信装置の他の処理について説明するフローチャートである。
【図11】受信システムの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図12】受信システムの第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図13】受信システムの第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図14】コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[信号処理部の構成]
図6は、本技術の一実施形態に係る受信装置に設けられる信号処理部11の構成例を示すブロック図である。
【0057】
図6の信号処理部11を有する受信装置は、図2に示すようなMISO送信機から送信された信号を受信するMISO受信機としての機能と、SISOによって送信された信号を受信する機能を有する。受信装置にはアンテナ(Rx1)が設けられる。
【0058】
信号処理部11は、デジタルAGC部21、FFT演算部22、Alamoutiデコーダ23、P1検出/Signaling解釈部24、伝送路特性推定部25、デジタルAGC制御部26、等化部27、および信号切替部28から構成される。
【0059】
信号処理部11に対しては、Rx1において受信された受信信号に対してA/D変換を施し、直交復調を施すことによって得られたDVB-T2のOFDM信号が入力される。信号処理部11に入力されるOFDM信号は、FFT演算が行われる前の時間域のベースバンド信号であり、実軸成分(I成分)と虚軸成分(Q成分)とを含む。
【0060】
信号処理部11に入力されるOFDM信号は、SISOまたはMISOによって送信機から送信された信号である。送信機においては、MISOによって信号を送信する場合、Sum SPが、Tx1とTx2の双方から正転SPとして送信され、Diff SPが、Tx1からは正転SPとして、Tx2からは反転SPとして送信される。Sum SPは、極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信される信号となり、Diff SPは、極性の方向の相関が低い信号として異なる伝送路を介して送信される信号となる。
【0061】
デジタルAGC部21は、ゲイン(利得)を制御して、入力されたOFDM信号の電力を調整する。動作開始時、デジタルAGC部21によるゲイン制御は、予め設定された既定の時定数に従って行われる。時定数は、ゲイン制御の追従特性を規定するパラメータの一つである。
【0062】
デジタルAGC部21によるゲイン制御は、適宜、データの伝送方式などに応じて、デジタルAGC制御部26によって制御される。デジタルAGC部21は、電力を調整した時間域のOFDMをFFT演算部22とP1検出/Signaling解釈部24に出力する。
【0063】
FFT演算部22は、デジタルAGC部21から供給された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。FFT演算部22は、FFT演算によって得られた周波数域のOFDM信号をAlamoutiデコーダ23、伝送路特性推定部25、および等化部27に出力する。
【0064】
Alamoutiデコーダ23は、伝送路特性推定部25により推定された各キャリアにおけるTx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路特性を用いてAlamouti decodingを行い、周波数域のOFDM信号を等化する。
【0065】
Alamoutiデコーダ23は、等化後のOFDM信号(Sa’,Sb’)を信号切替部28に出力する。
【0066】
P1検出/Signaling解釈部24は、T2フレームの先頭に含まれるP1シンボルを検出し、P1シンボルによって伝送されたP1 Signalingを復号する。また、P1検出/Signaling解釈部24は、復号して得られたP1 Signalingに基づいて、データの伝送方式が、SISOであるのか、MISOであるのかを特定する。上述したように、P1 Signalingには、伝送方式がSISOであるのか、MISOであるのかを表す情報が含まれている。
【0067】
P1検出/Signaling解釈部24は、データの伝送方式がMISOであると特定した場合、そのことを表すMISOフラグをデジタルAGC制御部26と信号切替部28に出力する。P1検出/Signaling解釈部24により復号されたP1 Signalingに含まれるFFTサイズの情報やGI長の一部の情報は、適宜、FFT演算部22などの他の処理部において用いられる。
【0068】
伝送路特性推定部25は、FFT演算部22から供給された周波数域のOFDM信号からSP(Sum SP,Diff SP)を抽出し、SPの配置位置におけるキャリアの伝送路特性を推定する。伝送路特性推定部25は、SPの配置位置における伝送路特性を時間方向および周波数方向に補間し、OFDM信号の各キャリアにおける伝送路特性を推定し、推定した伝送路特性を表す伝送路情報をAlamoutiデコーダ23と等化部27に出力する。Alamoutiデコーダ23に対しては各キャリアのTx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路特性が供給される。
【0069】
伝送路特性推定部25は、データの伝送方式がMISOである場合、Sum SPの電力とDiff SPの電力との差を計算し、図5を参照して説明したような電力の偏りがあるか否かを判定する。例えば、伝送路特性推定部25は、Sum SPとDiff SPの電力差が閾値以上あると判定した場合、電力に偏りがあると判断して、そのことを表す電力偏り検出フラグをデジタルAGC制御部26に出力する。
【0070】
伝送路特性推定部25は、SPのシンボル番号をカウントし、シンボル番号の情報をデジタルAGC制御部26に出力する。また、伝送路特性推定部25は、Sum SPの電力の総和と、Diff SPの電力の総和とを計算し、Sum SPとDiff SPのうちのいずれのSPの方が電力の総和が小さいのかを特定する。伝送路特性推定部25は、Sum SPとDiff SPのうちのいずれのSPの方が電力の総和が小さいのかを表す情報をデジタルAGC制御部26に出力する。電力の総和は、例えば所定の同じ数のSum SPとDiff SPを用いて計算される。
【0071】
デジタルAGC制御部26は、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給された場合、デジタルAGC部21のゲインの追従特性を制御する。また、デジタルAGC制御部26は、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給され、かつ、伝送路特性推定部25から電力偏り検出フラグが供給された場合、デジタルAGC部21のゲインの追従特性を制御する。
【0072】
例えば、デジタルAGC制御部26は、既定の時定数よりゲインの追従が遅くなるような時定数をMISO用の時定数としてデジタルAGC部21に設定することによって、デジタルAGC部21のゲインの追従特性を制御する。デジタルAGC部21は、MISO用の時定数がデジタルAGC制御部26から供給された場合、既定の時定数に代えて、MISO用の時定数に従ってゲインを制御する。
【0073】
これにより、データ伝送がMISOで行われることによって電力の偏りが現れる場合であっても、それに追従しないようにゲインを制御することができ、デジタルAGC部21から出力される信号の電力の変動を抑えることが可能になる。
【0074】
また、デジタルAGC制御部26は、Sum SPとDiff SPのうち、電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングでAGC停止フラグを出力し、ゲイン制御を停止させることによって、デジタルAGC部21のゲインの追従特性を制御する。電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングは、伝送路特性推定部25から供給されたシンボル番号に基づいて特定される。
【0075】
デジタルAGC部21は、AGC停止フラグがデジタルAGC制御部26から供給された場合、電力の総和が小さい方のSPが入力される間のゲイン制御を停止する。ゲイン制御を停止している間、電力の調整自体が停止されるようにしてもよいし、ゲイン制御を停止する直前のゲインを用いて電力の調整が続けられるようにしてもよい。
【0076】
これにより、データ伝送がMISOで行われることによって電力の偏りが現れる場合であっても、電力の総和が小さい方のSPが入力される間はゲインを追従させないようにすることができ、時間域のOFDM信号の電力の変動を抑えることが可能になる。なお、電力の総和が大きい方のSPが入力される間のゲイン制御を停止させることも可能である。
【0077】
以上のようにしてゲインの追従特性を制御してOFDM信号の電力の変動を抑えることによって、データ伝送がMISOで行われる場合の受信性能の劣化を抑え、受信性能を向上させることが可能になる。
【0078】
等化部27は、伝送路特性推定部25により推定された各キャリアにおける伝送路特性を用いて周波数域のOFDM信号の等化を行い、等化後のOFDM信号を信号切替部28に出力する。
【0079】
信号切替部28は、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給された場合、すなわちデータの伝送方式がMISOである場合、Alamoutiデコーダ23から供給された信号を図示せぬ誤り訂正部に出力する。また、信号切替部28は、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給されない場合、すなわちデータの伝送方式がSISOである場合、等化部27から供給された信号を図示せぬ誤り訂正部に出力する。
【0080】
[受信装置の動作]
ここで、受信装置の動作について説明する。各ステップの処理は、適宜、他のステップの処理と並行して、または、他のステップの処理と前後して行われる。
【0081】
はじめに、図7のフローチャートを参照して、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給された場合にゲインの追従特性を制御する処理について説明する。
【0082】
ステップS1において、デジタルAGC部21は、既定の時定数に従ってゲインを制御し、入力されたOFDM信号の電力を調整する。
【0083】
ステップS2において、P1検出/Signaling解釈部24はP1シンボルを検出する。
【0084】
ステップS3において、P1検出/Signaling解釈部24は、P1シンボルによって伝送されたP1 Signalingを復号する。
【0085】
ステップS4において、P1検出/Signaling解釈部24は、データの伝送方式がMISOであるか否かを、P1 Signalingに含まれる情報に基づいて判定する。
【0086】
データの伝送方式がMISOであるとステップS4において判定した場合、ステップS5において、P1検出/Signaling解釈部24は、MISOフラグをデジタルAGC制御部26に出力する。
【0087】
ステップS6において、デジタルAGC制御部26は追従特性制御処理を行う。追従特性制御処理については図7、図8のフローチャートを参照して後述する。
【0088】
ステップS7において、デジタルAGC部21は、デジタルAGC制御部26による制御に従ってゲインを制御し、電力を調整した時間域のOFDM信号をFFT演算部22に出力する。
【0089】
ステップS8において、FFT演算部22は、デジタルAGC部21から供給された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。
【0090】
ステップS9において、伝送路特性推定部25は、FFT演算部22から供給された周波数域のOFDM信号に含まれるSPに基づいて、OFDM信号の各キャリアにおける、Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路特性を推定する。
【0091】
ステップS10において、Alamoutiデコーダ23は、伝送路特性推定部25により推定された伝送路特性を用いてAlamouti decodingを行い、周波数域のOFDM信号を等化する。Alamoutiデコーダ23は、等化後のOFDM信号を出力する。Alamoutiデコーダ23から出力された等化後のOFDM信号は信号切替部28により選択され、誤り訂正部に出力される。その後、処理は終了する。
【0092】
一方、データの伝送方式がMISOではなくSISOであるとステップS4において判定された場合、ステップS11において、信号処理部11の各部は通常の復調動作を行う。すなわち、デジタルAGC部21は既定の時定数に従ってゲインを制御し、FFT演算部22は、電力が調整された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。伝送路特性推定部25は、周波数域のOFDM信号に含まれるSPに基づいて伝送路特性を推定し、等化部27は、推定された伝送路特性を用いて、周波数域のOFDM信号の等化を行う。等化部27から出力された等化後のOFDM信号は信号切替部28により選択され、誤り訂正部に出力される。
【0093】
次に、図8のフローチャートを参照して、図7のステップS6において行われる第1の追従特性制御処理について説明する。図8の処理は、MISO用の時定数を設定することによってゲインの追従特性を制御する処理である。
【0094】
ステップS21において、デジタルAGC制御部26は、既定の時定数よりゲインの追従が遅くなるMISO用の時定数をデジタルAGC部21に設定する。その後、図7のステップS6以降の処理が行われ、ステップS7において、デジタルAGC部21により、MISO用の時定数に従ってゲインが制御される。
【0095】
次に、図9のフローチャートを参照して、図7のステップS6において行われる第2の追従特性制御処理について説明する。図9の処理は、ゲイン制御を停止させることによってゲインの追従特性を制御する処理である。
【0096】
ステップS31において、伝送路特性推定部25は、SPのシンボル番号をカウントし、シンボル番号の情報をデジタルAGC制御部26に出力する。
【0097】
ステップS32において、伝送路特性推定部25は、Sum SPの電力の総和と、Diff SPの電力の総和とを計算し、Sum SPとDiff SPのうちのいずれのSPの方が電力の総和が小さいかを特定する。伝送路特性推定部25は、電力の総和が小さい方のSPを表す情報をデジタルAGC制御部26に出力する。
【0098】
ステップS33において、デジタルAGC制御部26は、いまのタイミングが、電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングであるか否かを判定する。
【0099】
電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングであるとステップS33において判定した場合、ステップS34において、デジタルAGC制御部26は、AGC停止フラグをデジタルAGC部21に出力し、処理を終了させる。その後、図7のステップS6以降の処理が行われ、ステップS7において、AGC停止フラグが供給されることに応じて、デジタルAGC部21により、電力の総和が小さい方のSPが入力される間、ゲイン制御が停止される。
【0100】
一方、電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングではないとステップS33において判定した場合、ステップS34をスキップし、デジタルAGC制御部26は処理を終了させる。その後、図7のステップS6以降の処理が行われ、ステップS7において、デジタルAGC部21により、既定の時定数に従ってゲインが制御される。
【0101】
次に、図10のフローチャートを参照して、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給され、かつ伝送路特性推定部25から電力偏り検出フラグが供給された場合にゲインの追従特性を制御する処理について説明する。
【0102】
図10のステップS41乃至S45の処理は、図7のステップS1乃至S5の処理と同じ処理である。すなわち、ステップS41において、デジタルAGC部21は、既定の時定数に従ってゲインを制御し、入力されたOFDM信号の電力を調整する。
【0103】
ステップS42において、P1検出/Signaling解釈部24はP1シンボルを検出する。
【0104】
ステップS43において、P1検出/Signaling解釈部24は、P1シンボルによって伝送されたP1 Signalingを復号する。
【0105】
ステップS44において、P1検出/Signaling解釈部24は、データの伝送方式がMISOであるか否かを、P1 Signalingに含まれる情報に基づいて判定する。
【0106】
データの伝送方式がMISOであるとステップS44において判定した場合、ステップS45において、P1検出/Signaling解釈部24は、MISOフラグをデジタルAGC制御部26に出力する。
【0107】
ステップS46において、FFT演算部22は、デジタルAGC部21から供給された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。
【0108】
ステップS47において、伝送路特性推定部25は、FFT演算部22から供給された周波数域のOFDM信号に含まれるSPに基づいて、OFDM信号の各キャリアにおける、Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路特性を推定する。
【0109】
ステップS48において、伝送路特性推定部25は、Sum SPの電力とDiff SPの電力との差を計算する。
【0110】
ステップS49において、伝送路特性推定部25は、図5を参照して説明したような電力の偏りがあるか否かを、Sum SPの電力とDiff SPの電力との差に基づいて判定する。
【0111】
電力の偏りがあるとステップS49において判定した場合、ステップS50において、伝送路特性推定部25は、電力偏り検出フラグをデジタルAGC制御部26に出力する。
【0112】
ステップS51において、デジタルAGC制御部26は追従特性制御処理を行う。追従特性制御処理として、図8のフローチャートを参照して説明した処理、または、図9のフローチャートを参照して説明した処理が行われる。
【0113】
ステップS52において、デジタルAGC部21は、デジタルAGC制御部26による制御に従ってゲインの制御を行い、電力を調整した時間域のOFDM信号をFFT演算部22に出力する。
【0114】
ステップS53において、FFT演算部22は、図8または図9の処理によってゲインの追従特性が制御され、その追従特性が制御されたゲインに従って電力が調整された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。
【0115】
ステップS54において、Alamoutiデコーダ23は、伝送路特性推定部25により推定された伝送路特性を用いてAlamouti decodingを行い、周波数域のOFDM信号を等化する。Alamoutiデコーダ23は、等化後のOFDM信号を出力する。Alamoutiデコーダ23から出力された等化後のOFDM信号は信号切替部28により選択され、誤り訂正部に出力される。その後、処理は終了する。
【0116】
一方、データの伝送方式がMISOではなくSISOであるとステップS44において判定された場合、または、電力に偏りがないとステップS49において判定された場合、ステップS55において、信号処理部11の各部は通常の復調動作を行う。すなわち、データの伝送方式がMISOではなくSISOであるとステップS44において判定された場合、図7のステップS11の処理と同じ処理が行われる。また、電力に偏りがないとステップS49において判定された場合、ゲインの追従特性を制御することなく、MISOによって送信されたデータの復調が行われる。
【0117】
以上の処理により、データ伝送がMISOで行われることによって電力の偏りが現れる場合であっても、それに追従しないようにゲインを制御することができ、OFDM信号の電力の変動を抑えることが可能になる。また、信号処理部11における受信性能の劣化を抑えることが可能になる。
【0118】
[変形例]
MISO用の時定数を用いる制御方法と、電力の総和が小さい方のSPが入力されるタイミングでゲイン制御を停止させる制御方法の2つのうちのいずれかの方法によってゲインの追従特性を制御するものとしたが、2つの制御方法を適宜切り替えるようにしてもよい。
【0119】
例えば、Sum SPとDiff SPの電力の総和の差が閾値未満である場合には前者の制御方法を用い、Sum SPとDiff SPの電力の総和の差が閾値以上である場合には後者の制御方法を用いるようにすることが可能である。また、ゲインの追従特性の制御方法をPPに応じて変えるようにすることも可能である。
【0120】
[受信システムに適用した例]
図11は、信号処理部11を適用した受信システムの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0121】
図11の受信システムは、取得部101、伝送路復号処理部102、および情報源復号処理部103から構成される。
【0122】
取得部101は、地上デジタル放送、衛星デジタル放送、CATV網、インターネットその他のネットワーク等の図示せぬ伝送路を介して信号を取得し、伝送路復号処理部102に供給する。図6の信号処理部11は例えば取得部101に含まれる。
【0123】
伝送路復号処理部102は、取得部101が伝送路を介して取得した信号に対して、誤り訂正を含む伝送路復号処理を施し、その結果得られる信号を情報源復号処理部103に供給する。
【0124】
情報源復号処理部103は、伝送路復号処理が施された信号に対して、圧縮された情報を元の情報に伸張し、送信対象のデータを取得する処理を含む情報源復号処理を施す。
【0125】
すなわち、取得部101が伝送路を介して取得した信号には、画像や音声等のデータ量を少なくするために、情報を圧縮する圧縮符号化が施されていることがある。その場合、情報源復号処理部103は、伝送路復号処理が施された信号に対して、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理等の情報源復号処理を施す。
【0126】
なお、取得部101が伝送路を介して取得した信号に圧縮符号化が施されていない場合、情報源復号処理部103では、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理は行われない。ここで、伸張処理としては、例えば、MPEGデコード等がある。また、情報源復号処理には、伸張処理の他、デスクランブル等が含まれることがある。
【0127】
図11の受信システムは、例えば、デジタルテレビジョン放送を受信するテレビチューナ等に適用することができる。なお、取得部101、伝送路復号処理部102、および情報源復号処理部103は、それぞれ、1つの独立した装置(ハードウェア(IC(Integrated Circuit)等))、又はソフトウェアモジュール)として構成することが可能である。
【0128】
また、取得部101、伝送路復号処理部102、および、情報源復号処理部103については、それらの3つのセットを1つの独立した装置として構成することが可能である。取得部101と伝送路復号処理部102とのセットを1つの独立した装置として構成することも可能であるし、伝送路復号処理部102と情報源復号処理部103とのセットを1つの独立した装置として構成することも可能である。
【0129】
図12は、信号処理部11を適用した受信システムの第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0130】
図12に示す構成のうち、図11に示す構成と対応する構成については、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0131】
図12の受信システムの構成は、取得部101、伝送路復号処理部102、および情報源復号処理部103を有する点で図11の構成と共通し、出力部111が新たに設けられている点で図11の構成と相違する。
【0132】
出力部111は、例えば、画像を表示する表示装置や音声を出力するスピーカであり、情報源復号処理部103から出力される信号としての画像や音声等を出力する。すなわち、出力部111は、画像を表示し、あるいは、音声を出力する。
【0133】
図12の受信システムは、例えば、デジタル放送としてのテレビジョン放送を受信するTVや、ラジオ放送を受信するラジオ受信機等に適用することができる。
【0134】
なお、取得部101において取得された信号に圧縮符号化が施されていない場合、伝送路復号処理部102が出力する信号が、直接、出力部111に供給される。
【0135】
図13は、信号処理部11を適用した受信システムの第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0136】
図13に示す構成のうち、図11に示す構成と対応する構成については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0137】
図13の受信システムの構成は、取得部101、および伝送路復号処理部102を有する点で図11の構成と共通し、情報源復号処理部103が設けられておらず、記録部121が新たに設けられている点で図11の構成と相違する。
【0138】
記録部121は、伝送路復号処理部102が出力する信号(例えば、MPEGのTSのTSパケット)を、光ディスクや、ハードディスク(磁気ディスク)、フラッシュメモリ等の記録(記憶)媒体に記録する(記憶させる)。
【0139】
以上のような図13の受信システムは、テレビジョン放送を録画するレコーダ機器等に適用することができる。
【0140】
なお、情報源復号処理部103を設け、情報源復号処理部103で情報源復号処理が施された後の信号、すなわち、デコードによって得られる画像や音声を記録部121で記録するようにしてもよい。
【0141】
[コンピュータの構成例]
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0142】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0143】
CPU(Central Processing Unit)151、ROM(Read Only Memory)152、RAM(Random Access Memory)153は、バス154により相互に接続されている。
【0144】
バス154には、さらに、入出力インタフェース155が接続されている。入出力インタフェース155には、キーボード、マウスなどよりなる入力部156、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部157が接続される。また、入出力インタフェース155には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部158、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部159、リムーバブルメディア161を駆動するドライブ160が接続される。
【0145】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU151が、例えば、記憶部158に記憶されているプログラムを入出力インタフェース155及びバス154を介してRAM153にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0146】
CPU151が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア161に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部158にインストールされる。
【0147】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0148】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0149】
[他の変形例]
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0150】
(1)
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を調整する利得制御部と、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する制御部と
を備える受信装置。
【0151】
(2)
前記制御部は、データの伝送方式がMISOである場合、SISOである場合と異なる特性で利得を追従させる
前記(1)に記載の受信装置。
【0152】
(3)
前記制御部は、利得の追従特性を規定するパラメータを変えることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(1)または(2)に記載の受信装置。
【0153】
(4)
前記制御部は、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちのいずれかのパイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(1)または(2)に記載の受信装置。
【0154】
(5)
前記利得制御部は、DVB-T2のOFDM信号の電力を調整し、
前記第1のパイロット信号は、Sum SPであり、
前記第2のパイロット信号は、Diff SPである
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の受信装置。
【0155】
(6)
P1シンボルを検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOである場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(5)に記載の受信装置。
【0156】
(7)
前記制御部は、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(5)または(6)に記載の受信装置。
【0157】
(8)
前記OFDM信号から前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号を抽出し、電力の小さい方のパイロット信号を特定する処理部をさらに備え、
前記制御部は、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(5)または(6)に記載の受信装置。
【0158】
(9)
前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差を計算する処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOであり、かつ、前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差が閾値以上である場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(6)に記載の受信装置。
【0159】
(10)
前記制御部は、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(9)に記載の受信装置。
【0160】
(11)
前記処理部は、さらに、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちの電力の小さい方のパイロット信号を特定し、
前記制御部は、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(9)に記載の受信装置。
【0161】
(12)
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を利得制御部によって調整し、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
ステップを含む受信方法。
【0162】
(13)
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を利得制御部によって調整し、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0163】
11 信号処理部, 21 デジタルAGC部, 22 FFT演算部, 23 Alamoutiデコーダ, 24 P1検出/Signaling解釈部, 25 伝送路特性推定部, 26 デジタルAGC制御部
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置、受信方法、およびプログラムに関し、特に、受信性能を向上させることができるようにした受信装置、受信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[OFDMについて]
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式によるデータ伝送は、伝送帯域内に多数の直交するサブキャリア(副搬送波)を使用し、それぞれのサブキャリアの振幅や位相にデータを割り当てることによって行われる。データはOFDMシンボルと呼ばれるシンボル単位で伝送される。OFDMシンボルに対しては、送信時にIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)が行われる。
【0003】
図1は、OFDMシンボルを示す図である。OFDMシンボルは、一般に、送信時にIFFTが行われる信号区間である有効シンボルと、有効シンボルの後半の一部の波形が、そのまま有効シンボルの先頭にコピーされたガードインターバル(GI)とから構成される。
【0004】
OFDMシンボルの先頭にガードインターバルを設けることによって、マルチパスに対する耐性を向上させることが可能になる。このようなOFDMシンボルを複数集めて一つのOFDM伝送フレームが形成される。
【0005】
[DVB-T2のMISOについて]
第2世代欧州地上波デジタル放送規格(DVB-T2)ではMISO(Multi Input, Single Output)によるデータ伝送が可能になっている。例えば送信側で2本のアンテナを利用してデータを送信することにより、2本のアンテから送信される信号の組み合わせによってダイバーシチ(diversity)を生じさせることができ、受信性能を向上させることが可能になる。MISOによるデータ伝送は、特に、強いマルチパスの環境下において有効とされている。
【0006】
図2は、DVB-T2におけるMISOによるデータ伝送を示す図である。
【0007】
図2に示すように、MISO送信機にはアンテナ1(Tx1)、アンテナ2(Tx2)の2本のアンテナが設けられ、MISO受信機には1本のアンテナ(Rx1)が設けられる。MISO送信機には、Alamouti pairとなるSa,Sbの2つの信号が入力される。
【0008】
MISO送信機は、Sa,Sbに対してAlamouti codingを施し、Tx1から、Sa,Sbをその順番で送信する。一方、MISO送信機は、Tx2から、Saの複素共役である(Sa)*と、Sbの複素共役であり、かつ符号を反転させた−(Sb)*を、−(Sb)*,(Sa)*の順番で送信する。
【0009】
MISO受信機は、伝送路特性H11,H12,H21,H22を推定し、受信信号Ra,Rbに対してAlamouti decodingを行うことによって、送信信号Sa,Sb(Sa’,Sb’)を取得する。Tx1からSaが送信されるとともにTx2から−(Sb)*が送信される時刻を時刻t1、Tx1からSbが送信されるとともにTx2から(Sa)*が送信される時刻を時刻t2とすると、H11は、Tx1−Rx1間の時刻t1における伝送路特性を表し、Saに対する重みとなる。また、H12は、Tx1−Rx1間の時刻t2における伝送路特性を表し、Sbに対する重みとなる。H21は、Tx2−Rx1間の時刻t1における伝送路特性を表し、−(Sb)*に対する重みとなり、H22は、Tx2−Rx1間の時刻t2における伝送路特性を表し、(Sa)*に対する重みとなる。
【0010】
MISO受信機において、受信信号Ra,Rbはそれぞれ下式(1)、(2)により表される。
【数1】
【数2】
【0011】
式(1)、(2)を行列式で表すと下式(3)のようになる。
【数3】
【0012】
受信信号を表す行列をR、伝送路特性を表す行列をH、送信信号を表す行列をSとすると、式(3)は下式(4)により表される。行列R,H,Sはそれぞれ下式(5)、式(6)、式(7)により表される。
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【0013】
MISO受信機によるAlamouti decodingは下式(8)により表される。S’はAlamouti decodingによる復号後の信号を表す行列である。
【数8】
【0014】
式(8)においては、受信信号を表す行列Rから送信信号を表す行列Sを求めるために、伝送路特性を表す行列Hの逆行列を行列Rに乗算することが行われる。ノイズが無ければ行列Sと行列S’は一致することになる。行列S’は下式(9)により表される。
【数9】
【0015】
MISO受信機は、以上のようにして求めたSa’,Sb’を出力する。
【0016】
図3は、データ伝送がMISOによって行われる場合のSP(Scattered Pilot)の配置の例を示す図である。図3の横軸はキャリア番号を表し、縦軸はシンボル番号を表す。
【0017】
SPは伝送路特性の推定に用いられる既知信号である。欧州地上波デジタル放送規格(DVB-T)や日本地上波デジタル放送規格(ISDB-T)ではSPの配置が一意に定められているが、DVB-T2では8種類のPilot Pattern(PP)が定められている。DVB-T2のMISO受信機においては、受信した信号に含まれる情報に基づいてPPを特定し、SPを用いて伝送路特性を推定することが行われる。図3のSPの配置は、PP2の場合の配置を示す。
【0018】
データ伝送がMISOによって行われる場合、SPは、図3に示すように、Sum SP、またはDiff SPとして送信される。
【0019】
Sum SPは、偶数番号(シンボル番号が偶数)のシンボルにおけるSPである。Sum SPは、Tx1,Tx2から、極性が変更されないSP(以下、正転SPという)として送信され、MISO受信機において足し合わされる。
【0020】
Diff SPは、奇数番号(シンボル番号が奇数)のシンボルにおけるSPである。Diff SPは、Tx1からは正転SPとして、Tx2からは、極性が反転したSP(以下、反転SPという)として送信され、MISO受信機において引き算される。極性が反転した状態は、IQ平面上で、原点を中心として点対称の位置にある状態である。
【0021】
MISO受信機は、このSum SPとDiff SPをそれぞれ時間方向および周波数方向に補間して、全キャリアにおける伝送路特性を推定することになる。
【0022】
[DVB-T2のSignalingについて]
DVB-T2では、T2フレームと呼ばれるフレームが定義され、データはT2フレーム単位で送信される。
【0023】
T2フレームは、P1,P2と呼ばれる2種類のプリアンブル(Preamble)信号を含み、そのプリアンブル信号には、OFDM信号の復調等の処理に必要な情報が含まれる。
【0024】
図4は、T2フレームのフレーム構造を示す図である。図4に示すように、1つのT2フレームには、P1シンボル、P2シンボル、及び、データシンボル(Normal又はFC)が含まれる。
【0025】
P1シンボルはP1 Signalingを送信するためのシンボルであり、以下のa〜dの情報が含まれる。
a.フレーム識別
b.伝送方式
c.FFTサイズ
d.GI長の一部
【0026】
フレーム識別は、伝送フレームがT2 Frameであるのか、FEF(Future Extension Frame)であるのかを表す。伝送方式は、伝送方式がSISO(Single Input Single Output)であるのか、MISO(Multiple Input, Single Output)であるのかを表す。FFTサイズは、送信側の1回のIFFT演算のpoint数を表す。GI長の一部は、7種類のGI長を2つにグルーピングし、いずれのグループのGI長を使ってシンボルの伝送が行われているのかを表す。
【0027】
送信信号の伝送方式がSISOであるのかMISOであるのかを特定するには、MISO受信機は、P1 Signalingを復号すればよいことになる。なお、P2シンボルにも上記a〜dの情報が重複してSignalingされているが、P2シンボルのL1PRE Signaling、L1POST Signalingを復号するには、P1 Signalingの上記a〜dの情報が必要になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】"Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital terrestrial television broadcasting system (DVB-T2)", DVB Document A122 June 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
MISOでは、Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路の状態によって、Sum SPとDiff SPの電力に大きな差が生じる。以下に例を示す。
【0030】
例1
Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路の振幅特性および位相特性が同一である場合(H11=H21,H12=H22である場合)
この場合、図5に示すように、奇数番号のシンボルでは、Tx1からの正転SPと、Tx2からの反転SPが相殺され、MISO受信機におけるDiff SPの電力は"0"になる。つまり、2シンボル毎にSPの電力が"0"になる。
【0031】
図5の1段目はMISO送信機のTx1から送信される信号を表し、2段目はTx2から送信される信号を表す。図5の3段目はMISO受信機のRx1において受信される信号を表し、4段目はMISO受信機におけるゲイン制御の例を表す。
【0032】
図5の例においては、奇数番号のシンボルであるシンボル#1,#3の位置に矢印で示すように、Tx1から正転SPとして送信されたDiff SPの電力と、Tx2から反転SPとして送信されたDiff SPの電力がMISO受信機において相殺されている。MISO受信機におけるDiff SPの電力は"0"となる。
【0033】
一方、偶数番号のシンボルであるシンボル#0,#2の位置に矢印で示すように、Tx1から正転SPとして送信されたSum SPの電力と、Tx2から正転SPとして送信されたSum SPの電力がMISO受信機において足し合わされている。各Sum SPの電力を"1"とすると、MISO受信機におけるSum SPの電力は"2"となる。
【0034】
例2
Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路の振幅特性が同一であり、位相特性が逆位相である場合(H11=−H21,H12=−H22である場合)
この場合、例1の場合と反対に、偶数番号のシンボルでは、Tx1からの正転SPと、Tx2からの正転SPが相殺され、Sum SPの電力は"0"になる。つまり、2シンボル毎にSPの電力が"0"になる。
【0035】
例1、例2の場合以外の場合においても、MISOでは、Sum SPの電力とDiff SPの電力に大きな差が生じることがあり、これが、2シンボル毎の、OFDM信号全体の電力の偏りになる。特に、SPの配置間隔がより密なPPである場合には、この電力の偏りが顕著に現れる。
【0036】
通常、MISO受信機にはAGC(Automatic Gain Control)の機能が用意されており、入力されたOFDM信号の電力が一定に保たれる。入力されたOFDM信号の電力が低い場合、ゲインを高く設定することによって電力を上げ、反対に、入力されたOFDM信号の電力が高い場合、ゲインを低く設定することによって電力を下げるような制御が動的に行われる。
【0037】
従って、MISO受信機においては、図5の4段目に示すように、入力されたOFDM信号が偶数番号のシンボルの信号である場合には、大きな電力が検出されることに追従してゲインが低く設定されることになる。また、入力されたOFDM信号が奇数番号のシンボルの信号である場合には、小さな電力が検出されることに追従してゲインが高く設定されることになる。図5の楕円C1,C2で囲んで示す部分のゲインの変化は、OFDM信号が奇数番号のシンボルの信号であり、電力が低いことが検出されたことに追従していることを表す。
【0038】
このように、ゲインの追従速度によっては、2シンボル毎のOFDM信号全体の電力の偏りにゲインが追従してしまい、入力されたOFDM信号の電力の変化が大きくなってしまう。その結果、受信性能の劣化を引き起こすことがある。
【0039】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、例えばデータ伝送がMISOで行われる場合であっても受信性能を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本技術の一側面の受信装置は、極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を調整する利得制御部と、データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する制御部とを備える。
【0041】
極性の方向の相関が高い信号には、極性の方向が完全に一致するだけでなく、極性の方向の相関を表す値が閾値以上である信号も含まれる。また、極性の方向の相関が低い信号には、極性の方向が完全に反転しているだけでなく、極性の方向の相関を表す値が閾値未満である信号も含まれる。追従特性には追従速度が含まれる。
【0042】
前記制御部には、データの伝送方式がMISOである場合、SISOである場合と異なる特性で利得を追従させることができる。
【0043】
前記制御部には、利得の追従特性を規定するパラメータを変えることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0044】
利得の追従特性を規定するパラメータには時定数が含まれる。時定数以外の他のパラメータを変えることによって利得の追従特性を制御するようにしてもよい。
【0045】
前記制御部には、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちのいずれかのパイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0046】
前記利得制御部は、DVB-T2のOFDM信号の電力を調整し、前記第1のパイロット信号は、Sum SPであり、前記第2のパイロット信号は、Diff SPであるようにすることができる。
【0047】
P1シンボルを検出する検出部をさらに設けることができる。この場合、前記制御部には、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOである場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0048】
前記制御部には、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0049】
前記OFDM信号から前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号を抽出し、電力の小さい方のパイロット信号を特定する処理部をさらに設けることができる。この場合、前記制御部には、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0050】
前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差を計算する処理部をさらに設けることができる。この場合、前記制御部には、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOであり、かつ、前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差が閾値以上である場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0051】
前記制御部には、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0052】
前記処理部には、さらに、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちの電力の小さい方のパイロット信号を特定させ、前記制御部には、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御させることができる。
【0053】
本技術の一側面においては、極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力が利得制御部によって調整され、データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性が制御される。
【発明の効果】
【0054】
本技術によれば、受信性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】OFDMシンボルを示す図である。
【図2】MISOによるデータ伝送を示す図である。
【図3】SPの配置の例を示す図である。
【図4】T2フレームのフレーム構造を示す図である。
【図5】Sum SPとDiff SPの電力差について説明する図である。
【図6】本技術の一実施形態に係る受信装置に設けられる信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【図7】受信装置の処理について説明するフローチャートである。
【図8】図7のステップS6において行われる第1の追従特性制御処理について説明するフローチャートである。
【図9】図7のステップS6において行われる第2の追従特性制御処理について説明するフローチャートである。
【図10】受信装置の他の処理について説明するフローチャートである。
【図11】受信システムの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図12】受信システムの第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図13】受信システムの第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図14】コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[信号処理部の構成]
図6は、本技術の一実施形態に係る受信装置に設けられる信号処理部11の構成例を示すブロック図である。
【0057】
図6の信号処理部11を有する受信装置は、図2に示すようなMISO送信機から送信された信号を受信するMISO受信機としての機能と、SISOによって送信された信号を受信する機能を有する。受信装置にはアンテナ(Rx1)が設けられる。
【0058】
信号処理部11は、デジタルAGC部21、FFT演算部22、Alamoutiデコーダ23、P1検出/Signaling解釈部24、伝送路特性推定部25、デジタルAGC制御部26、等化部27、および信号切替部28から構成される。
【0059】
信号処理部11に対しては、Rx1において受信された受信信号に対してA/D変換を施し、直交復調を施すことによって得られたDVB-T2のOFDM信号が入力される。信号処理部11に入力されるOFDM信号は、FFT演算が行われる前の時間域のベースバンド信号であり、実軸成分(I成分)と虚軸成分(Q成分)とを含む。
【0060】
信号処理部11に入力されるOFDM信号は、SISOまたはMISOによって送信機から送信された信号である。送信機においては、MISOによって信号を送信する場合、Sum SPが、Tx1とTx2の双方から正転SPとして送信され、Diff SPが、Tx1からは正転SPとして、Tx2からは反転SPとして送信される。Sum SPは、極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信される信号となり、Diff SPは、極性の方向の相関が低い信号として異なる伝送路を介して送信される信号となる。
【0061】
デジタルAGC部21は、ゲイン(利得)を制御して、入力されたOFDM信号の電力を調整する。動作開始時、デジタルAGC部21によるゲイン制御は、予め設定された既定の時定数に従って行われる。時定数は、ゲイン制御の追従特性を規定するパラメータの一つである。
【0062】
デジタルAGC部21によるゲイン制御は、適宜、データの伝送方式などに応じて、デジタルAGC制御部26によって制御される。デジタルAGC部21は、電力を調整した時間域のOFDMをFFT演算部22とP1検出/Signaling解釈部24に出力する。
【0063】
FFT演算部22は、デジタルAGC部21から供給された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。FFT演算部22は、FFT演算によって得られた周波数域のOFDM信号をAlamoutiデコーダ23、伝送路特性推定部25、および等化部27に出力する。
【0064】
Alamoutiデコーダ23は、伝送路特性推定部25により推定された各キャリアにおけるTx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路特性を用いてAlamouti decodingを行い、周波数域のOFDM信号を等化する。
【0065】
Alamoutiデコーダ23は、等化後のOFDM信号(Sa’,Sb’)を信号切替部28に出力する。
【0066】
P1検出/Signaling解釈部24は、T2フレームの先頭に含まれるP1シンボルを検出し、P1シンボルによって伝送されたP1 Signalingを復号する。また、P1検出/Signaling解釈部24は、復号して得られたP1 Signalingに基づいて、データの伝送方式が、SISOであるのか、MISOであるのかを特定する。上述したように、P1 Signalingには、伝送方式がSISOであるのか、MISOであるのかを表す情報が含まれている。
【0067】
P1検出/Signaling解釈部24は、データの伝送方式がMISOであると特定した場合、そのことを表すMISOフラグをデジタルAGC制御部26と信号切替部28に出力する。P1検出/Signaling解釈部24により復号されたP1 Signalingに含まれるFFTサイズの情報やGI長の一部の情報は、適宜、FFT演算部22などの他の処理部において用いられる。
【0068】
伝送路特性推定部25は、FFT演算部22から供給された周波数域のOFDM信号からSP(Sum SP,Diff SP)を抽出し、SPの配置位置におけるキャリアの伝送路特性を推定する。伝送路特性推定部25は、SPの配置位置における伝送路特性を時間方向および周波数方向に補間し、OFDM信号の各キャリアにおける伝送路特性を推定し、推定した伝送路特性を表す伝送路情報をAlamoutiデコーダ23と等化部27に出力する。Alamoutiデコーダ23に対しては各キャリアのTx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路特性が供給される。
【0069】
伝送路特性推定部25は、データの伝送方式がMISOである場合、Sum SPの電力とDiff SPの電力との差を計算し、図5を参照して説明したような電力の偏りがあるか否かを判定する。例えば、伝送路特性推定部25は、Sum SPとDiff SPの電力差が閾値以上あると判定した場合、電力に偏りがあると判断して、そのことを表す電力偏り検出フラグをデジタルAGC制御部26に出力する。
【0070】
伝送路特性推定部25は、SPのシンボル番号をカウントし、シンボル番号の情報をデジタルAGC制御部26に出力する。また、伝送路特性推定部25は、Sum SPの電力の総和と、Diff SPの電力の総和とを計算し、Sum SPとDiff SPのうちのいずれのSPの方が電力の総和が小さいのかを特定する。伝送路特性推定部25は、Sum SPとDiff SPのうちのいずれのSPの方が電力の総和が小さいのかを表す情報をデジタルAGC制御部26に出力する。電力の総和は、例えば所定の同じ数のSum SPとDiff SPを用いて計算される。
【0071】
デジタルAGC制御部26は、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給された場合、デジタルAGC部21のゲインの追従特性を制御する。また、デジタルAGC制御部26は、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給され、かつ、伝送路特性推定部25から電力偏り検出フラグが供給された場合、デジタルAGC部21のゲインの追従特性を制御する。
【0072】
例えば、デジタルAGC制御部26は、既定の時定数よりゲインの追従が遅くなるような時定数をMISO用の時定数としてデジタルAGC部21に設定することによって、デジタルAGC部21のゲインの追従特性を制御する。デジタルAGC部21は、MISO用の時定数がデジタルAGC制御部26から供給された場合、既定の時定数に代えて、MISO用の時定数に従ってゲインを制御する。
【0073】
これにより、データ伝送がMISOで行われることによって電力の偏りが現れる場合であっても、それに追従しないようにゲインを制御することができ、デジタルAGC部21から出力される信号の電力の変動を抑えることが可能になる。
【0074】
また、デジタルAGC制御部26は、Sum SPとDiff SPのうち、電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングでAGC停止フラグを出力し、ゲイン制御を停止させることによって、デジタルAGC部21のゲインの追従特性を制御する。電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングは、伝送路特性推定部25から供給されたシンボル番号に基づいて特定される。
【0075】
デジタルAGC部21は、AGC停止フラグがデジタルAGC制御部26から供給された場合、電力の総和が小さい方のSPが入力される間のゲイン制御を停止する。ゲイン制御を停止している間、電力の調整自体が停止されるようにしてもよいし、ゲイン制御を停止する直前のゲインを用いて電力の調整が続けられるようにしてもよい。
【0076】
これにより、データ伝送がMISOで行われることによって電力の偏りが現れる場合であっても、電力の総和が小さい方のSPが入力される間はゲインを追従させないようにすることができ、時間域のOFDM信号の電力の変動を抑えることが可能になる。なお、電力の総和が大きい方のSPが入力される間のゲイン制御を停止させることも可能である。
【0077】
以上のようにしてゲインの追従特性を制御してOFDM信号の電力の変動を抑えることによって、データ伝送がMISOで行われる場合の受信性能の劣化を抑え、受信性能を向上させることが可能になる。
【0078】
等化部27は、伝送路特性推定部25により推定された各キャリアにおける伝送路特性を用いて周波数域のOFDM信号の等化を行い、等化後のOFDM信号を信号切替部28に出力する。
【0079】
信号切替部28は、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給された場合、すなわちデータの伝送方式がMISOである場合、Alamoutiデコーダ23から供給された信号を図示せぬ誤り訂正部に出力する。また、信号切替部28は、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給されない場合、すなわちデータの伝送方式がSISOである場合、等化部27から供給された信号を図示せぬ誤り訂正部に出力する。
【0080】
[受信装置の動作]
ここで、受信装置の動作について説明する。各ステップの処理は、適宜、他のステップの処理と並行して、または、他のステップの処理と前後して行われる。
【0081】
はじめに、図7のフローチャートを参照して、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給された場合にゲインの追従特性を制御する処理について説明する。
【0082】
ステップS1において、デジタルAGC部21は、既定の時定数に従ってゲインを制御し、入力されたOFDM信号の電力を調整する。
【0083】
ステップS2において、P1検出/Signaling解釈部24はP1シンボルを検出する。
【0084】
ステップS3において、P1検出/Signaling解釈部24は、P1シンボルによって伝送されたP1 Signalingを復号する。
【0085】
ステップS4において、P1検出/Signaling解釈部24は、データの伝送方式がMISOであるか否かを、P1 Signalingに含まれる情報に基づいて判定する。
【0086】
データの伝送方式がMISOであるとステップS4において判定した場合、ステップS5において、P1検出/Signaling解釈部24は、MISOフラグをデジタルAGC制御部26に出力する。
【0087】
ステップS6において、デジタルAGC制御部26は追従特性制御処理を行う。追従特性制御処理については図7、図8のフローチャートを参照して後述する。
【0088】
ステップS7において、デジタルAGC部21は、デジタルAGC制御部26による制御に従ってゲインを制御し、電力を調整した時間域のOFDM信号をFFT演算部22に出力する。
【0089】
ステップS8において、FFT演算部22は、デジタルAGC部21から供給された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。
【0090】
ステップS9において、伝送路特性推定部25は、FFT演算部22から供給された周波数域のOFDM信号に含まれるSPに基づいて、OFDM信号の各キャリアにおける、Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路特性を推定する。
【0091】
ステップS10において、Alamoutiデコーダ23は、伝送路特性推定部25により推定された伝送路特性を用いてAlamouti decodingを行い、周波数域のOFDM信号を等化する。Alamoutiデコーダ23は、等化後のOFDM信号を出力する。Alamoutiデコーダ23から出力された等化後のOFDM信号は信号切替部28により選択され、誤り訂正部に出力される。その後、処理は終了する。
【0092】
一方、データの伝送方式がMISOではなくSISOであるとステップS4において判定された場合、ステップS11において、信号処理部11の各部は通常の復調動作を行う。すなわち、デジタルAGC部21は既定の時定数に従ってゲインを制御し、FFT演算部22は、電力が調整された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。伝送路特性推定部25は、周波数域のOFDM信号に含まれるSPに基づいて伝送路特性を推定し、等化部27は、推定された伝送路特性を用いて、周波数域のOFDM信号の等化を行う。等化部27から出力された等化後のOFDM信号は信号切替部28により選択され、誤り訂正部に出力される。
【0093】
次に、図8のフローチャートを参照して、図7のステップS6において行われる第1の追従特性制御処理について説明する。図8の処理は、MISO用の時定数を設定することによってゲインの追従特性を制御する処理である。
【0094】
ステップS21において、デジタルAGC制御部26は、既定の時定数よりゲインの追従が遅くなるMISO用の時定数をデジタルAGC部21に設定する。その後、図7のステップS6以降の処理が行われ、ステップS7において、デジタルAGC部21により、MISO用の時定数に従ってゲインが制御される。
【0095】
次に、図9のフローチャートを参照して、図7のステップS6において行われる第2の追従特性制御処理について説明する。図9の処理は、ゲイン制御を停止させることによってゲインの追従特性を制御する処理である。
【0096】
ステップS31において、伝送路特性推定部25は、SPのシンボル番号をカウントし、シンボル番号の情報をデジタルAGC制御部26に出力する。
【0097】
ステップS32において、伝送路特性推定部25は、Sum SPの電力の総和と、Diff SPの電力の総和とを計算し、Sum SPとDiff SPのうちのいずれのSPの方が電力の総和が小さいかを特定する。伝送路特性推定部25は、電力の総和が小さい方のSPを表す情報をデジタルAGC制御部26に出力する。
【0098】
ステップS33において、デジタルAGC制御部26は、いまのタイミングが、電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングであるか否かを判定する。
【0099】
電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングであるとステップS33において判定した場合、ステップS34において、デジタルAGC制御部26は、AGC停止フラグをデジタルAGC部21に出力し、処理を終了させる。その後、図7のステップS6以降の処理が行われ、ステップS7において、AGC停止フラグが供給されることに応じて、デジタルAGC部21により、電力の総和が小さい方のSPが入力される間、ゲイン制御が停止される。
【0100】
一方、電力の総和が小さい方のSPがデジタルAGC部21に入力されるタイミングではないとステップS33において判定した場合、ステップS34をスキップし、デジタルAGC制御部26は処理を終了させる。その後、図7のステップS6以降の処理が行われ、ステップS7において、デジタルAGC部21により、既定の時定数に従ってゲインが制御される。
【0101】
次に、図10のフローチャートを参照して、P1検出/Signaling解釈部24からMISOフラグが供給され、かつ伝送路特性推定部25から電力偏り検出フラグが供給された場合にゲインの追従特性を制御する処理について説明する。
【0102】
図10のステップS41乃至S45の処理は、図7のステップS1乃至S5の処理と同じ処理である。すなわち、ステップS41において、デジタルAGC部21は、既定の時定数に従ってゲインを制御し、入力されたOFDM信号の電力を調整する。
【0103】
ステップS42において、P1検出/Signaling解釈部24はP1シンボルを検出する。
【0104】
ステップS43において、P1検出/Signaling解釈部24は、P1シンボルによって伝送されたP1 Signalingを復号する。
【0105】
ステップS44において、P1検出/Signaling解釈部24は、データの伝送方式がMISOであるか否かを、P1 Signalingに含まれる情報に基づいて判定する。
【0106】
データの伝送方式がMISOであるとステップS44において判定した場合、ステップS45において、P1検出/Signaling解釈部24は、MISOフラグをデジタルAGC制御部26に出力する。
【0107】
ステップS46において、FFT演算部22は、デジタルAGC部21から供給された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。
【0108】
ステップS47において、伝送路特性推定部25は、FFT演算部22から供給された周波数域のOFDM信号に含まれるSPに基づいて、OFDM信号の各キャリアにおける、Tx1−Rx1間、Tx2−Rx1間の伝送路特性を推定する。
【0109】
ステップS48において、伝送路特性推定部25は、Sum SPの電力とDiff SPの電力との差を計算する。
【0110】
ステップS49において、伝送路特性推定部25は、図5を参照して説明したような電力の偏りがあるか否かを、Sum SPの電力とDiff SPの電力との差に基づいて判定する。
【0111】
電力の偏りがあるとステップS49において判定した場合、ステップS50において、伝送路特性推定部25は、電力偏り検出フラグをデジタルAGC制御部26に出力する。
【0112】
ステップS51において、デジタルAGC制御部26は追従特性制御処理を行う。追従特性制御処理として、図8のフローチャートを参照して説明した処理、または、図9のフローチャートを参照して説明した処理が行われる。
【0113】
ステップS52において、デジタルAGC部21は、デジタルAGC制御部26による制御に従ってゲインの制御を行い、電力を調整した時間域のOFDM信号をFFT演算部22に出力する。
【0114】
ステップS53において、FFT演算部22は、図8または図9の処理によってゲインの追従特性が制御され、その追従特性が制御されたゲインに従って電力が調整された時間域のOFDM信号に対してFFT演算を施す。
【0115】
ステップS54において、Alamoutiデコーダ23は、伝送路特性推定部25により推定された伝送路特性を用いてAlamouti decodingを行い、周波数域のOFDM信号を等化する。Alamoutiデコーダ23は、等化後のOFDM信号を出力する。Alamoutiデコーダ23から出力された等化後のOFDM信号は信号切替部28により選択され、誤り訂正部に出力される。その後、処理は終了する。
【0116】
一方、データの伝送方式がMISOではなくSISOであるとステップS44において判定された場合、または、電力に偏りがないとステップS49において判定された場合、ステップS55において、信号処理部11の各部は通常の復調動作を行う。すなわち、データの伝送方式がMISOではなくSISOであるとステップS44において判定された場合、図7のステップS11の処理と同じ処理が行われる。また、電力に偏りがないとステップS49において判定された場合、ゲインの追従特性を制御することなく、MISOによって送信されたデータの復調が行われる。
【0117】
以上の処理により、データ伝送がMISOで行われることによって電力の偏りが現れる場合であっても、それに追従しないようにゲインを制御することができ、OFDM信号の電力の変動を抑えることが可能になる。また、信号処理部11における受信性能の劣化を抑えることが可能になる。
【0118】
[変形例]
MISO用の時定数を用いる制御方法と、電力の総和が小さい方のSPが入力されるタイミングでゲイン制御を停止させる制御方法の2つのうちのいずれかの方法によってゲインの追従特性を制御するものとしたが、2つの制御方法を適宜切り替えるようにしてもよい。
【0119】
例えば、Sum SPとDiff SPの電力の総和の差が閾値未満である場合には前者の制御方法を用い、Sum SPとDiff SPの電力の総和の差が閾値以上である場合には後者の制御方法を用いるようにすることが可能である。また、ゲインの追従特性の制御方法をPPに応じて変えるようにすることも可能である。
【0120】
[受信システムに適用した例]
図11は、信号処理部11を適用した受信システムの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0121】
図11の受信システムは、取得部101、伝送路復号処理部102、および情報源復号処理部103から構成される。
【0122】
取得部101は、地上デジタル放送、衛星デジタル放送、CATV網、インターネットその他のネットワーク等の図示せぬ伝送路を介して信号を取得し、伝送路復号処理部102に供給する。図6の信号処理部11は例えば取得部101に含まれる。
【0123】
伝送路復号処理部102は、取得部101が伝送路を介して取得した信号に対して、誤り訂正を含む伝送路復号処理を施し、その結果得られる信号を情報源復号処理部103に供給する。
【0124】
情報源復号処理部103は、伝送路復号処理が施された信号に対して、圧縮された情報を元の情報に伸張し、送信対象のデータを取得する処理を含む情報源復号処理を施す。
【0125】
すなわち、取得部101が伝送路を介して取得した信号には、画像や音声等のデータ量を少なくするために、情報を圧縮する圧縮符号化が施されていることがある。その場合、情報源復号処理部103は、伝送路復号処理が施された信号に対して、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理等の情報源復号処理を施す。
【0126】
なお、取得部101が伝送路を介して取得した信号に圧縮符号化が施されていない場合、情報源復号処理部103では、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理は行われない。ここで、伸張処理としては、例えば、MPEGデコード等がある。また、情報源復号処理には、伸張処理の他、デスクランブル等が含まれることがある。
【0127】
図11の受信システムは、例えば、デジタルテレビジョン放送を受信するテレビチューナ等に適用することができる。なお、取得部101、伝送路復号処理部102、および情報源復号処理部103は、それぞれ、1つの独立した装置(ハードウェア(IC(Integrated Circuit)等))、又はソフトウェアモジュール)として構成することが可能である。
【0128】
また、取得部101、伝送路復号処理部102、および、情報源復号処理部103については、それらの3つのセットを1つの独立した装置として構成することが可能である。取得部101と伝送路復号処理部102とのセットを1つの独立した装置として構成することも可能であるし、伝送路復号処理部102と情報源復号処理部103とのセットを1つの独立した装置として構成することも可能である。
【0129】
図12は、信号処理部11を適用した受信システムの第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0130】
図12に示す構成のうち、図11に示す構成と対応する構成については、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0131】
図12の受信システムの構成は、取得部101、伝送路復号処理部102、および情報源復号処理部103を有する点で図11の構成と共通し、出力部111が新たに設けられている点で図11の構成と相違する。
【0132】
出力部111は、例えば、画像を表示する表示装置や音声を出力するスピーカであり、情報源復号処理部103から出力される信号としての画像や音声等を出力する。すなわち、出力部111は、画像を表示し、あるいは、音声を出力する。
【0133】
図12の受信システムは、例えば、デジタル放送としてのテレビジョン放送を受信するTVや、ラジオ放送を受信するラジオ受信機等に適用することができる。
【0134】
なお、取得部101において取得された信号に圧縮符号化が施されていない場合、伝送路復号処理部102が出力する信号が、直接、出力部111に供給される。
【0135】
図13は、信号処理部11を適用した受信システムの第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0136】
図13に示す構成のうち、図11に示す構成と対応する構成については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0137】
図13の受信システムの構成は、取得部101、および伝送路復号処理部102を有する点で図11の構成と共通し、情報源復号処理部103が設けられておらず、記録部121が新たに設けられている点で図11の構成と相違する。
【0138】
記録部121は、伝送路復号処理部102が出力する信号(例えば、MPEGのTSのTSパケット)を、光ディスクや、ハードディスク(磁気ディスク)、フラッシュメモリ等の記録(記憶)媒体に記録する(記憶させる)。
【0139】
以上のような図13の受信システムは、テレビジョン放送を録画するレコーダ機器等に適用することができる。
【0140】
なお、情報源復号処理部103を設け、情報源復号処理部103で情報源復号処理が施された後の信号、すなわち、デコードによって得られる画像や音声を記録部121で記録するようにしてもよい。
【0141】
[コンピュータの構成例]
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0142】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0143】
CPU(Central Processing Unit)151、ROM(Read Only Memory)152、RAM(Random Access Memory)153は、バス154により相互に接続されている。
【0144】
バス154には、さらに、入出力インタフェース155が接続されている。入出力インタフェース155には、キーボード、マウスなどよりなる入力部156、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部157が接続される。また、入出力インタフェース155には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部158、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部159、リムーバブルメディア161を駆動するドライブ160が接続される。
【0145】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU151が、例えば、記憶部158に記憶されているプログラムを入出力インタフェース155及びバス154を介してRAM153にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0146】
CPU151が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア161に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部158にインストールされる。
【0147】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0148】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0149】
[他の変形例]
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0150】
(1)
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を調整する利得制御部と、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する制御部と
を備える受信装置。
【0151】
(2)
前記制御部は、データの伝送方式がMISOである場合、SISOである場合と異なる特性で利得を追従させる
前記(1)に記載の受信装置。
【0152】
(3)
前記制御部は、利得の追従特性を規定するパラメータを変えることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(1)または(2)に記載の受信装置。
【0153】
(4)
前記制御部は、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちのいずれかのパイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(1)または(2)に記載の受信装置。
【0154】
(5)
前記利得制御部は、DVB-T2のOFDM信号の電力を調整し、
前記第1のパイロット信号は、Sum SPであり、
前記第2のパイロット信号は、Diff SPである
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の受信装置。
【0155】
(6)
P1シンボルを検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOである場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(5)に記載の受信装置。
【0156】
(7)
前記制御部は、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(5)または(6)に記載の受信装置。
【0157】
(8)
前記OFDM信号から前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号を抽出し、電力の小さい方のパイロット信号を特定する処理部をさらに備え、
前記制御部は、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(5)または(6)に記載の受信装置。
【0158】
(9)
前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差を計算する処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOであり、かつ、前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差が閾値以上である場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(6)に記載の受信装置。
【0159】
(10)
前記制御部は、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(9)に記載の受信装置。
【0160】
(11)
前記処理部は、さらに、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちの電力の小さい方のパイロット信号を特定し、
前記制御部は、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
前記(9)に記載の受信装置。
【0161】
(12)
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を利得制御部によって調整し、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
ステップを含む受信方法。
【0162】
(13)
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を利得制御部によって調整し、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0163】
11 信号処理部, 21 デジタルAGC部, 22 FFT演算部, 23 Alamoutiデコーダ, 24 P1検出/Signaling解釈部, 25 伝送路特性推定部, 26 デジタルAGC制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を調整する利得制御部と、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する制御部と
を備える受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、データの伝送方式がMISOである場合、SISOである場合と異なる特性で利得を追従させる
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、利得の追従特性を規定するパラメータを変えることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちのいずれかのパイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記利得制御部は、DVB-T2のOFDM信号の電力を調整し、
前記第1のパイロット信号は、Sum SPであり、
前記第2のパイロット信号は、Diff SPである
請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
P1シンボルを検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOである場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記制御部は、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記OFDM信号から前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号を抽出し、電力の小さい方のパイロット信号を特定する処理部をさらに備え、
前記制御部は、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項6に記載の受信装置。
【請求項9】
前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差を計算する処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOであり、かつ、前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差が閾値以上である場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項6に記載の受信装置。
【請求項10】
前記制御部は、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記処理部は、さらに、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちの電力の小さい方のパイロット信号を特定し、
前記制御部は、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項9に記載の受信装置。
【請求項12】
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を利得制御部によって調整し、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
ステップを含む受信方法。
【請求項13】
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を利得制御部によって調整し、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を調整する利得制御部と、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する制御部と
を備える受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、データの伝送方式がMISOである場合、SISOである場合と異なる特性で利得を追従させる
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、利得の追従特性を規定するパラメータを変えることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちのいずれかのパイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記利得制御部は、DVB-T2のOFDM信号の電力を調整し、
前記第1のパイロット信号は、Sum SPであり、
前記第2のパイロット信号は、Diff SPである
請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
P1シンボルを検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOである場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記制御部は、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記OFDM信号から前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号を抽出し、電力の小さい方のパイロット信号を特定する処理部をさらに備え、
前記制御部は、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項6に記載の受信装置。
【請求項9】
前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差を計算する処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記P1シンボルに含まれる情報により表されるデータの伝送方式がMISOであり、かつ、前記第1のパイロット信号の電力と前記第2のパイロット信号の電力との差が閾値以上である場合、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項6に記載の受信装置。
【請求項10】
前記制御部は、データの伝送方式がSISOである場合より利得の追従が遅くなるパラメータを設定することによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記処理部は、さらに、前記第1のパイロット信号と前記第2のパイロット信号のうちの電力の小さい方のパイロット信号を特定し、
前記制御部は、電力の小さい方の前記パイロット信号が入力される間の利得の制御を停止させることによって、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
請求項9に記載の受信装置。
【請求項12】
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を利得制御部によって調整し、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
ステップを含む受信方法。
【請求項13】
極性の方向の相関が高い信号として異なる伝送路を介して送信された第1のパイロット信号と、極性の方向の相関が低い信号として前記異なる伝送路を介して送信された第2のパイロット信号とを含む信号の電力を利得制御部によって調整し、
データの伝送方式に応じて、前記利得制御部による利得の追従特性を制御する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−191431(P2012−191431A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53064(P2011−53064)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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